説明

嵩高化フィラメントトウから製造される創傷治癒製品

創傷治癒製品は、トウから嵩高化させたフィラメントから製造され、三次元構造に固定された不織布である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
嵩高化フィラメントトウ(bulked filament tow)から創傷治癒製品を製造する。
【背景技術】
【0002】
創傷被覆材としての不織布材料の使用は、そのそれぞれが以下詳細に記載される米国特許第4,704,113号、同第4,741,941号、同第6,448,462号及び同第6,500,539号に開示されている。
【0003】
通常、創傷被覆材として使用される材料は、中でも、傷口からの流体を除去し(輸送現象)、除去した液体を保持し(吸収現象)、及び傷口に付着(貼付)しない能力が必要である。
【0004】
不織布とは、種々の方法によって結束される人造シート、芯(batting)、ウェブ(webbing)または布帛(fabric)を指す当業界の用語である。これらの方法としては、たとえば繊維の融合(たとえば熱、超音波、圧力など)、繊維の結合(bonding)(たとえば樹脂、溶媒、接着剤など)、及び機械的絡み合い(たとえばニードルパンチ、絡み合いなど)が挙げられる。この用語は、ヤーンの交錯(ステッチ結合)により結束したもの、または穿孔若しくは多孔フィルムから製造したものなどの、他の構造を網羅するために広く使用されることがある。この用語は、織り、編み及び綴じ構造、紙及び、湿式摩砕プロセスにより製造したフェルトを除外する。最も一般的な用途において、この用語は、乾式、湿式または空気堆積(air laying)(上記の繊維を結束する方法の一つを任意に使用する)、ニードルパンチ、スパンボンド(spun bond)若しくは溶融吹き込み(meltblown)プロセス、及び水流交絡(hydroentangling)(スパンレーシング:spunlacing)などのようなプロセスによって製造される繊維構造である。乾式、湿式、エア敷設及び水力絡み合い(スパンレーシング)プロセスでは、不織布の製造にはステープル繊維が使用される。スパンボンド及び溶融吹き込みプロセスでは、動いているベルト上に溶融ポリマーを押出す;これらの種類の不織布の繊維はフィラメントであってもよい。
【0005】
米国特許第4,704,113号は、病院用包帯として使用されるステープル繊維、水力絡み合いで製造した不織布を開示する。
【0006】
米国特許第4,741,941号は、病院用拭き取り繊維として使用し得る溶融吹き込みまたはスパンボンドで製造した不織布を開示する。
【0007】
米国特許第6,448,462号は、包帯材料として使用されるスパンボンドで製造された不織布を開示する。
【0008】
米国特許第6,500,539号は、創傷被覆材としてスパンレース(水流交絡)で製造した不織布を開示する。
【0009】
上記のものはそれぞれ創傷治癒業界において一定の進歩を提供したが、より良い創傷治癒製品に対する需要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】米国特許第4,704,113号
【特許文献2】米国特許第4,741,941号
【特許文献3】米国特許第6,448,462号
【特許文献4】米国特許第6,500,539号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0011】
創傷治癒製品は、トウから嵩高化させたフィラメントから製造され、三次元構造に固定された不織布である。
【0012】
本発明を説明する目的のために、現在好ましい形態を図面で示す。しかしながら本発明は、示された詳細な配置及び手段に限定されないことは理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は、平坦なトウ(右側)と嵩高化トウ(左側)を示す写真である。
【図2】図2は、平坦なトウ(左側)と共に本発明の二つの態様(右側及び真中)を示す写真である。
【図3】図3は、本発明を製造するプロセスの略図である。
【図4】図4は、湿潤させた後の不織布の保形性に対する可塑剤の効果を示すグラフである。
【図5】図5は、湿潤させた後の不織布の保形性に対する可塑剤の効果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本明細書中で使用するように、創傷治癒製品(wound care product)は、術後の吸着包帯(若しくはパッド)、緩衝用創傷パッド、ギャムジー(Gamgee)包帯、外用または内用のスポンジ(「綿撒糸」としても公知の非常に小さな例を含む)、包帯、患者用アンダーパッド、皮膚用製品/創傷清拭用ガーゼ、細い若しくは「リボンガーゼ」などのガーゼ、及び内部手術室用の開腹手術用スポンジを指す。この材料は、創傷被覆材で一部若しくは全体として、包帯で一部若しくは全体として、眼帯で一部若しくは全体として、授乳パッドで一部若しくは全体として、検死解剖で使用される吸着材で一部若しくは全体として、歯科被覆材で一部若しくは全体として、獣医被覆材で一部若しくは全体として、または他の列記した用途の一つとしても使用することができる。この材料は、ボトルまたはビンの薬剤包装用の詰め綿としても使用することができる。
【0015】
本明細書中で使用する不織布は、嵩高化トウから製造したランダム配向したフィラメントを指し、乾式、湿式若しくは空気堆積法、ニードルパンチ、スパンボンドまたは溶融吹き込みプロセス、及び水流交絡(スパンレース)により製造した不織布を除外する。
【0016】
フィラメントとは、その断面直径と比較したときに、連続性の繊維、即ち不定長さの繊維を指す。
【0017】
トウとは、はっきりした捻れのないフィラメントの束を指す。
【0018】
嵩高化(bulked)(または嵩高化(膨化):bulking)とは、たとえばトウの縦方向(machine direction:MD)と横方向(cross machine direction:CD)の両方に対して垂直の厚みにおいて平坦なトウが膨張する、大きくなる、拡大する、及び/または増化する処理工程を指す。嵩高化は、エアジェットを使用して実施することができる。
【0019】
図1を参照すると、嵩高化トウから製造したフィラメントのトウAと不織布Bが示されている。トウAは通常、互いに配列したフィラメントをもつ、一般に平坦な構造である。不織布Bは嵩高く、主に縦方向に配列したフィラメントをもち、構造内でさらにフィラメントを折り畳み、位置ずれ(deregistering)した三次元構造をもち、さらに嵩高くなっている。
【0020】
図2を参照すると、嵩高化フィラメントトウから製造し、固定(fixed)三次元構造をもつ不織布の本発明の二つの態様BとCが示されている。平坦なトウAも示されている。それぞれのサンプルA、B及びCは4.3グラムの重さである。態様BとCは、本プロセスによって達成し得る嵩を示している。
【0021】
フィラメントは、フィラメント状に形成し得る任意の材料から製造することができる。そのような材料としては、溶融紡糸可能なポリマー及び溶液紡糸可能なポリマーが挙げられる。そのような材料としては、アクリル酸系誘導体、セルロース系誘導体(たとえば再生セルロース(レーヨン)及びセルロースエステル)、ポリアミド(たとえばナイロン)、ポリエステル(たとえばPET及びPBT)、ポリオレフィン(たとえばPE、PB、PMP、PP)、及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。一態様において、フィラメントは酢酸セルロースから製造される。
【0022】
フィラメントは任意のサイズであってよい。個々のフィラメントのデニールは、1〜15dpf(デニール/フィラメント)の範囲であることができる。一態様において、このデニールは2〜10dpfの範囲であることができる。別の態様では、デニールは3〜8dpfの範囲であることができる。
【0023】
フィラメントはいかなる断面形であってもよい。そのような形状としては、円形、「y」、「x」、小鈍鋸歯状(crenulated)、イヌの骨(dog bone)またはこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0024】
トウは任意の数のフィラメントを含むことができる。フィラメント数は2,500〜25,000の範囲であることができる。
【0025】
トウは任意の総デニールであってもよい。トウの総デニールは2,500〜125,000の範囲であることができる。一態様において、トウの総デニールは15,000〜75,000の範囲であることができる。別の態様では、トウの総デニールは20,000〜40,000の範囲であることができる。
【0026】
トウはけん縮していてもよい。けん縮は5〜80個のけん縮/インチ(2〜32個のけん縮/cm)の範囲であってもよい。一態様において、けん縮は23〜35個のけん縮/インチ(10〜14個のけん縮/cm)の範囲であることができる。
【0027】
トウは仕上げを含んでいてもよく、また仕上げ処理されていてもよい。表面仕上げを適用するときには、仕上げはトウの約0.3〜5.0重量%を構成することができる。一態様において、仕上げはトウの約0.5〜2.0重量%を構成する。
【0028】
不織布はいかなる物理的寸法であってもよく、いかなる断面形状であってもよい。一態様において、不織布は以下の物理的寸法:50〜300g/m2の坪量;50〜300mmの幅及び2mm〜5cmの厚さを有することができる。断面形状としては、たとえば長方形、正方形、円形または楕円形が挙げられる。一態様において、断面形状は長方形であってもよい。
【0029】
不織布は、少なくとも創傷部から流体を輸送し易いように固定された三次元構造、吸収力及び保形性をもつのが好ましい。不織布は任意の手段で固定することができる。不織布は、たとえばバインダー(フィラメントの接触点においてフィラメントを互いに固める接着剤型材料);可塑剤(フィラメントのポリマーを軟化させて、フィラメント接触点でフィラメントを合体させる材料);及び/またはポイント接着を形成させるための外部エネルギー供給源(そのようなエネルギー供給源としては、たとえば、熱、圧力及び/または超音波結合方法が挙げられ、これらは不織布に取り込まれた二成分繊維を使用することによって促進してもよいし、しなくてもよい)を使用して固定することができる。
【0030】
固定方法の選択は、フィラメントのポリマーに依存する。たとえばフィラメントがセルロースエステル、たとえば酢酸セルロースの場合、可塑剤を使用することができる。そのような可塑剤としては、たとえばトリアセチン、トリエチレングリコールジアセテート、グリコールモノエチルエーテルアセテート及びこれらの組み合わせが挙げられる。一態様において、可塑剤は、不織布の2〜15重量%の範囲で不織布に添加することができる。別の態様では、可塑剤は不織布の7〜20重量%の範囲で不織布に添加することができる。
【0031】
不織布としては、単独または組み合わせて以下のものを含むこともできる:
患者体内で使用したときに検出できるような糸やビーズなどのX線不透過性(radio-opaque)検出機構。
外部計数または探知システムにより検出でき、手術前後で外科用ディスポ(使い捨て品)を手作業で計数する必要性を排除する高周波(RF)タグ。
外部計数または探知システムにより検出でき、手術前後で外科用ディスポを手作業で計数する必要性を排除する、テープなどのバーコードシステム。
微生物の成長を遅延させるか、またはこれを殺し、潜在的に感染の発生を低減させるための抗菌剤。そのような薬剤は慣用であり、薬剤、化学薬品などが挙げられるが、これらに限定されない。これらの薬剤は、フィラメントの紡糸の間、または不織布の構造を固定するために使用する薬剤と一緒に、または任意の公知の方法でフィラメント表面に添加することができる。抗菌剤としては、抗菌剤、抗ウイルス剤、抗真菌剤及び/または駆虫剤(antiparisitic agent)が挙げられるが、これらに限定されない。そのような薬剤としては、銀イオン、キトサン、銅イオン及び/または塩素化フェノキシ化合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0032】
不織布の非接着特性は、任意の公知の方法によって改善することができる。たとえば、吸収剤のセルロース誘導体を使用することができる。一吸収剤のセルロース誘導体材料としてはヒドロキシプロピルセルロースがある。この材料は、不織布の、創傷面に接触することを目的とした表面に添加することができる。あるいはアルギン酸カルシウム(海草由来)も使用することができる。この材料は、不織布の、創傷部に接触することを目的とする側にシートまたはウェブ状で加えることができ、これは創傷部から包帯を取る前に生理食塩水に接触させると容易に溶解する。アルギン酸カルシウムは、Specialty Fibers and Materials、Ltd.より市販されている。別の態様において、任意の慣用法にて不織布にシロキサンを加えることができる。
【0033】
柔軟な吸収剤バインダー(flexible absorbent binder:FAB)を不織布の吸収能力を増加させるために加えることができる。FABは任意の慣用法にて不織布に適用することができる。そのような材料の一つは、本明細書中、参照として含まれる米国特許第6,964,803号に記載されている。
【0034】
本発明の不織布は、公衆衛生用品/衣類の製造で一般的に使用される任意の高吸収性粒子(superabsorbent particle:SAP)を含まない。
【0035】
図3を参照して、本発明の創傷被覆材の製造について記載する。創傷治癒製品を製造するためのプロセス10は一般に、トウを嵩高化させる50;及び嵩高化トウの三次元構造を固定する40の各工程を含む。示されている態様では、トウを嵩高化させる工程50はさらに、トウを広げる20とトウを位置ずれさせる30ことを含む。
【0036】
トウ14は梱12から引き出すことができる。トウ(またはトウバンド)14は一つ以上の結束ジェット(banding jet)16、18を使用して、広げる20ことができる(即ち、梱の圧縮状態からその幅を広げる)。移動している間に、トウ14は一つ以上のガイド17によって導くことができる。幾つかのトウバンドを一緒に供給することによってさらに複数のトウを組み合わせることができる。このようにして不織布は種々の繊維を含むことができる。種々の繊維としては、種々のサイズの繊維、種々の材料から製造した繊維、種々の添加剤若しくは表面コーティングをもつ繊維、種々の化学薬品、医薬品及び物理的特性の繊維、ならびにこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。このような柔軟性により、様々な機能をもつ不織布を製造することができる。上記の具体的な一例では、アルギン酸カルシウム繊維(たとえば、創傷面に接触するのが望ましい好都合なゲル化特性をもつ)は他の繊維(たとえば、上記のもの)と容易に組み合わせて創傷治癒製品を形成することができる。
【0037】
次いで、広げたトウは、少なくとも二対の被動ロール32、34から構成することができる位置ずれ装置で位置ずれ(deregister)される30。これらの被動ロールは種々の速度で回転する。一態様では、ロール34はロール32よりも早く回転する。一態様では(図面には示されていない)、それぞれの対の一つのロールには溝が掘られているかねじ切りされており、片方は平面である。さらにプレテンションロール36を使用して、トウバンドのフィラメントを位置ずれし易くできる。
【0038】
嵩高化トウの三次元構造の固定は、トウを嵩高化する前、その間またはその後に実施することができる。
【0039】
一態様において、可塑剤は、不織布の三次元構造を固定し易くするために、嵩高化前に位置ずれさせたトウに添加する40。可塑剤は任意の慣用法で添加することができる。可塑剤の適用は、はけ塗り、噴霧、パッド、毛管作用または他のタイプの可塑剤アプリケーターによって実施することができる。さらに、可塑剤はトウ/嵩高化トウの一つ以上の面に適用することができる。場合により、可塑剤による固定法を使用するとき、固定の設定は加速する、即ち設定時間を短くすることができる。設定の加速は、任意の慣用法にて実施することができる。そのような一方法は、バルクトトウに生蒸気を注入することによって実施することができる。蒸気の注入はさらに、不織布の厚さ及び密度を制御するためにさらに供給される一対のニップロールによって促進できる。あるいは、一対の加熱ゴデットロールを使用して固定を設定することができる。これらの加熱ゴデットロールは嵩高化トウと接触し、トウの三次元構造を設定するだけでなく、不織布の厚さ及び密度を制御し易くする。
【0040】
別の態様では、三次元構造の固定は、トウを嵩高化した後で実施することができる。この後者の態様では、バインダー及び/または外部エネルギー供給源の使用は、トウを嵩高化した後で、任意の慣用法で適用される。
【0041】
位置ずれさせたトウは、任意の慣用法で嵩高化する50。一態様において、トウはエアジェット52で嵩高化する。そのようなエアジェット52は公知である。たとえば、本明細書中、参照として含まれる米国特許第5,331,976号及び同第6,253,431号を参照されたい。嵩高化後で固定前に、嵩高化トウを処理することが必要かもしれない。というのも嵩高化トウは、縦方向(MD)の強度が皆無か殆どないからである。たとえば嵩高化トウは、個々の材料(たとえばティッシュ(tissue))または移動ベルト若しくは回転ドラム(真空補助されていてもされていなくてもよい)上で処理することができる。ティッシュは、続いて廃棄されるか、ティッシュは不織布をベースとする続く製品に取り込むことができる。さらにティッシュは嵩高化トウを挟んでもよい。トウを挟むことによって、嵩高化トウは両面が同じ特徴をもつことになるだろう。本明細書中で使用するティッシュとしては、ティッシュ、織り布帛、編み布帛、他の不織の、同じ不織のフィルムなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0042】
場合により、スピードコントローラー54を使用して、不織布の坪量を制御/調整することができる。あるいは不織布の坪量は、エアジェット直後に配置されている追加の対の被動ロール(たとえばニップロール)によって制御することができる。
【0043】
嵩高化トウを固定したら、これを続く処理60に供することができる。続く処理としては、巻き上げ;他の材料若しくは成分の添加;滅菌;形状に切り出す;包装;続く接合(たとえば外部エネルギー供給源または接着剤);カレンダリング;及びこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。本発明の不織布は一つ以上の他の基板に結合させることもできる。そのような基板としては、フィルム、メッシュ、不織布または布帛(織り若しくは編み)が挙げられるが、これらに限定されない。上記の非限定的な例としては、被覆材から滲出物が裏抜け(strikethrough)するのを軽減させたり、抑制するためのバリヤフィルム;縦方向、横方向またはその両方向で不織布に追加の強度を提供するためのスクリム(綿布:scrim);及び、最終製品に追加の触感または審美的利益を提供するための材料が挙げられる。
【0044】
上記プロセスの追加の操作パラメーターは、本明細書中、そのそれぞれが参照として含まれる、米国特許第6,253,431号;同第6,543,106号;同第7,059,027号;及び2003年9月26日出願の米国特許出願第10/672,036号;同第10/672,109号;同第10/672,519号;同第10/672,673号:同第10/672,674号の関連する部分から得ることができる。
【0045】
本発明は、上記の不織布のみならず、創傷治癒製品以外の用途も含む。
【実施例】
【0046】
上記の発明は、以下の非限定的な実施例に関して詳細に説明することができる。
【0047】
図4及び5では、本発明の不織布の保形性について説明する。x軸は全不織布当たりの可塑剤の重量%を示し、y軸は元の寸法の%を示す。Wは試験した材料の幅であり、Lはその長さを表す。サンプルはいずれも、米国特許第6,253,431号に開示された110mmエアジェット、坪量80g/m2、ライン速度50m/分、及び嵩高化比1.5(嵩高化比とは、第一のロール対32をわたるトウの線速度に対する第二のロール対(図3におけるロール対34)をわたるトウの線速度を指し、比として表す)を使用する上記プロセスに従って製造した。図4に示したサンプルは、酢酸セルロース(2.5dpf、30,000全デニール)で製造し、トリアセチンは可塑剤として使用した。図5に示したサンプルは、酢酸セルロース(7.3dpf、33,000全デニール)で製造し、トリアセチンを可塑剤として使用した。試験は、脱イオン水中に10cm×41cmサンプルを20分間置き、湿潤サンプルを垂直に2分間吊るして、液を滴り落とすことによって実施し、次いでサンプルを風乾し、得られた寸法を記録した。保形性の値は、以下の式:
保形性(%)=[(元−湿潤後/元)]x100
に従って計算した。
【0048】
本発明は本発明の趣旨及び特質から逸脱することなく他の形態で実施し得るが、上記詳細事項ではなく、本発明の範囲に示された付記請求の範囲を参照すべきである。



【特許請求の範囲】
【請求項1】
トウからの嵩高化フィラメントから製造され、且つ三次元構造に固定されている不織布を含む創傷治癒製品。
【請求項2】
前記不織布が50〜300g/m2の範囲の秤量を有する、請求項1に記載の創傷治癒製品。
【請求項3】
前記不織布が2mm〜5cmの厚さを有する、請求項1に記載の創傷治癒製品。
【請求項4】
前記フィラメントが熱可塑性材料である、請求項1に記載の創傷治癒製品。
【請求項5】
前記熱可塑性材料が、アクリル酸系誘導体、セルロース系誘導体、ポリアミド、ポリオレフィン、ポリエステル、そのコポリマー、又はそれらの混合物である、請求項4に記載の創傷治癒製品。
【請求項6】
前記熱可塑性材料が酢酸セルロースである、請求項5に記載の創傷治癒製品。
【請求項7】
前記フィラメントが二つ以上の異なるフィラメントを含む、請求項1に記載の創傷治癒製品。
【請求項8】
さらにバインダーを含む、請求項1に記載の創傷治癒製品。
【請求項9】
前記バインダーが前記布帛の4〜20重量%を構成する、請求項8に記載の創傷治癒製品。
【請求項10】
前記バインダーが、グリセロール誘導体、シクロヘキサノン、ベンジルアルコール及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項8に記載の創傷治癒製品。
【請求項11】
グリセロール誘導体が、グリセロールトリアセテート(トリアセチン)、トリエチルグリセロールジアセテート、及びグリコールモノエチルエーテルアセテートを含む、請求項10に記載の創傷治癒製品。
【請求項12】
さらにポイントボンドを含む、請求項1に記載の創傷治癒製品。
【請求項13】
前記ポイントボンドは、熱ボンド、超音波ボンド、圧力ボンド、及びこれらの組み合わせの群から選択される、請求項12に記載の創傷治癒製品。
【請求項14】
前記布帛は、その中に高吸収性粒子を含まない、請求項1に記載の創傷治癒製品。
【請求項15】
創傷治癒製品の製造法であって、
フィラメントトウを嵩高化させて不織布とし、そして
前記フィラメントを三次元構造に固定する、
の各工程を含む、前記方法。
【請求項16】
前記不織布が50〜300g/m2の範囲の秤量を有する、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記嵩高化工程がさらに、エアジェットでトウを広げることを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記フィラメントの固定がさらに、不織布にバインダーを適用することを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
前記フィラメントの固定がさらに、不織布のフィラメントを外部エネルギー供給源を用いて結合することを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項20】
トウから嵩高化させたフィラメントから製造され、三次元構造に固定された不織布を含む製品。
【請求項21】
前記不織布が50〜300g/m2の範囲の秤量を有する、請求項20に記載の製品。
【請求項22】
前記不織布が2mm〜5cmの厚さを有する、請求項1に記載の製品。
【請求項23】
前記フィラメントが熱可塑性材料である、請求項1に記載の製品。
【請求項24】
前記熱可塑性材料が、アクリル酸系誘導体、セルロース系誘導体、ポリアミド、ポリオレフィン、ポリエステル、そのコポリマー、又はこれらの混合物である、請求項23に記載の製品。
【請求項25】
前記熱可塑性材料が酢酸セルロースである、請求項24に記載の製品。
【請求項26】
前記フィラメントが二種以上の異なるフィラメントを含む、請求項20に記載の製品。
【請求項27】
さらにバインダーを含む、請求項20に記載の製品。
【請求項28】
前記バインダーが前記布帛の4〜20重量%を構成する、請求項27に記載の製品。
【請求項29】
前記バインダーが、グリセロール誘導体、シクロヘキサノン、ベンジルアルコール及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項27に記載の製品。
【請求項30】
グリセロール誘導体が、グリセロールトリアセテート(トリアセチン)、トリエチルグリセロールジアセテート、及びグリコールモノエチルエーテルアセテートを含む、請求項29に記載の製品。
【請求項31】
さらにポイントボンドを含む、請求項20に記載の製品。
【請求項32】
前記ポイントボンドが熱的ボンド、超音波ボンド、圧力ボンド及びこれらの組み合わせの群から選択される、請求項31に記載の製品。
【請求項33】
前記布帛はその中に高吸収性粒子を含まない、請求項20に記載の製品。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2010−508961(P2010−508961A)
【公表日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−536215(P2009−536215)
【出願日】平成18年12月8日(2006.12.8)
【国際出願番号】PCT/US2006/061770
【国際公開番号】WO2008/060306
【国際公開日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【出願人】(506099834)セラニーズ アセテート,エルエルシー (21)
【Fターム(参考)】