説明

履物

【課題】
本発明は、上述したような実情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、履物の底部が履物本体から着脱自在な構成とし、用途、目的等に合わせて、履物の高さを容易に調整したり、あるいは硬さ、デザイン等が異なる履物の底部と容易に交換することができる履物であって、履物の底部が履物の本体から外れ難い履物を提供すること。
【解決手段】
履物本体と、履物の底部とを少なくとも具備し、履物の底部が着脱自在に構成されて成る履物であって、履物本体の底面に切り欠き部を設けて嵌合部を形成し、また履物の底部に、切り欠き部と対応する形状を有する凸部を形成して、履物本体と履物の底部とを嵌合することにより、着脱自在に接合する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、履物本体の底面に履物の底部が着脱自在な履物に関し、さらに詳細には、用途や目的等に応じて履物の底部の厚さや、ヒール部の高さ等を任意の高さに調整することが容易な履物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の一般的な靴、サンダル、ハイヒール、草履等の履物は、接地面となる履物の底部が、履物の本体と接着剤等により接着され、固着されており、原則的には履物の底部は交換することができない構造になっている。このため、従来の一般的な履物は、履物の本体がしっかりしていても、履物の底部が摩耗すると、廃棄される場合が多いという問題があった。
【0003】
また、都会の道路に適した履物では雪道は歩きにくいため、雪道用の履物を別に用意する必要がある。さらにまた、特にハイヒールの場合、ヒール部の高さを変えて履きたい場合もあるが、従来の一般的な履物では、踵のみを交換することはできず、このためそれぞれの高さの履物を購入しなければならないという問題があった。
【0004】
そこで、例えば特許文献1に示されるように、履物の本体の底面にマジックテープ(登録商標)のメス材を、履物の底部の上面にマジックテープ(登録商標)のオス材を取り付けることによって、履物の底部を履物の本体の底面に固着する履物が提案されている。これにより、履物の底部を着脱自在に構成し、取り替えることができるようになるという利点を有する。しかし、例えばこのマジックテープ(登録商標)のメス材とオス材との間に雨等の水分が浸入した場合、マジックテープ(登録商標)の接着力が弱まるため、履物の底部が履物本体から剥れ易くなるという問題があった。
【特許文献1】特開2005−7158号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上述したような実情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、履物の底部を履物本体から着脱自在な構成とし、用途、目的等に合わせて、履物の高さを容易に調整したり、あるいは硬さ、デザイン等が異なる履物の底部と容易に交換することができる履物であって、履物の底部が履物の本体から外れ難い履物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の上記目的は、履物本体と、履物の底部とを少なくとも具備し、該履物の底部が着脱自在に構成されて成る履物であって、前記履物本体の底面に切り欠き部を設けて嵌合部を形成し、また前記履物の底部の上面に、前記切り欠き部と対応する形状を有する凸部を形成して、前記履物本体と前記履物の底部とを嵌合することにより、着脱自在に接合されることを特徴とする履物を提供することによって達成される。
【0007】
また、本発明の上記目的は、前記履物の底部は、厚さが3mm以上であることを特徴とする履物を提供することによって、効果的に達成される。
【0008】
また、本発明の上記目的は、前記履物の底部は、ヒール部を有するものであることを特徴とする履物を提供することによって、より効果的に達成される。
【0009】
また、本発明の上記目的は、前記履物の底部の側面が蛇腹状に形成されていることを特徴とする履物を提供することによって、より効果的に達成される。
【0010】
また、本発明の上記目的は、前記履物の底部が入れ子状に形成されていることを特徴とする履物を提供することによって、より効果的に達成される。
【0011】
また、本発明の上記目的は、前記履物の底部は、その四隅に伸縮自在なシャフトが内設されており、また、前記靴本体の着用者の足の裏が当接する面には押圧部が設けられており、該押圧部と前記シャフトとが繋がっていることを特徴とする履物を提供することによって、より効果的に達成される。
【0012】
また、本発明の上記目的は、前記履物の底部は、1個又は複数個に分割された靴底部材により構成されることを特徴とする履物を提供することによって、より効果的に達成される。
【0013】
また、本発明の上記目的は、前記履物本体の底面の平面形状とほぼ同一形状を有する中間ソールを、前記履物本体と前記履物の底部との間に1枚又は複数枚着脱自在に設けることを特徴とする履物を提供することによって、より効果的に達成される。
【0014】
また、本発明の上記目的は、履物本体と、履物の底部とを少なくとも具備して成る履物であって、前記履物本体は、長手方向に前方部と後方部との2つに分割されており、前記前方部と前記後方部とが着脱自在な接合方法により接合されて成ることを特徴とする履物を提供することによって達成される。
【0015】
さらにまた、本発明の上記目的は、履物本体と、履物の底部とを少なくとも具備して成る履物であって、前記履物本体は、長手方向に前方部と中間部と後方部との3つに分割されており、前記前方部と前記中間部とが、角度調整自在に連結されており、また前記中間部と前記後方部とが、着脱自在な接合方法により接合されて成ることを特徴とする履物を提供することによって達成される。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る履物によれば、履物本体に履物の底部を嵌合させて着脱自在な構成としたので、履物の底部が履物本体から外れ難くなる。また、履物の底部を履物本体の高さ方向及び/又は長手方向に複数枚容易に接合することができるので、履物の微妙な高さを容易に調整することができ、さらに、履物の用途、目的等に合わせて履物の底部及び/又は履物の踵部を容易に交換することができるようになる。
【0017】
また、履物の底部の厚さを3mm以上としたので、所定の接合強度を維持することができ、履物の底部が、履物本体から外れることをより防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明に係る履物について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本発明は以下の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲を逸脱しない範囲において、その構成を適宜変更できるものであることはいうまでもない。
【0019】
図1は、本発明の第1実施形態に係る履物である運動靴(以下、「本靴」という)10の長手方向における概略断面図である。図示するように、本靴10は、靴本体11と本靴の底部(以下、「本靴底部」と言う。)12とを少なくとも具備することによって構成されている。
【0020】
本靴10の靴本体11には履き口13が設けられており、その底面14に切り欠き部15を設けることによって、図中に点線円で示す嵌合部16が形成されている。
【0021】
なお、靴本体11の材料は、本靴10の使用目的、すなわちハイキング用、磯釣り用、雪上用、都会用等の使用目的によって適宜選択されて使用されるが、本靴10は、その使用目的が特に限定されていないので、ゴム、合成樹脂、皮革等の公知の種々の材料を、靴の使用目的に合わせて適宜選択して使用することができる。
【0022】
本靴底部12の上面17、すなわち靴本体11の底面14と当接する面には、靴本体11に形成された切り欠き部15と対応する形状を有する凸部18が形成されている。すなわち靴本体11に形成された凹凸形状と嵌合するような凹凸が形成されている。なお、図1では、本靴底部12の底面、すなわち歩道等との接地面は平坦に図示するが、滑り止め等の目的で凹凸等が形成されていても良いことはいうまでもない。
【0023】
なお、靴本体11に形成される切り欠き部15の断面形状(本靴底部12の上面17に形成される凸部18の断面形状)は、図1に示すような略台形状に限定されるものではなく、例えば図2に示すような楕円形状等、公知の種々の形状とすることができる。
【0024】
また、本靴底部12の厚さt、すなわち本靴底部12の底面から凸部18の上部までの高さは、3mm以上、好ましくは1cm以上である。本靴底部12の厚さtが3mm未満であると、凸部18の高さを高くすることができず、接合強度が弱くなるため、本靴底部12が靴本体11から外れてしまう虞れがある。さらにまた、本靴底部12は、靴本体11の底面の平面形状とほぼ同一形状であることが好ましい。
【0025】
なお、本靴底部12は、ゴム、コルク、合成樹脂、スポンジ類、木材等の公知の種々の材料で形成することができるが、これらの中でも、特にコルク、合成樹脂等の軽量な材料が好ましく用いられる。
【0026】
このように靴本体11の底面14に形成された切り欠き部15と、本靴底部12の上面17に形成された凸部18とを嵌合させることによって、すなわち、靴本体11の底面14に形成された凹部と、本靴底部12の上面17に形成された凸部18とを嵌合させることによって、本靴底部12は、靴本体11に着脱自在に接合され、固着される。これにより、熟練の技術者でなくとも、靴本体11を変えることなく本靴底部12のみを容易に交換することができるようになる。従って、例えば用途や目的等に合致したものに本靴底部12を交換したり、また、本靴底部12が摩耗しても、靴を廃棄処分する必要はなく、本靴底部12のみを交換することができるようになる。さらにまた、本靴底部12だけを乾燥させたり、紫外線に当てて殺菌することができるようになるという利点もある。
【0027】
また、このように靴本体11と本靴底部12とを嵌合する構成とすることにより、例えば雨等の水分が靴本体11と本靴底部12との間に侵入しても、接合強度が弱まることがなく、しっかりと接合され、固着されているので、本靴底部12が靴本体11から外れ難くなるという利点を有する。
【0028】
以上、本発明に係る履物を一実施形態に基づき説明したが、本発明はその構成を以下のように変更することができる。
【0029】
図3は、本発明の第2実施形態に係る履物であるハイヒール(以下、「本靴10A」と言う。)の長手方向における概略断面図である。なお、本靴10Aは、靴底部として、踵部(以下、「ヒール部」とも言う。)を有する靴底部を用いたことを除くその他の構成は、上述した靴10と実質的に同一であるので、以下では対応する構成要素には同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0030】
図示するように、本靴10Aは、靴本体11と、ヒール部19を有する靴底部12Aとを少なくとも具備して構成されている。
【0031】
本靴10Aの靴本体11には、上述した靴10と同様に、履き口13が設けられており、その底面14に切り欠き部15を設けて凹凸を形成し、嵌合部16を形成している。
【0032】
また、靴底部12Aの上面17にも、上述した靴10と同様に、靴本体11に形成された切り欠き部15に対応する形状を有する凸部18が形成されており、靴本体11に形成された凹凸形状と嵌合するように構成されている。
【0033】
このように構成することにより、特別な工具を必要とせず、熟練者でなくとも、ヒール部19を有する靴底部12Aを靴本体11から容易に取り外し、交換することができる。従って、例えばヒール部19が擦り減ったり、あるいは折れたりした場合等は、ヒール部19を有する靴底部12Aのみを購入して交換すれば良く、靴全体を購入する必要がなくなり、また、靴の用途や目的等に合わせて、異なる高さや、色、ファッションを有するヒール部19に単に交換したい場合等には、ヒール部19を有する靴底部12Aのみを購入して交換すれば良く、これらの用途や目的等に合わせて数足の靴を購入する必要がなくなるので、着用者の経済的負担を低減することができる。
【0034】
また、本靴10Aは、上述したようにヒール部19を有する靴底部12Aを靴本体11に嵌合して接合したときは、ハイヒールとして使用でき、ヒール部19を有さない靴底部、すなわち上述した第1実施形態に係る靴底部12を靴本体11に嵌合して接合したときは、ローファーとして使用することができるという利点を有する。
【0035】
また、本発明に係る履物は、その構成を以下のようにも変更することができる。
【0036】
図4は、本発明の第3実施形態に係る履物である靴(以下、「本靴10B」と言う。)の長手方向における概略断面図である。なお、本靴10Bは、靴底部の構造を除くその他の構成は、上述した本靴10等と実質的に同一であるので、以下では対応する構成要素には同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0037】
図示するように、本靴10Bは、靴本体11と、靴底部12Bとを少なくとも具備することにより構成されている。本靴10Bの靴本体11には、上述した靴10等と同様に、履き口13が設けられており、その底面14には切り欠き部15を設けて凹凸を形成することによって、嵌合部16が形成されている。なお、この切り欠き部15の断面形状は、図示するような逆台形状に限定されるものでないことは上述したとおりである。
【0038】
本靴10Bには、靴底部12Bとして、側面が蛇腹状(アコーディオン状)に形成され、高さ方向に伸縮自在なものを用いる。この靴底部12Bの上面17には、靴本体11に形成された切り欠き部15に対応する形状を有する凸部18が設けられている。この凸部18を、靴本体11に形成された切り欠き部15に嵌合することにより、靴底部12Bが接合されるように構成されている。この靴底部12Bは、図5に示すように伸びて、靴の高さを調整することができる。
【0039】
また、例えば図6に示すように、踵部を爪先部よりも高くなるように調整すると、ハイヒールとしても使用することができる。
【0040】
さらにまた、例えば図7に示すように、爪先部を踵部よりも高くなるように調整すると、ウォーキング等の軽い運動で脚部、特にふくらはぎの筋力強化のトレーニングを容易に、かつ効果的に行なえるという利点もある。
【0041】
また、本発明に係る履物は、その構成を以下のように変更することもできる。
【0042】
図8は、本発明の第4実施形態に係る履物である靴(以下、「本靴10C」と言う。)の概略断面図であり、図9は、本靴10Cの上面図である。
【0043】
図示するように、本靴10Cは、靴本体と、靴底部とを少なくとも具備することにより構成されている。本靴10Cの靴本体には、上述した靴10等と同様に、履き口13が設けられており、その底面14に切り欠き部15を設けて凹凸を形成し、嵌合部16を形成している。なお、この切り欠き部15の断面形状は、図示するような逆台形状に限定されるものでないことは上述したとおりである。
【0044】
本靴10Cは、図8に断面図で示すように、靴底部12Cは伸縮自在であり、平面形状の周長が互いに異なり、且つ高さが異なる2つの靴底部12C(1),12C(2)を入れ子式にスライド自在に嵌合した2段式に構成されている。すなわち、靴底部12Cは、最も周長が長く、一番外側に配置される第1靴底部12C(1)の内側に、第2靴底部12C(2)がスライド自在に嵌合されている。また、図示するように靴底部12Cの上面、すなわち第1靴底部12C(1)の上面には、靴本体11に設けられた切り欠き部15に対応する形状を有する凸部18が設けられており、これにより、靴底部12Cは、靴本体11に着脱可能に接合されている。
【0045】
また、図9に示すように、この靴底部12Cの四隅には、伸縮可能なスチール製のシャフト20が内設されている。このシャフト20は、靴本体11の着用者の足の裏が当接する面の四隅(スチール製の棒が内設されている部分に相当する部分)に設けられたボタン(押圧部)と繋がっており、このボタンを押すことによって、シャフト20が伸縮するように構成されている。
【0046】
また、図10にシャフト20の概略断面図で示すように、このシャフト20は伸縮自在であり、複数の互いに径が異なり、且つ略同長のパイプ20a,20b,20cを入れ子式にスライド自在に嵌合した3段式に構成されている。すなわち、このシャフト20は、一番太い第1パイプ20aの内径部に、第2パイプ20bがスライド自在に嵌合されており、さらにこの第2パイプ20bの内径部に第3パイプ20cがスライド自在に嵌合されて構成されている。なお、本シャフト20は、このように第3パイプ20cまで有するものに限らず、この他第2パイプ20bまで有するもの、あるいは第4パイプ以上を有するものであっても良い。嵌合されるパイプ数が多くなると、靴の高さをより細かく調整することができるようになるという利点がある。
【0047】
また、パイプ20b,20cには、バネ係止突起21が設けられており、ストッパの役目を果たすように構成されている。すなわち、第2パイプ20bは、伸ばした際にバネ係止突起21を介して第1パイプ20aに係止されるように、また第3パイプ20cは、伸ばした際にバネ係止突起21を介して第2パイプ20bに係止されるように構成されている。
【0048】
パイプ20a,20b,20cは、ステンレス製のものに限らず、この他、真鍮その他の金属素材等、公知の種々の材料により形成されていても良い。
【0049】
このように構成することにより、シャフト20が下方向に伸びると第2靴底部12C(2)が出てくるため、靴底部12Cの高さが高くなり、また伸びたシャフト20が縮むと、第2靴底部12C(2)が第1靴底部12C(1)の中にスライドし、靴底部12Cの高さが低くなるので、本靴10Cの高さを容易に変更することができる。
【0050】
従って、本靴10Cにおいて、爪先部に配設された2本のシャフト20は伸ばさず、踵部に配設された2本のシャフト20を伸ばすと、踵部が高くなり、ハイヒールとして使用することができる等、本靴10Cの使用目的や用途に応じて、靴底部12Cの高さをボタンを押すだけで容易に変更することができる。
【0051】
なお、靴底部12Cの上面17にも、上述した靴10等に用いられる靴底部12と同様に、靴本体11の底面14に設けられた切り欠き部15に対応する形状を有する凸部18を設けると、靴底部12Cは、靴本体11に着脱可能に嵌合されるので、靴底部12Cを、用途や目的等に合わせて例えば上述した靴底部12,12A,12B等の種々のもの変更することができる。
【0052】
また、本発明に係る履物は、その構成を以下のように変更することも可能である。
【0053】
図11は、本発明の第5実施形態に係る履物である靴(以下、「本靴10D」と言う。)の長手方向における概略断面図である。なお、本靴10Dは、靴底部として、靴底部材を1個又は複数個用いたことを除くその他の構成は、上述した靴10等と実質的に同一であるので、以下では対応する構成要素には同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0054】
図示するように、本靴10Dは、靴本体11と、靴底部12Dとを少なくとも具備することにより構成されている。本靴10Dの靴本体11には、上述した靴10等と同様に、履き口13が設けられており、その底面14には切り欠き部15を設けて凹凸を形成し嵌合部16が形成されている。なお、この切り欠き部15の断面形状は、図示するような逆台形状に限定されるものでないことは上述したとおりである。
【0055】
本靴10Dは、靴底部12Dとして、高さが3mm以上、幅が靴本体11の幅方向における幅と略同長を有し、長手方向における断面視が矩形状あるいは擬似砂時計形状等の形状を有する部材(以下、これを「靴底部材12D′」と言う。)を1個ないし複数個用いることにより構成される。また、これら各靴底部材12D′の上面14には、靴本体11に形成された切り欠き部15と対応する形状を有する凸部18が形成されており、この靴底部材12D′を靴本体11の底面14に嵌合することによって、着脱自在に接合される。なお、本靴10Dは、靴本体11に形成された任意の切り欠き部15にのみ靴底部材12D′が嵌合されているが、全ての切り欠き部15に靴底部材12D′が嵌合されても良い。
【0056】
このように構成することにより、特別な工具を必要とせず、また熟練者でなくても、靴本体11から靴底部材12D′を容易に取り外し、交換することができる。従って、例えばヒール部19(本靴10Dにおいて、踵部に使用され、高さが最も高い靴底部材12D′)が擦り減ったり、あるいは折れたりした場合等は、ヒール部19に相当する靴底部材12D′のみを交換すれば良い。また、靴の用途や目的等に合わせて、異なる高さや、色、ファッション等のものに単に交換したい場合は、交換したい部分の靴底部材12D′のみを交換すれば良いので、例えば外出先で交換する等により、靴底部を持ち歩く必要がある場合に、本靴10Dに用いられる靴底部12Dは、靴底部材12D′のみを持ち歩けば良いので、着用者にとっては、より利便性が向上するという利点がある。さらにまた、種々のデザインや色から成る靴底部材12D′を組み合わせて用いると、靴底部12Dのデザインの幅が広がり、本靴10Dの使用目的や用途に合わせて容易にデザインを変更することができるという利点も有する。
【0057】
なお、図示するように、本靴10Dは、爪先部には高さが低い靴底部材12D′を用い、踵部に向かうにつれて高さが高い靴底部材12D′を用いると、ハイヒールとして使用することができる。また、爪先部から踵部にかけて同じ高さの靴底部材12D′を用いても良く、このように構成するとローファーとして使用することもできる。
【0058】
また、本発明に係る履物は、その構成を以下のように変更することもできる。
【0059】
図12は、本発明の第6実施形態に係る履物である靴(以下、「本靴10E」と言う。)の長手方向における概略断面図である。なお、本靴10Eは、靴本体11と靴底部12との間に中間ソール22を設けたことを除くその他の構成は、上述した本靴10と実質的に同一であるので、以下では対応する構成要素には同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0060】
図示するように、本靴10Eは、靴本体11と、中間ソール22と、靴底部12とを少なくとも具備して構成されている。また、本靴10Eの靴本体11には、上述した靴10等と同様に、履き口13が設けられており、その底面14に切り欠き部15を設けて凹凸を形成し、嵌合部15を形成している。
【0061】
本靴10Eに用いられる中間ソール22とは、靴本体11と靴底部12との間に設けられるソールであって、中間ソール22の上面23が靴本体11の底面14と嵌合され、中間ソール22の下面24が靴底部12の上面17と嵌合されるように構成されている。すなわち、中間ソール22の上面23には、靴本体11に形成された切り欠き部15に対応する形状を有する凸部25を形成し、靴本体11に形成された切り欠き部15と嵌合して、着脱自在に接合するように構成し、また中間ソール22の下面24には、靴底部12の上面17に形成された凸部18と対応する形状を有する切り欠き部26を形成して嵌合部27を設けて靴底部12と嵌合し、靴底部12を着脱自在に接合するように構成されている。
【0062】
なお、中間ソール22の形成材料は、上述した靴底部12と同様に、ゴム、コルク、合成樹脂、スポンジ類、木材等の公知の種々の材料を用いることができる。また、本靴10Eにおける中間ソール22及び靴底部12は、同一の材料で形成されているものを用いても良いが、異なる材料によって形成されたものを用いても良い。また、中間ソール22の厚さt′も、前記靴底部12と同様の理由から3mm以上、好ましくは1cm以上である。
【0063】
このように靴本体11と靴底部12との間に中間ソール22を着脱自在に接合することによって、本靴10Eの高さの微調整をより容易に行なうことができるようになる。
【0064】
なお、本靴10Eは、上述したように1枚の中間ソール22を設ける場合に限らず、この他、中間ソール22を複数枚用い、嵌合しても良く、これにより本靴10Eの高さの微調整がより容易となるという利点がある。
【0065】
また、靴本体11の底面14に形成される切り欠き部15の断面形状、及び中間ソール22の下面24に形成される切り欠き部26の断面形状(すなわち、中間ソール22の上面23に設けられる凸部25の断面形状、及び靴底部12の上面17に設けられる凸部18の断面形状)が同一形状であることが好ましい。これにより、上述した第1実施形態等のように、中間ソール22を設けず、靴本体11の底面14に直接靴底12を嵌合し、接合して靴を使用することもできるので、本靴10Eは、用途や目的に合わせて、より使い勝手が良くなる。
【0066】
さらにまた、本靴10Eに用いられる靴底部12として、図示するようなヒール部を有さない靴底部12の他、上記第2実施形態で説明したヒール部19を有する靴底部12Aを用いても良いことはいうまでもない。
【0067】
また、本発明に係る履物は、その構成を以下のように変更することもできる。
【0068】
図13は、本発明の第7実施形態に係る履物である靴(以下、「本靴10F」と言う。)の概略断面図である。
【0069】
図示するように、本靴10Fも、上述した靴10等と同様に、靴本体11と靴底部12Fとを少なくとも具備することにより構成されている。なお、靴本体11と靴底部12Fとは、上述したように着脱自在に接合されることが好ましいが、接着剤等により固着されても良い。
【0070】
本靴10Fの靴底部12Fは、靴本体11の長手方向において2つのパートに分けられており、すなわち靴本体11の前方部を構成する部分(以下、「前方部12F(F)」と言う。)と、後方部を構成する部分(以下「後方部12F(B)」と言う。)とに分割されており、この前方部12F(F)と後方部12F(B)とを接合して構成されている。この接合方法は、例えば嵌合、螺合、ファスナーによる接合等、公知の種々の接合方法を用いることができる。
【0071】
このように構成することにより、本靴10Fの靴底部12Fは、前方部12F(F)と後方部12F(B)とを自由に組み合わせて構成することができる。これにより、靴の用途や使用目的、さらには着用者の好みに合わせて、靴のデザインや色、ヒール部19の高さ等を容易に変更することができるようになる。
【0072】
なお、靴本体11の形成材料は、上述したように、本靴10Fの使用目的によってゴム、合成樹脂、皮革等の公知の種々の材料を適宜選択して使用することができ、また靴底部12Fの形成材料も同様に、ゴム、コルク、合成樹脂、スポンジ類、木材等の公知の種々の材料で形成することができる。
【0073】
なお、本靴10Fのような構成は、サンダルやミュール等により好適に使用することができる。
【0074】
さらにまた、本発明に係る履物は、その構成を以下のように変更することもできる。
【0075】
図14は、本発明の第8実施形態に係る履物である靴(以下、「本靴10G」と言う。)の長手方向における概略断面図である。なお、本靴10Gは、靴本体及び靴底部を長手方向に3つの部分に分けたことを除くその他の点は、上述した本靴10Fと実質的に同一であるので、以下では対応する構成要素には同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0076】
図示するように、本靴10Gは、上述した従来の靴10等と同様に、靴本体11と靴底部12Gとを少なくとも具備することにより構成されている。なお、本靴10Gの靴本体11と靴底部12Gとは、上述した靴10等と同様に着脱自在に接合されることが好ましいが、接着剤等により固着されても良い。
【0077】
本靴10Gの靴底部12Gは、靴本体11の爪先部を構成する部分である前方部12G(F)と、踵部を構成する部分である後方部12G(B)と、この前方部12G(F)及び後方部12G(B)の間に配置される部分である中間部12G(M)とに分割されており、すなわち靴本体11の長手方向において前方部12G(F)、中間部12G(M)、及び後方部12G(B)の3つのパートに分けられており、この前方部12G(F)と中間部12G(M)、及び中間部12G(M)と後方部12G(B)をそれぞれ接合して構成されている。
【0078】
本靴10Gの靴底部12Gの前方部12G(F)及び中間部12G(M)を接合する方法としては、図15(a)に示すように、蝶番28等により角度調整を自由に行なうことができる方法を用いることが好ましい。また、靴底部12Gの前方部12G(F)及び中間部12G(M)を蝶番28で接合することにより、図15(b)に示すように、前方部12G(F)及び中間部12G(M)が重なるようにコンパクトに折り畳むことができるので、ハンドバッグ等に気軽に入れることができ、持ち運びに便利となる。また、このようにコンパクトに折り畳むことにより、靴棚等に収納する際も、占有スペースを最小限とすることができるので、靴棚により多くの靴を収納することができるようになる。
【0079】
本靴10Gの中間部12G(M)及び後方部12G(B)を接合する方法としては、図示するような鎹29によるものの他、嵌合、螺合、ファスナー等の着脱可能な公知の種々の接合方法を用いる。これにより、靴底部12Gの後方部12G(B)を本靴10Gの使用目的や用途に応じたデザインや、ヒール部19を有するもの等に容易に取り替えることができる。
【0080】
このような構成とすることにより、本靴10Gは、靴底部12Gの前方部12G(F)及び中間部12G(M)の角度調整を容易に行なうことができ、また後方部12G(B)を容易に取り替えることができる。従って、前方部12G(F)及び中間部12G(M)の角度に応じた高さを有するヒール部19を有する後方部12G(B)を接合することにより、本靴10Gの高さを自由に、かつ容易に変更することができるようになる。
【産業上の利用可能性】
【0081】
本発明は、上述したような履物に限らず、この他、男性用、女性用、幼児用等の公知の種々の履物についても適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】本発明に係る履物である靴の長手方向における概略断面図である。
【図2】本発明の第1実施形態の変更例に係る履物の長手方向における概略断面図である。
【図3】本発明の第2実施形態に係る履物の長手方向における概略断面図である。
【図4】本発明の第3実施形態に係る履物の長手方向における概略断面図である。
【図5】本発明の第3実施形態に係る履物の別の使用例を示す長手方向における概略断面図である。
【図6】本発明の第3実施形態に係る履物のさらに別の使用例を示す長手方向における概略断面図である。
【図7】本発明の第3実施形態に係る履物のさらに別の使用例を示す長手方向における概略断面図である。
【図8】本発明の第4実施形態に係る履物の長手方向における概略断面図である。
【図9】図8に示す履物の上面図である。
【図10】シャフトの概略断面図である。
【図11】本発明の第5実施形態に係る履物の長手方向における概略断面図である。
【図12】本発明の第6実施形態に係る履物の長手方向における概略断面図である。
【図13】本発明の第7実施形態に係る履物の長手方向における概略断面図である。
【図14】本発明の第8実施形態に係る履物の長手方向における概略断面図である。
【図15】本発明の第8実施形態に係る履物の前方部及び中間部の接合形態を示す図である。
【符号の説明】
【0083】
10〜10G 靴(履物)
11 靴本体
12〜12G 靴底部
13 履き口
14 靴本体の底面
15 切り欠き部
16 嵌合部
17 靴底部の上面
18 凸部
19 ヒール部
20 シャフト
22 中間ソール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
履物本体と、履物の底部とを少なくとも具備し、該履物の底部が着脱自在に構成されて成る履物であって、前記履物本体の底面に切り欠き部を設けて嵌合部を形成し、また前記履物の底部の上面に、前記切り欠き部と対応する形状を有する凸部を形成して、前記履物本体と前記履物の底部とを嵌合することにより、着脱自在に接合されることを特徴とする履物。
【請求項2】
前記履物の底部は、厚さが3mm以上であることを特徴とする請求項1に記載の履物。
【請求項3】
前記履物の底部は、ヒール部を有するものであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の履物。
【請求項4】
前記履物の底部の側面が蛇腹状に形成されていることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の履物。
【請求項5】
前記履物の底部が入れ子状に形成されていることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の履物。
【請求項6】
前記履物の底部は、その四隅に伸縮自在なシャフトが内設されており、また、前記靴本体の着用者の足の裏が当接する面には押圧部が設けられており、該押圧部と前記シャフトとが繋がっていることを特徴とする請求項4又は請求項5に記載の履物。
【請求項7】
前記履物の底部は、1個又は複数個に分割された靴底部材により構成されることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の履物。
【請求項8】
前記履物本体の底面の平面形状とほぼ同一形状を有する中間ソールを、前記履物本体と前記履物の底部との間に1枚又は複数枚着脱自在に設けることを特徴とする請求項1ないし請求項7のいずれかに記載の履物。
【請求項9】
履物本体と、履物の底部とを少なくとも具備して成る履物であって、前記履物本体は、長手方向に前方部と後方部との2つに分割されており、前記前方部と前記後方部とが着脱自在に接合されることを特徴とする履物。
【請求項10】
履物本体と、履物の底部とを少なくとも具備して成る履物であって、前記履物本体は、長手方向に前方部と中間部と後方部との3つに分割されており、前記前方部と前記中間部とが、角度調整自在に連結されており、また前記中間部と前記後方部とが着脱自在に接合されることを特徴とする履物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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