説明

局部洗浄装置

【課題】人体局部及び便器を衛生的に洗浄できる局部洗浄装置を提供する。
【解決手段】本局部洗浄装置は、電解槽で生成されたアルカリ水あるいは酸性水を加熱する加熱ユニットと、この加熱ユニットと電解槽間に設けられ、アルカリ水あるいは酸性水の一方を加熱ユニットに、他方を便器に選択的に流す切替弁機構と、この切替弁機構を介して加熱ユニットに流入し、加熱されたアルカリ水あるいは酸性水を人体局部に噴射する局部洗浄ノズルを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗浄ノズルを備えた局部洗浄装置に係り、特に人体局部及び便器を衛生的に洗浄できる局部洗浄装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、人体局部を洗浄するために、洗浄水を人体局部に噴出する洗浄ノズルを備え局部洗浄装置が普及している。この局部洗浄装置は、洗浄水を洗浄ノズルに供給し、この洗浄ノズルから洗浄水を人体局部に向けて噴出するという構成をなす。
【0003】
しかし、洗浄水が単に湯水では、人体局部に付着した脂肪や蛋白質成分を十分に除去することができない。
【0004】
そこで、給水を電気分解してアルカリ水を局部洗浄に使用することが提案されている(特許文献1)。この特許文献1のものは、人体局部の洗浄効果は向上するが、便器の洗浄を行うことができない。
【特許文献1】特開平9−78658号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上述した事情を考慮してなされたもので、人体局部及び便器を衛生的に洗浄できる局部洗浄装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した目的を達成するため、本発明に係る局部洗浄装置は、便器に装着される便座装置に組み込まれて使用される局部洗浄装置において、水を電気分解してアルカリ水と酸性水を生成する電解槽と、この電解槽で生成されたアルカリ水あるいは酸性水を加熱する加熱ユニットと、この加熱ユニットと前記電解槽間に設けられ、アルカリ水あるいは酸性水の一方を前記加熱ユニットに、他方を便器に選択的に流す切替弁機構と、この切替弁機構を介して前記加熱ユニットに流入し、加熱されたアルカリ水あるいは酸性水を人体局部に噴射する局部洗浄ノズルを備えたことを特徴とする。
【0007】
また、本発明に係る局部洗浄装置は、便器に装着される便座装置に組み込まれて使用される局部洗浄装置において、水を電気分解してアルカリ水と酸性水を生成する電解槽と、この電解槽で生成されたアルカリ水を加熱する加熱ユニットと、この加熱されたアルカリ水を人体局部に噴射する局部洗浄ノズルと、前記電解槽で生成された酸性水を便器に流して便器を洗浄する酸性水流出手段を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る局部洗浄装置によれば、人体局部及び便器を衛生的に洗浄できる局部洗浄装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明に係る局部洗浄装置の第1実施形態について添付図面を参照して説明する。
【0010】
図1は本発明の第1実施形態の局部洗浄装置を使用した便座装置の斜視図、図2は本発明の第1実施形態の局部洗浄装置の概念図である。
【0011】
図1及び図2に示すように、本第1実施形態に係る局部洗浄装置1は、便器2に装着される便座装置3に組み込まれて使用される。
【0012】
便座装置3は、箱状の本体4と、この本体4に軸着され便器2に載置される便座5と、本体4に軸着され便座5上に開閉自由に設けられる便座蓋6を備える。
【0013】
本体4には操作パネル7が設けられ、操作パネル7は電気的構成要素を制御するスイッチ組立(図示せず)を覆い、スイッチに対応してその機能をアイコンあるいは文字により表示する洗浄ボタン8a、停止ボタン8bなどを設けた操作銘板8を備える。
【0014】
局部洗浄装置1は本体4に内装され、外部から給水された水を電気分解してアルカリ水と酸性水を生成する電解槽11と、この電解槽11で生成されたアルカリ水あるいは酸性水を加熱する加熱ユニット12と、この加熱ユニット12と電解槽11間に設けられ、アルカリ水あるいは酸性水の一方を加熱ユニット12に、他方を便器2に選択的に流し、アルカリ水側切換弁13aと酸性水側切換弁13bを備える切替弁機構13と、加熱ユニット12で加熱され、流量調整弁14を介して流入するアルカリ水あるいは酸性水を人体局部に噴射する洗浄ノズル15を備える。
【0015】
また、切替弁機構13には、選択的にアルカリ水あるいは酸性水を便器2に流すために、アルカリ水あるいは酸性水を一時的に貯える貯水槽16が接続され、さらに、貯水槽16の下方には、先端にハンドブラシ17aが設けられたホース17が一体的あるいは水密的に着脱自由に取り付けられる。貯水槽16の上部には便器2に開口する開口部18aを有する水量調整用パイプ18を設け、貯水槽16の満水を防いでいる。
【0016】
さらに、局部洗浄装置1には、洗浄ノズル15をノズルシリンダ19内で進退させるノズル進退機構20が設けられる。
【0017】
図3に示すように、本体4の裏面には、洗浄ノズル15が収容される収容部21が設けられ、図1に示す洗浄ノズル15の使用時、伸長した状態から、不使用時の後退した状態(収容状態)の洗浄ノズル15を収容するようになっている。
【0018】
また、図1に示す本体4の裏面には便座5方向に面して着座センサー22が設けられ、使用者の着座、離座を検知する。
【0019】
さらに、本体4内には、構成要素を電気的に制御する制御手段(図示せず)が設けられ、構成要素の動作を制御するようになっている。
【0020】
なお、図中、符号24は温風吹出口、25は脱臭吸込口、26は脱臭カセット/脱臭排気口、27は便座ゴムクッションである。
【0021】
上記のような構造を有する第1実施形態の局部洗浄装置において、通常は人体胸部洗浄にアルカリ水を用いるものとし、電解槽11を動作状態にし、アルカリ水及び酸性水を生成可能な状態にし、図4(a)に示すように、切替弁機構13のアルカリ水側切換弁13aを加熱ユニット12側に「開」、貯水槽16側に「閉」状態にし、酸性水側切換弁13bを加熱ユニット12側に「閉」、貯水槽16側に「開」状態にしておく。
【0022】
図1に示すように、使用者が便座に着座すると、着座センサー22が着座を検知し、局部洗浄装置1を動作可能な状態にする。
【0023】
用便後、操作パネル7に設けた洗浄ボタン8aが押されると、ノズル進退機構20が作動して、洗浄ノズル15を洗浄位置に前進させる。
【0024】
続いて、加熱ユニット12側に「開」にあるアルカリ水側切換弁13aを介して加熱ユニット12に流入し、加熱されたアルカリ水は、流量調整バルブ11を介して洗浄ノズル15から人体の局部に噴出し、局部を洗浄する。洗浄ノズル15から噴出するアルカリ水によって、人体局部に付着した脂肪や蛋白質成分は十分に除去され、さらに、ノズル先端近傍もアルカリ水によって洗浄される。
【0025】
操作パネル7の停止ボタン8bが押されると、洗浄ノズル15からの洗浄水の噴射が止まり、さらに、ノズル進退機構20が作動して、洗浄ノズル15が収容部21に配したノズルシリンダ19内に後退して収容状態となる。
【0026】
一方、酸性水は、貯水槽16側に「開」状態にある酸性水側切換弁13bを介して、貯水槽16に貯えられる。
【0027】
使用者は定期的に不使用時、便座5及び便座蓋6を上方に回動させて、便器2の上部を露出させ、ハンドブラシ17aを用い、ホース17を介して貯水槽16の酸性水を流しながら、便器2の上部をはじめ便器2全体を洗浄する。ハンドブラシ17aを用いかつ、便器2の洗浄水が酸性であるので、便器2の汚れは確実に落とされ、衛生的である。
【0028】
なお、上記使用例では、人体局部洗浄にアルカリ水を用いる例で説明したが、図4(b)に示すように、切替弁機構13のアルカリ水側切換弁13aを加熱ユニット12側に「閉」、貯水槽16側に「開」状態にし、酸性水側切換弁13bを加熱ユニット12側に「開」、貯水槽16側に「閉」状態にし、洗浄ノズル15に酸性水を流し、貯水槽16にアルカリ水を貯え、アルカリ水で便器2を洗浄するようにしてもよい。また、図4(c)に示すように、アルカリ水側切換弁13a及び酸性水側切換弁13bをいずれも加熱ユニット12側に「開」、貯水槽16側に「閉」状態にし、電解槽11を不動作状態にして、普通の水を人体局部洗浄及び便器洗浄に用いるようにすることもできる。
【0029】
次に本発明に係る局部洗浄装置の第2実施形態について説明する。
【0030】
本第2実施形態は、第1実施形態が貯水槽に貯まった便器の洗浄水を、ハンドブラシを用いて便器を洗浄するのに対して、噴射ノズルから洗浄水を便器に噴出するものである。
【0031】
例えば、図5に示すように、本第2実施形態の局部洗浄装置1Aの酸性水側切換弁13bに連通する水配管31の先端には、図6及び図7に示すような酸性水流出手段としての噴射ノズル32が本体4に設けられ、便器に向かってやや下方に向き、さらに、便器の上部周辺に洗浄水を噴射できるように噴出口がやや外方に向けて開口している。
【0032】
なお、他の構成は図2に示す局部洗浄装置と異ならないので、同一符号を付して説明は省略する。
【0033】
これにより、人体局部と便器をより衛生的に洗浄できる。
【0034】
また、本発明に係る局部洗浄装置の第3実施形態について説明する。
【0035】
本第3実施形態は、第1実施形態が切換弁機構を備えるのに対し、この切替弁機構を備えず、常に洗浄ノズルにアルカリ水、便器に酸性水を供給するものである。
【0036】
例えば、図8に示すように、本第3実施形態の局部洗浄装置1Bの電解槽11のアルカリ水側に加熱ユニット12を接続し、酸性水側に図6に示す噴射ノズル32を接続し、便器の上部周辺に洗浄水を噴射できるように噴出口をやや外方に向けて開口して設ける。
【0037】
これにより、人体局部と便器をより衛生的に洗浄できる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の第1実施形態の局部洗浄装置を使用した便座装置の斜視図。
【図2】本発明の第1実施形態の局部洗浄装置の概念図。
【図3】本発明の第1実施形態の局部洗浄装置の裏面図。
【図4】本発明の第1実施形態の局部洗浄装置に用いる切替弁機構の開閉状態図。
【図5】本発明の第2実施形態の局部洗浄装置の概念図。
【図6】本発明の第2実施形態の局部洗浄装置に用いられる噴射ノズルの概念図で、(a)は側面図、(b)は正面図。
【図7】本発明の第2実施形態の局部洗浄装置の裏面の斜視図。
【図8】本発明の第3実施形態の局部洗浄装置の概念図。
【符号の説明】
【0039】
1 局部洗浄装置
2 便器
3 便座装置
4 本体
5 便座
7 操作パネル
8 操作銘板
8a 洗浄ボタン
8b 停止ボタン
11 電解槽
12 加熱ユニット
13 切替弁機構
13a アルカリ水側切換弁
13b 酸性水側切換弁
14 流量調整弁
15 洗浄ノズル
16 貯水槽
17 ホース
17a ハンドブラシ
18 水量調整用パイプ
18a 開口部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
便器に装着される便座装置に組み込まれて使用される局部洗浄装置において、
水を電気分解してアルカリ水と酸性水を生成する電解槽と、
この電解槽で生成されたアルカリ水あるいは酸性水を加熱する加熱ユニットと、
この加熱ユニットと前記電解槽間に設けられ、アルカリ水あるいは酸性水の一方を前記加熱ユニットに、他方を便器に選択的に流す切替弁機構と、
この切替弁機構を介して前記加熱ユニットに流入し、加熱されたアルカリ水あるいは酸性水を人体局部に噴射する局部洗浄ノズル
を備えたことを特徴とする局部洗浄装置。
【請求項2】
便器に装着される便座装置に組み込まれて使用される局部洗浄装置において、
水を電気分解してアルカリ水と酸性水を生成する電解槽と、
この電解槽で生成されたアルカリ水を加熱する加熱ユニットと、
この加熱されたアルカリ水を人体局部に噴射する局部洗浄ノズルと、
前記電解槽で生成された酸性水を便器に流して便器を洗浄する酸性水流出手段
を備えたことを特徴とする局部洗浄装置。
【請求項3】
前記便器に流されるアルカリ水あるいは酸性水を一時的に貯える貯水槽が設けられ、この貯水槽に取り付けられたホースに先端にハンドブラシが設けられたことを特徴とする請求項1または2に記載の局部洗浄装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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