説明

履物用トーキャプ及びそのトーキャプが一体化されたアウトソール

【課題】 本発明は着靴感とフィッティング感を向上させ、外部からの強い衝撃から保護することができる履物用トーキャプ及びそのトーキャプが一体化されたアウトソールの提供。
【解決手段】 本発明は着靴感とフィッティング感を向上させ、外部からの強い衝撃から保護することができる履物用トーキャプ及びそのトーキャプが一体化されたアウトソールに関するもので、上記トーキャプ(30)の上端高さは足の親指(41)部分が最高点に至り、小指(45)の部分に向けてだんだん下向き傾くようになった第1特徴と、足指の外形形状にしたがって円弧状に成り、五本の足指(41〜45)の間の4箇所にそれぞれ溝になった第1溝ないし第4溝(31〜34)が形成されて各足指を支持するように構成された第2特徴を持った履物用トーキャプが開示される。また、上記トーキャプが一体化されたアウトソール(20)は前方上端面に人体の各足指(41〜45)中で、少なくとも一つまたはそれ以上の足指底面を収容するように支持溝(21)が形成されたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、履物用トーキャプ及びそのトーキャプが一体化されたアウトソールに関して、さらに詳しくは、トーキャプ上端は足の親指側から小指側に下向きに傾いた形態になって、トーキャプが足指の外形形状にしたがって曲がり、トーキャプとアウトソールが一体化された場合、アウトソール前部の上面に各足指を支持される支持溝が形成された履物用トーキャプ及びそのトーキャプが一体化されたアウトソールに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に履物は足の形状になったラスト(靴型)の外面に履物の外形を成す甲皮をかぶせた状態で甲皮のまわり下端に靴底を付着させた後、ラストを分離させる方法により製造されている。このようにすれば履物内部にラストの形状に対応する空間が形成されるので、足に着用可能な履物が製造される。
【0003】
前記靴底は、大別すると、地面と接するアウトソール(outsole)と、人体の足裏と接し通常履物で分離可能なインソール(insole)と、前記アウトソールとインソールの間に配置されアウトソール上端に接するミドソール(midsole)からなる。
【0004】
本発明に係るアウトソールの先行技術として、特許文献1にはアウトソールと足指部分を覆うことができるようにしたトーキャプ(toe−cap)が一体に形成された長靴(特許文献1)が開示されている。これと類似な技術として、特許文献2には先方トー部位に靴の底と一体にした状態で甲皮の足の甲部側に延ばされて甲皮の外側面に密着固定されるトーキャプが用意された上履きが開示されている。
【0005】
前記特許文献らの特徴は共に靴の底、すなわちアウトソールと足指を覆うトーキャプを一体化させたもので、これらを通じてトーキャプが足指をカバーして外部の衝撃から足指を保護することができるようにしている。
【0006】
しかしながら従来のトーキャプらは足指をカバーして保護してはいるが、その形態が足指一つ一つを別々に固定する形態ではなく、五本の足指全体を同時にカバーすることができるアーチ形態で成り立っているため足指のフィッティング力と着靴感が良くない問題点があるのみならず、強い外部衝撃から足指を安全で十分に保護することができない問題点がある。
【0007】
さらに、トーキャプの高さが全体的に等しいから相対的に一番大きさが大きい足の親指に圧迫が加えられて痛症を誘発して、ひどい場合には、足底根膜炎、指間神経腫のような疾患を病むことがあり、相対的に大きさが一番小さな小指は履物内で固定されないで動いてしまうためフィッティング感がひどく低下する短所がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許第4、294、022号
【特許文献2】韓国登録実用新案第20−340751号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
前記の様々の問題点を改善するためには、履物内部空間、特に足前部の接するトーキャプが人体の足指形状ともっとも似たようになることが望ましいところ、これに従って本発明は足の解剖学的資料をベースとして足指形状に対応する履物用トーキャプを製造することと共にそのトーキャプが一体に形成されたアウトソールを製造して着靴感とフィッティング感を向上させ、外部の強い衝撃から充分に保護することができるようにする履物用トーキャプ及びそのトーキャプが一体化されたアウトソールを提供することをその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するための本発明の第1手段は、人体の足指をカバーするように用意された履物用トーキャプにおいて、前記トーキャプ(30)の上端の高さを足の親指(41)部分が最高点に至り小指(45)に向けてだんだん下向きに傾いたことを特徴とする。
【0011】
前記トーキャプ(30)上端の下向き勾配角(D)は5゜〜25゜の範囲で円弧上に傾くようにすることが望ましい。
【0012】
上記目的を達成するための本発明の第2手段は、人体の足指をカバーするように用意された履物用トーキャプにおいて、前記トーキャプ(30)は足指の外形の形状に沿って円弧状からなり、五本の足指(41〜45)の間の4箇所にそれぞれ溝がなりたつ第1溝ないし第4溝(31〜34)が形成されて各足指を支持するように構成されたことを特徴とする。
【0013】
また、前記トーキャプと一体化されたアウトソール(20)は前方上端面に人体の各足指(41)〜(45)中で少なくとも一つまたはそれ以上の足指底面を収容するように支持溝(21)が形成されたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、トーキャプが足指の外形形状に沿って曲がり、トーキャプ上端は足の親指側から小指側へ下向きに傾いた形態になっている特徴的構造によって五本の足指を一つずつ固定支持するので、着靴感とフィッティング力が優れ、活動性も向上させることができるし、また凹凸形態の構造によってトーキャプの強度が高いため外部からの衝撃に対しても足を安全に保護することができる。
【0015】
さらに、トーキャプと一体化されたアウトソールの全面上端に各足指の底を収容する支持溝が形成されているので着靴感とフィッティング感をもっと向上することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明による履物の要部だけを示した斜視図である。
【図2】本発明による履物の正面図で、トーキャプの要部を示したものである。
【図3】図2のA−A線を切開した断面図で、トーキャプの曲がった形状を示したものである。
【図4】本発明によるトーキャプと一体化されたアウトソールを示した部分縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
上記目的を達成するための本発明の第1手段は、人体の足指をカバーするように用意された履物用トーキャプにおいて、前記トーキャプ(30)の上端高さは足の親指(41)部分の最高点に至り、小指(45)部分に向けてだんだん下向きに傾いたことを特徴とする。
【0018】
前記トーキャプ(30)上端の下向き勾配角(D)は5゜〜25゜の範囲で円弧状に傾くようにすることが望ましい。
【0019】
前記目的を達成するための本発明の第2手段は、人体の足指をカバーするように用意された履物用トーキャプにおいて、前記トーキャプ(30)は足指の外形形状に付いて円弧状に成り立つが、五本の足指(41〜45)の間の4箇所にそれぞれ第1溝ないし第4溝(31〜34)が形成されて各足指を支持するように構成されたことを特徴とする。
【0020】
また、前記トーキャプと一体化されたアウトソール(20)は前方上端面に人体の各足指(41)〜(45)中で、少なくとも一つまたはそれ以上の足指底面を収容するように支持溝(21)が形成されたことを特徴とする。
【0021】
以下、本発明の望ましい実施形態を示した添付された図面を参照して本発明を詳細に説明する。
【0022】
図1は本発明による履物の要部形態を示した斜視図であり、図2は本発明による履物の正面図として、トーキャプの要部を示したものであり、図3は図2のA−A線を切開した断面図として、トーキャプの曲がった形状を示したものである。
【0023】
図1及び図2に示したように、履物は足をカバーするための甲皮(10)を有し、前記甲皮(10)の底面にはアウトソール(20)が形成され、履物の前方には人体の足指を保護するための硬質のトーキャプ(30)が設置される。
【0024】
以下、前記トーキャプ(30)の特徴的な構造を説明する。このような特徴的な構造が適用された本発明のトーキャプ(30)は前記アウトソール(20)と別に設置されることもでき、アウトソール(20)と一体化されることもできる。
【0025】
図2及び図3に示したように、前記トーキャプ(30)は五個の足指(41〜45)の外形形状に対応する形態になり、正面で観測した時、トーキャプ(30)の上端は足の親指(41)が置かれる部分の高さが一番高い最高点に至り、小指(45)が置かれる部分はだんだんに下向きに傾いた形態を取る(図2参照)。
【0026】
トーキャプ(30)上端が傾いているのは人体の足指の中における足の親指の大きさ(高さ)が一番大きく、小指(45)に至るほどその大きさ(高さ)がだんだん小さくなるからで、このような足指外形形状に対応してトーキャプ(30)の上端高さを設計して、甲皮(10)の甲部分(11)も前記トーキャプ(30)の上端に繋がれることで人体の足元部分をカバーするようにする。
【0027】
図2のように前記トーキャプ(30)の上端勾配角(D)は人体の各足指の高さの差を考慮して5゜〜25゜の範囲で調整することができる。前記角度が調整可能な範囲であることは、トーキャプ(30)上端の傾斜が直線ではなく、曲線形態になっているからである。すなわち足の親指(41)が位置する最高点から小指(45)が位置する最低点まで曲線形態になっており、こんなに下向きに傾いた曲線は位置によって角度が違うように測定されるため、トーキャプ(30)上端を下向き傾くように設計する時、位置によって前記5゜〜25゜の範囲内で調整が可能なのである。
【0028】
一方、図2及び図3に示したように、前記トーキャプ(30)は各足指(41〜45)の外形形状に沿って円弧状に成るが、五本の足指(41〜45)の間の4箇所にそれぞれ溝となる第1溝ないし第4溝(31〜34)が形成される。
【0029】
言い換えれば、足の親指(41)と人差し指(42)の間の各足指の接する部分に溝になる形態に対応して第1溝(31)が形成されて、人差し指(42)と中指(43)が相互接する部分で溝になる形態に対応して第2溝(32)が形成されて、中指(43)と薬指(44)が相互接する部分で溝になる形態に対応して第3溝(33)が形成されて、同じ方法で薬指(44)と小指(45)の間と対応する位置に第4溝(34)が形成される。
【0030】
このようにすれば、各足指(41〜45)が4個の各溝(31〜34)に支持されるので足指が動かないでフィッティング力を増加することができるようになる。すなわち、例えば人差し指(42)の場合、第1溝(31)と第2溝(32)の突き出部分によって左右方向への動きが防止されて、中足指(43)の場合、第2溝(32)と第3溝(33)の突き出部分によって左右方向への動きが防止される。
【0031】
もっと望ましい形態として、図3に示したように前記トーキャプ(30)には足の親指(41)の前部内側部(41’)を支持するように溝になった第5溝(35)をも含んで構成されおり、この場合、足の親指(41)は第1溝(31)と第5溝(35)の間に位するようになると共に、左/右方向に支持されるのでフィッティング力が倍加される。
【0032】
また、前記トーキャプ(30)は足の親指(41)の根元の内側部(41”)を支持するように溝になった第6溝(36)も含むことができる。この場合、歩行の時、一番大きい力を受ける足の親指(41)全体がトーキャプ(30)によって支持されると共に、トーキャプ(30)が人体の足指全体外形の形状と殆ど等しい形状に製造されるので着靴感とフィッティング感が最上となる。
【0033】
図4は本発明によるトーキャプと一体化されたアウトソールを示した部分縦断面図である。
【0034】
前記したように、トーキャプ(30)が人体の足裏を支持するアウトソール(20)と一体に形成された場合、前記アウトソール(20)はその前方上端面に人体の各足指(41)〜(45)中で、少なくとも一つまたはそれ以上の足指底面を収容するように支持溝(21)を形成することができる。
【0035】
前記支持溝(21)は図4に示したように、足指の底を収容するように下方へ陷沒された溝形態になって足指の動きを防止することができる。このような支持溝(21)は、図3に示したように、五本の足指全部に対応する形態に形成することができるし、必要によって五本の足指の中で任意選択された足指にだけ対応するように形成することができる。即ち、前記支持溝(41)は例えば足の親指(41)にだけ対応するように1個だけ設置したり、または足の親指(41)と人差し指(42)にだけ対応するように2個だけ設置されるなど、必要によってその数は適当に設計可能である。
【0036】
以上の説明は添付された図面の制限された構造に基づいて説明したものであり、他の部分に関する説明は略したが、本発明は例示された実施例の構造とその説明に限定されるのではなく、前記説明された技術思想によって当業者なら必要によって均等な範囲内で適当に設計変更することができるし、そういう変更は下記の請求範囲内に含まれることを理解しなければならない。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明によれば、トーキャプが足指の外形形状に沿って曲がり、トーキャプ上端は足の親指側から小指側で下向きに傾いた形態になっている特徴的構造によって五本の足指一つずつを固定支持するので、着靴感とフィッティング力が優れ、活動性も向上することができるし、また凹凸形態の構造によってトーキャプの強度が高いから外部からの衝撃に対しても足を安全に保護することができる。
【符号の説明】
【0038】
10・・・甲皮
11・・・甲皮の甲部
12・・・絞り紐
20・・・アウトソール(outsole)
21・・・足指支持溝
30・・・トーキャプ
31、 32、 33、 34、 35、 36・・・第1〜6溝
40・・・足
41、 42、 43、 44、 45・・・足指


【特許請求の範囲】
【請求項1】
人体の足指をカバーするように用意された履物用トーキャプにおいて、前記トーキャプ(30)の上端の高さは足の親指(41)部分が最高点に至り、小指(45)部分に向けてだんだんに下向きに傾いたことを特徴とする履物用トーキャプ。
【請求項2】
前記トーキャプ(30)上端の下向き勾配角(D)は5゜〜25゜の範囲で円弧状に傾いたことを特徴とする請求項1記載の履物用トーキャプ。
【請求項3】
人体の足指をカバーするように用意された履物用トーキャプにおいて、前記トーキャプ(30)は足指の外形形状にしたがって円弧状に成り、五本の足指(41〜45)の間の4箇所にそれぞれ第1溝ないし第4溝(31〜34)が形成されて各足指を支持するように構成されたことを特徴とする履物用トーキャプ。
【請求項4】
前記トーキャプ(30)は足の親指(41)の前部内側部(41’)を支持するような溝になった第5溝(35)を含むことを特徴とする請求項3記載の履物用トーキャプ。
【請求項5】
前記トーキャプ(30)は足の親指(41)の根元の内側部(41”)を支持するような溝になった第6溝(36)を含むことを特徴とする請求項3記載の履物用トーキャプ。
【請求項6】
前記請求項1乃至5のいずれか一項に記載した履物用トーキャプと一体になって人体の足裏を支持するように用意されたアウトソール(20)において、前記アウトソール(20)の前方上端面に人体の各足指(41〜45)中で、少なくとも一つまたはそれ以上の足指底面を収容するように支持溝(21)が形成されたことを特徴とするトーキャプが一体化されたアウトソール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2012−532732(P2012−532732A)
【公表日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−520521(P2012−520521)
【出願日】平成21年8月11日(2009.8.11)
【国際出願番号】PCT/KR2009/004456
【国際公開番号】WO2011/007919
【国際公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【出願人】(508066016)トレクスタ インク. (3)
【氏名又は名称原語表記】Treksta Inc.
【Fターム(参考)】