説明

履修可否判定方法、履修可否判定装置、履修可否判定システム及びコンピュータプログラム

【課題】大学等の教育機関において、複数の授業の中から選択した授業の履修を申請する場合に、学生の希望を反映させ易く、また申請期間の長期化及び申請期間の管理の煩雑化を防止する履修可否判定方法、履修可否判定装置、履修可否判定システム及びコンピュータプログラムを提供する。
【解決手段】履修可否判定装置は、履修申請情報を受け付けた時刻、履修許可人数の時間に対する目標値、及び既に履修を許可した人数に基づいて、履修可否を判定する確率を決定し(ステップS8)、決定した確率に基づいて履修可否を判定する(ステップS9)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、授業の履修申請に対する履修可否を判定する履修可否判定方法、該履修可否判定方法を適用した履修可否判定装置、該履修可否判定装置を用いた履修可否判定システム、及び前記履修可否判定装置を実現するためのコンピュータプログラムに関し、特に申請者の希望を効果的に反映させることが可能な履修可否判定方法、履修可否判定装置、履修可否判定システム及びコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
大学等の教育機関において講義、実験、演習、実習等の授業を受ける学生は、選択可能な複数の授業の中から履修を希望する授業を選択し、選択した授業の履修申請を行うことになる。しかしながら授業には定員が設定されているため、定員以上の学生が履修申請を行った場合、申請期間中に履修申請を行った学生に対し、本来の申請期間が経過後、抽選等の方法により履修の可否を判定する。そして履修不可と判定された学生は、次に希望する授業の履修を申請することになる。この様な履修申請及び履修申請に対する履修可否の判定等の処理をコンピュータにて自動化するシステムが提案され、また実現されている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
また履修申請の先着順で履修可否を決定する方法が良く用いられている。具体的には、履修申請受付開始後から定員数に達するまでに申請した学生を履修可と判定し、定員数に到達後に申請した学生を履修不可と判定する方法である。
【特許文献1】特開2003−323504号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら第1希望の授業を履修不可と判定された学生が、次に希望する授業の履修申請を行う場合、第2希望、第3希望等の高順位の授業は既に定員に達しており、第4希望、第5希望等の低順位の授業を選択せざるを得ない状況になり、学生の希望が反映され難いという問題がある。
【0005】
また本来の申請期間が経過後、履修不可と判定された学生を救済するため、次に履修を希望する授業の申請期間を設ける必要があるので、申請期間の長期化及び申請期間の管理の煩雑化を引き起こすという問題がある。
【0006】
さらに履修申請の先着順で履修可否を判定する方法では、インターネット等の通信網を介して履修申請を行う場合、履修申請受付開始直後に履修申請を受け付けるサーバコンピュータへのアクセスが集中し、サーバコンピュータの処理負荷及び通信負荷が増大し、サーバダウン、通信網の輻輳等の障害が発生するという問題がある。
【0007】
本発明は斯かる事情に鑑みて成されたものであり、申請期間中に履修申請を受け付ける都度、既に履修を許可している人数に基づいて履修可否確率を決定し、決定された確率に基づいて履修可否を判定することにより、履修申請後、即座に結果を確認することができるので、学生の希望を反映させ易く、また申請期間が不必要に延長されることがなく容易に管理することが可能で、しかも処理負荷及び通信負荷の増大を防止することが可能な履修可否判定方法、該履修可否判定方法を適用した履修可否判定装置、該履修可否判定装置を用いた履修可否判定システム、及び前記履修可否判定装置を実現するためのコンピュータプログラムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1発明に係る履修可否判定方法は、申請期間中に受け付けた授業の履修申請に対する履修可否を判定する履修可否判定装置を用いた履修可否判定方法において、受け付けた授業の履修申請に対し、既に履修を許可している人数に基づいて履修可否確率を決定し、決定した履修可否確率に基づいて履修可否を判定することを特徴とする。
【0009】
本発明では、履修申請後、申請期間が経過せずとも即座に結果を確認することができるため、履修不可と判定された学生は、申請期間中に再度履修申請を行うことができるので、希望順位の高い授業に対する履修申請を行うことが可能であり、また申請期間を固定することができるので申請期間の長期化及び管理の煩雑化を回避することが可能であり、さらに履修を許可した学生の数が最終的に授業の定員となる様に確率を調整することが可能であり、しかも先着順で申請可否が決定される訳はないので一時的な処理負荷及び通信負荷の増大を防止することが可能である。
【0010】
第2発明に係る履修可否判定装置は、申請期間中に受け付けた授業の履修申請に対する履修可否を判定する履修可否判定装置において、受け付けた授業の履修申請に対し、既に履修を許可している人数に基づいて履修可否確率を決定する手段と、決定した履修可否確率に基づいて履修可否を判定する手段とを備えることを特徴とする。
【0011】
本発明では、履修申請後、申請期間が経過せずとも即座に結果を確認することができるため、履修不可と判定された学生は、申請期間中に再度履修申請を行うことができるので、希望順位の高い授業に対する履修申請を行うことが可能であり、また申請期間を固定することができるので申請期間の長期化及び管理の煩雑化を回避することが可能であり、さらに履修を許可した学生の数が最終的に授業の定員となる様に確率を調整することが可能であり、しかも先着順で申請可否が決定される訳はないので一時的な処理負荷及び通信負荷の増大を防止することが可能である。
【0012】
第3発明に係る履修可否判定装置は、申請期間中に受け付けた授業の履修申請に対する履修可否を判定する履修可否判定装置において、申請期間中の申請受付開始から履修申請の受け付けまでの時間に基づいて履修可否確率を決定する手段と、決定した履修可否確率に基づいて履修可否を判定する手段とを備えることを特徴とする。
【0013】
本発明では、履修申請後、申請期間が経過せずとも即座に結果を確認することができるため、履修不可と判定された学生は、申請期間中に再度履修申請を行うことができるので、希望順位の高い授業に対する履修申請を行うことが可能であり、また申請期間を固定することができるので申請期間の長期化及び管理の煩雑化を回避することが可能であり、さらに履修を許可した学生の数が最終的に授業の定員となる様に確率を調整することが可能であり、しかも先着順で申請可否が決定される訳はないので一時的な処理負荷及び通信負荷の増大を防止することが可能である。
【0014】
第4発明に係る履修可否判定システムは、第2発明又は第3発明に記載の履修可否判定装置と、該履修可否判定装置へ履修申請を送信する履修申請装置とを備え、前記履修可否判定装置は、前記履修可否判定手段による判定結果を前記履修申請装置へ送信する手段を備えることを特徴とする。
【0015】
本発明では、履修申請後、申請期間が経過せずとも即座に結果を確認することができるため、履修不可と判定された学生は、申請期間中に再度履修申請を行うことができるので、希望順位の高い授業に対する履修申請を行うことが可能であり、また申請期間を固定することができるので申請期間の長期化及び管理の煩雑化を回避することが可能であり、さらに履修を許可した学生の数が最終的に授業の定員となる様に確率を調整することが可能であり、しかも先着順で申請可否が決定される訳はないので一時的な処理負荷及び通信負荷の増大を防止することが可能である。
【0016】
第5発明に係るコンピュータプログラムは、コンピュータに、申請期間中に受け付けた授業の履修申請に対する履修可否を判定させるコンピュータプログラムにおいて、コンピュータに、受け付けた授業の履修申請に対し、既に履修を許可している人数に基づいて履修可否確率を決定させる手順と、コンピュータに、決定した履修可否確率に基づいて履修可否を判定させる手順とを実行させることを特徴とする。
【0017】
本発明では、履修申請を受け付けるコンピュータにて実行することにより、コンピュータが、履修可否判定装置として動作し、履修申請後、申請期間が経過せずとも即座に結果を確認することができるため、履修不可と判定された学生は、申請期間中に再度履修申請を行うことができるので、希望順位の高い授業に対する履修申請を行うことが可能であり、また申請期間を固定することができるので申請期間の長期化及び管理の煩雑化を回避することが可能であり、履修を許可した学生の数が最終的に授業の定員となる様に確率を調整することが可能であり、しかも先着順で申請可否が決定される訳はないので一時的な処理負荷及び通信負荷の増大を防止することが可能である。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係る履修可否判定方法、履修可否判定装置、履修可否判定システム及びコンピュータプログラムは、申請期間中に授業の履修申請を受け付ける都度、受け付けた授業の履修申請に対し、既に履修を許可している人数に基づいて履修可否確率を決定し、決定した履修可否確率に基づいて履修可否を判定することにより、履修申請後、履修期間が経過せずとも即座に結果を確認することができるため、履修不可と判定された学生は、申請期間中に希望順位の高い授業に対して履修申請を行うことができるので、申請者の希望を効果的に反映させることが可能であり、また申請期間を固定することができるので申請期間の長期化及び管理の煩雑化を回避させることが可能であり、更に履修を許可した学生の数が最終的に授業の定員となる様に確率を調整することが可能である等、優れた効果を奏する。
【0019】
しかも本発明では、先着順で申請可否か決定される訳ではないので、履修申請受付開始直後に履修申請が集中することがなく、従って履修申請受付開始時の一時的な処理負荷及び通信負荷の増大を防止することが可能である等、優れた効果を奏する。
【0020】
また本発明では、申請期間中の申請受付開始から履修申請の受け付けまでの時間、即ち履修申請を受け付けた時期に基づいて確率を決定することにより、例えば申請期間中に経時的に変化する履修許可人数の目標値を設定しておき、設定した目標値及び既に履修を許可した人数に基づいて確率を決定する様にすることで、履修を許可した学生の数が最終的に授業の定員となる様に調整することが可能である等、優れた効果を奏する。なおこの場合、授業毎に目標値を設定することにより、また修正式を用いて確率を修正することにより、授業の人気、履修を許可した人数に基づいて高精度な調整を行うことが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて詳述する。図1は、本発明の履修可否判定システムの構成例を示す概念図である。図1中1は、大学等の教育機関にて管理されるサーバコンピュータ等のコンピュータを用いた履修可否判定装置であり、履修可否判定装置1は、学内LAN、インターネット等の通信網100を介して学生が操作する学内端末装置、パーソナルコンピュータ、携帯電話等のコンピュータを用いた履修申請装置2と通信することが可能である。そして履修申請装置2を操作する学生は、履修可否判定装置1にアクセスし、講義、実験、演習、実習等の授業の履修の申請等の行為を行う。
【0022】
また履修可否判定装置1は、授業に係る曜日及び時限を示す時間割、科目、教職員、定員等の情報を記録する授業データベース(授業DB)12a、学生に関する学籍番号、所属、成績等の情報を記録する学生データベース(学生DB)12b、教職員に関する教職員番号、所属、担当授業等の情報を記録する教職員データベース(教職員DB)12c、授業を履修する学生の確定状況を記録する確定状況データベース(確定状況DB)12d、履修可否の判定に要する各種数値、数式等の情報を記録する基礎設定データベース(基礎設定DB)12e等の各種データベースを管理している。各種データベースは、例えばXML等の言語を用いた形式で記述される。
【0023】
確定状況データベース12dに記録されている学生の確定状況とは、各授業の定員、及び各授業に対して履修申請が認められ履修が許可された学生の人数である。基礎設定データベース12eには、申請受付開始からの経過時間に対する履修許可人数の目標値を示す情報、確率を修正する修正式に関する情報等の情報が記録されている。履修許可人数の目標値は、後述する様に各授業の定員を上限として経時的に増加する。従って目標値を示す情報としては、確率テンプレートとして時間をパラメータとした関数を記録する様にしても良く、また申請受付開始からの経過時間(時間帯)毎に目標値を対応付けて記録する様にしても良い。更には授業毎に目標値を示す情報を設定する様にしても良い。修正式とは、後述する様に基礎確率を修正した修正確率を求めるための数式であり、曜日及び時限毎に設定することが可能である。
【0024】
なお図1では、説明を容易にするため、簡単な構成例を示しているが、履修可否判定装置1を複数台の装置にて構成する様にしても良く、特に各種データベースは夫々異なる装置にて管理し、必要に応じて履修可否判定装置1からアクセスする様にしても良い。また各種データベースは、関連性の高いデータベースを統合する様にしても良く、更に分割する様にしても良い。なお履修可否判定装置1のアクセスに対しては、ファイアウォールの設置等の安全措置が施されている。
【0025】
図2は、本発明の履修可否判定システムにて用いられる各種装置の構成例を示すブロック図である。履修可否判定装置1は、装置全体を制御するCPU(Central Processing Unit) 等の制御手段10と、本発明の履修可否判定装置用のコンピュータプログラム201及びデータ等の各種情報を記録したCD−ROM(Compact Disc Read Only Memory) 等の記録媒体202から各種情報を読み取るCD−ROMドライブ等の補助記憶手段11と、補助記憶手段11により読み取った各種情報を記録するハードディスク等の記録手段12と、情報を一時的に記憶するRAM(Random Access Memory)等の記憶手段13とを備えている。そして記録手段12に記録した本発明のコンピュータプログラム201を記憶手段13に記憶させて、制御手段10の制御にて実行することにより、コンピュータは、本発明の履修可否判定装置1として動作する。
【0026】
なお記録手段12の記録領域の一部は、授業データベース12a、学生データベース12b、教職員データベース12c、確定状況データベース12d、基礎設定データベース12e等の各種データベースとして用いられる。
【0027】
さらに履修可否判定装置1は、時刻を指示し時計及びタイマとして用いられる時計手段14と、通信網100に接続する通信手段15と、マウス及びキーボード等の入力手段16と、モニタ及びプリンタ等の出力手段17とを備えている。なお履修可否判定装置1に例えば通信網100を介して操作用端末装置を接続する様にしても良く、その場合、入力手段16及び出力手段17は不要となる。
【0028】
履修申請装置2は、制御手段20、記録手段21、記憶手段22、時計手段23、通信手段24、入力手段25及び出力手段26を備えている。
【0029】
次に本発明の履修可否判定システムにて用いられる各種装置の処理について説明する。図3は、本発明の履修可否判定システムにて用いられる各種装置の処理を示すフローチャートである。履修を申請する申請者である学生は、履修申請の受け付けが行われる申請期間中に、履修申請装置2を操作して、履修可否判定装置1にログインする。ログイン時には、学生を識別する学籍番号等の情報を入力し、履修可否判定装置1は、入力された学籍番号に基づいて、学生データベース12bから当該学籍番号に対応付けられている情報を読み出し、読み出した情報に基づいて授業データベース12aから当該学生による履修申請の対象となる授業を抽出し、履修申請装置2へ送信する。履修申請装置2にて、履修申請の対象となる授業を確認した学生は、履修申請の対象となる授業の中から選択した授業を指定して、履修を申請する操作を行う。
【0030】
履修申請装置2は、制御手段20の制御により、入力手段25から履修申請操作を受け付け(ステップS1)、選択した授業を識別する授業IDを含む履修申請情報を、通信手段24から通信網100を介して履修可否判定装置1へ送信する(ステップS2)。履修申請情報とは、授業の履修申請を行う電文情報であり、授業ID以外にも学生を識別する学籍番号等の情報が含まれている。但し、ログイン時に学籍番号を入力している場合には、履修申請情報に学籍番号が含まれていなくとも、送信元の装置を示す装置ID、セッション番号等の情報にて申請した学生を識別することが可能である。
【0031】
履修可否判定装置1は、コンピュータプログラム201を実行する制御手段10の制御により、通信手段15にて履修申請情報を受信し(ステップS3)、受信した履修申請情報の正当性を判定する(ステップS4)。ステップS4の正当性の判定とは、履修申請情報にて履修を申請した授業が、申請を行った学生が申請することが可能な授業か否かの判定であり、授業データベース12a及び学生データベース12bに記録されている情報に基づいて判定される。なおステップS4にて正当ではないと判定した場合、履修申請装置2へ不当な申請であることを通知する情報の送信等の異常処理を行い、処理を終了する。
【0032】
そして履修可否判定1は、予め設定されている申請回数の上限値を超えるか否かを判定する(ステップS5)。申請回数の上限値とは、一の学生(申請者)が同一の授業に対して繰り返し履修申請を行うことが可能な上限値であり、例えば1日当たり1回、申請期間を通じて5回等の上限値が設定されている。本発明の履修可否判定方法では、申請期間中であれば、何度でも履修申請を行うことができるので、同一の授業に対する履修申請回数に上限を設定する。
【0033】
ステップS5において、上限値を超えていないと判定した場合(ステップS5:NO)、履修可否判定装置1は、制御手段10の制御により、時計手段14にて示される時刻、基礎設定データベース12eに記録されている履修許可人数の時間に対する目標値、及び確定状況データベース12dに記録されている既に履修を許可した人数に基づいて、履修可否を判定する確率の基礎となる基礎確率を算出し(ステップS6)、算出した基礎確率を、基礎設定データベース12eに記録されている情報に基づく修正式により修正した修正確率を算出し(ステップS7)、ステップS7にて算出した修正確率を、履修可否を判定する確率として決定する(ステップS8)。
【0034】
そして履修可否判定装置1は、制御手段10の制御により、決定した確率に基づいて履修可否を判定する(ステップS9)。例えば確率が40%である場合、0.00〜0.99の100通りの数値を発生させる乱数を使い、発生させた数値が0.00〜0.39であるとき履修可と判定する。
【0035】
ステップS9において、履修可と判定した場合(ステップS9:YES)、履修可否判定装置1は、制御手段10の制御により、判定結果に基づき学生データベース12c及び確定状況データベース12dを更新し(ステップS10)、履修を許可することを通知する判定結果通知情報を生成し(ステップS11)、生成した判定結果通知情報を、通信手段15から通信網100を介して履修申請装置2へ送信する(ステップS12)。
【0036】
ステップS5において、上限値を超えると判定した場合(ステップS5:YES)、履修可否判定装置1は、制御手段10の制御により、履修は不可であることを通知する判定結果通知情報を生成し(ステップS13)、ステップS12へ進み、判定結果通知情報を送信する(ステップS12)。
【0037】
ステップS9において、履修不可と判定した場合(ステップS9:NO)履修可否判定装置1は、制御手段10の制御により、ステップS13へ進み、履修は不可であることを通知する判定結果通知情報を生成する(ステップS13)。またこの時、当該学生が当該授業に対して履修申請を行った申請回数がカウントアップされる。
【0038】
履修申請装置2は、制御手段20の制御により、通信手段24にて判定結果通知情報を受信し(ステップS14)、受信した判定結果通知情報に基づく判定結果を出力手段26から出力する(ステップS15)。そして学生は、出力された判定結果を確認し、次の授業の申請、ログアウト等の操作を行う。
【0039】
次に本発明の履修可否判定方法における履修可否を判定する確率の決定方法について説明する。図3のフローチャートのステップS6として説明した様に本発明の履修可否判定方法では、時刻(時期)、履修許可人数の時間に対する目標値及び既に履修を許可した人数に基づいて基礎確率を算出する。
【0040】
図4は、本発明の履修可否判定方法における履修許可人数の目標値の時間変化を示すグラフである。図4中、横軸は、申請受付開始からの経過時間であり、縦軸は、履修許可人数の目標値を示している。横軸の時間は、申請期間に対応しており、申請期間の開始から終了までを示している。図4のグラフに示す様に履修許可人数の目標値は、時間の関数として示すことが可能な経時的に変化する値であり、申請期間の開始時点では「0」であるが、申請期間の終了時点で定員に達する様に設定されている。即ち履修許可人数の目標値は、申請期間中の申請受付開始から履修申請の受け付けまでの時間に基づいて変化する。図4のグラフでは、履修許可人数の目標値が、申請受付開始からの経過時間に比例して増加、即ち目標値の変化が直線として示されているが、曲線で示される様に変化させる等、任意に設定することが可能である。
【0041】
本発明の履修可否判定方法では、図4に例示した履修許可人数の時間に対する目標値及び時刻から、履修申請を受け付けた時点における履修許可人数の目標値を求め、求めた目標値及び既に履修を許可した人数(確定数)に基づいて、下記の式1を用いて基礎確率を算出する。
【0042】
基礎確率(%)=100×(目標値−確定数)/目標値 …式1
【0043】
式1に示す様に、既に履修を許可した人数が多い程、基礎確率は低くなる。ただし目標値は申請受付開始からの時間に基づいて経時的に増加するため必ずしも申請する時期が早い程、基礎確率が高くなるわけではない。従って申請期間の終了が近付いた時点で申請した場合でも、履修申請が多く人気の高い授業の履修が許可される可能性があり、また第1希望の授業の履修が許可されなかった場合でも、比較的希望順位の高い授業の履修が許可される可能性がある。しかもステップS5にて示した様に申請回数の上限値を超えない限り、同一の授業に対し履修申請を行うことも可能である。
【0044】
図4にグラフとして示した履修許可時間の目標値の時間に対する変化を示す関数は、確率テンプレートとして基礎設定データベース12eに記録されている。また基礎設定データベース12eには、時間に対し目標値が連続的に変化する関数として記録するのではなく、履修期間を複数の時間帯に区分し、時間帯毎に設定した目標値を記録する様にしても良い。さらに人数として目標値を設定した確率テンプレートを設定するのではなく、定員に対する割合として確率テンプレートを設定し、授業毎に設定されている定員に対し、確率テンプレートとして設定された割合を乗じることにより人数としての目標値を算出する様にしても良い。また授業毎に時間に対する目標値を設定する様にしても良い。
【0045】
図3のフローチャートのステップS7として説明した様に本発明の履修可否判定方法では、式1を用いて算出した基礎確率に対し、修正式を用いて修正することにより修正確率を算出する。
【0046】
図5は、本発明の履修可否判定方法における修正確率の算出に用いる修正値の一覧を示す図表である。図5は、修正確率を算出するための修正式に用いる修正値を、曜日及び時限に対応付けた一覧として示している。図5に示した修正値を用いる場合、確率を算出する授業の曜日及び時限に対応する修正値を用いた下記の式2に基づいて修正確率を算出する。
【0047】
修正確率(%)=基礎確率+修正値 …式2
【0048】
図5に示す修正値は、月曜日及び土曜日並びに1時限に割り当てられた授業の確率が高くなる様に設定されている。これは月曜日及び土曜日並びに1時限に割り当てられた授業を敬遠する学生が多いことから、履修する学生を早期に確定させることを目的として修正値を設定している。
【0049】
図5に図表として示した修正値の一覧及び修正式は、基礎設定データベース12eに記録されている。なお図5に示す例では、授業を行う時間に応じて修正値を設定しているが、各授業に対して修正値を設定する様にしても良い。また修正値は、必ずしも正の値である必要はなく、負の値を取る様にしても良い。さらに式2に示す様に基礎確率に修正値を加算して修正確率を算出するのではなく、基礎確率に修正値を乗じる等、様々な数式を設定することが可能である。
【0050】
図5では、申請期間を通じて一定の値となる修正値を示したが、申請期間中に経時的に変化する修正値を用いる様にしても良い。具体的には、履修申請を受け付けた時点における履修許可人数の目標値を求め、求めた目標値及び既に履修を許可した人数(確定数)並びに当該授業の定員に基づいて、下記の式3を用いて修正値を算出する。
【0051】
修正値(%)=100×(目標値−確定数)/定員 …式3
【0052】
そして式3にて求めた修正値を用い、前述した式2に基づいて修正確率を算出することができる。
【0053】
上述した方法にて算出した修正確率が100%を超えた場合、履修可否を判定する確率は、100%に決定される。また修正値に負の数を用いることにより、修正確率が0%以下となった場合、履修可否を判定する確率は、0%に決定される。さらに修正値を用いることにより、ある時点における確定数が、その時点における目標値を超える場合も生じる。この様な場合、基礎確率が負の数となるが、履修可否を判定する確率は、0%以上となる様に決定される。またある時点における確定数が、その時点における目標値を超えることにより、定員に達した場合は、履修可否を判定する確率は0%に決定される。
【0054】
なお履修可否判定装置1を操作する権限を有する担当者の操作により、修正値の算出方法を適宜修正することが可能である。上述した履修可否判定方法は、複数の授業の中から選択を要求される授業、所謂選択科目に対して適用されるものであり、履修が必須である授業、所謂必須科目については、学年等の履修条件の判定等、別途異なる方法を用いて履修の可否の判定が行われる。
【0055】
前記実施の形態では、基礎確率を修正した修正確率に基づいて履修可否を判定する確率を決定する形態を示したが、本発明はこれに限らず、基礎確率をもって履修可否を判定する確率として決定する様にしても良い。なお確率を計算する方法は、様々な状況に応じて適宜設定することが可能である。
【0056】
以上の実施の形態に関し、更に以下の付記を開示する。
【0057】
(付記1)
申請期間中に受け付けた授業の履修申請に対する履修可否を判定する履修可否判定装置を用いた履修可否判定方法において、
受け付けた授業の履修申請に対し、既に履修を許可している人数に基づいて履修可否確率を決定し、
決定した履修可否確率に基づいて履修可否を判定する
ことを特徴とする履修可否判定方法。
【0058】
(付記2)
申請期間中に受け付けた授業の履修申請に対する履修可否を判定する履修可否判定装置において、
受け付けた授業の履修申請に対し、既に履修を許可している人数に基づいて履修可否確率を決定する手段と、
決定した履修可否確率に基づいて履修可否を判定する手段と
を備えることを特徴とする履修可否判定装置。
【0059】
(付記3)
申請期間中に受け付けた授業の履修申請に対する履修可否を判定する履修可否判定装置において、
申請期間中の申請受付開始から履修申請の受け付けまでの時間に基づいて履修可否確率を決定する手段と、
決定した履修可否確率に基づいて履修可否を判定する手段と
を備えることを特徴とする履修可否判定装置。
【0060】
(付記4)
前記履修可否確率を決定する手段は、
申請期間中に経時的に変化する履修許可人数の目標値及び既に履修を許可した人数に基づいて確率を決定する様に構成してあることを特徴とする付記2又は付記3に記載の履修可否判定装置。
【0061】
(付記5)
授業毎に、前記履修許可人数の目標値の経時的な変化の設定を記録する手段を更に備えることを特徴とする付記4に記載の履修可否判定装置。
【0062】
(付記6)
修正式を用いて確率を修正する手段を更に備えることを特徴とする付記2乃至付記5のいずれかに記載の履修可否判定装置。
【0063】
(付記7)
同一の授業に対する同一の申請者から受け付けた履修申請の回数が上限値を超える場合に、履修不可と判定する手段を更に備えることを特徴とする付記2乃至付記6のいずれかに記載の履修可否判定装置。
【0064】
(付記8)
付記2乃至付記7のいずれかに記載の履修可否判定装置と、
該履修可否判定装置へ履修申請を送信する履修申請装置と
を備え、
前記履修可否判定装置は、
前記履修可否判定手段による判定結果を前記履修申請装置へ送信する手段を備える
ことを特徴とする履修可否判定システム。
【0065】
(付記9)
コンピュータに、申請期間中に受け付けた授業の履修申請に対する履修可否を判定させるコンピュータプログラムにおいて、
コンピュータに、受け付けた授業の履修申請に対し、既に履修を許可している人数に基づいて履修可否確率を決定させる手順と、
コンピュータに、決定した履修可否確率に基づいて履修可否を判定させる手順と
を実行させることを特徴とするコンピュータプログラム。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本発明の履修可否判定システムの構成例を示す概念図である。
【図2】本発明の履修可否判定システムにて用いられる各種装置の構成例を示すブロック図である。
【図3】本発明の履修可否判定システムにて用いられる各種装置の処理を示すフローチャートである。
【図4】本発明の履修可否判定方法における履修許可人数の目標値の時間変化を示すグラフである。
【図5】本発明の履修可否判定方法における修正確率の算出に用いる修正値の一覧を示す図表である。
【符号の説明】
【0067】
1 履修可否判定装置
12a 授業データベース
12b 学生データベース
12c 教職員データベース
12d 確定状況データベース
12e 基礎設定データベース
2 履修申請装置
201 コンピュータプログラム
202 記録媒体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
申請期間中に受け付けた授業の履修申請に対する履修可否を判定する履修可否判定装置を用いた履修可否判定方法において、
受け付けた授業の履修申請に対し、既に履修を許可している人数に基づいて履修可否確率を決定し、
決定した履修可否確率に基づいて履修可否を判定する
ことを特徴とする履修可否判定方法。
【請求項2】
申請期間中に受け付けた授業の履修申請に対する履修可否を判定する履修可否判定装置において、
受け付けた授業の履修申請に対し、既に履修を許可している人数に基づいて履修可否確率を決定する手段と、
決定した履修可否確率に基づいて履修可否を判定する手段と
を備えることを特徴とする履修可否判定装置。
【請求項3】
申請期間中に受け付けた授業の履修申請に対する履修可否を判定する履修可否判定装置において、
申請期間中の申請受付開始から履修申請の受け付けまでの時間に基づいて履修可否確率を決定する手段と、
決定した履修可否確率に基づいて履修可否を判定する手段と
を備えることを特徴とする履修可否判定装置。
【請求項4】
請求項2又は請求項3に記載の履修可否判定装置と、
該履修可否判定装置へ履修申請を送信する履修申請装置と
を備え、
前記履修可否判定装置は、
前記履修可否判定手段による判定結果を前記履修申請装置へ送信する手段を備える
ことを特徴とする履修可否判定システム。
【請求項5】
コンピュータに、申請期間中に受け付けた授業の履修申請に対する履修可否を判定させるコンピュータプログラムにおいて、
コンピュータに、受け付けた授業の履修申請に対し、既に履修を許可している人数に基づいて履修可否確率を決定させる手順と、
コンピュータに、決定した履修可否確率に基づいて履修可否を判定させる手順と
を実行させることを特徴とするコンピュータプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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