説明

屋根軒先部の支持構造

【課題】複数の建物ユニットを組み合わせて建築される建物本体に設けられたバルコニーの上方が傾斜屋根によって覆われている場合に、この傾斜屋根の軒先部を確実に支持できる屋根軒先部の支持構造を提供する。
【解決手段】バルコニー6に複数の支持柱25が傾斜屋根3の軒先長手方向に所定間隔で設けられており、複数の支持柱25の上端部にこれらを連結するようにして軒先通し梁30が取り付けられ、この軒先通し梁30によって傾斜屋根3の軒先部が下方から支持されているので、バルコニー6上の傾斜屋根3の軒先部を確実に支持できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、住宅等の建物の屋根軒先部の支持構造に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の建物ユニットを組み合わせて建物本体が建てられ、この建物本体上に設けられた傾斜屋根によって当該建物本体に設けられているバルコニーの上方が覆われているユニット式建物の一例として特許文献1に記載のものが知られている。
このユニット式建物では、バルコニーは、バルコニー本体と、このバルコニー本体の角部に立設されたバルコニー用の柱と、この柱に支持され天井部分を構成する天井パネルとを有する構造となっている。この天井パネルは、矩形状の骨組みに複数の天井小梁が設けられた構造あるいは互いに直交に結合された長梁及び短梁の間に補助梁が架設された構造である。バルコニーと隣合う上階用建物ユニットの上部側面にはブラケットが設けられ、これらのブラケットに天井パネルの角部が支持されている。天井パネルの上部には束及びパネル取付具が取り付けられ、これらの束およびパネル取付具により屋根パネルが支持されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−82010号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記のようなユニット式建物では、屋根の軒先部の角部はバルコニーに設けられた柱によって支持されているが、屋根の軒先部の大部分は、矩形状の骨組みに複数の天井小梁が設けられた構造の天井パネルによって支持されており、この天井パネルはバルコニーと隣合う上階用建物ユニットの上部側面に設けられたブラケットによって支持されている。つまり、天井パネルはブラケットを介して上階用建物ユニットによって支持されている。
したがって、バルコニーの横に上階用建物ユニットが存在していない場合、天井パネルを支持することができないので、バルコニーの上方を覆っている傾斜屋根の軒先部を支持するのが困難であった。
【0005】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、複数の建物ユニットを組み合わせて建築される建物本体に設けられたバルコニーの上方が傾斜屋根によって覆われている場合に、この傾斜屋根の軒先部を確実に支持できる屋根軒先部の支持構造を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、図1〜図3に示すように、複数の建物ユニット1を組み合わせて建築される建物本体2上に傾斜屋根3を設け、この傾斜屋根3の軒先部を支持してなる屋根軒先部の支持構造において、
前記建物本体2にバルコニー6が設けられ、このバルコニー6の上方が前記傾斜屋根3によって覆われ、
前記バルコニー6に複数の支持柱25が前記傾斜屋根3の軒先長手方向に所定間隔で設けられており、
前記複数の支持柱25の上端部にこれらを連結するようにして軒先通し梁30が取り付けられ、
この軒先通し梁30によって前記傾斜屋根3の軒先部が下方から支持されていることを特徴とする。
【0007】
請求項1に記載の発明によれば、バルコニー6に複数の支持柱25が傾斜屋根3の軒先長手方向に所定間隔で設けられており、複数の支持柱25の上端部にこれらを連結するようにして軒先通し梁30が取り付けられ、この軒先通し梁30によって傾斜屋根3の軒先部が下方から支持されているので、バルコニー6上の傾斜屋根3の軒先部を確実に支持できる。
また、軒先通し梁30によって傾斜屋根3の軒先部を支持しているので、例えば、傾斜屋根3を複数の屋根パネルを横方向に接合して形成した場合であっても、傾斜屋根3の軒先部を屋根パネルの接合位置に拘わらず、確実に支持することができる。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の屋根軒先部の支持構造において、
前記軒先通し梁30は、前記軒先長手方向に延在し、かつ鉛直に配置された帯板状の柱固定部30aと、この柱固定部30aの上縁に前記軒先長手方向に延在して形成され、かつ、前記傾斜屋根3の下面と平行に配置された帯板状の屋根固定部30bとを備え、
前記柱固定部30aが前記複数の支持柱25の上端部側面に固定され、前記屋根固定部30bが前記傾斜屋根3の下面に固定されていることを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載の発明によれば、軒先通し梁30の柱固定部30aが複数の支持柱25の上端部側面に固定されているので、複数の支持柱25の上端部を容易かつ強固に連結することができる。また、屋根固定部30bが傾斜屋根3の下面に固定されているので、軒先通し梁30によって傾斜屋根3を下方から安定的に支持できる。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の屋根軒先部の支持構造において、
前記支持柱25の軒先側を向く上端部側面に前記柱固定部30aが固定され、
前記支持柱25の上端に、この支持柱25の軸方向と傾斜し、かつ、前記傾斜屋根3の棟側を向く傾斜面26aが形成され、この傾斜面26aの上方に前記屋根固定部30bが配置され、この屋根固定部30bが傾斜屋根3の下面に固定されていることを特徴とする。
【0011】
請求項3に記載の発明によれば、支持柱25の上端に形成された傾斜面26aの上方に、屋根固定部30bが配置され、この屋根固定部30bが傾斜屋根3の下面に固定されているので、傾斜面26aと屋根固定部30bとの間に設けられた空間を利用して屋根固定部30bを傾斜屋根3の下面にボルト止めによって強固に固定できる。
【0012】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか一項に記載の屋根軒先部の支持構造において、
前記傾斜屋根3の軒先部の下方に軒天井11が設けられており、
前記軒先通し梁30は前記傾斜屋根3と軒天井11との間に配置されていることを特徴とする。
【0013】
請求項4に記載の発明によれば、軒先通し梁30が傾斜屋根3と軒天井11との間に配置されているので、軒先通し梁30や、支持柱25と軒先通し梁30との接合部、軒先通し梁30と傾斜屋根3との接合部を隠すことができ、秀麗な仕上がりとすることができる。
【0014】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれか一項に記載の屋根軒先部の支持構造において、
前記バルコニー6は前記建物本体2に、当該建物本体2から延出するようにして取り付けられており、
前記バルコニー6の先端部が当該バルコニー6の下方に設けられた複数の柱20によって下方から支持されており、
これら柱20の延長上に前記支持柱25が設けられていることを特徴とする。
【0015】
請求項5に記載の発明によれば、建物本体2に、当該建物本体2から延出するようにして取り付けられたバルコニー6をその下方に設けられた複数の柱20によって下方から支持できる。また、これら柱20の延長上に前記支持柱25が設けられているので、支持柱25に傾斜屋根3の軒先部から作用する下向きの力を支持柱25から柱20に確実に伝達でき、よって、バルコニー6が建物本体2から延出するものであっても、傾斜屋根3の軒先部を確実に支持できる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、バルコニーに複数の支持柱が傾斜屋根の軒先長手方向に所定間隔で設けられており、複数の支持柱の上端部にこれらを連結するようにして軒先通し梁が取り付けられ、この軒先通し梁によって傾斜屋根の軒先部が下方から支持されているので、バルコニー上の傾斜屋根の軒先部を確実に支持できる。
また、通し梁によって傾斜屋根の軒先部を支持しているので、例えば、傾斜屋根を複数の屋根パネルを横方向に接合して形成した場合であっても、傾斜屋根の軒先部を屋根パネルの接合位置に拘わらず、確実に支持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明に係る屋根軒先部の支持構造の一例を示すもので、ユニット式建物の一部を示す側断面図である。
【図2】同、図1におけるX円部の拡大図である。
【図3】同、ユニット式建物の全体を示す概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して、本発明に係る屋根軒先部の支持構造の一例について説明する。
図1は、本発明に係る屋根軒先部の支持構造を備えたユニット式建物の一部を示す側断面図、図2は、図1におけるX円部の拡大図、図3はユニット式建物の全体を示す概略構成図である。
【0019】
図3に示すように、本発明に係る屋根軒先部の支持構造は、複数の建物ユニット1を組み合わせて建築される建物本体2上に設けられた傾斜屋根3の軒先部を支持してなる構造である。
前記建物ユニットは、四隅の柱の上下端を天井梁および床梁で連結した箱状のフレームを有するものが一般的である。フレームには、天井梁に支持される天井面材、床梁に支持される床面材および部屋を仕切る間仕切壁等の内装材や、軽量気泡コンクリート等で形成された外壁等の外装材が工場で組付けられる。
【0020】
本実施の形態におけるユニット式建物は、例えば図3(a)、(b)に示すように、複数の建物ユニット1を組み合わせて建築される2階建ての建物本体2を有している。建物本体2上には、図3(a)に示すように、片流れの傾斜屋根3や、図3(b)に示すように、棟部に段差部を有する大きな傾斜屋根3と小さな傾斜屋根4とからなる屋根が設けられている。なお、本発明では、傾斜屋根3は他の形式の屋根であってもよい。要は、傾斜屋根の軒先部が支持された構造のものであればよい。また、建物本体2にはバルコニー6が設けられている。
【0021】
図1は、図3(a)、(b)におけるY楕円部の拡大図である。
傾斜屋根3は複数の屋根パネルを接合することによって構成されており、この傾斜屋根3の野地板3aの上面には、屋根瓦3bが取り付けられている。なお、屋根パネルは傾斜屋根3の傾斜方向および軒先長手方向の双方向において複数配置され接合されている。また、図1においては、傾斜屋根3の軒先部のみに屋根瓦3bを図示しているが、実際は屋根瓦3bは傾斜屋根3の全体に設けられている。
傾斜屋根3の軒先には、図2に示すように、鼻隠し3cが垂木3dの先端面に固定されて設けられている。この鼻隠し3cは木製の帯板状の鼻隠し板を上下に接合することによって構成されており、当該鼻隠し3cは、傾斜屋根3の下面より下方に延出している。
鼻隠し3cの上部には、軒樋7が鼻隠し3cと平行に固定されている。一方、野地板3aの先端上面には軒先水切り8が取り付けられており、この軒先水切り8は軒樋7に向けて延出しており、その先端は軒樋7の内側に位置している。
【0022】
図1および図2に示すように、前記鼻隠し3cと建物本体2の外壁10との間は、傾斜屋根3の傾斜方向と平行に傾斜している軒天井11によって覆われている。この軒天井11の裏側(上面側)には野縁12,12が設けられている。野縁12,12は軒天井11の先端部と基端部とに配置されており、この野縁12,12に釘やビス等の止着材によって軒天井11が固定されている。なお、野縁12,12は例えば図示しない吊木等によって傾斜屋根3の垂木3dによって吊持されている。
前記軒天井11は、傾斜屋根3の下方に当該傾斜屋根3から所定距離離間して配置されるとともに、傾斜屋根3と平行に傾斜している。
【0023】
図2に示すように、鼻隠し3cの前面には、第1化粧板13が取り付けられており、この第1化粧板13の下端部は鼻隠し3cより下方で内側に直角に折曲されている。また、軒天井11の先端部には、第2化粧板14が取り付けられている。この第2化粧板14は凹溝を有しており、この凹溝に軒天井11の先端部を挿入することによって、当該軒天井11に取り付けられている。第1化粧板13の先端13aと、第2化粧板14の下端との間には、所定の通気用隙間15が設けられている。
また、鼻隠し3cの下面には、換気スリット部材16が前記軒天井11に向けて延出して取り付けられており、この延出した部分は前記第2化粧板14に、軒天井11の裏側で固定されている。換気スリット部材16は複数の換気孔16aを備えており、この換気孔16aは鼻隠し3cより内側に配置されている。さらに、換気スリット部材16には、火災時に発泡して換気スリット部材16と第1化粧板13の下壁部13bとの間の隙間を塞ぐ防火発泡材17が設けられている。
【0024】
図1に示すように、建物本体2には、バルコニー6が建物本体2から延出するようにして取り付けられている。バルコニー6の基端部は、建物本体2の1階を構成する建物ユニット1の天井梁または2階を構成する建物ユニット1の床梁に固定されている。
バルコニー6の上面には、ウッドデッキ18が設置されており、このウッドデッキ18の床面の高さは、建物本体2の2階の居室の床面の高さとほぼ等しくなっている。また、バルコニー6の下側に軒天井6aが設けられている。さらに、バルコニー6の外縁部には手摺壁6bが設けられている。
バルコニー6の先端部の下方には、ポーチ柱(柱)20が設けられている。このポーチ柱20は、四角筒状の鋼材で形成された柱本体21と、この柱本体21の外側に、当該柱本体21を覆うようにして外挿された筒状の化粧部材22とによって構成されている。柱本体21の下端部は地盤上に設置されたうえで、コンクリート製のポーチ23に埋設されている。また、柱本体21の上端部は前記軒天井6aを貫通し、バルコニー6に挿入されたうえで当該バルコニー6に固定されている。化粧部材22はポーチ23の上面と軒天井6aとの間において、柱本体21の外側に外挿されている。
このような構成のポーチ柱20は、傾斜屋根3の軒先長手方向(図1において紙面と直交する方向)に、所定間隔で複数配置されている。したがって、バルコニー6の先端部はこれらポーチ柱20によって下方にから支持されている。
【0025】
前記バルコニー6の上方は、傾斜屋根3の軒先部によって覆われている。また、バルコニー6の先端部には、複数の支持柱25が傾斜屋根3の軒先長手方向(図1において紙面と直交する方向)に所定間隔で設けられている。そして、複数の支持柱25は前記ポーチ柱20の延長上に設けられている。つまり、支持柱25とポーチ柱20と同じ数だけ設けられ、かつ、平面視において同位置にかつ同間隔で配置されている。
支持柱25は、四角筒状の鋼材で形成された柱本体26と、この柱本体26の外側に、当該柱本体26を覆うようにして外挿された筒状の化粧部材27とによって構成されている。柱本体26の下端部はバルコニー6に挿入され、前記ポーチ柱20の柱本体21の上端部と連結されている。
化粧部材27はバルコニー6に設置されたウッドデッキ18の上面と軒天井11との間において、柱本体26の外側に外挿されている。また、図2に示すように、化粧部材27の先端(上端)は軒天井11と同方向に傾斜する傾斜板27aによって塞がれており、この傾斜板27aを前記柱本体26の上端部が貫通している。
【0026】
支持柱25の柱本体26の上端部は、図2に示すように、前記軒天井11を貫通しており、この柱本体26の上端には、この柱本体26の軸方向と傾斜し、かつ、傾斜屋根3の棟側を向く傾斜面26aが形成されている。
一方、前記傾斜屋根3と軒天井11との間には、軒先通し梁30が設けられている。この軒先通し梁30は、傾斜屋根3の軒先長手方向(図2において紙面と直交する方向)に延在する鋼材によって形成されている。
軒先通し梁30は、軒先長手方向に延在し、かつ鉛直に配置された帯板状の柱固定部30aと、この柱固定部30aの上縁に軒先長手方向に延在して形成され、かつ、傾斜屋根3の下面と平行に配置された帯板状の屋根固定部30bとから構成されている。
【0027】
前記柱固定部30aには、ボルト挿通孔が形成されるとともに、当該ボルト挿通孔と同軸に設けられたナット31bが固定されている。これらボルト挿通孔およびナット31bは、柱固定部30aの長手方向(図2において紙面と直交する方向)に所定間隔で複数かつ、上下方向に所定間隔で二つ設けられている。
そして、このような柱固定部30aは前記支持柱25を構成する柱本体26の上端部側面に固定されている。つまり、柱本体26の軒先側を向く上端部側面に、柱固定部30aが当接され、ボルト31aとナット31bによって固定されている。柱本体26の上端部の側面には、ボルト挿通孔が前記柱固定部30aに形成されたボルト挿通孔と同軸に形成されており、これらボルト挿通孔にボルト31aを挿入してナット31bに螺合して締め付けることによって、柱固定部30aが柱本体26の上端部側面に固定されている。
そして、全ての支持柱25の柱本体26の上端部側面に軒先通し梁30の柱固定部30aを固定することによって、全ての支持柱25の上端部にこれらを連結するようにして軒先通し梁30が取り付けられている。
【0028】
前記屋根固定部30bには、ボルト挿通孔が屋根固定部30bの長手方向(図2において紙面と直交する方向)に所定間隔で複数設けられている。
そして、このような屋根固定部30bは傾斜屋根3の下面を構成する垂木3dの下面に固定されている。つまり、垂木3dはH形鋼によって形成され、屋根固定部30bの長手方向(図2において紙面と直交する方向)に、所定間隔で複数配置されている。また、屋根固定部30bは、前記柱本体26の上端の傾斜面26aの上方に配置されている。さらに、各垂木3dの下フランジにボルト挿通孔が屋根固定部30bのボルト挿通孔に対向して形成されている。そして、これらボルト挿通孔にボルト31aを挿入してナット31bを螺合して締め付けることによって、屋根固定部30bが傾斜屋根3の下面に固定されている。ボルト31aを挿通する場合、前記傾斜面26aと屋根固定部30bと間の空間にボルト31aを配したうえで、前記ボルト挿通孔にボルト31aを挿入してナット31bを螺合して締め付ける。
このようにして、軒先通し梁30によって傾斜屋根3の軒先部が下方から支持されている。
【0029】
本実施の形態によれば、バルコニー6に複数の支持柱25が傾斜屋根3の軒先長手方向に所定間隔で設けられており、複数の支持柱25の上端部にこれらを連結するようにして軒先通し梁30が取り付けられ、この軒先通し梁30によって傾斜屋根3の軒先部が下方から支持されているので、バルコニー6上の傾斜屋根3の軒先部を確実に支持できる。
また、軒先通し梁30によって傾斜屋根3の軒先部を支持しているので、例えば、傾斜屋根3を複数の屋根パネルを横方向に接合して形成した場合であっても、傾斜屋根3の軒先部を屋根パネルの接合位置に拘わらず、確実に支持することができる。
また、軒先通し梁30の柱固定部30aが複数の支持柱25の柱本体26の上端部側面に固定されているので、複数の支持柱25の上端部を容易かつ強固に連結することができる。また、屋根固定部30bが傾斜屋根3の下面に固定されているので、軒先通し梁30によって傾斜屋根3を下方から安定的に支持できる。
【0030】
さらに、支持柱25の柱本体26の上端に形成された傾斜面26aの上方に、屋根固定部30bが配置され、この屋根固定部30bが傾斜屋根3の下面に固定されているので、傾斜面26aと屋根固定部30bとの間に設けられた空間を利用して屋根固定部30bを傾斜屋根3の下面にボルト止めによって強固に固定できる。
また、軒先通し梁30が傾斜屋根3と軒天井11との間に配置されているので、軒先通し梁30や、支持柱25と軒先通し梁30との接合部、軒先通し梁30と傾斜屋根3との接合部を隠すことができ、秀麗な仕上がりとすることができる。
また、建物本体2に、当該建物本体2から延出するようにして取り付けられたバルコニー6をその下方に設けられた複数のポーチ柱20によって下方から支持できる。また、これらポーチ柱20の延長上に前記支持柱25が設けられているので、支持柱25に傾斜屋根3の軒先部から作用する下向きの力を支持柱25からポーチ柱20に確実に伝達でき、よって、バルコニー6が建物本体2から延出するものであっても、傾斜屋根3の軒先部を確実に支持できる。
【符号の説明】
【0031】
1 建物ユニット
2 建物本体
3 傾斜屋根
6 バルコニー
11 軒天井
20 ポーチ柱(柱)
22 支持柱
26a 傾斜面
30 軒先通し梁
30a 柱固定部
30b 屋根固定部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の建物ユニットを組み合わせて建築される建物本体上に傾斜屋根を設け、この傾斜屋根の軒先部を支持してなる屋根軒先部の支持構造において、
前記建物本体にバルコニーが設けられ、このバルコニーの上方が前記傾斜屋根によって覆われ、
前記バルコニーに複数の支持柱が前記傾斜屋根の軒先長手方向に所定間隔で設けられており、
前記複数の支持柱の上端部にこれらを連結するようにして軒先通し梁が取り付けられ、
この軒先通し梁によって前記傾斜屋根の軒先部が下方から支持されていることを特徴とする屋根軒先部の支持構造。
【請求項2】
請求項1に記載の屋根軒先部の支持構造において、
前記軒先通し梁は、前記軒先長手方向に延在し、かつ鉛直に配置された帯板状の柱固定部と、この柱固定部の上縁に前記軒先長手方向に延在して形成され、かつ、前記傾斜屋根の下面と平行に配置された帯板状の屋根固定部とを備え、
前記柱固定部が前記複数の支持柱の上端部側面に固定され、前記屋根固定部が前記傾斜屋根の下面に固定されていることを特徴とする屋根軒先部の支持構造。
【請求項3】
請求項2に記載の屋根軒先部の支持構造において、
前記支持柱の軒先側を向く上端部側面に前記柱固定部が固定され、
前記支持柱の上端に、この支持柱の軸方向と傾斜し、かつ、前記傾斜屋根の棟側を向く傾斜面が形成され、この傾斜面の上方に前記屋根固定部が配置され、この屋根固定部が傾斜屋根の下面に固定されていることを特徴とする屋根軒先部の支持構造。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の屋根軒先部の支持構造において、
前記傾斜屋根の軒先部の下方に軒天井が設けられており、
前記軒先通し梁は前記傾斜屋根と軒天井との間に配置されていることを特徴とする屋根軒先部の支持構造。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の屋根軒先部の支持構造において、
前記バルコニーは前記建物本体に、当該建物本体から延出するようにして取り付けられており、
前記バルコニーの先端部が当該バルコニーの下方に設けられた複数の柱によって下方から支持されており、
これら柱の延長上に前記支持柱が設けられていることを特徴とする屋根軒先部の支持構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−24000(P2013−24000A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−162693(P2011−162693)
【出願日】平成23年7月26日(2011.7.26)
【出願人】(307042385)ミサワホーム株式会社 (569)
【出願人】(504093467)トヨタホーム株式会社 (391)