説明

少なくとも1つの認識特性を有する素材の定性的判定を行うための方法

本発明は、少なくとも1つの認識特性を有する素材の定性的判定を行うための方法に関する。少なくとも1つの認識特性のカラー画像が電子画像センサを用いて撮影される。間接的又は直接的にカラー画像に関連する少なくとも1つの第1の電気信号が画像センサから供給される。画像センサに接続解析評価装置は第1の電気信号を解析評価する。少なくとも1つの参照画像から第2の電気信号が得られてデータ記憶装置に記憶される。第2の電気信号は、参照画像の少なくとも2つの異なる特性につきそれぞれ第1の電気信号に関する1つの目標値を有する。第1の信号は、第2の電気信号に含まれた少なくとも2つの目標値と比較される。比較の際、少なくとも認識特性のカラー画像は、参照画像との色差について検査され、かつ認識特性は特定のカテゴリーの認識特性への帰属性又は特定の幾何的輪郭又は素材の少なくとも1つの他の認識特性との相対的な配置関係について検査される。検査は、印刷機の連続的な印刷工程中又は素材を加工処理する機械の連続的な作業工程中に行われる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1、2又は3の上位概念に記載の、少なくとも1つの認識特性を有する素材の定性的判定を行うための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
印刷工業では、カメラシステムが各種の応用、例えば検査システム、ウェブスキャンシステム又は見当測定システムにますます多用されており、その際、これらのシステムは、印刷機又は被印刷体加工処理機の内部又は脇に配置されている。さらに、これらのシステムは、その機能を“インライン”で、すなわち、印刷機又は被印刷体加工処理機の作業工程に組み込まれて遂行すべきことが求められている。その場合、カメラシステムによって供給される大量のデータ量と印刷機又は被印刷体加工処理機の作業工程の迅速な進行速度とに鑑み、例えば品質チェックにおいて、分光測光ではなかなか識別の困難な認識特性についても、素材の輸送速度が高速であって、かつ、判定に利用し得る時間が短時間であるにもかかわらず、確実な判定、好ましくは各々の認識特性の確実な判定を行うことはそれぞれのカメラシステムにとってかなり困難であることを意味している。この種のカメラシステムにおいて、画像撮影には電子画像センサが多く使用されており、特に、その感光画素が観測領域で撮影された色に応じて、例えば、ほとんどの場合に赤、緑及び青のカラー用の独立した3信号チャネルを経て出力信号を供給するCCDチップからなる画像センサを有するカラーカメラが多用されている。
【0003】
着色された素材、特にカラー印刷された素材の検査に際して、公知のカメラシステムの問題は、カラーカメラによって供給される画像データがヒトの眼の色感覚と一致していないことが多い点である。これらのカラーカメラの未処理の画像データは、ヒトの色覚に一致した配色という点から見れば、色のバランス、明度、コントラスト及び色調再現の点で不十分である。この問題の主たる原因は、レンズと照明装置とが十分でない以外に、使用されるカラーカメラのスペクトル感度分布にある。使用されるカラーカメラの感度分布がヒトの眼の感度分布に一致していない場合には、カラーカメラによって供給された画像データは、後続する再処理、例えば、カラーモニタでの表示に際して、偽化された視覚印象を生ずることとなり、それゆえ、検査に際する被印刷素材の適切な定性的判定は、すでにこの理由だけからしてもほぼ不可能である。
【0004】
製造工程が前置されていることにより、検査プロセスにおいて判定さるべき認識特性の位置は、定められた予測領域内において一定の許容限度内で変動することがある。例えば、一例として、銀行券又は有価証券に使用されるようなウインドウ枠(Fensterfaden)の位置は、ウインドウ枠を製造するための製造工程の特性により、印刷用紙上の銀行券又は有価証券の印刷画像に対して相対的に変動することがある。検査システムにおいて、一定の認識特性のこの種の基本的に許容可能な位置ずれは、障害報知を発生することがあるが、それは目標値として定められた印刷パターンと実際の印刷画像との比較に際して画像位置同士が順次比較され、認識特性の位置ずれが、そうではないにもかかわらずエラーとして認識されるからである。
【0005】
そこで、例えばドイツ出願公開第196 13 082号A1明細書から、印刷された素材、例えば、銀行券の印刷された、銀線、ホログラム又はキネグラムを備えた印刷用紙が照明装置により―印刷された素材によって反射された光が光電センサに当たるようにして―照明される方法が知られている。このようにして光電センサによって撮影された画像は、続いて解析評価装置、例えば、標準的な計算機で適切な解析ソフトウェアを用いて評価され、こうして印刷エラーの有無を検査することができる。ただし、この場合の解析評価の前提条件は、位置の変化する認識特性が、例えば、光輝銀線として形成されていることにより十分に高い反射率を有していることである。それゆえ、カラーウインドウ枠の場合がそうであるように、光電センサによる撮影後の画像特性がその他の印刷画像の画像特性とは十分大きく相違していないような認識特性は、解析評価装置によって十分確実に識別されることができないという点に問題がある。
【0006】
ドイツ出願公開第101 32 589号A1明細書から、判定さるべき素材の画像が画像センサによって撮影され、この画像について解析評価装置で幾何的輪郭及び/又は複数の認識特性相互の相対配置が評価される、少なくとも1つの認識特性を有した被印刷素材の定性的判定を行うための方法が知られている。
【0007】
追加公開されたドイツ出願公開第102 34 086号A1から、特定のカテゴリーの被検体への当該被検体の帰属性が決定される、被検体の画像内容のパターン認識に際する電子画像センサの信号評価を行うための方法が知られている。
【0008】
ドイツ出願公開第198 02 781号A1明細書から、ディジタル画像解析によって貴重対象の識別を行うための測定システムが知られている。このシステムでは、狭帯域励起光源、例えば、可変周波レーザが対象のセレクトされた箇所領域を狭い周波数範囲の光で照射し、対象によって反射された光又は照射によって対象中に誘導された発光が、例えば、多数の画素を有する、測光眼盛り付きのCCDカメラによって検出され、ディジタル化されて、各画素を特性づけるデータセットとしてコンピュータに供給されて記憶装置に記憶され、その際、写真検出された対象をさらに測定することができるため、該データセットに、種々の対象の幾何的配置、それら相互の距離又はそのレリーフ構造の深度等に関する情報を付加することができる。この画像検出から作成されたデータセットは、例えば、インターネットを介して、それぞれこのデータセットと他の対象について作成されたデータセットとの比較に供され、当該の他の対象と第1の対象すなわちオリジナルとの一致不一致、従って当該対象の真正性の検査に利用することができる。
【0009】
スイス特許第684 222号A5明細書から、特に銀行券又は貨幣のパターン識別装置が知られている。この装置では、パターンの多段階学習識別システムにより、少なくとも3つの検査が特性ベクトルと目標ベクトル値との比較によって逐次実施され、その際、光源がパターンを照らし、パターンによって反射された光線をセンサが不連続な時点に測定する。
【0010】
一般に、パターン認識のための方法は、類似度、例えば、セグメンテーションされた対象の距離尺度を測定するか又はグローバルなしきい値分布を計算する。これらの方法は、移動に不変の出力スペクトルを基礎としている。しかしながら、実際には、例えば撮影システム下での対象変位、撮影時の下地の相違又はエイリアシング効果などの状況がしばしば生ずることから、これらの出力スペクトルとファイルされた目標値との直接の比較は多くの場合に実施不可能である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、印刷工業に使用可能な、少なくとも1つの認識特性を有する素材の定性的判定を行うための方法を創作することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記課題は本発明により、請求項1、2又は3に記載の特性によって解決される。
【0013】
本発明によって達成される利点は、特に、素材、特に少なくとも1つの認識特性を有する被印刷素材を、素材から得られたカラー画像、特に認識特性が分光測光法だけでは十分確実に識別することのできない光学的特性を有している場合にも、定性的に確実に判定することができる点にある。本提案になる方法は、定性的に判定されるべき素材が際立った反射率を有することを前提としていないため、素材の光学的に認知可能な任意のあらゆる特性又は性状を実際にその認識特性として定めることができ、これによって本方法の適用範囲は著しく拡大されることとなる。従って、何を認識特徴とするかは適用目的に応じて決定することが可能である。検査は、もっぱら、認識特性とその周囲一般との間に光学的に認知可能な相違が存在することに向けられており、この相違が、素材を定性的に判定し、また、それを、例えば識別し又はその真正性を検査するために利用される。
【0014】
本提案になる方法は、特に、さらに認識特性の位置が許容限度によって定められた予測領域内で変動することを前提にしなければならない場合にも、優れた結果をもたらす。さらに、画像センサによって検出された色は、色調、飽和度及び明度の点で、人間の眼の色感覚に一致した色空間内に十分正確に位置付けられることから、素材は表示装置、例えばカラーモニタにより、カラー画像の形で、素材が直接に人の眼で検査される場合と同じ忠実な色で再現されることとなり、これにより、カラー画像に基づいて、素材と共に、特にその認識特性も定性的に確実に判定することができる。
【0015】
この場合、色空間として適しているのは、特に印刷工業に広く普及しているいわゆるCIELAB色空間である。色差に関する重要な特性値は、CIELAB色空間において、CIELAB色空間を特性付けるパラメータL、a及びb(ここで、パラメータLは明度を表し、aは赤−緑−値、bは黄−青−値をそれぞれ表している)の目標値と実値との間の色距離ΔEによって与えられる。これらのパラメータはCIE値とも称される。その他の特性値は、色調差ΔHと飽和度差ΔC(ここで、多色印刷では特に色調差ΔHが特性値として重要であるが、その理由は、カラーキャストが明度差を表す飽和度差ΔCよりも主観的にいっそう撹乱的に感じられるからである)である。元に戻り、例えば1までの値を有する色距離ΔEは不可視の色差を意味し、値2を有するそれは僅かな差を、値3を有するそれは認知し得る差を、値4を有するそれは明白な差を、そして値5以上を有するそれは強度な差を意味している。CIE値のaとbの値の範囲は、それぞれ緑又は青に関する−100から、赤又は黄に関する+100までに及び、明度Lに関する値の範囲は0(黒:全吸収)から100(白:全反射)までに及んでいる。3つ組値L=50、a=0、b=0は中性の中央濃度を表している。
【0016】
人間の眼の網膜上には、異なったスペクトル領域に入射する光を吸収する3種の錐体型(S;M;L)が存在している。S型−錐体の最大吸収帯は青の領域にあり、詳細には420nmである。M型−錐体は緑のスペクトル領域で最大吸収を行い、詳細には534nmである。L型−錐体は黄/赤−スペクトル領域の564nmに最大吸収帯を有している。これら3種の錐体型による視覚は三原色型視覚と称される。個々の色印象は、個々の錐体型の刺激の強さの違いによって引き起こされる。全ての錐体型が同じ強さの刺激を受けると、白色の色印象が生ずる。
【0017】
ただし、三原色型視覚モデルでは、色感覚現象、例えば色の拮抗及び色の不変性を説明することはできない。色の拮抗とは、一定の色同士は決して移行が見られないということ、従って、これらの色の間には色の移行があり得ないことを意味している。色の拮抗を示す色は、対比色又は補色と称される。この点で、赤/緑及び青/黄ならびに黒/白という色の対を挙げることができる。色の不変性とは、例えば天候又は昼光条件に応じて光のスペクトル分布の相違が補償されることである。
【0018】
1920年にヘーリングは、古典的な三原色型色モデルとは相違するこれらの色感覚現象を説明するために、反対色説を提唱した。この反対色モデルは、錐体は受容領域すなわち青/黄−受容領域と赤/緑−受容領域に配置されているとのことから出発する。この場合、受容領域とは、ニューロン並びに、錐体の刺激がニューロンによって再処理される方法態様として理解される。色覚を生み出すのは基本的に2種の受容領域である。第1の受容領域はその入力をL型及びM型−錐体から受取り、第2の受容領域はその入力を、加重化の異なるL型及びM型−錐体の刺激と共に、S型−錐体から受け取る。ニューロン又は受容領域のレベルで錐体刺激のための減法混色が行われることが出発点である。
【0019】
加色カラー画像を記述するために、工業分野で最も多用されている三原色モデルは、RGBモデルである。RGBモデルにおいて、色空間は3原色、赤、緑及び青によって記述される。このモデルの短所は、特に、RGBモデルによって行われる記述は、特に人間の知覚の特性、従って感覚器官による知覚が顧慮されないために、人間の眼の感覚に一致していないということである。
【0020】
電子画像センサ、特にカラーカメラ用のCCDチップは、この意味で、多数の、例えば100万個又はそれ以上の、例えばマトリックス状に配置された感光画素を有し、各々の画素は、観測領域内で撮影された有色光に応じ、カラー画像と相関する第1の電気信号を供給する。この電気信号は例えば互いに独立した3信号チャネルに配分され、各々の信号チャネルは、通常観測時点において第1の電気信号の3原色、赤、緑及び青に対応する部分を供給する。こうした信号はRGB信号と称される。好ましくは、各々の信号チャネル(R;G;B)のスペクトル感度は人間の眼のスペクトル感度に合わせて、従って、例えばR=赤は564nmに、G=緑は534nmに、B=青は420nmに設定される。また、第1の電気信号は、その全体が色調、飽和度及び明度の点で人間の眼の色感覚に適合される。従って、この種のカラーカメラで撮影されたカラー画像は、多数の画素から合成される。
【0021】
ところで、本発明による方法は、少なくとも1つの参照画像から第2の電気信号が得られてデータ記憶装置に記憶され、第2の電気信号は第1の電気信号に関する少なくとも1つの目標値を形成し、それぞれ第1の信号と第2の信号とが目標値の達成又は目標値との一致不一致について比較されることにより、少なくとも認識特性のカラー画像が参照画像との色差について検査され及び/又は認識特性が特定のカテゴリーの認識特性へのその帰属性及び/又はその一定の幾何的輪郭及び/又は素材の他の少なくとも1つの認識特性とのその相対配置について検査されることを特性としている。検査の信頼度を高めるために、素材及び/又はその認識特性は常に、好ましくは同時に、前述した基準の少なくとも2つについて検査される。このため、カラー画像の少なくとも2つの検査、特に参照画像との色差についての認識特性の検査と、特定のカテゴリーの認識特性へのその帰属性又はその一定の幾何的輪郭又は素材の他の認識特性に対するその相対配置についての認識特性の検査とが、好ましくは同時に、並行した互いに独立して進行する検査プロセスにて実施される。こうして生ずる検査の信頼度と検査が実施される検査速度とにより、本提案になる方法によって、印刷機の連続的な印刷工程中又は被印刷素材を再加工処理する機械の連続的な作業工程中に、当該素材の品質管理を目的とした被印刷素材の判定も行うことが可能である。こうした素材とは、特に、例えば保障の点から非常に慎重な検査が求められると共に、例えば印刷技術的性状の安定性の点で高度な要求が課される貴重印刷物、従って、特に銀行券又は有価証券である。
【0022】
参照画像との色差に関するカラー画像の検査は、好ましくは―カラー画像に属する第1の信号の第1の信号チャネルで供給された部分が第2の信号チャネルで供給された部分と第1の計算手続きによって結合され、これによって第1の対比色チャネルの出力信号が発生し、カラー画像に属する第1の信号の第3の信号チャネルで供給された部分が第1と第2の信号チャネルで供給された部分と第2の計算手続きによって結合され、これによって第2の対比色チャネルの出力信号が発生し、これらの対比色チャネルの出力信号が目標値との比較によって分類される―ことによって行われる。
【0023】
特定のカテゴリーの認識特性への帰属性に関する認識特性の検査は、好ましくは―画像センサによって供給された第1の電気信号が少なくとも1つの計算手続きによって少なくとも1つの特性値を有する、移動に不変の信号に変換され、特性値は不鮮明な少なくとも1つの帰属関数で加重され、少なくとも1つの規則からなる計算手続きによる全ての帰属関数の結合によって上位の不鮮明な帰属関数が発生させられ、上位の不鮮明な帰属関数から感応値が算定され、感応値はしきい値と比較され、この比較の結果に応じて特定のカテゴリーの認識特性への認識特性の帰属性が決定される―ことによって行われる。
【0024】
一定の幾何的輪郭及び/又は素材の他の少なくとも1つの認識特性との相対配置に関する認識特性の検査は、好ましくは―少なくとも1つの下地目標値と少なくとも1つのマスク目標値(ここで、下地目標値は、認識特性を取り囲む周囲領域の少なくとも一部における、判定さるべき素材の少なくとも1つの特性を表し、マスク目標値は認識特性の幾何的輪郭又は複数の認識特性相互の相対配置を表す)とがデータ記憶装置にファイルされ、素材の検査に際し、画像センサによって供給された第1の電気信号と下地目標値とから少なくとも予測領域に関する差分値が形成され、差分値とマスク目標値との比較から認識特性の実際の位置が導出され、素材の定性的判定を行うために、認識特性の実際の位置から生ずる判定さるべき素材の領域が削除される―ことによって行われる。
【0025】
人間の眼の色感覚への第1の電気信号の適合化は―各々の観測時点に画像センサによって供給されたRGB信号がベクトル出力信号として把握され、RGB信号ベクトルの係数に特に正方補正行列が乗ぜられ、これによって、第1の電気信号の信号チャネルを表す全ての部分が人間の眼の色感覚に近似させられる―ことによって行われる。RGB信号ベクトルに補正行列を乗ずることにより、一方で、基本的に任意の色空間への全ての印刷色の比較的正確な位置付けが達成される。さらに、RGB信号ベクトルの適合化は補正行列を乗ずることによってデータ技術的に比較的容易に実現されることから、画像センサの多数の画素によって同時に供給されるRGB信号が大量であっても実際のシステムへの具現が可能である。
【0026】
本提案になるRGB信号の補正の品質にとって決定的に重要なのは、補正行列の係数であることはいうまでもない。というのも、この係数の選択次第でRGB信号ベクトルは異なって変換されるからである。補正行列の係数は、例えば経験値からなっていてよい。これらはデータ記憶装置に記憶される。
【0027】
補正行列の係数を、例えば使用されるカラーカメラ、照明条件又は使用される光学系に関する種々相違した周辺条件に可変的に適合させるため、反復的近似アルゴリズムが提案される。この近似アルゴリズムを実施するため、参照カラーチャート、例えば288色領域のITSチャートが定められる。色領域には種々相違した参照色が表されている。さらに、適切な色空間、例えばCIELAB色空間におけるさまざまな参照色の位置付けも知られている。公知の変換によって、参照カラーチャートのさまざまな参照色に対するこれらの所与のCIELAB値から、3信号チャネルに関する対応目標値を計算することができる。従って、結果として、近似アルゴリズムのために参照カラーチャートが入力値として定められ、各々の参照色につき、各々の信号チャネルに対する目標値のベクトルが所望の換算結果として定められる。補正行列の係数を決定するための近似アルゴリズムを実施する際に、参照カラーチャートはカラーカメラの画像センサによって撮影され、各々の色領域につきRGB信号ベクトルが求められる。カラーカメラのこれらのRGB信号ベクトルと所定の目標値のベクトルとの間の差が人間の眼の色感覚とカラーカメラの感度分布との間の差に相当する。
【0028】
当該のカメラシステムを使用する際に、照明光源を標準光源に合わせて較正する必要がないようにするため、さらに別の補正ステップを実施することができる。この補正ステップにおいて、RGB信号ベクトルの係数は、標準光で観測領域を照明する際に得られると想定されるRGB信号ベクトルに結果が一致するようにして、換算される。さまざまな照明光源とその変化とにRGB信号ベクトルを適合させるための色補正値は、以下のようにして計算することができる。
【0029】
印刷技術では、現在もなお標準光D50が使用されている。白点D50を設定することにより、Rec.709を換算によってD50標準光に適合させ、こうして、検査さるべき対象が、あたかもD50照明で照射されたかのように非線形RGB信号ベクトルが振舞うようにすることができる。本提案になる方法を用いて、真の標準光照明を要さずに、RGB信号ベクトルを反復法によってCIELAB色空間に適合させることが可能である。この方法は、標準光設定に変化が予測される場合に即座に適合化を行うことができるという利点を有している。
【0030】
反復法の出発点は、その係数が出力値として与えられる補正行列である。これらの出力値は全くランダムに、もしくは一定の経験値に応じて選択されていてよい。第1の反復法ステップにおいて、この補正行列に画像センサから供給された全てのRGB信号ベクトルが乗ぜられ、こうして得られた修正RGB信号ベクトルがデータ記憶装置に中間記憶される。続いて、補正行列の係数が僅かに変化させられ、改めて乗算が実施される。この場合、補正行列の係数の変化はそれぞれ、修正RGB信号ベクトルが所定の目標値のベクトルに近似する場合にのみ、受け入れられる。
【0031】
所定の目標値のベクトルへの修正RGB信号ベクトルの近似は各々の反復法ステップについて評価され、この評価に基づいて、当該反復法ステップで行われた補正行列の係数の変化が受け入れられるべきかそれとも棄却されるべきかを決定することができる。有利な評価方法において、参照カラーチャートの各々の色領域につき修正RGB信号ベクトルと当該色領域に関する所定の目標値のベクトルとの間の差分値が求められ、これらの差分値の全てが積算されて総和が算定される。実際の反復法ステップにおける補正行列の補正係数の変化は、当該の実際の反復法ステップにおける全ての差分値の総和が先行反復法ステップにおける全ての差分値の総和に比較して小さくなった場合にのみ受け入れられる。他方、全ての差分値の総和が補正行列の係数の変化によって先行反復法ステップにおけるよりも大きくなった場合には、係数の変化は棄却される。こうした全ての参照色に関する差分値の概括的な観察により、個別の反復法ステップ中で個々の参照色に関する差が増大することは十分にあり得るが、ただし全体として全ての信号チャネルにわたって差分値の最小化が確実に保証される。
【0032】
カメラシステムのもう一つの問題は、色のバランスの正しい調整、すなわち、さまざまな信号チャネル相互間の正しい加重化である。個々の信号チャネルの色のバランスを相互相対調整するために、各々のRGB信号ベクトルの係数にそれぞれ信号チャネルに応じた補正係数が乗ぜられる。また同時に、各々のRGB信号ベクトルに補正ベクトルが加算される。各々のRGB信号ベクトルの3信号チャネルのこの補正はRGB信号ベクトルの個々の係数の線形変位に相当する。
【0033】
特に優れた色のバランスは、補正ベクトルと信号チャネルに応じた補正係数とが―補正ベクトルと補正係数とによる補正の適用によって得られる参照黒白濃度を有した双方の色領域の修正RGB信号ベクトルが、これら双方の色領域に関する所定の目標値のベクトルに基本的に正確に一致するように―選択される場合に達成される。換言すれば、RGB信号ベクトルの線形変位は、双方の参照黒白濃度について修正された人間の眼のコントラスト感覚に一致する結果が生ずるように選択される。この線形変位は、好ましくは全てのRGB信号ベクトルに適用され、これによってカラースペクトル全体の明度とコントラストとが同時に自動的に修正される。
【0034】
カラーカメラを使用する際には、特にカメラ画像のエッジに色の偽化と強度の低下とが生ずることがある。こうした偽化は、使用される光学系、例えば使用されるレンズによって生み出される。こうした強度低下を補正するため、いわゆるシェーディング補正を使用することができる。このため、画像センサの各々の画素につき、信号チャネルに応じた補正係数が定められる。画素に応じたこの補正係数をRGB信号ベクトルの係数に乗ずることにより、画素固有の色の偽化又は画像センサの種々異なった領域におけるタイプに基づく強度低下を補償することができる。
【0035】
これらの画素固有の信号チャネルに応じた補正係数は、例えば、カラーカメラの観測領域を均質な素材、特に均質な白色素材で覆い、カメラを用いて各々の画素につきRGB信号ベクトルを求めることにより、容易な方法で実験的に求めることができる。次いで、これらのRGB信号ベクトル全体から、最も高い値の係数を有する、従って観測領域内の最も明るい箇所を代表するRGB信号ベクトルが濾別されて取り出される。しかしながら、観測領域は均質なカラー素材で覆われていることから、全ての画素は基本的に同一の、互いに一致するRGB信号ベクトルを供給しなければならないはずであろう。従って、それぞれの差は、色の偽化又はタイプに基づく強度低下に基づいている。かくて、これを補償するため、個々の各々の画素の各々の信号チャネルにつき、均質なカラー素材の撮影時に全てのRGB信号ベクトルが観測領域内の最も明るい箇所のRGB信号ベクトルに一致するような補正係数が選択される。
【0036】
特に、色の偽化は観測領域の照明条件によって大きく左右される。従って、照明条件の変化によるエラー源を排除するため、画素固有の、信号チャネルに応じた補正係数を実験的に決定する際の照明は、以後のカメラシステム使用中の照明と一致している必要があろう。
【0037】
第1の電気信号を人間の眼の色感覚に適合させるための方法の多くの適用ケースにおいて、元来カラーカメラによって供給されたRGB信号ベクトルの補正によって得られた修正RGB信号ベクトルは、独立したカラーモニタ信号チャネルの制御に使用される。この場合にもカラーモニタでの色の表示は、同じく、大半のカラーモニタの表示特性は人間の眼の色感覚に一致していないという問題を提起する。これは、特にカラーモニタの明度特性はふつう線形ではなく、すなわち、カラーモニタで再現される光の強度はカラーモニタに印加されている電気入力信号―この場合、RGB信号ベクトル―の非線形関数であるということに起因している。換言すれば、人間の眼の色感覚に応じて修正されたRGB信号ベクトルがそのままカラーモニタに伝送されて、同所で、その明度特性の非線形性を考慮することなく、表示される場合には、カラーモニタに望ましくないカラー画像の偽化が現れることを意味している。こうした場合には、カラーモニタに表示された素材とくに1つの認識特性を有した素材の、信頼するに足る定性的判定は客観的に不可能である。
【0038】
カラーモニタでの表示に際するこの種の色の偽化を防止するには、基礎とされた修正RGB信号ベクトルの係数を冪指数γで累乗することができる。修正RGB信号ベクトルの係数のこうした非線形換算によって、大半のカラーモニタの明度特性の非線形性を補償することができる。大半のカラーモニタにつき、冪指数γは0.3〜0.5の範囲内の1つの値、特にほぼ0.45が選択されなければならない。
【0039】
参照画像との色差についてカラー画像を検査するための方法では、人間の色知覚に際する刺激の処理がシミュレートされる。異なったスペクトル感度を有する人間の眼の3種の錐体型をシミュレートするため、既述したように、画像センサによって撮影されたカラー画像につき、各々の画素から、その係数が好ましくは互いに独立した3信号チャネルを表す信号ベクトルが供給される。3信号チャネルの各々は、固有のスペクトル感度を有している。人間の目視に際する色処理の第2段階を表す双方の受容領域は、互いに独立した3信号チャネルの当該結合によってシミュレートされる。人間の色知覚の赤/緑−受容領域は、技術モデルにおいて第1の対比色チャネルを表している。第1の対比色チャネルの出力信号は、第1の信号チャネルの信号ベクトル部分が第2の信号チャネルの信号ベクトル部分と結合されることによって発生する。この結合は、少なくとも1つの計算規則からなる計算手続きによって行われる。青/黄−受容領域は、技術モデルにおいて第3の信号チャネルの信号ベクトル部分と、第1と第2の信号チャネルの各部分からなるコンビネーションとの結合によって生成される。青/黄−受容領域は、技術モデルにおいて第2の対比色チャネルに相当する。第2の対比色チャネルの出力信号は、前述した結合によって発生する。この結合は、少なくとも1つの計算規則からなる第2の計算手続きによって行われる。検査された画素の信号ベクトルを評価するため、次のステップにおいて、双方の対比色チャネルの出力信号の分類が行われる。これによって、検査された画素の信号ベクトルと共に最終的にカラー画像も一定のクラスに対応しているか否かが決定され、これによって良/不良−分類を行うことができる。
【0040】
本方法の信号チャネルがいかなるスペクトル範囲で動作するかは、信号チャネルが異なったスペクトル感度を有しているかぎり、本方法の原理にとって重要な問題ではない。信号チャネルがRGBモデルの3原色、すなわち赤、緑及び青に対応していれば、それによって広く普及しているカラーモデルに対処し得ることからして、有利である。各々の信号チャネルのスペクトル感度は、人間の眼の網膜の錐体型のスペクトル感度に適合させられる。
【0041】
対比色チャネルの双方の出力信号がいかなる方法で発生させられるかは、本発明の原理にとって二次的な意義を有する。一つの方法は、第1の計算手続きの計算規則が、第1の信号チャネルの信号ベクトル部分からの第2の信号チャネルの信号ベクトル部分の加重化差分形成を行い及び/又は第2の計算手続きの計算規則が第3の信号チャネルの部分からの第1と第2の信号チャネル部分の加重和の加重化差分形成を行うことである。
【0042】
好ましくは、少なくとも1つの信号は、少なくとも1つの対比色チャネルにおいて結合の後及び/又は前に変換手続き、特に非線形変換手続きに付される。変換は、特に、電子的に生成されたカラー画像のディジタルキャラクタを考慮することができるという利点を有する。同じく、変換手続きによって、信号を色空間から、錐体の刺激を記述することのできる空間に変換することができる。好ましくは、双方の対比色チャネルの信号が変換に付される。
【0043】
人間の目視に際する受容領域は低域フィルタ挙動を特性としていることから、少なくとも1つの信号が、少なくとも1つの対比色チャネルにおいて、低域フィルタによってフィルタリングされるのが有用である。好ましくは、各々の対比色チャネルの出力信号が低域フィルタによってフィルタリングされる。
【0044】
本方法は、好ましくは学習モードと作業モードとを有している。特に、画像センサの信号を処理する解析評価装置は、これら双方の動作態様、すなわち学習モードと作業モードとの間で切換えが可能である。学習モード中に、少なくとも1つの参照画像、例えば少なくとも1枚の印刷用紙の撮影が画素ごとに検査され、参照画像によって生成された双方の対比色チャネルの出力信号が、目標値を形成する第2の電気信号としてデータ記憶装置に記憶される。これは、具体的には、参照画像の信号ベクトルが、例えば3信号チャネルで供給され、各々の信号チャネルで供給された信号ベクトル部分は感度が適合され、これらの部分が、続いて対比色モデルに応じて互いに結合されることを意味している。次いで、各々の対比色チャネルの出力信号は、画素ごとにデータ記憶装置に記憶される。次いで、後続する作業モードにおいて、検査さるべきカラー画像によって生成された当該画素の出力信号は、データ記憶装置にそれぞれ目標値として記憶されていた当該値と比較され、こうして分類決定が行われる。
【0045】
カラー画像の許容可能な色変動並びに画像撮影時の条件の変動も考慮するには、データ記憶装置に記憶される値を複数の参照データセットによって形成し、こうして、データ記憶装置の各々の値につき、画像検査時に発生させられる対比色チャネルの出力信号値がその範囲内で変動することが許される許容差領域を定めるのが有用である。この場合、対比色チャネルの出力信号の目標値は、例えば個々の値(ここで個々の値は参照データセットから判明する)の算術平均値形成によって求めることができる。許容差領域は、例えば検査される参照画像によって発生させられる各々の画素の対比色チャネルの出力信号の最小/最大値によるか又は標準偏差によって定めることができる。
【0046】
特定のカテゴリーの認識特性への帰属性について認識特性を検査するための方法は、好ましくは以下の基本的な方法ステップ―特性形成、ファジー化、干渉、非ファジー化及びクラス帰属性に関する決定―で進行する。
【0047】
特性形成に際しては、画像センサによって供給された第1の電気信号が、少なくとも1つの計算手続きによって特性空間内の移動に不変の信号に転換される。特性形成の目標は、カラー画像の典型的な信号特性を特徴づける数値を決定することである。カラー画像の典型的な信号特性は、いわゆる特性によって表される。この場合、特性は特性空間内の値によるか又は言語変数によって表すことができる。特性空間への第1の電気信号の転換によって、1つの特性値又は複数の特性値からなる信号が生ずる。
【0048】
特性への特性値の帰属性は、不鮮明な少なくとも1つの帰属関数によって記述される。これはソフトな又は不鮮明な対応付けであり、特性への特性値の帰属性は、特性値の値に応じ0〜1の正規化間隔内にある。帰属関数の概念は、特性値はもはや特性に対応させることが全く不可能であり、むしろ、ブールの真理値1と0との間のファジー帰属性を帯び得ることを意味する。まさに、ここに述べたステップがファジー化と称される。従って、ファジー化に際しては、基本的に1又は複数の不鮮明な帰属性へのシャープな特性値の変換が行なわれる。
【0049】
干渉に際しては、少なくとも1つの計算規則からなる計算手続き(この場合、全ての帰属関数が互いに結合される)により、上位の帰属関数が生成される。こうして、結果として、各々のウインドウにつき上位の帰属関数が得られる。
【0050】
非ファジー化に際しては、干渉において形成された上位の帰属関数から、感応値とも称される数値が求められる。クラス帰属性に関する決定に際しては、感応値と先に定められたしきい値との比較が行われ、これに基づいて、特定のカテゴリーへのウインドウの帰属性が決定される。この場合、しきい値は、さらに別の第2の電気信号に含まれた目標値を形成する。
【0051】
特性空間内の特性値がいかなる類のものであるかは、本方法の原理的プロセスにとって二次的な意義を有する。そこで、例えば時間信号の場合には、それらの平均値又は分散を特性値として決定することができる。特定のカテゴリーの認識特性への帰属性について、カラー画像はそれぞれ支配的な信号強度とは無関係に瑕疵なく加工されるべきであるということが、認識特性を検査するための方法に要求され、かつカラー画像の小さな、しかも許容可能な変動が障害を結果すべきでない場合には、2次元スペクトル変換による、2次元場所空間からの第1の電気信号の変換が実施されるのが有用である。適切なスペクトル変換の例としては、それぞれ2次元フーリエ変換、ウォルシュ変換、アダマール変換又はサイクル変換である。2次元スペクトル変換により、移動に不変の特性値が得られる。好ましくは、スペクトル変換によって得られたスペクトル係数の量値が特性値として使用される。
【0052】
好ましくは、帰属関数は単峰性のポテンシャル関数である。上位の帰属関数は、好ましくは多峰性のポテンシャル関数である。
【0053】
少なくとも1つの帰属関数をパラメータ化するのが有利である。帰属関数が正と負の勾配を有している場合には、正と負の勾配のパラメータを別々に決定できるのが有利である。これによって、検査さるべきデータセットへのパラメータのより良好な適合化が保証される。
【0054】
特に好ましい実施例において、本方法はさらに2種の異なった動作態様、すなわち学習モードと作業モードとに区分される。帰属関数がパラメータ化されていれば、学習モードにおいて、測定されたデータセットから帰属関数のパラメータを求めることができる。学習モードにおいて、帰属関数のパラメータは、いわゆる参照画像に適合させられる。すなわち、学習モードにおいて、参照画像から生ずる特性値の当該特性への帰属性は、帰属関数とそのパラメータによって導出される。後続する作業モードにおいて、続いて測定されたデータセットから生ずる特性値は、学習モードにおいてパラメータが求められた帰属関数で加重化され、これによって、今や測定されたデータセットの特性値の当該特性への帰属性が作り出される。従って、本方法が学習モードと作業モードとに区分されることにより、帰属関数のパラメータは、測定された参照データセットに基づいて求められる。作業モードにおいて、検査さるべきデータセットは、学習モードで決定された帰属関数で加重化されて評価される。
【0055】
さらに好ましくは、帰属関数を相互に結合する少なくとも1つの規則は、IF−THEN結合の趣旨の論理積規則である。
【0056】
好ましくは、上位の不鮮明な帰属関数の生成は、以下の部分ステップ―前提評価、起動及び集約―に区分される。前提評価に際して、1つの規則の各々のIF部分につき帰属値が決定され、起動に際して、各々のIF−THEN規則に関する帰属関数が定められる。続いて、集約に際して、起動時に形成された全ての帰属関数の重ね合わせによって上位の帰属関数が生成される。
【0057】
感応値算定は、特に重心法及び/又は最大値法で実施するのが有利である。
【0058】
一定の幾何的輪郭及び/又は素材の他の少なくとも1つの認識特性との相対配置について認識特性を検査するための方法は、光学的特性例えば反射率が十分確実な識別を行うのに十分でない位置可変認識特性の評価に際して、この認識特性に関して既知の追加的情報を解析評価に流入させるという基本思想を基礎としている。この場合、前提条件として、位置可変認識特性、例えばカラーウインドウ枠は、少なくとも部分領域において光学的特性、例えば濃度値が、検査さるべきその他の素材例えば認識特性を囲む印刷画像から大幅に相違しており、そのため認識特性と印刷画像との間には少なくとも完全な一致は存在しないと想定される。そこで、位置可変認識特性の位置判定のために、認識特性のそれ自体既知の幾何的輪郭又は印刷画像中に存在する複数の認識特性の相対配置に関する追加的情報が解析評価される。この場合、これらの追加的情報は、解析評価さるべき各々の素材につきデータ記憶装置にマスク目標値として記憶され、適切な形で幾何的データを表す参照マスクにファイルされる。
【0059】
さらに、データ記憶装置には、参照値として、認識特性を囲む周囲領域の少なくとも一部における印刷画像の光学的特性を表す下地目標値がファイルされている。この下地目標値は、その光学的特性の点で、識別さるべき認識特性の光学的特性から少なくとも僅かに相違していなければならない。かくして、素材の検査に際し、画像センサから供給された実際の第1の電気信号と下地目標値とから、少なくとも予測領域に関して微分画像を表す差分値が形成される。
【0060】
微分画像では、差分形成によって、光学的特性が下地目標値と一致する印刷画像の全ての特性が基本的に削除され、認識特性の位置可変領域とその他の要素例えば印刷エラー又はエッジずれのみが背景参照値とのそれらの相違(この場合、位置可変認識特性の領域は特に高い振幅を有している)によって微分画像中に再現される。
【0061】
差分値が存在すれば、差分値は直ちに参照マスクのマスク目標値と比較され、この比較の結果から認識特性の実際の位置が推定される。この方法ステップの基礎をなす考え方は、微分画像は基本的に位置可変認識特性の再現によって決定されることから、参照マスクと微分画像との間の広範な合致から位置可変認識特性の実際の位置を逆推理することができるということである。その他のエラーの影響によってマスク目標値と差分値との間に十分な合致を確認することができなくとも、それは単に印刷画像チェックに際するエラー表示と当該印刷用紙のゲートアウトを結果するにすぎないことからして、問題ではない。
【0062】
好ましくは、認識特性の実際の位置から生ずる印刷画像領域は後続する素材の定性的判定に際して削除されるため、認識特性の位置可変配置による印刷画像検査時の障害は取り除かれている。
【0063】
位置可変認識特性の識別は、本方法の実施に際し、2値化しきい値をデータ記憶装置にファイルしておくことによってさらに改善することができる。実際の第1の電気信号と下地目標値とから微分画像が形成された後、その値が2値化しきい値以下にある全ての画像データを微分画像から濾別することができる。すなわち、微分画像にはその他の印刷画像から十分有意に相違する画素のみが保持されることとなり、その結果、大半のその他の相違例えば印刷エラー又はエッジずれは微分画像から削除されることができる。
【0064】
実際の印刷画像中の位置可変認識特性の位置判定は、参照マスクと微分画像との間に最大限の重なり合いが生ずるまで参照マスクをずらすことによって行うことができる。この場合、参照マスクと微分画像との間の重なり合いを評価して、当該の最大限の重なり合いを見出すために、さまざまな数学的評価方法を使用することができる。十分熟練した検査員の視覚的判定によって重なり合いを判定させることも無論可能であるが、これは高い人件費と判定速度の不十分さとからしてほとんどの場合に経済的に不適である。それゆえ、適切な数学的演算を使用して、できれば電子データ処理方法を用いて、微分画像と参照マスクとの間の重なり合いの計算を行うようにすることが必要である。
【0065】
参照マスクと微分画像との間の重なり合いを評価する一つの方法は、微分画像中の画素の光学的分布に応じて重心を計算し、この重心を参照マスクの重心と比較することである。参照マスクと微分画像との間の重心差の和が最小の場合に両者の最大限の重なり合いが生ずる。
【0066】
一定の幾何的輪郭及び/又は素材の他の少なくとも1つの認識特性との相対配置について認識特性を検査するための方法の実施にかかわる前提条件は、データ記憶装置における適切な下地目標値のファイル化である。下地目標値は基本的に、例えば1又は複数の経験値から出発して、単なる方法パラメータとして定めることが可能である。しかしながら、下地目標値は、学習モードにおいて、検査さるべき素材のそれぞれの印刷画像に応じてそれぞれに定められるのが有利である。これにつき、以下に2つの方法を述べることとする。
【0067】
下地目標値を定めるための第1の方法によれば、学習モードにおいて、位置可変認識特性を含まない参照素材が使用される。例えば、このために、ウインドウ枠のない銀行券又は有価証券が印刷された印刷用紙を使用することができる。認識特性のないこの参照素材の解析評価によって下地目標値を導出することができる。
【0068】
認識特性のない参照素材が得られない場合には、位置可変認識特性を含んだ参照素材でも学習モードを実施することが可能である。参照素材の印刷画像の解析評価に際し、位置可変認識特性が周囲領域に比較して明るく現れる場合には、認識特性の最も暗い画素の値に一致するしきい値が下地目標値として選択される。この場合には、以後の素材の検査に際し、しきい値から出発して、少なくとも予測領域において下地目標値よりも暗い全ての画素は位置可変認識特性には属していないと想定される。他方、認識特性が周囲領域に比較して暗く現れる場合には、認識特性の最も明るい画素に一致する値のしきい値が下地目標値として選択される。
【0069】
印刷画像の光学的特性からして必要なかぎり、素材の異なった領域につき異なった下地目標値を定め、こうして、位置可変認識特性が微分画像中に十分有意に再現されるようにすることができるのは無論である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0070】
本発明の一連の実施例を図面によって表し、以下、詳細に説明する。
【0071】
図1は、少なくとも1つの認識特性を有した被印刷素材の定性的判定を行うための方法にとって重要な機能ユニットを付したブロック線図を示したものである。例えば、印刷機の内部又は脇に固定配置され、その画像センサ02によって、カラーカメラ01の脇を通過する被判定素材19のカラー画像を、好ましくは連続的な印刷工程中に撮影することのできるカラーカメラ01は解析評価装置03に接続されている。カラーカメラ01によって撮影され、解析評価装置03で評価された画像データは、必要に応じてカラーモニタ04に表示されることができ、この場合、カラーモニタ04は印刷機に属するガイドスタンドの内部又は脇に配置されていてよい。被印刷素材19の定性的判定に使用される検査方法は、解析評価装置03に接続された、例えば3並列信号路で表されており、それぞれの信号路における検査プロセスは、好ましくは同一の解析評価装置03において互いに独立に進行する。検査は、好ましくは少なくともおおよそ時間的に等しく進行し、換言すれば、検査プロセスは少なくとも同じ時点にスタートする。検査プロセスは、少なくとも2種の動作態様を有する解析評価装置03が学習モード48から作業モード49に切り換えられた後に開始することができる。各々の信号路には、少なくとも参照画像との色差について認識特性のカラー画像を検査するための検査ユニット06と、特定のカテゴリーの認識特性への帰属性について認識特性を検査するための検査ユニット07と、一定の幾何的輪郭又は素材19の他の少なくとも1つの認識特性との相対配置について認識特性を検査するための機能ユニット08が配されており、各々の検査は、それぞれの信号路に設けられた比較箇所11;12;13で実施され、カラーカメラ01の画像センサ02によって供給されて適切に処理された第1の信号09と、それぞれ適切に定められた目標値16;17;18(この場合、目標値16;17;18は解析評価装置03に属するデータ記憶装置14に記憶されている)との比較を含んでいる。個々の信号路におけるそれぞれの検査結果は、同所に記憶するため、再び解析評価装置03に通知される。また、少なくとも1つの認識特性を有した被印刷素材19の定性的判定を行うための方法にとって重要なこれらの機能ユニットは、素材19を加工処理する機械に組込まれていてもよく、この機械は例えば印刷機、好ましくは枚葉印刷機、特に枚葉輪転印刷機に好ましくは後置され、あるいは前置されていてもよい。素材19、すなわち、例えば複数の認識特性を有した印刷用紙19は、枚葉印刷機で、例えば18.000枚/時の速度で印刷され、及び/又は続いて同一速度で、印刷用紙19を加工処理する機械でさらに加工処理される。素材19が素材ウェブ19として形成されている場合には、印刷速度又は再加工処理速度は、例えば15m/sであってよい。印刷機又は素材19を加工処理する機械によって加工される素材の質を判定するための検査プロセスは計算集約的であり、かつ素材19の運動速度が高速であるにもかかわらず、本提案になる方法によって確実な判定が達成される。少なくとも1つの認識特性を有した被印刷素材19の定性的判定を行うための方法にとって重要な機能ユニットは印刷機又は素材19を加工処理する機械の内部又は脇に配置されていることから、参照信号を供給する場所と検査の場所とは同一である。カラー画像とその参照画像とは同一の機能ユニット、特に同一のカラーカメラ01により、同一の場所で撮影され、同一の解析評価装置03で評価されることができる。
【0072】
被印刷素材19の定性的判定を行うため、図2〜11に例示説明する以下の方法ステップが進行する。
【0073】
カラーカメラ01により、観測領域21に配置されたカラー印刷された素材19のカラー画像が撮影される。カラーカメラ01は、好ましくはCCDチップ02として形成された画像センサ02を有し、該センサは観測領域21において検出された画像情報を電子画像データに変換し、この電子画像データがカラーカメラ01ないしその画像センサ02によって供給される第1の電気信号09を形成する。この変換に際して、CCDチップ02の各々の感光画素によって信号ベクトル22が発生させられる。CCDチップ02の画素の数に応じ、カラーカメラ01によって同数の、カウント指標付けされた信号ベクトル22が再処理のために解析評価装置03に供給される。
【0074】
各々の信号ベクトル22は、好ましくは3つの係数R、G及びBを有している。係数R、G及びBは3信号チャネル、赤、緑及び青の色値に対応しており、画素によって放出された第1のベクトル電気信号09は、観測領域21内の当該位置で被印刷素材19について撮影された色と相関している。
【0075】
カウント指標によってCCDチップ02上におけるそれぞれの画素の配置が記述された信号ベクトル22は、色のバランス、明度及びコントラストを適合させるための第1の補正モジュール23用の生データを形成する。このため、信号ベクトル22の各々の係数R;G;Bに信号チャネルに応じた補正係数K、K、Kが乗ぜられる。さらに、これから生ずる結果ベクトルに定値係数a、a及びaの補正ベクトル24が加算される。この演算により、画像データの色のバランス、明度及びコントラストを改善する第1の修正信号ベクトル26が生ずる。前述した目標は、信号チャネルに応じた補正係数K、K及びK並びに係数a、a及びaが―参照黒白濃度の撮影に際し、カラーカメラ01から生ずる信号ベクトル22が変換されて、得られた修正信号ベクトル26が公知のCIELAB色値の換算からベクトルで得られるような目標値に一致するように―選択されることによって達成される。
【0076】
続いて、第1の修正信号ベクトル26は、第2の補正モジュール27に供給される。第2の補正モジュール27において、各々の第1の修正信号ベクトル26にi×i正方補正行列28が乗ぜられる。ここで、iは修正信号ベクトル26の係数の数に一致しており、この場合、i=3である。この乗算から第2の修正信号ベクトル29が生ずる。この場合、補正行列28の係数K〜K12は、予め適切な反復法により、第1の修正信号ベクトル26に含まれていた画像情報が人間の眼の色感覚に近似するように算定されている。
【0077】
続いて、第2の修正信号ベクトル29は、第3の補正モジュール31に転送される。第3の補正モジュール31では、データ記憶装置14に各々の画素につき信号チャネルに応じた補正係数が記憶されており、この補正係数が、それぞれの画素の位置に応じた強度値の適合化のため、係数R、G及びBに乗ぜられる。従って、結果として、第1の画素の第2の修正信号ベクトル29には補正係数K13、K14及びK15が乗ぜられ、これから第1の画素につき第3の修正信号ベクトル32が算定される。第2の修正信号ベクトル29のこの修正は、好ましくは画像センサ02の全ての画素について実施される。
【0078】
第3の修正信号ベクトル32は、次いで第4の補正モジュール33に転送される。第4の補正モジュール33において、第3の修正信号ベクトル32の係数R;G;Bは冪指数γで累乗され、これから第4の修正信号ベクトル34が算定される。冪指数γによる累乗により、第4の修正信号ベクトル34が表示のために伝送されるカラーモニタ04の非線形明度伝達関数が考慮される。
【0079】
結果として、補正モジュール23、27、31及び33における信号ベクトル22の修正により、カラーモニタ04に表示されるカラー画像が人間の眼の色感覚に適合させられ、カラーモニタ04の表示を観察する際の視覚印象が被印刷素材19を直接観察した場合に生ずると考えられる色感覚と良好に合致することが達成される。
【0080】
既述したように、画像センサ02による画像信号の撮影・収録は互いに独立した信号チャネルR;G;Bで行われる。本実施例において、信号チャネルR;G;Bは、3信号チャネル、すなわち、赤R、緑G及び青Bである。信号チャネルR;G;Bの各々は、調節可能なスペクトル感度を有している。これは、各々の信号チャネルR;G;Bのスペクトル感度を、人間の眼の網膜のそれぞれの錐体のスペクトル感度に適合させることができるという利点を有している。
【0081】
カラー画像を参照画像との色差について検査するための方法において、画像のスペクトル内容は画素ごとに解析される。人間の眼の双方の受容領域、赤/緑及び青/黄をモデル化するため、図3に示したように、本方法において、信号チャネルR;G;Bの画像センサ信号は互いに結合される。計算手続き36;37による本来の結合前に、各々の画像センサ信号は対比色チャネル38;39において非線形変換41に付される。これによって、電子的に生成された撮影のディジタルキャラクタが考慮される。続いて各々の信号は係数K(i=1….4)42で加重される。これにより、出力画像の純然たる強度変化は、対比色チャネル38;39の出力信号43;44の一方になんら寄与しないことが達成される。対比色チャネル38;39の出力信号43;44の発生は、人間の網膜における受容領域の信号発生と同様にして行われる。すなわち、計算手続き36;37による信号チャネルR;G;Bの結合は、人間の網膜の錐体の結合と同様にして実施される。赤/緑−対比色チャネル38の出力信号43を創生するため、赤の信号チャネルRと緑の信号チャネルGとの画像センサ信号が第1の計算手続き36によって互いに結合される。青/黄−対比色チャネル39の出力信号44の発生には、本実施例において、青の信号チャネルBの画像センサ信号が、計算手続き37によって、赤の信号チャネルRと緑の信号チャネルGとの画像センサ信号の最小値46と結合される。人間の網膜の受容領域は低域フィルタ特性によって特性づけられている。これに応じ、本実施例において、結合によって得られた信号は、例えばガウス低域フィルタによる低域フィルタリング47に付される。
【0082】
図4は、2段階、すなわち学習モード48と後置された作業モード49の2段階で行われる被印刷素材19の本来の検査を示したものである。学習モード48は、後続する作業モード49において、当該画素の対比色チャネル38;39の出力信号43;44と比較される参照データ値としての目標値を画素ごとに発生させることを目標としている。学習モード48において、参照画像52又は複数の参照画像52の画像内容は―各々の画素の画像内容が3信号チャネルR;G;Bで撮影・収録され、続いて各々の信号チャネルR;G;Bの画像信号の、知覚に応じた適合化が行われ、続けて、前述した対比色法に基づいた画像センサ信号の再処理が実施されることによって―解析評価される。各々の画素について得られた対比色チャネル38;39の出力信号43;44は、次いで、データ記憶装置14に記憶される。参照画像52の許容可能な変動を共に考慮するため、複数の参照画像52が学習モード48において考慮されるのが有用である。これにより、記憶された各々の画素の目標値が一定の変動許容差を有するようにすることができる。変動許容差は各々の画素の参照画像52の画像内容について得られたデータから、最小/最大値によるか又は標準偏差によって定めることができる。
【0083】
次に、作業モード49では、検査画像53の対比色チャネル38;39の出力値43;44とデータ記憶装置14から得られる目標値との画素ごとの比較が行われる。この比較は線形又は非線形分類回路54、特に、しきい値分類回路、ユークリッド距離分類回路、ベイズ分類回路、ファジー分類回路又はニューロコンピュータによって実施することができる。これに続いて、良/不良−決定が行われる。
【0084】
図5は、特定のカテゴリーの認識特性への帰属性について認識特性を検査するための方法に際する信号評価のフローチャートを示したものである。
【0085】
まず、検査さるべきカラー画像全体を覆ってM×N個のウインドウ56からなるラスタが置かれる。この場合、M、N>1である。各々のウインドウ56はm×n個の画素(ここで、m;n>1)からなっているのが有利である。好ましくは、M×N個のウインドウ56(ここで各々のウインドウ56はn×n個の画素からなっている)からなる正方ラスタが選択される。検査プロセスにおいて、各々のウインドウ56の信号は別々に検査される。
【0086】
1回又は複数回のスペクトル変換58により、場所空間の二次元カラー画像は周波数空間の二次元画像に変換される。こうして得られたスペクトルは、周波数スペクトルと称される。本実施例においては不連続スペクトルであることから、周波数スペクトルも不連続である。この周波数スペクトルは、スペクトル係数59―スペクトル値59とも称される―によって形成される。
【0087】
次の方法ステップにおいて、スペクトル値59の量値形成61が行われる。スペクトル値59の量値は、スペクトル振幅値62と称される。スペクトル振幅値62は、本実施例において、特性値62を形成する。すなわち、スペクトル振幅値は特性値62と同じである。
【0088】
次に、さらなる方法ステップとして特性選択63が続く。特性選択63の目標は、検査さるべきカラー画像の画像内容に固有な特性64を選択することである。特性64としては、周波数空間内でのその位置と振幅とによって特性64を定義する固有スペクトル振幅値62も、言語変数例えば“グレー”、“黒”又は“白”なども選択可能である。
【0089】
次に続く方法ステップ、ファジー化66において、特性64に対する各々のスペクトル振幅値62の帰属性がソフトな又は不鮮明な帰属関数67によって定められる。すなわち、加重化が行われる。
【0090】
仮に、帰属関数67が、学習モードにおいて、参照データセットとして記憶された目標値に適合可能とさるべき場合には、帰属関数67は、正負の勾配のパラメータを検査さるべき目標値に別々に適合させることのできる、パラメータ化されたモノモードの、すなわち1次元のポテンシャル関数として形成されているのが有用である。次いで、学習モードに後続する作業モードにおいて、検査さるべきカラー画像の特性値62が生ずる画像内容のデータセットは、そのパラメータが先行学習モードにおいて求められたそれぞれの帰属関数67で加重される。すなわち、各々の特性64につき、帰属関数67のパラメータで表される参照データセットと、検査さるべきカラー画像のデータセットとの間の一種の目標値−実値−比較が行われる。帰属関数67により、それぞれの特性値62と特性64との間のソフトな又は不鮮明な対応付けが作り出される。
【0091】
次の方法ステップ、干渉68において、基本的に、特性64の全ての帰属関数67のAND結合69―集約69とも称される―が行われ、これによって上位の帰属関数71が生成される。
【0092】
次の方法ステップ、非ファジー化72は、上位の帰属関数71から具体的な帰属値73又は感応値73を算出する。この感応値73は、分類74に際して、先に設定されたしきい値76と比較され、これによって分類判定を行うことができる。しきい値76は、手動によるか又は自動的に設定される。しきい値76の設定は同じく学習モードにおいて行われる。
【0093】
一定の幾何的輪郭及び/又は素材の少なくとも他の1つの識別別特性との相対配置について認識特性を検査するための方法は、基本的に以下の一連のステップで実施される。
【0094】
図6に示したように、例えば銀行券19が印刷された印刷用紙の検査に際して、微分画像77が形成される。ただし、図6には銀行券19の領域における微分画像77の一部のみが表されている。図6から、微分画像77においては銀行券19の正常な印刷画像は削除され、下地参照値から有意に相違する印刷画像領域のみが暗野として微分画像に再現されることがわかる。例えば、印刷用紙に刷りこまれた認識特性79の位置、特に、それらの穴に対応して5個の暗野79で微分画像77中に再現される、印刷用紙に取り込まれたウインドウ枠79の位置は、鎖線で示唆した帯状の予測領域78内で変動することがある。
【0095】
微分画像77には、ウインドウ枠79の再現から生ずる5個の暗野79のほかに、さらに別の、例えば印刷エラー81として生じた、重要でない暗野81も再現される。
【0096】
図7は、重要でない暗野81が除去され、適切な2値化を実施した後の微分画像77を表している。微分画像77中では、結果として、ウインドウ枠79に起因する暗野79のみが有意に際立っている。
【0097】
図8は、参照マスク82の幾何的形状を示している。参照マスク82には、ウインドウ枠貫通部79の幅83と長さ84とに関するデータがファイルされている。さらに参照マスク82には、ウインドウ枠貫通部79間の距離86と銀行券19ごとのウインドウ枠貫通部の数に関する数値とがファイルされている。
【0098】
図9に概略的に示したように、参照マスク82は、データ技術演算による解析評価に際して、参照マスク82と微分画像77中の暗野79との最大限の重なり合いが生ずるまで微分画像77に対して相対的にずらされる。この最大限の重なり合いが達成されると、例えば銀行券19の辺縁に対するX方向とY方向とにおける参照マスク82の実際の位置から生ずる距離87;88から印刷画像中のウインドウ枠79の実際の位置を推定することができ、その結果、以後の印刷画像の検査に際してはウインドウ枠貫通部79の領域を削除することが可能である。
【0099】
図10は、銀行券19の検査に際して、凹面状に湾曲した接面に8個のウインドウ枠貫通部91に対応する暗野91を表している第2の参照マスク89を示している。
【0100】
図11は、ウインドウ枠貫通部91が、例えばウインドウ枠93の暗野93で再現された微分画像92を表している。同図において、暗野94は印刷エラー94に起因しており、ウインドウ枠貫通部91に起因するものではなかった。さらに、中央のウインドウ枠貫通部91は、下地とウインドウ枠93との間の色差が十分でなかったために、微分画像92には再現されなかった。
【0101】
位置判定を行うために、参照マスク89と微分画像92との間の比較が容易に行えるようにするため、参照マスク89は投影線96に投影され、それから生ずる明暗分布が、投影線97への微分画像92の投影から生ずる明暗分布と比較される。明暗分布のこうした1次元比較によってウインドウ枠93の位置を単一方向で確認することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0102】
【図1】本方法にとって重要な機能ユニットを付したブロック線図である。
【図2】参照画像との色差につきカラー画像を検査するための方法実施時の方法ステップを示す図である。
【図3】撮影されたカラー画像の色差を対比色モデルを用いて検査するための方法を図解した図である。
【図4】学習モード/作業モードならびに分類の流れ図である。
【図5】特定のカテゴリーの認識特性への帰属性につき認識特性を検査するための方法のフローチャートである。
【図6】概略的に示した微分画像を上方から見た図である。
【図7】2値化を実施した後の図6に示した微分画像を示す図である。
【図8】図7に示した微分画像中の位置可変認識特性の位置測定を行うための参照マスクを示す図である。
【図9】図7に示した微分画像と図8に示した参照マスクとの間の重ね合わせを示す図である。
【図10】第2の参照マスクを側方から見た概略的な図である。
【図11】第2の微分画像を側方から見た概略的な図である。
【符号の説明】
【0103】
01 カラーカメラ
02 画像センサ、CCDチップ
03 解析評価装置
04 カラーモニタ
05 −
06 機能ユニット
07 機能ユニット
08 機能ユニット
09 信号、電気信号、第1の信号
10 −
11 比較箇所
12 比較箇所
13 比較箇所
14 データ記憶装置
15 −
16 目標値
17 目標値
18 目標値
19 素材、銀行券、有価証券、印刷用紙、素材ウェブ
20 −
21 観測領域
22 信号ベクトル
23 補正モジュール、第1の補正モジュール
24 補正ベクトル
25 −
26 信号ベクトル、第1の修正信号ベクトル
27 補正モジュール、第2の補正モジュール
28 補正行列
29 信号ベクトル、第2の修正信号ベクトル
30 −
31 補正モジュール、第3の補正モジュール
32 信号ベクトル、第3の修正信号ベクトル
33 補正モジュール、第4の補正モジュール
34 信号ベクトル、第4の修正信号ベクトル
35 −
36 計算手続き
37 計算手続き
38 対比色チャネル
39 対比色チャネル
40 −
41 変換
42 係数K(i=1…..4)
43 出力信号(38)
44 出力信号(39)
45 −
46 最小値
47 低域フィルタリング
48 学習モード
49 作業モード
50 −
51 −
52 参照画像
53 検査画像
54 分類回路
55 −
56 ウインドウ、画像ウインドウ
57 −
58 スペクトル変換
59 スペクトル係数、スペクトル値
60 −
61 量値形成
62 スペクトル振幅値、特性値
63 特性選択
64 特性
65 −
66 ファジー化
67 帰属関数
68 干渉
69 AND結合、集約、論理積計算手続き
70 −
71 上位の帰属関数
72 非ファジー化
73 帰属値、感応値
74 分類
75 −
76 しきい値
77 微分画像
78 予測領域
79 暗野、ウインドウ枠、認識特性、ウインドウ枠貫通部
80 −
81 暗野、印刷エラー
82 参照マスク
83 幅
84 長さ
85 −
86 距離
87 距離
88 距離
89 参照マスク、第2の参照マスク
90 −
91 ウインドウ枠貫通部、暗野
92 微分画像
93 暗野、ウインドウ枠
94 暗野、印刷エラー
95 −
96 投影線
97 投影線
R、G、B 係数、信号チャネル
、K、K 補正係数
からK12まで 係数
13、K14、K15 補正係数
、a、a 定値係数
γ 冪指数

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子画像センサ(02)を用いて少なくとも1つの認識特性(79)に関する1つのカラー画像が撮影され、画像センサ(02)により間接的又は直接的にカラー画像と関連する少なくとも1つの第1の電気信号(09)が供給され、画像センサ(02)に接続された解析評価装置(03)は第1の電気信号(09)を解析評価し、少なくとも1つの参照画像から第2の電気信号が得られてデータ記憶装置(14)に記憶され、第2の電気信号は参照画像の少なくとも2つの異なる特性につきそれぞれ第1の電気信号(09)に関する1つの目標値(16;17;18)を有し、第1の信号(09)は第2の電気信号に含まれた少なくとも2つの目標値(16;17;18)と比較され、比較の際、少なくとも認識特性(79)のカラー画像は参照画像との色差について検査され、かつ認識特性(79)は一定クラスの認識特性(79)への帰属性又は特定の幾何的輪郭又は素材(19)の少なくとも1つの他の認識特性(79)との相対的な配置関係について検査される、少なくとも1つの認識特性(79)を有する素材(19)の定性的判定を行うための方法であって、
検査は印刷機の連続的な印刷工程中又は素材(19)を加工処理する機械の連続的な作業工程中に行われることを特徴とする方法。
【請求項2】
電子画像センサ(02)を用いて少なくとも1つの認識特性(79)に関する1つのカラー画像が撮影され、画像センサ(02)により間接的又は直接的にカラー画像と関連する少なくとも1つの第1の電気信号(09)が供給され、画像センサ(02)に接続された解析評価装置(03)は第1の電気信号(09)を解析評価し、少なくとも1つの参照画像から第2の電気信号が得られてデータ記憶装置(14)に記憶され、第2の電気信号は参照画像の少なくとも2つの異なる特性につきそれぞれ第1の電気信号(09)に関する1つの目標値(16;17;18)を有し、第1の信号(09)は第2の電気信号に含まれた少なくとも2つの目標値(16;17;18)と比較され、比較の際、少なくとも認識特性(79)のカラー画像は参照画像との色差について検査され、かつ認識特性(79)は一定クラスの認識特性(79)への帰属性又は特定の幾何的輪郭又は素材(19)の少なくとも1つの他の認識特性(79)との相対的な配置関係について検査される、少なくとも1つの認識特性(79)を有する素材(19)の定性的判定を行うための方法であって、
少なくとも2つの検査は互いに独立に、並行して進行する検査プロセスにて行われることを特徴とする方法。
【請求項3】
電子画像センサ(02)を用いて少なくとも1つの認識特性(79)に関する1つのカラー画像が撮影され、画像センサ(02)により間接的又は直接的にカラー画像と関連する少なくとも1つの第1の電気信号(09)が供給され、画像センサ(02)に接続された解析評価装置(03)は第1の電気信号(09)を解析評価し、少なくとも1つの参照画像から第2の電気信号が得られてデータ記憶装置(14)に記憶され、第2の電気信号は参照画像の少なくとも2つの異なる特性につきそれぞれ第1の電気信号(09)に関する1つの目標値(16;17;18)を有し、第1の信号(09)は第2の電気信号に含まれた少なくとも2つの目標値(16;17;18)と比較され、比較の際、少なくとも認識特性(79)のカラー画像は参照画像との色差について検査され、かつ認識特性(79)は一定クラスの認識特性(79)への帰属性又は特定の幾何的輪郭又は素材(19)の少なくとも1つの他の認識特性(79)との相対的な配置関係について検査される、少なくとも1つの認識特性(79)を有する素材(19)の定性的判定を行うための方法であって、
カラー画像の検査は、解析評価装置(03)の一部をなすデータ記憶装置(14)に解析評価装置(03)の学習モード(48)の間に記憶された参照画像に基づいて、解析評価装置(03)にて該装置が学習モード(48)から作業モード(49)に切り換えられた後に行われることを特徴とする方法。
【請求項4】
検査は印刷機の連続的な印刷工程中又は素材(19)を加工処理する機械の連続的な作業工程中に行われることを特徴とする請求項2又は3に記載の方法。
【請求項5】
少なくとも2つの検査は互いに独立に、並行して進行する検査プロセスにて行われることを特徴とする請求項1又は3に記載の方法。
【請求項6】
カラー画像の検査は、解析評価装置(03)の一部をなすデータ記憶装置(14)に解析評価装置(03)の学習モード(48)の間に記憶された参照画像に基づいて、解析評価装置(03)にて該装置が学習モード(48)から作業モード(49)に切り換えられた後に行われることを特徴とする請求項1又は2に記載の方法。
【請求項7】
学習モード(48)において単一の参照画像又は複数の参照画像が撮影されることを特徴とする請求項3又は6に記載の方法。
【請求項8】
素材(19)は連続的な印刷工程で印刷されることを特徴とする請求項1又は4に記載の方法。
【請求項9】
素材(19)の判定は素材の品質管理を目的として行われることを特徴とする請求項1、2又は3に記載の方法。
【請求項10】
素材(19)は銀行券(19)又は有価証券(19)であることを特徴とする請求項1、2又は3に記載の方法。
【請求項11】
素材(19)は印刷用紙として形成されており、かつ18.000枚葉紙(19)までの速度で画像センサ(02)の脇を通過運動させられることを特徴とする請求項1、2又は3に記載の方法。
【請求項12】
素材(19)は素材ウェブ(19)として形成されており、かつ15m/sまでの速度で画像センサ(02)の脇を通過運動させられることを特徴とする請求項1、2又は3に記載の方法。
【請求項13】
認識特性(79)の位置は許容限度によって定められた予測領域(78)内で変動することを特徴とする請求項1、2又は3に記載の方法。
【請求項14】
画像センサ(02)は複数の感光画素を有することを特徴とする請求項1、2又は3に記載の方法。
【請求項15】
各々の画素につき1つの第1の電気信号(09)が供給されることを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項16】
第1の電気信号(09)は複数の信号チャネル(R;G;B)に配分されることを特徴とする請求項1、2又は3に記載の方法。
【請求項17】
第1の電気信号(09)はRGB信号であり、各々の信号チャネル(R;G;B)は3原色、赤、緑及び青のいずれか1つに相当する第1の信号(09)の部分を供給することを特徴とする請求項16に記載の方法。
【請求項18】
各々の信号チャネル(R;G;B)において当該チャネルのスペクトル感度はヒトの眼の一定のスペクトル感度に合わせて設定されることを特徴とする請求項16に記載の方法。
【請求項19】
第1の信号(09)は色調、飽和度及び明度に関してヒトの眼の色感覚に適合されることを特徴とする請求項1、2又は3に記載の方法。
【請求項20】
参照画像との色差に関するカラー画像の検査は、カラー画像に属する第1の信号(09)の第1の信号チャネル(R)で供給された部分が第2の信号チャネル(G)で供給された部分と第1の計算手続き(36)によって結合され、これによって第1の対比色チャネル(38)の出力信号(43)が発生し、カラー画像に属する第1の信号(09)の第3の信号チャネル(B)で供給された部分が第1と第2の信号チャネル(R;G)で供給された部分と第2の計算手続き(37)によって結合され、これによって第2の対比色チャネル(39)の出力信号(44)が発生し、これらの対比色チャネル(38;39)の出力信号(43;44)が目標値との比較によって分類されることによって行われることを特徴とする請求項16に記載の方法。
【請求項21】
各々の対比色チャネル(38;39)の出力信号(43;44)はデータ記憶装置(14)に記憶されることを特徴とする請求項20に記載の方法。
【請求項22】
第1の計算手続き(36)は第1の電気信号(09)の第2の信号チャネル(G)で供給された部分の、第1の信号チャネル(R)で供給された当該部分からの加重化差分形成を行い及び/又は第2の計算手続き(37)は第1と第2の信号チャネル(R;G)で供給された部分の加重和の、第3の信号チャネル(B)で供給された当該部分からの加重化差分形成を行うことを特徴とする請求項20に記載の方法。
【請求項23】
第1の電気信号(09)の信号チャネル(R;G;B)で供給された部分の少なくともいずれか1つは計算手続き(36;37)による結合の前及び/又は後に変換(41)に付されることを特徴とする請求項20に記載の方法。
【請求項24】
非線形変換(41)が適用されることを特徴とする請求項23に記載の方法。
【請求項25】
結合時に考慮された第1の電気信号(09)の各々の部分は変換(41)の前及び/又は後に係数(42)で加重されることを特徴とする請求項20に記載の方法。
【請求項26】
少なくとも1つの対比色チャネル(38;39)の出力信号(43;44)は低域フィルタ(47)によってフィルタリングされることを特徴とする請求項20に記載の方法。
【請求項27】
請求項26に記載の、
低域フィルタ(47)はガウス低域フィルタとして形成されていることを特徴とする方法。
【請求項28】
学習モード(48)において、少なくとも1つの参照画像によって生成された双方の対比色チャネル(38;39)の出力信号(43;44)はデータ記憶装置(14)に目標値として記憶され、作業モード(49)において、検査さるべき認識特性(79)によって生成された双方の対比色チャネル(38;39)の出力信号(43;44)はデータ記憶装置(14)に記憶されていた目標値と比較されることを特徴とする請求項20に記載の方法。
【請求項29】
検査さるべき認識特性(79)によって生成された双方の対比色チャネル(38;39)の出力信号(43;44)とデータ記憶装置(14)に記憶されていた画像センサ(02)の各々の画素に関する目標値との比較が行われることを特徴とする請求項20に記載の方法。
【請求項30】
各々の画素につきデータ記憶装置(14)に記憶される目標値は複数の参照画像の出力信号(43;44)のメモリによって生成され、これによって目標値に許容差領域が定められることを特徴とする請求項29に記載の方法。
【請求項31】
対比色チャネル(38;39)の出力信号(43;44)の分類(54)は分類回路システムによって実施されることを特徴とする請求項20に記載の方法。
【請求項32】
線形及び/又は非線形分類回路システム、しきい値分類回路、ユークリッド距離分類回路、ベイズ分類回路、ファジー分類回路又はニューロコンピュータが使用されることを特徴とする請求項31に記載の方法。
【請求項33】
一定クラスの認識特性(79)への帰属性に関する認識特性(79)の検査は、画像センサ(02)によって供給された第1の電気信号(09)が少なくとも1つの計算手続きによって少なくとも1つの特性値(62)を有する移動に不変の信号に変換され、特性値(62)が不鮮明な少なくとも1つの帰属関数(67)で加重され、少なくとも1つの規則からなる計算手続きによる全ての帰属関数(67)の結合によって上位の不鮮明な帰属関数(71)が発生させられ、上位の不鮮明な帰属関数(71)から感応値(73)が求められ、感応値がしきい値と比較され、この比較の結果に応じて一定クラスの認識特性(79)への認識特性(79)の帰属性が決定されることによって行われることを特徴とする請求項1、2又は3に記載の方法。
【請求項34】
カラー画像全体を覆って複数の画像ウインドウ(56)からなるラスタが載置され、各画像ウインドウ(56)は複数の画素で構成されていることを特徴とする請求項33に記載の方法。
【請求項35】
カラー画像はそれぞれm×n個の画素を有する、M×N個の画像ウインドウ(56)(ここで、M;N;m;n>1である)に細分されることを特徴とする請求項34に記載の方法。
【請求項36】
帰属関数(67)は特性値(62)の値の範囲と関数関係にあることを特徴とする請求項33に記載の方法。
【請求項37】
帰属関数(67)は少なくとも1つのパラメータを有し、このパラメータが求められることを特徴とする請求項36に記載の方法。
【請求項38】
画像センサ(02)の第1の電気信号(09)を移動に不変の特性値(62)に変換するための計算規則は数学的な2次元スペクトル変換法(58)であることを特徴とする請求項33に記載の方法。
【請求項39】
計算規則は2次元フーリエ変換又はウォルシュ変換又はアダマール変換又はサイクル変換であることを特徴とする請求項38に記載の方法。
【請求項40】
特性値(62)はスペクトル係数(59)の量値によって表されることを特徴とする請求項38に記載の方法。
【請求項41】
各々の画像ウインドウ(56)につき、画像センサ(02)によって各々の画素について供給された第1の電気信号(09)から2次元スペクトルが決定されることを特徴とする請求項34に記載の方法。
【請求項42】
2次元スペクトルからスペクトル振幅値(62)が計算され、互いに結合されて画像ウインドウ(56)ごとに単一の感応値(73)が形成されることを特徴とする請求項41に記載の方法。
【請求項43】
帰属関数(67)は単峰性関数であることを特徴とする請求項33に記載の方法。
【請求項44】
上位の帰属関数(71)は多峰性関数であることを特徴とする請求項33に記載の方法。
【請求項45】
帰属関数(67)及び/又は上位の帰属関数(71)はポテンシャル関数であることを特徴とする請求項33に記載の方法。
【請求項46】
学習モード(48)において、少なくとも1つのパラメータが適合化されるか又は少なくとも1つのしきい値(76)が決定され、作業モード(49)において、画像センサ(02)によって供給された第1の電気信号(09)が学習モード(48)から得られた結果に基づいて判定されることを特徴とする請求項33に記載の方法。
【請求項47】
帰属関数(67)を相互に結合する計算手続きはIF−THEN結合の趣旨の論理積計算手続き(69)であることを特徴とする請求項33に記載の方法。
【請求項48】
上位の不鮮明な帰属関数(71)の生成は部分ステップ、前提評価、起動及び集約の実施を通じて行われ、前提評価に際して、計算手続きの各々のIF部分につき感応値(73)が決定され、起動に際して、各々のIF−THEN計算手続きに関する帰属関数(67)が定められ、集約に際して、起動時に形成された全ての帰属関数(67)の重ね合わせによって上位の帰属関数(67)が生成されることを特徴とする請求項33に記載の方法。
【請求項49】
感応値(73)は重心法及び/又は最大値法によって求められることを特徴とする請求項33に記載の方法。
【請求項50】
特定の幾何的輪郭又は素材(19)の他の少なくとも1つの認識特性(79)との相対配置について認識特性(79)を検査するための方法は、少なくとも1つの下地目標値と少なくとも1つのマスク目標値(ここで、下地目標値は、認識特性(79)を取り囲む予測領域(78)の少なくとも一部における、判定さるべき素材(19)の少なくとも1つの特性を表し、マスク目標値は認識特性(79)の幾何的輪郭又は複数の認識特性(79)相互の相対配置を表す)とがデータ記憶装置(14)にファイルされ、素材(19)の検査に際し、画像センサ(02)によって供給された第1の電気信号(09)と下地目標値とから少なくとも予測領域(78)に関する差分値が形成され、差分値とマスク目標値との比較から認識特性(79)の実際の位置が導出され、素材(19)の定性的判定を行うために、認識特性(79)の実際の位置から生ずる判定さるべき素材(19)の領域が削除されることによって行われることを特徴とする請求項1、2又は3に記載の方法。
【請求項51】
下地目標値は認識特性(79)を取り囲む予測領域(78)の濃度を表すことを特徴とする請求項50に記載の方法。
【請求項52】
データ記憶装置(14)に2値化しきい値がファイルされており、画像センサ(02)によって供給された第1の電気信号(09)のうち、その値が2値化しきい値以下にある全ての信号が差分値からフィルタリングされることを特徴とする請求項50に記載の方法。
【請求項53】
認識特性(79)の位置判定に際し、マスク目標値はマスク目標値と差分値との間に最大の一致が生ずるまで適合化されることを特徴とする請求項50に記載の方法。
【請求項54】
認識特性(79)の位置判定に際し、マスク目標値の重心と差分値の重心との比較が行われることを特徴とする請求項50に記載の方法。
【請求項55】
認識特性(79)の実際の位置として、マスク目標値の重心と差分値の重心との比較時に全体として最小の差が生ずる位置値が想定されることを特徴とする請求項54に記載の方法。
【請求項56】
認識特性(79)は線状に形成されているか又は線状の部分を有することを特徴とする請求項50に記載の方法。
【請求項57】
認識特性(79)は銀行券(19)又は有価証券(19)の保障標識として形成されていることを特徴とする請求項50に記載の方法。
【請求項58】
認識特性(79)はウインドウ枠(79)、ウインドウ枠貫通部(79;91)、ホログラム又はキネグラムとして形成されていることを特徴とする請求項50に記載の方法。
【請求項59】
下地目標値を定めるために、学習モード(48)において、認識特性(79)のない素材(19)が使用され、下地目標値は予測領域(78)における判定さるべき素材(79)の少なくとも1つの特性から導出されることを特徴とする請求項50に記載の方法。
【請求項60】
下地目標値を定めるために、学習モード(48)において、1つの認識特性(79)を有する素材が使用され、認識特性(79)が予測領域(78)に比較して明るく現れる場合には、下地目標値はしきい値として、認識特性(79)の最も暗い画素の値から導出され、認識特性(79)が予測領域(78)に比較して暗く現れる場合には、下地目標値はしきい値として、認識特性(79)の最も明るい画素の値から導出されることを特徴とする請求項50に記載の方法。
【請求項61】
素材(19)の異なった領域につき異なった下地目標値が定められることを特徴とする請求項50に記載の方法。
【請求項62】
マスク目標値と差分値とはそれぞれ少なくとも1つの投影線(96;97)に投影され、投影線(96;97)の長手方向における認識特性(79)の実際の位置がマスク目標値と差分値との投影データの比較から導出されることを特徴とする請求項50に記載の方法。
【請求項63】
認識特性(79)の検査はディジタル化された入力データの適切な数学的演算によって行われることを特徴とする請求項50に記載の方法。
【請求項64】
第1の電気信号(09)は、係数(R;G;B)が画像センサ(02)によって供給された電気信号(09)のそれぞれ異なった信号チャネル(R;G;B)部分を表している信号ベクトル(22)であり、係数(R;G;B)に補正行列(28)が乗ぜられ、これによって得られた修正信号ベクトル(29)はカラーモニタ(04)に供給され、カラー画像は修正信号ベクトル(29)に基づいてその定性的判定のためにカラーモニタ(04)に表示されることを特徴とする請求項16に記載の方法。
【請求項65】
補正行列(28)は正方補正行列であることを特徴とする請求項64に記載の方法。
【請求項66】
補正行列(28)の係数(K〜K12)は反復的近似アルゴリズム(この場合、複数の色領域に異なった参照色が表された参照カラーチャートが定められる)によって求められ、その際、参照カラーチャートの各々の色領域につき目標値のベクトルが定められ、画像センサ(02)によって参照カラーチャートのカラー画像が撮影されて各々の色領域につき信号ベクトル(22)が求められ、第1の反復法ステップにおいて全ての色領域の信号ベクトル(22)に補正行列(28)が乗ぜられ、補正行列(28)の係数(K〜K12)は後続する各々の反復法ステップにおいて、修正信号ベクトル(29)が所定の目標値のベクトルに反復的に近似させられるようにして変化させられることを特性する請求項64に記載の方法。
【請求項67】
所定の目標値のベクトルへの修正信号ベクトル(29)の近似は各々の反復法ステップにつき、参照カラーチャートの各々の色領域について修正信号ベクトル(29)と所定の目標値のベクトルとの間の差分値が求められて全ての差分値が積算されて総和が算定され、実際の反復法ステップにおける補正行列(28)の係数(K〜K12)の変化は実際の反復法ステップにおける全ての差分値の総和が先行反復法ステップにおける全ての差分値の総和に比較して小さくなった場合にのみ後続する反復法ステップのために受け入れられることを特徴とする請求項66に記載の方法。
【請求項68】
信号ベクトル(22)は、色のバランス、明度及びコントラストの適合化を図るため、補正行列(28)による補正に加えてさらに別の補正ステップにおいて、各々の信号ベクトル(22)の係数(R;G;B)に信号チャネルに応じた補正係数(K1;K2;K3)が乗ぜられ、さらに各々の信号ベクトル(22)に補正ベクトル(24)が加算されて変化させられることを特徴とする請求項64に記載の方法。
【請求項69】
補正ベクトル(24)の係数(a;a;a)と信号チャネルに応じた補正係数(K;K;K)とは、複数の色領域に異なった参照色が表された参照カラーチャートが定められて参照カラーチャートの各々の色領域につき目標値のベクトルが定められ、画像センサ(02)によって参照カラーチャートのカラー画像が撮影されて各々の色領域につき信号ベクトル(22)が求められ、補正ベクトル(24)と補正係数(K;K;K)とは補正ベクトル(24)の当該加算と信号チャネルに応じた補正係数(K;K;K)との乗算とによって得られる参照黒白濃度を有した双方の色領域に関する修正信号ベクトル(26)がこれら双方の色領域に関する所定の目標値のベクトルと一致するように選択されることによって求められることを特徴とする請求項68に記載の方法。
【請求項70】
色のバランス、明度及びコントラストの適合化を図るための補正ステップは補正行列(28)が乗ぜられる前に実施されることを特徴とする請求項68又は69に記載の方法。
【請求項71】
画像センサ(02)は面状又は列状に配置された多数の画素を有し、各々の画素は少なくとも1つの信号ベクトル(22)を供給することを特徴とする請求項64に記載の方法。
【請求項72】
信号ベクトル(22)は、強度値の適合化を図るため、補正行列(28)による補正に加えてさらに別の補正ステップにおいて、修正信号ベクトル(26;29)又は未修正信号ベクトル(22)の各々の画素について求められた係数(R;G;B)にそれぞれ各々の画素につき固有の所定の信号チャネルに応じた補正係数(K13、K14、K15;K16、K17、K18)が乗ぜられて変化させられることを特徴とする請求項71に記載の方法。
【請求項73】
画素固有の信号チャネルに応じた補正係数(K13、K14、K15;K16、K17、K18)は、画像センサ(02)の観測領域(21)が均質な有色素材、特に均質な白色素材で覆われ、画像センサ(02)を用いてカラー画像が撮影され、これによって各々の画素につき信号ベクトル(22)が求められ、観測領域(21)内の最も明るい箇所を表す信号ベクトル(22)が決定され、各々の画素につき、画素固有の信号チャネルに応じた補正係数(K13、K14、K15;K16、K17、K18)は、これらの補正係数(K13、K14、K15;K16、K17、K18)にそれぞれ対応する信号ベクトル(22)の係数(R;G;B)を乗じた結果が観測領域内の最も明るい箇所の信号ベクトル(22)の係数(R;G;B)に一致するように選択されることによって求められることを特徴とする請求項72に記載の方法。
【請求項74】
画素固有の信号チャネルに応じた補正係数(K13、K14、K15;K16、K17、K18)を決定する際の観測領域(21)の照明は素材(19)の定性的判定を行う際の画像センサ(02)の照明と一致していることを特徴とする請求項73に記載の方法。
【請求項75】
強度値の適合化を図るための補正ステップは補正行列(28)が乗ぜられた後に実施されることを特徴とする請求項72に記載の方法。
【請求項76】
修正信号ベクトル(32)の基礎として得られた係数(R;G;B)はカラーモニタに伝送される前にそれぞれ冪指数(γ)で累乗されることを特徴とする請求項65に記載の方法。
【請求項77】
冪指数(γ)は0.3〜0.5の間の1つの値で選択されることを特徴とする請求項76に記載の方法。
【請求項78】
冪指数(γ)はほぼ0.45に選択されることを特徴とする請求項76に記載の方法。
【請求項79】
信号ベクトル(22)は、照明条件の適合化を図るため、補正行列(28)による補正に加えてさらに別の補正ステップにおいて、修正信号ベクトルの係数が標準光で観測領域を照明する際に得られる結果に一致するように変化させられることを特徴とする請求項64に記載の方法。
【請求項80】
参照カラーチャートは総計288色領域を有するITSチャートの形で形成されていることを特徴とする請求項64に記載の方法。
【請求項81】
目標値のベクトルは参照カラーチャートの色領域について既知のCIELAB色値を信号チャネルの当該係数に換算することによって定められることを特徴とする請求項64に記載の方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子画像センサ(02)を用いて少なくとも1つの認識特性(79)に関する1つのカラー画像が撮影され、画像センサ(02)により間接的又は直接的にカラー画像と関連する少なくとも1つの第1の電気信号(09)が供給され、画像センサ(02)に接続された評価装置(03)は第1の電気信号(09)を評価し、少なくとも1つの参照画像から第2の電気信号が得られ、かつデータ記憶装置(14)に記憶され、第2の電気信号は参照画像の少なくとも2つの異なる特性に対してそれぞれ第1の電気信号(09)のに関する1つの目標値(16、17、18)を有し、第1の信号(09)は第2の電気信号に含まれる少なくとも2つの目標値(16、17、18)と比較され、比較の際、少なくとも認識特性(79)のカラー画像は参照画像との色差について検査され、かつ認識特性(79)は特定のカテゴリーの認識特性(79)への関連性、又は特定の幾何学的輪郭又は素材(19)の少なくとも1つの他の認識特性(79)との相対的な配置関係について検査される、少なくとも1つの認識特性(79)を有する素材の定性的判定方法であって、
少なくとも2つの検査は互いに独立に、並行して伸長された信号路で行実施され、素材(19)が所定位置に設けられた画像センサ(02)の観察領域(21)を通過移動された際に、この検査は、素材(19)を印刷する印刷機の連続的な印刷プロセス又は素材(19)を処理する機械の連続的な作業プロセスで行われ、検査過程で判定される認識特性(79)の位置が、前置された製造プロセスに基づき許容限度によって決定される予測領域(78)の範囲内で、素材(19)上に印刷された印刷画像と相対的に又は素材(19)の縁部と相対的に変化しているときは、位置変化した認識特性(79)の位置が並行な信号路の中で決定されることを特徴とする方法。
【請求項2】
互いに独立して実施される検査は、ほぼ同時に行われることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
互いに独立して実施される検査は、同じ評価装置(03)内で行われることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
個々の信号路の中で得られた検査結果は、評価装置(03)に記憶されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
カラー画像の検査は、評価装置(03)に属する記憶装置(14)内で、評価装置(03)の学習モード(48)において記憶された参照画像を利用して、評価装置(03)の中でその学習モード(48)から作業モード(49)への該評価装置の切り換え後に行われることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項6】
学習モード(48)において、個々の参照画像又は複数の参照画像が撮影されることを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項7】
素材(19)の判定が、該素材の品質検査で行われることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項8】
素材(19)は、銀行券(19)又は有価証券(19)であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項9】
印刷枚葉紙(19)として形成された素材(19)が、時間あたり18000枚の印刷枚葉紙(19)までの速度で画像センサ(02)を通過移動されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項10】
素材ウェブ(19)として形成された素材(19)が、15m/sまでの速度で画像センサ(02)を通過移動されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項11】
画像センサ(02)は、複数の感光性画素を有することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項12】
各画素に対し第1の電気信号(09)が提供されることを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項13】
第1の電気信号(09)が複数の信号チャネル(R、G、B)に分割されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項14】
第1の電気信号(09)がRGB信号であり、その結果、各信号チャネル(R、G、B)が三原色赤、緑及び青の1つに相当する第1の電気信号(09)の部分を提供することを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項15】
各信号チャネル(R、G、B)中で、そのスペクトル感度が人間の眼の特定のスペクトル感度に設定されていることを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項16】
第1の信号(09)が色調、飽和及び輝度に関して人間の眼の色感に適合されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項17】
カラー画像に属する第1の信号(09)の第1の信号チャネル(R)で提供された部分が、第2の信号チャネル(G)で提供された部分と第1の計算手続き(36)を利用して結合されることによって、参照画像の色差に対するカラー画像の検査が行われ、それによって第1の補色チャネル(38)の出力信号(43)が発生され、第3の信号チャネル(B)で提供された、カラー画像に属する第1の信号(09)の部分が、第1及び第2の信号チャネル(R、G)の部分と第2の計算手続き(37)を利用して結合され、それによって第2の補色チャネル(39)の出力信号(44)が発生され、かつ補色チャネル(38、39)の出力信号(43、44)が目標値との比較によって分類されることを特徴とする請求項16に記載の方法。
【請求項18】
各補色チャネル(38、39)の出力信号(43、44)が記憶装置(14)に記憶されることを特徴とする請求項17に記載の方法。
【請求項19】
第1の計算手続き(36)が、第2の信号チャネル(G)で提供された第1の電気信号(09)の部分の第1の信号チャネル(R)内の対応する部分からの重み付けした差分画像を考慮しており、及び/又は第2の計算手続き(37)が、第1及び第2の信号チャネル(R、G)の部分の重み付けした合計の第3の信号(B)内の対応する部分からの重み付けした差分画像を考慮することを特徴とする請求項17に記載の方法。
【請求項20】
信号チャネル(R、G、B)内で提供された第1の電気信号(09)の部分の少なくとも1つが、該信号の結合前及び/又は後に計算手続き(36、37)を利用して変換(41)されることを特徴とする請求項17に記載の方法。
【請求項21】
非線形変換(41)が適用されることを特徴とする請求項20に記載の方法。
【請求項22】
結合で考慮された第1の電気信号(09)の各部分が、変換(41)の前及び/又は後に係数(42)で重み付けされることを特徴とする請求項17に記載の方法。
【請求項23】
少なくとも1つの補色チャネル(38、39)の出力信号(43、44)が低域フィルタ(47)を利用してフィルタリングされることを特徴とする請求項17に記載の方法。
【請求項24】
低域フィルタ(47)がガウス低域フィルタとして形成されることを特徴とする請求項23に記載の方法。
【請求項25】
学習モード(48)において、少なくとも1つの参照画像によって発生された両方の補色チャネル規則(38、39)の出力信号(43、44)が目標値として記憶装置(14)に記憶され、作業モード(49)において、検査される認識特性(79)によって発生された両方の補色チャネル(38、39)の出力信号(43、44)が、記憶装置(14)の中に記憶された目標値と比較されることを特徴とする請求項17に記載の方法。
【請求項26】
記憶装置(14)の中に記憶された画像センサ(02)の各画素の目標値と、検査される認識特性(79)によって発生される両方の補色チャネル(38、39)の出力信号(43、44)の比較が行われることを特徴とする請求項17に記載の方法。
【請求項27】
各画素に対して記憶装置(14)の中に記憶された目標値が、複数の参照画像の出力信号(43、44)の記憶によって発生され、それによって目標値に対して1つの許容ウインドウが指定されることを特徴とする請求項26に記載の方法。
【請求項28】
補色チャネル(38、39)の出力信号(43、44)の分類(54)が分級器システムを利用して実施されることを特徴とする請求項17に記載の方法。
【請求項29】
線形及び/又は非線形分類回路システム、しきい値分類回路、ユークリッド距離分類回路、ベイズ分類回路、ファジー分類回路又はニューロコンピュータが使用されることを特徴とする請求項28に記載の方法。
【請求項30】
画像センサ(02)から供給された第1の電気信号(09)が、少なくとも1つの計算手続きを利用して、少なくとも1つの特性値(62)を有する不変の信号に変換されることによって、認識特性(79)の特定のカテゴリーへの該認識特性の関連性についての認識特性(79)の検査が行われ、特性値(62)が少なくとも1つの不鮮明な帰属関数(67)を用いて、この帰属関数(67)によって各特性値(62)の属性が検査されるカラー画像の画像内容にとって固有な特性(64)に規定されることによって重み付けされ、上位の不鮮明な帰属関数(71)が、全ての帰属関数(67)の結合によって、少なくとも1つの規則から生じる計算手続きを利用して発生され、1つの感応値(73)が上位の不鮮明な属関数(71)から算出され、感応値(73)がしきい値(76)と比較され、この比較結果に応じて認識特性(79)の特定のカテゴリーへの認識特性(79)の関連性について決定されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項31】
複数のウインドウ(56)からなるラスターがカラー画像を介しておかれ、各ウインドウ(56)が複数の画素からなることを特徴とする請求項30に記載の方法。
【請求項32】
カラー画像が、それぞれm×n画素を有するM×N画像ウインドウ(56)に分類される(式中、M、N、m、n>1である)ことを特徴とする請求項31に記載の方法。
【請求項33】
帰属関数(67)が特性値(62)の値領域と関数的関係があることを特徴とする請求項30に記載の方法。
【請求項34】
帰属関数(67)が少なくとも1つのパラメータを有し、このパラメータが算出されることを特徴とする請求項33に記載の方法。
【請求項35】
画像センサ(02)の第1の電気信号(09)を不変の特性値(62)に変換するための計算手続きが、数学的な2次元スペクトル変換法(58)であることを特徴とする請求項30に記載の方法。
【請求項36】
計算手続きが、2次元のフーリエ変換、ウォルシュ変換、アダマール変換又はサイクル変換であることを特徴とする請求項35に記載の方法。
【請求項37】
特性値(62)がスペクトル係数(59)の量によって表されることを特徴とする請求項35に記載の方法。
【請求項38】
各ウインドウ(56)に対して画像センサ(02)から各画素へ提供された第1の電気信号(09)から2次元のスペクトルが決定されることを特徴とする請求項31に記載の方法。
【請求項39】
2次元スペクトルからスペクトル振幅値(62)が計算され、ウインドウ(56)当たり、ただ1つの感応値(73)に互いに結合されることを特徴とする請求項38に記載の方法。
【請求項40】
帰属関数(67)が単モード関数であることを特徴とする請求項30に記載の方法。
【請求項41】
上位の帰属関数(71)が多モード関数であることを特徴とする請求項30に記載の方法。
【請求項42】
帰属関数(67)及び/又は上位の帰属関数(71)がポテンシャル関数(群)であることを特徴とする請求項30に記載の方法。
【請求項43】
学習モード(48)において、少なくとも1つのパラメータが補償され、又は少なくとも1つの目標値(76)が決定され、かつ作業モード(49)において、画像センサ(02)から供給された第1の電気信号(09)が、学習モード(48)からの結果を利用して判定されることを特徴とする請求項30に記載の方法。
【請求項44】
帰属関数(67)を相互に結合する計算手続きはIF−THEN結合の趣旨の論理積計算手続き(69)であることを特徴とする請求項30に記載の方法。
【請求項45】
上位の不鮮明な帰属関数(71)の生成は部分ステップ、前提評価、起動及び集約の実施を通じて行われ、前提評価に際して、計算手続きの各々のIF部分につき感応値(73)が決定され、起動に際して、各々のIF−THEN計算手続きに関する帰属関数(67)が定められ、集約に際して、起動時に形成された全ての帰属関数(67)の重ね合わせによって上位の帰属関数(67)が生成されることを特徴とする請求項30に記載の方法。
【請求項46】
感応値(73)が重心法及び/又は最大値法によって算出されることを特徴とする請求項30に記載の方法。
【請求項47】
特定の幾何的輪郭又は素材(19)の他の少なくとも1つの認識特性(79)との相対配置について認識特性(79)を検査が、少なくとも1つの下地目標値と少なくとも1つのマスク目標値がデータ記憶装置(14)にファイルされ、下地目標値が被判定素材(19)の少なくとも1つの性質を、認識特性(79)を取り囲む予測領域(78)の少なくとも1つの部分で表し、マスク目標値が認識特性(79)の幾何学的輪郭又は複数の認識特性(79)の相対的配置を重ね合せて表し、素材(19)の検査の際に画像センサ(02)から供給された第1の電気信号(09)と下地目標値とから、少なくとも予測領域(78)のための差分値が形成され、マスク目標値と差分値の比較から認識特性(79)の現在の位置が導き出され、かつ素材(19)の定性的判定のために認識特性(79)の実際の位置から生じる被判定素材(19)の領域が削除されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項48】
下地目標値が認識特性(79)を取り囲む予測領域(78)の濃度を表すことを特徴とする請求項47に記載の方法。
【請求項49】
データ記憶装置(14)に2値化しきい値がファイルされており、画像センサ(02)によって供給された第1の電気信号(09)のうち、その値が2値化しきい値以下にある全ての信号が差分値からフィルタリングされることを特徴とする請求項47に記載の方法。
【請求項50】
認識特性(79)の位置判定に際し、マスク目標値はマスク目標値と差分値との間に最大の一致が生ずるまで適合化されることを特徴とする請求項47に記載の方法。
【請求項51】
認識特性(79)の位置判定に際し、マスク目標値の重心と差分値の重心との比較が行われることを特徴とする請求項47に記載の方法。
【請求項52】
認識特性(79)の実際の位置として、マスク目標値の重心と差分値の重心との比較時に全体的に最小の偏差が生ずる位置値が想定されることを特徴とする請求項51に記載の方法。
【請求項53】
認識特性(79)は線状に形成されているか又は線状の部分を有することを特徴とする請求項47に記載の方法。
【請求項54】
認識特性(79)は銀行券(19)又は有価証券(19)の保障標識として形成されていることを特徴とする請求項47に記載の方法。
【請求項55】
認識特性(79)はウインドウ枠(79)、ウインドウ枠貫通部(79;91)、ホログラム又はキネグラムとして形成されていることを特徴とする請求項47に記載の方法。
【請求項56】
下地目標値を定めるために、学習モード(48)において、認識特性(79)のない素材(19)が使用され、下地目標値は予測領域(78)における判定さるべき素材(79)の少なくとも1つの特性から導出されることを特徴とする請求項47に記載の方法。
【請求項57】
下地目標値を定めるために、学習モード(48)において、1つの認識特性(79)を有する素材が使用され、認識特性(79)が予測領域(78)に比較して明るく現れる場合には、下地目標値はしきい値として、認識特性(79)の最も暗い画素の値から導出され、認識特性(79)が予測領域(78)に比較して暗く現れる場合には、下地目標値はしきい値として、認識特性(79)の最も明るい画素の値から導出されることを特徴とする請求項47に記載の方法。
【請求項58】
素材(19)の異なった領域につき異なった下地目標値が定められることを特徴とする請求項47に記載の方法。
【請求項59】
マスク目標値と差分値とは、それぞれ少なくとも1つの投影線(96;97)に投影され、投影線(96;97)の長手方向における認識特性(79)の実際の位置がマスク目標値と差分値との投影データの比較から導出されることを特徴とする請求項47に記載の方法。
【請求項60】
認識特性(79)の検査はディジタル化された入力データの適切な数学的演算によって行われることを特徴とする請求項47に記載の方法。
【請求項61】
第1の電気信号(09)は信号ベクトル(22)であり、その係数(R;G;B)が画像センサ(02)によって供給された第1の電気信号(09)の部分をそれぞれ異なった信号チャネル(R;G;B)で表し、係数(R;G;B)に補正行列(28)が乗ぜられ、それによって得られた補正信号ベクトル(29)がカラーモニタ(04)に供給され、カラー画像は補正信号ベクトル(29)に基づいてその定性的判定のためにカラーモニタ(04)に表示されることを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項62】
補正行列(28)は、列と行でそれぞれ信号ベクトル(22)と同じ多さの係数(i)を有することを特徴とする請求項61に記載の方法。
【請求項63】
補正行列(28)の係数(K〜K12)は反復的近似アルゴリズムによって算出され、このアルゴリズムで基準色テーブルが設定され、それに基づき複数の色領域で異なる基準色が表示され、基準色テーブルの各色領域に対し目標値を有する1つのベクトルが設定され、基準色テーブルの画像センサ(02)によりカラー画像が撮影され、各色領域に対して1つの信号ベクトル(22)が算出され、第1の反復ステップで信号ベクトル(22)が全色領域に対し補正行列(28)で乗ぜられ、かつ補正行列(28)の係数(K〜K12)が各後続の反復ステップで、補正信号ベクトル(29)が反復的に所定の目標値を有するベクトルに近似されるように変化されることを特徴とする請求項61に記載の方法。
【請求項64】
所定の目標値のベクトルへの補正信号ベクトル(29)の近似は、各々の反復法ステップについて、参照カラーチャートの各々の色領域について補正信号ベクトル(29)と所定の目標値のベクトルとの間の差分値が算出され、全ての差分値が積算されて総和が算定され、実際の反復法ステップにおける補正行列(28)の係数(K〜K12)の変化は、実際の反復法ステップにおける全ての差分値の総和が先行する反復法ステップにおける全ての差分値の総和に比較して小さくなった場合にのみ、後続する反復法ステップのために受け入れられることを特徴とする請求項63に記載の方法。
【請求項65】
信号ベクトル(22)は、色のバランス、明度及びコントラストの適合化を図るため、補正行列(28)による補正に加えて、さらに別の補正ステップにおいて、各々の信号ベクトル(22)の係数(R;G;B)に信号チャネルに応じた補正係数(K1;K2;K3)が乗ぜられ、さらに各々の信号ベクトル(22)に補正ベクトル(24)が加算されて変化させられることを特徴とする請求項61に記載の方法。
【請求項66】
補正ベクトル(24)の係数(a;a;a)と信号チャネルに応じた補正係数(K;K;K)は、複数の色領域に異なった参照色が表された参照カラーチャートが設定されることによって求められ、参照カラーチャートの各々の色領域につき1つの目標値のベクトルが定められ、画像センサ(02)によって参照カラーチャートのカラー画像が撮影され、各々の色領域につき1つの信号ベクトル(22)が求められ、補正信号ベクトル(26)が、補正ベクトル(24)による対応する加算と、信号チャネル依存性の補正係数(K;K;K)による乗算によって得られる基準グレー値黒及び白を含む両方の色領域に対して、前記両方の色領域に対して所定の目標値をもつベクトルと一致するように、補正ベクトル(24)と補正係数(K;K;K)とが選択されることを特徴とする請求項65に記載の方法。
【請求項67】
補正ステップは、色バランス、輝度、及びコントラストの適合のために補正行列(28)による乗算の前に実施されることを特徴とする請求項65又は66に記載の方法。
【請求項68】
画像センサ(02)は、多数の面状又は列状に配列された画素を有し、各画素が少なくとも1つの信号ベクトル(22)を供給することを特徴とする請求項61に記載の方法。
【請求項69】
信号ベクトル(22)は、強度値の適合化を図るため、補正行列(28)による補正に加えて、さらに別の補正ステップにおいて、修正信号ベクトル(26;29)又は未修正信号ベクトル(22)の各々の画素について求められた係数(R;G;B)にそれぞれ各々の画素につき固有の所定の信号チャネルに応じた補正係数(K13、K14、K15;K16、K17、K18)が乗ぜられて変化させられることを特徴とする請求項68に記載の方法。
【請求項70】
画素固有の信号チャネルに応じた補正係数(K13、K14、K15;K16、K17、K18)は、画像センサ(02)の観測領域(21)が均質な有色素材、特に均質な白色素材で覆われ、画像センサ(02)を用いてカラー画像が撮影され、これによって各々の画素につき信号ベクトル(22)が求められ、観測領域(21)内の最も明るい箇所を表す信号ベクトル(22)が決定され、各々の画素につき、画素固有の信号チャネルに応じた補正係数(K13、K14、K15;K16、K17、K18)が、これらの補正係数(K13、K14、K15;K16、K17、K18)にそれぞれ対応する信号ベクトル(22)の係数(R;G;B)を乗じた結果が観測領域内の最も明るい箇所の信号ベクトル(22)の係数(R;G;B)に一致するように選択されることによって求められることを特徴とする請求項69に記載の方法。
【請求項71】
画素固有の信号チャネルに応じた補正係数(K13、K14、K15;K16、K17、K18)を決定する際の観測領域(21)の照明は、素材(19)の定性的判定を行う際の画像センサ(02)の照明と一致していることを特徴とする請求項70に記載の方法。
【請求項72】
強度値を適合するための補正ステップが補正行列(28)との乗算後に実施されることを特徴とする請求項69に記載の方法。
【請求項73】
修正信号ベクトル(32)の基礎として得られた係数(R;G;B)は、カラーモニタに伝送される前にそれぞれ冪指数(γ)で累乗されることを特徴とする請求項62に記載の方法。
【請求項74】
冪指数(γ)は0.3〜0.5の間の1つの値で選択されることを特徴とする請求項73に記載の方法。
【請求項75】
冪指数(γ)はほぼ0.45に選択されることを特徴とする請求項73に記載の方法。
【請求項76】
信号ベクトル(22)は、照明条件の適合化を図るため、補正行列(28)による補正に加えて、さらに別の補正ステップにおいて、修正信号ベクトルの係数が標準光で観測領域を照明する際に得られる結果に一致するように変化させられることを特徴とする請求項61に記載の方法。
【請求項77】
参照カラーチャートは総計288色領域を有するITSチャートの形で形成されていることを特徴とする請求項61に記載の方法。
【請求項78】
目標値のベクトルは、参照カラーチャートの色領域について既知のCIELAB色値を信号チャネルの当該係数に換算することによって定められることを特徴とする請求項61に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公表番号】特表2006−524378(P2006−524378A)
【公表日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−505497(P2006−505497)
【出願日】平成16年3月26日(2004.3.26)
【国際出願番号】PCT/EP2004/050378
【国際公開番号】WO2004/086291
【国際公開日】平成16年10月7日(2004.10.7)
【出願人】(505364049)ケーニッヒ ウント バウエル アクチエンゲゼルシャフト (13)
【Fターム(参考)】