説明

巻き取り紙切断装置

【課題】コスト効率が良く操作上の信頼性が高くかつ、省スペースである巻き取り紙を切断する装置を提供する。
【解決手段】装置は巻き取り紙の横切りを実現するため、巻き取り紙を横切る方向に、少なくとも2つの切断部を有する。切断部11及び12は、巻き取り紙の横方向に切断部を動かすために共通のアクチュエータ20を持つ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は請求項1の最初の箇所(preamble)に記載の巻き取り紙(web)切断装置に関する。
【0002】
本発明は特に、繊維の巻き取り紙(fibre-web)のリールが十分使用された(使い古された)ロールから新しいロールに交換するときに、巻き取り紙のリール(たとえば紙又は厚紙(board-web))に関係して起こる、巻き取り紙の切断(/横方向切断)に関する。本発明はまた、始端部の細長い巻き取り紙の一片(leading strip)が巻き取り紙全体から切り取られるような、とても長い巻き取り紙(web threading)に関係して起こる巻き取り紙の切断(/横方向切断)にも関する。巻き取り紙とは、たとえば紙又は厚紙である。始端部の巻き取り紙の一片は機械又は機械の一部を通って送り出され、その後、その一片は本来の幅に広げられる。
【背景技術】
【0003】
とても長い(continuous)繊維の巻き取り紙の機械、たとえば紙又はボール紙機械又はこれらをコーティングする機械、において、すでにリールで巻かれた機械のロールが一杯又は、ちょうどよいサイズになるとき、巻き取り紙は一杯のロールから新しいロールへ、十分な機械の動作速度でなる。このような場合、巻き取り紙の切断/横方向切断及び、操作を中断する必要がないように、巻かれている巻き取り紙を新しいロールにする操作での信頼性が要求される。過去の技術から既知であるように、とりわけ水による異なる装置が巻き取り紙を切断するのに用いられてきた。付け加えると、レーザーを用いた切断装置及び異なるナイフやブローの使用も同様である。
【0004】
過去の技術に対しては、特許文献1〜6を参照されたい。ここではそれぞれ異なる巻き取り紙切断方法についての記述がなされている。それらのほとんどが水で切断する方法に関する切断方法である。
【特許文献1】芬国特許第113258号明細書
【特許文献2】欧州特許第1022381号明細書
【特許文献3】米国特許第5360179号明細書
【特許文献4】欧州特許第0067051号明細書
【特許文献5】国際公開第92/06913号パンフレット
【特許文献6】米国特許第6508429号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
既知の方法では、切り替えるプロセスに関連して、巻き取り紙の切断は大抵の場合、以下のようにしてなされる。巻き取り紙の切断が巻き取り紙の中間部から横方向に開始され、巻き取り紙は2つのノズルユニット又は対応する中間部から端部まで移動する切断部(cutting members)によって切られる。
【0006】
過去の技術から既知となっている巻き取り紙切断装置、特に水を用いて切断する装置の問題は2つのノズルユニットが通常切断に用いられることである。ユニットは中間部から端部に向かってV字形状に巻き取り紙を切るわけだが、両方のノズルユニットにはそれぞれ別のアクチュエータが与えられている。つまり、これはコストが高くなることを意味している。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の目的は、巻き取り紙を切断するための装置を提供することである。その装置では、前述した、過去の技術から既知となっている装置にかかわる欠点は排除又は少なくとも最小化される。
【0008】
本発明の目的は特に、コスト効率がよく(cost-effective)、操作上の信頼性が高くかつ、省スペースな装置の提供である。
【0009】
先述の目的及び後で出てくる目的を達成するため、本発明に従った装置は主に、請求項1で説明されているものである。
【0010】
本発明に従った巻き取り紙切断/横方向切断装置は少なくとも2つの切断部たとえば、高圧水のノズル、レーザー切断部又は切断用のナイフを持ち、それは装置中に以下のようになるように設けられている。切断するときは、アクチュエータが動作するとき、動力は1つのアクチュエータによって両方/各々の切断部に供給され、切断部は巻き取り紙の横方向を移動する。切断部の動作は、たとえば巻き取り紙の中間部から端部に向かって、つまり、お互いが反対方向、たとえば、ミラーの像のような方法で移動する。そこで、注目に値する利点が実現される。なぜなら、装置には少数の構成部品しか必要なく、1つのアクチュエータが両方のノズルユニットを動作させるとき、より信頼性があがるからだ。加えて、メンテナンスの必要が減少し、明らかに、製造コストは下がる。さらに、装置は動作方向(機械の方向)のスペースを過去の技術から既知の設計よりもかなり小さいスペースしか必要としない。
【0011】
本発明のある1つの応用に従うと、巻き取り紙切断装置は以下のように実装される。
【0012】
2つの切断部を有し、それら切断部(たとえば、高圧水のノズル)は、ベルトを回す滑車上の鋸歯状のベルトのそれぞれ異なる側に固定されている。そうすることで、ドライブを介してベルトが動いているとき、切断部はお互い反対の方向を移動する。
本発明のこの有利な実施例において、ベルトは巻き取り紙の水平面に対して垂直でも並行でもよい。
【0013】
本発明の別な実施例に従うと、2つの切断部をそれぞれ別な方向へ動かすために、ボールレースねじ(ball-race screw)が切断装置の早くて正確なアクチュエータとして用いられる。そのようなねじの駆動力としては加圧空気、油圧油又は油圧モーター又は電気モーターを使用することが可能である。そしてもし必要があれば、ドライブはクラッチで与えられ、たとえば、電気モーターは、ボールレースねじに接続する前にすでに操作速度まで加速することが可能である。ボールレースねじは2方向のねじ山で与えられ、2方向のねじ山はねじの中間部からねじの終端部まで拡張し、切断部は、ボールレースねじがモーターで動作しているとき、ノズルユニットがボールレースねじ上をお互い反対の方向、ねじの中心部から端部又は、端部から中心部、へ動き始めるように動かされる。
【0014】
本発明に従うと、切断部はまた、ある配置に設けられることも可能である。その配置では、圧力をつくる装置は切断部の間に置かれている。圧力はたとえば、火薬のような物質を気化する、又はたとえば、ポンプノズルのような小さなポンプユニット、又は液体や気体を熱することでつくられる。燃焼スペースでの物質の膨張は圧力を与える。それは、ノズルをたとえばピストンを介して動かすためである。ここで、切断部は反対方向に動き始める。
【0015】
本発明に従うと、巻き取り紙の切断は、1つのアクチュエータを介した先述の実施例に従って、水、ナイフ又はレーザーによって実現可能である。
【0016】
本発明による装置はまた、1つのアクチュエータによって回転させながら正しい順序で移動する機械的又は光学的手法が用いられる切断部と接続して実装可能である。切断エネルギーはたとえば、直接電力から有利に提供される。そのような場合、切断部は装置内に設けられる。切断部が回転するように。それは、アクチュエータを、回転軸の周りを回転する運動を起こすのに、機械的方法又は、切断ビームを導く機構による光学的方法を用いるかのいずれかであることを意味する。よって、巻き取り紙は切断可能となる。
【0017】
本発明に従った巻き取り紙の切断/横方向切断用の装置は、たとえば、巻き取り紙のリールが十分なロールから新しいロールに変わるとき及び、始端の細長い一片が全体(full-width)から切り取られるときに、繊維の巻き取り紙のリールに関係する巻き取り紙の切断に適用可能である。始端の細長い一片は機械を通過し、端部へ広げられる(spread)。
【0018】
2つ以上の切断部を有する本発明の実施例を用いるとき、極端に迅速な巻き取り紙の横方向切断が実現する。本発明の別な実施例によると、切断部によってつくられる切断の跡はお互い一致する又は、お互い切断しあうことができる。また、小さな細長い一片は切断の跡の間に残ることもありえる。
【0019】
ここで本発明について添付の図を参照することで詳細に説明しよう。しかし、本発明はこれらの図の詳細(で述べられる範囲)に狭く限定されるということを意味しているのではまったくない。
【実施例】
【0020】
図1は水による切断装置に関する実施例を図示している。切断装置は、2つの高水圧水ノズル11及び12を持ち、これらのノズルは同じ鋸歯状ベルト22に固定されて、それぞれ滑車23及び24の異なる側にある。滑車23及び24はベルト22を回転させる。ベルト22がドライブ21を介して移動するとき、ノズル11及び12は巻き取り紙の横方向において反対方向S1及びS2へ移動する。
【0021】
図2Aは図1に示された本実施例の配置を概略的に示す。ノズル11及び12のための共通のアクチュエータ20は巻き取り紙Wに対して垂直な位置になるように設けられている。
【0022】
図2Bは図1に示された本実施例の配置を概略的に示す。ノズル11及び12のための共通のアクチュエータ20は巻き取り紙Wに対して水平な位置になるように設けられている。
【0023】
図3は本発明の他の実施例である。ここでは、切断部11及び12はボールレースねじ25の上に位置する。モーター26を介してボールレースねじ25を回すとき、ボールレースねじ25のねじ山25A及び25Bが反対方向に動き、切断部11及び12は反対方向S1及びS2に移動するように設けられている。
【0024】
図4に図示された本発明の実施例は以下に述べるような処理方法(arrangement)に基づいている。その処理方法とは、アクチュエータは体積の流れ/圧力を作ることによってそれぞれ異なる方向に切断部11及び12を動かすものである。圧力はユニット28内でアクチュエータ20によって、たとえば、物質を気化させる、小さなポンプユニット又は、液体/気体を熱することによって作られる。この場合、圧力/体積の変化が切断部11及び12を反対の方向S1及びS2にユニット28から離れるように移動する。
【0025】
図5は、さらに別な実施例を概略的に示したものである。ここでは、切断部11及び12は回転軸上に設けられている。回転軸はアクチュエータ20によって回転する。そこで、切断部11及び12がそれぞれ異なる方向S1及びS2に向きを変え、巻き取り紙Wを切るよう。
【0026】
本発明はまた、必然的に以下のような実施例を含む。その実施例では、切断を先述の実施例の反対のやり方で行われる。つまり端部から中心に切断部が移動するのである。必然的に2つ以上の切断部を持つ実施例では、当然のこととして、一緒の方向に移動する切断部もあれば、反対方向に移動するものもある、この種類の実施例は特に有用であり、たとえば、巻き取り紙を非常にすばやく切断したい場合などである。
【0027】
巻き取り紙を切断するとき、それぞれの切断部の切断跡は実施例によってはお互い交差することもありえるし、又は小さな一片が切断跡に残ることもありえるのは明らかである。その一片は他の適切な方法にて切断されるもしくは、自分自身で破棄する。
【0028】
本発明は有利になる実施例の数例を参照して本発明の詳細を説明したに過ぎない。しかし、本発明はそれらの実施例の詳細な説明に狭く限定されるものではないことに注意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の実施例の概略図である。ここでは、鋸歯状のベルトおよびベルトの滑車が装置のアクチュエータとして用いられている。
【図2】図1で図示された装置の2つの異なる実施例の概略図である。
【図3】ボールレースねじに基づいた本発明の実施例の概略図である。
【図4】切断部を動かすために体積の流れ/圧力をつくるという考えに基づいた本発明の実施例の概略図である。
【図5】本発明の実施例の概略図である。ここでは、切断部が回転軸の周りを回る。
【符号の説明】
【0030】
11 切断部
12 切断部
20 アクチュエータ
21 ドライブ
22 ベルト
23 滑車
24 滑車
25 ボールレースねじ
25A ねじ山
25B ねじ山
26 モーター
28 ユニット
S1 切断部11が移動する方向
S2 切断部12が移動する方向
W 巻き取り紙

【特許請求の範囲】
【請求項1】
巻き取り紙を切断する装置であって、
横切りを実現するため、前記巻き取り紙(W)の横方向に切断/横方向切断をするための少なくとも2つの切断部(11及び12)を有し、
前記切断部(11及び12)は当該切断部(11及び12)を前記巻き取り紙(W)の横方向に移動させるための共通のアクチュエータ(20)を有する
ことを特徴とする装置。
【請求項2】
請求項1に記載の装置であって、前記2つの切断部は前記共通のアクチュエータを介して、前記巻き取り紙(W)の横方向にお互い反対の方向を移動する
ことを特徴とする装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の装置であって、V字状のクロスカットが、前記切断部(11及び12)によって中間部から端部へ、前記巻き取り紙(W)の横方向にできる
ことを特徴とする装置。
【請求項4】
請求項1又は2に記載の装置であって、V字状のクロスカットは、前記切断部(11及び12)によって端部から中間部へ、前記巻き取り紙(W)の横方向にできる
ことを特徴とする装置。
【請求項5】
請求項1から4のうちのいずれかに記載された装置であって、
前記アクチュエータ(20)が鋸歯状のベルト(22)及び前記鋸歯状のベルトを回転させるベルトの滑車(23及び24)及び、ドライブ(21)を有し、
前記切断部(11及び12)は前記ベルト(22)に固定され、ベルトの滑車(23及び24)のそれぞれの違う側に各々があり、前記ベルト滑車(23及び24)及び前記ベルトが前記ドライブ(21)によって操作されるとき、前記切断部(11及び12)はお互い反対の方向(S1及びS2)を移動する
ことを特徴とする装置。
【請求項6】
請求項5に記載の装置であって、前記アクチュエータ(20)の前記ベルト(22)は前記巻き取り紙(W)に対して垂直な位置に設けられていることを特徴とする装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−282392(P2006−282392A)
【公開日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−94406(P2006−94406)
【出願日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【出願人】(501249157)メッツォ ペーパー インコーポレイテッド (33)
【Fターム(参考)】