説明

差換印付きの回転ゴム印

【課題】使用状態における差換印4の前後遊動を確実に規制でき、しかも差換印4の着脱を簡便に行うことができる使い勝手に優れた回転ゴム印を提供することにある。
【解決手段】本体部1と、印面台2とを備えている。本体部1には、複数の印字ベルト9と操作ダイヤル10とを含む回転印字機構を設ける。印面台2には、差換印4を着脱可能に装着する。差換印4は、印字体44を固定支持する支持体40を備えている。本体部1の印面台2との連結部分に、差換印4を着脱するための着脱口8を開口し、着脱口8に臨む印面台2に差換印4を差し込み係合するための装着部17を設ける。差換印4を装着部17に装着した状態において、差換印4の上部を前後移動不能に位置保持する第1規制構造を、本体部1と差換印4の上部との間に設ける。さらに、差換印4の下部を前後移動不能に位置保持する第2規制構造を、装着部17と差換印4の下部との間に設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、日付印に代表される回転ゴム印、なかでも差換式の印字体(差換印)を備えている回転ゴム印に関する。差換印を差し換えることにより、例えば捺印者の氏名や社員番号、あるいはロット番号などの識別情報を印字できる。
【背景技術】
【0002】
この種の回転ゴム印は、本出願人の提案に係る特許文献1に公知である。そこでは、印面台の下面に固定した固定印字体で、受付、領収、検査済などの固定的な捺印情報を印字し、複数個の印字ベルトによって日付情報を印字する。さらに、本体部に対して着脱可能に設けられた差換印で捺印者の氏名や社員番号などの識別情報を印字して責任の所在を明確化できる。
【0003】
上記の日付印においては、本体部の外フレームの後面に着脱口を開口し、さらに印面台の座壁と固定印字体のそれぞれに組付窓と組付開口を形成して、差換印を着脱口の外面側から着脱できるようにしている。差換印は支持体と、支持体の外側面に突設される摘み部とを一体に備えたプラスチック成形品からなり、支持体の下端面にゴム印字体が固定してある。差換印を本体部に装着した状態においては、支持体と摘み部とで挟まれる溝部分が先の着脱口の上周縁壁と係合して、差換印が前後方向にぐらつくのを規制している。また、着脱口の左右周縁の内面に固定した規制片で支持体の両側面を受け止めて、差換印が左右方向の遊動を防いでいる。さらに、着脱口の上周縁の内面に固定したストッパーで、支持体の上端に設けた高さ調整用のねじを受け止めて、差換印の印面高さを調整できるようにしている。
【0004】
【特許文献1】特許第3642406号公報(段落番号0021、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に係る日付印においては、着脱口の上周縁壁に支持体と摘み部との間の溝部分を係合するので、差換印の前後方向のぐらつきをある程度は規制できる。しかし、差換印の着脱を容易化する必要上、印面台の座壁と固定印字体に開口される組付窓および組付開口を、差換印の支持部の横断面形状より一回り大きく形成している。さらに、差換印はその上部に設けた溝部分が着脱口の上周縁壁と係合しているだけで、支持体の下側は組付窓および組付開口の内部で前後に遊動する余地がある。そのため、捺印時に差換印の印字面が前後にずれ動いて、差換印の印字位置にばらつきを生じるおそれがある。印字位置が前後にばらついたとしても、その量は極く僅かでしかなく、しかも、印字された文字に滲みやかすれがある訳ではないので実用上の支障はない。しかし、ユーザーによっては差換印の印字位置のばらつきが問題視され、印字位置のばらつきを一掃できることが要望されている。
【0006】
座壁および固定印字体に開口される組付窓や組付開口の開口寸法を小さくすると、差換印の支持体が遊動できる隙間を充分に小さくして、印字面の前後方向のずれをある程度は規制できる。しかし、そうすると差換印を交換するときに支持体の下部が組付窓や組付開口の周囲壁と接当干渉するため、差換印の着脱を円滑に行うことが困難となり、使い勝手が著しく悪くなってしまう。
【0007】
また、上記の日付印においては、調整用のねじを受け止めるストッパーと規制片が、外フレームとは別体のプレス金具で構成してあるため、その分だけ回転ゴム印の構成部品点数が増え、しかも、ストッパーおよび規制片を外フレームに対して溶接しなければならず、全体として差換印を備えた回転ゴム印の製造に要するコストが嵩む不利がある。
【0008】
本発明の目的は、使用状態における差換印の前後遊動を確実に規制でき、しかも差換印の着脱を簡便に行うことができる使い勝手に優れた回転ゴム印を提供することにある。本発明の目的は、差換印の支持構造を簡素化して回転ゴム印の全体コストを削減できる回転ゴム印を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の差換印付きの回転ゴム印は、本体部1と、本体部1の下部に連結される印面台2とを備えており、本体部1には、複数の印字ベルト9と、印字ベルト9を回転操作する操作ダイヤル10とを含む回転印字機構が設けられ、印面台2に差換印4が着脱可能に装着してある。差換印4は、印字体44を固定支持する支持体40を備えている。本体部1の印面台2との連結部分には、差換印4を着脱するための着脱口8が開口されて、着脱口8に臨む印面台2に差換印4を差し込み係合するための装着部17が設けてある。差換印4を着脱口8から装着部17に装着した状態において、差換印4の上部を前後移動不能に位置保持する第1規制構造を、本体部1と差換印4の上部との間に設ける。さらに、差換印4の下部を前後移動不能に位置保持する第2規制構造を、装着部17と差換印4の下部との間に設ける。
【0010】
第2規制構造は、上下にのみ相対スライド可能に係合される突起43と溝35とで構成し、突起43と溝35のいずれか一方を差換印4の側面に設け、他方を装着部17に設ける。
【0011】
装着部17は、着脱口8の内方に向かって連出される一対の枠側壁32と、両枠側壁32の対向面に隣接配置される一対のガイド突起33・34とで構成する。支持体40の側面に設けた一対のスライド突起43と、装着部17の一対のガイド突起33・34の間に形成したガイド溝35とで第2規制構造を構成する。
【0012】
第1規制構造は、支持体40の後面上方に突設される摘み部41と、支持体40の上面に突設される掛止片42と、摘み部41および掛止片42で内外に挟持される着脱口8の上周縁壁とで構成する。
【0013】
差換印4を左右移動不能に固定保持する左右規制構造を、装着部17と差換印4との間に設ける。左右規制構造は、支持体40の両側面と、支持体40の両側面を受け止めるガイド突起33・34とで構成する。
【0014】
印面台2は、例えばプラスチック成形品で形成することができ、固定印字体21を支持するホルダー部15と、本体部1の外フレーム6に連結されるスライド枠16と、スライド枠16の内面に設けられる装着部17とを一体に備えている。
【0015】
外フレーム6に開口した着脱口8の上縁に、差換印4の上方移動限界を規定するストッパー13を外フレーム6と一体に設ける。以て、ストッパー13と差換印4との間に、差換印4の印面の高さを調整する調整ねじ48を設ける。
【発明の効果】
【0016】
本発明の回転ゴム印においては、本体部1の印面台2との連結部分に、差換印4を着脱するための着脱口8を開口し、着脱口8に臨む印面台2に差換印4を差し込み係合するための装着部17を設けるようにした。そのうえで、本体部1と差換印4の上部との間に第1規制構造を設け、さらに、装着部17と差換印4の下部との間に第2規制構造を設けて、差換印4の上部はもちろん、下部側も前後移動不能に位置保持できるようにした。したがって本発明の回転ゴム印によれば、使用状態における差換印4の前後遊動を、第1・第2の両規制構造で確実に規制して、差換印4の印字位置がばらつくのを一掃できる。また、第1・第2の両規制構造で差換印4の前後移動を規制するので、印面台の組付窓や組付開口の開口寸法を小さくして差換印の前後移動を規制する場合に比べて、差換印4の着脱を簡便に行ってこの種の回転ゴム印の使い勝手を向上できる。
【0017】
上下にのみ相対スライド可能に係合される突起43と溝35とで第2規制構造を構成し、突起43と溝35のいずれか一方を差換印4の側面に設け、他方を装着部17に設けるようにすると、第2規制構造の構造を簡素化しながら、差換印4の下側が前後移動するのを確実に規制でき、その分だけ第2規制構造を備えた回転ゴム印をより低コストで提供できる。
【0018】
一対の枠側壁32と、両枠側壁32の対向面に隣接配置される一対のガイド突起33・34とで装着部17を構成し、支持体40の側面に設けた一対のスライド突起43と、先の一対のガイド突起33・34の間に形成したガイド溝35とで第2規制構造を構成すると、枠側壁32と一対のガイド突起33・34とで装着部17の構造強度を向上して、差換印4をより安定した状態で支持でき、同時に、差換印4の下側が前後移動するのを第2規制構造によってさらに確実に規制できる。また、差換印4を装着部17に組み込む際に、ガイド溝35でスライド突起43を案内し位置決めした状態で差換印4を組み付けることができるので、差換印4の組み付けおよび取り外しを簡便に行なえる。
【0019】
支持体40の後面上方に突設される摘み部41と、支持体40の上面に突設される掛止片42と、摘み部41および掛止片42で内外に挟持される着脱口8の上周縁壁とで構成した第1規制構造によれば、着脱口8の周縁壁を利用して、差換印4の上部の前後移動を規制できるので、第1規制構造の構造に無駄がなく、その分だけ差換印4を備えた回転ゴム印の製造コストをさらに削減できる。また、強度的に堅牢で厚みにばらつきのない着脱口8の周縁壁を利用して差換印4の上部の前後移動を規制するので、第1規制構造による前後規制作用を常に安定した状態で発揮できる。
【0020】
支持体40の両側面と、支持体40の両側面を受け止めるガイド突起33・34とで左右規制構造を構成する回転ゴム印によれば、左右規制構造によって差換印4の左右移動を規制して差換印4による印字位置をさらに厳密に位置決めできる。また、装着部17のガイド突起33・34を利用して差換印4の左右移動を規制するので構造に無駄がなく、その分だけ、左右規制構造を備えた回転ゴム印の製造コストを削減できる。
【0021】
ホルダー部15と、スライド枠16と、スライド枠16の内面に設けられる装着部17を一体に備えた印面台2によれば、装着部17を印面台2と一体に形成する分だけ差換印4の支持構造を簡素化して、回転ゴム印の全体コストを削減できる。また、装着部17を利用して、差換印4の下部の前後移動の規制と左右移動の規制とを同時に行なうことができるので、例えば装着部17を独立した部品として形成する場合に比べて、差換印4を強固にしかも精度よく位置決めした状態で支持できる。
【0022】
外フレーム6に開口した着脱口8の上縁に、差換印4の上方移動限界を規定するストッパー13を外フレーム6と一体に設け、ストッパー13と差換印4との間に、差換印4の印面高さを調整する調整ねじ48を設ける回転ゴム印によれば、ストッパーを独立した部品として形成する場合に比べて、差換印4の印面高さ調整構造を簡素化して、その分だけ印面高さ調整構造を備えた回転ゴム印の製造コストを削減できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
(実施例) 図1ないし図7は本発明に係る回転ゴム印を日付印に適用した実施例を示す。図2において、日付印は本体部1と、本体部1の下部に上下スライド可能に装着される印面台2と、本体部1に組み込まれる回転印字機構と、本体部1の上部に装着されるグリップ3と、印面台2に着脱される差換印4などで構成する。
【0024】
本体部1は、門形に形成される内フレーム5と、内フレーム5の外面を覆う前後に二分割された外フレーム6と、外フレーム6の上端に外嵌装着される固定枠7とで構成する。内フレーム5はプラスチック成形品からなり、外フレーム6および固定枠7はステンレス板材を素材とするプレス成形品からなる。内フレーム5と固定枠7との間には高さ調整機構が設けられており、この調整機構を操作することにより内フレーム5を上下に移動させて、印字ベルト9の印面高さを調整できる。差換印4を外フレーム6の内部に出し入れするために、外フレーム6の後面に着脱口8が開口してある。着脱口8の上縁の左右中央には、差換印4の上方移動を規制するストッパー13が、フレーム壁を利用して一体に折曲げ形成してある。
【0025】
回転印字機構は、5個の印字ベルト9と、各印字ベルト9の上半側が巻き掛けられる操作ダイヤル10と、印字ベルト9の下部内面を受け止めるブリッジ11とで構成する。5個の印字ベルト9によって年号、月、日にちを印字でき、例えば図3においては、向かって左側2個の印字ベルト9で年号を、中央1個の印字ベルト9で月を、右側2個の印字ベルト9で日にちをそれぞれ印字する。印字ベルト9の外面には、台形状の一群の印面部9aが一定間隔おきに形成してある。印面部9aは多孔質ゴムで形成してあり、印面部9aにインクを吸蔵させることにより、複数回の捺印を連続して行なうことができる。
【0026】
操作ダイヤル10は、印字ベルト9が巻き掛けられる放射枠状のプーリー部10aと、プーリー部10aを回転操作する金属板製のダイヤル板10bとからなる(図2参照)。操作ダイヤル10は各印字ベルト9に対応して設けられており、先の内フレーム5に固定したダイヤル軸12で個別回転可能に支持してある。印字ベルト9をプーリー部10aに巻き掛けた状態においては、放射状に延びるプーリー腕によって印字ベルト9が多角形状に支持される。ダイヤル板10bの前後周縁は、外フレーム6のスリット6aを介してフレーム外面に露出させてある。ブリッジ11は、ステンレス板材を素材とする断面コ字状のプレス成形品からなり、その開口面が上向きになる状態で内フレーム5の下端に係合装着されて、各印字ベルト9の内面を受け止め支持する。
【0027】
印面台2は、下側のホルダー部15と、ホルダー部15の上面に設けられる四角枠状のスライド枠16と、スライド枠16の内面に設けられる装着部17を一体に備えたプラスチック成形品からなる。ホルダー部15は円形の座壁19と、座壁19の周縁から下向きに突設される規制脚20とで下向きに開口する皿状に形成してある。座壁19の下面に多孔質ゴムで形成した固定印字体21が接着固定してある。規制脚20の下端面は、固定印字体21の印字面より僅かに高い位置に位置させてあり、これにより捺印時における固定印字体21の押し付け限界を規定することができる。
【0028】
印字ベルト9の印面部9aを固定印字体21の下面側へ露出させるために、座壁19および固定印字体21の中央部分に印字窓22を開口し、この印字窓22の後方に差換印4を固定印字体21の下面側へ露出させるための印字窓23を座壁19および固定印字体21に開口している。スライド枠16の左右壁には、後述するボルト25用の挿通穴が形成され、スライド枠16の前後壁には切欠24が形成してある(図3参照)。
【0029】
印面台2は本体部1に対して上下スライド可能に連結してある。詳しくは、スライド枠16を外フレーム6の下部に外嵌装着し、スライド枠16と内外フレーム5・6の左右壁にボルト25を挿通し、さらにボルト25にナット26をねじ込んで、印面台2を本体部1と連結する。内外フレーム5・6には、ボルト25の上下移動を許す上下に長いスライド溝27が形成してある。これにより、印面台2はスライド溝27の形成範囲内を上下に移動して、ホルダー部15の座壁19が本体部1で受け止められる使用位置(図2に示す状態)と、座壁19が印字ベルト9の回転軌跡の外に位置する退避位置(図4に示す状態)との間をスライド変位できる。
【0030】
図3に示すように装着部17は、着脱口8の内方へ向かって連出される一対の枠側壁32と、両枠側壁32の対向面に隣接配置される前後一対のガイド突起33・34と、ガイド突起33・34の間に形成されるガイド溝(溝)35などで構成する。装着部17は、外フレーム6の着脱口8の形成位置と、先に述べた印字窓23の両者に対応して形成してあり、両枠側壁32、およびガイド突起33・34の下端は座壁19に連続している。後側のガイド突起34の上下寸法は、前側のガイド突起33の上下寸法より小さく設定してあり、その上端には差換印4の装着を容易化する斜めの案内面36が形成してある。
【0031】
差換印4は、横断面が横に長い長方形状の支持体40と、支持体40の後面(外面)に設けられる摘み部41と、支持体40の上面左右に突設される掛止片42と、支持体40の両側に突設される一対のスライド突起(突起)43とを一体に備えたプラスチック成形体と、支持体40の下面に固定される印字体44とで構成してある。図4に示すように、摘み部41と掛止片42とは僅かな隙間45を介して前後に位置ずれした状態で配置してあり、この隙間45は外フレーム6の壁面の厚み寸法に一致している。差換印4を着脱口8から装着部17に装着することにより、先の印字体44が印字窓23を介して固定印字体21の下面側へ露出する。印字体44は、固定印字体21と同じ多孔質ゴムで形成してある。スライド突起43の下端は半円状に丸めてある。
【0032】
上記のように、差換印4を装着部17に装着した状態において、差換印4を前後移動不能に位置保持してその印字位置のばらつきを防ぐために第1・第2の規制構造を設け、さらに差換印4を左右移動不能に位置保持するために左右規制構造を設けている。
【0033】
第1規制構造は、先の摘み部41と、掛止片42と、摘み部41および掛止片42で内外に挟持される着脱口8の上周縁壁とで構成してあり、差換印4を装着部17に装着した状態において、図5に示すように差換印4の上部を前後移動不能に固定保持する。第2規制構造は、装着部17に設けたガイド溝35と、差換印4に設けたスライド突起43とで構成してあり、差換印4を装着部17に装着した状態において、差換印4の下部を前後移動不能に固定保持する(図1参照)。
【0034】
左右規制構造は、支持体40の両側面と、支持体40の両側面を受け止めるガイド突起33・34とで構成してあり、差換印4を装着部17に装着した状態において、両ガイド突起33・34の対向面で支持体40の両側面を受け止めて、差換印4を左右移動不能に保持固定する(図1および図6参照)。
【0035】
差換印4の印字体44の印面高さを、固定印字体21の印面高さと一致させるために、ストッパー13と支持体40との間に差換印4の印面の高さを調整する調整ねじ48を設けている。この実施例では、支持体40の上部にナット47を回転不能に係合装着し、ナット47に対して調整ねじ48をねじ込み装着し、調整ねじ48の操作頭部をストッパー13の下面で受け止めるようにした。
【0036】
図2において印字ベルト9用の高さ調整機構は、内フレーム5の上端壁に固定されるねじ軸51と、固定枠7の上面においてねじ軸51にねじ込まれるナット52と、ナット52を回転操作する調整リング53とで構成する。ねじ軸51の上端にはグリップ3がねじ込まれて、その下端面が調整リング53を回転不能に押圧している。グリップ3を緩み側へ回転操作して調整リング53から分離した後、調整リング53を介してナット52を回転操作することにより、内フレーム5および印字ベルト9を上下方向へ調整移動できる。
【0037】
印字ベルト9を回転操作して印字内容を変更する場合には、図4に示すように印面台2を退避位置までスライド操作して、その座壁19を印字ベルト9の回転軌跡の外に位置させる。この状態で各操作ダイヤル10を回転することにより、印字すべき数字が形成してある印面部9aをブリッジ11の外面に位置させることができる。
【0038】
図5に示すように差換印4を装着部17に装着した状態においては、調整ねじ48の操作頭部がストッパー13の下面で受け止められている。また、摘み部41と掛止片42とが着脱口8の上周縁壁を内外に挟持し、同時に差換印4に設けたスライド突起43が、ガイド溝35で前後遊動不能に係合支持されている。この状態から、上記のように印面台2を退避位置までスライド操作させて差換印4の交換を行なう。
【0039】
印面台2を退避位置までスライド操作した状態では、スライド突起43がガイド溝35から抜け出て、外フレーム6の側に差換印4が保持されている。この状態から、摘み部41を掴んで差換印4を印面台2の側へ向かって押し下げ操作することにより、掛止片42の上端を着脱口8の上周縁壁より下方に位置させて、掛止片42を着脱口8の外へ抜き出せるようにする。次に、差換印4の全体を着脱口8の外へ向かって斜めに傾斜させ、掛止片42を着脱口8の外へ抜き出すことにより、差換印4の全体を装着部17から取り外すことができる。
【0040】
新たな差換印4を装着部17に装着するときは、上記の分離手順の逆の手順に従って差換印4を差し込み係合する。詳しくは、図4に想像線で示すように摘み部41を掴んで差換印4を斜めに支持し、その印字体44および支持体40の下部を、ガイド突起33・34の間から印字窓23に差し込む。この状態で、スライド突起43の下端を案内面36で受け止めて、差換印4の全体を徐々に起立させることにより、係止片42の上端が着脱口8の上周縁壁をくぐり抜けて、着脱口8の内部に入り込む。さらに、差換印4の全体を押し上げ操作して、調整ねじ48の操作頭部をストッパー13に接当させることにより、摘み部41と掛止片42とが着脱口8の上周縁壁を内外に挟持する。このときの差換印4の組み付け状態は、摘み部41と掛止片42とが着脱口8の上周縁壁を内外に挟持することによって維持されている。最後に、印面台2を本体部1へ向かってスライド操作し、使用位置へ戻すことにより、印字体44を印字窓23から固定印字体21の下面側へ露出させることができる。同時に、スライド突起43とガイド溝35とが係合して、差換印4を前後遊動不能に固定保持する。
【0041】
以上のように構成した日付印によれば、予め用意しておいた複数の差換印4を印面台2に対して交換装着することにより、図7に示す印字体44による印字内容を多様に変更できる。例えば、捺印者の氏名、社員番号などの識別情報を印字することができる。また、競技会やイベェントなどの開催回数を差換印4で印字できる。食品を販売した時間が午前か午後か、あるいは食品の賞味期限など、印字ベルト9で印字される基準日付に関連した第2日付を差換印4で印字できる。
【0042】
上記の実施例以外に、差換印4は複数個の印字体で構成することができる。必要があれば、印字ベルト9を間に挟む固定印字体21の前後2箇所に差換印4を配置できる。本発明は、規制脚20を備えていない日付印に適用できる。また日付印以外に、固定印字体21を備えている番号印等にも適用できる。但しこの場合の番号は複数の印字ベルトで印字することを要する。印面台2は、円形以外に楕円形や四角形などに形成することができる。
【0043】
支持体40の側にガイド溝(溝)35を設け、装着部17の側にスライド突起(突起)43を設けることができる。溝35と突起43は、支持体40と装着部17の少なくとも一方の側面に設けてあればよい。装着部17は印面台2と一体に形成するのが好ましいが、必要があれば、装着部17を印面台2とは別体の独立した部品で形成しておいて、印面台2に装着固定することができる。その場合の装着部17は、プラスチック成形品とプレス成形品のどちらであってもよい。
【0044】
調整ねじ48は、ストッパー13の側にねじ込み装着することができる。印面台2はダイキャスト成形品で形成することができる。第2規制構造は左右規制構造を兼ねることができ、その場合にはスライド突起43の側面をガイド溝35の溝底壁で受け止めるとよい。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】図5におけるA−A線断面図である。
【図2】日付印の縦断側面図である。
【図3】装着部および差換印の分解斜視図である。
【図4】印面台を退避移動した状態の縦断側面図である。
【図5】差換印の高さ調整構造を示す縦断側面図である。
【図6】図5におけるB−B線断面図である。
【図7】日付印の印面を示す底面図である。
【符号の説明】
【0046】
1 本体部
2 印面台
4 差換印
6 外フレーム
8 着脱口
9 印字ベルト
10 操作ダイヤル
13 ストッパー
15 ホルダー部
16 スライド枠
17 装着部
21 固定印字体
32 枠側壁
33・34 ガイド突起
35 溝
40 支持体
41 摘み部
42 掛止片
43 突起
44 印字体
48 調整ねじ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体部(1)と、本体部(1)の下部に連結される印面台(2)とを備えており、本体部(1)には、複数の印字ベルト(9)と、印字ベルト(9)を回転操作する操作ダイヤル(10)とを含む回転印字機構が設けられ、印面台(2)に差換印(4)が着脱可能に装着してある回転ゴム印であって、
差換印(4)は、印字体(44)を固定支持する支持体(40)を備えており、
本体部(1)の印面台(2)との連結部分には、差換印(4)を着脱するための着脱口(8)が開口されて、着脱口(8)に臨む印面台(2)に差換印(4)を差し込み係合するための装着部(17)が設けられており、
差換印(4)を着脱口(8)から装着部(17)に装着した状態において、差換印(4)の上部を前後移動不能に位置保持する第1規制構造が、本体部(1)と差換印(4)の上部との間に設けられ、差換印(4)の下部を前後移動不能に位置保持する第2規制構造が、装着部(17)と差換印(4)の下部との間に設けてある差換印付きの回転ゴム印。
【請求項2】
第2規制構造が、上下にのみ相対スライド可能に係合される突起(43)と溝(35)とで構成されており、
突起(43)と溝(35)のいずれか一方が差換印(4)の側面に設けられ、他方が装着部(17)に設けてある請求項1記載の差換印付きの回転ゴム印。
【請求項3】
装着部(17)が、着脱口(8)の内方に向かって連出される一対の枠側壁(32)と、両枠側壁(32)の対向面に隣接配置される一対のガイド突起(33・34)とで構成されており、
支持体(40)の側面に設けた一対のスライド突起(43)と、装着部(17)の一対のガイド突起(33・34)の間に形成したガイド溝(35)とで第2規制構造が構成してある請求項1または2記載の差換印付きの回転ゴム印。
【請求項4】
第1規制構造が、支持体(40)の後面上方に突設される摘み部(41)と、支持体(40)の上面に突設される掛止片(42)と、摘み部(41)および掛止片(42)で内外に挟持される着脱口(8)の上周縁壁とで構成してある請求項1、2または3記載の差換印付きの回転ゴム印。
【請求項5】
差換印(4)を左右移動不能に固定保持する左右規制構造が、装着部(17)と差換印(4)との間に設けられており、
左右規制構造が、支持体(40)の両側面と、支持体(40)の両側面を受け止めるガイド突起(33・34)とで構成してある請求項3または4記載の差換印付きの回転ゴム印。
【請求項6】
印面台(2)が、固定印字体(21)を支持するホルダー部(15)と、本体部(1)の外フレーム(6)に連結されるスライド枠(16)と、スライド枠(16)の内面に設けられる装着部(17)とを一体に備えている請求項3、4または5記載の差換印付きの回転ゴム印。
【請求項7】
外フレーム(6)に開口した着脱口(8)の上縁に、差換印(4)の上方移動限界を規定するストッパー(13)が外フレーム(6)と一体に設けられており、
ストッパー(13)と差換印(4)との間に、差換印(4)の印面の高さを調整する調整ねじ(48)が設けてある請求項3ないし6のいずれかに記載の差換印付きの回転ゴム印。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−132012(P2009−132012A)
【公開日】平成21年6月18日(2009.6.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−309371(P2007−309371)
【出願日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【出願人】(000106461)サンビー株式会社 (12)