説明

巻取り装置および記録装置

【課題】記録済みの被記録媒体191を傷めることなく取り外すことができる。
【解決手段】被記録媒体191の排出経路に対して、記録済み被記録媒体191の幅方向について一方の外側に配置されて回転駆動される駆動プラグ333を有する巻取り駆動部330と、記録済み被記録媒体191の幅方向について他方の外側に、駆動プラグ333に対向して配置された、回転自在の従動プラグ343を有する巻取り従動部340と、記録済み被記録媒体191が巻き付く巻取り紙管310、巻取り紙管310よりも大きな径を有し巻取り紙管310の周面の長手方向両端に形成された一対のフランジ部322、および、駆動プラグ333または従動プラグ343に対して相補的な形状を有するソケット部321を有して、巻取り駆動部330および巻取り従動部340に対して脱着自在に装着された巻取りローラ組立体360とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、巻取り装置および記録装置に関する。より詳細には、長尺の媒体を巻き取る巻取り装置と、その巻取り装置を装着を備えた記録装置とに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、微細なノズルを備えた記録ヘッドからインク等の液体を吐出して被記録媒体に付着させるインクジェット式記録装置がある。この種の装置は、記録ヘッドを所定の主走査方向に往復させる一方、主走査方向に対して交差する搬送方向に被記録媒体を移動させる搬送部を備え、主走査および搬送を組み合わせることにより被記録媒体上の任意の領域に液体を付着させて画像を形成する。
【0003】
このような構造を有する記録装置において、主走査方向の往復移動範囲は装置の仕様により決定され、1mを越える主走査幅を有してポスター等の大型の画像を記録できるものもある。一方、搬送方向については被記録媒体の長さは制限されない。そこで、長尺の被記録媒体を巻き重ねたロールを装填して、横断幕、懸垂幕等に長い画像を形成する記録装置もある。
【0004】
記録装置において画像を記録された被記録媒体は記録装置の外部に排出される。排出された被記録媒体は成果物として回収されるので、記録装置の排出側には、形成された画像を損傷あるいは汚損することなく保持する目的で排紙巻取り部が設けられる場合がある。
【0005】
下記の特許文献1には、画像形成装置のスタンドに装着され、ロール紙の先端を芯体に固定して巻き取る巻取装置が記載される。これにより、長尺のロール紙を無駄なく利用できる。
【0006】
また、下記の特許文献2には、脚部の支持柱に装着された巻取部を備えたプリンタが記載される。この巻取部は、プリンタ本体から記録媒体の送り情報を獲得して巻取り量を制御する。これにより、適切な巻取り速度で確実に記録媒体を巻き取ることができる。
【0007】
更に、下記の特許文献3には、ロール紙を搬送する駆動ローラとロール紙を巻き取る巻取りローラとを連携させた記録装置が記載される。これにより、ロール紙の搬送方向を逆転させた場合にもロール紙に過大な張力または弛みが生じることを抑制して、搬送系を安定に動作させることができる。このように、長尺の被記録媒体に画像を記録した場合においても、巻取り装置を用いることにより記録済みの被記録媒体を巻き取って、取り扱いを容易にすると共に、記録画像の損傷を防止できる。
【特許文献1】特開2001−080800号公報
【特許文献2】特開2002−205850号公報
【特許文献3】特開2005−212322号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記のようにして記録済みの被記録媒体を巻き取った芯体あるいは巻取りローラを記録装置から取り外す場合に、巻き取った被記録媒体の側縁部を損傷する場合がある。即ち、当初は整然と巻かれていた被記録媒体も、記録装置内の搬送経路を経て再び巻き取られると、必ずしも側縁部が揃ったロールになるとは限らない。
【0009】
このため、巻取り側のロールにおいては、側端部の一部がロールからはみだして傷みやすい状態になる場合がある。一方、巻取り装置から巻き取ったロールを取り外す場合は、長く重いロールを手作業で取り扱うので、ロールの一部が周辺の部材に接触し易い。従って、ロールの端部近傍が折れる等の損傷が生じやすい。
【課題を解決するための手段】
【0010】
そこで、上記課題を解決することを目的に、本発明の第1の形態として、上流側から搬送される長尺の被搬送媒体を下流側で巻き取る巻取り装置であって、被搬送媒体の搬送経路に対して、被搬送媒体の幅方向について一方の外側に配置されて回転駆動される駆動プラグを有する巻取り駆動部と、被搬送媒体の幅方向について他方の外側に、駆動プラグに対向して配置された、回転自在の従動プラグを有する巻取り従動部と、被搬送媒体を巻き付ける巻取りローラ部と、記巻取りローラ部の径よりも大径であり巻取りローラ部の長手方向両端に嵌合する嵌合部を有した一対のフランジ部と、を備え、一対のフランジ部は、駆動プラグまたは従動プラグに対して相補的な形状を有するソケット部を有し、巻取りローラ部を嵌合させたまま巻取り駆動部および巻取り従動部に対して脱着自在な巻取り装置が提供される。これにより、被搬送媒体を巻き取ったロールを取り扱う場合に、被搬送媒体の側縁部がフランジ部により保護されるので、被搬送媒体が傷むことが防止される。また、フランジ部の径が巻き取った被搬送媒体よりも大きければ、記録媒体を浮かせた状態で床等に置くことができるので、取り扱いが容易になる。
【0011】
また、上記巻取り装置において、巻取り従動部は、被搬送媒体の幅方向について、巻取り駆動部に対し、駆動プラグおよび従動プラグの少なくとも一方がソケット部から離脱方向、及び装着する方向に移動してもよい。これにより、被搬送媒体を巻き付けて重くなった巻取りローラ部を移動させることなく、巻取りローラ組立体を巻取り装置に対して脱着できる。
【0012】
更に、上記巻取り装置において、駆動プラグおよび従動プラグは、ソケット部に挿入される場合の先端に近づくほど小径になる形状を有してもよい。これにより、ソケット部を駆動プラグおよび従動プラグに対して容易に嵌合させることができる。
【0013】
また更に、上記巻取り装置において、一対のフランジ部は、巻取りローラ部に装着される側から径方向について外側に向かうほど、互いのフランジ部の間隔が広くなるテーパ面を有してもよい。これにより、幅方向に変位した被搬送媒体を案内して、巻取りローラ部に整然と巻きつかせることができる。
【0014】
また更に、上記巻取り装置において、フランジ部は、ソケット部に駆動プラグおよび従動プラグの差し込み状態を視認可能な窓部を有してもよい。これにより、ソケット部を駆動プラグおよび従動プラグをソケット部に嵌合させる場合に、フランジ部の陰に位置する駆動プラグおよび従動プラグを目視して容易に位置合わせできる。
【0015】
また更に、上記巻取り装置において一対のフランジ部材嵌合部を巻取りローラ部から抜き取る場合の力は、ソケット部を駆動プラグまたは従動プラグから抜き取る場合の力よりも大きくてもよい。これにより、被搬送媒体を巻取り装置から取り外す場合に、フランジ部材は確実に巻取り紙管と共に取り外すことができる。
【0016】
また更に、上記巻取り装置において、差し込み部は、巻取り紙管の内面に対して当接または離間する当接面と、当接面を巻取り紙管の内面に向かって付勢する付勢部材とを有してもよい。これにより、紙管に対してフランジ部材を装着して巻取りローラ組立体を形成できると共に、フランジ部材を巻取りローラ組立体から取り外して再利用することができる。
【0017】
また更に、上記巻取り装置において、嵌合部は、巻取りローラの内面に対して当接または離間する当接面と、当接面を巻取りローラの内面に向かって付勢する付勢部材とを有し、嵌合部は、フランジ部材を巻取りローラから抜き取る場合に、フランジの外部からの操作により付勢に逆らって当接面を巻取り紙管の内面から離間させる解除レバーを有してもよい。これにより、フランジ部材の取り外しが容易になると共に、フランジ部材を取り外す場合に紙管を傷めることが防止される。
【0018】
また更に、上記巻取り装置において、嵌合部は、巻取りローラの端部からフランジ部までを離間させる延長部を備えてもよい。これにより、フランジ部材を装着した巻取りローラ組立体におけるフランジ部の間隔が巻取り紙管よりも長くなる。従って、その巻取りローラ組立体に巻きつけることができる被搬送媒体の幅が広くなると共に、巻き付ける被搬送媒体とフランジ部との接触による損傷が防止される。
【0019】
また、本発明の第2の形態として、長尺の被記録媒体に向かってインクを吐出する記録ヘッドと、インクを付着させた記録済み被記録媒体を排出する排出部と、記録済み被記録媒体を巻き取る巻取り装置とを備えた記録装置であって、巻取り装置は記録済み被記録媒体の排出経路に対して、記録済み被記録媒体の幅方向について一方の外側に配置されて回転駆動される駆動プラグを有する巻取り駆動部と、記録済み被記録媒体の幅方向について他方の外側に、駆動プラグに対向して配置された、回転自在の従動プラグを有する巻取り従動部と、記録済み被記録媒体を巻き付ける巻取りローラ部と、記巻取りローラ部の径よりも大径であり巻取りローラ部の長手方向両端に嵌合する嵌合部を有した一対のフランジ部と、を備え、一対のフランジ部は、駆動プラグまたは従動プラグに対して相補的な形状を有するソケット部を有し、巻取りローラ部を嵌合させたまま巻取り駆動部および巻取り従動部に対して脱着自在な記録装置が提供される。これにより、記録装置においても上記の効果を享受できる。
【0020】
なお、上記の発明の概要は、本発明の必要な特徴の全てを列挙したものではない。また、これらの特徴群のサブコンビネーションも発明となり得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、また実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【実施例1】
【0022】
図1は、実施の形態に係るインクジェット式記録装置100の斜視図である。同図に示すように、このインクジェット式記録装置100は、長手方向が水平に配置された記録部140と、記録部140の長手方向端部に装着された筐体110と、記録部140の上側に装着された装填部130と、記録部140および筐体110を下方から支持する脚部170とを備える。
【0023】
装填部130には、巻き重ねた被記録媒体191を含むロール組立体190(図2参照)が装填されるが、この図ではロール組立体190はロールカバー132に覆われる。記録部140では、トップカバー142およびフロントカバー144によりその内部機構が覆われる。記録部140の内部には後述する記録ヘッド143が配置され、装填部130から記録部140に給送された被記録媒体191に対してインクが吐出される。装填部130から給送されて記録部140において画像を形成された被記録媒体191は、記録部140の下部に位置する排出部160に排出される。
【0024】
脚部170は、記録部140および筐体110を下方から支持する一対の支柱部172と、支柱部の下端に装着されて前後に延在して、前後方向の安定を図る足部174と、支柱部172を相互に連結する横木部178とを含む。また、足部174の下面には、インクジェット式記録装置100の移動を容易にするキャスタ176と、稼働時のインクジェット式記録装置100を安定させるジャッキ177とが装着される。これにより、排出部160を通過した被記録媒体191をスタックする排出スペースが得られる。
【0025】
筐体110は、記録部140から退避した記録ヘッド143が待機するホームポジションのスペースを形成すると共に、その下部に、カートリッジホルダ120を有する。カートリッジホルダ120には、記録ヘッド143に供給するインクを収容したインクカートリッジ147が装着される。また、筐体110の上面には、操作パネル180が配置される。操作パネル180は、ユーザが操作するボタン、スイッチ類の他、インクジェット式記録装置100の動作状態を示す表示部等も含む。
【0026】
図2は、インクジェット式記録装置における被記録媒体191の給送経路200を示す模式的な断面図である。同図に示すように、給送経路200は、装填部130内のロール組立体190から、記録部140内を経て排出部160に至る経路を含む。
【0027】
装填部130においては、ロールカバー132の内部にロール組立体190が装填される。ロール組立体190は、芯となる紙管192の外面に長尺の連続した被記録媒体191を巻き重ねて形成される。これにより、大判の被記録媒体191を取り扱い易くしている。更に、紙管192の内側には金属製のスピンドル部材194が挿通され、スピンドル部材194の両端が装填部130のスピンドル支持部134に支持される。なお、被記録媒体191としては、紙の他、樹脂フィルム、テキスタイル製品等が用いられる場合もある。
【0028】
記録部140には、被記録媒体191を給送する給送部111、被記録媒体191にインクを吐出する記録ヘッド143、記録ヘッド143を搭載したキャリッジ141、被記録媒体191を支持するプラテンプレート152等が配置される。給送部111は、図示していない給送モータにより回転駆動される給送駆動ローラ112と、給送駆動ローラ112に当接して連れ回される給送従動ローラ114とを含む。被記録媒体191は、給送駆動ローラ112および給送従動ローラ114の間に挟まれ、給送従動ローラ114により給送駆動ローラ112に押し付けられることにより、給送駆動ローラ112の回転に従ってロール組立体190から引き出される。
【0029】
ロール組立体190から引き出されて給送部111を通過した被記録媒体191は、記録ヘッド143に対向する位置を通過する。このとき、被記録媒体191は、記録ヘッド143に対向して配設されるプラテンプレート152により支持される。これにより、プラテンプレート152上の被記録媒体191は、記録ヘッド143に対して一定の間隔をおいて位置決めされる。
【0030】
なお、プラテンプレート152の後方(図上右側)、つまり、被記録媒体を支持する面と反対側には、図示していないファンユニットが配置され、図中に矢印Aにより示すように、プラテンプレート152から吸引した空気を排出ダクト159から外部へ排出する。これにより、プラテンプレート152の表面に負圧が形成されて、被記録媒体191が吸いつけられる。
【0031】
記録ヘッド143はキャリッジ141に搭載され、キャリッジ141はガイドレール145から懸架される。ガイドレール145は、図2の紙面に垂直に、記録部140の略全幅にわたって延在して、キャリッジ141の往復移動を案内する。なお、記録ヘッド143が吐出するインクは、図示していないパイプを通じてインクカートリッジ147から供給される。従って、キャリッジ141にはインクカートリッジ147は搭載されず、キャリッジ141および記録ヘッド143の組立体が軽量になる。
【0032】
図3は、画像を記録された被記録媒体191を巻き取る巻取り装置300を装着された脚部170を示す斜視図である。なお、巻取り装置300のレイアウトを見えやすくする目的で、脚部170に搭載されるインクジェット式記録装置100の本体は図示を省略した。即ち、図3において、支柱部172の上端に形成されたブラケット171は、インクジェット式記録装置100を固定する場合に利用される。
【0033】
前述のように、装填部130には長尺の被記録媒体191を巻いたロール組立体190が装填される。ロール組立体190から引き出された被記録媒体191を切断することなく画像を形成し続けた場合、排出部160に出力される被記録媒体191もまた長尺になる。従って、巻取り装置300により巻き取ることにより取り扱いが容易になる。
【0034】
巻取り装置300は、支柱部172に対してブラケット332により固定された巻取り駆動部330と、横木部178に掛けたハンガ部344に対してブラケット342を介して固定された巻取り従動部340とを含む。巻取り駆動部330および巻取り従動部340の詳細な構造についてはそれぞれ後述するが、巻取り駆動部330および巻取り従動部340の間には、端部にフランジ部材320を装着された巻取り紙管310を含む巻取りローラ組立体360が掛けわたされる。
【0035】
上記のような巻取り装置300において、巻取り駆動部330は巻取りローラ組立体360の一端を回転駆動する。一方、巻取り従動部340は、巻取りローラ組立体360の他端を回転自在に支持する。なお、巻取り従動部340を支持するハンガ部344は、横木部178に沿って水平に移動させることができるが、ロックレバー346を操作することにより横木部178上の特定の位置に固定できる。
【0036】
上記のような巻取り装置300は、脚部170上の排出部160から排出された被記録媒体191の先端が床に接近したことを検知する媒体センサ350も更に備える。これにより、排出部160から排出された被記録媒体191が一定以上の長さになると巻取り駆動部330を動作させて、巻取り紙管310に被記録媒体191を巻き取る。
【0037】
図4は、巻取りローラ組立体360を装着された巻取り装置300を単体で示す正面図である。同図に示すように、巻取りローラ組立体360は、巻取り駆動部330および巻取り従動部340により側方から挟まれて支持される。従って、ロックレバー346を回転させて横木部178に対する固定を解除して、ハンガ部344を横木部178に沿って移動させることにより、巻取り駆動部330および巻取り従動部340の間隔を拡げて、巻取りローラ組立体360を取り外すことができる。
【0038】
図5は、巻取り駆動部330を単独で示す斜視図である。同図に示すように、巻取り駆動部330は、脚部170から前方に向かって突出するベースプレート338を有する。
【0039】
ベースプレート338に対して、巻取り従動部340に対向する側には、駆動軸331が突出して、駆動プラグ333が装着される。駆動プラグ333は、駆動軸331に対してピン337により固定され、駆動軸331が回転した場合に、駆動軸331と共に回転する。駆動プラグ333は先端に近づくほど細くなる錐体状の形状を有すると共に、フランジ335を有する。
【0040】
ベースプレート338に対して、駆動軸331と反対の側には、駆動軸331を回転駆動する巻取りモータ334が装着される。また、ベースプレート338の一部は下方に延在して、その下端に媒体センサ350が装着される。媒体センサ350は、その前方を被記録媒体191が横切った場合に、それを検知して巻取りモータ334を動作させる。
【0041】
図6は、巻取り従動部340を単独で示す斜視図である。同図に示すように、巻取り従動部340は、客部の横木部178に掛けるハンガ部344と、ハンガ部344を横木部178に装着した場合に前方に突出するベースプレート348とを、ベースプレート348と一体のブラケット342で結合して形成される。
【0042】
ハンガ部344は、横木部178上におけるハンガ部344の位置を固定すると共に、その固定を解除する場合に操作するロックレバー346を備える。一方、ベースプレート348は、従動軸341を回転自在に支持する。更に、従動軸341には、先端に近づくほど細くなる錐体状の形状を有しすると共に、フランジ345を有する従動プラグ343が装着される。また、従動プラグ343が従動軸341から抜け落ちることを防止するピン347が装着される。
【0043】
図7は、図6に示した巻取り従動部340を、従動軸341の先端側から見た様子を示す側面図である。同図に示すように、ハンガ部344は、横木部178の周面に沿って延在して、横木部178に対して2面以上で接する。これにより、装着した巻取り従動部340が横木部178から脱落することがない。
【0044】
また、この方向から見た場合、従動プラグ343は従動軸341を中心とした多角形の形状を有する。これにより、後述する巻取りローラ組立体360を装着した場合、巻取りローラ組立体360の回転に従って、従動軸341も共に回転する。なお、駆動プラグ333も、従動プラグ343と同様に多角形の断面形状を有する。
【0045】
図8は、上記のような巻取り駆動部330および巻取り従動部340に挟まれて支持される巻取りローラ組立体360を単独で示す正面図である。同図に示すように、巻取りローラ組立体360は、水平に延在する円筒状巻取り紙管310と、その両端に装着された一対のフランジ部材320とを備える。
【0046】
巻取り紙管310は、巻き取るべき被記録媒体191の幅に等しいか、それよりも長い円筒体を用いることができ、巻取り用に用意された専用の紙管の他、巻き付けられた被記録媒体191を使い切った紙管を再利用することもできる。フランジ部材320は、後述する差し込みリブ324を巻取り紙管310の端部に嵌め込んで形成される。
【0047】
図9は、フランジ部材320を単独で示す斜視図である。同図に示すように、単独のフランジ部材320は、円板状のフランジ部322と、フランジ部322の中心に同軸に配置された円筒状の基部325とを有する。
【0048】
基部325は、巻取り紙管310に対する差し込み方向に延在する複数の差し込みリブ324をその表面に有して、巻取り紙管310に対する差し込み部を形成する。差し込みリブ324の表面は、巻取り紙管310の内径と略同じ円筒面に配列され、差し込まれた場合に巻取り紙管310の弾性変形によりその内面に対して強く当接する。
【0049】
また、差し込みリブ324を形成するリブは、それぞれ、フランジ部322に隣接した区間において高さを増し当接リブ323を形成する。当接リブ323の先端は、巻取り紙管310の内径よりも大きな径を有する円筒面上に配列される。これにより、差し込みリブ324を巻取り紙管310に差し込んだ場合、当接リブ323は巻取り紙管310の端面に度当たって、巻取り紙管310およびフランジ部322の間に間隙を形成する。従って、巻取り紙管310の両端に形成されたフランジ部322の間隔は、巻取り紙管310の長さよりも大きくなり、巻取りローラ組立体360の有効巻取り幅を広くして、記録済みの被記録媒体191を円滑に巻き取る。
【0050】
更に、基部325は、基部325およびフランジ部322に形成された切り込み327により画成され、差し込み方向の前端で基部325に対して結合された弾性リブ328を備える。弾性リブ328は、基部325に対する結合部を支点として、巻取り紙管310の内面に弾性的に当接する。これにより、巻取り紙管310の内面に過剰な圧力を加えることが防止されると共に、繰り返し使用された巻取り紙管310の内面が変形している場合も、確実に当接してフランジ部材320の脱落を防止する。
【0051】
一方、フランジ部322の円形の側面は、径方向について外側ほど基部325から離れるテーパ面を形成する。これにより、給送および排出の経路において軌道がぶれた場合も、被記録媒体191を巻取り紙管310に誘導して整然と巻くことができる。
【0052】
図10は、図9に示したフランジ部材320を、基部325が形成された側から見た側面図である。同図に示すように、差し込みリブ324は、基部325の周面上に、一定の間隔で径方向に突出して形成される。また、切り込み327により、弾性リブ328が、基部325およびフランジ部322から切り離されて、変位できることが見える。
【0053】
なお、基部325の前端面中央には貫通穴326が形成される。これにより、巻取りローラ組立体360として巻取り駆動部330または巻取り従動部340に装着された場合に、駆動軸331または従動軸341とフランジ部材320との干渉が避けられる。
【0054】
図11は、フランジ部材320を、図9に対して反対の側から見た様子を示す図である。同図に示すように、この面には、フランジ部322を補強する複数のリブが形成されると共に、その中心に、駆動プラグ333および従動プラグ343を挿入するソケット部321が現れている。
【0055】
また、ソケット部321の周囲には、弾性リブ328の後端が、取り外しレバー329として突出する。これにより、フランジ部材320を巻取り紙管310から取り外す場合に、取り外しレバー329の後端を押さえて、フランジ部材320を容易に抜き取ることができる。
【0056】
なお、フランジ部材320を透明な材料により形成することも好ましい。これにより、巻取りローラ組立体360としてソケット部321に駆動プラグまたは従動プラグを差し込む場合に、フランジ部322を介して駆動プラグ333または従動プラグ343の先端を目視できる。従って、駆動プラグ333または従動プラグ343とソケット部321との位置合わせが容易になる。このような効果は、フランジ部322の一部を切り抜いて窓を設けることによっても同様に得られる。
【0057】
図12は、図11に示したフランジ部材320の背面を、ソケット部321が形成された側から見た様子を示す側面図である。同図に示すように、フランジ部材320の中央には、駆動軸331または従動軸341との干渉を避ける貫通穴326が見える。また、その周囲には、ソケット部321が形成され、ソケット部321が、駆動プラグ333および従動プラグ343と相補的な形状を有することが見てとれる。更に、ソケット部321の周囲に、複数の取り外しレバー329が対称に配置されていることが判る。
【0058】
図13は、フランジ部材320を、その直径を含む面で切った断面図である。同図に示すように、フランジ部322の内側に、差し込みリブ324および当接リブ323並びに弾性リブ328が形成されていることが判る。また、差し込みリブ324および弾性リブ328の内側には、ソケット部321および貫通穴326が互いに連通して形成されていることが判る。
【0059】
更に、図上で基部325の下側に位置する弾性リブ328が、その後端(図上左側)において取り外しレバー329まで連続すると共に、フランジ部322から切り離されていることが判る。更に、弾性リブ328の先端側において、弾性リブ328の内側には板バネ400が装着される。これにより、弾性リブ328にはより高い弾性を与えられる。
【0060】
図14は、フランジ部材320に装着された板バネ400の形状を示す斜視図である。同図に示すように、板バネ400は、長手方向の中央に折り曲げ部410を形成された1枚の金属板により形成される。弾性リブ328の下に挿入する場合は、板バネ400は、折り曲げ部410を更に曲げて、折り曲げ部410を前にして押し込まれる。
【0061】
また、板バネ400の両端には、僅かに屈曲された係止部420がそれぞれ形成される。係止部420は、板バネ400を弾性リブ328の下に押し込んだ場合に、弾性リブ328の裏面にくい込んで、板バネ400の脱落を防止する。
【0062】
更に、板バネ400の折り曲げ部410の側方には、一対の突き当て部430が形成される。板バネ400が弾性リブ328の下に押し込んだ場合、突き当て部430は弾性リブ328の基部325に対する結合部に当接して、板バネ400を位置決めする。また、板バネ400の折り曲げ部410が、弾性リブ328の結合部から離れた位置に配置されることにより、弾性リブ328の過剰な変形が規制され、折損が防止される。
【0063】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加え得ることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】インクジェット式記録装置100の斜視図である。
【図2】被記録媒体191の給送経路200を示す模式的な断面図である。
【図3】巻き取る巻取り装置300を装着された脚部170を示す斜視図である。
【図4】巻取り装置300を単体で示す正面図である。
【図5】巻取り駆動部330を単独で示す斜視図である。
【図6】巻取り従動部340を単独で示す斜視図である。
【図7】巻取り従動部340を、従動軸341の先端側から見た側面図である。
【図8】巻取りローラ組立体360を単独で示す正面図である。
【図9】フランジ部材320を単独で示す斜視図である。
【図10】フランジ部材320を、差し込みリブ324側から見た側面図である。
【図11】フランジ部材320を、図9に対して反対の側から見た図である。
【図12】フランジ部材320を背面から見た様子を示す側面図である。
【図13】フランジ部材320を、その直径を含む面で切った断面を示す図である。
【図14】板バネ400の形状を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0065】
100 インクジェット式記録装置、110 筐体、111 給送部、112 給送駆動ローラ、114 給送従動ローラ、120 カートリッジホルダ、130 装填部、132 ロールカバー、134 スピンドル支持部、140 記録部、141 キャリッジ、142 トップカバー、143 記録ヘッド、144 フロントカバー、145 ガイドレール、147 インクカートリッジ、159 排出ダクト、152 プラテンプレート、160 排出部、170 脚部、171 ブラケット、172 支柱部、174 足部、176 キャスタ、177 ジャッキ、178 横木部、180 操作パネル、190 ロール組立体、191 被記録媒体、192 紙管、194 スピンドル部材、200 給送経路、300 巻取り装置、310 巻取り紙管、320 フランジ部材、321 ソケット部、322 フランジ部、323 当接リブ、324 差し込みリブ、325 基部、326 貫通穴、327 切り込み、328 弾性リブ、329 取り外しレバー、330 巻取り駆動部、331 駆動軸、332 ブラケット、333 駆動プラグ、334 巻取りモータ、335 フランジ、337、347 ピン、338 ベースプレート、340 巻取り従動部、341 従動軸、342 ブラケット、343 従動プラグ、344 ハンガ部、345 フランジ、346 ロックレバー、348 ベースプレート、350 媒体センサ、360 巻取りローラ組立体、400 板バネ、410 折り曲げ部、420 係止部、430 突き当て部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上流側から搬送される長尺の被搬送媒体を下流側で巻き取る巻取り装置であって、
前記被搬送媒体の搬送経路に対して、前記被搬送媒体の幅方向について一方の外側に配置されて回転駆動される駆動プラグを有する巻取り駆動部と、
前記被搬送媒体の幅方向について他方の外側に、前記駆動プラグに対向して配置された、回転自在の従動プラグを有する巻取り従動部と、
前記被搬送媒体を巻き付ける巻取りローラ部と、
記前記巻取りローラ部の径よりも大径であり前記巻取りローラ部の長手方向両端に嵌合する嵌合部を有した一対のフランジ部と、を備え、
前記一対のフランジ部は、前記駆動プラグまたは前記従動プラグに対して相補的な形状を有するソケット部を有し、前記巻取りローラ部を嵌合させたまま前記巻取り駆動部および前記巻取り従動部に対して脱着自在な巻取り装置。
【請求項2】
前記巻取り従動部は、前記被搬送媒体の幅方向について、前記巻取り駆動部に対し、前記駆動プラグおよび前記従動プラグの少なくとも一方が前記ソケット部から離脱方向、及び装着する方向に移動する請求項1に記載の巻取り装置。
【請求項3】
前記駆動プラグおよび前記従動プラグは、前記ソケット部に挿入される場合の先端に近づくほど小径になる形状を有する請求項1または請求項2に記載の巻取り装置。
【請求項4】
前記一対のフランジ部は、前記巻取りローラ部に装着される側から径方向について外側に向かうほど、互いの前記フランジ部の間隔が広くなるテーパ面を有する請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の巻取り装置。
【請求項5】
前記フランジ部は、前記ソケット部に前記駆動プラグおよび前記従動プラグの差し込み状態を視認可能な窓部を有する請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載の巻取り装置。
【請求項6】
前記一対のフランジ部材嵌合部を前記巻取りローラ部から抜き取る場合の力は、前記ソケット部を前記駆動プラグまたは前記従動プラグから抜き取る場合の力よりも大きい請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載の巻取り装置。
【請求項7】
前記嵌合部は、前記巻取りローラの内面に対して当接または離間する当接面と、前記当接面を前記巻取りローラの内面に向かって付勢する付勢部材とを有し、
前記嵌合部は、前記フランジ部を前記巻取りローラから抜き取る場合に、前記フランジの外部からの操作により前記付勢に逆らって前記当接面を前記巻取り紙管の内面から離間させる解除レバーを有する請求項1から請求項6までのいずれか1項に記載の巻取り装置。
【請求項8】
前記嵌合部は、前記巻取りローラの端部から前記フランジ部までを離間させる延長部を備える請求項1から請求項7までのいずれか1項に記載の巻取り装置。
【請求項9】
長尺の被記録媒体に向かってインクを吐出する記録ヘッドと、インクを付着させた記録済み被記録媒体を排出する排出部と、前記記録済み被記録媒体を巻き取る巻取り装置とを備えた記録装置であって、
前記巻取り装置は、
前記記録済み被記録媒体の排出経路に対して、前記記録済み被記録媒体の幅方向について一方の外側に配置されて回転駆動される駆動プラグを有する巻取り駆動部と、
前記記録済み被記録媒体の幅方向について他方の外側に、前記駆動プラグに対向して配置された、回転自在の従動プラグを有する巻取り従動部と、
前記記録済み被記録媒体を巻き付ける巻取りローラ部と、
記前記巻取りローラ部の径よりも大径であり前記巻取りローラ部の長手方向両端に嵌合する嵌合部を有した一対のフランジ部と、を備え、
前記一対のフランジ部は、前記駆動プラグまたは前記従動プラグに対して相補的な形状を有するソケット部を有し、前記巻取りローラ部を嵌合させたまま前記巻取り駆動部および前記巻取り従動部に対して脱着自在な記録装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2009−23781(P2009−23781A)
【公開日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−187586(P2007−187586)
【出願日】平成19年7月18日(2007.7.18)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】