説明

布地のジェットニードリング用ウォーターバーの吸引室

【課題】スフ、連続したフィラメント又はアセテート繊維、或いはこれらの複数の層又は混合物から成る布地、織物又はフリース2をジェットニードリングするためのウォーターバー1aの吸引室5aであって、この吸引室5aの下側5bに、噴射水4を吸引するための穿孔された吸引面3a,3bが配備されている吸引室に関する。この発明の課題は、ウォーターバーから放出されるウォータージェットが、その進行方向に対して、ウォーターバーの縦と横の両方又は一方の全体に渡って、噴射水及びその噴射によって引き起こされる水飛沫によって妨害されることがなく、そしてウォーターバーの下側における従来から一般的であった液滴の生成を防止することである。
【解決手段】この課題は、吸引面3a,3bが、傾斜して延びる形に配置されるとともに、ウォーターバー1aの近くに位置する上方領域6bと液垂れする角6aの両方又は一方から吸引室5aの下方領域6cにまで延びていることによって解決される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、スフ、連続したフィラメント又はアセテート繊維、或いはこれらの複数の層又は混合物から成る布地、織物又はフリースをジェットニードリングするためのウォーターバーの吸引室であって、この吸引室の下側に、噴射水を吸引するための穿孔された吸引面が配備されている吸引室に関する。
【背景技術】
【0002】
ウォーターバーの下側で噴射された液体を受け止めることが既に知られている(特許文献1)。ウォーターバーの側方に縦に沿って配置された装置が、その役割を果たしている。ウォーターバーの角には、漏斗形状のスリットが形成されており、その内側の端部には、約2mmの高さの吸引スリットが形成されている。そして、その他の周囲が閉鎖されている装置に、十分に大きい負圧が加えられている場合、ニードリングする品物に関して無害となるような形で、ウォーターバーの下側からの噴霧を含む液滴全体を吸引することができる。
【0003】
更に、布地のウォーターニードリング用のウォーターバーが周知であり(特許文献2)、このウォーターバーには、カバードレインが配備されており、吸引用流路を形成することができるように、上方の止め具とその下に配置された下側に小さな穴の開いたカバードレインが取り付けられている。そのために、吸引開口部と水平な多孔性のカバープレートが、ウォータージェットの片側に配置されている。この装置では、対応する噴射水を十分に取り除くことができない。更に、ウォータージェットの反対側の対応する噴射水を吸引することができない。
【特許文献1】ドイツ特許公開第19923591号明細書
【特許文献2】国際特許公開第01/40562号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この発明の課題は、ウォーターバーから放出されるウォータージェットが、その進行方向に対して、ウォーターバーの縦と横の両方又は一方の全体に渡って、噴射水及びその噴射によって引き起こされる水飛沫によって妨害されることがなく、そしてウォーターバーの下側における従来から一般的であった液滴の生成を防止することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この課題は、吸引面が、傾斜して延びる形に配置されるとともに、ウォーターバーの近くに位置する上方領域と液垂れする角の両方又は一方から吸引室の下方領域にまで延びていることによって解決される。
【0006】
そうすることによって、ほぼ液垂れの無いウォーターバーが保証されるとともに、更に、ウォータージェットの両側の噴射水を完全に吸引することが保証されて、その結果汚染又は損害に繋がる可能性がある、布地、織物又はフリース上に液滴が落ちることがもはや無いということが、簡単で安価な手法で達成される。この場合、吸引室の傾斜した形に配置された吸引面上の水滴が、重力により、吸引面の下方領域の方向に動いて、それによりウォータージェットから遠ざかって行くために、噴射水が、特に効果的に排出される。そのためには、吸引室のウォーターバーの方に近い領域を液垂れする角が無い形に構成することもできる。
【0007】
それに関して、穿孔された吸引面の開口部が、大きさが異なる横断面を有するのが有利である。そうすることによって、吸引機器の吸引面全体に渡っての均一な吸引力が保証される。
【0008】
更に、開口部の横断面が、液垂れする角から始まって、下方に向かって次第に大きくなって行くのが有利である。
【0009】
更に、開口部の横断面が、液垂れする角から始まって、連続的に、又は規則正しい階段状に次第に大きくなって行くのが有利である。
【0010】
個々の開口部間の間隔が、同じ大きさであるか、或いは異なる大きさであるのも有利である。
【0011】
更に、ダンディロールの接線と穿孔された吸引面との間の角度を、5°〜25°、特に、6°〜15°の大きさに構成するのが有利であり、その場合吸引面の開口部における開口面積の吸引面全体に対する比率は、ウォータージェットの方に近い内側では、約3%〜8%、有利には5%であり、その外側では、約10%〜25%、有利には、20%である。こうすることによって、吸引面の外側において、内側より強い空気の流れが実現される。重力により、吸引面の下方の領域、従って外側の領域に移動した水滴は、それに続いて最終的に吸引室の内部の大きな開口部を通して吸引されることとなる。
【0012】
この発明の別の実施形態では、ウォーターバーと吸引室の両方又は一方に、ウォーターバーの領域に設けられた少なくとも一つの給気口を備えた空気供給器を配備するのが有利である。それによって、ウォータージェットに追加の独立した形の乾いた空気の流れを供給することが実現される。この場合、200m/sまでの動作するウォータージェットの吸引効果を利用している。ここで、この吸引効果は、もはや噴霧を含んだ湿った周囲の空気を吸引せずに、空気供給器によって供給される乾いた空気を吸引するものとなる。従って、空気中の非常に細かい水滴により引き起こされるウォータージェットの偏向を防止することができる。
【0013】
更に、空気供給器が、ウォーターバーの外側と吸引室のウォーターバーの方に近い外側との間の1〜15mm、有利には3〜10mm、特に有利には3〜6mmの間隔によって形成される空気供給路を有するのが有利である。この空気供給器の特に簡単な実施形態では、空気供給路が、ウォーターバーと吸引室との間の隙間によって形成される。即ち、そのためには、基本的に、追加の構成部品が不要である。しかし、空気供給路は、例えば、チューブを配備することによって実現することもできる。
【0014】
空気供給器の有利な実施構成では、僅かな超過圧を生成するために、送風機を空気供給器に配備する形で、ウォータージェットへの空気の供給が行われる。そうすることによって、ウォータージェットには、乾いた空気が能動的に供給されて、ウォータージェットへの空気の供給が、専ら前述したウォータージェットによる吸引作用によってではなく、空気供給路内での小さい超過圧によっても行われる。
【0015】
この発明の別の特徴では、空気供給器の給気口が、ウォーターバーのほぼ縦全体に渡って延びるのが有利である。こうすることによって、ウォーターバーの縦全体に渡って、ウォータージェットが、乾いた空気を供給されて、それにより細かい水滴又は噴霧による影響を受けないということが簡単な手法で保証される。
【0016】
この発明の別の実施形態では、空気の流れが、ウォーターバーから放出されるウォータージェットに対してほぼ垂直に当たるように、空気供給器の給気口を向けるのが有利である。こうすることによって、放出されたウォータージェットを簡単な手法で集束させて、噴射水をウォータージェットの方向に誘導している。
【0017】
更に、このために、空気供給器又は空気の隙間を、ウォーターバーと吸引室の給気口との間に少なくとも部分的に配備するか、或いはウォーターバーの外側に沿って誘導して、ウォーターバーの下側の領域において、その領域に対して平行に延びるようにするのが有利である。ウォーターバーの下側の領域における空気供給器から放出された乾いた空気の流れを用いて、放出されたウォータージェットを集束している。この場合、空気供給路が、下方に対して、吸引室により制限されているので、供給された空気の流れは、出口に至るまで噴射水に対して保護されている。
【0018】
この発明による改善構成では、更なる方策は、吸引室と空気供給器の両方又は一方を、それぞれウォーターバーとウォータージェットの両方又は一方の両側に対して対称的に配置することである。即ち、布地によって反射された噴射水は、布地の進行方向に対して、ウォータージェットが当たった後で、或いは必要に応じて任意選択によりウォータージェットの前でも吸引することができる。同様に、空気供給器による乾いた空気の独立した形での供給は、ウォータージェットの前でも後でも行うことができる。この場合、吸引室と空気供給室の配置は、互いに独立して、任意に組み合わせて行うことができる。
【0019】
このためには、ウォータージェットの方に近い内側での穿孔された吸引面の開口部を、有利には、1mm〜10mmの縦と0.1mm〜3mmの幅を持つ平行に延びるスリットとして構成することも有利であり、そして穿孔された吸引面の外側に配備された開口部は、有利には、1mm〜10mmの縦と0.1mm〜3mmの幅を持つ角状の形に構成される。
【0020】
この場合、開口部は、異なる形状の横断面を有し、楕円形、多角形、角状又は縦長のスリットに構成するのが特に有利である。開口部のこのような構成及び形状は、液滴が、表面に沿って移動する際に、吸引面の下方領域の方向に向けられて、開口部を通過するとともに、開口部を簡単に迂回することができないことを保証するものである。この場合、比較的大きな開口部面積を持つ各領域において、穿孔された吸引面の開口部を角状に構成するのが特に効果的である。
【0021】
この発明に関して、吸引が片側で行われることとなるので、穿孔された吸引面の横と縦の両方又は一方の全体に渡って、均一な吸引効果が保証されるように、吸引室内に、空気排除体を配置するのが、特に重要である。
【0022】
空気排除体を配置することによって、吸引室内の空気の流れが、必要に応じて細かく調整される。この場合、空気排除体をその高さ及び勾配を可変にして取り付けると、特に柔軟性が達成される。
【0023】
更に、空気排除体が、穿孔された吸引面の上に、特に、比較的大きな開口部面積を持つ吸引面の上に有るとともに、例えば、2m/sの、最大限の空気の流れが、穿孔された吸引面の外側に実現されるように、穿孔された吸引面を狭めて行くようにするのが有利である。
【0024】
この発明の別の実施形態では、空気排除体が、吸引室の横と縦の両方又は一方のほぼ全体に渡って広がることと、空気排除体が、吸引室の方向に広がって、この方向に対して傾斜して延びる、ほぼ長方形の本体、特に筐体であることとが有利である。こうすることによって、吸引機器の面全体に渡って、均一な吸引能力が保証される。
【0025】
空気排除体が、吸引室の縦方向に対して、吸引室の下側と、1°〜30°、特に1°〜5°の大きさの角度を成す下側を有し、その場合空気排除体と穿孔された吸引面との間の隙間が吸引機器の方向に対して狭くなって行くのが有利である。
【0026】
この場合、空気排除体の一端又は側面が、吸引室に繋がった吸引機器の領域で終端するのが有利である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
この発明の別の利点及び詳細を、請求項及び明細書に説明するとともに、図面に図示する。
【0028】
図1では、ウォーターバーを符号1aで表しており、このウォーターバーから、図面に図示されていないノズル開口部を介して、ウォータージェット10を放出して、吸引ドラム又はダンディロール14aの布地用基礎面13上を移送されている布地、織物又はフリース2に当てる。この場合、水は、大部分ダンディロール14aの排水器12を通して排出される。
【0029】
ウォーターバー1aの領域には、吸引機器又は吸引室5aが有り、その下側5bには、傾斜して延びる、開口部3cを穿孔された吸引面3a,bが配備されており、その結果ウォータージェット10が布地、織物又はフリース2上に当たった際に生じる噴射水を、吸引室5bの下側に誘導して、次に吸引室5aによって、完全に吸引することができる。こうすることによって、ウォーターバー1aの下側に生じる水滴が、防止されるとともに、もはや布地、織物又はフリース2上に滴り落ちないようにすることができる。
【0030】
この実施例では、吸引室5aは、ウォーターバー1aの両側に対して対称的に配置されている。吸引室5a内では、吸引チューブ8bを介して、吸引室5aと接続された、図面に図示されていないポンプによって実現される負圧が生じている。
【0031】
図2は、噴射水4を吸引するための穿孔された吸引面3aと3bを吸引室5aの下側5bに配備した、布地、織物又はフリース2をジェットニードリングするためのウォーターバー1aの吸引室5aの別の実施例を図示している。この穿孔された吸引面3a,3bは、ウォーターバー1aと液垂れする角6aの両方又は一方の近くに有る上方領域6bから吸引室5aの下方領域6cにまで広がる形で、傾斜して延びるように配置されている。穿孔された吸引面の第一の区域3aは、比較的小さい開口部面積を持つ一方、穿孔された吸引面の第二の区域3bは、比較的大きな開口部面積を有する。図面に図示されていない変化形態では、吸引室は、液垂れする角を持たない形で構成することもできる。
【0032】
穿孔された吸引面に設けられた開口部3cは、区域3aでは、区域3bの開口部3cよりも小さい断面を有する。この手法により、吸引面3a又は3bの内面には、ほぼ等しい吸引圧が生成されることとなり、その結果布地、織物又はフリース2に当たった噴射水を難なく吸引することができる。更に、こうすることによって、重力により下方に移動する水滴を、吸引面の下方領域6cの大きな開口部3cを通して吸引室5a内に完全に吸引することができる。
【0033】
個々の開口部3c間の間隔は、同じ大きさ又は異なる大きさとすることができる。開口部3cの横断面は、液垂れする角6aから始まって、吸引室5a又は吸引室5aのウォーターバー1aとは逆の方に近い側5cの方向に対して次第に大きくなっている。そのために、開口部3cの横断面は、液垂れする角6aから始まって、連続的又は規則正しい階段状に次第に大きくすることもできる。
【0034】
第二の実施例では、図2から分かる通り、ダンディロール14aの外周上には、接線14bが有る。この接線14bは、吸引面3a及び3bの下方面と角度αを成している。この角度αは、5°〜25°、有利には6°〜15°の大きさとすることができる。吸引面3a,3bの開口部3cにおける開口面積の吸引面全体に対する比率は、ウォーターバー1aのウォータージェット10の方に近い内側3aでは、約3%〜8%、有利には5%であり、その外側では、約10%〜25%、有利には20%である。図2では、ウォーターバー1aの右側には、ほぼ長方形の箱として構成することができ、噴射水4を収容する吸引室5aが有る。
【0035】
図2では、ウォーターバー1aと吸引室5aには、ウォーターバー1aの下側1bの領域で終端している空気供給路11bを有する空気供給器11aが設けられており、この場合空気供給路11bの給気口11cは、ウォータージェット10の近くに有る。空気供給路11bは、ほぼウォーターバー1cの外側と吸引室5aの左外側5dによって形成されている。そのために、空気供給路11bは、ウォーターバー1aの外側とウォーターバー1aの下側1bに対してほぼ平行に延びている。空気供給路11bの給気口11cの領域には、吸引室5aに付属する液垂れする角6aも有る。この液垂れする角6aでは、下方に落ちても、更なる損害を引き起こすことができないような非常に細かい水滴だけが生じることが可能である。
【0036】
空気供給器11aの空気供給路11bを介して、ウォータージェット10に誘導される乾いた空気は、その空気が、ウォータージェット10の方向に影響を与えないという利点を有する。そのため、ウォータージェット10は、非常に細かい水滴又は霧によって影響されることはなく、特に、布地、織物又はフリース2に集中して噴射することができる。ここで、この図2による実施例では、空気供給路11bからの乾いた空気は、ウォータージェット10に起因する吸引作用によって誘導されている。
【0037】
図面に図示されていない別の実施例では、必要に応じて送風機を用いて能動的に、空気供給器11aを通して乾いた空気をウォータージェット10に供給することもできる。
【0038】
図2では、ウォーターバー1aの右側にだけ、空気供給器11aと吸引室5aが有る。しかし、図面に図示されていない別の実施例では、吸引室5aをウォーターバー1aの両側に対称的に配置することができる(図1も参照)。同様に、空気供給器11aも、ウォーターバー1aの両側に対称的に配置することができる。
【0039】
空気供給器11a又は空気供給路11bの横断面は、3〜15mm、有利には5〜10mm、特に有利には7〜8mmの大きさとする。
【0040】
この実施例では、空気供給器11aの空気供給路11bは、ウォーターバーの外側1cと吸引室のウォーターバーの方に近い外側5dとの間の間隔を、ほぼ1〜15mm、有利には3〜10mm、特に有利には3〜6mmとして構成される。図面に図示されていない変化形態では、空気供給路11bは、チューブ又は同様の空気供給器によって構成することもできる。
【0041】
給気口11cは、ウォーターバー1aのほぼ横全体に渡って広がっている。更に、給気口11cは、放出される空気の噴射が、ウォーターバー1aから放出されるウォータージェット10に対してほぼ垂直に当たるように向けられる。
【0042】
図4では、ウォータージェット10の方に近い側3aにおける穿孔された吸引面の開口部3cが、1mm〜10mmの縦と0.1mm〜3mmの幅Aを持つほぼ平行に延びるスリットの形で縦長に形成されている。更に、穿孔された吸引面の外側3bに設けられたスリットを、有利には、1mm〜10mmの縦と0.1mm〜3mmの幅Bを持つ角状に形成することが可能である。この実施例に応じて、これらのスリットは、直線状又は角状に延びる形状を持つこともできる。これらの開口部3cのすべての変化形態は、穿孔された吸引面に沿って動く噴射水4の水滴を出来る限り効率的に収容するという目的を持っている。この場合、特に、噴射水4の水滴が、開口部3cの間を通って動くことができるということを防止すべきである。
【0043】
図2と3では、別の実施例にもとづき、異なる造形を持つことができる空気排除体7aを吸引室5a内に配置することができる。図2と3では、空気排除体7aが、中空体として構成されており、二つの平行して延びる側面7cと7dによって境界を規定されている。吸引面の領域3aと3bでは、この排除体7aの下側7bが、穿孔された吸引面3a,3bの内面に対してほぼ平行に延びている。排除体7aの下側7bと吸引面3a及び3bとの間には、吸引面全体に渡って、均一な吸引圧を生成する役割を果たす2mm〜10mmの小さい隙間が形成されている。空気排除体7aは、穿孔された吸引面3a,3bの上、特に、比較的大きな開口部面積を持つ吸引面3bの上に有り、その結果穿孔された吸引面3a,3bが、例えば、2m/sの、最大限の空気の流れを、穿孔された吸引面3bの外側で実現するのに適したものとなっている。
【0044】
有利な手法では、空気排除体7aは、吸引室5aの横と縦の両方又は一方の全体に渡っても広がる。図面に図示されていない別の有利な実施構成では、吸引室5a内での空気の流れを調節する際に最大限の柔軟性を実現するために、空気排除体7aは、その高さ及び傾斜を変更することが可能な形で取り付けることができる。
【0045】
図2から分かる通り、排除体7aの下側7bは、吸引面3a及び3bと同じ方向に広がっており、従って、図面に図示されていない5°〜30°の角度γを成している。しかし、更に、図3から分かる通り、空気排除体は、その下側7bを穿孔された吸引面3a,3bの内面に対して、1°〜30°又は1°〜5°の大きさの角度βを成すようにすることもでき、その場合空気排除体7aと穿孔された吸引面3a,3bとの間の隙間が、吸引器8aの方向に対して、狭くなっている。吸引室5aの後側には、接続ソケット8aと吸引チューブ8bから成る吸引機器が有り、このチューブを介して、吸引室5aによって収容された噴射水を排出するとともに、吸引室内に負圧を生成している。吸引室5aの内部空間には、供給フラップ9を介してアクセスすることができる。
【0046】
図3から分かる通り、有利な手法では、空気排除体7aは、その下方の端部が、吸引機器8aの接続ソケットの領域で終端している。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】布地のジェットニードリング用ウォーターバーの吸引室の断面図
【図2】給気口がウォーターバーの領域で終端する形の空気供給器を備えたウォータ ーバーの吸引室の別の実施例
【図3】穿孔された表面又は吸引面の横全体に渡って均一な吸引作用を保証する位置 に置かれた、吸引室内に配備された空気排除体
【図4】吸引室の下側での噴射水の効率的な吸引を可能とする開口部構成による穿孔 された吸引面の開口部構造の実施例
【符号の説明】
【0048】
1a ウォーターバー
1b ウォーターバーの下側
1c ウォーターバーの外側
2 布地、織物、フリース
3a (開口部面積が比較的小さい)穿孔された吸引面
3b (開口部面積が比較的大きい)穿孔された吸引面
3c 開口部
4 噴射水
5a 吸引室
5b 吸引室の下側
5c 吸引室のウォーターバーとは逆の方の側
5d 吸引室のウォーターバーの方の側
6a 液垂れする角
6b 吸引面又は吸引室の上方領域
6c 吸引面又は吸引室の下方領域
7a 空気排除体
7b 空気排除体の下側
7c 空気排除体の側面
7d 空気排除体の側面
8a 吸引機器の接続ソケット
8b 吸引機器の吸引チューブ
9 供給フラップ
10 ウォータージェット
11a 空気供給器、空隙
11b 空気供給路
11c 給気口
12 排水器
13 布地用基礎面
14a ダンディロール
14b 接線
α 角度
β 角度
A 幅
B 幅

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スフ、連続したフィラメント又はアセテート繊維、或いはこれらの複数の層又は混合物から成る布地、織物又はフリース(2)をジェットニードリングするためのウォーターバー(1a)の吸引室(5a)であって、この吸引室(5a)の下側(5b)には、噴射水(4)を吸引するための穿孔された吸引面(3a,3b)が設けられている吸引室において、
吸引面(3a,3b)が、傾斜して延びる形に配置されるとともに、ウォーターバー(1a)の近くに位置する上方領域(6b)と液垂れする角(6a)の両方又は一方から吸引室(5a)の下方領域(6c)にまで延びていることを特徴とする吸引室。
【請求項2】
穿孔された吸引面(3a,3b)の開口部(3c)が、異なる大きさの横断面を有することを特徴とする請求項1に記載の吸引室。
【請求項3】
開口部(3c)の横断面が、液垂れする角(6a)から始まって、次第に大きくなるように形成されていることを特徴とする請求項1に記載の吸引室。
【請求項4】
開口部(3c)の横断面が、液垂れする角(6a)から始まって、連続的に、或いは規則正しい階段状に、次第に大きくなっていることを特徴とする請求項1に記載の吸引室。
【請求項5】
個々の開口部(3c)間の間隔が、同じ大きさであるか、或いは異なる大きさであることを特徴とする請求項1に記載の吸引室。
【請求項6】
ダンディロール(14a)の接線(14b)と穿孔された吸引面(3a,3b)との角度(α)が、5°〜25°、特に6°〜15°の大きさに構成されており、そして吸引面の開口部における開口面積の吸引面全体に対する比率が、ウォータージェット(10)の方に近い内側(3a)では、約3%〜8%、有利には5%であり、その外側(3b)では、約10%〜25%、有利には20%であることを特徴とする請求項1に記載の吸引室。
【請求項7】
ウォーターバー(1a)と吸引室(5a)の両方又は一方には、空気供給器(11a)が配備されており、この空気供給器は、ウォーターバー(1a)の領域に設けられた少なくとも一つの給気口(11c)を備えていることを特徴とする請求項1に記載の吸引室。
【請求項8】
空気供給器(11a)は、ウォーターバー(1a)の外側(1c)と吸引室(5a)のウォーターバーの方に近い外側(5d)との間の1〜15mm、有利には3〜10mm、特に有利には3〜6mmの間隔によって形成される空気供給路(11b)を有することを特徴とする請求項7に記載の吸引室。
【請求項9】
ウォータージェット(10)への空気の供給が、空気供給器(11a)によって行われ、そして空気供給器(11a)は、超過圧を生成するために、送風機を備えていることを特徴とする請求項7に記載の吸引室。
【請求項10】
給気口(11c)が、ウォーターバー(1a)のほぼ縦全体に渡って延びていることを特徴とする請求項7に記載の吸引室。
【請求項11】
当該の空気の流れが、ウォーターバー(1a)から放出されるウォータージェット(10)に対してほぼ垂直に当たるように、給気口(11c)が向けられていることを特徴とする請求項7に記載の吸引室。
【請求項12】
空気供給器又は空気の隙間(11a)が、ウォーターバー(1a)と吸引室(5a)の給気口(11c)との間に少なくとも部分的に配備されているか、或いはウォーターバー(1a)の外側(1c)に沿って誘導されて、ウォーターバー(1b)の下側の領域において、その領域と平行に延びていることを特徴とする請求項7に記載の吸引室。
【請求項13】
吸引室(5a)と空気供給器(11a)の両方又は一方が、それぞれウォーターバー(1a)とウォータージェット(10)の両方又は一方の両側に対して対称的に配置されていることを特徴とする請求項1又は7に記載の吸引室。
【請求項14】
ウォータージェット(10)の方に近い内側(3a)における穿孔された吸引面の開口部(3c)が、有利には、1mm〜10mmの縦と0.1mm〜3mmの幅を持つ平行に延びるスリットとして構成されるとともに、穿孔された吸引面の外側(3b)に配備された開口部が、有利には、1mm〜10mmの縦と0.1mm〜3mmの幅を持つ角状の形に構成されていることを特徴とする請求項1又は7に記載の吸引室。
【請求項15】
開口部(3c)が、異なる形状の横断面を有し、楕円形、多角形、角状又は縦長のスリットに構成されていることを特徴とする請求項1又は7に記載の吸引室。
【請求項16】
スフ、連続したフィラメント又はアセテート繊維、或いはこれらの複数の層又は混合物から成る布地、織物又はフリース(2)をジェットニードリングするための装置であって、吸引室(5a)がウォーターバー(1a)に配備されている装置において、
穿孔された吸引面(3a,3b)の横と縦の両方又は一方の全体に渡って、均一な吸引効果が保証されるように、空気排除体(7a)が、吸引室(5a)内に配置されていることを特徴とする装置。
【請求項17】
空気排除体(7a)は、穿孔された吸引面(3a,3b)の上に、特に比較的大きな開口部面積を持つ吸引面(3b)の上に有り、そして穿孔された吸引面(3a,3b)は、例えば、2m/sの、最大限の空気の流れが、穿孔された吸引面の外側(3b)に実現されるように狭められていることを特徴とする請求項16に記載の装置。
【請求項18】
空気排除体(7a)が、吸引室(5a)の横と縦の両方又は一方のほぼ全体に渡って広がっていることを特徴とする請求項16に記載の装置。
【請求項19】
空気排除体(7a)が、吸引室(5a)の方向に広がって、この方向に対して傾斜した形で延びるほぼ長方形の本体、特に、筐体であることを特徴とする請求項16に記載の装置。
【請求項20】
空気排除体(7a)が、吸引室(5a)の縦方向に対して、吸引室の下側(5b)と、1°〜30°、特に1°〜5°の大きさの角度(β)を成す下側(7b)を有し、そして、空気排除体(7a)と穿孔された吸引面(3a,3b)との間の隙間が、吸引機器(8a)の方向に対して狭められていることを特徴とする請求項16に記載の装置。
【請求項21】
空気排除体(7a)の一端又は側面(7d)が、吸引室(5a)に繋がった吸引機器(8a)の領域で終端していることを特徴とする請求項16に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−70796(P2007−70796A)
【公開日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−237169(P2006−237169)
【出願日】平成18年9月1日(2006.9.1)
【出願人】(505196727)フライスナー・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング (19)
【Fターム(参考)】