説明

局所排気装置

【課題】作業面上において、ホルマリン等の有害気体が発生する作業を行う際に、その作業を行う作業者が、発生する有害気体或いは作業面上に滞留する有害気体を吸い込むことのないようにすることを目的としている。
【解決手段】机上形であって、作業台の作業面を挟んで、作業者側に配した噴出手段と前記噴出手段に対位して作業台の、反作業者側に配した吸排気制御手段とよりなり、噴出手段と圧空ケースとには作業台の作業面上を越えて吸排気制御手段に向け気流を噴出する複数の噴気孔を列設してなるノズルを配し、吸排気制御手段には、噴出手段に圧空を送付するファンと、前記噴出手段から噴出した気流を吸引する吸引口及びそれに連なる排気手段を設けてなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業机の上に置いた作業台の作業面上で発生した有害気体を、その作業台の周囲で作業している作業員に吸引させることなく、作業台上から除去することを可能にした局所排気装置に関する。
【背景技術】
【0002】
局所排気装置内の作業台で作業を行う場合、作業台の周囲を囲ってその内部を作業空間とし、天井部もしくは背面部を排気口とし、作業空間で発生した有害気体を排気口側に吸い込ませ、作業者への安全を確保しているドラフトチャンバーが知られているが、(特許文献1)この装置は作業空間の空気を排気するための排気風量は多いものとなる。また、作業面上での作業性を向上させる目的で、左右の囲いを取外し使われる場合がある。特にホルマリンを対象とした排気装置などが多い。このように、作業空間を完全に密閉した状態としないような場合でも、例えば作業時に作業空間の囲いを開放し作業空間内に手を差し延べるような状態で作業を行えば、作業により例えば人体に悪影響のある気体が生ずるような場合、作業者がそれを吸引してしまうというような事態が生ずる恐れがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平5−76781号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、作業面上において、例えばホルマリン等の有害気体が発生する作業を行うような際に、その作業を行う作業者が、作業性を向上させると共に発生する有害気体或いは作業面上の局所に滞留する有害気体を吸い込むことのないようにすることを目的とし、作業空間左右の囲いを無くし、作業可能域を小さくすることなく、排気風量を少なくした有害気流排気装置を開発した。即ち、作業面前方に小さな開口を数ヶ所設けそこから背面の排気口方向に気流を流し、作業面上から発生した有害気流を速やかに排気口まで吹き飛ばすようにすることで少排気風量を可能としている。そして、作業面前方の開口部(ノズル)からの気流は左右の開口からは作業面と平行に吹き出され、その他の開口部からは15°〜45°までの角度のついた気流が排気口に吹きだされる。作業者と有害気体の雰囲気とを遮断する噴出気流を有害気体と作業者との間に配している。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1記載の本発明の局所排気装置は、机上形であって、作業台の作業面と作業者を挟んで、作業者側に配した噴出手段と前記噴出手段に対位して作業台の、反作業者側に配した吸排気制御手段とよりなり、噴出手段からの気流が作業面上を越えて吸排気制御手段に向け気流を噴出する複数の噴出気孔を列設してなるノズルを配し、吸排気制御手段には、噴出手段に圧空を送付するファンと、前記噴出手段から噴出した気流を吸引する吸引口(パンチング、ルーバー)及びそれに連なる排気手段を設けてなる。
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、噴出ノズルは、作業台の作業者側縁部に添って作業面の全幅に亘って設けられている。
請求項3記載の発明は、請求項1記載の発明において、噴気口を列設した噴出ノズルは、その両端を圧空ケースに固定又は周方向に旋回自在に支持され、気流噴射方向を固定するか又は変更可能としている。
請求項4記載の発明は、請求項1記載の発明において、噴気口は筒別にその噴出気流の方向を変更することを可能に支持体に支持されている。
【発明の効果】
【0006】
本発明装置は、作業台の作業面と作業者を挟んで、作業者側に配した噴出手段と前記噴出手段に対位して作業台の、反作業者側に配した吸排気制御手段とを連らねる圧空ケースとよりなり、噴出手段と圧空ケースから噴出した気流を、吸排気制御手段の吸引口に吸引し、それに連なる排気手段により排気するようにしたため、噴出手段と吸排気制御手段は単に作業机上に置くだけで容易に使用することが可能となる。
【0007】
本発明装置は、作業台の作業面と作業者を挟んで、作業者側に配した噴出手段と前記噴出手段に対位して作業台の、反作業者側に配した吸排気制御手段とよりなり、噴出手段には作業台の作業面上を越えて吸排気制御手段に向け気流を噴出する複数の小孔を列設してなるノズルを配し、吸排気制御手段には、圧空噴出手段に圧空を送付するファンと、前記噴出手段から噴出した気流を吸引する吸引口及びそれに連なる排気手段を設けてなるものであるため、作業者と作業台の作業面上の有害気体を含む雰囲気とを容易に隔離出来ると共に有害気体をスムーズに排出できる。
【0008】
本発明装置は、噴出手段から噴出した気流により作業者と有害物質とを隔離しており、従来の装置の如き囲いを必要としていないので、検査や作業などの動作を行い易い。
本発明装置にあっては、噴出手段において複数の噴気孔を列設してなる噴出ノズルを用いているが、同ノズルからの噴気流の噴出方向を任意に変更することを可能にすることによって汚染物質の存在する空間の範囲を適宜調整することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明装置の側面図。
【図2】同平面図。
【図3】同正面図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明実施の一例を図面と共に次に説明する。
本発明局所排気装置1は、吸排気制御手段2と斜め上方への噴出手段3とを有し、吸排気制御手段2と噴出手段3とを作業台4を囲うように配してなり、これらを適宜作業机17上に置いて使用する。
吸排気制御手段2はダクトを兼ねた函体をなし、該函体内部を2区画に分け、その第1の区画5aの内部には噴出用のファン6を設けている。7は函体内部への外気の吸入口である。第2の区画5bには局所吸引用のファン8を有している。9は吸排気制御手段2の函体に設けられた局所吸引口(パンチング、ルーバー)が設けられている。
【0011】
噴出手段3は、吸排気制御手段2の左右両側縁下部に突出して適宜間隔に、気流を噴出する複数の噴気孔10,10……を有する圧空ケース11,11と、圧空ケース11,11の先端間に渡って、気流を噴出する複数の噴気孔12,12……を列設した噴出ノズル13を配してなり、前記構成により噴出手段3は噴気孔12を有する圧空ケース11,噴出ノズル13により作業台4の作業面4aを囲い、作業机17上に置くことを可能にする。
【0012】
前記噴気孔10,12は、丸穴,角穴など噴気量に応じ適宜選択し、またその噴出方向も、作業前面の噴出ノズル13の噴気孔12からの作業面と平行に吹き出され、その他の圧空ケース11からは15°〜45°の角度のついた気流が有害気体吸引口9に噴出される。
上記噴出角度の変更は、例えば、上記噴出手段3において、圧空ケース11と噴出ノズル13とを旋回自在な嵌め合わせとしておいて圧空ケース11に対して噴出ノズル13の噴気孔12の向きを適宜レバー操作等で変更することが出来るようにすれば作業机17の作業面4a上の作業エリアを拡大或は縮少することが可能となる。或は個々の噴気孔10,12のみを固定された支持部材に対し旋回させることで噴気流の向きを変えるようにしても良い。14は、函体の第2の区画5b内の有害気体吸引用のファンに設けた排気ダクトである。
【0013】
本発明局所排気装置1を使用する際は適宜必要な面積の机を用意し、その上に必要台数の本発明装置1を並置する。そして、各装置1の吸排気制御手段2の排気ダクト14を集結し、各局所排気装置1の排気を総括して排気ダクト端末を室外に導き排気を室外にした上で、各装置1の操作スイッチ15を作動させる。
【0014】
上記操作によりファン6は回転し、吸排気制御手段2の外気吸入口7を経て外気を第1の区画5a内に吸引し、吸引された外気はファン6により、第1の区画5aと一体に連続して設けられている圧空ケース11を経て噴出ノズル13に送られ、圧空ケース11と噴出ノズル13の噴気孔10,12から噴気流10a,12aとなって噴出する。
【0015】
噴気孔10,12から噴出された気流は噴気流10a,12aとなり、作業机4の作業面4aの端縁の位置から水平或は斜め上方に向けて噴出しルーバー等で被われた吸引口9に吸引される。この際に作業面4a上で発生し、作業面上の作業空間18内に滞溜している有害気体或いは吸引口9に引き込むことになり、前記有害物質等は噴気流10aよりも上位に出ることなくすべて噴気流10aの下位において作業空間18内に滞溜することになる。すべての噴気流10a,12aは吸引口9内に吸引され、ガス除去フィルター19を通り排気ダクト14を経て排気される。
【0016】
ここで、作業空間18は、机の作業面4a,吸排気制御手段2,噴気流10aで囲まれた断面三角形の空間となるが、側面部分は開放状態であるため図2に示す如く両側側面の三角形状部位から両手を作業室間内に入れて作業を行ない得、また作業空間にあっては気体は吸引口9から吸引されているので作業空間の有害気体が外部に流出することはなく、側面部位からの有害気体の漏洩は防止出来る。
【0017】
上記の気流は作業面4a上の作業空間18内に有害気体等を封じ込める作用をすると共に装置外に吸引誘導しているので装置外への有害気体等の散逸は生じないが、吸排気制御手段2の第1,第2の区画内にガス除去フィルター等を配し有害気体を除去することも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0018】
本発明は、作業机の作業面と作業者を挟んで、作業者側に配した噴出手段と、前記噴出手段に対位して作業台の反作業者側に配した吸排気制御手段とを、圧空ケースで結合してなるため、これら一体の部材を適宜作業机上に載置することで容易に隔離された作業空間を作ることが出来る。
【符号の説明】
【0019】
1 局所排気装置
2 吸排気制御手段
3 空噴出手段
4 作業台
4a 作業面
5a 第1の区画
5b 第2の区画
6 噴出用ファン
7 外気吸入口
8 有害気体吸引用のファン
9 有害気体吸引口(パンチング、ルーバー)
11 圧空ケース
10,12 噴気孔
10a,12a 噴気流
13 噴出ノズル
14 排気ダクト
15 操作スイッチ
17 作業机
18 作業空間
19 ガス除去フィルター
M 作業者

【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業台の作業面と作業者を挟んで、作業者側に配した噴出手段と、前記噴出手段に対位して作業台の反作業者側に配した吸排気制御手段とを、圧空ケースで結合してなり、噴出手段と圧空ケースとには、作業台の作業面上を越えて吸排気制御手段に向け気流を噴出する複数の噴気孔を列設してなる噴出ノズルを配し、吸排気制御手段には、圧空噴出手段に圧空を送付する圧空送付用ファンと、前記噴出手段から噴出した気流を吸引する吸引口、及びそれに連なる排気手段を設けてなり、前記噴出手段の噴出ノズルと吸排気制御手段に設けられた圧空送付用ファンと結合してなる、作業机上に載置可能とした局所排気装置。
【請求項2】
噴出ノズルは、作業机の作業者側縁部に添って作業面の全幅に亘って設けられていることを特徴とする請求項1記載の局所排気装置。
【請求項3】
噴出口を列設した噴出ノズルは、その両端を圧空ケースに固定又は周方向に旋回自在に支持され、圧空噴射方向を固定するか又は変更可能としたことを特徴とする請求項1記載の局所排気装置。
【請求項4】
噴気口は筒別にその噴出気流の方向を変更することを可能に支持体に支持されていることを特徴とする請求項1記載の局所排気装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−249344(P2010−249344A)
【公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−96785(P2009−96785)
【出願日】平成21年4月13日(2009.4.13)
【出願人】(591066465)日本エアーテック株式会社 (27)
【Fターム(参考)】