説明

巻取機の制御方法およびその制御方法

【課題】連続的に送給される巻取物を、少なくとも2つの、共通のスピンドル上に支承され、これよって駆動される2つのボビンに平行巻取りする巻取機の制御方法を提供する。
【解決手段】制御信号が生成され、この信号によってアクチュエータ20,21に影響が与えられる。アクチュエータ20,21は、制御信号に依存してプレスローラー13の少なくとも1つのボビン3a、3bに対する押圧力を変更する。制御信号ひいてはボビン3a、3bのプレスローラー13の押圧力は、巻取物の張り2a、2bまたはダンサーローラーの振れに依存しており、その結果巻取物の張り2a、2bまたはダンサーローラーの振れの変更によって押圧力の変更がもたらされる。このことによって、(スピンドル18の回転数の制御に追加して)巻取物の張り2a、2bへ影響を与えることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、巻取機の制御方法に関する。この巻取機では、連続的に送給される巻取物、特に糸、ベルト、針金、撚糸などが2つ以上のボビン巻き取られ、このボビンは共通のスピンドルに支承される。さらに本発明は、連続的に送給される巻取物の複数のボビンへの平行巻取りを行う巻取機に関する。
【背景技術】
【0002】
公知の巻取機では、連続的な巻取物が、特に直接巻取物の製造装置と共にまたは巻取物の備蓄装置と共に形成されている準備ステーションから、巻取ステーションの巻取機の供給路に給送され、そこで巻取物がスリーブありまたはなしで、スピンドルで支承されるボビン上で加工される。巻取り中、巻取物は供給路上で送り装置によってスピンドルに平行に往復運動し、それによって立体的なボビンが形成される。ボビンと送り装置の外表面の間の距離を、ボビンの直径が増大しても同じに維持することを保証するため、送り装置の支持はプレスローラーを介してボビンの外表面で行われる。ボビンの直径の変化により、送り装置付きプレスローラーがと固定されたボビンの回転軸と共に動かされることによって、または送り装置付きプレスローラーが固定されて配置されかつボビンの回転軸に支承されることによって、プレスローラーとボビンの回転軸の間で必要な相対運動が引き起こされる。プレスローラーの均一な押圧力を、ボビンの外表面の縦方向の伸び全体にもたらすために、これはスピンドルに対して平行な方向付けを備えている。プレスローラーはまた、新たに送給される巻取物をボビンの外表面に押圧することにも使用される。このように作られたボビンの巻きのパッキング密度は、プレスローラーの押圧力によって異なる。ボビンは完成後に例えば巻取物の輸送、在庫および/またはさらなる加工のために使用される。
【0003】
巻取物が、ボビンエリアの巻取機によって巻き取られるかまたは取り出される速度とは異なった速度で準備ステーションから給送されると、供給路内の巻取物の長さは変化してしまう。給送速度と取出し速度が異なる理由の例として、準備ステーションの巻取物の給送速度の変化、例えば巻取物製造プロセスでの生産速度の変動の結果、および/またはボビンにおいて変化する取出し速度、例えば巻取物の巻取りエラー、巻き直径の変動および巻取物自体の直径変動の結果が挙げられる。供給路内での巻取物の長さの変化は、巻取物における張りの変化を結果としてもたらす。特に損傷しやすい巻取物の巻取りのためにおよび/または良好な繰り出し特性を備えた、均一なボビンを構成するために、巻取物が可能な限り均一な張りで巻き取りできることが望まれる。別の応用として、巻取りサイクル中にあらかじめ設定された張りの推移に従った巻取物の張りの変化が望まれる。これにより、巻取物の変化した張りまたはあらかじめ設定された張りの推移からの巻取物の張りのずれを緩和するための適切な対策が要求される。
【0004】
巻取物の張りへ作用する公知の対策は、特許文献1で公知である。この特許で記述されている巻取機では、巻取物は供給路上にほぼ固定された滑車を介して案内され、この滑車は支持装置を介して機械枠に支持されている。支持装置は規定曲げ範囲を備え、その範囲では歪みゲージとして形成されたセンサーが巻取物の張りを検知する。センサーの出力信号は、制御ユニットに送られ、この制御ユニットはスピンドル用駆動装置を調整する。制御ユニット内には、テーブルまたは特性マップがメモリーされ、これらは巻取物の張りの低下または増大に応じて、スピンドルの駆動装置のための制御信号の変化を写し取っている。駆動装置の制御は、ボビンの回転数を変更することでボビンの巻取物の取出し速度を変更することにより、変化した巻取物の張りを緩和するように行われる。巻取機を使用して5つのボビンの平行巻取りが行われ、これらのボビンはそれぞれ機械枠のスピンドルのところで支承される。この特許では、一体型センサー付き支持装置の構造的構成のための、およびセンサーの計測精度に影響を与えるための、さまざまに異なった可能性が記述されている。
【0005】
巻取物の張りに影響を与えるための別法としてまたは追加的な可能性として、特許文献2が公知である。この特許にはクロス巻取機が記述されており、このクロス巻取機では巻取りサイクルの経過につれて、増大する巻き直径に合わせて、巻取物の張りが自動的に増大される。そのため、ボビンの外表面の直径が増大することで、プレスローラーが旋回枠と共に旋回する。旋回枠の旋回運動はレバー駆動で作動され、このレバー駆動を介してバネのバネ脚部を調整可能であり、このバネのもう一方のバネ脚部はダンサーローラーの旋回可能なダンサーアームと連結されている。センサーによってダンサーアームの旋回角度が検知され、その際これが非接触式で働く近接スイッチとして形成され、この近接スイッチはダンサーアームによって旋回されるカムディスクとの距離を検知する。制御ユニット(ここでは微分回路と積分回路付き)を介して、張り(それを使ってスピンドルの駆動装置で制御される)が、ダンサーアームが可能な限り一定の旋回位置を保つように制御される。最終的にこの制御により、巻きの外表面の直径の増大によって、旋回枠の旋回によって、レバー駆動の操作によって、およびバネ脚部の調整によって、目的に合わせた巻取物の張りの変更が可能になり、その際、変化特性は、旋回枠の動作機構、レバー駆動およびバネを介したダンサーアームとの連結に依存する。
【0006】
特許文献1では、ボビンの駆動装置回転数の制御が遅すぎるかまたは不正確であることで、準備ステーションによる巻取物の給送速度とボビンによる巻取物の取出し速度が相違することで、供給路内の巻取物の長さが変化し、およびそれによって巻取物の伸張が変化する。変化した伸張は、巻取物の縦剛性に応じて直接巻取物の張りに変化をもたらし、その結果この形態のために巻取物の張りの揺れは直接スピンドルの回転数の制御の質に依存する。それとは逆に特許文献2で公知の形態では、ボビンの駆動装置回転数が不正確に制御される場合も、供給路内で巻取物の長さのある程度の変化を受容し調整することがダンサーローラーの調整運動によって行われ、それによって望ましくない張り変化が少なくとも低減される。
【0007】
巻取物の張りへの影響に対する上述の対策は、挙げられた文書に記述された、唯一の、巻取物の取り込みのための、スピンドルに支承されるボビンである。スピンドル上に2つ(以上)のボビンが一緒に支承され、これらボビンが一緒に回転しかつ平行に巻かれる場合、ボビンの駆動装置回転数の制御によって張りを一定に保持することは、不可能かまたは限定的にしか可能ではない。変化した巻取物の張りの調整は、その場合ボビンの駆動装置回転数の制御により可能であるが、それはボビンへの2つの供給路のために量および方向に関して巻取物の張りの変化が同じである場合にのみもたらされる。しかし実際は張りおよび張りの変化は、2つの平行供給路でまったく異なる場合がある。その場合、そのボビンへの供給路内の巻取物の変化を緩和するために、ボビンの回転数の適合が行われると、巻取物の張りが別のボビンへの供給路上でも意図せずに変化してしまうという直接的な結果となる。ここではボビンへの巻取物のそれぞれの供給路上でダンサーローラーの使用による修正は限定的であり、このボビンは供給路内の巻取物の長さの変化を個別に受容できる。ダンサーアームの旋回は、バネの衝撃とは反対に、場合によっては巻取物の張りの変更ももたらす。この望ましくない効果は、例えばダンサーローラーを空気圧式シリンダー(空気圧式シリンダーの作用方向に自由度を備えている)を介して支持することで除去できる。この空気圧式シリンダーは、一定の圧力に調整することができ、この圧力はダンサーローラーの振れに無関係に巻取物に一定の張りをもたらす。いずれにしても、ダンサーローラーによって受容可能な最大の巻取物の長さを超え、ダンサーローラーがストップ位置まで来て、さらなる調整運動がもはや不可能になった場合は、巻取物の張りが変化してしまう。
【0008】
特許文献3により、糸をボビンに巻取る方法および装置が公知であり、その際糸がボビン上に巻き取られる巻取り速度が調整可能である。ボビンはそこで駆動ローラーと呼ばれるプレスローラーによって動かされ、その際ボビンまたはプレスローラーが円筒形状に、および逆にプレスローラーまたはボビンが円錐形または双円錐に形成される。ボビンはプレスローラーに対して旋回可能である。このことによって、押圧力全体の平均を変更することなく、ボビンと駆動ローラー間の押圧力の推移を変化させることができ、それにより押圧力の推移に応じて巻取り速度を上げたり下げたりすることができる。旋回の大きさと方向の制御変数として、送給される糸の糸張りを使用することが可能である。複数のボビンの、唯一のプレスローラーによる駆動装置の場合、各ボビンで別々の旋回が必要である。
【0009】
特許文献4では、糸をボビンに巻く際に糸張りを制御および/または調整するための方法および装置が公開されている。糸張りはこの場合連続的にスキャンされ、基準値偏差に従って調整される。ボビンが、そこで巻きローラーと呼ばれているプレスローラーに対して旋回され、このプレスローラーはボビンと接触ラインに沿って接触しており、およびこのプレスローラーによってボビンが駆動される。その際プレスローラーが円錐形に形成されることで、旋回によってボビンのプレスローラー上への押圧力がその接触ラインの1つの端部またはもう1つの端部へ向けて増大する。ボビンはプレスローラーによって押圧力のより大きいエリアで駆動されるので、旋回によってボビンの周速、およびそれによって糸の巻取り速度が変化し、その結果糸張りが再び基準値に近づく。
【0010】
特許文献5で公知の巻取機では、送給される糸の糸張りの変化が歪みゲージによって検知される。歪みゲージの信号に基づいて制御信号がアクチュエータのために生成され、このアクチュエータがボビンをプレスローラーに対して旋回させる。ボビンの旋回により、プレスローラーによって駆動されるボビンのプレスローラー上への押圧力が変化させられ、その結果巻取り速度が上昇するかまたは低下し、糸張りがあらかじめ定められた値だけ調整されることが可能である。
【0011】
特許文献3、特許文献4、特許文献5によると、糸張りへの影響は、ボビンの回転数の間接的な調整によって行われる。プレスローラーの駆動は駆動装置回転数nのモーターを介して行われ、その際プレスローラーは変速比iの摩擦駆動装置により、ボビンが回転数n=ixnまで駆動され、この摩擦駆動装置は駆動ローラー外表面とボビンの外表面の間の摩擦接触を形成する。これに関して、ボビンの回転数nが摩擦駆動装置の変速比iの変更によって調整される。摩擦駆動装置の変速比iの変更は、2つの異なる機械装置によって行われる。
【0012】
a)プレスローラーとボビン間の押圧力の変動により、プレスローラーとボビン間のスリップの変更が可能である。しかしスリップの変化は、場合により不都合である。なぜなら特にスリップの増大がボビンに定義されていない駆動状態をもたらす場合があり、それにより例えば生成された巻きの正確さを低減する結果となる。
【0013】
b)円錐形のボビンまたはプレスローラー構造では、ボビンまたはプレスローラーの旋回により、スリップが最小かまたは消滅しているボビンとプレスローラー間の摩擦接触が、円錐形のボビンまたは円錐形のプレスローラーの直径の変化に移される。これには、円錐形のボビンまたはプレスローラーの使用が不可避であることを前提とする。
【0014】
まとめると、最後に挙げた、糸張りの制御のための従来技術ではしたがって、特にボビンの回転数の直接制御またはしかしボビンの回転数の間接的制御が、駆動される駆動ローラーと、これによって摩擦駆動装置に駆動されるボビンとの間の、摩擦駆動装置の変速比iの変化によって行われることが開示される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】欧州特許第1190974(B1)号明細書
【特許文献2】独国特許第3723593(C1)号明細書
【特許文献3】独国特許出願公開第2721972(A1)号明細書
【特許文献4】独国特許出願公開第2513981(A1)号明細書
【特許文献5】米国特許第4,184,646号明細書
【特許文献6】独国特許第102008032643(B3)号明細書
【特許文献7】独国特許出願公開第10003513(A1)号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明の課題は、巻取機の制御方法を提示することであり、この方法は巻取物の張りへの影響および/またはダンサーローラーの振れへの影響のために拡張されたまたは別法の可能性を、連続的に送給される巻取物が(少なくとも)2つの共通のスピンドル上に支承されるボビンに平行巻取りされる場合に、提示することである。さらには、本発明の課題は、連続的に送給される巻取物のボビンへの平行巻取りの際に巻取物の張りおよび/またはダンサーローラーの振れの改善された制御を可能にする巻取機を提示することである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明の課題は、発明により、独立請求項の特徴によって解決される。そのほかの好ましい、発明による実施形態は従属請求項に提示される。
【0018】
本発明は、巻取物の張りへの影響は、ダンサーローラーが使用されるおよび/またはボビンの回転数を制御することでのみ行われるという、従来技術による公知の、巻取物の張り制御のための対策の利点を継承するという認識に基づいている。本発明はこの利点とは相違して、さらなる別法としてまたは追加の対策として、巻取物の張りへの影響のための対策を使用することを提示する。
【0019】
発明による提示に従い、連続的に送給される巻取物の平行巻取りは、2つ(以上)の、共通のスピンドル上に支承される、一緒にスピンドルによって駆動され、一緒に同じ回転数で回転するボビンに行われる。ここで「平行巻取り」は、ボビンに同時に巻き付けられることを意味し、その際これは、巻取物を幾何学的に平行にボビンに送給することは意味しない。
【0020】
発明による方法では、(少なくとも)1つの制御信号が生成され、この信号は(少なくとも)1つのアクチュエータに作用する。この場合は、任意のアクチュエータ、特に電動調整ユニット、空気圧式または油圧式アクチュエータである。アクチュエータは、(少なくとも)1つの制御信号に従って(少なくとも)1つのプレスローラーの(少なくとも)1つのボビンへの押圧力を変える。この場合、1つのプレスローラーの1つのボビンに対する押圧力だけが変えられ、他のプレスローラーの押圧力は変更されないままである。同様に、少なくとも1つのプレスローラーの複数のボビンへの押圧力を一緒に変更することも可能である。押圧力がパッキング密度およびボビンの巻きの半径方向の剛性に応じて、プレスローラーとボビンの回転軸との距離と相互に関連することは、当業者には明白である。本発明には、増大するまたは縮小するプレスローラーのボビンへの押圧力の代わりに、増大するまたは縮小するプレスローラーとボビンの回転軸との距離によってアクチュエータが制御される実施形態も含まれる。さらに、少なくとも1つのアクチュエータの力が直接押圧力に影響するかまたは押圧力に相当する。同様に、アクチュエータが押圧力の成分の一部のみを用意し、他の成分は別の対策、つまり例えば別のアクチュエータおよび/またはプレスローラーと糸ガイド機構の重力によって用意されることが可能である。特別な実施形態では、押圧力の個別変更を各巻きのために少なくとも1つのボビンで、あらかじめ設定された(平均または正常な)押圧力推移をアクチュエータが担当し、他方であらかじめ設定された(平均または正常な)押圧力推移が糸ガイド機構とプレスローラーの重力および/または別のアクチュエータによって保証される。少なくとも1つのアクチュエータによって、ただ1つの変更された押圧力推移が、不変の全体押圧力によってもたらされることも可能である。
【0021】
本発明により、ダンサーローラーの位置を変えるためおよび/またはボビンの駆動装置回転数を制御するために、直接または間接に検知された巻取物の張り(だけが)使用されることはない。むしろ本発明により、(少なくとも)1つの制御信号が巻取物の張りに応じて、特にボビンへのまたは2つのボビンへの供給路内の巻取物の張りに応じて計算される。この制御信号を介して、アクチュエータの作用、つまり押圧力にも影響が与えられる。別法としてまたは追加的に、少なくとも1つの制御信号がダンサーローラーの少なくとも1つの振れに応じて算出される。
【0022】
本発明により、巻取物の張りの変更またはダンサーローラーの振れにより、変更された制御信号の作用によって、アクチュエータ上への押圧力の変更が行われる。単に例として挙げるために、巻取物の張りの増大によって押圧力を増大することができる。押圧力の増大は、巻きのパッキング密度が(わずかに)変わる結果となり、その結果ボビンの外表面の半径Rが少なくとも巻取物がボビンに巻き取られる箇所で縮小する。これにより(ボビンの巻き速度ωが不変であると単純化して仮定した場合)、巻取物の取出し速度が低下するとωRが減少し、それによって増大された巻取物の張りに反対に作用することができる。これに応じて逆が有効であり、巻取物の張りの縮小のために、これによって制御された押圧力が縮小する。同様に、プレスローラーの押圧力を高めるとで、ダンサーローラーの増大された振れに反対に作用することができる。
【0023】
本発明により、巻取物の張りへの影響および/またはダンサーローラーの振れは、説明された押圧力の変更だけで実行でき、または別法としてまたは追加的に、ボビンの回転数に影響することによっても行える。これに関して、平行に巻き取られるボビンに対する異なった押圧力を制御することもでき、それによって巻取物の異なった張りまたはダンサーローラーの異なった振れを2つの平行な供給路上で相殺することができる。
【0024】
本発明により、巻取物の供給路上での巻取物の張りおよび/またはダンサーローラーの振れは、1つのまたは別々に複数のボビンで検知され、処理される。張りおよび/またはダンサーローラーの振れを巻取物内で検知するために、多様な任意の、当業者には公知の異なった手段がある。
【0025】
本発明の特別な実施形態では、巻取物の張りの検知は滑車の支持部によって、支持装置を介して行われる。巻取物の張りにより、支持装置への負荷が生じ、この負荷は適切なセンサーによって検知される。例えば本発明の範囲では、巻取物の張りを検知するために、特許文献1に記述されているように支持装置を使用してよく、ここでは負荷が歪みゲージによって検知される。本発明の範囲で巻取物の張りの検知のために使用し得る、支持装置の別法は、特許文献6に記述されている。本発明による支持装置および使用されるセンサーは、挙げられる例に限定するものではないことは明白である。
【0026】
ダンサーローラーの振れを検知するためのセンサーは、ただいくつかの例を挙げるために、ダンサーローラーの平行移動の自由度またはダンサーアームの旋回角度を検知することができる。異なったボビンへの供給路内に同じまたは異なったセンサー、つまり例えば滑車の支持装置およびダンサーローラーが使用されていてよい。供給路内には、異なった方向転換ユニットが割り当てられたセンサーと共に相前後して配置されていてよい。
【0027】
ボビンの回転数は、一定またはあらかじめ設定された曲線推移に従って形成されることも十分可能である。ボビンの回転数の制御を任意の作動パラメーターに従って、例えば巻取物の給送速度に従って準備ステーションの範囲で可能である。好ましい実施形態では、ボビンの回転数は巻取物の張りおよび/または少なくとも1つのダンサーローラーの振れに応じて(も)制御可能であり、その結果(別法としてまたは追加的に)巻取物の張りおよび/またはダンサーローラーの振れの変更に加えて、押圧力の制御をボビンの回転数制御に使用することができる。ここでは平行に巻きとられるボビンの駆動は、同じ制御回転数によって行われる。本発明の範囲では、ボビンの駆動はスピンドルを介して行われる。
【0028】
本発明の好ましい実施形態では、ボビンの回転数が複数の張りまたは振れに応じて制御され、これらはそれぞれ巻取物のスピンドルへの平行な供給路上で検知される。
【0029】
本発明の別の一実施形態では、ボビンの回転数が張りまたは振れの平均値に応じて制御され、この平均値はそれぞれボビンへの巻取物の平行な供給路上で検知される。これは単純な、限定的ではない例を使用して説明される:2つの供給路にダンサーアームがある場合、これらダンサーアームが巻取物の張りまたは長さに応じて供給路内で向きを変えられ、ダンサーアームが一緒に振れる場合にはボビンのための共通の駆動装置回転数を変更するだけで補正可能である。それとは逆に2つのダンサーローラーのダンサーアーム相対的な旋回が行われると、2つの割り当てられたボビンへの、プレスローラーの押圧力の相対的な変更によって、ダンサーアームのこの相対的な旋回が相殺可能である。実際の作動において、2つのダンサーローラーの共通の運動成分に対しても、2つのダンサーローラーの相対運動に対しても、以下の累積的制御によって反対に作用することができる。
−ボビンの回転数に応じて張りの平均値が、「同じ成分」の分だけ張り変化またはダンサーアームの旋回角度に供給路上で反対に作用する、および
−少なくとも1つのプレスローラーの押圧力によって、供給路内の相対的張り変化に反対に作用する。
【0030】
本発明の特別な実施形態では、2つ(以上)のボビンに別々のプレスローラーが使用される。巻取物の張りの調整を供給路内で行えるよう、プレスローラーの個別の押圧力の変更が、プレスローラーを割り当てられたボビンのところでボビンの回転軸に対して半径方向にスライドすることによって実施可能であり、その際別のプレスローラーは、スピンドルに対する自身の相対的な状態が強制的に変更されないか、またはしかし別のプレスローラーの追加的な個別のスライドを生じさせることが可能である。このようにして、スライドされたプレスローラーに割り当てられたボビンの取出し速度に、およびそれによってこのボビンに送給される巻取物の張りに、および/または少なくとも1つのダンサーローラーの振れに、個別に作用することができる。
【0031】
本発明のこの実施形態は、特許文献7に従った従来技術で公知の構造的な実施形態を別の使用目的および制御目的に転用する:特許文献7は、ただ1つのスピンドル上の複数のボビンに巻き取る場合、巻取り過程が進行するにつれてスピンドル全体にかかる重力が増大し、これによって巻取りサイクルが進むにつれてスピンドルがたわんでしまうという問題が記述されている。このたわみは、ボビン全体を担当しているプレスローラーの個々のボビンに対する押圧力が、自己調節するたわみラインに応じて変化するという結果を招く。生じたたわみラインにもかかわらず可能な限り均一な押圧力をボビンに対して可能にするため、特許文献7は連続したプレスローラーの代わりに、複数の、単独の、それぞれ1つのボビンに割り当てられたプレスローラーを使用し、これらのプレスローラーはそれぞれアクチュエータを介してスピンドルの縦軸に対して半径方向に調節および作用が可能であり、その結果各プレスローラーが同じ押圧力でボビンに押しつけられることが可能になる。本発明によっても、複数のプレスローラーを備えた、特許文献7に従ったこのような実施形態が使用でき、その際本発明によって特許文献7と比べて変更された制御戦略が、個々のプレスローラーに割り当てられたアクチュエータの制御のために使用される。本発明により、プレスローラーの可能な限り均一の押圧力はボビンの外表面に加えられない。というよりむしろ、本発明により、巻取物の張りまたはダンサーローラーの振れに反対に作用するために、目的に合わせて個々の押圧力の増大または減少がもたらされる。
【0032】
複数のプレスローラーを使用する解決概念の特別な実施形態では、異なった張りがボビンへの巻取物の供給路内で、張り適応が行われ、プレスローラーが押圧力の増大のためにおよび巻取物の張りおよび/またはダンサーローラーの振れの低減のために、割り当てられた供給路内でスピンドルの回転軸に対して半径方向に、スピンドルに向かって動かされる一方で、プレスローラーが押圧力を減らすためにおよび巻取物の張りおよび/またはダンサーローラーの振れを増大させるために、割り当てられた供給路内でスピンドルの回転軸に対して半径方向に、スピンドルから離れるよう動かされる。この対策に加えてもう1つボビンの回転数の調整を実施できることは明かである。
【0033】
本発明の別の解決概念として、押圧力の変更が行われてよく、これは(少なくとも)1つのアクチュエータがプレスローラーの回転軸角度をスピンドルの回転軸に対して変更することで行われる。スピンドルの回転軸に対するプレスローラーの回転軸の角度の変更は、巻きの外表面、少なくともプレスローラーの当り範囲で、円錐台の外表面に合わせて変形される。巻取物の当り箇所に応じてこの円錐台の外表面で直径の変更が生じる。ここから、巻取物のための取出し速度の変更が結果として生じる。円錐台の開口角は、ビンの回転軸に対するプレスローラーの回転軸の角度に依存する。この対策は、1つの独立したボビンのためのプレスローラーのためにも使用できる。好ましくはこの実施形態はプレスローラーのために使用され、このプレスローラーは少なくとも2つのボビンの外表面に当てられる。この場合、例えばプレスローラーの角度の変更が、ボビンの円錐台の最大直径が他のボビンの円錐台の最小直径より小さくなるように行われ、その結果異なったボビンの直径を狙って、およびそれによって巻取物の取出し速度が異なった供給路で達成でき、この取出し速度は巻取物の異なった張りおよび/またはダンサーローラーの振れを調整するために供給路内で使用可能である。
【0034】
本発明の別の解決法の根底にある課題は、連続的に送給される巻取物の平行巻取りが少なくとも2つのボビンで行われる巻取機にある。この巻取機は、少なくとも2つの巻取ステーションを具備した、ボビンを駆動するスピンドルを備えており、巻取ステーションのエリアにはそれぞれ少なくとも1つのボビンが配置されている。巻取ステーションのエリアでは巻取物の巻取りが行われる。巻取機は、複数のボビンを担当する1つのプレスローラーまたは複数のプレスローラーを備え、これらプレスローラーは1つのボビンまたはボビンのグループに割り当てられることが可能である。巻取機はさらに少なくとも1つのアクチュエータを備え、このアクチュエータは制御信号によって制御可能である。少なくとも1つのアクチュエータを介して、スピンドルとプレスローラーうちの1つとの間隔または複数のプレスローラーとの間隔を、および/または少なくとも1つのプレスローラーのボビンに対する押圧力を、変更可能である。本発明によりセンサーが備えられ、このセンサーによって巻取物の張りおよび/またはダンサーローラーの振れが割り当てられたボビンへの供給路内で検知され、その際複数のセンサーが異なった供給路に取付けられてもよい。本発明による巻取機は、さらに制御ユニットを備えており、この制御ユニットには巻取物の張りおよび/またはダンサーローラーの振れのために制御論理が備えられている。本発明により、制御論理はこれを使って巻取物の張りおよび/またはダンサーローラーの振れに依存した制御信号を算出可能であり、前述のようにこの制御信号がアクチュエータの制御によって巻取物の張りおよび/またはダンサーローラーの振れの変更に反対に作用するように形成される。
【0035】
本発明による巻取機の別の実施形態では、それぞれ1つのセンサーが、巻取物から巻取ステーションまでの平行な供給路内に、巻取物の張りおよび/またはダンサーローラーの振れを検知するために配置されている。
【0036】
基本的にセンサーの任意の構成が可能である一方で、ここでは支持装置の負荷を滑車が検知するセンサーが好ましい。特にこのセンサーは、巻取物の張りによる負荷の結果である、支持装置内の伸張、張りまたは力を検知する。同様にダンサーローラーの振れを検知するセンサーの使用が可能である。
【0037】
本発明の有利な発展形態は、請求項、明細書および図によって開示される。明細書冒頭で挙げられた特徴の利点および複数の特徴の組み合わせは単なる例であり、利点を強制的に発明による実施形態から達成する必要なく、別法としてまたは追加的に実施することができる。さらなる特徴は、図、特に示された形状および複数の構成部品の相互の相対的な寸法、並びに相対的な配置および作用接続から知ることができる。本発明の異なる実施形態の特徴、または異なる請求項の特徴の組み合わせも、選択された特許請求項の従属参照とは相違して可能であり、これに関して提示される。このことは、別々の図に示されたまたはその説明に挙げられた特徴にも該当する。これらの特徴は、異なった請求項の特徴とも組み合わせることができる。同様に請求項に記載された特徴は、本発明のさらなる実施形態で省略されてよい。
【0038】
請求項および明細書も挙げられた特徴は、その数に関して、副詞「少なくとも」の明示的な使用を必要とすることなく、正確にこの数が、またはより大きい数が挙げられた数として存在していると理解しなければならない。例えば1つのアクチュエータ、1つのプレスローラーまたはダンサーローラーの振れ、と記述されている場合、正確に1つのアクチュエータ、1つのプレスローラーまたは1つのダンサーローラーの振れ、2つのアクチュエータ、プレスローラーまたはダンサーローラーの振れまたは複数のアクチュエータ、プレスローラーまたはダンサーローラーの振れを指している可能性があると理解しなければならない。
【0039】
以下では本発明が、図に示された好ましい実施例でさらに説明および記述される。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明による巻取機の模式的正面図である。
【図2】図1に従った、巻取機の視線の方向IIの模式的部分図である。
【図3】図1および図2に従った巻取機の平面図である。
【図4】発明による方法の極めて模式的な図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
図1は巻取機1を示している。図2および図3で詳細がわかるように、巻取機1内では巻取物2a、2bのボビン3a、3bへの平行給送が供給路4a、4bを通って行われ、図の面に対して垂直の方向に、図1に従って互いにずらされて配置されている。明細書内で供給路4a、4b内にある同等の構成要素は一部で同じ符号が、アルファベットaまたはbを追加して付けられている。巻取機1には、示されている2つを超える数の平行な供給路4a、4bが取付けられ得ることも明白である。
【0042】
供給路4a、4bを経由する巻取物2a、2bの経路は、以下では優先的に供給路4aを通る巻取物2aで説明され、その際対応して平行な供給路4b内の巻取物2bが適用される。
【0043】
巻取物2aは受渡し速度5a、5bで、詳細には図示していない準備ステーション6を離れる。第一の固定された滑車7aを介して巻取物2aが可動のダンサーローラー8aの方向に方向転換される。ダンサーローラー8aは巻取物2aを再び固定された滑車9aの方向へ向け、この滑車9aは滑車7aとほぼ同じ高さに配置されている。滑車9aは巻取物2aを再度、詳細には図示していない綾振り糸ガイドの方向に方向転換する。ダンサーローラー8aは、図示された実施例では、旋回可能に旋回方向10aに、ダンサーアーム11aに接して保持される。供給路4aの巻取物2aの長さが短縮されると、ダンサーアーム11aが反時計回りに旋回し、その際この旋回は、巻取物2aの張りの増大に対し、供給路4a内の巻取物2aの長さを短縮することで反対に作用することを意味する。(この場合、(冒頭に言及したように)ダンサーアーム11aはバネではなく、一定の圧力に調整される空気圧式シリンダーで支えられており、ダンサーアーム11aの振れの変更は巻取物の張りの変更ではなく供給路4a内の巻取物2aの長さの変更だけに関連する。)供給路4a内の巻取物2aの長さが増大すると、図1ではダンサーアーム11aが時計回りに旋回する。
【0044】
図示していない送り装置を介して、滑車9aと綾振り糸ガイドの間に三角形ができるように綾振り運動12aが引き起こされる。綾振り糸ガイドから巻取物2aがプレスローラー13の外表面に到達し、このプレスローラーはボビン3a、3bの外表面14a、14bに押しつけられる。プレスローラー13と共に部分周囲エリアを巻取物2aが動くと、巻取物2aが好ましくはプレスローラー13とボビン3aの間の接触エリアで、ボビン3aの外表面14aに当たる。
【0045】
送り装置は好ましくは共通の糸ガイドユニットおよびプレスユニット33の構成要素で、プレスローラー13を介してボビン3a、3bに支えられる。ボビン3a、3bは、共通のスピンドル18上で支承され、このスピンドルは図面に対して垂直に、図1に従って伸び、機械枠19に支承され、この機械枠には滑車7、9およびダンサーアーム11も支承されている。スピンドル18が制御ユニット28に制御される駆動装置によって動かされること、およびスピンドル18の駆動装置運動が例えばスピンドル18とボビン3a、3bのスリーブの間の密着連結を介してボビン3a、3bへ伝達されることが、可能である。糸ガイドユニットおよびプレスユニット33と回転軸17との距離は、案内路の動きに応じた巻取りサイクルが進むにつれて大きくなる。糸ガイドユニットおよびプレスユニット33は、その自重によっておよび/または少なくとも1つの図示していないアクチュエータによって、押圧力の全体レベルを生成するために力がかけられ、この押圧力はプレスローラー13とボビン3a、3bの外表面14a、14bの間に作用する。ボビン3a、3bの外表面の直径14a、14bが増大すると、回転軸16とボビン3a、3bの回転軸17の間の半径方向の距離15が増大する。
【0046】
ダンサーアーム11a、11bは互いに独立して旋回可能である。特に図2および図3でわかるように、送り装置は同期して動かされる、つまりその方向転換点に同時に達する。
【0047】
図2でわかるように、プレスローラー13の回転軸16がアクチュエータ20、21を介して調整可能であり、このアクチュエータは調整運動22、23を生成する。図示された実施例では、アクチュエータ20、21は液圧式調整シリンダーから形成されるが、電動調整駆動装置のような他のアクチュエータを使用してもよい。異なった制御信号でアクチュエータ20、21が、調整運動22、23が異なるように制御されると、プレスローラー13の回転軸16の角度24がスピンドル18の回転軸17に対して変更される。図2では、明確にするために角度24を旋回する回転軸が、大幅に誇張した大きい角度で示されている。図2では、調整運動23が調整運動22よりも大きい場合、軸周りの旋回は、図面に対して垂直に、駆動ローラー13の縦方向中心点の周りを時計回りに旋回する。しかし、調整運動22、23が同じ量であるが反対方向であることも可能である。
【0048】
図2に示されたように、角度24周りの旋回のために、ボビン3bの外表面14bがボビン3aの外表面14aより強く圧縮される。駆動ローラー13と外表面14a、14bの接触ラインは、回転軸17に対して傾斜しており、その結果円錐台面形の外表面14a、14bがもたらされるか、または少なくとも駆動ローラー13とボビン3a、3bの間の接触ラインが円錐台面にある。この場合ボビン3bの円錐台の最大の直径は、図示された角度24において、ボビン3aの円錐台の最小直径より小さい。これにより、巻取物2bがボビン3b巻き取られる半径25bが、巻取物2aがボビン3a上に巻き取られる半径25aよりも小さくなるという結果となる。従って、角度24がゼロであるとすると、ボビン3bが巻き取る巻取物2bはボビン3aまたはボビン3bの巻き取る巻取物2aより少なくなってしまう。これにより、供給路4b内の巻取物の長さが増大し得る。なぜなら、連続的にさらに、特に速度に変更なしに、巻取物2bが準備ステーション6bによって準備されるからである。これにより、ダンサーアーム11bによって増大された巻取物の張り2bが確認されるかまたは供給路4b内の巻取物の長さ2bが短縮され、この長さはダンサーアーム11bの振れによって検知され、こうして図2に示された回転軸16の角度24の旋回は、調整のために、巻取物の張り2bが再び普通の程度に縮小されるかまたはダンサーローラー8bの振れの変更に反対に作用するように行われ、このことは好ましくは複数の巻きで持続され得る。それに応じて、張りおよび供給路4a内の巻取物2aの長さにはその逆方向も有効であり、その際ここでは半径25aが増大した結果、巻取物2aの張りが増大するかまたはダンサーローラー8aの振れが別の方向に変えられる。
【0049】
一部を変更した多様な実施形態が可能である。例えばアクチュエータ21を省略することができ、一方でこの端領域にプレスローラー13が自在軸受けで支承され、自在軸受けの位置が糸ガイドユニットおよびプレスユニット33に接して固定的に定められており、しかし自在軸受けは回転軸16がこの自在軸受けの周りを旋回することを可能にする。この実施形態では、唯一のアクチュエータ20および調整運動22の制御によって、プレスローラー13の自在軸受け周りの旋回が行われ、これに伴って起こる角度24の変更は、自在軸受け周りで測定される。
【0050】
この実施形態および他の実施形態では、ボビンの回転数3またはスピンドル18の制御を行うことで巻取物2a、2bの張りへまたはダンサーローラー8a、8bの振れへ補足的な影響が与えられる。こうして例えばアクチュエータ20を1つだけ使用して、記述されているように、プレスローラー13の回転軸16の旋回が、巻取物2a、2bの張りの増大または低減がそれぞれ送り装置と自在軸受けの間の距離に従って異なった量で、2つの供給路4a、4bで行われることと結びつけられる。その場合、補足的な重なり合った影響がボビン3a、3bの回転数の変更によって行われる。
【0051】
図に示された実施例では、ボビン3a、3bが一緒に同じ回転数で回転することを前提としている。
【0052】
別の一実施形態では、各ボビン3a、3bに個別のプレスローラー13a、13bが割り当てられており、その際これら2つのプレスローラー13a、13bは、それぞれ2つのアクチュエータ20a、21a、および20b、21bによって別々に制御可能である。その場合、強制的にプレスローラー13a、13bの角度を変化させる必要はないが、これはまったく同様に可能であろう。むしろ好ましくは、プレスローラー13a、13bの平行移動が、プレスローラー13a、13bと回転軸17との間に異なった距離15a、15bを置いて、異なった張りを供給路4a、4b内で調整するために行われるその他の詳細に関して、プレスローラー、アクチュエータ、自由度およびベアリング支持の構造的な実施形態は、特許文献7に従い参照され、この特許文献は全部を本発明に含むことができる(従来技術と比べて変更された制御コンセプトと共に)。
【0053】
図4は本発明による方法を極めて模式的に示している。センサー26a、26bは、それぞれ巻取物2a、2bの張りまたはダンサーローラー8a、8bの振れが供給路4a、4b内で検知されるここでセンサー26a、26bは例えばダンサーアーム11a、11bの旋回角度を検知する。別法として特許文献1または特許文献6に従い、巻取物2a、2bの張りの検知が、センサーまたはDMSを内蔵した支持装置によって行われることも可能である。
【0054】
測定信号27a、27bは制御ユニット28に送られ、この制御ユニットは、供給路4a、4b内の巻取物2a、2bの張りの基準の張りからの逸脱またはダンサーローラー8a、8bの振れの変更に反対に作用するため、適切な制御信号を生成する。例えば制御ユニット28は制御信号29、30を生成し、この制御信号は距離15の変更および/または角度24の変更を調整するためにアクチュエータ20、21(またはアクチュエータ20a、21a、20b、21b)を制御する。図4で点線で図示されているのは、制御ユニット28によってスピンドル18またはボビン3a、3bのための駆動装置32を制御するための、追加的なオプションの制御信号31の生成である。
【0055】
冒頭に挙げた従来技術で公知の解決法は、巻取物2a、2bを1つのスピンドル18上の複数のボビン3a、3bに同時に巻取る場合に、プロセス内にある巻取物の長さまたは張りを制御するためだけにのみ制限される。巻取物の送り長が大きく異なる場合、巻取物2a、2bの張りが個々のボビン3a、3b上で異なることは不可避であり、それによって異なったボビン特性が生じる。極端な例では、ボビン巻取り中に特に巻取物2a、2bをもう案内できなくなる、張りが弱すぎる、または巻取物2a、2bが張りが強すぎて損傷してしまう、プロセスエラーが生じる。本発明により、角度24の能動的な制御が巻取物の入り口レベルでプレスローラー13とスピンドル18の平行性の外で行われ、それによって異なったボビン3a、3bの巻取物が巻き取られる量が調整される。角度24の変化によって生じた1つまたは複数のボビン3a、3bへのプレスローラー13の押圧力の低下により、その密度が低下し、およびそれによってボビン3a、3bの直径が増大し、そのことによって再び、ボビン3a、3bが同じ角速度で巻き取った巻取物2a、2bの長さが調整可能になる。これに応じてこの逆も、加えられる押圧力が高まったボビンに当てはまる。
【0056】
必要な巻取り速度を決めるため、送給される各巻取物2a、2bでは連続的に最新の巻取物2a、2bの長さ、つまりダンサーローラー8a、8bの位置が検出され、制御ユニット28に送られる。ここではこの値が比較され、検出された差に基づいてプレスローラー13の角度24の変化が、スピンドル18に対して計算される。この計算された角度24は、続いて1つまたは複数のアクチュエータ20、21が直接または間接に、例えばレバー装置を介して巻取機1で実行される。これによってプレスローラー13とボビン3a、3bの距離は、巻取物2a、2bの長さが長くなることで拡大され、これに応じて、ボビン3a、3bに対する距離は、巻取物2a、2bの長さが小さくなると縮小される。個々のそれぞれのボビン3a、3bが別々のプレスローラー13a、13bを備えている方法も考えられる。その場合は、個々のプレスローラー13a、13bはそれぞれスピンドル18に対して平行に方向付けされ、スピンドル18との間に制御可能な距離を備えている。同時にプレスローラー13またはプレスローラー13a、13bの制御のために測定された巻取物2a、2bの張りから、平均値形成により、他の方法で重みを付けた平均値形成により、または任意の関数による張りの従属性により、または異なった張りを評価しながら、規定回転数または規定変化がスピンドル18のために計算され、その結果駆動装置32がそれに応じて制御可能になる。
【0057】
本発明の範囲において、「押圧力の変更」は、押圧力の量の変更および/またはプレスローラーとボビンの外表面の接触ラインまたは接触面にわたる押圧力の推移の変更を含んでいる。
【0058】
図示された実施例では、アクチュエータ20、21がプレスローラー13を端領域で支える一方で、他の端領域は糸ガイドユニットおよびプレスユニット33で支えられている。この実施形態ではしかし、すべての、ボビン3a、3b上にかけられる押圧力は、調整運動22、23とは無関係に、調整角度24に応じて、2つのボビン3a、3bへの押圧力の配分に影響を与えることができる。結果として生じる押圧力は、ここでは糸ガイドユニットおよびプレスユニット33および/または追加的に糸ガイドユニットおよびプレスユニット33に作用するアクチュエータ(図示せず)の重さに依存している。
【0059】
アクチュエータ20、21または追加のアクチュエータが、糸ガイドユニットおよびプレスユニット33上に作用することも理論的には考えられる。その場合は、調整運動22、23により、同じ量および同じ方向に、回転軸16、17の平行性を保持しながら、距離15が変更され、ボビン3a、3bのパッキング密度が変更され、2つの供給路4a、4bで同時に張りが変更されるかまたはダンサーアーム11a、11bの旋回角度10a、10bが一緒に変更される。対応する自由度が構造的に存在する場合、糸ガイドユニットおよびプレスユニット33の傾斜により、プレスローラー13といっしょに角度24の分、前述のように押圧力のボビン3a、3bへの分配が変更される。一方で距離15の変更と角度24の変更の重なり合いにより、変更された旋回角度10a、10bの同じ一部分と旋回角度10a、10bの相対的な変化が補正される。
【0060】
上述のように、2つの独立したプレスローラー13a、13bも、アクチュエータ22a、23aないし22b、23bのペアに作用することができ、アクチュエータはそれぞれボビン3a、3bを担当していると解釈される。その場合はアクチュエータ22a、22b、23a、23bは好ましくは糸ガイドユニットおよびプレスユニット33で支える。ここではプレスローラー13a、13bと回転軸17の間の距離15a、15bの調整が別々に行われ、その際ここでも、別法としてまたは追加的にプレスローラー13a、13bの角度24a、24bが影響を与えることができる。
【符号の説明】
【0061】
1 巻取機
2 巻取物
3 ボビン
4 供給路
5 受渡し速度
6 準備ステーション
7 滑車
8 ダンサーローラー
9 滑車
10 旋回方向
11 ダンサーアーム
12 綾振り運動
13 プレスローラー
14 外表面
15 距離
16 回転軸
17 回転軸
18 スピンドル
19 機械枠
20 アクチュエータ
21 アクチュエータ
22 調整運動
23 調整運動
24 角度
25 半径
26 センサー
27 測定信号
28 制御装置
29 制御信号
30 制御信号
31 制御信号
32 駆動部
33 糸ガイドユニットおよびプレスユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
巻取機(1)の制御方法であって、以下の手順工程:
a)連続的に送給される巻取物(2a、2b)を、共通のスピンドル(18)上に支承され、前記スピンドル(18)によって駆動される2つのボビン(3a、3b)に平行巻取り、
b)制御信号(29、30、31)の生成、
c)アクチュエータ(20、21)への制御信号(29、30)の作用、その際前記アクチュエータ(20、21)は前記制御信号(29、30)に従ってプレスローラー(13)の押圧力を少なくとも1つのボビン(3a、3b)で変更、を含み、その際
d)前記制御信号(29、30、31)が巻取物の張り(2a、2b)および/または少なくとも1つのダンサーローラー(8a、8b)の振れに、押圧力の変更により、少なくとも1つのボビン(3a、3b)の外表面の半径が少なくとも前記巻取物(2a、2b)が前記ボビン(3a、3b)上に巻き取られる箇所で、変更され、巻取物の張り(2a、2b)および/または少なくとも1つのダンサーローラー(8a、8b)の振れの変更に反対に作用する結果となるように、依存している、
方法。
【請求項2】
前記巻取物(2a、2b)の張りを巻取物(2a、2b)のための滑車(7a、7b;9a、9b)の支持装置への負荷を検知することによって、前記巻取物(2a、2b)の張りを検出することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
巻取物(2a、2b)の張りおよび/またはダンサーローラー(8a、8b)の振れがそれぞれ平行な供給路(4a、4b)上で前記ボビン(3a、3b)に対して検知されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記ボビン(3a、3b)の回転数が、前記巻取物の張り(2a、2b)および/または少なくとも1つのダンサーローラー(8a、8b)の振れに依存して制御可能であることを特徴とする、請求項1〜3のうちのいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記ボビン(3a、3b)の回転数が、前記巻取物の張り(2a、2b)に依存しておよび/またはダンサーローラー(8a、8b)の振れに依存して制御され、巻取物(2a、2b)がそれぞれ平行な供給路(4a、4b)上で前記ボビン(3a、3b)に対して検知されることを特徴とする、請求項3に従属する請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記ボビン(3a、3b)の回転数が、張りの平均値またはダンサーローラー(8a、8b)の振れの平均値に依存して制御され、それぞれ前記ボビン(3a、3b)への前記巻取物(2a、2b)の平行な供給路(4a、4b)上で検知されることを特徴とする、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
少なくとも2つのプレスローラー(13a、13b)が存在し、その際押圧力の変更が、前記アクチュエータ(20、21)が引き起こしたプレスローラー(13a;13b)の運動によって、前記ボビン(3a、3b)または前記スピンドル(18)の回転軸(17)に対して半径方向に引き起こされることを特徴とする、請求項1〜6のうちのいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記巻取物(2a、2b)の張りおよび/または前記ボビン(3a、3b)への前記巻取物(2a、2b)の供給路(4a、4b)内のダンサーローラー(8a、8b)の振れが異なる場合に、張りおよび/または振れの適応が
a)押圧力の増大のための、および張りおよび/またはダンサーローラー(8a)の振れの低減のためのプレスローラー(13a)が、割り当てられた前記供給路(4a)内で前記ボビン(3a)または前記スピンドル(18)の前記回転軸(17)に対して半径方向に、前記スピンドル(18)に向かって動かされ、
b)一方他のプレスローラー(13b)は押圧力の低減および張りおよび/またはダンサーローラー(8b)の振れを増大するために前記割り当てられた供給路(4b)内で、前記ボビン(3a)または前記スピンドル(18)の前記回転軸(17)が前記スピンドル(18)から離れるよう動かされる、
ように行われることを特徴とする、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
押圧力の変更が、前記アクチュエータ(20、21)が引き起こした前記プレスローラー(13)の前記回転軸(16)の、前記ボビン(3a)または前記スピンドル(18)の前記回転軸(17)に対する角度(24)の変更によって行われることを特徴とする、請求項1〜8のうちのいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
平行巻取りのために連続的に送給される、ボビン(3a、3b)への巻取物(2a、2b)の巻取機(1)において、
a)少なくとも2つの巻取ステーションを備えた前記ボビン(3a、3b)の1つを駆動するスピンドル(18)、
b)少なくとも1つのプレスローラー(13)、
c)少なくとも1つのアクチュエータ(20、21)、
ca)制御信号(29、30)によって制御可能な該アクチュエータ、
cb)1つのまたは前記プレスローラー(13)の前記スピンドル(18)との前記距離(15)、前記プレスローラー(13)の角度(24)および/または1つのまたは前記プレスローラー(13)の少なくとも1つのボビン(3a、3b)に対する押圧力が変更可能であり、その結果、その外表面の半径が少なくとも前記巻取物(2a、2b)が前記ボビン(3a、3b)上に巻き取られる箇所で変更する、該アクチュエータ、
d)巻取物(2a、2b)の張りの検知のためおよび/またはダンサーローラー(8a、8b)の振れの検知のための、巻取ステーションボビン(3a、3b)への供給路(4a、4b)上にある少なくとも1つのセンサー(26a、26b)、
e)巻取物(2a、2b)の張りおよび/または少なくとも1つのダンサーローラー(8a、8b)の振れを制御するための制御論理、特に請求項1〜9に従った方法を実施するための巻取機(1)の制御ユニット(28)、を備え、その際
f)前記制御ユニット(28)に制御論理が備えられ、該制御論理を使用して、巻取物(2a、2b)の張りおよび/またはダンサーローラー(8a;8b)の振れに依存した制御信号(29、30)が決定可能であり、該制御信号が前記アクチュエータ(20、21)の制御によって巻取物(2a、2b)の張りおよび/またはダンサーローラー(8a;8b)の振れの変化に反対に作用する、
巻取機。
【請求項11】
それぞれ1つのセンサー(26a、26b)が巻取物(2a、2b)から前記巻取ステーションへの平行な供給路(4a、4b)内に、前記巻取物(2a、2b)の張りおよび/または前記ダンサーローラー(8a;8b)の振れを検知するために配置されている.ことを特徴とする、請求項10に記載の巻取機(1)。
【請求項12】
少なくとも1つの供給路(4a、4b)に1つの滑車(7a、7b;9a、9b)が前記巻取物(2a、2b)のために支持装置に支えられており、および巻取物の張り(2a、2b)を検知するためのセンサー(20、21)として1つのセンサー(20、21)が使用されており、該センサーが負荷を伸張、支持装置の張りまたは力の形で、巻取物(2a、2b)の張りを検知することを特徴とする、請求項10または11に記載の巻取機(1)。
【請求項13】
前記制御ユニット(28)が制御論理を備えており、該制御論理が制御信号(31)を算出し、該制御信号が制御ケーブルを通って前記ボビン(3a、3b)の駆動装置(32)に送られ、その際前記制御信号(31)が前記センサー(26a、26b)の前記測定信号(27a、27b)に依存し、該センサーが張りおよび/またはダンサーローラー(8a;8b)の振れを、前記ボビン(3a、3b)への前記巻取物(2a、2b)のそれぞれ平行な供給路(4a、4b)上で検知することを特徴とする、請求項11または12に記載の巻取機(1)。
【請求項14】
前記制御ユニット(28)が制御論理を備え、該制御論理が前記制御信号(31)を、張りまたはダンサーローラー(8a;8b)の振れの平均値に依存して決定し、該張りまたはダンサーローラーの振れがそれぞれ前記巻取物(2a、2b)のスピンドル(18)の前記ボビン(3a、3b)への平行な供給路(4a、4b)で検知されることを特徴とする、請求項13に記載の巻取機(1)。
【請求項15】
少なくとも2つのプレスローラー(13a、13b)があり、該プレスローラーが前記アクチュエータ(20、21)によって前記スピンドル(18)または前記ボビン(3a、3b)の回転軸(17)に対して平行に、互いにスライド可能であることを特徴とする、請求項10〜14のうちのいずれか一項に記載の巻取機(1)。
【請求項16】
前記プレスローラーの前記回転軸(16)の、前記スピンドル(18)または前記ボビン(3a、3b)の前記回転軸(17)に対する角度(24)は、前記アクチュエータ(20、21)によって変更可能であることを特徴とする、請求項10〜14のうちのいずれか一項に記載の巻取機(1)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−40047(P2013−40047A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−175325(P2012−175325)
【出願日】平成24年8月7日(2012.8.7)
【出願人】(512206046)ゲオルグ ザーム ゲーエムベーハー ウント ツェーオー. カーゲー (1)
【Fターム(参考)】