説明

工作機械の工具取付装置

【課題】簡易でコンパクトな構成により、工具主軸を回転可能な状態とガタ無く確実に固定された状態とに切り替えて設定できると共に、可動カップリングの押付力による工具主軸へのスラスト負荷を抑制できる工作機械の工具取付装置を提供する。
【解決手段】工具取付装置11は、工具主軸13と連動して回転可能な回転カップリング32と、回転カップリング32と工具主軸13とを連結すると共に、軸心L方向に可撓性を有するたわみ機構45と、を備えており、流体圧の供給によって可動カップリング31が工具主軸13の先端側から基端側の方向に移動して、回転カップリング32及び固定カップリング33に噛合することにより、工具主軸13をロックとし、可動カップリング31が回転カップリング32及び固定カップリング33から離脱することにより、工具主軸13をアンロックとする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工作機械の工具取付装置に関し、特に、工具が着脱可能に装着される工具主軸を当該工具主軸のまわりで回転可能な状態と固定された状態とに切り替えて設定可能な工作機械の工具取付装置に関する。
【背景技術】
【0002】
回転加工及び旋削加工の双方を行うことが可能な複合工作機械が知られている。この複合工作機械は、工具が着脱可能に装着される工具主軸を回転可能な状態と固定された状態とに切り替える切替機構を有している。
【0003】
このような切替機構として、工具主軸が内側に配置される工具主軸ホルダに設けられた固定カップリングと、工具主軸に設けられた回転カップリングと、これら固定カップリング及び回転カップリングに噛合可能な可動カップリングとを備えた複合工作機械が提案されている(例えば、特許文献1,2参照)。
【0004】
ここで、可動カップリングは、工具主軸ホルダ内に供給される流体圧を制御することによって、移動させられる。そして、可動カップリングが固定カップリング及び回転カップリングの双方に噛合することにより、工具主軸は固定された状態とされ、一方、可動カップリングが固定カップリング及び回転カップリングから離脱することにより、工具主軸は回転可能な状態とされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3167644号公報
【特許文献2】特許第3964642号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、前記特許文献1及び前記特許文献2に記載の工作機械では、工具主軸を固定する場合、可動カップリングが固定カップリング及び回転カップリングに向けて工具主軸の軸心方向に押し付けられて噛合される。この押付力は、確実な噛合のために必要であるが、一方で、工具主軸にスラスト負荷となって伝達されて、工具主軸を支持する軸受に負荷となり得る。
【0007】
これに対して、前記特許文献1に記載の工作機械は、工具主軸の固定時に、可動カップリングの後方への押付力に抗するように、流体圧により作動する押圧部材によって工具主軸の後端側端面を前方に押圧することにより、工具主軸へのスラスト負荷を抑制できるようになっている。
【0008】
しかしながら、前記特許文献1に記載の押圧部材によって工具主軸を押圧する機構は、工具主軸ホルダの後端側外部に配置されており、工作機械の工具取付装置自体が大型化してしまうと共に、工具主軸ホルダ内の可動カップリングに供給される流体圧に関する制御と押圧部材に供給される流体圧に関する制御とを同時に行う必要があり、複雑な流体圧制御が必要となる。更に、固定カップリング及び回転カップリングの歯部の可動カップリング側に向かう軸心方向の位置に差が存在すると、可動カップリングと固定カップリング及び回転カップリングのうちの可動カップリングから遠い方のカップリングとの噛合が不十分となって、工具主軸に円周方向のガタが生じてしまう。これを防止するためには、固定カップリング及び回転カップリングの歯部の軸心方向の位置を高精度に揃えなければならない。
【0009】
また、前記特許文献2に記載の工作機械は、工具主軸の固定時に、可動カップリングの前方への押付力に抗するように、流体圧により作動するバランス押圧部材によって可動カップリングを後方に押圧することにより、工具主軸へのスラスト負荷を抑制できるようになっている。
【0010】
しかしながら、前記特許文献2に記載のバランス押圧部材によって可動カップリングを押圧する機構は、工具主軸ホルダの内部に配置されてはいるものの、複雑な流体圧制御が依然として必要になると共に、バランス押圧部材に供給される流体の経路の形成等により工具主軸ホルダ内での占有スペースが大きくなる。更に、工具主軸の円周方向のガタを防止するために、固定カップリング及び回転カップリングの歯部の軸心方向の位置を、依然として高精度に揃えなければならない。
【0011】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、簡易でコンパクトな構成により、工具主軸を回転可能な状態とガタ無く確実に固定された状態とに切り替えて設定できると共に、可動カップリングの押付力による工具主軸へのスラスト負荷を抑制できる工作機械の工具取付装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記目的を解決するため、請求項1に係る発明は、工具が着脱可能に装着される工具主軸を当該工具主軸のまわりで回転可能な状態と固定された状態とに切り替えて設定可能な工作機械の工具取付装置であって、前記工具主軸が内側に配置される工具主軸ホルダ内の前記工具主軸の外周側に配置され、流体圧の供給によって前記工具主軸ホルダ内を前記工具主軸の軸心方向に移動可能な可動カップリングと、前記工具主軸と連動して回転可能な回転カップリングと、前記回転カップリングの外周側に配置され、前記工具主軸ホルダに固定された固定カップリングと、前記回転カップリングと前記工具主軸とを連結すると共に、前記軸心方向に可撓性を有するたわみ機構と、を備え、前記可動カップリング、前記回転カップリング、及び固定カップリングは、それぞれ複数の歯部を有しており、流体圧の供給によって前記可動カップリングが前記工具主軸の前記工具が装着される側である先端側から前記工具主軸の基端側の方向に移動して、前記回転カップリング及び前記固定カップリングに噛合することにより、前記工具主軸を前記固定された状態とし、前記可動カップリングが前記回転カップリング及び前記固定カップリングから離脱することにより、前記工具主軸を前記回転可能な状態とすることを特徴とする。
【0013】
この発明では、可動カップリングが、工具主軸の先端側から基端側の方向に移動して、工具主軸との間にたわみ機構が介在された回転カップリングと、固定カップリングとに噛合することにより、工具主軸が固定された状態とされる。また、可動カップリングから回転カップリングに対しては、たわみ機構による復元力(弾性力)のみが作用する。
したがって、この発明によれば、簡易でコンパクトな構成により、工具主軸を回転可能な状態とガタ無く確実に固定された状態とに切り替えて設定できると共に、可動カップリングの押付力による工具主軸へのスラスト負荷を抑制できる工作機械の工具取付装置を提供することができる。
【0014】
前記目的を解決するため、請求項2に係る発明は、工具が着脱可能に装着される工具主軸を当該工具主軸のまわりで回転可能な状態と固定された状態とに切り替えて設定可能な工作機械の工具取付装置であって、前記工具主軸が内側に配置される工具主軸ホルダ内の前記工具主軸の外周側に配置され、流体圧の供給によって前記工具主軸ホルダ内を前記工具主軸の軸心方向に移動可能な可動カップリングと、前記工具主軸と連動して回転可能な回転カップリングと、前記回転カップリングの外周側に配置され、前記工具主軸ホルダに固定された固定カップリングと、前記回転カップリングと前記工具主軸とを連結すると共に、前記軸心方向に可撓性を有するたわみ機構と、を備え、前記可動カップリング、前記回転カップリング、及び固定カップリングは、それぞれ複数の歯部を有しており、流体圧の供給によって前記可動カップリングが前記工具主軸の前記工具が装着される側と反対側である基端側から前記工具主軸の先端側の方向に移動して、前記回転カップリング及び前記固定カップリングに噛合することにより、前記工具主軸を前記固定された状態とし、前記可動カップリングが前記回転カップリング及び前記固定カップリングから離脱することにより、前記工具主軸を前記回転可能な状態とすることを特徴とする。
【0015】
この発明では、可動カップリングが工具主軸の基端側から先端側の方向に移動して、工具主軸との間にたわみ機構が介在された回転カップリングと固定カップリングとに噛合することにより、工具主軸が固定された状態とされる。また、可動カップリングから回転カップリングに対しては、たわみ機構による復元力(弾性力)のみが作用する。
したがって、この発明によれば、簡易でコンパクトな構成により、工具主軸を回転可能な状態とガタ無く確実に固定された状態とに切り替えて設定できると共に、可動カップリングの押付力による工具主軸へのスラスト負荷を抑制できる工作機械の工具取付装置を提供することができる。
【0016】
また、請求項3に係る発明は、請求項1又は請求項2に記載の工作機械の工具取付装置において、前記可動カップリングが前記回転カップリング及び前記固定カップリングから離脱した状態において、前記回転カップリングの歯部の前記軸心方向の位置は、前記固定カップリングの歯部の前記軸心方向の位置よりも前記可動カップリングに近くなるように設定されていることを特徴とする。
【0017】
この発明によれば、回転カップリングの歯部が、たわみ機構による復元力(弾性力)に抗して可動カップリングにより押されて、固定カップリングの歯部と同じ軸心方向の位置となる。したがって、可動カップリングと回転カップリング及び固定カップリングとの噛合の精度及び剛性が高くなり、工具主軸をよりガタ無く確実に固定された状態とすることができる。
【0018】
また、請求項4に係る発明は、請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の工作機械の工具取付装置において、前記可動カップリングに供給される流体圧に基づいて前記可動カップリングの前記回転カップリング及び前記固定カップリングに対する噛合又は離脱を検知する検知手段を備えたことを特徴とする。
【0019】
この発明によれば、可動カップリングに供給される流体圧に基づいて工具主軸が回転可能な状態にあるか固定された状態にあるかを判断でき、この工具主軸の状態を確認した上で、回転加工や旋削加工等の加工の種類に応じた動作を確実に行うことができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、簡易でコンパクトな構成により、工具主軸を回転可能な状態とガタ無く確実に固定された状態とに切り替えて設定できると共に、可動カップリングの押付力による工具主軸へのスラスト負荷を抑制できる工作機械の工具取付装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の第1実施形態に係る工具取付装置が適用された工作機械の全体構成を示す斜視図である。
【図2】図1に示される主軸ヘッドを一部断面にして模式的に示す拡大正面図である。
【図3】図2に示される工具取付装置の要部拡大断面図である。
【図4】工具主軸がアンロックにある工具取付装置の要部拡大断面図である。
【図5】工具主軸がロックにある工具取付装置の要部拡大断面図である。
【図6】本発明の第2実施形態に係る工具取付装置の要部拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
次に、本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本発明の第1実施形態に係る工具取付装置が適用された工作機械の全体構成を示す斜視図である。
【0023】
図1に示すように、工作機械10は、ここでは、互いに直交するX軸、Y軸、及びZ軸の3軸の直線送りと、A軸、及びC軸の2本の軸回りの回転(回動)との自由度を有する縦型の工作機械である。なお、図1では、Z軸方向が重力の方向に一致しており、Z軸方向は上下方向、Y軸方向は前後方向、X軸方向は左右方向に相当している。
【0024】
工作機械10は、基台となるベッド1を有しており、ベッド1には、テーブル装置2がY軸方向(前後方向)に往復移動可能に支持されている。ベッド1の奥側において上方に延伸するコラム3には、移動台4がX軸方向(左右方向)に往復移動可能に支持されている。また、移動台4のテーブル装置2側の面には、主軸ヘッド5がZ軸方向(上下方向)に往復移動可能に支持されている。
【0025】
テーブル装置2は、ワークテーブル6を備えており、ワークテーブル6は、X軸方向に沿った軸であるA軸回りに往復回動(チルト動)可能とされている。また、ワークテーブル6には、ワーク(図示せず)を載置して支持するテーブル7が備えられており、テーブル7は、A軸に直交するC軸回りに回転可能となっている。
【0026】
また、工作機械10は、複数の工具(図示せず)が収容されるツールマガジン8を備えている。主軸ヘッド5の先端部に取り付けられる工具T(図2参照)は、ツール交換アーム9によってツールマガジン8内の任意の工具と自動的に交換されるようになっている。
【0027】
図2は、図1に示される主軸ヘッドを一部断面にして模式的に示す拡大正面図である。図3は、図2に示される工具取付装置の要部拡大断面図である。なお、図2及び図3は、Z軸方向(上下方向)が横になるように描かれている。
【0028】
図2に示すように、主軸ヘッド5は、その先端部に工具Tを取り付けるための工具取付装置11と、工具Tを回転させる回転駆動力を発生する駆動源12とを備えている。そして、工具取付装置11は、工具Tが着脱可能に装着される工具主軸13と、工具主軸13が内側に配置される工具主軸ホルダ14とを有する。
【0029】
工具主軸13は、略円筒形状を呈しており、工具主軸ホルダ14の内部に同軸をなして挿入されている。工具主軸13内には、工具主軸13の先端部に工具Tを着脱するための周知の着脱機構15が配置されている。
【0030】
工具主軸13の工具Tが装着される側と反対側である基端側は、カップリング16を介して、駆動源12の回転軸17と連結されている。駆動源12としては、例えば電動モータが使用される。但し、駆動源12は、工具主軸13の基端側と、ベルトやギア等の駆動力伝達部材を介して、駆動源12の回転軸17と連結されてもよい。あるいは、駆動源12は、工具主軸13の外周側に配置されるビルトインモータであってもよい。
【0031】
工具主軸ホルダ14は、工具主軸13を、軸受18,19を介して回転可能に支持する支持本体20と、工具主軸13の先端部の外周側に位置され支持本体20の先端側に取り付けられる先端ブロック21とを備えている。また、先端ブロック21は、支持本体20の先端面に、ボルト24により固定される第1ブロック22と、第1ブロック22の先端面に、ボルト25により固定される第2ブロック23とを有している。そして、第1ブロック22、第2ブロック23、及び工具主軸13の間に形成される空間に、工具主軸13を当該工具主軸13のまわりで回転可能な状態(以下、「アンロック」ともいう)と固定された状態(以下、「ロック」ともいう)とに切り替える切替機構30が設けられている。
【0032】
図3に示すように、切替機構30は、工具主軸13の先端部の外周側に配置されており、可動カップリング31と、回転カップリング32と、固定カップリング33とを備えている。回転カップリング32及び固定カップリング33は、概ね環状板形状を呈しており、一方の面に複数の歯部35,36がそれぞれ放射状に円周方向等角度間隔で形成されている。また、可動カップリング31は、概ね環状板形状を呈しており、一方の面に、回転カップリング32及び固定カップリング33の歯部35,36と噛合可能な複数の歯部34が放射状に円周方向等角度間隔で形成されている。歯部34,35,36には、耐摩耗性、硬度、強度等の機械的特性を上げるために適宜の表面硬化処理が行われることが望ましい。
【0033】
なお、図3において、工具主軸13の軸心Lよりも上側部分は、可動カップリング31が固定カップリング33及び回転カップリング32から離脱したアンロックを示しており、工具主軸13の軸心Lよりも下側部分は、可動カップリング31が固定カップリング33及び回転カップリング32に噛合したロックを示している(図2も同様)。また、図3では、工具T及び着脱機構15(図2参照)は、図示省略してある。
【0034】
可動カップリング31は、第2ブロック23に形成されたシリンダボア44内に、工具主軸13の軸心L方向に移動可能に配置されている。そして、可動カップリング31のシリンダボア44底面側に、第1流体圧室37が形成されており、可動カップリング31のシリンダボア44底面側と反対側に、第2流体圧室38が形成されている。
【0035】
第1流体圧室37は、第2ブロック23内に形成された第1経路39、及び第1経路39に接続された第1チューブ41を介して、流体圧源(図示せず)に接続されており、第2流体圧室38は、第2ブロック23内に形成された第2経路40、及び第2経路40に接続された第2チューブ42を介して、流体圧源(図示せず)に接続されている。また、第1チューブ41及び第2チューブ42の途中には、第1流体圧室37及び第2流体圧室38にそれぞれ供給される流体圧(ここでは、例えば空気圧)を検出するセンサS1,S2が設けられている。そして、センサS1,S2により検出された可動カップリング31に供給される流体圧に基づいて可動カップリング31の回転カップリング32及び固定カップリング33に対する噛合又は離脱を検知する検知手段59が備えられている。
【0036】
回転カップリング32と工具主軸13との間には、回転カップリング32と工具主軸13とを連結すると共に、軸心L方向に可撓性(弾性)を有するたわみ機構45が設置されている。たわみ機構45は、概ね環状板形状を呈するたわみ板46と、適宜の枚数の皿ばね47とを有する。
【0037】
回転カップリング32は、たわみ板46の外周側にボルト48により固定され、たわみ板46の内周側は、工具主軸13の外周面から外方に向けて突設されたフランジ50の根元側にボルト49により固定されている。これにより、回転カップリング32は、工具主軸13と連動して回転可能とされている。フランジ50の外周側には、環状の凹部51が形成されており、この凹部51に皿ばね47が収容される。
【0038】
また、環状板形状を呈する押さえ部材52が、工具主軸13の外周面に嵌合され、フランジ50と対向する位置に配置されている。押さえ部材52は、たわみ機構45の復元力(弾性力)に抗して回転カップリング32をフランジ50側に押圧し、工具主軸13に形成された段部54に当接した状態で、ナット部材53により位置決め固定される。
【0039】
固定カップリング33は、回転カップリング32の外周側に配置されており、工具主軸ホルダ14の第1ブロック22に、ボルト43により固定されている。
【0040】
そして、工具取付装置11において、第1流体圧室37に流体圧が供給されると、可動カップリング31が工具主軸13の工具T(図2参照)が装着される側である先端側から工具主軸13の基端側の方向に移動して、回転カップリング32及び固定カップリング33に噛合し、一方、第2流体圧室38に流体圧が供給されると、可動カップリング31が工具主軸13の基端側から先端側の方向に移動して、回転カップリング32及び固定カップリング33から離脱するように構成されている。
【0041】
また、可動カップリング31が回転カップリング32及び固定カップリング33から離脱したアンロック(図3の上側部分に示す状態)において、回転カップリング32の歯部35の軸心L方向の位置は、固定カップリング33の歯部36の軸心L方向の位置よりも可動カップリング31に所定距離だけ近くなるように設定されている(なお、図3中では同位置に描いてある)。したがって、可動カップリング31が回転カップリング32及び固定カップリング33に噛合する場合には、可動カップリング31は、まず回転カップリング32に当接してから固定カップリング33に当接するようになっている。
【0042】
次に、図4及び図5を参照して、前記のように構成された工作機械の工具取付装置11の作用について説明する。図4は、工具主軸がアンロックにある工具取付装置の要部拡大断面図である。図5は、工具主軸がロックにある工具取付装置の要部拡大断面図である。
【0043】
図4に示すように、回転加工用の工具(図示せず)が工具主軸13の先端部に装着されて回転加工を行う場合には、流体圧源(図示せず)から、第2チューブ42、第2経路40を経て、第2流体圧室38に流体圧が供給される。
【0044】
第2流体圧室38に流体圧が供給されると、可動カップリング31が、回転カップリング32及び固定カップリング33と反対側に向けて、工具主軸13の基端側から先端側の方向に移動する。一方、第1流体圧室37内の流体は、第1経路39、第1チューブ41を経て排出される。これにより、可動カップリング31は、回転カップリング32及び固定カップリング33から離脱する。
【0045】
センサS2により検出された第2流体圧室38に供給される流体圧が所定の閾値以上であった場合、可動カップリング31が回転カップリング32及び固定カップリング33から離脱したこと、すなわち工具主軸13のアンロックが検知される。なお、センサS2の検出値がセンサS1の検出値よりも所定の閾値以上高い場合に、工具主軸13のアンロックが検知されるように構成されてもよい。
【0046】
このように工具主軸13のアンロックが確認された後に、駆動源12(図2参照)の動作開始が許可される。そして、駆動源12からの回転駆動力が工具主軸13に伝達され、テーブル装置2(図1参照)のテーブル7に設置されたワーク(図示せず)に対する回転加工が行われる。このとき、工具は例えば3軸(X,Y,Z軸)で移動させられ、ワークは所望の形状に加工される。
【0047】
一方、図5に示すように、旋削加工用の工具(図示せず)が工具主軸13の先端部に装着されて旋削加工を行う場合には、まず、主軸オリエンテーションにより、工具主軸13を固定する角度位置に止める。続いて、流体圧源(図示せず)から、第1チューブ41、第1経路39を経て、第1流体圧室37に流体圧が供給される。
【0048】
第1流体圧室37に流体圧が供給されると、可動カップリング31が、回転カップリング32及び固定カップリング33の側に向けて、工具主軸13の先端側から基端側の方向に移動する。一方、第2流体圧室38内の流体は、第2経路40、第2チューブ42を経て排出される。
【0049】
可動カップリング31は、工具主軸13の基端側の方に移動して、工具主軸13との間にたわみ機構45が介在された回転カップリング32と、固定カップリング33とに噛合することにより、工具主軸13が固定された状態とされる。このとき、可動カップリング31から回転カップリング32に対しては、たわみ機構45による復元力(弾性力)のみが作用する。
【0050】
ここで、回転カップリング32の歯部35の位置が固定カップリング33の歯部36の位置よりも可動カップリング31に近く設定されているため、可動カップリング31は、まず回転カップリング32に当接して噛合し、回転カップリング32を工具主軸13の基端側の方に押し付け、この押付け力によりたわみ機構45が工具主軸13の基端側の方にたわむ。そして、可動カップリング31は、固定カップリング33と噛合するまで移動して止まる。このとき、回転カップリング32の歯部35が、たわみ機構45による復元力(弾性力)に抗して可動カップリング31により押されて、固定カップリング33の歯部36と同じ軸心L方向の位置となる。これにより、可動カップリング31は、回転カップリング32及び固定カップリング33と噛合する。
【0051】
センサS1により検出された第1流体圧室37に供給される流体圧が所定の閾値以上であった場合、可動カップリング31が回転カップリング32及び固定カップリング33と噛合したこと、すなわち工具主軸13のロックが検知される。なお、センサS1の検出値がセンサS2の検出値よりも所定の閾値以上高い場合に、工具主軸13のロックが検知されるように構成されてもよい。
【0052】
このように工具主軸13のロックが確認された後に、テーブル装置2(図1参照)のテーブル7に設置されたワーク(図示せず)が回転させられ、工具を移動させることにより、ワークに対する旋削加工が行われる。
【0053】
前記したように、第1実施形態に係る工具取付装置11は、工具主軸13と連動して回転可能な回転カップリング32と、回転カップリング32と工具主軸13とを連結すると共に、軸心L方向に可撓性を有するたわみ機構45と、を備えており、流体圧の供給によって可動カップリング31が工具主軸13の先端側から基端側の方向に移動して、回転カップリング32及び固定カップリング33に噛合することにより、工具主軸13をロックとし、可動カップリング31が回転カップリング32及び固定カップリング33から離脱することにより、工具主軸13をアンロックとする。
【0054】
この第1実施形態では、可動カップリング31が、工具主軸13の基端側の方に移動して、工具主軸13との間にたわみ機構45が介在された回転カップリング32と、固定カップリング33とに噛合することにより、工具主軸13が固定された状態とされる。このとき、可動カップリング31から回転カップリング32に対しては、たわみ機構45による復元力(弾性力)のみが作用する。
したがって、第1実施形態によれば、簡易でコンパクトな構成により、工具主軸13を回転可能な状態とガタ無く確実に固定された状態とに切り替えて設定できると共に、可動カップリング31の押付力による工具主軸13へのスラスト負荷を抑制できる工作機械の工具取付装置11を提供することができる。
【0055】
また、第1実施形態では、可動カップリング31が回転カップリング32及び固定カップリング33から離脱した状態において、回転カップリング32の歯部35の軸心L方向の位置は、固定カップリング33の歯部36の軸心L方向の位置よりも可動カップリング31に近くなるように設定されている。
【0056】
このような構成によれば、回転カップリング32の歯部35が、たわみ機構45による復元力(弾性力)に抗して可動カップリング31により押されて、固定カップリング33の歯部36と同じ軸心L方向の位置となる。したがって、可動カップリング31と回転カップリング32及び固定カップリング33との噛合の精度及び剛性が高くなり、工具主軸13をよりガタ無く確実に固定された状態とすることができる。
【0057】
また、第1実施形態では、可動カップリング31に供給される流体圧に基づいて可動カップリング31の回転カップリング32及び固定カップリング33に対する噛合又は離脱を検知する検知手段59が備えられている。
【0058】
このような構成によれば、可動カップリング31に供給される流体圧に基づいて工具主軸13がアンロックであるかロックであるかを判断でき、この工具主軸13の状態を確認した上で、回転加工や旋削加工等の加工の種類に応じた動作を確実に行うことができる。
【0059】
図6は、本発明の第2実施形態に係る工具取付装置の要部拡大断面図である。図1〜図5に示した第1実施形態と同様又は対応する構成及び作用は、この実施形態に取り込まれるものとして、適宜説明を省略し、相違する点を主に説明する。
【0060】
第2実施形態は、可動カップリング31aが工具主軸13aの基端側から先端側の方向に移動して、回転カップリング32a及び固定カップリング33aに噛合することにより、工具主軸13aをロックとする点で、可動カップリング31が工具主軸13の先端側から基端側の方向に移動して、回転カップリング32及び固定カップリング33に噛合することにより、工具主軸13をロックとする第1実施形態(図3参照)と相違している。
【0061】
図6に示すように、支持本体20の先端側に取り付けられる先端ブロック21aは、支持本体20の先端面に、ボルト24aにより後記する中間ブロック60と共に固定される第1ブロック22aと、第1ブロック22aの先端面に当接して固定される中間ブロック60と、第1ブロック22aの先端側に、中間ブロック60を間に挟んで、ボルト25aにより固定される第2ブロック23aとを有している。そして、第1ブロック22a、中間ブロック60、第2ブロック23a、及び工具主軸13aの間に形成される空間に、工具主軸13aをアンロックとロックとに切り替える切替機構30aが設けられている。
【0062】
切替機構30aは、工具主軸13aの先端部の外周側に配置されており、可動カップリング31aと、回転カップリング32aと、固定カップリング33aとを備えている。回転カップリング32a及び固定カップリング33aは、概ね環状板形状を呈しており、一方の面に複数の歯部35a,36aがそれぞれ放射状に円周方向等角度間隔で形成されている。また、可動カップリング31aは、概ね環状板形状を呈しており、一方の面に、回転カップリング32a及び固定カップリング33aの歯部35a,36aと噛合可能な複数の歯部34aが放射状に円周方向等角度間隔で形成されている。なお、図6においても、図3と同様に、工具主軸13aの軸心Lよりも上側部分は、アンロックを示しており、工具主軸13aの軸心Lよりも下側部分は、ロックを示している。
【0063】
可動カップリング31aは、第1ブロック22aに形成されたシリンダボア44a内に、工具主軸13aの軸心L方向に移動可能に配置されている。そして、可動カップリング31aのシリンダボア44a底面側に、第1流体圧室37aが形成されており、可動カップリング31aのシリンダボア44a底面側と反対側に、第2流体圧室38aが形成されている。
【0064】
第1流体圧室37aは、第1ブロック22a内に形成された第1経路39a、及び第1経路39aに接続された第1チューブ41を介して、流体圧源(図示せず)に接続されており、第2流体圧室38aは、第1ブロック22a内に形成された第2経路40a、及び第2経路40aに接続された第2チューブ42を介して、流体圧源(図示せず)に接続されている。また、第1チューブ41及び第2チューブ42の途中には、第1流体圧室37a及び第2流体圧室38aにそれぞれ供給される流体圧を検出するセンサS1,S2が設けられている。そして、センサS1,S2により検出された可動カップリング31aに供給される流体圧に基づいて可動カップリング31aの回転カップリング32a及び固定カップリング33aに対する噛合又は離脱を検知する検知手段59が備えられている。
【0065】
回転カップリング32aと工具主軸13aとの間には、回転カップリング32aと工具主軸13aとを連結すると共に、軸心L方向に可撓性(弾性)を有するたわみ機構45が設置されている。たわみ機構45は、概ね環状板形状を呈するたわみ板46と、適宜の枚数の皿ばね47とを有する。
【0066】
回転カップリング32aは、たわみ板46の外周側にボルト48により固定され、たわみ板46の内周側は、工具主軸13aの外周面から外方に向けて突設されたフランジ50の根元側にボルト49により固定されている。これにより、回転カップリング32aは、工具主軸13aと連動して回転可能とされている。フランジ50の外周側には、環状の凹部51が形成されており、この凹部51に皿ばね47が収容される。
【0067】
また、環状板形状を呈する押さえ部材52が、工具主軸13aの外周面に嵌合され、フランジ50と対向する位置に配置されている。
【0068】
押さえ部材52は、たわみ板46及び皿ばね47の復元力(弾性力)に抗して回転カップリング32aをフランジ50側に押圧し、工具主軸13aに形成された段部54に当接した状態で、ナット部材53により位置決め固定される。
【0069】
固定カップリング33aは、回転カップリング32aの外周側に配置されており、工具主軸ホルダ14aの中間ブロック60と第2ブロック23aとの間に挟持されて、ボルト25aにより固定されている。
【0070】
そして、工具取付装置11aにおいて、第1流体圧室37aに流体圧が供給されると、可動カップリング31aが工具主軸13aの基端側から先端側の方向に移動して、回転カップリング32a及び固定カップリング33aに噛合し、一方、第2流体圧室38aに流体圧が供給されると、可動カップリング31aが工具主軸13aの先端側から基端側の方向に移動して、回転カップリング32a及び固定カップリング33aから離脱するように構成されている。
【0071】
また、アンロック(図6の上側部分に示す状態)において、回転カップリング32aの歯部35aの軸心L方向の位置は、固定カップリング33aの歯部36aの軸心L方向の位置よりも可動カップリング31aに所定距離だけ近くなるように設定されている(なお、図6中では同位置に描いてある)。したがって、可動カップリング31aが回転カップリング32a及び固定カップリング33aに噛合する場合には、可動カップリング31aは、まず回転カップリング32aに当接してから固定カップリング33aに当接するようになっている。
【0072】
次に、図6を参照して、前記のように構成された工作機械の工具取付装置11aの作用について説明する。
回転加工用の工具(図示せず)が工具主軸13aの先端部に装着されて回転加工を行う場合には、流体圧源(図示せず)から、第2チューブ42、第2経路40aを経て、第2流体圧室38aに流体圧が供給される。
【0073】
第2流体圧室38aに流体圧が供給されると、可動カップリング31aが、回転カップリング32a及び固定カップリング33aと反対側に向けて、工具主軸13aの先端側から基端側の方向に移動する。一方、第1流体圧室37a内の流体は、第1経路39a、第1チューブ41を経て排出される。これにより、可動カップリング31aは、回転カップリング32a及び固定カップリング33aから離脱する。
【0074】
センサS2により検出された第2流体圧室38aに供給される流体圧が所定の閾値以上であった場合、可動カップリング31aが回転カップリング32a及び固定カップリング33aから離脱したこと、すなわち工具主軸13aのアンロックが検知される。なお、センサS2の検出値がセンサS1の検出値よりも所定の閾値以上高い場合に、工具主軸13aのアンロックが検知されるように構成されてもよい。
【0075】
このように工具主軸13aのアンロックが確認された後に、駆動源12(図2参照)の動作開始が許可される。そして、駆動源12からの回転駆動力が工具主軸13aに伝達され、テーブル装置2(図1参照)のテーブル7に設置されたワーク(図示せず)に対する回転加工が行われる。
【0076】
一方、旋削加工用の工具(図示せず)が工具主軸13aの先端部に装着されて旋削加工を行う場合には、まず、主軸オリエンテーションにより、工具主軸13aを固定する角度位置に止める。続いて、流体圧源(図示せず)から、第1チューブ41、第1経路39aを経て、第1流体圧室37aに流体圧が供給される。
【0077】
第1流体圧室37aに流体圧が供給されると、可動カップリング31aが、回転カップリング32a及び固定カップリング33aの側に向けて、工具主軸13aの基端側から先端側の方向に移動する。一方、第2流体圧室38a内の流体は、第2経路40a、第2チューブ42を経て排出される。
【0078】
可動カップリング31aは、工具主軸13aの先端側の方に移動して、工具主軸13aとの間にたわみ機構45が介在された回転カップリング32aと、固定カップリング33aとに噛合することにより、工具主軸13aが固定された状態とされる。
【0079】
このとき、可動カップリング31aから回転カップリング32aに対しては、たわみ機構45による復元力(弾性力)のみが作用する。
【0080】
ここで、回転カップリング32aの歯部35aの位置が固定カップリング33aの歯部36aの位置よりも可動カップリング31aに近く設定されているため、可動カップリング31aは、まず回転カップリング32aに当接して噛合し、回転カップリング32aを工具主軸13aの先端側の方向に押し付け、この押付け力によりたわみ機構45が工具主軸13aの先端側の方にたわむ。そして、可動カップリング31aは、固定カップリング33aと噛合するまで移動して止まる。このとき、回転カップリング32aの歯部35aが、たわみ機構45による復元力(弾性力)に抗して可動カップリング31aにより押されて、固定カップリング33aの歯部36aと同じ軸心L方向の位置となる。これにより、可動カップリング31aは、回転カップリング32a及び固定カップリング33aと噛合する。
【0081】
センサS1により検出された第1流体圧室37aに供給される流体圧が所定の閾値以上であった場合、可動カップリング31aが回転カップリング32a及び固定カップリング33aと噛合したこと、すなわち工具主軸13aのロックが検知される。なお、センサS1の検出値がセンサS2の検出値よりも所定の閾値以上高い場合に、工具主軸13aのロックが検知されるように構成されてもよい。
【0082】
このように工具主軸13aのロックが確認された後に、テーブル装置2(図1参照)のテーブル7に設置されたワーク(図示せず)が回転させられ、工具を移動させることにより、ワークに対する旋削加工が行われる。
【0083】
前記したように、第2実施形態に係る工具取付装置11aは、工具主軸13aと連動して回転可能な回転カップリング32aと、回転カップリング32aと工具主軸13aとを連結すると共に、軸心L方向に可撓性を有するたわみ機構45と、を備えており、流体圧の供給によって可動カップリング31aが工具主軸13aの基端側から先端側の方向に移動して、回転カップリング32a及び固定カップリング33aに噛合することにより、工具主軸13aをロックとし、可動カップリング31aが回転カップリング32a及び固定カップリング33aから離脱することにより、工具主軸13aをアンロックとする。
【0084】
この第2実施形態では、可動カップリング31aが、工具主軸13aの先端側の方に移動して、工具主軸13aとの間にたわみ機構45が介在された回転カップリング32aと、固定カップリング33aとに噛合することにより、工具主軸13aが固定された状態とされる。このとき、可動カップリング31aから回転カップリング32aに対しては、たわみ機構45による復元力(弾性力)のみが作用する。
したがって、第2実施形態によっても、第1実施形態と同様に、簡易でコンパクトな構成により、工具主軸13aを回転可能な状態とガタ無く確実に固定された状態とに切り替えて設定できると共に、可動カップリング31aの押付力による工具主軸13aへのスラスト負荷を抑制できる工作機械の工具取付装置11aを提供することができる。他の作用効果も第1実施形態と同様である。
【0085】
以上、本発明について、実施形態に基づいて説明したが、本発明は、前記各実施形態に記載した構成に限定されるものではなく、前記各実施形態に記載した構成を適宜組み合わせ乃至選択することを含め、その趣旨を逸脱しない範囲において適宜その構成を変更することができるものである。
【0086】
例えば、前記実施形態では、本発明に係る工具取付装置が縦型の工作機械に適用された場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、横型の工作機械にも適用可能である。また、本発明は、例えば、ベッドにワークを旋回駆動させるための主軸台と心押台が設置され、工具主軸がその軸心に垂直な軸回りで回動可能に構成された複合工作機械等の各種の工作機械にも適用可能である。
【0087】
また、前記実施形態では、旋削加工用の工具が工具主軸の先端部に装着されて旋削加工を行う場合に、工具主軸がロックとされる場合について説明したが、本発明は、例えば溝加工用のスロッタ工具が工具主軸の先端部に装着されて溝加工を行う場合に、工具主軸がロックとされる場合にも適用可能である。
【0088】
また、前記実施形態では、可動カップリングが、流体圧の供給により、回転カップリング及び固定カップリングと反対側に向けて退避移動するように構成したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、可動カップリングが、リターンスプリングにより、あるいは流体圧の供給及びリターンスプリングにより、回転カップリング及び固定カップリングと反対側に向けて退避移動するように構成されてもよい。
【0089】
また、前記実施形態では、可動カップリングに供給される流体圧が空気圧である場合を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば油圧であってもよい。
【符号の説明】
【0090】
10 工作機械
11,11a 工具取付装置
13,13a 工具主軸
14,14a 工具主軸ホルダ
31,31a 可動カップリング
32,32a 回転カップリング
33,33a 固定カップリング
34,35,36,34a,35a,36a 歯部
45 たわみ機構
59 検知手段
L 軸心
T 工具

【特許請求の範囲】
【請求項1】
工具が着脱可能に装着される工具主軸を当該工具主軸のまわりで回転可能な状態と固定された状態とに切り替えて設定可能な工作機械の工具取付装置であって、
前記工具主軸が内側に配置される工具主軸ホルダ内の前記工具主軸の外周側に配置され、流体圧の供給によって前記工具主軸ホルダ内を前記工具主軸の軸心方向に移動可能な可動カップリングと、
前記工具主軸と連動して回転可能な回転カップリングと、
前記回転カップリングの外周側に配置され、前記工具主軸ホルダに固定された固定カップリングと、
前記回転カップリングと前記工具主軸とを連結すると共に、前記軸心方向に可撓性を有するたわみ機構と、を備え、
前記可動カップリング、前記回転カップリング、及び固定カップリングは、それぞれ複数の歯部を有しており、
流体圧の供給によって前記可動カップリングが前記工具主軸の前記工具が装着される側である先端側から前記工具主軸の基端側の方向に移動して、前記回転カップリング及び前記固定カップリングに噛合することにより、前記工具主軸を前記固定された状態とし、前記可動カップリングが前記回転カップリング及び前記固定カップリングから離脱することにより、前記工具主軸を前記回転可能な状態とすることを特徴とする工作機械の工具取付装置。
【請求項2】
工具が着脱可能に装着される工具主軸を当該工具主軸のまわりで回転可能な状態と固定された状態とに切り替えて設定可能な工作機械の工具取付装置であって、
前記工具主軸が内側に配置される工具主軸ホルダ内の前記工具主軸の外周側に配置され、流体圧の供給によって前記工具主軸ホルダ内を前記工具主軸の軸心方向に移動可能な可動カップリングと、
前記工具主軸と連動して回転可能な回転カップリングと、
前記回転カップリングの外周側に配置され、前記工具主軸ホルダに固定された固定カップリングと、
前記回転カップリングと前記工具主軸とを連結すると共に、前記軸心方向に可撓性を有するたわみ機構と、を備え、
前記可動カップリング、前記回転カップリング、及び固定カップリングは、それぞれ複数の歯部を有しており、
流体圧の供給によって前記可動カップリングが前記工具主軸の前記工具が装着される側と反対側である基端側から前記工具主軸の先端側の方向に移動して、前記回転カップリング及び前記固定カップリングに噛合することにより、前記工具主軸を前記固定された状態とし、前記可動カップリングが前記回転カップリング及び前記固定カップリングから離脱することにより、前記工具主軸を前記回転可能な状態とすることを特徴とする工作機械の工具取付装置。
【請求項3】
前記可動カップリングが前記回転カップリング及び前記固定カップリングから離脱した状態において、前記回転カップリングの歯部の前記軸心方向の位置は、前記固定カップリングの歯部の前記軸心方向の位置よりも前記可動カップリングに近くなるように設定されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の工作機械の工具取付装置。
【請求項4】
前記可動カップリングに供給される流体圧に基づいて前記可動カップリングの前記回転カップリング及び前記固定カップリングに対する噛合又は離脱を検知する検知手段を備えたことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の工作機械の工具取付装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−71210(P2013−71210A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−212578(P2011−212578)
【出願日】平成23年9月28日(2011.9.28)
【出願人】(000132161)株式会社スギノマシン (144)
【Fターム(参考)】