説明

巻取装置及びスクリーン装置

【課題】スクリーンの導出及び巻取り装置にあって、螺動機構を用いた場合であっても、停止位置でロックしない技術を提供する。
【解決手段】スクリーン装置110において、スクリーン12が巻き上げられウェイトバー14が上限位置となった場合、軸受け部50の左端面である第1の規制面が第1のスラストボールベアリング151の右面に当接する。当接した状態でモータ33がさらに回転した場合には、第1のスラストボールベアリング151が軸受け部50の左側座面と第1の緩め止めナット143の右側座面との摩擦をなくし、ロックすることはない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、巻取装置及びスクリーン装置に係り、特に、駆動力によりスクリーンを導出及び巻取りを行う巻取装置及びその巻取装置を備えたスクリーン装置に関する。
【背景技術】
【0002】
スクリーンを巻取パイプに取り付け、巻取パイプを回動することによって、スクリーンを導出したり巻き取ったりするスクリーン装置がある。この種のスクリーン装置では、スクリーンの導出のために、手動もしくは駆動装置で巻取パイプが回動される。さらに、駆動装置として、バネ機構などを用いた機械式やモータなどを用いた電動式がある。
【0003】
電動式のスクリーン装置の一形態として、例えば、スクリーンの導出又は巻取をモータの回転軸に取り付けられたエンコーダ等によって制御する技術がある。さらに、本願発明者は、簡易的な構造によってスクリーンの導出及び巻取りを行い、同時に精度よく円滑なスクリーンの開閉を実現する技術を開発し開示している(特許文献1参照)。
【0004】
特許文献1に開示の技術では、駆動手段が設けられた側とは反対側のパイプ端部に設けられた軸受けを螺刻に沿って移動させてパイプを回動させるとともに、軸受けの移動の範囲を規制してパイプの回動量を規制している。つまり、係合手段は軸受けとして機能してパイプを支持しつつ、軸受け(係合手段)自体を支柱の螺刻に案内させてパイプ内部をスムーズに移動させ、さらにパイプの回動量を軸受けの移動量で制御している。言い換えると、係合手段は、軸受けの機能とパイプ回動のスットッパー(スクリーンの上限位置・下限位置の設定)の機能の二つの機能を一つの部材で果たしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−280703号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特許文献1に開示の技術では、簡易的な構造によってスクリーンの導出及び巻取りを行い、同時に精度よく円滑なスクリーンの開閉を実現している。しかし、規制位置で回転がストップした場合、ねじが締まりロック状態になることがあった。そのため逆回転時に、大きなトルクが必要とされる。モータの電源状態(出力)や、風等によってスクリーンがはらんだときなどの条件によっては、作動不能になってしまうことがあり、改善が求められていた。そのような状態を回避するために、リミットスイッチ等のセンサを設けロック状態とならないような制御手法を開示しているが、コストの観点や配線の引き回し等の観点からセンサ等を用いず機械的な構成の追加のみで解決する手法が求められていた。
【0007】
本発明の目的は、上記課題を解決する技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る装置は、スクリーンを巻き取るパイプと、前記パイプの第1の端部に取り付けられて前記パイプを支持する支持手段と、前記パイプの他方の第2の端部に取り付けられ前記パイプを回動する駆動手段と、を備え、前記支持手段は、螺刻された支柱と、前記螺刻に回動可能に螺接するとともに、前記パイプの前記第2の端部の近傍内部に移動範囲が規制されて前記パイプに係合する係合手段と、を備え、前記係合手段は、前記パイプの軸受けとして機能するとともに、前記パイプの回動にともなって前記螺刻に案内されて移動する巻取装置であって、前記支柱に取り付けられ、前記係合手段が規制位置に達したときに接触するスラスト軸受けを備える。
また、前記スラスト軸受けの位置を固定するための緩め止めナットが設けられてもよい。
本発明の別の装置は、スクリーン装置であって、上記の巻取装置と、スクリーンとを備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、螺刻された支柱に取り付けられパイプに係合する係合手段が、パイプの軸受けとして機能するとともに、パイプの回動にともなって螺刻に案内されて移動する巻取装置にあって、停止位置でロックしない技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の前提技術に係る、スクリーン装置の概略図である。
【図2】本発明の前提技術に係る、スクリーンの導出及び巻取を行うために駆動するモータを制御する駆動制御部の機能ブロック図である。
【図3】本発明の前提技術に係る、巻取制御支持部の構造を説明する図である。
【図4】本発明の前提技術に係る、巻取パイプの一部を示す正面図及び断面図である。
【図5】本発明の前提技術に係る、巻取パイプの一部を示す斜視図である。
【図6】本発明の前提技術に係る、巻取制御支持部について、図3の巻取パイプを取り除いた状態を示す図である。
【図7】本発明の前提技術に係る、巻取制御支持部について、図6の軸受け部を取り除いた状態を示す図である。
【図8】本発明の前提技術に係る、軸受け部の構造を示す図である。
【図9】本発明の前提技術に係る、スクリーンが完全に巻き取られた状態の巻取制御支持部スクリーン装置を示す図である。
【図10】本発明の前提技術に係る、スクリーンが完全に巻き取られた状態の巻取制御支持部の軸受け部の位置を示す図である。
【図11】本発明の前提技術に係る、スクリーンが完全に導出された状態のスクリーン装置を示す図である。
【図12】本発明の前提技術に係る、スクリーンが完全に導出された状態の巻取制御支持部の軸受け部の位置を示す図である。
【図13】本発明の実施例に係る、スクリーン装置の概略図である。
【図14】本発明の実施例に係る、巻取制御支持部の構造を説明する図である。
【図15】本発明の実施例に係る、巻取制御支持部の巻取パイプブラケットとリミットボルト座金を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
次に、本発明を実施するための形態(以下、単に「実施形態」という)を、図面を参照して具体的に説明する。本実施形態は特許文献1に開示の技術を前提技術とし、その技術について改良するものである。そこでまず、前提技術について簡単に説明し、つづいて本実施形態の実施例について説明する。
【0012】
<前提技術>
図1は、前提技術に係るスクリーン装置10の概略図を壁11に取り付けられた状態で正面から示した図である。図2はスクリーン装置10のスクリーン12の導出及び巻取を行うために駆動するモータ33を制御する駆動制御部32の機能ブロック図である。
【0013】
スクリーン装置10は、幕体であるスクリーン12と、スクリーン12を導出する及び巻き取る巻取装置20を備える。
【0014】
巻取装置20は、スクリーン12が巻回される巻取パイプ60と、巻取パイプ60の一端に取り付けられ巻取パイプ60を回動する駆動装置30と、巻取パイプ60の他方の一端に取り付けられる巻取制御支持部40とを備える。
【0015】
駆動装置30及び巻取制御支持部40は、それぞれL字状の取付部31,41を備えて壁11に取り付けられる。そして、巻取パイプ60の端部にそれぞれ取り付けられた駆動装置30及び巻取制御支持部40は、巻取パイプ60を支持する。そして、駆動装置30は、モータ33を駆動させ巻取パイプ60を回動することで、巻取パイプ60に取り付けられたスクリーン12を導出又は巻き取る。また、スクリーン12の導出側の端部の一辺には、ウェイトバー14が取り付けられ、このウェイトバー14にかかる重力によって、スクリーン12が張設されている。
【0016】
駆動装置30は、モータ33と、駆動制御部32と、駆動装置30に電力を供給する電源ケーブル39と、を備える。モータ33は、その回転軸を巻取パイプ60の中心軸に係合しており、上述の通り巻取パイプ60を回動する。モータ33の仕様は、例えば、定格電圧12V、定格電力100Wとする。駆動制御部32は、リモコン15を介してユーザの指示を取得し、モータ33を所定方向に回転させる。ここでは便宜的に、スクリーン12を導出する回転方向を「導出回転方向」といい、スクリーン12を巻き取る回転方向を「巻取回転方向」という。モータ33は、一般的なDC(直流)モータであり、スクリーン12の大きさ(重量)や、スクリーン12を導出又は巻き取る速度等に応じた仕様とすればよい。また、モータ制御部35や電流制御部36は、例えば、CPU(Central Processing Unit;中央演算装置)等のLSI(大規模集積回路)やメモリ、及びそのメモリに記憶されてそれぞれの機能を実行するプログラムにより実現され、必要に応じて、スクリーン装置10の駆動状態を記憶する記憶領域を有する。なお、駆動状態とは、例えば、スクリーン12の巻取又は導出状態であるかや、モータ33を完全に巻取り又は導出して停止したか、さらに、途中で停止したかといった状態である。
【0017】
図3は、巻取制御支持部40の構造について説明するための図であり、ここでは理解の容易のために、スクリーン12を取り除き、巻取パイプ60を断面構造とした図を示している。図4は、巻取パイプ60を示す図であり、図4(a)は、開口部分(正面)を示した図であり、図4(b)は長手方向の側面断面図である。さらに、図5は、巻取パイプ60の斜視図である。そして、図6は、図3に示した巻取制御支持部40から、巻取パイプ60を取り除いた状態を示す図であり、さらに図7は、図6から軸受け部50を取り除いた状態を示す図である。また、図8(a)は、軸受け部50の側面図を示す図であり、図8(b)は軸受け部50の正面図(平面図)を示す図である。
【0018】
図示の通り、巻取制御支持部40は、取付部41と、雄ネジ螺刻部49を有する巻取軸42と、巻取パイプ60の内部で巻取パイプ60と係合すると共に巻取軸42の雄ネジ螺刻部49に螺接する軸受け部50とを有する。
【0019】
巻取パイプ60は、例えばアルミニウム合金の円筒形状のパイプであって、図4(a)に示すように、断面視で、巻取パイプ60の内部に、中心方向に向かって所定の高さの係合突部61が上下左右の4箇所に、つまり90度間隔で形成されている。そして、図4(b)及び図5に示すように、係合突部61は、巻取パイプ60の長手方向(図4(b)ではXY方向)に亘って形成されている。
【0020】
例えば図6に示すように、巻取制御支持部40は、取付部41に挿嵌されたボルト46と、ボルトに螺接して取り付けられた軸受け部50と、を有する。このとき、ボルト46の頭部は、取付部41の図示左側に係止するように、ボルト46は挿嵌され、さらに取付部41に固定されている。そして、ボルト46の軸が、巻取軸42として機能する。
【0021】
そして、取付部41を挟んで頭部の対面には、ナットである第1のストッパ43がボルト46の巻取軸42の根本部分に螺着している。さらに、巻取軸42の先端部近傍の所定の位置に、ナットである第2のストッパ44が取り付けられ、固定ネジ45により、固定されている。
【0022】
また、図8に示すように、軸受け部50は、略円筒形状に樹脂材で形成されており、中心には、軸孔52が形成されており、さらに、軸孔52にはタップ加工により螺刻された雌ネジ螺刻部53が形成されている。軸受け部50の外周側面には、断面視で90度間隔で、長手方向(XY方向)に亘って係合溝51が形成されている。また、主に図8(b)に示すように、軸受け部50の外周側面には、断面視で上側の係合溝51と左側の係合溝51の間に、断面視で略長方形で所定の深さの第1の外縁溝部54aが形成されている。同様に、軸孔52を挟んだ対面の、右側の係合溝51と下側の係合溝51との間には、第2の外縁溝部54bが形成されている。
【0023】
そして軸受け部50は、第1のストッパ43と第2のストッパ44の間に配されており、回転しながら、第1のストッパ43と第2のストッパ44の間を移動する。
【0024】
また、係合溝51と巻取パイプ60の係合突部61とが係合して、軸受け部50は巻取パイプ60の内部に係合する。係合突部61と係合溝51とは、巻取パイプ60の内部に取り付けられた状態の軸受け部50が長手方向に円滑に移動でき、かつ、巻取パイプ60の円周方向には固定される大きさに形成されている。そして、巻取パイプ60が回転すると、巻取パイプ60に係合する軸受け部50が巻取軸42の雄ネジ螺刻部49に案内され、回転しながら左右方向に移動する。そして、軸受け部50が第1のストッパ43もしくは第2のストッパ44に当接すると、軸受け部50に係合する巻取パイプ60の回転が拘束され、スクリーン12の導出又は巻取りが停止する。この動作については、後述する。
【0025】
また、スクリーン12の導出量は、巻取パイプ60の径と、軸受け部50が第1のストッパ43から第2のストッパ44までに移動するときの回転する回数によって決まる。そして、その回転する回数は、雄ネジ螺刻部49において第1のストッパ43から第2のストッパ44までの間に螺刻されているピッチ(またはリード)の数によって決まる。つまり、軸受け部50の回転する回数Nが10回転で、且つ、巻取パイプ60の径Dが50mmである場合、スクリーン12の導出量Lは、
L=πDN≒3.14×50×10=1570mm
となる。したがって、導出量Lの設定は、第2のストッパ44の位置を調整することで行う。
【0026】
以上の構成によるスクリーン装置10の動作について、主に図9〜図12を用いて説明する。
【0027】
図9は、スクリーン12が完全に巻き取られた状態のスクリーン装置10を示しており、このときのスクリーン12の位置を上限位置という。また、図10は、上限位置のときの軸受け部50の位置を示した図である。また、図11は、スクリーン12が完全に導出した状態のスクリーン装置10を示しており、このときのスクリーン12の位置を下限位置という。また、図12は、下限位置のときの軸受け部50の位置を示した図である。
【0028】
図9及び図10の状態では、軸受け部50の左端面である第1の規制面55は、第1のストッパ43の第1のリミット面47に当接している。そして、第1のリミット面47のため、軸受け部50は、これ以上左方向には移動しない。この位置で、モータ33が巻取方向に回転した場合、軸受け部50が移動できないため、一般には、モータ33の電流値は、所定の電流値から上昇し、図2に示した電流制御部36が、その上昇した旨を検知すると、モータ制御部35がリミッタを作動させモータ33を停止させる。なお、上述の、所定の電流値から上昇する電流を「上昇電流」ともいう。予め設定するピーク電流値である電源遮断電流値に達した旨を検知することで、上昇電流が出現した旨を判断してもよく、定常状態でモータ33が回動しているときの電流値が1.0Aの場合、電源遮断電流値を1.5Aに設定する。
【0029】
この様にモータ33の電流が上昇しモータ33が停止する条件として、例えば、図3に示したような、軸受け部50が第1のストッパ43に当接していない位置から、第1のストッパ43方向(X方向)に移動してきたときや、軸受け部50が第1のストッパ43に当接して停止している状況からユーザによりさらに巻取方向への動作指示を受けた場合が想定される。
【0030】
次に、図9及び図10に示した状態で、ユーザがリモコン15を操作してスクリーン12を導出する指示をすると、指示取得部37がその旨の信号を受信しモータ制御部35がモータ33を導出方向(図3ではB方向)に回動させる。すると、モータ33に係止している巻取パイプ60が回動し、さらに巻取パイプ60に係止している軸受け部50が回転する。すると、軸受け部50は巻取軸42に螺接しているため、係合突部61及び雄ネジ螺刻部49に案内され、巻取パイプ60の回転にともなって、図示で右方向に移動する。
【0031】
そして、図12に示すように、軸受け部50の右側端部である第2の規制面56が、第2のストッパ44の第2のリミット面48に当接する。このとき、軸受け部50は、第2のストッパ44により、これ以上右方向に移動できない。すると、上述と同様に、モータ33の電流が上昇し、図2に示した電流制御部36が、その上昇電流を検知すると、モータ制御部35がリミッタを作動させ、電流供給を停止しモータ33を停止させる。
【0032】
したがって、スクリーン12の導出量(下限位置及び上限位置)は、巻取軸42の雄ネジ螺刻部49を移動する軸受け部50の移動量で正確に決定できる。そして、軸受け部50が、第1のストッパ43又は第2のストッパ44に当接したときにモータ33に流れる上昇電流を検知するだけで、スクリーン12の巻取り又は導出が完了したと判断して、モータ33を停止させることができる。すなわち、モータ33を停止させる制御が容易であり、制御のための構成も、簡易的に実現できる。なお、モータ33自体が、所定のピーク電流を検知してその動作を停止させる機能を有する場合、モータ制御部35や電流制御部36の機能はなくてもよく、駆動制御部32は、リモコン15の指示を受けてオンオフ制御するだけでよく、モータ33の駆動制御部32の構成はよりシンプルになる。
【0033】
<実施例>
図13に本実施例に係るスクリーン装置110を示す。本実施例の巻取装置120は、巻取パイプ60と、巻取パイプ60を回動する駆動装置30と、巻取パイプ60の他方の一端に取り付けられる巻取制御支持部140とを備える。
【0034】
前提技術のスクリーン装置10と異なる点は、巻取装置120の巻取制御支持部140にロック防止機能が備わる点にある。したがって、以下では、本巻取制御支持部140、特にロック機構に着目して説明し、上述の前提技術のスクリーン装置10と同様の構成については説明を省略すると共に、同一の構成要素については一部同一符号を付している。
【0035】
図14に巻取制御支持部140を示す。図14(a)は、図9や図10と同様に、スクリーン12(ウェイトバー14)が上限位置のときの状態を示している。図14(b)は、図11や図12と同様に、スクリーン12(ウェイトバー14)が下限位置のときの状態を示している。
【0036】
巻取制御支持部140は、取付部141と、雄ネジ螺刻部149を有する巻取軸142と、巻取パイプ60の内部で巻取パイプ60と係合すると共に巻取軸142の雄ネジ螺刻部149に螺接する軸受け部50とを有する。巻取パイプ60と軸受け部50の構造及び動作は、前提技術と同様であるので説明を省略する。
【0037】
取付部141は、L字状の巻取パイプブラケット180と、略円形のリミットボルト座金182とを備える。リミットボルト座金182は、上述の取付部41と巻取軸42との関係同様に、巻取軸142であるボルトと一体に構成されており、例えば溶接によって互いに固定されている。
【0038】
図15に巻取パイプブラケット180とリミットボルト座金182を側面からみた図を示す。図15(a)は巻取パイプブラケット180とリミットボルト座金182が固定された状態を示し、図15(b)は巻取パイプブラケット180とリミットボルト座金182が分離した状態を示す。図示すように、リミットボルト座金182には、リミットボルト座金182に固定された巻取軸142が配置可能な空間として軸配置部188が形成されている。巻取パイプブラケット180の軸配置部188の周囲には、ビス184によってリミットボルト座金182を取り付けることができるように、3個のビス穴187が形成されている。そして、リミットボルト座金182には、巻取パイプブラケット180のビス穴187とを一致させてビス固定できるように所定間隔でビス穴183が形成されている。ここでは、リミットボルト頭148を中心として、45度間隔で8個のビス穴183が形成されている。
【0039】
図14の説明に戻る。巻取軸142には、軸受け部50の移動を規制する手段として、前提技術の第1のストッパ43の代わりに、第1の緩め止めナット143と第1のスラストボールベアリング151が備わる。また、第2のストッパ44の代わりに、第2の緩め止めナット144と第2のスラストボールベアリング152が備わる。
【0040】
より具体的には、リミットボルト頭148側に左側から第1の緩め止めナット143と、それの右側に当接して第1のスラストボールベアリング151が備わる。その結果、第1のスラストボールベアリング151の右面151aが軸受け部50の移動のリミット面として機能する。一方、巻取軸142の右側端部近傍には、右側から第2の緩め止めナット144と、それの右側に当接して第2のスラストボールベアリング152が備わる。その結果、第2のスラストボールベアリング152の左面152aが軸受け部50の移動のリミット面として機能する。つまり、軸受け部50は、スクリーン12の開閉動作に伴って、第1のスラストボールベアリング151と第2のスラストボールベアリング152の間を移動する。
【0041】
そして、スクリーン12が巻き上げられウェイトバー14が上限位置となった場合、図14(a)に示すように、軸受け部50の左端面である第1の規制面55が第1のスラストボールベアリング151の右面151aに当接する。当接した状態でモータ33がさらに回転した場合には、前提技術と異なり、第1のスラストボールベアリング151が軸受け部50の左側座面と第1の緩め止めナット143の右側座面との摩擦をなくし、ロックすることはない。同様に、図14(b)に示すように、スクリーン12が下げられウェイトバー14が下限位置となった場合、軸受け部50の右端面である第2の規制面56が第2のスラストボールベアリング152の左面152aに当接する。このとき第1のスラストボールベアリング151の作用と同様に、軸受け部50が強固に閉まることなくロックすることはない。
【0042】
したがって、軸受け部50が、第1のスラストボールベアリング151又は第2のスラストボールベアリング152から離間する場合に、大きな力(トルク)を必要としない。その結果、スクリーン12の開閉動作、特に、上限から下降させる動作、または下限から上昇させる動作をスムーズに行うことができる。また、上記離間させる力に大きな力を必要としないことから、出力の小さなモータ33を採用することができ、スクリーン装置110全体の小型化が可能となる。また、モータ33を小型化できるため、施工の自由度が大幅に向上する。
【0043】
さらに、第1のスラストボールベアリング151及び第2のスラストボールベアリング152の回転が、それぞれ第1の緩め止めナット143及び第2の緩め止めナット144に伝達することがない。したがって、第1の緩め止めナット143及び第2の緩め止めナット144を、前提技術のように溶接等によって物理的に固定する必要がない。したがって、第1のスラストボールベアリング151及び第2のスラストボールベアリング152の調整、つまり、上限、下限リミット停止位置の調整が設置後に可能となる。この点でも、施工の自由度が大幅に向上する。
【0044】
設置現場での上下限位置の微調整及び変更の方法について、以下に例示する。下限位置を上げる時は第1の緩め止めナット143をスパナで固定し、リミットボルト座金182のビス184をはずし、リミットボルト頭148を緩める方向に回転させ、下げる時は締める方向に回転させる。また、上限位置を上げる時は、リミットボルト座金182のビス184を取り外し、リミットボルト頭148を緩める方向に回転させる。下げる時は、しめる方向に回転させる。なお、下限位置も同量上下するので、必要に応じて下限値を調整する。なお、第1のスラストボールベアリング151と第2のスラストボールベアリング152の固定がそれぞれ単独の構成で適正に可能であれば、第1の緩め止めナット143と第2の緩め止めナット144は省かれてもよい。
【0045】
以上、本発明を実施形態をもとに説明した。この実施形態は例示であり、それらの各構成要素や各処理の組み合わせにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。例えば、第1のスラストボールベアリング151と第2のスラストボールベアリング152の代わりに、同様の機能を有するスラスト円筒ころ軸受け等を用いることができる。
【符号の説明】
【0046】
12 スクリーン
14 ウェイトバー
20 巻取装置
30 駆動装置
33 モータ
40 巻取制御支持部
41 取付部
42 巻取軸
43 第1のストッパ
44 第2のストッパ
45 固定ネジ
46 ボルト
47 第1のリミット面
48 第2のリミット面
49 雄ネジ螺刻部
50 軸受け部
51 係合溝
52 軸孔
53 雌ネジ螺刻部
55 第1の規制面
56 第2の規制面
60 巻取パイプ
110 スクリーン装置
120 巻取装置
140 巻取制御支持部
142 巻取軸
143 第1の緩め止めナット
144 第2の緩め止めナット
148 リミットボルト頭
151 第1のスラストボールベアリング
152 第2のスラストボールベアリング
180 巻取パイプブラケット
182 リミットボルト座金
183 ビス穴
184 ビス
188 軸配置部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スクリーンを巻き取るパイプと、前記パイプの第1の端部に取り付けられて前記パイプを支持する支持手段と、前記パイプの他方の第2の端部に取り付けられ前記パイプを回動する駆動手段と、を備え、前記支持手段は、螺刻された支柱と、前記螺刻に回動可能に螺接するとともに、前記パイプの前記第2の端部の近傍内部に移動範囲が規制されて前記パイプに係合する係合手段と、を備え、前記係合手段は、前記パイプの軸受けとして機能するとともに、前記パイプの回動にともなって前記螺刻に案内されて移動する巻取装置であって、
前記支柱に取り付けられ、前記係合手段が規制位置に達したときに接触するスラスト軸受けを備えることを特徴とする巻取装置。
【請求項2】
前記スラスト軸受けの位置を固定するための緩め止めナットが設けられていることを特徴とする請求項1に記載の巻取装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の巻取装置と、
スクリーンと、
を備えたことを特徴とするスクリーン装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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