説明

屋外に設置する電子機器の換気装置

【課題】雨水の進入を防止でき、メンテナンスにかかる作業負担を低減できる、屋外に設置するタイプの電子機器に対応した換気装置を提供することを課題とする。
【解決手段】屋外に設置する電子機器の筐体に形成された開口部に対向して筐体の外側に隙間を有して近接して配置されたカバー部材と、このカバー部材と筐体との間の隙間に配置され開口部の周囲に取り付けられた防水壁と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、屋外に設置する電子機器の換気装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、屋外に設置する電子機器として、例えば、寒冷地の道路に凍結防止のための水を撒くポンプの動作を制御する制御盤が知られている。この種の制御盤は、内部に精密機器を収容配置しており、雨水の浸入を防ぐため、筐体を密閉する必要がある。反面、夏場の暑い時期に筐体内の温度を一定温度以下に保つように、筐体内の空気を換気する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平3−106796号公報
【特許文献2】特開2000−295721号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、筐体に開口部を設けて換気装置を取り付けると、強風によって吹き上げられた雨水などが開口部から筐体内に浸入して、筐体内に収容した電子機器の故障の原因となる。或いは、筐体内に進入した水分によって錆びを生じる場合がある。このような不具合は、換気のため筐体に設けた全ての開口部で発生する。
【0005】
特に、冬場は、筐体内に進入した水蒸気が結露してしまう不具合を防止するため、開口部を塞ぐ運用がされている。この場合、開口部に取り付けた換気のためのファンなどを取り外して、代りに、開口部に蓋を取り付ける必要があり、メンテナンス作業に手間がかかる。
【0006】
特に、ダクトとして機能する比較的大きな屋根を筐体の上に取り付けたタイプの制御盤では、筐体の上壁に形成したダクトにつながる開口部にファンを取り付けているため、ファンを取り外すためには、屋根を取り外してからファンを取り外す必要があり、作業負担が極めて大きくなる。
【0007】
よって、雨水の進入を防止でき、メンテナンスにかかる作業負担を低減できる、屋外に設置するタイプの電子機器に対応した換気装置の開発が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
実施形態に係る換気装置は、屋外に設置する電子機器の筐体に形成された開口部に対向して筐体の外側に隙間を有して近接して配置されたカバー部材と、このカバー部材と筐体との間の隙間に配置され開口部の周囲に取り付けられた防水壁と、を有する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は、参考例に係る制御盤の構造を説明するための概略図である。
【図2】図2は、第1の実施形態に係る制御盤の換気装置について説明するための概略図である。
【図3】図3は、図2の制御盤に組み込まれた塞ぎ板の構造を説明するための概略斜視図である。
【図4】図4は、図2の換気装置の防水枠を示す概略斜視図である。
【図5】図5は、図4の防水枠を開閉扉に取り付けた状態を示す外観斜視図である。
【図6】図6は、図2の制御盤の上壁に設けられた筒部材を示す部分拡大斜視図である。
【図7】図7は、第2の実施形態に係る制御盤の換気装置について説明するための概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の実施形態について説明する前に、図1を参照して、参考例として、屋外に設置する一般的な制御盤100について説明する。例えば、この制御盤100は、道路に水を撒くポンプの動作を制御するため屋外に設置される監視装置である。
【0011】
この制御盤100は、地面に設置する扁平な矩形ブロック状のチャンネルベース101、このチャンネルベース101上に取り付けられた四角筒状の筐体102、およびこの筐体102の上面を塞ぐように取り付けられた内部が空洞にされたダクトのような屋根103を有する。
【0012】
チャンネルベース101と筐体102の下端面との間にある底壁104には、筐体102内に空気を流入するための開口部105が設けられている。そして、この開口部105の筐体102側には、流入する空気を通すフィルター106が取り付けられている。また、チャンネルベース101の前壁101aには、チャンネルベース101内に外気を取り入れるための開口部101bが形成されている。
【0013】
しかして、チャンネルベース101の前壁101aに形成された開口部101bを介して、外気がチャンネルベース101内に流入し、筐体102の底壁104に設けられた開口部105を介して、筐体102内に空気が流入する。このとき、外気に含まれる粉塵などが、フィルター106でトラップされる。空気の流れは、図中矢印で示す。
【0014】
一方、筐体102の上端に載置した屋根103の庇107の下面107aには、屋根103の内部を通り抜けた空気を排気するための開口部103aが設けられている。開口部103aの内側には、開口部103aを介して粉塵などが屋根103内部に入り込むことを防止するためのフィルター108が取り付けられている。
【0015】
また、筐体102と屋根103との間にある底壁103bには、換気のためのファン110を取り付けるための開口部109が形成されている。ファン110は、開口部109を底壁103bの下面側から塞ぐように取り付けられた取付板111に取り付けられている。
【0016】
しかして、ファン110を回転することにより、上述したようにチャンネルベース101を介して筐体102内に流入した空気は、開口部109を介して屋根103内部に流入し、フィルター108を介して開口部103aから排気される。
【0017】
制御盤100は、屋外に設置されるため、上述した換気のための構造の他に、複数枚の遮光板112(112a、112b)、113を備えている。これら遮光板112、113は、太陽光の照射によって筐体102が加熱されることを抑制し、筐体102内の温度上昇を抑えるように機能する。
【0018】
遮光板112aは、筐体102の前面に設けた開閉扉114に一定の隙間を介して対向して配置され、遮光板112bは、筐体102の背面に一定の隙間を介して対向して配置され、遮光板113は、屋根103の傾斜した上面に一定の隙間を介して対向して配置されている。なお、ここでは図示しないが、筐体102の残りの側壁にも遮光板が取り付けられても良い。また、各遮光板112、113の取付構造について、ここでは説明を省略する。
【0019】
上記構造を有する制御盤100は、ファン110を回すことによって、図1に矢印で示した空気の流れを作って筐体102内部を換気し、且つ複数枚の遮光板112、113によって、太陽光の照射による筐体102の温度上昇を抑えることで、筐体102内の温度を一定温度以下に保っている。
【0020】
しかし、この参考例の制御盤100では、換気のためチャンネルベース101の前壁101aに形成した開口部101bを介して雨水が流入したり、屋根103の庇107に形成した開口部103aを介して雨水が屋根103内に吹き込んだりしてしまう。
【0021】
チャンネルベース101内に流入した雨水は、湿気として、筐体102の底壁104の開口部105を介して筐体102内に入り込む。また、屋根103の庇107の開口部103aを介して屋根103内に吹き込んだ雨水は、屋根103の底壁103bを伝って開口部109から筐体102内に流入する。
【0022】
このように、筐体102内に水分が入り込むと、筐体102内に収容配置した図示しない電子機器の故障の原因となったり、筐体102内で錆びを生じたりしてしまう。特に、寒い時期には、筐体102内に入り込んだ湿気が結露してしまう。
【0023】
このため、気温があまり上がらない冬季などの寒い時期には、筐体102内に水分が入り込まないようにするため、筐体102の開口部を塞ぐ運用がなされている。この場合、例えば、筐体102上に取り付けられている屋根103を一旦取り外して、開口部109に取り付けられたファン110を備えた取付板111を取り外し、代りに開口部109を塞ぐ図示しない塞ぎ板を取り付け、最後に、屋根103を再び取り付ける作業が必要となる。
【0024】
よって、上述した参考例の制御盤100は、防水対策が十分とは言えず、且つ、冬季に筐体102の開口部を塞ぐための作業負担も大きかった。
【0025】
図2には、第1の実施形態に係る制御盤10の概略図を示してある。この制御盤10は、基本的には、上述した参考例の制御盤100と同様に機能するものである。
【0026】
本実施形態の制御盤10は、地面に設置する扁平な矩形ブロック状のベース部材1、このベース部材1の上に取り付けられた矩形筒状の筐体2、および筐体2の上壁2aの上方に離間して配置された遮光板としても機能する板状の屋根3を有する。
【0027】
筐体2の前面2b(図中左側の面)には、筐体2内に収容配置された電子機器にアクセスするための矩形板状の開閉扉4が取り付けられている。開閉扉4の前方には、隙間S1を介して遮光板5が取り付けられている。また、筐体2の背面2c側にも、隙間を介して遮光板6が取り付けられている。本実施形態でも、筐体2の残りの側壁に対向して遮光板(図示せず)を取り付けても良い。
【0028】
この制御盤10の換気装置は、開閉扉4および筐体2の上壁2aに取り付けられている。つまり、本実施形態では、筐体2内を換気する空気を流通させるための開口部が、開閉扉4および筐体2の上壁2aにそれぞれ設けられている。
【0029】
開閉扉4の開口部4aは、地面より少なくともベース部材1の分だけ高い位置に設けられている。開口部4aには、複数枚の細長い傾斜板4b(以下、ルーバー4bと称する)が横方向に延びて設けられている。各ルーバー4bは、開口部4aを水平方向に横切るように互いに上下に離間して設けられており、開口部4aから遮光板5に向けて下方に傾斜して設けられている。なお、各ルーバー4bの開口部4aから離間した先端は、遮光板5に接触することなく離間している。
【0030】
これら複数枚のルーバー4bは、開口部4aを塞ぐことなく空気の流通を許容するとともに、隙間S1を介して開口部4aの上方から吹き込む雨水を遮るように機能する。つまり、隙間S1を介して上方から吹き込んだ雨水は、各ルーバー4bの傾斜した外面に当たって流れ落ち、開口部4aを介して筐体2内に侵入することが防止される。
【0031】
開口部4aに対向する開閉扉4の内側には、図3に示す矩形の開口板7が貼り付けられている。この開口板7は、ルーバー4bの間の開口部にそれぞれ対向する横長の複数の開口部7aを有する。つまり、開口板7に形成された複数の開口部7aが実質的に空気を通す開口部となる。
【0032】
開口板7のさらに内側には、上下にスライドすることで、開口板7の複数の開口部7aを開閉する塞ぎ板8が取り付けられている。塞ぎ板8は、開位置にスライドされた状態で、開口板7の各開口部7aに対向する複数の開口部8aを有する。言い換えると、塞ぎ板8を開位置からわずかにずれた閉位置にスライドさせることで、開口板7の全ての開口部7bが塞がれる。
【0033】
塞ぎ板8のさらに内側には、その複数の開口部8aを覆うように、フィルター9が取り付けられている。つまり、このフィルター9は、開口板7の複数の開口部7aを介して筐体2内に流入する外気に含まれる粉塵をトラップするよう機能する。
【0034】
また、塞ぎ板8は、開口板7の4つのねじ孔7bにそれぞれ挿通されるボルト11を通すL字形の4つのねじ孔8bを有する。各ねじ孔8bの上下に延びた孔部分は、ボルト11を挿通した状態のまま塞ぎ板8を上下にスライド可能とするために設けられており、各ねじ孔8bの横方向に延びた孔部分は閉位置に移動した塞ぎ板8を固定するために設けられている。つまり、ボルト11が横孔部分を通る高さに塞ぎ板8をスライドさせた状態で開口板7の全ての開口部7bが塞がれることになる。
【0035】
具体的には、塞ぎ板8を上方にスライドさせて開位置に配置した状態で、開口板7の全ての開口部7bと塞ぎ板8の全ての開口部8bが重なり、開閉扉4の開口部4aを介して空気の流通が可能となる。なお、塞ぎ板8をこの開位置に固定する場合、ボルト11に螺合した蝶ナット12を締めて塞ぎ板8を開口板7に締結固定すれば良い。
【0036】
また、塞ぎ板8を下方にスライドさせてさらに横にスライドさせ、塞ぎ板8を閉位置に配置した状態で、開口板7の全ての開口部7bが塞がれて空気の流通が遮断され、蝶ナット12を締めることで、塞ぎ板8が閉位置に固定される。塞ぎ板8のL字形のねじ孔8bの作用により、蝶ナット12による締結が緩んだ場合であっても、開閉扉4の外側から塞ぎ板8が上下にスライドされることはなく、いたずらなどにより塞ぎ板8が外部から開かれる心配はない。
【0037】
さらに、開閉扉4の外面と遮光板5との間の隙間S1には、防水壁として機能する、図4に示すようなコ字状の防水枠13が配設されている。防水枠13は、図5に示すように開閉扉4の外側に取り付けられる。
【0038】
防水枠13は、開閉扉4の開口部4aの下端に沿って横方向に延設された細長い傾斜板部13a、およびこの傾斜板部13aの両端からそれぞれ上方に略直角に折れ曲がって延びた2つの側板部13bを有する。傾斜板部13aおよび2つの側板部13bは、1枚の金属板を折り曲げて一体に形成されている。
【0039】
傾斜板部13aは、開閉扉4の外面から遮光板5に向けて下方に傾斜して開閉扉4の外面に取り付けられている。また、2つの側板部13bは、開閉扉4の開口部4aの縦方向に延びた側辺部に沿って取り付けられている。2つの側板部13bの上端は、開口部4aの上端を越えて延びている。
【0040】
つまり、傾斜板部13aは、隙間S1を介して下方から吹き上げられた雨水が開口部4aに流入するのを防止するよう機能し、2つの側板部13bは、開口部4aの横方向から雨水が吹き込むことを防止するよう機能する。すなわち、この防水枠13は、上述した複数枚のルーバー4bと共同して、開閉扉4の開口部4aを介して雨水が筐体2内に浸入することを防止するよう機能する。
【0041】
特に、傾斜板部13aは、開閉扉4の外面から下方に傾斜しているため、下方から吹き上がった雨水が傾斜板部13aの傾斜した下面に当たって流れ落ち、開口部4aを介して筐体2内に流入することが防止される。なお、防水枠13と遮光板5との間にもわずかな隙間が形成されており、防水枠13によって開閉扉4の開口部4aが密閉されることはない。
【0042】
言い換えると、図中矢印で示すように、隙間S1の下方から流入した外気は、防水枠13の傾斜板部13aの端辺と遮光板5との間のわずかな隙間を通ってルーバー4bの間から開口部4aを介して筐体2内に流れ込む。
【0043】
一方、筐体2の上壁2aには、開口部2dが設けられている。この開口部2dの周囲で屋根3との間の隙間S2には、図6に示すように、防水壁として機能する矩形枠状の筒部材14が取り付けられている。筒部材14の上端縁部は、外側に折れ曲がってフランジ部を形成し、屋根3に接触することなく屋根3との間にわずかな隙間を有する。
【0044】
筒部材14の中には、換気扇15(以下、ファン15と称する)が配設されている。また、開口部2dの筐体2側には、上述した開口板7と同様に機能する開口板17、塞ぎ板8と同様に機能する塞ぎ板18、およびフィルター9と同様に機能するフィルター19がこの順序で取り付けられている。これら開口板17、塞ぎ板18、およびフィルター19は、上述した開口板7、塞ぎ板8、およびフィルター9と同様に機能するため、ここではその詳細な説明を省略する。
【0045】
本実施形態の制御盤10は、筐体2の上壁2aから上方に離間した屋根3を有するため、開口部2dを通って筐体2から排気された空気は、図示矢印のように、屋根3と上壁2aとの間の隙間S2を通って流出される。逆に、本実施形体の制御盤10は、屋根3の庇の下から雨水が吹き込む構造となっている。
【0046】
しかし、筐体2の上壁2aに形成された開口部2dの周囲には、筒部材14が立設されているため、隙間S2内に吹き込んだ雨水が開口部2dを介して筐体2内に流入する心配は無い。特に、筒部材14の上壁2aから離間した上端縁部が外側に折れ曲がっているため、筒部材14の外面に雨水が強く吹き付けられたとしても、筒部材14の外面に沿って上昇した雨水はフランジ部で折り返されて下方に流れ落ちる。
【0047】
以上のように、本実施形態の制御盤10は、ファン15を回すことで図2に矢印で示す方向に沿って筐体2内を空気が流通し、筐体2内が十分に換気される。
【0048】
開閉扉4の開口部4aには、複数枚のルーバー4bが設けられているとともに防水枠13が開口部4aの周囲に取り付けられているため、開口部4aを介して筐体2内に雨水が吹き込む心配はない。特に、この場合、遮光板5がカバー部材として機能し、開口部4aに隙間S1を介して近接して対向しているため、開口部4aに吹き付けられる雨水自体もほとんど無く、風の強いときにだけ上述したルーバー4bや防水枠13が機能することになる。言い換えると、開口部4aの周囲に設けた防水枠13は、遮光板5やルーバー4bと組み合わせることでより効果を発揮する。
【0049】
同様に、筐体2の上壁2aに形成した開口部2dの周囲には、筒部材14を設けたため、開口部2dを介して雨水が筐体2内に浸入する心配はない。特に、筒部材14の上壁2aから離間した上端縁部にフランジ部14aを設けたため、雨水が筒部材14の外面に沿って吹き上がった場合であっても、開口部2dに雨水が入る心配はない。この場合においても、遮光板として機能する屋根3が隙間S2を介して上壁2aに対向するカバー部材として機能し、開口部2dに直接吹き込む雨が殆ど遮られる。このため、筒部材14も、屋根3と共同して十分な防水機能を果たすことができる。
【0050】
また、本実施形態によると、開閉扉4の開口部4aおよび筐体2の上壁2aの開口部2dそれぞれに、開口部を開閉するための塞ぎ板8、18を設けたため、筐体2の開口部4a、2dを容易に開閉でき、メンテナンスを容易にできる。なお、開閉扉4に設けた塞ぎ板8は、開閉扉4を開けた状態で容易に操作することができ、上壁2aに設けた塞ぎ板18も、開閉扉4を開けた状態で筐体2内に手を差し入れることで、容易に開閉操作が可能である。
【0051】
特に、上壁2aに形成した開口部2dに設けた塞ぎ板18は、筒部材14内に取り付けたファン15を取り外すことなく開閉させることができ、冬季に開口部を塞ぐ作業を容易にでき、メンテナンスを容易にできる。
【0052】
図7には、第2の実施形態に係る制御盤20の概略図を示してある。この制御盤20も、基本的には、上述した参考例の制御盤100や第1の実施形態の制御盤10と同様に機能するものである。
【0053】
本実施形態の制御盤20は、開閉扉4に対向する遮光板5および筐体2の背面に対向する遮光板6を持たず、且つ、開閉扉4の換気構造が異なる以外、上述した第1の実施形態の制御盤10と同様の構造を有する。よって、ここでは、上述した第1の実施形態と同様に機能する構成要素には、同一符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0054】
開閉扉4の開口部4aには、上述した第1の実施形態と同様の複数枚のルーバー4bが取り付けられている。本実施形態の制御盤20は、開閉扉4に対向するカバー部材として機能する遮光板5を持たないため、雨水はルーバー4bに直接吹き付けられる。比較的上方から開閉扉4に吹き付けられる雨は、下方に傾斜したルーバー4bによって遮られて、開口部4aにはあまり入らないが、遮光板5が無い分、開口部4aに向けて真っ直ぐ横から吹き付ける雨や下方から吹き上げられる雨は開口部4aに入り易い。
【0055】
このため、本実施形態では、遮光板5を省略した代りに、開口部4aの内側、すなわち開閉扉4の内側に、防水箱22を設置した。この防水箱22は、上端面に開口部22aを有する以外は、水を通さないように密閉された構造を有する。また、防水箱22の上端に設けた開口部22aも、開閉扉4の開口部4aの上端縁より上方に位置しており、開閉扉4の開口部4aを介して雨水が防水箱22内に流入したとしても、防水箱22の上端にある開口部22aに雨水が到達することはない。
【0056】
さらに、防水箱22の下端面22bは、開閉扉4の開口部4aに向けて下方に傾斜している。このため、防水箱22内に流入した雨水は、防水箱22内に溜まることなく開口部4aの下端縁から筐体2の外へ流出する。
【0057】
なお、防水箱22の開口部22aにも、上述した第1の実施形体と同様に、開口部22aを開閉するための塞ぎ板28およびフィルター29が設けられている。本実施形態では、開口板を省略したが、防水箱22の開口部22aが第1の実施形態の開口板7と同様の複数の開口部7a(図3参照)を有していれば良い。いずれにしても、これら塞ぎ板28およびフィルター29は、第1の実施形態の塞ぎ板8およびフィルター9と同様の構造を有するため、ここでも、その詳細な説明を省略する。
【0058】
以上のように、本実施形態によると、上述した第1の実施形態と同様の効果を奏することができることに加え、遮光板5を省略することができ、制御盤20の製造コストを比較的安価にできる。また、本実施形態によると、開閉扉4に対向する遮光板5を省略したことに加え、第1の実施形態のように隙間S1に配置した防水枠13も省略できるため、制御盤20のサイズを小さくすることができ、重量も比較的軽量にできる。
【0059】
以上述べた第1の実施形態の換気装置によれば、筐体の開口部の外側に近接対向してカバー部材(遮光板)を設け、且つ開口部の周囲に防水壁を設けたため、開口部を介して雨水が筐体内に流入する心配がない。また、筐体の上壁に形成した開口部に設けた塞ぎ板は、ファンを取り外すことなく開閉が可能である。
【0060】
また、第2の実施形態の換気装置によれば、開口部に対向するカバー部材の代わりに、開口部の内側に防水箱を設置したため、その分、装置構成を簡略化でき、装置の製造コストを低減でき、装置の重量を軽量化できる。
【0061】
いくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【0062】
例えば、上述した実施形態では、道路に水を撒くポンプの動作を制御する制御盤に本発明を適用した場合について説明したが、これに限らず、屋外に設置する自動販売機などの他の電子機器に本発明を適用しても良い。
【符号の説明】
【0063】
2…筐体、3…屋根、4…開閉扉、5…遮光板、7…開口板、8…塞ぎ板、9…フィルター、10…制御盤、13…防水枠、14…筒部材、15…ファン。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
屋外に設置する電子機器の筐体に形成された開口部に対向して上記筐体の外側に隙間を有して近接して配置されたカバー部材と、
このカバー部材と上記筐体との間の上記隙間に配置され、上記開口部の周囲に取り付けられた防水壁と、
を有する換気装置。
【請求項2】
上記開口部を介して空気を流通させるための換気扇をさらに有する請求項1の換気装置。
【請求項3】
上記防水壁は、上記開口部への水の浸入を防止するため上記開口部の周囲から上記カバー部材に向けて上記開口部を広げる方向に傾斜している請求項1の換気装置。
【請求項4】
上記防水壁は、上記開口部への水の浸入を防止するため上記カバー部材に近い端縁に上記開口部を広げる方向に折り曲げられたフランジ部を有する請求項1の換気装置。
【請求項5】
上記開口部は、上記筐体の側部にある開閉扉に設けられており、上記防水壁は、上記開口部の下端縁に沿って取り付けられている請求項1の換気装置。
【請求項6】
上記防水壁は、上記開口部の両側端縁に沿って延びている請求項5の換気装置。
【請求項7】
上記開口部は、上記筐体の上壁に形成されており、上記防水壁は、上記開口部の全周を囲む筒状に設けられている請求項1の換気装置。
【請求項8】
上記筐体の内側に配置され、上記開口部を開閉する塞ぎ板をさらに有する請求項1の換気装置。
【請求項9】
上記筐体の内側に配置され、上記開口部に対向して取り付けられたフィルターをさらに有する請求項1の換気装置。
【請求項10】
屋外に設置する電子機器の筐体の側部にある開閉扉に形成された開口部に対向して該開閉扉の内側に設けられた防水箱と、
この防水箱の上端面に形成された開口部と、
を有する換気装置。
【請求項11】
上記防水箱の開口部は、上記開閉扉の開口部の上端縁部より上方にある請求項10の換気装置。
【請求項12】
上記防水箱の下端面は、上記開閉扉の開口部に向けて下方に傾斜している請求項10の換気装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2013−62425(P2013−62425A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−200668(P2011−200668)
【出願日】平成23年9月14日(2011.9.14)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】