説明

帯状体

【課題】例えばブラジャーの肩紐として好適な、長さ調整の容易な帯状体を提供する。
【解決手段】可撓性を有して屈曲・折り曲げが可能な所定幅の扁平な一対の長尺体を互いに重ね合わせ、これらの一対の長尺体をその長尺方向に沿って所定のピッチ毎に幅方向に接合し、これらの接合部位間にその幅方向から留め具等が挿入可能な袋状(筒状)の複数の隙間を形成したことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベルトやストラップ等として、特にブラジャーの肩紐として好適な帯状体に関する。
【背景技術】
【0002】
各種の物品を束ねる結束バンド(ストラップ)においては、例えば該結束バンドの両端にそれぞれ装着された一対の締結具(コネクタ)間の長さを適宜調節し得ることが望ましい。またブラジャーの肩紐(ストラップ)においても、使用者の体型に合わせてその長さを調節し得ることが望ましい。このような長さ調節を可能とするべく従来では、例えば図3に示すようなアジャスターと称される、いわゆる「8の字型」のバックル1を用いてストラップ2の長さ、特にバックル1からストラップ2の折り返し端部までの長さLを調節するようにしている。
【0003】
一方、例えばブラジャーの肩紐においては或る程度の伸縮性を有することが望ましい。このような伸縮性を有するストラップ(帯状体)として、縦糸にゴム状弾性糸を用い、横糸に非伸縮糸を用いて編織したテープ(リボン)が知られている[例えば特許文献1,2を参照]。
【特許文献1】特開平10-195733号公報
【特許文献2】特開2005−220497号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら前述した「8の字型」のバックル1を用いたストラップ2の長さ調整は、二重にしてバックル1に通したストラップ1の折り返し部分の一方をずらすことによって行われるので、その調整作業が面倒であり、しかも所要とする長さに的確に設定することも容易ではない。特にストラップ1が伸縮性を有する場合、その調整時にストラップ1自体の長さが変化することが多いので、その長さ調整が益々困難化する。
【0005】
本発明はこのような事情を考慮してなされたもので、その目的は、長さ調整が容易であり、例えばブラジャーの肩紐として好適な帯状体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した目的を達成するべく本発明に係る帯状体は、可撓性を有して屈曲・折り曲げが可能な所定幅の扁平な一対の長尺体を互いに重ね合わせ、これらの一対の長尺体をその長尺方向に沿って所定のピッチ毎に幅方向に接合したことを特徴としている。
好ましくは前記一対の長尺体は、長尺方向に伸縮性を有する編織テープからなり、また前記一対の長尺体の接合は、例えば前記一対の長尺体間を幅方向に縫製して行われる。更に前記一対の長尺体間の接合位置を規定するピッチについては、前記一対の長尺体を接合した部位間に所定の留め具が挿入可能な隙間を形成し得る長さとして設定することが望ましい。
【発明の効果】
【0007】
上記構成の帯状体によれば、互いに重ね合わせられた長尺の一対の長尺体の、長尺方向に沿って所定のピッチ毎に幅方向に接合した複数の部位間に所定の留め具が挿入可能な隙間が形成されるので、これらの隙間に対する留め具の装着位置を変えるだけで、例えばストラップとして用いる部分の長さを簡易に調整することができる。しかも前記長尺体がその長尺方向に伸縮性を有する場合であっても、長さ調整を容易に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、図面を参照して本発明の一実施形態に係る帯状体について説明する。
この実施形態に係る帯状体は、例えばブラジャーの肩紐(ストラップ)として用いるに好適なものであって、幅10mm、厚み2mm程度の扁平で長尺な紐として実現される。具体的にはこの帯状体(紐)は、図1にその概略構成を示すように可撓性を有する扁平な2枚の長尺体3,4を互いに重ね合わせ、これらの一対の長尺体3,4をその長尺方向に沿って所定のピッチp毎に幅方向に縫製する(縫い合わせる)ことで、その接合位置(縫い合わせ部)5間に袋状の隙間6を形成した構造を有する。
【0009】
ちなみに前記一対の長尺体3,4は、例えば縦糸としてゴム状弾性糸を用い、横糸として非伸縮の通常糸を用いて編織した幅10mm、厚み1mm程度の編織紐からなり、その長尺方向に所定の伸縮性を有している。このような一対の長尺体3,4を互いに重ね合わせ、例えば長尺方向に5mmピッチ毎に、その幅方向に亘ってそれぞれ縫い合わせることで、開口幅が略5mmの幅方向に延びた袋状(筒状)の隙間6を、その長手方向に亘って複数形成した扁平で長尺の帯状体(紐)が実現されている。
【0010】
このような構造の帯状体(紐)によれば、例えば図2に示すような締結具10を用いるだけで、ループ状にした帯状体(紐)における両端部A,Bの結合位置、または2本の帯状体(紐)A,Bの結合位置を簡易に変更して、その全体長さを容易に調節することができる。ちなみに前記締結具10は、いわゆる「8の字型」のバックルの一辺中央部を切り欠くと共に、他辺一側部を切り欠いて、2つの孔部に前記長尺体3,4が通過可能な隙間をそれぞれ形成したものからなる。
【0011】
具体的には前記締結具10は、前記長尺体3,4が挿通可能な所定の隙間を隔てて平行に設けられた第1〜第3の竿部11,12,13を、その側部に設けられた連結部14,15,16を介して結合して一体化した構造を有する。特に第1の竿部11と第2の竿部12とは、その一端部において前記連結部14を介して連結され、他端部側に隙間を形成することで前記第1の竿部11を前述した帯状体(紐)の袋状(筒状)の隙間6に差し込み可能に設けられている。また前記第3の竿部13は、例えば前記長尺体3,4の幅の略1/3に相当する長さの2つの部位からなる。これらの各部位は、前記連結部15,16を介して前記第2の竿部12の両端部にそれぞれ連結され、互いに対峙する先端部間に前記長尺体3,4の厚みに相当する幅の隙間を形成して設けられている。このような第3の竿部13の上述した2つの部位は、前述した帯状体(紐)の袋状(筒状)の隙間6にその両側部からそれぞれ差し込み可能なものである。
【0012】
このような構造の締結具10は、前記第3の竿部13の互いに対峙した2つの部位を、本発明に係る前記帯状体(紐)を屈曲させながら前記袋状(筒状)の隙間6にその両側部からそれぞれ差し込むことによって図2に示すように該帯状体(紐)Aに半固定的に装着される。そしてこの締結具10を装着した帯状体(紐)Aに連結すべき該帯状体の他端側、または別の帯状体(紐)Bの袋状(筒状)の隙間6に対して図2に示すように前記締結具10の第1の竿部11を差し込むことにより、該締結具10を介してこれらの帯状体(紐)A,Bが相互に結合される。この際、第1の竿部11を差し込む隙間6を適宜選択することにより、締結具10により結合される2つの帯状体(紐)A,Bの全体長さを容易に調節することができる。また長さを大幅に変える場合には、帯状体(紐)Aにおける締結具10を半固定的に装着する部位(隙間6の位置)自体を変更すれば良い。
【0013】
従って本発明に係る帯状体(紐)によれば、その長手方向に所定のピッチで形成された複数の袋状の隙間6を利用して、その長さ調整を容易に行うことができる。しかも帯状体(紐)がその長尺方向に伸縮性を有していても、上記隙間6に対して前述した締結具10を幅方向に装脱するだけなので、その装脱作業が容易であり、長さ調整を簡易に行うことが可能である等の効果が奏せられる。また或る基準体(例えばブラジャー本体)に対して本発明に係る帯状体(紐;ストラップ)を長さ調整して装着する場合にも、前述した締結具10の第3の竿部13を上記基準体に固定的に装着しておき、前記帯状体(紐)の所要とする長さ位置における袋状の隙間6に前記締結具10の第1の竿部11を装着するようにすれば良い。
【0014】
尚、本発明は上述した実施形態に限定されるものではない。ここではブラジャーの肩紐として好適な伸縮性を有する帯状体について例示したが、例えば各種物品を締結する締結バンドにも適用することができ、従ってその幅や厚み等は使用目的に応じたものであれば十分である。また帯状体としては必ずしも伸縮性を備える必要はなく、例えば引っ張り強度を高めた新釈性のないハーネス部材にも適用することができる。
【0015】
更には前述した実施形態においては前記長尺体3,4として編織紐を挙げたが、合成樹脂製のテープ(リボン)であっても良い。この場合、2つの長尺体3,4を縫い合わせることに代えて、例えば接着剤を用いて両者を部分的に接合したり、熱融着技術を用いて両者を部分的に結合するようにしても良い。またここでは前記2つの長尺体3,4が同じ素材のものであるとの前提で説明したが、素材の異なる2つの長尺体3,4を重ね合わせて帯状体を形成することも可能である。その他、本発明はその要旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施形態に係る帯状体(紐)の概略構成を示す図。
【図2】図1に示す帯状体(紐)の締結具を用いた結合例を示す図。
【図3】従来の帯状体の長さ調整方法を説明する為の図。
【符号の説明】
【0017】
3,4 長尺体(編織紐)
5 接合位置(縫い合わせ部)
6 隙間
10 締結具

【特許請求の範囲】
【請求項1】
可撓性を有する所定幅の扁平な一対の長尺体を互いに重ね合わせ、これらの一対の長尺体をその長尺方向に沿って所定のピッチ毎に幅方向に接合したことを特徴とする帯状体。
【請求項2】
前記一対の長尺体は、長尺方向に伸縮性を有する編織テープからなる請求項1に記載の帯状体。
【請求項3】
前記一対の長尺体の接合は、前記一対の長尺体間を幅方向に縫製して行われるものである請求項1または2に記載の帯状体。
【請求項4】
前記一対の長尺体間の接合位置を規定するピッチは、前記一対の長尺体を接合した部位間に所定の留め具が挿入可能な隙間を形成し得る長さである請求項1に記載の帯状体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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