説明

工事現場撮影用看板

【課題】工事状況の情報位置が現場写真の一箇所に制約されることなく、いずれの位置でも迅速、容易に対応できるようにすると共に撮影現場の照明が同時に得られるようにする。
【解決手段】内部に電源となる乾電池3が出し入れ自在に収納された上下に長い収納部本体5と、前記収納部本体5の上部に設けられ前方を照らす光源部7を有するヘッド部9と、前記ヘッド部9の後側に装着支持されたボード11と、前記ボード11に取付けられ各種工事仕様情報が記載された現場撮影記録表13とで構成し、一方の手に持ったカメラのファインダーを覗きながら、もう片方の手に持った現場撮影記録表13が邪魔にならない最適な位置に収まるよう位置決めするように使用する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は工事現場において各種工事状況を撮影記録する際に使用する工事現場撮影用看板に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に工事現場において各種工事状況を撮影記録する際に看板が使用される。
【0003】
具体的には、各種工事状況を記載した黒板を工事現場にセットし、黒板と工事現場とを一緒に撮影することで工事状況を記録する手段が採用されている。
【0004】
しかしながら、工事現場にあっては黒板の設置ができない所があったり、黒板の設置場所の制約等の条件によって遠く離れた位置によって黒板の字が読みずらくなる等の問題があった。このような問題を解消する一手段として、例えば、工事現場用状況撮影カメラホルダーが提案されている(特許文献1参照)。
【0005】
工事現場用状況撮影カメラホルダーは、市販のカメラに取付けて使用することが可能となっている。
【0006】
工事現場用状況撮影カメラホルダーの概要は、市販のカメラに取付けるためのL型カメラ取付け金具と各種仕様情報が記載された紙片がセット保持される名板ホルダースライド金具と前記L型カメラ取付け金具及び名板ホルダースライド金具とをつなぐ伸縮可能なスライドアームとで構成されている。スライドアームは先端が重くなることと長くなるスパンとによって手持ちハンドルを持つことで下からの支持が可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2005−78063号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
工事現場用状況撮影カメラホルダーは、カメラに取付けて使用するところから片手でカメラを持ち、もう片方の手で手持ちハンドルを持って撮影するようになるが、この時、撮影用現場の現場写真は邪魔にならない写真下隅に工事状況の情報が写るよう位置調整を行なう必要がある。特に、現場写真は1現場30項目以上にわたるため撮影回数も多く、位置調整作業が頻繁になると作業性の面で望ましくない。
【0009】
また、カメラに取付けて使用する固定タイプとなるため、工事状況の情報は、例えば、画面に影響のない写真の下左隅に特定されてしまう問題をかかえる。このために、写真の下左隅が重要な要素の場所では使用できなくなる等の問題をかかえる。
【0010】
そこで、本発明にあっては工事状況の情報位置が現場写真の一箇所に特定されることなく、いずれの位置でも、迅速、容易に対応ができるようにすると共に、撮影現場の照明が同時に得られるようにした工事現場撮影用看板を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記目的を達成するために、本発明にあっては、内部に電源となる乾電池が出し入れ自在に収納された上下に長い収納部本体と、
前記収納部本体の上部に設けられ前方を照らす光源部を有するヘッド部と、
前記ヘッド部の後側に装着支持されたボードと、
前記ボードに取付けられ各種工事仕様情報が記載された現場撮影記録表とを備えていることを特徴とする。
【0012】
本発明を実施するにあたって、第1に前記ヘッド部を、ボードを背にして前方及び後方を照らす左右対称の配置構造とすることで、予備の照明光源を確保し、前,後いずれでも使用できるようにすることが望ましい。
【0013】
第2に前記ボードを、表面となる第1のボード面と裏面となる第2のボード面とすることで、現場撮影記録表を表だけでなく、裏にもセットしてボードの裏,表で使用できるようにすることが望ましい。
【0014】
第3に前記ボードを、ヘッド部に対して着脱自在に支持することで、ボードを取外した時に持ち運びに便利に使用できるようにすることが望ましい。
【0015】
第4に前記ヘッド部を、前方を照らす光源部の外に前記現場撮影記録表を照らす記録表光源部を有するようにすることで、薄暗い夕ぐれにかかってもファインダーから現場撮影記録表が確実に見えるようにすることが望ましい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、例えば、カメラを片手で持ち、もう片方の手で工事現場撮影用看板の収納本体を持つことで工事現場の記録写真を撮ることができる。
【0017】
この記録写真の撮影時、ファインダーを覗きながら片手で持った工事現場撮影用看板が撮影場所の例えば、下左隅、あるいは、下右隅に位置するよう移動しシャッタを押すことで、現場撮影記録表を撮影写真の邪魔にならない、例えば、下左隅の位置に写すことができる。
【0018】
この場合、調整操作等の作業が不用となるため、迅速、容易に撮影を行なうことができる。
【0019】
一方、周辺が薄暗くなってきた時にはヘッド部の光源部によって前方を照らすことで、対象物を視認確認しフラッシュと合わせて明確な記録写真を撮ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明にかかる工事現場撮影用看板の概要側面図。
【図2】使用状態を示した概要正面図。
【図3】ボードをヘッド部から取外した状態の説明図。
【図4】ボードと現場撮影記録表との取付け状態の関係を示した一部分の概要斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図1乃至図4の図面を参照しながら本発明の実施形態について具体的に説明する。
【0022】
図1は工事現場撮影用看板の概要側面図を示している。工事現場用看板1は、内部に電源となる乾電池3が出し入れ自在に収納された上下に長い収納部本体5と、前記収納部本体5の上部に設けられ前方を照らす光源部7を有するヘッド部9と、前記ヘッド部9の後側に装着支持されたボード11と、前記ボード11に取付けられ各種工事仕様情報が記載された現場撮影記録表13とを備えている。
【0023】
収納部本体5は、片手で握れる筒状に形成された内部には電源となる単一の乾電池3が2本収納されている。乾電池3は収納部本体5の底部に設けられたねじ式のキャップ15を取り外すことで新しい乾電池との交換が可能となっている。
【0024】
ヘッド部9は、中央のボード11を背にして左右対称に配置された第1のヘッド部9aと第2のヘッド部9bからなり、前方(図1,左側)、後方(図1,右側)いずれの向きでも使用可能となっている。
【0025】
第1、第2のヘッド部9a,9bの頂上部には後述する現場撮影記録表13を照らす記録表光源部17が、内部には前方を照らす光源部7となる電球がそれぞれ設けられている。前方を照らす光源部7となる電球はコーン状の反射面19によって遠くまで光が届くようになっている。
【0026】
記録表光源部17と前方を照らす光源部7は前記収納部本体5に設けられたスイッチ21を操作することでオン、オフが可能となっている。
【0027】
スイッチ21は、この実施形態では、図2に示す如く例えば、スイッチ釦23を中央のオフ位置から上方(矢印実線)へスライドさせることで第1のヘッド部9aの光源部7と第2のヘッド部9bの頂上部に位置する記録表光源部17が同時にオンとなる。
【0028】
次に、上方から中央のオフ位置へ戻り、さらに、下方(矢印点線)へスライドさせることで第2のヘッド部9bの光源部7と第1のヘッド部9aの頂上部に位置する記録表光源部17がオンとなるスライドスイッチ構造となっている。
【0029】
ボード11は、矩形の板状に形成され図3に示すように第1のヘッド部9aと第2のヘッド部9bとによって形成されたセット溝25に対して上方から強制的に差し込むことで挿入セットが可能となっている。この場合、持ち運ぶ時にコンパクトになるよう上方へ向かって強く引張れば必要に応じて取り外すことが可能となる。
【0030】
ボード11の表面は第1のボード面11a、裏面は第2のボード面11bとなっていて裏側,表側での使用が可能となっている。
【0031】
現場撮影記録表13は、例えば図2に示す如く各種工事仕様情報が印刷されたもので、雨に濡れても大丈夫なようにラミネート加工によって表面処理されている。
【0032】
現場撮影記録表13は、1現場30項目以上にわたるところから、予め項目手順に基づいて裏,表に印刷しておき、それらをリング27によって一枚ずつめくれるようにとじ合わせた構造となっている。
【0033】
リング27は図4に示す如くボード11の上部に例えばナット等の固定具29を用いて固定支持する挿入ピン31が挿入されることで支持され、図1仮想線で示すように一枚ずつめくることが可能となる。
【0034】
このように構成された工事現場撮影用看板1によれば、片手にカメラを持ち、もう片方の手で前記工事現場撮影用看板1の収納部本体5を持って使用する。この時、カメラのファインダーを覗きながら現場写真の邪魔にならない、例えば下左隅あるいは下右隅に工事現場撮影用看板1を移動し、位置決めした後、シャッタを押すことで工事状況の情報が写った記録写真を撮ることができる。
【0035】
この場合、記録写真は撮影項目順に沿って写していくようになるが、1項目の撮影が終わると図1に示す如く現場撮影記録表13をめくって裏がえした後、今後は第2のヘッド部9bが前方を向くような収納本体5を180度回動し裏がえした現場撮影記録表13がファインダー内に入るよう位置決めすることで、各項目順に沿って、迅速、容易に記録撮影が行える。
【0036】
一方、周辺が暗くなった時には、ヘッド部9の光源部7及び頂上部の記録表光源部17によって撮影現場及び撮影現場記録表13を照らした状態で撮影が行なえるようになる。
【符号の説明】
【0037】
1…工事現場撮影用看板
3…乾電池
5…収納部本体
7…光源部
9…ヘッド部
9a…第1のヘッド部
9b…第2のヘッド部
11…ボード
11a…第1のボード面
11b…第2のボード面
13…現場撮影記録表
17…記録表光源部
21…スイッチ
23…スイッチ釦

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に電源となる乾電池が出し入れ自在に収納された上下に長い収納部本体と、
前記収納部本体の上部に設けられ前方を照らす光源部を有するヘッド部と、
前記ヘッド部の後側に装着支持されたボードと、
前記ボードに取付けられ各種工事仕様情報が記載された現場撮影記録表とを備えていることを特徴とする工事現場撮影用看板。
【請求項2】
前記ヘッド部は、ボードを背にして前方及び後方を照らす左右対称の配置構造となっていることを特徴とする請求項1記載の工事現場撮影用看板。
【請求項3】
前記ボードは、表面となる第1のボード面と裏面となる第2のボード面とからなることを特徴とする請求項1又は2のいずれかに記載の工事現場撮影用看板。
【請求項4】
前記ボードは、ヘッド部に対して着脱自在に支持されていることを特徴とする請求項1、2、3のいずれかに記載の工事現場撮影用看板。
【請求項5】
前記ヘッド部は、前方を照らす光源部の外に、前記現場撮影記録表を照らす記録表光源部を有していることを特徴とする請求項1又は2のいずれかに記載の工事現場撮影用看板。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−191052(P2010−191052A)
【公開日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−33745(P2009−33745)
【出願日】平成21年2月17日(2009.2.17)
【出願人】(000183428)住友林業株式会社 (540)
【出願人】(310008701)住友林業アーキテクノ株式会社 (6)
【Fターム(参考)】