巻線部品、および電子機器
【課題】導体線の断線防止を図ることができる巻線部品を得る。
【解決手段】巻線部品12は、ケース14に収容されたコア16と、コア16に巻き付けられた部分17aとコア16を外れた端部17bとを有する導体線17と、ケース14に設けられるとともに、第1の端部18aと、導体線17の端部17bが接続される第2の端部18bとを有するリード18と、ケース14に設けられるとともに、コア16からみてリード18の第2の端部18bよりも外側の位置において突出した突起部21とを具備する。導体線17は、コア16から突起部21を経由してリード18の第2の端部18bに向かうように湾曲して延びている。突起部21には、導体線17が巻き掛け可能であるとともに、コア16から離れる方向に進むに従い突起部21の突出高さが低くなるように傾斜した傾斜部22が設けられている。
【解決手段】巻線部品12は、ケース14に収容されたコア16と、コア16に巻き付けられた部分17aとコア16を外れた端部17bとを有する導体線17と、ケース14に設けられるとともに、第1の端部18aと、導体線17の端部17bが接続される第2の端部18bとを有するリード18と、ケース14に設けられるとともに、コア16からみてリード18の第2の端部18bよりも外側の位置において突出した突起部21とを具備する。導体線17は、コア16から突起部21を経由してリード18の第2の端部18bに向かうように湾曲して延びている。突起部21には、導体線17が巻き掛け可能であるとともに、コア16から離れる方向に進むに従い突起部21の突出高さが低くなるように傾斜した傾斜部22が設けられている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばトランスやコイル等の巻線部品、およびその巻線部品を備えた電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
ポータブルコンピュータのような電子機器には、トランス等の巻線部品が搭載されている。巻線部品は、樹脂製のケースと、このケースに収容されたコアとを備える。このコアには導体線が巻き付けられている。導体線の端部は、ケースに設けられたリードの一端部に半田付けされている。ケースの内部には接着剤が塗られ、コアおよび導体線の一部がケース内に固定されている。
【0003】
巻線部品は、例えばリフロー工程によってプリント配線板に実装される。このリフロー工程では巻線部品が高温に加熱され、この熱によって巻線部品は膨張収縮する。このとき、熱膨張率の違いにより、ケースの膨張収縮の大きさと接着剤の膨張収縮の大きさとが互いに異なる。そのため、導体線に機械的応力(すなわち張力)が作用し、導体線が断線に至ることがある。
【0004】
特許文献1には、ディップ処理時における断線の防止を図ったコイル装置が開示されている。このコイル装置は、絶縁ベースの端子の周辺部に、熱可塑性樹脂からなる棒状の緩衝材が設けられている。この熱可塑性樹脂は、ディップ処理時の雰囲気温度以上で所定硬度まで軟化する材料が選択される。ボビンから延びる銅線は、この緩衝材および端子に一体に巻き付けられている。
【0005】
特許文献2には、落下衝撃時やヒートサイクル時における断線不良の解決を図ったモールドトランスが開示されている。このモールドトランスは、端子ピンが植設されたコイルボビンの鍔部に、係止用の突起を備えている。コイルの引き出し線は、上記突起を介して端子ピンに向かって引き回されている。このコイルの引き出し線は、上記突起を経由することで、モールド樹脂の流れ方向に対して略水平方向に延びている。
【特許文献1】特開2000−269047号公報
【特許文献2】特開平10−261526号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
リフロー工程時のおける巻線部品の膨張収縮により導体線が断線すると、その巻線部品は不良品となり、交換が必要になる。そのため、導体線の断線防止を図ることが望まれる。
【0007】
特許文献1に記載のコイル装置では、熱可塑性樹脂で形成された棒状の緩衝材を絶縁ベースに取り付ける必要がある。また銅線に作用する機械的応力に比べて熱可塑性樹脂の軟化が十分進まなかったときは、銅線が断線に至るおそれがある。
【0008】
特許文献2に記載のモールドトランスでは、引き出し線の周囲におけるモールド樹脂の成形収縮率はある程度小さくなるかもしれないが、引き出し線に機械的応力が加わることに変わりない。そのためその機械的応力が大きいと、引き出し線が断線に至るおそれがある。
【0009】
本発明の目的は、導体線の断線防止を図ることができる巻線部品、およびその巻線部品を備えた電子機器を得ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一つの形態に係る巻線部品は、ケースと、上記ケースに収容されたコアと、上記コアに巻き付けられた部分と上記コアを外れた端部とを有する導体線と、上記ケースに設けられるとともに、第1の端部と、上記導体線の端部が接続される第2の端部とを有するリードと、上記ケースに設けられるとともに、上記コアからみて上記リードの第2の端部よりも外側の位置において突出した突起部とを具備する。上記導体線は、上記コアから上記突起部を経由して上記リードの第2の端部に向かうように湾曲して延びている。上記突起部には、上記導体線が巻き掛け可能であるとともに、上記コアから離れる方向に進むに従い上記突起部の突出高さが低くなるように傾斜した傾斜部が設けられている。
【0011】
本発明の一つの形態に係る電子機器は、筐体と、上記筐体に収容されたプリント回路板と、上記プリント回路板に実装された巻線部品とを具備する。上記巻線部品は、ケースと、上記ケースに収容されたコアと、上記コアに巻き付けられた部分と上記コアを外れた端部とを有する導体線と、上記ケースに設けられるとともに、第1の端部と、上記導体線の端部が接続される第2の端部とを有するリードと、上記ケースに設けられるとともに、上記コアからみて上記リードの第2の端部よりも外側の位置において突出した突起部とを備える。上記導体線は、上記コアから上記突起部を経由して上記リードの第2の端部に向かうように湾曲して延びている。上記突起部には、上記導体線が巻き掛け可能であるとともに、上記コアから離れる方向に進むに従い上記突起部の突出高さが低くなるように傾斜した傾斜部が設けられている。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、導体線の断線防止を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下に本発明の実施の形態を、ポータブルコンピュータに搭載される巻線部品に適用した図面に基づいて説明する。図1ないし図10は、本発明の第1の実施形態に係る電子機器としてのポータブルコンピュータ1、および巻線部品12を開示している。図1に示すように、ポータブルコンピュータ1は、本体2と表示ユニット3とを備えている。
【0014】
本体2は、箱状に形成された筐体4を有する。筐体4は、プリント回路板5を収容している。表示ユニット3は、ディスプレイハウジング7と、このディスプレイハウジング7に収容された表示装置8とを備えている。表示装置8は、表示画面8aを有する。表示画面8aは、ディスプレイハウジング7の前面の開口部7aを通じてディスプレイハウジング7の外部に露出している。表示ユニット3は、筐体4の後端部に一対のヒンジ部9a,9bを介して支持されている。
【0015】
図1に示すように、プリント回路板5は、プリント配線板11と、このプリント配線板11に実装された種々の電子部品とを備える。この電子部品の一つとして、巻線部品12がある。巻線部品12の具体例としては、例えばトランスやコイル、またはフィルタ(例えばコモンモードフィルタ)などが挙げられる。なお本発明でいう巻線部品は、上記例に限られるものではない。
【0016】
次に、巻線部品12の一例について詳しく説明する。なお以下に説明する巻線部品12の一例は、説明の便宜上、簡単な構成のものを取り上げている。なお本発明は、以下に説明する簡単な構成のものに限られるものではなく、複数のコアとそれに対応した多くのリードとを備える種々の巻線部品に適用可能である。
【0017】
図2および図3に示すように、一例としての巻線部品12は、ケース14(すなわちモールド)、カバー15、コア16、導体線17、およびリード18を備える。
ケース14は、例えば合成樹脂材料で造られている。図3に示すように、ケース14は、このケース14の内側に窪んだ凹部を備え、この凹部によってコア16が収容される収容部14aが形成されている。収容部14aは、例えばケース14の中央部に設けられている。このケース14には、上記収容部14aを覆うカバー15が取り付けられる。
【0018】
コア16は、磁束の通路となる部材であり、例えば鉄心などである。図2に示すように、コア16は、例えばリング状に形成されるとともに、例えば2つの導体線17が巻き付けられている。コア16は、導体線17が巻き付けられた状態でケース14の収容部14aに収容されている。
【0019】
導体線17は、例えば銅線、または鉄線などである。なお導体線17は、上記例に限られるものではなく、電気を流す材料で形成されたものあればその種類は問わない。図2に示すように、導体線17は、コア16に巻き付けられた部分17a(例えば中央部分)と、コア16を外れて延びた二つの端部17bとを有する。
【0020】
図3に示すように、ケース14の収容部14aには、接着剤19が塗り込まれている。この接着剤19によって、コア16、およびコア16に巻き付けられた導体線17の一部がケース14内に固定されている。
【0021】
図2に示すように、リード18は、複数設けられている。図3に示すように、リード18は、ケース14に設けられるとともに、それぞれケース14の外部に突出した第1および第2の端部18a,18bを有する。第1の端部18aは、プリント配線板11に設けられたパッド(図示しない)に半田付けされ、プリント配線板11に電気的に接続されることになる端部である。図2に示すように、第1の端部18aは、例えば、コア16からみてケース14の周縁よりも外側に延びている。
【0022】
図2に示すように、リード18の第2の端部18bは、導体線17の端部17bが接続される端部である。導体線17の端部17bは、例えば半田付けによってリード18の第2の端部18bに接続される。リード18の第1の端部18aに比べて第2の端部18bは、収容部14aの近くに位置している。図3に示すように、第2の端部18bは、ケース14の一つのケース面14bから突出しており、導体線17の端部17bが巻き付け可能である。第2の端部18bは、第1の端部18aと電気的に連絡している。
【0023】
図2に示すように、ケース14には、例えばリード18の数と同数の突起部21が設けられている。突起部21は、コア16からみてリード18の第2の端部18bよりも外側(すなわちケース14の周縁側)に位置している。
【0024】
図3に示すように、突起部21は、リード18の第2の端部18bが突出するケース面14bに設けられるとともに、第2の端部18bと同じ方向に突出している。突起部21は、例えば追加モールドである。すなわち突起部21は、ケース14と同じ材料が用いられ、ケース14と一体に造られている。
【0025】
図3および図4に示すように、突起部21には、導体線17が巻き掛け可能な傾斜部22が設けられている。傾斜部22は、例えば突起部21の先端部に設けられ、コア16から離れる方向に進むに従い突起部21の突出高さ(すなわちケース面14bからの高さ)が低くなるように傾斜している。換言すれば、突起部21の先端部は、コア16からみて外側となる部分が斜めにカットされている。傾斜部22は、導体線17が巻き掛け可能な傾斜面22aを有する。本実施形態に係る傾斜面22aは、平面状に形成されている。
【0026】
図2に示すように、導体線17は、コア16から突起部21を経由してリード18の第2の端部18bに向かうように湾曲して延びている。導体線17は、コア16からみて外側から突起部21の傾斜面22aに対して、例えば突起部21の約半周ほど巻き掛けられている。
【0027】
コア16からみて一つの側方に設けられた複数のリード18は、一つの方向(図2中X方向)に沿って互いに並んで設けられている。複数の突起部21は、複数のリード18に対して1対1で対応している。突起部21は、上記複数のリード18が並ぶ方向(図2中X方向)に対して直交する方向(図2中Y方向)に沿って、その突起部21が対応するリード18の第2の端部18bと並んでいる。
【0028】
図2に示すように、突起部21は、リード18の並ぶ方向(図2中X方向)に沿って、その突起部21と同じコア16に対応する他の突起部21に対向する第1の側面21aと、この第1の側面21aの反対側となる第2の側面21bとを有する。コア16から延びる導体線17は、まず第1の側面21aに沿って延びるとともに、そこから第2の側面21bに回り込むように突起部21に対して巻き掛けられている。
【0029】
次に、巻線部品12の製造方法の一例について説明する。
まず突起部21が一体成形されたケース14と、導体線17が巻き付けられたコア16とを準備する。ケース14にはリード18が設けられている。そして、導体線17が巻き付けられたコア16をケース14の収容部14aの中に入れる。
【0030】
コア16をケース14に収容した後、導体線17の端部17bをリード18の第2の端部18bに接続する作業を行う。この作業は、例えばピンセットなどを用いて人手で行われる。具体的には、図2に示すように、導体線17をまず突起部21の周辺まで引き出し、その引き出した導体線17を突起部21の傾斜面22aに巻き掛ける。
【0031】
そして、この突起部21を支点として導体線17にテンションをかけ、すなわち突起部21と導体線17の端部17bとの間で導体線17が張った状態にして、導体線17の端部17bをリード18の第2の端部18bに巻き付ける。導体線17をリード18の第2の端部18bに巻き付けた後、導体線17をリード18の第2の端部18bに半田付けにより固定する。
【0032】
一方、導体線17をリード18の第2の端部18bに接続すると前後して、ケース14の収容部14a内に接着剤19を塗り込み、コア16をケース14に固定する。最後に、ケース14にカバー15を取り付けることで、巻線部品12の組立が一通り終了する。
【0033】
次に、巻線部品12の作用について説明する。
巻線部品12は、リフロー工程によりプリント配線板11に実装される。このリフロー工程時には、巻線部品12が高温に加熱され、この熱によって巻線部品12は膨張収縮する。ここで、接着剤19の熱膨張率に比べて、合成樹脂製のケース14の熱膨張率の方が大きい。そのため、巻線部品12の熱膨張時には、接着剤19の膨張E1に比べてケース14の膨張E2の方が大きい(図6参照)。これにより、コア16とリード18の第2の端部18bとの間で導体線17に機械的応力、すなわち張力が加わる。
【0034】
この張力がある程度大きくなると、図5および図6に示すように、この張力によって突起部21の傾斜面22aに巻き掛けられた導体線17が傾斜面22aに沿ってずれ動き、導体線17が突起部21から自然と外れる。これにより、コア16とリード18の第2の端部18bとの間で、導体線17には湾曲するように延びた撓み部分が生じ、導体線17に作用していた機械的応力が解消される。
【0035】
このような構成の巻線部品12によれば、簡単な構成で導体線17の断線防止を図ることができる。
まず、コア16からみてリード18の第2の端部18bよりも外側の位置において突出した突起部21がケース14に設けられていると、導体線17の端部17bをリード18の第2の端部18bに接続する作業性が良好になる。つまり、導体線17を突起部21に巻き掛けることで、導体線17にテンションを作用させながら、導体線17の端部17bを第2の端部18bに巻き付けることができる。このように導体線17を張った状態にして作業が行えると、導体線17を第2の端部18bに巻き付けやすく、その作業性が良好になる。
【0036】
突起部21に、導体線17が巻き掛け可能であるとともに、コア16から離れる方向に進むに従い突起部21の突出高さが低くなるように傾斜した傾斜部22が設けられていると、導体線17に作用する張力がある程度大きくなると、この張力によって突起部21の傾斜面22aに巻き掛けられた導体線17が傾斜面22aに沿ってずれ、導体線17が突起部21から自然と外れる。
【0037】
すなわち導体線17は、巻線部品12が膨張したときでも、過度に張力が作用しにくい。これにより巻線部品12は、導体線17の断線防止を図ることができる。導体線17の断線防止を図ることができると、巻線部品12の不良率を下げることができ、不良品の交換に掛かる手間やコストを小さくなり、生産性や保守性の向上につながる。
【0038】
上述のように、本実施形態に係る巻線部品12では、導体線17に作用する過度の張力を緩和する機構として、傾斜部22を有する突起部21を備える。このような簡単な構成で導体線17の断線防止を図ることができると、巻線部品12の構造を比較的単純に構成しやすく、製造コストを抑えることができる。
【0039】
本実施形態に係る巻線部品12では、導体線17に作用する張力を緩和する機構が、突起部21の形状のみによって形成されている。したがって、外部環境(例えば温度)などに影響されず、導体線17にある程度の張力が加わったとき、その張力によって導体線17が突起部21から自然と外れる。つまり、外部環境に依存する機構(例えば熱可塑性樹脂を用いたもの)などに比べて、本実施形態に係る機構は、安定して確実に作動するといえる。
【0040】
突起部21がケース14と同じ材料が用いられ、ケース14と一体に造られていると、ケース14とは別に突起部21を準備する工程、および突起部21をケース14に取り付ける工程などが不用である。つまり本実施形態に係る巻線部品12は、高い製造性の実現が可能である。
【0041】
突起部21がケース14からリード18の第2の端部18bと同じ方向に突出していると、導体線17を突起部21に巻き掛けるとともに第2の端部18bに接続する作業が行いやすくなる。傾斜部22が平面状に形成された傾斜面22aを有すると、例えば曲面状に形成された傾斜部22を有する場合に比べて傾斜部22を形成しやすくなる。
【0042】
突起部21が複数のリード18が互いに並ぶ方向に対して直交する方向に沿ってリード18の第2の端部18bと並んでいると、各リード18に接続される導体線17同士の間の距離を確保しやすく、且つ、巻線部品12の小型化を図ることができる。各リード18に接続される導体線17同士の間の距離がある程度確保されていると、導体線17の引き回しなどの作業性を向上させやすい。
【0043】
次に、図7ないし図9を参照して、突起部21の種々の変形例を示す。図7に示すように、突起部21の傾斜面22aは、曲面状に形成されていてもよい。図8に示すように、突起部21の傾斜部22は、突起部21の突出高さの全長に亘り設けられていてもよい。図9に示すように、傾斜部22は、突起部21の先端部の一部にだけ設けられていてもよい。
【0044】
図10は、巻線部品12の変形例の一つを示す。この巻線部品12では、プリント配線板11に実装される前の段階で、導体線17がすでに突起部21から外れている。本発明でいう「導体線がコアから突起部を経由してリードの第2の端部に向かうように湾曲して延びている」とは、導体線17が突起部21に巻き掛けられている場合に加え、導体線17が突起部21から外れている場合も含む。
【0045】
すなわち、巻線部品12は、突起部21を利用して(すなわち導体線17を突起部21に巻き掛けて)導体線17の端部17bをリード18の第2の端部18bに接続した後、自然と、又は人為的に導体線17が突起部21から外されていてもよい。このような巻線部品12によっても、導体線17に過度の張力が作用することを避けることができ、導体線17の断線防止を図ることができる。
【0046】
次に、本発明の第2の実施形態に係る巻線部品12について、図11を参照して説明する。なお上記第1の実施形態の構成と同一または類似の機能を有する構成は、同一の符号を付してその説明を省略する。本実施形態に係る巻線部品12は、例えば第1の実施形態と同様の電子機器であるポータブルコンピュータ1に搭載される。
【0047】
図11に示すように、本実施形態に係る巻線部品12は、複数の機能ユニット31が一方向(図11中X方向)に並べて設けられている。各機能ユニット31は、例えばコア16、導体線17、およびリード18を含む。
【0048】
複数のリード18は、図11中X方向に沿って互いに並んで設けられている。複数の突起部21は、複数のリード18に対して1対1で対応している。突起部21は、上記複数のリード18が並ぶ方向(図11中X方向)に対して直交する方向(図11中Y方向)に沿って、その突起部21が対応するリード18の第2の端部18bと並んでいる。上記説明した以外の巻線部品12の構成は上記第1の実施形態と同じである。
【0049】
このような構成の巻線部品12によれば、上記第1の実施形態と同様に、簡単な構成で導体線17の断線防止を図ることができる。
突起部21が、複数の機能ユニット31が並ぶ方向に対して直交する方向に沿って、その突起部21が対応するリード18の第2の端部18bと並んでいると、複数の機能ユニット31の間に突起部21が設けられる場合などに比べて、各リード18に接続される導体線17同士の間の距離を確保しつつ、巻線部品12の小型化を図ることができる。
【0050】
以上、本発明の第1および第2の実施形態に係る巻線部品12、およびポータブルコンピュータ1について説明したが、本発明はこれらに限られるものではない。例えば、上記第2の実施形態に係る巻線部品12においても、図7ないし図10で示す変形例と同じ構造を適用することができる。
【0051】
突起部21は、複数のリード18が互いに並ぶ方向に対して直交する方向に沿ってリード18の第2の端部18bと並んでいる必要は必ずしもない。突起部21は、ケース14と同じ材料で造られている必要は必ずしもない。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るポータブルコンピュータの斜視図。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る巻線部品の上面図。
【図3】図2中に示された巻線部品のF3−F3線に沿う断面図。
【図4】図3中に示された突起部を拡大して示す断面図。
【図5】図2中に示された巻線部品のリフロー工程時の状態を示す上面図。
【図6】図5中に示された巻線部品のリフロー工程時の状態を示す断面図。
【図7】本発明の第1の実施形態に係る突起部の第1の変形例を示す断面図。
【図8】本発明の第1の実施形態に係る突起部の第2の変形例を示す断面図。
【図9】本発明の第1の実施形態に係る突起部の第3の変形例を示す断面図。
【図10】本発明の第1の実施形態に係る巻線部品の一つの変形例の断面図。
【図11】本発明の第2の実施形態に係る巻線部品の上面図。
【符号の説明】
【0053】
1…ポータブルコンピュータ、4…筐体、5…プリント回路板、12…巻線部品、14…ケース、16…コア、17…導体線、17b…導体線の端部、18…リード、18a…第1の端部、18b…第2の端部、21…突起部、22…傾斜部、22a…傾斜面。
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばトランスやコイル等の巻線部品、およびその巻線部品を備えた電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
ポータブルコンピュータのような電子機器には、トランス等の巻線部品が搭載されている。巻線部品は、樹脂製のケースと、このケースに収容されたコアとを備える。このコアには導体線が巻き付けられている。導体線の端部は、ケースに設けられたリードの一端部に半田付けされている。ケースの内部には接着剤が塗られ、コアおよび導体線の一部がケース内に固定されている。
【0003】
巻線部品は、例えばリフロー工程によってプリント配線板に実装される。このリフロー工程では巻線部品が高温に加熱され、この熱によって巻線部品は膨張収縮する。このとき、熱膨張率の違いにより、ケースの膨張収縮の大きさと接着剤の膨張収縮の大きさとが互いに異なる。そのため、導体線に機械的応力(すなわち張力)が作用し、導体線が断線に至ることがある。
【0004】
特許文献1には、ディップ処理時における断線の防止を図ったコイル装置が開示されている。このコイル装置は、絶縁ベースの端子の周辺部に、熱可塑性樹脂からなる棒状の緩衝材が設けられている。この熱可塑性樹脂は、ディップ処理時の雰囲気温度以上で所定硬度まで軟化する材料が選択される。ボビンから延びる銅線は、この緩衝材および端子に一体に巻き付けられている。
【0005】
特許文献2には、落下衝撃時やヒートサイクル時における断線不良の解決を図ったモールドトランスが開示されている。このモールドトランスは、端子ピンが植設されたコイルボビンの鍔部に、係止用の突起を備えている。コイルの引き出し線は、上記突起を介して端子ピンに向かって引き回されている。このコイルの引き出し線は、上記突起を経由することで、モールド樹脂の流れ方向に対して略水平方向に延びている。
【特許文献1】特開2000−269047号公報
【特許文献2】特開平10−261526号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
リフロー工程時のおける巻線部品の膨張収縮により導体線が断線すると、その巻線部品は不良品となり、交換が必要になる。そのため、導体線の断線防止を図ることが望まれる。
【0007】
特許文献1に記載のコイル装置では、熱可塑性樹脂で形成された棒状の緩衝材を絶縁ベースに取り付ける必要がある。また銅線に作用する機械的応力に比べて熱可塑性樹脂の軟化が十分進まなかったときは、銅線が断線に至るおそれがある。
【0008】
特許文献2に記載のモールドトランスでは、引き出し線の周囲におけるモールド樹脂の成形収縮率はある程度小さくなるかもしれないが、引き出し線に機械的応力が加わることに変わりない。そのためその機械的応力が大きいと、引き出し線が断線に至るおそれがある。
【0009】
本発明の目的は、導体線の断線防止を図ることができる巻線部品、およびその巻線部品を備えた電子機器を得ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一つの形態に係る巻線部品は、ケースと、上記ケースに収容されたコアと、上記コアに巻き付けられた部分と上記コアを外れた端部とを有する導体線と、上記ケースに設けられるとともに、第1の端部と、上記導体線の端部が接続される第2の端部とを有するリードと、上記ケースに設けられるとともに、上記コアからみて上記リードの第2の端部よりも外側の位置において突出した突起部とを具備する。上記導体線は、上記コアから上記突起部を経由して上記リードの第2の端部に向かうように湾曲して延びている。上記突起部には、上記導体線が巻き掛け可能であるとともに、上記コアから離れる方向に進むに従い上記突起部の突出高さが低くなるように傾斜した傾斜部が設けられている。
【0011】
本発明の一つの形態に係る電子機器は、筐体と、上記筐体に収容されたプリント回路板と、上記プリント回路板に実装された巻線部品とを具備する。上記巻線部品は、ケースと、上記ケースに収容されたコアと、上記コアに巻き付けられた部分と上記コアを外れた端部とを有する導体線と、上記ケースに設けられるとともに、第1の端部と、上記導体線の端部が接続される第2の端部とを有するリードと、上記ケースに設けられるとともに、上記コアからみて上記リードの第2の端部よりも外側の位置において突出した突起部とを備える。上記導体線は、上記コアから上記突起部を経由して上記リードの第2の端部に向かうように湾曲して延びている。上記突起部には、上記導体線が巻き掛け可能であるとともに、上記コアから離れる方向に進むに従い上記突起部の突出高さが低くなるように傾斜した傾斜部が設けられている。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、導体線の断線防止を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下に本発明の実施の形態を、ポータブルコンピュータに搭載される巻線部品に適用した図面に基づいて説明する。図1ないし図10は、本発明の第1の実施形態に係る電子機器としてのポータブルコンピュータ1、および巻線部品12を開示している。図1に示すように、ポータブルコンピュータ1は、本体2と表示ユニット3とを備えている。
【0014】
本体2は、箱状に形成された筐体4を有する。筐体4は、プリント回路板5を収容している。表示ユニット3は、ディスプレイハウジング7と、このディスプレイハウジング7に収容された表示装置8とを備えている。表示装置8は、表示画面8aを有する。表示画面8aは、ディスプレイハウジング7の前面の開口部7aを通じてディスプレイハウジング7の外部に露出している。表示ユニット3は、筐体4の後端部に一対のヒンジ部9a,9bを介して支持されている。
【0015】
図1に示すように、プリント回路板5は、プリント配線板11と、このプリント配線板11に実装された種々の電子部品とを備える。この電子部品の一つとして、巻線部品12がある。巻線部品12の具体例としては、例えばトランスやコイル、またはフィルタ(例えばコモンモードフィルタ)などが挙げられる。なお本発明でいう巻線部品は、上記例に限られるものではない。
【0016】
次に、巻線部品12の一例について詳しく説明する。なお以下に説明する巻線部品12の一例は、説明の便宜上、簡単な構成のものを取り上げている。なお本発明は、以下に説明する簡単な構成のものに限られるものではなく、複数のコアとそれに対応した多くのリードとを備える種々の巻線部品に適用可能である。
【0017】
図2および図3に示すように、一例としての巻線部品12は、ケース14(すなわちモールド)、カバー15、コア16、導体線17、およびリード18を備える。
ケース14は、例えば合成樹脂材料で造られている。図3に示すように、ケース14は、このケース14の内側に窪んだ凹部を備え、この凹部によってコア16が収容される収容部14aが形成されている。収容部14aは、例えばケース14の中央部に設けられている。このケース14には、上記収容部14aを覆うカバー15が取り付けられる。
【0018】
コア16は、磁束の通路となる部材であり、例えば鉄心などである。図2に示すように、コア16は、例えばリング状に形成されるとともに、例えば2つの導体線17が巻き付けられている。コア16は、導体線17が巻き付けられた状態でケース14の収容部14aに収容されている。
【0019】
導体線17は、例えば銅線、または鉄線などである。なお導体線17は、上記例に限られるものではなく、電気を流す材料で形成されたものあればその種類は問わない。図2に示すように、導体線17は、コア16に巻き付けられた部分17a(例えば中央部分)と、コア16を外れて延びた二つの端部17bとを有する。
【0020】
図3に示すように、ケース14の収容部14aには、接着剤19が塗り込まれている。この接着剤19によって、コア16、およびコア16に巻き付けられた導体線17の一部がケース14内に固定されている。
【0021】
図2に示すように、リード18は、複数設けられている。図3に示すように、リード18は、ケース14に設けられるとともに、それぞれケース14の外部に突出した第1および第2の端部18a,18bを有する。第1の端部18aは、プリント配線板11に設けられたパッド(図示しない)に半田付けされ、プリント配線板11に電気的に接続されることになる端部である。図2に示すように、第1の端部18aは、例えば、コア16からみてケース14の周縁よりも外側に延びている。
【0022】
図2に示すように、リード18の第2の端部18bは、導体線17の端部17bが接続される端部である。導体線17の端部17bは、例えば半田付けによってリード18の第2の端部18bに接続される。リード18の第1の端部18aに比べて第2の端部18bは、収容部14aの近くに位置している。図3に示すように、第2の端部18bは、ケース14の一つのケース面14bから突出しており、導体線17の端部17bが巻き付け可能である。第2の端部18bは、第1の端部18aと電気的に連絡している。
【0023】
図2に示すように、ケース14には、例えばリード18の数と同数の突起部21が設けられている。突起部21は、コア16からみてリード18の第2の端部18bよりも外側(すなわちケース14の周縁側)に位置している。
【0024】
図3に示すように、突起部21は、リード18の第2の端部18bが突出するケース面14bに設けられるとともに、第2の端部18bと同じ方向に突出している。突起部21は、例えば追加モールドである。すなわち突起部21は、ケース14と同じ材料が用いられ、ケース14と一体に造られている。
【0025】
図3および図4に示すように、突起部21には、導体線17が巻き掛け可能な傾斜部22が設けられている。傾斜部22は、例えば突起部21の先端部に設けられ、コア16から離れる方向に進むに従い突起部21の突出高さ(すなわちケース面14bからの高さ)が低くなるように傾斜している。換言すれば、突起部21の先端部は、コア16からみて外側となる部分が斜めにカットされている。傾斜部22は、導体線17が巻き掛け可能な傾斜面22aを有する。本実施形態に係る傾斜面22aは、平面状に形成されている。
【0026】
図2に示すように、導体線17は、コア16から突起部21を経由してリード18の第2の端部18bに向かうように湾曲して延びている。導体線17は、コア16からみて外側から突起部21の傾斜面22aに対して、例えば突起部21の約半周ほど巻き掛けられている。
【0027】
コア16からみて一つの側方に設けられた複数のリード18は、一つの方向(図2中X方向)に沿って互いに並んで設けられている。複数の突起部21は、複数のリード18に対して1対1で対応している。突起部21は、上記複数のリード18が並ぶ方向(図2中X方向)に対して直交する方向(図2中Y方向)に沿って、その突起部21が対応するリード18の第2の端部18bと並んでいる。
【0028】
図2に示すように、突起部21は、リード18の並ぶ方向(図2中X方向)に沿って、その突起部21と同じコア16に対応する他の突起部21に対向する第1の側面21aと、この第1の側面21aの反対側となる第2の側面21bとを有する。コア16から延びる導体線17は、まず第1の側面21aに沿って延びるとともに、そこから第2の側面21bに回り込むように突起部21に対して巻き掛けられている。
【0029】
次に、巻線部品12の製造方法の一例について説明する。
まず突起部21が一体成形されたケース14と、導体線17が巻き付けられたコア16とを準備する。ケース14にはリード18が設けられている。そして、導体線17が巻き付けられたコア16をケース14の収容部14aの中に入れる。
【0030】
コア16をケース14に収容した後、導体線17の端部17bをリード18の第2の端部18bに接続する作業を行う。この作業は、例えばピンセットなどを用いて人手で行われる。具体的には、図2に示すように、導体線17をまず突起部21の周辺まで引き出し、その引き出した導体線17を突起部21の傾斜面22aに巻き掛ける。
【0031】
そして、この突起部21を支点として導体線17にテンションをかけ、すなわち突起部21と導体線17の端部17bとの間で導体線17が張った状態にして、導体線17の端部17bをリード18の第2の端部18bに巻き付ける。導体線17をリード18の第2の端部18bに巻き付けた後、導体線17をリード18の第2の端部18bに半田付けにより固定する。
【0032】
一方、導体線17をリード18の第2の端部18bに接続すると前後して、ケース14の収容部14a内に接着剤19を塗り込み、コア16をケース14に固定する。最後に、ケース14にカバー15を取り付けることで、巻線部品12の組立が一通り終了する。
【0033】
次に、巻線部品12の作用について説明する。
巻線部品12は、リフロー工程によりプリント配線板11に実装される。このリフロー工程時には、巻線部品12が高温に加熱され、この熱によって巻線部品12は膨張収縮する。ここで、接着剤19の熱膨張率に比べて、合成樹脂製のケース14の熱膨張率の方が大きい。そのため、巻線部品12の熱膨張時には、接着剤19の膨張E1に比べてケース14の膨張E2の方が大きい(図6参照)。これにより、コア16とリード18の第2の端部18bとの間で導体線17に機械的応力、すなわち張力が加わる。
【0034】
この張力がある程度大きくなると、図5および図6に示すように、この張力によって突起部21の傾斜面22aに巻き掛けられた導体線17が傾斜面22aに沿ってずれ動き、導体線17が突起部21から自然と外れる。これにより、コア16とリード18の第2の端部18bとの間で、導体線17には湾曲するように延びた撓み部分が生じ、導体線17に作用していた機械的応力が解消される。
【0035】
このような構成の巻線部品12によれば、簡単な構成で導体線17の断線防止を図ることができる。
まず、コア16からみてリード18の第2の端部18bよりも外側の位置において突出した突起部21がケース14に設けられていると、導体線17の端部17bをリード18の第2の端部18bに接続する作業性が良好になる。つまり、導体線17を突起部21に巻き掛けることで、導体線17にテンションを作用させながら、導体線17の端部17bを第2の端部18bに巻き付けることができる。このように導体線17を張った状態にして作業が行えると、導体線17を第2の端部18bに巻き付けやすく、その作業性が良好になる。
【0036】
突起部21に、導体線17が巻き掛け可能であるとともに、コア16から離れる方向に進むに従い突起部21の突出高さが低くなるように傾斜した傾斜部22が設けられていると、導体線17に作用する張力がある程度大きくなると、この張力によって突起部21の傾斜面22aに巻き掛けられた導体線17が傾斜面22aに沿ってずれ、導体線17が突起部21から自然と外れる。
【0037】
すなわち導体線17は、巻線部品12が膨張したときでも、過度に張力が作用しにくい。これにより巻線部品12は、導体線17の断線防止を図ることができる。導体線17の断線防止を図ることができると、巻線部品12の不良率を下げることができ、不良品の交換に掛かる手間やコストを小さくなり、生産性や保守性の向上につながる。
【0038】
上述のように、本実施形態に係る巻線部品12では、導体線17に作用する過度の張力を緩和する機構として、傾斜部22を有する突起部21を備える。このような簡単な構成で導体線17の断線防止を図ることができると、巻線部品12の構造を比較的単純に構成しやすく、製造コストを抑えることができる。
【0039】
本実施形態に係る巻線部品12では、導体線17に作用する張力を緩和する機構が、突起部21の形状のみによって形成されている。したがって、外部環境(例えば温度)などに影響されず、導体線17にある程度の張力が加わったとき、その張力によって導体線17が突起部21から自然と外れる。つまり、外部環境に依存する機構(例えば熱可塑性樹脂を用いたもの)などに比べて、本実施形態に係る機構は、安定して確実に作動するといえる。
【0040】
突起部21がケース14と同じ材料が用いられ、ケース14と一体に造られていると、ケース14とは別に突起部21を準備する工程、および突起部21をケース14に取り付ける工程などが不用である。つまり本実施形態に係る巻線部品12は、高い製造性の実現が可能である。
【0041】
突起部21がケース14からリード18の第2の端部18bと同じ方向に突出していると、導体線17を突起部21に巻き掛けるとともに第2の端部18bに接続する作業が行いやすくなる。傾斜部22が平面状に形成された傾斜面22aを有すると、例えば曲面状に形成された傾斜部22を有する場合に比べて傾斜部22を形成しやすくなる。
【0042】
突起部21が複数のリード18が互いに並ぶ方向に対して直交する方向に沿ってリード18の第2の端部18bと並んでいると、各リード18に接続される導体線17同士の間の距離を確保しやすく、且つ、巻線部品12の小型化を図ることができる。各リード18に接続される導体線17同士の間の距離がある程度確保されていると、導体線17の引き回しなどの作業性を向上させやすい。
【0043】
次に、図7ないし図9を参照して、突起部21の種々の変形例を示す。図7に示すように、突起部21の傾斜面22aは、曲面状に形成されていてもよい。図8に示すように、突起部21の傾斜部22は、突起部21の突出高さの全長に亘り設けられていてもよい。図9に示すように、傾斜部22は、突起部21の先端部の一部にだけ設けられていてもよい。
【0044】
図10は、巻線部品12の変形例の一つを示す。この巻線部品12では、プリント配線板11に実装される前の段階で、導体線17がすでに突起部21から外れている。本発明でいう「導体線がコアから突起部を経由してリードの第2の端部に向かうように湾曲して延びている」とは、導体線17が突起部21に巻き掛けられている場合に加え、導体線17が突起部21から外れている場合も含む。
【0045】
すなわち、巻線部品12は、突起部21を利用して(すなわち導体線17を突起部21に巻き掛けて)導体線17の端部17bをリード18の第2の端部18bに接続した後、自然と、又は人為的に導体線17が突起部21から外されていてもよい。このような巻線部品12によっても、導体線17に過度の張力が作用することを避けることができ、導体線17の断線防止を図ることができる。
【0046】
次に、本発明の第2の実施形態に係る巻線部品12について、図11を参照して説明する。なお上記第1の実施形態の構成と同一または類似の機能を有する構成は、同一の符号を付してその説明を省略する。本実施形態に係る巻線部品12は、例えば第1の実施形態と同様の電子機器であるポータブルコンピュータ1に搭載される。
【0047】
図11に示すように、本実施形態に係る巻線部品12は、複数の機能ユニット31が一方向(図11中X方向)に並べて設けられている。各機能ユニット31は、例えばコア16、導体線17、およびリード18を含む。
【0048】
複数のリード18は、図11中X方向に沿って互いに並んで設けられている。複数の突起部21は、複数のリード18に対して1対1で対応している。突起部21は、上記複数のリード18が並ぶ方向(図11中X方向)に対して直交する方向(図11中Y方向)に沿って、その突起部21が対応するリード18の第2の端部18bと並んでいる。上記説明した以外の巻線部品12の構成は上記第1の実施形態と同じである。
【0049】
このような構成の巻線部品12によれば、上記第1の実施形態と同様に、簡単な構成で導体線17の断線防止を図ることができる。
突起部21が、複数の機能ユニット31が並ぶ方向に対して直交する方向に沿って、その突起部21が対応するリード18の第2の端部18bと並んでいると、複数の機能ユニット31の間に突起部21が設けられる場合などに比べて、各リード18に接続される導体線17同士の間の距離を確保しつつ、巻線部品12の小型化を図ることができる。
【0050】
以上、本発明の第1および第2の実施形態に係る巻線部品12、およびポータブルコンピュータ1について説明したが、本発明はこれらに限られるものではない。例えば、上記第2の実施形態に係る巻線部品12においても、図7ないし図10で示す変形例と同じ構造を適用することができる。
【0051】
突起部21は、複数のリード18が互いに並ぶ方向に対して直交する方向に沿ってリード18の第2の端部18bと並んでいる必要は必ずしもない。突起部21は、ケース14と同じ材料で造られている必要は必ずしもない。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るポータブルコンピュータの斜視図。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る巻線部品の上面図。
【図3】図2中に示された巻線部品のF3−F3線に沿う断面図。
【図4】図3中に示された突起部を拡大して示す断面図。
【図5】図2中に示された巻線部品のリフロー工程時の状態を示す上面図。
【図6】図5中に示された巻線部品のリフロー工程時の状態を示す断面図。
【図7】本発明の第1の実施形態に係る突起部の第1の変形例を示す断面図。
【図8】本発明の第1の実施形態に係る突起部の第2の変形例を示す断面図。
【図9】本発明の第1の実施形態に係る突起部の第3の変形例を示す断面図。
【図10】本発明の第1の実施形態に係る巻線部品の一つの変形例の断面図。
【図11】本発明の第2の実施形態に係る巻線部品の上面図。
【符号の説明】
【0053】
1…ポータブルコンピュータ、4…筐体、5…プリント回路板、12…巻線部品、14…ケース、16…コア、17…導体線、17b…導体線の端部、18…リード、18a…第1の端部、18b…第2の端部、21…突起部、22…傾斜部、22a…傾斜面。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケースと、
上記ケースに収容されたコアと、
上記コアに巻き付けられた部分と、上記コアを外れた端部とを有する導体線と、
上記ケースに設けられるとともに、第1の端部と、上記導体線の端部が接続される第2の端部とを有するリードと、
上記ケースに設けられるとともに、上記コアからみて上記リードの第2の端部よりも外側の位置において突出した突起部と、を具備し、
上記導体線は、上記コアから上記突起部を経由して上記リードの第2の端部に向かうように湾曲して延びており、
上記突起部には、上記導体線が巻き掛け可能であるとともに、上記コアから離れる方向に進むに従い上記突起部の突出高さが低くなるように傾斜した傾斜部が設けられていることを特徴とする巻線部品。
【請求項2】
請求項1に記載の巻線部品において、
上記突起部は、上記ケースと同じ材料が用いられ、上記ケースと一体に造られていることを特徴とする巻線部品。
【請求項3】
請求項2に記載の巻線部品において、
上記リードの第2の端部は、上記ケースの外部に突出しており、上記突起部は、上記ケースから上記リードの第2の端部と同じ方向に突出していることを特徴とする巻線部品。
【請求項4】
請求項3に記載の巻線部品において、
上記傾斜部は、平面状に形成された傾斜面を有することを特徴とする巻線部品。
【請求項5】
請求項4に記載の巻線部品において、
上記ケースには、複数の上記リードが互いに並んで設けられ、
上記突起部は、上記複数のリードが互いに並ぶ方向に対して直交する方向に沿って上記リードの第2の端部と並んでいることを特徴とする巻線部品。
【請求項6】
筐体と、
上記筐体に収容されたプリント回路板と、
上記プリント回路板に実装された巻線部品と、を具備する電子機器であって、
上記巻線部品は、
ケースと、
上記ケースに収容されたコアと、
上記コアに巻き付けられた部分と、上記コアを外れた端部とを有する導体線と、
上記ケースに設けられるとともに、第1の端部と、上記導体線の端部が接続される第2の端部とを有するリードと、
上記ケースに設けられるとともに、上記コアからみて上記リードの第2の端部よりも外側の位置において突出した突起部と、を備え、
上記導体線は、上記コアから上記突起部を経由して上記リードの第2の端部に向かうように湾曲して延びており、
上記突起部には、上記導体線が巻き掛け可能であるとともに、上記コアから離れる方向に進むに従い上記突起部の突出高さが低くなるように傾斜した傾斜部が設けられていることを特徴とする電子機器。
【請求項1】
ケースと、
上記ケースに収容されたコアと、
上記コアに巻き付けられた部分と、上記コアを外れた端部とを有する導体線と、
上記ケースに設けられるとともに、第1の端部と、上記導体線の端部が接続される第2の端部とを有するリードと、
上記ケースに設けられるとともに、上記コアからみて上記リードの第2の端部よりも外側の位置において突出した突起部と、を具備し、
上記導体線は、上記コアから上記突起部を経由して上記リードの第2の端部に向かうように湾曲して延びており、
上記突起部には、上記導体線が巻き掛け可能であるとともに、上記コアから離れる方向に進むに従い上記突起部の突出高さが低くなるように傾斜した傾斜部が設けられていることを特徴とする巻線部品。
【請求項2】
請求項1に記載の巻線部品において、
上記突起部は、上記ケースと同じ材料が用いられ、上記ケースと一体に造られていることを特徴とする巻線部品。
【請求項3】
請求項2に記載の巻線部品において、
上記リードの第2の端部は、上記ケースの外部に突出しており、上記突起部は、上記ケースから上記リードの第2の端部と同じ方向に突出していることを特徴とする巻線部品。
【請求項4】
請求項3に記載の巻線部品において、
上記傾斜部は、平面状に形成された傾斜面を有することを特徴とする巻線部品。
【請求項5】
請求項4に記載の巻線部品において、
上記ケースには、複数の上記リードが互いに並んで設けられ、
上記突起部は、上記複数のリードが互いに並ぶ方向に対して直交する方向に沿って上記リードの第2の端部と並んでいることを特徴とする巻線部品。
【請求項6】
筐体と、
上記筐体に収容されたプリント回路板と、
上記プリント回路板に実装された巻線部品と、を具備する電子機器であって、
上記巻線部品は、
ケースと、
上記ケースに収容されたコアと、
上記コアに巻き付けられた部分と、上記コアを外れた端部とを有する導体線と、
上記ケースに設けられるとともに、第1の端部と、上記導体線の端部が接続される第2の端部とを有するリードと、
上記ケースに設けられるとともに、上記コアからみて上記リードの第2の端部よりも外側の位置において突出した突起部と、を備え、
上記導体線は、上記コアから上記突起部を経由して上記リードの第2の端部に向かうように湾曲して延びており、
上記突起部には、上記導体線が巻き掛け可能であるとともに、上記コアから離れる方向に進むに従い上記突起部の突出高さが低くなるように傾斜した傾斜部が設けられていることを特徴とする電子機器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2009−152398(P2009−152398A)
【公開日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−329069(P2007−329069)
【出願日】平成19年12月20日(2007.12.20)
【特許番号】特許第4282734号(P4282734)
【特許公報発行日】平成21年6月24日(2009.6.24)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年12月20日(2007.12.20)
【特許番号】特許第4282734号(P4282734)
【特許公報発行日】平成21年6月24日(2009.6.24)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
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