説明

局部洗浄装置

【課題】部品点数の削減を図る。
【解決手段】局部洗浄装置は、前端が進退口15として開口された収容室13を有するハウジング10と、収容室13内に収容される格納位置と、吐水口32を進退口15から収容室13の前方へ進出させる洗浄位置との間で進退可能なノズル30と、ノズル30の嵌合凹部35に対して着脱可能なキャップ40とを備える。キャップ40は、嵌合凹部35に装着された状態でノズル30の前端面を覆い隠す本体部41と、本体部41の外周縁に沿って形成され、キャップ40が嵌合凹部35に装着され且つノズル30が格納位置へ後退した状態で、ノズル30の前端外周縁と進退口15の開口縁との隙間を塞ぐフランジ部43を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、局部洗浄装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、前端が進退口として開口された収容室を有するハウジングと、収容室内に収容される位置と、吐水口を進退口から収容室の前方へ進出させる位置との間での進退を可能に設けられたノズルとを備えた局部洗浄装置が開示されている。この局部洗浄装置では、収容室の内面とノズルの外面との間には、ノズルの進退動作の円滑化を図るために、ノズルの外面と収容室の内面との間にクリアランスが設けられている。このように収容室内にクリアランスが設けられていると、ノズルを収容室に収容した状態で、進退口から収容室内に汚水や汚物が侵入することが懸念される。
【0003】
そこで、特許文献1の局部洗浄装置には、収容室内に汚物や汚水が浸入するのを防止する手段として、シャッターを用いて進退口を閉塞する構造が採用されている。シャッターは、進退口を閉塞する閉塞位置と、進退口を開放させる開放位置との間で変位可能に支持されており、ノズルが前方へ進出するときには、シャッターがノズルに押されることによって閉塞位置から開放位置へ変位する。そして、ノズルが収容室内に収容されると、シャッターは、復帰バネの弾力によって開放位置から閉塞位置へ復帰するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−196375号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載されたシャッター構造は、シャッターの他に、シャッターを開口部の開口縁に支持するための左右一対の軸部材と、左右一対の付勢バネが必要であるため、部品点数が多いという問題がある。
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、部品点数の削減を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するための手段として、請求項1の発明は、前端が進退口として開口された収容室を有するハウジングと、洗浄水を吐出する吐水口を有し、少なくとも前記吐水口の形成領域を前記収容室内に収容させる格納位置と、前記吐水口を前記進退口から前記収容室の前方へ進出させる洗浄位置との間での進退を可能に設けられたノズルと、前記ノズルにおける前記吐水口よりも前方の位置に形成した嵌合部に対し、着脱を可能とされたキャップとを備え、前記キャップは、前記キャップが前記嵌合部に装着された状態で前記ノズルの前端面を前方から覆い隠す本体部と、前記本体部の外周縁に沿って形成され、前記キャップが前記嵌合部に装着され且つ前記ノズルが格納位置へ後退した状態で、前記ノズルの前端外周縁と前記進退口の開口縁との間の隙間を塞ぐフランジ部とを備えて構成されているところに特徴を有する。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1に記載のものにおいて、前記キャップが前記嵌合部に装着され且つ前記ノズルが格納位置へ後退した状態では、前記フランジ部の前面における外周縁が、前記ハウジングの前面に対してほぼ面一状に連なるような形態とされているところに特徴を有する。
【0008】
請求項3の発明は、請求項1または請求項2に記載のものにおいて、前記フランジ部の後面における外周縁部と、前記ハウジングの前面における前記進退口の開口縁部には、前記ノズルの進退方向に対して傾斜し、且つ互いに密着可能なテーパ面が形成されているところに特徴を有する。
【発明の効果】
【0009】
<請求項1の発明>
キャップが嵌合部に装着されてノズルが格納位置へ後退した状態では、ノズルの前端面が本体部で覆い隠されるとともに、フランジ部によってノズルの前端外周縁と進退口の開口縁との間の隙間が塞がれるので、収容室内への汚物の浸入を確実に防止できる。また、キャップが汚れた場合には、キャップを嵌合部から外して洗浄することができるので、衛生状態を良好に保つことができる。本発明によれば、ノズルにキャップを取り付けるだけで、収容室内への汚物の侵入を防止できるので、部品点数が少なくて済む。
【0010】
<請求項2の発明>
キャップが嵌合部に装着されてノズルが格納位置へ後退した状態では、フランジ部の外周縁がハウジングの前面に対してほぼ面一状に連なるので、フランジ部の前面における外周縁とハウジングの前面との間には、汚物が残留し易い狭小凹部は生じない。したがって、キャップをノズルから外さなくても、フランジ部の外周縁とその近傍を、清掃によって清潔な状態に保つことができる。
【0011】
<請求項3の発明>
ノズルが格納位置へ後退する過程で、進退方向への位置ずれや進退方向と交差する方向への位置ずれを生じたとしても、格納位置に到達する直前で、フランジ部のテーパ面とハウジングのテーパ面によってノズルの位置ずれが矯正され、双方のテーパ面同士が全周に亘って密着する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】実施形態1においてノズルが格納位置へ後退した状態をあらわす断面図
【図2】ノズルが格納位置と洗浄位置との間に位置している状態をあらわす断面図
【図3】ハウジングの進退口とキャップを、ノズルの進退方向と平行に視た状態をあらわす正面図
【図4】ハウジングの進退口とキャップを外したノズルを、ノズルの進退方向と平行に視た状態をあらわす正面図
【図5】キャップの背面図
【図6】実施形態2においてノズルをその長さ方向と直角に切断した状態をあらわす断面図
【図7】キャップの背面図
【発明を実施するための形態】
【0013】
<実施形態1>
以下、本発明を具体化した実施形態1を図1乃至図5を参照して説明する。本実施形態の局部洗浄装置は、洋式の便器本体(図示省略)の後端部に設けられ、合成樹脂製のハウジング10と、合成樹脂からなる左右一対のノズル30と、合成樹脂製のキャップ40とを備えている。ハウジング10は、便器本体に固定されるベースプレート11と、ベースプレート11の上面を覆うことにより収容室13を形成するカバー12とを備えて構成され、収容室13内には進退ガイド20が設けられている。
【0014】
ベースプレート11には、その前端縁から上方へ立ち上がる前板部14が形成されている。前板部14は平坦な板状をなし、前板部14の前面は、斜め下前方に面するように、つまり便鉢(図示省略)の内部に臨むように傾斜している。この傾斜した前板部14の板面(前面)は、ノズル30の進退方向と直角をなしている。そして、前板部14には、左右一対の貫通形態の進退口15が、ハウジング10の前面に開口するように形成されている。一対の進退口15は、形状と大きさが互いに同じであり、その開口形状は非円形である。図3,4に示すように、進退口15は、真円において水平な弦を境にして上下対称な一対の弓形部を除去した形状の第1開口領域15Aと、第1開口領域15Aの下側の弦に沿うように配され、下側の弦の全幅に亘る横長長方形の第2開口領域15Bとを、互いに連通して構成されている。
【0015】
図1,2,4に示すように、ハウジング10(前板部14)の前面における進退口15の開口縁部には、前板部14の前面に対して傾斜した前面側テーパ面18(本発明の構成要件であるハウジング側のテーパ面)が、進退口15の開口縁の全領域(全周)に亘って連続して形成されている。この前面側テーパ面18は、ノズル30の進退方向に対して傾斜している。前板部14の板厚方向(前後方向)における前面側テーパ面18の形成領域は、前側のほぼ1/2の範囲に亘っている。そして、前板部14の板厚方向において、進退口15の開口面積は、前面側テーパ面18の前端(前板部14の前面)で最大となり、前面側テーパ面18の後端に向かって次第に開口面積が小さくなっている。
【0016】
図4に示すように、進退ガイド20は、その内部に左右一対の細長いガイド孔21を有している。図1,2に示すように、ガイド孔21は、前方に向かって下り勾配となるように傾斜している。進退ガイド20の前端は、ハウジング10の前板部14よりも少し後方に位置し、ガイド孔21の前端は、前板部14の近傍において進退口15と対応するように開口している。図4に示すように、このガイド孔21の開口形状は、進退口15とほぼ同じであり、ガイド孔21の開口領域は進退口15よりも少し小さい。つまり、ガイド孔21の前端の開口部は、進退口15と概ね相似状をなしている。ガイド孔21の長さ方向(つまり、ノズル30の進退方向)は、ハウジング10の前板部14の板面(前面)と直角な方向となっている。この一対のガイド孔21内には、夫々、互いに独立して進退駆動される一対のノズル30が設けられている。
【0017】
図1,2,4に示すように、ノズル30は、前端が開放された合成樹脂製の筒状本体31と、筒状本体31の前端の開口部に固着された合成樹脂製の閉止部材34とを備えて構成され、全体として前端が閉塞された細長い筒状をなしている。図1,2に示すように、筒状本体31の上面には、ノズル30の前端よりも少し後方の位置で開口する吐水口32が形成されている。この吐水口32からは洗浄水が上向きに吐出されるようになっている。図2,4に示すように、筒状本体31の下面には、ラック33が形成されている。ノズル30は、ラック33を駆動機構(図示省略)のピニオンに係合させた状態でガイド孔21に取り付けられ、駆動機構とガイド孔21の案内とにより、格納位置(図1を参照)と洗浄位置との間でノズル30及びノズル30の長さ方向と平行に進退移動(往復移動)するようになっている。
【0018】
図4に示すように、筒状本体31のうちラック33を除いた部分の長さ方向と直角な正面形状は、進退口15の第1開口領域15Aとほぼ同じ形状であり、その正面形状は第1開口領域15Aよりも僅かに小さい。また、ラック33の正面形状は、進退口15の第2開口領域15Bと対応するような方形をなし、第2開口領域15Bよりも少し小さい。このようにラック33を含むノズル30の正面形状は、進退口15の開口領域の全体と対応している。
【0019】
図1,2,4に示すように、閉止部材34は、筒状本体31の前端の開口を液密状に塞ぐように固着されている。閉止部材34の前面と筒状本体31の前端面とは、面一状に連なっている。閉止部材34には、その前面を凹ませた形態の嵌合凹部35(本発明の構成要件である嵌合部)が形成されている。図4に示すように、嵌合凹部35は、真円の上端側部分を弓形に切欠した非円形形状をなしている。
【0020】
図1に示すように、ノズル30が格納位置にある状態では、ノズル30の全体がガイド孔21の内部に収容され、ノズル30の前端は前板部14の後面よりも後方に位置する。ノズル30が洗浄位置(図2に示す状態から更にノズル30が斜め下前方へ進出した位置)へ進出した状態では、ノズル30の少なくとも吐水口32を含む前端部が進退口15を貫通してハウジング10の前方外部へ進出し、吐水口32が、便鉢の内部に位置して斜め前上方へ洗浄水を吐出するようになっている。尚、図2は、ノズル30が洗浄位置よりも少し後方(格納位置側)に位置している状態を示している。
【0021】
キャップ40は、合成樹脂製の単一部品として成形され、図1〜3,5に示すように、本体部41と嵌合凸部42とフランジ部43と後面側テーパ面44を一体に形成した形態となっている。本体部41は、進退口15の第1開口領域15A及びノズル30の筒状本体31と同一の形状(即ち、真円において水平な弦を境にして上下対称な一対の弓形部を除去した形状)をなす板状の第1閉塞部41Aと、第2開口領域15Bと同一であり且つラック33と対応する形状(即ち、横長の長方形)をなす板状の第2閉塞部41Bとからなる。第1閉塞部41Aの板厚寸法は第2閉塞部41Bの板厚寸法よりも大きく、第2閉塞部41Bの板厚寸法は、前板部14の板厚寸法(即ち、進退口15の貫通方向の寸法)よりも少し小さい寸法とされている。第1閉塞部41Aの前面と第2閉塞部41Bの前面とは面一状に連なっている。また、第1閉塞部41Aの前面と後面は、互いに平行をなしている。
【0022】
図1,2,5に示すように、第1閉塞部41Aの後面には嵌合凸部42が形成されている。嵌合凸部42の形状は、ノズル30の嵌合凹部35と同じ形状であり、嵌合凸部42の大きさは嵌合凹部35よりも僅かに大きく設定されている。本体部41の外周には、その全周に亘って連続するようにフランジ部43が形成されている。フランジ部43の外周形状は本体部41と相似の形状であり、フランジ部43の前面は本体部41の前面に対して面一状に連なっている。また、フランジ部43の最大板厚寸法は、全周に亘って一定であり、第2閉塞部41Bの板厚寸法と同じ寸法である。
【0023】
キャップ40は、嵌合凸部42を嵌合凹部35に圧入することによってノズル30の前端部に取り付けられ、嵌合凸部42の外周面と嵌合凹部35の内周面との間の摩擦抵抗により、キャップ40は取付け状態に保持される。また、キャップ40に対し嵌合凸部42と嵌合凹部35との間の摩擦抵抗を上回る前方への引張力を付与すると、キャップ40をノズル30から外すことができるようになっている。
【0024】
図1,2に示すように、キャップ40をノズル30に取り付けた状態では、第1閉塞部41Aの後面が閉止部材34の前面及び筒状本体31の前端面に対してほぼ密着し、第1閉塞部41Aの外周面と筒状本体31の外周面とがほぼ面一状に連続する。つまり、キャップ40の本体部41は、ノズル30の前端面を前方から覆い隠すように位置する。また、第2閉塞部41Bは、前方からラック33と対応するように位置し、フランジ部43は、ノズル30の外周よりも外側へ全周に亘って張り出した状態となる。また、キャップ40の前面は、その全領域に亘って平坦状をなしているとともに、ノズル30の進退方向に対して直角をなす。
【0025】
図1,2,5に示すように、フランジ部43の後面には、本体部41(第1閉塞部41A及び第2閉塞部41B)の後面に対して傾斜した後面側テーパ面44(本発明の構成要件であるノズル30側のテーパ面)が、フランジ部43の全領域(全周)に亘って連続して形成されている。この後面側テーパ面44は、前面側テーパ面18と同じく、ノズル30の進退方向に対して傾斜している。本体部41の後面に対する後面側テーパ面44の傾斜角度は、前板部14の前面に対する前面側テーパ面18の傾斜角度と同じ角度であり、後面側テーパ面44の傾斜の向きは前面側テーパ面18の傾斜の向きと平行である。フランジ部43(第2閉塞部41B)の板厚方向(前後方向)における後面側テーパ面44の形成範囲は、フランジ部43(第2閉塞部41B)の前面から後面に亘っている。
【0026】
次に、本実施形態の作用を説明する。ノズル30が格納位置へ後退した状態では、図1に示すように、ノズル30の前端部を含む全体が、進退ガイド20のガイド孔21内に格納されるので、収容室13内に収容されることになる。進退ガイド20の前端面は前板部14の後面よりも後方に位置しているので、進退口15が開放されている場合には、進退口15から汚物が収容室13内に侵入する虞がある。また、ガイド孔21の内周とノズル30の外周との間には、ノズル30の進退動作を円滑に行わせるためにクリアランス45が確保されているので、収容室13内に侵入した汚物が、クリアランス45を通ってガイド孔21内に侵入し、ノズル30の外周やガイド孔21の内周に付着する虞もある。また、ガイド孔21とノズル30の隙間に侵入した汚物が乾燥して固化すると、ノズル30の進出動作に支障を来すことになる。
【0027】
そこで、本実施形態では、ノズル30の前端部にキャップ40を取り付けた。このキャップ40は、ノズル30が格納位置へ後退したときに、ノズル30の前端面を前方から覆い隠す本体部41と、ノズル30の前端外周縁と進退口15の開口縁との間の隙間を塞ぐフランジ部43とを備えており、進退口15の全開口領域を閉塞するようになっている。このキャップ40により、汚物が収容室13内やノズル30とガイド孔21との隙間に侵入することを確実に防止することができる。
【0028】
また、キャップ40が汚れた場合には、キャップ40を嵌合凹部35から外して洗浄することができる。このように、キャップ40をノズル30に対して着脱可能としたことにより、衛生状態を良好に保つことができる。本実施形態によれば、ノズル30にキャップ40を取り付けるだけで、収容室13内への汚物の侵入を防止できるので、シャッターで進退口を開閉する構造のものに比べると、部品点数が少なくて済む。
【0029】
また、キャップ40が嵌合凹部35に装着されてノズル30が格納位置へ後退した状態では、図1に示すように、フランジ部43の前面における外周縁とハウジング10の前面とが、面一状に連なって、双方の前面が平坦面を構成するようになっている。したがって、フランジ部43の外周縁とハウジング10の前面との境界部分には、汚物が残留し易い狭小な凹部は生じない。本実施形態によれば、キャップ40をノズル30から外さなくても、フランジ部43の外周縁とその近傍を、前方から拭き取る等の清掃作業によって清潔な状態に保つことができる。
【0030】
また、フランジ部43の後面における外周縁部と、ハウジング10の前面における進退口15の開口縁部には、ノズル30の進退方向に対して傾斜し、且つ互いに密着可能なテーパ面18,44を形成している。この構成によれば、ノズル30が、格納位置へ後退する過程で、進退方向の位置ずれや、進退方向と交差する上下左右方向への位置ずれを生じたとしても、格納位置に到達する直前で、フランジ部43のテーパ面44とハウジング10のテーパ面18によってノズル30の位置ずれが矯正される。そして、ノズル30が格納位置に到達すると、双方のテーパ面18,44同士が全周に亘って密着するので、キャップ40と進退口15との隙間から収容室13内へ汚物が侵入することを確実に防止できる。
【0031】
また、キャップ40に後面側テーパ面44を形成したことにより、第1閉塞部41Aの外周面前端と、後面側テーパ面44のうち第1閉塞部41Aとの対応領域の後端との境界部分は、鈍角状に連なった形態となっている。この境界部分は、汚物が残留し易い狭小な段部が存在しないので、清掃作業を行い易く、清潔な状態に保つことができる。
また、筒状本体31の外周面前端部と第1閉塞部41Aの外周面後端部とがほぼ面一状に連続しているので、この境界部分には、汚物が残留し易い狭小な凹部は生じない。したがって、この境界部分は、簡単な清掃作業によって清潔な状態に保つことができる。
【0032】
<実施形態2>
次に、本発明を具体化した実施形態2を図6及び図7を参照して説明する。本実施形態2は、ノズル50とキャップ60を上記実施形態1とは異なる構成としたものである。その他の構成については上記実施形態1と同じであるため、同じ構成については、同一符号を付し、構造、作用及び効果の説明は省略する。
【0033】
上記実施形態1のノズル30では、ラック33を筒状本体31の下面から突出させた形態としたのに対し、本実施形態2のノズル50は、ラック52を筒状本体51の下面から突出させない形態としている。図6に示すように、筒状本体51の外形(ノズル50の長さ方向と直角な断面形状)は、実施形態1の筒状本体31と概ね同じである。即ち、筒状本体51は、真円において水平な弦を境にして上下対称な一対の弓形部を除去した形状である。そして、この筒状本体51の下面には、ノズル50の長さ方向に複数の台形状の凹部を一定ピッチで形成することによってラック52が形成されている。
【0034】
また、上記実施形態1では、キャップ40の本体部41が、筒状本体31と同一の形状をなす第1閉塞部41Aと、ラック33と対応する形状の第2閉塞部41Bとから構成されていたのに対し、本実施形態2のキャップ60の本体部61は、筒状本体51と同一の形状をなしており、ラック52と対応する形状の部位は有していない。また、本体部61の外周には、その全周に亘って連続するフランジ部62が形成されている。このフランジ部62と本体部61とは相似形の関係となっている。また、本体部61の後面には、実施形態1と同じ形状の嵌合凸部63が形成されている。
【0035】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)上記実施形態では、キャップが嵌合部に装着され且つノズルが格納位置へ後退したときに、フランジ部の前面における外周縁が、ハウジングの前面に対してほぼ面一状に連なるような形態としたが、これに替えて、フランジ部の外周縁が、ハウジングの前面に対して段差や凹凸等を生じさせる形態で連なるようにしてもよい。
(2)上記実施形態では、キャップが嵌合部に装着され且つノズルが格納位置へ後退したときに、フランジ部の前面とハウジングの前面とが平坦面を形成するようにしたが、これに替えて、フランジ部の前面とハウジングの前面が、曲面を形成するように滑らかに連なる形態としてもよい。
(3)上記実施形態では、キャップの本体部の前面とフランジ部の前面とが面一状に(段差のない平坦面をなすように)連なる形態としたが、本体部の前面とフランジ部の前面とが、段差状に連なるようにしてもよい。
(4)上記実施形態では、キャップの前面をその全領域に亘って平坦面としたが、キャップの前面をその全領域に亘って曲面としてもよく、キャップの前面が平面と曲面で構成されていてもよい。
(5)上記実施形態では、フランジ部の後面における外周縁部と、ハウジングの前面における進退口の開口縁部に、ノズルの進退方向に対して傾斜し且つ互いに密着可能なテーパ面を形成したが、これに替えて、フランジ部の外周縁における後面と、ハウジングの前面における進退口の開口縁部を、ノズルの進退方向に対してほぼ直角な平坦面とし、ノズルが格納位置へ後退したときにフランジ部が進退口の内部に収容されるようにしてよい。
(6)上記実施形態では、ノズル側の嵌合部(嵌合凹部)を、ノズルの前端面における中央部を凹ませた形態としたが、嵌合部は、ノズルの前端面における中央部を突出させた形態としてもよい。
(7)上記実施形態では、ノズル側の嵌合部をノズルの前端面に形成したが、嵌合部は、ノズルの前端部の外周面に形成してもよい。
(8)上記実施形態では、ノズルが格納位置へ後退したときに、ノズルの前端を含む全体が収容室内に収容されるようにしたが、これに替えて、ノズルが格納位置へ後退した状態において、ノズルの前端部が進退口よりも前方に位置するようにしてもよい。この場合、キャップは、帽子形や傘形等のように、フランジ部が本体部よりも後方に位置するような形態とすればよい。
【符号の説明】
【0036】
10…ハウジング
13…収容室
15…進退口
18…前面側テーパ面(ハウジング側のテーパ面)
30…ノズル
32…吐水口
35…嵌合凹部(嵌合部)
40…キャップ
41…本体部
43…フランジ部
44…後面側テーパ面(ノズル側のテーパ面)
50…ノズル
60…キャップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
前端が進退口として開口された収容室を有するハウジングと、
洗浄水を吐出する吐水口を有し、少なくとも前記吐水口の形成領域を前記収容室内に収容させる格納位置と、前記吐水口を前記進退口から前記収容室の前方へ進出させる洗浄位置との間での進退を可能に設けられたノズルと、
前記ノズルにおける前記吐水口よりも前方の位置に形成した嵌合部に対し、着脱を可能とされたキャップとを備え、
前記キャップは、
前記キャップが前記嵌合部に装着された状態で前記ノズルの前端面を前方から覆い隠す本体部と、
前記本体部の外周縁に沿って形成され、前記キャップが前記嵌合部に装着され且つ前記ノズルが格納位置へ後退した状態で、前記ノズルの前端外周縁と前記進退口の開口縁との間の隙間を塞ぐフランジ部とを備えて構成されていることを特徴とする局部洗浄装置。
【請求項2】
前記キャップが前記嵌合部に装着され且つ前記ノズルが格納位置へ後退した状態では、前記フランジ部の前面における外周縁が、前記ハウジングの前面に対してほぼ面一状に連なるような形態とされていることを特徴とする請求項1記載の局部洗浄装置。
【請求項3】
前記フランジ部の後面における外周縁部と、前記ハウジングの前面における前記進退口の開口縁部には、前記ノズルの進退方向に対して傾斜し、且つ互いに密着可能なテーパ面が形成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の局部洗浄装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−117314(P2012−117314A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−269493(P2010−269493)
【出願日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【出願人】(302045705)株式会社LIXIL (949)
【Fターム(参考)】