説明

差動回路への漏洩電流が抑制された論理回路

【課題】差動回路への漏洩電流を抑制することができる論理回路を提供する。
【解決手段】論理回路内に、差動回路に供給される電流量を制御する電流供給制御回路が設けられる。この電流供給制御回路は、差動回路への電流をバイパスするバイパス経路と、バイパス経路に介挿され、外部から入力されたクロック信号の信号レベルに応じてバイパス経路の開閉を行うスイッチング用トランジスタと、差動回路に供給される電流量を制御する電流量制御用トランジスタを備えている。電流量制御用トランジスタは、クロック信号の信号レベルに応じて電流量を調整する。電流量制御用トランジスタは、クロック信号により、差動回路に電流が流れるとき、電流量を十分確保し、バイパス回路に電流が流れるとき、電流量を十分絞るように構成されるので、バイパス回路に電流が流れるときに差動回路に漏洩する電流量が低減される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラッチ回路などの論理回路に関する。
【背景技術】
【0002】
さまざまな半導体集積回路に使用されている論理回路の基本要素回路として、差動回路を備えたラッチ回路が知られている。
【0003】
図1は、従来の一般的なラッチ回路の回路図を示している。図1に示すように、従来のラッチ回路50aは、データ読込み用の差動回路(トランジスタQ51およびQ52などから構成された差動対)段およびデータ保持用の差動回路(トランジスタQ53およびQ54などから構成された差動対)段と、クロック信号が入力され、差動回路の上段への電流切替えの役割を果たす差動回路(トランジスタQ55、Q56などから構成された差動対)段と、さらにその下段の定電流源用のトランジスタQ57段との合計3段の縦積みの構成となっている。
【0004】
このため、他の基本回路要素に比べて高い電源電圧を必要とし、他の機能回路ブロックとワンチップ化、あるいはモジュール化する際に、全体の低電圧化および低消費電力化の妨げとなっていた。したがって、ラッチ回路の消費電力を抑えることが大きな課題となっていた(例えば、特開昭63−86611号公報や特開平2−21717号公報を参照)。
【0005】
このようなラッチ回路の低電圧化対策として、特開昭63−86611号公報や特開平2−21717号公報には、例えば図2に示すような回路が提案されている。
【0006】
図2は、2つの差動回路が並列配置されたラッチ回路(並列配置型のラッチ回路)の回路図を示している。図2に示すラッチ回路50bでは、クロック信号が入力される電流切替え用トランジスタ(Q58)のエミッタ端子が差動回路(トランジスタQ51およびQ52などから構成)の共通エミッタ端子に接続され、電流切替え用トランジスタ(Q59)のエミッタ端子が差動回路(トランジスタQ53およびQ54などから構成)の共通エミッタ端子に接続されている。
【0007】
このような回路構成において、電流切替え用トランジスタ(Q58、Q59)の論理振幅を高く設定しておけば、クロック信号がハイレベルのとき、定電流源の電流は電流切替え用トランジスタ(Q58、Q59)を流れ、差動回路への電流が遮断されることになる。一方、クロック信号がローレベルのとき、定電流源の電流は差動回路を流れる。
【0008】
以上のように、図2に示す回路においては、クロックに同期した電流切替えでラッチ動作を実現している。これにより、差動回路を縦積みする必要がなくなるので、低電圧化が可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開昭63−86611号公報
【特許文献2】特開平2−21717号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、従来の回路には、以下に示す問題がある。
【0011】
図2に示すようなラッチ回路50bが正しく動作するためには、クロック信号がハイレベルのときに、電流源用トランジスタ(Q60、Q61)からの電流が必ず電流切替え用トランジスタ(Q58、Q59)を流れるように、データ信号に比べてクロック信号の強制力を高めなくてはならない。これは、電流切替え用トランジスタ(Q58、Q59)のサイズを、差動回路を構成するトランジスタ(Q51、Q52、Q53、Q54)より大きくすることで可能となる。トランジスタ(Q58、Q59)のサイズを大きくすればするほど、クロック信号の強制力は高まる。しかしながら、過度に大きなトランジスタを用いることは、高速性能の低下や消費電流の増加を招くことになる。
【0012】
したがって、電流切替え用トランジスタ(Q58、Q59)のサイズには自ずと限界があり、実際には、電流切替え用トランジスタ(Q58、Q59)に完全に強制力を持たせることは難しい。そのため、クロック信号がハイレベルのときであっても、電流源から供給される電流の一部が差動回路に漏洩してしまう。
【0013】
図3は、並列配置型のラッチ回路において、その動作時に電流源から電流切替え用トランジスタへ流れる電流I1と、差動回路へ流れる電流I2との関係を示した図である。電流切替え用トランジスタ(Q58)がオン状態になってI1が流れるときに、本来遮断されるべき差動回路への電流I2が完全にはゼロにならず(図中A部)、漏洩電流が流れていることがわかる。この漏洩電流によるデータ信号の電位レベルの降下が、データの論理振幅に対して無視できない場合には、出力波形の劣化などにつながる可能性がある。
【0014】
また、ラッチ回路の回路形式の種類を問わず、一般に、電源電圧を低減しようとすると、各トランジスタに配分されるVCEは小さくせざるを得ない。そのため、デバイスの高周波性能にとって必ずしも最適な動作条件を選択することができず、高速性能の確保が難しくなる。高速性能の改善策としては、インダクタピーキング技術が有効である。
【0015】
図4は、高速性能が改善された並列配置型のラッチ回路の回路図を示している。高速性能を改善するために、差動回路(トランジスタQ51およびQ52、または、トランジスタQ53およびQ54)のコレクタ側の配線を伸ばしたり、コレクタ側にスパイラルインダクタを設けたりしている。ここで生じるインダクタンスLと、次段で接続されるトランジスタの容量Cの並列共振で、高周波数領域の利得を増大させ、高速性能を改善するものである。
【0016】
ところで、並列配置型のラッチ回路であれば、差動回路の他にも、電流切替え用トランジスタ(Q58、Q59)も高速性能を改善させることが望ましい。しかしながら、図4 の例では、電流切替え用トランジスタ(Q58、Q59)のコレクタは、抵抗を介して高電位電源端子に接続されるだけで、トランジスタを含む一切の回路が接続されていないので、この部分の容量成分は、きわめて微小の浮遊容量でしかない。このため、所望の高周波数領域で並列共振による利得ピーキングを起こすには、非常に大きな配線インダクタンスが必要となり、チップ面積の制約により、高速性能の改善は現実的ではない。
【0017】
ラッチ回路は、さまざまな機能回路の中で多数使用されている。図5は、2:1MUXの回路ブロックを示した図である。図5に示すように、2:1MUXは、マスター・スレーブ型のフリップフロップ回路(MS−F/F)71、マスター・スレーブ・マスター型のフリップフロップ回路(MSM−F/F)72、およびセレクタ回路(SELECTOR)73などの回路要素により構成されている。これらの回路要素は、それぞれ、ラッチ回路を用いて構成されている。ここで、各回路要素にクロック相補信号を供給するので、クロック信号の経路は多数分岐されることになる。このため、分岐ごとに信号増幅のバッファ回路が必要となるので、回路点数が多くなり、消費電力の増加を招いてしまう。したがって、集積化した機能回路においては、個々のラッチ回路の低消費電力化だけでなく、バッファ回路(BUF)などの回路点数を減らす必要がある。
【0018】
本発明の目的は、主に差動回路への漏洩電流を抑制することで、低電圧、低消費電力、高速性能に優れたラッチ回路、セレクタ回路などの論理回路を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0019】
上記目的を達成するために、本発明のラッチ回路は、
外部からのデータ信号を読み込むための第1の差動回路と、前記データ信号を保持するための第2の差動回路と、前記第1の差動回路に供給される電流量を制御する第1の電流供給制御回路と、前記第2の差動回路に供給される電流量を制御する第2の電流供給制御回路を備え、
前記第1の電流供給制御回路は、
前記第1の差動回路への電流をバイパスする第1のバイパス経路と、
前記第1のバイパス経路に介挿され、外部から入力されたクロック信号の信号レベルに応じて前記第1バイパス経路の開閉を行う第1のスイッチング手段と、
前記第1の差動回路に供給される電流量を制御する第1の制御手段を備え、
前記第2の電流供給制御回路は、
前記第2の差動回路への電流をバイパスする第2のバイパス経路と、
前記第2のバイパス経路に介挿され、前記クロック信号の信号レベルが反転され、外部から入力されたクロック補信号の信号レベルに応じて前記第2のバイパス経路の開閉を行う第2のスイッチング手段と、
前記第2の差動回路に供給される電流量を制御する第2の制御手段を備え、
前記第1の制御手段は、前記クロック信号の信号レベルに応じて前記電流量を調整し、前記第2の制御手段は、前記クロック補信号の信号レベルに応じて前記電流量を調整する。
【0020】
本発明のセレクタ回路は、
外部からの第1のデータ信号を読み込むための第1の差動回路と、外部からの第2のデータ信号を読み込むための第2の差動回路と、前記第1の差動回路に供給される電流量を制御する第1の電流供給制御回路と、前記第2の差動回路に供給される電流量を制御する第2の電流供給制御回路を備え、
前記第1の電流供給制御回路は、
前記第1の差動回路への電流をバイパスする第1のバイパス経路と、
前記第1のバイパス経路に介挿され、外部から入力されたクロック信号の信号レベルに応じて前記第1バイパス経路の開閉を行う第1のスイッチング手段と、
前記第1の差動回路に供給される電流量を制御する第1の制御手段を備え、
前記第2の電流供給制御回路は、
前記第2の差動回路への電流をバイパスする第2のバイパス経路と、
前記第2のバイパス経路に介挿され、前記クロック信号の信号レベルが反転され、外部から入力されたクロック補信号の信号レベルに応じて前記第2のバイパス経路の開閉を行う第2のスイッチング手段と、
前記第2の差動回路に供給される電流量を制御する第2の制御手段を備え、
前記第1の制御手段は、前記クロック信号の信号レベルに応じて前記電流量を調整し、前記第2の制御手段は、前記クロック補信号の信号レベルに応じて前記電流量を調整する、前記第1のデータ信号と第2のデータ信号とを交互に出力する。
【0021】
本発明の回路ブロックは、
差動回路に供給される電流量を制御する電流供給制御回路と、
クロック信号の信号レベルの変化に同期して外部から入力されたデータ信号を処理する第1および第2の論理回路を備え、
前記第1の論理回路は、前記電流供給制御回路に備える電流切替え用のトランジスタのコレクタにおける信号レベルの情報をクロック信号として第2論理回路に出力し、
前記電流供給制御回路は、
前記差動回路への電流をバイパスするバイパス経路と、
前記バイパス経路に介挿され、外部から入力されたクロック信号の信号レベルに応じて前記バイパス経路の開閉を行うスイッチング手段と、
前記クロック信号の信号レベルに応じて、前記差動回路に供給される電流量を制御する制御手段を備え、
前記スイッチング手段は、電流切替え用のトランジスタを有し、当該トランジスタのエミッタは、前記差動回路の共通エミッタに接続され、
前記制御手段は、前記電流切替え用のトランジスタのエミッタと前記差動回路の共通エミッタとの接続点に接続されており、また、前記制御手段は、前記電流切替え用のトランジスタのコレクタにおける信号レベルの情報を他の論理回路に出力するための出力端子を備える。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、クロック信号の信号レベルに応じて差動回路に供給される電流量を調整するように構成したので、不要な漏洩電流が差動回路に流れることを自動的に抑制することができる。また、このように構成することで、当該論理回路に使用されるトランジスタサイズを抑制でき、高速化、低消費電流化を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】従来技術の一般的なラッチ回路の回路図である。
【図2】2つの差動回路が並列配置された従来技術のラッチ回路(並列配置型ラッチ回路)の回路図である。
【図3】図2のラッチ回路において、その動作時に電流源から電流切替え用トランジスタに流れる電流I1と、差動回路に流れる電流I2との関係を示したグラフである。
【図4】高速性能が改善された従来技術の並列配置型ラッチ回路の回路図である。
【図5】従来技術の2:1MUXの回路ブロック図である。
【図6】本発明の第1の実施形態のラッチ回路の回路図である。
【図7A】本発明の第2の実施形態のラッチ回路の回路図である。
【図7B】図7Aのラッチ回路において、電圧制御回路18、19の詳細を示した回路図である。
【図8A】図7Bのラッチ回路1bにおいて、バイパス経路に流れる電流I1および差動対に流れる電流I2が、クロック信号のクロックレベル(信号レベル)変化に同期して変化する様子を示したグラフである。
【図8B】クロック信号のクロックレベル(信号レベル)変化を示したグラフである。
【図9A】図7Bのラッチ回路が用いられた、識別器などに用いられるマスター・スレーブ型のDタイプF/F回路の回路図(電圧制御回路18、19が個別に備えられる場合)である。
【図9B】図7Bのラッチ回路が用いられた、識別器などに用いられるマスター・スレーブ型のDタイプF/F回路の回路図(電圧制御回路18、19が共有される場合)である。
【図10A】本発明の第3の実施形態のラッチ回路の回路図である。
【図10B】図10Aのラッチ回路において、レベルシフト回路24、25の詳細を示した回路図である。
【図11A】本発明の第4の実施形態のラッチ回路の回路図である。
【図11B】図11Aのラッチ回路において、用量Cを含む回路26、27の詳細を示した回路図である。
【図12A】本発明の第5の実施形態のラッチ回路の回路図である。
【図12B】図12Aのラッチ回路において、用量Cを含む回路26、27の詳細を示した回路図である。
【図13】本発明の第6の実施形態のラッチ回路の回路図である。
【図14A】図13のラッチ回路5を用いて構成された2:1MUXの回路ブロック図である。
【図14B】図13のラッチ回路5を用いて構成された回路の回路ブロック図である。
【図15】本発明のセレクタ回路の回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
次に、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【0025】
(第1の実施形態)
まず、図6を参照して、本発明の第1の実施形態のラッチ回路の構成について説明する。
【0026】
図6は、本発明の第1の実施形態のラッチ回路の回路図を示している。図6において、11aおよび11bはデータ信号入力端子、12aおよび12bはデータ信号出力端子、13aおよび13bはクロック信号入力端子、14は電位Vccが供給される高電位電源端子、15は電位Veeが供給される低電位電源端子である。
【0027】
なお、データ信号入力端子11bに入力されるデータ信号は、データ信号入力端子11aに入力されるデータ信号の信号(論理)レベルが反転されたデータ補信号である。また、クロック信号入力端子13bに入力されるクロック信号は、クロック信号入力端子13aに入力されるクロック信号の信号レベルが反転されたクロック補信号である。
【0028】
第1の実施形態のラッチ回路1aは、図6に示すように、データ信号入力端子11aおよび11bから入力されたデータ信号を読み込む第1の差動回路としてのデータ読込み用差動対16と、上記データ信号を保持する第2の差動回路としてのデータ保持用差動対17と、データ読込み用差動対16に供給される電流量を制御する第1の制御手段としての電圧制御回路18および電流源用トランジスタQ7と、データ保持用差動対17に供給される電流量を制御する第2の制御手段としての電圧制御回路19および電流源用トランジスタQ8と、データ読込み用差動対16への電流をバイパスする第1のバイパス経路20と、データ保持用差動対17への電流をバイパスする第2のバイパス経路21と、クロック信号入力端子13aから入力されたクロック信号の信号レベルに応じて第1のバイパス経路20の開閉を行う第1のスイッチング手段としての電流切替え用トランジスタQ5と、クロック信号入力端子13bから入力されたクロック補信号の信号レベルに応じて第2のバイパス経路21の開閉を行う第2のスイッチング手段としての電流切替え用トランジスタQ6を含む。
【0029】
なお、バイパス経路20、電流切替え用トランジスタQ5、電圧制御回路18、および電流源用トランジスタQ7(または、バイパス経路21、電流切替え用トランジスタQ6、電圧制御回路19、および電流源用トランジスタQ8)は、本発明の電流供給制御回路として機能する。
【0030】
データ読込み用差動対16は、トランジスタQ1およびQ2を含み、トランジスタQ1のコレクタ(端子)は、抵抗R1を介して高電位電源端子14に接続され、トランジスタQ2のコレクタは、抵抗R2を介して高電位電源端子14に接続されている。また、トランジスタQ1のコレクタはデータ信号出力端子12aに、トランジスタQ2のコレクタはデータ信号出力端子12bに、それぞれ接続されている。また、トランジスタQ1のベース(端子)はデータ信号入力端子11aに、トランジスタQ2のベースはデータ信号入力端子11bに、それぞれ接続されている。また、データ読込み用差動対16の共通エミッタ、つまり、トランジスタQ1およびQ2のエミッタ接続点は、電流切替え用トランジスタQ5のエミッタ(端子)、および電流源用トランジスタQ7のコレクタに接続されている。
【0031】
また、電流切替え用トランジスタQ5のコレクタは、抵抗R3を介して高電位電源端子14に接続され、電流切替え用トランジスタQ5のベースは、クロック入力端子13aに接続されている。つまり、電流切替え用トランジスタQ5は、第1のバイパス経路20に介挿されるようになっている。
【0032】
また、電流源用トランジスタQ7のベースは、電圧制御回路18に接続され、電流源用トランジスタQ7のエミッタは、低電位電源端子15に接続されている。
【0033】
一方、データ保持用差動対17は、トランジスタQ3およびQ4を含み、トランジスタQ3のコレクタは、トランジスタQ1のコレクタおよびデータ信号出力端子12aに、トランジスタQ4のコレクタは、トランジスタQ2のコレクタおよびデータ信号出力端子12bに、それぞれ接続されている。また、トランジスタQ3のベースはデータ信号出力端子12bに、トランジスタQ4のベースはデータ信号出力端子12aに、それぞれ接続されている。また、データ保持用差動対17の共通エミッタ、つまり、トランジスタQ3およびQ4のエミッタ接続点は、電流切替え用トランジスタQ6のエミッタ、および電流源用トランジスタQ8のコレクタに接続されている。
【0034】
また、電流切替え用トランジスタQ6のコレクタは、抵抗R4を介して高電位電源端子14に接続され、電流切替え用トランジスタQ6のベースは、クロック入力端子13bに接続されている。つまり、電流切替え用トランジスタQ6は、第2のバイパス経路21に介挿されるようになっている。
【0035】
また、電流源用トランジスタQ8のベースは、電圧制御回路19に接続され、電流源用トランジスタQ8のエミッタは、低電位電源端子15に接続されている。
【0036】
そして、電圧制御回路18は、上記クロック信号の信号レベルに応じてデータ読込み用差動対16に供給される電流量を調整するようになっている。より具体的には、電圧制御回路18は、クロック信号の信号レベルがローレベルの場合にデータ読込み用差動対16に供給される電流量が、当該信号レベルがハイレベルの場合にデータ読込み用差動対16に供給される電流量よりも大きくなるように調整する。すなわち、クロック信号がローレベルのときは、電流源用トランジスタQ7のベース点に高い電位レベルを与え、クロック信号がハイレベルのときは、電流源用トランジスタQ7のベース点に低い電位レベルを与える。
【0037】
同様に、電圧制御回路19は、上記クロック補信号の信号レベルに応じてデータ保持用差動対17に供給される電流量を調整するようになっている。より具体的には、電圧制御回路19は、クロック補信号の信号レベルがローレベルの場合にデータ保持用差動対17に供給される電流量が、当該信号レベルがハイレベルの場合にデータ保持用差動対17に供給される電流量よりも大きくなるように調整する。すなわち、電圧制御回路19は、クロック補信号がローレベルのときは、電流源用トランジスタQ8のベース点に高い電位レベルを与え、クロック補信号がハイレベルのときは、電流源用トランジスタQ8のベース点に低い電位レベルを与える。
【0038】
次に、図6を参照して、第1の実施形態のラッチ回路の動作について説明する。
【0039】
クロック信号入力端子13aから入力されたクロック信号がローレベルのとき、電流切替え用トランジスタQ5は動作しない(オフ動作)ので、第1のバイパス経路20は開状態(非導通状態)となる。したがって、第1のバイパス経路20に流れ込む電流はなく、電流源用トランジスタQ7を介した電流は全て、データ読込み用差動対16に供給される。このとき、電圧制御回路18は、第1のバイパス経路20の開状態に同期して、電流源用トランジスタQ7のベース点に高電位レベルを与える。その結果、電流源用トランジスタQ7は、十分な量の電流をデータ読込み用差動対16に供給することになる。
【0040】
一方、クロック信号入力端子13aから入力されたクロック信号がハイレベルのとき、電流切替え用トランジスタQ5が動作し(オン動作)、第1のバイパス経路20は閉状態(導通状態)となる。したがって、電流源用トランジスタQ7により供給される電流は、第1のバイパス経路20を流れることになる。このとき、電圧制御回路18は、第1のバイパス経路20の閉状態に同期して、電流源用トランジスタQ7のベース点に低電位レベルを与える。その結果、電流源用トランジスタQ7によりデータ読込み用差動対16へ供給される電流量が絞られる。これにより、データ読込み用差動対16に流れる不要な漏洩電流の量も抑制されることになる。
【0041】
なお、クロック信号入力端子13aから入力されたクロック信号がローレベルのとき、クロック信号入力端子13bから入力されたクロック補信号はハイレベルであるため、電流切替え用トランジスタQ6は動作し(オン動作)、第2のバイパス経路21は閉状態(導通状態)となる。このときの電圧制御回路19の動作は、電圧制御回路18と逆の動作、つまり、電流源用トランジスタQ8のベース点に低電位レベルを与えることになる。一方、クロック信号入力端子13aから入力されたクロック信号がハイレベルのとき、クロック信号入力端子13bから入力されたクロック補信号はローレベルであるため、電流切替え用トランジスタQ6は動作せず(オフ動作)、第2のバイパス経路21は開状態(非導通状態)となる。このときの電圧制御回路19の動作は、電圧制御回路18と逆の動作、つまり、電流源用トランジスタQ8のベース点に高電位レベルを与えることになる。
【0042】
以上説明したように、第1の実施形態によれば、電圧制御回路18または19が、バイパス経路20または21の開閉に同期して(クロックに同期して)上下する電位レベルを電流源用トランジスタQ7またはQ8のベース点に与えるようにしたので、不要な漏洩電流が差動対16および17に流れることを自動的に抑制することができ、データ誤りのない高マージンの低電圧ラッチ回路を実現することができる。
【0043】
また、従来の並列配置型のラッチ回路が正しく動作するためには、クロック信号に強制力を持たせるために、電流切替え用トランジスタのサイズを、データ読込み用差動対(またはデータ保持用差動対)を構成するトランジスタより、例えば4倍程度に大きくする必要があったが、第1の実施形態のラッチ回路1aでは、差動対を構成するトランジスタ(Q1、Q2、Q3、Q4)に対して、電流切替え用トランジスタ(Q5、Q6)のサイズを1〜2倍程度の範囲に抑えても正常に動作させることができる。さらに、トランジスタサイズを抑制できることで、第1の実施形態のラッチ回路1aは、高速化、低消費電流化を向上させることができる。
【0044】
(第2の実施形態)
第2の実施形態では、第1の実施形態における電圧制御回路18および19を具体化する。
【0045】
まず、図7A、Bを参照して、第2の実施形態のラッチ回路の構成について説明する。なお、第2実施形態のラッチ回路において、第1実施形態のラッチ回路と同様の構成部分については、同一符号を付す。また、重複する説明は省略する。
【0046】
図7A、Bは、第2の実施形態のラッチ回路の回路図を示している。なお、データ読込み用差動対16の回路とデータ保持用差動対17の回路の接続態様は同じ(ほぼ左右対称)であるので、以下の説明では、データ保持用差動対17の回路におけるトランジスタなどの要素はカッコ内に示すものとする(第3の実施形態以降においても同様)。
【0047】
図7Aに示すように、ラッチ回路1bにおいては、電圧制御回路18(または19)が電流切替え用トランジスタQ5(またはQ6)のコレクタと電流源用トランジスタQ7(またはQ8)のベースの間に設けられており、電流切替え用トランジスタQ5(またはQ6)のコレクタ点の信号レベルの情報を電流源用トランジスタQ7(またはQ8)のベースに入力する帰還経路22(または23)を有している。これにより、電流源用トランジスタQ7(またはQ8)が供給する電流量をバイパス経路20(または21)の開閉に同期して制御でき、不要な漏洩電流が差動対16(または17)に流れることを抑制することができる。
【0048】
図7Bは、電圧制御回路18および19の具体例を示している。電圧制御回路18(または19)は、トランジスタQ9(またはQ10)、およびトランジスタQ11(またはQ12)などを備えて構成されている。トランジスタQ9(またはQ10)のコレクタは高電位電源端子14に接続され、ベースは電流切替え用トランジスタQ5(またはQ6)のコレクタに接続され、エミッタは抵抗R5(またはR6)を介してトランジスタQ11(またはQ12)のコレクタおよびベースに接続されている。また、トランジスタQ11(またはQ12)のコレクタおよびベースは電流源用トランジスタQ7(またはQ8)のベースに接続され、エミッタは低電位電源端子15に接続されている。
【0049】
次に、図7Bを参照して、第2の実施形態のラッチ回路の動作について説明する。
【0050】
クロック信号入力端子13aから入力されたクロック信号がローレベルのとき、電流切替え用トランジスタQ5は動作せず(オフ動作)、第1のバイパス経路20は開状態(非導通状態)となるので、トランジスタQ5のコレクタ、すなわち、トランジスタQ9のベースには抵抗R3を介して高電位レベルが与えられ、電圧制御回路18に流れる電流量は高くなる。このため、電圧制御回路18のトランジスタQ11のベースおよびコレクタ点の電位レベルは上昇し、この点をベース入力点とする電流源用トランジスタQ7のコレクタ電流量は増加する。つまり、電圧制御回路18は、第1のバイパス経路20の開状態に同期して、電流源用トランジスタQ7のベース点に高電位レベルを与える。その結果、電流源用トランジスタQ7は、十分な量の電流をデータ読込み用差動対16に供給することになる。
【0051】
一方、クロック信号入力端子13aから入力されたクロック信号がハイレベルのとき、電流切替え用トランジスタQ5が動作し(オン動作)、第1のバイパス経路20は閉状態(導通状態)となるので、トランジスタQ9のベースには抵抗R3を介して低い電位が与えられ、電圧制御回路18に流れる電流量は低くなる。このため、電圧制御回路18のトランジスタQ11のベースおよびコレクタ点の電位レベルは低下し、この点をベース入力点とする電流源用トランジスタQ7のコレクタ電流量は減少する。つまり、電圧制御回路18は、第1のバイパス経路20の閉状態に同期して、電流源用トランジスタQ7のベース点に低電位レベルを与える。その結果、データ読込み用差動対16へ流れる不要な漏洩電流の量も抑制される。
【0052】
なお、クロック信号入力端子13aから入力されたクロック信号がローレベルのとき、クロック信号入力端子13bから入力されたクロック補信号はハイレベルであるため、電流切替え用トランジスタQ6は動作し(オン動作)、第2のバイパス経路21は閉状態(導通状態)となる。このときの電圧制御回路19の動作(トランジスタQ10およびトランジスタQ12の動作)は、クロック信号がハイレベルのときの電圧制御回路18の動作(トランジスタQ9およびトランジスタQ11の動作)と同様となる。一方、クロック信号入力端子13aから入力されたクロック信号がハイレベルのとき、クロック信号入力端子13bから入力されたクロック補信号はローレベルであるため、電流切替え用トランジスタQ6は動作せず(オフ動作)、第2のバイパス経路21は開状態(非導通状態)となる。このときの電圧制御回路19の動作(トランジスタQ10およびトランジスタQ12の動作)は、クロック信号がローレベルのときの電圧制御回路18の動作(トランジスタQ9およびトランジスタQ11の動作)と同様となる。
【0053】
図8Aは、ラッチ回路1bにおいて、バイパス経路に流れる電流I1および差動対に流れる電流I2が、図8Bのクロック信号のクロックレベル(信号レベル)変化に同期して変化する様子を示している。図8Aに示すように、図3に示す従来のラッチ回路の場合と比較すると、電流切替え用トランジスタがオン状態になってI1が流れるときに、差動対側へ流れる電流I2が十分抑制され、不要な漏洩電流が流れていないことがわかる。
【0054】
以上説明したように、第2の実施形態によれば、第1の実施形態の効果に加え、電流切替え用トランジスタのコレクタ点の信号レベルの情報を電流源用トランジスタのベースに帰還をかけることで、不要な漏洩電流が差動対に流れることを自動的に抑制することができる。
【0055】
なお、上記ラッチ回路1bは、さまざまな回路に適用することができる。図9A、Bは、識別器などに用いられるマスター・スレーブ型のDタイプのフリップフロップ回路(F/F)を示している。図9Aでは、マスター回路およびスレーブ回路のそれぞれに対してラッチ回路が用いられている。一方、図9Bでは、ラッチ回路を構成する電流切替え用トランジスタQ5およびQ6と、電圧制御回路18および19を、マスター回路とスレーブ回路が共有している。
【0056】
(第3の実施形態)
まず、図10A、Bを参照して、第3の実施形態のラッチ回路の構成について説明する。なお、第3の実施形態のラッチ回路において、第1または第2の実施形態のラッチ回路と共通の部分については、同一符号を付している。また、重複する説明は省略する。
【0057】
図10A、Bは、第3の実施形態のラッチ回路の回路図を示している。図10Aに示すように、ラッチ回路2は、第1または第2の実施形態で説明したラッチ回路における電圧制御回路のかわりに、レベルシフト回路を備えている。第1または第2の実施形態におけるラッチ回路と比較すると、回路接続が一部異なっている。図10Aに示すラッチ回路2において、電流切替え用トランジスタQ5のベースは、クロック入力端子13aおよびレベルシフト回路24に接続されている。これにより、クロック入力端子13aから入力されたクロック信号は、2系路に分岐され、電流切替え用トランジスタQ5のベース、およびレベルシフト回路24に入力されることになる。そして、レベルシフト回路24は、電流源用トランジスタQ8のベースに接続されるようになっている。
【0058】
一方、電流切替え用トランジスタQ6のベースは、クロック入力端子13bおよびレベルシフト回路25に接続されている。これにより、クロック入力端子13bから入力されたクロック補信号は2系路に分岐され、電流切替え用トランジスタQ6のベース、およびレベルシフト回路25に入力されることになる。そして、レベルシフト回路25は、電流源用トランジスタQ7のベースに接続されるようになっている。
【0059】
これにより、第1および第2の実施形態と同様、電流源用トランジスタQ7(またはQ8)が供給する電流量をバイパス経路20(または21)の開閉に同期して制御でき、不要な漏洩電流が差動対16(または17)に流れることを抑制することができる。
【0060】
なお、電流源用トランジスタQ7およびレベルシフト回路25は、本発明における第1の制御手段として機能し、電流源用トランジスタQ8およびレベルシフト回路24は、本発明における第2の制御手段として機能する。
【0061】
図10Bは、レベルシフト24および25の具体例を示している。レベルシフト回路24(または25)は、トランジスタQ13(またはQ14)などを備えて構成されている。トランジスタQ13(またはQ14)のコレクタは高電位電源端子14に接続され、ベースは電流切替え用トランジスタQ5(またはQ6)のベースに接続され、エミッタは抵抗R7(またはR8)を介して低電位電源端子15接続されるとともに、トランジスタQ8(またはQ7)のベースに接続されている。
【0062】
次に、図10Bを参照して、第3の実施形態のラッチ回路の動作について説明する。
【0063】
クロック信号入力端子13aから入力されたクロック信号がローレベルのとき、電流切替え用トランジスタQ5は動作せず(オフ動作)、第1のバイパス経路20は開状態(非導通状態)となる。このとき、クロック信号入力端子13bから入力されたクロック補信号はハイレベルであるので、レベルシフト回路25におけるトランジスタQ14および抵抗R8を介して流れる電流量が大きくなる。これにより、電流源用トランジスタQ7のベース点に高電位レベルが与えられ、電流源用トランジスタQ7のコレクタ電流量は増加する。つまり、レベルシフト回路25は、第1のバイパス経路20の開状態に同期して、電流源用トランジスタQ7のベース点に高電位レベルを与える。その結果、電流源用トランジスタQ7は、十分な量の電流をデータ読込み用差動対16に供給することになる。なお、このとき、レベルシフト回路24におけるトランジスタQ13および抵抗R7に流れる電流量は小さくなり、その結果、電流源用トランジスタQ8のベース点に低電位レベルが与えられることになる。
【0064】
一方、クロック信号入力端子13aから入力されたクロック信号がハイレベルのとき、電流切替え用トランジスタQ5は動作し(オン動作)、第1のバイパス経路20は閉状態(導通状態)となる。このとき、クロック信号入力端子13bから入力されたクロック補信号はローレベルであるので、レベルシフト回路25におけるトランジスタQ14および抵抗R8を介して流れる電流量が小さくなる。これにより、電流源用トランジスタQ7のベース点に低電位レベルが与えられ、電流源用トランジスタQ7のコレクタ電流量は低下する。つまり、レベルシフト回路25は、第1のバイパス経路20の閉状態に同期して、電流源用トランジスタQ7のベース点に低電位レベルを与える。その結果、データ読込み用差動対16に流れる不要な漏洩電流の量も抑制される。なお、このとき、レベルシフト回路24におけるトランジスタQ13および抵抗R7に流れる電流量は大きくなり、その結果、電流源用トランジスタQ8のベース点に高電位レベルが与えられることになる。
【0065】
以上説明したように、第3の実施形態によれば、レベルシフト回路を用いて回路を構成した場合であっても、第1および第2の実施形態と同様、不要な漏洩電流が差動対16および17に流れることを自動的に抑制することができる。
【0066】
(第4の実施形態)
図11A、Bを参照して、第4の実施形態のラッチ回路の構成について説明する。なお、第4の実施形態のラッチ回路において、第1または第2の実施形態におけるラッチ回路と共通の部分については、同一符号を付している。また、重複する説明は省略する。
【0067】
図11A、Bは、第4の実施形態のラッチ回路の回路図を示している。図11Aに示すように、ラッチ回路3においては、電流切替え用トランジスタQ5およびQ6のコレクタに、インダクタンス成分Lを有する回路要素とキャパシタンス成分Cを有する回路要素とが並列に接続されている。
【0068】
ここで、インダクタンス成分Lを有する回路要素は、電流切替え用トランジスタQ5(またはQ6)のコレクタ点と高電位電源端子14間の配線を長く伸ばしたり、あるいは、ここにスパイラルインダクタを挿入したりすることで実現される。一方、キャパシタンス成分Cを有する回路要素26(または27)は、例えば、第2の実施形態で説明した電圧制御回路により実現される。
【0069】
図11Bは、キャパシタンス成分Cを有する回路要素を電圧制御回路とした例を示している。第4の実施形態のラッチ回路においては、電流切替え用トランジスタQ5、Q6のコレクタ点と、抵抗R3、R4を介して高電位電源端子14との間にインダクタL1、L2がそれぞれ介挿されており、トランジスタQ1のコレクタと抵抗R1、および、トランジスタQ2のコレクタと抵抗R2との間にインダクタがそれぞれ介挿されている。ラッチ回路3のその他の回路構成は、第2の実施形態におけるラッチ回路1b(図7B)と同様であり、また、ラッチ回路3の動作も、第2の実施形態のラッチ回路1bの動作と同様である。
【0070】
したがって、第4の実施形態のラッチ回路3によれば、ラッチ回路1bと同様の効果を得ることができる。すなわち、不要な漏洩電流が差動対16および17に流れることを自動的に抑制することができる。
【0071】
さらに、第4の実施形態のラッチ回路3によれば、高速性能改善の効果が得られる。すなわち、インダクタL1、L2を、上記のように、電流切替え用トランジスタQ5、Q6のコレクタ点と高電位電源端子14との間にそれぞれ挿入することで、ここに付加されるインダクタンス成分Lと、電圧制御回路26(または27)におけるトランジスタQ9(またはQ10)が有するベース−エミッタ間容量Cbeとの間で並列共振が生じる。共振周波数が所望の高周波数領域となるように、Cbeの値に対して、付加するLの値を選べば、所望の高周波数領域の利得を増加させることができる。その結果、クロック相補信号を入力し電流切替え動作を行うトランジスタQ5、Q6からなるスイッチング手段(回路部)の高速性能を向上させることができる。
【0072】
なお、インダクタの挿入による高速化の方法は、差動対16および17には従来から広く用いられている。しかしながら、かかる方法は、従来、電流切替え動作を行うトランジスタQ5、Q6からなるスイッチング回路部に用いて上記効果を得ることは難しかった。これは、差動対側の出力は、図4に示すように必ず次段回路のトランジスタに入力されるため、トランジスタが有する容量Cbeと、挿入するインダクタLとの間で並列共振を生じさせることができるのに対して、従来、スイッチング回路部の出力側には、大きな容量成分を有するトランジスタなどの回路要素が接続されなかったため、インダクタLの挿入だけでは共振が生じないからである。本実施形態のラッチ回路3では、スイッチング回路部の出力側(電流切替え用トランジスタQ5、Q6のコレクタ側)に電圧制御回路が接続されるために、インダクタLの挿入で高速性能改善効果が得られる。
【0073】
(第5の実施形態)
図12A、Bを参照して、第5の実施形態のラッチ回路の構成について説明する。なお、第5の実施形態のラッチ回路において、第1または第2の実施形態におけるラッチ回路と共通の部分については、同一符号を付している。また、重複する説明は省略する。
【0074】
図12A、Bは、第5の実施形態のラッチ回路の回路図を示している。図12Aに示すように、ラッチ回路4においては、電流切替え用トランジスタQ5およびQ6のコレクタには、インダクタンス成分Lを有する回路要素とキャパシタンス成分Cを有する回路要素とが直列に接続されている。
【0075】
ここで、インダクタンス成分Lを有する回路要素は、電流切替え用トランジスタQ5(またはQ6)のコレクタ点と高電位電源端子14間の配線を長く伸ばしたり、あるいは、ここにスパイラルインダクタを挿入したりすることで実現される。一方、キャパシタンス成分Cを有する回路要素は、例えば、第2の実施形態で説明した電圧制御回路により実現される。
【0076】
図12Bでは、キャパシタンス成分Cを有する回路要素を電圧制御回路とした例を示している。第5の実施形態のラッチ回路4においては、電流切替え用トランジスタQ5、Q6のコレクタ点と電圧制御回路26、27におけるトランジスタQ9、Q10のベース点の間に、インダクタL3、L4がそれぞれ介挿されており、トランジスタQ1のコレクタと抵抗R1、および、トランジスタQ2のコレクタと抵抗R2との間にインダクタがそれぞれ介挿されている。ラッチ回路4のその他の回路構成は第2の実施形態におけるラッチ回路1b(図7B)と同様である。また、ラッチ回路4の動作も、第2の実施形態のラッチ回路1bの動作と同様である。
【0077】
したがって、第5の実施形態のラッチ回路4によれば、ラッチ回路1bと同様の効果を得る。すなわち、不要な漏洩電流が差動対16および17に流れることを自動的に抑制することができる。
【0078】
さらに、第5の実施形態のラッチ回路4によれば、高速性能改善の効果が得られる。すなわち、インダクタL3、L4を、上記のように、電流切替え用トランジスタQ5、Q6のコレクタ点とトランジスタQ9、Q10のベース点の間にそれぞれ挿入することで、ここに付加されるインダクタンス成分Lと、電圧制御回路26(または27)におけるトランジスタQ9(またはQ10)が有するベース−エミッタ間容量Cbeとの間で直列共振が生じる。共振周波数が所望の高周波数領域となるように、Cbeの値に対して、付加するLの値を選べば、所望の高周波数領域の利得を増加させることができる。その結果、クロック相補信号を入力し電流切替え動作を行うトランジスタQ5、Q6からなるスイッチング手段(回路部)の高速性能を向上させることができる。
【0079】
(第6の実施形態)
図13を参照して、第6の実施形態のラッチ回路の構成について説明する。なお、第6の実施形態のラッチ回路において、第1または第2の実施形態のラッチ回路と共通の部分については、同一符号を付している。また、重複する説明は省略する。
【0080】
図13は、第6の実施形態のラッチ回路の回路図を示している。ラッチ回路5は、他の論理回路(例えば、フリップフロップ回路などの機能回路)6へクロック信号を出力するための出力端子16a、16bを備えており、電流切替え用トランジスタQ5、Q6のコレクタがそれぞれ、出力端子16a、16bに接続されるようになっている。そして、その出力端子16a、16bは、他の論理回路6のクロック入力端子に接続されるようになっている。これにより、ラッチ回路5は、本来のラッチ回路としての機能を有すると同時に、クロック相補信号(電流切替え用のトランジスタQ5、Q6のコレクタの信号レベルの情報)を出力端子16a、16bを介して他の論理回路6に出力することができる。なお、電流源用トランジスタQ7、Q8のベースには、それぞれ、第1実施形態において説明した電圧制御回路18、19が接続されることになる。
【0081】
図14Aは、図13に示すラッチ回路5を用いて構成された2:1MUXの回路ブロック図である。図14Aでは、マスター・スレーブ型のフリップフロップ回路(MS−F/F)7、マスター・スレーブ・マスター型のフリップフロップ回路(MSM−F/F)8、およびセレクタ回路(SELECTOR)9の全部もしくは一部が、図13に示したラッチ回路5を用いて構成されるようになっている。
【0082】
したがって、図14Aに示す回路ブロックによれば、図5に示す従来の2:1MUXの回路ブロックのように、各回路要素へ独立した経路をもってクロック相補信号を供給する必要はなく、クロック信号の経路を多数分岐させずに、直列に各回路要素をつなげることができる。よって、分岐ごとに信号増幅のバッファ回路(BUF)を必要としないので、バッファ回路点数を大幅に削減でき、ひいては、大幅な低消費電力化を実現することができる。
【0083】
なお、上記においては、図14Aに示すラッチ回路5を2:1MUXに適用した例を示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、図14Bに示す回路ブロック全般にも適用可能である。
【0084】
以上説明した第1から第6の実施形態においては、主としてラッチ回路に対して本発明の電流供給制御回路を適用した例を示してきたが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば差動回路を有するデータ読込み回路や、セレクタ回路などのさまざまな論理回路の基本要素回路としてあらゆる半導体集積回路に対して適用することができる。以下に、図15を参照して、セレクタ回路に対して本発明の電流供給制御回路を適用した例について説明する。
【0085】
図15は、本発明の電流供給制御回路が適用されたセレクタ回路の回路図を示している。なお、図15に示すセレクタ回路10は、図7Bに示すラッチ回路1bと比較すると、回路接続が若干異なるが、トランジスタおよび抵抗などの回路構成要素は同一であるので、同一の符号を付している。また、重複する説明は省略する。
【0086】
図15に示すように、セレクタ回路10は、第1のデータ信号入力端子11aおよび11bから入力された第1のデータ信号を読み込む第1の差動回路としての第1データ読込み用差動対16と、第2のデータ信号入力端子11cおよび11dから入力された第2のデータ信号を読み込む第2の差動回路としての第2データ読込み用差動対17と、第1データ読込み用差動対16に供給される電流量を制御する第1の制御手段としての電圧制御回路18および電流源用トランジスタQ7と、第2データ読込み用差動対17に供給される電流量を制御する第2の制御手段としての電圧制御回路19および電流源用トランジスタQ8と、第1データ読込み用差動対16への電流をバイパスする第1のバイパス経路20と、第2データ読込み用差動対17への電流をバイパスする第2のバイパス経路21と、クロック信号入力端子13aから入力されたクロック信号の信号レベルに応じて第1のバイパス経路20の開閉を行う第1のスイッチング手段としての電流切替え用トランジスタQ5と、クロック信号入力端子13bから入力されたクロック補信号の信号レベルに応じて第2のバイパス経路21の開閉を行う第2のスイッチング手段としての電流切替え用トランジスタQ6を含む。
【0087】
なお、バイパス経路20、電流切替え用トランジスタQ5、電圧制御回路18、および電流源用トランジスタQ7(または、バイパス経路21、電流切替え用トランジスタQ6、電圧制御回路19、および電流源用トランジスタQ8)は、本発明の電流供給制御回路として機能する。
【0088】
セレクタ回路10は、第1データ読込み用差動対16がクロック信号に同期して第1のデータ相補信号を取り込み、第2データ読込み用差動対17がクロック補信号に同期して第2のデータ相補信号を取り込み、第1と第2のデータ相補信号をデータ信号出力端子12a、12bから交互に出力させるものであり、本発明の電流供給制御回路を適用したことによって、上記第1および第2実施形態と同様の効果が得られる。
【0089】
なお、当該セクレタ回路10においても、上記第3〜第6実施形態にて示したような回路構成にしてもよく、この場合には、上記第3〜第6実施形態と同様の効果が得られる。
【0090】
また、上記実施形態においては、アクティブ素子としてバイポーラトランジスタを想定して説明したが、本発明はアクティブ素子の種類を限定されることはなく、例えばFETなどの素子も同様に適用することができる。また、図6などに示したトランジスタはnpn型のトランジスタを適用しているが、pnp型のトランジスタであってもよい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部からのデータ信号を読み込むための第1の差動回路と、前記データ信号を保持するための第2の差動回路と、前記第1の差動回路に供給される電流量を制御する第1の電流供給制御回路と、前記第2の差動回路に供給される電流量を制御する第2の電流供給制御回路を備え、
前記第1の電流供給制御回路は、
前記第1の差動回路への電流をバイパスする第1のバイパス経路と、
前記第1のバイパス経路に介挿され、外部から入力されたクロック信号の信号レベルに応じて前記第1バイパス経路の開閉を行う第1のスイッチング手段と、
前記第1の差動回路に供給される電流量を制御する第1の制御手段を備え、
前記第2の電流供給制御回路は、
前記第2の差動回路への電流をバイパスする第2のバイパス経路と、
前記第2のバイパス経路に介挿され、前記クロック信号の信号レベルが反転され、外部から入力されたクロック補信号の信号レベルに応じて前記第2のバイパス経路の開閉を行う第2のスイッチング手段と、
前記第2の差動回路に供給される電流量を制御する第2の制御手段を備え、
前記第1の制御手段は、前記クロック信号の信号レベルに応じて前記電流量を調整し、前記第2の制御手段は、前記クロック補信号の信号レベルに応じて前記電流量を調整するラッチ回路。
【請求項2】
前記第1のスイッチング手段は、第1の電流切替え用のトランジスタを有し、当該トランジスタのエミッタは、前記第1の差動回路の共通エミッタに接続され、前記第1の制御手段は、第1の電流源用のトランジスタを有し、当該トランジスタのコレクタは、前記第1の差動回路の共通エミッタに接続されており、
前記第2のスイッチング手段は、第2の電流切替え用のトランジスタを有し、当該トランジスタのエミッタは、前記第2の差動回路の共通エミッタに接続され、前記第2の制御手段は、第2の電流源用のトランジスタを有し、当該トランジスタのコレクタは、前記第2の差動回路の共通エミッタに接続されており、
前記第1の電流切替え用のトランジスタのベースは、第1のレベルシフト回路を介して前記第2の電流源用のトランジスタのベースに接続され、
前記第2の電流切替え用のトランジスタのベースは、第2のレベルシフト回路を介して前記第1の電流源用のトランジスタのベースに接続されている、請求項1に記載のラッチ回路。
【請求項3】
前記第1の制御手段は、前記第1のバイパス経路の開閉に同期して前記電流量を調整し、前記第2の制御手段は、前記第2のバイパス経路の開閉に同期して前記電流量を調整する、請求項1に記載のラッチ回路。
【請求項4】
前記第1のスイッチング手段は、第1の電流切替え用のトランジスタを有し、当該トランジスタのエミッタは、前記第1の差動回路の共通エミッタに接続されており、前記第1の制御手段は、前記第1の電流切替え用のトランジスタのエミッタと前記第1の差動回路の共通エミッタとの接続点に接続され、
前記第2のスイッチング手段は、第2の電流切替え用のトランジスタを有し、当該トランジスタのエミッタは、前記第2の差動回路の共通エミッタに接続されており、前記第2の制御手段は、前記第2の電流切替え用のトランジスタのエミッタと前記第2の差動回路の共通エミッタとの接続点に接続されている、請求項1または3に記載のラッチ回路。
【請求項5】
前記第1の制御手段は、第1の電流源用のトランジスタを有し、当該トランジスタのコレクタが前記接続点に接続されており、前記第1の制御手段は、前記第1の電流切替え用のトランジスタのコレクタにおける信号レベルの情報を前記第1の電流源用のトランジスタのベースに入力する第1の帰還経路をさらに備え、
前記第2の制御手段は、第2の電流源用のトランジスタを有し、当該トランジスタのコレクタが前記接続点に接続されており、前記第2の制御手段は、前記第2の電流切替え用のトランジスタのコレクタにおける信号レベルの情報を前記第2の電流源用のトランジスタのベースに入力する第2の帰還経路をさらに備える、請求項4に記載のラッチ回路。
【請求項6】
前記第1の制御手段は、前記第1の電流切替え用のトランジスタのコレクタにおける信号レベルの情報を他の論理回路に出力するための第1の出力端子を備え、
前記第2の制御手段は、前記第2の電流切替え用のトランジスタのコレクタにおける信号レベルの情報を他の論理回路に出力するための第2の出力端子を備える、請求項4に記載のラッチ回路。
【請求項7】
前記第1の制御手段は、前記クロック信号の信号レベルがローレベルの場合に前記第1の差動回路に供給される電流量が、当該信号レベルがハイレベルの場合に前記第1の差動回路に供給される電流量よりも大きくなるように調整し、
前記第2の制御手段は、前記クロック信号の信号レベルがローレベルの場合に前記第2の差動回路に供給される電流量が、当該信号レベルがハイレベルの場合に前記第2の差動回路に供給される電流量よりも大きくなるように調整する、請求項1、3から6のいずれか1項に記載のラッチ回路。
【請求項8】
前記第1の電流切替え用のトランジスタのコレクタには、インダクタンス成分を有する第1の回路要素とキャパシタンス成分を有する第2の回路要素との並列回路が接続され、
前記第2の電流切替え用のトランジスタのコレクタには、インダクタンス成分を有する第3の回路要素とキャパシタンス成分を有する第4の回路要素との並列回路が接続されている、請求項4から7のいずれか1項に記載のラッチ回路。
【請求項9】
前記第1の電流切替え用のトランジスタのコレクタには、インダクタンス成分を有する第1の回路要素とキャパシタンス成分を有する第2の回路要素との直列回路が接続され、
前記第2の電流切替え用のトランジスタのコレクタには、インダクタンス成分を有する第3の回路要素とキャパシタンス成分を有する第4の回路要素との直列回路が接続されている、請求項4から7のいずれか1項に記載のラッチ回路。
【請求項10】
外部からの第1のデータ信号を読み込むための第1の差動回路と、外部からの第2のデータ信号を読み込むための第2の差動回路と、前記第1の差動回路に供給される電流量を制御する第1の電流供給制御回路と、前記第2の差動回路に供給される電流量を制御する第2の電流供給制御回路を備え、
前記第1の電流供給制御回路は、
前記第1の差動回路への電流をバイパスする第1のバイパス経路と、
前記第1のバイパス経路に介挿され、外部から入力されたクロック信号の信号レベルに応じて前記第1バイパス経路の開閉を行う第1のスイッチング手段と、
前記第1の差動回路に供給される電流量を制御する第1の制御手段を備え、
前記第2の電流供給制御回路は、
前記第2の差動回路への電流をバイパスする第2のバイパス経路と、
前記第2のバイパス経路に介挿され、前記クロック信号の信号レベルが反転され、外部から入力されたクロック補信号の信号レベルに応じて前記第2のバイパス経路の開閉を行う第2のスイッチング手段と、
前記第2の差動回路に供給される電流量を制御する第2の制御手段を備え、
前記第1の制御手段は、前記クロック信号の信号レベルに応じて前記電流量を調整し、前記第2の制御手段は、前記クロック補信号の信号レベルに応じて前記電流量を調整する、前記第1のデータ信号と第2のデータ信号とを交互に出力するセレクタ回路。
【請求項11】
前記第1のスイッチング手段は、第1の電流切替え用のトランジスタを有し、当該トランジスタのエミッタは、前記第1の差動回路の共通エミッタに接続され、前記第1の制御手段は、第1の電流源用のトランジスタを有し、当該トランジスタのコレクタは、前記第1の差動回路の共通エミッタに接続されており、
前記第2のスイッチング手段は、第2の電流切替え用のトランジスタを有し、当該トランジスタのエミッタは、前記第2の差動回路の共通エミッタに接続され、前記第2の制御手段は、第2の電流源用のトランジスタを有し、当該トランジスタのコレクタは、前記第2の差動回路の共通エミッタに接続されており、
前記第1の電流切替え用のトランジスタのベースは、第1のレベルシフト回路を介して前記第2の電流源用のトランジスタのベースに接続され、
前記第2の電流切替え用のトランジスタのベースは、第2のレベルシフト回路を介して前記第1の電流源用のトランジスタのベースに接続されている、請求項10に記載のセレクタ回路。
【請求項12】
前記第1の制御手段は、前記第1のバイパス経路の開閉に同期して前記電流量を調整し、前記第2の制御手段は、前記第2のバイパス経路の開閉に同期して前記電流量を調整する、請求項10に記載のセレクタ回路。
【請求項13】
前記第1のスイッチング手段は、第1の電流切替え用のトランジスタを有し、当該トランジスタのエミッタは、前記第1の差動回路の共通エミッタに接続されており、前記第1の制御手段は、前記第1の電流切替え用のトランジスタのエミッタと前記第1の差動回路の共通エミッタとの接続点に接続され、
前記第2のスイッチング手段は、第2の電流切替え用のトランジスタを有し、当該トランジスタのエミッタは、前記第2の差動回路の共通エミッタに接続されており、前記第2の制御手段は、前記第2の電流切替え用のトランジスタのエミッタと前記第2の差動回路の共通エミッタとの接続点に接続されている、請求項10または12に記載のセレクタ回路。
【請求項14】
前記第1の制御手段は、第1の電流源用のトランジスタを有し、当該トランジスタのコレクタが前記接続点に接続されており、前記第1の制御手段は、前記第1の電流切替え用のトランジスタのコレクタにおける信号レベルの情報を前記第1の電流源用のトランジスタのベースに入力する第1の帰還経路をさらに備え、
前記第2の制御手段は、第2の電流源用のトランジスタを有し、当該トランジスタのコレクタが前記接続点に接続されており、前記第2の制御手段は、前記第2の電流切替え用のトランジスタのコレクタにおける信号レベルの情報を前記第2の電流源用のトランジスタのベースに入力する第2の帰還経路をさらに備える、請求項13に記載のセレクタ回路。
【請求項15】
前記第1の制御手段は、前記第1の電流切替え用のトランジスタのコレクタにおける信号レベルの情報を他の論理回路に出力するための第1の出力端子を備え、
前記第2の制御手段は、前記第2の電流切替え用のトランジスタのコレクタにおける信号レベルの情報を他の論理回路に出力するための第2の出力端子を備える、請求項13に記載のセレクタ回路。
【請求項16】
前記第1の制御手段は、前記クロック信号の信号レベルがローレベルの場合に前記第1の差動回路に供給される電流量が、当該信号レベルがハイレベルの場合に前記第1の差動回路に供給される電流量よりも大きくなるように調整し、
前記第2の制御手段は、前記クロック信号の信号レベルがローレベルの場合に前記第2の差動回路に供給される電流量が、当該信号レベルがハイレベルの場合に前記第2の差動回路に供給される電流量よりも大きくなるように調整する、請求項10、12から15のいずれか1項に記載のセレクタ回路。
【請求項17】
前記第1の電流切替え用のトランジスタのコレクタには、インダクタンス成分を有する第1の回路要素とキャパシタンス成分を有する第2の回路要素との並列回路が接続され、
前記第2の電流切替え用のトランジスタのコレクタには、インダクタンス成分を有する第3の回路要素とキャパシタンス成分を有する第4の回路要素との並列回路が接続されている、請求項13から16のいずれか1項に記載のセレクタ回路。
【請求項18】
前記第1の電流切替え用のトランジスタのコレクタには、インダクタンス成分を有する第1の回路要素とキャパシタンス成分を有する第2の回路要素との直列回路が接続され、
前記第2の電流切替え用のトランジスタのコレクタには、インダクタンス成分を有する第3の回路要素とキャパシタンス成分を有する第4の回路要素との直列回路が接続されている、請求項13から16のいずれか1項に記載のセレクタ回路。
【請求項19】
差動回路に供給される電流量を制御する電流供給制御回路と、
クロック信号の信号レベルの変化に同期して外部から入力されたデータ信号を処理する第1および第2の論理回路を備え、
前記第1の論理回路は、前記電流供給制御回路に備える電流切替え用のトランジスタのコレクタにおける信号レベルの情報をクロック信号として第2論理回路に出力し、
前記電流供給制御回路は、
前記差動回路への電流をバイパスするバイパス経路と、
前記バイパス経路に介挿され、外部から入力されたクロック信号の信号レベルに応じて前記バイパス経路の開閉を行うスイッチング手段と、
前記クロック信号の信号レベルに応じて、前記差動回路に供給される電流量を制御する制御手段を備え、
前記スイッチング手段は、電流切替え用のトランジスタを有し、当該トランジスタのエミッタは、前記差動回路の共通エミッタに接続され、
前記制御手段は、前記電流切替え用のトランジスタのエミッタと前記差動回路の共通エミッタとの接続点に接続されており、また、前記制御手段は、前記電流切替え用のトランジスタのコレクタにおける信号レベルの情報を他の論理回路に出力するための出力端子を備える、回路ブロック。
【請求項20】
前記制御手段は、前記バイパス経路の開閉に同期して前記電流量を調整する、請求項19に記載の回路ブロック。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8A】
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【図8B】
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【図9A】
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【図9B】
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【図10A】
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【図10B】
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【図11A】
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【図11B】
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【図12A】
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【図12B】
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【図13】
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【図14A】
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【図14B】
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【図15】
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【公開番号】特開2010−178382(P2010−178382A)
【公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−106462(P2010−106462)
【出願日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【分割の表示】特願2005−506977(P2005−506977)の分割
【原出願日】平成16年6月16日(2004.6.16)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】