説明

尿素水噴射ノズルの詰まりを防止する脱硝装置

【課題】尿素水噴射ノズルが詰まらない脱硝装置を提供する。
【解決手段】燃焼排ガス通路3に設置された尿素水噴射ノズル4から尿素水を噴射し、燃焼排ガス中の窒素酸化物を還元除去する脱硝装置において、尿素水噴射ノズル内へ空気の供給を可能とし、脱硝運転停止操作時に、尿素水噴射ノズルへ空気を供給して尿素水噴射ノズル内の液体分を排出し、尿素水噴射ノズル内を空気で置換するとともに、脱硝運転停止中は定期的に尿素水噴射ノズルへ空気を供給する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃焼排ガス中に尿素水を噴射して窒素酸化物を除去する脱硝装置であって、尿素水噴射ノズルの詰まりを防止する制御を行う脱硝装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特開2003−62427号公報に記載があるように、ガスタービンやエンジンなどの原動機と、原動機で発生した燃焼排ガスから熱を回収する排熱ボイラを設置しておき、動力とともに熱を利用することで装置全体としての効率を高めるということが行われている。そして、燃焼排ガスに含まれている窒素酸化物を除去するために、燃焼排ガス中へ尿素水を噴射し、窒素酸化物を還元除去することが行われている。
【0003】
燃焼排ガスへ向けて尿素水を噴射する尿素水噴射ノズルは、原動機と排熱ボイラの間をつなぐ排ガス通路に設置する。尿素水噴射ノズルは燃焼排ガスの熱を受ける場所に設置することになり、排ガス通路内の燃焼排ガスは高温であるため、尿素水噴射ノズルは燃焼排ガスによって加熱される。尿素水噴射ノズルでは尿素水を噴射している時には、供給し続けている尿素水によって尿素水噴射ノズルを冷却することができるため、尿素水噴射ノズルが高温になることを防止できる。しかし、尿素水の噴射を停止している時には、尿素水によって尿素水噴射ノズルを冷却することができないため、ノズル部が高温になることがある。尿素水噴射ノズルの温度が上昇すると、尿素水噴射ノズル内に残っていた尿素水から水分が蒸発し、尿素が析出して尿素水噴射ノズルを詰まらせることがあった。
【0004】
そこで、脱硝運転停止時には尿素水の供給を停止した後で尿素水噴射ノズルへ洗浄液(水)を供給し、尿素水噴射ノズル内を洗浄することが行われている。また、洗浄液による洗浄後には尿素水噴射ノズル内へパージ用空気を供給し、尿素水噴射ノズル内に残っていた洗浄液を吹き飛ばすということも行われている。しかし、このようにしていても尿素水噴射ノズル内に尿素が析出し、尿素水噴射ノズルを詰まらせるということがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−62427号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、尿素水噴射ノズルから尿素水を噴射することで燃焼排ガス中の窒素酸化物を還元除去する脱硝装置において、尿素水噴射ノズル内で尿素が析出することによって尿素水噴射ノズルが詰まるということを防止することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の発明は、燃焼排ガスを通す排ガス通路に尿素水噴射ノズルを設置しておき、尿素水噴射ノズルから燃焼排ガスへ向けて尿素水を噴射し、燃焼排ガス中の窒素酸化物を還元除去するようにしている脱硝装置において、尿素水噴射ノズル内へは空気の供給も可能としておき、脱硝運転停止操作時、尿素水噴射ノズルへ空気を供給することによって尿素水噴射ノズル内の液体分を排出し、尿素水噴射ノズル内を空気で置換すると尿素水噴射ノズルへの空気供給は停止するが、その後も脱硝運転停止中には定期的に尿素水噴射ノズルへ空気を供給する制御を行うことを特徴とする。
【0008】
請求項2に記載の発明は、燃焼排ガスを通す排ガス通路に尿素水噴射ノズルを設置しておき、尿素水噴射ノズルから燃焼排ガスへ向けて尿素水を噴射し、燃焼排ガス中の窒素酸化物を還元除去するようにしている脱硝装置であって、尿素水噴射ノズルへは尿素水のほかに洗浄液の供給を可能としておき、脱硝運転を停止する際には尿素水噴射ノズルへ洗浄液を供給することで尿素水噴射ノズル内部の洗浄を行う脱硝装置において、尿素水噴射ノズル内へは空気の供給も可能としておき、脱硝運転停止操作時、洗浄液による尿素水噴射ノズルの洗浄を終了し、洗浄液供給停止後、すぐには尿素水噴射ノズルへの空気供給は行わず、尿素水や洗浄液を供給する尿素水供給経路内の圧力が抜けた後に、尿素水噴射ノズルへの空気供給を開始する制御を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明の第一の効果として、原動機停止中であっても脱硝運転停止中には定期的に尿素水噴射ノズルへ空気を供給する制御を行い、尿素水噴射ノズルの冷却を行うことで、原動機の余熱によって尿素水噴射ノズルが加熱されて高温になることがなくなる。そのため、脱硝運転停止後に尿素水噴射ノズル内に尿素分が残留していても尿素水噴射ノズル内で尿素が析出することはなくなり、脱硝運転停止中に尿素水噴射ノズルに詰まりが発生するということを防止できる。
【0010】
第二の効果として、脱硝運転停止操作時、洗浄液による尿素水噴射ノズルの洗浄を終了し、洗浄液供給停止後、すぐには尿素水噴射ノズルへの空気供給は行わず、尿素水や洗浄液を供給する尿素水供給経路内の圧力が抜けた後に、尿素水噴射ノズルへの空気供給を開始する制御を行い、尿素水噴射ノズル内を空気で置換する前に尿素水供給経路内の圧力を抜いておくことで、尿素水噴射ノズルへの空気供給停止後に尿素水供給経路内から尿素を含んでいる可能性のある水が尿素水噴射ノズルへあふれ出ることがなくなる。そのため、脱硝運転停止中に尿素水噴射ノズル内の尿素水から水分が蒸発して尿素水噴射ノズルに詰まりが発生するということを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明を実施する装置全体の概略を示した説明図
【図2】本発明での脱硝運転停止時における尿素水噴射ノズルの洗浄状況例などを示したタイムチャート
【図3】本発明での尿素水供給異常発生時における尿素水噴射ノズルの洗浄状況例などを示したタイムチャート
【図4】従来例での脱硝運転停止時におけるタイムチャート
【図5】従来例での尿素水供給異常発生時におけるタイムチャート
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の一実施例を図面を用いて説明する。図1は本発明を実施する脱硝装置全体のフロー例を示したフロー図、図2は本発明の一実施例での脱硝運転停止操作時における尿素水噴射ノズルの洗浄状況等を示したタイムチャート、図3は本発明の他の実施例での脱硝運転中に尿素水供給異常が発生した場合を示したタイムチャート、図4は従来例における脱硝運転停止操作時でのタイムチャート、図5は従来例における脱硝運転中に尿素水供給異常が発生した場合を示したタイムチャートである。
【0013】
燃焼排ガスの発生源であるガスタービン等の原動機(図示せず)からは高温の燃焼排ガスが発生するため、原動機で発生した燃焼排ガスから熱を回収する排熱ボイラ(図示せず)を設置する。原動機と排熱ボイラは、排ガス通路3で接続し、排ガス通路3を通して燃焼排ガスを流すようにしておき、排ガス通路3に尿素水噴射ノズル4を設置する。燃焼排ガスは有害な窒素酸化物含んでいるため、尿素水を燃焼排ガス中に噴射し、アンモニアの還元作用を利用して窒素酸化物を窒素と水に分解することで無害化する。
【0014】
尿素水は結晶化して析出しやすく、尿素水噴射ノズル4内で結晶が析出すると尿素水噴射ノズル4が詰まることになるため、尿素水噴射ノズル4内が詰まらないようにする必要がある。そこで、尿素水噴射ノズル4へは尿素水だけでなく、洗浄液やパージ用空気を供給することもできるようにしておく。尿素水噴射ノズル4には、尿素水供給経路1と空気供給経路2を接続しており、尿素水供給経路1からは尿素水と水(洗浄液)、空気供給経路2からはパージ用空気を供給するようにしている。尿素水供給経路1の上流側には、尿素水供給ポンプ5と水供給ポンプ6を並列に設置しており、途中に吐出量チェッカー9を設ける。
【0015】
また、尿素水噴射ノズル4の外側にはアトマイズエアライン12を設置しておき、尿素水噴射時にアトマイズエアを噴射することで尿素水の拡散効果を高める。空気供給経路2の上流側には空気供給ポンプ7を設け、空気供給経路2は途中で分岐しており、空気供給経路2は尿素水噴射ノズル4と尿素水噴射ノズル4周囲のアトマイズエアライン12に接続する。尿素水噴射ノズル4に接続している空気供給経路2にはパージ用空気制御弁11、アトマイズエアライン12に接続している空気供給経路2にはアトマイズエア制御弁10を設けておく。尿素水供給ポンプ5、水供給ポンプ6、空気供給ポンプ7、アトマイズエア制御弁10、パージ用空気制御弁11、吐出量チェッカー9は、脱硝装置の運転を制御する制御装置8と接続しておき、制御装置8が各機器の作動を制御する。
【0016】
脱硝運転を停止する操作を行う場合における尿素水供給ポンプ5、水供給ポンプ6、空気供給ポンプ7の稼働制御等を図2に基づいて説明する。図2のタイムチャートでは、原動機を運転しており、脱硝運転を行っている状態から始まっている。脱硝運転を行っている場合、制御装置8は、尿素水供給ポンプ5を稼働することで尿素水噴射ノズル4へ尿素水を供給する。尿素水噴射ノズル4では尿素水を微粒化して排ガス中へ噴射しており、排ガス中の窒素酸化物を窒素と水に分解する。この時、尿素水噴射ノズル4へは所定量の尿素水を供給し続けているため、尿素水噴射ノズル4内の液量は一定量となっている。尿素水噴射ノズル4では燃焼排ガスの熱を受けるが、尿素水噴射ノズル4は次々と送られてくる尿素水によって冷却されるため、尿素水噴射ノズル4内の尿素水温度が大幅に高くなることはなく、尿素水噴射ノズル4内の尿素水から水分が蒸発して結晶が析出するということはない。
【0017】
また、この時空気供給ポンプ7を作動しておき、アトマイズエア制御弁10を開き、パージ用空気制御弁11は閉じておく。空気供給ポンプ7からの空気は空気供給経路2を通ってアトマイズエアライン12へ入り、尿素水噴射ノズル4から噴射している尿素水を拡散する。
【0018】
点Aで原動機を停止することになった場合、制御装置8は原動機停止の情報を受けて脱硝運転を停止させる制御を行う。制御装置8は、まず尿素水供給ポンプ5の稼働を行っている状態のままで水供給ポンプ6の稼働を開始する。水供給ポンプ6を稼働すると、尿素水噴射ノズル4へは尿素水に加えて洗浄液の供給が開始される。この時、尿素水噴射ノズル4への供給量は、尿素水供給ポンプ5からの尿素水に加えて水供給ポンプ6からの水が追加されるため、尿素水噴射ノズルへ供給されている液量は増加していく。
【0019】
制御装置8が水供給ポンプ6の稼働を開始させた時から所定の時間(例えば30秒程度)経過後である点Bになると、制御装置8は尿素水供給ポンプ5の稼働を停止する。尿素水供給ポンプ5が稼働を停止すると、尿素水噴射ノズル4への尿素水供給がなくなるため、尿素水噴射ノズル4へ供給される液量は減少する。しかしこの時点では水供給ポンプ6を稼働して尿素水噴射ノズル4へ洗浄液を供給しているため、尿素水噴射ノズル4の液量が少なくなりすぎることはなく、尿素水噴射ノズル4の温度上昇は発生しない。尿素水噴射ノズル4の洗浄は、その後も点Cになるまで継続しておき、十分な洗浄を行った後で水供給ポンプ6を停止して洗浄液による洗浄を終了する。
【0020】
その後、制御装置8は、尿素水供給経路1内の圧力が低下するのを待つために所定の時間を開け、点Dとなるとパージ用空気制御弁11を開く。パージ用空気制御弁11を開くことで、空気供給ポンプ7からの空気は尿素水噴射ノズル4へ入り、尿素水噴射ノズル4への空気供給を行うことで、尿素水噴射ノズル4の流路内に残留していた液分を吹き飛ばしておく。制御装置8は点Eになると、パージ用空気制御弁11を閉じてパージ用空気の供給を停止して脱硝運転を停止する。しかし、制御装置8ではパージ用空気供給停止からの経過時間を検出しておき、原動機が停止していても経過時間が所定時間に達するごとにパージ用空気の供給を行う。点Fで所定時間に到達したとすると、点Fからパージ用空気制御弁11を開いて尿素水噴射ノズル4へ一定時間分だけ空気供給を行う。
【0021】
原動機を停止しているのに尿素水噴射ノズル4への空気供給を行うのは、原動機を停止していても原動機は熱を持っており、停止している原動機からの放熱によって尿素水噴射ノズル4が加熱されることがあるために、尿素水噴射ノズル4を冷却するというものである。そのため、空気供給は冷却に必要なだけでよく、例えば15分経過するごとに1分間だけ空気供給ポンプ7を稼働するようにする。なお、所定時間ごとに行う尿素水噴射ノズル4の冷却は、尿素水噴射ノズル4が加熱されなくなれば停止すればよく、原動機が十分に冷えるだけ時間が経過すれば停止する。また、原動機停止中の定期的な冷却は、尿素水噴射ノズル4部分の温度に基づいて行うようにしてもよい。
【0022】
図4は、比較のための従来例におけるタイムチャートである。図4では、点aで原動機の運転を停止しており、制御装置8は原動機の停止を検出すると直ちに尿素水供給ポンプ5の停止と水供給ポンプ6の稼働を行っている。この場合、尿素水供給ポンプ5を停止すると尿素水噴射ノズル4への尿素水供給量は急激に減少するのに対し、水供給ポンプ6の稼働開始による尿素水噴射ノズル4への洗浄液供給量は緩やかにしか増加しないため、尿素水噴射ノズル4での液量は一時的に減少する。尿素水噴射ノズル4内の液量が少なくなると、尿素水噴射ノズル4内では少量の液体で尿素水噴射ノズル4に伝わってくる熱を取り込まなければならなくなる。そのため、尿素水が加熱されて高温になり、水分が蒸発することにより結晶が析出することがある。析出した結晶は尿素水噴射ノズル4内に固着するため、脱硝運転を停止するたびに析出と固着を繰り返すことによって尿素水噴射ノズル4に詰まりが発生することになる。
【0023】
また、図4では、点cで水供給ポンプ6を停止するとともにアトマイズエア制御弁10を開き、尿素水噴射ノズル4へパージ用空気を供給している。水供給ポンプ6の停止と同時にパージ用空気制御弁11を開いた場合、尿素水供給経路部分をパージ用空気によって蓋をすることになる。水供給ポンプ6を停止した直後の場合、尿素水供給経路1内では洗浄水の圧力が高くなっており、パージ用空気によって蓋がされると、尿素水供給経路内では高い圧力のままで維持される。この場合、その後にパージ用空気供給を停止して空気による圧力がなくなると、圧力の高い尿素水供給経路内から洗浄水が尿素水噴射ノズルへあふれ出て、少量の洗浄水が尿素水噴射ノズル4内にたまる。尿素水噴射ノズル4内の洗浄水に尿素分が残っていると、尿素水噴射ノズル4内から水分が蒸発して尿素が析出し、析出した尿素によって尿素水噴射ノズル4が詰まることがあった。
【0024】
そのため、本発明では水供給ポンプ6の停止から尿素水供給経路1内の圧力を逃がすための所定の時間を開けてパージ用空気制御弁11を開くようにしている。水供給ポンプ6の停止からパージ用空気供給までに時間を開けることで、尿素水供給経路内の圧力による尿素水供給経路からのあふれ出しを先に行っておき、その後にパージ用空気を供給するようにしているため、本発明ではパージ用空気供給停止後に洗浄水が尿素水噴射ノズル4内へあふれ出てくることをなくすことができる。
【0025】
また、図4では脱硝運転を停止した以降は尿素水噴射ノズル4の冷却を行っていない。原動機を停止していても原動機の温度が高ければ、余熱によって尿素水噴射ノズル4が加熱されることがある。原動機停止中には尿素水噴射ノズル4の冷却を行っていない図4の場合、点eで空気供給ポンプ7を停止した以降は尿素水噴射ノズル4を冷却するものがないため、原動機の余熱によって尿素水噴射ノズル4の温度が上昇することがある。尿素水噴射ノズル4内に尿素水が残留している状態で尿素水噴射ノズル4の温度が上昇すると、尿素水から水分が蒸発し、結晶化して尿素水噴射ノズル4内を詰まらせることになるといった問題があった。しかし、尿素水噴射ノズル4を定期的に冷却する本発明を実施することで、脱硝運転停止中における尿素析出の問題も解消することができる。
【0026】
図3は本発明に関するものであって、原動機の運転途中で尿素水供給ポンプ5に異常が発生して尿素水の供給が行えなくなった場合のタイムチャートを示している。尿素水供給ポンプ5でのエアがみや尿素水供給ポンプの異常、また尿素水噴射ノズルにつまりが発生するなどして、尿素水噴射ノズル4へ尿素水を供給できなくなった場合、早急に対処しないと、尿素水噴射ノズル4内に残留している尿素水から水分が蒸発し、尿素水噴射ノズル4が析出した尿素によって閉塞されることになる。
【0027】
尿素水噴射ノズル4への尿素水供給異常は、尿素水供給経路1に設けている吐出量チェッカー9からの信号に基づいて検出する。制御装置8は、尿素水供給ポンプ5に対して作動指令は出力しているにもかかわらず、吐出量チェッカー9から尿素水供給の信号が出力されてこないということを検出した場合、尿素水供給ポンプ異常(尿素水吐出異常)との判定を行う。制御装置8は尿素水供給に異常が発生しているとの判定を行うと、原動機は運転中であっても脱硝運転停止の操作を行う。脱硝運転停止の操作自体は、原動機運転停止時の操作と同じである。制御装置8は、点Hで異常発生を検出すると、水供給ポンプ6の作動を行うことで、尿素水噴射ノズル4内の尿素水を洗浄水によって排出する。その後点Iで水供給ポンプ6の作動を停止し、点Jでパージ用空気制御弁11を開いて尿素水噴射ノズル4へ空気を供給することで尿素水噴射ノズル4内の洗浄水を排出する。なお、尿素水吐出異常によって尿素水噴射を停止した場合、原動機は運転を継続しており、高温の燃焼排ガスが排ガス通路3内を流れ続けているため、尿素水噴射ノズル4への空気供給を継続することで尿素水噴射ノズル4の冷却を行う。その後、点Kで原動機の運転を停止すれば尿素水噴射ノズル4の冷却を継続する理由がなくなるため、その場合には前記と同様に、定期的に尿素水噴射ノズル4へ空気を供給するのみとし、余熱による尿素水噴射ノズル4の加熱を防止するための冷却を行う。
【0028】
図5は比較のための従来例におけるタイムチャートである。図4でも尿素水供給ポンプ5の異常によって尿素水の供給が停止している。しかしこの場合、尿素水供給の異常を検出することができておらず、原動機の運転を停止する点kまでは水供給ポンプ6の作動も行わないため、尿素水噴射ノズル4は温度が上昇する。そのため尿素水噴射ノズル4内の尿素水は蒸発し、尿素水噴射ノズル4内で尿素が析出するため、尿素水噴射ノズル4が詰まることになる。
【符号の説明】
【0029】
1 尿素水供給経路
2 空気供給経路
3 排ガス通路
4 尿素水噴射ノズル
5 尿素水供給ポンプ
6 水供給ポンプ
7 空気供給ポンプ
8 制御装置
9 吐出量チェッカー
10 アトマイズエア制御弁
11 パージ用空気制御弁
12 アトマイズエアライン



【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃焼排ガスを通す排ガス通路に尿素水噴射ノズルを設置しておき、尿素水噴射ノズルから燃焼排ガスへ向けて尿素水を噴射し、燃焼排ガス中の窒素酸化物を還元除去するようにしている脱硝装置において、尿素水噴射ノズル内へは空気の供給も可能としておき、脱硝運転停止操作時、尿素水噴射ノズルへ空気を供給することによって尿素水噴射ノズル内の液体分を排出し、尿素水噴射ノズル内を空気で置換すると尿素水噴射ノズルへの空気供給は停止するが、その後も脱硝運転停止中には定期的に尿素水噴射ノズルへ空気を供給する制御を行う制御装置を有することを特徴とする尿素水噴射ノズルの詰まりを防止する脱硝装置。
【請求項2】
燃焼排ガスを通す排ガス通路に尿素水噴射ノズルを設置しておき、尿素水噴射ノズルから燃焼排ガスへ向けて尿素水を噴射し、燃焼排ガス中の窒素酸化物を還元除去するようにしている脱硝装置であって、尿素水噴射ノズルへは尿素水のほかに洗浄液の供給を可能としておき、脱硝運転を停止する際には尿素水噴射ノズルへ洗浄液を供給することで尿素水噴射ノズル内部の洗浄を行う脱硝装置において、尿素水噴射ノズル内へは空気の供給も可能としておき、脱硝運転停止操作時、洗浄液による尿素水噴射ノズルの洗浄を終了し、洗浄液供給停止後、すぐには尿素水噴射ノズルへの空気供給は行わず、尿素水や洗浄液を供給する尿素水供給経路内の圧力が抜けた後に、尿素水噴射ノズルへの空気供給を開始する制御を行う制御装置を有することを特徴とする尿素水噴射ノズルの詰まりを防止する脱硝装置。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−98343(P2011−98343A)
【公開日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−279038(P2010−279038)
【出願日】平成22年12月15日(2010.12.15)
【分割の表示】特願2005−184201(P2005−184201)の分割
【原出願日】平成17年6月24日(2005.6.24)
【出願人】(000130651)株式会社サムソン (164)
【出願人】(000000284)大阪瓦斯株式会社 (2,453)
【Fターム(参考)】