説明

嵩高性電線介在物

【課題】見掛体積が大きく、経済的に有利であって、可撓性,低吸湿性,低熱収縮性及びある程度の強度を有するとともに、類焼抑制効果及び難燃効果を有する電線介在物を提供する。
【解決手段】ポリオレフィン系樹脂と無機フィラーの合計量に基づき、ポリオレフィン系樹脂、好ましくはその40〜90重量%と無機フィラー、好ましくはその60〜10重量%とを含有するフィルムを一軸延伸処理して得られ、無機フィラーを核として形成されたボイドにより、延伸処理後のフィルムの1g当りの見掛体積が2.0cm3以上であることを特徴とする嵩高性電線介在物である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は嵩高性電線介在物に関し、さらに詳しくは、電力ケーブルなどにおける外部被覆と内部芯線との間のクッション材として芯線の空間部に介在させるために使用されるものであって、見掛体積が大きく、経済的に有利で、ケーブル火災の際の類焼抑制効果及び難燃効果などを有する嵩高性電線介在物に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、複数本の被覆された導体を撚り合わせてなる被覆電線は、その周囲を保護材で被覆して円柱状に仕上げられるが、この際、円柱状に均質に仕上げるため、被覆電線と円筒状外装材(シース材)との空間に、クッション材として介在物が充填される。このような電線介在物に対する要求性能としては、例えば(1)見掛体積が大きく、経済的に安価であること、(2)均質に充填されるため、被覆電線の間隙に馴みよく入り、可撓性を有すること、(3)外装材を施す際の加熱加工時における熱収縮が小さく10%以下であること、(4)介在物としてチーズから繰り出す際に切断しない程度の強度を有すること、(5)吸湿性が小さいこと、(6)ケーブル火災の際に類焼しにくく、かつ難燃性を有すること、などが挙げられる。
【0003】
この電線介在物としては、従来、紙が使用されていたが、紙は強度が低く、かつ水濡れに弱く吸湿性を有する上、燃えやすいなどの欠点を有することから、その後、ジュートなどの繊維が用いられるようになった。しかしながら、このジュートなどの繊維は、前記の紙に比較してかなり高い強度を有するものの、吸湿性を有し、かつ易燃性であるなどの欠点があった。したがって現在は、主としてポリプロピレンなどの熱可塑性樹脂のフィルムを延伸処理し、解繊加工してなるスプリットヤーンが用いられている。このポリプロピレンからなるスプリットヤーンは、吸湿性が低く、熱収縮率が小さく、かつ強度が高いという特徴を有しているが、見掛体積については延伸処理が施されているので、かなり大きいものの、まだ十分ではなく、また類焼性,難燃性,低熱収縮性などについても必ずしも十分に満足しうるものではない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、このような状況下で、従来の電線介在物がもつ欠点を克服し、見掛体積が大きく、経済的に有利であって、可撓性,低吸湿性,低熱収縮性及びある程度の強度を有する上、類焼抑制効果及び難燃効果を発揮する嵩高性電線介在物を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、前記の好ましい性質を有する電線介在物を開発すべく鋭意研究を重ねた結果、ポリオレフィン系樹脂と無機フィラーとを所定の割合で含有するフィルムを一軸延伸処理し、得られた延伸処理後のフィルムが特定の見掛体積を有するものが、特に好ましくはさらに解繊加工して得られたスプリットヤーンが、その目的に適合しうること見出し、かかる知見に基づいて本発明を完成した。すなわち、本発明は、ポリオレフィン系樹脂及び無機フィラーの特定量を含有するフィルムを一軸延伸処理してなり、該無機フィラーを核として多数形成されたボイドにより、延伸処理後のフィルムの1g当りの見掛体積が2.0cm3以上である嵩高性電線介在物である。そのうち、好ましくは、ポリオレフィン系樹脂及び無機フィラーの合計量に基づき、ポリオレフィン系樹脂の含有量が40〜90質量%であり、上記無機フィラーの含有量が60〜10重量%であるフィルムを一軸延伸することにより得られ、該無機フィラーを核として多数形成されたボイドにより、延伸処理後のフィルムの1g当りの見掛体積を2.0cm3以上とした嵩高性電線介在物であり、特に好ましくは、延伸処理後、解繊加工して得られたスプリットヤーンからなる電線介在物である。
【発明の効果】
【0006】
本発明の嵩高性電線介在物は、電線介在物としての必要な強度を十分に満足するとともに、従来のポリプロピレン製電線介在物に比べて、無機フィラーを意図的、積極的に用いることにより、該無機フィラーを核として多数のボイドが形成される結果、得られる延伸フィルムの1gあたりの見掛け体積を大きくすることができ、電線介在物として経済的に有利である上、伸び及び熱収縮率が小さく、かつケーブル火災の際の類焼抑制効果及び難燃効果も有している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の嵩高性電線介在物においては、材料として、ポリオレフィン系樹脂、特にポリプロピレン系樹脂及びポリエチレン系樹脂の中から選ばれる少なくとも一種のポリオレフィン系樹脂と無機フィラー、特に炭酸カルシウム,タルク及びクレーの粉末の中から選ばれる少なくとも一種の無機フィラーが用いられる。ポリプロピレン系樹脂としては特に制限はなく、従来ポリプロピレンスプリットヤーンからなる電線介在物において慣用されているものの中から、任意のものを選択して用いることができる。このようなポリプロピレン系樹脂としては、例えば結晶性を有するアイソタクチックプロピレン単独重合体,エチレン単位含有量の少ないプロピレン−エチレンランダム共重合体,プロピレン単独重合体からなるホモ部とエチレン単位含有量の比較的多いエチレン−プロピレン共重合体からなる共重合部とから構成されたプロピレン−エチレンブロック共重合体、さらには前記プロピレン−エチレンブロック共重合体におけるホモ部及び/又は共重合部が、さらにブテン−1などのα−オレフィンを共重合したものからなる結晶性のプロピレン−エチレン−α−オレフィン共重合体などを挙げることができる。本発明においては、このポリプロピレン系樹脂としては、特に限定しないが、通常メルトフローレート(MFR)1〜10g/10分の範囲のものが用いられる。また、該ポリプロピレン系樹脂は一種用いてもよく、二種以上を組合せて用いてもよい。
【0008】
ポリエチレン系樹脂としては、特に限定されるものではなく、例えば高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、エチレン含有量の多いエチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体などを挙げることができる。
【0009】
一方、上記ポリオレフィン系樹脂とともに用いられる無機フィラーとしては、炭酸カルシウム,タルクまたはクレー粉末等の無機フィラーが好ましく用いられる。炭酸カルシウムとしては、沈降性炭酸カルシウム,重質炭酸カルシウム,軽質炭酸カルシウムなどが挙げられる。本発明においては、この炭酸カルシウム,タルクまたはクレーの粉末等の無機フィラーの平均粒子径は特に限定されないが、平均粒子径が0.5〜20μmのものが好ましく用いられる。特に、好ましくは1〜5μmの炭酸カルシウム粉末が用いられる。本発明においては、前記ポリオレフィン系樹脂及び無機フィラー粉末を、それらの合計量に基づき、それぞれ40〜90質量%と60〜10質量%の割合で配合することが望ましい。両者の配合割合が上記範囲内であれば、得られる電線介在物は、ボイド形成が十分となり見掛体積が大きくなり、経済的に有利であるとともに、低吸湿性,低熱収縮性に優れ、伸びが小さく、かつ適度の強度及び可撓性を有する上、類焼抑制効果及び難燃効果が発揮される。無機フィラーの配合量が10質量%未満では、コスト低下の効果が不十分で経済的に不利な場合があり、また、低熱収縮性,類焼抑制効果及び難燃効果が十分に発揮されず、本発明の目的が達せられない場合がある。一方、無機フィラーの配合量が60質量%を超えると延伸性が悪くなるとともに、得られる電線介在物の強度や可撓性が低下し、本発明の目的が達せられないことがある。単に、ポリオレフィン系樹脂に炭酸カルシウム等の無機フィラーを配合するだけでは、該無機フィラーは安価であるものの、配合比率が増加するほど得られるフィルムの比重が物理的に増加し、嵩高性が悪化して不利になる。
しかるに、本発明にあっては、無機フィラーを前記割合で配合し、延伸処理することにより、該無機フィラーを核にして多数のボイドが形成され、その結果、見掛体積が増大し、コスト的に有利な電線介在物になるのである。また、本発明においては、前記のポリオレフィン系樹脂及び無機フィラーを含有するフィルムを一軸延伸処理するが、該フィルムには、本発明の目的が損なわれない範囲で、所望により各種添加成分、例えば酸化防止剤,熱安定剤,紫外線吸収剤,光安定剤,難燃剤,滑剤やポリオレフィン系樹脂以外の熱可塑性樹脂等を含有させてもよい。
該熱可塑性樹脂としては、ポリアミド樹脂、熱可塑性ポリエステル樹脂(PET、PBT)、ポリスチレン等が挙げられ、また、ゴム状重合体、例えば、天然ゴム、ブタジエンゴム、スチレンーブタジエンゴム、エチレンープロピレンゴム、エチレンープロピレンー非共役ジエンゴム等を含有させてもよい。該他の熱可塑性樹脂やゴム状重合体の含有量はポリオレフィン系樹脂と無機フィラーとの合計量に対して、それぞれ5〜20質量%程度である。
【0010】
次に、本発明の嵩高性電線介在物の製造方法について説明する。まず、ポリプロピレン系樹脂,ポリエチレン系樹脂等のポリオレフィン系樹脂と炭酸カルシウム,タルクまたはクレー粉末等の無機フィラー及び所望に応じて用いられる上記の各種添加成分を含有してなる樹脂組成物を、V型ブレンダー,リボンブレンダー,ヘンシェルミキサー(商品名)などの混合機により混合する方法、押出機,ミキシングロール,バンバリーミキサー,ニーダなどの混練機により混練する方法、又は混合機と混練機を組み合わせて混合・混練する方法によって調製する。次に、このようにして得られた樹脂組成物を、例えば(1)押出機で溶融して環状ダイより押出し、内部に空気を吹き込みフィルムを成形するインフレーション法、(2)Tダイより押出してフィルム成形するTダイ法、(3)カレンダーロールを用いてフィルムを成形するカレンダー成形法などにより、成膜してフィルムを作製する。これらの方法の中で、インフレーション法及びTダイ法が、通常好ましく用いられる。
【0011】
本発明においては、このようにして得られたフィルムを一軸延伸処理するが、この際、スリットしたのち延伸処理してもよく、延伸処理したのちスリットしてもよいが、スリットしたのち、延伸処理した方が均一なテープ状フィルムが得られやすい。一軸延伸処理方法としては、公知の方法、例えば水槽延伸方式による湿式延伸法,輻射加熱式,熱風加熱式,熱板加熱式,ロール(ドラム)加熱式などの乾式延伸法の中から、任意の方法を選択して用いることができる。延伸倍率は5倍以上が好ましく、5〜9倍の範囲がより好ましく、7〜8.5倍が特に好ましい。延伸倍率が5倍未満ではボイドの発生が効果的でなく、見掛体積があまり増加せず、本発明の目的が十分に達せられない恐れがある。また、延伸処理前のフィルムの単位面積当たりの質量(坪量)は100〜500g/m2の範囲が好ましい。この坪量が100g/m2未満では延伸処理後の厚さが薄すぎて十分な強度が得られないおそれがあり、また500g/m2を超えると延伸処理後に可撓性が低下する傾向がみられる。
【0012】
本発明の嵩高性電線介在物は、このようにして得られた一軸延伸テープ状フィルムから成るものであるが、さらにこれを解繊加工して得られたスプリットヤーンが好適である。
本発明の嵩高性電線介在物は、無機フィラーを前記割合で配合し、延伸処理することにより、該無機フィラーを核にして多数のボイドが形成され、延伸処理後のフィルムの1g当りの見掛体積を2.0cm3以上にしたことを特徴とする。
延伸処理後のフィルムの1g当りの見掛体積の測定方法は、所定の条件でヤーンを製造し、得られたヤーン4.5kgを巻き取り機の同一場所(錘)、同一条件でチーズ巻に巻き取り、巻き取られた延伸ヤーンの直径及び高さを測定し、巻芯部分の体積を差し引いて求めた体積をヤーンの質量で割ることにより求めるものである。この見掛体積が2.0cm3未満では、ケーブルに挿入する際の使用量が増大するため、コストが上昇し、本発明の目的が達せられない。
【0013】
また、本発明の嵩高性電線介在物は、130℃で測定した熱収縮率が3〜10%であることが好ましく、3〜7%であることがさらに好ましい。熱収縮率が上記の範囲内であると電線介在物に必要な収縮率を十分に満足する。なお、光ファイバーケーブルでは、熱収縮率は一層小さいことが要求されている。使用に当たっては、そのヤーンの径に応じて、複数本のヤーンを集束して所望の太さの紐状物にして用いるのがよい。また、紐状物に集束する際に、軽く撚りを掛けるのが有利である。さらに、この集束物の表面を融着することによって、全体を容易に円柱状に仕上げることができ、切断面のほぐれのない、表面が滑らかな紐状物が得られ、特に被覆電線間に納りやすく、作業性及び仕上げ性に優れたものとなる。このようにして得られた嵩高性電線介在物は、該介在物としての必要な強度を十分に満足するとともに、従来のポリプロピレンのみからなる電線介在物に比べて、伸び及び熱収縮率が小さく、かつ見掛体積が大きいため、経済的に有利である上に、燃焼カロリーも低く、ケーブル火災の際の類焼抑制効果を有し、しかもドリップ性が少ないため、難燃効果も有している。
【実施例】
【0014】
次に、本発明を実施例によりさらに詳しく説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定されるものではない。なお、実施例及び比較例における電線介在物の性能は、下記の要領に従って評価した。
(1)延伸処理後のフィルムの1g当りの見掛体積の測定は前述した方法により測定した。
(2)強度(引張強さ)及び伸度(伸び率)
JIS L 1013 7.5に準拠して、次のように測定した。試料を緩く張った状態で、定速緊張型引張試験機のつかみ(つかみ間隔300±2mm)に取り付け、引張速度300±2mm/分にて引張試験を行った。初荷重をかけたときの伸びを緩み(mm)として読み、更に試料を引っ張り、試料が切断したときの荷重(N)・(gf)及び伸び(mm)を測定し、下式によって引張強さ(N/tex)・(gf/D)及び伸び率(%)を算出した。試験回数は1回(N−5)とし、引張強さ及び伸び率は、小数点以下1桁まで、それぞれ平均値を求めた。
引張強さ(N/tex)・(gf/D)=SD/d
伸び率(%)=(E2−E1)/(L+E1)×100
SD:切断時の強さ(N)・(gf)
d:試料の正量繊度(tex)・(D)
d(デニール)をdtexに換算
E1:緩み(mm)
E2:最高荷重時の伸び(mm)
L:つかみ間隔なお、試料に初荷重をかけた状態で、つかみに取り付け、試験を行った場合の緩みは0mmである。
(3)熱収縮率
JIS L 1013 7.15に準拠し:130℃、30分間の条件で3回実施し、その平均値を求めた。
(4)燃焼カロリー
JIS M−8814「石炭類及びコークス類発熱量測定方法」に準拠し、燃焼カロリーを測定して類焼抑制効果を評価した。
(5)ドリップ性
繊度11110dtexの各試料それぞれを3本撚りにして、それぞれにライターで5秒間着火し、炎を放して5秒間の滴落を観察した。滴落のないものを○とし、5粒以上の滴落のあるものを×とした。
【0015】
実施例1〜10、比較例1
ポリプロピレン((株)プライムポリマー製,商品名:プライムポリプロ F300SP)及び炭酸カルシウム粉末((株)カルファイン製の重質炭酸カルシウム ASK−5)、タルク(日本タルク(株)製、ローズタルク)又はクレーを表1に記載の割合で配合した樹脂組成物をインフレーション法により成膜してフィルムを得たのち、熱板加熱式により、135℃,延伸倍率8倍の条件にて一軸延伸処理して、表1に記載の繊度の延伸ヤーン4.5kgを巻き幅(高さ)25cm、紙管体積225cm3の紙管に、巻取機の同一場所(錘)、同一巻き取り条件でチーズ巻に巻き取り、巻き取った延伸ヤーンの直径を測定し、半径を求め、円周率及び高さ(巻き幅)を乗じて体積を求め、該体積から紙管の体積を差し引いて延伸ヤーン本体の体積を求め、質量で割って延伸ヤーンの1g当りの体積を求めた。また、この延伸ヤーンの各種性能を測定した。その結果を表1に示す。
【0016】
【表1】

注1)1dtex当りの強度(g/dtex)
【0017】
実施例11〜18
ポリプロピレン((株)プライムポリマー製,商品名:プライムポリプロ F300SP)50質量%及び炭酸カルシウム粉末((株)カルファイン製の重質炭酸カルシウム ASK−5)50質量%を配合した樹脂組成物をインフレーション法により成膜してフィルムを得たのち、熱板加熱式により、135℃,表2に記載の延伸倍率で一軸延伸処理して、表2に記載の繊度の延伸ヤーン4.5kgを巻幅(高さ)25cm、紙管体積225cm3の紙管に巻取機の同一場所(錘)、同一巻き取り条件でチーズ巻に巻き取り、巻き取った延伸ヤーンの直径を測定し、半径を求め、円周率及び高さ(巻幅)を乗じて体積を求め、該体積から紙管の体積を差し引いて延伸ヤーン本体の体積を求め、質量で割って延伸ヤーン1g当りの体積を求めた。また、この延伸ヤーンの各種性能を測定した。その結果を表2に示す。
【0018】
【表2】

【0019】
表1から分かるように、比較例1の強度が3.7g/dtexであるのに対し、実施例の強度は0.8〜3.1g/dtexで低いが、電線介在物として使用する場合、この強度で十分である。また、比較例1の伸度が14.7%であるのに対し、実施例の伸度は7.3〜14.2%であって小さく、電線介在物として望ましい。さらに、実施例の熱収縮率は3.2〜6.5%であって、10%以下であり、電線介在物として望ましい。一方、比較例1の1g当りの体積が1.9cm3であるのに対し、実施例のそれはいずれも2.0cm3以上と大きく(つまり見掛体積が大きく)、したがってケーブルへの挿入重量が少なくなるので、コスト面で有利である。さらに、燃焼カロリーについては、実施例のものは、比較例1のものに比べて小さく、ケーブル火災の際の類焼抑制効果を有している。ドリップ性についても、実施例のものは、比較例1に比べて少ないので、難燃効果を有していることが分かる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリオレフィン系樹脂及び無機フィラーを含有するフィルムを一軸延伸処理して得られ、無機フィラーを核として形成されたボイドにより、延伸処理後のフィルムの1g当りの見掛体積が2.0cm3以上であることを特徴とする嵩高性電線介在物。
【請求項2】
ポリオレフィン系樹脂及び無機フィラーの合計量に基づき、ポリオレフィン系樹脂の含有量が40〜90質量%であり、無機フィラーの含有量が60〜10質量%である請求項1に記載の嵩高性電線介在物。
【請求項3】
ポリオレフィン系樹脂がポリプロピレン系樹脂及びポリエチレン系樹脂の中から選ばれる少なくとも一種の樹脂であり、無機フィラーが炭酸カルシウム、タルク及びクレー粉末の中から選ばれる少なくとも一種の無機フィラーである請求項1又は2に記載の嵩高性電線介在物。
【請求項4】
無機フィラーの平均粒子径が0.5〜20μmである請求項1〜3のいずれかに記載の嵩高性電線介在物。
【請求項5】
延伸処理前のフィルムの単位面積当たりの質量が100〜500g/m2である請求項1〜4のいずれかに記載の嵩高性電線介在物。
【請求項6】
延伸倍率5倍以上で延伸処理してなる請求項1〜5のいずれかに記載の嵩高性電線介在物。
【請求項7】
延伸処理後、解繊加工して得られたスプリットヤーンからなる請求項1〜6のいずれかに記載の嵩高性電線介在物。
【請求項8】
130℃で測定した熱収縮率が、3〜10%である請求項1〜7のいずれかに記載の嵩高性電線介在物。

【公開番号】特開2010−108831(P2010−108831A)
【公開日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−281228(P2008−281228)
【出願日】平成20年10月31日(2008.10.31)
【出願人】(597027785)株式会社大沢化学工業所 (1)
【Fターム(参考)】