説明

尿取り袋

【課題】失禁患者等が着用するのに好適な尿取り袋に関し、着用を容易にし、着用状態での安定性が向上し、男女兼用の尿取り袋を提供する。
【解決手段】尿取り袋が透液性の内面シートと、不透液性の外面シートと、これらシート間に吸収性の芯材とを含み、尿取り袋の横方向両側に着用者の脚周りに密着した状態で脚周りを囲む環が形成され、環の周方向に延びる帯状部分の両端部を尿取り袋に一体化させた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、失禁患者等が着用するのに好適な尿取り袋に関する。
【背景技術】
【0002】
失禁患者等が着用するものであって尿を流入させることができる袋状部を備えた尿取り袋は、従来公知である。例えば、特開平11−290365号公報(特許文献1)に開示された男性用尿取りパッドは、袋状のものであって、ペニスからの脱落を防ぐためのペニスに対する締め付け手段を有している。このパッドは、おむつと併用したときに、おむつの内面に対してずれ止めとして作用する粘着部をパッドの外面に有している。また、特開2003−111788号公報(特許文献2)に開示された男性用吸収性物品は、パンツ型の着用部品と、ペニスを挿入するための袋部品とを有する。その着用部品には、内側から外側に向かってペニスを突出させるための開口部が形成されている。袋部品は、開口部から突出したペニスにかぶせた後に、開口部の周縁域において着用部品に取り外し可能に固定する。
【特許文献1】特開平11−290365号公報
【特許文献2】特開2003−111788号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特開平11−290365号公報に開示のパッドは、それを着用するときに、ペニスに対する締め付け手段を使わなければ着用状態が安定しない。したがって、パッド着用後のペニスの状態の変化によって、着用状態も変化するから、安定した着用状態にあると思われていたパッドがペニスから脱落するという場合が生じかねない。パッドとおむつとを併用することによって、パッドの着用状態が安定化することはあり得るが、それにはおむつの着用が不可欠であって、寝たきりの男性の場合には、そのおむつを着用させるのに手間がかかるという問題がある。寝たきりの男性の背中側におむつを当てることには、特に手間がかかる。
【0004】
また、特開2003−111788号公報に開示の男性用吸収性物品は、パンツ型の着用物品の使用が不可欠であるから、寝たきりの男性の場合には、その着用物品を着用させるのに手間がかかるという問題がある。また、着用物品着用後には、着用物品の内側に手を入れて着用物品の開口部からペニスを突出させなければならないという手間を要する。
【0005】
これらの従来技術に係るものはまた、男性専用のものであって、男女兼用が可能な構造を有するものではない。
【0006】
このように、ペニスを挿入するための袋状部を備えた従来の尿取り袋には、それを着用することに手間がかかるという問題や、着用状態を安定化させることが難しいという問題があり、また、その尿取り袋は男女兼用とするには適さないものであった。
【0007】
そこで、この発明は、従来の尿取り袋に対して、その着用が容易となるように改良を施すことを課題の一つにしている。また、尿取り袋の着用状態の安定性が向上するように改良を施すことも課題の一にしている。さらにはまた、男女兼用の尿取り袋を提供することをも課題の一つにしている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するために、この発明が対象とするのは、互いに直交する前後方向と横方向と上下方向とを有し、上方に尿を流入させるための開口が形成された袋部を備えた尿取り袋である。
【0009】
かかる尿取り袋において、この発明が特徴とするところは、以下のとおりである。前記袋部は、透液性の内面シートと、不透液性の外面シートと、これら両シート間に介在する吸尿性の芯材とを含む。前記袋部の前記横方向の両側それぞれには、前記尿取り袋の着用者の脚周りに密着した状態で前記脚周りを囲むことが可能な環が形成され、前記環が該環の周方向へ延びる帯片部分の両端部それぞれを前記袋部に一体化させることによって形成されている。
【0010】
この発明の好ましい実施形態の一つにおいて、前記環が前記周方向へ弾性的に伸長可能である。
【0011】
この発明の好ましい実施形態の他の一つにおいて、前記環は、少なくとも一方が開閉可能に形成されている。
【0012】
この発明の好ましい実施形態の他の一つにおいて、前記袋部が、前記前後方向の前方に位置する前方部分と後方に位置する後方部分とを有しており、これら前方部分と後方部分とが前記袋部の前記両側それぞれと前記袋部の下方とにおいて一体になっていて前記開口の下方に前記袋部の底部を形成している。
【0013】
この発明の好ましい実施形態の他の一つにおいて、前記底部から前記前方部分の頂部までの寸法が前記底部から前記後方部分の頂部までの寸法よりも大きい。
【0014】
この発明の好ましい実施形態の他の一つにおいて、前記帯片部分のそれぞれは、前記両端部のうちの一方の端部が前記前方部分の頂部と一体になり、前記両端部のうちのもう一方の端部が前記後方部分の頂部と一体になっている。
【0015】
この発明の好ましい実施形態のさらに他の一つにおいて、前記前方部分の内面側には、前記前方部分の上部において前記前方部分を横断するシート片が延びており、前記シート片が前記横方向へ弾性的に伸長可能なものであって前記横方向へ互いに並行して延びる上縁部と下縁部とを有するとともに前記上下方向へ互いに並行して延びる両側縁部とを有し、かつ、前記シート片が前記横方向へ伸長された状態で前記上縁部と前記両側縁部とが前記前方部分に接合する一方、前記下縁部を含む前記下縁部と前記上縁部との間の部分が前記前方部分に接合していない。
【発明の効果】
【0016】
この発明に係る尿取り袋は、袋部の横方向における両側のそれぞれに脚周りを囲むことが可能な環を有するから、その環を脚周りに密着させることによって袋部の位置を着用者に対して固定することができる。それゆえ、寝たきりの男性や女性に対して、尿取り袋を簡単に着用させることができるばかりでなく、車椅子に座っている男性や女性に対して、車椅子から立たせることなく尿取り袋を着用させることもできる。
【0017】
環が弾性的に伸長可能である場合の尿取り袋では、その環に脚を挿入するだけで環を脚周りに密着させることができる。
【0018】
環の少なくとも一方が開閉可能に形成されている形態の尿取り袋では、尿取り袋を着用させるときに、環に脚を挿入する必要がない。
【0019】
袋部が前方部分と後方部分とを有していて、これら両部分が袋部の両側と下方とにおいて一体になっている形態の尿取り袋では、袋部の構造が簡単で、尿取り袋の製造が容易である。
【0020】
袋部における底部から前方部分の頂部までの寸法が底部から後方部分の頂部までの寸法よりも大きい形態の尿取り袋では、袋部にペニスを挿入すると、前方部分によってペニスの前方部分のほぼ全体を覆うことができると同時に、後方部分の頂部をペニスのつけ根に下方から接触させることによって、着用した尿取り袋を好ましい位置に固定することができる。
【0021】
環を形成している帯片部分の一方の端部が前方部分の頂部と一体になり、もう一方の端部が後方部分の頂部と一体になっている形態の尿取り袋では、環が上下方向へ広がるものになるので、環を形成している帯片部分を着用者の腰骨に引っ掛けることが容易になる。
【0022】
前方部分の内面側において、弾性的に伸長可能なシート片が伸長状態で延びている形態の尿取り袋では、前方部分と尿取り袋着用者との間に生じる隙間から袋部の外へ向かって流れる尿をそのシート片によって止めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
添付の図面を参照して、この発明に係る尿取り袋の詳細を説明すると、以下のとおりである。
【0024】
図1,2は、着用状態にある尿取り袋1を着用者5の斜め前方から見た図と、斜め後方から見た図とであって、互いに直交する前後方向と横方向と上下方向とが双頭矢印A,B,Cで示されている。図には、着用者5として、男性の身体の一部分が仮想線で示されている。尿取り袋1は、袋部2と、横方向Bにおいて袋部2の両側それぞれに形成されている一対の環状部3とを有する。袋部2は、ペニス4(図3参照)を前方から覆うことのできる前方被覆部6と、ペニス4を後方から覆うことのできる後方被覆部7とを有する。これら前方被覆部6と後方被覆部7とは、袋部2の底部8において連続しており、袋部2の両側に位置する縁部6aと7aとが合掌状に重なり合い接着または溶着により接合している。かような前方被覆部6と後方被覆部7とによって、ペニス4を納めるための空間16と、その空間16にペニス4を挿入するための頂部開口17とが形成されている。着用者5が女性である場合には、前方被覆部6を前方部分と呼び替え、後方被覆部7を後方部分と呼び替えることができ、これら両部分によって形成される頂部開口17が尿道口と対向するように尿取り袋1を着用させることによって、空間16に尿を流入させることができる。
【0025】
環状部3は、帯片部分31と、頂部開口17の縁部34のうちで帯片部分31における前後両端部32,33の間に延びる縁部34a、34bとによって形成されている。帯片部分31は、環状部3の周り方向へ弾性的に伸長し得るように弾性的な不織布で形成されているもので、前端部32が前方被覆部6における頂部12と接着または溶着によって一体になっており、後端部33が後方被覆部7における頂部13と接着または溶着によって一体になっている。縁部34のうちの縁部34aは前方被覆部6に含まれる縁部の一部であり、縁部34bは後方被覆部7に含まれる縁部の一部である。
【0026】
図3は、図1のIII−III線断面図である。III−III線は、尿取り袋1の中心線R−R(図1,4参照)を通る線であり、尿取り袋1はそのIII−III線に関して対称に作られている。袋部2の前方被覆部6と後方被覆部7とは、透液性の内面シート36と、不透液性の外面シート37と、これら両シート36,37の間に介在する尿吸収性の芯材38とを含んでいる。
【0027】
前方被覆部6の頂部12では、内面シート36と外面シート37とが芯材38の縁部から延出して重なり合い、ホットメルト接着剤(図示せず)を介して互いに接合している。頂部12における内面シート36と外面シート37との間には幅方向Bへ延びる複数の糸状弾性部材39aが介在し、これらの弾性部材39aが内面シート36および外面シート37の少なくとも一方に伸長状態で接合している。
【0028】
後方被覆部7の頂部13では、芯材38の縁部から延出して重なり合い互いに接合している内面シート36と外面シート37との間に幅方向Bへ延びる一本の帯状弾性部材39bが介在し、その弾性部材39bが内面シート36および外面シート37の少なくとも一方に伸長状態で接合している。
【0029】
袋部2の前後方向Aにおけるほぼ中央には、前方被覆部6と後方被覆部7との接合部位41が上下方向Cへ延びている。前方被覆部6における頂部12から底部8までの寸法Lは、後方被覆部7における頂部13から底部8までの寸法Lよりも大きく、その前方被覆部6は仮想線で示すペニス4を前方から広く覆うことができる。また、後方被覆部7は、ペニス4のつけ根の近傍に下方から接触することによって、尿取り袋1が徒に高く引き上げられることがなく、好ましい位置に固定されるように作用している。
【0030】
環状部3は、その内側に形成された透孔40に着用者5の脚42(図1参照)を挿入することができる。環状部3の一部分を形成している縁部34aと縁部34bとは、環状部3の周方向へ弾性的に伸長し得るように、弾性部材を伸長状態で取り付けることができる部分であって、後記する図4では、頂部13における帯状弾性部材39bを縁部34bにまで延ばす例が示されている。
【0031】
図4は、図1の尿取り袋1において前方被覆部6と帯片部分31の前端部32との接合を外すとともに、袋部2の両側における前方被覆部6と後方被覆部7との接合を外して得られる尿取り袋1aの平面図であって、尿取り袋1aの前方被覆部6と後方被覆部7とは前後方向Aと横方向Bとに伸展した状態にあり、かつ部分的に破断した状態にある。図4の袋部2において、内面シート36と外面シート37とは、芯材38の周縁から延出する部分において接着または溶着により互いに接合して、フラップ部分45を形成している。尿取り袋1aの股部8では、尿取り袋1aを組み立てて図1の尿取り袋1を得るときに使用する折曲案内線Q−Qが仮想線で示されている。尿取り袋1aを折曲案内線Q−Qに沿って折曲したときに重なり合う前方被覆部6のフラップ部分45aと後方被覆部7のフラップ部分45bとは、互いに接合されて図1の接合部位41となる。前方被覆部6における頂部12には複数条の糸ゴムが弾性部材39aとして使用されている。後方被覆部7における頂部13には、一本の帯状ゴムが弾性部材39bとして使用されている。帯片部分31は、前端部32が前方被覆部6における外面シート37に対して接着または溶着により接合され、後端部33が後方被覆部7における外面シート37に対して接着または溶着により接合される。このように、図4の尿取り袋1aを折り重ねて所要部位を接合すれば図1の尿取り袋1となるので、尿取り袋1の製造は簡単である。
【0032】
図1,2,3に示されている尿取り袋1を横臥している男性に着用させるには、それぞれの環状部3が画成する透孔40に脚42を挿入させた後に、尿取り袋1をペニス4の近傍にまで引き上げて脚周りを囲む環状部3を脚周りに密着させる。なお、この発明において環状部3が脚周りを囲むというときの尿取り袋1の着用状態には、その環状部3における帯片部分31を腰骨に引掛けた場合の着用状態も含まれている。このように着用させる尿取り袋1は、従来のパンツ形状のものとは異なっていて臀部を被覆する部分がないから、その男性が仰向けの姿勢にあるときでも、簡単に着用させることができる。また、着用状態にある尿取り袋1を脱がせるときには、尿取り袋1を足もとにまで引き下げてもよいが、環状部3が開環するように帯片部分31をはさみ等で二つに切り分けてもよい。尿取り袋1を女性に着用させる場合の要領は、男性に着用させる場合の要領とほぼ同じである。ただし、女性の場合には、尿取り袋1を引き上げたときに、前方被覆部6の頂部12を下腹部に接触させ、後方被覆部7の頂部13を鼠径部近傍に接触させることが好ましい。尿取り袋1は、このように環状部3を着用者5の脚周りに密着させ、必要ならば帯片部分31を腰骨に引掛けて着用するものであるから、男女兼用のものとして市場に供給することができる。尿取り袋1はまた、着用者5の尿道口(図示せず)を覆うものであるから、着用した尿取り袋1に重ねておむつを着用した場合には、おむつが便で汚れても、その便によって尿道口等を汚すということがない。
【0033】
尿取り袋1において、内面シート36には、透液性の不織布や透液性の織布、複数の透液性開孔を有するプラスチックフィルム等を使用することができる。外面シート37には、不透液性のプラスチックフィルム、不透液性の不織布、不透液性の織布等を使用することができる。芯材38には、粉砕パルプや高吸水性ポリマー粒子、これらパルプとポリマー粒子との混合物等を使用することができる。これらの材料によって形成された芯材38は、その形状を維持するうえにおいて、ティシュペーパ等の液拡散性と透液性とに優れたシート片で被覆してあることが好ましい。帯片部分31は、弾性的に伸長可能な不織布やプラスチックフィルム等の弾性シート材料によって形成することができる他に、弾性的な伸長性を持たない不織布に対して、糸ゴム等の弾性部材を伸長状態で取り付けることによっても形成することができる。
【0034】
図5は、この発明の一実施形態を例示する図1と同様な図である。図5の尿取り袋1では、帯片部分31の前端部32が袋部2における前方被覆部6の外面シート37に対して取り付け取り外し可能に作られている。図において、外面シート37から取り外した前端部32は仮想線で示されており、その前端部32の内面には、外面シート37に対する取り付け手段の一例として、商品名マジックテープで知られるメカニカルファスナのフック部材61が取り付けられている。図5における外面シート37は、不透液性プラスチックフィルム37aと不織布37bとをラミネートした複合シートで形成されており、不織布37bが尿取り袋1の外側となるように使用されている。その不織布37bは、フック部材61の取り付け取り外しを繰り返すことができるもので、そのような不織布37bには、例えば捲縮した複合繊維からなるものがある。袋部2の両側に設けられた帯片部分31の少なくとも一方が環状部3を開閉することのできる尿取り袋1であれば、横臥していたり車椅子に座っていたりする男性または女性に対して、着用させたり脱がせたりすることが至極容易になる。
【0035】
図6は、この発明の実施形態の一例を示す図2と同様な図である。この発明において、環状部3は、少なくともその一方における帯片部分31を図6に示すような互いに結び合わせることのできる一対の帯片31a,31bに代えることによって、その一方の環状部31を開閉可能なものにすることができる。一対の帯片の一方31aは前方被覆部6に固定しておき、一対の帯片のもう一方31bは後方被覆部7に固定しておく。尿取り袋1を着用するときには、一方の環状部3に右脚(図示せず)を挿入してから、これら一対の帯片31a,31bを着用者の左脚の脚周りや引掛けるべき腰骨に対して密着するように結び合わせる。一対の帯片31a,31bは、非伸長性のものであることが好ましいが、弾性的な伸長性を有するものにすることもできる。尿取り袋1の両側の環状部3における帯片部分31は、図6の態様に代えて、帯片部分31のそれぞれを一対の帯片31a,31bによって形成することもできる。
【0036】
図7,8もまた、この発明の実施形態の一例を示す図2,3と同様な図である。図7の尿取り袋1では、図2の尿取り袋1の前方被覆部6の上部内面に防漏用シート片62が取り付けられている。シート片62はほぼ矩形に形成されていて、上縁部63と、下縁部64と、側縁部66,67とを有する。シート片62はまた、横方向Bへ弾性的に伸長可能なもので、横方向Bへ伸長した状態で上縁部63と側縁部66,67とがホットメルト接着剤(図示せず)を介して前方被覆部6に接合しているが、これら以外の部分、すなわち下縁部64を含んでいて上縁部63と下縁部64との間に位置する部分は、前方被覆部6に対して非接合状態にある。図7,8において、シート片62は横方向Bへ収縮した状態にあり、その収縮に伴って、前方被覆部6は外側に向かって凸となるように湾曲している。前方被覆部6がそのように湾曲することによって、前方被覆部6と後方被覆部7との前後方向Aにおける離間距離が比較的大きくなり、着用者5が男性である場合には、ペニス4を空間16へ納めることが容易になる。また、シート片62はその下縁部64が仮想線で示すペニス4に上方から接触して、前方被覆部6の内面に沿って流れて空間16の外へ向かおうとする尿を止める壁となり、袋部2の頂部開口17からの尿の漏れを防ぐことができる。着用者5が女性である場合には、シート片62の下縁部64が下腹部に接触し、下腹部の肌に沿って流れて空間16の外へ向かおうとする尿の流れを止めることができる。シート片62は、弾性糸を含む不織布、合成ゴムや熱可塑性エラストマーからなるフィルムによって形成することができる他に、非弾性的な不織布やプラスチックフィルムに糸状弾性部材を幅方向Bへ伸長した状態で取り付けることによって形成することもできる。例えば、シート片62を非伸長性の不織布とその不織布の下縁部に対して伸長状態で取り付けた一条の糸ゴムとで形成することもできる。このように作用するシート片62は、不透液性のものであることが好ましい。
【0037】
図示例において、帯片部分31は、袋部22とは別体に作られているものであったが、前方被覆部6の頂部12や後方被覆部7の頂部13を袋部2の側方へ延ばすことによって帯片部分31を作ることもできる。環状部3は、その少なくとも一部分が周方向へ弾性的に伸長可能に形成されていることが好ましいが、帯片部分31が図6に例示の如く一対の帯片31a、31bによって形成されている場合には、環状部3の周方向の全体を非伸長性にしてこの発明を実施することもできる。また、幅方向Bにおいて弾性的な伸長性を有する図示例の頂部12と頂部13とは、非伸長性の頂部12と頂部13とに代えてこの発明を実施することもできる。
【産業上の利用可能性】
【0038】
この発明によれば、着用することが容易であって、しかも着用後の位置を安定させることが容易な尿取り袋の製造が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】尿取り袋を斜め前方から見たときの図。
【図2】尿取り袋を斜め後方から見たときの図。
【図3】図1のIII−III線断面図。
【図4】尿取り袋を分解し、伸展して示す図。
【図5】実施形態の一例を示す図1と同様な図。
【図6】実施形態の一例を示す図2と同様な図。
【図7】実施形態の一例を示す図2と同様な図。
【図8】実施形態の一例を示す図3と同様な図。
【符号の説明】
【0040】
1 尿取り袋
2 袋部
3 環(環状部)
4 ペニス
6 前方部分(前方被覆部)
7 後方部分(後方被覆部)
8 底部
12 頂部
13 頂部
16 空間
17 開口
31 帯片部分(帯片)
32 前端部
33 後端部
36 内面シート
37 外面シート
38 芯材
42 脚
62 シート片
A 前後方向
B 横方向
C 上下方向
寸法
寸法

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに直交する前後方向と横方向と上下方向とを有し、上方に尿を流入させるための開口が形成された袋部を備えた尿取り袋であって、
前記袋部が透液性の内面シートと、不透液性の外面シートと、これら両シート間に介在する吸尿性の芯材とを含み、
前記袋部の前記横方向の両側それぞれに前記尿取り袋の着用者の脚周りに密着した状態で前記脚周りを囲むことが可能な環が形成され、前記環が該環の周方向へ延びる帯片部分の両端部それぞれを前記袋部に一体化させることによって形成されていることを特徴とする前記尿取り袋。
【請求項2】
前記環が前記周方向へ弾性的に伸長可能である請求項1記載の尿取り袋。
【請求項3】
前記環は、少なくとも一方が開閉可能に形成されている請求項1または2記載の尿取り袋。
【請求項4】
前記袋部が、前記前後方向の前方に位置する前方部分と後方に位置する後方部分とを有しており、これら前方部分と後方部分とが前記袋部の前記両側それぞれと前記袋部の下方とにおいて一体になっていて前記開口の下方に前記袋部の底部を形成している請求項1〜3のいずれかに記載の尿取り袋。
【請求項5】
前記底部から前記前方部分の頂部までの寸法が前記底部から前記後方部分の頂部までの寸法よりも大きい請求項4記載の尿取り袋。
【請求項6】
前記帯片部分は、前記両端部のうちの一方の端部が前記前方部分の頂部と一体になり、前記両端部のうちのもう一方の端部が前記後方部分の頂部と一体になっている請求項4または5に記載の尿取り袋。
【請求項7】
前記前方部分の内面側には、前記前方部分の上部において前記前方部分を横断するシート片が延びており、前記シート片が前記横方向へ弾性的に伸長可能なものであって前記横方向へ互いに並行して延びる上縁部と下縁部とを有するとともに前記上下方向へ互いに並行して延びる両側縁部とを有し、かつ、前記シート片が前記横方向へ伸長された状態で前記上縁部と前記両側縁部とが前記前方部分に接合する一方、前記下縁部を含む前記下縁部と前記上縁部との間の部分が前記前方部分に接合していない請求項1〜6のいずれかに記載の尿取り袋。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−302025(P2008−302025A)
【公開日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−152084(P2007−152084)
【出願日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【出願人】(000115108)ユニ・チャーム株式会社 (1,219)
【Fターム(参考)】