説明

尿サンプル中のホルムアルデヒドの検出

【課題】尿中のホルムアルデヒドの存在を検出する簡単な技術を提供する。
【解決手段】尿サンプル(例えば尿または尿中物質)中のホルムアルデヒドの存在を迅速に検出する方法が提供される。この方法は、尿サンプルを基質と接触させるステップを含み、基質上にはホルムアルデヒドの存在下で検出可能な色の変化を遂げることができる着色剤が配置されている。理論に制限されるつもりはないが、ホルムアルデヒドによる着色剤の酸化は、スペクトルの赤端部に向かう(「深色移動」)かまたはスペクトルの青端部に向かう(「浅色移動」)吸収最大値の移動を誘発すると考えられている。吸収移動は、視覚的にあるいは器具を介して検出可能な色差を与え、尿サンプル内のホルムアルデヒドの存在を示す。例えば、尿サンプルとの接触前は、着色剤は、無色またはある種の色を持ち得るが、尿サンプルとの接触及びホルムアルデヒドとの反応後は、最初の色とは異なる色を呈する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、尿サンプル中のホルムアルデヒドの検出に関する。
【背景技術】
【0002】
尿中の一定レベルのホルムアルデヒドの存在は、例えば膀胱癌及び前立腺癌などの泌尿生殖器系の癌の指標となることができることが研究によって示されている。例えば、非特許文献1を参照されたい。ホルムアルデヒドレベルの増加は、細胞周辺領域において高濃度のホルムアルデヒドを生成する特定の癌細胞型に起因する可能性が高い。ホルムアルデヒドの存在の検査は、液体尿サンプルを直接検査するかあるいは液体尿サンプルの上方の蒸気を検査すること(ヘッドスペース検査と呼ばれることもある)によって遂行されることができる。
【0003】
尿中のホルムアルデヒドを検出するための種々の方法が定式化されている。例えば、特許文献1には、少なくとも10分間の混合ステップ及び少なくとも24時間の試薬調製期間を含む多段階の手順が記載されている。イヌに関するもの(非特許文献2)、質量分析(非特許文献1)及び蛍光分析(非特許文献3)を含む技術についても既に説明されている。残念ながら、これらの方法は、特別に訓練された人材を必要とする時間の掛かる実行ステップを含み、そうでなければ多くの介護者が簡単に手に入れられない物資または機材を必要とする。しかも、これらの方法はそれぞれ、患者からの尿サンプルの採取が必要なようである。子供、無能力患者または高齢者が関わる状況下でそのようなことは現実的ではないであろう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第6,689,617号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2003/0119202号明細書
【特許文献3】米国特許第5,075,077号明細書
【特許文献4】米国特許第5,192,606号明細書
【特許文献5】米国特許第5,702,377号明細書
【特許文献6】米国特許第5,931,823号明細書
【特許文献7】米国特許第6,060,638号明細書
【特許文献8】米国特許第6,150,002号明細書
【特許文献9】米国特許出願公開第2004/0102750号明細書
【特許文献10】米国特許出願公開第2005/0054255号明細書
【特許文献11】米国特許出願公開第2005/0059941号明細書
【特許文献12】米国特許第5,486,166号明細書
【特許文献13】米国特許第5,490,846号明細書
【特許文献14】米国特許第6,663,611号明細書
【特許文献15】PCT特許出願WO95/16425号明細書
【特許文献16】米国特許第5,399,219号明細書
【特許文献17】米国特許第5,540,796号明細書
【特許文献18】米国特許第5,595,618号明細書
【特許文献19】米国特許第4,704,116号明細書
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Spanel P, et al., Analysis of formaldehyde in the headspace of urine from bladder and prostate cancer patients using selected ion flow tube mass spectrometry, Rapid Commun Mass Spectrom., 1999; 13;1354-9
【非特許文献2】Willis C. et al., Olfactory detection of human bladder cancer by dogs: proof principle study, BMJ 2004; 329
【非特許文献3】Short L., Selective measurement of HCHO in urine using direct fluid-phase fluorimetric analysis, Clin. Chem. Lab. Med. 2005; 42(2); 178-182
【非特許文献4】Pocket Guide to Digital Printing by F. Cost, Delmar Publishers, Albany, NY. ISBN 0-8273-7592-1 at pages 144 and 145
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記に鑑みて、目下のところ、尿中のホルムアルデヒドの存在を検出する簡単な技術が必要である。高価な機材を必要とせずに即時に容易かつ迅速に実施できる技術もあれば有益であろう。尿を受容しかつ封じ込めるように設計されたパーソナルケア製品に組み入れられることができる技術もあれば特に有益であろう。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一実施形態に従って尿サンプル(例えば、尿や、尿から発生するヘッドスペースガスなどの尿に関連する尿中物質)中のホルムアルデヒドを検出する方法が提供される。本方法は、サンプルを、ホルムアルデヒドに曝されたときにスペクトル応答を生成するように構成された少なくとも1つの着色剤を含む基質と接触させるステップと、スペクトル応答を検出するステップと、スペクトル応答をサンプル中のホルムアルデヒドの存在と関連づけるステップとを含む。
【0008】
本発明の別の実施形態に従って、尿サンプル中のホルムアルデヒドの存在を検出するデバイスが提供される。デバイスには、液体サンプルの受容のための内容積を有する容器と、容器の内容積を密閉するように構成された蓋と、蓋に付された基質とが含まれ、基質には、尿サンプルの上方の蒸気中のホルムアルデヒドに曝されたときにスペクトル応答を生成するように構成された着色剤が含まれている。
【0009】
本発明のさらに別の実施形態に従って、ホルムアルデヒドを含む疑いがある体液を受容するための吸収性物品が提供される。この物品は、実質的に液不透過性の層と、液透過性の層と、実質的に液不透過性の層と液透過性の層との間に位置する吸収性コアと、物品に組み入れられた基質とを含み、基質は、物品の着用者によって体液が供給されたときにその体液と流体連通するように配置されている。基質は、体液中のホルムアルデヒドの存在を示すスペクトル応答を示すように構成された着色剤を含む。
【0010】
本発明の他の機能及び態様については以下に詳述する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
当業者を対象にした本発明の完全かつ実現可能な開示(ベストモードを含む)は、以下の添付図面を参照して本明細書の残りの部分により詳しく説明されている。
【図1A】本発明に従う様々な基質の例示的実施形態の概略的表示。
【図1B】本発明に従う様々な基質の例示的実施形態の概略的表示。
【図1C】本発明に従う様々な基質の例示的実施形態の概略的表示。
【図2】本発明に従うラテラルフローデバイスを含む基質の例示的実施形態の斜視図。
【図3】本発明に従う代表的なラテラルフローデバイスを含む基質を組み入れている吸収性物品の例示的実施形態の斜視図。
【図4】本発明に従う代表的なラテラルフローデバイスを含む基質を組み入れている吸収性物品の例示的実施形態の斜視図。
【図5】本発明に従う代表的なラテラルフローデバイスを含む基質を組み入れている吸収性物品の例示的実施形態の斜視図。
【図6】本発明に従う代表的なラテラルフローデバイスを含む基質を組み入れている吸収性物品の例示的実施形態の斜視図。
【図7】本発明に従う代表的なラテラルフローデバイスを含む基質を組み入れている吸収性物品の例示的実施形態の斜視図。
【図8】サンプル容器内に基質を組み入れている本発明の別の例示的実施形態の概略図。
【図9】塩基性フクシン−硫酸試薬によるホルムアルデヒド検出の結果を示すグラフ。 本明細書及び図面において繰り返し用いられている参照符号は、本発明の同一または類似の機構または要素を表すことを意図している。
【発明を実施するための形態】
【0012】
ここで、本発明の様々な実施形態について詳細に言及し、その1若しくは複数の例を以下に示す。それぞれの例は、本発明の制限ではなく本発明の説明として与えられている。実のところ、本発明の範囲または趣旨から逸脱することなく様々な変更形態及び変形形態が本発明においてなされ得ることは当業者には明らかであろう。例えば、一実施形態の一部として図示または記載されている機構は、別の実施形態で用いられてさらなる実施形態を生み出し得る。それゆえ、本発明は、添付の請求項及び及びそれらと同等ものに含まれるような変更形態及び変形形態をカバーすることが意図されている。
【0013】
定義
【0014】
本明細書中では、「ホルムアルデヒド」なる語は、任意の形態のホルムアルデヒドを網羅することを意図しており、ホルムアルデヒドガス(すなわちHCO)、水和物(すなわちCH(OH))などを含む。
【0015】
本明細書中では、「尿サンプル」なる語は、一般的に、尿または尿に関連する尿中物質(例えば尿から発生するヘッドスペースガス)を指す。尿及び/または尿中物質は、採取された状態で、あるいはある程度前処理されて、用いられ得る。例えば、そのような前処理は、ろ過、沈殿、希釈、蒸溜、混合、濃度、妨害成分の不活性化、試薬の添加、溶解などを含み得る。
【0016】
詳細な説明
【0017】
一般的に言えば、本発明は、尿サンプル中のホルムアルデヒドの存在を迅速に検出する方法に関する。この方法は、尿サンプルを基質と接触させるステップを含み、基質上にはホルムアルデヒドの存在下で検出可能な色の変化を遂げることができる着色剤が配置されている。理論に制限されるつもりはないが、ホルムアルデヒドによる着色剤の酸化は、スペクトルの赤端部に向かう(「深色移動」)かまたはスペクトルの青端部に向かう(「浅色移動」)吸収最大値の移動を誘発すると考えられている。吸収移動は、視覚的にあるいは器具を介して検出可能な色差を与え、尿サンプル内のホルムアルデヒドの存在を示す。例えば、尿サンプルとの接触前は、着色剤は無色またはある種の色を持ち得る。しかし、尿サンプルとの接触及びホルムアルデヒドとの反応後は、着色剤は最初の色とは異なる色を呈する。色の変化はこのようにして尿サンプル中のホルムアルデヒドの存在と容易に関連づけされ得る。
【0018】
本発明には様々な着色剤(例えば、染料、色素など)が用いられ得る。例えば、アリルメタン(例えばジアリルメタン及びトリアリルメタン)は、本発明での使用に特に適した着色剤である。例えばトリアリルメタンは次の一般構造を有する。
【化1】

ここで、R、R’、R’’は、それぞれ独立的に、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基などの置換及び非置換型アリール基から選択される。アリール基は、アミノ基、ヒドロキシル基、カルボニル基、カルボキシル基、スルホン酸基、アルキル基などの官能基及び/または他の既知の官能基で置換され得る。そのようなトリアリルメタンロイコ塩基の例には、塩基性フクシン、パラローズアニリン(マゼンタ0)、ローズアニリン(マゼンタI)、マゼンタII、新たなフクシン(「マゼンタIII」)、メチルバイオレット2B、メチルバイオレット6B、メチルバイオレット10B(「クリスタルバイオレット」)、メチルグリーン、エチルグリーン、酸フクシンなどが含まれる。適切なジアリルメタンロイコ塩基は、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンズヒドロール(「ミヒラーハイドロール(Michler's hydrol)」としても知られている)、ミヒラーハイドロールロイコベンゾトリアゾール、ミヒラーハイドロールロイコモルホリン、ミヒラーハイドロールロイコベンゼンスルホンアミドなどを含み得る。1つの特定の実施形態では、着色剤は、パラローズアニリンまたはその類似体を含み得る。パラローズアニリンの構造を以下に示す。
【化2】

【0019】
パラローズアニリンは、それ自体がホルムアルデヒドと反応して検出可能な色の変化をもたらし得るが、多くの場合、含硫化合物と予め反応させて色の変化が生じる度合いを強めることが望ましい。例えば、未反応着色剤は無色であり得、反応着色剤は特定の色(例えば赤)を呈し得る。本発明において用いられるのに適した含硫化合物は、例えば、硫酸、スルホサリチル酸や、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、スチレンスルホン酸、ナフタレンジスルホン酸、ヒドロキシベンゼンスルホン酸などのスルホン酸などを含み得る。1つの特定の実施形態では、例えば、パラローズアニリンは硫酸で処理され得るが、それにより中心炭素原子にスルホン酸基が追加される。そのような「スルホ−パラローズアニリン」の構造を以下に示す。
【化3】

【0020】
スルホ−パラローズアニリンは、一般的には無色である。しかし、ホルムアルデヒドと反応すると、この着色剤は、ピンクまたは赤味を帯びた色に変色し得る。これにより、使用者はホルムアルデヒドの存在を容易に検出することができる。より強烈な色を作るために、本発明の一部の実施形態において、他の着色剤が用いられ得る。そのような着色剤は、例えば、パラローズアニリンの類似体(例えばローズアニリン(マゼンタI)、マゼンタII、新たなフクシン(「マゼンタIII」)など)を含み得る。1つの特定の実施形態では、例えば、塩基性フクシンが本発明において用いられるが、塩基性フクシンは、パラローズアニリン、ローズアニリン(マゼンタI)及びマゼンタIIの混合物であると考えられている。
【0021】
本発明の基質と共に用いられ得るさらにもう1つの適切なクラスの着色剤は、一般構造
【化4】

を有する芳香族アゾ化合物である。ここで、
は芳香族基であり、
は脂肪族基及び芳香族基からなる群から選択され、
X及びYは、それぞれ独立的に、水素、ハロゲン化物、−NO、−NH、アリール基、アルキル基、アルコキシ基、スルホン酸基、−SOH、−OH、−COH、−COOH、ハロゲン化物などからなる群から選択される。アゾキシ化合物(X−R−N=NO−R−Y)またはヒドラゾ化合物(X−R−NH−NH−R−Y)などのアゾ誘導体もまた適切である。そのようなアゾ化合物(またはその誘導体)の特定の例には、メチルバイオレット、メチルイエロー、メチルオレンジ、メチルレッド、メチルグリーンが含まれる。一例として、クリソイジン(4−フェニルアゾ−1,3−フェニレンジアミン一塩酸塩)は、本発明と共に用いられ得るようなこのクラスからの着色剤である。
【0022】
本発明に従って所望の色の変化を実現するために、基質に着色剤を塗布し、ホルムアルデヒドと反応して生じる色の変化を使用者が容易に検出できるようにすることができる。例えば、着色剤を含む溶液が検出ゾーン内の基質に最初に塗布され得る。着色剤溶液は、クロマトグラフィー媒体を作るために用いられる材料に応じて、水性及び/または非水性溶媒を含み得る。適切な非水性溶媒は、グリコール(例えば、プロピレングリコール、ブチレングリコール、トリエチレングリコール、ヘキシレングリコール、ポリエチレングリコール、エトキシジグリコール、ジプロピレングリコール)、アルコール(例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール)、トリグリセリド、酢酸エチル、アセトン、トリアセチン、アセトニトリル、テトラヒドラフラン、キシレン、ホルムアルデヒド(例えばジメチルホルムアミド)などを含み得る。溶液中の溶媒及び着色剤の量は、一般的に所望のレベルの感度に基づいて多様であり得る。例えば、一部の実施形態では、着色剤は溶液中に約0.001wt%ないし約1wt%の濃度、一部の実施形態では約0.005wt%ないし約0.5wt%の濃度、一部の実施形態では約0.01wt%ないし約0.5wt%の濃度で存在し得る。
【0023】
着色剤及び溶媒の他にも、他の成分もまた溶液内に使用され得る。例えば、界面活性剤は、着色剤の感度及び異なる領域間の対比を強めるのに役立ち得る。特に望ましい界面活性剤は、非イオン界面活性剤、例えば、エトキシ化アルキルフェノール、エトキシ化及びプロポキシ化脂肪アルコール、エチレンオキシド−酸化プロピレンブロックコポリマー、脂肪(C〜C18)酸のエトキシ化エステル、エチレンオキサイドと長鎖アミンまたはアミドとの縮合物、エチレンオキサイドとアルコールとの縮合物、アセチレンジオール及びそれらの混合物である。適切な非イオン界面活性剤の様々な具体的な例には、限定されるものではないが、メチルグルセス−10、PEG−20メチルグルコースジステアラート、PEG−20メチルグルコースセスキステアレート、C11−15パレス−20、セテス−8、セテス−12、ドドキシノール(dodoxynol)−12、ラウレス−15、PEG−20ヒマシ油、ポリソルベート20、ステアレス−20、ポリオキシエチレン−10セチルエーテル、ポリオキシエチレン−10ステアリルエーテル、ポリオキシエチレン−20セチルエーテル、ポリオキシエチレン−10オレイルエーテル、ポリオキシエチレン−20オレイルエーテル、エトキシ化ノニルフェノール、エトキシ化オクチルフェノール、エトキシ化ドデシルフェノール、またはエトキシ化脂肪(C〜C22)アルコール(3〜20個のエチレンオキシド鎖を有するもの)、ポリオキシエチレン−20イソヘキサデシルエーテル、ポリオキシエチレン−23ラウリン酸グリセロール、ポリオキシエチレン−20ステアリン酸グリセリル、PPG−10メチルグルコースエーテル、PPG−20メチルグルコースエーテル、ポリオキシエチレン−20ソルビタンモノエステル、ポリオキシエチレン−80ヒマシ油、ポリオキシエチレン−15トリデシルエーテル、ポリオキシエチレン−6トリデシルエーテル、ラウレス−2、ラウレス−3、ラウレス−4、PEG−3ヒマシ油、ジオレイン酸PEG600、ジオレイン酸PEG400及びそれらの混合物が含まれる。市販の非イオン界面活性剤は、ペンシルバニア州アレンタウンのエアープロダクツ・アンド・ケミカルズ社(Air Products and Chemicals)から入手できる一連のサーフィノール(登録商標)シリーズのアセチレンジオール界面活性剤及びペンシルバニア州ピッツバーグのフィッシャーサイエンティフィック社(Fischer Scientific)から入手できる一連のトゥイーン(登録商標)シリーズのポリオキシエチレン界面活性剤を含み得る。
【0024】
基質上に着色剤を固定化するのを促進するために結合剤も用いられ得る。例えば、水溶性有機ポリマーが結合剤として用いられ得る。1つの適切なクラスの水溶性有機ポリマーには、多糖及びその誘導体が含まれる。多糖は、カチオン性、アニオン性、非イオン性及び/または両性であり得るような、反復炭水化物ユニットを含むポリマーである。1つの特定の実施形態では、多糖は、非イオン性、カチオン性、アニオン性及び/または両性のセルロースエーテルである。適切な非イオン性セルロースエーテルは、限定されるものではないが、メチルセルロース、エチルセルロースなどのアルキルセルロースエーテル;ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルヒドロキシブチルセルロース、ヒドロキシエチルヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルヒドロキシブチルセルロース、ヒドロキシエチルヒドロキシプロピルヒドロキシブチルセルロースなどのヒドロキシアルキルセルロースエーテル;メチルヒドロキシエチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、エチルヒドロキシプロピルセルロース、メチルエチルヒドロキシエチルセルロース、メチルエチルヒドロキシプロピルセルロースなどのアルキルヒドロキシアルキルセルロースエーテル;その他を含み得る。本発明の基質は、固体の、だが必ずしも剛体ではない材料から形成されるのが望ましい。固体支持部は、膜、紙、不織布、編物、織物、気泡、ガラスなどの様々な材料のうち任意のものから形成され得る。例えば、固体支持部を形成するために用いられる材料は、限定されるものではないが、天然材料、合成材料または合成的に修飾された自然起源の材料を含み得、例えば、多糖(例えば、紙などのセルロース材料及び酢酸セルロース、ニトロセルロースなどのセルロース誘導体);ポリエーテルスルホン;ポリエチレン;ナイロン;ポリフッ化ビニリデン(PVDF);ポリエステル;ポリプロピレン;シリカ;無機材料、例えば、不活性アルミナ、珪藻土、MgSO、または他の無機微粉材料であって、塩化ビニル、塩化ビニル−プロピレンコポリマー、塩化ビニル−酢酸ビニルコポリマーなどのポリマーによる多孔質ポリマーマトリクス内に均一に分散したものなど;自然起源の生地(例えば綿)及び合成生地(例えばナイロンまたはレーヨン);シリカゲル、アガロース、デキストラン、ゼラチンなどの多孔質ゲル;ポリアクリルアミドなどのポリマー膜;その他を含み得る。
【0025】
着色剤溶液は、プリント、浸漬、吹き付け塗装、溶融押出成形、コーティング(例えば溶媒コーティング、粉体塗装、刷毛塗りなど)などの任意の既知の塗布技術を用いて基質に塗布され得る。着色剤溶液の塗布後に、溶液を乾燥させてキャリヤを除去し、着色剤の残渣はホルムアルデヒドと相互作用させるために残す。
【0026】
着色剤がどのように塗布されるかにかかわらず、用いられる着色剤の量は、ホルムアルデヒドと接触すると検出可能な色の変化を生じさせるのに有効な量である。特定場所内で用いられる着色剤の正確な量は、着色剤の感度、他の添加剤の存在、所望の程度(例えば肉眼で)の検出能、尿サンプル中のホルムアルデヒドの推定濃度を含む様々な因子に基づいて異なり得る。例えば、遊離または化学結合したホルムアルデヒドに富む食事のおかげで、一定の微量のホルムアルデヒドが尿サンプル中に通常存在し得るかあるいは期待され得る。それゆえ、約10ppb(質量十億分率)以上の尿サンプルなどの一定の閾値濃度のホルムアルデヒドの存在下で検出可能な色の変化などのスペクトル応答を生成するのに十分な量の着色剤が用いられ得る。もちろん、閾値濃度は尿サンプルのタイプによって異なり得る。例えば、尿の上方のヘッドスペースガスの閾値濃度は約10ppbであり得るが、尿中では閾値濃度は約1×10以上であり得る。いずれにせよ、基質上に存在するとき、着色剤は通常、基質の乾燥重量の約0.001wt%ないし約20wt%、一部の実施形態では約0.01wt%ないし約10wt%、一部の実施形態では約0.1wt%ないし約5wt%を構成する。他の添加剤(例えば界面活性剤、結合剤など)の量も、基質の乾燥重量に基づき約0.001wt%ないし約10wt%、一部の実施形態では約0.01wt%ないし約5wt%、一部の実施形態では約0.025wt%ないし約1wt%など、必要に応じて異なり得る。
【0027】
必要ならば、使用者が尿サンプル内のホルムアルデヒドの存在をより良好に判定し得るように検出ゾーンが基質上に形成され得る。検出ゾーンは、基質のサイズを過度に増大させることなく目視観察ができるようにするのに効果的なサイズを持つのが望ましい。検出ゾーンの幅(または径)は、例えば、約0.01から約100ミリメートル、一部の実施形態では約0.1から約50ミリメートル、一部の実施形態では約1から約20ミリメートルの範囲であり得る。検出ゾーンの形状はまた、指標としての着色剤の視覚的な観察を向上させ得る。例えば、検出ゾーンは、縞状、帯状、ドットの形または任意の他の幾何学的形状であり得る。
【0028】
複数の着色剤を用いて、ホルムアルデヒドの存在のみならず尿サンプル内の量を示すために半定量検査を行うこともできる。さらに具体的に言うと、特定の濃度のホルムアルデヒドに対する様々なレベルの感度を示す複数の検出ゾーンが基質上に形成され得る。一例として、基質上の3つの異なる場所に、低、中及び高濃度のホルムアルデヒドに対する感度を示す3つの検出ゾーンが形成され得る。中濃度のホルムアルデヒドを有する特定のサンプルを検査すると、低及び中濃度の着色剤のみがスペクトル応答を与えることになる。各着色剤の所定の感度を知ることで、少なくとも尿サンプル中に存在するホルムアルデヒドの濃度の範囲を決定するための関連づけができるようになる。
【0029】
1若しくは複数の対照着色剤も本発明と共に用いられ得る。例えば、或る着色剤が、尿サンプルと接触しない場所にある基質上に置かれ得る。基質が液体尿サンプルに浸されるとき、着色剤は、基質に沿って2つの別々の場所に、一方のみが検査される液体に浸され得るように置かれ得る。さらなる例として、対照用の着色剤が(例えばキットの一部として)別の基質上に置かれることもあり、対照用の着色剤は、尿サンプルと接触しないが、尿サンプルに曝される着色剤との比較のために検査中に容易にアクセス可能である。そのような構成は、対照を蒸気と接触させないようにするために尿サンプルのヘッドスペースが検査されている場合に特に適切であろう。
【0030】
サンプルにホルムアルデヒドが存在するかを検査するために、上記したような1若しくは複数の着色剤を有する本発明の基質が、検査対象の尿サンプルと接触させられる。そのような接触は、検査される尿を含む液体試料などの尿サンプル中に基質の一部または全部を浸漬することによってなされ得る。あるいは、基質は、被験者が着用する吸収性物品内に配置され得るが、その場合、基質は、被験者が排泄した尿と接触するように配置される。サンプル上の着色剤が存在する部位が液体サンプルと直接接触するように置かれ得るか、あるいは、基質は、液体が液体と接触した基質の一部から着色剤を有する基質上の部位へと移動するかまたは流れるように作られ得る。さらに別の代替形態では、基質は、ヘッドスペース内または検査される尿を含む液体サンプルの上方の蒸気内に配置され得る。
【0031】
着色剤の変色の度合いは、それが曝されるホルムアルデヒドの存在に関する情報(スペクトル応答)を生成する。例えば、塩基性フクシンは、ホルムアルデヒドの存在下で無色からピンクへ顕著に変色し得る。他のアルデヒド(例えば、アセトアルデヒド、イソバレルアルデヒド、フェニルアセトアルデヒド、またはフタル酸ジカルボキシアルデヒド)の存在下では、仮にあったとしてもより少ない程度に色の変化が生じる。よって、尿サンプルが着色剤と接触するように置かれるとき、単に色の変化を観察してホルムアルデヒドによる感染が引き起こされているか否かを判定することができる。すなわち、ある程度まで(例えば無色からピンク)色の変化が生じれば、感染した尿サンプルにホルムアルデヒドが含まれていると判定され得る。
【0032】
色の変化は、視覚的に、または器具を利用して、またはその両方で観察され得る。本発明の1つの例示的実施形態では、スペクトル応答は、光学式読取装置により測定される。光学式読取装置の実際の構成及び構造は、当業者に容易に理解されるように、一般的に多様であり得る。典型的には、光学式読取装置は、電磁放射線を放出することができる照明光源と、シグナル(例えば透過光または反射光)を記録することができる検出器とを含む。照明光源は、可視または近可視範囲にある光線(例えば赤外線または紫外線)などの電磁放射線を供給することができる当分野で既知の任意の装置であり得る。例えば、本発明において用いられ得る適切な照明光源には、限定されるものではないが、発光ダイオード(LED)、フラッシュランプ、冷陰極蛍光ランプ、エレクトロルミネセントランプなどが含まれる。照明は多重化されかつ/またはコリメートされ得る。場合によっては、照明はパルス化されてバックグラウンド干渉を減少させ得る。さらに、照明は、連続的であり得るか、あるいは、連続波(CW)とパルス照明の組合せであり得、このとき、複数の照明ビームが多重化され(例えばパルスビームはCWビームにより多重化され)、CW源によって誘発されるシグナルとパルス源によって誘発されるシグナル間の信号識別を可能にする。例えば、一部の実施形態では、LED(例えば、アルミニウムガリウムヒ素赤色ダイオード、ガリウムリン緑色ダイオード、ガリウムヒ素リン緑色ダイオード、または窒化インジウムガリウム紫色/青色/紫外(UV)ダイオード)がパルス照明光源として用いられる。本発明において用いられるのに適した市販の適切なUV LED励起ダイオードの一例は、NSHU550Eモデル(日亜化学工業)であり、これは、10ミリアンペア(3.5〜3.9ボルト)の順方向電流で光出力750〜1000マイクロワット、半値全幅10°、ピーク波長370〜375ナノメートル、スペクトル半幅12ナノメートルのビームを発する。
【0033】
一部の例では、照明光源は、着色剤に拡散照明を供給し得る。例えば、多点光源(例えばLED)のアレイが単に用いられて比較的拡散した照明を供給し得る。比較的安価な方法で拡散照明を提供することができる別の特に望ましい照明光源は、エレクトロルミネセント(EL)装置である。EL装置は、一般的に2つの電極間に挟まれた発光材料(例えば蛍光体粒子)を使用するコンデンサ構造であり、少なくとも1つの電極は光が逃げられるように透明である。電極の両端に電圧を印加すると、発光材料を発光させるような変化する電界が発光材料内に生じる。
【0034】
検出器は、一般的に、スペクトル応答を感知できる当分野で既知の任意の装置であり得る。例えば、検出器は、空間識別用に構成された電子画像検出器であり得る。そのような電子画像センサの幾つかの例には、高速リニア電荷結合素子(CCD)、電荷注入装置(CID)、相補形金属酸化膜半導体(CMOS)装置などが含まれる。例えば画像走査に用いられるものなど、検出器画素または光センサの1本の線を含むリニア画像検出器(例えばリニアCCD検出器)も用いられ得るが、そのような画像検出器は、例えば、概して2次元アレイの電子光センサである。各アレイには、「アドレス」と呼ばれ得る一連の既知の固有の位置が含まれている。画像検出器内の各アドレスは、或るエリア(例えば典型的には箱形または矩形として形作られるエリア)をカバーするセンサによって占められている。このエリアは、一般的に「画素」または画素面積と呼ばれる。検出器画素は、例えば、CCD、CIDまたはCMOSセンサ、あるいは光を検出または測定する任意の他の装置またはセンサであり得る。検出器画素のサイズは、大きく異なり得るものであり、一部の例では0.2マイクロメートルばかりの径または長さを有し得る。
【0035】
他の実施形態では、検出器は、空間識別能力が不足している光センサであり得る。例えば、そのような光センサの例は、光電子増倍管装置、アバランシェフォトダイオードやシリコンフォトダイオードなどのフォトダイオード、その他を含み得る。シリコンフォトダイオードは、安価で高感度かつ高速の動作(短い立ち上がり時間/高帯域)が可能で、かつほとんどの他の半導体技術及びモノリシック回路に容易に組み込まれる点で有利であることがある。それに加えて、シリコンフォトダイオードは物理的に小型なので、様々なタイプの検出システムに容易に組み込まれることができる。シリコンフォトダイオードが用いられるならば、発せられるシグナルの波長範囲は、感度範囲内すなわち400〜1100ナノメートルであり得る。
【0036】
光学式読取装置は、一般的に、例えば、発光(例えば蛍光、燐光など)、光吸収(例えば蛍光または非蛍光)、回折などを含む任意の既知の検出技術を用い得る。本発明の1つの特定の実施形態では、光学式読取装置はスペクトル応答の色の強さを吸光度の関数として測定する。一実施形態では、吸光度の読みは、バージニア州シャンティリーのダイネックス・テクノロジーズ社(Dynex Technologies)製のマイクロプレートリーダー(型式:MRX)を用いて測定される。別の実施形態では、吸光度の読みは「CIELAB」として知られている従来の検査を用いて測定され、それについては非特許文献4で論じられている。この方法は、反対色知覚説に基づいて知覚した色の3つの特徴に対応する3つの変数L、a、bを定義する。3つの変数は次の意味を持つ。
=明度。0(黒)から100(白)にわたる。
=赤/緑軸。約−100から100にわたり、正の値は赤味を帯びており、負の値は緑味を帯びている。
=黄/青軸。約−100から100にわたり、正の値は黄味を帯びており、負の値は青味を帯びている。
【0037】
CIELAB色空間は幾分か視覚的に一様であるので、人間によって知覚されるような2つの色の差を表す1つの数が計算され得る。この差は、ΔEと呼ばれ、2色間の3つの差(ΔL、Δa、Δb)の2乗の合計の平方根をとることによって計算される。CIELAB色空間では、各ΔEは、2色間の「知覚できる最小の」差(JND)にほぼ等しい。CIELABは、それゆえ、色を管理しかつ色の変化を表すために基準色空間として用いられ得る客観的デバイス非依存の表色系にとって良好な手段である。この検査を用いると、色の強さ(L、a、b)が、例えば日本の大阪のミノルタ製携帯用分光光度計(型番CM2600d)を用いて、上に述べたように測定され得る。この器具は、CIE No.15、ISO 7724/1、ASTME1164及びJIS Z8722−1982に準拠するD/8の幾何学的配置(拡散照明・8°受光方式)を利用する。表面の法線に対して8°の角度で試料表面によって反射されるD65光が、試料測定光学系によって受光される。さらに別の適切な光学式読取装置は、特許文献2に記載の反射率分光光度計であり、特許文献2は、本明細書において、全文を引用することを以て本明細書の一部となす。同様に、トランスミッションモード検出システムも本発明において用いられ得る。
【0038】
特定の実施形態では、本発明の着色剤のスペクトル応答は、速やかに行われ得るものであり、比較的短い時間内に検出され得る。例えば、スペクトル応答は、約20分以下で、一部の実施形態では約10分以下で、一部の実施形態では約5分以下で、一部の実施形態では約3分以下で、一部の実施形態では約10秒から約2分で生じ得る。このように、着色剤はサンプル中のホルムアルデヒドの存在を「即時に」示し得る。
【0039】
上記した技術は、本発明に従って様々な方法で実現され得る。ここで例えば図1を参照すると、本発明に従う基質10の例示的実施形態が示されている。図1Aでは、基質10はストリップ様形状を有し、一端に沿って塗布された着色剤12のブロックを有するものとして示されている。図1Bは、基質10の一端に沿って細い帯として塗布された着色剤12及び着色剤14を示している。着色剤12及び着色剤14は、図1Cにおいて、一連のドットとして基質10に塗布されている。当然のことながら、これらの図は説明に役立つ例としての役割のみを果たす。前述の通り、数多くの他の着色剤形態及び基質10の形状が可能である。さらに、図中では暗色の領域として示されているが、着色剤は実際には、ホルムアルデヒドの存在に反応した後で色及び/または色度が変化するように、最初に基質10に塗布されるときには無色であり得る。
【0040】
図2は、基質が本発明に従ってホルムアルデヒドの存在を検出するためのラテラルフローデバイス120として作られている本発明の別の例示的実施形態を示している。図のように、ラテラルフローデバイス120には、任意選択で堅い支持部材料121によって支持されるクロマトグラフィー媒体123が含まれる。上記したように作成された着色剤136も媒体123に塗布される。クロマトグラフィー媒体123は、尿サンプルが通過することができる種々の材料のうち任意のもので作られ得る。例えば、クロマトグラフィー媒体123は、合成材料または自然起源の材料、例えば、多糖(例えば、紙などのセルロース材料及び酢酸セルロース、ニトロセルロースなどのセルロース誘導体);ポリエーテルスルホン;ポリエチレン;ナイロン;ポリフッ化ビニリデン(PVDF);ポリエステル;ポリプロピレン;シリカ;無機材料、例えば、不活性アルミナ、珪藻土、MgSO、または他の無機微粉材料であって、塩化ビニル、塩化ビニル−プロピレンコポリマー、塩化ビニル−酢酸ビニルコポリマーなどのポリマーによる多孔質ポリマーマトリクス内に均一に分散したものなど;自然起源の生地(例えば綿)及び合成生地(例えばナイロンまたはレーヨン);シリカゲル、アガロース、デキストラン、ゼラチンなどの多孔質ゲル;ポリアクリルアミドなどのポリマー膜;その他から形成される多孔質膜であり得る。1つの特定の実施形態では、クロマトグラフィー媒体123は、ニトロセルロース及び/またはポリエーテルスルホン材料から形成される。当然のことながら、「ニトロセルロース」なる語はセルロースの硝酸エステルを指し、ニトロセルロース単独または硝酸と他の酸(1ないし7個の炭素原子を有する脂肪族カルボン酸など)の混合エステルであり得る。
【0041】
クロマトグラフィー媒体123のサイズ及び形状は、当業者であれば容易に分かるように、一般的に多様であり得る。例えば、多孔質膜ストリップは、約10から約100ミリメートルの長さ、一部の実施形態では約20から約80ミリメートルの長さ、一部の実施形態では約40から約60ミリメートルの長さを有し得る。膜ストリップの幅も、約0.5ないし約20ミリメートル、一部の実施形態では約1ないし約15ミリメートル、一部の実施形態では約2ないし約10ミリメートルであり得る。同様に、膜ストリップの厚さは一般的にトランスミッションベースの検出を許容できるほど小さい。例えば、膜ストリップは、約500マイクロメートル未満の厚さ、一部の実施形態では約250マイクロメートル未満の厚さ、一部の実施形態では約150マイクロメートル未満の厚さを有し得る。
【0042】
上記したように、支持部121は、クロマトグラフィー媒体123を支持している。例えば、支持部121は、図2に示されるようにクロマトグラフィー媒体123に隣接して直接配置され得るか、あるいは、クロマトグラフィー媒体123と支持部121の間に1若しくは複数の介在層が置かれ得る。いずれにせよ、支持部121は、一般的に、クロマトグラフィー媒体123を支持することができる任意の材料から形成され得る。支持部121は、透明または光拡散(例えば半透明)材料などの光が透過する材料から形成され得る。また、一般的には、支持部121は、媒体123を流れる流体が支持部121から漏れないように液不透過性であることが望ましい。支持部のための適切な材料の例には、限定されるものではないが、ガラス;ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリエステル(例えばマイラー(登録商標)フィルム)、ポリブタジエン、ポリ塩化ビニル、ポリアミド、ポリカーボネート、エポキシド、メタクリル酸、ポリメラミンなどのポリマー材料;その他が含まれる。クロマトグラフィー媒体123に十分な構造的バッキング(裏材)を与えるために、支持部121は一般的に一定の最小厚さを有するように選択される。同様に、支持部121の厚さは、通常その光学特性に悪影響を及ぼす程には大きくない。それゆえ、例えば、支持部121は、約100ないし約5,000マイクロメートルの厚さ、一部の実施形態では約150ないし約2,000マイクロメートルの厚さ、一部の実施形態では約250ないし約1,000マイクロメートルの厚さを有し得る。例えば、約125マイクロメートルの厚さを有する1つの適切な膜ストリップは、「SHF180UB25」という商品面でマサチューセッツ州ベッドフォードのミリポア社(Millipore Corp.)から入手できる。
【0043】
当分野でよく知られているように、クロマトグラフィー媒体123は支持部121上へキャスティング(流延)されることができ、得られた積層物は所望のサイズ及び形状に打抜かれ得る。あるいは、クロマトグラフィー媒体123は単に例えば接着剤により支持部121に積層され得る。一部の実施形態では、ニトロセルロースまたはナイロン多孔質膜がマイラー(登録商標)フィルムに付着される。多孔質膜をマイラー(登録商標)フィルムに結合するために、粘着剤などの接着剤が用いられる。このタイプの積層構造は、マサチューセッツ州ベッドフォードのミリポア社から市販されていると考えられる。さらにまた別の適切な積層デバイス構造の例は特許文献3に記載されており、特許文献3は、本明細書において、全文を引用することを以て本明細書の一部となす。
【0044】
デバイス120はまた、媒体123に隣接して配置される吸収材154を含み得る。吸収材154は、毛細管現象を促進しかつ流体が媒体123を通って流れる助けとなる。その上、吸収材154は、クロマトグラフィー媒体123全体を通って移動した流体を受容するので、検出領域から任意の未反応成分を引き寄せる。本発明で用いられ得るいくつかの適切な吸収材には、限定されるものではないが、ニトロセルロース、セルロース系材料、多孔質ポリエチレンパッド、ガラス繊維ろ紙などが含まれる。吸収材154は、デバイスに組み入れられる前に湿っていても乾いていてもよい。プレウェッティングは一部の流体に対して毛細管流動を促進し得るが、通常は必要とされない。また、当分野で公知であるように、吸収材は、ウィッキング工程に役立つように界面活性剤で処理され得る。
【0045】
検査を開始するにあたり、使用者はクロマトグラフィー媒体123の一部分に尿サンプルを直接塗布することができ、尿サンプルはそこを通って図2中に矢印「L」で示されている方向に移動し得る。あるいは、尿サンプルは先ず、クロマトグラフィー媒体123と流体連通しているサンプル塗布ゾーン142に塗布され得る。サンプル塗布ゾーン142は、媒体123上に形成され得る。あるいは、図2に示されているように、サンプル塗布ゾーン142は、パッドなどの別体の材料によって形成され得る。そのようなサンプルパッドを形成するために用いられ得るいくつかの適切な材料には、限定されるものではないが、ニトロセルロース、セルロース、多孔質ポリエチレンパッド、ガラス繊維ろ紙が含まれる。必要に応じて、サンプル塗布ゾーン142はまた、そこに拡散的にまたは非拡散的にのいずれかで付けられる1若しくは複数の前処理試薬を含有し得る。
【0046】
ある種の用途では、デバイス120を用いてサンプルを検査するときに追加の試薬を加えることが望ましいことがある。そのような場合、デバイス120は、サンプル塗布ゾーン142と流体連通している試薬ゾーン(図示せず)を含み得る。試薬ゾーンは、別体の材料またはパッドから形成され得る。そのような試薬パッドは、尿サンプルが通過できる任意の材料、例えばガラス繊維などから形成され得る。あるいは、試薬ゾーンは単に媒体123上に形成され得る。いずれにせよ、試薬ゾーンには所望に応じて試薬を含む1若しくは複数の溶液が塗布され得る。このように、尿サンプルは、矢印Lの方向に移動する前に試薬ゾーンと接触して所望の試薬と混合され得る。
【0047】
本発明のラテラルフローデバイスの1つの利点は、分析物の検出を促進するために1若しくは複数の追加ゾーンを容易に組み込めることである。例えば、再び図2を参照すると、ラテラルフローデバイス120に追加の着色剤138を用いて、検出精度を向上させ、ホルムアルデヒドの存在の二重指標を与え、かつ/または上記したようにサンプル中に存在するホルムアルデヒドの量の半定量的指標を与えることもできる。さらに、着色剤138は、ホルムアルデヒドが存在するか否かにかかわらず検査が完了したことを確認するためにスペクトル応答を生成するように構成されることができる。例えば、着色剤138は、液体サンプルが矢印Lの方向にデバイス120の長さに沿って首尾よく移動したことを使用者に知らせるために色が変化するように形成されることができる。入念な測定または計算を要さずに十分な量の尿サンプルが加えられたことが使用者に知らされることは、そのような着色剤138によってもたらされる利点の1つである。これにより、反応時間、尿サンプル量などの外部制御の必要なくラテラルフローデバイス120を用いることができる。
【0048】
デバイス120は、図2に示されているように配置されかつ方向付けられた着色剤に限定されるものではない。上記したように、着色剤は一般的に必要に応じて任意の数の異なる検出領域に供給され得る。さらに、各着色剤の存在位置には、同じかまたは異なる材料が含まれ得る。例えば、着色剤は、線、ドットなどとして形成される2つ以上の異なる成分を含み得る。さらに、着色剤は、図示されているようにデバイス120を通過する尿サンプルのフローに実質的に垂直な方向に線の形で配置され得るか、あるいは、一部の実施形態では、着色剤は、デバイス120を通過する尿サンプルのフローに実質的に平行な方向に線の形で配置され得る。
【0049】
本発明に従って、1若しくは複数の基質が吸収性物品に組み入れられ得る。「吸収性物品」は一般的に水または他の流体を吸収できる任意の物品を指す。いくつかの吸収性物品の例には、限定されるものではないが、おむつ、トレーニングパンツ、吸収性パンツ、失禁物品、婦人用衛生用品(例えば生理用ナプキン)、水着、赤ちゃん用おしり拭きなどのパーソナルケア吸収性物品;衣服、開窓部を有する(fenestration)材料、アンダーパッド、ベッドパッド、包帯、吸収性ドレープ、医療用ワイプなどの医療用吸収性物品;食事用の手口拭き;衣料品;その他が含まれる。そのような吸収性物品を形成するのに適した材料及び工程は、当業者によく知られている。典型的には、吸収性物品には、実質的に液不透過性の層(例えばアウターカバー)、液透過性の層(例えば体側ライナー、サージ層など)、吸収性コアが含まれる。
【0050】
本発明に従って形成され得る吸収性物品の様々な実施形態について、ここで、より詳細に説明する。例示の目的のためだけに、吸収性物品が図3に大人用失禁用品101として示されている。図で示されている実施形態では、大人用失禁用品101は、展開状態において砂時計形のくびれのある形状を有するものとして示されている。しかし、概ね矩形の形状、T字形またはI字形などの他の形状も勿論使用され得る。図のように、大人用失禁用品101は、アウターカバー117、体側ライナー105、吸収性コア103、サージ層107を含む種々の構成要素によって形成される構造を含む。しかし、当然のことながら、他の層も本発明の例示的実施形態に用いられ得る。同様に、図3で言及されている層のうちの1若しくは複数の層は、本発明の特定の例示的実施形態において除外され得る。
【0051】
体側ライナー105は、吸収性コア103内に保持された液体から着用者の皮膚を分離するのを助けるために一般的に使用される。例えば、ライナー105は、典型的には柔軟かつ柔らかな風合いで着用者の皮膚を刺激しないような、体に面している表面を呈している。典型的には、ライナー105はまた、着用者に対して表面を比較的乾いたままにするように、吸収性コア103よりも親水性が低い。上記したように、ライナー105は、液体がライナーの厚さを貫通して容易に浸透することができるように、液透過性であり得る。不織布を含む例示的なライナー構造は、特許文献4ないし特許文献11に記載されており、これらの特許文献は全て、本明細書において、全文を引用することを以て本明細書の一部となす。
【0052】
大人用失禁用品101はまた、吸収性コア103内に速やかに導入され得る液体の急増(サージ)または噴出を減速しかつ拡散するのに役立つサージ層107を含み得る。サージ層107は、液体を吸収性コア103の貯蔵または貯留部分に放出する前に液体を速やかに受け入れかつ一時的に保持するのが望ましい。図で示されている実施形態では、例えば、サージ層107は、体側ライナー105の内向きの表面116と吸収性コア103の間に間挿される。あるいは、サージ層107は体側ライナー105の外向きの表面118上に配置され得る。サージ層107は、典型的には、液透過性の高い材料から作られる。適切なサージ層の例は、特許文献12及び特許文献13に記載されており、両特許文献は、本明細書において、全文を引用することを以て本明細書の一部となす。
【0053】
アウターカバー117は、典型的には、実質的に液不透過性の材料から形成される。例えば、アウターカバー117は、プラスチック薄膜または他の可撓性のある液不透過性材料から形成され得る。一実施形態では、アウターカバー117は、約0.01ミリメートルから約0.05ミリメートルの厚さを有するポリエチレン膜から形成される。膜は、液体を透過させることができないが気体及び水蒸気を透過させることができる(すなわち「通気性がある」)膜であり得る。これは、蒸気を吸収性コア103から逃がすが、それでもなお液体滲出物がアウターカバー117を通り抜けないようにする。布のような感触に近づけたいならば、アウターカバー117は、不織布に積層されたポリオレフィン膜から形成され得る。例えば、伸ばして細くしたポリプロピレン膜がポリプロピレンスパンボンド不織布に熱的に積層され得る。
【0054】
上記した構成要素の他にも、大人用失禁用品101は、当分野で既知であるように、様々な他の構成要素を含み得る。例えば、大人用失禁用品101は、吸収性コア103の繊維構造の完全性を維持するのに役立つような実質的に親水性の薄織ラップシート(図示せず)も含み得る。薄織ラップシートは、典型的には吸収性コア103の周りにその少なくとも2つの大きな接面全体を覆って置かれ、縮緬状ワッディングや湿潤強度の高い薄織物などの吸収性のセルロース系材料から構成される。薄織ラップシートは、吸収性コア103の吸水性のある繊維の塊の上に液体を速やかに分散させるのに役立つウィッキング層を提供するように構成され得る。吸水性のある繊維の塊の片側上のラップシート材料は、吸収性コア103を効率的に閉じ込めるように繊維の塊の反対側に配置されたラップシートに結合され得る。さらに、大人用失禁用品101は、吸収性コア103とアウターカバー117との間に位置する通気層(図示せず)も含み得る。利用されるとすれば、通気層は、アウターカバー117を吸収性コア103から隔離し、それによってアウターカバー117内の湿気を減らすのに役立ち得る。そのような通気層の例は、特許文献14に記載されているような通気性フィルムに積層された不織布を含み得る。特許文献14は、本明細書において、全文を引用することを以て本明細書の一部となす。
【0055】
一部の実施形態では、大人用失禁用品101は、大人用失禁用品101の側端132から前後のウエスト領域のうち一方に延在する1対のサイドパネル(または耳)(図示せず)も含み得る。サイドパネルは、選択された大人用失禁用品構成要素と一体に形成され得る。例えば、サイドパネルは、アウターカバー117と一体に、あるいは上面を提供するために用いられる材料から形成され得る。代替構成では、サイドパネルは、アウターカバー117、上面、アウターカバー117と上面の間に結合されかつ組み立てられる要素によって、あるいは様々な他の構成で、提供され得る。必要に応じて、本発明の伸縮性不織複合材料を用いてサイドパネルに弾性を持たせるかあるいは別な方法で弾性にすることができる。伸縮性のあるサイドパネル及び選択的に構成された固定用タブを含む吸収性物品の例は、特許文献15ないし特許文献18に記載されており、これらの特許文献は各々、本明細書において、全文を引用することを以て本明細書の一部となす。
【0056】
図3に典型的に示されているように、大人用失禁用品101は、障壁を提供しかつ体液(滲出液)のラテラルフローを封じ込めるように構成されている1対の閉じ込めフラップ112も含み得る。閉じ込めフラップ112は、体側ライナー105の長手方向に対向する両側端132に沿って吸収性コア103の側端に隣接して配置され得る。閉じ込めフラップ112は、吸収性コア103の全長に沿って長手方向に延在し得るか、あるいは、吸収性コア103の長さに部分的にのみ沿って延在し得る。閉じ込めフラップ112が吸収性コア103より長さが短いとき、閉じ込めフラップ112は、股領域110において大人用失禁用品101の側端132沿いの任意の場所に選択的に配置され得る。一実施形態では、体液(滲出液)をより良好に封じ込めるために、閉じ込めフラップ112は吸収性コア103の全長に沿って延在する。そのような閉じ込めフラップ112は、一般的に当業者によく知られている。例えば、閉じ込めフラップ112の適切な構造及び構成は特許文献19に記載されており、特許文献19は、本明細書において、全文を引用することを以て本明細書の一部となす。
【0057】
フィット性を良くしかつ体液(滲出液)の漏れを減らすのに役立たせるために、以下に詳述するように、適切な弾性部材によって大人用失禁用品101に伸縮性を持たせることができる。例えば、図3に典型的に示されているように、大人用失禁用品101に、大人用失禁用品101の側縁部を動作的に引っ張るように構築されたレッグ伸縮素材部106を含めることによって、漏れを少なくし、快適さ及び見た目を良くするべく、着用者の脚の周りにぴったりとフィットすることができる伸縮性のある脚帯を設けることができる。大人用失禁用品101の端縁部に伸縮性を持たせるためにウエスト伸縮素材部108を用いて伸縮性のあるウエストバンドを設けることもできる。ウエスト伸縮素材部108は、着用者の腰の周りに、弾力性があり気持ちよくぴったりしたフィット性を与えるように構成されている。
【0058】
大人用失禁用品101は、1若しくは複数の固定手段130を含むこともある。例えば、着用者の周りにウエスト開口部及び1対のレッグ開口部を作るためにウエスト領域の両側端に設けられた2つの可撓固定手段130が図3に示されている。固定手段130の形状は、一般的に多様であり得るが、例えば概ね矩形の形状、方形形状、円形形状、三角形形状、楕円形状、直線形状などを含み得る。固定手段は、例えば、フックアンドループ素材、ボタン、ピン、スナップ、粘着テープファスナー、粘着剤、ファブリックアンドループ(fabric-and-loop)ファスナーなどを含み得る。1つの特定の実施形態では、各固定手段130は、可撓バッキングの内面に付けられた別のフック材料を含む。
【0059】
大人用失禁用品101の種々の領域及び/または構成要素は、接着剤、超音波、熱ボンドなどの任意の既知の付着機構を用いて一緒に取り付けられ得る。適切な接着剤は、例えば、ホットメルト接着剤、粘着剤などを含み得る。利用されるとすれば、接着剤は、均一層、パターン層、溶射パターン、または離れた線、渦またはドットのいずれかとして塗布され得る。図で示されている実施形態では、例えば、アウターカバー117及び体側ライナー105は、接着剤を用いて、互いに、そして吸収性コア103に、取り付けられている。あるいは、吸収性コア103は、ボタン、フックアンドループ型ファスナー、粘着テープファスナーなどの従来の固定手段を用いてアウターカバー117に結合され得る。同様に、レッグ伸縮素材部106、ウエスト伸縮素材部108、固定手段130などの他の大人用失禁用品の構成要素もまた、任意の付着機構を用いて大人用失禁用品101に取り付けられ得る。
【0060】
一般的に言えば、本発明のデバイスが、着用者からの尿を受容することができ、使用者または介護者がホルムアルデヒドの有無を点検できるようなスペクトル応答を与えることができる限り、本発明に従う基質は、様々な異なる向き及び構成で吸収性物品に組み入れられ得る。例えば、基質上の着色剤は、尿サンプル中のホルムアルデヒドの存在を簡単に、正確に、かつ即時に示すために着色剤が容易に使用者または介護者に見えるように吸収性物品内に配置され得る。基質上でのそのような着色剤の可視性は、様々な方法で実現され得る。例えば、一部の実施形態では、吸収性物品は、着用者から吸収性物品を取り去ることなくかつ/または吸収性物品を分解することなく着色剤が容易に見える透明または半透明部分(例えば窓、膜など)を含み得る。他の実施形態では、着色剤の全部または一部が、観察のために孔またはアパーチャ部を貫通して延在し得る。さらに他の実施形態では、着色剤を尿サンプルと流体連通させるための機構を提供する一方で、着色剤は観察のために単に吸収性物品の表面上に配置され得る。
【0061】
一例として、再び図3を参照すると、本発明の例示的実施形態に従って、大人用失禁用品101は、少なくとも部分的にアウターカバー117と吸収性コア103の間に配置され得るラテラルフローアッセイデバイス120を含む基質を含む。ラテラルフローアッセイデバイス120は、着色剤136及び138がアウターカバー117の窓140から目に見えるように配置され得る。サンプルゾーン142は、アッセイデバイス120の一端に配置されているが、着用者が排泄した尿が排泄された尿の少なくとも一部を内部に捕集するためのサンプルゾーン142へ移動できるように大人用失禁用品101内に戦略的に配置されている。アッセイデバイス120の他端には、サンプルの一部を保持しかつデバイス120におけるウィッキングまたは毛細管流動を促進するために吸収材154も設けられている(詳細な説明は後述)。
【0062】
図3は、吸収性物品101を含む層内に直接載置されているアッセイデバイス120を示している。あるいは、アッセイデバイス120は、サンプルゾーン142を除いて薄膜(図示せず)内に部分的にまたは完全に包み込まれ得るが、サンプルゾーン142は、検査される体液(例えば尿)に曝されたままである。そのような実施形態は、サンプルゾーン142以外のアッセイデバイス120の他の構成要素に、着用者から直接、または吸収性物品101の層から体液を受容させないようにするために望ましいであろう。例えば、ウィッキングゾーン154が、体液をサンプルゾーン142からのみ引き寄せ、吸収性物品101からは引き寄せないように遮蔽されるならば、アッセイデバイス120は、より効率的に作用し得る。そのような薄膜は、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネートなどのポリマーを含む様々な材料から作られ得る。
【0063】
上記したように、アッセイデバイス120は、排出された体液を受容するように配置されている。図のように、アッセイデバイス120は流体を捕集するためのサンプルゾーン142を含む。あるいは、アッセイデバイス120のためのサンプルゾーンは、吸収性物品101の一部を形成する1若しくは複数の構成要素から作られ得る。一例として、サンプルゾーンは、サージ層107、吸収性コア103、または、吸収性物品101の構成に用いられる可能性があり、流体を受容しかつアッセイデバイス120に設けることができるような他の構成要素の一部として作られることができる。
【0064】
アッセイデバイス120は、大人用失禁用品101と共に、様々な異なる配置及び向きで構成され得る。図3は、吸収性コア103とアウターカバー117の間の位置にあるアッセイデバイス120を示している。このように、着色剤136及び138は、大人用失禁用品101が着用者上の適所にあるときに窓140から見える。窓140は、捕集された流体の望ましくない漏れを防止するためにアウターカバー117の一部として形成される透明材料で作られる。そのような場合には、デバイス120による検査の結果は、着用者から大人用失禁用品101を取り外すことなく容易に観察され得る。あるいは、デバイス120は例えば吸収性コア103と体側ライナー105の間に置かれ、窓140は体側ライナー105によって画定されることができる。そのような場合には、アッセイデバイス120による検査の結果は、例えば、着用者が着用している大人用失禁用品101が交換されるかまたは取り替えられるときにチェックされ得る。さらに、デバイス120は、他の場所に、異なる向きで、配置されることもある。
【0065】
実際、本開示を用いて理解されるであろうように、さらに後述されるような、アッセイデバイス120を吸収性物品に組み入れるための例示的実施形態が数多く存在する。例えば、図4は、アッセイデバイス120が大人用失禁用品215に組み入れられているような本発明の別の例示的実施形態を示している。ここで、窓240から前述のような着色剤136及び138を観察することができる。図3と比較すると、アッセイデバイス120は、大人用失禁用品101の逆側に置かれている。
【0066】
図5は、アッセイデバイス120が大人用失禁用品315に組み入れられている別の例示的実施形態を示している。この場合もやはり、窓340から前述のような着色剤136及び138を観察することができる。図3及び図4と似たような形で、ウィッキングゾーン154は、アウターカバー117に隣接して配置されている。しかし、図3及び図4とは対照的に、サンプルゾーン142は着用者の皮膚に隣接して配置されている。さらに具体的に言うと、大人用失禁用品315は、吸収性コア303及び体側ライナー305を貫通してサンプルゾーン142が着用者の皮膚に隣接することになる位置まで延在するアッセイデバイス120を備えて作られる。
【0067】
図6は、2つのアッセイデバイス120が組み入れられている大人用失禁用品415を示している。図のように、窓440によって、2つの異なるアッセイデバイス120の着色剤136及び138が大人用失禁用品415の外側から観察されることができる。そのような構成は、例えば、各アッセイデバイス120が異なる組成を有する複数の着色剤を用いてホルムアルデヒドの存在を検出するように作られる場合に望ましいであろう。その上、図6のアッセイデバイスは、図3ないし図5の実施形態に対して鈍角に向けられている。このように、図6は、本明細書に開示されている教示に基づいてデバイス120の複数の構成及び向きが使用され得ることも示している。
【0068】
図7は、大人用失禁用品515に組み入れられているアッセイデバイス120を示している。窓から目に見えるよりはむしろ、着色剤136及び138は、実際には大人用失禁用品515の外側にある。サンプルゾーン142は、アッセイデバイス120の一部として大人用失禁用品515の内側に存在し、カバー517のアパーチャ部542を貫通して延在している。アッセイデバイス120を保護しかつ大人用失禁用品515からの流体の漏れを防止するために、カバー517に透明膜541が付けられている。
【0069】
上記した各実施形態に関して、アッセイデバイス120は、様々な技術または機構を用いて吸収性物品内の適所に固定され得る。例えば、アッセイデバイス120は、接着剤、超音波、熱ボンドなどの任意の既知の付着機構を用いて取り付けられ得る。適切な接着剤は、例えば、ホットメルト接着剤、粘着剤などを含み得る。利用されるとすれば、接着剤は、均一層、パターン層、溶射パターン、または離れた線、渦またはドットのいずれかとして塗布され得る。あるいは、アッセイデバイス120は、ボタン、フックアンドループ型ファスナー、粘着テープファスナーなどの従来の固定手段を用いて結合され得る。さらなる例として、アッセイデバイス120の位置を固定するために、吸収性物品の1若しくは複数の層にポケットまたはアパーチャ部が組み込まれ得る。要するに、検査される体液との接触を確実するのに役立つような位置にアッセイデバイス120を固定するための様々な構成が用いられ得る。
【0070】
再度繰り返すが、本発明は大人用失禁用品に限定されるものではなく、他の吸収性物品と併用され得るので、図3ないし図7の実施形態はほんの一例として与えられている。それに加えて、アッセイデバイスの数多くの構成及び変形形態が用いられ得る。そのようなアッセイデバイスは、様々な向き及び構成で、そのような吸収性物品に組み入れられ得る。
【0071】
尿などの流体は、それが組み入れられる特定の方法にかかわらず、クロマトグラフィー媒体123の一部分、液透過性カバー、またはアッセイデバイス120を囲繞している他の材料に直接放出され得るか、あるいはアッセイデバイス120が組み入れられている吸収性物品の構成要素上へ放出され得る。ひとたび流体がクロマトグラフィー媒体123に到達すると、流体は図2において矢印「L」によって示されている方向に移動し得る。あるいは、尿サンプルは先ず、クロマトグラフィー媒体123と流体連通しているサンプル塗布ゾーン142に塗布または供給され得る。サンプル塗布ゾーン142は、媒体123上に形成され得る。あるいは、図3に示されているように、サンプル塗布ゾーン142は、パッドなどの別体の材料によって形成され得る。
【0072】
十分な反応時間の後、尿サンプル中に存在するホルムアルデヒドのレベルを定量的または半定量的に判定するために着色剤136からの指標(色の変化など)の強さが測定され得る。健康状態の早期検査及びモニタリングを提供するために、定量的検査も行われ得るが、典型的には定性的検査が採用され得る。それゆえ、ホルムアルデヒドが視覚的に検出されるとき、使用者または介護者は、さらなる定量的検査が始められ得るという指標を与えられる。例えば、組み入れられたアッセイデバイスを有する大人用失禁用品は、癌を検査する監視プログラムの一部として高齢者または歩けない患者に定期的に用いられ得る。陽性検査結果が示されると、追加的な治療情報を提供するために、検出された疾患の範囲及びステージを判定するために、さらなる定量的検査が始められることができる。
【0073】
図8は、基質10が試料容器15に組み入れられているような本発明の例示的実施形態を示している。基質10は蓋16の内側に取り付けられる。尿サンプル17を容器15内に載置したら、容器15上に蓋16が置かれて容器15の内部が実質的に密封される。その後、基質10が、採取された尿サンプル17からの蒸気を検査することができるように、容器15は、ある期間にわたって平衡化される。ホルムアルデヒドを検出すると、着色剤12はスペクトル応答を与える。着色剤12を観察するために蓋16が取り外され得る。あるいは、容器15から蓋16を取り外すことなく基質10の着色剤12を観察できるように透明または半透明のカバーを有するアパーチャ部(図示せず)が設けられ得る。
【0074】
本発明については、次の例を参照してより良好に理解されよう。
【0075】

【0076】
用いられる材料
【0077】
全ての試薬及び溶媒は、特に断りのない限り、ミズーリ州セントルイスのシグマアルドリッチ・ケミカル・カンパニー(Sigma-Aldrich Chemical Company, Inc.)から入手したものであり、さらに精製することなく使用した。
【0078】
例1
【0079】
塩基性フクシン−硫酸試薬がホルムアルデヒドの存在を示す能力を判定した。
【0080】
次の濃度のホルムアルデヒド水溶液を調製した(mg/ml):5.625、11.25、22.5、45、90、180、360mg/ml(それぞれ0.056、1.125、2.25、4.5、9.0、18.0、36.0パーセントに相当する)。各ホルムアルデヒド溶液濃度に対して、50μlを複数のマイクロタイターウェル内に入れた。さらに、ホルムアルデヒドを全く含まない水もマイクロタイターウェルの1つの中に対照として入れた。
【0081】
それとは別に、2.0mg/ml原液の塩基性フクシンをエタノールに溶かしたもの150μlを2.0mlの水と混合することによって塩基性フクシン−硫酸試薬を調製した。これは、赤色の溶液をもたらした。この混合液を、その後、赤色の溶液が無色になるまで2N硫酸とゆっくりと混合した。
【0082】
次に、ホルムアルデヒドを含むマイクロタイターの各ウェルに250μlの塩基性フクシン−硫酸試薬を加え、約2分未満混合した。その後、マイクロプレートリーダーを用いて550nmで各ウェルを読んだ。結果を図9に示す。試薬と混合した後、用量反応方法でホルムアルデヒド溶液がピンク色を発色したことも視覚的に観察された。
【0083】
例2
【0084】
塩基性フクシン−硫酸試薬が他のアルデヒドの存在を示さない能力を判定した。
【0085】
次の濃度のアルデヒド水溶液を調製した:1.0mg/mlのアセトアルデヒド、15.0mg/mlのイソバレルアルデヒド、15.0mg/mlのフェニルアセトアルデヒド及び5.0mg/mlのフタル酸ジカルボキシアルデヒド。各濃度に対して、50μlをマイクロタイターのウェル内に入れた。塩基性フクシン−硫酸試薬を前述のように調製し、250μlをマイクロタイターの各ウェルの中に加えた。いずれのウェルでも顕著な色の変化は観察されなかった。
【0086】
例3
【0087】
基質上で塩基性フクシン−硫酸試薬を固定または塗膜する能力を判定した。
【0088】
1枚のキムワイプ(登録商標)に、前述の方法で調製した塩基性フクシン−硫酸薬を塗膜した。キムワイプ(登録商標)を風乾した。種々の濃度のホルムアルデヒドを調製し、キムワイプ(登録商標)の異なる部分に塗布した。ホルムアルデヒド溶液を塗布したところでは、用量依存的方法で目に見えるピンクの色の変化が生じた。
【0089】
例4
【0090】
液体のヘッドスペースにおけるホルムアルデヒドの存在を検査するために基質上へ固定された塩基性フクシンを用いる能力を判定した。
【0091】
塩基性フクシンを水と混合して、約0.001〜0.002重量パーセントの染料の溶液を作製した。その後、ワットマンろ紙を短冊(ストリップ)に切り、各溶液に浸した。ストリップを乾燥するまで数時間ドラフト内に吊しておいた。
【0092】
それとは別に、水及び38%の純ホルムアルデヒド溶液を用いて次のホルムアルデヒドの尿サンプルを作った:38%、3.8%、0.38%、0.038%、0.0038%、0.00038%、0.000038%。
【0093】
ピペットを用いて、各ホルムアルデヒド溶液1mlをガラス製バイアル内に入れた。その後、ストリップが液体と接触することなくヘッドスペース中に吊されるようにキャップを所定の位置まで回しながらストリップをバイアルの縁の上方に吊すことによって、色素コーティングされたストリップを各バイアルのヘッドスペースに載置した。各バイアルを室温で一晩放置した。その後、各ストリップ上の目に見える色の変化を水対照と比較した。下は0.000038%濃度に至るまでの各ホルムアルデヒド濃度に対して、ストリップの目に見える色の変化が知覚された。
【0094】
その後、携帯用分光光度計を用いて、ホルムアルデヒド溶液上に置かれた各ストリップ及び水対照上に置かれたストリップに対して、ΔL、Δa、Δbに基づいてΔE値を計算した。約5以上の値は肉眼で知覚可能な変化に相当するので、ΔE値により、知覚された視覚的な変化が確認された。ホルムアルデヒドの臨床的に有意な値がppm及びppb値で報告されているので、ホルムアルデヒドの指標としての塩基性フクシンの能力が立証された。
【0095】
例5
【0096】
液体のヘッドスペースにおけるホルムアルデヒドの存在を検査するために基質上へ固定されたクリソイジンを用いる能力を判定した。サンプル試験紙を作成し、0.001〜0.002重量パーセントのクリソイジンを水に溶かした溶液を用いて試験紙を作成したことを除いて例3に関連して既に説明したように検査した。下は0.000038%濃度に至るまでの各ホルムアルデヒド濃度に対して、知覚された可視変化を確認するΔE値により、ストリップの色の目に見える変化が知覚された。このように、ホルムアルデヒドの臨床的に有意な値がppm及びppb値で報告されているので、ホルムアルデヒドの指標としてのクリソイジンの能力が立証された。
【0097】
本発明についてその特定の実施形態に関して詳細に説明してきたが、当然のことながら、当業者は、上述の記載を理解すれば、これらの実施形態の改変、変形及び同等の形態を容易に思い付くことができる。従って、本発明の範囲は、添付の請求項及びそれらと同等ものの範囲と考えられるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
尿サンプル中のホルムアルデヒドを検出する方法であって、
前記尿サンプルを、ホルムアルデヒドに曝されたときにスペクトル応答を生成するように構成された着色剤を含む基質と接触させるステップと、
前記スペクトル応答を検出するステップと、
前記スペクトル応答を前記尿サンプル中のホルムアルデヒドの存在と関連づけるステップとを含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記着色剤が、トリアリルメタンを含むことを特徴とする請求項1の方法。
【請求項3】
前記トリアリルメタンが、パラローズアニリンまたはその類似体を含むことを特徴とする請求項2の方法。
【請求項4】
前記着色剤が、塩基性フクシンを含むことを特徴とする請求項2の方法。
【請求項5】
前記トリアリルメタンが、含硫化合物と予め反応させられることを特徴とする請求項2の方法。
【請求項6】
前記着色剤が、芳香族アゾ化合物を含むことを特徴とする請求項1の方法。
【請求項7】
前記芳香族アゾ化合物が、クリソイジンを含むことを特徴とする請求項6の方法。
【請求項8】
前記基質が、前記着色剤が配置される検出ゾーンを画定することを特徴とする請求項1ないし請求項7のいずれかの方法。
【請求項9】
前記基質が、ラテラルフローデバイスのクロマトグラフィー媒体であることを特徴とする請求項1ないし請求項7のいずれかの方法。
【請求項10】
前記スペクトル応答が、検出されかつ対照着色剤と比較されることを特徴とする請求項1の方法。
【請求項11】
前記スペクトル応答が、視覚的に検出されることを特徴とする請求項1の方法。
【請求項12】
前記スペクトル応答が、約10ppb以上の濃度のホルムアルデヒドの存在と関連づけられることを特徴とする請求項1の方法。
【請求項13】
前記スペクトル応答が、前記基質が前記サンプルと接触してから約5分以内に生成されることを特徴とする請求項1の方法。
【請求項14】
尿サンプル中のホルムアルデヒドの存在を検出するデバイスであって、
前記液体サンプルを受容するための内容積を有する容器と、
前記容器の前記内容積を密閉するように構成された蓋と、
前記蓋に付けられた基質とを含み、前記基質が、前記尿サンプルの上方の蒸気中のホルムアルデヒドに曝されたときにスペクトル応答を生成するように構成された着色剤を含むことを特徴とするデバイス。
【請求項15】
前記着色剤が、トリアリルメタンを含むことを特徴とする請求項14のデバイス。
【請求項16】
前記トリアリルメタンが、パラローズアニリンまたはその類似体を含むことを特徴とする請求項15のデバイス。
【請求項17】
前記着色剤が、塩基性フクシンを含むことを特徴とする請求項15のデバイス。
【請求項18】
前記トリアリルメタンが、含硫化合物と予め反応させられることを特徴とする請求項15のデバイス。
【請求項19】
前記着色剤が、芳香族アゾ化合物を含むことを特徴とする請求項14のデバイス。
【請求項20】
前記芳香族アゾ化合物が、クリソイジンを含むことを特徴とする請求項19のデバイス。
【請求項21】
前記基質が、前記着色剤が配置される検出ゾーンを画定することを特徴とする請求項14ないし請求項20のいずれかのデバイス。
【請求項22】
前記基質が、ラテラルフローアッセイデバイスのクロマトグラフィー媒体であることを特徴とする請求項14ないし請求項20のいずれかのデバイス。
【請求項23】
前記着色剤が、前記蒸気が約10ppb以上の濃度のホルムアルデヒドを含有しているときに前記スペクトル応答を生成するように構成されていることを特徴とする請求項14ないし請求項20のいずれかのデバイス。
【請求項24】
ホルムアルデヒドの含有が疑われる体液を受容するための吸収性物品であって、
実質的に液不透過性の層と、
液透過性の層と、
前記実質的に液不透過性の層と前記液透過性の層との間に位置する吸収性コアと、
前記物品に組み入れられた基質とを含み、前記基質が、前記物品の着用者によって体液が供給されたときに該体液と流体連通するように配置され、前記基質が、前記体液中のホルムアルデヒドの存在を示すスペクトル応答を示すように構成された着色剤を含むことを特徴とする吸収性物品。
【請求項25】
前記吸収性物品が、前記着色剤が観察できる窓を画定することを特徴とする請求項24の吸収性物品。
【請求項26】
前記基質が、ラテラルフローアッセイデバイスのクロマトグラフィー媒体であることを特徴とする請求項24の吸収性物品。
【請求項27】
前記ラテラルフローデバイスが、前記吸収性コアの少なくとも一部から構成されるサンプル塗布ゾーンを含むことを特徴とする請求項26の吸収性物品。
【請求項28】
前記基質が、前記実質的に液不透過性の層と前記吸収性コアとの間に位置することを特徴とする請求項24ないし請求項27のいずれかの吸収性物品。
【請求項29】
前記基質が、前記吸収性コアに付着されていることを特徴とする請求項24ないし請求項26のいずれかの吸収性物品。
【請求項30】
前記基質が、前記液透過性の層と前記吸収性コアとの間に位置することを特徴とする請求項24ないし請求項27のいずれかの吸収性物品。
【請求項31】
前記体液が、尿であることを特徴とする請求項24の吸収性物品。
【請求項32】
前記着色剤が、トリアリルメタンを含むことを特徴とする請求項24ないし請求項31のいずれかの吸収性物品。
【請求項33】
前記トリアリルメタンが、パラローズアニリンまたはその類似体を含むことを特徴とする請求項32の吸収性物品。
【請求項34】
前記着色剤が、塩基性フクシンを含むことを特徴とする請求項32の吸収性物品。
【請求項35】
前記トリアリルメタンが、含硫化合物と予め反応させられることを特徴とする請求項32の吸収性物品。
【請求項36】
前記少なくとも1つの着色剤が、芳香族アゾ化合物を含むことを特徴とする請求項24ないし請求項31のいずれかの吸収性物品。
【請求項37】
前記芳香族アゾ化合物が、クリソイジンを含むことを特徴とする請求項36の吸収性物品。
【請求項38】
前記基質が、前記着色剤が配置される検出ゾーンを画定することを特徴とする請求項24ないし請求項31のいずれかの吸収性物品。
【請求項39】
患者の膀胱機能障害を検査する方法であって、
前記患者の尿サンプルを請求項24ないし請求項30、請求項32または請求項36のいずれかの吸収性物品と接触させるステップと、
その後、前記着色剤の前記スペクトル応答を前記膀胱機能障害の有無と関連づけるステップとを含むことを特徴とする方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2010−513855(P2010−513855A)
【公表日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−540897(P2009−540897)
【出願日】平成19年9月28日(2007.9.28)
【国際出願番号】PCT/IB2007/053957
【国際公開番号】WO2008/072112
【国際公開日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【出願人】(504460441)キンバリー クラーク ワールドワイド インコーポレイテッド (396)
【Fターム(参考)】