説明

巻線機用ケーブルホルダー装置

【課題】 巻線を巻線機から容易に取り外し可能にしたケーブルホルダー装置を提供する。
【解決手段】 巻線機の巻取りホイール上のケーブルを巻取るための数組の爪装置は、巻取りホイールAの両側の細長いスロットBに固定された前部ホルダープレート11と後部ホルダープレート12とを備える。2枚のホルダープレート11、12のそれぞれのL字形の通孔に設置された爪2はスプリング24により前記通孔に挿入高さ可変に付勢される。押し出し制御機構3により爪装置が力を受けたとき爪2を傾ける働きをする2つのホイール112、122を有する。

【考案の詳細な説明】
【0001】
【考案の属する技術分野】
この考案はケーブルを巻取る複数の爪装置と、爪装置に連結し巻き終わったケーブルを爪装置から外す押し出し制御機構とを備えた、巻線から取り外し容易な巻線機用ケーブルホルダー装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
製造されたケーブルは、運搬に便利なように巻線にする必要がある。現在そのための巻線機は一般的に、支柱に回転可能に取り付けられた回転台と、回転台に垂直に取り付けられたケーブルを巻取るための複数のスチールロッドとから構成されている。巻き取りを完了した巻線はスチールロッドから力ずくで引き抜かねばならない。このときケーブルの絶縁体が傷つけられがちであった。
【0003】
【考案が解決しようとする課題】
もしスチールロッドが回転ホイールの内側へ傾けて斜めに固定してあれば、巻線をスチールロッドから外すのは容易になるが、完成した巻線は円錐状になり、地上を転がして運搬する際まっすぐ進まない。
ケーブルを巻取る回転ホイールのスチールロッドにスリーブを取り付ける方法もある。巻取りが終わったとき、巻線とスリーブを同時にスチールロッドから外すのである。しかしこのスリーブの着脱には無駄に時間がかかる。
【0004】
図1に示したのは出来上がった巻線を容易に巻線機から外せるようにしたケーブルホルダー装置である。このケーブルホルダー装置は爪ホルダー1、2つのホイール14および14’の間の爪ホルダー1に動くように取り付けられた爪2、および爪ホルダーに接したロッド13と爪の斜角になった後端部23の間をつなぐリターンスプリング21から構成される。爪2には斜角になった後端部23の近くに楕円形のスロット22があり、爪ホルダー1の位置決めピン15にゆるく連結されている。このケーブルホルダー装置は機能的だが、リターンスプリングが損傷しやすく、耐久性に欠けるという短所があった。
【0005】
本考案の目的は、巻線を巻線機から容易に取り外し可能なケーブルホルダー装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本考案は前述の欠点を克服した巻線機用ケーブルホルダー装置を提供する。本考案によるケーブルホルダー装置は、ケーブルを巻取るために巻線機の巻取りホイールに取り付けられた数対の爪装置、爪装置を巻き上がったケーブルから外す押し出し制御機構、および巻取るケーブルの先端をつかむために巻線機の巻取りホイールに装備されたケーブルチャックから構成されている。さらにそれぞれの爪装置は、巻取りホイールの両側の長く伸びたスロットに固定された前部ホルダープレートと後部ホルダープレート、スプリングに支えられて各ホルダープレートのL字型の通孔に固定された爪、およびホルダープレートのL字型の通孔に異なった高さに固定され、スプリングに支えられた爪を両側から挟むように配置されて、爪装置がノックアウト機構によって前方へ押されたとき爪が斜めになるように導く働きをする2つのホイールからなる。
【0007】
この本考案によるケーブルホルダー装置には次の利点がある。
(1) 巻線の出来上がりが美しい。これは巻取りの際、爪装置の爪の保持ロッドが巻取りホイールに対して垂直に配置されているためである。
(2) ケーブルを傷めない。これはケーブルが巻き上がると爪装置の爪の保持ロッドが内側に傾斜するため、巻線を外すときにこすらないためである。
【0008】
(3) 巻線を外したあと、爪装置の爪の保持ロッドは巻取りホイールに対して垂直の位置に自動的に戻る。
(4) 押し出し制御機構は巻取りのあと圧力ディスクを爪装置に押しつけるよう複数の空気シリンダを同時に操作できるように設計されている。そのため巻取りを完了した巻線をただちに巻線機から外すことが出来る。
【0009】
(5) ケーブルチャックを備えているので、巻取りの間ケーブルの先端を固定しておける。
【0010】
【考案の実施の形態】
図2と図3に示すように、ケーブルを巻きつける数対の爪装置はそれぞれ爪ホルダー1と爪2とから成り、巻取り機に取り付けられている。爪ホルダー1は前部ホルダープレート11と後部ホルダープレート12で構成されている。前部ホルダープレート11と後部ホルダープレート12は巻取りホイールAの両側の長く伸びたスロットBに固定されている。2つのホルダープレート11、12にはそれぞれL字型の通孔111、121がある。ホルダープレート11、12のホイール112、122は対応する爪2の両側に接して配置されている。ホルダープレート11、12の内側にはさらに停止ブロック113、123があり、これは細長いスロットBの中を動くようになっている。爪2は細長い保持ロッド21、保持ロッド21の一方の端部にかぶせられたキャップ25、保持ロッド21に巻回されキャップ25と後部ホルダープレート12の間に位置するスプリング24で構成されている。保持ロッド21には第1の丸い凹み22と第2の丸い凹み23があり、それぞれホルダープレート11、12のホイール112と122に対応している。キャップ25の外縁部251は丸く面取りされており、キャップ25を動かす際の摩擦抵抗を最小限にとどめている。
【0011】
図5では、巻取りが終わり、キャップ25が押されて保持ロッド21を動かし、スプリング24を圧縮している。保持ロッド21が押されているとき、第1の丸い凹み22はホイール112とかみ合わさっている。通孔111と121の直径は保持ロッドの直径と比べて大きいため、保持ロッド21に力が掛かっている間、保持ロッド21は内側へ傾いて巻線から離れ、巻線をケーブルホルダーから外すことが出来る。キャップ25を押していた力が無くなると、スプリング24がただちにキャップ25を元の位置に戻し、爪2は巻線機に対して垂直な元の位置に戻って次の巻取りに備える。
【0012】
図2では、押し出し制御機構3はケーブルホルダーの後ろにあって、各爪2のキャップ25にかかる圧力を制御している。押し出し制御機構3は圧力ディスク31と2つの空気シリンダ32で構成されている。圧力ディスク31の中心には巻線機のモーターMの軸を通して巻取りホイールAに固定するための中心孔311があいている。モーターMを挟んで両側の各空気シリンダ32にはピストンロッド321がそれぞれ垂直に圧力ディスク31に連結している。空気シリンダ32がピストンロッド321を伸ばすように制御されると圧力ディスク31は前方に動き爪2(図4参照)をそれぞれ前方へ動かす。このためケーブルホルダーの爪2は傾き巻線が巻線機からはずれるのを可能にする。更に高分子緩衝体33が圧力ディスク31の表側を覆っている。その中心孔331は圧力ディスクの中心孔311と一致していてモーターMのモーター軸が通るようになっている。
【0013】
図2と図6に示したケーブルチャック4は、巻取りホイールAに取り付けられて巻取り中ケ−ブルの先端を保持する働きをする。ケーブルチャック4は横孔421のある位置決めプレート42、位置決めプレート42にしっかりと垂直に固定された固定顎41、横孔421に締め具45で固定されたピン43、ピン43にゆるく連結されて固定顎41に対して動く可動顎46、およびピン43に巻回され可動顎46と横孔421の内壁の間に位置するスプリング44から構成される。スプリング44は絶えず可動顎46を固定顎4に押し付けている。可動顎が後方へ動いてスプリング44を圧縮すると、ケ−ブルの先端を固定顎と可動顎の間に差し込むことができる。可動顎が離されると、スプリング44が可動顎46を押し戻して、ケ−ブルの先端は固定顎41と可動顎46の間にしっかりと保持される。
【0014】
各図は説明のみを目的として作成されたものであり、本考案の適用範囲や限界をすべて説明したものではない。
【図面の簡単な説明】
【図1】 従来の技術による取り外し容易な巻線機用ケーブルホルダー装置である。
【図2】 本考案による取り外し容易な巻線機用ケーブルホルダー装置を上から見た図である。
【図3】 本考案による爪装置の部分を拡大した図である。
【図4】 図2に示す巻線機用ケーブルホルダー装置において、爪装置の保持ロッドが傾いた場合の図である。
【図5】 図3に示す巻線機用ケーブルホルダー装置において、爪装置の保持ロッドが傾いた場合の図である。
【図6】 本考案によるケーブルチャックの図である。
【符号の説明】
A 巻取りホイール
B スロット
M モーター
1 爪ホルダー
2 爪
3 押し出し制御機構
4 ケーブルチャック
11 前部ホルダープレート
12 後部ホルダープレート
21 保持ロッド
24 スプリング
25 キャップ
31 圧力ディスク
32 空気シリンダ
33 高分子緩衝体
41 固定顎
42 位置決めプレート
44 スプリング
46 可動顎
112、122 ホイール

【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】 それぞれ爪ホルダーと爪から構成され、巻線機の巻取りホイールに取り付けられたケ−ブルを巻取るための数対の爪装置と、前述の爪装置を巻き上がったケーブルから外す押し出し制御機構と、それぞれ前述の巻取りホイールの両側の細長いスロットに固定されて前述の爪とホイールを通すためのL字形の通孔を持つ前部ホルダープレートと後部ホルダープレートからなる前述の爪ホルダーと、前述の爪の両側に接するように配置された、前述の前部および後部ホルダープレートの各ホイールと、それぞれ内側に前述の細長いスロットにはめ込まれた停止ブロックを持つ前述の前部および後部ホルダープレートと、第1の丸い凹みと第2の丸い凹みをもち前述の前部および後部ホルダープレートのホイールに対応する長く伸びた保持ロッドと、前述の保持ロッドの一方の端部にかぶせられたキャップと、前述の保持ロッドに巻回され前述のキャップと前述の後部ホルダープレートの間に位置するスプリングからなり、前述のキャップが前述の押し出し制御機構によって押されると前述の保持ロッドが内側に傾いて巻線から離れる仕組みの前述の爪と、からなる、巻線機用ケーブルホルダー装置。
【請求項2】 それぞれの爪のキャップが丸く面取りされている請求項1記載の巻線機用ケーブルホルダー装置。
【請求項3】 巻線機のモーターのモーター軸を通す中心孔を備え前述の爪装置の爪のキャップを押圧する圧力ディスクと、それぞれ前述の圧力ディスクに連結され、前述の爪装置の爪のキャップにつながる圧力ディスクを往復運動させる2つの空気シリンダとから構成される、押し出し制御機構を備えた請求項1記載の巻線機用ケーブルホルダー装置。
【請求項4】 各爪装置の爪のキャップが接する側の表面が高分子緩衝体に覆われた前述の圧力ディスクを備えた請求項1記載の巻線機用ケーブルホルダー装置。
【請求項5】 巻線機の巻取りホイールに固定された位置決めプレートと、前述の位置決めプレートに固定された固定顎と、前述の位置決めプレートに締め具で取りつけられたピンと、前述のピンにゆるく連結されて前述の固定顎と対になって動く可動顎、および前述のピンに巻回され可動顎を固定顎に押し付ける働きをするスプリングとで構成される、巻線機の巻取りホイールにつけられた巻取るケーブルの先端を押さえるケーブルチャックと、前述のケーブルチャックを備えた請求項1記載の巻線機用ケーブルホルダー装置。

【図1】
image rotate


【図2】
image rotate


【図3】
image rotate


【図4】
image rotate


【図5】
image rotate


【図6】
image rotate