説明

巻硬度調節装置および方法

【課題】幅方向に厚さのムラが存在するウェブであっても巻ズレ、巻シワ等の巻不良を発生させない巻硬度調節装置とそれに適用される方法の提供。
【解決手段】形成中の巻取体における巻径を軸方向の複数個所において計測する巻径計測手段と、計測した巻径の大きい部位を押圧するように配置したタッチローラと、計測した巻径に基づいて目標とする押圧力を演算する押圧力演算手段と、目標とする押圧力に一致する押圧力をタッチローラに作用させる押圧手段とを備えるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はウェブの巻取体を形成する技術分野に属する。特に、幅方向に厚さのムラが存在するウェブであっても巻ズレ、巻シワ等の巻不良を発生させない巻硬度調節装置に関する。
【背景技術】
【0002】
用紙、プラスチックフィルム等のウェブ(長尺シート)を巻き取った巻取体の巻姿を左右する重要な要因の一つに、巻き取り時における巻取体への空気巻込量がある。この空気巻込量が多すぎると、巻取体の巻硬度が低すぎて巻ズレが生じることがある。反対に、空気巻込量が少なすぎると、巻取体の巻硬度が高すぎて、ウエブの幅方向に厚さのムラに起因する巻シワが生じることがある。したがって、良好な巻姿の巻取体を得るためには、巻取体への空気巻込量は適切な範囲内に制御されなければならない。
この目的を達成する方法として、ウエブ巻取装置において、巻取体の巻径、巻長、ウエブ厚み、巻取コア径を予め測定しておき、巻取中の巻取体径の計測結果から空気巻込量を一定の周期で演算する空気巻き込み量の演算手段と所望の空気巻込量にする為に巻取速度、巻取張力、タッチロール押し付け力等の条件を制御する方法が提案されている(特許文献1、特許文献2)。
また、この目的を達成する方法として、巻取体における巻径の分布、巻硬度、等を所定範囲とする方法も提案されている(特許文献3)。
【特許文献1】特開平5−104137
【特許文献2】特開平4−280766
【特許文献3】特開平2003−266525
【0003】
しかし、これらの従来方法においては絵柄を印刷する等によるウェブの厚さのムラは考慮されておらず、周面に段差を有する巻取体となることが避けられない。その結果、巻取体の幅方向に巻シワが発生して製品不良となっている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は上記の問題を解決するために成されたものである。その目的は、幅方向に厚さのムラが存在するウェブであっても巻ズレ、巻シワ等の巻不良を発生させない巻硬度調節装置と方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の請求項1に係る巻硬度調節装置は、形成中の巻取体における巻径を軸方向の複数個所において計測する巻径計測手段と、前記計測した巻径の大きい部位を押圧するように配置したタッチローラと、前記計測した巻径に基づいて目標とする押圧力を演算する押圧力演算手段と、前記目標とする押圧力に一致する押圧力を前記タッチローラに作用させる押圧手段とを備えるようにしたものである。
また、本発明の請求項2に係る巻硬度調節装置は、請求項1に係る巻硬度調節装置において、前記巻取体は絵柄の印刷が行なわれた巻取体であって、前記タッチローラの配置は絵柄面積率の大きい部位への配置であるようにしたものである。
また、本発明の請求項3に係る巻硬度調節装置は、請求項1に係る巻硬度調節装置において、前記タッチローラが押圧する部位を前記巻取体の軸方向に移動する移動手段を備え、前記移動手段は前記計測した巻径の大きい部位に前記タッチローラを移動するようにしたものである。
また、本発明の請求項4に係る巻硬度調節装置は、請求項1〜3のいずれかに係る巻硬度調節装置において、前記タッチローラは複数のタッチローラであって、前記計測した巻径の大きい複数の部位を押圧するようにしたものである。
また、本発明の請求項5に係る巻硬度調節方法は、形成中の巻取体における巻径を軸方向の複数個所において計測する巻径計測過程と、前記計測した巻径の大きい部位を押圧するようにタッチローラを配置する配置過程と、前記計測した巻径に基づいて目標とする押圧力を演算する押圧力演算過程と、前記目標とする押圧力に一致する押圧力を前記タッチローラに作用させる押圧過程とを有するようにしたものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明の請求項1に係る巻硬度調節装置によれば、巻径計測手段により形成中の巻取体における巻径が軸方向の複数個所において計測され、タッチローラにより計測した巻径の大きい巻取体の部位が押圧され、押圧力演算手段により計測した巻径に基づいて目標とする押圧力が演算され、押圧手段により目標とする押圧力に一致する押圧力がタッチローラに作用する。すなわち、巻径の大きい巻取体の部位における空気巻込量が少なくなり巻径が均一化する。したがって、幅方向に厚さのムラが存在するウェブであっても巻ズレ、巻シワ等の巻不良を発生させない巻硬度調節装置が提供される。
また、本発明の請求項2に係る巻硬度調節装置によれば、請求項1に係る巻硬度調節装置において、巻取体は絵柄の印刷が行なわれた巻取体であって、タッチローラの配置は絵柄面積率の大きい部位への配置である。したがって、絵柄が主因で幅方向に厚さのムラが存在するウェブに対して巻ズレ、巻シワ等の巻不良を発生させることがなくなる。また、絵柄面積率は巻き取り前の計測が可能であるから、巻き始めから適正な巻硬度調節を行うことができる。
また、本発明の請求項3に係る巻硬度調節装置によれば、請求項1に係る巻硬度調節装置において、タッチローラが押圧する部位を巻取体の軸方向に移動する移動手段により、計測した巻径の大きい部位にタッチローラが移動される。したがって、計測した巻径の大きい部位へのタッチローラの移動を自動で行うことができる。
また、本発明の請求項4に係る巻硬度調節装置によれば、請求項1〜3のいずれかに係る巻硬度調節装置において、タッチローラは複数のタッチローラであって、計測した巻径の大きい複数の部位を押圧する。したがって、複数個所において幅方向に厚さのムラが存在するウェブであっても巻ズレ、巻シワ等の巻不良を発生させることがなくなる。
また、本発明の請求項5に係る巻硬度調節方法によれば、巻径計測過程において形成中の巻取体における巻径が軸方向の複数個所において計測され、配置過程において計測した巻径の大きい部位を押圧するようにタッチローラが配置され、押圧力演算過程において計測した巻径に基づいて目標とする押圧力が演算され、押圧過程において目標とする押圧力に一致する押圧力がタッチローラに作用する。したがって、幅方向に厚さのムラが存在するウェブであっても巻ズレ、巻シワ等の巻不良を発生させない巻硬度調節方法置が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
次に、本発明の実施の形態について図を参照しながら説明する。本発明の巻硬度調節方法置における構成の一例を図1に示す。図1において、1はタッチローラ、2は押圧手段、3は巻径計測手段、4は移動手段、5はデータ処理装置、6は記憶部、61は絵柄面積率、62はタッチローラ位置、63は巻径、64は押圧力、7は演算部、71は配置演算手段、72は押圧力演算手段、100は巻取体、101はウェブである。
タッチローラ1はウェブ101を巻き取ることによって得られた巻取体100の周面に接触して押圧するローラである。タッチローラ1は巻取体100における巻径の大きい部位を押圧するように配置される。巻取体100の全幅ではなく特定部位だけを押圧するために、タッチローラ1の幅は巻取体100の幅に対して数分の1の幅となっている。タッチローラ1は、図1においては1つだけが示されているが、一般的には複数のタッチローラ1であって、それらが干渉することがないように配置され、巻取体100の周面の複数個所を押圧する。
タッチローラ1は、図1に一例を示すように、支持体によって回転自在に支持されている。支持体は、タッチローラ1における押圧力を伝達するとともに、タッチローラ1の押圧位置を規定する機能を有している。
【0008】
押圧手段2は押圧力を発生させる手段である。押圧手段2はタッチローラ1の支持体を押圧することによりタッチローラ1が巻取体100の周面を押圧する。押圧手段2は、たとえば、空気シリンダー等の周知のアクチュエータとそのアクチュエータを駆動する部分によって構成することができる。押圧手段2が発生する押圧力は、データ処理装置5の演算部7の押圧力演算手段72によって演算された目標とする押圧力である。すなわち、押圧手段2は押圧力演算手段72が出力する押圧力信号を入力し、その押圧力信号が指示する押圧力(目標押圧力)に対して発生させる押圧力(発生押圧力)が一致するように押圧力を調節する機能を有している。
【0009】
巻径計測手段3は形成中の巻取体100における巻径を軸方向の複数個所において計測する手段である。巻径計測手段3による巻径の計測は巻径の軸方向の分布を計測すること、すなわち巻径の絶対値ではなく軸方向の部位による差異の計測を目的とする。したがって、巻径の差異だけを検出する構成の巻径計測手段を使用することができる。たとえば、巻取体100の回転軸と平行方向の棒状支持体に複数個の非接触変位計を配列して、巻取体100の周面に近接させて計測を行う。そして、巻取体100の巻径が大きくなるにしたがって巻取体100の周面に対して棒状支持体を後退させ常に一定の距離を維持するように構成する。巻径計測手段3が計測した巻径は、データ処理装置5の記憶部6に巻径63として記憶が行われる。
【0010】
移動手段4はタッチローラ1を巻取体100の軸方向に移動する手段である。この移動によりタッチローラ1が巻取体100を押圧する部位を巻取体100の軸方向に変化させることができる。移動手段4は、図1に示す一例においては、タッチローラ1の支持体を移動することによりタッチローラ1を移動する構成となっている。移動手段4としては、たとえば、ボールスクリューとボールナットによりステップモータの駆動力が伝達され、リニアガイドによって支持されて直線移動するテーブルを有する機構、等の周知の直線移動機構を使用することができる。移動手段4によってタッチローラ1が移動する位置はデータ処理装置5の演算部7の配置演算手段71によって演算された位置である。すなわち、移動手段4は配置演算手段71が出力する位置信号を入力し、その位置信号が指示する位置(目標位置)に対してタッチローラ1の位置(到達位置)が一致するように位置を調節する機能を有している。
【0011】
データ処理装置5は本発明の巻硬度調節装置におけるデータ処理を行う部分である。データ処理装置5が行うデータ処理には巻径計測手段3によって計測された巻径に基づいてタッチローラ1の押圧力と配置の目標値を演算するデータ処理が含まれている。データ処理装置5は、たとえば、PLC(programable logic controller)、パーソナルコンピュータ、等のデータ処理装置におけるハードウェアとソフトウェアによって実現することができる。
データ処理装置5の記憶部6は絵柄面積率61、タッチローラ位置62、巻径63、押圧力64を記憶する。
絵柄面積率61はウェブ101の幅方向(走行方向に対して直角方向)における絵柄面積の分布を示すデータである。この絵柄面積率を得る方法としては、印刷版から得る方法(たとえば、特開平10−206138)、印刷版の元データである刷版画像データから得る方法(たとえば、特開2003−145720)等が周知であるから説明を省略する。ただし、ここでの絵柄面積率61は、一色の印刷版の絵柄面積率の意味ではなく、ウェブ101に印刷が行なわれたすべての印刷版における絵柄面積率の総和(一色の場合を含む)としての絵柄面積率である。
【0012】
タッチローラ位置62は配置演算手段71によって演算されたタッチローラ1の位置のデータである。したがって、移動手段4が位置を調節する動作をした後においては実際のタッチローラ1の位置を示すデータでもある。
巻径63は巻径計測手段3によって計測された巻径をデータ処理装置5が入力したデータである。すなわち、巻取体100の軸方向における巻取体100の巻径の分布を示すデータである。
押圧力64は押圧力演算手段72によって演算された押圧力のデータである。したがって、押圧手段2が押圧力を調節する動作をした後においては、押圧手段2の押圧力を示すデータでもある。
【0013】
データ処理装置5の演算部6は配置演算手段71、押圧力演算手段72を有する。
配置演算手段71は絵柄面積率61に基づいて、絵柄面積率61の大きい部位をタッチローラ1が押圧するようにタッチローラ1の配置の目標値を演算する。絵柄面積率61の分布において複数の極大値が存在するときには、絶対値の大きい極大値の部位を優先させて複数のタッチローラ1を割り当て、割り当てられた極大値の部位を押圧するようにタッチローラ1の配置の目標値を演算する。配置演算手段71は演算したタッチローラ1の配置をタッチローラ位置62として記憶部6に記憶する。また、配置演算手段71はタッチローラ位置62を位置信号として移動手段4に出力する。
【0014】
また、配置演算手段71は巻径63に基づいて、巻径63の大きい部位をタッチローラ1が押圧するようにタッチローラ1の配置の目標値を演算する。巻径63の分布において複数の極大値が存在するときには、絶対値の大きい極大値の部位を優先させて複数のタッチローラ1を割り当て、割り当てられた極大値の部位を押圧するようにタッチローラ1の配置の目標値を演算する。配置演算手段71は演算したタッチローラ1の配置をタッチローラ位置62として記憶部6に記憶する。また、配置演算手段71はタッチローラ位置62を位置信号として移動手段4に出力する。
【0015】
押圧力演算手段72は巻径63に基づいて巻径63の分布における大きい部位と巻径63の小さい部位との差異を演算する。そして、押圧力演算手段72は差異が大きい部位のタッチローラ1の押圧力が大きく、差異が小さい部位のタッチローラ1の押圧力が小さくなるようにタッチローラ1の押圧力の目標値を演算する。押圧力演算手段72は演算した押圧力を押圧力64として記憶部6に記憶する。また、押圧力演算手段72は押圧力64を押圧力信号として押圧手段2に出力する。
【0016】
以上、構成について説明した。次に、本発明の巻硬度調節装置における動作について説明する。最初に最小構成とした本発明の巻硬度調節装置における動作について説明する。最小構成の本発明の巻硬度調節装置における構成の一例を図2に示す。また、最小構成の本発明の巻硬度調節装置における動作の一例をフロー図として図3に示す。
最小構成の本発明の巻硬度調節装置は、図2(A)に示すように、タッチローラはタッチローラ1a,1bの2つであり、巻径計測手段は巻径センサ3a,3bの2つである。図2(A)に一例を示す巻取体においては、回転軸方向の2箇所の部位に絵柄が印刷されている。その絵柄が印刷された部位とタッチローラ1a,1bが押圧する部位とが一致している。また、巻径センサ3aは絵柄が印刷されている部位の巻径を計測し、巻径センサ3bは絵柄が印刷されていない部位の巻径を計測する。
【0017】
まず、図3のステップS1(2点で巻系)において、巻径センサ3a,3b(巻径計測手段3)によって巻取体の巻径の計測が行われ絵柄が印刷されている部位の巻径Daと絵柄が印刷されていない部位の巻径Dbを得る。
次に、ステップS2(Da=Db)において、押圧力演算手段72はDaの値とDbの値とを比較し、その差が許容範囲内であれば、すなわちDa=DbとみなせるときにはステップS3に進み、そうでないときにはステップS4に進む。
次に、ステップS3(巻取り終了か?)において、巻き取りが終了しているときには巻硬度調節装置における処理を終了とする。巻き取りが終了していないときにはステップS1に戻って前述した以降の巻硬度調節装置における処理を継続する。
次に、ステップS4(Da>Db)において、押圧力演算手段72はDaの値とDbの値とを比較し、Da>DbであるときにはステップS5に進み、Da<DbであるときにはステップS6に進む。
【0018】
次に、ステップS5(押圧力増加)において、押圧力演算手段72はDaとDbの間の差異の絶対値が小さければ押圧力の増加を小幅に行う演算を行い、差異の絶対値が大きければ押圧力の増加を大幅に行う演算を行う。すなわち、比例制御または比例制御に類似した制御演算を行う。押圧力演算手段72は演算した目標とする押圧力を押圧力64として記憶部6に記憶する。また、押圧力演算手段72は押圧力64を押圧手段2に押圧力信号として出力する。押圧手段2は押圧力信号を入力し、その押圧力信号が指示する押圧力(目標押圧力)に対して発生させる押圧力(発生押圧力)が一致するように押圧力を調節する。これにより、タッチローラ1a,1bの押圧力は増加する。そして、ステップS1に戻って前述した以降のステップを繰り返す。
【0019】
次に、ステップS6(押圧力減少)において、押圧力演算手段72はDaとDbの間の差異の絶対値が小さければ押圧力の減少を小幅に行う演算を行い、差異の絶対値が大きければ押圧力の減少を大幅に行う演算を行う。すなわち、比例制御または比例制御に類似した制御演算を行う。押圧力演算手段72は演算した目標とする押圧力を押圧力64として記憶部6に記憶する。また、押圧力演算手段72は押圧力64を押圧手段2に押圧力信号として出力する。押圧手段2は押圧力信号を入力し、その押圧力信号が指示する押圧力(目標押圧力)に対して発生させる押圧力(発生押圧力)が一致するように押圧力を調節する。これにより、タッチローラ1a,1bの押圧力は減少する。そして、ステップS1に戻って前述した以降のステップを繰り返す。
【0020】
本発明の巻硬度調節装置を適用して巻き取った巻取体の断面図を図2(B)に示す。図2(B)に示すように、ウェブ101の絵柄のある部位において空気層は薄く、絵柄のない部位において空気層が厚くなっている。巻硬度調節装置の上述の動作によって巻取体への空気巻込量を図2(B)に示すように調節することができる。したがって、幅方向に厚さのムラが存在するウェブであっても巻ズレ、巻シワ等の巻不良を発生させない巻き取りを行うことが可能となる。
【0021】
次に、本発明の巻硬度調節装置における動作について上述とは別の一例を説明する。本発明の巻硬度調節装置における動作の別の一例をフロー図として図4に示す。この別の一例においてはタッチローラの位置と押圧力は巻き取り開始前にプリセットされる。
まず、図4のステップS11(絵柄面積率読込)において、オペレータは絵柄面積率のデータファイルを巻硬度調節装置にダウンロードし記憶部6に絵柄面積率61として保存する。
次に、ステップS12(タッチローラ配置)において、配置演算手段71は絵柄面積率61に基づいて、タッチローラ1の配置の目標値を演算する。配置演算手段71は演算したタッチローラ1の配置をタッチローラ位置62として記憶部6に記憶する。また、配置演算手段71はタッチローラ位置62を位置信号として移動手段4に出力する。移動手段4は位置信号を入力し、その位置信号が指示する位置(目標位置)に対してタッチローラ1の位置(到達位置)が一致するように位置を調節する。
次に、ステップS13(初期押圧力設定)において、オペレータは押圧力の初期値を巻硬度調節装置に設定し記憶部6に押圧力64として保存する。押圧力演算手段72は押圧力64を押圧力信号として押圧手段2に出力する。押圧手段2は押圧力信号を入力し、その押圧力信号が指示する押圧力(目標押圧力)に対して発生させる押圧力(発生押圧力)が一致するように押圧力を調節する。
【0022】
次に、ステップS14(巻取開始)において、ウェブ101を巻き取って巻取体100を得るための巻き取りを開始する。
次に、ステップS15(巻取終了)において、巻き取りが終了しているときには巻硬度調節装置における処理を終了とする。巻き取りが終了していないときにはステップS16に進む。
次に、ステップS16(複数個所巻径計測)において、巻径計測手段3は形成中の巻取体100における巻径を軸方向の複数個所において計測する。巻径計測手段3が計測した巻径は、データ処理装置5の記憶部6に巻径63として記憶が行われる。
次に、ステップS17(巻径分布は許容範囲内?)において、押圧力演算手段72は巻径63に基づいて巻径63の分布における大きい部位と巻径63の小さい部位との差異を演算する。その差異が許容範囲内であるときにはステップS15に戻って前述した以降のステップを繰り返す。そうでないときにはステップS18に進む。
【0023】
次に、ステップS18(タッチローラ位置操作)において、配置演算手段71は巻径63に基づいて、巻径63の大きい部位をタッチローラ1が押圧するようにタッチローラ1の配置の目標値を演算する。配置演算手段71は演算したタッチローラ1の配置をタッチローラ位置62として記憶部6に記憶する。また、配置演算手段71はタッチローラ位置62を位置信号として移動手段4に出力する。移動手段4は位置信号を入力し、その位置信号が指示する位置(目標位置)に対してタッチローラ1の位置(到達位置)が一致するように位置を調節する。
次に、ステップS19(押圧力操作)において、押圧力演算手段72は巻径63に基づいて巻径63の分布における大きい部位と巻径63の小さい部位との差異を演算する。そして、押圧力演算手段72は差異が大きい部位のタッチローラ1の押圧力が大きく、差異が小さい部位のタッチローラ1の押圧力が小さくなるようにタッチローラ1の押圧力の目標値を演算する。押圧力演算手段72は演算した押圧力を押圧力64として記憶部6に記憶する。また、押圧力演算手段72は押圧力64を押圧力信号として押圧手段2に出力する。押圧手段2は押圧力信号を入力し、その押圧力信号が指示する押圧力(目標押圧力)に対して発生させる押圧力(発生押圧力)が一致するように押圧力を調節する。そして、ステップS15に戻って前述した以降のステップを繰り返す。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の巻硬度調節方法置における構成の一例を示す図である。
【図2】最小構成の本発明の巻硬度調節装置における構成の一例を示す図である。
【図3】最小構成の本発明の巻硬度調節装置における動作の一例を示すフロー図である。
【図4】本発明の巻硬度調節装置における動作の別の一例を示すフロー図である。
【符号の説明】
【0025】
1,1a,1b タッチローラ
2 押圧手段
3 巻径計測手段
3a,3b巻径センサ
4 移動手段
5 データ処理装置
6 記憶部
61 絵柄面積率
62 タッチローラ位置
63 巻径
64 押圧力
7 演算部
71 配置演算手段
72 押圧力演算手段
100 巻取体
101 ウェブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
形成中の巻取体における巻径を軸方向の複数個所において計測する巻径計測手段と、
前記計測した巻径の大きい部位を押圧するように配置したタッチローラと、
前記計測した巻径に基づいて目標とする押圧力を演算する押圧力演算手段と、
前記目標とする押圧力に一致する押圧力を前記タッチローラに作用させる押圧手段と、
を備えることを特徴とする巻硬度調節装置。
【請求項2】
請求項1に記載の巻硬度調節装置において、前記巻取体は絵柄の印刷が行なわれた巻取体であって、前記タッチローラの配置は絵柄面積率の大きい部位への配置であることを特徴とする巻硬度調節装置。
【請求項3】
請求項1に記載の巻硬度調節装置において、前記タッチローラが押圧する部位を前記巻取体の軸方向に移動する移動手段を備え、前記移動手段は前記計測した巻径の大きい部位に前記タッチローラを移動することを特徴とする巻硬度調節装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の巻硬度調節装置において、前記タッチローラは複数のタッチローラであって、前記計測した巻径の大きい複数の部位を押圧することを特徴とする巻硬度調節装置。
【請求項5】
形成中の巻取体における巻径を軸方向の複数個所において計測する巻径計測過程と、
前記計測した巻径の大きい部位を押圧するようにタッチローラを配置する配置過程と、
前記計測した巻径に基づいて目標とする押圧力を演算する押圧力演算過程と、
前記目標とする押圧力に一致する押圧力を前記タッチローラに作用させる押圧過程と、
を有することを特徴とする巻取体の巻硬度調節方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−143664(P2010−143664A)
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−320085(P2008−320085)
【出願日】平成20年12月16日(2008.12.16)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】