履物の紐掛けシステム
【課題】靴の締め付けを緩め段階的な調整を容易にする。
【解決手段】つまみ274が非連結位置にあるとき、シャフト上のスプライン314は、スプライン312から非係合となり、これによって、靴紐の巻き取りに反応するリールの逆方向の巻き取りを可能にする。放射状に移動可能な鋸歯状ワッシャ316は、スライド可能に、非連結くぼみ318と連結凹み320の間を移動する。
【解決手段】つまみ274が非連結位置にあるとき、シャフト上のスプライン314は、スプライン312から非係合となり、これによって、靴紐の巻き取りに反応するリールの逆方向の巻き取りを可能にする。放射状に移動可能な鋸歯状ワッシャ316は、スライド可能に、非連結くぼみ318と連結凹み320の間を移動する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は履物に関する。さらに詳細には、本発明は低摩擦の紐掛けシステム(lacing system)に関するものであり、このシステムは、スポーツ用ブーツ及び靴に、装着者の足にわたる均衡な締め付け圧力を提供する。
【背景技術】
【0002】
現在、靴又はブーツを装着者の足を締め付ける機構及び方法は数多く存在する。従来の方法は、靴の対向する側面に取り付けられて二列に平行して並んだ鳩目を通してジグザグ状に靴紐を通す方法を含む。靴は、足の正中線へと二列の鳩目を引っ張るために、通された靴紐の対向する端部を最初に引っ張り、次に張力を維持するために端部を結び合わせることによって、締め付けられる。紐掛けシステムのこのタイプには、数多くの欠点が伴う。まず、靴紐は靴紐を通された領域の長さに沿って締め付ける力を適切に配分しない。これは靴紐と鳩目の摩擦によるもので、このため靴紐の一部分はたるんで、他の部分がきつくなる。したがって、より大きな張力のかけられた靴の部分は、足のある部分の周囲、特に靴紐の端部により近い足首の位置をさらに締め付ける。これは履き心地が悪く、ある種のスポーツでは成績に不利な影響を及ぼす可能性がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来的な靴紐に伴う他の欠点は、装着者は、靴紐が通された多くの鳩目の各々から靴紐を緩めなければならないため、ほどくこと又は靴紐の張力を再調整することがしばしば困難であるという点である。結び目を単純にほどいただけでは、靴紐は簡単に緩められない。靴紐と鳩目の間の摩擦はしばしば、結び目が解けた後もつま先の部位、時折は足の大部分の張力を維持する。したがって、使用者は、しばしば靴紐を鳩目の各々から別々に緩めなければならない。アイススケート用ブーツ又は他の特殊な高機能性の履物などのように鳩目の数が多い場合、これは特に手間がかかる作業になる。
【0004】
他の締め付け機構は、装着者の足の周囲を締め付けるためにともに留め合わせるバックルを含む。典型的には、三つから四つ以上のバックルが、靴の上部(upper portion)に配置される。バックルは、靴を装着者の足の周囲に締め付けるため及び緩めるために、迅速に一緒に留め合わせたり引き離すことができる。バックルは締め付けたりほどいたりが容易にできるが、欠点もある。特に、バックルは、バックルの位置に応じて、装着者の足に沿った三つ又は四つの位置に閉止圧力を孤立させてしまう。これは、装着者が足の長さに沿って均一に配分された力線を所望するスポーツ用ブーツの使用の際など、多くの場合に望ましくない。バックルの他の欠点は、典型的には硬質プラスチック又は他の硬質材料のブーツにしか役に立たないという点である。バックルは、アイススケート用又はスノーボード用ブーツのような、より軟質のブーツに使用するには実用的ではない。
【0005】
したがって、上述した欠点のない、履物用締め付けシステムが必要である。このようなシステムは、装着者の足首及び足の長さに沿って横方向の力を自動的に配分するものでなければならない。靴の締め付けは、望ましくは、緩めたり段階的な調整が容易であるべきである。締め付けシステムはしっかりと閉止して、連続使用の際に緩んでしまうことがあってはならない。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一つの態様に応じて提供されるのは、履物の製品の第一及び第二の側面を互いに引き寄せて履物を足の周囲で締め付ける閉止システムである。前記閉止システムは靴紐を受容するための回転可能なスプールを含み、前記スプールは、靴紐を取り上げるために第一の方向へ、靴紐を開放するために第二の方向へと回転可能である。つまみは前記スプールに接続され、つまみの回転に反応して前記スプールが第一の方向へ回転される。開放可能なロックは、第二の方向への前記スプールの回転を防ぐ。ロックの開放が、靴紐に張力を与えるために第二の方向への前記スプールの回転を起こすが、しかし、前記スプールは前記つまみの回転に反応して第二の方向へ回転できない。一つの実施例においては、前記つまみは、第一の方向にのみ回転可能である。
【0007】
本発明によるもう一つの態様に基づいて、履物の紐掛けシステムが提供される。システムは履物の部材を含み、これは足の周囲を包むように構成された第一及び第二の対向する側面を含む。複数の対向するケーブルガイド部材が対向する前記側面に配置される。ケーブルは、前記ガイド部材によってガイドされ、第一の端部及び第二の端部を備える。前記第一の及び第二の端部は、取り外し可能に前記スプールに対して固定される。締め付け機構は、前記靴に取り付けられ、前期スプールに連結される。前記締め付け機構は、ケーブルに張力を置くためにケーブルを前記スプール周辺に巻き取る制御を含み、これによって靴の対向する側面を互いに引き寄せる。
【0008】
好ましくは、ケーブルの前記第一及び第二の端部は、前記ケーブルが前記スプールを取り外すことなく前記靴の紐掛けシステムから取り外しされるように、取り外し可能に前記スプールに接続される。一つの実施例においては、前記ケーブルは、複数の紐を含み、これらは、好ましくは、前記第一及び第二の端部の各々において一緒に固定される。前記紐は、一つの実施例では、接合によって固定される。
【0009】
好ましくは、前記履物は、さらにその上に少なくとも一つの伸長制限バンドを含み、これは伸長制限面に留まる。前記伸長制限バンドは一つの実施例においては、装着者の足首の周囲を取り囲み、伸長制限面は靴を通じて全体的に水平に延出する。
【0010】
本発明のさらなる態様に基づいて、ユーザの動作に適合する、履物の紐掛けシステムが提供される。前記紐掛けシステムは、足の周囲を包むように配置された、少なくとも足の部分及び足首部分、さらに第一及び第二の対向する側面を含む履物の部材を含む。複数の対向するガイド部材が対向する側面に配置される。ケーブルはスライド可能に前記ガイド部材を通って延出し、足首における脚の前方への屈曲が足首部分での靴紐の緩みと、それに対応する靴紐の足部分の締め付けを引き起こし、その結果、足首における脚の後方への屈曲が足首部分での靴紐の締め付けと、それに対応する足部分での靴紐の緩みを引き起こす。伸長制限ストラップは少なくとも履物の部分を取り囲む。
【0011】
本発明のもう一つの態様に基づいて、ブーツの靴紐領域の長さに沿って、張力をつり合わせる方法が提供される。前記方法は、第一及び第二の対向するガイド部材の組合わせと、第一及び第二の対向するガイド部材の間で前後に延出する靴紐とを有するブーツを提供する方法を含む。前記ガイド部材は各々、靴紐がスライドする通路を画定し、回転可能な締め付け機構がブーツ上に提供され、靴紐を巻き取り、それによって第一及び第二の対向するガイド部材の組を互いに向かって前進させてブーツを締め付ける。前記締め付け機構は、靴紐を巻き取り、それによって第一及び第二の対向するガイド部材の組を互いに向かって前進させてブーツを締め付けるために回転される。前記靴紐はガイド部材の長さを通じてスライドされ、締め付け力をガイド部材の長さに沿って配分し、締め付け力をブーツの靴紐領域の長さに沿ってつり合わせる。靴紐領域を通じて少なくとも一つの面における伸長は、その面において伸長制限ストラップを締めることによって制限される。
【0012】
本発明のさらなる態様及び利点は、添付された図面と請求項とともに考慮される際、以下に続く好ましい実施例の詳細な説明から明白となるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
図1を参照すると、本発明に基づいて用意されたスポーツ用ブーツ20の一つの実施例が開示されている。スポーツ用ブーツ20は全体として、紐掛けシステム22を用いて装着者の足に締め付けられるアイススケート又は他のアクションスポーツ用ブーツを含む。紐掛けシステム22は靴紐23(図2)を含み、以下に詳細に説明されるように、靴紐23はブーツ20に通され、反対の端部を締め付け機構25に取り付けられる。本文中で用いられるように、用語「靴紐」及び「ケーブル」は特に規定されない限り同一の意味を有する。靴紐23は、ブーツ20に通されて容易に滑動する低摩擦靴紐であって、全体的に足首及び足に沿って延在する靴紐領域の長さにわたってブーツ20の締め付けを自動的に均衡される。本発明はアイススケート用ブーツに関して説明されるが、本文中で述べる原理は、広範囲な履物のいずれに対しても容易に適用されるものであって、特にスノーボード、ローラースケート、スキーなどに適切なスポーツ用靴又はブーツに適用可能であることは理解されるべきである。
【0014】
ブーツ20は、つま先部分26、かかと部分28及び、装着者の足首を取り囲む足首部分29を含む、上部24を含む。上部24の足の甲部分30は、つま先部分26と足首部分29との間に配置されている。足の甲部分30は、足首とつま先との間の、装着者の足の内側面の弧の上部部分に沿うように構成される。ブレード31(点線で図示)は、アイススケート用の実施例においては、ブーツ20の底から下方に向かって延出する。
【0015】
図2は、ブーツ20の正面図である。図示されたように、ブーツ20の上端は全体的に、舌状部36を部分的に覆う二つの向かい合った閉止縁部又はフラップ32及び34を含む。一般的に、靴紐23は、以下に詳述されるように、フラップ32及び34を互いに対して引き寄せ、ブーツ20を足の周囲に締め付けるために引っ張られることができる。フラップ32及び34の内側縁部は、距離を置いて離れているように図示されるが、ブーツ20が締め付けられる際はスキー用履物において知られているように、フラップ32及び34が互いに重なり合う寸法にできることを理解されたい。このように、互いに対する履物の対向する側面の図面の本文中での参照は、足の側面の履物部分に関する。この参照は、締め付けられたときに対向する縁部の間が開いた上体を維持する履物(例えばテニスシューズ)に対しても、締め付けられたときに対向する縁部が重なり合う履物(例えばスキーシューズ)に対しても、一般的である。両方において、締め付けは、履物の対向する側面を互いに引っ張り寄せることによって達成される。
【0016】
図2を参照すると、舌状部36は、つま先部分26からブーツ20の足首部分29へと後方に向かって延在する。好ましくは、舌状部36は、靴紐23が締めつけられた際に舌状部の表面32上におけるフラップ32と34と靴紐23との滑動を容易にするための低摩擦上部表面37を備える。低摩擦表面37は、舌状部32と一体に成形されるか、接着剤、熱接着、縫い付けなどで取り付けられてもよい。一つの実施例においては、表面37は、ナイロン又はポリテトラフルオロエチレンの可撓層を舌状部36の頂部表面に対して接着することによって成形される。舌状部36は、好ましくは、皮革のような柔軟な材料から製造される。
【0017】
上部24は、当業者には公知の、広範囲の材料のいずれからでも製造されることができる。スノーボード用ブーツの場合、上部24は、装着者の足の形状になじむ柔軟な皮革材料から製造されるのが好ましい。他のタイプのブーツ又は靴では、上部24は、硬質の又は柔軟なプラスチックから製造されてもよい。上部24は他のさまざまな公知の材料のいずれから製造されることも予期される。
【0018】
図2に示されたように、靴紐23は、フラップ32及び34上に位置する全体として平行な側面保持部材40二列の間の足の中心線に沿って、交差模様に通される。図示された実施例においては、側面保持部材40は各々、フラップ32及び34の上部及び底部の縁部を取り囲む一片の材料からなり、ガイド50が配置される領域を画定する。靴紐23は、以下にさらに詳しく説明されるように、靴紐が締め付けられる際とほどかれる際にはガイド50を通じて滑動する。図示された実施例においては、フラップ32及び34に各々三つの側面保持部材40が存在するが、保持部材40の数は可変である。いくつかの実施例によっては、四つ、五つか又はそれ以上の保持部材40がブーツの各側面にあることが望ましい場合がある。
【0019】
ガイド50は、フラップ32及び34、又は靴の他の間隔を置いて配置された部分に対して、本文中の開示内容に鑑み、当業者が理解できるどのような方法でも取り付けられることができる。例えば、保持部材40は取り外しされてもよく、ガイド50が、フラップ32及び34の表面、又は、上部(upper)の対向する側面に直接縫い付けられてもよい。ガイド50をフラップ32及び34に対して直接縫い付けることは、ガイド50の長さに沿った力の配分の最適な制御を有利に可能にする。例えば、靴紐23が比較的強く引っ張られた状態にあるとき、後述するように、ガイド50は湾曲しがちで、長手部分51と横断部分53の間における湾曲遷移部の付近でよじれる可能性もある。引っ張られた状態でのガイド部材の湾曲は、ガイド部材と靴紐26の間の摩擦を増大させ、ガイド部材50の重度の湾曲又はよじれは、紐掛けシステムの意図された使用に望ましくない影響を及ぼす。このように、ガイド50を靴に取り付ける取り付け機構は、好ましくは、湾曲及び/又はよじれに抵抗するガイド部材の十分な支持を提供する。十分な支持は、特に、ガイド部材50の端部に特に近い、湾曲された部分の内半径のいずれに対しても望ましい。
【0020】
図1及び図2に図示されたように、靴紐23は、足首部分29に配置される上部留め部材44a及び44bを通って、足首部分29の周囲にも延在する。上部留め部材44a及び44bは各々、留め部材44と上部24の間の隙間を画定する部分的に盛り上げられた中心部分を有する材料の片を含む。上部ガイド部材52は、足首部分29の各側面の周囲から締め付け機構25まで靴紐23をガイドするための各々の空間を通じて延在する。
【0021】
図3は、ブーツ20の紐掛けシステム22の概略透視図である。図示されたように、側面及び上端ガイド部材50及び52の各々は、中央管54を備える管状の構成を備える。各々の管54は、締め付け時とほどく時に、側面及び上端ガイド部材50、52を通って靴紐23が滑動するのを容易にし、靴紐23のひっかかりを防ぐために靴紐23の外径よりも大きい内径を有する。一つの実施例では、管の内径は約0.040インチであって、約0.027インチの外径を備える靴紐と共に用いられる。しかし、管54の直径は、特定の所望の靴紐の寸法及び他の設計構成に対応するために可変であることは、理解されるだろう。ガイド部材50及び52の各々は、管54の反対側の端部と連通する一組の開口部49を画定する。開口部49は、靴紐23の入口/出口として機能する。開口部は、望ましくは、少なくとも管54の横断面の幅を有する。
【0022】
図示された実施例においては、側面ガイド部材50各々は全体として、靴の中心線に対して開くU字型を備える。好ましくは、側面ガイド部材50は、長手部分51及びそこから延びる二つの傾斜した又は横断部分53を含む。長手部分51の長さは、靴紐23に張力がかかっている際、靴紐23が上部24に対して加える閉止圧の配分を調整するために可変である。さらに、長手部分51の長さは、特定の靴のすべてのガイド部材50に対して同じである必要はない。例えば、長手部分51は、装着者の足首に対して靴紐23が加える閉止圧力を増大させるために、足首部分29の付近では短くされてもよい。一般的には、長手部分51の長さは、約 〜約3インチの範囲内に落ち付き、ある実施例においては、約 〜約4インチの範囲になる。一つのスノーボード適用例では、長手部分51は、約2インチの長さを有していた。横断部分53の長さは、一般的に約 〜約1インチの範囲に収まる。一つのスノーボード用適用例においては、横断部分53は、約 インチであった。異なる特定の長さの組み合わせは、本文中の開示内容の観点から、当該技術分野の通常の熟練者は、日常の経験を介して特定のブーツの設計に応じて容易に最適化できる。
【0023】
長手部分53と横断部分53の間には、湾曲遷移部がある。好ましくは、遷移部は、端まで実質的同一の半径、又は半径にとがった角又は先鋭な変化のない、滑らかな漸進的湾曲を有する。この構造は、靴紐23が角を回る際に滑動できる、なめらかな表面を提供する。いくつかの実施例においては、円くされた角の表面が靴紐23の滑動を容易にするために設けられている限りは、横断部分53は消去されてもよい。外径0.090インチのガイド部材50及び外径0.027インチの靴紐23を伴い、横断部分53及び曲線的遷移部を備える実施例において、遷移部の半径は、好ましくは約0.1インチよりも大きく、さらに一般的には約0.125〜約0.4インチの範囲内である。
【0024】
図3を参照すると、上部ガイド部材52は、足首部分29の向かい合う側面の実質的周囲に延在する。各上部ガイド部材52は、近端部56及び遠端部55を有する。遠端部55は、最上位置の側面ガイド部材50から靴紐26の受け入れのために舌状部36の上部付近に配置される。近端部56は、締め付け機構25に連結される。図示された実施例において、近端部56は、以下に詳細に説明されるように、靴紐23の端部をそこに送りこむための締め付け機構25に係合する長方形の接続台57を含む。
【0025】
ガイド部材50及び/又は52は、好ましくは、潤滑性ポリマー又は金属のような低摩擦性材料で製造され、靴紐23の可滑動性を促進させる。代替的には、ガイド50、52は、都合のよい実質的に硬質材料のいずれから製造されてもよく、次に潤滑性の被覆部が、少なくとも管54の内部表面に滑動性を高めるために施される。ガイド部材50及び52は、好ましくは、靴紐23が固定される際にガイド部材50及び52の内部における、ガイド部材50、52及び/又は靴紐23の湾曲及びよじれを防ぐために実質的に硬質である。ガイド部材50、52は、冷間曲げ又は加熱曲げによって所望の形状に曲げられる及び材料の真直な管から製造されてもよい。
【0026】
代替的には、ガイド部材50、52は、湾曲が可能で低摩擦表面を保ち、よじれに抵抗する方法によって構成されてもよい。例えば、ガイド部材50、52は、ばねコイルを含んでもよく、これは、露出されたばねコイル又は、内部表面又は外部表面又は両面にポリマー被覆を施されたばねコイルのいずれでもよい。ばねコイルガイドの規定は、いくつかの実施例における横方向の可撓性の必要を満たすものであって、ガイドと靴紐の間の摩擦の最小化に役立つ硬質の内部表面を保持するものである。
【0027】
横方向の可撓性を増大させつつ硬質の内部靴紐を表面に接触させて保持する代替的なガイド部材50、52の設計として、ガイド50は、硬質ポリマー性又は金属管材料の同軸に揃えられた複数のセグメントを含んでもよい。このように、複数の管状セグメントでは、各セグメントは約0.1〜約1.0インチの範囲内の軸長を備え、好ましくは約0.25インチ又はそれより少ない長さを備えたものが同軸に揃えられて、端から端まで接触するか、又はガイド50、52の長さに沿って軸上に離間されてもよい。隣接する管状セグメントは、外部の可撓性ポリマージャケットの適用可能性によって同軸関係に維持されることができる。管状ガイドの形状は、ガイドを靴の側面に所望の方向に縫い付けることによって、又は、本文中の開示内容に照らして、当業者に明らかな他の技術によって保持されてもよい。
【0028】
前述の管状ガイド部材の代替案として、ガイド部材50及び/又は52は、例えば、半円又はU字状の横断面を備える開口通路を含む。ガイド通路は、好ましくは、靴紐の引っ張りが保たれるように、通路の開口がブーツの中心線に向かい合わないようにブーツに取り付けられる。靴紐の引っ張りが解除された際に靴紐が抜けていかないように、一つ又はそれ以上の保持片(retention strip)、縫い取り又はフラップが、通路の開口側面を「閉じる」ために提供されてもよい。通路の軸方向の長さは、図示された管状実施例のように一般的にはU字型構成で実施され、管形状の実施例との関連において説明されるように、継続していても、分節化されていてもよい。
【0029】
いくつかのガイド通路は、靴に対して接着されるか又は縫い取られる一般的な後部保持片に対して成型されたいくつかのガイド通路のように、一体に製造される。このように、右の靴紐保持片及び左の靴紐保持片は、ガイド通路の右セット及び左セットを提供するために、靴の上部又は側面の向かい合う部分に対して固定されてもよい。
【0030】
上記に説明された管状ガイド部材の代替案として、ガイド部材50及び/又は52は、図4(A)及び図4(B)に図示されたように、そこに嵌合する第一部材200と第二部材202とから成る複合部材ガイド部材199を含む。第一部材200及び第二部材202は各々、薄く扁平な形状を有する。空洞又はシート204(図4(A))は、第一部材200の上部表面の内部へと延びる。シート204は、好ましくは、図4(B)でもっともよくわかるように、プレスフィット形式のように、第二部材202が隠れるように受容する寸法である。
【0031】
図5の横断面に図示されたように、第二部材202は、既定の形状の溝206が第二部材202と第一部材200の間に画定されるように、シート内部に配置されてもよい。一組の開口207(図4(A)、図4(B))は、第一又は第二部材202、204のうちの一つの上に位置し、溝206への入口として機能する。開口208は、好ましくは、靴紐23が通りぬける通路となるように、十分な大きさを備える。一つの実施例においては、開口207は約0.030〜約0.060インチの範囲内の直径を備える。
【0032】
図6を参照すると、溝206は、靴紐23の管54として機能する靴紐の経路を画定するように延長される。管54は、好ましくは、ガイド部材199がブーツに取り付けられたときに、全体的にフラップ32又は34の縁部に沿った長さに延在する延長領域209を含む。延長領域209は直線であってもよく,又は、円又は楕円の継続的な部分のように、その長さに沿ったなめらかな湾曲によって画定されてもよい。例えば、延長領域は209は、約0.5〜約2インチのの長径と約0.5インチの短径を備える楕円部分によって画定されてもよい。管54はさらに、延長領域209の向かい合う端部に横断部分210を含む。横断領域210は、フラップ32及び34の縁部に対し、傾斜して延在する。代替的には、延長領域209は及び横断部分210は、管54の長さに沿って均一に広がり、これによってシステムの摩擦の全体量を減少させる、継続的な円又は楕円の形状を有する一つの領域に融合されてもよい。
【0033】
複合部材ガイド部材199の第一及び第二部材200、202は、靴紐23の滑動性を容易にする、潤滑性ポリマー又は金属のような低摩擦性材料から製造されてもよい。代替的には、ガイド部材199は、都合のよい、実質的に硬質な材料のいずれから製造されてもよく、次に、少なくとも管54の内部湾曲に潤滑性を強化する潤滑被覆が施されてもよい。ガイド部材199は、靴紐23が締め付けされる際のガイド部材199及び/又は靴紐23の湾曲やよじれを防ぐために、実質的に硬質であってもよい。ガイド部材199は、代替的には、湾曲が想定される靴の部分に使用される際は可撓性材料から製造されてもよい。ガイド部材50、52は、周知のモールド工程によって製造されてもよい。
【0034】
靴紐23は、本発明にとって十分な軸方向の強度及び湾曲可動性を示す、広範囲にわたるポリマー性又は金属の材料、又はそれらの組み合わせのいずれから製造されてもよい。例えば、織られたもの、編まれたもの、ねじられたもの、又は他の同種のもの、広範囲にわたる中実のワイヤ、中実のポリマー、又は多繊維ワイヤ又はポリマーが用いられてもよい。中実又は多繊維金属芯に、摩擦を減少させるためにPTEF又は他の当該技術において公知の、ポリマー性被覆が提供されてもよい。一つの実施例においては、靴紐23は、ステンレススチールから製造された7ストランドケーブルによる7ストランドのような、撚り合わされたケーブルを含む。靴紐23と、靴紐23が滑動するガイド部材50、52の間の摩擦を減少させるために、靴紐23の外部表面は、好ましくは、ナイロン又はテフロン(登録商標)のような潤滑性材料で被覆される。好ましい実施例においては、靴紐23の直径は、0.024〜0.060インチの範囲にわたり、好ましくは、0.027インチである。靴紐23は、望ましくは、少なくとも40ポンドの荷重に耐える強度であって、好ましくは、90ポンドまでの荷重に耐える。少なくとも5フィートの長さの靴紐23が、ほとんどの履物の寸法に適し、さらに短いか長いかは、靴紐システムの設計に基づいてよい。
【0035】
靴紐23は、一本のケーブルを所望の長さに裁断することによって成形されてもよい。靴紐23は、編まれた又は撚り合わされたケーブルを含み、靴紐23の端部または切端で個々の束がほぐれる傾向があると、靴紐23をガイド部材50、52の開口に通す作業が困難になる。靴紐23が、ガイド部材を通して送りこまれると、靴紐23の束は、すぐに靴紐ガイド部材の内部の湾曲した表面にぶつかる。束の端部が典型的には非常に鋭い金属製靴紐の使用は、さらに通している間にケーブルがガイド部材にぶつかる可能性を増大させる。束の端部が、ガイド部材及び/又は締め付け機構にぶつかると、束はほぐれて、使用者がガイド部材及び/又は締め付け機構の小さな孔に靴紐23を通していくのを困難にするか、不可能にしてしまう。不都合なことに、ケーブルのほぐれは、使用者が周期的に、靴紐ガイド部材を通して、対応する締め付け機構の内部へと靴紐を通すことを要求される現在の取替え可能紐掛けシステムに特有の問題である。
【0036】
図7を参照すると、この問題に対する一つの解決法は、靴紐23の切端又は端部59にシールされた又は接着された領域61を提供することであって、ここで個々の束は互いに束からほぐれないように保持される。図示を明白にするために、接着された領域61は、延長された長さで図示されている。しかしながら、接着された領域61は、靴紐23の最端部ぎりぎりに位置するビードであってもよく、一つの実施例においては、0.002インチ又はそれよりも短く接着された切端表面であってもよい。
【0037】
接着された領域61は、靴紐23の成形の間に例えば、束をひとまとまりに保ち束のほぐれを防ぐ接合(例えば、ソルダーチップ、蝋付け、溶接、又は束を一緒に溶かす)を加えることによって、端部59に成形されてもよい。切端接合は、靴紐23の直径を全体にわたって著しく増大させない点で有利である。付け加えれば、接合は、靴紐23のガイド部材への挿入を容易にするために、靴紐23の端部59をなめらかにするために用いられてもよい。接着された領域61は、靴紐23の端部に、ガイド部材を通じて締め付け機構内部へと靴紐を通すのを容易にする、なめらかかつ固定された表面を提供する。接着された領域は、このようにして、使用者がシステムの靴紐23の取り替える作業をさらに容易にする。代替的には、接着物又は薄い壁状の伸縮ラップ管がある実施例では用いられてもよい。
【0038】
図3に示されたように、締め付け機構25は、上部24の後部に締結装置64によって取り付けられる。締め付け機構25はブーツ20の後部に取り付けられて図示されているが、締め付け機構25がブーツ20上の広範囲のいずれに取り付けられてもよいということは理解されるべきである。アイススケート用ブーツの場合、締め付け機構は好ましくは、舌状部36の上部部分に配置される。締め付け機構25は、代替的には、ブーツのかかとの底部、上部又は靴底の内側又は横側面に位置してもよく、正面又は上方向を向いた靴の正中線に沿ったどの場所でもよい。締め付け機構25の位置は、ブーツ使用目的と同様に全面的なブーツ設計との広範囲な考慮において最適化されてよい。
【0039】
締め付け機構25の形状及び全体的な質量は、所望の最終目的及びブーツ上の位置、歯車列(gear train)設計に基づいて大きく異なってもよい。相対的に低位置の締め付け機構25が一般的に好ましい。締め付け機構25の盛り上がった輪郭は、さらに、ブーツの壁部又は舌状部へと締め付け機構25をへこませることによって減少される。さまざまな応用のためブーツは、構造的な支持及び/又は温度絶縁及び快適性の必要性から、相対的に厚い壁を持つ。締め付け機構は、ブーツの快適性及び機能性を逆に損なわないように、ブーツの壁から インチ又は場所によってはそれ以上、又は他の位置及び/又は他ブーツでは約 インチ又は約 インチの深さに設けてもよい。
【0040】
一般的に、締め付け機構25は、レバー、クランク又はつまみのような制御部を含み、これらは、靴紐23を巻きこむことによって操作される。付け加えれば、締め付け機構25は、好ましくは、締め付け機構を解除することで靴紐23が自由にそこから引き込まれるように、ボタン、レバーのような開放装置を含む。
【0041】
図示された実施例の締め付け機構25は全体的に、長方形のハウジング60及びそこに回転可能に取り付けられた円形のつまみ62を含む。つまみ62は、靴紐23の端部をハウジング60内部に巻き取るために回転されてもよく、靴紐23を引っ張ってたるみを減少させる。靴紐23のたるみが減少すると、靴紐23は、側面ガイド部材60を引っ張り、これによってフラップ32及び34が上部24を足の周囲に締め付けるためにブーツの正中線に引っ張られる。
【0042】
締め付け機構25は、装着者が靴紐23を巻き込むためにつまみ62を容易にひねることを可能にする内部歯車機構を含む点で有利である。好ましくは、歯車機構は、つまみ62が回転される際には、以下に詳述するように、既定の長さの靴紐を引っ張って保持するように構成される。所望の快適さとパフォーマンスレベルに合わせて使用者は、このように、有利に靴紐23の張力を連続的に調整することができる。つまみ62は、手動で、又は工具の使用によって、又はつまみ62に取り付けられた小さなモーターのいずれによって回転されてもよい。
【0043】
所望の程度まで、靴紐の張力を増大させ、さらにスプールのゆるみを防ぐためにスプールの巻き取りができるように、公知の機械構造のいずれでも用いることができる。例えば、さまざまなラチェット構造のいずれも、この目的に用いられることができる。代替的には、スプラグクラッチ又は類似の構造が、反対方向への回転を防ぐ一方で、シャフトの単一方向の回転を可能にする。これら又は他の構造は、機械技術分野の当業者には周知である。
【0044】
開放レバー63は、ハウジング60の側面に沿って位置する。開放レバーは、以下に詳述されるように、靴紐23の張力を開放し、装着者の足の周囲の上部23をゆるめるために、内部歯車機構の係合を解除するように回転する。これは、使用者にとって、開放レバー63を単純にひねることによって迅速かつ容易に靴紐システムをほどくことを可能にする点で有利である。
【0045】
靴紐23及びケーブルガイド50、52の間の低摩擦関係は、紐掛けシステム20の締め付けと開放を大幅に容易にする。特に、靴紐23及びケーブルガイド50及び52は低摩擦性材料から製造されるか被覆されるため、靴紐23は、ケーブルガイド内にぶつかることなく容易に滑動する。靴紐23は、このように自動的にその全長に張力を配分するので、締め付け圧は足首及び足の長さに沿って均一に配分される。開放レバーを発動させることによって靴紐23の張力が解除された場合、靴紐23は、容易にケーブルガイド50及び52を通じて滑動し、靴紐の長さに沿って張力を解除し、いかなるたるみも均等にならす。低摩擦舌状部36もまた、靴紐23がゆるめられたときにフラップ32、34を互いに移動させることを容易にする。
【0046】
図8は、締め付け機構25の一つの実施例の、さまざまな部品の分解図である。図示されたように、ハウジング60は、ねじのような締結機構66を用いて互いに嵌合される一組の連動装置の半分64(a)及び64(b)からなる。ハウジング60は、好ましくは半分64(a)及び64(b)の表面の空洞65内に適合する歯車機構70を回転可能に内包する。図示された実施例においては、歯車機構70は、第一、第二及び第三大歯車72、74及び76を含み、各々、締め付け機構25が組み立てられる際には回転可能に互いに係合する。
【0047】
図8に図示されたように、第一の大歯車72は、第一の歯車がその周囲で回転する軸78を含む。シャフトの第一の部分は、ハウジング半分64(a)内の開口部を通じて延出する。軸78の第二の部分は、ハウジング半分64(b)内の開口部を通って延出する。つまみ62は、軸78につまみ62の取り付け孔80を介して取り付けられる。取り付けピン76は、軸78に対して公知の方法でつまみ62を取り外し可能に固定する。締め付け機構25が組み立てられる際、つまみ62の回転は第一の大歯車72をも回転させる。歯車機構70の発動は、このように、つまみ62の回転を通じて達成される。
【0048】
図8を参照すると、第一の大歯車72は、第一の大歯車72の軸の周囲に周縁的に配置された複数の傾斜した歯83(図10)を有するラチェット部をも含む。傾斜した歯83は、以下にさらに詳しく説明されるように、爪84と嵌合して第一の大歯車72の望ましくない逆方向への回転を防ぐように構成される。この目的に対して、偏倚部材86は、爪84から延出するペグ90に対して接続される。偏倚部材86は、歯車機構70が組み立てられる際、爪84をラチェットの歯に対して偏らせる。第三の大歯車72は、一連の第三の大歯車72の周縁に延出する歯車の歯を有する歯車部92をも含む。
【0049】
図8に図示されたように、第二の大歯車74は、回転の共通軸上で、第一の歯車部94と、第一の歯車部94よりも小さい直径を有する段付き第二の歯車部96とを有する。第一の歯車94は、第一の大歯車72の歯車部92に噛み合わせられるように構成される歯車の歯を有する。開口部97は、第二の大歯車74を通じて中心に延出する。開口部97は、ハウジング64(b)から延出するポスト98を回転可能に受容する寸法になっている。第二の大歯車74は、組み立てられた歯車機構70の発動の間、ポスト98の周囲を回転する。
【0050】
図8を参照すると、第三の大歯車76は、第二の大歯車74の第二の歯車部96と噛み合わせられるように構成された歯車部100を含む。第三の歯車は、第三の大歯車76の周縁に延出する溝104、106を含むスプール部102をも含む。溝104、106は歯車機構25が発動する間に巻取式に、靴紐23の反対側の端部を受容する寸法になっている。
【0051】
靴紐23の端部107及び108には各々、台座孔110と圧力嵌め方式で嵌合するアンカー(留め部)109が提供される。台座孔110は、直径方向で第三の大歯車76上に配置される。アンカー109は台座孔110と嵌合し、靴紐23の端部107及び108はばらばらに、溝104及び106内部にそれぞれ配置される。連結台57は、ガイド部材50の遠位端部56を締め付け機構に関して固定された位置に維持するために、対応するハウジング半分64の開口部に嵌められる。
【0052】
本文中に開示された観点において当業者には明白であるように、さまざまなスプール又はリールの設計のいずれも本発明の趣旨において用いられてもよい。例えば、単一の溝スプールのみが用いられてもよい。しかしながら、二重溝スプール又は横に並べられた二つのスプールが、図示されたように、二つの靴紐の端部107及び108の、便利な同時巻取りを可能にする利点が備える。図示された実施例においては、端部107及び108のスプールへの反対側からの接近によって、靴紐は、図8に明白な回転可能な主軸を用いて、反対方向でスプール周囲に便利に巻きつく。
【0053】
歯車比と所望の性能によって、靴紐の一つの端部は、ガイド又はブーツの他の部分に固定されてもよく、もう一つの端部は、スプールに巻き取られる。代替的には、つま先部分付近のように靴紐の両端部がブーツに固定されてもよく、靴紐の中間部分がスプールに取り付けられる。
【0054】
好ましくは、空洞65は、靴紐を捕らえるためにスプールの外部周縁付近と嵌め合いになっている。このように、個々の溝を取り巻く外部フリンジ壁と空洞65の内部表面の間の溝は、好ましくは、靴紐の直径よりも小さい。この方法において、巻き取り機構の内部で紐が絡まり合うリスクを最小化することができる。
【0055】
靴紐の端部を連結するために、さまざまな取付構造の何れでも用いられる。図示された実施例に付け加えると、開口部に靴紐を通すことによって、さらに、スプールに靴紐を取り付ける横断方向に方向付けられたセットねじを提供してセットねじを靴紐に対して締めることによっても、靴紐は、都合よくスプールに取り付けられる。セットねじ又は他の開放可能な挟持構造は、当業者には明白なように、装置の組み立て及び解体と靴紐の取り替えを容易にする。
【0056】
第三の大歯車76の回転は、靴紐の端部107及び108を溝104及び106に各々巻き付かせ、これによって、締め付け機構25の中へと靴紐23の長さを引っ張って、靴紐23を引っ張られた状態にする。靴紐23の端部107、108は、スプール部102の周囲に靴紐23の両端部に張力が均一に加えられるように同じ比率で巻き付くことは理解されるだろう。
【0057】
第三の歯車は、軸78を第一の大歯車72上に回転可能に受容する寸法の中心開口部111を含む。第三の大歯車76は、歯車機構70の起動の間、軸78の周囲で回転する。
【0058】
好ましい実施例においては、第三の大歯車76は、0.625インチの直径を有する。第二の大歯車74の第二の歯車部96は、好ましくは、概ね0.31インチの直径を有し、第一の歯車部は、好ましくは第三の大歯車76の直径に概ね等しい直径を有する。第一の大歯車72は、好ましくは、概ね0.31インチの直径を有する。このような歯車の寸法の関係は、大歯車が回転するのに合わせて、靴紐23の張力の十分に微細な調整を提供する。
【0059】
図9は、組み立てられた締め付け機構25の横断面を示している。図示されたように、第一の大歯車72の軸78は、ハウジング半分64(a)及び64(b)個々の中の開口部112及び114の内部で、軸受けされる。つまみ62は、開口部112を通じて半分64(a)から延出する軸78の部分の上に取り付けられる。第一、第二及び第三の大歯車72、74及び76は個々に、互いに係合する。特に、第一の大歯車72の歯車部92は、第二の歯車の第一の歯車部94と係合する。同様に、第二の歯車94上の第二の歯車部96は、第三の大歯車76の歯車部100と係合する。このように、つまみ62の回転は、第一の大歯車72を回転させ、これによって、歯車部92と94の間の係合によって、第二の歯車を反対方向へ回転させる。これが次に、歯車部96と100の間の係合により、第三の大歯車76をつまみの回転の方向へ回転させる。
【0060】
第三の大歯車76が回転すると、靴紐の端部107及び108は、溝104及び106内部に各々巻き取られる。つまみ62の回転は、このようにして靴紐23を第三の大歯車76の周囲に巻き取り、これによってブーツ20が締め付けられる。
【0061】
図示されたように、つまみ62の逆時計回りの回転が、靴紐23を締める。靴紐23の張力は、図10に参照され説明されたラチェット機構によって維持される。
【0062】
図10は、図9の線10−10に沿った締め付け機構25の横断面図である。図示されたように、偏倚部材86は、ラチェット部82上の傾斜した歯83に対して固定された係合状態に爪84を維持する。爪84は、このように、つまみ62の時計回りの回転及び靴紐23のゆるみを防ぐ。つまみ64が時計回りに回転する際に爪84は歯83の上を滑動するので、傾斜した歯83がつまみ62の逆時計回りの回転を防ぐわけではないのは、理解されるべきである。つまみ62が逆時計回りに回転すると、爪84は自動的に歯83の各々と係合し、これは使用者が締め付け機構25へと引きこまれる靴紐23の量を少しずつ調整することを可能にする点で有利である。
【0063】
図10に図示されたように、開放レバー63は、ハウジング60を通って延出するシャフト116を通じて爪84と連動する。シャフト116のより低い端部には、カム部材118が備えられる。開放レバー63がシャフト116の周囲で回転すると、カム部材118も回転し、ラチェット歯83との係合から爪84を押しやる。爪84が、ラチェット歯との係合から外れると、第一の大歯車72、及び他の各大歯車74及び76が回転しなくなる。
【0064】
使用者が開放レバー63を起動させると、もし靴紐23に張力があった場合は、靴紐23は、自動的にスプール部102から手繰り出される。開放レバー63は、このように、ブーツ20を足の周囲から速やかにゆるめる際に用いられる。靴紐23とガイド部材50及び52の低摩擦の関係が、ガイド部材内部での靴紐23の滑動を容易にし、そのため開放レバー63を簡便にひねって、舌状部36を手で前に引き抜くことによって靴紐が迅速かつ円滑にゆるめられることは理解されるであろう。
【0065】
靴紐23の滑動によるブーツ各部の伸長に対する制限が、伸長制限又は増大した締め付け又は保持が望ましい場所でブーツ20を横断するように延在する一つ又はそれ以上のストラップによって達成されることは、予期される。例えば、ストラップは、足の甲部分30を横切ってブーツ20の一側面からブーツの他側面へと延びてもよい。第二の、又は単独のストラップが足首部分29の周囲に延在してもよい。
【0066】
図11を参照すると、伸長制限ストラップ220は、ブーツ20の足首部分に配置され、靴紐23によって提供される閉止を補い、本発明の紐掛けによって達成された動作への適合による伸長に調整可能な制限を設ける。制限ストラップ220は、靴紐20が解除されたとき又はリールの不具合によって損傷を受けた際に装着者の足が意図せずブーツ20から抜けるのを防ぎ、又は制限する。図示された実施例では、ストラップ220は装着者の足の周囲に延在する。制限ストラップ220の位置は、ブーツの設計及び特定のスポーツ活動においてブーツが受ける力の種類によって異なる。
【0067】
例えば、図示された実施例においては、制限ストラップ220は、全体的に水平に延びて装着者の足首又は足の下部を横切る伸長制限面を画定する。履物の内径又は横断面は、装着者によって与えられた力及び他の動作への適合にもかかわらず、このように伸長制限面の中のある弁を超えることはない。図示された位置は、装着者が足首を前方に傾けた際に、ブーツの上端の動作による開口を制限する傾向がある。制限ストラップ220の機能は、一つ又はそれ以上のストラップワイヤ、靴紐、又は足首を取り巻き、伸長制限面を提供する隣接したブーツの部品との組み合わせられた制限ストラップのような、他のブーツの部品に対し連結される他の構造によって達成されてもよい。
【0068】
代替的な設計において、伸長制限面は、制限ストラップ220を足首の全面の足の上部を横切って配置することによって、およそ垂直方向に配置され、動作への適合に異なる制限を与える。この位置では、伸長制限ストラップ220は、隣接する靴の部品の内側又は外側の足を取り囲んでもよく、又は足を取り囲んでいるかのような全体的な力の効果を提供するために靴底又は靴の他の部品に対して連結されてもよい。
【0069】
制限ストラップ220は、例えばブーツの靴底が位置する面から約25〜75度の範囲で後部から前部へと力制限面が上方へ傾斜する実施例のように、上記で議論された垂直及び水平な実施例の間にある角度で備わった力制限面をも作り出す。制限ストラップ220を、足首に沿って概ね延出する傾斜した力制限面に沿って配置することで、ブーツ内部における足の上方への動きの制限と、ブーツに対する足首での足の前方への屈曲の制御可能な制限の双方を、都合よく提供できる。
【0070】
ストラップ220は、好ましくは、ストラップ220の締め付け具合を調整及び維持するのに用いられる締め具222を含む。好ましくは、締め具222は、迅速な連結と解除が可能であって、装着者は制限ストラップ220を複雑な手間抜きで調整できる。本文中の開示の観点に基づいて当業者には明白であろうが、フック及びループ(例えばベルクロ)表面、スナップ、クランプ、カムロック、結び目のある靴紐などに対応するようなさまざまな締め具のいずれでも用いられる。
【0071】
ストラップ220は,本発明の低摩擦システムに特に有用である。靴紐23は、ガイド部材を通じて容易に滑動するため、靴紐の張力は、靴紐が損傷を受けたり、リールの不具合の場合は、不意に解除されることがある。このためにブーツが不意にかつ完全に開いてしまい、特に、この不具合のときに活動的なスポーツに参加していると、ブーツ装着者のけがの原因となる。この問題は、靴紐が比較的高摩擦性で、靴の従来的な鳩目に詰められる靴紐の傾向との組み合わせによって、靴紐が不意にかつ完全にほどける可能性を排除している従来の紐掛けシステムでは見られない。
【0072】
本発明に基づく低摩擦性の特徴は、装着者の足の周囲に動作に適合する靴を提供することである。装着者の足は、使用の間、特に活動的なスポーツの際、たえず動いて方向を変える傾向がある。この移動は、靴の舌状部及びフラップが足の動きに応じて移動する原因となる。これは、低摩擦性紐掛けによって容易となり、装着者の足の移動に対応する靴紐の張力を容易につり合わせる。ストラップ220は、使用者が、靴紐ガイドシステムを通じて靴紐の再調整によって自動的に達成される張力のつりあいによって起こる伸長の外部制限によって、ブーツによって提供される動作による適合(なじみ、fit)の量を規制することを可能にする。
【0073】
例えば、図11のブーツの装着者がスケート中にその足首を前方へと屈曲させたとき、足首ストラップ220がない場合は、ブーツの上端で増大した前方への力が、舌状部をわずかに移動させ、ブーツ上でずり下がった靴紐がきつくなってしまう。装着者が再び足首を真直ぐに伸ばすと、締まる力が均等になり、舌状部が足首にきついまま留まる。しかし、もしストラップ220がその足首の周囲に巻きつけられていたら、この足首及び舌状部の前方への動きがストラップ220の面におけるブーツの動作への適合特性を減少させ、ブーツの適合感と履き心地の違和感を与える可能性を防ぐか、又は減少させる。このように、ストラップは、この低摩擦性紐掛けシステムにおいて、動作への適合量を規制する効果的な手段を提供する。従来的な紐掛けシステムは大きな摩擦性を有するため、このような動作による適合を提供することはなく、そのため、同様な方法でストラップの有用性を生かすことはできない。
【0074】
類似のストラップは通常、従来的な紐掛けシステムとの組み合わせで、完全に異なる理由から用いられる。これらは、靴紐を補うための付加的な閉止力及びてこ作用を提供するために用いられるのであって、安全のために必要とされるのではなく、動作による適合を規制するために用いられるものでもない。
【0075】
本文中に説明された履物紐掛けシステム20は、有利な点として、使用者が段階的にブーツ20を装着者の足の周囲に締め付ける。低摩擦ガイド部材50、52と組み合わせられた低摩擦靴紐23は、ガイド部材50、52内部での靴紐23の容易な滑動を助ける。低摩擦舌状部36は、靴紐が締め付けられたときにフラップ32、34の開口と閉止とを容易にする。靴紐23は、その長さに沿って張力をつりあわせるため、紐掛けシステム23は足を横切る締め付け圧の均一な配分を提供する。締め付け圧は、締め付け機構25上のつまみによって段階的に調整される。使用者は、開放レバー63を簡便にひねること、またはつまみを持ち上げたり押したり、又は自動的に靴紐23を締め付け機構25から開放するために代替的な開放機構を操作することによって、ブーツ20を迅速にゆるめることができる。
【0076】
図12に図示されたように、少なくとも一つの耐侵食部材224が舌状部36及びフラップ32、34との間に隣接して配置される。図13にいちばんよく図示されているように、耐侵食部材224は、交差点230を画定するように交差して配置された一組の内部の通路又は管127a、bを備える扁平な円盤状構造を含む。管127a、bは、その内部に靴紐23を受容する寸法である。図14の横断面図に図示されたように、管127a、bは交差点230において靴紐23の隣接部の間で接触するのを防ぐように配置される。耐侵食部材224は、これによって、靴紐23が交差点230において磨耗するのを防ぐ。耐侵食部材224は、靴紐23を舌状部36から、靴紐23が舌状部36を磨耗させたり、侵食したりしないように遮蔽する。
【0077】
耐侵食部材224は、代替的には、靴紐23と耐侵食部材224の間の接触を最小化するためにナイフのエッジ又は頂部の形状を備えてもよい。例えば、靴紐23が舌状部36を横切る交差点において、同軸的な延出(例えば、足又は足首の正中線に沿って)のうね又は縁部が舌状部36と靴紐23との間に備えられてもよい。この耐侵食部材224は、好ましくは、PTFEのような潤滑性プラスチック、又は従来の経験から決定される他の材料からモールドされるか、又は成形されてもよい。靴紐23は、交差摩擦が小さな領域に制限され、さらに柔らかい舌状部の材料よりも潤滑性表面上を通るか又は前の実施例の通路又は管を通るように、頂部を交差する。耐侵食部材224のテーパ付けされた側面は、耐侵食部材224が無理なく可撓性を保ち、足を横切る横方向への下方向への荷重の配分を強化する。足の正中線に沿った長さは、ブーツの設計に基づいて異なる。それは1インチ長いか、又は短くてもよく、靴紐が交差する舌状部に位置付けられるか、又は舌状部の全長に沿って靴紐が交差する部分においてはさらに顕著に盛り上がり、さらなる可撓性が所望される部分においてはさほど目立たないうねを伴って、延出してもよい。耐侵食部材224は、舌状部に一体として形成されても、又は連結されてもよく、又は、前述された円盤のように、舌状部の上端に乗っていてもよい。
【0078】
一つの実施例においては、耐侵食部材224は、リベット、ねじ、スナップ、縫い取り、糊付けなどのような広範囲の公知の締結機構を用いて舌状部36上に固定されて取りつけられる。他の実施例においては、対侵食部材224は舌状部36に対して連結されず、さらに自由に舌状部36上端に付いていてもよく、靴紐23との係合を通じてあるべき場所に収まる。代替的には、耐侵食部材224は、靴紐23の最初の部分を舌状部に通すことによって、第二に舌状部36の外部表面上で靴紐23の交差部分を通すことによって、舌状部36と一体に形成される。
【0079】
図15は、概略的にブーツ20の中底領域を図示する。少なくとも一つの靴紐固定部材232(概略的に図示)は、靴紐23の通路に沿って配置される。各固定部材232は、靴紐23と係合し、締め付け機構25の方向など、靴紐の既定部分の軸方向の移動を防ぎ、これによって既定領域での靴紐の張力を制限するように構成される。例えば、一組の固定部材232aは、フラップ32、34のつま先部分付近の靴紐の通路に沿って「a」点に位置付けされる。張力が締め付け機構25を介して靴紐23に加えられたあと、固定部材232aは、領域「a」への靴紐の移動を防ぐために靴紐23に対して、係合してもよい。ひとたび係合されると、固定部材232aは、領域「a」で締め付け機構25に対して「a」点で靴紐23の位置を固定することによって、靴紐23の張力を固定する。領域「a」における靴紐の張力は、締め付け機構25によって靴紐23に対して加えられた張力が開放又は発動されても、このようにして維持される。このようにして、締め付け機構25は、異なるレベルの張力又は締め付けを靴紐領域「a」の靴紐の外部に付加することによって、開放又は発動してもよい。
【0080】
図15を参照すると、固定部材232は、さまざまな靴紐固定領域を作り出すために、位置「b」「c」のような靴紐の通路に沿った広範囲に渡る位置のいずれに配置されてもよい。代替的に、固定部材232を固定又は開放することによって、又、靴紐23の張力を変化させることで、使用者は、靴紐の通路に沿って異なった締め付けの領域を与えられる。
【0081】
図16及び図17は、ブーツフラップ32と連結された固定部材232の一つの実施例を図示する。固定部材232は、円形の底部縁部240を有する拡大されたカム部分236から外方向へと延出する延長アーム235を備えるアクチュエータ234を含む。靴紐23は、カム部分236の円形縁部240とフラップ32の間に置かれる。アクチュエータ234の拡大されたカム部分236は、回転可能なピンコネクタ242などを介して、フラップ32に対して回転可能に取りつけられる。図16に図示されたように、アクチュエータ234は、円形縁部240が靴紐23に係合し、フラップ32に対して靴紐を固定する締め付け力を付加する、第一又は係合された部分へと移動されてもよい。固定部材232は、このようにして、靴フラップ32に対する靴紐23の移動を防ぐ。
【0082】
図17を参照すると、アクチュエータ234は、カム部分236の円形縁部240が靴紐23との係合から移動され、これによって、フラップ32に関する靴紐23の移動を可能にする、第二の非係合方向へと移動されてもよい。
【0083】
図18は、第一の部材314及びそこに連結される第二の部材322を含む複合部材構造からなる靴紐固定部材312の他の実施例を示す。図19の横断面図にもっともよく示されるように、第一の部材は、そこを通じて延出する一組のシャフト316を備える。第一の部材314の一組のボア孔315(図18)は、シャフト316と連通する。延長する管状圧縮クランプ320は、シャフト316の各々に位置付けされる。シャフト316及び圧縮クランプ320は、図19に図示されたように、靴紐をその内部に受容する寸法となっている。
【0084】
第二の部材322は、第一の部材314に対して移動可能に連結される。第二の部材322は、第一の部材314のボア孔31内部へと延出する一組のペグ324を含む。ねじ326は、第一の部材314及び第二の部材322と連結される。第二の部材322は、ねじ326を回転することによって第一の部材314へと段階的に移動されてもよい。ねじ326が回転されると、ペグ324が段階的に靴紐シャフト316内部へと滑動し、圧縮クランプ320をはさむか又は圧縮する。靴紐が圧縮クランプ320の内部に配置されるとき、ペグ324と圧縮クランプ320の間の圧縮連結は、靴紐23の移動を防ぐために靴紐23へと移行される。使用者は、ペグ324が靴紐23に対して加える圧縮のレベルを変化させるためにねじ326を調整してもよい。
【0085】
圧縮クランプ320は、好ましくは、ペグ324が圧力をそこに付加したときに変形する、柔軟で変形可能な材料から作られる。有利な点としては、柔軟な圧縮クランプ320は、靴紐23を変形させるリスクを減少させたうえで靴紐23に対して十分な圧縮を及ぼす。固定部材312は、前述されたように、使用者が異なる締め付けの領域を作りだすことを可能にするように、靴紐の通路に沿ってさまざまな位置に配置されてもよい。
【0086】
述べられたように、固定部材232は、使用者が靴紐23をこれらの位置のいずれに固定してもよいように、靴紐の通路に沿って配置されてもよい。他の機構又は構造的な設計は、締め付け機構に相対的な靴紐を固定するために用いられてもよい。例えば、ガイド部材の入口は、靴紐23に係合するための取り付けに対して適合してもよい。
【0087】
図20は、ブーツ20の正面図である。図20に図示された実施例においては、管状のガイド部材50及び52は、材料の単一又は複数の層の内部又は間のようなフラップ32、34の内部に取りつけられる。好ましくは、ガイド部材50、52の各先端150(図19)はフラップ32、34の各内部縁部152から外方向へ突出する。図21にもっともよく図示されるように、一連の縫い取り154は、好ましくは、各ガイド部材50及び52を取り囲む。縫い取り154は、溝156をその間に作り出すためにガイド部材50、52にすぐ隣接して位置される。図示を容易にするために、溝156は、ガイド部材50、52の直径に対して比較的大きな寸法で図示される。しかし、各ガイド部材50、52の間の距離及び個々の縫い取り154は、好ましくは小さい。
【0088】
好ましくは、縫い取り154の各連は、ガイド部材50、52がフラップ32、34の内部によくフィットするように、ガイド部材の形状に対してよくマッチした模様を形成する。縫い取り154は、これによって、ガイド部材50、52の変形、特に靴紐が締め付けられたときの内部の直径の変形を防ぐ。有利な点として、縫い取り154は靴紐が締め付けられたとき、ガイド部材50、52が移動しないように、又はフラップに応じてシフトしないようにアンカーとして機能する。
【0089】
溝156は、糊のような材料で部分的に満たされ、これはフラップ32にタイする34ガイド部材50、52の位置を安定させる。材料は、さらにガイド部材50、52の溝156から移動を防ぐために選択される。図22に図示されたように、ガイド部材は、さまざまな形状のタブ160のようなアンカー部材を備えてもよく、これは、さまざまな位置に配置され、ガイド部材50、52のフラップ32に対する移動又は変形を防ぐように構成される。アンカー部材は、ガイド部材50、52が移動し始めた際は摩擦を生じてさらなる移動を防ぐガイド部材上のノッチ又は溝を含んでもよい。溝は、研摩、サンドブラスト、エッチングなどさまざまな方法を用いて形成されてもよい。
【0090】
図23及び24を参照すると、代替的なガイド部材250は、靴紐23の通路としての内部管252を備える薄い単一ピース構造を含む。ガイド部材250は、主な部分を含む。フランジ部分260は、主な部分254周辺に周縁的に延出する。図22にもっともよく図示されたように、フランジ部分260は、主な部分254に対応して減少された厚みの領域を含む。延長されたスロット265は、減少された厚みがガイド部材250の上部表面266aに位置された第二の領域からなる。
【0091】
一組の靴紐出口孔262は、靴紐ガイド部材250の側面表面を通じて延在し、管252と連通する。靴紐出口孔262は、靴紐23がさまざまな出口角度で出てくるように長楕円の形状を備えてもよい。
【0092】
図23及び図24を参照すると、上部及び下部の通路264a、264bは個々に、ガイド部材250の上部及び下部表面266a、266bの夫々を通じて延びる。通路264は、管252の通路に沿って延出し、それと連通するように配置される。上部の通路264aの各々の位置は、好ましくは、上部の通路264aが下部通路264bに対して補うように、管通路に沿った下部の通路264bの各々の位置と連続的に置換する。
【0093】
図25及び図26に関して、靴紐ガイド部材250は、フランジ領域260を材料の単一又は多数の層255(図26)の内部又は間などのフラップ32、34内部へと挿入することによって、フラップ32、34に取りつけられる。層255は、フラップ32、34において均一な厚さを維持するために充填材料257で充填されてもよい。
【0094】
靴紐ガイド部材250は、例えば、フラップ32、34を糸で縫い付け、靴紐ガイド部材250を通じて縫い取り模様251を形成することによって、フラップ32、34に対して固定される。糸は好ましくは、フランジ部分及び延長されたスロット265の厚みが減少された領域部分を通じて縫い付けられる。好ましくは、フラップ32、34は、ガイド部材の主な部分254が靴紐ガイド部分250がそこに取りつけられたときにフラップ32、34上に露出されるように切断される。
【0095】
図26に関して、ガイド部材250の主な部分の上部表面266aは、好ましくは、なめらかかつ継続した外観を保ち、フラップ32、34の不連続性を排除するためにフラップ32、34の上部表面と平坦に維持される。有利な点としては、フランジ領域260は減少された厚みを有するために、靴紐ガイド部材250は、フラップ32、34の厚みをほとんど増大させないように、さらに好ましくは、フラップの厚みをまったく増大させないように構成される。靴紐ガイド部材250はこのようにして、ガイド部材250がそこに取りつけられた際にもフラップ32、34にいかなるこぶも作らない。
【0096】
上述されたように、一連の上部及び下部のオフセットした通路264a、bは、靴紐ガイド部材250を通じて延出し、管252と連通する。通路のオフセット配置は、射出成型工程においてシャットオフを用いた単一構造のガイド部材250の製造を容易にする。
【0097】
管の形状は、概ね楕円によって画定される。一つの実施例においては、楕円は、約0.970インチの長径及び約0.351インチの短径を備える。
【0098】
図27は、代替的な締め付け機構270の側面図である。締め付け機構270は、回転可能なつまみ274のように、機械的に連結される制御機構を備える外部ハウジング272を含む。回転可能なつまみ274は、外部ハウジング272に対して二つの位置の間で軸Aに沿ってスライド可能に移動可能である。第一の、又は係合された位置では、つまみ274は、以下に詳述されるように外部ハウジング272内部に位置する内部歯車機構と機械的に係合する。第二に、又は非係合の位置(点線で図示)で、つまみは、第一の位置に対して上方へと配置され、機械的に歯車機構からの係合が解かれる。底板273は、外部ハウジング272の底端部に配置される。一組のアーム275は、底板273から外方向へと延出する。
【0099】
図28は、締め付け機構270の横断面図である。歯車機構276(概略的に図示)は、外部ハウジング272の下部領域の内部に配置され、シャフト280を介して機械的に回転可能なつまみ274に連結される。シャフト280は、スプライン仲介を通じるなどして機械的につまみに連結される。
【0100】
靴紐巻き取りスプール282は、歯車機構276と制御の部274の間に置かれる。シャフト280は、スプール282を通じて軸受けされる。スプール282は、歯車機構276に対して機械的に連結される。スプール286は、一組の環状の溝284a、bを含み、これは巻き取られた靴紐23を受容する寸法に作られている。スプール282は、制御つまみ274の回転に対応して、シャフト280の軸周囲で回転する。
【0101】
制御つまみ274は、前方への回転方向、つまり靴紐23がスプール282に巻き付きようにする回転方向で段階的に回転するように構成される。この目的のために、制御つまみ274は、好ましくは、制御つまみ274は、外部ハウジング272上の対応する一連のラチェットに係合する、一体に取りつけられた一連の爪277を含む。図31及び32を見よ。爪277は、好ましくは、制御つまみ274が連結された位置又は非連結位置において、ラチェット279とたえず係合する。ラチェット/爪の係合は、つまみ274が連結された位置において、つまみ274及びスプール282が後方へ(つまり靴紐23をスプール282の周囲に巻き取る方向と反対の回転方向へと)回転するのを防ぐ。この構成は、使用者が制御つまみ274を後方へと不注意に巻き取って、靴紐23がスプール282においてよじれたり絡んだりするのを引き起こすことを防ぐ。約6インチから約2フィートのケーブルの長さ(各端部に1.5)がスプール282の周囲に巻き取られているときなどの場合のように、靴紐23が長くスプールに巻き取られているときに、よじれる危険性が特に高い。
【0102】
図30を参照すると、つまみ274は、二つの位置、連結された位置(図の左側面)と非連結位置(図の右側面)の間における移動可能性を示すために図示される。つまみ274の爪277は、つまみが後方に回転しないようにいずれの位置にある場合でも、ラチェットとスライド可能に係合される。係合された位置では、つまみ上のスプライン歯が、靴紐23が巻き戻されないように効果的にラチェット/爪システムを歯車列及びスプール282に連結するシャフト280のスプライン歯と連結される。スプール282から靴紐23を巻き戻さないようにするただひとつの方法は、スプールがいずれの方向にも自由に回転するようにスプラインを非連結にする非連結位置へとつまみ274を引き出すことである。次に、靴紐は、スプールから手動で引きぬかれる。シャフト上に取りつけられた可撓性のある鋸歯状ワッシャがつまみ274を押し、つまみの二つの鋸歯の一つの上に落下する。これが、連結位置又は連結位置のいずれにおいても摩擦によってつまみを保持する。この実施例においても、永久的に係合されたラチェット/爪アセンブリは、つまみを引きぬくことによってスプールからの連結を解かれ、これの連結解除は当業者によっていくつかの異なった方法で達成されることができる。
【0103】
図28を参照すると、一組の靴紐入口孔296a、bは、締め付け機構270の外部ハウジング272の側面に配置される。靴紐入口孔296a、bはスプール282の環状の溝284a、bと個々に連通する。一組の靴紐保持孔300a、bは、個々に溝284a、b内部のスプール内に配置される。各靴紐保持孔300a、bは、スプール282の内部へと放射状に延出する円筒形状の孔を含む。靴紐保持孔300a、bは、そこに靴紐23の端部を受容する寸法になっている。一組の対向孔302は、スプール282を通じて下方へと延出し、靴紐保持孔300a、bと連通する。取り付け器具として、セットねじ304など対向孔302の各々の内部に配置される。セットねじ304は、靴紐保持孔300a、bへと段階的に底端部を突出させるために回転してもよい。
【0104】
スプール282は、図28に図示されたように、靴紐保持孔300a、bの各々が対応する靴紐入口孔296a、bと個々に位置合わせされるために回転してもよい。この目的のために、位置合わせ孔301は、スプール282内に位置付けされ、対応する位置合わせ孔303は、外部ハウジング272の中に位置付けされる。二つの位置合わせ孔301、303は、スプール282の回転を通じて位置合わせされる。好ましくは、孔301、303が位置合わせされるとき、靴紐保持孔300もまた、靴紐入口孔296と位置合わせされる。使用者は、これによって位置合わせ孔301、303を位置合わせして、外部ハウジング272に対してスプール282の位置を固定するためにピンを挿入し、それによって、迅速かつ容易に靴紐保持孔300を靴紐入口孔296に位置合わせすることができる。
【0105】
靴紐23は、上記のように、靴紐保持孔300a、bが対応する靴紐入口孔296a、bと位置合わせされるように第一にスプール282を回転させることによって、締め付け機構270に据え付けられる。次に靴紐23の端部は、靴紐端部が、靴紐保持孔300a、bの内部表面に接するまで、個別の靴紐入口孔296a、bへと各々挿入される。次にセットねじ304は各自回転され、靴紐の端部に係合した又ははさんだセットねじ304の両端部がそれによって保持孔300a、bの内部で靴紐23を固定する。制御つまみ274は、靴紐23をスプール282の周囲に巻き取るために前方向へと回転されてもよい。靴紐23は、セットねじ304の靴紐との係合を解除しスプール282から靴紐23を引くために、セットねじ304を緩めることによってスプール282から移動される。
【0106】
上述されたように、靴紐入口孔296a、bは、靴紐の端部を入口孔296a、bに挿入される際、対応する靴紐保持孔300a、bと位置合わせされるべきである。図29なに図示されたように、靴紐の端部は、孔296、300が正確に位置合わせされなければ、保持孔300には入らず、むしろスプール282の内部表面とぶつかるだろう。これでは、使用者はセットねじと靴紐23を係合させることができない。靴紐23の端部は、好ましくは、使用者が句末紐23を靴紐保持穴300a、bへと据え付けるのを助けるマーカーまたはインジケータ310を含む。インジケータ310は、靴紐23の端部からあらかじめて選択された距離をもって位置付けされ、好ましくは、実質的には靴紐保持孔300の内部表面と靴紐入口孔296の間の距離Dに等しい。
【0107】
靴紐23の据え付けの間に、靴紐入口孔296及び靴紐保持穴300が、うまく位置合わせされない場合、が29に図示されたように、インジケータ310は明らかに使用者に可視である。しかし、靴紐23が靴紐保持孔300内部に正確に配置されると、インジケータ310は、靴紐入口孔296の入口部分に埋め込まれる。有利に、靴紐上のインジケータが靴紐入口孔296の入口部分に位置付けされたときは、使用者が靴紐が靴紐保持孔300の内部で正確に配置されたと確認することができる。
【0108】
締め付け機構270は、好ましくは、フラップ32、34の間でブーツ20の舌状部36に対して移動可能に取りつけられる。一つの実施例においては、バヨネット型の取り付けシステムが締め付け機構270を舌状部36に対して取り付けるのに用いられる。舌状部36は、その中かその上に取りつけられた、プラスチックのような可撓性材料のシートを含んでもよい。材料は、対応する締め付け機構270の底部273(図27)上のバヨネット構造と嵌合するダイカット孔含んでもよい。ダイカット孔は、たとえば、バヨネット構造が挿入されて、ひねられ、孔の内部でバヨネット構造がロックされるように鍵型であってもよい。有利に、このような設計は、迅速かつ容易に工具を使用せずに、締め付け機構がブーツ20に取り付けられたり取り外されたりすることを可能にする。
【0109】
本発明の実施例のある機能的な利点を、さらに図30との関連において32を通じて図示することもできる。特に、閉止システムは靴紐を受容するための回転可能なスプールを含む。スプールは、靴紐を取り上げる第一の方向及び靴紐を開放する第二の方向へ回転可能である。つまみは、つまみの回転にのみ反応して靴紐を取り上げる第一の方向へとスプールが回転するように、スプールに連結される。開放可能な固定が第二の方向へのスプールの回転を防ぐために提供される。ひとつの都合のよい固定機構は、つまみをブーツから軸方向に引っ張ることによって開放され、これによって、靴紐を巻き戻す第二の方向へのスプールの回転を可能にする。しかし、スプールは靴紐の牽引に反応するときにのみ第二の方向へ回転する。スプールは、つまみの回転に反応して第二の方向へ回転することはできない。つまみの逆回転が、靴紐の相応の巻き取りがない状態で靴紐のゆるみの原因となった場合でも、これがスプール内又は周囲での靴紐の絡まりを防ぐ。
【0110】
図30を参照すると、つまみ274は、中央で分割されたところを図示され、図の左半分がつまみが連結された位置を示し、右半分はつまみが連結解除された位置を示している。連結された位置では、前方向へのつまみの回転がリールの周囲に靴紐を巻き付ける。締め付けシステムにおける張力にかかわらず、靴紐の巻き戻しは不可能である。連結解除位置では、靴紐の巻き戻しは、リールの巻き戻しの原因となる。しかし、リールは、つまみの回転では逆方向の巻き付けはできない。
【0111】
前述の内容を達成する一つの方法は、つまみが連結位置にあるときにつまみ上のスプライン312との係合させるために、スプライン34をシャフト上に提供することである。図示されたように、つまみ274が非連結位置にあるとき、シャフト上のスプライン314は、スプライン312から非係合となり、これによって、靴紐の巻き取りに反応するリールの逆方向の巻き取りを可能にする。放射状に移動可能な鋸歯状ワッシャ316は、スライド可能に、非連結くぼみ318と連結凹み320の間を移動することができる。本文中に開示された観点から当業者にとっては明白なように、この結果を達成するため、広範囲にわたる構造のいずれでも用いられることができる。鋸歯状ワッシャ316は、連結位置から非連結位置へのつまみ274の偶発的な動きを防ぎ、つまみが連結位置又は非連結位置に所望に基づいて落とし込まれるように、使用者に対して触覚フィードバックを提供する。安定ワッシャ322又は他のスペーサが、つまみ274が不安定となるのを防ぐために提供されてもよい。
【0112】
図31及び図32の詳細図は、例えば、つまみ274上の、複数の一体成型された爪277を図示する。連結位置においても非連結位置においてもつまみ274の逆回転を防ぐためにハウジングに対して係合するように、爪277は十分に軸状に伸長される。このケース上の対応するラチェット279は、図32に図示される。
【0113】
本発明は、ある好ましい実施例に基づいて説明されてきたが、本発明の基本的な概念を用いることによって、前述の観点において当業者によって他の実施例も容易に具体化されることが可能である。さらに、本発明の範囲は以下の請求項を参照することによって画定されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0114】
【図1】本発明に基づいて構成された紐掛けシステムを含む、スポーツ用ブーツの側面図である。
【図2】図1のスポーツ用ブーツの正面図である。
【図3】図1のスポーツ用ブーツの紐掛けシステムの透視概略図である。
【図4(A)】複合部材靴紐ガイド部材の分解透視図である。
【図4(B)】組み立てられた複合部材靴紐ガイド部材の透視図である。
【図5】図4の複合部材ガイド部材の線5−5に沿った横断面図である。
【図6】複合部材ガイド部材の上面図である。
【図7】接合された先端を有する靴紐の端部透視図である。
【図8】本文中に説明された紐掛けシステムを用いた締め付け機構の、一つの実施例の分解透視図である。
【図9】図8の組み立てられた締め付け機構の横断面図である。
【図10】図9の締め付け機構の線10−10に沿った横断面図である。
【図11】足首保持片を含むスポーツ用ブーツの側面図である。
【図12】ブーツの舌状部に沿って配置された中央の靴紐ガイド部材を含むスポーツ用ブーツの正面図である。
【図13】中央靴紐ガイド部材の透視図である。
【図14】図13の線14−14に沿った横断面図である。
【図15】靴紐の通路に沿って配置された複数の靴紐固定部材を伴うブーツの、足の甲部分の概略正面図である。
【図16】ブーツ靴紐と係合した靴紐固定部材の、一つの実施例の側面図である。
【図17】ブーツ靴紐と係合していない靴紐固定部材の、一つの実施例の側面図である。
【図18】靴紐固定部材の、第二の実施例の側面図である。
【図19】図18の靴紐固定部材の第一の部材の上面図である。
【図20】ブーツの、足の甲部分の正面図である。
【図21】図20の線21内部の領域の拡大図である。
【図22】靴紐ガイドの代替的な実施例の上面図である。
【図23】靴紐ガイドの代替的な実施例の上面図である。
【図24】図23の靴紐ガイドの側面図である。
【図25】ブーツフラップに取りつけられた図23の靴紐ガイドの上面図である。
【図26】図25の線26−26に沿った靴紐ガイド及びブーツフラップの横断面図である。
【図27】締め付け機構の第二の実施例の側面図である。
【図28】図27の実施例の横断面図である。
【図29】代替的な締め付け機構の横断面図である。
【図30】締め付け機構の分割立面横断面図であって、連結位置の左側面及び非連結位置の右側面を示す。
【図31】一体成形された爪を示す、つまみを通じた横断面図である。
【図32】締め付け機構のケースを通じて横断面図であって、ケース上のラチェット歯を示す。
【符号の説明】
【0115】
120 スプール部
274 つまみ
318 非連結くぼみ
320 連結くぼみ
316 鋸歯状ワッシャ
【技術分野】
【0001】
本発明は履物に関する。さらに詳細には、本発明は低摩擦の紐掛けシステム(lacing system)に関するものであり、このシステムは、スポーツ用ブーツ及び靴に、装着者の足にわたる均衡な締め付け圧力を提供する。
【背景技術】
【0002】
現在、靴又はブーツを装着者の足を締め付ける機構及び方法は数多く存在する。従来の方法は、靴の対向する側面に取り付けられて二列に平行して並んだ鳩目を通してジグザグ状に靴紐を通す方法を含む。靴は、足の正中線へと二列の鳩目を引っ張るために、通された靴紐の対向する端部を最初に引っ張り、次に張力を維持するために端部を結び合わせることによって、締め付けられる。紐掛けシステムのこのタイプには、数多くの欠点が伴う。まず、靴紐は靴紐を通された領域の長さに沿って締め付ける力を適切に配分しない。これは靴紐と鳩目の摩擦によるもので、このため靴紐の一部分はたるんで、他の部分がきつくなる。したがって、より大きな張力のかけられた靴の部分は、足のある部分の周囲、特に靴紐の端部により近い足首の位置をさらに締め付ける。これは履き心地が悪く、ある種のスポーツでは成績に不利な影響を及ぼす可能性がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来的な靴紐に伴う他の欠点は、装着者は、靴紐が通された多くの鳩目の各々から靴紐を緩めなければならないため、ほどくこと又は靴紐の張力を再調整することがしばしば困難であるという点である。結び目を単純にほどいただけでは、靴紐は簡単に緩められない。靴紐と鳩目の間の摩擦はしばしば、結び目が解けた後もつま先の部位、時折は足の大部分の張力を維持する。したがって、使用者は、しばしば靴紐を鳩目の各々から別々に緩めなければならない。アイススケート用ブーツ又は他の特殊な高機能性の履物などのように鳩目の数が多い場合、これは特に手間がかかる作業になる。
【0004】
他の締め付け機構は、装着者の足の周囲を締め付けるためにともに留め合わせるバックルを含む。典型的には、三つから四つ以上のバックルが、靴の上部(upper portion)に配置される。バックルは、靴を装着者の足の周囲に締め付けるため及び緩めるために、迅速に一緒に留め合わせたり引き離すことができる。バックルは締め付けたりほどいたりが容易にできるが、欠点もある。特に、バックルは、バックルの位置に応じて、装着者の足に沿った三つ又は四つの位置に閉止圧力を孤立させてしまう。これは、装着者が足の長さに沿って均一に配分された力線を所望するスポーツ用ブーツの使用の際など、多くの場合に望ましくない。バックルの他の欠点は、典型的には硬質プラスチック又は他の硬質材料のブーツにしか役に立たないという点である。バックルは、アイススケート用又はスノーボード用ブーツのような、より軟質のブーツに使用するには実用的ではない。
【0005】
したがって、上述した欠点のない、履物用締め付けシステムが必要である。このようなシステムは、装着者の足首及び足の長さに沿って横方向の力を自動的に配分するものでなければならない。靴の締め付けは、望ましくは、緩めたり段階的な調整が容易であるべきである。締め付けシステムはしっかりと閉止して、連続使用の際に緩んでしまうことがあってはならない。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一つの態様に応じて提供されるのは、履物の製品の第一及び第二の側面を互いに引き寄せて履物を足の周囲で締め付ける閉止システムである。前記閉止システムは靴紐を受容するための回転可能なスプールを含み、前記スプールは、靴紐を取り上げるために第一の方向へ、靴紐を開放するために第二の方向へと回転可能である。つまみは前記スプールに接続され、つまみの回転に反応して前記スプールが第一の方向へ回転される。開放可能なロックは、第二の方向への前記スプールの回転を防ぐ。ロックの開放が、靴紐に張力を与えるために第二の方向への前記スプールの回転を起こすが、しかし、前記スプールは前記つまみの回転に反応して第二の方向へ回転できない。一つの実施例においては、前記つまみは、第一の方向にのみ回転可能である。
【0007】
本発明によるもう一つの態様に基づいて、履物の紐掛けシステムが提供される。システムは履物の部材を含み、これは足の周囲を包むように構成された第一及び第二の対向する側面を含む。複数の対向するケーブルガイド部材が対向する前記側面に配置される。ケーブルは、前記ガイド部材によってガイドされ、第一の端部及び第二の端部を備える。前記第一の及び第二の端部は、取り外し可能に前記スプールに対して固定される。締め付け機構は、前記靴に取り付けられ、前期スプールに連結される。前記締め付け機構は、ケーブルに張力を置くためにケーブルを前記スプール周辺に巻き取る制御を含み、これによって靴の対向する側面を互いに引き寄せる。
【0008】
好ましくは、ケーブルの前記第一及び第二の端部は、前記ケーブルが前記スプールを取り外すことなく前記靴の紐掛けシステムから取り外しされるように、取り外し可能に前記スプールに接続される。一つの実施例においては、前記ケーブルは、複数の紐を含み、これらは、好ましくは、前記第一及び第二の端部の各々において一緒に固定される。前記紐は、一つの実施例では、接合によって固定される。
【0009】
好ましくは、前記履物は、さらにその上に少なくとも一つの伸長制限バンドを含み、これは伸長制限面に留まる。前記伸長制限バンドは一つの実施例においては、装着者の足首の周囲を取り囲み、伸長制限面は靴を通じて全体的に水平に延出する。
【0010】
本発明のさらなる態様に基づいて、ユーザの動作に適合する、履物の紐掛けシステムが提供される。前記紐掛けシステムは、足の周囲を包むように配置された、少なくとも足の部分及び足首部分、さらに第一及び第二の対向する側面を含む履物の部材を含む。複数の対向するガイド部材が対向する側面に配置される。ケーブルはスライド可能に前記ガイド部材を通って延出し、足首における脚の前方への屈曲が足首部分での靴紐の緩みと、それに対応する靴紐の足部分の締め付けを引き起こし、その結果、足首における脚の後方への屈曲が足首部分での靴紐の締め付けと、それに対応する足部分での靴紐の緩みを引き起こす。伸長制限ストラップは少なくとも履物の部分を取り囲む。
【0011】
本発明のもう一つの態様に基づいて、ブーツの靴紐領域の長さに沿って、張力をつり合わせる方法が提供される。前記方法は、第一及び第二の対向するガイド部材の組合わせと、第一及び第二の対向するガイド部材の間で前後に延出する靴紐とを有するブーツを提供する方法を含む。前記ガイド部材は各々、靴紐がスライドする通路を画定し、回転可能な締め付け機構がブーツ上に提供され、靴紐を巻き取り、それによって第一及び第二の対向するガイド部材の組を互いに向かって前進させてブーツを締め付ける。前記締め付け機構は、靴紐を巻き取り、それによって第一及び第二の対向するガイド部材の組を互いに向かって前進させてブーツを締め付けるために回転される。前記靴紐はガイド部材の長さを通じてスライドされ、締め付け力をガイド部材の長さに沿って配分し、締め付け力をブーツの靴紐領域の長さに沿ってつり合わせる。靴紐領域を通じて少なくとも一つの面における伸長は、その面において伸長制限ストラップを締めることによって制限される。
【0012】
本発明のさらなる態様及び利点は、添付された図面と請求項とともに考慮される際、以下に続く好ましい実施例の詳細な説明から明白となるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
図1を参照すると、本発明に基づいて用意されたスポーツ用ブーツ20の一つの実施例が開示されている。スポーツ用ブーツ20は全体として、紐掛けシステム22を用いて装着者の足に締め付けられるアイススケート又は他のアクションスポーツ用ブーツを含む。紐掛けシステム22は靴紐23(図2)を含み、以下に詳細に説明されるように、靴紐23はブーツ20に通され、反対の端部を締め付け機構25に取り付けられる。本文中で用いられるように、用語「靴紐」及び「ケーブル」は特に規定されない限り同一の意味を有する。靴紐23は、ブーツ20に通されて容易に滑動する低摩擦靴紐であって、全体的に足首及び足に沿って延在する靴紐領域の長さにわたってブーツ20の締め付けを自動的に均衡される。本発明はアイススケート用ブーツに関して説明されるが、本文中で述べる原理は、広範囲な履物のいずれに対しても容易に適用されるものであって、特にスノーボード、ローラースケート、スキーなどに適切なスポーツ用靴又はブーツに適用可能であることは理解されるべきである。
【0014】
ブーツ20は、つま先部分26、かかと部分28及び、装着者の足首を取り囲む足首部分29を含む、上部24を含む。上部24の足の甲部分30は、つま先部分26と足首部分29との間に配置されている。足の甲部分30は、足首とつま先との間の、装着者の足の内側面の弧の上部部分に沿うように構成される。ブレード31(点線で図示)は、アイススケート用の実施例においては、ブーツ20の底から下方に向かって延出する。
【0015】
図2は、ブーツ20の正面図である。図示されたように、ブーツ20の上端は全体的に、舌状部36を部分的に覆う二つの向かい合った閉止縁部又はフラップ32及び34を含む。一般的に、靴紐23は、以下に詳述されるように、フラップ32及び34を互いに対して引き寄せ、ブーツ20を足の周囲に締め付けるために引っ張られることができる。フラップ32及び34の内側縁部は、距離を置いて離れているように図示されるが、ブーツ20が締め付けられる際はスキー用履物において知られているように、フラップ32及び34が互いに重なり合う寸法にできることを理解されたい。このように、互いに対する履物の対向する側面の図面の本文中での参照は、足の側面の履物部分に関する。この参照は、締め付けられたときに対向する縁部の間が開いた上体を維持する履物(例えばテニスシューズ)に対しても、締め付けられたときに対向する縁部が重なり合う履物(例えばスキーシューズ)に対しても、一般的である。両方において、締め付けは、履物の対向する側面を互いに引っ張り寄せることによって達成される。
【0016】
図2を参照すると、舌状部36は、つま先部分26からブーツ20の足首部分29へと後方に向かって延在する。好ましくは、舌状部36は、靴紐23が締めつけられた際に舌状部の表面32上におけるフラップ32と34と靴紐23との滑動を容易にするための低摩擦上部表面37を備える。低摩擦表面37は、舌状部32と一体に成形されるか、接着剤、熱接着、縫い付けなどで取り付けられてもよい。一つの実施例においては、表面37は、ナイロン又はポリテトラフルオロエチレンの可撓層を舌状部36の頂部表面に対して接着することによって成形される。舌状部36は、好ましくは、皮革のような柔軟な材料から製造される。
【0017】
上部24は、当業者には公知の、広範囲の材料のいずれからでも製造されることができる。スノーボード用ブーツの場合、上部24は、装着者の足の形状になじむ柔軟な皮革材料から製造されるのが好ましい。他のタイプのブーツ又は靴では、上部24は、硬質の又は柔軟なプラスチックから製造されてもよい。上部24は他のさまざまな公知の材料のいずれから製造されることも予期される。
【0018】
図2に示されたように、靴紐23は、フラップ32及び34上に位置する全体として平行な側面保持部材40二列の間の足の中心線に沿って、交差模様に通される。図示された実施例においては、側面保持部材40は各々、フラップ32及び34の上部及び底部の縁部を取り囲む一片の材料からなり、ガイド50が配置される領域を画定する。靴紐23は、以下にさらに詳しく説明されるように、靴紐が締め付けられる際とほどかれる際にはガイド50を通じて滑動する。図示された実施例においては、フラップ32及び34に各々三つの側面保持部材40が存在するが、保持部材40の数は可変である。いくつかの実施例によっては、四つ、五つか又はそれ以上の保持部材40がブーツの各側面にあることが望ましい場合がある。
【0019】
ガイド50は、フラップ32及び34、又は靴の他の間隔を置いて配置された部分に対して、本文中の開示内容に鑑み、当業者が理解できるどのような方法でも取り付けられることができる。例えば、保持部材40は取り外しされてもよく、ガイド50が、フラップ32及び34の表面、又は、上部(upper)の対向する側面に直接縫い付けられてもよい。ガイド50をフラップ32及び34に対して直接縫い付けることは、ガイド50の長さに沿った力の配分の最適な制御を有利に可能にする。例えば、靴紐23が比較的強く引っ張られた状態にあるとき、後述するように、ガイド50は湾曲しがちで、長手部分51と横断部分53の間における湾曲遷移部の付近でよじれる可能性もある。引っ張られた状態でのガイド部材の湾曲は、ガイド部材と靴紐26の間の摩擦を増大させ、ガイド部材50の重度の湾曲又はよじれは、紐掛けシステムの意図された使用に望ましくない影響を及ぼす。このように、ガイド50を靴に取り付ける取り付け機構は、好ましくは、湾曲及び/又はよじれに抵抗するガイド部材の十分な支持を提供する。十分な支持は、特に、ガイド部材50の端部に特に近い、湾曲された部分の内半径のいずれに対しても望ましい。
【0020】
図1及び図2に図示されたように、靴紐23は、足首部分29に配置される上部留め部材44a及び44bを通って、足首部分29の周囲にも延在する。上部留め部材44a及び44bは各々、留め部材44と上部24の間の隙間を画定する部分的に盛り上げられた中心部分を有する材料の片を含む。上部ガイド部材52は、足首部分29の各側面の周囲から締め付け機構25まで靴紐23をガイドするための各々の空間を通じて延在する。
【0021】
図3は、ブーツ20の紐掛けシステム22の概略透視図である。図示されたように、側面及び上端ガイド部材50及び52の各々は、中央管54を備える管状の構成を備える。各々の管54は、締め付け時とほどく時に、側面及び上端ガイド部材50、52を通って靴紐23が滑動するのを容易にし、靴紐23のひっかかりを防ぐために靴紐23の外径よりも大きい内径を有する。一つの実施例では、管の内径は約0.040インチであって、約0.027インチの外径を備える靴紐と共に用いられる。しかし、管54の直径は、特定の所望の靴紐の寸法及び他の設計構成に対応するために可変であることは、理解されるだろう。ガイド部材50及び52の各々は、管54の反対側の端部と連通する一組の開口部49を画定する。開口部49は、靴紐23の入口/出口として機能する。開口部は、望ましくは、少なくとも管54の横断面の幅を有する。
【0022】
図示された実施例においては、側面ガイド部材50各々は全体として、靴の中心線に対して開くU字型を備える。好ましくは、側面ガイド部材50は、長手部分51及びそこから延びる二つの傾斜した又は横断部分53を含む。長手部分51の長さは、靴紐23に張力がかかっている際、靴紐23が上部24に対して加える閉止圧の配分を調整するために可変である。さらに、長手部分51の長さは、特定の靴のすべてのガイド部材50に対して同じである必要はない。例えば、長手部分51は、装着者の足首に対して靴紐23が加える閉止圧力を増大させるために、足首部分29の付近では短くされてもよい。一般的には、長手部分51の長さは、約 〜約3インチの範囲内に落ち付き、ある実施例においては、約 〜約4インチの範囲になる。一つのスノーボード適用例では、長手部分51は、約2インチの長さを有していた。横断部分53の長さは、一般的に約 〜約1インチの範囲に収まる。一つのスノーボード用適用例においては、横断部分53は、約 インチであった。異なる特定の長さの組み合わせは、本文中の開示内容の観点から、当該技術分野の通常の熟練者は、日常の経験を介して特定のブーツの設計に応じて容易に最適化できる。
【0023】
長手部分53と横断部分53の間には、湾曲遷移部がある。好ましくは、遷移部は、端まで実質的同一の半径、又は半径にとがった角又は先鋭な変化のない、滑らかな漸進的湾曲を有する。この構造は、靴紐23が角を回る際に滑動できる、なめらかな表面を提供する。いくつかの実施例においては、円くされた角の表面が靴紐23の滑動を容易にするために設けられている限りは、横断部分53は消去されてもよい。外径0.090インチのガイド部材50及び外径0.027インチの靴紐23を伴い、横断部分53及び曲線的遷移部を備える実施例において、遷移部の半径は、好ましくは約0.1インチよりも大きく、さらに一般的には約0.125〜約0.4インチの範囲内である。
【0024】
図3を参照すると、上部ガイド部材52は、足首部分29の向かい合う側面の実質的周囲に延在する。各上部ガイド部材52は、近端部56及び遠端部55を有する。遠端部55は、最上位置の側面ガイド部材50から靴紐26の受け入れのために舌状部36の上部付近に配置される。近端部56は、締め付け機構25に連結される。図示された実施例において、近端部56は、以下に詳細に説明されるように、靴紐23の端部をそこに送りこむための締め付け機構25に係合する長方形の接続台57を含む。
【0025】
ガイド部材50及び/又は52は、好ましくは、潤滑性ポリマー又は金属のような低摩擦性材料で製造され、靴紐23の可滑動性を促進させる。代替的には、ガイド50、52は、都合のよい実質的に硬質材料のいずれから製造されてもよく、次に潤滑性の被覆部が、少なくとも管54の内部表面に滑動性を高めるために施される。ガイド部材50及び52は、好ましくは、靴紐23が固定される際にガイド部材50及び52の内部における、ガイド部材50、52及び/又は靴紐23の湾曲及びよじれを防ぐために実質的に硬質である。ガイド部材50、52は、冷間曲げ又は加熱曲げによって所望の形状に曲げられる及び材料の真直な管から製造されてもよい。
【0026】
代替的には、ガイド部材50、52は、湾曲が可能で低摩擦表面を保ち、よじれに抵抗する方法によって構成されてもよい。例えば、ガイド部材50、52は、ばねコイルを含んでもよく、これは、露出されたばねコイル又は、内部表面又は外部表面又は両面にポリマー被覆を施されたばねコイルのいずれでもよい。ばねコイルガイドの規定は、いくつかの実施例における横方向の可撓性の必要を満たすものであって、ガイドと靴紐の間の摩擦の最小化に役立つ硬質の内部表面を保持するものである。
【0027】
横方向の可撓性を増大させつつ硬質の内部靴紐を表面に接触させて保持する代替的なガイド部材50、52の設計として、ガイド50は、硬質ポリマー性又は金属管材料の同軸に揃えられた複数のセグメントを含んでもよい。このように、複数の管状セグメントでは、各セグメントは約0.1〜約1.0インチの範囲内の軸長を備え、好ましくは約0.25インチ又はそれより少ない長さを備えたものが同軸に揃えられて、端から端まで接触するか、又はガイド50、52の長さに沿って軸上に離間されてもよい。隣接する管状セグメントは、外部の可撓性ポリマージャケットの適用可能性によって同軸関係に維持されることができる。管状ガイドの形状は、ガイドを靴の側面に所望の方向に縫い付けることによって、又は、本文中の開示内容に照らして、当業者に明らかな他の技術によって保持されてもよい。
【0028】
前述の管状ガイド部材の代替案として、ガイド部材50及び/又は52は、例えば、半円又はU字状の横断面を備える開口通路を含む。ガイド通路は、好ましくは、靴紐の引っ張りが保たれるように、通路の開口がブーツの中心線に向かい合わないようにブーツに取り付けられる。靴紐の引っ張りが解除された際に靴紐が抜けていかないように、一つ又はそれ以上の保持片(retention strip)、縫い取り又はフラップが、通路の開口側面を「閉じる」ために提供されてもよい。通路の軸方向の長さは、図示された管状実施例のように一般的にはU字型構成で実施され、管形状の実施例との関連において説明されるように、継続していても、分節化されていてもよい。
【0029】
いくつかのガイド通路は、靴に対して接着されるか又は縫い取られる一般的な後部保持片に対して成型されたいくつかのガイド通路のように、一体に製造される。このように、右の靴紐保持片及び左の靴紐保持片は、ガイド通路の右セット及び左セットを提供するために、靴の上部又は側面の向かい合う部分に対して固定されてもよい。
【0030】
上記に説明された管状ガイド部材の代替案として、ガイド部材50及び/又は52は、図4(A)及び図4(B)に図示されたように、そこに嵌合する第一部材200と第二部材202とから成る複合部材ガイド部材199を含む。第一部材200及び第二部材202は各々、薄く扁平な形状を有する。空洞又はシート204(図4(A))は、第一部材200の上部表面の内部へと延びる。シート204は、好ましくは、図4(B)でもっともよくわかるように、プレスフィット形式のように、第二部材202が隠れるように受容する寸法である。
【0031】
図5の横断面に図示されたように、第二部材202は、既定の形状の溝206が第二部材202と第一部材200の間に画定されるように、シート内部に配置されてもよい。一組の開口207(図4(A)、図4(B))は、第一又は第二部材202、204のうちの一つの上に位置し、溝206への入口として機能する。開口208は、好ましくは、靴紐23が通りぬける通路となるように、十分な大きさを備える。一つの実施例においては、開口207は約0.030〜約0.060インチの範囲内の直径を備える。
【0032】
図6を参照すると、溝206は、靴紐23の管54として機能する靴紐の経路を画定するように延長される。管54は、好ましくは、ガイド部材199がブーツに取り付けられたときに、全体的にフラップ32又は34の縁部に沿った長さに延在する延長領域209を含む。延長領域209は直線であってもよく,又は、円又は楕円の継続的な部分のように、その長さに沿ったなめらかな湾曲によって画定されてもよい。例えば、延長領域は209は、約0.5〜約2インチのの長径と約0.5インチの短径を備える楕円部分によって画定されてもよい。管54はさらに、延長領域209の向かい合う端部に横断部分210を含む。横断領域210は、フラップ32及び34の縁部に対し、傾斜して延在する。代替的には、延長領域209は及び横断部分210は、管54の長さに沿って均一に広がり、これによってシステムの摩擦の全体量を減少させる、継続的な円又は楕円の形状を有する一つの領域に融合されてもよい。
【0033】
複合部材ガイド部材199の第一及び第二部材200、202は、靴紐23の滑動性を容易にする、潤滑性ポリマー又は金属のような低摩擦性材料から製造されてもよい。代替的には、ガイド部材199は、都合のよい、実質的に硬質な材料のいずれから製造されてもよく、次に、少なくとも管54の内部湾曲に潤滑性を強化する潤滑被覆が施されてもよい。ガイド部材199は、靴紐23が締め付けされる際のガイド部材199及び/又は靴紐23の湾曲やよじれを防ぐために、実質的に硬質であってもよい。ガイド部材199は、代替的には、湾曲が想定される靴の部分に使用される際は可撓性材料から製造されてもよい。ガイド部材50、52は、周知のモールド工程によって製造されてもよい。
【0034】
靴紐23は、本発明にとって十分な軸方向の強度及び湾曲可動性を示す、広範囲にわたるポリマー性又は金属の材料、又はそれらの組み合わせのいずれから製造されてもよい。例えば、織られたもの、編まれたもの、ねじられたもの、又は他の同種のもの、広範囲にわたる中実のワイヤ、中実のポリマー、又は多繊維ワイヤ又はポリマーが用いられてもよい。中実又は多繊維金属芯に、摩擦を減少させるためにPTEF又は他の当該技術において公知の、ポリマー性被覆が提供されてもよい。一つの実施例においては、靴紐23は、ステンレススチールから製造された7ストランドケーブルによる7ストランドのような、撚り合わされたケーブルを含む。靴紐23と、靴紐23が滑動するガイド部材50、52の間の摩擦を減少させるために、靴紐23の外部表面は、好ましくは、ナイロン又はテフロン(登録商標)のような潤滑性材料で被覆される。好ましい実施例においては、靴紐23の直径は、0.024〜0.060インチの範囲にわたり、好ましくは、0.027インチである。靴紐23は、望ましくは、少なくとも40ポンドの荷重に耐える強度であって、好ましくは、90ポンドまでの荷重に耐える。少なくとも5フィートの長さの靴紐23が、ほとんどの履物の寸法に適し、さらに短いか長いかは、靴紐システムの設計に基づいてよい。
【0035】
靴紐23は、一本のケーブルを所望の長さに裁断することによって成形されてもよい。靴紐23は、編まれた又は撚り合わされたケーブルを含み、靴紐23の端部または切端で個々の束がほぐれる傾向があると、靴紐23をガイド部材50、52の開口に通す作業が困難になる。靴紐23が、ガイド部材を通して送りこまれると、靴紐23の束は、すぐに靴紐ガイド部材の内部の湾曲した表面にぶつかる。束の端部が典型的には非常に鋭い金属製靴紐の使用は、さらに通している間にケーブルがガイド部材にぶつかる可能性を増大させる。束の端部が、ガイド部材及び/又は締め付け機構にぶつかると、束はほぐれて、使用者がガイド部材及び/又は締め付け機構の小さな孔に靴紐23を通していくのを困難にするか、不可能にしてしまう。不都合なことに、ケーブルのほぐれは、使用者が周期的に、靴紐ガイド部材を通して、対応する締め付け機構の内部へと靴紐を通すことを要求される現在の取替え可能紐掛けシステムに特有の問題である。
【0036】
図7を参照すると、この問題に対する一つの解決法は、靴紐23の切端又は端部59にシールされた又は接着された領域61を提供することであって、ここで個々の束は互いに束からほぐれないように保持される。図示を明白にするために、接着された領域61は、延長された長さで図示されている。しかしながら、接着された領域61は、靴紐23の最端部ぎりぎりに位置するビードであってもよく、一つの実施例においては、0.002インチ又はそれよりも短く接着された切端表面であってもよい。
【0037】
接着された領域61は、靴紐23の成形の間に例えば、束をひとまとまりに保ち束のほぐれを防ぐ接合(例えば、ソルダーチップ、蝋付け、溶接、又は束を一緒に溶かす)を加えることによって、端部59に成形されてもよい。切端接合は、靴紐23の直径を全体にわたって著しく増大させない点で有利である。付け加えれば、接合は、靴紐23のガイド部材への挿入を容易にするために、靴紐23の端部59をなめらかにするために用いられてもよい。接着された領域61は、靴紐23の端部に、ガイド部材を通じて締め付け機構内部へと靴紐を通すのを容易にする、なめらかかつ固定された表面を提供する。接着された領域は、このようにして、使用者がシステムの靴紐23の取り替える作業をさらに容易にする。代替的には、接着物又は薄い壁状の伸縮ラップ管がある実施例では用いられてもよい。
【0038】
図3に示されたように、締め付け機構25は、上部24の後部に締結装置64によって取り付けられる。締め付け機構25はブーツ20の後部に取り付けられて図示されているが、締め付け機構25がブーツ20上の広範囲のいずれに取り付けられてもよいということは理解されるべきである。アイススケート用ブーツの場合、締め付け機構は好ましくは、舌状部36の上部部分に配置される。締め付け機構25は、代替的には、ブーツのかかとの底部、上部又は靴底の内側又は横側面に位置してもよく、正面又は上方向を向いた靴の正中線に沿ったどの場所でもよい。締め付け機構25の位置は、ブーツ使用目的と同様に全面的なブーツ設計との広範囲な考慮において最適化されてよい。
【0039】
締め付け機構25の形状及び全体的な質量は、所望の最終目的及びブーツ上の位置、歯車列(gear train)設計に基づいて大きく異なってもよい。相対的に低位置の締め付け機構25が一般的に好ましい。締め付け機構25の盛り上がった輪郭は、さらに、ブーツの壁部又は舌状部へと締め付け機構25をへこませることによって減少される。さまざまな応用のためブーツは、構造的な支持及び/又は温度絶縁及び快適性の必要性から、相対的に厚い壁を持つ。締め付け機構は、ブーツの快適性及び機能性を逆に損なわないように、ブーツの壁から インチ又は場所によってはそれ以上、又は他の位置及び/又は他ブーツでは約 インチ又は約 インチの深さに設けてもよい。
【0040】
一般的に、締め付け機構25は、レバー、クランク又はつまみのような制御部を含み、これらは、靴紐23を巻きこむことによって操作される。付け加えれば、締め付け機構25は、好ましくは、締め付け機構を解除することで靴紐23が自由にそこから引き込まれるように、ボタン、レバーのような開放装置を含む。
【0041】
図示された実施例の締め付け機構25は全体的に、長方形のハウジング60及びそこに回転可能に取り付けられた円形のつまみ62を含む。つまみ62は、靴紐23の端部をハウジング60内部に巻き取るために回転されてもよく、靴紐23を引っ張ってたるみを減少させる。靴紐23のたるみが減少すると、靴紐23は、側面ガイド部材60を引っ張り、これによってフラップ32及び34が上部24を足の周囲に締め付けるためにブーツの正中線に引っ張られる。
【0042】
締め付け機構25は、装着者が靴紐23を巻き込むためにつまみ62を容易にひねることを可能にする内部歯車機構を含む点で有利である。好ましくは、歯車機構は、つまみ62が回転される際には、以下に詳述するように、既定の長さの靴紐を引っ張って保持するように構成される。所望の快適さとパフォーマンスレベルに合わせて使用者は、このように、有利に靴紐23の張力を連続的に調整することができる。つまみ62は、手動で、又は工具の使用によって、又はつまみ62に取り付けられた小さなモーターのいずれによって回転されてもよい。
【0043】
所望の程度まで、靴紐の張力を増大させ、さらにスプールのゆるみを防ぐためにスプールの巻き取りができるように、公知の機械構造のいずれでも用いることができる。例えば、さまざまなラチェット構造のいずれも、この目的に用いられることができる。代替的には、スプラグクラッチ又は類似の構造が、反対方向への回転を防ぐ一方で、シャフトの単一方向の回転を可能にする。これら又は他の構造は、機械技術分野の当業者には周知である。
【0044】
開放レバー63は、ハウジング60の側面に沿って位置する。開放レバーは、以下に詳述されるように、靴紐23の張力を開放し、装着者の足の周囲の上部23をゆるめるために、内部歯車機構の係合を解除するように回転する。これは、使用者にとって、開放レバー63を単純にひねることによって迅速かつ容易に靴紐システムをほどくことを可能にする点で有利である。
【0045】
靴紐23及びケーブルガイド50、52の間の低摩擦関係は、紐掛けシステム20の締め付けと開放を大幅に容易にする。特に、靴紐23及びケーブルガイド50及び52は低摩擦性材料から製造されるか被覆されるため、靴紐23は、ケーブルガイド内にぶつかることなく容易に滑動する。靴紐23は、このように自動的にその全長に張力を配分するので、締め付け圧は足首及び足の長さに沿って均一に配分される。開放レバーを発動させることによって靴紐23の張力が解除された場合、靴紐23は、容易にケーブルガイド50及び52を通じて滑動し、靴紐の長さに沿って張力を解除し、いかなるたるみも均等にならす。低摩擦舌状部36もまた、靴紐23がゆるめられたときにフラップ32、34を互いに移動させることを容易にする。
【0046】
図8は、締め付け機構25の一つの実施例の、さまざまな部品の分解図である。図示されたように、ハウジング60は、ねじのような締結機構66を用いて互いに嵌合される一組の連動装置の半分64(a)及び64(b)からなる。ハウジング60は、好ましくは半分64(a)及び64(b)の表面の空洞65内に適合する歯車機構70を回転可能に内包する。図示された実施例においては、歯車機構70は、第一、第二及び第三大歯車72、74及び76を含み、各々、締め付け機構25が組み立てられる際には回転可能に互いに係合する。
【0047】
図8に図示されたように、第一の大歯車72は、第一の歯車がその周囲で回転する軸78を含む。シャフトの第一の部分は、ハウジング半分64(a)内の開口部を通じて延出する。軸78の第二の部分は、ハウジング半分64(b)内の開口部を通って延出する。つまみ62は、軸78につまみ62の取り付け孔80を介して取り付けられる。取り付けピン76は、軸78に対して公知の方法でつまみ62を取り外し可能に固定する。締め付け機構25が組み立てられる際、つまみ62の回転は第一の大歯車72をも回転させる。歯車機構70の発動は、このように、つまみ62の回転を通じて達成される。
【0048】
図8を参照すると、第一の大歯車72は、第一の大歯車72の軸の周囲に周縁的に配置された複数の傾斜した歯83(図10)を有するラチェット部をも含む。傾斜した歯83は、以下にさらに詳しく説明されるように、爪84と嵌合して第一の大歯車72の望ましくない逆方向への回転を防ぐように構成される。この目的に対して、偏倚部材86は、爪84から延出するペグ90に対して接続される。偏倚部材86は、歯車機構70が組み立てられる際、爪84をラチェットの歯に対して偏らせる。第三の大歯車72は、一連の第三の大歯車72の周縁に延出する歯車の歯を有する歯車部92をも含む。
【0049】
図8に図示されたように、第二の大歯車74は、回転の共通軸上で、第一の歯車部94と、第一の歯車部94よりも小さい直径を有する段付き第二の歯車部96とを有する。第一の歯車94は、第一の大歯車72の歯車部92に噛み合わせられるように構成される歯車の歯を有する。開口部97は、第二の大歯車74を通じて中心に延出する。開口部97は、ハウジング64(b)から延出するポスト98を回転可能に受容する寸法になっている。第二の大歯車74は、組み立てられた歯車機構70の発動の間、ポスト98の周囲を回転する。
【0050】
図8を参照すると、第三の大歯車76は、第二の大歯車74の第二の歯車部96と噛み合わせられるように構成された歯車部100を含む。第三の歯車は、第三の大歯車76の周縁に延出する溝104、106を含むスプール部102をも含む。溝104、106は歯車機構25が発動する間に巻取式に、靴紐23の反対側の端部を受容する寸法になっている。
【0051】
靴紐23の端部107及び108には各々、台座孔110と圧力嵌め方式で嵌合するアンカー(留め部)109が提供される。台座孔110は、直径方向で第三の大歯車76上に配置される。アンカー109は台座孔110と嵌合し、靴紐23の端部107及び108はばらばらに、溝104及び106内部にそれぞれ配置される。連結台57は、ガイド部材50の遠位端部56を締め付け機構に関して固定された位置に維持するために、対応するハウジング半分64の開口部に嵌められる。
【0052】
本文中に開示された観点において当業者には明白であるように、さまざまなスプール又はリールの設計のいずれも本発明の趣旨において用いられてもよい。例えば、単一の溝スプールのみが用いられてもよい。しかしながら、二重溝スプール又は横に並べられた二つのスプールが、図示されたように、二つの靴紐の端部107及び108の、便利な同時巻取りを可能にする利点が備える。図示された実施例においては、端部107及び108のスプールへの反対側からの接近によって、靴紐は、図8に明白な回転可能な主軸を用いて、反対方向でスプール周囲に便利に巻きつく。
【0053】
歯車比と所望の性能によって、靴紐の一つの端部は、ガイド又はブーツの他の部分に固定されてもよく、もう一つの端部は、スプールに巻き取られる。代替的には、つま先部分付近のように靴紐の両端部がブーツに固定されてもよく、靴紐の中間部分がスプールに取り付けられる。
【0054】
好ましくは、空洞65は、靴紐を捕らえるためにスプールの外部周縁付近と嵌め合いになっている。このように、個々の溝を取り巻く外部フリンジ壁と空洞65の内部表面の間の溝は、好ましくは、靴紐の直径よりも小さい。この方法において、巻き取り機構の内部で紐が絡まり合うリスクを最小化することができる。
【0055】
靴紐の端部を連結するために、さまざまな取付構造の何れでも用いられる。図示された実施例に付け加えると、開口部に靴紐を通すことによって、さらに、スプールに靴紐を取り付ける横断方向に方向付けられたセットねじを提供してセットねじを靴紐に対して締めることによっても、靴紐は、都合よくスプールに取り付けられる。セットねじ又は他の開放可能な挟持構造は、当業者には明白なように、装置の組み立て及び解体と靴紐の取り替えを容易にする。
【0056】
第三の大歯車76の回転は、靴紐の端部107及び108を溝104及び106に各々巻き付かせ、これによって、締め付け機構25の中へと靴紐23の長さを引っ張って、靴紐23を引っ張られた状態にする。靴紐23の端部107、108は、スプール部102の周囲に靴紐23の両端部に張力が均一に加えられるように同じ比率で巻き付くことは理解されるだろう。
【0057】
第三の歯車は、軸78を第一の大歯車72上に回転可能に受容する寸法の中心開口部111を含む。第三の大歯車76は、歯車機構70の起動の間、軸78の周囲で回転する。
【0058】
好ましい実施例においては、第三の大歯車76は、0.625インチの直径を有する。第二の大歯車74の第二の歯車部96は、好ましくは、概ね0.31インチの直径を有し、第一の歯車部は、好ましくは第三の大歯車76の直径に概ね等しい直径を有する。第一の大歯車72は、好ましくは、概ね0.31インチの直径を有する。このような歯車の寸法の関係は、大歯車が回転するのに合わせて、靴紐23の張力の十分に微細な調整を提供する。
【0059】
図9は、組み立てられた締め付け機構25の横断面を示している。図示されたように、第一の大歯車72の軸78は、ハウジング半分64(a)及び64(b)個々の中の開口部112及び114の内部で、軸受けされる。つまみ62は、開口部112を通じて半分64(a)から延出する軸78の部分の上に取り付けられる。第一、第二及び第三の大歯車72、74及び76は個々に、互いに係合する。特に、第一の大歯車72の歯車部92は、第二の歯車の第一の歯車部94と係合する。同様に、第二の歯車94上の第二の歯車部96は、第三の大歯車76の歯車部100と係合する。このように、つまみ62の回転は、第一の大歯車72を回転させ、これによって、歯車部92と94の間の係合によって、第二の歯車を反対方向へ回転させる。これが次に、歯車部96と100の間の係合により、第三の大歯車76をつまみの回転の方向へ回転させる。
【0060】
第三の大歯車76が回転すると、靴紐の端部107及び108は、溝104及び106内部に各々巻き取られる。つまみ62の回転は、このようにして靴紐23を第三の大歯車76の周囲に巻き取り、これによってブーツ20が締め付けられる。
【0061】
図示されたように、つまみ62の逆時計回りの回転が、靴紐23を締める。靴紐23の張力は、図10に参照され説明されたラチェット機構によって維持される。
【0062】
図10は、図9の線10−10に沿った締め付け機構25の横断面図である。図示されたように、偏倚部材86は、ラチェット部82上の傾斜した歯83に対して固定された係合状態に爪84を維持する。爪84は、このように、つまみ62の時計回りの回転及び靴紐23のゆるみを防ぐ。つまみ64が時計回りに回転する際に爪84は歯83の上を滑動するので、傾斜した歯83がつまみ62の逆時計回りの回転を防ぐわけではないのは、理解されるべきである。つまみ62が逆時計回りに回転すると、爪84は自動的に歯83の各々と係合し、これは使用者が締め付け機構25へと引きこまれる靴紐23の量を少しずつ調整することを可能にする点で有利である。
【0063】
図10に図示されたように、開放レバー63は、ハウジング60を通って延出するシャフト116を通じて爪84と連動する。シャフト116のより低い端部には、カム部材118が備えられる。開放レバー63がシャフト116の周囲で回転すると、カム部材118も回転し、ラチェット歯83との係合から爪84を押しやる。爪84が、ラチェット歯との係合から外れると、第一の大歯車72、及び他の各大歯車74及び76が回転しなくなる。
【0064】
使用者が開放レバー63を起動させると、もし靴紐23に張力があった場合は、靴紐23は、自動的にスプール部102から手繰り出される。開放レバー63は、このように、ブーツ20を足の周囲から速やかにゆるめる際に用いられる。靴紐23とガイド部材50及び52の低摩擦の関係が、ガイド部材内部での靴紐23の滑動を容易にし、そのため開放レバー63を簡便にひねって、舌状部36を手で前に引き抜くことによって靴紐が迅速かつ円滑にゆるめられることは理解されるであろう。
【0065】
靴紐23の滑動によるブーツ各部の伸長に対する制限が、伸長制限又は増大した締め付け又は保持が望ましい場所でブーツ20を横断するように延在する一つ又はそれ以上のストラップによって達成されることは、予期される。例えば、ストラップは、足の甲部分30を横切ってブーツ20の一側面からブーツの他側面へと延びてもよい。第二の、又は単独のストラップが足首部分29の周囲に延在してもよい。
【0066】
図11を参照すると、伸長制限ストラップ220は、ブーツ20の足首部分に配置され、靴紐23によって提供される閉止を補い、本発明の紐掛けによって達成された動作への適合による伸長に調整可能な制限を設ける。制限ストラップ220は、靴紐20が解除されたとき又はリールの不具合によって損傷を受けた際に装着者の足が意図せずブーツ20から抜けるのを防ぎ、又は制限する。図示された実施例では、ストラップ220は装着者の足の周囲に延在する。制限ストラップ220の位置は、ブーツの設計及び特定のスポーツ活動においてブーツが受ける力の種類によって異なる。
【0067】
例えば、図示された実施例においては、制限ストラップ220は、全体的に水平に延びて装着者の足首又は足の下部を横切る伸長制限面を画定する。履物の内径又は横断面は、装着者によって与えられた力及び他の動作への適合にもかかわらず、このように伸長制限面の中のある弁を超えることはない。図示された位置は、装着者が足首を前方に傾けた際に、ブーツの上端の動作による開口を制限する傾向がある。制限ストラップ220の機能は、一つ又はそれ以上のストラップワイヤ、靴紐、又は足首を取り巻き、伸長制限面を提供する隣接したブーツの部品との組み合わせられた制限ストラップのような、他のブーツの部品に対し連結される他の構造によって達成されてもよい。
【0068】
代替的な設計において、伸長制限面は、制限ストラップ220を足首の全面の足の上部を横切って配置することによって、およそ垂直方向に配置され、動作への適合に異なる制限を与える。この位置では、伸長制限ストラップ220は、隣接する靴の部品の内側又は外側の足を取り囲んでもよく、又は足を取り囲んでいるかのような全体的な力の効果を提供するために靴底又は靴の他の部品に対して連結されてもよい。
【0069】
制限ストラップ220は、例えばブーツの靴底が位置する面から約25〜75度の範囲で後部から前部へと力制限面が上方へ傾斜する実施例のように、上記で議論された垂直及び水平な実施例の間にある角度で備わった力制限面をも作り出す。制限ストラップ220を、足首に沿って概ね延出する傾斜した力制限面に沿って配置することで、ブーツ内部における足の上方への動きの制限と、ブーツに対する足首での足の前方への屈曲の制御可能な制限の双方を、都合よく提供できる。
【0070】
ストラップ220は、好ましくは、ストラップ220の締め付け具合を調整及び維持するのに用いられる締め具222を含む。好ましくは、締め具222は、迅速な連結と解除が可能であって、装着者は制限ストラップ220を複雑な手間抜きで調整できる。本文中の開示の観点に基づいて当業者には明白であろうが、フック及びループ(例えばベルクロ)表面、スナップ、クランプ、カムロック、結び目のある靴紐などに対応するようなさまざまな締め具のいずれでも用いられる。
【0071】
ストラップ220は,本発明の低摩擦システムに特に有用である。靴紐23は、ガイド部材を通じて容易に滑動するため、靴紐の張力は、靴紐が損傷を受けたり、リールの不具合の場合は、不意に解除されることがある。このためにブーツが不意にかつ完全に開いてしまい、特に、この不具合のときに活動的なスポーツに参加していると、ブーツ装着者のけがの原因となる。この問題は、靴紐が比較的高摩擦性で、靴の従来的な鳩目に詰められる靴紐の傾向との組み合わせによって、靴紐が不意にかつ完全にほどける可能性を排除している従来の紐掛けシステムでは見られない。
【0072】
本発明に基づく低摩擦性の特徴は、装着者の足の周囲に動作に適合する靴を提供することである。装着者の足は、使用の間、特に活動的なスポーツの際、たえず動いて方向を変える傾向がある。この移動は、靴の舌状部及びフラップが足の動きに応じて移動する原因となる。これは、低摩擦性紐掛けによって容易となり、装着者の足の移動に対応する靴紐の張力を容易につり合わせる。ストラップ220は、使用者が、靴紐ガイドシステムを通じて靴紐の再調整によって自動的に達成される張力のつりあいによって起こる伸長の外部制限によって、ブーツによって提供される動作による適合(なじみ、fit)の量を規制することを可能にする。
【0073】
例えば、図11のブーツの装着者がスケート中にその足首を前方へと屈曲させたとき、足首ストラップ220がない場合は、ブーツの上端で増大した前方への力が、舌状部をわずかに移動させ、ブーツ上でずり下がった靴紐がきつくなってしまう。装着者が再び足首を真直ぐに伸ばすと、締まる力が均等になり、舌状部が足首にきついまま留まる。しかし、もしストラップ220がその足首の周囲に巻きつけられていたら、この足首及び舌状部の前方への動きがストラップ220の面におけるブーツの動作への適合特性を減少させ、ブーツの適合感と履き心地の違和感を与える可能性を防ぐか、又は減少させる。このように、ストラップは、この低摩擦性紐掛けシステムにおいて、動作への適合量を規制する効果的な手段を提供する。従来的な紐掛けシステムは大きな摩擦性を有するため、このような動作による適合を提供することはなく、そのため、同様な方法でストラップの有用性を生かすことはできない。
【0074】
類似のストラップは通常、従来的な紐掛けシステムとの組み合わせで、完全に異なる理由から用いられる。これらは、靴紐を補うための付加的な閉止力及びてこ作用を提供するために用いられるのであって、安全のために必要とされるのではなく、動作による適合を規制するために用いられるものでもない。
【0075】
本文中に説明された履物紐掛けシステム20は、有利な点として、使用者が段階的にブーツ20を装着者の足の周囲に締め付ける。低摩擦ガイド部材50、52と組み合わせられた低摩擦靴紐23は、ガイド部材50、52内部での靴紐23の容易な滑動を助ける。低摩擦舌状部36は、靴紐が締め付けられたときにフラップ32、34の開口と閉止とを容易にする。靴紐23は、その長さに沿って張力をつりあわせるため、紐掛けシステム23は足を横切る締め付け圧の均一な配分を提供する。締め付け圧は、締め付け機構25上のつまみによって段階的に調整される。使用者は、開放レバー63を簡便にひねること、またはつまみを持ち上げたり押したり、又は自動的に靴紐23を締め付け機構25から開放するために代替的な開放機構を操作することによって、ブーツ20を迅速にゆるめることができる。
【0076】
図12に図示されたように、少なくとも一つの耐侵食部材224が舌状部36及びフラップ32、34との間に隣接して配置される。図13にいちばんよく図示されているように、耐侵食部材224は、交差点230を画定するように交差して配置された一組の内部の通路又は管127a、bを備える扁平な円盤状構造を含む。管127a、bは、その内部に靴紐23を受容する寸法である。図14の横断面図に図示されたように、管127a、bは交差点230において靴紐23の隣接部の間で接触するのを防ぐように配置される。耐侵食部材224は、これによって、靴紐23が交差点230において磨耗するのを防ぐ。耐侵食部材224は、靴紐23を舌状部36から、靴紐23が舌状部36を磨耗させたり、侵食したりしないように遮蔽する。
【0077】
耐侵食部材224は、代替的には、靴紐23と耐侵食部材224の間の接触を最小化するためにナイフのエッジ又は頂部の形状を備えてもよい。例えば、靴紐23が舌状部36を横切る交差点において、同軸的な延出(例えば、足又は足首の正中線に沿って)のうね又は縁部が舌状部36と靴紐23との間に備えられてもよい。この耐侵食部材224は、好ましくは、PTFEのような潤滑性プラスチック、又は従来の経験から決定される他の材料からモールドされるか、又は成形されてもよい。靴紐23は、交差摩擦が小さな領域に制限され、さらに柔らかい舌状部の材料よりも潤滑性表面上を通るか又は前の実施例の通路又は管を通るように、頂部を交差する。耐侵食部材224のテーパ付けされた側面は、耐侵食部材224が無理なく可撓性を保ち、足を横切る横方向への下方向への荷重の配分を強化する。足の正中線に沿った長さは、ブーツの設計に基づいて異なる。それは1インチ長いか、又は短くてもよく、靴紐が交差する舌状部に位置付けられるか、又は舌状部の全長に沿って靴紐が交差する部分においてはさらに顕著に盛り上がり、さらなる可撓性が所望される部分においてはさほど目立たないうねを伴って、延出してもよい。耐侵食部材224は、舌状部に一体として形成されても、又は連結されてもよく、又は、前述された円盤のように、舌状部の上端に乗っていてもよい。
【0078】
一つの実施例においては、耐侵食部材224は、リベット、ねじ、スナップ、縫い取り、糊付けなどのような広範囲の公知の締結機構を用いて舌状部36上に固定されて取りつけられる。他の実施例においては、対侵食部材224は舌状部36に対して連結されず、さらに自由に舌状部36上端に付いていてもよく、靴紐23との係合を通じてあるべき場所に収まる。代替的には、耐侵食部材224は、靴紐23の最初の部分を舌状部に通すことによって、第二に舌状部36の外部表面上で靴紐23の交差部分を通すことによって、舌状部36と一体に形成される。
【0079】
図15は、概略的にブーツ20の中底領域を図示する。少なくとも一つの靴紐固定部材232(概略的に図示)は、靴紐23の通路に沿って配置される。各固定部材232は、靴紐23と係合し、締め付け機構25の方向など、靴紐の既定部分の軸方向の移動を防ぎ、これによって既定領域での靴紐の張力を制限するように構成される。例えば、一組の固定部材232aは、フラップ32、34のつま先部分付近の靴紐の通路に沿って「a」点に位置付けされる。張力が締め付け機構25を介して靴紐23に加えられたあと、固定部材232aは、領域「a」への靴紐の移動を防ぐために靴紐23に対して、係合してもよい。ひとたび係合されると、固定部材232aは、領域「a」で締め付け機構25に対して「a」点で靴紐23の位置を固定することによって、靴紐23の張力を固定する。領域「a」における靴紐の張力は、締め付け機構25によって靴紐23に対して加えられた張力が開放又は発動されても、このようにして維持される。このようにして、締め付け機構25は、異なるレベルの張力又は締め付けを靴紐領域「a」の靴紐の外部に付加することによって、開放又は発動してもよい。
【0080】
図15を参照すると、固定部材232は、さまざまな靴紐固定領域を作り出すために、位置「b」「c」のような靴紐の通路に沿った広範囲に渡る位置のいずれに配置されてもよい。代替的に、固定部材232を固定又は開放することによって、又、靴紐23の張力を変化させることで、使用者は、靴紐の通路に沿って異なった締め付けの領域を与えられる。
【0081】
図16及び図17は、ブーツフラップ32と連結された固定部材232の一つの実施例を図示する。固定部材232は、円形の底部縁部240を有する拡大されたカム部分236から外方向へと延出する延長アーム235を備えるアクチュエータ234を含む。靴紐23は、カム部分236の円形縁部240とフラップ32の間に置かれる。アクチュエータ234の拡大されたカム部分236は、回転可能なピンコネクタ242などを介して、フラップ32に対して回転可能に取りつけられる。図16に図示されたように、アクチュエータ234は、円形縁部240が靴紐23に係合し、フラップ32に対して靴紐を固定する締め付け力を付加する、第一又は係合された部分へと移動されてもよい。固定部材232は、このようにして、靴フラップ32に対する靴紐23の移動を防ぐ。
【0082】
図17を参照すると、アクチュエータ234は、カム部分236の円形縁部240が靴紐23との係合から移動され、これによって、フラップ32に関する靴紐23の移動を可能にする、第二の非係合方向へと移動されてもよい。
【0083】
図18は、第一の部材314及びそこに連結される第二の部材322を含む複合部材構造からなる靴紐固定部材312の他の実施例を示す。図19の横断面図にもっともよく示されるように、第一の部材は、そこを通じて延出する一組のシャフト316を備える。第一の部材314の一組のボア孔315(図18)は、シャフト316と連通する。延長する管状圧縮クランプ320は、シャフト316の各々に位置付けされる。シャフト316及び圧縮クランプ320は、図19に図示されたように、靴紐をその内部に受容する寸法となっている。
【0084】
第二の部材322は、第一の部材314に対して移動可能に連結される。第二の部材322は、第一の部材314のボア孔31内部へと延出する一組のペグ324を含む。ねじ326は、第一の部材314及び第二の部材322と連結される。第二の部材322は、ねじ326を回転することによって第一の部材314へと段階的に移動されてもよい。ねじ326が回転されると、ペグ324が段階的に靴紐シャフト316内部へと滑動し、圧縮クランプ320をはさむか又は圧縮する。靴紐が圧縮クランプ320の内部に配置されるとき、ペグ324と圧縮クランプ320の間の圧縮連結は、靴紐23の移動を防ぐために靴紐23へと移行される。使用者は、ペグ324が靴紐23に対して加える圧縮のレベルを変化させるためにねじ326を調整してもよい。
【0085】
圧縮クランプ320は、好ましくは、ペグ324が圧力をそこに付加したときに変形する、柔軟で変形可能な材料から作られる。有利な点としては、柔軟な圧縮クランプ320は、靴紐23を変形させるリスクを減少させたうえで靴紐23に対して十分な圧縮を及ぼす。固定部材312は、前述されたように、使用者が異なる締め付けの領域を作りだすことを可能にするように、靴紐の通路に沿ってさまざまな位置に配置されてもよい。
【0086】
述べられたように、固定部材232は、使用者が靴紐23をこれらの位置のいずれに固定してもよいように、靴紐の通路に沿って配置されてもよい。他の機構又は構造的な設計は、締め付け機構に相対的な靴紐を固定するために用いられてもよい。例えば、ガイド部材の入口は、靴紐23に係合するための取り付けに対して適合してもよい。
【0087】
図20は、ブーツ20の正面図である。図20に図示された実施例においては、管状のガイド部材50及び52は、材料の単一又は複数の層の内部又は間のようなフラップ32、34の内部に取りつけられる。好ましくは、ガイド部材50、52の各先端150(図19)はフラップ32、34の各内部縁部152から外方向へ突出する。図21にもっともよく図示されるように、一連の縫い取り154は、好ましくは、各ガイド部材50及び52を取り囲む。縫い取り154は、溝156をその間に作り出すためにガイド部材50、52にすぐ隣接して位置される。図示を容易にするために、溝156は、ガイド部材50、52の直径に対して比較的大きな寸法で図示される。しかし、各ガイド部材50、52の間の距離及び個々の縫い取り154は、好ましくは小さい。
【0088】
好ましくは、縫い取り154の各連は、ガイド部材50、52がフラップ32、34の内部によくフィットするように、ガイド部材の形状に対してよくマッチした模様を形成する。縫い取り154は、これによって、ガイド部材50、52の変形、特に靴紐が締め付けられたときの内部の直径の変形を防ぐ。有利な点として、縫い取り154は靴紐が締め付けられたとき、ガイド部材50、52が移動しないように、又はフラップに応じてシフトしないようにアンカーとして機能する。
【0089】
溝156は、糊のような材料で部分的に満たされ、これはフラップ32にタイする34ガイド部材50、52の位置を安定させる。材料は、さらにガイド部材50、52の溝156から移動を防ぐために選択される。図22に図示されたように、ガイド部材は、さまざまな形状のタブ160のようなアンカー部材を備えてもよく、これは、さまざまな位置に配置され、ガイド部材50、52のフラップ32に対する移動又は変形を防ぐように構成される。アンカー部材は、ガイド部材50、52が移動し始めた際は摩擦を生じてさらなる移動を防ぐガイド部材上のノッチ又は溝を含んでもよい。溝は、研摩、サンドブラスト、エッチングなどさまざまな方法を用いて形成されてもよい。
【0090】
図23及び24を参照すると、代替的なガイド部材250は、靴紐23の通路としての内部管252を備える薄い単一ピース構造を含む。ガイド部材250は、主な部分を含む。フランジ部分260は、主な部分254周辺に周縁的に延出する。図22にもっともよく図示されたように、フランジ部分260は、主な部分254に対応して減少された厚みの領域を含む。延長されたスロット265は、減少された厚みがガイド部材250の上部表面266aに位置された第二の領域からなる。
【0091】
一組の靴紐出口孔262は、靴紐ガイド部材250の側面表面を通じて延在し、管252と連通する。靴紐出口孔262は、靴紐23がさまざまな出口角度で出てくるように長楕円の形状を備えてもよい。
【0092】
図23及び図24を参照すると、上部及び下部の通路264a、264bは個々に、ガイド部材250の上部及び下部表面266a、266bの夫々を通じて延びる。通路264は、管252の通路に沿って延出し、それと連通するように配置される。上部の通路264aの各々の位置は、好ましくは、上部の通路264aが下部通路264bに対して補うように、管通路に沿った下部の通路264bの各々の位置と連続的に置換する。
【0093】
図25及び図26に関して、靴紐ガイド部材250は、フランジ領域260を材料の単一又は多数の層255(図26)の内部又は間などのフラップ32、34内部へと挿入することによって、フラップ32、34に取りつけられる。層255は、フラップ32、34において均一な厚さを維持するために充填材料257で充填されてもよい。
【0094】
靴紐ガイド部材250は、例えば、フラップ32、34を糸で縫い付け、靴紐ガイド部材250を通じて縫い取り模様251を形成することによって、フラップ32、34に対して固定される。糸は好ましくは、フランジ部分及び延長されたスロット265の厚みが減少された領域部分を通じて縫い付けられる。好ましくは、フラップ32、34は、ガイド部材の主な部分254が靴紐ガイド部分250がそこに取りつけられたときにフラップ32、34上に露出されるように切断される。
【0095】
図26に関して、ガイド部材250の主な部分の上部表面266aは、好ましくは、なめらかかつ継続した外観を保ち、フラップ32、34の不連続性を排除するためにフラップ32、34の上部表面と平坦に維持される。有利な点としては、フランジ領域260は減少された厚みを有するために、靴紐ガイド部材250は、フラップ32、34の厚みをほとんど増大させないように、さらに好ましくは、フラップの厚みをまったく増大させないように構成される。靴紐ガイド部材250はこのようにして、ガイド部材250がそこに取りつけられた際にもフラップ32、34にいかなるこぶも作らない。
【0096】
上述されたように、一連の上部及び下部のオフセットした通路264a、bは、靴紐ガイド部材250を通じて延出し、管252と連通する。通路のオフセット配置は、射出成型工程においてシャットオフを用いた単一構造のガイド部材250の製造を容易にする。
【0097】
管の形状は、概ね楕円によって画定される。一つの実施例においては、楕円は、約0.970インチの長径及び約0.351インチの短径を備える。
【0098】
図27は、代替的な締め付け機構270の側面図である。締め付け機構270は、回転可能なつまみ274のように、機械的に連結される制御機構を備える外部ハウジング272を含む。回転可能なつまみ274は、外部ハウジング272に対して二つの位置の間で軸Aに沿ってスライド可能に移動可能である。第一の、又は係合された位置では、つまみ274は、以下に詳述されるように外部ハウジング272内部に位置する内部歯車機構と機械的に係合する。第二に、又は非係合の位置(点線で図示)で、つまみは、第一の位置に対して上方へと配置され、機械的に歯車機構からの係合が解かれる。底板273は、外部ハウジング272の底端部に配置される。一組のアーム275は、底板273から外方向へと延出する。
【0099】
図28は、締め付け機構270の横断面図である。歯車機構276(概略的に図示)は、外部ハウジング272の下部領域の内部に配置され、シャフト280を介して機械的に回転可能なつまみ274に連結される。シャフト280は、スプライン仲介を通じるなどして機械的につまみに連結される。
【0100】
靴紐巻き取りスプール282は、歯車機構276と制御の部274の間に置かれる。シャフト280は、スプール282を通じて軸受けされる。スプール282は、歯車機構276に対して機械的に連結される。スプール286は、一組の環状の溝284a、bを含み、これは巻き取られた靴紐23を受容する寸法に作られている。スプール282は、制御つまみ274の回転に対応して、シャフト280の軸周囲で回転する。
【0101】
制御つまみ274は、前方への回転方向、つまり靴紐23がスプール282に巻き付きようにする回転方向で段階的に回転するように構成される。この目的のために、制御つまみ274は、好ましくは、制御つまみ274は、外部ハウジング272上の対応する一連のラチェットに係合する、一体に取りつけられた一連の爪277を含む。図31及び32を見よ。爪277は、好ましくは、制御つまみ274が連結された位置又は非連結位置において、ラチェット279とたえず係合する。ラチェット/爪の係合は、つまみ274が連結された位置において、つまみ274及びスプール282が後方へ(つまり靴紐23をスプール282の周囲に巻き取る方向と反対の回転方向へと)回転するのを防ぐ。この構成は、使用者が制御つまみ274を後方へと不注意に巻き取って、靴紐23がスプール282においてよじれたり絡んだりするのを引き起こすことを防ぐ。約6インチから約2フィートのケーブルの長さ(各端部に1.5)がスプール282の周囲に巻き取られているときなどの場合のように、靴紐23が長くスプールに巻き取られているときに、よじれる危険性が特に高い。
【0102】
図30を参照すると、つまみ274は、二つの位置、連結された位置(図の左側面)と非連結位置(図の右側面)の間における移動可能性を示すために図示される。つまみ274の爪277は、つまみが後方に回転しないようにいずれの位置にある場合でも、ラチェットとスライド可能に係合される。係合された位置では、つまみ上のスプライン歯が、靴紐23が巻き戻されないように効果的にラチェット/爪システムを歯車列及びスプール282に連結するシャフト280のスプライン歯と連結される。スプール282から靴紐23を巻き戻さないようにするただひとつの方法は、スプールがいずれの方向にも自由に回転するようにスプラインを非連結にする非連結位置へとつまみ274を引き出すことである。次に、靴紐は、スプールから手動で引きぬかれる。シャフト上に取りつけられた可撓性のある鋸歯状ワッシャがつまみ274を押し、つまみの二つの鋸歯の一つの上に落下する。これが、連結位置又は連結位置のいずれにおいても摩擦によってつまみを保持する。この実施例においても、永久的に係合されたラチェット/爪アセンブリは、つまみを引きぬくことによってスプールからの連結を解かれ、これの連結解除は当業者によっていくつかの異なった方法で達成されることができる。
【0103】
図28を参照すると、一組の靴紐入口孔296a、bは、締め付け機構270の外部ハウジング272の側面に配置される。靴紐入口孔296a、bはスプール282の環状の溝284a、bと個々に連通する。一組の靴紐保持孔300a、bは、個々に溝284a、b内部のスプール内に配置される。各靴紐保持孔300a、bは、スプール282の内部へと放射状に延出する円筒形状の孔を含む。靴紐保持孔300a、bは、そこに靴紐23の端部を受容する寸法になっている。一組の対向孔302は、スプール282を通じて下方へと延出し、靴紐保持孔300a、bと連通する。取り付け器具として、セットねじ304など対向孔302の各々の内部に配置される。セットねじ304は、靴紐保持孔300a、bへと段階的に底端部を突出させるために回転してもよい。
【0104】
スプール282は、図28に図示されたように、靴紐保持孔300a、bの各々が対応する靴紐入口孔296a、bと個々に位置合わせされるために回転してもよい。この目的のために、位置合わせ孔301は、スプール282内に位置付けされ、対応する位置合わせ孔303は、外部ハウジング272の中に位置付けされる。二つの位置合わせ孔301、303は、スプール282の回転を通じて位置合わせされる。好ましくは、孔301、303が位置合わせされるとき、靴紐保持孔300もまた、靴紐入口孔296と位置合わせされる。使用者は、これによって位置合わせ孔301、303を位置合わせして、外部ハウジング272に対してスプール282の位置を固定するためにピンを挿入し、それによって、迅速かつ容易に靴紐保持孔300を靴紐入口孔296に位置合わせすることができる。
【0105】
靴紐23は、上記のように、靴紐保持孔300a、bが対応する靴紐入口孔296a、bと位置合わせされるように第一にスプール282を回転させることによって、締め付け機構270に据え付けられる。次に靴紐23の端部は、靴紐端部が、靴紐保持孔300a、bの内部表面に接するまで、個別の靴紐入口孔296a、bへと各々挿入される。次にセットねじ304は各自回転され、靴紐の端部に係合した又ははさんだセットねじ304の両端部がそれによって保持孔300a、bの内部で靴紐23を固定する。制御つまみ274は、靴紐23をスプール282の周囲に巻き取るために前方向へと回転されてもよい。靴紐23は、セットねじ304の靴紐との係合を解除しスプール282から靴紐23を引くために、セットねじ304を緩めることによってスプール282から移動される。
【0106】
上述されたように、靴紐入口孔296a、bは、靴紐の端部を入口孔296a、bに挿入される際、対応する靴紐保持孔300a、bと位置合わせされるべきである。図29なに図示されたように、靴紐の端部は、孔296、300が正確に位置合わせされなければ、保持孔300には入らず、むしろスプール282の内部表面とぶつかるだろう。これでは、使用者はセットねじと靴紐23を係合させることができない。靴紐23の端部は、好ましくは、使用者が句末紐23を靴紐保持穴300a、bへと据え付けるのを助けるマーカーまたはインジケータ310を含む。インジケータ310は、靴紐23の端部からあらかじめて選択された距離をもって位置付けされ、好ましくは、実質的には靴紐保持孔300の内部表面と靴紐入口孔296の間の距離Dに等しい。
【0107】
靴紐23の据え付けの間に、靴紐入口孔296及び靴紐保持穴300が、うまく位置合わせされない場合、が29に図示されたように、インジケータ310は明らかに使用者に可視である。しかし、靴紐23が靴紐保持孔300内部に正確に配置されると、インジケータ310は、靴紐入口孔296の入口部分に埋め込まれる。有利に、靴紐上のインジケータが靴紐入口孔296の入口部分に位置付けされたときは、使用者が靴紐が靴紐保持孔300の内部で正確に配置されたと確認することができる。
【0108】
締め付け機構270は、好ましくは、フラップ32、34の間でブーツ20の舌状部36に対して移動可能に取りつけられる。一つの実施例においては、バヨネット型の取り付けシステムが締め付け機構270を舌状部36に対して取り付けるのに用いられる。舌状部36は、その中かその上に取りつけられた、プラスチックのような可撓性材料のシートを含んでもよい。材料は、対応する締め付け機構270の底部273(図27)上のバヨネット構造と嵌合するダイカット孔含んでもよい。ダイカット孔は、たとえば、バヨネット構造が挿入されて、ひねられ、孔の内部でバヨネット構造がロックされるように鍵型であってもよい。有利に、このような設計は、迅速かつ容易に工具を使用せずに、締め付け機構がブーツ20に取り付けられたり取り外されたりすることを可能にする。
【0109】
本発明の実施例のある機能的な利点を、さらに図30との関連において32を通じて図示することもできる。特に、閉止システムは靴紐を受容するための回転可能なスプールを含む。スプールは、靴紐を取り上げる第一の方向及び靴紐を開放する第二の方向へ回転可能である。つまみは、つまみの回転にのみ反応して靴紐を取り上げる第一の方向へとスプールが回転するように、スプールに連結される。開放可能な固定が第二の方向へのスプールの回転を防ぐために提供される。ひとつの都合のよい固定機構は、つまみをブーツから軸方向に引っ張ることによって開放され、これによって、靴紐を巻き戻す第二の方向へのスプールの回転を可能にする。しかし、スプールは靴紐の牽引に反応するときにのみ第二の方向へ回転する。スプールは、つまみの回転に反応して第二の方向へ回転することはできない。つまみの逆回転が、靴紐の相応の巻き取りがない状態で靴紐のゆるみの原因となった場合でも、これがスプール内又は周囲での靴紐の絡まりを防ぐ。
【0110】
図30を参照すると、つまみ274は、中央で分割されたところを図示され、図の左半分がつまみが連結された位置を示し、右半分はつまみが連結解除された位置を示している。連結された位置では、前方向へのつまみの回転がリールの周囲に靴紐を巻き付ける。締め付けシステムにおける張力にかかわらず、靴紐の巻き戻しは不可能である。連結解除位置では、靴紐の巻き戻しは、リールの巻き戻しの原因となる。しかし、リールは、つまみの回転では逆方向の巻き付けはできない。
【0111】
前述の内容を達成する一つの方法は、つまみが連結位置にあるときにつまみ上のスプライン312との係合させるために、スプライン34をシャフト上に提供することである。図示されたように、つまみ274が非連結位置にあるとき、シャフト上のスプライン314は、スプライン312から非係合となり、これによって、靴紐の巻き取りに反応するリールの逆方向の巻き取りを可能にする。放射状に移動可能な鋸歯状ワッシャ316は、スライド可能に、非連結くぼみ318と連結凹み320の間を移動することができる。本文中に開示された観点から当業者にとっては明白なように、この結果を達成するため、広範囲にわたる構造のいずれでも用いられることができる。鋸歯状ワッシャ316は、連結位置から非連結位置へのつまみ274の偶発的な動きを防ぎ、つまみが連結位置又は非連結位置に所望に基づいて落とし込まれるように、使用者に対して触覚フィードバックを提供する。安定ワッシャ322又は他のスペーサが、つまみ274が不安定となるのを防ぐために提供されてもよい。
【0112】
図31及び図32の詳細図は、例えば、つまみ274上の、複数の一体成型された爪277を図示する。連結位置においても非連結位置においてもつまみ274の逆回転を防ぐためにハウジングに対して係合するように、爪277は十分に軸状に伸長される。このケース上の対応するラチェット279は、図32に図示される。
【0113】
本発明は、ある好ましい実施例に基づいて説明されてきたが、本発明の基本的な概念を用いることによって、前述の観点において当業者によって他の実施例も容易に具体化されることが可能である。さらに、本発明の範囲は以下の請求項を参照することによって画定されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0114】
【図1】本発明に基づいて構成された紐掛けシステムを含む、スポーツ用ブーツの側面図である。
【図2】図1のスポーツ用ブーツの正面図である。
【図3】図1のスポーツ用ブーツの紐掛けシステムの透視概略図である。
【図4(A)】複合部材靴紐ガイド部材の分解透視図である。
【図4(B)】組み立てられた複合部材靴紐ガイド部材の透視図である。
【図5】図4の複合部材ガイド部材の線5−5に沿った横断面図である。
【図6】複合部材ガイド部材の上面図である。
【図7】接合された先端を有する靴紐の端部透視図である。
【図8】本文中に説明された紐掛けシステムを用いた締め付け機構の、一つの実施例の分解透視図である。
【図9】図8の組み立てられた締め付け機構の横断面図である。
【図10】図9の締め付け機構の線10−10に沿った横断面図である。
【図11】足首保持片を含むスポーツ用ブーツの側面図である。
【図12】ブーツの舌状部に沿って配置された中央の靴紐ガイド部材を含むスポーツ用ブーツの正面図である。
【図13】中央靴紐ガイド部材の透視図である。
【図14】図13の線14−14に沿った横断面図である。
【図15】靴紐の通路に沿って配置された複数の靴紐固定部材を伴うブーツの、足の甲部分の概略正面図である。
【図16】ブーツ靴紐と係合した靴紐固定部材の、一つの実施例の側面図である。
【図17】ブーツ靴紐と係合していない靴紐固定部材の、一つの実施例の側面図である。
【図18】靴紐固定部材の、第二の実施例の側面図である。
【図19】図18の靴紐固定部材の第一の部材の上面図である。
【図20】ブーツの、足の甲部分の正面図である。
【図21】図20の線21内部の領域の拡大図である。
【図22】靴紐ガイドの代替的な実施例の上面図である。
【図23】靴紐ガイドの代替的な実施例の上面図である。
【図24】図23の靴紐ガイドの側面図である。
【図25】ブーツフラップに取りつけられた図23の靴紐ガイドの上面図である。
【図26】図25の線26−26に沿った靴紐ガイド及びブーツフラップの横断面図である。
【図27】締め付け機構の第二の実施例の側面図である。
【図28】図27の実施例の横断面図である。
【図29】代替的な締め付け機構の横断面図である。
【図30】締め付け機構の分割立面横断面図であって、連結位置の左側面及び非連結位置の右側面を示す。
【図31】一体成形された爪を示す、つまみを通じた横断面図である。
【図32】締め付け機構のケースを通じて横断面図であって、ケース上のラチェット歯を示す。
【符号の説明】
【0115】
120 スプール部
274 つまみ
318 非連結くぼみ
320 連結くぼみ
316 鋸歯状ワッシャ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
靴紐を受容するための回転可能なスプールであって、靴紐を引っ張り巻き上げるために第1の方向へ、靴紐にかかる張力を解放するために第2の方向へとそれぞれ回転可能なスプールと、
つまみ及びスプールを連結させる連結位置と、つまみをスプールから引き離すことによって、つまみとスプールとを非連結とする非連結位置との間で移動可能であり、連結位置ではスプールがつまみの回転に応答して第1の方向に回転される、前記つまみと、
つまみが少なくとも連結位置にあるとき、第2の方向へのスプールの回転を防止するための手段と、を含む、足の周囲で履物を締め付けるために履物の製品の第1及び第2のそれぞれの側面を互いに引き寄せるための閉止システムであって、
靴紐にかかる張力に応答してスプールを第2の方向に回転可能にするために、非連結位置にスプールから引き離された状態でつまみを保持するための手段を更に含み、
前記保持するための手段は、
第1のくぼみと、
前記第1のくぼみから離れた位置に位置する第2のくぼみと、
前記つまみが前記スプールから引き離されること及び前記つまみが前記スプールに向かって押されることに応じて前記第1のくぼみと前記第2のくぼみとの間を相対的にスライド移動可能でありかつ半径方向に移動可能な移動部分であって、該移動部分が前記第2のくぼみにかみ合うことにより前記つまみを前記連結位置に位置させると共に該移動部分が前記第1のくぼみにかみ合うことにより前記つまみを前記非連結位置に位置させる、該移動部分と、
を備えたことを特徴とする、
閉止システム。
【請求項2】
前記移動部分は、戻り止めワッシャである、請求項1に記載の閉止システム。
【請求項3】
前記つまみが、摩擦によって非連結位置に保持される、請求項1又は2に記載の閉止システム。
【請求項4】
前記つまみが第1の方向にだけ回転可能である、請求項1から3のいずれか1つに記載の閉止システム、
【請求項5】
前記スプールが、つまみの回転に応答して第2の方向には回転できない、請求項1から4のいずれか1つに記載の閉止システム。
【請求項6】
ハウジングを更に含むとともに、前記つまみがハウジングに対してスライド可能であり、前記第2の方向へのスプールの回転を防止するための手段が、ハウジング内の対応する一組のラチェットと係合する歯止め部を含む、請求項1から5のいずれか1つに記載の閉止システム。
【請求項7】
前記歯止め部がラチェットと永久的に係合される、請求項6に記載の閉止システム。
【請求項8】
ハウジング内に配置され、スプールに機械的に連結される歯車機構を更に含む、請求項6又は7に記載の閉止システム、
【請求項9】
前記請求項1から8のいずれか1つに記載の閉止システムを組み込んだ履物。
【請求項10】
つまみが履物から手動で引き出されてつまみとスプールとを非連結とするように、前記閉止システムが履物上に配置される、請求項9に記載の履物。
【請求項11】
スノーボードに適したブーツの形状をしている、請求項9又は10に記載の履物。
【請求項12】
運動靴の形状をしている、請求項9又は10に記載の履物。
【請求項13】
前記閉止システムが、履物の舌状部に装着される、請求項9から12のいずれか1つに記載の履物。
【請求項14】
履物の第1及び第2のそれぞれの側面に位置付けられる複数の靴紐ガイド部材を更に含む、請求項9から13のいずれか1つに記載の履物。
【請求項15】
前記靴紐ガイド部材が長手方向部と、前記長手方向部によって離間される第1及び第2の開口とを有し、該長手方向部の長さがすべての靴紐ガイド部材において同じではない、請求項14に記載の履物。
【請求項16】
少なくとも1つのガイドが円形形状を画定する、請求項14又は15に記載の履物。
【請求項17】
少なくとも1つのガイドが楕円形状を画定する、請求項14又は15に記載の履物。
【請求項18】
前記靴紐が高分子材料から形成される、請求項9から17のいずれか1つに記載の履物。
【請求項19】
前記靴紐が金属から形成される、請求項9から17のいずれか1つに記載の履物。
【請求項20】
靴紐がスプールに着脱可能に接続される、請求項9から19のいずれか1つに記載の履物。
【請求項21】
靴紐がガイド部材の周囲にスライド可能に位置付けられて、履物内部の足の動作に応答して張力をもたらし、足の動作と履物とをフィットさせる、請求項9から20のいずれか1つに記載の履物。
【請求項22】
履物の上に少なくとも1つの伸長制限バンドを更に含み、該バンドが伸長制限面に留まる、請求項9から21のいずれか1つに記載の履物。
【請求項23】
前記伸長制限面が履物内部を通じて略水平に延出する、請求項22に記載の履物。
【請求項24】
前記伸長制限バンドが、装着者の足首を囲むように履物上に位置付けられる、請求項22又は23に記載の履物。
【請求項25】
前記移動部分は、前記つまみが前記非連結位置と前記連結位置に落とし込まれるように、使用者に対して触覚フィードバックを提供するように構成される、請求項1に記載の閉止システム。
【請求項26】
前記つまみと前記スプールは軸(A)の周りに回転すると共に、前記つまみは、当該軸(A)に沿って前記スプールから退くことにより、前記非連結位置に移動可能である、請求項1に記載の閉止システム。
【請求項1】
靴紐を受容するための回転可能なスプールであって、靴紐を引っ張り巻き上げるために第1の方向へ、靴紐にかかる張力を解放するために第2の方向へとそれぞれ回転可能なスプールと、
つまみ及びスプールを連結させる連結位置と、つまみをスプールから引き離すことによって、つまみとスプールとを非連結とする非連結位置との間で移動可能であり、連結位置ではスプールがつまみの回転に応答して第1の方向に回転される、前記つまみと、
つまみが少なくとも連結位置にあるとき、第2の方向へのスプールの回転を防止するための手段と、を含む、足の周囲で履物を締め付けるために履物の製品の第1及び第2のそれぞれの側面を互いに引き寄せるための閉止システムであって、
靴紐にかかる張力に応答してスプールを第2の方向に回転可能にするために、非連結位置にスプールから引き離された状態でつまみを保持するための手段を更に含み、
前記保持するための手段は、
第1のくぼみと、
前記第1のくぼみから離れた位置に位置する第2のくぼみと、
前記つまみが前記スプールから引き離されること及び前記つまみが前記スプールに向かって押されることに応じて前記第1のくぼみと前記第2のくぼみとの間を相対的にスライド移動可能でありかつ半径方向に移動可能な移動部分であって、該移動部分が前記第2のくぼみにかみ合うことにより前記つまみを前記連結位置に位置させると共に該移動部分が前記第1のくぼみにかみ合うことにより前記つまみを前記非連結位置に位置させる、該移動部分と、
を備えたことを特徴とする、
閉止システム。
【請求項2】
前記移動部分は、戻り止めワッシャである、請求項1に記載の閉止システム。
【請求項3】
前記つまみが、摩擦によって非連結位置に保持される、請求項1又は2に記載の閉止システム。
【請求項4】
前記つまみが第1の方向にだけ回転可能である、請求項1から3のいずれか1つに記載の閉止システム、
【請求項5】
前記スプールが、つまみの回転に応答して第2の方向には回転できない、請求項1から4のいずれか1つに記載の閉止システム。
【請求項6】
ハウジングを更に含むとともに、前記つまみがハウジングに対してスライド可能であり、前記第2の方向へのスプールの回転を防止するための手段が、ハウジング内の対応する一組のラチェットと係合する歯止め部を含む、請求項1から5のいずれか1つに記載の閉止システム。
【請求項7】
前記歯止め部がラチェットと永久的に係合される、請求項6に記載の閉止システム。
【請求項8】
ハウジング内に配置され、スプールに機械的に連結される歯車機構を更に含む、請求項6又は7に記載の閉止システム、
【請求項9】
前記請求項1から8のいずれか1つに記載の閉止システムを組み込んだ履物。
【請求項10】
つまみが履物から手動で引き出されてつまみとスプールとを非連結とするように、前記閉止システムが履物上に配置される、請求項9に記載の履物。
【請求項11】
スノーボードに適したブーツの形状をしている、請求項9又は10に記載の履物。
【請求項12】
運動靴の形状をしている、請求項9又は10に記載の履物。
【請求項13】
前記閉止システムが、履物の舌状部に装着される、請求項9から12のいずれか1つに記載の履物。
【請求項14】
履物の第1及び第2のそれぞれの側面に位置付けられる複数の靴紐ガイド部材を更に含む、請求項9から13のいずれか1つに記載の履物。
【請求項15】
前記靴紐ガイド部材が長手方向部と、前記長手方向部によって離間される第1及び第2の開口とを有し、該長手方向部の長さがすべての靴紐ガイド部材において同じではない、請求項14に記載の履物。
【請求項16】
少なくとも1つのガイドが円形形状を画定する、請求項14又は15に記載の履物。
【請求項17】
少なくとも1つのガイドが楕円形状を画定する、請求項14又は15に記載の履物。
【請求項18】
前記靴紐が高分子材料から形成される、請求項9から17のいずれか1つに記載の履物。
【請求項19】
前記靴紐が金属から形成される、請求項9から17のいずれか1つに記載の履物。
【請求項20】
靴紐がスプールに着脱可能に接続される、請求項9から19のいずれか1つに記載の履物。
【請求項21】
靴紐がガイド部材の周囲にスライド可能に位置付けられて、履物内部の足の動作に応答して張力をもたらし、足の動作と履物とをフィットさせる、請求項9から20のいずれか1つに記載の履物。
【請求項22】
履物の上に少なくとも1つの伸長制限バンドを更に含み、該バンドが伸長制限面に留まる、請求項9から21のいずれか1つに記載の履物。
【請求項23】
前記伸長制限面が履物内部を通じて略水平に延出する、請求項22に記載の履物。
【請求項24】
前記伸長制限バンドが、装着者の足首を囲むように履物上に位置付けられる、請求項22又は23に記載の履物。
【請求項25】
前記移動部分は、前記つまみが前記非連結位置と前記連結位置に落とし込まれるように、使用者に対して触覚フィードバックを提供するように構成される、請求項1に記載の閉止システム。
【請求項26】
前記つまみと前記スプールは軸(A)の周りに回転すると共に、前記つまみは、当該軸(A)に沿って前記スプールから退くことにより、前記非連結位置に移動可能である、請求項1に記載の閉止システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4(A)】
【図4(B)】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図2】
【図3】
【図4(A)】
【図4(B)】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【公開番号】特開2010−148927(P2010−148927A)
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−74828(P2010−74828)
【出願日】平成22年3月29日(2010.3.29)
【分割の表示】特願2001−519784(P2001−519784)の分割
【原出願日】平成12年7月17日(2000.7.17)
【出願人】(502078309)ボア テクノロジー インコーポレイテッド (1)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年3月29日(2010.3.29)
【分割の表示】特願2001−519784(P2001−519784)の分割
【原出願日】平成12年7月17日(2000.7.17)
【出願人】(502078309)ボア テクノロジー インコーポレイテッド (1)
【Fターム(参考)】
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