説明

少なくとも2つの航空機座席用の制御及び電源システム

【課題】好適には隣接する少なくとも2つの航空機座席の作動器のための制御及び電源システムを提供する。
【解決手段】航空機座席の作動器(1〜18)がデータリンク装置(22)を介して共通の制御ユニット(21)に接続され、全ての作動器(1〜18)が直列に接続され、全ての作動器(1〜18)が入力および出力線に割り込む要素(28〜31)を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は航空機座席中の作動器用の制御及び電源システムに関する。
【背景技術】
【0002】
航空機座席の制御ユニット、駆動ユニット及び他の配置変更要素では、プラグまたは他のコネクタの緩みまたは外れ、ケーブルの破損、接地または他の電源線路の短絡、制御ユニットの故障及び、例えば、場合によってはディスプレイを伴うボタン、スイッチ、及びチップカード読み取り器といった駆動ユニットまたは入力装置または制御装置の故障といった重大な欠陥が発生しうる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
駆動ユニットまたは他の配置変更要素の機能を保証するシステムを考案することが本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この目的は特許請求の範囲に記載されたような独立請求項の特徴により達成される。
【0005】
本発明の有利な実施形態は従属請求項で特定される。
【0006】
本発明はフォールトトレラントな冗長性概念を備える。
【0007】
本発明のシステムは、いくつかの駆動ユニット及び監視ユニットまたは作動器からなり、その数は対応する航空機座席の数に一致し、少なくとも2つの好適には隣接する航空機座席についてのこれらの要素はバス構造の形態である。しかし本システムは3つかそれ以上の航空機座席についての要素を備えてもよい。
【0008】
本発明のシステムは、少なくとも2つの航空機座席に対して共通の制御ユニットを1つだけ含んでいる。この制御ユニットはデータ・リンク装置を介して作動器を制御する。ユーザは、データ・リンク装置用のインテリジェンスまたは少なくともドライバを有する制御要素を介して自分の座席に関連する作動器を制御する。そのようにする際、制御要素からのデータは、制御要素から、全ての要素が使用するデータ・リンク装置を介して制御ユニットに転送される。次に制御ユニットは、データ・リンク手段を介して作動器の対応する応答をトリガする。この応答は好適には作動器の肯定応答によりデータ・リンク手段を介して制御ユニットに報告される。後者は動作の順序全体を監視し、必要に応じて制御する。
【0009】
本発明によれば、作動器がインテリジェント型であり、制御ユニットが故障した際には拡張された範囲のタスクが割り当てられることもさらに提供される。制御ユニットが何らかの理由で故障したり、欠陥のため非論理的なデータを出力したりした場合、この動作不良は作動器によって認識される。専用のルーチンで、作動器はその分散インテリジェンスによって制御ユニットの動作を引き継ぐことを決定する。各作動器は、他の作動器にとって関連のあるデータをデータ・リンク装置に報告する。各作動器は自己に関連のあるデータをデータ・リンク装置から読み取り、インテリジェントにしかるべく応答する。また、1つかそれ以上のユニットは制御要素(単数または複数)のデータを読み取り、しかるべく応答し、必要に応じて関連するデータを他の作動器に中継する。1つの作動器が制御ユニットの機能を完全に引き受けることもまた提供される。
【0010】
制御ユニットが故障した時駆動ユニットは制御ユニットなしで動作しうるので、1つの制御ユニットが故障しても動作し続ける冗長性概念が実現される。すなわち、第2の制御ユニットのハードウェアは駆動ユニットまたは作動器中のソフトウェアによって置き換えられている。
【0011】
本発明はさらに、不良部分をバス構造から切り離すシステムを備えるが、本発明のこの目的は本発明の上記で説明した目的からは独立しており、それによれば、制御ユニットの動作不良が発生した場合、制御ユニットの機能は作動器によって引き継がれる。不良部分をバス構造から切り離すシステムでは、好適には全ての作動器及び制御要素は直列接続されるが、各航空機座席の要素に関する本発明の上記で説明した目的では、航空機座席はできればタップ線の形態の固有のバス構造を有する。
【0012】
全ての作動器及び制御要素の直列接続では、制御ユニット上のデータ・リンク装置の2つの端部は物理リングに接続される。本発明によれば、作動器内には入力及び出力線に割り込むための要素が提供される。これはデータ線と電源線との両方に関連する。
【0013】
例えば2つの作動器間のデータ・リンク装置の配線用ハーネス中の電源線の正負間で短絡が発生した場合、従来のシステムでは電源ユニットの短絡が発生し、その結果座席グループ全体が故障した。本発明によれば、この問題は、故障の際開状態となり2つの作動器間の線の短絡部分を遮断する割り込み要素によって回避される。これによってバスはリング構造から2つのタップ線を有する構造に変化する。
【0014】
これは、必要に応じて端末をしかるべく設定する役目をも果たす制御ユニットによって検出される。
【0015】
結果として規定されるように、波動インピーダンスを有する割り込み要素によって分離されたデータ・リンク装置は、割り込み要素または追加要素の他の接点によって閉じられる。
【0016】
データ・リンク装置は電源を投入された瞬間には作動器中の割り込み要素によって多かれ少なかれ分断されているので、リングは対応する開始ルーチンによって閉じられる。
【0017】
本発明の他の詳細は、図面を参照して行われる以下の好適実施形態の説明から明らかになるだろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
図1に示すシステムでは、左航空機座席と右航空機座席との要素は各々1つのデータ・リンク手段を介して共通の制御ユニット21に接続されている。
【0019】
左座席の作動器1〜9及び右座席の作動器10〜18は、読書灯1、10、頭受け作動器2、11、背もたれ作動器3、12、座席高さ作動器4、13、座席角度作動器5、14、座席奥行き作動器6、15、足掛け作動器7、14、空気システム8、17、外側足掛け作動器9、14といった要素でもよい。作動器は各々インテリジェンスを担当し通信を管理するマイクロコントローラを備えている。
【0020】
左右の座席のために提供される作動器1〜9及び10〜18は制御要素19〜20を介して制御される。制御要素19〜20からのデータはデータ・リンク装置22を介して制御ユニット21に転送される。次に制御ユニット21は、それぞれの作動器でデータ・リンク装置22を介して対応する応答をトリガする。この応答は作動器の肯定応答によりデータ・リンク装置22を介して動作の順序全体を監視し制御する制御ユニット21に報告される。
【0021】
制御ユニット21が故障した場合、作動器はそれ自体のソフトウェアを介してこの動作不良を認識し、その結果その分散インテリジェンスによって制御ユニットの機能を引き受ける。各作動器1〜18は他の作動器1〜18にとって関連のあるデータをデータ・リンク装置22に報告する。各作動器は自己に関連のあるデータをデータ・リンク装置22から読み取り、インテリジェントにしかるべく応答する。また、1つかそれ以上のユニットは制御要素(単数または複数)のデータを読み取り、しかるべく応答し、必要に応じて関連データを他の作動器1〜18に中継する。
【0022】
図1に示すシステムは2つの電源ユニット23、24を含む。電源及びデータ線22は好適には4つの電源ケーブルと2つのデータ線とを含む。
【0023】
図2は、空間的及び電気的に分離された配線用ハーネスを介して電源を供給されるシステムを示す。各配線用ハーネスは、データ・バス用の2つの線路と2つの電源からの電力供給用の2つの線路からなる。これは線路の故障に対する冗長性が存在するという利点を有する。
【0024】
図3は、2つの航空機座席を通じて転送されるリング・バス構造を伴うシステムを示す。ここで注意されたいが、このシステムは3つかそれ以上の航空機座席について使用してもよい。
【0025】
このリングは好適には4つの電源ケーブルと2つのデータ線とを含む。バスを通じて2つの電源ケーブルが時計回り方向に通り、他の2つの電源ケーブルが反時計回り方向に通る場合、これは電源線に関する冗長性が存在するという利点を有する。
【0026】
図4は、図3に示すバス構造のための回路を示す。図面中、破線は作動器1〜18の1つを示す。作動器1〜18には、入力及び出力線に割り込むための要素28〜31が存在する。要素28は入力データ線に割り込み、要素29は出力データ線に割り込む。同様な機能が電源線のための要素30及び31に割り当てられる。
【0027】
割り込み要素は以下のような機能を有する。データ・リンク装置22の配線用ハーネス内で電源線26の正負間の短絡が発生したと想定する。これは電源ユニット23及び24の短絡と、ひいては座席のグループ全体の故障に相当する。このような短絡は本発明で請求されるシステムによって補償される。この例では、作動器3内の割り込み要素31及び30は開となる。すなわち、2つの作動器間の線の短絡部分は遮断される。バスはリング構造から2つのタップ線を有する構造に変換される。制御ユニットはこれを認識し、その端末をしかるべく設定する。
【0028】
データ・リンク装置22は電源を投入された瞬間には作動器1〜18内の割り込み要素28〜31によって多かれ少なかれ分断されているので、対応する開始ルーチンによってリングを閉じなければならない。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】制御ユニットと分散インテリジェンスとを有するシステムを示す。
【図2】第2のバス・システムを示す。
【図3】第3のバス・システムを示す。
【図4】作動器を1つだけ象徴的に示した回路を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2つの航空機座席の作動器のための制御及び電源システムであって、
1つの航空機座席の前記作動器(1〜9)と少なくとも1つの他の航空機座席の前記作動器(10〜18)がデータ・リンク装置(22)を介して共通の制御ユニット(21)に接続され、
全ての作動器(1〜18)が直列に接続され、
全ての作動器(1〜18)が入力及び出力線に割り込む要素(28〜31)を備える制御及び電源システム。
【請求項2】
データ線のための割り込み要素(28、29)と電源線のための割り込み要素(30、31)との両方が存在する、請求項1に記載の制御及び電源システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−162588(P2008−162588A)
【公開日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−57855(P2008−57855)
【出願日】平成20年3月7日(2008.3.7)
【分割の表示】特願2003−534224(P2003−534224)の分割
【原出願日】平成14年9月20日(2002.9.20)
【出願人】(502348855)レカロ エアークラフト シーティング ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニー コマンディト ゲゼルシャフト (17)