説明

工具昇降装置

【課題】吊り下げ状態の工具を押し下げる際に要する力を低減するとともに、所望の高さ位置に工具を吊り下げ保持する。
【解決手段】本発明は、固定フレーム2と、ワイヤ6を介して工具9を吊り下げ支持した状態で固定フレーム2に沿って昇降する可動フレーム3と、固定フレーム2に固定され、上下方向に摺動可能な第1のピストンによって第1の上室と第1の下室とに区画される第1のシリンダ7と、可動フレーム3に固定され、第1のピストンに一体的に連結される第2のピストンによって第2の上室と大気に連通された第2の下室とに区画される第2のシリンダ8と、第1の上室又は第1の下室に選択的にエア圧を供給する第1のエア圧供給手段と、第2の上室に一定のエア圧を供給する第2のエア圧供給手段と、第2の上室の圧力が一定のエア圧より高くなるのに応じて第2の上室のエア圧を排気させるエア圧排気手段とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工具を吊り下げ状態に保持するとともに吊り下げ位置を昇降可能な工具昇降装置に関する。
【背景技術】
【0002】
インパクトレンチなどの工具類を吊り下げ状態に保持するためのスプリングバランサが工場内の製造ラインなどにおいて従来から使用されている。スプリングバランサは、工具に接続されているワイヤロープを巻き取るためのドラムを有し、工具を使用するときにはワイヤロープを繰り出しつつ工具を手元に引き寄せることができ、使用しないときにはドラムに装着されるぜんまいばねによってワイヤを巻きとりつつ工具を上昇させる。
【0003】
しかし、作業者が工具を使用するたびに工具を上方から手元に引き寄せるのは煩雑である。そこで、特許文献1には、ドラムにストッパを設け、作業者が当該ストッパに噛合するレバーを解除するまでドラムによるワイヤの巻き取りを規制する機構を設けたスプリングバランサが記載されている。これにより、ワイヤをある程度繰り出した状態で工具を所定の低位置に保持することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開平4−125297号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし上記従来の技術では、ドラムがぜんまいばねによってワイヤを巻き取る方向に常に付勢されているので、所定の低位置に吊り下げられた工具を作業者がさらに押し下げる際に余分な力を必要とする。また、ドラムとストッパとが噛合する位置は決まっているので、作業者が工具から手を離しても工具はその位置には停止せず、ある程度ワイヤが巻きとられて上昇した位置に保持される。よって、工具を所望の位置に保持することができない。
【0006】
本発明は、吊り下げ状態の工具を押し下げる際に要する力を低減するとともに、所望の高さ位置に工具を吊り下げ保持することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、吊り下げられた工具を昇降可能な工具昇降装置において、固定フレームと、ワイヤを介して工具を吊り下げ支持した状態で固定フレームに沿って昇降する可動フレームと、固定フレームに固定され、上下方向に摺動可能な第1のピストンによって第1の上室と第1の下室とに区画される第1のシリンダと、可動フレームに固定され、第1のピストンに一体的に連結される第2のピストンによって第2の上室と大気に連通された第2の下室とに区画される第2のシリンダと、第1の上室又は第1の下室に選択的にエア圧を供給することで、圧力差によって第1のピストンを上下方向に摺動させる第1のエア圧供給手段と、第2の上室に一定のエア圧を供給する第2のエア圧供給手段と、第2の上室の圧力が一定のエア圧より高くなるのに応じて第2の上室のエア圧を排気させるエア圧排気手段とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、第1のエア圧供給手段によって第1の上室又は第1の下室に選択的にエア圧を供給することで圧力差によって第1のピストンを上下方向に摺動させるので、エア圧によって工具を昇降させることができるとともに、作業者が工具を押し下げた場合には第2の上室の圧力の上昇に伴ってエア圧が排気され、これに伴って第2のシリンダが下降するので、工具を押し下げる際に要する力を低減することができる。
【0009】
また、第2のエア圧供給手段によって第2の上室には一定のエア圧が供給されているので、作業者が工具を押し下げるのをやめて手を離したときには、その時点における高さ位置に工具を保持させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本実施形態における工具昇降装置の構成を示す構成図である。
【図2】空圧回路の構成を示す回路図である。
【図3】工具昇降装置の動作を示す概略図である。
【図4】工具昇降装置の動作を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下では図面を参照して本発明の実施の形態について詳しく説明する。
【0012】
図1は本実施形態における工具昇降装置の構成を示す構成図であり、図1(a)は正面図、図1(b)は図1(a)のA−A’断面を示す断面図、図1(c)は図1(a)のB−B’断面を示す断面図である。図2は本実施形態における工具昇降装置に接続される空圧回路の構成を示す回路図である。なお、本実施形態では工具をインパクトレンチとして例示するが、これに限らずその他の工具であってもよい。
【0013】
工具昇降装置1は、矩形の固定フレーム2と、固定フレーム2の左右の支柱21の間にわたって配置される可動フレーム3と、固定フレーム2に回転自在に設けられる定滑車4と、可動フレーム3に回転自在に設けられる動滑車5と、定滑車4及び動滑車5に巻き掛けられるワイヤ6と、固定フレーム2に固定される第1のシリンダ7と、可動フレーム3に固定される第2のシリンダ8とから構成される。
【0014】
固定フレーム2は、垂直方向に延設される一対の支柱21と、支柱21の上端を水平方向に接続する上部水平部材22と、支柱21の下端を水平方向に接続する下部水平部材23とから構成される。なお、支柱21は必ずしも垂直方向でなくてもよく、上部水平部材22及び下部水平部材23は水平に限らずその他の角度であってもよい。
【0015】
上部水平部材22は工場内の所定の高さに配置される梁などに固定される。なお、上部水平部材22は水平方向には必ずしも固定されている必要はなく、例えばフックなどによって梁から吊り下げられていてもよい。
【0016】
可動フレーム3は、固定フレーム2の両側の支柱21に設けられる図示しないガイドに沿って上下方向に移動可能である。
【0017】
定滑車4は、固定フレーム2の下部水平部材23の図面右側及び左側に互いに水平方向に離間するようにそれぞれ4つずつ設けられる。動滑車5は、可動フレーム3の図面右側及び左側に互いに水平方向に離間するようにそれぞれ4つずつ設けられる。なお、定滑車4及び動滑車5はそれぞれ4つずつ設けているが、左右の数が同一であればその他の個数であってもよい。
【0018】
図1(b)に示すように可動フレーム3の両側であって動滑車5より外側には、それぞれワイヤ6の一端を固定するワイヤ固定部31が設けられる。また、図1(c)に示すように下部水平部材23の両側であって定滑車4より内側には、それぞれワイヤ6を上下方向に貫通させる貫通孔24が設けられる。なお、ワイヤ固定部31は可動フレーム3の代わりに固定フレーム2の下部水平部材23に設けられていてもよい。
【0019】
ワイヤ6は、図面右側及び左側にそれぞれ1本ずつ巻き掛けられ、定滑車4及び動滑車5に交互にジグザグ状に巻き掛けられる。各ワイヤ6の一端はそれぞれワイヤ固定部31に固定され、他端は下部水平部材23の貫通孔24に挿通されて工具9に接続される。これにより、工具9は工具昇降装置1の下方において2本のワイヤによって吊り下げ状態で保持される。
【0020】
第1のシリンダ7はエアシリンダであり、固定フレーム2の下部水平部材23に固定される。第1のシリンダ7の内部は第1のピストン71によって第1の上室72と第1の下室73とに区画され、ピストンロッド74は第1のシリンダ7の上方へ向けて延設される。第1のシリンダ7の側面には、第1の上室72と連通する上部連通孔75及び第1の下室73と連通する下部連通孔76が設けられ、各連通孔75、76は空圧回路100に接続される。
【0021】
第2のシリンダ8はエアシリンダであり、可動フレーム3とともに上下方向に移動可能なように可動フレーム3に一体的に固定される。第2のシリンダ8の内部は第2のピストン81によって第2の上室82と第2の下室83とに区画され、ピストンロッド84は第2のシリンダ8の下方へ向けて延設される。第2のシリンダ8の側面には、第2の上室82と連通する上部連通孔85及び第2の下室83と連通する下部連通孔86が設けられ、各連通孔85、86は空圧回路100に接続される。
【0022】
第2のシリンダ8のピストンロッド84と第1のシリンダ7のピストンロッド74とは連結部10によって連結され、これにより第1のピストン71及び第2のピストン81は一体的に上下方向に摺動する。
【0023】
ここで、図2を参照しながら空圧回路100について詳細に説明する。
【0024】
空圧回路100は、第1のシリンダ7、第2のシリンダ8、エア圧発生源101、方向制御弁102、上昇側操作弁103、下降側操作弁104、減圧弁105、及び急速排気弁106から構成される。
【0025】
上昇側操作弁103及び下降側操作弁104は作業者の切り替え操作によって流路が切り替えられ、エア圧発生源101から供給されるエア圧をパイロット圧として方向制御弁102に供給する。上昇側操作弁103は工具9を上昇させるときに作業者によって操作され、下降側操作弁104は工具9を下降させるときに作業者によって操作される。
【0026】
なお、各操作弁103、104は作業者による切り替え操作に代えて、例えば、組み立てライン上にワークが流れてきたことを検知して自動的に下降側操作弁104を切り替え、作業者が工具9を使用したことを検知して自動的に上昇側操作弁103を切り替えるように設定してもよい。
【0027】
方向制御弁102は、エア圧発生源101から供給されるエア圧を第1の上室72又は第1の下室73に選択的に供給する制御弁であり、流路は上昇側操作弁103又は下降側操作弁104から供給されるパイロット圧によって切り替えられる。すなわち、上昇側操作弁103からパイロット圧が供給されたときはエア圧を第1の下室73に供給し、下降側操作弁104からパイロット圧が供給されたときはエア圧を第1の上室72に供給する。
【0028】
方向制御弁102と第1の上室72及び第1の下室73との間にはそれぞれ速度制御弁107が設けられ、第1の上室72及び第1の下室73からエア圧が排気されるときは予め設定された速度でエア圧が排気される。
【0029】
また、第1のシリンダ7はロック付きシリンダであり、第1の上室72よりもさらに上部には常にエア圧発生源101からのエアが供給されている。エア圧発生源101からのエアが供給されなくなると、再度エアが供給されるまで第1のピストン71はロックされる。これにより、工具昇降装置1が用いられる工場内において、操業停止時に電源オフによってエア圧の供給が停止されても、第1のピストン7は下降せず、工具9は上方位置において保持される。
【0030】
減圧弁105は、エア圧発生源101から供給されるエア圧を減圧して第2の上室82に供給する。第2の上室82に供給されるエアの圧力は減圧弁105のスプリング力を調整することで調節される。
【0031】
急速排気弁106は、減圧弁105と第2の上室82との間に設けられ、減圧弁105と第2の上室82との間を連通状態にするとともに、第2の上室側の圧力が減圧弁側の圧力を上回るのに応じて、第2の上室82を大気と連通させる。すなわち、第2の上室側の圧力が減圧弁側の圧力を上回ったとき、第2の上室82の圧力が減圧弁105から供給される圧力に戻るまでエア圧を排気させる。また、急速排気弁106の排気側にはサイレンサ108が設けられ、急速排気弁106からのエアの排気時の騒音が低減される。
【0032】
第2の下室83はサイレンサ109を介して常に大気に開放されており、第2の下室83の体積の変化に応じてエア圧の吸排気が行われる。
【0033】
空圧回路100は以上のように構成され、第1のシリンダ7に供給されるエア圧の流路を切り替えることで第1のピストン71を上下方向に摺動させるとともに、第2のシリンダ8に作用する力に応じて第2のシリンダ8の上下方向位置が決定される。
【0034】
すなわち、第1のシリンダ7は、第1の上室72の圧力と第1の下室73の圧力との圧力差によって第1のピストン7を上下方向に駆動することで、連結部10を介して第2のシリンダ8を上下方向に駆動する。これにより、第2のシリンダ8と一体的に固定される可動フレーム3及び動滑車5を上下方向に駆動し、ワイヤ6を繰り出す又は巻き取ることで工具を昇降させる。
【0035】
第2のシリンダ87は、第2の上室82に常にエア圧が供給され、第2の下室83は常に大気圧に保持されるので、両者の圧力差によって第2のシリンダ8を上方へ押し上げる方向に力が作用する。また、第2のシリンダ8は可動フレーム3及び動滑車5を介して工具9を支持しているので、工具9の自重によって第2のシリンダ8を下方へと押し下げる方向に力が作用する。従って、第2のシリンダ8は上記2つの力がバランスする上下方向位置に保持される。
【0036】
次に工具昇降装置の動作について図3、図4を参照しながら説明する。
【0037】
図3は、第1のシリンダへのエア圧の流路を切り替えることで工具を上昇又は下降させる場合の工具昇降装置の動作を示す正面図であり、図3(a)は工具を最も高い位置まで上昇させた状態、図3(b)は工具を最も低い位置まで下降させた状態を示す。
【0038】
図3(a)に示すように第1のピストン7が最も上方へと摺動した状態から、作業者が下降側操作弁104を操作して第1の上室72へエアが供給されると、第1のピストン71が下降する。これに伴って、図3(b)に示すように第1のピストン71に連結される第2のピストン81及び第2のシリンダ8が下降し、第2のシリンダ8と一体的に固定される可動フレーム3がともに下降する。
【0039】
ワイヤ6は工具9の自重によって常に下方へと引っ張られているので、可動フレーム3が下降して動滑車5と定滑車4との距離が短くなると、ワイヤ6が下方へと繰り出され、工具9の吊り下げ位置が下降する。
【0040】
このとき、1本のワイヤ6は4つの動滑車5と4つの定滑車4とに交互にジグザグ状に巻き掛けられているので、可動フレーム3の下降量L1より工具9の下降量L2の方が大きくなる。
【0041】
また、作業者が上昇側操作弁103を操作して第1の下室73へエアが供給されると、第1のピストン71が上昇する。これにより、第2のピストン81が上昇し、さらに第2のピストン81によって第2のシリンダ8が上方へと押圧され可動フレーム3が上昇する。
【0042】
可動フレーム3の上昇によって動滑車5と定滑車4との距離が長くなるので、ワイヤ6が上方へと巻きとられ、工具9の吊り下げ位置が上昇する。
【0043】
一方、図4は、工具を最も低い位置まで下降させた状態で作業者が工具を下方へと押し下げた場合の工具昇降装置の動作を示す正面図である。
【0044】
図4(a)に示す状態から作業者が工具9を下方へと押し下げると、ワイヤ6が下方へと引っ張られることで可動フレーム3が下降し、可動フレーム3とともに第2のシリンダ8が下降する。第2のシリンダ8が下降すると第2の上室82の体積が減少して第2の上室82の圧力が増大するので、エア圧が急速排気弁106からサイレンサ108を介して排気される。
【0045】
このとき、図3で示した場合と同様に、1本のワイヤ6は4つの動滑車5と4つの定滑車4とに交互にジグザグ状に巻き掛けられているので、可動フレーム3の下降量L3より工具9の下降量L4の方が大きくなる。
【0046】
作業者が工具9から手を離すと、急速排気弁106からの排気が停止し、工具9の自重による第2のシリンダ8を押し下げる力と、減圧弁105を介して供給されるエア圧による第2のシリンダ8を押し上げる力とがバランスして工具9は作業者が手を離した高さ位置で吊り下げ状態となる。
【0047】
すなわち、作業者が工具9を押し下げる分だけ第2の上室82からエアが排気されて工具9が下降し、作業者が手を離した位置で工具9は吊り下げ状態となる。
【0048】
ここで、作業者が工具9を下方へと押し下げ、工具9から手を離したとき、宙吊り状態となる工具9は所定の上下範囲内において、いわゆるフワフワ感をもって揺動する。なお、工具9の揺動する量、すなわち当該フワフワ感の強さは、第2の上室82の圧力を減圧弁105によって調節することで調整される。
【0049】
以下、工具昇降装置1の作用について説明する。
【0050】
工具昇降装置1は、例えば工場内の製品組み立てラインの上方に固定され、工具9が所定の待機位置に吊り下げ状態で保持される。
【0051】
作業者の操作によって下降側操作弁104が切り替えられると、工具9が所定の低位置まで下降してくる。これにより、作業者が作業の度に工具9を所定の待機位置から下方まで引き寄せる必要がなく、作業を簡素化することができる。
【0052】
工具9が所定の低位置まで下降した状態で、作業者が工具9を所望の作業位置までさらに押し下げると、これに応じて第2の上室82のエア圧が排気されながら工具9がさらに下降する。これにより、作業者が工具9を押し下げる際に要する力が低減される。
【0053】
また、作業者が一旦工具9を離したとしても、第2の上室82に減圧弁105を介して常に一定のエア圧が供給されているので、その時点における高さ位置において工具9は吊り下げ状態で保持される。これにより、工具9を所望の位置に吊り下げ状態で保持させることができる。
【0054】
その後、作業者の操作によって上昇側操作弁103が切り替えられると、工具9が所定の待機位置まで上昇する。
【0055】
以上のように本実施形態では、第1の上室72又は第1の下室73に選択的にエア圧を供給することで圧力差によって第1のピストン7を上下方向に摺動させるので、エア圧によって工具9を昇降させることができるとともに、作業者が工具9を押し下げた場合には第2の上室82の圧力の上昇に伴って急速排気弁106によってエア圧が排気され、これにより第2のシリンダ8が下降するので、工具9を押し下げる際に要する力を低減することができる(請求項1に対応)。
【0056】
また、第2の上室82には減圧弁105を介して一定のエア圧が供給されているので、作業者が工具9を押し下げるのをやめて手を離したときには、その時点における高さ位置に工具9を保持させることができる(請求項1に対応)。
【0057】
さらに、減圧弁105のスプリング力を調節することで減圧弁105から第2の上室82に供給されるエア圧を調整可能であるので、吊り下げ状態の工具9が上下に揺動する量、すなわち工具9のフワフワ感を調整することができる(請求項2に対応)。
【0058】
さらに、工具9を吊り下げるワイヤ6は定滑車4及び動滑車5に交互に巻き掛けられてから可動フレーム3に固定されるので、可動フレーム3の昇降量に比べて工具9の昇降量を大きくすることができる。これにより、工具9の昇降量に対して工具昇降装置1の上下方向のサイズを小型化することができる(請求項3に対応)。
【0059】
さらに、定滑車4及び動滑車5を2組設け、それぞれにワイヤ6を巻き掛けることで工具9を上方の2方向から吊り下げ支持するので、ワイヤ6がねじれることによる工具9の回転を防止することができる(請求項4に対応)。
【0060】
以上説明した実施形態に限定されることなく、その技術的思想の範囲内において種々の変形や変更が可能である。
【0061】
例えば本実施形態では、定滑車4及び動滑車5を2組設け、それぞれにワイヤ6を巻き掛けることで工具9を上方の2方向から吊り下げ支持しているが、定滑車4及び動滑車5を3組以上設け、工具9を3以上の方向から吊り下げ支持してもよい。これにより、工具9の回転をより確実に防止することができる。
【符号の説明】
【0062】
1 工具昇降装置
2 固定フレーム
3 可動フレーム
4 定滑車(第1の滑車)
5 動滑車(第2の滑車)
6 ワイヤ
7 第1のシリンダ
8 第2のシリンダ
9 工具
31 ワイヤ固定部
71 第1のピストン
72 第1の上室
73 第1の下室
81 第2のピストン
82 第2の上室
83 第2の下室
102 方向制御弁(第1のエア圧供給手段)
105 減圧弁(第2のエア圧供給手段、エア圧調整手段)
106 急速排気弁(エア圧排気手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
吊り下げられた工具を昇降可能な工具昇降装置において、
固定フレームと、
ワイヤを介して前記工具を吊り下げ支持した状態で前記固定フレームに沿って昇降する可動フレームと、
前記固定フレームに固定され、上下方向に摺動可能な第1のピストンによって第1の上室と第1の下室とに区画される第1のシリンダと、
前記可動フレームに固定され、前記第1のピストンに一体的に連結される第2のピストンによって第2の上室と大気に連通された第2の下室とに区画される第2のシリンダと、
前記第1の上室又は前記第1の下室に選択的にエア圧を供給することで、圧力差によって前記第1のピストンを上下方向に摺動させる第1のエア圧供給手段と、
前記第2の上室に一定のエア圧を供給する第2のエア圧供給手段と、
前記第2の上室の圧力が前記一定のエア圧より高くなるのに応じて前記第2の上室のエア圧を排気させるエア圧排気手段と、
を備えることを特徴とする工具昇降装置。
【請求項2】
前記第2のエア圧供給手段によって供給される前記一定のエア圧を調整可能なエア圧調整手段を備えることを特徴とする請求項1に記載の工具昇降装置。
【請求項3】
前記固定フレームに回転自在に設けられる1つ以上の第1の滑車と、
前記可動フレームに回転自在に設けられる1つ以上の第2の滑車と、
前記固定フレーム又は前記可動フレームに前記ワイヤを固定するワイヤ固定部と、
を備え、
前記ワイヤは、前記ワイヤ固定部から前記工具までの間において前記第1の滑車及び前記第2の滑車に交互に巻き掛けられることを特徴とする請求項1又は2に記載の工具昇降装置。
【請求項4】
前記ワイヤ、前記第1の滑車、前記第2の滑車及び前記ワイヤ固定部は2組以上設けられ、前記工具は前記ワイヤによって2以上の方向から吊り下げ支持されることを特徴とする請求項3に記載の工具昇降装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−25389(P2011−25389A)
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−176214(P2009−176214)
【出願日】平成21年7月29日(2009.7.29)
【出願人】(000231350)ジヤトコ株式会社 (899)