説明

屋根パネルの補強方法および補強構造

【課題】屋根パネルの補強を確実に行うことができるとともに、良好な屋根面の状態を保持することが可能な屋根パネルの補強方法および補強構造を提供することを目的とする。
【解決手段】枠体11と、複数の枠部12…と、面材13とを備える既存の屋根パネル10の上面にレール材1を固定する際に、面材13Aを刳り抜き加工することによって開口部13bを形成し、補強体14を枠部12…の内周面に沿って固定し、塞ぎ面材13cを、開口部13bに嵌め込んで該開口部13bを閉塞するとともに、補強体14の上面に載置固定する。これにより、屋根パネルの枠部内の空洞部に補強体を入れて固定することができ、塞ぎ面材によって開口部を閉塞することが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所定角度に傾斜するように配置されて建物の屋根を構成する既存の屋根パネルの補強方法および補強構造に関する。
【背景技術】
【0002】
プレハブ住宅を施工する方法の一つとして、壁や床、屋根等をパネル化したものを用いて施工するパネル工法が知られている。このパネル工法は、予め工場等において木製の枠材を枠組することにより枠体を形成し、該枠体の少なくとも一面に合板等の面材を貼設することにより床パネル、壁パネル、屋根パネル等を製造し、建築現場にてこれらのパネルを組み付けていくことにより建物を構築する方法である。
このパネル工法により屋根パネルを施工する場合は、壁パネル、床パネル等を組み付けて構築された躯体上の屋根となる部位に、屋根パネルを順序よく敷き込み、躯体に連結している。
【0003】
ところで、太陽エネルギーを有効利用するため、上述のような屋根パネルで構成された屋根面上に太陽光発電システムを設置する場合がある(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1の技術では、長尺なレール材を、棟方向に隣接する屋根パネルのジョイント部に沿って取り付けるとともに、棟方向に隣り合う一対のレール材間に太陽電池モジュールを架設することによって、屋根面上に太陽光発電システムを設置している。
すなわち、棟方向に隣接する屋根パネルのジョイント部が最も支持強度が高いことから、このようにレール材を棟方向に隣り合う屋根パネルのジョイント部に沿って取り付けるようにして屋根面上に太陽光発電システムを設置すれば、複数のレール材や複数の太陽電池モジュールを備え、重量のある太陽光発電システムを十分に支持できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−331366号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、例えばリフォーム時などに屋根パネルで構成された屋根面上に太陽光発電システムを設置する場合において、太陽光発電システムの荷重を支えるために屋根の補強が必要とされる場合がある。
この場合において屋根面上に補強材を設けることが考えられるが、このようにすると、屋根面上に段差が生じてしまい好ましくない。一方、屋根面下に補強材を設けることも考えられるが、狭い屋根裏空間での作業が要求されることになり好ましくない。
【0006】
本発明の課題は、屋根パネルの補強を確実に行うことができるとともに、良好な屋根面の状態を保持することが可能な屋根パネルの補強方法および補強構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の発明は、例えば図1〜図9に示すように、縦横の芯材11a,11b(21a,21b)を矩形枠状に組み立てるとともに、この矩形枠の内部に補助芯材11c,11d(21c,21d)を縦横に組み付けて形成された枠体11(21)と、この枠体11(21)の上面に設けられる面材13A(23A)とを備え、所定角度に傾斜するように配置されて建物の屋根を構成する既存の屋根パネル10(20)の補強方法であって、
前記面材13Aを、芯材11a,11b(21a,21b)と補助芯材11c,11d(21c,21d)とで形成される枠部12…(22…)の内周面に沿うように刳り抜き加工することによって開口部13b(23b)を形成し、
次に、補強芯材14a,14b,14c(24a,24b,24c)を枠状に組み立ててなる補強体14(24)を、この補強体14(24)の上面が前記枠体11(21)の上面と面一となるようにして前記枠部12…(22…)の内周面に沿って固定し、
次に、前記開口部13b(23b)の開口形状と略等しい外形形状に設定されるとともに、上面が、前記面材13A(23A)の上面と面一になるように設定された塞ぎ面材13c(23c)を、前記開口部13b(23b)に嵌め込んで該開口部13b(23b)を閉塞するとともに、前記補強体14(24)の上面に載置固定することを特徴とする。
【0008】
請求項1に記載の発明によれば、前記面材13Aを、芯材11a,11b(21a,21b)と補助芯材11c,11d(21c,21d)とで形成される枠部12…(22…)の内周面に沿うように刳り抜き加工することによって開口部13b(23b)を形成することで、この面材13A(23A)を枠状に形成することができ、前記枠部12…(22…)内の空洞部を上方に開放させることができる。したがって、この開口部13b(23b)から前記補強体14(24)を、前記空洞部に入れることができる。
そして、このように空洞部に前記補強体14(24)を入れることができ、この補強体14(24)を、前記枠部12…(22…)の内周面に沿って固定するので、この補強体14(24)によって前記枠部12…(22…)を補強することができ、延いては、屋根パネル10(20)を補強することができる。これによって、この屋根パネル10(20)上に設置される太陽光発電システムの荷重を確実に支えることができる。
また、前記補強体14(24)を、この補強体14(24)の上面が前記枠体11(21)の上面と面一となるようにして前記枠部12…(22…)の内周面に沿って固定し、前記塞ぎ面材13c(23c)を、前記開口部13b(23b)に嵌め込んで該開口部13b(23b)を閉塞するとともに、前記補強体14(24)の上面に載置固定するので、この塞ぎ面材13c(23c)によって、前記屋根パネル10(20)の上面に隙間や段差がない状態で前記開口部13b(23b)を閉塞することができ、前記レール材1が固定される屋根面の状態を、補強前の状態と比較しても遜色がない良好なものとすることができる。
【0009】
請求項2に記載の発明は、例えば図1〜図9に示すように、所定角度に傾斜するように配置されて建物の屋根を構成するとともに、上面に、傾斜方向に沿って長尺なレール材1が固定される既存の屋根パネル10(20)を補強してなる屋根パネル10(20)の補強構造であって、
前記屋根パネル10(20)は、縦横の芯材11a,11b(21a,21b)を矩形枠状に組み立てるとともに、この矩形枠の内部に補助芯材11c,11d(21c,21d)を縦横に組み付けて形成された枠体11(21)と、
前記芯材11a,11b(21a,21b)と補助芯材11c,11d(21c,21d)とで形成される複数の枠部12…(22…)と、
前記枠体11(21)の上面に設けられるとともに野地板となる面材13(23)とを備えており、
前記複数の枠部12…(22…)のうち、前記レール材1が上方を通過する部分の枠部12…(22…)の内周面に沿って、複数の補強芯材14a,14b,14c(24a,24b,24c)によって枠状に組み立てられるとともに、上面が、前記枠体11(21)の上面と面一となる補強体14(24)が固定されており、
この補強体14(24)を構成する複数の補強芯材14a,14b,14c(24a,24b,24c)のうち、少なくとも1本の補強芯材14aは、前記レール材1の直下に位置するとともに該レール材1の延在方向に沿って配置されており、
前記面材13(23)は、既存の屋根パネル10(20)を構成する既存の面材13A(23A)を、前記レール材1が上方を通過する部分のそれぞれの枠部12…(22…)の内周面に沿うように刳り抜き加工することによって形成される開口部13b(23b)を具備する枠状部13a(23a)と、
この開口部13b(23b)の開口形状と略等しい外形形状に設定されるとともに、上面が、前記枠状部13a(23a)の上面と面一になるように設定され、前記開口部13b(23b)に嵌め込まれることで該開口部13b(23b)を閉塞する塞ぎ面材13c(23c)とを有しており、
この塞ぎ面材13c(23c)は、前記補強体14(24)の上面に載置固定されていることを特徴とする。
【0010】
請求項2に記載の発明によれば、前記面材13(23)は、既存の屋根パネル10(20)を構成する既存の面材13A(23A)を刳り抜き加工することによって形成される開口部13b(23b)を具備する枠状部13a(23a)を有しているので、前記枠部12…(22…)内の空洞部を上方に開放させることができる。したがって、この開口部13b(23b)から前記補強体14(24)を、前記空洞部に入れることができる。
そして、このように空洞部に前記補強体14(24)を入れることができ、この補強体14(24)が、前記枠部12…(22…)の内周面に沿って固定されるので、この補強体14(24)によって前記枠部12…(22…)を補強することができ、延いては、屋根パネル10(20)を補強することができる。すなわち、前記補強体14(24)によって、前記レール材1が上方を通過する部分の枠部12…(22…)を確実に補強することができ、特に、前記複数の補強芯材14a,14b,14c(24a,24b,24c)のうち、少なくとも1本の補強芯材14a(24a)を、前記レール材1の直下において該レール材1の延在方向に沿って配置するので、前記レール材1を屋根パネル10(20)上に確実に支持することができ、延いては屋根パネル10(20)上に設置される太陽光発電システムの荷重を確実に支えることができる。
また、前記補強体14(24)は、上面が、前記枠体11(21)の上面と面一となるように固定されており、前記開口部13b(23b)には、この開口部13b(23b)の開口形状と略等しい外形形状に設定されるとともに、上面が、前記枠状部13a(23a)の上面と面一になるように設定された塞ぎ面材13c(23c)が嵌め込まれ、さらに、前記補強体14(24)の上面に載置固定されているので、この塞ぎ面材13c(23c)によって、前記屋根パネル10(20)の上面に隙間や段差がない状態で前記開口部13b(23b)を閉塞することができ、前記レール材1が固定される屋根面の状態を、補強前の状態と比較しても遜色がない良好なものとすることができる。
【0011】
請求項3に記載の発明は、例えば図1〜図4に示すように、請求項2に記載の屋根パネル10の補強構造において、
前記レール材1は、前記屋根パネル10の面材13の上面に、前記屋根パネル10の傾斜方向に沿って配置されるとともに前記枠体11を構成する縦方向の補助芯材11cの上方に位置するようにして配置されており、
前記複数の枠部12…は、前記縦方向の補助芯材11cの両側に、この縦方向の補助芯材11cの長さ方向に沿ってそれぞれ並設されており、
前記レール材1の直下に位置するとともに該レール材1の延在方向に沿って配置される少なくとも1本の補強芯材14aは、前記縦方向の補助芯材11cの両側面に固定されていることを特徴とする。
【0012】
請求項3に記載の発明によれば、前記複数の枠部12…は、前記縦方向の補助芯材11cの両側に、この縦方向の補助芯材11cの長さ方向に沿ってそれぞれ並設されており、前記レール材1の直下に位置するとともに該レール材1の延在方向に沿って配置される少なくとも1本の補強芯材14aは、前記縦方向の補助芯材11cの両側面に固定されているので、前記レール材1を前記縦方向の補助芯材11cの上方に位置するようにして配置する際に、このレール材1を、前記縦方向の補助芯材11cの両側面に固定された補強芯材14aの上方にも配置することができる。
これによって、この補強芯材14aによって前記レール材1を屋根パネル10上に、より確実に支持することができ、さらに、例えば止着材等によって、前記レール材1を前記補強芯材14aに固定することができる。
【0013】
請求項4に記載の発明は、例えば図1〜図4に示すように、請求項3に記載の屋根パネル10の補強構造において、
前記補強体14を構成し、前記レール材1の直下に位置するとともに該レール材1の延在方向に沿って配置される少なくとも1本の補強芯材14aを含む複数の補強芯材14a,14b,14cは、それぞれ個別に前記枠部12…の内周面に沿って固定されていることを特徴とする。
【0014】
請求項4に記載の発明によれば、前記補強体14を構成し、前記レール材1の直下に位置するとともに該レール材1の延在方向に沿って配置される少なくとも1本の補強芯材14aを含む複数の補強芯材14a,14b,14cは、それぞれ個別に前記枠部12…の内周面に沿って固定されているので、例えば経年変化した屋根パネル10であっても、前記複数の補強芯材14a,14b,14cを前記枠部12…に対して確実に固定できる。これによって、この補強体14によって前記枠部12…、延いては屋根パネル10を確実に補強することができる。
【0015】
請求項5に記載の発明は、例えば図5〜図9に示すように、請求項2に記載の屋根パネル20の補強構造において、
前記レール材1は、前記屋根パネル20の面材23の上面に、前記屋根パネル20の傾斜方向に沿って配置されるとともに前記枠体21を構成する縦方向の芯材21aと補助芯材21cとの間の空洞部の上方に位置するようにして配置されており、
前記レール材1の直下に位置するとともに該レール材1の延在方向に沿って配置される少なくとも1本の補強芯材24aは、前記補強体24を構成する補強芯材24a,24b,24cのうち、前記枠体21を構成する横方向の芯材21bおよび補助芯材21dに沿ってそれぞれ固定されるとともに互いに対向する横方向の補強芯材24c,24c間に架設されていることを特徴とする。
【0016】
請求項5に記載の発明によれば、前記レール材1の直下に位置するとともに該レール材1の延在方向に沿って配置される少なくとも1本の補強芯材24aは、前記枠体21を構成する横方向の芯材21bおよび補助芯材21dに沿ってそれぞれ固定されるとともに互いに対向する横方向の補強芯材24c,24c間に架設されているので、前記レール材1を、前記枠体21を構成する縦方向の芯材21aと補助芯材21cとの間の空洞部の上方に位置するようにして配置する際に、このレール材1を、前記少なくとも1本の補強芯材24aの上方に配置することができる。
これによって、この補強芯材24aによって前記レール材1を屋根パネル20上に、より確実に支持することができ、さらに、例えば止着材等によって、前記レール材1を前記補強芯材24aに固定することができる。
【0017】
請求項6に記載の発明は、例えば図5〜図9に示すように、請求項5に記載の屋根パネル20の補強構造において、
前記レール材1の直下に位置するとともに該レール材1の延在方向に沿って配置される補強芯材24aは複数本であり、これら複数本の補強芯材24a,24aの向かい合う側面同士が互いに接合されていることを特徴とする。
【0018】
請求項6に記載の発明によれば、前記レール材1の直下に位置するとともに該レール材1の延在方向に沿って配置される補強芯材24aは複数本であり、これら複数本の補強芯材24a,24aの向かい合う側面同士が互いに接合されているので、前記レール材1の直下に位置するとともに該レール材1の延在方向に沿って配置される補強芯材24aの強化を図ることができる。
これによって、前記レール材1を、前記枠体21を構成する縦方向の芯材21aと補助芯材21cとの間の空洞部の上方に位置するようにして配置する場合であっても、この補強芯材24a,24aによって、前記レール材1をさらに確実に支持することができる。
【0019】
請求項7に記載の発明は、例えば図5〜図9に示すように、請求項6に記載の屋根パネル20の補強構造において、
前記補強体24を構成する複数の補強芯材24a,24b,24cのうち、前記レール材1の直下に位置するとともに該レール材1の延在方向に沿って配置される複数本の補強芯材24a,24aを除く複数の補強芯材24b,24cは、それぞれ個別に前記枠部22…の内周面に沿って固定されていることを特徴とする。
【0020】
請求項7に記載の発明によれば、前記補強体24を構成する複数の補強芯材24a,24b,24cのうち、前記レール材1の直下に位置するとともに該レール材1の延在方向に沿って配置される複数本の補強芯材24a,24aを除く複数の補強芯材24b,24cは、それぞれ個別に前記枠部22…の内周面に沿って固定されているので、例えば経年変化した屋根パネル20であっても、前記複数の補強芯材24b,24cを前記枠部22…に対して確実に固定できる。これによって、この補強体24によって前記枠部22…、延いては屋根パネル20を確実に補強することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、屋根パネルを構成する面材を、芯材と補助芯材とで形成される枠部の内周面に沿うように刳り抜き加工することによって開口部を形成することで、この面材を枠状に形成することができ、枠部内の空洞部を上方に開放させることができる。したがって、この開口部から補強体を空洞部に入れることができる。
そして、このように空洞部に補強体を入れることができ、この補強体を、枠部の内周面に沿って固定するので、この補強体によって枠部を補強することができ、延いては、屋根パネルを補強することができる。これによって、この屋根パネル上に設置される太陽光発電システムの荷重を確実に支えることができる。
また、補強体を、この補強体の上面が枠体の上面と面一となるようにして枠部の内周面に沿って固定し、塞ぎ面材を、開口部に嵌め込んで該開口部を閉塞するとともに、補強体の上面に載置固定するので、この塞ぎ面材によって、屋根パネルの上面に隙間や段差がない状態で開口部を閉塞することができ、レール材が固定される屋根面の状態を、補強前の状態と比較しても遜色がない良好なものとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の屋根パネルの補強方法の一例を示しており、施工手順の始めを示す概略図である。
【図2】図1に示す施工手順の後の施工手順を示す概略図である。
【図3】図2に示す施工手順の後の施工手順を示す概略図である。
【図4】本発明の屋根パネルの補強構造の一例を示す断面図である。
【図5】本発明の屋根パネルの補強方法の一例を示しており、施工手順の始めを示す概略図である。
【図6】図5に示す施工手順の後の施工手順を示す概略図である。
【図7】図6に示す施工手順の詳細を示す斜視図である。
【図8】図6に示す施工手順の後の施工手順を示す概略図である。
【図9】本発明の屋根パネルの補強構造の一例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
なお、以下の実施の形態で説明される建物の屋根は、壁パネル、床パネル等を組み付けて構築された建物躯体上の屋根となる部位に、屋根パネルを、所定角度に傾斜するように、かつ棟方向に沿って複数隣接するようにして順序良く敷き込み、建物躯体に連結することによって構成されている。
また、以下の実施の形態で説明される建物は木造建築であり、この建物の屋根を構成する屋根パネルも木製であるが、鉄骨造等の建物にも適用することができるものとする。
【0024】
(第1の実施の形態)
図4は本発明の屋根パネルの補強構造の一例を示す断面図である。
図4において符号1はレール材を示す。このレール材1は、屋根の傾斜方向に沿って長尺に形成されており、太陽電池モジュールを屋根上に設置するために用いられるものである。すなわち、図示はしないが、前記レール材1を、屋根面上に、屋根の棟方向に所定の間隔をあけて複数配置し、棟方向に隣り合う一対のレール材1,1間に前記太陽電池モジュールを架設することによって、屋根面上に太陽光発電システムを設置できるようになっている。
【0025】
そして、このレール材1は、前記太陽電池モジュールの側端部が取り付けられる本体部2と、この本体部2の下部に一体形成されるとともに該本体部2を屋根面上に支持する一対の支持部3,3とから構成されており、この支持部3,3は、屋根面に対して所定角度に傾斜し、レール材1を固定するための止着材4を挿通できる孔部が形成された傾斜部3a,3aを備えている。
【0026】
これら傾斜部3a,3aの角度は、これら傾斜部3a,3aの孔部に前記止着材4,4を挿通させる際に、この止着材4,4が互いに交差する方向に挿通できるような角度に設定されている。つまり、これら傾斜部3a,3aは、断面視においてハの字となるように設けられている。
【0027】
また、図4において符号10は屋根パネルを示す。この屋根パネル10は、縦横の芯材11a,11bを矩形枠状に組み立てるとともに、この矩形枠の内部に補助芯材11c,11dを縦横に組み付けて形成された枠体11と、この枠体11の前記芯材11a,11bと補助芯材11c,11dとで形成される複数の枠部12…と、この枠体11の上面に設けられるとともに野地板となる面材13とを備えている。
【0028】
前記枠体11は、図1〜図4に示すように、2本の縦芯材11a,11aと、2本の横芯材11b,11bと、前記2本の縦芯材11a,11aの中間に、かつ該2本の縦芯材11a,11aと平行に設けられる1本の縦方向の補助芯材11cと、前記2本の横芯材11b,11bの中間に、かつ該2本の横芯材11b,11bと平行に設けられる1本の横方向の補助芯材11dとによって、平面視略田の字状に形成されている。
【0029】
前記枠部12は、前記枠体11において前記芯材11a,11bと補助芯材11c,11dとからなる枠状の部分を指しており、これら芯材11a,11bと補助芯材11c,11dとを除く部分は、空洞部となっている。
この空洞部には、図示はしないが、通常は、グラスウールやロックウール等の断熱材が装填される。
【0030】
補強前の屋根パネル10の枠体11の上面には、図1(a)に示すように、既存の面材13Aが貼設されている。この既存の面材13Aは合板であり、前記縦芯材11aと横芯材11bとで組み立てられた矩形枠と縦横の寸法と略等しい寸法に設定されている。
ここで、前記面材13は、図1(a)〜図3(b)に示すように、前記既存の面材13Aを、前記レール材1が上方を通過する部分のそれぞれの枠部12…の内周面に沿うように刳り抜き加工することによって形成される開口部13bを具備する枠状部13aと、この開口部13bの開口形状と略等しい外形形状に設定されるとともに、上面が、前記枠状部13aの上面と面一になるように設定され、前記開口部13bに嵌め込まれることで該開口部13bを閉塞する塞ぎ面材13cとを有してなる。
【0031】
なお、本実施の形態において、前記レール材1は、図1(a)に示すように、前記屋根パネル10の面材13の上面に、前記屋根パネル10の傾斜方向に沿って配置されるとともに前記枠体11を構成する縦方向の補助芯材11cの上方に位置するようにして配置されている。
したがって、前記複数の枠部12…は、図1(b)および図2(a)に示すように、前記縦方向の補助芯材11cの両側に、この縦方向の補助芯材11cの長さ方向に沿ってそれぞれ並設されることになる。
これに伴って、前記枠状部13aは、前記レール材1が上方を通過する部分の各枠部12…上面の形状を象るようにして、平面視略田の字状に形成されることになる。
また、前記塞ぎ面材13cの必要枚数は、図3(a)に示すように、平面視略田の字状に形成された枠状部13aが具備する4つの開口部13bに嵌め込まれるため、4枚となる。
【0032】
そして、前記複数の枠部12…には、これら枠部12…の内周面に沿って、上面が、前記枠体11の上面と面一となる補強体14が固定されている。
この補強体14は、図2および図3に示すように、複数の補強芯材14a,14b,14cによって枠状に組み立てられている。
【0033】
また、これら複数の補強芯材14a,14b,14cのうち、少なくとも1本の補強芯材14aは、前記レール材1の直下に位置するとともに該レール材1の延在方向に沿って配置されている。
すなわち、この補強芯材14aは、前記縦方向の補助芯材11cの両側面に、この補助芯材11cの長さ方向に沿って固定されている。
【0034】
また、前記少なくとも1本の補強芯材14aを含む複数の補強芯材14a,14b,14cは、それぞれ個別に前記枠部12の内周面に沿って固定されている。
これによって、例えば経年変化した屋根パネル10であっても、前記複数の補強芯材14a,14b,14cを前記枠部12…に対して確実に固定できる。
【0035】
なお、前記複数の補強芯材14a,14b,14cのうち、前記縦芯材11aおよび縦方向の補助芯材11cと平行に設けられる補強芯材14a,14bは、これら補強芯材14a,14bが固定される部分の枠部12の内周面の長さと略等しい長さに設定されている。一方、これら補強芯材14a,14bと直交し、これら補強芯材14a,14bの両側端部間に架設されるようにして配置される補強芯材14c,14cは、補強芯材14a,14bの両側端部間の間隔と略等しい長さに設定されている。
【0036】
また、これら補強芯材14a,14b,14cの固定は、接着剤および止着材15によって行われている。
つまり、前記補強芯材14a,14b,14cと、前記芯材11a,11bおよび補助芯材11c,11dとがそれぞれ当接する当接面に接着剤を塗布してから、これら補強芯材14a,14b,14cと、前記芯材11a,11bおよび補助芯材11c,11dとを当接させ、その後、止着材15を打ち込んで、これら補強芯材14a,14b,14cと、前記芯材11a,11bおよび補助芯材11c,11dとを強固に固定するというものである。
【0037】
そして、前記塞ぎ面材13cは、以上のようにして前記複数の枠部12…の内周面にそれぞれ固定された補強体14の上面に、前記開口部13bに嵌め込まれることで該開口部13bを閉塞しながら載置され、接着剤および止着材15によって固定されている。
この時、前記塞ぎ面材13cは、上述のように前記開口部13bの開口形状と略等しい外形形状に設定されるとともに、上面が、前記枠状部13aの上面と面一になるように設定されているので、この塞ぎ面材13cと前記枠状部13aとの間に隙間や段差が生じないようにすることができる。
【0038】
次に、上述した既存の屋根パネル10の上面に、前記レール材1を固定する際の補強方法について説明する。
まず、前記レール材1を固定する位置を決定する。本実施の形態では、前記レール材1は、図1(a)に示すように、前記縦方向の補助芯材11cの長さ方向に沿って設けられる。したがって、前記レール材1の下方で、かつ前記縦方向の補助芯材11cの長さ方向に沿うようにして補強芯材14aを入れるよう判断することができる。
【0039】
続いて、図1(b),(c)に示すように、前記既存の面材13Aを、前記レール材1が上方を通過する部分のそれぞれの枠部12…の内周面に沿うように刳り抜き加工することによって開口部13bを形成する。
そして、前記既存の面材13Aを加工して、前記枠部12…の上面の形状を象るようにして残された部分が枠状部13aとされている。
したがって、この枠状部13aは、前記既存の面材13Aを、前記レール材1が上方を通過する部分のそれぞれの枠部12…の内周面に沿うように刳り抜き加工することによって形成される開口部13bを具備するので、この枠状部13aの形状は、前記枠部12の形状に適合するものとなる。
【0040】
続いて、図2(a),(b)に示すように、前記複数の枠部12…内に、前記複数の補強芯材14a,14b,14cによって構成される補強体14を組み込む。
まず、前記縦方向の補助芯材11cの両側面に、前記レール材1の直下に位置するとともに該レール材1の延在方向に沿って配置される補強芯材14aを固定する。また、前記縦芯材11aの側面に、前記補強芯材14bを固定する。
そして、前記補強芯材14c,14cを、これら補強芯材14aと補強芯材14bの両側端部間に架設するとともに、前記横芯材11bおよび横方向の補助芯材11dの側面に固定する。
【0041】
なお、これら複数の補強芯材14a,14b,14cを固定するには、まず、これら複数の補強芯材14a,14b,14cの側面と、それぞれ固定される芯材11a,11bおよび補助芯材11c,11dの側面との間に接着剤を塗布するとともに、側面同士を接着する。その後、止着材15によって、さらに固定するという方法をとる。
【0042】
続いて、図3(a),(b)に示すように、前記塞ぎ面材13cを、前記開口部13bに嵌め込み該開口部13bを閉塞しながら、前記補強体14の上面に載置する。
この時、前記塞ぎ面材13cと補強体14とが当接する面に接着剤を塗布しておき、このように塞ぎ面材13cを補強体14の上面に載置する際に、これら塞ぎ面材13cと補強体14とを接着する。
その後、止着材15によって前記塞ぎ面材13cと補強体14とを、さらに固定する。
【0043】
以上のようにして、前記屋根パネル10の補強を行うことができる。
そして、このような屋根パネル10の上面に前記レール材1を固定する前に、予め透湿防水シート13dを敷設して、雨仕舞を向上させておく。
その後、前記レール材1を、前記縦方向の補助芯材11cの長さ方向に沿って配置してから、図4に示すように、このレール材1の傾斜部3aから止着材4を挿入し、この止着材4を前記縦方向の補助芯材11cの両側面に固定された補強芯材14a,14aに止めつけることによって、前記レール材1を屋根パネル10の上面に固定することができる。
【0044】
本実施の形態によれば、前記面材13Aのうちの前記レール材1が上方を通過する部分のそれぞれに、この面材13Aを刳り抜き加工することによって開口部13bを形成することで、この面材13Aを枠状に形成することができ(枠状部13a)、前記枠部12…内の空洞部を上方に開放させることができる。したがって、この開口部13bから前記補強体14を、前記空洞部に入れることができる。
そして、このように空洞部に前記補強体14を入れることができ、この補強体14を、前記枠部12…の内周面に沿って固定するので、この補強体14によって前記枠部12…を補強することができ、延いては、屋根パネル10を補強することができる。すなわち、前記補強体14によって、前記レール材1が上方を通過する部分の枠部12…を確実に補強することができ、特に、前記複数の補強芯材14a,14b,14cのうち、少なくとも1本の補強芯材14aを、前記レール材1の直下において該レール材1の延在方向に沿って配置するので、前記レール材1を屋根パネル10に確実に支持固定でき、延いては太陽光発電システムを屋根上に確実に支持することができる。
また、前記補強体14を、この補強体14の上面が前記枠体11の上面と面一となるようにして前記枠部12…の内周面に沿って固定し、前記塞ぎ面材13cを、前記開口部13bに嵌め込んで該開口部13bを閉塞するとともに、前記補強体14の上面に載置固定するので、この塞ぎ面材13cによって、前記屋根パネル10の上面に隙間や段差がない状態で前記開口部13bを閉塞することができ、前記レール材1が固定される屋根面の状態を、補強前の状態と比較しても遜色がない良好なものとすることができる。
【0045】
また、前記複数の枠部12…は、前記縦方向の補助芯材11cの両側に、この縦方向の補助芯材11cの長さ方向に沿ってそれぞれ並設されており、前記レール材1の直下に位置するとともに該レール材1の延在方向に沿って配置される少なくとも1本の補強芯材14aは、前記縦方向の補助芯材11cの両側面に固定されているので、前記レール材1を前記縦方向の補助芯材11cの上方に位置するようにして配置する際に、このレール材1を、前記縦方向の補助芯材11cの両側面に固定された補強芯材14aの上方にも配置することができる。
これによって、この補強芯材14aによって前記レール材1を屋根パネル10上に、より確実に支持することができ、さらに、例えば止着材等によって、前記レール材1を前記補強芯材14aに固定することができる。
【0046】
また、前記補強体14を構成し、前記レール材1の直下に位置するとともに該レール材1の延在方向に沿って配置される少なくとも1本の補強芯材14aを含む複数の補強芯材14a,14b,14cは、それぞれ個別に前記枠部12…の内周面に沿って固定されているので、例えば経年変化した屋根パネル10であっても、前記複数の補強芯材14a,14b,14cを前記枠部12…に対して確実に固定できる。これによって、この補強体14によって前記枠部12…、延いては屋根パネル10を確実に補強することができる。
【0047】
(第2の実施の形態)
次に、図面を参照して本発明の第2の実施の形態について説明する。なお、説明の便宜上、上述した第1の実施の形態とは異なる構成部分のみについて説明する。
【0048】
図4は本発明の屋根パネルの補強構造の一例を示す断面図である。
図4において符号1はレール材を示しており、符号20は屋根パネルを示している。この屋根パネル20は、第1の実施の形態の屋根パネル10と同様の構成となっており、縦横の芯材21a,21bと、縦横の補助芯材21c,21dとからなる平面視略田の字状の枠体21と、この枠体21の前記芯材21a,21bと補助芯材21c,21dとで形成される複数の枠部22…と、この枠体21の上面に設けられるとともに野地板となる面材23とを備えている。
また、前記枠部22は、前記枠体21において前記芯材21a,21bと補助芯材21c,21dとからなる枠状の部分を指しており、これら芯材21a,21bと補助芯材21c,21dとを除く部分は、空洞部となっている。
【0049】
補強前の屋根パネル20の枠体21の上面には、図5(a)に示すように、既存の面材23Aが貼設されている。
ここで、前記面材23は、図5(a)〜図8(b)に示すように、前記既存の面材23Aを、前記レール材1が上方を通過する部分のそれぞれの枠部22…の内周面に沿うように刳り抜き加工することによって形成される開口部23bを具備する枠状部23aと、この開口部23bの開口形状と略等しい外形形状に設定されるとともに、上面が、前記枠状部23aの上面と面一になるように設定され、前記開口部23bに嵌め込まれることで該開口部23bを閉塞する塞ぎ面材23cとを有してなる。
また、前記枠状部23aは、前記既存の面材23Aを、前記レール材1が上方を通過する部分のそれぞれの枠部22…の内周面に沿うように刳り抜き加工することによって形成される開口部23bを具備するので、この枠状部23aの形状は、前記枠部22の形状に適合するものとなる。
【0050】
なお、本実施の形態において、前記レール材1は、図5(a)に示すように、前記屋根パネル20の面材23の上面に、前記屋根パネル20の傾斜方向に沿って配置されるとともに前記枠体21を構成する縦方向の芯材21aと補助芯材21cとの間の空洞部の上方に位置するようにして配置されている。
したがって、前記枠状部23aは、前記既存の面材23Aのうち、縦方向の芯材21aと補助芯材21cとの間の空洞部に対応する部分に開口部23bを形成した形で構成されることになる。本実施の形態では開口部23bは、屋根パネル20の右半分で、傾斜方向に沿って隣り合うようにして2つ形成されている。これに伴って、前記塞ぎ面材23cの必要枚数2枚となる。
【0051】
また、前記レール材1が上方を通過する枠部22は、屋根パネルの右半分に位置する2つの枠部22,22が該当することになる。
そして、前記これら枠部22,22には、これら枠部22,22の内周面に沿って、上面が、前記枠体21の上面と面一となる補強体24が固定されている。
【0052】
この補強体24は、図6(a),(b)に示すように、前記縦芯材21aと縦方向の補助芯材11cとに固定される2本の縦方向の補強芯材24b,24bと、これら縦方向の補強芯材24b,24bの両側端部間に架設されるとともに、前記横芯材21bおよび横方向の補助芯材21dの側面に固定される2本の横方向の補強芯材24c,24cと、これら横方向の補強芯材24c,24c間に架設される少なくとも1本の補強芯材24aとを備えている。
【0053】
この補強芯材24aは、前記レール材1の直下に位置するとともに該レール材1の延在方向に沿って配置されるものであり、本実施の形態においては、図6〜図8に示すように、2本用いられている。
すなわち、同じ大きさおよび形状の2本の補強芯材24a,24aの向かい合う側面同士を互いに接合したものが用いられている。
また、これら2本の補強芯材24a,24aは、前記2本の縦方向の補強芯材24b,24bの中間に、かつ該2本の縦方向の補強芯材24b,24bと平行して設けられている。
【0054】
これら2本の補強芯材24a,24aを前記横方向の補強芯材24c,24c間に架設する際は、図7に示すように、これら横方向の補強芯材24c,24cの長さ方向中央の上部に溝部26を形成するとともに、この溝部26に合わせて、前記2本の補強芯材24a,24aの両端部に突出部27を形成して、これら溝部26と突出部27とが噛み合うような構成としておく。
【0055】
なお、前記溝部26および突出27は、これら溝部26と突出部27とを噛み合わせた際に、前記2本の補強芯材24a,24aの上面および下面と、前記横方向の補強芯材24c,24cの上面および下面とが、それぞれ面一となるように形成されている。
【0056】
また、前記2本の補強芯材24a,24aを除く複数の補強芯材24b,24cは、それぞれ個別に前記枠部22,22の内周面に沿って固定されている。
これによって、例えば経年変化した屋根パネル20であっても、前記複数の補強芯材24b,24cを前記枠部22,22に対して確実に固定できる。
【0057】
なお、前記縦芯材21aおよび縦方向の補助芯材21cと平行に設けられる2本の縦方向の補強芯材24b,24bは、これら補強芯材24b,24bが固定される部分の枠部22の内周面の長さと略等しい長さに設定されている。一方、これら補強芯材24b,24bと直交し、これら補強芯材24b,24bの両側端部間に架設されるようにして配置される2本の横方向の補強芯材24c,24cは、前記2本の縦方向の補強芯材24b,24bの両側端部間の間隔と略等しい長さに設定されている。
また、前記2本の補強芯材24a,24aは、前記突出部27,27を含んだ状態で、前記2本の縦方向の補強芯材24b,24bと等しい長さに設定されている。
【0058】
また、これら補強芯材24a,24b,24cの固定は、第1の実施の形態と同様に、接着剤と止着材25とによって行われる。
さらに、前記溝部26と突出部27との固定も接着剤と止着材25とを用いて行われている。すなわち、前記溝部26と、前記突出部27とがそれぞれ当接する当接面に接着剤を塗布してから、これら溝部26と突出部27とを当接させ、その後、止着材25を打ち込んで、前記補強芯材24aと補強芯材24cとを強固に固定するというものである。
なお、前記止着材25を設ける際は、図7に示すように、前記補強芯材24a,24aの外側面から、互いに交差する方向に向かって斜めに設けられている。
【0059】
そして、前記塞ぎ面材23cは、以上のようにして前記複数の枠部22,22の内周面にそれぞれ固定された補強体24の上面に、前記開口部23bに嵌め込まれることで該開口部23bを閉塞しながら載置され、接着剤および止着材25によって固定されている。
この時、前記塞ぎ面材23cは、上述のように前記開口部23bの開口形状と略等しい外形形状に設定されるとともに、上面が、前記枠状部23aの上面と面一になるように設定されているので、この塞ぎ面材23cと前記枠状部23aとの間に隙間や段差が生じないようにすることができる。
【0060】
次に、上述した既存の屋根パネル20の上面に、前記レール材1を固定する際の補強方法について説明する。
まず、前記レール材1を固定する位置を決定する。本実施の形態では、前記レール材1は、図5(a)に示すように、前記縦芯材21aと縦方向の補助芯材21cとの中間に、かつ該縦芯材21aおよび縦方向の補助芯材21cと平行して設けられる。したがって、このレール材1の下方で、かつ前記縦芯材21aと縦方向の補助芯材21cとの中間に、かつ該縦芯材21aおよび縦方向の補助芯材21cと平行するようにして補強芯材24aを入れるよう判断することができる。
【0061】
続いて、図5(b),(c)に示すように、前記既存の面材23Aを、前記レール材1が上方を通過する部分のそれぞれの枠部22,22の内周面に沿うように刳り抜き加工することによって開口部23bを形成する。
そして、前記既存の面材23Aを加工して、前記枠部22,22の上面の形状を象るようにして残された部分が枠状部23aとされている。
【0062】
続いて、図6(a),(b)に示すように、前記複数の枠部22,22内に、前記複数の補強芯材24a,24b,24cによって構成される補強体24を組み込む。
まず、前記縦芯材21aの内側面と、この縦芯材21aの内側面に対向する前記縦方向の補助芯材21cの内側面とに、前記補強芯材24b,24bをそれぞれ固定する。
そして、前記横方向の補強芯材24c,24cを、これら縦方向の補強芯材24b,24bの両側端部間に架設するとともに、前記横芯材21bおよび横方向の補助芯材21dの内側面に固定する。
【0063】
なお、これら複数の補強芯材24b,24cを固定するには、まず、これら複数の補強芯材24b,24cの側面と、それぞれ固定される芯材21a,21bおよび補助芯材21c,21dの側面との間に接着剤を塗布するとともに、側面同士を接着する。その後、止着材25によって、さらに固定するという方法をとる。
【0064】
また、予め、前記横方向の補強芯材24c,24cの長さ方向中央には、前記溝部26を形成しておく。さらに、前記補強芯材24a,24aの両端部にも前記突出部27を形成しておくようにする。
そして、図7に示すように、前記溝部26と突出部27とを噛み合わせるようにして、前記レール材の直下に設けられる補強芯材24a,24aを、前記横方向の補強芯材24c,24cに架設し、接着剤および止着材25によって固定する。
【0065】
続いて、図8(a),(b)に示すように、前記塞ぎ面材23cを、前記開口部23bに嵌め込み該開口部23bを閉塞しながら、前記補強体24の上面に載置する。
この時、前記塞ぎ面材23cと補強体24とが当接する面に接着剤を塗布しておき、このように塞ぎ面材23cを補強体24の上面に載置する際に、これら塞ぎ面材23cと補強体24とを接着する。
その後、止着材25によって前記塞ぎ面材23cと補強体24とを、さらに固定する。
【0066】
以上のようにして、前記屋根パネル20の補強を行うことができる。
そして、このような屋根パネル20の上面に前記レール材1を固定する前に、予め透湿防水シート23dを敷設して、雨仕舞を向上させておく。
その後、前記レール材1を、前記屋根パネル20の長さ方向に沿って、かつ前記枠体21を構成する縦方向の芯材21aと補助芯材21cとの間の空洞部の上方に配置してから、図9に示すように、このレール材1の傾斜部3aから止着材4を挿入し、この止着材4を前記補強芯材24a,24aに止めつけることによって、前記レール材1を屋根パネル20の上面に固定することができる。
【0067】
本実施の形態によれば、前記レール材1の直下に位置するとともに該レール材1の延在方向に沿って配置される補強芯材24a,24aは、前記枠体21を構成する横方向の芯材21bおよび補助芯材21dに沿ってそれぞれ固定されるとともに互いに対向する横方向の補強芯材24c,24c間に架設されているので、前記レール材1を、前記枠体21を構成する縦方向の芯材21aと補助芯材21cとの間の空洞部の上方に位置するようにして配置する際に、このレール材1を、前記補強芯材24a,24aの上方に配置することができる。
これによって、この補強芯材24a,24aによって前記レール材1を屋根パネル20上に、より確実に支持することができ、さらに、例えば止着材等によって、前記レール材1を前記補強芯材24a,24aに固定することができる。
【0068】
また、前記レール材1の直下に位置するとともに該レール材1の延在方向に沿って配置される補強芯材24aは2本であり、これら2本の補強芯材24a,24aの向かい合う側面同士が互いに接合されているので、前記レール材1の直下に位置するとともに該レール材1の延在方向に沿って配置される補強芯材24aの強化を図ることができる。
これによって、前記レール材1を、前記枠体21を構成する縦方向の芯材21aと補助芯材21cとの間の空洞部の上方に位置するようにして配置する場合であっても、この補強芯材24a,24aによって、前記レール材1をさらに確実に支持することができる。
【0069】
また、前記補強体24を構成する複数の補強芯材24a,24b,24cのうち、前記レール材1の直下に位置するとともに該レール材1の延在方向に沿って配置される2本の補強芯材24a,24aを除く複数の補強芯材24b,24cは、それぞれ個別に前記枠部22,22の内周面に沿って固定されているので、例えば経年変化した屋根パネル20であっても、前記複数の補強芯材24b,24cを前記枠部22,22に対して確実に固定できる。これによって、この補強体24によって前記枠部22,22、延いては屋根パネル20を確実に補強することができる。
【符号の説明】
【0070】
1 レール材
10 屋根パネル
11 枠体
12 枠部
13 面材
13a 枠状部
13b 開口部
13c 塞ぎ面材
14 補強体
14a 補強芯材
20 屋根パネル
21 枠体
22 枠部
23 面材
23a 枠状部
23b 開口部
23c 塞ぎ面材
24 補強体
24a 補強芯材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
縦横の芯材を矩形枠状に組み立てるとともに、この矩形枠の内部に補助芯材を縦横に組み付けて形成された枠体と、この枠体の上面に設けられる面材とを備え、所定角度に傾斜するように配置されて建物の屋根を構成する既存の屋根パネルの補強方法であって、
前記面材を、前記芯材と補助芯材とで形成される枠部の内周面に沿うように刳り抜き加工することによって開口部を形成し、
次に、補強芯材を枠状に組み立ててなる補強体を、この補強体の上面が前記枠体の上面と面一となるようにして前記枠部の内周面に沿って固定し、
次に、前記開口部の開口形状と略等しい外形形状に設定されるとともに、上面が、前記面材の上面と面一になるように設定された塞ぎ面材を、前記開口部に嵌め込んで該開口部を閉塞するとともに、前記補強体の上面に載置固定することを特徴とする屋根パネルの補強方法。
【請求項2】
所定角度に傾斜するように配置されて建物の屋根を構成するとともに、上面に、傾斜方向に沿って長尺なレール材が固定される既存の屋根パネルを補強してなる屋根パネルの補強構造であって、
前記屋根パネルは、縦横の芯材を矩形枠状に組み立てるとともに、この矩形枠の内部に補助芯材を縦横に組み付けて形成された枠体と、
前記芯材と補助芯材とで形成される複数の枠部と、
前記枠体の上面に設けられるとともに野地板となる面材とを備えており、
前記複数の枠部のうち、前記レール材が上方を通過する部分の枠部の内周面に沿って、複数の補強芯材によって枠状に組み立てられるとともに、上面が、前記枠体の上面と面一となる補強体が固定されており、
この補強体を構成する複数の補強芯材のうち、少なくとも1本の補強芯材は、前記レール材の直下に位置するとともに該レール材の延在方向に沿って配置されており、
前記面材は、既存の屋根パネルを構成する既存の面材を、前記レール材が上方を通過する部分のそれぞれの枠部の内周面に沿うように刳り抜き加工することによって形成される開口部を具備する枠状部と、
この開口部の開口形状と略等しい外形形状に設定されるとともに、上面が、前記枠状部の上面と面一になるように設定され、前記開口部に嵌め込まれることで該開口部を閉塞する塞ぎ面材とを有しており、
この塞ぎ面材は、前記補強体の上面に載置固定されていることを特徴とする屋根パネルの補強構造。
【請求項3】
請求項2に記載の屋根パネルの補強構造において、
前記レール材は、前記屋根パネルの面材の上面に、前記屋根パネルの傾斜方向に沿って配置されるとともに前記枠体を構成する縦方向の補助芯材の上方に位置するようにして配置されており、
前記複数の枠部は、前記縦方向の補助芯材の両側に、この縦方向の補助芯材の長さ方向に沿ってそれぞれ並設されており、
前記レール材の直下に位置するとともに該レール材の延在方向に沿って配置される少なくとも1本の補強芯材は、前記縦方向の補助芯材の両側面に固定されていることを特徴とする屋根パネルの補強構造。
【請求項4】
請求項3に記載の屋根パネルの補強構造において、
前記補強体を構成し、前記レール材の直下に位置するとともに該レール材の延在方向に沿って配置される少なくとも1本の補強芯材を含む複数の補強芯材は、それぞれ個別に前記枠部の内周面に沿って固定されていることを特徴とする屋根パネルの補強構造。
【請求項5】
請求項2に記載の屋根パネルの補強構造において、
前記レール材は、前記屋根パネルの面材の上面に、前記屋根パネルの傾斜方向に沿って配置されるとともに前記枠体を構成する縦方向の芯材と補助芯材との間の空洞部の上方に位置するようにして配置されており、
前記レール材の直下に位置するとともに該レール材の延在方向に沿って配置される少なくとも1本の補強芯材は、前記補強体を構成する補強芯材のうち、前記枠体を構成する横方向の芯材および補助芯材に沿ってそれぞれ固定されるとともに互いに対向する横方向の補強芯材間に架設されていることを特徴とする屋根パネルの補強構造。
【請求項6】
請求項5に記載の屋根パネルの補強構造において、
前記レール材の直下に位置するとともに該レール材の延在方向に沿って配置される補強芯材は複数本であり、これら複数本の補強芯材の向かい合う側面同士が互いに接合されていることを特徴とする屋根パネルの補強構造。
【請求項7】
請求項6に記載の屋根パネルの補強構造において、
前記補強体を構成する複数の補強芯材のうち、前記レール材の直下に位置するとともに該レール材の延在方向に沿って配置される複数本の補強芯材を除く複数の補強芯材は、それぞれ個別に前記枠部の内周面に沿って固定されていることを特徴とする屋根パネルの補強構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−58279(P2011−58279A)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−209885(P2009−209885)
【出願日】平成21年9月11日(2009.9.11)
【出願人】(307042385)ミサワホーム株式会社 (569)
【Fターム(参考)】