説明

岩盤の緩み測定装置及び岩盤の緩み測定方法

【課題】ラドンを検出することで表面積の増加に応じた亀裂の発生を直接的に判断し、岩盤の緩みを正確に測定する。
【解決手段】トンネル1の壁面に掘削孔2を形成し、一対のパッカー3を有する採取手段4を掘削孔2に挿入固定して密閉空間10を形成し、密閉空間10にαトラック11を備え、αトラック11で検出されるトラック数の増加によりラドンの量の増加を確認し、ラドンの増加に基づいて密閉空間10の表面積の増加を類推し、表面積の増加により亀裂の発生を判断して岩盤の緩みを測定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トンネルや地下空洞あるいは岩盤の傾斜面などに発生する表面積の増加をラドンの発生により検出することで岩盤の緩みを測定する岩盤の緩み測定装置及び岩盤の緩み測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
トンネルや地下空洞あるいは岩盤の急斜面における崩落や崩壊の多くは、岩盤などの内部に発生した亀裂等による緩みに起因している。岩盤の緩みを測定するため、亀裂の大きさ(幅)を測定することが従来から行われている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載された技術では、地下空洞内の外側に地中空間を形成し、その地中空間に超音波測定器を挿入すると共に、挿入深度が異なるようにその超音波測定器を地中空間内の複数の測定個所に順次設置し、各測定個所での超音波速度を各々測定し、得られた超音波測定速度の違いから亀裂の大きさが測定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−318996号公報
【0004】
上述した従来の技術では、超音波を用いて測定しているために、岩盤などの組成の影響を受けやすく、亀裂の大きさを正確に測定することができないという問題があった。このため亀裂の大きさに基づいて岩盤の緩みを推定しても、精度良く岩盤の緩みを測定することができないのが現状であった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記状況に鑑みてなされたもので、ラドンを検出することにより表面積の増加に応じた亀裂の発生を直接的に判断し、岩盤の緩みを正確に測定することができる岩盤の緩み測定装置及び岩盤の緩み測定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するための請求項1に係る本発明の岩盤の緩み測定装置は、地中空洞に連通する地中空間に封止部を配して密閉空間を形成し、前記密閉空間の流体に含まれるラドンを検出するラドン検出手段を備え、前記ラドン検出手段で検出されるラドンの状況に基づいて前記密閉空間の表面積を類推し、表面積の変化により岩盤の緩みを導出する緩み導出手段を備えたことを特徴とする。
【0007】
請求項1に係る本発明では、ラドン検出手段で検出されるラドンの増加により密閉空間の表面積の増加を類推することで、表面積の増加による亀裂の状況に応じて岩盤の緩みの状況を導き出すことができる。これにより、ラドンを検出することにより表面積の増加に応じた亀裂の発生を直接的に判断し、岩盤の緩みを正確に測定することができる。
【0008】
そして、請求項2に係る本発明の岩盤の緩み測定装置は、請求項1に記載の岩盤の緩み測定装置において、前記密閉空間の流体を前記地中空洞との間で循環させる循環手段を備えたことを徴とする。
【0009】
請求項2に係る本発明では、流体を循環させることで密閉空間の流体の状態の経時変化を的確に再現することができる。
【0010】
また、請求項3に係る本発明の岩盤の緩み測定装置は、請求項1もしくは請求項2に記載の岩盤の緩み測定装置において、前記ラドン検出手段が前記密閉空間の内部に配されることを特徴とする。
【0011】
請求項3に係る本発明では、密閉空間の内部で流体に含まれるラドンの状況を検出することができる。
【0012】
また、請求項4に係る本発明の岩盤の緩み測定装置は、請求項1に記載の岩盤の緩み測定装置において、前記密閉空間に連通して前記密閉空間内の流体を前記地中空洞内に導く導管と、前記地中空洞内の導管に接続されて前記密閉空間内の流体を貯留する貯留部とを備え、前記ラドン検出手段が前記貯留部の内部に配置されていることを特徴とする。
【0013】
請求項4に係る本発明では、導管から貯留部に密閉空間内の流体を導き、貯留部でラドンの状況を検出することで、地中空洞内でラドンの状況を検出することができる。
【0014】
また、請求項5に係る本発明の岩盤の緩み測定装置は、請求項4に記載の岩盤の緩み測定装置において、前記密閉空間と前記貯留部との間で流体を循環させる循環手段を備えたことを特徴とする。
【0015】
請求項5に係る本発明では、流体を循環させることで密閉空間の流体の状態の経時変化を貯留部の内部で的確に再現することができる。
【0016】
また、請求項6に係る本発明の岩盤の緩み測定装置は、請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載の岩盤の緩み測定装置において、前記地中空洞がトンネルであり、前記地中空間が前記トンネルの内壁から掘削された掘削穴であることを特徴とする。
【0017】
請求項6に係る本発明では、掘削穴の密閉空間の流体の状況により、トンネルの周囲の岩盤の緩みを測定することができる。
【0018】
また、請求項7に係る本発明の岩盤の緩み測定装置は、請求項6に記載の岩盤の緩み測定装置において、前記ラドン検出手段が固体放射線センサであることを特徴とする。
【0019】
請求項7に係る本発明では、例えば、フィルムバッチ等の固体放射線センサを用いることで簡単にラドンの量を計測することができ、岩盤の緩みを容易に測定することができる。
【0020】
また、請求項8に係る本発明の岩盤の緩み測定装置は、請求項6に記載の岩盤の緩み測定装置において、前記ラドン検出手段がプラスチックシンチレータであることを特徴とする。
【0021】
請求項8に係る本発明では、プラスチックシンチレータを用いることで正確にラドンの量を計測することができ、岩盤の緩みを的確に測定することができる。
【0022】
上記目的を達成するための請求項9に係る本発明の岩盤の緩み測定方法は、地中空間に形成される密閉空間の内部の流体に含まれるラドンを検出し、検出されるラドンの状況の変化に基づいて前記密閉空間の表面積の変化を類推し、表面積の変化により岩盤の緩みを測定することを特徴とする。
【0023】
請求項9に係る本発明では、ラドンの量が増加した際に密閉空間の表面積が増加したと類推し、表面積の増加により亀裂が生じていると判断して岩盤の緩みを測定することができる。これにより、ラドンを検出することにより表面積の増加に応じた亀裂の発生を直接的に判断し、岩盤の緩みを正確に測定することができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明の岩盤の緩み測定装置及び岩盤の緩み測定方法は、ラドンを検出することにより表面積の増加に応じた亀裂の発生を直接的に判断することで、岩盤の緩みを正確に測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の第1実施形態例に係る岩盤の緩み測定装置を設置した状態の全体構成図である。
【図2】本発明の第1実施形態例に係る岩盤の緩み測定装置の概略構成図である。
【図3】掘削孔の表面積とαトラックの被曝トラック数との関係を表すグラフである。
【図4】本発明の第2実施形態例に係る岩盤の緩み測定装置を設置した状態の全体構成図である。
【図5】本発明の第3実施形態例に係る岩盤の緩み測定装置を設置した状態の全体構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明の第1実施形態例に係る岩盤の緩み測定装置は、地中空洞であるトンネルの壁面に地中空間である掘削孔を形成し、封止部である一対のパッカーを有する採取手段を掘削孔に挿入固定して密閉空間を形成し、密閉空間にラドン検出手段としてのフィルムバッチ(αトラック)を備えたものである。そして、αトラックで検出されるトラック数の増加によりラドンの量の増加を確認し、ラドンの増加に基づいて密閉空間の表面積の増加を類推し、表面積の増加により亀裂の発生を判断して岩盤の緩みを測定するようにしている。
【0027】
従って、ラドンを検出することにより表面積の増加に応じた亀裂の発生を直接的に判断することで、岩盤の緩みを正確に測定することができる。
【0028】
図1には本発明の第1実施形態例に係る岩盤の緩み測定装置を設置した状態の全体構成、図2には本発明の第1実施形態例に係る岩盤の緩み測定装置の概略構成、図3には掘削孔の表面積とαトラックの被曝トラック数との関係を示してある。
【0029】
図1に示すように、地中空洞であるトンネル1の壁面には地中空間としての掘削孔2が形成されている。掘削孔2には封止部である一対のパッカー3を備えた採取手段4が配設され、採取手段4の一対のパッカー3の間に密閉空間10が形成されている。採取手段4の密閉空間10に対応する位置には密閉空間10に流通する筒部5が配され、筒部5の内部は密閉空間10と同一の雰囲気とされている。
【0030】
トンネル1の内部には貯留部6が設けられ、採取手段4の筒部5の内部と貯留部6との間で流体を循環させる導管としての循環路7が備えられている。循環路7にはポンプ8が備えられ、貯留部6の内部の圧力を調整しながらポンプ8の駆動により筒部5の内部と貯留部6との間で流体を循環させることで、密閉空間10の内部の流体の状況を所望の状態に維持するようになっている。
【0031】
例えば、空気を流体とした場合、ポンプ8により空気を圧送して循環させることで、密閉空間10の内部に水が流入しても筒部5の内部を密閉空間10の内部と同一雰囲気に維持することができる。また、水を流体とした場合、ポンプ8により水を圧送して循環させることで、筒部5の内部の圧力を密閉空間10の内部の圧力と同じ状態に維持することができる。
【0032】
図1、図2に示すように、筒部5の内部にはラドン検出手段としてのフィルムバッチ(αトラック)11が複数個設けられ、筒部5の内部の流体のラドンの放射線のトラック数を検出することができる。ラドンの放射線のトラック数は、所定の時間が経過した後にαトラック11のトラック数を導出手段としてのレーザ顕微鏡12で計測される。計測されたトラック数は制御手段13で分析され、予め記憶された表面積とトラック数との関係のデータに基づいて表面積の増加が判断されて岩盤の緩みが測定される。即ち、密閉空間10の内部ラドンの量が増加してトラック数が増加すると、亀裂が発生して表面積が増加したと判断され、岩盤に緩みが発生していることが測定される。
【0033】
制御手段13には、表面積とトラック数との関係のデータが複数(例えば、6種類)のαトラックに対して記憶されている。具体的には、ラドンが発生する試料を複数準備し(例えば、花崗岩)、試料を同じ大きさの直方体(例えば、200mm×50mm×20mm)に成形・鏡面仕上げする。複数の密閉容器にそれぞれ異なる枚数の試料をαトラックと共に収容して数日間放置し、数日間放置した後のαトラックをエッチングしてトラック数を検出する。密閉容器は、例えばステンレス製で金属Oリングにより外気と遮断されている。つまり、異なる表面積でのラドンの量の違いをαトラックのトラック数の違いにより検出する。
【0034】
検出した結果、図3に示すように、6種類のαトラック(A、B、C、D、E、F)とも、表面積の増加割合が大きくなるとトラック数が増加していることが確認されている。例えば、6種類のαトラック(A、B、C、D、E、F)とも、表面積が増加するとトラック数が増加していることが判る。
【0035】
この結果、αトラック11で検出されるトラック数により、ラドンの量が増加したか否かが判断でき、ラドンの量が増加していると判断されることで、亀裂の発生により密閉空間10の表面積が増加していることが計測される。αトラック11で検出されるトラック数によりラドンの増加を定量的に判断することが可能であり、トラック数が増加したことによりラドンの増加と判断し、亀裂の発生に基づき岩盤に緩みが発生したことを測定することができる。
【0036】
また、図3に示したαトラック(A、B、C、D、E、F)と同じものをαトラック11として使用することで、バックグラウンドを加味してラドンの増加量を定量的に判断することが可能である。ラドンの増加量を定量的に判断することで、亀裂の程度を把握した状態で密閉空間10の表面積の増加を計測することができ、岩盤にどの程度の緩みが発生したかを把握することが可能になる。
【0037】
上述した岩盤の緩み測定装置では、採取手段4の筒部5の内部にαトラック11を配置し、採取手段4を掘削孔2に設置する。ポンプ8により筒部5の内部に空気を圧送し、筒部5の内部の雰囲気を密閉空間10の内部と同じ状態に維持する。この状態で所定の期間放置し、αトラック11のラドンによるトラック数をレーザ顕微鏡12で検出する。αトラック11のトラック数の増加の状況により、制御手段13に記憶されたデータに基づいてラドンの増加の状況を導き出し、ラドンが増加したことによる密閉空間10の表面積の増加を計測する。密閉空間10の表面積の増加が計測されることにより、亀裂に基づいて岩盤に緩みが発生していることが測定される。
【0038】
このため、上述した緩み測定装置を用いることで、ラドンを検出することにより密閉空間10の表面積の増加に基づく亀裂の発生を直接的に判断することができ、岩盤の緩みを正確に測定することができる。
【0039】
尚、上述した実施形態例では、密閉容器に収容した空気中のαトラック(A、B、C、D、E、F)のデータに基づいて、筒部5の内部を空気の雰囲気にして密閉空間10の表面積の増加を計測したが、筒部5の内部を水で満たした状態にして水中のラドンを検出して密閉空間10の表面積の増加を計測することも可能である。この場合、αトラック(A、B、C、D、E、F)のデータとして、水中でのトラック数の状況を用いることが好ましい。
【0040】
図4に基づいて本発明の第2実施形態例を説明する。
【0041】
図4には本発明の第2実施形態例に係る岩盤の緩み測定装置を設置した状態の全体構成を示してある。尚、図1に示した第1実施形態例と同一部材には同一符号を付して重複する説明は省略してある。
【0042】
図4に示すように、トンネル1の壁面には掘削孔2が形成され、掘削孔2には採取手段15が配設されている。採取手段15の一対のパッカー3の間に密閉空間10が形成され、採取手段15の密閉空間10に対応する位置は密閉空間10に流通する筒部16とされている。トンネル1の内部には密閉タンク17が設けられ、採取手段15の筒部16の内部と密閉タンク17との間で流体としての空気を循環させる循環路7が備えられている。循環路7にはポンプ8が備えられ、密閉タンク17の内部の圧力を調整しながらポンプ8の駆動により筒部16の内部と密閉タンク17との間で空気を循環させることで、密閉タンク17の内部の空気の状態を密閉空間10の内部と同じ状態に維持するようになっている。
【0043】
密閉タンク17の内部にはラドン検出手段としてのフィルムバッチ(αトラック)11が複数個設けられ、密閉タンク17の内部の空気中に含まれるラドンの放射線のトラック数を検出することができる。密閉タンク17の内部の空気の状態は密閉空間10の内部と同じ状態に維持されているので、密閉タンク17の内部のαトラック11のトラック数を検出することで、密閉空間10の内部のラドンの量の増加を判断することができる。
【0044】
ラドンの放射線のトラック数は、所定の時間が経過した後にαトラック11のトラック数を導出手段としてのレーザ顕微鏡12(図2参照)で計測される。計測されたトラック数は制御手段13(図2参照)で分析され、予め記憶された表面積とトラック数との関係のデータに基づいて表面積の増加が判断されて岩盤の緩みが測定される。
【0045】
即ち、第1実施形態例と同様に、制御手段13(図2参照)には、表面積とトラック数との関係のデータが記憶され、密閉タンク17の内部のラドンの量が増加してαトラック11のトラック数が増加すると、制御手段13(図2参照)により密閉空間10の内部のラドンの量が増加したと判断される。これにより、亀裂が発生して表面積が増加したと判断され、岩盤に緩みが発生していることが測定される。
【0046】
このため、上述した緩み測定装置を用いることで、密閉タンク17の内部のラドンを検出することにより密閉空間10の表面積の増加に基づく亀裂の発生を直接的に判断することができ、岩盤の緩みを正確に測定することができる。そして、密閉タンク17の内部のαトラック11のトラック数を検出するので、トンネル1でαトラック11を取り扱うことが可能になり、大気中での被曝の影響を最小限に抑えて密閉タンク17の内部のαトラック11のトラック数を容易に検出することができる。
【0047】
図5に基づいて本発明の第3実施形態例を説明する。
【0048】
図5には本発明の第3実施形態例に係る岩盤の緩み測定装置を設置した状態の全体構成を示してある。尚、図1に示した第1実施形態例及び図4に示した第2実施形態例と同一部材には同一符号を付して重複する説明は省略してある。
【0049】
図4に示すように、トンネル1の壁面には掘削孔2が形成され、掘削孔2には採取手段21が配設されている。採取手段21の一対のパッカー3の間に密閉空間10が形成され、密閉空間10に対応する位置は密閉空間10に流通する筒部22とされている。トンネル1の内部には貯留部6が設けられ、採取手段21の筒部22の内部と貯留部6との間で水を循環させる循環路7が備えられている。循環路7にはポンプ8が備えられ、貯留部6の内部の圧力を調整しながらポンプ8の駆動により筒部22の内部と貯留部6との間で水を循環させることで、密閉空間10の内部に湧き出した地下水の状況を所望の状態に維持するようになっている。
【0050】
採取手段21の筒部22にはラドン検出手段としての放射線検出器23が設けられ、筒部22の内部に流入した地下水に含まれるラドンの放射線強度が検出される。放射線検出器23は、テーパ状の検出器本体24を備え、検出器本体24は発光物質が混入されたプラスチックからなり(プラスチックシンチレータ)、ガンマ線が発光物質に衝突して光を発する構成とされている。検出器本体24で発せられた光は光電子増倍管25で電気信号に変換され、アンプ26を介して電気信号としてトンネル1の内部に設けられた制御手段13に送られる。
【0051】
検出器本体24のプラスチックに混入される発光物質は、微量のタリウムをドープしたヨウ化ナトリウムの結晶である。発光物質としてヨウ化ナトリウムの結晶を適用したことにより、結晶の主成分であるヨウ素の原子番号が大きく、ガンマ線に対する発光効果の確率を高くすることができる。その結果、ガンマ線の検出を適切に行うことができる。
【0052】
検出器本体24で発光する光を検出することで密閉空間10の内部のラドンの量の増加を判断することができる。計測された光の状況は制御手段13で分析され、予め記憶された光の状況(電気信号の状況)と表面積との関係のデータに基づいて表面積の増加が判断されて岩盤の緩みが測定される。即ち、検出器本体24の発光によりラドンの量が増加したと判断されると、制御手段13により密閉空間10の内部のラドンの量が増加したと判断される。これにより、亀裂が発生して表面積が増加したと判断され、岩盤に緩みが発生していることが測定される。
【0053】
このため、上述した緩み測定装置を用いることで、密閉空間10の内部のラドンをプラスチックシンチレータで検出することにより密閉空間10の表面積の増加に基づく亀裂の発生を直接的に判断することができ、岩盤の緩みを正確に測定することができる。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明は、トンネルや地下空洞あるいは岩盤の傾斜面などに発生する表面積の増加をラドンの発生により検出することで岩盤の緩みを測定する岩盤の緩み測定装置及び岩盤の緩み測定方法の産業分野で利用することができる。
【符号の説明】
【0055】
1 トンネル
2 掘削孔
3 パッカー
4、15、21 採取手段
5、16、22 筒部
6 貯留部
7 循環路
8 ポンプ
10 密閉空間
11 フィルムバッチ(αトラック)
12 レーザ顕微鏡
13 制御手段
17 密閉タンク
23 放射線検出器
24 検出器本体
25 光電子倍増管
26 アンプ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地中空洞に連通する地中空間に封止部を配して密閉空間を形成し、前記密閉空間の流体に含まれるラドンを検出するラドン検出手段を備え、前記ラドン検出手段で検出されるラドンの状況に基づいて前記密閉空間の表面積を類推し、表面積の変化により岩盤の緩みを導出する緩み導出手段を備えたことを特徴とする岩盤の緩み測定装置。
【請求項2】
請求項1に記載の岩盤の緩み測定装置において、
前記密閉空間の流体を前記地中空洞との間で循環させる循環手段を備えた
ことを特徴とする岩盤の緩み測定装置。
【請求項3】
請求項1もしくは請求項2に記載の岩盤の緩み測定装置において、
前記ラドン検出手段が前記密閉空間の内部に配される
ことを特徴とする岩盤の緩み測定装置。
【請求項4】
請求項1に記載の岩盤の緩み測定装置において、
前記密閉空間に連通して前記密閉空間内の流体を前記地中空洞内に導く導管と、
前記地中空洞内の導管に接続されて前記密閉空間内の流体を貯留する貯留部とを備え、
前記ラドン検出手段が前記貯留部の内部に配置されている
ことを特徴とする岩盤の緩み測定装置。
【請求項5】
請求項4に記載の岩盤の緩み測定装置において、
前記密閉空間と前記貯留部との間で流体を循環させる循環手段を備えた
ことを特徴とする岩盤の緩み測定装置。
【請求項6】
請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載の岩盤の緩み測定装置において、
前記地中空洞がトンネルであり、前記地中空間が前記トンネルの内壁から掘削された掘削穴である
ことを特徴とする岩盤の緩み測定装置。
【請求項7】
請求項6に記載の岩盤の緩み測定装置において、
前記ラドン検出手段が固体放射線センサである
ことを特徴とする岩盤の緩み測定装置。
【請求項8】
請求項6に記載の岩盤の緩み測定装置において、
前記ラドン検出手段がプラスチックシンチレータである
ことを特徴とする岩盤の緩み測定装置。
【請求項9】
地中空間に形成される密閉空間の内部の流体に含まれるラドンを検出し、検出されるラドンの状況の変化に基づいて前記密閉空間の表面積の変化を類推し、表面積の変化により岩盤の緩みを測定することを特徴とする岩盤の緩み測定方法。




【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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