就寝時体動識別装置
【課題】就寝時に発生する身体各部の複雑な動作を詳細に識別可能な就寝時体動識別装置を実現する。
【解決手段】就寝時における被験者の身体各部の動作を識別する就寝時体動識別装置において、被験者の動作を計測して記憶する体動計測手段と、体動計測手段から検出される時系列データを、時間区分して動作要素に分解して抽出する動作要素抽出手段と、動作要素のモデルを記憶する動作要素モデル記憶手段と、動作要素抽出手段で得られる動作要素と動作要素モデルとを比較して、動作要素を識別する動作要素識別手段と、動作を構成する動作要素の発生順番に関するシーケンスモデルを記憶する動作シーケンスモデル記憶手段と、動作要素識別手段から出力される動作要素の発生順番に関するシーケンスと、動作シーケンスモデル記憶手段に記憶されている動作要素の発生順番に関するシーケンスモデルとを比較して、動作を識別する動作識別手段と、を備える。
【解決手段】就寝時における被験者の身体各部の動作を識別する就寝時体動識別装置において、被験者の動作を計測して記憶する体動計測手段と、体動計測手段から検出される時系列データを、時間区分して動作要素に分解して抽出する動作要素抽出手段と、動作要素のモデルを記憶する動作要素モデル記憶手段と、動作要素抽出手段で得られる動作要素と動作要素モデルとを比較して、動作要素を識別する動作要素識別手段と、動作を構成する動作要素の発生順番に関するシーケンスモデルを記憶する動作シーケンスモデル記憶手段と、動作要素識別手段から出力される動作要素の発生順番に関するシーケンスと、動作シーケンスモデル記憶手段に記憶されている動作要素の発生順番に関するシーケンスモデルとを比較して、動作を識別する動作識別手段と、を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、就寝時における被験者の身体各部の動作を識別する就寝時体動識別装置に関するものである。睡眠時無呼吸症候群、むずむず脚症候群、周期性四肢運動異常症等の不眠症患者は、就寝時にその症状に独特の特徴的な動作をする。従って、その特徴的な動作を識別することにより、不眠症患者の症状を検査・確認することは、不眠症の診断に役立つ。また、識別情報を利用して遠隔監視や環境機器を制御することで、患者のQOLを向上させることができる。
【背景技術】
【0002】
就寝時における被験者の姿勢を識別する生体情報検出装置が、特許文献1に開示されている。図33は、特許文献1に開示されている従来装置の一例を示す機能ブロック図である。この生体情報検出装置は、基準波形の形状と測定波形の形状とを比較することによって心拍、呼吸、寝姿勢、寝位置及び入離床等の生体情報を検出する。
【0003】
この生体情報検出装置はセンサー部1、信号生成回路部2、記憶部3、演算処理部4、体動検出部5、入力部6、出力部7を備える。寝具を介して伝播する生体に起因する圧力を検出するセンサー部1の出力に基づき時間経過に対する出力変化を示す測定波形が信号生成回路部2で生成され、この測定波形の形状パターン(素波形)と、記憶部3の基準波形記憶部31に予め記憶された、検出すべき生体情報に対応する生体の各個体に対し実質的に共通である基準波形の形状パターンとが、演算部4の体情報検出部41で比較される。
【0004】
図34は、この生体情報検出装置の処理手順を示すフローチャートである。周期的な測定と平均化等の信号処理による素波形の測定後に、この素波形と基準波形との比較を実行して素波形に対応する寝姿勢の判定が実行されて出力される。次に体動の検出が実行され、体動がない場合には心拍が検出出力される。体動の検出がある場合には、再度素波形と基準波形との比較が実行され、素波形に対応する寝姿勢の判定が実行されて出力された後、心拍が検出される。
【0005】
【特許文献1】特開2006−263454号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来装置における予め記憶される基準波形のパターンは、伏臥、横臥、仰臥等の典型的な寝姿勢のパターンに対応するものであり、寝返り等に伴って発生する四肢の複雑な動作、この動作のシーケンシャルな組み合わせパターンで構成される複合動作、複数の動作が重なり合わされて構成される複合動作等は、識別することができない。
【0007】
不眠症患者の特徴的な動作を識別することにより、症状を検査・確認するためは、就寝時に発生する身体の複雑な動作を識別して解析する必要があるが、従来装置に開示された技術では、このような治療情報を取得することはできない。
【0008】
本発明は上述した問題点を解決するためになされたものであり、就寝時に発生する身体各部の複雑な動作を詳細に識別可能な就寝時体動識別装置の実現を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
このような課題を達成するために、本発明は次の通りの構成になっている。
(1)就寝時における被験者の身体各部の動作を識別する就寝時体動識別装置において、
被験者の前記動作を計測して記憶する体動計測手段と、
前記体動計測手段から検出される時系列データを、所定の条件に従い時間区分して動作要素に分解して抽出する動作要素抽出手段と、
前記動作要素のモデルを記憶する動作要素モデル記憶手段と、
前記動作要素抽出手段で得られる動作要素と前記動作要素モデル記憶手段に記憶されている動作要素モデルとを比較して、前記動作要素を識別する動作要素識別手段と、
前記動作を構成する動作要素の発生順番に関するシーケンスモデルを記憶する動作シーケンスモデル記憶手段と、
前記動作要素識別手段から出力される動作要素の発生順番に関するシーケンスと、前記動作シーケンスモデル記憶手段に記憶されている動作要素の発生順番に関するシーケンスモデルとを比較して、前記動作を識別する動作識別手段と、
を備えることを特徴とする就寝時体動識別装置。
【0010】
(2)前記体動計測手段は、必要に応じて複数のセンサー手段を備えており、前記動作要素識別手段は、それらの複数のセンサー手段から検出される時系列データのうちで、当該動作要素発生期間において振幅が最大である時系列データを選択し、その時系列データより抽出された動作要素成分と、その振幅が最大の時系列データを検出したセンサー手段に対応した動作要素モデルとを比較し、それらの比較結果のうちで最も動作要素モデルに近似した比較結果を用いて前記動作要素を識別することを特徴とする(1)に記載の就寝時体動識別装置。
【0011】
(3)前記体動計測手段は、検出しようとする対象部位に応じて設置された複数センサー手段を備えており、前記動作要素識別手段は、それらのセンサー手段から検出される時系列データのうちで、その振幅が最大であるセンサー手段の設置場所が、前記動作の発生源に最も近い場所であると判断し、その動作発生源に最も近い場所に位置する部位に対応する動作要素モデルのうち、
(a)発生頻度の高い順
(b)振幅が大きい順
(c)発生頻度が高い順(第1優先)でかつ振幅が大きい順(第2優先)
のいずれかにより動作要素モデルを選択し、振幅が最大の時系列データの動作要素と動作要素モデルとを比較することを特徴とする(1)または(2)に記載の就寝時体動識別装置。
【0012】
(4)前記体動計測手段は、被験者の身体の下に設置された圧力センサー等の静的な圧力を検出できるセンサーを備えており、被験者に対して無拘束状態で身体各部の位置または身体各部の動きの方向、速度または加速度に関する情報を収集して前記動作要素抽出手段に渡すことを特徴とする(1)乃至(3)のいずれかに記載の就寝時体動識別装置。
【0013】
(5)前記動作要素抽出手段は、前記体動計測手段から検出される時系列データから生理的繰返し動作成分を検出すると共に、前記時系列データからその生理的繰返し動作成分を分離して前記動作のカテゴリー中の突発的動作成分を抽出することを特徴とする(1)乃至(4)のいずれかに記載の就寝時体動識別装置。
【0014】
(6)前記動作要素抽出手段は、被験者が動作した際に発生する、時間的に変化する振幅波形上での決められた条件として、
(a)振幅波形上で振幅の谷の極小点到達時点=振幅波形上で振幅の時間に関する1次導関数が負→0(ゼロ)→正に変化時の0(ゼロ)到達時点
または、
(b)振幅波形上で振幅の時間に関する2次導関数がある値以上の極大点到達時点
を時間区分の境界点として、動作開始時から境界点まで、または境界点から次の境界点まで、または境界点から動作終了時までの期間に、前記動作を時間区分して動作要素に分解して抽出することを特徴とする(1)乃至(5)のいずれかに記載の就寝時体動識別装置。
【0015】
(7)前記動作要素抽出手段は、前記体動計測手段から検出される時系列データの振幅波形の振幅がゼロまたはゼロ近傍でなくなった時から、次に振幅がゼロまたはゼロ近傍になるまでの期間を動作要素の抽出期間とし、その期間内における振幅波形上での前記境界点での時間間隔と振幅の大きさから短期的重畳動作要素を抽出することを特徴とする(6)に記載の就寝時体動識別装置。
【0016】
(8)前記動作要素抽出手段は、前記体動計測手段から検出される時系列データの振幅波形の振幅がゼロまたはゼロ近傍でなくなった時から、次に振幅がゼロまたはゼロ近傍になるまでの期間を動作要素の抽出期間とし、その期間内における振幅波形上での前記境界点での時間間隔と振幅の大きさから短期的重畳動作要素を検出し、その短期的重畳動作要素が発生している期間内における前記時系列データから短期的重畳動作要素を分離・除去した時系列データを抽出することを特徴とする(6)に記載の就寝時体動識別装置。
【0017】
(9)前記動作要素抽出手段は、前記体動計測手段から検出される時系列データの振幅波形の振幅がゼロまたはゼロ近傍でなくなった時から、次に振幅がゼロまたはゼロ近傍になるまでの期間を対象動作要素成分抽出期間とし、その期間内における前記時系列データから前記短期的重畳動作要素成分が分離・除去された時系列データの振幅波形の前記境界点の数に基づいて、前記短期的重畳動作要素成分が分離・除去された時系列データが単一の動作要素であるか、それとも複数の動作要素が重ね合わせされたものであるかを検出することを特徴とする(7)または(8)に記載の就寝時体動識別装置。
【0018】
(10)前記動作要素抽出手段は、前記時間区分により分解された期間内における動作要素の時系列データを、分解された期間の時間で正規化した時間波形、時系列データを時間/周波数変換することによって得られる周波数成分、周波数成分時間変化、または、それらの時間波形、周波数成分、周波数成分時間変化のうちの少なくとも2個の組み合わせを抽出することを特徴とする(7)乃至(9)のいずれかに記載の就寝時体動識別装置。
【0019】
(11)前記動作要素識別手段は、前記動作要素抽出手段で得られた時間波形、周波数成分または周波数成分時間変化を、前記動作要素モデル記憶手段に記憶されている時間波形モデル、周波数成分モデル、周波数成分時間変化モデル、またはそれらの2個以上の組合せと相関手法を用いて比較して、動作要素を識別することを特徴とする(1)乃至(10)のいずれかに記載の就寝時体動識別装置。
【0020】
(12)前記動作要素識別手段は、前記動作要素抽出手段で得られた複数の動作要素が重ね合わせされた複合形動作要素に対して、前記動作要素モデル記憶手段に記憶されている複数の動作要素モデルの重ね合わせ開始タイミング、個々の動作要素の時間長または振幅を調整した重ね合わせを行って複合形動作要素モデルを生成すると共に、前記複合形動作要素と比較し、両者の相関を基に前記複合形動作要素の個々の動作要素を識別することを特徴とする(1)乃至(11)のいずれかに記載の就寝時体動識別装置。
【0021】
(13)前記動作識別手段は、前記動作要素識別手段から出力される動作要素のシーケンスが、特定の動作に関連する動作要素が連続している場合でも、また連続せず離散している場合でも、時間的な発生順番が、前記動作シーケンスモデル記憶手段に記憶されている動作シーケンスモデルのうちの特定の動作のモデルと合致したら、前記動作要素識別手段から出力された直近の動作要素のシーケンスはその特定の動作に対応した動作要素のシーケンスであると識別することを特徴とする(1)乃至(12)のいずれかに記載の就寝時体動識別装置。
【0022】
(14)前記動作識別手段動作は、前記動作シーケンスモデル記憶手段に記憶されている上位階層に属する動作とこれに関連ある下位階層に属する動作または動作要素で構成される動作シーケンスモデルより前記下位階層に属する動作を抽出し、その出力を入力側にフィードバックすることにより、前記上位階層動作に属する動作を識別することを特徴とする(1)乃至(13)のいずれかに記載の就寝時体動識別装置。
【0023】
(15)前記動作要素識別手段または動作識別手段から出力される時間的にひとかたまりとなって同時または近接して発生する異なる複数の動作要素または動作よりなる複合動作を、集中的複合動作モデル記憶手段に記憶された集中的複合動作モデルを参照して識別する、集中的複合動作識別手段を備えることを特徴とする(1)乃至(14)のいずれかに記載の就寝時体動識別装置。
【0024】
(16)前記集中的複合動作識別手段は、集中的複合動作の構成要素である動作要素または動作の夫々の直近の一定時間内における発生時間合計値または発生回数に関する構成比率を格納した構成比率モデル記憶手段を参照し、前記抽出された複合動作との相関係数を算出し、その相関係数がある値以上であれば、集中的複合動作が直近の一定時間内に発生したと識別することを特徴とする(15)記載の就寝時体動識別装置。
【発明の効果】
【0025】
本発明の構成によれば、次のような効果を期待することができる。
(1)複雑な動作の識別が可能である。即ち、複雑な動作であっても、個々の動作が合成されたものである。その合成された時間波形を、逆に個々の動作および動作の構成要素である動作要素または複合形動作要素に分解する。さらに複合形動作要素は個々の動作要素に分解する。従って、複雑な動作であっても、それを構成する個々の動作または動作要素に分解することにより識別することができる。
【0026】
(2)並行動作の識別が可能である。即ち、一連の動作を構成する動作要素または動作の間に、それとは無関係の別の一連の動作を構成する動作要素または動作が発生した場合には、二組の一連の動作が並行していると認識して、夫々の一連の動作を構成する動作または動作要素を識別することができる。
【0027】
(3)複数の動きが重なり合っている場合でも動作の識別が可能である。即ち、複数の動きが重なり合っていても、生理的繰返し動作成分の分離・抽出・除去、短期的重畳動作要素成分の分離・抽出・除去ができるので、それらの成分が含まれていない動作要素を識別することができる。
【0028】
(4)生理的繰返し動作成分及び短期的重畳動作要素成分が含まれていない動作要素に対して、それが単一動作要素であるか、それとも複数の動作要素が重ね合わせされた複合動作要素であるかを識別することがきる。
【0029】
(5)複合動作要素の場合には、動作要素モデル記憶手段内の複数の動作要素モデルの重ね合わせ開始タイミング、個々の動作要素の時間長または振幅を調整して複数動作要素重ね合わせモデルを作り、その複数動作要素重ね合わせモデルと比較して、複数動作要素の個々の動作要素を識別することができる。
【0030】
(6)次の理由により動作要素の識別精度が高い。
・必要に応じて主情報センサー手段または補助情報センサー手段を追加できる構成になっている。
・生理的繰返し動作成分の分離・抽出・除去、短期的重畳動作要素成分の分離・抽出・除去ができるので、それらの成分が含まれていない動作要素を識別することになるので、識別精度が高まる。
・時間波形モデル、周波数成分モデル及び周波数成分時間変化モデルの3つのモデルを持っている。
・モデルとの比較方法として、次の4通りの方法を持っている。
(a)相関係数の大小比較
(b)相関関数の大小比較
(c)スペクトル波形の最大ピーク値周波数による比較
(d)スペクトル波形の分散(標準偏差)による比較
【0031】
(7)動作の階層化が任意にできるので利用しやすい。即ち、動作の定義が動作シーケンスモデルの内容によって決まることと、動作識別手段の出力情報が動作識別手段の入力としてフィードバックされていることにより、下位階層動作を直接用いて上位階層動作を任意に定義できる。即ち、任意に動作の階層構築が可能である。
【0032】
(8)集中的複合動作識別機能があるので、次の理由により不眠症の検査・確認への応用が可能である。
(a)被験者の身体全体の動きを検出しながら、身体各部の動きを検出できるので不眠症の検査・確認には有効である。加速度センサーだけで特定部位の動きを検出しても、身体全体の動きが分からないので、不眠症の検査・確認は困難である。
(b)集中的複合動作を識別できるので、不眠症のように特定の複数の動きが特定の時間に集中するような場合には有効である。例えば、睡眠時無呼吸症候群の場合には、呼吸が長期間停止した後の呼吸再開時には、激しい動きや大きないびきが発生する。
(c)睡眠時無呼吸症候群に関連する動作要素または動作を集中的複合動作モデルの構成要素とし、それらの各構成要素の特定時間内における発生時間合計値・発生回数を構成比率モデルとして記憶させておけば、睡眠時無呼吸に付随して発生する動作を集中的複合動作の一つとして識別できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
以下、本発明を図面により詳細に説明する。図1は、本発明を適用した就寝時体動識別装置の一実施形態を示す機能ブロック図である。図面による説明に先立って、本願発明で扱う就寝者の動作に関する定義を説明する。
【0034】
A.識別する動作の種類:
被験者の就寝時の主な動作は、突発的に発生する突発的動作と、生理現象として発生する生理的繰返し動作との2つに大きく分類される。生理的繰返し動作は、心拍、呼吸、いびきの3つである。突発的動作は、その動作を構成している動作要素または動作の組み合わせの違いにより、
(i)単一動作要素で構成される動作
(ii)連続する複数の動作要素で構成される動作
(iii)連続する複数の動作要素または動作で構成される連続動作
の3つに分類される。
【0035】
I.突発的動作の詳細:
(i)単一動作要素で構成される動作
1.脚をピクピクさせる
2.頭を動かす
3.肩を動かす
4.腰を動かす
5.上肢を動かす(移動する・縮める・伸ばす等)
6.手で身体を掻くまたは擦る
7.下肢を移動する
8.下肢を縮める
9.下肢を伸ばす
10.下肢を擦る
11.一方の足で他方の足または脚を擦る
12.仰臥→側臥への体位変換(縮めた下肢に力を入れて体を傾斜させる)
13.伏臥→側臥への体位変換(腕を伸ばして体を傾斜させる)
14.上肢で上半身を起こす
15.上肢で支えながら上半身を倒す
16.上半身の震え
17.下半身の震え
18.咳をする
19.寝言を言う
20.大声を出す
21.おならをする
【0036】
(ii)連続する複数の動作要素で構成される動作
1.上肢上げ・落下
2.上肢で寝具(ふとん、ベッド)を叩く
3.下肢上げ・落下
4.下肢で寝具(ふとん、ベッド)を叩く
5.蹴飛ばす
6.寝返り(側臥→仰臥)
7.寝返り(側臥→伏臥)
8.身体を縮める(背を丸める)
9.身体を伸ばす(背を伸ばす)
10.寝具(掛け布団、毛布等)を引き寄せる
11.寝具(掛け布団、毛布)を遠ざける
【0037】
(iii)連続する複数の動作要素または動作で構成される連続動作
1.寝返り(仰臥→伏臥)
2.寝返り(伏臥→仰臥)
【0038】
B.動作の分解:
本発明においては、まず、動作を識別するために、被験者の動きを時間区分して動作要素に分解する。生理的繰返し動作を除き、かつ、複数の動作が同時並行して発生していない単一動作の場合には、一つの動作は、基本的には、単一の動作要素または複数の連続する動作要素で構成される。なお、生理的繰返し動作は生理現象なので必ず発生するが、生理的繰返し動作成分の影響を除きたい場合には、生理的繰返し動作成分を検出して、その成分を分離したうえで、突発的動作を識別する。
【0039】
I.突発的動作
(i)単一動作要素で構成される動作
前記種類における(i)単一動作要素で構成される動作の項目1〜21と同一。
【0040】
(ii)連続する複数の動作要素で構成される動作
1.上肢上げ・落下
(a)上肢を上げる
(b)上肢落下
2.上肢で寝具(ふとん、ベッド)を叩く
(a)上肢を上げる
(b)上肢で叩く
3.下肢上げ・落下
(a)下肢を上げる
(b)下肢落下
4.下肢で寝具(ふとん、ベッド)を叩く
(a)下肢を上げる
(b)下肢で叩く
5.蹴飛ばす
(a)蹴り上げる
(b)下肢落下
(c)下肢落下リバウンド
6.寝返り(側臥→仰臥)
(a)回転(側臥→仰臥)
(b)上肢落下
(c)下肢落下
7.寝返り(側臥→伏臥)
(a)回転(側臥→伏臥)
(b)上肢落下
(c)下肢落下
8.身体を縮める(背を丸める)
(a)下肢を縮める〔単一動作要素〕
(b)仰臥→側臥への体位変換(縮めた下肢に力を入れて体を傾斜させる)〔単一動作要素〕
(c)上肢を動かす(縮める)〔単一動作要素〕〔単一動作要素〕
(d)下肢を縮める〔単一動作要素〕
9.身体を伸ばす(背を伸ばす)
(a)下肢を伸ばす〔単一動作要素〕
(b)上肢を伸ばす〔単一動作要素〕
(c)回転(側臥→仰臥)
(d)上肢落下
(e)下肢落下
10.寝具(掛け布団、毛布)を引き寄せる
(a)上肢を動かす〔単一動作要素〕
(b)上肢で寝具(掛け布団、毛布)をつかむ
(c)下肢を縮める〔単一動作要素〕
(d)上肢で寝具(掛け布団、毛布)を引き寄せる
(e)上肢を動かす〔単一動作要素〕
(f)下肢を伸ばす〔単一動作要素〕
11.寝具(掛け布団、毛布)を遠ざける
(a)上肢を動かす〔単一動作要素〕
(b)上肢で寝具(掛け布団、毛布)を遠ざける
(c)上肢落下
(d)下肢を縮める〔単一動作要素〕
(e)下肢で寝具(掛け布団、毛布)を遠ざける
(f)下肢落下
【0041】
(iii)連続する複数の動作要素または動作で構成される動作
1.寝返り(仰臥→伏臥)
(a)下肢を縮める〔単一動作要素〕
(b)仰臥→側臥への体位変換(片方の下肢に力を入れて体を傾かせる)〔単一動作要素〕
(c)寝返り(側臥→伏臥)〔動作〕
(c−1)回転(側臥→伏臥)
(c−2)上肢落下
(c−3)下肢落下
2.寝返り(伏臥→仰臥)
(a)上肢を動かす(縮める)〔単一動作要素〕
(b)伏臥→側臥への体位変換(片方の上肢に力を入れて体を傾かせる)〔単一動作要素〕
(c)寝返り(側臥→仰臥)〔動作〕
(c−1)回転(側臥→仰臥)
(c−2)上肢落下
(c−3)下肢落下
【0042】
II.生理的繰返し動作
生理的繰返し動作の場合には、その動作を構成する動作要素が継続的に繰り返される。例えば、呼吸動作の場合には、“空気を吸い込む”、“空気を吐き出す”という動作要素が、継続的に繰り返される。
【0043】
発生の都度、それらの継続的に繰返される動作要素情報を出力すると、その動作が続く限り、繰返し出力することになる。それでは、利用する者にとっては、無駄な情報を処理しなければならなくなる。そこで、生理的繰返し動作の場合には、突発的動作の場合とは異なり、生理的繰返し動作の開始時と停止時にのみ動作要素情報を出力するようにする。
【0044】
1.心拍
(a)心拍開始
(b)心拍停止
2.呼吸
(a)呼吸開始
(b)呼吸停止
3.いびき
(a)いびき開始
(b)いびき停止
【0045】
C.動作要素の種類:
動作要素は、突発的動作の動作要素と生理的繰返し動作の動作要素に分類される。さらに、突発的動作の動作要素は、単一で動作構成可能な動作要素と単一で動作構成不可能な動作要素(複数連続して動作構成可能な動作要素)に分類される。単一で動作構成可能な動作要素は、その動作要素単独で、一つの動作を完結することができる。
【0046】
それに対して、単一で動作構成不可能な動作要素(複数連続して動作構成可能な動作要素)の場合には、その動作要素に付随して、その次に別の動作要素が必ず連続して発生する。生理的繰返し動作の動作要素は、突発的動作の場合とは異なり、生理的繰返し動作(心拍、呼吸、いびき)の開始と停止を知らせることだけに限定する。
【0047】
I.突発的動作の動作要素
(i)単一で動作構成可能な動作要素
1.脚をピクピクさせる
2.頭を動かす
3.肩を動かす
4.腰を動かす
5.上肢を動かす(移動する・縮める・伸ばす等)
6.手で身体を掻くまたは擦る
7.下肢を移動する
8.下肢を縮める
9.下肢を伸ばす
10.下肢を擦る
11.一方の足で他方の足または脚を擦る
12.仰臥→側臥への体位変換(縮めた下肢に力を入れて体を傾斜させる)
13.伏臥→側臥への体位変換(腕を伸ばして体を傾斜させる)
14.上肢で上半身を起こす
15.上肢で支えながら上半身を倒す
16.上半身の震え
17.下半身の震え
18.咳をする
19.寝言を言う
20.大声を出す
21.おならをする
【0048】
(ii)単一で動作構成不可能な動作要素(複数連続して動作構成可能な動作要素)
1.上肢を上げる
2.上肢落下
3.上肢で叩く
4.下肢を上げる
5.蹴り上げる
6.下肢落下
7.下肢落下リバウンド
4.下肢で叩く
8.回転(側臥→仰臥)
9.回転(側臥→伏臥)
10.上肢で寝具(掛け布団、毛布)をつかむ
11.上肢で寝具(掛け布団、毛布)を引き寄せる
12.上肢で寝具(掛け布団、毛布)を遠ざける
13.下肢で寝具(掛け布団、毛布)を遠ざける
【0049】
II.生理的繰返し動作の動作要素
1.心拍開始
2.心拍停止
3.呼吸開始
4.呼吸停止
5.いびき開始
6.いびき停止
【0050】
D.動作要素と動作との関係:
同じ動作要素でも、それ単独で動作になる場合もあるし、また一つの動作を構成する複数の動作要素のうちの一つである場合もある。例えば、
(a)上肢を動かす(移動する・縮める・伸ばす等)
(b)下肢を縮める
(d)仰臥→側臥への体位変換(縮めた下肢に力を入れて体を傾斜させる)
(e)伏臥→側臥への体位変換(腕を伸ばして体を傾斜させる)
その区別は、その動作要素の直前または直後に、その動作要素を構成要素として持つ動作に関連する動作要素が連続しているかどうかによる。
連続している場合には、その動作要素は、一つの動作を構成する複数の動作要素のうちの一つの動作要素である。連続していない場合には、その動作要素単独で動作である。
【0051】
E.動作の識別:
一つの動作を構成する一つ以上の動作要素または動作の順序付けられた組み合わせを検出したら、その動作として識別開始する。その動作を識別開始してから、その動作に関連ある動作要素または動作が一定時間以上検出されない場合には、その動作は中断または終了したと判断する。中断した場合には、その動作は、識別不能動作として認識する。
【0052】
ここでは、その動作に関連ある動作要素または動作を初めて検出した時点から、その動作に関連ある最後の動作要素または動作が終了した時点までの時間を、その一つの動作の動作時間と定義する。
【0053】
F.並行動作の識別:
(a)就寝時の被験者の身体各部の動きは、それぞれが独立して動くことが多い。“寝返り”のように、上半身の体位変換に付随して上肢、下肢が連動して動く場合もあるが、“上肢を動かす”、“下肢を伸ばす”、“下肢を縮める”などの上肢、下肢の動きのように、独立して個別に動く場合が多い。したがって、別々の動作が並行して発生し、それらを構成する動作要素も並行して発生する。すなわち、複数の異なる動作の動作要素が入り混じって検出される。
(b)動作識別手段では、一つの動作を構成する動作要素または動作の間に、別の動作を構成する動作要素または動作を検出したら、それは別動作の構成要素であると区別して、その別動作も含めて、複数の異なる動作を並行して識別する。そのため、並行して進む複数の動作の検出、識別が可能である。
【0054】
G.動作の階層化:
(a)動作要素、動作、その上位の動作、さらにその上位の動作、…と階層構成が可能である。
(b)動作要素の組合せで第1階層の動作は構成される。その上位の第2階層の動作は、動作要素または第1階層の動作の組合せで構成される。さらにその上位の第3階層の動作は、動作要素、第1階層の動作または第2階層の動作の組合せで構成される。さらにその上位の第4階層の動作は、動作要素、第1階層の動作、第2階層の動作または第3階層の動作の組合せで構成される。以下、同様に、第5階層の動作、第6階層の動作、…と構成され、動作の階層化が可能である。
【0055】
H.集中的複合動作の識別:
時間的にひとかたまりとなって同時または近接して発生する異なる複数の動作で構成された動作を、ここでは“集中的複合動作”と名づける。
(a)集中的複合動作構成要素の発生時間合計値、発生回数の計数:
関連ある複数の(動作要素を含む)動作で構成される集中的複合動作に属し、その構成要素である各動作要素または各動作の発生時間合計値または発生回数を計数する。
(b)一定時間内発生検出:
限られた時間内で、関連ある複数の(動作要素を含む)動作が発生することを特徴とする集中的複合動作に属し、その限られた時間内での、その構成要素である各動作要素または各動作の発生時間合計値または発生回数に関する構成比率と、集中的複合動作の構成比率モデルとを比較することにより、集中的複合動作であるかどうかを識別する。
【0056】
以下、図面により本発明の具体的な構成を説明する。図1は、本発明が適用された就寝時体動識別装置の全体構成図である。就寝時体動識別装置100は、体動計測手段200、動作要素抽出手段300、動作要素識別手段400、動作要素モデル記憶手段500、動作識別手段600、動作シーケンスモデル記憶手段700、集中的複合動作識別手段800、集中的複合動作モデル記憶手段900、構成比率モデル記憶手段900、出力手段1000により構成されている。
【0057】
体動計測手段200は、被験者に対して例えば周知の無拘束(被験者に取り付けない)センサーで、被験者の動作を計測する。動作要素抽出手段300は、体動計測手段200から得られる時系列データを、(時間的に変化する)振幅波形上での決められた条件に従い、動作を時間区分して動作要素に分解する。そして、その区分された期間における動作要素の時間波形、周波数成分または周波数成分時間変化を抽出する。
【0058】
動作要素モデル記憶手段500は、各動作要素の時間波形モデル、周波数成分モデルまたは周波数成分時間変化モデルを記憶する。動作要素識別手段400は、動作要素抽出手段300で得られる時間波形、周波数成分または周波数成分時間変化と、動作要素モデル記憶手段に記憶されている時間波形モデル、周波数成分モデルまたは周波数成分時間変化モデルとを比較して、動作要素を識別する。
【0059】
動作シーケンスモデル記憶手段700は、各動作を構成する一つ以上の(動作を含む)動作要素およびそれらの(動作を含む)動作要素の発生順番に関する動作シーケンスモデルを記憶する。動作識別手段600は、動作要素識別手段400で得られる動作要素モデル対応コードの順番と、動作シーケンスモデル記憶手段700に記憶されている動作シーケンスモデルとを比較して、動作を識別する。
【0060】
集中的複合動作モデル記憶手段900は、集中的複合動作に属する(動作要素を含む)動作を示すモデルを記憶する。構成比率モデル記憶手段1000は、集中的複合動作に属している(動作要素を含む)動作の限られた時間内での発生時間合計値または発生回数に関する構成比率のモデルを記憶する。
【0061】
集中的複合動作識別手段800は、動作要素識別手段400で得られた(動作要素を含む)動作が、集中的複合動作モデル記憶手段900に記憶されている集中的複合動作モデルで指定された複数の(動作要素を含む)動作で構成される集中的複合動作に属しているかを調べ、属している場合には、その(動作要素を含む)動作の発生時間合計値または発生回数を更新する。
【0062】
また、限られた時間内での、その構成要素である各動作要素または各動作の発生時間合計値または発生回数に関する構成比率と、構成比率モデル記憶手段1000に記憶されている集中的複合動作の構成比率モデルとを比較することにより、集中的複合動作を識別する。
【0063】
出力手段1100は、体動計測手段出力の主データ情報、補助データ情報、動作要素抽出手段出力の動作要素抽出情報、動作要素識別手段出力の動作要素識別情報、動作識別手段出力の動作識別情報、集中的複合動作識別手段出力の集中的複合動作識別情報を出力する。
【0064】
図2は、体動計測手段200の構成例を示す能ブロック図である。体動計測手段200は、寝具Mを介して取得される被験者Hの体動に関する情報Sを計測する手段であり、センサー手段201、センサー情報変換手段202、A/D変換データ記憶手段203及び時計手段204で構成されている。
【0065】
センサー手段201は、主情報を検出するための主情報センサー手段201aと補助情報を検出するための補助情報センサー手段201bで構成される。ここで主情報とは、体動に伴って発生する圧力変動に関する情報であり、補助情報とは、身体各部の位置、身体各部の動作方向、動作速度、動作加速度、寝姿(仰臥位、伏臥位、左側臥位、右側臥位)
に関する情報である。
【0066】
主情報センサー手段201aとしては、一つのセンサー手段だけでも、被験者の身体の下に被験者に対して無拘束(被験者に取り付けない)状態で、被験者の身体各部の動きを検出可能なセンサー手段を用いることができる。
【0067】
体動に伴って発生する圧力変動、振動、音、気体または液体を封入した袋または管内の圧力変動、または、袋または管に出入りする気体の流量(流速)変動を、圧力センサー、圧電素子、振動センサー、マイクロフォン、流量(流速)センサーのいずれかの1つを用いる。また、必要に応じて複数個、または、それらの異なるセンサー複数個の組み合わせを用いる。
【0068】
複数のセンサー手段からの夫々の検出信号に対応して動作要素を抽出し、夫々のセンサー手段に対応した動作要素モデルと比較し、それら複数の比較結果のうちで、最も動作要素モデルに近似した比較結果を用いて動作要素を識別する。
【0069】
むずむず脚症候群の症状を検査・確認する場合には、足または脚部の近くに、また、睡眠時無呼吸症候群の症状を検査・確認する場合には、胸部の近くに主情報センサー手段を設置する。検出しようとする対象部位に応じて主情報センサー手段を設置し、それらのセンサー手段からの検出信号のうちで、その検出信号の振幅が最大であるセンサー手段の設置場所が、動作発生源に最も近い場所であると判断することにより、動作要素識別精度を高めることができる。
【0070】
身体各部位置検出センサーとしての補助情報センサー手段201bは、被験者の身体の下に圧力センサーまたは圧電素子を設置して、被験者に対して無拘束(被験者に取り付けない)状態で、被験者の身体各部の荷重による位置の検出情報を収集することができる。
【0071】
この補助情報センサー手段の情報を用いると、動作要素識別における比較対象動作要素モデルの絞込みが可能なので、比較回数を減らせることによる処理速度の向上と動作要素識別精度を高めることができる。
【0072】
身体各部動作検出センサーとしての補助情報センサー手段201bは、被験者の身体の下に圧力センサーを設置して、被験者に対して無拘束(被験者に取り付けない)状態で、被験者の身体各部の水平動作の方向、速度または加速度に関する情報、または身体各部の垂直動作の加速度成分に関する情報を収集して動作要素識別の処理速度向上と識別精度を高めることができる。
【0073】
複数の測定点の間の変化量を測定することにより、身体各部の水平動作の方向、速度、加速度を検出することができる。更に、複数の測定点における夫々の絶対圧の増減、変化量を測定することにより、身体各部の垂直動作の加速度を検出することができる。
【0074】
加速度の違いにより、“下肢落下”、“下肢落下リバウンド”、と“下肢で叩く”との違いを、また“上肢落下”と“上肢で叩く”との違いを識別することができる。
【0075】
寝姿検出センサーとしての補助情報センサー手段201bは、図12で後述するように、
被験者の寝巻き、パジャマの背中部分に、磁石を取り付けて、被験者の寝姿(仰臥位、伏臥位、左側臥位、右側臥位)に関する情報を収集して動作要素識別の処理速度向上と識別精度を高めることができる。
【0076】
以下、図3乃至図13により本発明により計測される体動情報の例を説明する。
図3は、下肢の伸縮動作を計測する圧力センサーの出力特性図である。被験者が“下肢を縮める”場合と“下肢を伸ばす”場合の、マット、ふとん等の寝具の下に設置されている圧力センサーによって計測される圧力変動の振幅と時間の関係を示す。
【0077】
図4は、蹴飛ばし動作を計測する圧力センサーの出力特性図である。被験者が“蹴飛ばす”場合の、マット、ふとん等の寝具の下に設置されている圧力センサーによって計測される圧力変動の振幅と時間の関係を示す。“蹴飛ばす”という動作が、“蹴り上げる”、“下肢落下”および“下肢落下リバウンド”という3つの動作要素で構成されている例を示している。
【0078】
図5は、寝返り動作を計測する圧力センサーの出力特性図である。被験者が、“側臥位から伏臥位への寝返り”の場合の、マット、ふとん等の寝具の下に設置されている圧力センサーによって計測される圧力変動の振幅と時間の関係を示す。
【0079】
“側臥位から伏臥位への寝返り”という動作が、“側臥位から伏臥位への回転”、“上肢落下”および“下肢落下”という3つの動作要素で構成されている例を示す。
“側臥位から伏臥位への回転”という動作要素に伴い、その後半部分において、“上肢落下”および“下肢落下”という2つの動作要素が、“側臥位から伏臥位への回転”という動作要素に重なり合っている例を示している。
【0080】
図6は、圧力変動に伴う1次導関数及び2次導関数を示す特性図である。一つの単純な動作要素の場合の、圧力変動の振幅y=f(t)、その1次導関数f’(t)および2次導関数f”(t)を示している。
【0081】
図7は、前の動作要素と直後の動作要素が続いている場合の1次導関数及び2次導関数を示す特性図である。前の動作要素とその直後の動作要素が続いている場合の、圧力変動の振幅y=f(t)、その1次導関数f’(t)および2次導関数f”(t)を示している。
【0082】
図8は、前の動作要素と直後の動作要素が一部重なっている場合の1次導関数及び2次導関数を示す特性図である。前の動作要素とその後の動作要素が一部重なり合っている場合の、圧力変動の振幅y=f(t)、その1次導関数f’(t)および2次導関数f”(t)を示している。
【0083】
図9は、振幅が単調増加している動作要素に別の動作要素が重なっている場合の1次導関数及び2次導関数を示す特性図である。振幅が単調増加している動作要素に別の動作要素が重なり合った場合の、圧力変動の振幅y=f(t)、その1次導関数f’(t)および2次導関数f”(t)を示している。
【0084】
図10は、振幅が単調減少している動作要素に別の動作要素が重なっている場合の1次導関数及び2次導関数を示す特性図である。振幅が単調減少している動作要素に別の動作要素が重なり合った場合の、圧力変動の振幅y=f(t)、その1次導関数f’(t)および2次導関数f”(t)を示している。
【0085】
図11は、被検者の動きを計測する複数個の圧力センサーの出力特性図である。補助センサー手段として、同一種類の圧力センサー3個を用いた例を示す。マット、ふとん等の寝具の下、A点に圧力センサー1、B点に圧力センサー2、C点に圧力センサー3が設置されている。この例では、被験者の足が、A点→B点→C点へ移動する場合、すなわち“下肢を伸ばす”場合のA点、B点、C点における圧力の時間的変化を示している。
【0086】
身体各部の位置に関する情報を収集する手段としては、次の手法がある。
・被験者の下に圧力センサーまたは圧電素子を設置する。
・圧力センサーを用いて、各点の圧力を計測することによって、身体各部の位置を検出する。
・圧電素子を用いて、各点の圧力の有無を検出することによって、身体各部の位置を検出する。
【0087】
身体各部の動きの方向・速度に関する情報を収集する手段としては、次の手法がある。
・被験者の下に圧力センサーまたは圧電素子を設置する。
・圧力センサーを用いて、各点の圧力の時間的変化を計測することによって、身体各部の動きの方向と速度を検出する。
・圧電素子を用いて、各点の圧力の有無の時間的変化を検出することによって、身体各部の動きの方向と速度を検出する。
【0088】
圧力値の加速度成分に関する情報を収集する手段としては、次の手法がある。
・被験者の下に圧力センサーを設置する。
・圧力センサーを用いて、同一点における圧力値の加速度成分を計測することによって、“下肢落下”、“下肢落下リバウンド”と“下肢で叩く”との違いを、また“上肢落下”と“上肢で叩く”との違いを検出することができる。
【0089】
図12は、就寝者の頭部の姿勢変化を計測するセンサーのイメージ図であり、仰向け/うつ伏せ/左側臥位/右側臥位状態検出に関するイメージを示している。就寝者Hの身体又は着衣(パジャマの背中又は襟部分)に貼り付け(取り付け)られた板状磁石Gによる磁界強度を、装置に取り付けられた互いに直交する2つの検出コイルL1及びL2によって検出・極性弁別して、仰向け/うつ伏せ状態、左側臥位/右側臥位状態を検出・識別する。
【0090】
図12(A)は、垂直方向に取り付けられた検出コイルL1により垂直方向の磁界強度を検出・極性弁別することによって、仰向け/うつ伏せ状態を検出・識別するイメージを示している。図12(B)は、水平方向に取り付けられた検出コイルL2で水平方向の磁界強度を検出・極性弁別することによって、左側臥位/右側臥位状態を検出・識別するイメージを示している。
【0091】
図13は、図12の計測による姿勢計測パターンを示す表である。この表は、姿勢変化に対応した検出コイルL1及びL2による磁界強度検出値の遷移状態を示している。この表で明らかなように、検出値の極性弁別の組み合わせで仰向け/うつ伏せ状態、左側臥位/右側臥位状態を識別することができる。
【0092】
図2に戻り、センサー情報変換手段202は、マルチプレクサ手段202aとA/D変換手段202bで構成される。マルチプレクサ手段202aは、センサー手段201からの出力である主情報1〜m、補助情報1〜nの一つを選択して、A/D変換手段202bに送出する。
【0093】
A/D変換手段202bは、マルチプレクサ手段202aで選択されたアナログデータをデジタルデータに変換する。A/D変換データ記憶手段203は、記憶開始時点から記憶終了時点までの間、A/D変換データと時刻データを記憶する。時計手段204は、内部クロックを用いて時刻データを出力する。
【0094】
図14は、A/D変換データ記憶手段203の構成例を示す機能ブロック図である。A/D変換データ記憶手段203は、(主データ+時刻)情報記憶手段203a、(補助データ+時刻)情報記憶手段203b、記憶制御手段203cで構成されている。
【0095】
(主データ+時刻)情報記憶手段203aは、主情報1〜mのA/D変換データと時刻データを記憶する。(補助データ+時刻)情報記憶手段203bは、補助情報1〜nのA/D変換データと時刻データを記憶する。
【0096】
記憶制御手段203cは、装置の外部または内部から発せられる記憶開始信号を検出してから記憶終了信号を検出するまでの期間、前記各の情報記憶手段203a,203bにA/D変換データを一定周期で記憶させるための記憶制御信号を出力する。また、A/D変換データの値の大小によって記憶を制御することも可能である。
【0097】
A/D変換データ記憶手段203では、記憶開始信号が出力されると各情報記憶手段への書込みが開始され、記憶終了信号が出力されると書込みを止める。記憶開始信号および記憶終了信号は、外部から制御される場合、入床・離床を検出したら自動的に制御されて書込み開始・終了する場合等がある。
【0098】
A/D変換データ記憶手段203に記憶された体動情報に関するA/D変換データは、動作要素抽出、動作要素識別等の処理において、必要に応じて何度でも同一A/D変換データとその発生時刻を読出しできる。
【0099】
A/D変換データ記憶手段203では、このA/D変換データ記憶手段からの体動情報読出し時に、下記(1)〜(3)のいずれかの方式により、その体動情報の発生時刻を特定できる。
(1)体動情報に時刻情報を付加し、体動情報と時刻情報を一体にして、同一タイミングでA/D変換データ記憶手段に格納する方式。
格納(書込み)タイミング 格納(書込み)データ
t1: 体動情報1+時刻情報1
t2: 体動情報2+時刻情報2
・・・ ・・・・・・・・・・・
tn: 体動情報n+時刻情報n
【0100】
(2)体動情報の区切りとして、体動情報の直前または直後に、体動情報開始情報、体動情報終了情報または時刻情報を付けてA/D変換データ記憶手段に格納する方式。
格納(書込み)タイミング 格納(書込み)データ
t1: 開始情報
t2: 記憶開始時刻情報
t3: 体動情報1
t4: 体動情報2
・・・ ・・・・・・・・・・・
tn+2: 体動情報n
tn+3: 終了情報
【0101】
(3)体動情報を記憶するA/D変換データ記憶手段とは別の手段で、記憶開始時刻情報および記憶情報数を記憶しておき、A/D変換データ記憶手段から体動情報読出し時に、時刻情報を算出して体動情報に時刻情報を付加する方式。
【0102】
A/D変換データ記憶手段203に対する制御として、体動情報に関するA/D変換データの値の大小によって、A/D変換データ記憶手段への格納(書込み)を制御することができる。
【0103】
即ち、大きな動きのみを識別したい場合には、小さな動きに関する情報は不要である。また、離床時には体動情報が発生しないので、A/D変換データは、“ゼロ”になる。これらの場合に、A/D変換データの値の大小によって記憶を制御できることにより、不要な情報を記憶しないで済む。このことにより、記憶手段の記憶容量を減らすことが可能となる。
【0104】
図15は、動作要素抽出手段300の構成例を示す機能ブロック図である。動作要素抽出手段300は、突発的動作成分抽出手段301、動作要素境界点検出手段302、対象動作要素成分抽出手段303、時間波形データ正規化手段304、時間/周波数変換手段305、主データ記憶手段306、補助情報記憶手段307で構成されている。
【0105】
動作要素抽出手段300の機能は、一連の動作が始まってから終了するまでの期間、体動計測手段から得られる時系列データを、(時間的に変化する)振幅波形上での決められた条件に従い、動作を時間区分して動作要素に分解する。
【0106】
それらの動作要素から生理的繰返し動作の動作要素を検出・分離して、突発的動作要素を抽出する。抽出された突発的動作要素を正規化した時間波形データ、それを時間/周波数変換した周波数成分データを記憶する。
【0107】
A/D変換データ記憶手段203から渡される(主データ+時刻)情報には、突発的に発生する突発的動作成分と、生理現象として発生する生理的繰返し動作成分とが含まれている。
【0108】
突発的動作成分が微小な場合には、生理的繰返し動作成分の影響を受けないようにするために、生理的繰返し動作成分を除去したい場合がある。そのような場合には、生理的繰返し動作成分を除去し、突発的動作成分のみを抽出する、突発的動作成分抽出手段301が必要となる。
【0109】
動作要素境界点検出手段302では、突発的動作成分の境界点を検出する。対象動作要素成分抽出手段303では、その境界点により突発的動作成分を時間区分して動作要素に分解し、対象とする動作要素成分のみを抽出し、境界点情報も加えた(主データ+時刻+境界点)情報を出力する。
【0110】
時間波形データ正規化手段304では、(主データ+時刻+境界点)情報の時間波形データの時間軸を動作要素時間(動作要素の開始から終了までの時間)で正規化する。時間/周波数変換手段305では、(主データ+時刻+境界点)情報の主データを周波数成分データに変換する。
【0111】
正規化された時間波形データは、主データ記憶手段306の時間波形データ記憶手段306aに、周波数成分データは周波数成分データ記憶手段306bに、時刻情報も一緒に主情報の信号数だけ格納される。
【0112】
A/D変換データ記憶手段203から渡される(補助データ+時刻)情報は、補助データの信号数だけ、生理的繰返し動作成分情報(いびき情報、呼吸情報、心拍情報)は主データの信号数だけ、補助情報記憶手段307に、時刻情報も一緒に格納される。
【0113】
図16は、突発的動作要素抽出手段301の構成例を示す機能ブロック図である。突発的動作成分抽出手段301は、生理的繰返し動作成分検出手段301a、いびき検出手段301b、呼吸検出手段301c、心拍検出手段301d、生理的繰返し動作成分記憶手段301e、生理的繰返し動作成分除去手段301fで構成されている。
【0114】
生理的繰返し動作成分検出手段301aは、生理現象として発生する生理的繰返し動作成分を検出する。即ち、上半身(特に胸部)から離れた部位に設置された主情報センサー手段、または、身体各部位置検出センサー、身体各部動作検出センサー等の補助情報センサー手段からの情報を基にして、突発的動作成分が含まれていないことが確認された場合には、(主データ+時刻)情報の体動情報は、純粋な生理的繰返し動作成分のみであることを検出し、この生理的繰返し動作成分を出力して、生理的繰返し動作成分記憶手段301eに記憶させる。
【0115】
逆に、突発的動作成分が含まれている場合には、胸部近くに設置されたマイクロフォンなどの主情報センサー手段から得られる生理的繰返し動作に関する情報を基にして、直近の生理的繰返し動作成分の振幅、周期、タイミング(時刻)を修正して、近似的な生理的繰返し動作成分を出力し、生理的繰返し動作成分記憶手段301eに記憶させる。
【0116】
いびき検出手段301bは、いびきを検出し、いびき開始時といびき停止時に、いびき情報を出力する。呼吸検出手段301cは、呼吸を検出し、呼吸開始時と呼吸停止時に、呼吸情報を出力する。心拍検出手段301dは、心拍を検出し、心拍開始時と心拍停止時に、心拍情報を出力する。
【0117】
生理的繰返し動作成分記憶手段301eは、純粋な生理的繰返し動作成分のみを記憶するために、突発的動作成分が含まれていない場合の数呼吸前からの生理的繰返し動作成分が記憶される。突発的動作成分が含まれている期間は記憶しない。
【0118】
生理的繰返し動作成分除去手段301fは、一方の入力である(主データ+時刻)情報から、すでに生理的繰返し動作成分記憶手段に記憶されている、その(主データ+時刻)情報と同一時刻の生理的繰返し動作成分を除去して、(突発的動作成分+時刻)情報を出力する。
【0119】
従って、(主データ+時刻)情報に突発的動作成分が含まれていない場合には、生理的繰返し動作成分がそのまま除去されるので、出力である(突発的動作成分+時刻)情報の突発的動作成分はゼロとなる。
【0120】
(主データ+時刻)情報に突発的動作成分が含まれている場合には、胸部近くに設置されたマイクロフォンなどの主情報センサー手段からの情報を基にして、直近の生理的繰返し動作成分の振幅、周期、タイミング(時刻)が修正された近似的な生理的繰返し動作成分を用いて除去される。
【0121】
図17は、動作要素境界点検出手段302の構成例を示す機能ブロック図である。動作要素境界点検出手段302は、極小点検出手段302a、微分手段302b、微分手段302c、比較手段302d、極大点検出手段302e、論理和手段302fで構成されている。
【0122】
極小点検出手段302aは、突発的動作要素抽出手段301から渡される(突発的動作成分+時刻)情報の突発的動作成分の時間波形の極小点を検出する。微分手段302bは、(突発的動作成分+時刻)情報の突発的動作成分に対して微分し、1次導関数f'(t)を出力する。
【0123】
微分手段302cは、(突発的動作成分+時刻)情報の突発的動作成分の1次導関数f’(t)に対して再度微分し、2次導関数f”(t)を出力する。比較手段302dで前記2次導関数f”(t)と閾値との大小を比較して、2次導関数f”(t)が閾値以上の場合には、”f”(t)一定値以上”という比較結果を出力する。
【0124】
極大点検出手段302eは、2次導関数f"(t)が一定値以上の期間内における極大点を検出する。論理和手段302fは、“極小点検出”と“極大点検出”との論理和を取って“境界点”を検出する。
【0125】
動作要素境界点検出手段302は、被験者が動作した際に発生する、時間的に変化する振幅波形上での決められた条件として、下記(1)または(2)の時点を時間区分の境界点として、動作開始時から境界点まで、境界点から次の境界点まで、または境界点から動作終了時までの期間に、動作を時間区分して、動作要素に分解する。
【0126】
(1)(時間的に変化する)振幅波形上で振幅の谷の極小点到達時点=(時間的に変化する)振幅波形上で振幅の時間に関する1次導関数が、負→0(ゼロ)→正に変化時の0(ゼロ)到達時点。
(2)(時間的に変化する)振幅波形上で振幅の時間に関する2次導関数がある値以上の極大点到達時点。
【0127】
動作要素境界点を検出する場合、振幅波形の高周波信号成分を取り除くために、高周波信号成分を遮断するフィルタをかけなければならない場合もある。その場合には、必要に応じたフィルタ手段を用いることができる。
【0128】
図18は、対象動作要素成分検出手段303の構成例を示す機能ブロック図である。対象動作要素成分抽出手段303は、抽出対象動作要素検出・記憶手段303a、短期的重畳動作要素成分除去手段303b、短期的重畳動作要素成分記憶手段303c、選択手段303d、境界点計数手段303eで構成されている。
【0129】
抽出対象動作要素検出・記憶手段303aは、突発的動作要素抽出手段301から渡される(突発的動作成分+時刻)情報の突発的動作成分情報を基に、動作が始まってから終了するまでの期間の(突発的動作成分+時刻)情報と境界点情報を記憶する。
【0130】
短期的重畳動作要素成分除去手段303bは、抽出対象動作要素検出・記憶手段303aからの出力である(突発的動作成分+時刻+境界点)情報から、上肢落下、下肢落下等の短期的重畳動作要素成分を除去する。
【0131】
短期的重畳動作要素成分記憶手段303cは、短期的重畳動作要素成分情報、時刻情報および境界点情報を記憶する。選択手段303dは、次の動作要素識別手段400での動作要素識別に必要な情報を出力するために、短期的重畳動作要素成分を除去した突発的動作成分または短期的重畳動作要素成分そのものを選択し、(主データ+時刻+境界点)情報として出力する。
【0132】
境界点計数手段303eは、抽出対象動作要素検出・記憶手段303aで検出される境界点の数から短期的重畳動作要素成分除去手段303bで検出される境界点の数を引き、その減算結果に基づいて“複合モード”信号を出力する。
【0133】
“複合モード”信号が出力されている場合には、短期的重畳動作要素成分除去手段か303bら出力されている動作要素情報は、複数の動作要素が重ね合わせされた複合形動作要素であることを示す。逆に、“複合モード”信号が出力されていない場合には、短期的重畳動作要素成分除去手段から出力されている動作要素情報は、単一の動作要素であることを示す。
【0134】
対象動作要素成分抽出手段303の機能は、体動情報に関する時系列データの振幅波形の振幅がゼロまたはゼロ近傍でなくなった時から、次に振幅がゼロまたはゼロ近傍になるまでの期間、すなわち、動作が始まってから終了するまでの期間を対象動作要素成分抽出期間とし、その期間内における振幅波形上での境界点の時間間隔と振幅の大きさから短期的重畳動作要素を検出し、短期的重畳動作要素成分を抽出する。
【0135】
その抽出された短期的重畳動作要素成分を、体動情報に関する時系列データから除去する。その短期的重畳動作要素成分が分離・除去された時系列データの振幅波形の境界点の数より、短期的重畳動作要素成分が分離・除去された時系列データが単一動作要素であるか、それとも複数の動作要素が重ね合わせされたものであるかを検出する。
【0136】
短期的重畳動作要素とは、寝返りに付随して発生する“上肢落下”や“下肢落下”のような動作要素であり、大元の動作要素と比較すると時間的に短く、急峻な振幅波形を示すものであり、図5にその例を示す。同図の“上肢落下”、“下肢落下”が短期的重畳動作要素である。
【0137】
図15に戻り、時間波形データ正規化手段304、時間/周波数変換手段305、主データ記憶手段306は次の機能を備える。
(1)時間波形データ正規化:動作要素境界点検出手段で時間区分して分解された期間内における動作要素の時系列データを、分解された期間の時間、すなわち動作要素時間(動作要素の開始から終了までの時間)で正規化する。
(2)時間/周波数変換:動作要素の時系列データの時間/周波数変換には、フーリェ変換またはウェーブレット変換を用いる。動作要素時間を数個に区分して、それぞれ区分された時間における時系列データに対する時間/周波数変換と、動作要素時間全体の時系列データに対する時間/周波数変換とを行う。
(3)時間波形データの記憶及び周波数成分データの記憶:動作要素時間を数個に区分して、それぞれ区分された時間における時系列データに対する時間/周波数変換と、動作要素時間全体の時系列データに対する時間/周波数変換とで得られた周波数成分データを記憶する。
【0138】
図19は、動作要素識別手段400及び動作要素モデル記憶手段500の構成例を示す機能ブロック図である。動作要素モデル記憶手段500は、時間波形モデル記憶手段501、周波数成分モデル記憶手段502で構成されている。
【0139】
動作要素モデル記憶手段500には、時間波形モデルを記憶する時間波形モデル記憶手段501、周波数成分モデル及び周波数成分時間変化モデルを記憶する周波数成分モデル記憶手段502を有する。
【0140】
時間波形モデルとは、各動作要素の動作要素時間で正規化された時間波形のモデル波形である。周波数成分モデルとは、各動作要素の動作要素時間全体の周波数成分データに関してモデルとなる周波数成分データであり、データは1個が格納される。周波数成分時間変化モデルとは、動作要素時間を数個に区分し、それぞれの区分された時間におけるモデルとなる周波数成分データであり、データは区分個数が格納される。
【0141】
動作要素識別手段400は、複合形動作要素モデル作成・対応コード決定手段401、モデルソース選択手段402,403、モデル選択手段404、比較手段405、動作要素モデル対応コード決定手段406で構成されている。
【0142】
複合形動作要素モデル作成・対応コード決定手段401は、複合形動作要素の場合にのみ次の動作を行う。
(1)重ね合わせされている動作要素の数を推定し、決定する。
(2)関連ある動作要素モデル候補を推定し、決定する。
(3)関連ある動作要素モデル候補の組合せおよびその数を推定し、決定する。
(4)関連ある動作要素モデル候補の組合せすべてに対して次の調整を行う。
(a)重ね合わせ開始タイミング調整
(b)個々の動作要素の時間長調整
(c)個々の動作要素の振幅調整
夫々のモデルの組合せにおいて、比較手段(相関係数演算手段)出力の相関係数が最大になるように上記調整を繰り返し、それらの相関係数の中で、最大の相関係数を示す場合の、上記調整条件を一時記憶する。
(5)組合せの全てに対して調整終了した後、“複合モデル決定”信号を出力する。そして、重ね合わせされた複数の動作要素夫々の動作要素モデル対応コード、動作要素開始時刻、動作要素終了時刻および動作要素比較結果情報を出力する。
【0143】
モデルソース選択手段402,403は、“複合モード”信号が出力されていない場合、即ち、単一モードの場合には、動作要素モデル記憶手段500内にあるモデルが選択される。“複合モード”信号が出力されている場合、すなわち複合モードの場合には、複合形動作要素モデル作成・対応コード決定手段401内で作成された複合形動作要素モデルが選択される。
【0144】
モデル選択手段404は、単一モードの場合には動作要素モデル対応コード決定手段406が、複合モードの場合には複合形動作要素モデル作成・対応コード決定手段401が、動作要素モデル記憶手段500内にあるモデルを選択できるように構成されていいる。
【0145】
比較手段405は、被験者の動作要素を、モデルソース選択手段402,403で選択された動作要素モデル記憶手段500に格納されている動作要素モデルまたは複合形動作要素モデル作成・対応コード決定手段401で作成された複合形動作要素モデルと比較し、相関係数Kを算出する。
【0146】
動作要素モデル対応コード決定手段406は、単一の動作要素を識別する単一モード動作と、複数の動作要素が重ね合わせされた複合動作要素を識別する複合モード動作の2つの動作がある。単一モード動作の場合には次の動作を行う。
(1)関連ある動作要素モデル候補を決定する。
(2)関連ある動作要素モデル候補を選択して比較を行う。
(3)比較手段405(相関係数演算)出力の相関係数Kが最大の動作要素モデル候補を識別しようとしている動作要素の動作要素モデルとし、動作要素モデル対応コード、動作要素開始時刻、動作要素終了時刻および動作要素比較結果情報を出力する。
【0147】
複合モード動作の場合には次の動作を行う。
(1)複合形動作要素モデル作成・対応コード決定手段401から、重ね合わせされた動作要素の数だけ、
(a)動作要素モデル対応コード
(b)動作要素開始時刻
(c)動作要素終了時刻
(d)動作要素比較結果情報
を読み出す。
(2)複合形動作要素モデル作成・対応コード決定手段401から読み出した前記データを出力する。
【0148】
動作要素識別手段400の機能は、動作要素抽出手段300で得られた動作要素と動作要素モデル記憶手段500に記憶されている動作要素モデルとを比較して、動作要素を識別する。識別動作モードとして、単一の動作要素を識別する単一モード動作と、複数の動作要素が重ね合わせされた複合動作要素を識別する複合モード動作の2つの動作がある。
【0149】
(1)単一モード動作
動作要素抽出手段300で得られた時間波形、周波数成分または周波数成分時間変化を、動作要素モデル記憶手段500に記憶されている時間波形モデル、周波数成分モデル、周波数成分時間変化モデル、または、それらの時間波形モデル、周波数成分モデル、周波数成分時間変化モデルの2個以上の組合せとを相関(相関係数、相関関数またはスペクトル波形のピーク値周波数または分散(標準偏差))を用いて比較して、動作要素を識別する。
【0150】
(2)複合モード動作
動作要素抽出手段300で得られた時間波形、周波数成分または周波数成分時間変化を、複合形動作要素モデル作成・対応コード決定手段401において、動作要素モデル記憶手段500内の複数の動作要素モデルの重ね合わせ開始タイミング、個々の動作要素の時間長または振幅を調整して複数動作要素重ね合わせモデルを作り、その複数動作要素重ね合わせモデルと比較し、両者の相関(相関係数、相関関数またはスペクトル波形のピーク値周波数または分散(標準偏差))を基に、複数動作要素の個々の動作要素を識別する。
【0151】
比較動作の形態は、次の(1)〜(3)である。
(1)時間波形モデルとの比較
(a)相関係数の大小による比較
(b)相関関数の大小による比較
(2)周波数成分モデルとの比較
(a)相関係数の大小による比較
(b)スペクトル波形のピーク値周波数(中央値周波数)による比較
(c)スペクトル波形の分散(標準偏差)による比較
(3)周波数成分時間変化モデルとの比較
(a)相関係数の大小による比較
(b)スペクトル波形のピーク値周波数(中央値周波数)による比較
(c)スペクトル波形の分散(標準偏差)による比較
【0152】
それらの比較結果を用いて動作要素モデル対応コードを決定する方法の一例として、次のように、
(1)(時間波形:相関係数または相関関数)×(周波数成分:相関係数、(ピーク値周波数の差分)の逆数または(分散(標準偏差)の差分)の逆数)×(周波数成分時間変化:相関係数、(ピーク値周波数の差分)の逆数または(分散(標準偏差)の差分)の逆数)の最大値が一定値以上→動作要素モデル決定(動作要素モデル対応コード出力)
(2)前記最大値が一定値未満→動作要素識別不能(動作要素識別不能対応コード出力)
とする方法がある。
【0153】
動作要素識別手段400では、比較結果の相関に対して、識別するために必要な閾値を自由に設定・変更することが可能である。その閾値を動作要素モデル毎に独立して設定・変更することも可能である。その設定・変更は、図示されていないが、外部より通信ネットワークを介して行う場合と、内部で自動的に行う場合がある。
【0154】
図20は、複合形動作要素モデル対応コード決定手段401における制御に関するフローチャートを示す。図20(A)は、コード決定の制御のフローを示し、図20(B)は、調整条件レジスタの内容を示す。ステップS01〜S14の処理は、以下である。
【0155】
S01:初期化
S02:“複合モード?”の判断分岐
“複合モード”の場合には、S03に進み、複合モードに対応したプログラムを実行する。
“複合モードではない”場合には、S02に戻り、再度、“複合モード?”の判断分岐を行う。
S03:最大相関係数を格納する最大相関係数レジスタの内容をゼロにする。
【0156】
S04:比較対象モデル候補組合せ決定
主情報、補助情報を基に、
(1)動作要素重ね合わせ数
(2)関連ある動作要素モデル候補
(3)モデル候補組合せ数
を決定する。
【0157】
S05:“比較対象モデル候補組合せ残っているか?”の判断分岐
“比較対象モデル候補組合せ残っている”場合には、S06に進む。
“比較対象モデル候補組合せ残っていない”場合、すなわち、比較対象モデル候補組合せのすべて対して比較終了した場合には、S12にジャンプする。
S06:モデル候補組合せ更新
比較対象モデル候補組合せの中で、まだ比較が済んでいないモデル候補組合せを選択する。
【0158】
S07:調整条件変更回数決定
更新されたモデル候補組合せに対して
(1)重ね合わせ開始タイミング調整
(2)個々の動作要素の時間長調整
(3)個々の動作要素の振幅調整
を行うための調整条件の変更回数を決定する。
【0159】
S08:“更新する調整条件残っているか?”の判断分岐
“更新する調整条件残っている”場合には、S09に進む。
“更新する調整条件残っていない”場合、すなわち、比較対象モデル候補組合せでのすべての調整が終了した場合には、S05に戻る。
S09:更新した調整条件での複合形モデル作成・出力
更新した調整条件で動作要素モデル候補を重ね合わせて、複合形モデルを作成して出力する。
【0160】
S10:“相関係数>(最大相関係数レジスタ)?”の判断分岐
比較手段の出力である相関係数を基に判断分岐する。
“相関係数>(最大相関係数レジスタ)”の場合には、S11に進む。
“相関係数>(最大相関係数レジスタ)でない”場合には、S08に戻る。
【0161】
S11:相関係数、調整条件格納
相関係数を相関係数レジスタに、調整条件を調整条件レジスタに格納する。
調整条件レジスタは重ね合わせされる動作要素モデル候補の数だけ用意し、それぞれの調整条件レジスタには次のものを格納する。
(1)モデル対応コード
(2)重ね合わせ開始タイミング
(3)時間長
(4)振幅伸縮計数
【0162】
S12:動作要素開始・終了時刻算出
調整条件レジスタの内容を基に、重ね合わせされた動作要素の数だけ、動作要素開始時刻と動作要素終了時刻を算出する。
【0163】
S13:複合モデル決定信号出力
すべての比較対象モデル候補組合せのそれぞれに対して、すべての調整が終了し、複合モデルが決定したら、複合モデル決定信号を出力する。
【0164】
S14:複合形動作要素として重ね合わせされた動作要素の数だけ、
(1)動作要素モデル対応コード
(2)動作要素開始時刻
(3)動作要素終了時刻
(4)動作要素比較結果情報
を出力する。ただし、動作要素比較結果情報が一定値未満の場合には、動作要素モデル対応コードではなく、動作要素識別不能対応コードを出力する。
【0165】
図21は、動作要素モデル対応コード決定手段406の制御に関するフローチャートを示す。ステップS20〜S36の処理は、以下である。
【0166】
S20:初期化
S21:“複合モード?”の判断分岐
“複合モード”の場合には、S22に進み、複合モードに対応したプログラムを実行する。
“複合モードではない”場合には、S25に進み、単一モード(≠複合モード)に対応したプログラムを実行する。
【0167】
S22:“複合モデル決定?”の判断分岐
“複合モデル決定”の場合には、S23に進む。
“複合モデル未定”の場合には、S22に戻り、再度、“複合モデル決定?”の判断分岐を行う。
【0168】
S23:複合形動作要素として重ね合わせされた動作要素の数だけ、
(1)動作要素モデル対応コード
(2)動作要素開始時刻
(3)動作要素終了時刻
(4)動作要素比較結果情報
を、複合形動作要素モデル対応コード決定手段から読み出す。
【0169】
S24:S23で読み出された、複合形動作要素として重ね合わせされた動作要素の数だけ、
(1)動作要素モデル対応コード
(2)動作要素開始時刻
(3)動作要素終了時刻
(4)動作要素比較結果情報
を、動作要素識別手段の出力として出力する。処理後、S21に戻る。
【0170】
S25:“動作要素あり?”の判断分岐
“動作要素あり”の場合には、S26に進む。
“動作要素なし”の場合には、S21に戻る。
S26:“突発的動作?”の判断分岐
“突発的動作”の場合には、S27に進む。
“突発的動作でない”の場合、すなわち“生理的繰返し動作”の場合には、S34に進む。
【0171】
S27:最大相関係数を格納する最大相関係数レジスタの内容をゼロにする。
S28:比較対象モデル候補決定
主情報、補助情報を基に、比較の対象とする動作要素モデル候補を決定する。
【0172】
S29:“比較対象モデル候補残っているか?”の判断分岐
“比較対象モデル候補残っている”場合には、S30に進む。
“比較対象モデル候補残っていない”場合、すなわち、比較対象モデル候補のすべてに対して比較終了した場合には、S33にジャンプする。
【0173】
S30:モデル選択信号出力
比較の対象とするモデル候補の時間波形モデルと周波数成分モデルを選択するためのモデル選択信号を出力する。
S31:“相関係数>(最大相関係数レジスタ)?”の判断分岐
比較手段の出力である相関係数を基に判断分岐する。
“相関係数>(最大相関係数レジスタ)”の場合には、S32に進む。
“相関係数>(最大相関係数レジスタ)でない”場合には、S29に戻る。
【0174】
S32:相関係数、動作要素モデル対応コードをレジスタに格納。
比較した結果、これまでの比較で得られた相関係数よりも大きいので、相関係数を最大相関係数レジスタに、その時の動作要素モデル対応コードをモデルレジスタに格納する。格納後、S29に戻る。
【0175】
S33:動作要素モデル対応コード、動作要素開始時刻、動作要素終了時刻、動作要素比較結果情報を出力
比較対象モデル候補の中で相関係数が最大の動作要素モデル対応コード、その動作要素の開始時刻および終了時刻、比較結果情報を、動作要素識別手段の出力として出力する。ただし、動作要素比較結果情報が一定値未満の場合には、動作要素モデル対応コードではなく、動作要素識別不能対応コードを出力する。
処理後、S21に戻る。
【0176】
S34:“動作開始?”の判断分岐
“動作開始”の場合には、S35に進む。
“動作開始でない”の場合、すなわち“動作停止”の場合には、S36に進む。
S35:動作要素モデル対応コード、動作要素開始時刻出力
動作要素モデル対応コード、その動作要素の開始時刻を、動作要素識別手段の出力として出力する。処理後、S21に戻る。
【0177】
S36:動作要素モデル対応コード、動作要素停止時刻出力
動作要素モデル対応コード、その動作要素の停止時刻を、動作要素識別手段の出力として出力する。処理後、S21に戻る。
【0178】
図22は、動作シーケンスモデル記憶手段及び動作識別手段の構成例を示す機能ブロック図である。動作シーケンスモデル記憶手段700は、動作シーケンスモデルテーブル701を記憶する。
【0179】
動作識別手段600は、論理和手段601及び動作シーケンスモデル対応コード決定手段602で構成されている。論理和手段601は、新たな動作要素情報または(動作識別手段の出力である)動作情報を受け取ると、それらの論理和である構成要素情報を出力する。
【0180】
動作シーケンスモデル対応コード決定手段602は、論理和手段から構成要素情報を受け取ると、動作シーケンスモデル記憶手段700に記憶されている動作シーケンスモデルに該当する構成要素(動作要素または動作)の有無を調べる。その構成要素が、動作シーケンスモデルで指定されている動作の第1段階の構成要素である場合には、その動作として識別を開始する。
【0181】
その動作の識別を開始してから、その動作に関連ある構成要素が一定時間以上検出されない場合に、その動作は中断または終了したと判断する。中断した場合には、その動作は、識別不能動作として認識する。ここでは、その動作に関連ある構成要素を初めて検出した時点から、その動作に関連ある最後の構成要素が終了した時点までの時間を、その一つの動作の動作時間とする。
【0182】
図23は、動作−構成要素対応及びそれに対応する動作シーケンスモデルテーブルの構成例を示す表である。図23(A)は、動作−構成要素対応表、図23(B)は、動作シーケンスモデルテーブルを示す。
【0183】
図23(A)の動作−構成要素対応表では、表の横方向に構成要素(動作要素または動作)を、縦方向に動作(第1階層動作、第2階層動作)を取った例を示す。横方向の構成要素は、縦方向のどの動作の構成要素であるか、そしてその動作の第何階層の構成要素であるかが分かるようになっている。
【0184】
表中、構成要素および動作の番号は、動作要素であるか、第1階層動作であるか、または第2階層動作であるかを分かりやすくするために次のように分類している。
001〜014(100番台未満):動作要素
101〜109(100番台) :第1階層動作
201〜202(200番台) :第2階層動作
【0185】
例えば、横方向の構成要素003番の“上肢で叩く”は、縦方向の第1階層動作104番の“上肢で寝具を叩く”動作の構成要素であり、その第2段階の構成要素であることを示している。逆に、縦方向の第1階層動作104番の“上肢で寝具を叩く”動作は、横方向の構成要素001番の“上肢を上げる”という動作要素が第1段階の構成要素であり、構成要素003番の“上肢で叩く”という動作要素が第2段階の構成要素であることを示している。
【0186】
図23(B)の動作シーケンスモデルテーブルでは、表の縦方向の各動作に対して、横方向に、それを構成している構成要素を発生順に並べたものである。各動作に関する代表的な構成要素およびその構成要素の発生順番を示す。
【0187】
例えば、縦方向の動作107番の“蹴飛ばす”動作は、
第1段階の構成要素:009番の“蹴り上げる”という動作要素
第2段階の構成要素:006番の“下肢落下”という動作要素
第3段階の構成要素:010番の“(下肢落下)リバウンド”という動作要素
で構成され、その順番で発生した場合に限る。
【0188】
また、縦方向の動作108番の“寝返り(側臥→仰臥)”動作は、
第1段階の構成要素:013番の“回転(側臥→仰臥)”という動作要素
第2段階の構成要素:002番の“上肢落下”という動作要素または、006番の“下肢落下”という動作要素
で構成され、その順番で発生した場合に限る。
【0189】
図24は、動作シーケンスモデル対応コード決定手段602で使用される動作識別作業用テーブルの例を示す表である。動作識別作業用テーブルは、動作シーケンスモデルテーブルの横方向に、段階数、ステージカウンタおよび段階ごとにタイマ指定値、タイマ値およびステータスを加えたものである。
【0190】
ここで、
段階数:各動作シーケンスモデルで決められた段階の数
ステージカウンタ:現在、どの段階までの構成要素が発生したかを示す。
タイマ指定値:構成要素発生後のタイムアウト発生時間を指定する。
タイマ値:構成要素発生後の経過時間が格納される。
ステータス:構成要素発生の有無が格納される。
である。
【0191】
図25は、動作シーケンスモデル対応コード決定手段602における制御に関するフローチャートを示す。ステップS40〜S56の処理は、以下である。
【0192】
S40:初期化
S41:“構成要素あり?”の判断分岐
“構成要素あり”の場合には、S42に進む。
“構成要素ない”場合には、S41に戻る。
S42:“突発的動作?”の判断分岐
“突発的動作”の場合には、S43に進む。
“突発的動作でない”の場合、すなわち“生理的繰返し動作”の場合には、S53に進む。
【0193】
S43:前回構成要素発生時からの経過時間算出
前回構成要素終了時刻から今回構成要素開始時刻までの経過時間を算出する。
《 S44からS50までのフローを動作シーケンスモデルテーブルで指定されているすべての動作に対して行う。》
【0194】
S44:“(SC)≠0?”の判断分岐
ステージカウンタSCが“(SC)≠0”の場合、すなわち、“ステージカウンタSCの内容が0でない”場合には、S45に進む。
“(SC)≠0でない”場合、すなわち、“ステージカウンタSCの内容が0である”場合には、S51にジャンプする。
【0195】
S45:(SC)段階タイマ更新
ステージカウンタに格納されている数値に対応する段階のタイマ値レジスタの内容に経過時間を加えた結果を、タイマ値レジスタの内容とする。
(タイマ値)+経過時間 → タイマ値
【0196】
S46:“タイムアウト発生?”の判断分岐
“タイムアウト発生”の場合には、S47に進む。
“タイムアウト発生していない”場合には、S51にジャンプする。
【0197】
S47:“(SC)=段階数?”の判断分岐
“(SC)=段階数”の場合には、S48に進む。
“(SC)=段階数でない”場合には、S49に進む。
【0198】
S48:動作シーケンスモデル対応コード出力
動作が終了したことになるので、動作シーケンスモデル対応コード、動作開始時刻および動作終了時刻を出力する。
【0199】
S49:動作識別不能対応コード出力
動作識別が不可能になったので、動作識別不能対応コード、動作開始時刻および動作識別不能検出時刻を出力する。
【0200】
S50:ステージカウンタ・タイマ値・ステータスレジスタ クリア
ステージカウンタ、タイマ値およびステータスの内容をゼロにする。
S51:検出された構成要素に関連ある動作検索
動作−構成要素対応表より、検出された構成要素に関連ある動作を検索する。
【0201】
S52:検出された構成要素に関連ある動作すべてに対して、(SC)段階でステータス=0の構成要素および(SC)+1段階のすべての構成要素と比較し、いずれかに一致している場合には、下記処理を行う。処理後、S41に戻る。
1 → 一致した構成要素のステータス
0 → 一致した構成要素に対応した段階のすべてのタイマ値
(SC)+1段階の構成要素と一致している場合のみ:(SC)+1 → SC
【0202】
S53:“生理的繰返し動作開始?”の判断分岐
“生理的繰返し動作開始”の場合には、S54に進む。
“生理的繰返し動作開始でない”の場合、すなわち“生理的繰返し動作停止”の場合には、S55に進む。
【0203】
S54:生理的繰返し動作用時刻格納レジスタに生理的繰返し動作開始時刻を格納する。処理後、S41に戻る。
S55:生理的繰返し動作用時刻格納レジスタに生理的繰返し動作停止時刻を格納する。
【0204】
S56:動作シーケンスモデル対応コード出力
生理的繰返し動作が停止したことになるので、動作シーケンスモデル対応コード、動作開始時刻および動作停止時刻を出力する。処理後、S41に戻る。
【0205】
動作識別手段600の機能は、動作要素識別手段400から出力される動作要素と動作識別手段出力の動作のシーケンスを、動作シーケンスモデルと比較し、
(1)動作の識別
(2)並行動作の識別
(3)動作の階層構築
を実行する。
【0206】
(1)動作の識別:
動作識別のアルゴリズムは、動作要素識別手段から出力された動作要素のシーケンスが、動作シーケンスモデル記憶手段に格納されている動作シーケンスモデルのうちの特定の動作のモデルと合致したら、動作要素識別手段から出力された動作要素のシーケンスは、その特定の動作に対応した動作要素のシーケンスであると識別し、
(a)特定の動作要素のシーケンス → 動作を識別
(b)動作開始時刻・終了時刻の出力
を実行する。
【0207】
(2)並行動作の識別:
動作要素識別手段から出力される動作要素のシーケンスで、特定動作に関連する動作要素が連続せず離散していても、時間的な発生順番が、各動作に関する動作シーケンスモデル記憶手段に格納されている動作シーケンスモデルのうちの特定の動作のモデルと合致したら、動作要素識別手段から出力された直近の動作要素のシーケンスは、その特定の動作に対応した動作要素のシーケンスであると識別する。
【0208】
(3)動作の階層構築:
動作シーケンスモデル記憶手段に、上位階層動作に関連ある下位階層動作または動作要素で構成される動作シーケンスモデルを格納しておく。動作識別手段の出力をその入力にフィードバックする。
【0209】
動作識別手段への入力である、上位階層動作に関連ある下位階層動作または動作要素のシーケンスが、動作シーケンスモデル記憶手段に格納されている特定の動作のシーケンスモデルと合致したら、その動作識別手段への入力である、上位階層動作に関連ある下位階層動作または動作要素のシーケンスは、その特定の動作に対応した動作シーケンスであると識別する。
【0210】
図26は、集中的複合動作識別手段800、集中的複合動作モデル記憶手段900、構成比率モデル記憶手段1000の構成例を示す機能ブロック図である。集中的複合動作モデル記憶手段900は、集中的複合動作モデルテーブル901を記憶する。構成比率モデル記憶手段1000は、構成比率モデル1001を記憶する。
【0211】
集中的複合動作識別手段800は、論理和手段801、集中的複合動作モデル選択手段802、発生時間合計値・発生回数計数手段803、直近一定時間内発生時間合計値・発生回数計数手段804、比較手段805、集中的複合動作モデル対応コード決定手段806で構成されている。
【0212】
論理和手段801は、新たな動作要素情報または動作情報を受け取ると、それらの論理和である構成要素情報を出力する。集中的複合動作モデル選択手段802は、集中的複合動作の構成要素情報を基に、検出された構成要素が集中的複合動作を構成している構成要素であるかを調べ、構成要素である場合に限り、それを構成要素としている集中的複合動作のモデル対応コードを出力する。
【0213】
発生時間合計値・発生回数計数手段803は、集中的複合動作を構成している構成要素の発生時間をそれまでの構成要素発生時間合計値に加える。また、発生回数をプラス1して更新されたデータを出力する。
【0214】
直近一定時間内発生時間合計値・発生回数計数手段804は、直近の一定時間内における構成要素の発生時間合計値と発生回数を計数する。比較手段805は、集中的複合動作を構成している各構成要素の直近一定時間内の発生時間合計値と発生回数の比率を構成比率モデルと比較し、相関係数を演算して出力する。
【0215】
集中的複合動作モデル対応コード決定手段806は、相関係数がある値以上の場合には、集中的複合動作として識別されたことになり、集中的複合動作モデル対応コード、集中的複合動作開始時刻と終了時刻および集中的複合動作比較結果情報を出力する。
【0216】
図27は、集中的複合動作−構成要素対応及びそれに対応した集中的複合動作モデルの構成例を示す表である。図27(A)に集中的複合動作−構成要素対応表、図27(B)
に集中的複合動作モデルテーブルの例を示す。
【0217】
図27(A)の集中的複合動作−構成要素対応表では、表の横方向に構成要素(動作要素または動作)を、縦方向に集中的複合動作を取った例を示す。横方向の構成要素は、縦方向のどの集中的複合動作の構成要素であるかが分かるようになっている。
【0218】
表中、構成要素および集中的複合動作の番号は、動作要素であるか、第1階層動作であるか、または集中的複合動作であるかを分かりやすくするために分類されている。
001〜014(100番台未満) :動作要素
100〜106(100番台) :第1階層動作
1001〜1003(1000番台):集中的複合動作
【0219】
例えば、横方向の構成要素009番の“下肢を擦る”は、縦方向の集中的複合動作1001番の“むずむず脚”の構成要素であることを示している。逆に、縦方向の集中的複合動作1001番の“むずむず脚”は、横方向の構成要素006番の“下肢を移動する”、
【0220】
構成要素007番の“下肢を縮める”、構成要素008番の“下肢を伸ばす”、構成要素009番の“下肢を擦る”、構成要素010番の“一方の足で他方の足または脚を擦る”、構成要素103番の“下肢上げ・落下”、構成要素104番の“下肢で寝具を叩く”および構成要素105番の“蹴飛ばす”で構成されていることを示す。なお、集中的複合動作−構成要素対応表では、構成要素の発生順番は無関係である。
【0221】
図27(B)の集中的複合動作モデルテーブルでは、表の縦方向の各集中的複合動作に対して、横方向に、それを構成している構成要素を並べたものである。発生順番は無関係である。集中的複合動作モデルテーブルは、各動作に関する代表的な構成要素を示す。
【0222】
図28は、集中的複合動作識別手段800における制御に関するフローチャートである。
ステップS60〜S66の処理は、以下である。
S60:初期化
S61:“集中的複合動作構成要素検出した?”の判断分岐
“集中的複合動作構成要素検出した”場合には、S62に進む。
“集中的複合動作構成要素検出されない”場合には、S61に戻る。
【0223】
S62:検出された構成要素の発生時間合計値と発生回数を更新する。
S63:直近の一定時間内における各構成要素の発生時間合計値と発生回数を計数する。
S64:構成比率モデルとの比較
直近の一定時間内における各構成要素の発生時間合計値、発生回数に関する比率を構成比率モデル記憶手段内にある構成比率モデルと比較して、それらの間の相関係数を求める。
【0224】
S65:“相関係数一定値以上?”の判断分岐
“相関係数一定値以上”の場合には、S66に進む。
“相関係数一定値以上でない”場合には、S61に戻る。
【0225】
S66:集中的複合動作として識別されたことになるので、集中的複合動作モデル対応コード、集中的複合動作開始時刻、集中的複合動作終了時刻、集中的複合動作比較結果情報を出力する。処理後、S61に戻る。
【0226】
集中的複合動作識別手段800は、時間的にひとかたまりとなって同時または近接して発生する異なる複数の動作で構成される集中的複合動作を識別する。集中的複合動作識別手段800の機能として、
(1)集中的複合動作の構成要素である動作要素または動作の夫々の発生時間合計値または発生回数を計数する機能。
または、
(2)限られた時間内で発生する、集中的複合動作の構成要素である動作要素または動作の夫々の発生時間合計値または発生回数に関して特定の構成比率を有する集中的複合動作を識別する機能。
を持つ。
【0227】
これらの機能により、以下(1)〜(6)を実行する。
(1)集中的複合動作モデル選択
(2)集中的複合動作構成要素の発生時間合計値・発生回数を計数
(3)直近一定時間内における集中的複合動作構成要素の発生時間合計値・発生回数を計数
【0228】
(4)構成比率モデルとの比較:
動作要素識別手段または動作識別手段から出力される集中的複合動作の構成要素である動作要素または動作のそれぞれの発生時間合計値または発生回数に関する構成比率と、前記構成比率モデル記憶手段に格納されている集中的複合動作の構成比率モデルとの比較。
【0229】
(5)相関係数が最大の集中的複合動作モデル対応コード出力:
集中的複合動作識別手段は、集中的複合動作に関連ある動作要素または動作のそれぞれの直近の一定時間内における発生時間合計値または発生回数を計数し、集中的複合動作の構成比率モデルとの相関係数を算出し、その相関係数がある値以上であれば、集中的複合動作が直近の一定時間内に発生したと識別し、集中的複合動作モデル対応コードを出力する。
【0230】
集中的複合動作識別手段において、比較結果の相関に対して、識別するために必要な閾値を自由に設定・変更が可能である。その閾値を集中的複合動作モデルごとに独立して設定・変更することも可能である。その設定・変更は、図に示していないが外部より通信ネットワークを介して行う場合と、内部で自動的に行う場合がある。
【0231】
(6)集中的複合動作開始時刻・終了時刻・比較結果情報(相関係数)の出力。
【0232】
図1に戻り、出力手段1100は、主データ情報、補助データ情報、動作要素抽出情報、動作要素識別情報、動作識別情報または集中的複合動作識別情報に時刻データを付加して出力する。出力手段の代表的なものとしては、通信手段と出力情報記憶手段がある。
【0233】
時刻データとしては、次の項目がある。
(1)主データ情報、補助データ情報に対して:発生時刻
(2)突発的動作の動作要素識別情報に対して:
(a)動作要素開始時刻
(b)動作要素終了時刻
(c)動作要素識別不能検出時刻
(3)生理的繰返し動作の動作要素識別情報に対して:
(a)動作要素開始時刻
(b)動作要素停止時刻
【0234】
(4)動作識別情報に対して:
(a)動作開始時刻
(b)動作終了時刻
(c)動作識別不能検出時刻
【0235】
(5)集中的複合動作識別情報に対して:
(a)集中的複合動作開始時刻
(b)集中的複合動作終了時刻
【0236】
図29は、出力手段1100として通信手段1200を用いた、本発明の他の実施形態を示す機能ブロック図である。通信手段1200を介して出力される情報は、有線または無線の通信ネットワーク1300を経由して外部医療機関1400等に遠隔伝送される。
【0237】
図30は、出力手段1100として出力情報記憶手段1500を用いた、本発明の他の実施形態を示す機能ブロック図である。出力情報記憶手段1500として可搬メモリ(Removal Memory)1501を用いることで、情報を外部に持ち出して利用することができる。
【0238】
図31は、体動計測手段を、通信手段を介して分離した、本発明の他の実施形態を示す機能ブロック図である。就寝時体動識別装置100を、体動計測手段200を含む検出部100Aと、動作要素抽出手段300以降の部分を含む解析部の2ユニットに分離する。
【0239】
夫々のユニットに通信手段205a及び205bを用意し、それらの通信手段を、通信ネットワーク1300を介して接続し、両側の部分でA/D変換データの授受を行う。図の例では、解析手部100B側には、通信手段205bのすぐ後にA/D変換データ記憶手段206を用意し、A/D変換データを一時的に格納できるようにしている。
【0240】
この実施形態では、検出部100Aを在宅患者側に設置し、解析部100Bを外部の医療機関に設置すると、次のような遠隔地診断が可能となる。
(1)在宅患者が検出手段を用いて就寝時の体動情報を収集する。
(2)その収集した情報を、通信ネットワークを介して、外部の医療機関に送信する。
(3)医療機関では、解析手段を用いて、受信情報を解析することにより、不眠症等の診断ができる。
【0241】
図32は、体動計測手段を、可搬メモリを介して分離した、本発明の他の実施形態を示す機能ブロック図である。図31との相違点は、検出部100Aと解析部100Bの夫々にA/D変換データ記憶手段として取り外し可能な可搬メモリ207及び207´を配置し、両側の部分との間でA/D変換データの授受を行う。
【0242】
この実施形態では、検出部100Aを在宅患者側に設置し、解析部100Bを外部の医療機関に設置すると、次のような遠隔地診断が可能となる。
(1)在宅患者が検出手段を用いて就寝時の体動情報を収集する。
(2)その収集した情報が記憶されている可搬メモリを、医療機関に送るか、または持参する。
(3)医療機関では、解析手段を用いて、可搬メモリに記憶されている被験者の体動情報を読み出して解析することにより、不眠症等の診断ができる。
【0243】
以上説明した実施形態では、体動情報を収集するセンサーは必要に応じて複数個を用いる例を説明したが、被検者に対して1個の無拘束(被検者にセンサーを取り付けない)センサーにより、被検者の身体各部の動きを計測することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0244】
【図1】本発明を適用した就寝時体動識別装置の一実施形態を示す機能ブロック図である。
【図2】体動計測手段の構成例を示す機能ブロック図である。
【図3】下肢の伸縮動作を計測する圧力センサーの出力特性図である。
【図4】蹴飛ばし動作を計測する圧力センサーの出力特性図である。
【図5】寝返り動作を計測する圧力センサーの出力特性図である。
【図6】圧力変動に伴う1次導関数及び2次導関数を示す特性図である。
【図7】前の動作要素と直後の動作要素が続いている場合の1次導関数及び2次導関数を示す特性図である。
【図8】前の動作要素と直後の動作要素が一部重なっている場合の1次導関数及び2次導関数を示す特性図である。
【図9】振幅が単調増加している動作要素に別の動作要素が重なっている場合の1次導関数及び2次導関数を示す特性図である。
【図10】振幅が単調減少している動作要素に別の動作要素が重なっている場合の1次導関数及び2次導関数を示す特性図である。
【図11】被験者の動きを計測する複数個の圧力センサーの出力特性図である。
【図12】就寝者の姿勢変化を計測するセンサーのイメージ図である。
【図13】図12の計測による姿勢変化計測パターンを示す表である。
【図14】A/D変換データ記憶手段の構成例を示す機能ブロック図である。
【図15】動作要素抽出手段の構成例を示す機能ブロック図である。
【図16】突発的動作要素抽出手段の構成例を示す機能ブロック図である。
【図17】動作要素境界点検出手段の構成例を示す機能ブロック図である。
【図18】対象動作要素成分抽出手段の構成例を示す機能ブロック図である。
【図19】動作要素識別手段及び動作要素モデル記憶手段の構成例を示す機能ブロック図である。
【図20】複合形動作要素モデル対応コード決定手段の動作手順を示すフローチャートである。
【図21】動作要素モデル対応コード決定手段の動作手順を示すフローチャートである。
【図22】動作シーケンスモデル記憶手段及び動作識別手段の構成例を示す機能ブロック図である。
【図23】動作−構成要素対応及びそれに対応する動作シーケンスモデルテーブルの構成例を示す表である。
【図24】動作識別作業用テーブルの構成例を示す表である。
【図25】動作シーケンスモデル対応コード決定手段の動作手順を示すフローチャートである。
【図26】集中的複合動作モデル記憶手段、構成比率モデル記憶手段および集中的複合動作識別手段の構成例を示す機能ブロック図である。
【図27】集中的複合動作−構成要素対応及びそれに対応した集中的複合動作モデルの構成例を示す表である。
【図28】集中的複合動作識別手段の動作手順を示すフローチャートである。
【図29】出力手段として通信手段を用いた、本発明の他の実施形態を示す機能ブロック図である。
【図30】出力手段として可搬メモリ手段を用いた、本発明の他の実施形態を示す機能ブロック図である。
【図31】体動計測手段を、通信手段を介して分離した、本発明の他の実施形態を示す機能ブロック図である。
【図32】体動計測手段を、可搬メモリを介して分離した、本発明の他の実施形態を示す機能ブロック図である。
【図33】特許文献1に開示されている従来装置の構成を示す機能ブロック図である。
【図34】図33の動作を説明するフローチャートである。
【符号の説明】
【0245】
100 就寝時体動識別装置
200 体動計測手段
300 動作要素抽出手段
400 動作要素識別手段
500 動作要素モデル記憶手段
600 動作識別手段
700 動作シーケンスモデル記憶手段
800 集中的複合動作識別手段
900 集中的複合動作モデル記憶手段
1000 構成比率モデル記憶手段
1100 出力手段
【技術分野】
【0001】
本発明は、就寝時における被験者の身体各部の動作を識別する就寝時体動識別装置に関するものである。睡眠時無呼吸症候群、むずむず脚症候群、周期性四肢運動異常症等の不眠症患者は、就寝時にその症状に独特の特徴的な動作をする。従って、その特徴的な動作を識別することにより、不眠症患者の症状を検査・確認することは、不眠症の診断に役立つ。また、識別情報を利用して遠隔監視や環境機器を制御することで、患者のQOLを向上させることができる。
【背景技術】
【0002】
就寝時における被験者の姿勢を識別する生体情報検出装置が、特許文献1に開示されている。図33は、特許文献1に開示されている従来装置の一例を示す機能ブロック図である。この生体情報検出装置は、基準波形の形状と測定波形の形状とを比較することによって心拍、呼吸、寝姿勢、寝位置及び入離床等の生体情報を検出する。
【0003】
この生体情報検出装置はセンサー部1、信号生成回路部2、記憶部3、演算処理部4、体動検出部5、入力部6、出力部7を備える。寝具を介して伝播する生体に起因する圧力を検出するセンサー部1の出力に基づき時間経過に対する出力変化を示す測定波形が信号生成回路部2で生成され、この測定波形の形状パターン(素波形)と、記憶部3の基準波形記憶部31に予め記憶された、検出すべき生体情報に対応する生体の各個体に対し実質的に共通である基準波形の形状パターンとが、演算部4の体情報検出部41で比較される。
【0004】
図34は、この生体情報検出装置の処理手順を示すフローチャートである。周期的な測定と平均化等の信号処理による素波形の測定後に、この素波形と基準波形との比較を実行して素波形に対応する寝姿勢の判定が実行されて出力される。次に体動の検出が実行され、体動がない場合には心拍が検出出力される。体動の検出がある場合には、再度素波形と基準波形との比較が実行され、素波形に対応する寝姿勢の判定が実行されて出力された後、心拍が検出される。
【0005】
【特許文献1】特開2006−263454号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来装置における予め記憶される基準波形のパターンは、伏臥、横臥、仰臥等の典型的な寝姿勢のパターンに対応するものであり、寝返り等に伴って発生する四肢の複雑な動作、この動作のシーケンシャルな組み合わせパターンで構成される複合動作、複数の動作が重なり合わされて構成される複合動作等は、識別することができない。
【0007】
不眠症患者の特徴的な動作を識別することにより、症状を検査・確認するためは、就寝時に発生する身体の複雑な動作を識別して解析する必要があるが、従来装置に開示された技術では、このような治療情報を取得することはできない。
【0008】
本発明は上述した問題点を解決するためになされたものであり、就寝時に発生する身体各部の複雑な動作を詳細に識別可能な就寝時体動識別装置の実現を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
このような課題を達成するために、本発明は次の通りの構成になっている。
(1)就寝時における被験者の身体各部の動作を識別する就寝時体動識別装置において、
被験者の前記動作を計測して記憶する体動計測手段と、
前記体動計測手段から検出される時系列データを、所定の条件に従い時間区分して動作要素に分解して抽出する動作要素抽出手段と、
前記動作要素のモデルを記憶する動作要素モデル記憶手段と、
前記動作要素抽出手段で得られる動作要素と前記動作要素モデル記憶手段に記憶されている動作要素モデルとを比較して、前記動作要素を識別する動作要素識別手段と、
前記動作を構成する動作要素の発生順番に関するシーケンスモデルを記憶する動作シーケンスモデル記憶手段と、
前記動作要素識別手段から出力される動作要素の発生順番に関するシーケンスと、前記動作シーケンスモデル記憶手段に記憶されている動作要素の発生順番に関するシーケンスモデルとを比較して、前記動作を識別する動作識別手段と、
を備えることを特徴とする就寝時体動識別装置。
【0010】
(2)前記体動計測手段は、必要に応じて複数のセンサー手段を備えており、前記動作要素識別手段は、それらの複数のセンサー手段から検出される時系列データのうちで、当該動作要素発生期間において振幅が最大である時系列データを選択し、その時系列データより抽出された動作要素成分と、その振幅が最大の時系列データを検出したセンサー手段に対応した動作要素モデルとを比較し、それらの比較結果のうちで最も動作要素モデルに近似した比較結果を用いて前記動作要素を識別することを特徴とする(1)に記載の就寝時体動識別装置。
【0011】
(3)前記体動計測手段は、検出しようとする対象部位に応じて設置された複数センサー手段を備えており、前記動作要素識別手段は、それらのセンサー手段から検出される時系列データのうちで、その振幅が最大であるセンサー手段の設置場所が、前記動作の発生源に最も近い場所であると判断し、その動作発生源に最も近い場所に位置する部位に対応する動作要素モデルのうち、
(a)発生頻度の高い順
(b)振幅が大きい順
(c)発生頻度が高い順(第1優先)でかつ振幅が大きい順(第2優先)
のいずれかにより動作要素モデルを選択し、振幅が最大の時系列データの動作要素と動作要素モデルとを比較することを特徴とする(1)または(2)に記載の就寝時体動識別装置。
【0012】
(4)前記体動計測手段は、被験者の身体の下に設置された圧力センサー等の静的な圧力を検出できるセンサーを備えており、被験者に対して無拘束状態で身体各部の位置または身体各部の動きの方向、速度または加速度に関する情報を収集して前記動作要素抽出手段に渡すことを特徴とする(1)乃至(3)のいずれかに記載の就寝時体動識別装置。
【0013】
(5)前記動作要素抽出手段は、前記体動計測手段から検出される時系列データから生理的繰返し動作成分を検出すると共に、前記時系列データからその生理的繰返し動作成分を分離して前記動作のカテゴリー中の突発的動作成分を抽出することを特徴とする(1)乃至(4)のいずれかに記載の就寝時体動識別装置。
【0014】
(6)前記動作要素抽出手段は、被験者が動作した際に発生する、時間的に変化する振幅波形上での決められた条件として、
(a)振幅波形上で振幅の谷の極小点到達時点=振幅波形上で振幅の時間に関する1次導関数が負→0(ゼロ)→正に変化時の0(ゼロ)到達時点
または、
(b)振幅波形上で振幅の時間に関する2次導関数がある値以上の極大点到達時点
を時間区分の境界点として、動作開始時から境界点まで、または境界点から次の境界点まで、または境界点から動作終了時までの期間に、前記動作を時間区分して動作要素に分解して抽出することを特徴とする(1)乃至(5)のいずれかに記載の就寝時体動識別装置。
【0015】
(7)前記動作要素抽出手段は、前記体動計測手段から検出される時系列データの振幅波形の振幅がゼロまたはゼロ近傍でなくなった時から、次に振幅がゼロまたはゼロ近傍になるまでの期間を動作要素の抽出期間とし、その期間内における振幅波形上での前記境界点での時間間隔と振幅の大きさから短期的重畳動作要素を抽出することを特徴とする(6)に記載の就寝時体動識別装置。
【0016】
(8)前記動作要素抽出手段は、前記体動計測手段から検出される時系列データの振幅波形の振幅がゼロまたはゼロ近傍でなくなった時から、次に振幅がゼロまたはゼロ近傍になるまでの期間を動作要素の抽出期間とし、その期間内における振幅波形上での前記境界点での時間間隔と振幅の大きさから短期的重畳動作要素を検出し、その短期的重畳動作要素が発生している期間内における前記時系列データから短期的重畳動作要素を分離・除去した時系列データを抽出することを特徴とする(6)に記載の就寝時体動識別装置。
【0017】
(9)前記動作要素抽出手段は、前記体動計測手段から検出される時系列データの振幅波形の振幅がゼロまたはゼロ近傍でなくなった時から、次に振幅がゼロまたはゼロ近傍になるまでの期間を対象動作要素成分抽出期間とし、その期間内における前記時系列データから前記短期的重畳動作要素成分が分離・除去された時系列データの振幅波形の前記境界点の数に基づいて、前記短期的重畳動作要素成分が分離・除去された時系列データが単一の動作要素であるか、それとも複数の動作要素が重ね合わせされたものであるかを検出することを特徴とする(7)または(8)に記載の就寝時体動識別装置。
【0018】
(10)前記動作要素抽出手段は、前記時間区分により分解された期間内における動作要素の時系列データを、分解された期間の時間で正規化した時間波形、時系列データを時間/周波数変換することによって得られる周波数成分、周波数成分時間変化、または、それらの時間波形、周波数成分、周波数成分時間変化のうちの少なくとも2個の組み合わせを抽出することを特徴とする(7)乃至(9)のいずれかに記載の就寝時体動識別装置。
【0019】
(11)前記動作要素識別手段は、前記動作要素抽出手段で得られた時間波形、周波数成分または周波数成分時間変化を、前記動作要素モデル記憶手段に記憶されている時間波形モデル、周波数成分モデル、周波数成分時間変化モデル、またはそれらの2個以上の組合せと相関手法を用いて比較して、動作要素を識別することを特徴とする(1)乃至(10)のいずれかに記載の就寝時体動識別装置。
【0020】
(12)前記動作要素識別手段は、前記動作要素抽出手段で得られた複数の動作要素が重ね合わせされた複合形動作要素に対して、前記動作要素モデル記憶手段に記憶されている複数の動作要素モデルの重ね合わせ開始タイミング、個々の動作要素の時間長または振幅を調整した重ね合わせを行って複合形動作要素モデルを生成すると共に、前記複合形動作要素と比較し、両者の相関を基に前記複合形動作要素の個々の動作要素を識別することを特徴とする(1)乃至(11)のいずれかに記載の就寝時体動識別装置。
【0021】
(13)前記動作識別手段は、前記動作要素識別手段から出力される動作要素のシーケンスが、特定の動作に関連する動作要素が連続している場合でも、また連続せず離散している場合でも、時間的な発生順番が、前記動作シーケンスモデル記憶手段に記憶されている動作シーケンスモデルのうちの特定の動作のモデルと合致したら、前記動作要素識別手段から出力された直近の動作要素のシーケンスはその特定の動作に対応した動作要素のシーケンスであると識別することを特徴とする(1)乃至(12)のいずれかに記載の就寝時体動識別装置。
【0022】
(14)前記動作識別手段動作は、前記動作シーケンスモデル記憶手段に記憶されている上位階層に属する動作とこれに関連ある下位階層に属する動作または動作要素で構成される動作シーケンスモデルより前記下位階層に属する動作を抽出し、その出力を入力側にフィードバックすることにより、前記上位階層動作に属する動作を識別することを特徴とする(1)乃至(13)のいずれかに記載の就寝時体動識別装置。
【0023】
(15)前記動作要素識別手段または動作識別手段から出力される時間的にひとかたまりとなって同時または近接して発生する異なる複数の動作要素または動作よりなる複合動作を、集中的複合動作モデル記憶手段に記憶された集中的複合動作モデルを参照して識別する、集中的複合動作識別手段を備えることを特徴とする(1)乃至(14)のいずれかに記載の就寝時体動識別装置。
【0024】
(16)前記集中的複合動作識別手段は、集中的複合動作の構成要素である動作要素または動作の夫々の直近の一定時間内における発生時間合計値または発生回数に関する構成比率を格納した構成比率モデル記憶手段を参照し、前記抽出された複合動作との相関係数を算出し、その相関係数がある値以上であれば、集中的複合動作が直近の一定時間内に発生したと識別することを特徴とする(15)記載の就寝時体動識別装置。
【発明の効果】
【0025】
本発明の構成によれば、次のような効果を期待することができる。
(1)複雑な動作の識別が可能である。即ち、複雑な動作であっても、個々の動作が合成されたものである。その合成された時間波形を、逆に個々の動作および動作の構成要素である動作要素または複合形動作要素に分解する。さらに複合形動作要素は個々の動作要素に分解する。従って、複雑な動作であっても、それを構成する個々の動作または動作要素に分解することにより識別することができる。
【0026】
(2)並行動作の識別が可能である。即ち、一連の動作を構成する動作要素または動作の間に、それとは無関係の別の一連の動作を構成する動作要素または動作が発生した場合には、二組の一連の動作が並行していると認識して、夫々の一連の動作を構成する動作または動作要素を識別することができる。
【0027】
(3)複数の動きが重なり合っている場合でも動作の識別が可能である。即ち、複数の動きが重なり合っていても、生理的繰返し動作成分の分離・抽出・除去、短期的重畳動作要素成分の分離・抽出・除去ができるので、それらの成分が含まれていない動作要素を識別することができる。
【0028】
(4)生理的繰返し動作成分及び短期的重畳動作要素成分が含まれていない動作要素に対して、それが単一動作要素であるか、それとも複数の動作要素が重ね合わせされた複合動作要素であるかを識別することがきる。
【0029】
(5)複合動作要素の場合には、動作要素モデル記憶手段内の複数の動作要素モデルの重ね合わせ開始タイミング、個々の動作要素の時間長または振幅を調整して複数動作要素重ね合わせモデルを作り、その複数動作要素重ね合わせモデルと比較して、複数動作要素の個々の動作要素を識別することができる。
【0030】
(6)次の理由により動作要素の識別精度が高い。
・必要に応じて主情報センサー手段または補助情報センサー手段を追加できる構成になっている。
・生理的繰返し動作成分の分離・抽出・除去、短期的重畳動作要素成分の分離・抽出・除去ができるので、それらの成分が含まれていない動作要素を識別することになるので、識別精度が高まる。
・時間波形モデル、周波数成分モデル及び周波数成分時間変化モデルの3つのモデルを持っている。
・モデルとの比較方法として、次の4通りの方法を持っている。
(a)相関係数の大小比較
(b)相関関数の大小比較
(c)スペクトル波形の最大ピーク値周波数による比較
(d)スペクトル波形の分散(標準偏差)による比較
【0031】
(7)動作の階層化が任意にできるので利用しやすい。即ち、動作の定義が動作シーケンスモデルの内容によって決まることと、動作識別手段の出力情報が動作識別手段の入力としてフィードバックされていることにより、下位階層動作を直接用いて上位階層動作を任意に定義できる。即ち、任意に動作の階層構築が可能である。
【0032】
(8)集中的複合動作識別機能があるので、次の理由により不眠症の検査・確認への応用が可能である。
(a)被験者の身体全体の動きを検出しながら、身体各部の動きを検出できるので不眠症の検査・確認には有効である。加速度センサーだけで特定部位の動きを検出しても、身体全体の動きが分からないので、不眠症の検査・確認は困難である。
(b)集中的複合動作を識別できるので、不眠症のように特定の複数の動きが特定の時間に集中するような場合には有効である。例えば、睡眠時無呼吸症候群の場合には、呼吸が長期間停止した後の呼吸再開時には、激しい動きや大きないびきが発生する。
(c)睡眠時無呼吸症候群に関連する動作要素または動作を集中的複合動作モデルの構成要素とし、それらの各構成要素の特定時間内における発生時間合計値・発生回数を構成比率モデルとして記憶させておけば、睡眠時無呼吸に付随して発生する動作を集中的複合動作の一つとして識別できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
以下、本発明を図面により詳細に説明する。図1は、本発明を適用した就寝時体動識別装置の一実施形態を示す機能ブロック図である。図面による説明に先立って、本願発明で扱う就寝者の動作に関する定義を説明する。
【0034】
A.識別する動作の種類:
被験者の就寝時の主な動作は、突発的に発生する突発的動作と、生理現象として発生する生理的繰返し動作との2つに大きく分類される。生理的繰返し動作は、心拍、呼吸、いびきの3つである。突発的動作は、その動作を構成している動作要素または動作の組み合わせの違いにより、
(i)単一動作要素で構成される動作
(ii)連続する複数の動作要素で構成される動作
(iii)連続する複数の動作要素または動作で構成される連続動作
の3つに分類される。
【0035】
I.突発的動作の詳細:
(i)単一動作要素で構成される動作
1.脚をピクピクさせる
2.頭を動かす
3.肩を動かす
4.腰を動かす
5.上肢を動かす(移動する・縮める・伸ばす等)
6.手で身体を掻くまたは擦る
7.下肢を移動する
8.下肢を縮める
9.下肢を伸ばす
10.下肢を擦る
11.一方の足で他方の足または脚を擦る
12.仰臥→側臥への体位変換(縮めた下肢に力を入れて体を傾斜させる)
13.伏臥→側臥への体位変換(腕を伸ばして体を傾斜させる)
14.上肢で上半身を起こす
15.上肢で支えながら上半身を倒す
16.上半身の震え
17.下半身の震え
18.咳をする
19.寝言を言う
20.大声を出す
21.おならをする
【0036】
(ii)連続する複数の動作要素で構成される動作
1.上肢上げ・落下
2.上肢で寝具(ふとん、ベッド)を叩く
3.下肢上げ・落下
4.下肢で寝具(ふとん、ベッド)を叩く
5.蹴飛ばす
6.寝返り(側臥→仰臥)
7.寝返り(側臥→伏臥)
8.身体を縮める(背を丸める)
9.身体を伸ばす(背を伸ばす)
10.寝具(掛け布団、毛布等)を引き寄せる
11.寝具(掛け布団、毛布)を遠ざける
【0037】
(iii)連続する複数の動作要素または動作で構成される連続動作
1.寝返り(仰臥→伏臥)
2.寝返り(伏臥→仰臥)
【0038】
B.動作の分解:
本発明においては、まず、動作を識別するために、被験者の動きを時間区分して動作要素に分解する。生理的繰返し動作を除き、かつ、複数の動作が同時並行して発生していない単一動作の場合には、一つの動作は、基本的には、単一の動作要素または複数の連続する動作要素で構成される。なお、生理的繰返し動作は生理現象なので必ず発生するが、生理的繰返し動作成分の影響を除きたい場合には、生理的繰返し動作成分を検出して、その成分を分離したうえで、突発的動作を識別する。
【0039】
I.突発的動作
(i)単一動作要素で構成される動作
前記種類における(i)単一動作要素で構成される動作の項目1〜21と同一。
【0040】
(ii)連続する複数の動作要素で構成される動作
1.上肢上げ・落下
(a)上肢を上げる
(b)上肢落下
2.上肢で寝具(ふとん、ベッド)を叩く
(a)上肢を上げる
(b)上肢で叩く
3.下肢上げ・落下
(a)下肢を上げる
(b)下肢落下
4.下肢で寝具(ふとん、ベッド)を叩く
(a)下肢を上げる
(b)下肢で叩く
5.蹴飛ばす
(a)蹴り上げる
(b)下肢落下
(c)下肢落下リバウンド
6.寝返り(側臥→仰臥)
(a)回転(側臥→仰臥)
(b)上肢落下
(c)下肢落下
7.寝返り(側臥→伏臥)
(a)回転(側臥→伏臥)
(b)上肢落下
(c)下肢落下
8.身体を縮める(背を丸める)
(a)下肢を縮める〔単一動作要素〕
(b)仰臥→側臥への体位変換(縮めた下肢に力を入れて体を傾斜させる)〔単一動作要素〕
(c)上肢を動かす(縮める)〔単一動作要素〕〔単一動作要素〕
(d)下肢を縮める〔単一動作要素〕
9.身体を伸ばす(背を伸ばす)
(a)下肢を伸ばす〔単一動作要素〕
(b)上肢を伸ばす〔単一動作要素〕
(c)回転(側臥→仰臥)
(d)上肢落下
(e)下肢落下
10.寝具(掛け布団、毛布)を引き寄せる
(a)上肢を動かす〔単一動作要素〕
(b)上肢で寝具(掛け布団、毛布)をつかむ
(c)下肢を縮める〔単一動作要素〕
(d)上肢で寝具(掛け布団、毛布)を引き寄せる
(e)上肢を動かす〔単一動作要素〕
(f)下肢を伸ばす〔単一動作要素〕
11.寝具(掛け布団、毛布)を遠ざける
(a)上肢を動かす〔単一動作要素〕
(b)上肢で寝具(掛け布団、毛布)を遠ざける
(c)上肢落下
(d)下肢を縮める〔単一動作要素〕
(e)下肢で寝具(掛け布団、毛布)を遠ざける
(f)下肢落下
【0041】
(iii)連続する複数の動作要素または動作で構成される動作
1.寝返り(仰臥→伏臥)
(a)下肢を縮める〔単一動作要素〕
(b)仰臥→側臥への体位変換(片方の下肢に力を入れて体を傾かせる)〔単一動作要素〕
(c)寝返り(側臥→伏臥)〔動作〕
(c−1)回転(側臥→伏臥)
(c−2)上肢落下
(c−3)下肢落下
2.寝返り(伏臥→仰臥)
(a)上肢を動かす(縮める)〔単一動作要素〕
(b)伏臥→側臥への体位変換(片方の上肢に力を入れて体を傾かせる)〔単一動作要素〕
(c)寝返り(側臥→仰臥)〔動作〕
(c−1)回転(側臥→仰臥)
(c−2)上肢落下
(c−3)下肢落下
【0042】
II.生理的繰返し動作
生理的繰返し動作の場合には、その動作を構成する動作要素が継続的に繰り返される。例えば、呼吸動作の場合には、“空気を吸い込む”、“空気を吐き出す”という動作要素が、継続的に繰り返される。
【0043】
発生の都度、それらの継続的に繰返される動作要素情報を出力すると、その動作が続く限り、繰返し出力することになる。それでは、利用する者にとっては、無駄な情報を処理しなければならなくなる。そこで、生理的繰返し動作の場合には、突発的動作の場合とは異なり、生理的繰返し動作の開始時と停止時にのみ動作要素情報を出力するようにする。
【0044】
1.心拍
(a)心拍開始
(b)心拍停止
2.呼吸
(a)呼吸開始
(b)呼吸停止
3.いびき
(a)いびき開始
(b)いびき停止
【0045】
C.動作要素の種類:
動作要素は、突発的動作の動作要素と生理的繰返し動作の動作要素に分類される。さらに、突発的動作の動作要素は、単一で動作構成可能な動作要素と単一で動作構成不可能な動作要素(複数連続して動作構成可能な動作要素)に分類される。単一で動作構成可能な動作要素は、その動作要素単独で、一つの動作を完結することができる。
【0046】
それに対して、単一で動作構成不可能な動作要素(複数連続して動作構成可能な動作要素)の場合には、その動作要素に付随して、その次に別の動作要素が必ず連続して発生する。生理的繰返し動作の動作要素は、突発的動作の場合とは異なり、生理的繰返し動作(心拍、呼吸、いびき)の開始と停止を知らせることだけに限定する。
【0047】
I.突発的動作の動作要素
(i)単一で動作構成可能な動作要素
1.脚をピクピクさせる
2.頭を動かす
3.肩を動かす
4.腰を動かす
5.上肢を動かす(移動する・縮める・伸ばす等)
6.手で身体を掻くまたは擦る
7.下肢を移動する
8.下肢を縮める
9.下肢を伸ばす
10.下肢を擦る
11.一方の足で他方の足または脚を擦る
12.仰臥→側臥への体位変換(縮めた下肢に力を入れて体を傾斜させる)
13.伏臥→側臥への体位変換(腕を伸ばして体を傾斜させる)
14.上肢で上半身を起こす
15.上肢で支えながら上半身を倒す
16.上半身の震え
17.下半身の震え
18.咳をする
19.寝言を言う
20.大声を出す
21.おならをする
【0048】
(ii)単一で動作構成不可能な動作要素(複数連続して動作構成可能な動作要素)
1.上肢を上げる
2.上肢落下
3.上肢で叩く
4.下肢を上げる
5.蹴り上げる
6.下肢落下
7.下肢落下リバウンド
4.下肢で叩く
8.回転(側臥→仰臥)
9.回転(側臥→伏臥)
10.上肢で寝具(掛け布団、毛布)をつかむ
11.上肢で寝具(掛け布団、毛布)を引き寄せる
12.上肢で寝具(掛け布団、毛布)を遠ざける
13.下肢で寝具(掛け布団、毛布)を遠ざける
【0049】
II.生理的繰返し動作の動作要素
1.心拍開始
2.心拍停止
3.呼吸開始
4.呼吸停止
5.いびき開始
6.いびき停止
【0050】
D.動作要素と動作との関係:
同じ動作要素でも、それ単独で動作になる場合もあるし、また一つの動作を構成する複数の動作要素のうちの一つである場合もある。例えば、
(a)上肢を動かす(移動する・縮める・伸ばす等)
(b)下肢を縮める
(d)仰臥→側臥への体位変換(縮めた下肢に力を入れて体を傾斜させる)
(e)伏臥→側臥への体位変換(腕を伸ばして体を傾斜させる)
その区別は、その動作要素の直前または直後に、その動作要素を構成要素として持つ動作に関連する動作要素が連続しているかどうかによる。
連続している場合には、その動作要素は、一つの動作を構成する複数の動作要素のうちの一つの動作要素である。連続していない場合には、その動作要素単独で動作である。
【0051】
E.動作の識別:
一つの動作を構成する一つ以上の動作要素または動作の順序付けられた組み合わせを検出したら、その動作として識別開始する。その動作を識別開始してから、その動作に関連ある動作要素または動作が一定時間以上検出されない場合には、その動作は中断または終了したと判断する。中断した場合には、その動作は、識別不能動作として認識する。
【0052】
ここでは、その動作に関連ある動作要素または動作を初めて検出した時点から、その動作に関連ある最後の動作要素または動作が終了した時点までの時間を、その一つの動作の動作時間と定義する。
【0053】
F.並行動作の識別:
(a)就寝時の被験者の身体各部の動きは、それぞれが独立して動くことが多い。“寝返り”のように、上半身の体位変換に付随して上肢、下肢が連動して動く場合もあるが、“上肢を動かす”、“下肢を伸ばす”、“下肢を縮める”などの上肢、下肢の動きのように、独立して個別に動く場合が多い。したがって、別々の動作が並行して発生し、それらを構成する動作要素も並行して発生する。すなわち、複数の異なる動作の動作要素が入り混じって検出される。
(b)動作識別手段では、一つの動作を構成する動作要素または動作の間に、別の動作を構成する動作要素または動作を検出したら、それは別動作の構成要素であると区別して、その別動作も含めて、複数の異なる動作を並行して識別する。そのため、並行して進む複数の動作の検出、識別が可能である。
【0054】
G.動作の階層化:
(a)動作要素、動作、その上位の動作、さらにその上位の動作、…と階層構成が可能である。
(b)動作要素の組合せで第1階層の動作は構成される。その上位の第2階層の動作は、動作要素または第1階層の動作の組合せで構成される。さらにその上位の第3階層の動作は、動作要素、第1階層の動作または第2階層の動作の組合せで構成される。さらにその上位の第4階層の動作は、動作要素、第1階層の動作、第2階層の動作または第3階層の動作の組合せで構成される。以下、同様に、第5階層の動作、第6階層の動作、…と構成され、動作の階層化が可能である。
【0055】
H.集中的複合動作の識別:
時間的にひとかたまりとなって同時または近接して発生する異なる複数の動作で構成された動作を、ここでは“集中的複合動作”と名づける。
(a)集中的複合動作構成要素の発生時間合計値、発生回数の計数:
関連ある複数の(動作要素を含む)動作で構成される集中的複合動作に属し、その構成要素である各動作要素または各動作の発生時間合計値または発生回数を計数する。
(b)一定時間内発生検出:
限られた時間内で、関連ある複数の(動作要素を含む)動作が発生することを特徴とする集中的複合動作に属し、その限られた時間内での、その構成要素である各動作要素または各動作の発生時間合計値または発生回数に関する構成比率と、集中的複合動作の構成比率モデルとを比較することにより、集中的複合動作であるかどうかを識別する。
【0056】
以下、図面により本発明の具体的な構成を説明する。図1は、本発明が適用された就寝時体動識別装置の全体構成図である。就寝時体動識別装置100は、体動計測手段200、動作要素抽出手段300、動作要素識別手段400、動作要素モデル記憶手段500、動作識別手段600、動作シーケンスモデル記憶手段700、集中的複合動作識別手段800、集中的複合動作モデル記憶手段900、構成比率モデル記憶手段900、出力手段1000により構成されている。
【0057】
体動計測手段200は、被験者に対して例えば周知の無拘束(被験者に取り付けない)センサーで、被験者の動作を計測する。動作要素抽出手段300は、体動計測手段200から得られる時系列データを、(時間的に変化する)振幅波形上での決められた条件に従い、動作を時間区分して動作要素に分解する。そして、その区分された期間における動作要素の時間波形、周波数成分または周波数成分時間変化を抽出する。
【0058】
動作要素モデル記憶手段500は、各動作要素の時間波形モデル、周波数成分モデルまたは周波数成分時間変化モデルを記憶する。動作要素識別手段400は、動作要素抽出手段300で得られる時間波形、周波数成分または周波数成分時間変化と、動作要素モデル記憶手段に記憶されている時間波形モデル、周波数成分モデルまたは周波数成分時間変化モデルとを比較して、動作要素を識別する。
【0059】
動作シーケンスモデル記憶手段700は、各動作を構成する一つ以上の(動作を含む)動作要素およびそれらの(動作を含む)動作要素の発生順番に関する動作シーケンスモデルを記憶する。動作識別手段600は、動作要素識別手段400で得られる動作要素モデル対応コードの順番と、動作シーケンスモデル記憶手段700に記憶されている動作シーケンスモデルとを比較して、動作を識別する。
【0060】
集中的複合動作モデル記憶手段900は、集中的複合動作に属する(動作要素を含む)動作を示すモデルを記憶する。構成比率モデル記憶手段1000は、集中的複合動作に属している(動作要素を含む)動作の限られた時間内での発生時間合計値または発生回数に関する構成比率のモデルを記憶する。
【0061】
集中的複合動作識別手段800は、動作要素識別手段400で得られた(動作要素を含む)動作が、集中的複合動作モデル記憶手段900に記憶されている集中的複合動作モデルで指定された複数の(動作要素を含む)動作で構成される集中的複合動作に属しているかを調べ、属している場合には、その(動作要素を含む)動作の発生時間合計値または発生回数を更新する。
【0062】
また、限られた時間内での、その構成要素である各動作要素または各動作の発生時間合計値または発生回数に関する構成比率と、構成比率モデル記憶手段1000に記憶されている集中的複合動作の構成比率モデルとを比較することにより、集中的複合動作を識別する。
【0063】
出力手段1100は、体動計測手段出力の主データ情報、補助データ情報、動作要素抽出手段出力の動作要素抽出情報、動作要素識別手段出力の動作要素識別情報、動作識別手段出力の動作識別情報、集中的複合動作識別手段出力の集中的複合動作識別情報を出力する。
【0064】
図2は、体動計測手段200の構成例を示す能ブロック図である。体動計測手段200は、寝具Mを介して取得される被験者Hの体動に関する情報Sを計測する手段であり、センサー手段201、センサー情報変換手段202、A/D変換データ記憶手段203及び時計手段204で構成されている。
【0065】
センサー手段201は、主情報を検出するための主情報センサー手段201aと補助情報を検出するための補助情報センサー手段201bで構成される。ここで主情報とは、体動に伴って発生する圧力変動に関する情報であり、補助情報とは、身体各部の位置、身体各部の動作方向、動作速度、動作加速度、寝姿(仰臥位、伏臥位、左側臥位、右側臥位)
に関する情報である。
【0066】
主情報センサー手段201aとしては、一つのセンサー手段だけでも、被験者の身体の下に被験者に対して無拘束(被験者に取り付けない)状態で、被験者の身体各部の動きを検出可能なセンサー手段を用いることができる。
【0067】
体動に伴って発生する圧力変動、振動、音、気体または液体を封入した袋または管内の圧力変動、または、袋または管に出入りする気体の流量(流速)変動を、圧力センサー、圧電素子、振動センサー、マイクロフォン、流量(流速)センサーのいずれかの1つを用いる。また、必要に応じて複数個、または、それらの異なるセンサー複数個の組み合わせを用いる。
【0068】
複数のセンサー手段からの夫々の検出信号に対応して動作要素を抽出し、夫々のセンサー手段に対応した動作要素モデルと比較し、それら複数の比較結果のうちで、最も動作要素モデルに近似した比較結果を用いて動作要素を識別する。
【0069】
むずむず脚症候群の症状を検査・確認する場合には、足または脚部の近くに、また、睡眠時無呼吸症候群の症状を検査・確認する場合には、胸部の近くに主情報センサー手段を設置する。検出しようとする対象部位に応じて主情報センサー手段を設置し、それらのセンサー手段からの検出信号のうちで、その検出信号の振幅が最大であるセンサー手段の設置場所が、動作発生源に最も近い場所であると判断することにより、動作要素識別精度を高めることができる。
【0070】
身体各部位置検出センサーとしての補助情報センサー手段201bは、被験者の身体の下に圧力センサーまたは圧電素子を設置して、被験者に対して無拘束(被験者に取り付けない)状態で、被験者の身体各部の荷重による位置の検出情報を収集することができる。
【0071】
この補助情報センサー手段の情報を用いると、動作要素識別における比較対象動作要素モデルの絞込みが可能なので、比較回数を減らせることによる処理速度の向上と動作要素識別精度を高めることができる。
【0072】
身体各部動作検出センサーとしての補助情報センサー手段201bは、被験者の身体の下に圧力センサーを設置して、被験者に対して無拘束(被験者に取り付けない)状態で、被験者の身体各部の水平動作の方向、速度または加速度に関する情報、または身体各部の垂直動作の加速度成分に関する情報を収集して動作要素識別の処理速度向上と識別精度を高めることができる。
【0073】
複数の測定点の間の変化量を測定することにより、身体各部の水平動作の方向、速度、加速度を検出することができる。更に、複数の測定点における夫々の絶対圧の増減、変化量を測定することにより、身体各部の垂直動作の加速度を検出することができる。
【0074】
加速度の違いにより、“下肢落下”、“下肢落下リバウンド”、と“下肢で叩く”との違いを、また“上肢落下”と“上肢で叩く”との違いを識別することができる。
【0075】
寝姿検出センサーとしての補助情報センサー手段201bは、図12で後述するように、
被験者の寝巻き、パジャマの背中部分に、磁石を取り付けて、被験者の寝姿(仰臥位、伏臥位、左側臥位、右側臥位)に関する情報を収集して動作要素識別の処理速度向上と識別精度を高めることができる。
【0076】
以下、図3乃至図13により本発明により計測される体動情報の例を説明する。
図3は、下肢の伸縮動作を計測する圧力センサーの出力特性図である。被験者が“下肢を縮める”場合と“下肢を伸ばす”場合の、マット、ふとん等の寝具の下に設置されている圧力センサーによって計測される圧力変動の振幅と時間の関係を示す。
【0077】
図4は、蹴飛ばし動作を計測する圧力センサーの出力特性図である。被験者が“蹴飛ばす”場合の、マット、ふとん等の寝具の下に設置されている圧力センサーによって計測される圧力変動の振幅と時間の関係を示す。“蹴飛ばす”という動作が、“蹴り上げる”、“下肢落下”および“下肢落下リバウンド”という3つの動作要素で構成されている例を示している。
【0078】
図5は、寝返り動作を計測する圧力センサーの出力特性図である。被験者が、“側臥位から伏臥位への寝返り”の場合の、マット、ふとん等の寝具の下に設置されている圧力センサーによって計測される圧力変動の振幅と時間の関係を示す。
【0079】
“側臥位から伏臥位への寝返り”という動作が、“側臥位から伏臥位への回転”、“上肢落下”および“下肢落下”という3つの動作要素で構成されている例を示す。
“側臥位から伏臥位への回転”という動作要素に伴い、その後半部分において、“上肢落下”および“下肢落下”という2つの動作要素が、“側臥位から伏臥位への回転”という動作要素に重なり合っている例を示している。
【0080】
図6は、圧力変動に伴う1次導関数及び2次導関数を示す特性図である。一つの単純な動作要素の場合の、圧力変動の振幅y=f(t)、その1次導関数f’(t)および2次導関数f”(t)を示している。
【0081】
図7は、前の動作要素と直後の動作要素が続いている場合の1次導関数及び2次導関数を示す特性図である。前の動作要素とその直後の動作要素が続いている場合の、圧力変動の振幅y=f(t)、その1次導関数f’(t)および2次導関数f”(t)を示している。
【0082】
図8は、前の動作要素と直後の動作要素が一部重なっている場合の1次導関数及び2次導関数を示す特性図である。前の動作要素とその後の動作要素が一部重なり合っている場合の、圧力変動の振幅y=f(t)、その1次導関数f’(t)および2次導関数f”(t)を示している。
【0083】
図9は、振幅が単調増加している動作要素に別の動作要素が重なっている場合の1次導関数及び2次導関数を示す特性図である。振幅が単調増加している動作要素に別の動作要素が重なり合った場合の、圧力変動の振幅y=f(t)、その1次導関数f’(t)および2次導関数f”(t)を示している。
【0084】
図10は、振幅が単調減少している動作要素に別の動作要素が重なっている場合の1次導関数及び2次導関数を示す特性図である。振幅が単調減少している動作要素に別の動作要素が重なり合った場合の、圧力変動の振幅y=f(t)、その1次導関数f’(t)および2次導関数f”(t)を示している。
【0085】
図11は、被検者の動きを計測する複数個の圧力センサーの出力特性図である。補助センサー手段として、同一種類の圧力センサー3個を用いた例を示す。マット、ふとん等の寝具の下、A点に圧力センサー1、B点に圧力センサー2、C点に圧力センサー3が設置されている。この例では、被験者の足が、A点→B点→C点へ移動する場合、すなわち“下肢を伸ばす”場合のA点、B点、C点における圧力の時間的変化を示している。
【0086】
身体各部の位置に関する情報を収集する手段としては、次の手法がある。
・被験者の下に圧力センサーまたは圧電素子を設置する。
・圧力センサーを用いて、各点の圧力を計測することによって、身体各部の位置を検出する。
・圧電素子を用いて、各点の圧力の有無を検出することによって、身体各部の位置を検出する。
【0087】
身体各部の動きの方向・速度に関する情報を収集する手段としては、次の手法がある。
・被験者の下に圧力センサーまたは圧電素子を設置する。
・圧力センサーを用いて、各点の圧力の時間的変化を計測することによって、身体各部の動きの方向と速度を検出する。
・圧電素子を用いて、各点の圧力の有無の時間的変化を検出することによって、身体各部の動きの方向と速度を検出する。
【0088】
圧力値の加速度成分に関する情報を収集する手段としては、次の手法がある。
・被験者の下に圧力センサーを設置する。
・圧力センサーを用いて、同一点における圧力値の加速度成分を計測することによって、“下肢落下”、“下肢落下リバウンド”と“下肢で叩く”との違いを、また“上肢落下”と“上肢で叩く”との違いを検出することができる。
【0089】
図12は、就寝者の頭部の姿勢変化を計測するセンサーのイメージ図であり、仰向け/うつ伏せ/左側臥位/右側臥位状態検出に関するイメージを示している。就寝者Hの身体又は着衣(パジャマの背中又は襟部分)に貼り付け(取り付け)られた板状磁石Gによる磁界強度を、装置に取り付けられた互いに直交する2つの検出コイルL1及びL2によって検出・極性弁別して、仰向け/うつ伏せ状態、左側臥位/右側臥位状態を検出・識別する。
【0090】
図12(A)は、垂直方向に取り付けられた検出コイルL1により垂直方向の磁界強度を検出・極性弁別することによって、仰向け/うつ伏せ状態を検出・識別するイメージを示している。図12(B)は、水平方向に取り付けられた検出コイルL2で水平方向の磁界強度を検出・極性弁別することによって、左側臥位/右側臥位状態を検出・識別するイメージを示している。
【0091】
図13は、図12の計測による姿勢計測パターンを示す表である。この表は、姿勢変化に対応した検出コイルL1及びL2による磁界強度検出値の遷移状態を示している。この表で明らかなように、検出値の極性弁別の組み合わせで仰向け/うつ伏せ状態、左側臥位/右側臥位状態を識別することができる。
【0092】
図2に戻り、センサー情報変換手段202は、マルチプレクサ手段202aとA/D変換手段202bで構成される。マルチプレクサ手段202aは、センサー手段201からの出力である主情報1〜m、補助情報1〜nの一つを選択して、A/D変換手段202bに送出する。
【0093】
A/D変換手段202bは、マルチプレクサ手段202aで選択されたアナログデータをデジタルデータに変換する。A/D変換データ記憶手段203は、記憶開始時点から記憶終了時点までの間、A/D変換データと時刻データを記憶する。時計手段204は、内部クロックを用いて時刻データを出力する。
【0094】
図14は、A/D変換データ記憶手段203の構成例を示す機能ブロック図である。A/D変換データ記憶手段203は、(主データ+時刻)情報記憶手段203a、(補助データ+時刻)情報記憶手段203b、記憶制御手段203cで構成されている。
【0095】
(主データ+時刻)情報記憶手段203aは、主情報1〜mのA/D変換データと時刻データを記憶する。(補助データ+時刻)情報記憶手段203bは、補助情報1〜nのA/D変換データと時刻データを記憶する。
【0096】
記憶制御手段203cは、装置の外部または内部から発せられる記憶開始信号を検出してから記憶終了信号を検出するまでの期間、前記各の情報記憶手段203a,203bにA/D変換データを一定周期で記憶させるための記憶制御信号を出力する。また、A/D変換データの値の大小によって記憶を制御することも可能である。
【0097】
A/D変換データ記憶手段203では、記憶開始信号が出力されると各情報記憶手段への書込みが開始され、記憶終了信号が出力されると書込みを止める。記憶開始信号および記憶終了信号は、外部から制御される場合、入床・離床を検出したら自動的に制御されて書込み開始・終了する場合等がある。
【0098】
A/D変換データ記憶手段203に記憶された体動情報に関するA/D変換データは、動作要素抽出、動作要素識別等の処理において、必要に応じて何度でも同一A/D変換データとその発生時刻を読出しできる。
【0099】
A/D変換データ記憶手段203では、このA/D変換データ記憶手段からの体動情報読出し時に、下記(1)〜(3)のいずれかの方式により、その体動情報の発生時刻を特定できる。
(1)体動情報に時刻情報を付加し、体動情報と時刻情報を一体にして、同一タイミングでA/D変換データ記憶手段に格納する方式。
格納(書込み)タイミング 格納(書込み)データ
t1: 体動情報1+時刻情報1
t2: 体動情報2+時刻情報2
・・・ ・・・・・・・・・・・
tn: 体動情報n+時刻情報n
【0100】
(2)体動情報の区切りとして、体動情報の直前または直後に、体動情報開始情報、体動情報終了情報または時刻情報を付けてA/D変換データ記憶手段に格納する方式。
格納(書込み)タイミング 格納(書込み)データ
t1: 開始情報
t2: 記憶開始時刻情報
t3: 体動情報1
t4: 体動情報2
・・・ ・・・・・・・・・・・
tn+2: 体動情報n
tn+3: 終了情報
【0101】
(3)体動情報を記憶するA/D変換データ記憶手段とは別の手段で、記憶開始時刻情報および記憶情報数を記憶しておき、A/D変換データ記憶手段から体動情報読出し時に、時刻情報を算出して体動情報に時刻情報を付加する方式。
【0102】
A/D変換データ記憶手段203に対する制御として、体動情報に関するA/D変換データの値の大小によって、A/D変換データ記憶手段への格納(書込み)を制御することができる。
【0103】
即ち、大きな動きのみを識別したい場合には、小さな動きに関する情報は不要である。また、離床時には体動情報が発生しないので、A/D変換データは、“ゼロ”になる。これらの場合に、A/D変換データの値の大小によって記憶を制御できることにより、不要な情報を記憶しないで済む。このことにより、記憶手段の記憶容量を減らすことが可能となる。
【0104】
図15は、動作要素抽出手段300の構成例を示す機能ブロック図である。動作要素抽出手段300は、突発的動作成分抽出手段301、動作要素境界点検出手段302、対象動作要素成分抽出手段303、時間波形データ正規化手段304、時間/周波数変換手段305、主データ記憶手段306、補助情報記憶手段307で構成されている。
【0105】
動作要素抽出手段300の機能は、一連の動作が始まってから終了するまでの期間、体動計測手段から得られる時系列データを、(時間的に変化する)振幅波形上での決められた条件に従い、動作を時間区分して動作要素に分解する。
【0106】
それらの動作要素から生理的繰返し動作の動作要素を検出・分離して、突発的動作要素を抽出する。抽出された突発的動作要素を正規化した時間波形データ、それを時間/周波数変換した周波数成分データを記憶する。
【0107】
A/D変換データ記憶手段203から渡される(主データ+時刻)情報には、突発的に発生する突発的動作成分と、生理現象として発生する生理的繰返し動作成分とが含まれている。
【0108】
突発的動作成分が微小な場合には、生理的繰返し動作成分の影響を受けないようにするために、生理的繰返し動作成分を除去したい場合がある。そのような場合には、生理的繰返し動作成分を除去し、突発的動作成分のみを抽出する、突発的動作成分抽出手段301が必要となる。
【0109】
動作要素境界点検出手段302では、突発的動作成分の境界点を検出する。対象動作要素成分抽出手段303では、その境界点により突発的動作成分を時間区分して動作要素に分解し、対象とする動作要素成分のみを抽出し、境界点情報も加えた(主データ+時刻+境界点)情報を出力する。
【0110】
時間波形データ正規化手段304では、(主データ+時刻+境界点)情報の時間波形データの時間軸を動作要素時間(動作要素の開始から終了までの時間)で正規化する。時間/周波数変換手段305では、(主データ+時刻+境界点)情報の主データを周波数成分データに変換する。
【0111】
正規化された時間波形データは、主データ記憶手段306の時間波形データ記憶手段306aに、周波数成分データは周波数成分データ記憶手段306bに、時刻情報も一緒に主情報の信号数だけ格納される。
【0112】
A/D変換データ記憶手段203から渡される(補助データ+時刻)情報は、補助データの信号数だけ、生理的繰返し動作成分情報(いびき情報、呼吸情報、心拍情報)は主データの信号数だけ、補助情報記憶手段307に、時刻情報も一緒に格納される。
【0113】
図16は、突発的動作要素抽出手段301の構成例を示す機能ブロック図である。突発的動作成分抽出手段301は、生理的繰返し動作成分検出手段301a、いびき検出手段301b、呼吸検出手段301c、心拍検出手段301d、生理的繰返し動作成分記憶手段301e、生理的繰返し動作成分除去手段301fで構成されている。
【0114】
生理的繰返し動作成分検出手段301aは、生理現象として発生する生理的繰返し動作成分を検出する。即ち、上半身(特に胸部)から離れた部位に設置された主情報センサー手段、または、身体各部位置検出センサー、身体各部動作検出センサー等の補助情報センサー手段からの情報を基にして、突発的動作成分が含まれていないことが確認された場合には、(主データ+時刻)情報の体動情報は、純粋な生理的繰返し動作成分のみであることを検出し、この生理的繰返し動作成分を出力して、生理的繰返し動作成分記憶手段301eに記憶させる。
【0115】
逆に、突発的動作成分が含まれている場合には、胸部近くに設置されたマイクロフォンなどの主情報センサー手段から得られる生理的繰返し動作に関する情報を基にして、直近の生理的繰返し動作成分の振幅、周期、タイミング(時刻)を修正して、近似的な生理的繰返し動作成分を出力し、生理的繰返し動作成分記憶手段301eに記憶させる。
【0116】
いびき検出手段301bは、いびきを検出し、いびき開始時といびき停止時に、いびき情報を出力する。呼吸検出手段301cは、呼吸を検出し、呼吸開始時と呼吸停止時に、呼吸情報を出力する。心拍検出手段301dは、心拍を検出し、心拍開始時と心拍停止時に、心拍情報を出力する。
【0117】
生理的繰返し動作成分記憶手段301eは、純粋な生理的繰返し動作成分のみを記憶するために、突発的動作成分が含まれていない場合の数呼吸前からの生理的繰返し動作成分が記憶される。突発的動作成分が含まれている期間は記憶しない。
【0118】
生理的繰返し動作成分除去手段301fは、一方の入力である(主データ+時刻)情報から、すでに生理的繰返し動作成分記憶手段に記憶されている、その(主データ+時刻)情報と同一時刻の生理的繰返し動作成分を除去して、(突発的動作成分+時刻)情報を出力する。
【0119】
従って、(主データ+時刻)情報に突発的動作成分が含まれていない場合には、生理的繰返し動作成分がそのまま除去されるので、出力である(突発的動作成分+時刻)情報の突発的動作成分はゼロとなる。
【0120】
(主データ+時刻)情報に突発的動作成分が含まれている場合には、胸部近くに設置されたマイクロフォンなどの主情報センサー手段からの情報を基にして、直近の生理的繰返し動作成分の振幅、周期、タイミング(時刻)が修正された近似的な生理的繰返し動作成分を用いて除去される。
【0121】
図17は、動作要素境界点検出手段302の構成例を示す機能ブロック図である。動作要素境界点検出手段302は、極小点検出手段302a、微分手段302b、微分手段302c、比較手段302d、極大点検出手段302e、論理和手段302fで構成されている。
【0122】
極小点検出手段302aは、突発的動作要素抽出手段301から渡される(突発的動作成分+時刻)情報の突発的動作成分の時間波形の極小点を検出する。微分手段302bは、(突発的動作成分+時刻)情報の突発的動作成分に対して微分し、1次導関数f'(t)を出力する。
【0123】
微分手段302cは、(突発的動作成分+時刻)情報の突発的動作成分の1次導関数f’(t)に対して再度微分し、2次導関数f”(t)を出力する。比較手段302dで前記2次導関数f”(t)と閾値との大小を比較して、2次導関数f”(t)が閾値以上の場合には、”f”(t)一定値以上”という比較結果を出力する。
【0124】
極大点検出手段302eは、2次導関数f"(t)が一定値以上の期間内における極大点を検出する。論理和手段302fは、“極小点検出”と“極大点検出”との論理和を取って“境界点”を検出する。
【0125】
動作要素境界点検出手段302は、被験者が動作した際に発生する、時間的に変化する振幅波形上での決められた条件として、下記(1)または(2)の時点を時間区分の境界点として、動作開始時から境界点まで、境界点から次の境界点まで、または境界点から動作終了時までの期間に、動作を時間区分して、動作要素に分解する。
【0126】
(1)(時間的に変化する)振幅波形上で振幅の谷の極小点到達時点=(時間的に変化する)振幅波形上で振幅の時間に関する1次導関数が、負→0(ゼロ)→正に変化時の0(ゼロ)到達時点。
(2)(時間的に変化する)振幅波形上で振幅の時間に関する2次導関数がある値以上の極大点到達時点。
【0127】
動作要素境界点を検出する場合、振幅波形の高周波信号成分を取り除くために、高周波信号成分を遮断するフィルタをかけなければならない場合もある。その場合には、必要に応じたフィルタ手段を用いることができる。
【0128】
図18は、対象動作要素成分検出手段303の構成例を示す機能ブロック図である。対象動作要素成分抽出手段303は、抽出対象動作要素検出・記憶手段303a、短期的重畳動作要素成分除去手段303b、短期的重畳動作要素成分記憶手段303c、選択手段303d、境界点計数手段303eで構成されている。
【0129】
抽出対象動作要素検出・記憶手段303aは、突発的動作要素抽出手段301から渡される(突発的動作成分+時刻)情報の突発的動作成分情報を基に、動作が始まってから終了するまでの期間の(突発的動作成分+時刻)情報と境界点情報を記憶する。
【0130】
短期的重畳動作要素成分除去手段303bは、抽出対象動作要素検出・記憶手段303aからの出力である(突発的動作成分+時刻+境界点)情報から、上肢落下、下肢落下等の短期的重畳動作要素成分を除去する。
【0131】
短期的重畳動作要素成分記憶手段303cは、短期的重畳動作要素成分情報、時刻情報および境界点情報を記憶する。選択手段303dは、次の動作要素識別手段400での動作要素識別に必要な情報を出力するために、短期的重畳動作要素成分を除去した突発的動作成分または短期的重畳動作要素成分そのものを選択し、(主データ+時刻+境界点)情報として出力する。
【0132】
境界点計数手段303eは、抽出対象動作要素検出・記憶手段303aで検出される境界点の数から短期的重畳動作要素成分除去手段303bで検出される境界点の数を引き、その減算結果に基づいて“複合モード”信号を出力する。
【0133】
“複合モード”信号が出力されている場合には、短期的重畳動作要素成分除去手段か303bら出力されている動作要素情報は、複数の動作要素が重ね合わせされた複合形動作要素であることを示す。逆に、“複合モード”信号が出力されていない場合には、短期的重畳動作要素成分除去手段から出力されている動作要素情報は、単一の動作要素であることを示す。
【0134】
対象動作要素成分抽出手段303の機能は、体動情報に関する時系列データの振幅波形の振幅がゼロまたはゼロ近傍でなくなった時から、次に振幅がゼロまたはゼロ近傍になるまでの期間、すなわち、動作が始まってから終了するまでの期間を対象動作要素成分抽出期間とし、その期間内における振幅波形上での境界点の時間間隔と振幅の大きさから短期的重畳動作要素を検出し、短期的重畳動作要素成分を抽出する。
【0135】
その抽出された短期的重畳動作要素成分を、体動情報に関する時系列データから除去する。その短期的重畳動作要素成分が分離・除去された時系列データの振幅波形の境界点の数より、短期的重畳動作要素成分が分離・除去された時系列データが単一動作要素であるか、それとも複数の動作要素が重ね合わせされたものであるかを検出する。
【0136】
短期的重畳動作要素とは、寝返りに付随して発生する“上肢落下”や“下肢落下”のような動作要素であり、大元の動作要素と比較すると時間的に短く、急峻な振幅波形を示すものであり、図5にその例を示す。同図の“上肢落下”、“下肢落下”が短期的重畳動作要素である。
【0137】
図15に戻り、時間波形データ正規化手段304、時間/周波数変換手段305、主データ記憶手段306は次の機能を備える。
(1)時間波形データ正規化:動作要素境界点検出手段で時間区分して分解された期間内における動作要素の時系列データを、分解された期間の時間、すなわち動作要素時間(動作要素の開始から終了までの時間)で正規化する。
(2)時間/周波数変換:動作要素の時系列データの時間/周波数変換には、フーリェ変換またはウェーブレット変換を用いる。動作要素時間を数個に区分して、それぞれ区分された時間における時系列データに対する時間/周波数変換と、動作要素時間全体の時系列データに対する時間/周波数変換とを行う。
(3)時間波形データの記憶及び周波数成分データの記憶:動作要素時間を数個に区分して、それぞれ区分された時間における時系列データに対する時間/周波数変換と、動作要素時間全体の時系列データに対する時間/周波数変換とで得られた周波数成分データを記憶する。
【0138】
図19は、動作要素識別手段400及び動作要素モデル記憶手段500の構成例を示す機能ブロック図である。動作要素モデル記憶手段500は、時間波形モデル記憶手段501、周波数成分モデル記憶手段502で構成されている。
【0139】
動作要素モデル記憶手段500には、時間波形モデルを記憶する時間波形モデル記憶手段501、周波数成分モデル及び周波数成分時間変化モデルを記憶する周波数成分モデル記憶手段502を有する。
【0140】
時間波形モデルとは、各動作要素の動作要素時間で正規化された時間波形のモデル波形である。周波数成分モデルとは、各動作要素の動作要素時間全体の周波数成分データに関してモデルとなる周波数成分データであり、データは1個が格納される。周波数成分時間変化モデルとは、動作要素時間を数個に区分し、それぞれの区分された時間におけるモデルとなる周波数成分データであり、データは区分個数が格納される。
【0141】
動作要素識別手段400は、複合形動作要素モデル作成・対応コード決定手段401、モデルソース選択手段402,403、モデル選択手段404、比較手段405、動作要素モデル対応コード決定手段406で構成されている。
【0142】
複合形動作要素モデル作成・対応コード決定手段401は、複合形動作要素の場合にのみ次の動作を行う。
(1)重ね合わせされている動作要素の数を推定し、決定する。
(2)関連ある動作要素モデル候補を推定し、決定する。
(3)関連ある動作要素モデル候補の組合せおよびその数を推定し、決定する。
(4)関連ある動作要素モデル候補の組合せすべてに対して次の調整を行う。
(a)重ね合わせ開始タイミング調整
(b)個々の動作要素の時間長調整
(c)個々の動作要素の振幅調整
夫々のモデルの組合せにおいて、比較手段(相関係数演算手段)出力の相関係数が最大になるように上記調整を繰り返し、それらの相関係数の中で、最大の相関係数を示す場合の、上記調整条件を一時記憶する。
(5)組合せの全てに対して調整終了した後、“複合モデル決定”信号を出力する。そして、重ね合わせされた複数の動作要素夫々の動作要素モデル対応コード、動作要素開始時刻、動作要素終了時刻および動作要素比較結果情報を出力する。
【0143】
モデルソース選択手段402,403は、“複合モード”信号が出力されていない場合、即ち、単一モードの場合には、動作要素モデル記憶手段500内にあるモデルが選択される。“複合モード”信号が出力されている場合、すなわち複合モードの場合には、複合形動作要素モデル作成・対応コード決定手段401内で作成された複合形動作要素モデルが選択される。
【0144】
モデル選択手段404は、単一モードの場合には動作要素モデル対応コード決定手段406が、複合モードの場合には複合形動作要素モデル作成・対応コード決定手段401が、動作要素モデル記憶手段500内にあるモデルを選択できるように構成されていいる。
【0145】
比較手段405は、被験者の動作要素を、モデルソース選択手段402,403で選択された動作要素モデル記憶手段500に格納されている動作要素モデルまたは複合形動作要素モデル作成・対応コード決定手段401で作成された複合形動作要素モデルと比較し、相関係数Kを算出する。
【0146】
動作要素モデル対応コード決定手段406は、単一の動作要素を識別する単一モード動作と、複数の動作要素が重ね合わせされた複合動作要素を識別する複合モード動作の2つの動作がある。単一モード動作の場合には次の動作を行う。
(1)関連ある動作要素モデル候補を決定する。
(2)関連ある動作要素モデル候補を選択して比較を行う。
(3)比較手段405(相関係数演算)出力の相関係数Kが最大の動作要素モデル候補を識別しようとしている動作要素の動作要素モデルとし、動作要素モデル対応コード、動作要素開始時刻、動作要素終了時刻および動作要素比較結果情報を出力する。
【0147】
複合モード動作の場合には次の動作を行う。
(1)複合形動作要素モデル作成・対応コード決定手段401から、重ね合わせされた動作要素の数だけ、
(a)動作要素モデル対応コード
(b)動作要素開始時刻
(c)動作要素終了時刻
(d)動作要素比較結果情報
を読み出す。
(2)複合形動作要素モデル作成・対応コード決定手段401から読み出した前記データを出力する。
【0148】
動作要素識別手段400の機能は、動作要素抽出手段300で得られた動作要素と動作要素モデル記憶手段500に記憶されている動作要素モデルとを比較して、動作要素を識別する。識別動作モードとして、単一の動作要素を識別する単一モード動作と、複数の動作要素が重ね合わせされた複合動作要素を識別する複合モード動作の2つの動作がある。
【0149】
(1)単一モード動作
動作要素抽出手段300で得られた時間波形、周波数成分または周波数成分時間変化を、動作要素モデル記憶手段500に記憶されている時間波形モデル、周波数成分モデル、周波数成分時間変化モデル、または、それらの時間波形モデル、周波数成分モデル、周波数成分時間変化モデルの2個以上の組合せとを相関(相関係数、相関関数またはスペクトル波形のピーク値周波数または分散(標準偏差))を用いて比較して、動作要素を識別する。
【0150】
(2)複合モード動作
動作要素抽出手段300で得られた時間波形、周波数成分または周波数成分時間変化を、複合形動作要素モデル作成・対応コード決定手段401において、動作要素モデル記憶手段500内の複数の動作要素モデルの重ね合わせ開始タイミング、個々の動作要素の時間長または振幅を調整して複数動作要素重ね合わせモデルを作り、その複数動作要素重ね合わせモデルと比較し、両者の相関(相関係数、相関関数またはスペクトル波形のピーク値周波数または分散(標準偏差))を基に、複数動作要素の個々の動作要素を識別する。
【0151】
比較動作の形態は、次の(1)〜(3)である。
(1)時間波形モデルとの比較
(a)相関係数の大小による比較
(b)相関関数の大小による比較
(2)周波数成分モデルとの比較
(a)相関係数の大小による比較
(b)スペクトル波形のピーク値周波数(中央値周波数)による比較
(c)スペクトル波形の分散(標準偏差)による比較
(3)周波数成分時間変化モデルとの比較
(a)相関係数の大小による比較
(b)スペクトル波形のピーク値周波数(中央値周波数)による比較
(c)スペクトル波形の分散(標準偏差)による比較
【0152】
それらの比較結果を用いて動作要素モデル対応コードを決定する方法の一例として、次のように、
(1)(時間波形:相関係数または相関関数)×(周波数成分:相関係数、(ピーク値周波数の差分)の逆数または(分散(標準偏差)の差分)の逆数)×(周波数成分時間変化:相関係数、(ピーク値周波数の差分)の逆数または(分散(標準偏差)の差分)の逆数)の最大値が一定値以上→動作要素モデル決定(動作要素モデル対応コード出力)
(2)前記最大値が一定値未満→動作要素識別不能(動作要素識別不能対応コード出力)
とする方法がある。
【0153】
動作要素識別手段400では、比較結果の相関に対して、識別するために必要な閾値を自由に設定・変更することが可能である。その閾値を動作要素モデル毎に独立して設定・変更することも可能である。その設定・変更は、図示されていないが、外部より通信ネットワークを介して行う場合と、内部で自動的に行う場合がある。
【0154】
図20は、複合形動作要素モデル対応コード決定手段401における制御に関するフローチャートを示す。図20(A)は、コード決定の制御のフローを示し、図20(B)は、調整条件レジスタの内容を示す。ステップS01〜S14の処理は、以下である。
【0155】
S01:初期化
S02:“複合モード?”の判断分岐
“複合モード”の場合には、S03に進み、複合モードに対応したプログラムを実行する。
“複合モードではない”場合には、S02に戻り、再度、“複合モード?”の判断分岐を行う。
S03:最大相関係数を格納する最大相関係数レジスタの内容をゼロにする。
【0156】
S04:比較対象モデル候補組合せ決定
主情報、補助情報を基に、
(1)動作要素重ね合わせ数
(2)関連ある動作要素モデル候補
(3)モデル候補組合せ数
を決定する。
【0157】
S05:“比較対象モデル候補組合せ残っているか?”の判断分岐
“比較対象モデル候補組合せ残っている”場合には、S06に進む。
“比較対象モデル候補組合せ残っていない”場合、すなわち、比較対象モデル候補組合せのすべて対して比較終了した場合には、S12にジャンプする。
S06:モデル候補組合せ更新
比較対象モデル候補組合せの中で、まだ比較が済んでいないモデル候補組合せを選択する。
【0158】
S07:調整条件変更回数決定
更新されたモデル候補組合せに対して
(1)重ね合わせ開始タイミング調整
(2)個々の動作要素の時間長調整
(3)個々の動作要素の振幅調整
を行うための調整条件の変更回数を決定する。
【0159】
S08:“更新する調整条件残っているか?”の判断分岐
“更新する調整条件残っている”場合には、S09に進む。
“更新する調整条件残っていない”場合、すなわち、比較対象モデル候補組合せでのすべての調整が終了した場合には、S05に戻る。
S09:更新した調整条件での複合形モデル作成・出力
更新した調整条件で動作要素モデル候補を重ね合わせて、複合形モデルを作成して出力する。
【0160】
S10:“相関係数>(最大相関係数レジスタ)?”の判断分岐
比較手段の出力である相関係数を基に判断分岐する。
“相関係数>(最大相関係数レジスタ)”の場合には、S11に進む。
“相関係数>(最大相関係数レジスタ)でない”場合には、S08に戻る。
【0161】
S11:相関係数、調整条件格納
相関係数を相関係数レジスタに、調整条件を調整条件レジスタに格納する。
調整条件レジスタは重ね合わせされる動作要素モデル候補の数だけ用意し、それぞれの調整条件レジスタには次のものを格納する。
(1)モデル対応コード
(2)重ね合わせ開始タイミング
(3)時間長
(4)振幅伸縮計数
【0162】
S12:動作要素開始・終了時刻算出
調整条件レジスタの内容を基に、重ね合わせされた動作要素の数だけ、動作要素開始時刻と動作要素終了時刻を算出する。
【0163】
S13:複合モデル決定信号出力
すべての比較対象モデル候補組合せのそれぞれに対して、すべての調整が終了し、複合モデルが決定したら、複合モデル決定信号を出力する。
【0164】
S14:複合形動作要素として重ね合わせされた動作要素の数だけ、
(1)動作要素モデル対応コード
(2)動作要素開始時刻
(3)動作要素終了時刻
(4)動作要素比較結果情報
を出力する。ただし、動作要素比較結果情報が一定値未満の場合には、動作要素モデル対応コードではなく、動作要素識別不能対応コードを出力する。
【0165】
図21は、動作要素モデル対応コード決定手段406の制御に関するフローチャートを示す。ステップS20〜S36の処理は、以下である。
【0166】
S20:初期化
S21:“複合モード?”の判断分岐
“複合モード”の場合には、S22に進み、複合モードに対応したプログラムを実行する。
“複合モードではない”場合には、S25に進み、単一モード(≠複合モード)に対応したプログラムを実行する。
【0167】
S22:“複合モデル決定?”の判断分岐
“複合モデル決定”の場合には、S23に進む。
“複合モデル未定”の場合には、S22に戻り、再度、“複合モデル決定?”の判断分岐を行う。
【0168】
S23:複合形動作要素として重ね合わせされた動作要素の数だけ、
(1)動作要素モデル対応コード
(2)動作要素開始時刻
(3)動作要素終了時刻
(4)動作要素比較結果情報
を、複合形動作要素モデル対応コード決定手段から読み出す。
【0169】
S24:S23で読み出された、複合形動作要素として重ね合わせされた動作要素の数だけ、
(1)動作要素モデル対応コード
(2)動作要素開始時刻
(3)動作要素終了時刻
(4)動作要素比較結果情報
を、動作要素識別手段の出力として出力する。処理後、S21に戻る。
【0170】
S25:“動作要素あり?”の判断分岐
“動作要素あり”の場合には、S26に進む。
“動作要素なし”の場合には、S21に戻る。
S26:“突発的動作?”の判断分岐
“突発的動作”の場合には、S27に進む。
“突発的動作でない”の場合、すなわち“生理的繰返し動作”の場合には、S34に進む。
【0171】
S27:最大相関係数を格納する最大相関係数レジスタの内容をゼロにする。
S28:比較対象モデル候補決定
主情報、補助情報を基に、比較の対象とする動作要素モデル候補を決定する。
【0172】
S29:“比較対象モデル候補残っているか?”の判断分岐
“比較対象モデル候補残っている”場合には、S30に進む。
“比較対象モデル候補残っていない”場合、すなわち、比較対象モデル候補のすべてに対して比較終了した場合には、S33にジャンプする。
【0173】
S30:モデル選択信号出力
比較の対象とするモデル候補の時間波形モデルと周波数成分モデルを選択するためのモデル選択信号を出力する。
S31:“相関係数>(最大相関係数レジスタ)?”の判断分岐
比較手段の出力である相関係数を基に判断分岐する。
“相関係数>(最大相関係数レジスタ)”の場合には、S32に進む。
“相関係数>(最大相関係数レジスタ)でない”場合には、S29に戻る。
【0174】
S32:相関係数、動作要素モデル対応コードをレジスタに格納。
比較した結果、これまでの比較で得られた相関係数よりも大きいので、相関係数を最大相関係数レジスタに、その時の動作要素モデル対応コードをモデルレジスタに格納する。格納後、S29に戻る。
【0175】
S33:動作要素モデル対応コード、動作要素開始時刻、動作要素終了時刻、動作要素比較結果情報を出力
比較対象モデル候補の中で相関係数が最大の動作要素モデル対応コード、その動作要素の開始時刻および終了時刻、比較結果情報を、動作要素識別手段の出力として出力する。ただし、動作要素比較結果情報が一定値未満の場合には、動作要素モデル対応コードではなく、動作要素識別不能対応コードを出力する。
処理後、S21に戻る。
【0176】
S34:“動作開始?”の判断分岐
“動作開始”の場合には、S35に進む。
“動作開始でない”の場合、すなわち“動作停止”の場合には、S36に進む。
S35:動作要素モデル対応コード、動作要素開始時刻出力
動作要素モデル対応コード、その動作要素の開始時刻を、動作要素識別手段の出力として出力する。処理後、S21に戻る。
【0177】
S36:動作要素モデル対応コード、動作要素停止時刻出力
動作要素モデル対応コード、その動作要素の停止時刻を、動作要素識別手段の出力として出力する。処理後、S21に戻る。
【0178】
図22は、動作シーケンスモデル記憶手段及び動作識別手段の構成例を示す機能ブロック図である。動作シーケンスモデル記憶手段700は、動作シーケンスモデルテーブル701を記憶する。
【0179】
動作識別手段600は、論理和手段601及び動作シーケンスモデル対応コード決定手段602で構成されている。論理和手段601は、新たな動作要素情報または(動作識別手段の出力である)動作情報を受け取ると、それらの論理和である構成要素情報を出力する。
【0180】
動作シーケンスモデル対応コード決定手段602は、論理和手段から構成要素情報を受け取ると、動作シーケンスモデル記憶手段700に記憶されている動作シーケンスモデルに該当する構成要素(動作要素または動作)の有無を調べる。その構成要素が、動作シーケンスモデルで指定されている動作の第1段階の構成要素である場合には、その動作として識別を開始する。
【0181】
その動作の識別を開始してから、その動作に関連ある構成要素が一定時間以上検出されない場合に、その動作は中断または終了したと判断する。中断した場合には、その動作は、識別不能動作として認識する。ここでは、その動作に関連ある構成要素を初めて検出した時点から、その動作に関連ある最後の構成要素が終了した時点までの時間を、その一つの動作の動作時間とする。
【0182】
図23は、動作−構成要素対応及びそれに対応する動作シーケンスモデルテーブルの構成例を示す表である。図23(A)は、動作−構成要素対応表、図23(B)は、動作シーケンスモデルテーブルを示す。
【0183】
図23(A)の動作−構成要素対応表では、表の横方向に構成要素(動作要素または動作)を、縦方向に動作(第1階層動作、第2階層動作)を取った例を示す。横方向の構成要素は、縦方向のどの動作の構成要素であるか、そしてその動作の第何階層の構成要素であるかが分かるようになっている。
【0184】
表中、構成要素および動作の番号は、動作要素であるか、第1階層動作であるか、または第2階層動作であるかを分かりやすくするために次のように分類している。
001〜014(100番台未満):動作要素
101〜109(100番台) :第1階層動作
201〜202(200番台) :第2階層動作
【0185】
例えば、横方向の構成要素003番の“上肢で叩く”は、縦方向の第1階層動作104番の“上肢で寝具を叩く”動作の構成要素であり、その第2段階の構成要素であることを示している。逆に、縦方向の第1階層動作104番の“上肢で寝具を叩く”動作は、横方向の構成要素001番の“上肢を上げる”という動作要素が第1段階の構成要素であり、構成要素003番の“上肢で叩く”という動作要素が第2段階の構成要素であることを示している。
【0186】
図23(B)の動作シーケンスモデルテーブルでは、表の縦方向の各動作に対して、横方向に、それを構成している構成要素を発生順に並べたものである。各動作に関する代表的な構成要素およびその構成要素の発生順番を示す。
【0187】
例えば、縦方向の動作107番の“蹴飛ばす”動作は、
第1段階の構成要素:009番の“蹴り上げる”という動作要素
第2段階の構成要素:006番の“下肢落下”という動作要素
第3段階の構成要素:010番の“(下肢落下)リバウンド”という動作要素
で構成され、その順番で発生した場合に限る。
【0188】
また、縦方向の動作108番の“寝返り(側臥→仰臥)”動作は、
第1段階の構成要素:013番の“回転(側臥→仰臥)”という動作要素
第2段階の構成要素:002番の“上肢落下”という動作要素または、006番の“下肢落下”という動作要素
で構成され、その順番で発生した場合に限る。
【0189】
図24は、動作シーケンスモデル対応コード決定手段602で使用される動作識別作業用テーブルの例を示す表である。動作識別作業用テーブルは、動作シーケンスモデルテーブルの横方向に、段階数、ステージカウンタおよび段階ごとにタイマ指定値、タイマ値およびステータスを加えたものである。
【0190】
ここで、
段階数:各動作シーケンスモデルで決められた段階の数
ステージカウンタ:現在、どの段階までの構成要素が発生したかを示す。
タイマ指定値:構成要素発生後のタイムアウト発生時間を指定する。
タイマ値:構成要素発生後の経過時間が格納される。
ステータス:構成要素発生の有無が格納される。
である。
【0191】
図25は、動作シーケンスモデル対応コード決定手段602における制御に関するフローチャートを示す。ステップS40〜S56の処理は、以下である。
【0192】
S40:初期化
S41:“構成要素あり?”の判断分岐
“構成要素あり”の場合には、S42に進む。
“構成要素ない”場合には、S41に戻る。
S42:“突発的動作?”の判断分岐
“突発的動作”の場合には、S43に進む。
“突発的動作でない”の場合、すなわち“生理的繰返し動作”の場合には、S53に進む。
【0193】
S43:前回構成要素発生時からの経過時間算出
前回構成要素終了時刻から今回構成要素開始時刻までの経過時間を算出する。
《 S44からS50までのフローを動作シーケンスモデルテーブルで指定されているすべての動作に対して行う。》
【0194】
S44:“(SC)≠0?”の判断分岐
ステージカウンタSCが“(SC)≠0”の場合、すなわち、“ステージカウンタSCの内容が0でない”場合には、S45に進む。
“(SC)≠0でない”場合、すなわち、“ステージカウンタSCの内容が0である”場合には、S51にジャンプする。
【0195】
S45:(SC)段階タイマ更新
ステージカウンタに格納されている数値に対応する段階のタイマ値レジスタの内容に経過時間を加えた結果を、タイマ値レジスタの内容とする。
(タイマ値)+経過時間 → タイマ値
【0196】
S46:“タイムアウト発生?”の判断分岐
“タイムアウト発生”の場合には、S47に進む。
“タイムアウト発生していない”場合には、S51にジャンプする。
【0197】
S47:“(SC)=段階数?”の判断分岐
“(SC)=段階数”の場合には、S48に進む。
“(SC)=段階数でない”場合には、S49に進む。
【0198】
S48:動作シーケンスモデル対応コード出力
動作が終了したことになるので、動作シーケンスモデル対応コード、動作開始時刻および動作終了時刻を出力する。
【0199】
S49:動作識別不能対応コード出力
動作識別が不可能になったので、動作識別不能対応コード、動作開始時刻および動作識別不能検出時刻を出力する。
【0200】
S50:ステージカウンタ・タイマ値・ステータスレジスタ クリア
ステージカウンタ、タイマ値およびステータスの内容をゼロにする。
S51:検出された構成要素に関連ある動作検索
動作−構成要素対応表より、検出された構成要素に関連ある動作を検索する。
【0201】
S52:検出された構成要素に関連ある動作すべてに対して、(SC)段階でステータス=0の構成要素および(SC)+1段階のすべての構成要素と比較し、いずれかに一致している場合には、下記処理を行う。処理後、S41に戻る。
1 → 一致した構成要素のステータス
0 → 一致した構成要素に対応した段階のすべてのタイマ値
(SC)+1段階の構成要素と一致している場合のみ:(SC)+1 → SC
【0202】
S53:“生理的繰返し動作開始?”の判断分岐
“生理的繰返し動作開始”の場合には、S54に進む。
“生理的繰返し動作開始でない”の場合、すなわち“生理的繰返し動作停止”の場合には、S55に進む。
【0203】
S54:生理的繰返し動作用時刻格納レジスタに生理的繰返し動作開始時刻を格納する。処理後、S41に戻る。
S55:生理的繰返し動作用時刻格納レジスタに生理的繰返し動作停止時刻を格納する。
【0204】
S56:動作シーケンスモデル対応コード出力
生理的繰返し動作が停止したことになるので、動作シーケンスモデル対応コード、動作開始時刻および動作停止時刻を出力する。処理後、S41に戻る。
【0205】
動作識別手段600の機能は、動作要素識別手段400から出力される動作要素と動作識別手段出力の動作のシーケンスを、動作シーケンスモデルと比較し、
(1)動作の識別
(2)並行動作の識別
(3)動作の階層構築
を実行する。
【0206】
(1)動作の識別:
動作識別のアルゴリズムは、動作要素識別手段から出力された動作要素のシーケンスが、動作シーケンスモデル記憶手段に格納されている動作シーケンスモデルのうちの特定の動作のモデルと合致したら、動作要素識別手段から出力された動作要素のシーケンスは、その特定の動作に対応した動作要素のシーケンスであると識別し、
(a)特定の動作要素のシーケンス → 動作を識別
(b)動作開始時刻・終了時刻の出力
を実行する。
【0207】
(2)並行動作の識別:
動作要素識別手段から出力される動作要素のシーケンスで、特定動作に関連する動作要素が連続せず離散していても、時間的な発生順番が、各動作に関する動作シーケンスモデル記憶手段に格納されている動作シーケンスモデルのうちの特定の動作のモデルと合致したら、動作要素識別手段から出力された直近の動作要素のシーケンスは、その特定の動作に対応した動作要素のシーケンスであると識別する。
【0208】
(3)動作の階層構築:
動作シーケンスモデル記憶手段に、上位階層動作に関連ある下位階層動作または動作要素で構成される動作シーケンスモデルを格納しておく。動作識別手段の出力をその入力にフィードバックする。
【0209】
動作識別手段への入力である、上位階層動作に関連ある下位階層動作または動作要素のシーケンスが、動作シーケンスモデル記憶手段に格納されている特定の動作のシーケンスモデルと合致したら、その動作識別手段への入力である、上位階層動作に関連ある下位階層動作または動作要素のシーケンスは、その特定の動作に対応した動作シーケンスであると識別する。
【0210】
図26は、集中的複合動作識別手段800、集中的複合動作モデル記憶手段900、構成比率モデル記憶手段1000の構成例を示す機能ブロック図である。集中的複合動作モデル記憶手段900は、集中的複合動作モデルテーブル901を記憶する。構成比率モデル記憶手段1000は、構成比率モデル1001を記憶する。
【0211】
集中的複合動作識別手段800は、論理和手段801、集中的複合動作モデル選択手段802、発生時間合計値・発生回数計数手段803、直近一定時間内発生時間合計値・発生回数計数手段804、比較手段805、集中的複合動作モデル対応コード決定手段806で構成されている。
【0212】
論理和手段801は、新たな動作要素情報または動作情報を受け取ると、それらの論理和である構成要素情報を出力する。集中的複合動作モデル選択手段802は、集中的複合動作の構成要素情報を基に、検出された構成要素が集中的複合動作を構成している構成要素であるかを調べ、構成要素である場合に限り、それを構成要素としている集中的複合動作のモデル対応コードを出力する。
【0213】
発生時間合計値・発生回数計数手段803は、集中的複合動作を構成している構成要素の発生時間をそれまでの構成要素発生時間合計値に加える。また、発生回数をプラス1して更新されたデータを出力する。
【0214】
直近一定時間内発生時間合計値・発生回数計数手段804は、直近の一定時間内における構成要素の発生時間合計値と発生回数を計数する。比較手段805は、集中的複合動作を構成している各構成要素の直近一定時間内の発生時間合計値と発生回数の比率を構成比率モデルと比較し、相関係数を演算して出力する。
【0215】
集中的複合動作モデル対応コード決定手段806は、相関係数がある値以上の場合には、集中的複合動作として識別されたことになり、集中的複合動作モデル対応コード、集中的複合動作開始時刻と終了時刻および集中的複合動作比較結果情報を出力する。
【0216】
図27は、集中的複合動作−構成要素対応及びそれに対応した集中的複合動作モデルの構成例を示す表である。図27(A)に集中的複合動作−構成要素対応表、図27(B)
に集中的複合動作モデルテーブルの例を示す。
【0217】
図27(A)の集中的複合動作−構成要素対応表では、表の横方向に構成要素(動作要素または動作)を、縦方向に集中的複合動作を取った例を示す。横方向の構成要素は、縦方向のどの集中的複合動作の構成要素であるかが分かるようになっている。
【0218】
表中、構成要素および集中的複合動作の番号は、動作要素であるか、第1階層動作であるか、または集中的複合動作であるかを分かりやすくするために分類されている。
001〜014(100番台未満) :動作要素
100〜106(100番台) :第1階層動作
1001〜1003(1000番台):集中的複合動作
【0219】
例えば、横方向の構成要素009番の“下肢を擦る”は、縦方向の集中的複合動作1001番の“むずむず脚”の構成要素であることを示している。逆に、縦方向の集中的複合動作1001番の“むずむず脚”は、横方向の構成要素006番の“下肢を移動する”、
【0220】
構成要素007番の“下肢を縮める”、構成要素008番の“下肢を伸ばす”、構成要素009番の“下肢を擦る”、構成要素010番の“一方の足で他方の足または脚を擦る”、構成要素103番の“下肢上げ・落下”、構成要素104番の“下肢で寝具を叩く”および構成要素105番の“蹴飛ばす”で構成されていることを示す。なお、集中的複合動作−構成要素対応表では、構成要素の発生順番は無関係である。
【0221】
図27(B)の集中的複合動作モデルテーブルでは、表の縦方向の各集中的複合動作に対して、横方向に、それを構成している構成要素を並べたものである。発生順番は無関係である。集中的複合動作モデルテーブルは、各動作に関する代表的な構成要素を示す。
【0222】
図28は、集中的複合動作識別手段800における制御に関するフローチャートである。
ステップS60〜S66の処理は、以下である。
S60:初期化
S61:“集中的複合動作構成要素検出した?”の判断分岐
“集中的複合動作構成要素検出した”場合には、S62に進む。
“集中的複合動作構成要素検出されない”場合には、S61に戻る。
【0223】
S62:検出された構成要素の発生時間合計値と発生回数を更新する。
S63:直近の一定時間内における各構成要素の発生時間合計値と発生回数を計数する。
S64:構成比率モデルとの比較
直近の一定時間内における各構成要素の発生時間合計値、発生回数に関する比率を構成比率モデル記憶手段内にある構成比率モデルと比較して、それらの間の相関係数を求める。
【0224】
S65:“相関係数一定値以上?”の判断分岐
“相関係数一定値以上”の場合には、S66に進む。
“相関係数一定値以上でない”場合には、S61に戻る。
【0225】
S66:集中的複合動作として識別されたことになるので、集中的複合動作モデル対応コード、集中的複合動作開始時刻、集中的複合動作終了時刻、集中的複合動作比較結果情報を出力する。処理後、S61に戻る。
【0226】
集中的複合動作識別手段800は、時間的にひとかたまりとなって同時または近接して発生する異なる複数の動作で構成される集中的複合動作を識別する。集中的複合動作識別手段800の機能として、
(1)集中的複合動作の構成要素である動作要素または動作の夫々の発生時間合計値または発生回数を計数する機能。
または、
(2)限られた時間内で発生する、集中的複合動作の構成要素である動作要素または動作の夫々の発生時間合計値または発生回数に関して特定の構成比率を有する集中的複合動作を識別する機能。
を持つ。
【0227】
これらの機能により、以下(1)〜(6)を実行する。
(1)集中的複合動作モデル選択
(2)集中的複合動作構成要素の発生時間合計値・発生回数を計数
(3)直近一定時間内における集中的複合動作構成要素の発生時間合計値・発生回数を計数
【0228】
(4)構成比率モデルとの比較:
動作要素識別手段または動作識別手段から出力される集中的複合動作の構成要素である動作要素または動作のそれぞれの発生時間合計値または発生回数に関する構成比率と、前記構成比率モデル記憶手段に格納されている集中的複合動作の構成比率モデルとの比較。
【0229】
(5)相関係数が最大の集中的複合動作モデル対応コード出力:
集中的複合動作識別手段は、集中的複合動作に関連ある動作要素または動作のそれぞれの直近の一定時間内における発生時間合計値または発生回数を計数し、集中的複合動作の構成比率モデルとの相関係数を算出し、その相関係数がある値以上であれば、集中的複合動作が直近の一定時間内に発生したと識別し、集中的複合動作モデル対応コードを出力する。
【0230】
集中的複合動作識別手段において、比較結果の相関に対して、識別するために必要な閾値を自由に設定・変更が可能である。その閾値を集中的複合動作モデルごとに独立して設定・変更することも可能である。その設定・変更は、図に示していないが外部より通信ネットワークを介して行う場合と、内部で自動的に行う場合がある。
【0231】
(6)集中的複合動作開始時刻・終了時刻・比較結果情報(相関係数)の出力。
【0232】
図1に戻り、出力手段1100は、主データ情報、補助データ情報、動作要素抽出情報、動作要素識別情報、動作識別情報または集中的複合動作識別情報に時刻データを付加して出力する。出力手段の代表的なものとしては、通信手段と出力情報記憶手段がある。
【0233】
時刻データとしては、次の項目がある。
(1)主データ情報、補助データ情報に対して:発生時刻
(2)突発的動作の動作要素識別情報に対して:
(a)動作要素開始時刻
(b)動作要素終了時刻
(c)動作要素識別不能検出時刻
(3)生理的繰返し動作の動作要素識別情報に対して:
(a)動作要素開始時刻
(b)動作要素停止時刻
【0234】
(4)動作識別情報に対して:
(a)動作開始時刻
(b)動作終了時刻
(c)動作識別不能検出時刻
【0235】
(5)集中的複合動作識別情報に対して:
(a)集中的複合動作開始時刻
(b)集中的複合動作終了時刻
【0236】
図29は、出力手段1100として通信手段1200を用いた、本発明の他の実施形態を示す機能ブロック図である。通信手段1200を介して出力される情報は、有線または無線の通信ネットワーク1300を経由して外部医療機関1400等に遠隔伝送される。
【0237】
図30は、出力手段1100として出力情報記憶手段1500を用いた、本発明の他の実施形態を示す機能ブロック図である。出力情報記憶手段1500として可搬メモリ(Removal Memory)1501を用いることで、情報を外部に持ち出して利用することができる。
【0238】
図31は、体動計測手段を、通信手段を介して分離した、本発明の他の実施形態を示す機能ブロック図である。就寝時体動識別装置100を、体動計測手段200を含む検出部100Aと、動作要素抽出手段300以降の部分を含む解析部の2ユニットに分離する。
【0239】
夫々のユニットに通信手段205a及び205bを用意し、それらの通信手段を、通信ネットワーク1300を介して接続し、両側の部分でA/D変換データの授受を行う。図の例では、解析手部100B側には、通信手段205bのすぐ後にA/D変換データ記憶手段206を用意し、A/D変換データを一時的に格納できるようにしている。
【0240】
この実施形態では、検出部100Aを在宅患者側に設置し、解析部100Bを外部の医療機関に設置すると、次のような遠隔地診断が可能となる。
(1)在宅患者が検出手段を用いて就寝時の体動情報を収集する。
(2)その収集した情報を、通信ネットワークを介して、外部の医療機関に送信する。
(3)医療機関では、解析手段を用いて、受信情報を解析することにより、不眠症等の診断ができる。
【0241】
図32は、体動計測手段を、可搬メモリを介して分離した、本発明の他の実施形態を示す機能ブロック図である。図31との相違点は、検出部100Aと解析部100Bの夫々にA/D変換データ記憶手段として取り外し可能な可搬メモリ207及び207´を配置し、両側の部分との間でA/D変換データの授受を行う。
【0242】
この実施形態では、検出部100Aを在宅患者側に設置し、解析部100Bを外部の医療機関に設置すると、次のような遠隔地診断が可能となる。
(1)在宅患者が検出手段を用いて就寝時の体動情報を収集する。
(2)その収集した情報が記憶されている可搬メモリを、医療機関に送るか、または持参する。
(3)医療機関では、解析手段を用いて、可搬メモリに記憶されている被験者の体動情報を読み出して解析することにより、不眠症等の診断ができる。
【0243】
以上説明した実施形態では、体動情報を収集するセンサーは必要に応じて複数個を用いる例を説明したが、被検者に対して1個の無拘束(被検者にセンサーを取り付けない)センサーにより、被検者の身体各部の動きを計測することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0244】
【図1】本発明を適用した就寝時体動識別装置の一実施形態を示す機能ブロック図である。
【図2】体動計測手段の構成例を示す機能ブロック図である。
【図3】下肢の伸縮動作を計測する圧力センサーの出力特性図である。
【図4】蹴飛ばし動作を計測する圧力センサーの出力特性図である。
【図5】寝返り動作を計測する圧力センサーの出力特性図である。
【図6】圧力変動に伴う1次導関数及び2次導関数を示す特性図である。
【図7】前の動作要素と直後の動作要素が続いている場合の1次導関数及び2次導関数を示す特性図である。
【図8】前の動作要素と直後の動作要素が一部重なっている場合の1次導関数及び2次導関数を示す特性図である。
【図9】振幅が単調増加している動作要素に別の動作要素が重なっている場合の1次導関数及び2次導関数を示す特性図である。
【図10】振幅が単調減少している動作要素に別の動作要素が重なっている場合の1次導関数及び2次導関数を示す特性図である。
【図11】被験者の動きを計測する複数個の圧力センサーの出力特性図である。
【図12】就寝者の姿勢変化を計測するセンサーのイメージ図である。
【図13】図12の計測による姿勢変化計測パターンを示す表である。
【図14】A/D変換データ記憶手段の構成例を示す機能ブロック図である。
【図15】動作要素抽出手段の構成例を示す機能ブロック図である。
【図16】突発的動作要素抽出手段の構成例を示す機能ブロック図である。
【図17】動作要素境界点検出手段の構成例を示す機能ブロック図である。
【図18】対象動作要素成分抽出手段の構成例を示す機能ブロック図である。
【図19】動作要素識別手段及び動作要素モデル記憶手段の構成例を示す機能ブロック図である。
【図20】複合形動作要素モデル対応コード決定手段の動作手順を示すフローチャートである。
【図21】動作要素モデル対応コード決定手段の動作手順を示すフローチャートである。
【図22】動作シーケンスモデル記憶手段及び動作識別手段の構成例を示す機能ブロック図である。
【図23】動作−構成要素対応及びそれに対応する動作シーケンスモデルテーブルの構成例を示す表である。
【図24】動作識別作業用テーブルの構成例を示す表である。
【図25】動作シーケンスモデル対応コード決定手段の動作手順を示すフローチャートである。
【図26】集中的複合動作モデル記憶手段、構成比率モデル記憶手段および集中的複合動作識別手段の構成例を示す機能ブロック図である。
【図27】集中的複合動作−構成要素対応及びそれに対応した集中的複合動作モデルの構成例を示す表である。
【図28】集中的複合動作識別手段の動作手順を示すフローチャートである。
【図29】出力手段として通信手段を用いた、本発明の他の実施形態を示す機能ブロック図である。
【図30】出力手段として可搬メモリ手段を用いた、本発明の他の実施形態を示す機能ブロック図である。
【図31】体動計測手段を、通信手段を介して分離した、本発明の他の実施形態を示す機能ブロック図である。
【図32】体動計測手段を、可搬メモリを介して分離した、本発明の他の実施形態を示す機能ブロック図である。
【図33】特許文献1に開示されている従来装置の構成を示す機能ブロック図である。
【図34】図33の動作を説明するフローチャートである。
【符号の説明】
【0245】
100 就寝時体動識別装置
200 体動計測手段
300 動作要素抽出手段
400 動作要素識別手段
500 動作要素モデル記憶手段
600 動作識別手段
700 動作シーケンスモデル記憶手段
800 集中的複合動作識別手段
900 集中的複合動作モデル記憶手段
1000 構成比率モデル記憶手段
1100 出力手段
【特許請求の範囲】
【請求項1】
就寝時における被験者の身体各部の動作を識別する就寝時体動識別装置において、
被験者の前記動作を計測して記憶する体動計測手段と、
前記体動計測手段から検出される時系列データを、所定の条件に従い時間区分して動作要素に分解して抽出する動作要素抽出手段と、
前記動作要素のモデルを記憶する動作要素モデル記憶手段と、
前記動作要素抽出手段で得られる動作要素と前記動作要素モデル記憶手段に記憶されている動作要素モデルとを比較して、前記動作要素を識別する動作要素識別手段と、
前記動作を構成する動作要素の発生順番に関するシーケンスモデルを記憶する動作シーケンスモデル記憶手段と、
前記動作要素識別手段から出力される動作要素の発生順番に関するシーケンスと、前記動作シーケンスモデル記憶手段に記憶されている動作要素の発生順番に関するシーケンスモデルとを比較して、前記動作を識別する動作識別手段と、
を備えることを特徴とする就寝時体動識別装置。
【請求項2】
前記体動計測手段は、必要に応じて複数のセンサー手段を備えており、前記動作要素識別手段は、それらの複数のセンサー手段から検出される時系列データのうちで、当該動作要素発生期間において振幅が最大である時系列データを選択し、その時系列データより抽出された動作要素成分と、その振幅が最大の時系列データを検出したセンサー手段に対応した動作要素モデルとを比較し、それらの比較結果のうちで最も動作要素モデルに近似した比較結果を用いて前記動作要素を識別することを特徴とする請求項1に記載の就寝時体動識別装置。
【請求項3】
前記体動計測手段は、検出しようとする対象部位に応じて設置された複数センサー手段を備えており、前記動作要素識別手段は、それらのセンサー手段から検出される時系列データのうちで、その振幅が最大であるセンサー手段の設置場所が、前記動作の発生源に最も近い場所であると判断し、その動作発生源に最も近い場所に位置する部位に対応する動作要素モデルのうち、
(1)発生頻度の高い順
(2)振幅が大きい順
(3)発生頻度が高い順(第1優先)でかつ振幅が大きい順(第2優先)
のいずれかにより動作要素モデルを選択し、振幅が最大の時系列データの動作要素と動作要素モデルとを比較することを特徴とする請求項1または2に記載の就寝時体動識別装置。
【請求項4】
前記体動計測手段は、被験者の身体の下に設置された圧力センサー等の静的な圧力を検出できるセンサーを備えており、被験者に対して無拘束状態で身体各部の位置または身体各部の動きの方向、速度または加速度に関する情報を収集して前記動作要素抽出手段に渡すことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の就寝時体動識別装置。
【請求項5】
前記動作要素抽出手段は、前記体動計測手段から検出される時系列データから生理的繰返し動作成分を検出すると共に、前記時系列データからその生理的繰返し動作成分を分離して前記動作のカテゴリー中の突発的動作成分を抽出することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の就寝時体動識別装置。
【請求項6】
前記動作要素抽出手段は、被験者が動作した際に発生する、時間的に変化する振幅波形上での決められた条件として、
(a)振幅波形上で振幅の谷の極小点到達時点=振幅波形上で振幅の時間に関する1次導関数が負→0(ゼロ)→正に変化時の0(ゼロ)到達時点
または、
(b)振幅波形上で振幅の時間に関する2次導関数がある値以上の極大点到達時点
を時間区分の境界点として、動作開始時から境界点まで、または境界点から次の境界点まで、または境界点から動作終了時までの期間に、前記動作を時間区分して動作要素に分解して抽出することを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の就寝時体動識別装置。
【請求項7】
前記動作要素抽出手段は、前記体動計測手段から検出される時系列データの振幅波形の振幅がゼロまたはゼロ近傍でなくなった時から、次に振幅がゼロまたはゼロ近傍になるまでの期間を動作要素の抽出期間とし、その期間内における振幅波形上での前記境界点での時間間隔と振幅の大きさから短期的重畳動作要素を抽出することを特徴とする請求項6に記載の就寝時体動識別装置。
【請求項8】
前記動作要素抽出手段は、前記体動計測手段から検出される時系列データの振幅波形の振幅がゼロまたはゼロ近傍でなくなった時から、次に振幅がゼロまたはゼロ近傍になるまでの期間を動作要素の抽出期間とし、その期間内における振幅波形上での前記境界点での時間間隔と振幅の大きさから短期的重畳動作要素を検出し、その短期的重畳動作要素が発生している期間内における前記時系列データから短期的重畳動作要素を分離・除去した時系列データを抽出することを特徴とする請求項6に記載の就寝時体動識別装置。
【請求項9】
前記動作要素抽出手段は、前記体動計測手段から検出される時系列データの振幅波形の振幅がゼロまたはゼロ近傍でなくなった時から、次に振幅がゼロまたはゼロ近傍になるまでの期間を対象動作要素成分抽出期間とし、その期間内における前記時系列データから前記短期的重畳動作要素成分が分離・除去された時系列データの振幅波形の前記境界点の数に基づいて、前記短期的重畳動作要素成分が分離・除去された時系列データが単一の動作要素であるか、それとも複数の動作要素が重ね合わせされたものであるかを検出することを特徴とする請求項7または8に記載の就寝時体動識別装置。
【請求項10】
前記動作要素抽出手段は、前記時間区分により分解された期間内における動作要素の時系列データを、分解された期間の時間で正規化した時間波形、時系列データを時間/周波数変換することによって得られる周波数成分、周波数成分時間変化、または、それらの時間波形、周波数成分、周波数成分時間変化のうちの少なくとも2個の組み合わせを抽出することを特徴とする請求項7乃至9のいずれかに記載の就寝時体動識別装置。
【請求項11】
前記動作要素識別手段は、前記動作要素抽出手段で得られた時間波形、周波数成分または周波数成分時間変化を、前記動作要素モデル記憶手段に記憶されている時間波形モデル、周波数成分モデル、周波数成分時間変化モデル、またはそれらの2個以上の組合せと相関手法を用いて比較して、動作要素を識別することを特徴とする請求項1乃至10のいずれかに記載の就寝時体動識別装置。
【請求項12】
前記動作要素識別手段は、前記動作要素抽出手段で得られた複数の動作要素が重ね合わされた複合形動作要素に対して、前記動作要素モデル記憶手段に記憶されている複数の動作要素モデルの重ね合わせ開始タイミング、個々の動作要素の時間長または振幅を調整した重ね合わせを行って複合形動作要素モデルを生成すると共に、前記複合形動作要素と比較し、両者の相関を基に前記複合形動作要素の個々の動作要素を識別することを特徴とする請求項1乃至11のいずれかに記載の就寝時体動識別装置。
【請求項13】
前記動作識別手段は、前記動作要素識別手段から出力される動作要素のシーケンスが、特定の動作に関連する動作要素が連続している場合でも、また連続せず離散している場合でも、時間的な発生順番が、前記動作シーケンスモデル記憶手段に記憶されている動作シーケンスモデルのうちの特定の動作のモデルと合致したら、前記動作要素識別手段から出力された直近の動作要素のシーケンスはその特定の動作に対応した動作要素のシーケンスであると識別することを特徴とする請求項1乃至12のいずれかに記載の就寝時体動識別装置。
【請求項14】
前記動作識別手段動作は、前記動作シーケンスモデル記憶手段に記憶されている上位階層に属する動作とこれに関連ある下位階層に属する動作または動作要素で構成される動作シーケンスモデルより前記下位階層に属する動作を抽出し、その出力を入力側にフィードバックすることにより、前記上位階層動作に属する動作を識別することを特徴とする請求項1乃至13のいずれかに記載の就寝時体動識別装置。
【請求項15】
前記動作要素識別手段または動作識別手段から出力される時間的にひとかたまりとなって同時または近接して発生する異なる複数の動作要素または動作よりなる複合動作を、集中的複合動作モデル記憶手段に記憶された集中的複合動作モデルを参照して識別する、集中的複合動作識別手段を備えることを特徴とする請求項1乃至14のいずれかに記載の就寝時体動識別装置。
【請求項16】
前記集中的複合動作識別手段は、集中的複合動作の構成要素である動作要素または動作の夫々の直近の一定時間内における発生時間合計値または発生回数に関する構成比率を格納した構成比率モデル記憶手段を参照し、前記抽出された複合動作との相関係数を算出し、その相関係数がある値以上であれば、集中的複合動作が直近の一定時間内に発生したと識別することを特徴とする請求項15記載の就寝時体動識別装置。
【請求項1】
就寝時における被験者の身体各部の動作を識別する就寝時体動識別装置において、
被験者の前記動作を計測して記憶する体動計測手段と、
前記体動計測手段から検出される時系列データを、所定の条件に従い時間区分して動作要素に分解して抽出する動作要素抽出手段と、
前記動作要素のモデルを記憶する動作要素モデル記憶手段と、
前記動作要素抽出手段で得られる動作要素と前記動作要素モデル記憶手段に記憶されている動作要素モデルとを比較して、前記動作要素を識別する動作要素識別手段と、
前記動作を構成する動作要素の発生順番に関するシーケンスモデルを記憶する動作シーケンスモデル記憶手段と、
前記動作要素識別手段から出力される動作要素の発生順番に関するシーケンスと、前記動作シーケンスモデル記憶手段に記憶されている動作要素の発生順番に関するシーケンスモデルとを比較して、前記動作を識別する動作識別手段と、
を備えることを特徴とする就寝時体動識別装置。
【請求項2】
前記体動計測手段は、必要に応じて複数のセンサー手段を備えており、前記動作要素識別手段は、それらの複数のセンサー手段から検出される時系列データのうちで、当該動作要素発生期間において振幅が最大である時系列データを選択し、その時系列データより抽出された動作要素成分と、その振幅が最大の時系列データを検出したセンサー手段に対応した動作要素モデルとを比較し、それらの比較結果のうちで最も動作要素モデルに近似した比較結果を用いて前記動作要素を識別することを特徴とする請求項1に記載の就寝時体動識別装置。
【請求項3】
前記体動計測手段は、検出しようとする対象部位に応じて設置された複数センサー手段を備えており、前記動作要素識別手段は、それらのセンサー手段から検出される時系列データのうちで、その振幅が最大であるセンサー手段の設置場所が、前記動作の発生源に最も近い場所であると判断し、その動作発生源に最も近い場所に位置する部位に対応する動作要素モデルのうち、
(1)発生頻度の高い順
(2)振幅が大きい順
(3)発生頻度が高い順(第1優先)でかつ振幅が大きい順(第2優先)
のいずれかにより動作要素モデルを選択し、振幅が最大の時系列データの動作要素と動作要素モデルとを比較することを特徴とする請求項1または2に記載の就寝時体動識別装置。
【請求項4】
前記体動計測手段は、被験者の身体の下に設置された圧力センサー等の静的な圧力を検出できるセンサーを備えており、被験者に対して無拘束状態で身体各部の位置または身体各部の動きの方向、速度または加速度に関する情報を収集して前記動作要素抽出手段に渡すことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の就寝時体動識別装置。
【請求項5】
前記動作要素抽出手段は、前記体動計測手段から検出される時系列データから生理的繰返し動作成分を検出すると共に、前記時系列データからその生理的繰返し動作成分を分離して前記動作のカテゴリー中の突発的動作成分を抽出することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の就寝時体動識別装置。
【請求項6】
前記動作要素抽出手段は、被験者が動作した際に発生する、時間的に変化する振幅波形上での決められた条件として、
(a)振幅波形上で振幅の谷の極小点到達時点=振幅波形上で振幅の時間に関する1次導関数が負→0(ゼロ)→正に変化時の0(ゼロ)到達時点
または、
(b)振幅波形上で振幅の時間に関する2次導関数がある値以上の極大点到達時点
を時間区分の境界点として、動作開始時から境界点まで、または境界点から次の境界点まで、または境界点から動作終了時までの期間に、前記動作を時間区分して動作要素に分解して抽出することを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の就寝時体動識別装置。
【請求項7】
前記動作要素抽出手段は、前記体動計測手段から検出される時系列データの振幅波形の振幅がゼロまたはゼロ近傍でなくなった時から、次に振幅がゼロまたはゼロ近傍になるまでの期間を動作要素の抽出期間とし、その期間内における振幅波形上での前記境界点での時間間隔と振幅の大きさから短期的重畳動作要素を抽出することを特徴とする請求項6に記載の就寝時体動識別装置。
【請求項8】
前記動作要素抽出手段は、前記体動計測手段から検出される時系列データの振幅波形の振幅がゼロまたはゼロ近傍でなくなった時から、次に振幅がゼロまたはゼロ近傍になるまでの期間を動作要素の抽出期間とし、その期間内における振幅波形上での前記境界点での時間間隔と振幅の大きさから短期的重畳動作要素を検出し、その短期的重畳動作要素が発生している期間内における前記時系列データから短期的重畳動作要素を分離・除去した時系列データを抽出することを特徴とする請求項6に記載の就寝時体動識別装置。
【請求項9】
前記動作要素抽出手段は、前記体動計測手段から検出される時系列データの振幅波形の振幅がゼロまたはゼロ近傍でなくなった時から、次に振幅がゼロまたはゼロ近傍になるまでの期間を対象動作要素成分抽出期間とし、その期間内における前記時系列データから前記短期的重畳動作要素成分が分離・除去された時系列データの振幅波形の前記境界点の数に基づいて、前記短期的重畳動作要素成分が分離・除去された時系列データが単一の動作要素であるか、それとも複数の動作要素が重ね合わせされたものであるかを検出することを特徴とする請求項7または8に記載の就寝時体動識別装置。
【請求項10】
前記動作要素抽出手段は、前記時間区分により分解された期間内における動作要素の時系列データを、分解された期間の時間で正規化した時間波形、時系列データを時間/周波数変換することによって得られる周波数成分、周波数成分時間変化、または、それらの時間波形、周波数成分、周波数成分時間変化のうちの少なくとも2個の組み合わせを抽出することを特徴とする請求項7乃至9のいずれかに記載の就寝時体動識別装置。
【請求項11】
前記動作要素識別手段は、前記動作要素抽出手段で得られた時間波形、周波数成分または周波数成分時間変化を、前記動作要素モデル記憶手段に記憶されている時間波形モデル、周波数成分モデル、周波数成分時間変化モデル、またはそれらの2個以上の組合せと相関手法を用いて比較して、動作要素を識別することを特徴とする請求項1乃至10のいずれかに記載の就寝時体動識別装置。
【請求項12】
前記動作要素識別手段は、前記動作要素抽出手段で得られた複数の動作要素が重ね合わされた複合形動作要素に対して、前記動作要素モデル記憶手段に記憶されている複数の動作要素モデルの重ね合わせ開始タイミング、個々の動作要素の時間長または振幅を調整した重ね合わせを行って複合形動作要素モデルを生成すると共に、前記複合形動作要素と比較し、両者の相関を基に前記複合形動作要素の個々の動作要素を識別することを特徴とする請求項1乃至11のいずれかに記載の就寝時体動識別装置。
【請求項13】
前記動作識別手段は、前記動作要素識別手段から出力される動作要素のシーケンスが、特定の動作に関連する動作要素が連続している場合でも、また連続せず離散している場合でも、時間的な発生順番が、前記動作シーケンスモデル記憶手段に記憶されている動作シーケンスモデルのうちの特定の動作のモデルと合致したら、前記動作要素識別手段から出力された直近の動作要素のシーケンスはその特定の動作に対応した動作要素のシーケンスであると識別することを特徴とする請求項1乃至12のいずれかに記載の就寝時体動識別装置。
【請求項14】
前記動作識別手段動作は、前記動作シーケンスモデル記憶手段に記憶されている上位階層に属する動作とこれに関連ある下位階層に属する動作または動作要素で構成される動作シーケンスモデルより前記下位階層に属する動作を抽出し、その出力を入力側にフィードバックすることにより、前記上位階層動作に属する動作を識別することを特徴とする請求項1乃至13のいずれかに記載の就寝時体動識別装置。
【請求項15】
前記動作要素識別手段または動作識別手段から出力される時間的にひとかたまりとなって同時または近接して発生する異なる複数の動作要素または動作よりなる複合動作を、集中的複合動作モデル記憶手段に記憶された集中的複合動作モデルを参照して識別する、集中的複合動作識別手段を備えることを特徴とする請求項1乃至14のいずれかに記載の就寝時体動識別装置。
【請求項16】
前記集中的複合動作識別手段は、集中的複合動作の構成要素である動作要素または動作の夫々の直近の一定時間内における発生時間合計値または発生回数に関する構成比率を格納した構成比率モデル記憶手段を参照し、前記抽出された複合動作との相関係数を算出し、その相関係数がある値以上であれば、集中的複合動作が直近の一定時間内に発生したと識別することを特徴とする請求項15記載の就寝時体動識別装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図25】
【図26】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図23】
【図24】
【図27】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図25】
【図26】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図23】
【図24】
【図27】
【公開番号】特開2009−160341(P2009−160341A)
【公開日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−3275(P2008−3275)
【出願日】平成20年1月10日(2008.1.10)
【出願人】(000006507)横河電機株式会社 (4,443)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年1月10日(2008.1.10)
【出願人】(000006507)横河電機株式会社 (4,443)
【Fターム(参考)】
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