説明

履物類

【課題】使用・着用中に模様や絵柄更にアップリケ並びに装飾品などの変形や形崩れ更に歪みを防止し、これによって、ファッション性を著しく向上、維持し、使用の際に異和感が全くない、履き心地が著しく優れた履物類を提供する。
【解決手段】靴下、インナーソックス、室内用履物、足袋又は携帯用履物などの履物類1Aであって、この履物類において、上身頃3は非伸縮性の素材で形成されており、又、下身頃4はその少なくとも1部が、面に沿った多方向に伸縮性を有する素材で形成されており、しかも履口2を形成する周縁部2aには、その少なくとも1部が更に高い伸縮性を有する。 特に、足の略全体を被う底の浅い室内用履物において、爪先を二股に形成し、上身頃を和風の風合いがある絵柄や模様を付した生地で形成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、下身頃には面に沿った多方向に伸縮性を付与して極めて優れた装着性を発現させると共に、各種サイズの足に至極適合するように形成したものであり、しかも、上身頃は非伸縮性の素材を用いることによって、使用中に模様、アップリケ又は装飾品などの変形や崩れを防止し、これによって、ファッション性を著しく向上、維持させる上、使用の際に異和感が全くなく、使用感に著しく優れる履物類に関する。
【背景技術】
【0002】
履物のうち、例えば、市販されている靴下は、履口の周縁部に伸縮性を持たせて、装着後、当該靴下がずれ落ちないように工夫されている。又、装着性を更に向上させるために、底部の土踏まずの部分から甲に向けた部位に輪状に伸縮性を有するように形成された靴下が提案されており(特許文献1、特許文献2)、また伸縮性の程度が異なる複数の面が各所に形成されている靴下も提案されている(特許文献3)。一方、外反母趾を防ぐことを目的として、一部に伸縮性がある靴下も提案されている(特許文献4)。
【0003】
インナーソックスは、装着後にずれないようにように、履口の周囲部に伸縮性があり、更に、装着性を向上させるため、全体に伸縮性を有する糸が使用されている履物も提案されている(特許文献5)。
【0004】
和装用の足袋は、全体が非伸縮性の生地で形成され、その後部に、履口と連続する下方に向けた切欠き部が設けられ、この切欠き部の両縁部を重ね合わせて、こはぜ、ボタン、ファスナーなどの止め具で止着できるように構成されている。
【0005】
そして、室内用履物には、主に、防寒用として使用するものと、旅行などで長時間、飛行機、列車又は自動車などの座席に座り続けるときなどに、靴と履き替えて、足の窮屈感を解放し、足の汚れと足の冷えを防止するために使用する携帯用履物とがある。
【0006】
前者の室内用履物は、履物全体に伸縮性が無く、後者の室内用履物は、足に沿った着用ができるよに、全体に伸縮性があり、特に、履口の周縁部の伸縮性を大きくしている。
【0007】
又、携帯用履物には、着用性を向上させるため、例えば、甲部幅方向に、幅方向の両端を固定した伸縮自在の止め紐を取付けたものが提案されている(特開平2−134001号公報)。
【0008】
【特許文献1】特開平9−296303号公報、
【特許文献2】特開2000−17503号公報
【特許文献3】特開平10−310903号公報
【特許文献4】特開2004−250796号公報
【特許文献5】特開2002―146603号公報
【特許文献6】特開平2−134001号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、前記従来技術の靴下において、特許文献1、特許文献2及び特許文献3に記載の靴下は、足裏に相当する部位の伸縮方向が、装着感の向上を目的として、足裏の土踏まずに相当する面から甲部を囲む方向に伸縮性を有するが、足の踵から爪先方向に伸縮性を有していない。このため、着用を続け、又、洗濯と着用を繰り返すと、靴下が伸びて、靴下の前端部及び踵部にだぶつきが生じて、装着感を大きく低下させる。又、靴下は靴のように多種にサイズが分かれていないので、足にぴったり合わない場合もある。
【0010】
又、特許文献5に記載の靴下は、インナーソックスでもあり、この靴下はその全体が全幅方向に伸縮性を有し、履口の周囲は更に高い伸縮性があるために、靴下の前端部及び踵部のだぶつきは生じないが、靴下全体が伸縮性を有しているために、使用中に、靴下の甲部(上身頃)における生地の模様や色模様が変形や崩れを発生し、ファッション性が著しく低下するのである。従って、ファッション性を高めるためには、用いられる生地によって大きく影響され、伸縮性の生地ではこれが大きく制限されるからである。このため、使用・着用者の満足感が極めて小さく、特に、日本の文化伝統を発揮するデザインの履物、上品な雰囲気、高級感を発揮するデザインの履物にするのが不可能であった。
【0011】
これに対して、特許文献4に記載の靴下は、靴下の両側において前後方向に伸縮性があるため、靴下の前端部及び踵部において靴下にだぶつきが生じることはないが、甲部に前後幅の狭い伸縮生地が両側に向けて形成されているため、足の矯正用のイメージがあり、見栄えが悪く、足の甲部に高いファッション性を発揮させることにも制限が多いのである。
【0012】
一方、従来技術の足袋は、着脱時に、こはぜ、ボタン、ファスナーなどの止め具で止着又は取り外しを行う操作が必要であるが、その操作が極めて面倒であり、また、従来の足袋は地味な無地色であるため、着物を着るとき以外の普段の生活で、足袋を着用することは殆どないのである。又、特許文献4に記載されているように、爪先部が二股の靴下も見られるが、日本の伝統文化の雰囲気を醸し出す足袋のイメージは無く、靴下の雰囲気が大きくイメージされ、野暮な雰囲気さえ与える場合もある。
【0013】
更に、特許文献6に記載の携帯用履物は、着脱時に、止め紐を操作するのが面倒であり、止め紐の結び目が緩むと、使用中に足から脱げ外れることがある。
【0014】
本発明は、従来の履物が有する課題を解消するために完成されたものである。
即ち、本発明は、靴下、室内用履物、インナーソックス、足袋又は携帯用履物などの室内外で使用できる履物類において、下身頃には面に沿った多方向に伸縮性を付与して極めて優れた装着性を発現すると共に、各種サイズの足にぴったり適合するものであり、しかも、上身頃は非伸縮性の素材で形成されているので、使用・着用中に模様や絵柄更にアップリケ並びに装飾品などの変形や崩れ更に歪みを防止し、これによって、ファッション性を著しく向上、維持し得る上、使用の際に異和感が全くない、履き心地が著しく優れた履物類を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の請求項1に記載の履物類においては、靴下、インナーソックス、室内用履物、足袋又は携帯用履物などの履物類であって、この履物類において、上身頃は非伸縮性の素材で形成されており、又、下身頃はその少なくとも1部が、面に沿った多方向に伸縮性を有する素材で形成されており、しかも履口を形成する周縁部には、その少なくとも1部が更に高い伸縮性を有することを特徴とするものである。
【0016】
この請求項1に記載の履物類においては、当該履物において、上身頃は非伸縮性の素材で形成されており、又、下身頃はその少なくとも1部、好ましくは下身頃全体の50〜100%、特に、下身頃全体の75〜100%が、面に沿った多方向に伸縮性を有する素材で形成されている点、に最も大きな特徴を有するものである。従って、下身頃の全体(100%)が、面に沿った多方向に伸縮性を有する素材で形成されているものが最も望ましい。
ここにおいて、「面に沿った多方向」とは面に沿った前後左右方向だけでなく、右斜め方向や左斜め方向等、あらゆる方向の意味であり、本発明においては、下身頃として、このような特殊な素材と、非伸縮性の上身頃との組み合わせによって、後述する種々の利点が得られるのである。この下身頃としては、例えばポリウレタン繊維(スパンデックス)、ウーリー繊維、コンジュゲート繊維、ストレッチ・ヤーン又はテックスチャード・ヤーン等の伸縮性繊維で形成された素材が挙げられる。
【0017】
そして、請求項1に記載の履物類においては、このような特殊な下身頃を用いているから、足の裏全体に接触する部位と、当該下身頃の両側部を折り返して形成した足の両側に接触する部位とが、いずれも面に沿った多方向に伸縮性があるために、この履物類を足に装着すると、だぶつきが全く無い足全体にぴったり密着した状態となるのであり、又、履物類の底部が前後方向に伸縮するため、着用後、履物類の前部及び踵部にだぶつきが全く生じないのであり、更に、下身頃が、面に沿ったあらゆる方法に伸縮性があるために、足全体を包む着用が可能になる上、各種サイズの足にも異和感なく、良好な装着感を維持した状態で美麗に使用できるのである。このため、使用・着用性、つまり履き心地が極めて良好になるのであり、しかも、履口の周縁部には更に高い伸縮性があるために、装着後の履物類が使用中に脱げ外れることはないのである。
【0018】
又、請求項1に記載の履物類においては、当該履物類の踵部の周りにも伸縮性があり、このため、この周りの面が足における踵部の後部で受け止められて、当該履物類が脱げ外れるのを一層防止することもできる。
【0019】
更に、請求項1に記載の履物類においては、その上身頃が非伸縮性の素材で形成されているから、その表面に、粘度の高いインクや塗料による任意の絵柄や模様の転写更に刺繍等が可能になり、しかも使用・着用中に上身頃が簡単に変形やよじれ更に伸縮がなく、この結果、模様、アップリケ又は装飾品などの変形や崩れ更に歪みが防止され、これによって、ファッション性が著しく向上、維持されるのである。
【0020】
また、このように、この履物類はファッション性が著しく優れ、しかも使用・着用中に上身頃の変形やよじれ更に伸縮がないので美麗に着用できる結果、当該履物類を室内だけでなく、車内や列車内更に機内等、室外においても何等抵抗なく使用できるのである。
特に、この場合、上身頃は、目立ち易い部位であり、デザインを工夫することによって、一層ファッション性が向上するのである。
ところで、ここにおいて、「非伸縮性の素材」とは、装着・着用性に影響する程度の伸縮性がない素材という意味である。
【0021】
ところで、本発明の請求項2に記載の履物類においては、上身頃の一部が伸縮性を有する素材で形成されていても良いのである。
即ち、本発明の請求項1に記載の履物類においては、前述のように、上身頃を非伸縮性の素材で形成して、模様、アップリケ又は装飾品などの変形や崩れ更に歪みが防止され、これによって、ファッション性が著しく向上、維持されるようにしたものであるが、このように、ファッション性に悪影響を与えない範囲で、上身頃の一部を、面に沿った多方向に伸縮性を有する素材で形成して、装着性や履き心地を一層向上させても良いのである。
【0022】
本発明の請求項3に記載の履物類においては、下身頃においてその踵部に相当する部位が非伸縮性の素材で形成されている発明を提案する。
このように下身頃においてその踵部に相当する部位、つまり踵部とその後部及び左右の立上り部を非伸縮性の素材で形成されたものも望ましい。
【0023】
このように構成すると、下身頃においてその踵部に相当する部位が非伸縮性の素材で形成されているので、前記上身頃の場合のように、当該部位に多種、多様な色模様や絵柄の印刷・転写更に刺繍等の装飾処理を施したり、アップリケや装飾品を取り付けてファッション性を一層向上させることができる上、足の踵部の後面に沿っているので、履物類の装着・着用時に、この後端部を指先で摘まんで着用し易くなるのである。
【0024】
更に、本発明の請求項4に記載の履物類においては、上身頃と下身頃においてその互いの周縁部どうしが接合されているものが望ましい。
【0025】
このように構成すると、履物類の製造が容易になり、上身頃と下身頃とが全く別異の素材で形成されており、上身頃と下身頃においてその各々の機能に見合った最適な材料の選択ができるのである。即ち、材料選択の範囲が更に広がり、一層ファッション性を向上させることが可能になる。
【0026】
本発明の請求項4に記載の履物類において、接合としては、具体的には、例えば縫合、縫着、接着、溶着又は融着等が挙げられるのであり、これらの選択は、使用する素材により異なるのである。
【0027】
本発明の請求項5に記載の履物類において、上身頃としては、非伸縮性の素材で形成されていれば特に限定されるものではないが、具体的には、例えば和風調に染色された生地、和風模様が印刷された生地、和服生地、起毛された生地、起毛が固定された生地、網目生地、レース編物地、毛糸編物地、刺繍生地、タオル生地、天然皮革又は合成皮革、毛皮生地又は柔軟性の高い合成樹脂製シートのいずれかで形成されているものが挙げられる。
【0028】
本発明において、前記上身頃を各種機能別に分類すると、以下のとおりである。
(a)上身頃として、和風調に染色された生地、和風模様が印刷された生地又は和服生地などを使用すると、日本の文化伝統調のおもむきやあじわいを十分に発揮させることができる上、ファッション性に富む履物類が得られるのである。
(b)上身頃として、起毛された生地、起毛が固定された生地を使用すると、暖かく、履き心地が良好なうえ、愛らしい履物類が得られるのである。
(c)上身頃として、網目生地を使用すると、現代的で野性味があり、しかも高い通気性と清涼感が得られる爽やかな夏向きの履物類が得られるのである。
(d)上身頃として、レース編物地、毛糸編物地、刺繍された生地などを使用すると、上品な雰囲気とファッション性に富む履物類が得られるのである。
(e)上身頃として、網目生地、レース編物地などを使用すると、高い通気性と清涼感が得られる爽やかな夏向きの履物類が得られるのである。
(f)上身頃として、毛糸編物地を使用すると、暖かく、履き心地が良い履物類が得られるのである。
(g)上身頃として、タオル生地を使用すると、耐久性に富み、しかも皮膚に優しく、吸湿性の良い、衛生的な履物類が得られるのである。
(h)上身頃として、天然皮革又は合成皮革を使用すると、野性味のある高級感が存在し、丈夫で、耐久性に富む履物類が得られるのである。
(i)上身頃として、毛皮生地を使用すると、更に、高級感があり、暖かく、履き心地が良い履物類が得られるのである。
(j)柔軟性の高い合成樹脂製シートを使用すると、現代的で若者向きであり、しかも耐久性に優れた履物類が得られるのである。
【0029】
これらの素材を非伸縮性の素材(所謂、裏地)の表面に積層、形成することも可能であり、このように構成する、(g)を除く(a)〜(j)に挙げた素材が足の皮膚に直接触れることにより生じ易い、足の蒸れ、皮膚のかぶれ、皮膚に残る素材の跡などを防ぐことができる。この場合の裏地としては、例えば、木綿生地やタオル地等の吸湿性、通気性、衛生性、履き心地の良い素材を用いることができる。
【0030】
更に、本発明の請求項6に記載の履物類においては、上身頃の上面、又は下身頃においてその踵部における立上り部には、アップリケ又は装飾品が取り付けられているものが、当該履物類の装飾性やファッション性を向上させて使用者に満足感やいやしの感覚を付与するので望ましい。
【0031】
特に、履物類においてその上身頃の上面は、装着・着用後、使用中において、目立ち易い部位であるため、この部位に、例えば、動物模様のアップリケ、小鳥のアップリケ、蝶のアップリケ、花のアップリケ、天使の羽のアップリケ等を取り付けると、装飾性やファッション性の高い愛らしい履物類になるのである。
【0032】
又、この場合、ビーズやリボン更に動物や小動物更に花等の植物などの装飾品を取り付けても装飾性が向上するのであり、そして、この場合、特に、ビーズ、模造宝石の粒、模造貴金属の小片などを取り付けると、豪華な履物類が得られるのである。
【0033】
そして、本発明の請求項7に記載の履物類においては、前述の履物類において、その指箇所が二股に形成されているものが望ましい。
【0034】
本発明の請求項7に記載の履物類においてその指箇所の二股は、足の親指と他の指を区切るためのものであり、このような履物類にすると、足の指の窮屈感が相当程度緩和されて、足の指を楽にさせることができるのであり、また、立姿勢や歩行の際に、足の親指に力を入れ易くなるので、歩行の際の姿勢が安定化し、しかも指の蒸れが相当程度抑えられて衛生上も好ましいのである。
【0035】
又、本発明の請求項8に記載の履物類においては、前述の履物類において、その全体又は一部には、防臭・脱臭剤、植物エキス、抗菌剤、芳香剤又は遠赤外線照射機能を発現する微粒子から選ばれた少なくとも1種の機能性物質が担持されているものが望ましい。
【0036】
これらのうち、活性炭微粒子からなる防臭・脱臭剤を、繊維に脱落しないように固定し、この繊維で履物類を形成すると、当該履物類の装着・使用の際に、足の臭いや汗を吸着して衛生上極めて良好になるのである。ところで、この種、防臭・脱臭材料を繊維に脱落しないように固定する方法としては公知の技術を採用すれば良いのである。
【0037】
又、本発明においては、前述の履物類において、その全体又は一部には、ヒノキチオールやとうがらしエキス等の植物エキス、抗菌剤、芳香剤又は遠赤外線照射機能を発現する微粒子から選ばれた少なくとも1種の機能性物質を担持すると、これらの機能性物質に対応する、リラクセーション効果の発現、更に抗菌・殺菌効果の発現に起因する衛生面の向上、更に、ラズベリー、ラベンダー、ミント、ヒノキ、ジャスミン、フェンネル又は白檀等の香りによるリラクセーション効果やいやし効果、又は遠赤外線照射効果などの各種機能に応じだ効果が得られるので望ましい。
【0038】
これらのうち、遠赤外線照射機能を発現する微粒子を放出する材料としては、公知のものが挙げられるのであり、この遠赤外線照射機能を発現する微粒子が履物類に固定されていると、足の血行が促進されて当該足の冷えが抑えられるのである。
【0039】
本発明の履物類においては、その上身頃として、和風調に染色された生地、和風模様が印刷された生地又は和服生地などを使用すると、日本の文化伝統調のおもむきやあじわいが発現する上、日本の伝統的なファッション性を発現し、その結果、純和風調の履物類となって性別に関係無く着用できたり、旅行などで長時間、飛行機、列車、自動車の座席に座り続けるときに、靴と履き替えて、足の窮屈感を解放し、足の冷えを防ぐ履物類として着用できたり、和風好みの人には、高い満足感を与えたり、周囲の人にも好印象を与えるのであり、従って、特に、日本人だけでなく、簡単に着脱できるので外国人へのみやげ品としても最適である。
【発明の効果】
【0040】
本発明の請求項1に記載の履物類においては、前記構成を有し、上身頃は非伸縮性の素材で形成されており、又、下身頃はその少なくとも1部、特に、下身頃全体が、面に沿った多方向に伸縮性を有する素材で形成されており、しかも履口を形成する周縁部には、その少なくとも1部が更に高い伸縮弾性を有することを特徴とするものである。
【0041】
そして、この請求項1の履物類において、その下身頃はその少なくとも1部、特に、下身頃全体が、面に沿った多方向に伸縮性を有する素材で形成されており、このような特殊な下身頃と非伸縮性の上身頃とを組み合わせて形成されているから、足の裏全体に接触する部位と、当該下身頃の両側部及び後部を折り返して形成した足の両側部及び後部に接触する部位とが、いずれも面に沿った多方向に伸縮性があるため、当該履物類を足に装着すると、足のあらゆる方向に全くだぶつきが無い足全体にぴったり密着した状態となり、又、使用・着用の際に、履物類の底部が前後方向に伸縮するため、履物類の前部及び踵部にだぶつきやよじれ更に歪みが生じることなく美麗に着用できるなどの効果を奏するのである。
【0042】
又、この請求項1の履物類において、その下身頃が、面に沿ったあらゆる方法に伸縮性があるために、足全体を包む着用が可能になる上、各種サイズの足にも異和感なく、良好な装着感を維持した状態で美麗に着用できるのであり、このため、着用性、即ち、履き心地が極めて良好になるのであり、しかも、履口の周縁部には更に高い伸縮性があるために、装着後の履物類が使用中に脱げる方向にずれたり、外れることはないなどの効果を奏するのであるのである。
【0043】
又、本発明の請求項1に記載の履物類においては、当該履物類の踵部の周りにも伸縮性があり、この周りの面が足における踵部の後部で受け止められるので、当該履物類が脱げる方向にずれたり、外れるのを一層防止することができる効果を奏するのである。
【0044】
一方、本発明の請求項1に記載の履物類においては、その上身頃が非伸縮性の素材で形成されているから、その表面に、粘度の高いインクや塗料による任意の絵柄や模様の印刷・転写更に刺繍等が可能になり、しかも使用・着用中に上身頃が簡単に変形やよじれ更に伸縮することがなく、この結果、絵柄や模様更に刺繍の絵柄などの変形や崩れ更に歪みが防止され、これによって、使用中の美観が損なわれることが無いだけでなく、ファッション性が著しく向上、維持されるなどの効果を奏するのである。
【0045】
また、本発明の請求項1に記載の履物類においては、このようにファッション性が著しく優れ、しかも使用・着用中に上身頃の変形やよじれ更に伸縮がないので、当該履物類を室内だけでなく、車内や列車内更に機内等、室外においても何等抵抗なく着用できるのであり、又特に、上身頃は、目立ち易い部位であり、デザインを工夫することによって、一層ファッション性が向上するなどの効果を奏するのである。
【0046】
本発明の請求項2に記載の履物類においては、使用・着用中において、ファッション性に悪影響を与えない範囲で、上身頃の一部が伸縮性を有する素材で形成されていると、装着性や履き心地が一層向上するなどの効果を奏するのである。
【0047】
本発明の請求項3に記載の履物類においては、下身頃においてその踵部に相当する部位、つまり踵部とその後部及び左右の立上り部が非伸縮性の素材で形成されていると、前記非伸縮性の上身頃の場合のように、当該部位に多種、多様な色模様や絵柄を印刷・転写したり、刺繍等の装飾処理を施してファッション性を一層向上させることができる上、足の踵部の後面に沿っているので、履物類の装着・着用時に、この後端上部を指先で摘まんでの装着が一層行い易くなるなどの効果を奏するのである。
【0048】
本発明の請求項4に記載の履物類においては、上身頃と下身頃においてその互いの周縁部どうしが接合されていると、履物類の製造が容易になり、しかも上身頃と下身頃とが全く別異の素材で形成されており、上身頃と下身頃においてその各々の機能に見合った最適な材料の選択が自由にできるので、素材選択の範囲が更に広がり、ファッション性を一層向上させることができるなどの効果を奏するのである。
【0049】
本発明の請求項5に記載の履物類においては、その上身頃として、和風調に染色された生地、和風模様が印刷された生地又は和服生地などを使用すると、日本の文化伝統調のおもむきやあじわいが発現する上、日本の伝統的なファッション性を発現し、その結果、純和風調の履物類となって性別、年令に関係無く広範の人が着用できたり、旅行などで長時間にわたって飛行機や列車更に自動車の座席に座り続けるとき等、靴と履き替えて、足の窮屈感を解放し、足の冷えを防ぐ履物類として着用できたり、和風好みの人には、高い満足感を与えたり、周囲の人にも好印象を与えることができるなどの効果を奏するのである。
【0050】
本発明の請求項6に記載の履物類においては、上身頃の上面、又は下身頃においてその踵部における立上り部には、アップリケ又は装飾品が取り付けられているものが、当該履物類の装飾性やファッション性の高い愛らしいものになる上、使用者に満足感やいやしの感覚などを付与するなどの効果を奏するのである。
【0051】
そして、本発明の請求項7に記載の履物類においては、前述の履物類において、その指箇所が二股に形成されていると、この指箇所の二股は、足の親指と他の指を区切るためのものであり、このような履物類においては、足の指の窮屈感が相当程度緩和されて、足の指を楽にさせることができるのであり、また、立姿勢や歩行の際に、足の親指に力を入れ易くなるので、歩行の際の姿勢が安定化し、しかも指の蒸れが相当程度抑えられて衛生性が向上するなどの効果を奏するのである。
【0052】
又、本発明の請求項8に記載の履物類においては、前述の履物類において、その全体又は一部には、防臭・脱臭剤、植物エキス、抗菌剤、芳香剤又は遠赤外線照射機能を発現する微粒子から選ばれた少なくとも1種の機能性物質が担持されていると、この各種の機能性物質に応じて、足の臭いや汗を吸着して衛生上極めて良好になるのであり、又、植物エキスから発現するリラクセーション効果、或いは抗菌・殺菌効果の発現に起因する衛生面の向上を図ったり、更に、ラズベリー、ラベンダー、ミント、ヒノキ、ジャスミン、フェンネル又は白檀等に起因する香りやリラクセーション効果更にいやし効果を図ったり、並びに遠赤外線照射効果、つまり温熱によって足の血行を促進して当該足の冷えが防止されるなどの効果を奏するのである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0053】
以下、本発明を実施するための最良の形態を図面に基づいて具体的に説明するが、本発明は以下の実施例によって限定されるものではない。
【実施例1】
【0054】
図1は、本発明の実施例1に係る室内用履物を示す斜視図であり、図2はその室内用履物を足に装着した状態を示す側面図である。
図1に示すように、この実施例1の室内用履物(以下、実施例1の履物、又は、この履物と略称する。)1Aは、足F全体を被う底の浅い後半部開口の袋状に形成されており、その履口2が楕円形状に大きく形成されている。
【0055】
そして、前記実施例1の履物1Aにおいては、足Fの甲部を覆う上身頃3と、足Fの裏面全体及び足Fの両側部並びに踵後部Faを覆う下身頃4とからなり、この上身頃3は縞馬模様の起毛生地で形成されており、図1に示すように、この下身頃4の前半部に上身頃3を重ね合わせ、その各々の周縁部を縫着、接合されており、しかも、前記上身頃3は非伸縮性の生地で形成されており、一方、下身頃4は、この場合、その全体が、黒色のポリウレタン繊維製生地で形成されて面に沿った多方向に伸縮性を有するもので形成されている。
【0056】
そして、この実施例1の履物1Aにおいて、前記下身頃4は、図1に示すように、後半部を折り返して,足Fの裏面全体に接触する部位4aと、足Fの両側部並びに踵後部Faにそれぞれ接触する部位4b〜4dとからなる袋状に形成されている。
【0057】
前記履口2は前記上身頃3の後端縁3aと前記下身頃4の上端縁4eとを補強用ゴム紐で連続させて形成されており、この履口2の上端周縁部2aは前記補強用ゴム紐の縫着により高い伸縮性を有するように構成されている。
【0058】
このため、前記履口2を手で広げると、前記補強用ゴム紐と前記伸縮性下身頃4とが大きく広がり、足F全体を包む着用が可能になるうえ、図2に示すように、各種サイズの足Fにも異和感なく、良好な履き心地を維持した状態で美麗に着用できるのである。
【0059】
そして、この場合、前記履物1Aにおける足Fの踵後部Faに接触する部位中央をV字形状にカットし、この両側の縁部を縫合5して、着用時に、足Fの踵箇所に皺がよらず、美麗に装着し得るように構成されている。
【0060】
実施例1の履物1Aは、前述のように構成されており、足Fに着用していない状態では、足の大きさよりも小さく縮んだ状態になっている。
尚、図1では、この履物1を縮んだ状態(自然な状態)で示している。
【0061】
又、図2は実施例1の履物1Aを足Fに着用した状態を示す側面図であり、図2に示すように、実施例1の履物1Aを足Fに着用すると、伸縮性の下身頃4と履口2の上端周縁部2aが大きく広がり、伸縮性の下身頃4の縮む方向の引っ張り力が働いて、この履物1A全体が足Fの全体を包む。このとき、伸縮性の下身頃4における踵後部Faに接触する部位4dが足Fの踵の後方に膨らんだ後面に係止された状態にあり、しかも、前記履口2の上端周縁部2aに固定されているゴム紐が縮む方向に弾性力が働いているため、この履物1は不用意に脱げ外れることはないのである。
【実施例2】
【0062】
次に、本発明の実施例2に係る室内用履物について説明する。
図3は本発明の実施例2に係る室内用履物1Bを示す斜視図である。
尚、図3において、図1と共通する個所には、図1に付されている符号と同一符号を付した。
【0063】
図3に示すように、この実施例2の室内用履物(以下、実施例2の履物と略称する。)1Bは、図2と同様に、足Fの全体を被う底の浅い後半部開口の袋状に形成されており、その履口2が楕円形状に大きく形成されている。
【0064】
この実施例2の履物1Bは、足Fの甲部を覆う上身頃3と、足Fの裏面全体及び足Fの両側部並びに踵後部Faを覆う下身頃4とからなり、この上身頃3は和風模様がプリントされた綿生地で形成されており、この下身頃4の前半部に上身頃3を重ね合わせ、その各々の周縁部を縫着、接合されており、しかも、前記上身頃3は非伸縮性の生地で形成されており、一方、下身頃4は、この場合、その全体が、黒色のポリウレタン繊維製生地で形成されて面に沿った多方向に伸縮性を有するように構成されている。
【0065】
そして、この実施例2の履物1Bにおいては、前記上身頃3と前記下身頃4においてその足Fの指部を収納する部位をV字状にカットし、その後、双方の生地のカット箇所を縫着して、親指とその他の指を収納し得る二股3aに形成された、純和風調の風合いがある足袋のように形成されている。
【0066】
この実施例2の履物1Bにおいて、その他の構成は、前記実施例1の履物1Aの場合と同様なので、重複説明を避けるため省略する。
【実施例3】
【0067】
次に、本発明の実施例3に係る室内用履物について説明する。
図4は本発明の実施例3に係る室内用履物1Cを示す斜視図である。
尚、図4において、図1と共通する個所には、図1に付されている符号と同一符号を付した。
【0068】
図4に示すように、この実施例3の室内用履物(以下、実施例2の履物と略称する。)1Cは、図2と同様に、足Fの全体を被う底の浅い後半部開口の袋状に形成されており、その履口2が楕円形状に大きく形成されている。
【0069】
この実施例3の履物1Cは、足Fの甲部を覆う上身頃3と、足Fの裏面全体及び足Fの両側部並びに踵後部Faを覆う下身頃4とからなり、前記上身頃3は表面が銀色に着色されている繊維で形成された網目生地が使用されており、この下身頃4の前半部に上身頃3を重ね合わせ、その各々の周縁部を縫着、接合されており、しかも、前記上身頃3は非伸縮性の網目生地で形成されており、一方、下身頃4は、この場合、その全体が、黒色のポリウレタン繊維製生地で形成されて面に沿った多方向に伸縮性を有するように形成されている。
【0070】
そして、この実施例3の履物1Cにおいては、銀色の網目生地が用いられているから、高級感があり、しかも現代的で野性味が発現するうえ、高い通気性と清涼感が得られる爽やかな夏向きのものとして最適に使用できるのである。
【0071】
実施例3の履物1Cにおいて、その他の構成は、前記実施例1の履物1Aの場合と同様なので、重複説明を避けるため省略する。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】図1は、本発明の実施例1に係る室内用履物を示す斜視図である。
【図2】図2は、本発明の実施例1に係る室内用履物を足に着用した状態を示す側面図である。
【図3】図3は、本発明の実施例2に係る室内用履物を示す斜視図である。
【図4】図4は、本発明の実施例3に係る室内用履物を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0073】
1A 実施例1の室内用履物
1B 実施例2の室内用履物
1C 実施例3の室内用履物
2 履口
3 上身頃
4 下身頃
4a 足の裏面に接触する部位
4b、4e 足の左右両側に接触する部位
4d 踵後部に接触する部位
4e 上端縁
5 縫合

【特許請求の範囲】
【請求項1】
靴下、インナーソックス、室内用履物、足袋又は携帯用履物などの履物類であって、この履物類において、上身頃は非伸縮性の素材で形成されており、又、下身頃はその少なくとも1部が、面に沿った多方向に伸縮性を有する素材で形成されており、しかも履口を形成する周縁部には、その少なくとも1部が更に高い伸縮性を有することを特徴とする履物類。
【請求項2】
上身頃の一部が伸縮性を有する素材で形成されている請求項1に記載の履物類。
【請求項3】
下身頃においてその踵部に相当する部位が非伸縮性の素材で形成されている請求項1又は2に記載の履物類。
【請求項4】
上身頃と下身頃においてその互いの周縁部どうしが接合されている請求項1ないし3のいずれか1項に記載の履物類。
【請求項5】
上身頃が、和風調に染色された生地、和風模様が印刷された生地、和服生地、起毛された生地、起毛が固定された生地、網目生地、レース編物地、毛糸編物地、刺繍生地、タオル生地、天然皮革又は合成皮革、毛皮生地又は柔軟性の高い合成樹脂製シートのいずれかで形成されている請求項1ないし4のいずれか1項に記載の履物類。
【請求項6】
上身頃の上面、又は下身頃においてその踵部における後部立上り部には、アップリケ又は装飾品が取り付けられている請求項1ないし5のいずれか1項に記載の履物類。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれか1項に記載の履物類において、その指箇所が二股に形成されている履物類。
【請求項8】
請求項1ないし7のいずれか1項に記載の履物類には防臭・脱臭剤、植物エキス、抗菌剤、芳香剤又は遠赤外線照射機能を有する微粒子から選ばれた少なくとも1種の機能性物質が担持されている履物類。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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