説明

尿処理用構造体

【課題】寝たきりの病人等が排泄する尿を自動的に吸引処理するために使用するのに好適な尿処理用構造体において、体圧による尿の逆流を防ぐことが可能な尿処理構造体を提供する。
【解決手段】互いに直交する長さ方向と幅方向と厚さ方向とを有する吸尿パッド10が吸水性材料の集合体である芯材23を含み、前記吸尿パッドの前記厚さ方向で対向する内面と外面とのうちの前記外面の側には集尿用カップ30が設けられ、前記集尿用カップが真空吸引源に接続可能に形成されている尿処理用構造体1であって、前記芯材が少なくとも粉砕パルプ23aと高吸水性ポリマー粒子23bとを含んでいる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、寝たきりの病人等が排泄する尿を自動的に吸引処理するために使用するのに好適な尿処理用構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
寝たきりの病人等が排泄する尿を自動的に吸引処理するための尿処理構造体は従来公知である。また、かかる構造体であって、尿を吸水性材料で吸収し、しかる後にその尿を真空圧作用下に吸引して集尿用タンクにまで導くものも公知である。
【0003】
例えば、特開2004−267517号公報(特許文献1)に記載された尿レシーバは、真空ポンプに連結されるもので、レシーバには透液性表面シートで被覆された収尿材が含まれている。収尿材は、真空圧が作用する導尿チューブにつながっていて、収尿材に吸収された尿は導尿チューブを経て集尿用タンクへと導かれる。収尿材の上層には、親水化繊維等やスポンジ系材料が使用され、下層には親水発泡体、空隙構造が使用されている。収尿材に吸収された尿が下層から上層に向かって逆流することを防ぐためには、この尿レシーバでは、下層の収尿材の吸水性を高くする。
【0004】
また、US Patent Number 4,747,166号公報(特許文献2)に記載の失禁患者用流体吸引システム(Fluid Aspiration System for the Management of Urinary Incontinence)は、吸尿材で形成された吸尿パッドと、真空源につながるチューブとを有する。吸尿パッドに吸収された尿は、真空圧の作用下にチューブを経て集尿容器へと流れる。このシステムでは、吸尿材として、粉砕パルプ、ティシューの積層体、オープンセルを有するセルロース系のコア等が使用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−267517号公報
【特許文献2】US Patent Number 4,747,166号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
粉砕パルプ等の吸水性繊維を含む吸尿パッドに尿を吸収させ、しかる後に尿を真空圧の作用によって吸引してタンクへと導く尿処理構造体では、尿を吸引した後にも尿がパッドに残ることがある。そのパッドに対して構造体の使用者の体圧が作用すると、尿はパッドから使用者の肌に向かって逆流して肌を湿らせ、使用者に不快感を与えることがある。
【0007】
この発明が課題とするところは、パッドに吸収させた尿がパッドに対して作用する体圧によって逆流することを防ぐことが可能な尿処理用構造体の提供である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するために、この発明が前提とするのは、互いに直交する長さ方向と幅方向と厚さ方向とを有する吸尿パッドが吸水性材料の集合体である芯材を含み、前記吸尿パッドの前記厚さ方向で対向する内面と外面とのうちの前記外面の側には集尿カップが設けられ、前記集尿用カップが真空吸引源に接続可能に形成されている尿処理用構造体である。
【0009】
かかる尿処理用構造体において、この発明が特徴とするところは、前記芯材が少なくとも粉砕パルプと高吸水性ポリマー粒子とを含んでいることにある。
【0010】
この発明の実施形態の一つにおいて、前記芯材は、前記内面の側が透液性内面シートによって被覆され、前記外面の側が不透液性外面シートによって被覆されており、前記外面シートには前記芯材に通じる開口が形成されていて、前記集尿用カップが前記開口の周縁に沿って前記外面シートに取り付けられている。
【0011】
この発明の実施形態の他の一つにおいて、前記芯材には、前記開口に通じて前記厚さ方向へ延びる透孔が形成され、前記透孔が前記内面シートによって被覆されている。
【0012】
この発明の実施形態の他の一つにおいて、前記芯材は、層構造を有するものであって、前記内面の側に位置する内層と前記外面の側に位置する外層とを含み、前記内層と前記外層とに形成された第1透孔と第2透孔とが前記厚さ方向でつながることにより前記透孔が形成されている。
【0013】
この発明の実施形態の他の一つにおいて、前記透孔は、前記幅方向における寸法が、前記内面から前記外面へ向かう方向において次第に小さくなる。
【0014】
この発明の実施形態の他の一つにおいて、前記透孔の前記幅方向における前記寸法は、前記内層における寸法が前記外層における寸法よりも大きい。
【0015】
この発明の実施形態の他の一つにおいて、前記高吸水性ポリマー粒子が前記内層にのみ含まれている。
【発明の効果】
【0016】
この発明に係る尿処理用構造体に含まれる吸尿パッドは、吸水性材料として少なくとも粉砕パルプと粒子状および繊維状のいずれかである高吸水性ポリマーとを含む。粉砕パルプよりも保水力の高いその高吸水性ポリマーに吸収された尿は、吸尿パッドに体圧が作用しても高吸水性ポリマーからは容易に分離することがないから、尿処理用構造体の着用者が尿の逆流によって感じる不快感を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】尿処理用構造体の部分破断斜視図。
【図2】図1のII−II線断面図。
【図3】図1のIII−III線断面図。
【図4】実施形態の一例を示す図2と同様な図。
【図5】図4のV−V線断面図。
【図6】実施形態の他の一例を示す図3と同様な図。
【図7】実施形態の他の一例を示す図6と同様な図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
添付の図面を参照して、この発明に係る尿処理用構造体の実施形態を説明すると、以下のとおりである。
【0019】
図1は、尿処理用構造体の実施形態の一例であるパッド組立体1の部分破断斜視図である。パッド組立体1は、互いに直交する長さ方向Aと、幅方向Bと、厚さ方向Cとを有し、砂時計型に形成された吸尿パッド10を含んでいる。その吸尿パッド10は、前部16と、後部17と、中間部18とを有し、前部16と後部17とが中間部18よりも幅が広く形成されている。吸尿パッド10はまた、パッド組立体1の着用者(図示せず)の肌と接触する内面11と、着衣に接触する外面12とを有し、これら内面11と外面12とが厚さ方向Cにおいて対向している。内面11の幅方向Bの両側それぞれには、防漏堤19が形成されている。防漏堤19は、内面11に対して剥離不能に接合している遠位縁19aと、内面11に対して非接合状態にある近位縁19bとを有し、近位縁19bには長さ方向Aへ延びるスリーブ19cが形成されている。スリーブ19cの内側には弾性部材19dが伸長状態で取り付けられている。ただし、図1においては、弾性部材19dがやや収縮した状態にあって、パッド組立体1は外面12が凸となるように長さ方向Aにおいて湾曲している。かようなパッド組立体1は、それを前後方向Aにおいてさらに湾曲させて、着用者にとって、前部16が前胴回り域となり、後部17が後胴回り域となり、中間部18が股下域となるよう内面11を肌に当て、パッド組立体1の外側からおむつやおむつカバー、パンツ等を着用してパッド組立体1を肌に対してほぼ固定した状態にセットする。内面11を肌に当てたときのパッド組立体1では、弾性部材19dがさらに収縮し、防漏堤19の近位縁19bが内面11から立ち上がって肌に接触する。パッド組立体1とその一部であるパッド10とは、これらの幅方向Bの寸法を二等分する縦方向中心線P−Pに関して対称に形成されている。
【0020】
図2は、図1のII−II線断面図であるが、パッド組立体1は長さ方向Aと幅方向Bとにおいて緊張状態にあり、弾性部材19dもまた長さ方向Aにおいて緊張状態にあって、パッド10が水平な状態にある。また、図2では、パッド組立体1の一部の図示が省略されている。なお、II−II線は縦方向中心線P−Pに一致する線である。図2におけるパッド10は、内面11を形成する透液性内面シート21と、外面12を形成する外面シート22と、内面シート21と外面シート22との間に介在する芯材23を形成している吸水性材料の集合体とを含んでいる。内面シー21と外面シート22とは、芯材23から前後方向Aへ延出する部分において重なり合い、エンボス加工を施されることにより、または接着剤を介して接着されることにより互いに接合している。芯材23には、パッド組立体構造体1の長さ方向Aの寸法を二等分する横方向中心線Q−Qよりも前方の位置に芯材23を厚さ方向Cにおいて貫通する透孔24が形成されている。透孔24において長さ方向Aで対向しているテーパのついた周壁24dどうしの離間寸法dは、内面11から外面12に向かって次第に小さくなっている。芯材23の表面は、内面側ティシューペーパ26と外面側ティシューペーパ27とによって被覆され、透孔24もこれらティシューペーパ26,27で覆われている。パッド10の内面11に形成されている防漏堤19は、弾性部材19dが収縮して近位縁19bが内面11から立ち上がっているときの状態が仮想線で示されている。かようなパッド10の外面12には、透孔24の直下に集尿用カップ30が取り付けられている。集尿用カップ30は、カップ部分31とパイプ部分32とを含んでいる。
【0021】
カップ部分31は、底部33と、周壁部34と、周壁部34から長さ方向へ延びるフランジ部36と、周壁部34によって画成されていて芯材23の透孔24に通じる開口37とを含んでいる。フランジ部36には、シーリング用プラスチックフィルム41が接着剤41aを介してまたは溶着することにより取り付けられていて、そのプラスチックフィルム41がそれに塗布された接着剤42を介して、外面シート22に形成された開口22aの周辺で外面シート22に対して接合している。また、その開口22aの直下には、カップ部分31の開口37を覆う通気透液性の頂部シート38が設けられている。頂部シート38は、接着剤41aと接着剤42とを介してカップ部分31のフランジ部36に接合した状態にある。プラスチックフィルム41は、頂部シート38から長さ方向Aと幅方向Bとに延出している部分が外面シート22に接合している。
【0022】
集尿用カップ30におけるパイプ部分32は、カップ部分31の周壁部34を貫通して長さ方向Aへ延びていて、カップ部分31の内側に内部開口32aを有し、カップ部分31の外側に外部開口32bを有する。外部開口32bには、真空ポンプ等の真空吸引源(図示せず)から延びる仮想線で示した真空パイプ46が着脱される。真空パイプ46とパイプ部分32とを介して作用する真空圧がカップ部分31とパッド10の内側とに速やかに及ぶように、集尿用カップ30は、パッド10の外面シート22に対して気密状態で取り付けられている。
【0023】
図3は、図1のIII−III線切断面を示す図である。パッド10では、芯材23の幅方向Bの中央に透孔24が形成され、幅方向Bで向かい合い透孔24を画成しているテーパのついた周壁24dと24dとは互いの離間寸法eが内面シート21から外面シート22に向かう方向において次第に小さくなっている。その内面シート21と外面シート22とは、芯材23から幅方向Bへ延出する部分で重なり合いホットメルト接着剤(図示せず)を介して互いに接合している。集尿用カップ30では、カップ部分31とパイプ部分32とが一体的に形成されていて、パイプ部分32が縦方向中心線P−P上に位置している。
【0024】
パッド組立体1において、パッド10のうちの芯材23は、芯材23を形成する材料のうちで吸水速度が相対的に速い材料として粉砕パルプ23aやその他の吸水性の天然繊維や半合成繊維を含んでいる。また、芯材23を形成する材料のうちで保水力が相対的に高い材料として粒子状または繊維状の高吸水性ポリマー、より好ましくは高吸水性ポリマー粒子23bを含んでいる。すなわち、好ましい芯材23は、少なくとも粉砕パルプ23aと高吸水性ポリマー粒子23bとを含む吸水性材料の集合体である。芯材23における粉砕パルプ23aは、その使用量に格別の規定はないが、パッド組立体1が体重30〜70kgの大人用のものである場合の一例として、300〜800g/mの範囲で使用することができる。高吸水性ポリマー粒子23bは、保水力が粉砕パルプ23aの保水力よりも高いものを使用する。そのような高吸水性ポリマー粒子23bの例としては、デンプン・アクリロニトリルグラフト共重合体、デンプン・アクリル酸グラフト共重合体、ポリビニルアルコール等の周知のものがある。高吸水性ポリマー粒子23bの使用量は、粉砕パルプ23aの使用量の10〜100%に相当する量であることが好ましい。また、高吸水性ポリマー粒子23bは、そのうちの一部を繊維状のものに代えることができる。
【0025】
芯材23における透孔24のサイズは、パッド10の大きさに応じて適宜調整することができるが、パッド組立体1が体重30〜70kgの大人用のものである場合の一例として、長さ方向Aの寸法を50〜200mm、幅方向Bの寸法を10〜30mmにすることができる。透孔24を画成する周壁24dにつけられているテーパは、図2の横方向中心線Q−Qまたは図3の縦方向中心線P−Pに平行な垂線に対して3〜45°の範囲にあることが好ましい。芯材23を被覆しているティッシュペーパ26,27は、それらのうちの少なくとも一方を熱可塑性合成繊維で形成された透液性の不織布に代えることができる。内面シート21には、熱可塑性合成繊維が形成された透液性の不織布や透液性の開孔プラスチックフィルムを使用することができる。外面シート22には、不透液性のプラスチックフィルムや熱可塑性合成繊維で形成された不透液性の不織布、不透液性プラスチックフィルムの外面に不織布を積層した複合シート等を使用することができる。パッド10に取り付けられる防漏堤19には、熱可塑性合成繊維で形成された不織布やプラスチックフィルムであって、好ましくは不透液性のものを使用することができる。
【0026】
集尿用カップ30では、低密度ポリエチレンやシリコンゴム等の柔軟弾性材料を射出成形することによってカップ部分31とパイプ部分32とが一体となるように形成されている。集尿用カップ30の頂部シート38には、熱可塑性合成繊維で形成された通気透液性の不織布や熱可塑性合成樹脂等で形成された通気透液性のメッシュ生地を使用することができる。集尿用カップ30をパッド10に取り付けるためのプラスチックフィルム41には、ポリエチレンフィルムやポリプロピレンフィルム、ポリエステルフィルム、ポリエチレンフィルムとポリエステルフィルムとが積層された複合フィルム等を使用することができる。
【0027】
このように形成されているパッド組立体1は、内面シート21や芯材23が尿で濡れた状態にあることを電気的に検出するセンサ(図示せず)を組み込んで使用することができる。そのセンサの一例は、一対の電極が尿に濡れて通電状態になると、真空ポンプ等の真空吸引源を作動させ、真空パイプ46(図2参照)を介してカップ部分31の内側を減圧状態にすることができるものであって、通常は、内面シート21の表面や内面シート21と芯材23との間、芯材23と頂部シート38との間等の適宜の位置にセットされる。このようにして使用するパッド組立体1は、真空吸引源を含む自動吸尿装置の一部品となるものである。なお、パッド組立体1は、このようなセンサを使用せずに、手作業によって、またはタイマー等によって作動させる真空吸引源につなぐこともできる。
【0028】
パッド組立体1では、それを着用するときに、芯材23が尿道口と向かい合うように、より好ましくは芯材23における透孔24が尿道口と向かい合うように、吸尿用パッド10を着用者の身体にセットする。セットしたパッド10に向かって尿が排泄されると、尿の一部は透孔24へ進入して頂部シート38を濡らしながらカップ部分31に移行する。頂部シート38は、それが濡れて網目や繊維間隙のいくつかが尿でふさがれることによってカップ部分31の真空圧を高めることができ、そのカップ部分31は尿を強く吸引するようになる。また、尿の一部は芯材23に進入する。芯材23に進入した尿のうちの一部のものはカップ部分31における真空圧の作用下に芯材23と頂部シート38とを通過してカップ部分31に移行し、その他のものは芯材23における粉砕パルプ23aと高吸水性ポリマー粒子23bとに吸収されて、芯材23に残留する。カップ部分31に移行した尿は、パイプ部分32の内部開口32aからパイプ部分32と真空パイプ46とを経て、パッド組立体1の外部へ導かれる。芯材23に残留している尿については、着用者の体圧がパッド10に作用すると、粉砕パルプ23aに吸収されている尿のうちの一部のものが粉砕パルプ23aから分離して着用者の肌に向かって逆流することがあり得るが、保水力の高い高吸水性ポリマー粒子23bに吸収されている尿は高吸水性ポリマー粒子23bから容易に分離することがない。それゆえ、パッド組立体1では、芯材23に残留している尿のうちで、少なくとも高吸水性ポリマー粒子23bに吸収されている尿の分量だけ、肌に向かって逆流する量を減少させることができて、尿の逆流によって着用者に与える不快感を減少させることができる。
【0029】
図4,5において、図4は実施形態の他の一例であるパッド組立体1についての図2と同様な図であり、図5は図4のV−V線断面図である。図4,5におけるパッド組立体1もまた、吸尿パッド10と集尿カップ30とを有する。集尿カップ30は、図2,3に例示のものと同じに形成されているが、パッド10は図2,3に例示のものと異なっている。すなわち、図4,5のパッド10は、その芯材23が、粉砕パルプ23aと高吸水性ポリマー粒子23bとの混合物ではあるが、芯材23には図2,3に例示の透孔24が形成されていない。しかし、このような図4,5のパッド組立体1においても、高吸水性ポリマー粒子23bが尿を吸収することによって、芯材23に残留している尿がパッド組立体1の着用者の肌に向かって逆流するときの量を低く抑えることが可能である。なお、このパッド組立体1は、集尿カップ30が尿道口と向き合うようにして着用する。
【0030】
図6は、実施形態の他の一例を示す図3と同様な図である。図6のパッド組立体1における芯材23は、層構造を有するもので、上層51と下層52との二層を含んでいる。上層51は、粉砕パルプ23aを250〜300g/mの割合で含み、高吸水性ポリマー粒子23bを90〜150g/mの割合で含んでいて、幅方向Bの中央には第1透孔24aが形成されている。上層51の頂面51aは、ティッシュペーパ56によって被覆されている。下層52は、粉砕パルプ23aを270〜320g/mの割合で含み、その割合は上層51における割合よりも20〜40g/m程度高くなるように設定されている。また、下層52は、高吸水性ポリマー粒子23bを80〜140g/mの割合で含み、その割合は上層51における割合よりも5〜30g/m程度高くなるように設定されている。下層52の幅方向Bの中央には、第1透孔24aにつながってはいるが、第1透孔24aよりも幅の狭い第2透孔24bが形成されている。また、図示してはいないが第2透孔24bの長さ方向Aの寸法は、第1透孔24aの長さ方向Aの寸法よりも小さく形成されている。パッド組立体1が体重30〜70kgの大人用のものである場合の一例として、第1透孔24aは25±3mmの幅と、180±20mmの長さとを有するように形成され、第2透孔24bは、15±3mmの幅と、65±20mmの長さとを有するように形成される。このように第1透孔24aと第2透孔24bとによって形成される芯材23の透孔24は、内面シート21から外面シート22に向かって口径が次第に小さくなり、図2,3の芯材23の場合と同様に、尿は芯材23からカップ部分31へ進入し易く、カップ部分31から芯材23に向かっては流出し難いという作用・効果を有する。また、芯材23では、それを粉砕パルプと高吸水性ポリマー粒子とが一様に混合されている芯材と比べると、高吸水性ポリマー粒子23bを含む割合が下層52よりも上層51で高くなっていることによって、尿を吸収して膨潤した上層51の高吸水性ポリマー粒子23bは、下層52の粉砕パルプ23aに吸収されていた尿の内面シート21に向かっての逆流を妨げるように作用する傾向が強くなる。下層52は、ティッシュペーパ57によって頂面52aを含む周面全体が被覆されている。
【0031】
図7もまた、実施形態の一例を示す図6と同様な図である。ただし、図7における芯材23は、上層51と下層52とを有するものではあるが、高吸水性ポリマー粒子23bが上層51にのみ含まれている。一例として、上層51は、粉砕パルプ23aを250〜300g/mの割合で含み、高吸水性ポリマー粒子23bを180〜250g/mの割合で含んでいる。下層52は、粉砕パルプ23aを300〜400g/mの割合で含んでいる。このような上層51と下層52とを有する芯材23では、上層51において尿を吸収して膨潤した高吸水性ポリマー粒子23bどうしがゲルブロックを作り易い状態にあり、下層52の粉砕パルプ23aに吸収されている尿が上層51に向かって逆流しようとするときにおいて、そのゲルブロックによる逆流阻止の効果が顕著になる。
【符号の説明】
【0032】
1 構造体
10 吸尿パッド
21 内面シート
22 外面シート
22a 開口
23 芯材
23a 粉砕パルプ
23b 高吸水性ポリマー
24 透孔
30 集尿用カップ
51 上層
52 下層
A 長さ方向
B 幅方向
C 厚さ方向
e 寸法

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに直交する長さ方向と幅方向と厚さ方向とを有する吸尿パッドが吸水性材料の集合体である芯材を含み、前記吸尿パッドの前記厚さ方向で対向する内面と外面とのうちの前記外面の側には集尿用カップが設けられ、前記集尿用カップが真空吸引源に接続可能に形成されている尿処理用構造体であって、
前記芯材が少なくとも粉砕パルプと高吸水性ポリマー粒子とを含んでいることを特徴とする前記構造体。
【請求項2】
前記芯材は、前記内面の側が透液性内面シートによって被覆され、前記外面の側が不透液性外面シートによって被覆されており、前記外面シートには前記芯材に通じる開口が形成されていて、前記集尿用カップが前記開口の周縁に沿って前記外面シートに取り付けられている請求項1記載の構造体。
【請求項3】
前記芯材には、前記開口に通じて前記厚さ方向へ延びる透孔が形成され、前記透孔が前記内面シートによって被覆されている請求項2記載の構造体。
【請求項4】
前記芯材は、層構造を有するものであって、前記内面の側に位置する内層と前記外面の側に位置する外層とを含み、前記内層と前記外層とに形成された第1透孔と第2透孔とが前記厚さ方向でつながることにより前記透孔が形成されている請求項3記載の構造体。
【請求項5】
前記透孔は、前記幅方向における寸法が、前記内面から前記外面へ向かう方向において次第に小さくなる請求項3または4記載の構造体。
【請求項6】
前記透孔の前記幅方向における前記寸法は、前記内層における寸法が前記外層における寸法よりも大きい請求項4または5記載の構造体。
【請求項7】
前記高吸水性ポリマー粒子が前記内層にのみ含まれている請求項4〜6のいずれかに記載の構造体。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2011−200612(P2011−200612A)
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−73668(P2010−73668)
【出願日】平成22年3月26日(2010.3.26)
【出願人】(000115108)ユニ・チャーム株式会社 (1,219)
【Fターム(参考)】