説明

帯状発光体を用いた灯具

【課題】複数の点光源1つ1つを、極めて迅速に、所定位置に適正姿勢で立体的に配置することができ、かつ、実像による立体感を演出することができる新規見栄えの灯具を提供する。
【解決手段】長手方向に配置された複数の点光源を有する第1帯状発光体及び第2帯状発光体を備えた帯状発光体10と、第1帯状発光体と第2帯状発光体を所定形状で灯具正面視手前側と灯具正面視奥側に保持するブラケット20とを備え、ブラケット20は、灯具正面視奥側から手前側に向かって膨らんだ第1ブラケット21と、灯具正面視奥側の第2ブラケット22とを備え、第1ブラケット21の第1凸曲面21aに第1帯状発光体が取り付けられ、第2ブラケット22には、第1帯状発光体の灯具正面視奥側の位置から第2帯状発光体を装着する第2凸曲面22aが設けられており、第2ブラケット22よりも灯具正面視奥側には、さらに鏡面が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、帯状発光体を用いた灯具に係り、特に実像による立体感を演出することができる新規見栄えの灯具に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、灯具の分野においては、(特に車両用灯具においては、車両デザインの自由度を高める等の観点より、)新規見栄えの灯具が要望されている。このような灯具として、例えば、特許文献1、特許文献2においては、レンズ形状やリフレクタ反射面を工夫することにより、虚像による立体感を演出する灯具が提案されている。また、複数のLED等の点光源を立体的に配置し、実像による立体感を演出することも考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−347144号公報
【特許文献2】特開2006−216455号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、複数のLED等の点光源を立体的に配置し実像による立体感を演出する場合、虚像の場合と比較して、立体感を強調することが可能になるものの、複数のLED等の点光源1つ1つを、所定位置に適正姿勢で装着しなければならない。このため、灯具組み立てに相当の工数、時間を要するという問題がある。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、複数の点光源1つ1つを、極めて迅速に、所定位置に適正姿勢で立体的に配置することができ、かつ、実像による立体感を演出することができる新規見栄えの灯具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、帯状部材であって、その長手方向に配置された複数の点光源を有する第1帯状発光体と、帯状部材であって、その長手方向に配置された複数の点光源を有する第2帯状発光体と、前記第1帯状発光体を所定形状で灯具正面視手前側に保持するとともに、前記第2帯状発光体を所定形状で灯具正面視奥側に保持する帯状発光体保持手段と、を備え、前記帯状発光体保持手段は、灯具正面視奥側から手前側に向かって膨らんだ第1ブラケットと、灯具正面視奥側の第2ブラケットと、を備え、前記第1ブラケットには、灯具正面視奥側から手前側に向かって膨らんだ面に沿って第1帯状発光体装着部が設けられ、当該第1帯状発光体装着部に前記第1帯状発光体が取り付けられ、前記第2ブラケットには、前記第1帯状発光体の灯具正面視奥側の位置から前記第2帯状発光体を前記第2ブラケットに沿って装着する第2帯状発光体装着部が設けられており、前記第1帯状発光体と第2帯状発光体が立体的に連続しているように視認可能とされ、前記第2ブラケットよりも、灯具正面視奥側には、さらに鏡面が設けられていることを特徴とする。
【0007】
請求項1に記載の発明によれば、第1帯状発光体及び第2帯状発光体を帯状発光体保持手段に所定形状に湾曲させた状態で保持させるだけで、第1帯状発光体の複数の点光源及び第2帯状発光体の複数の点光源を、一挙に所定位置に適正姿勢で(例えば、灯具正面所定範囲を照射する位置、姿勢で)装着することが可能となる。すなわち、点光源1つ1つを、極めて迅速に、所定位置に適正姿勢で立体的に配置することが可能となる。また、実像による立体感を演出することができる新規見栄えの灯具を提供することが可能となる。
【0008】
請求項2は、請求項1に記載の発明において、前記帯状発光体保持手段は、灯具正面視手前側に配置された曲面であって、前記第1帯状発光体が固定される第1帯状発光体固定曲面と、灯具正面視奥側に配置された曲面であって、前記第2帯状発光体が固定される第2帯状発光体固定曲面と、を含むこと特徴とする。
【0009】
請求項2に記載の発明によれば、第1帯状発光体の複数の点光源及び第2帯状発光体の複数の点光源を、第1帯状発光体固定曲面及び第2帯状発光体固定曲面に沿って一挙に所定位置に適正姿勢で(例えば、灯具正面所定範囲を照射する位置、姿勢で)装着すること
が可能となる。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の発明において、前記第1帯状発光体は、その複数の点光源が配置された面とは反対側の面が、前記第1帯状発光体固定曲面に略面接触した状態で巻き付けられて固定され、前記第2帯状発光体は、その複数の点光源が配置された側の面が、前記第2帯状発光体固定曲面に略面接触した状態で巻き付けられて固定されること特徴とする。
【0011】
請求項3に記載の発明によれば、第1帯状発光体及び第2帯状発光体を、第1帯状発光体固定曲面及び第2帯状発光体固定曲面に巻き付け固定することにより、第1帯状発光体の複数の点光源及び第2帯状発光体の複数の点光源を、第1帯状発光体固定曲面及び第2帯状発光体固定曲面に沿って一挙に所定位置に適正姿勢で(例えば、灯具正面所定範囲を照射する位置、姿勢で)装着することが可能となる。
【0012】
請求項4は、請求項3に記載の発明において、前記第2帯状発光体固定曲面には、該第2帯状発光体取付面に巻き付けられた前記第2帯状発光体の前記複数の点光源が挿入される開口が形成されていることを特徴とする。
【0013】
請求項4に記載の発明によれば、仮に第2帯状発光体の点光源が該第2帯状発光体表面よりも突出していたとしても、該突出した点光源は第2帯状発光体固定曲面の開口に挿入されるので、第2帯状発光体の複数の点光源を、一挙に所定位置に適正姿勢で(例えば、灯具正面所定範囲を照射する位置、姿勢で)装着することが可能となる。
【0014】
請求項5に記載の発明は、請求項3又は4に記載の発明において、前記第1帯状発光体固定曲面及び前記第2帯状発光体固定曲面は、前記第1ブラケット及び第2ブラケットの外周に設けられており、前記第1ブラケット及び第2ブラケット、前記第1帯状発光体固定曲面及び前記第2帯状発光体固定曲面は、透明又は半透明材料により形成されていることを特徴とする。
【0015】
請求項5に記載の発明によれば、第1帯状発光体及び第2帯状発光体を第1ブラケット及び第2ブラケット(の外周に形成された第1帯状発光体固定曲面及び第2帯状発光体固定曲面)に巻き付け固定することにより、第1帯状発光体の複数の点光源及び第2帯状発光体の複数の点光源を、第1帯状発光体固定曲面及び第2帯状発光体固定曲面に沿って一挙に所定位置に適正姿勢で(例えば、灯具正面所定範囲を照射する位置、姿勢で)装着することが可能となる。
【0016】
請求項6に記載の発明は、請求項2に記載の発明において、前記第1帯状発光体固定曲面及び前記第2帯状発光体固定曲面は、前記第1ブラケット及び第2ブラケットに沿って非直線状に形成されていることを特徴とする。
【0017】
請求項6に記載の発明によれば、第1帯状発光体及び第2帯状発光体を、第1ブラケット及び第2ブラケット(の外周に形成された第1帯状発光体固定曲面及び第2帯状発光体固定曲面)に非直線状(例えば、スパイラル状)に巻き付けることが可能となるので、第1ブラケット及び第2ブラケットに対する第1帯状発光体及び第2帯状発光体の装着を極めて迅速に行うことが可能となる。また、灯具正面視スパイラル状に立体配置された点光源(実像)による立体感を演出することができる新規見栄えの灯具を提供することが可能となる。
【0018】
請求項7は、請求項5又は6に記載の発明において、前記第1帯状発光体及び前記第2帯状発光体は、該第1帯状発光体の一方の端部と前記第2帯状発光体の一方の端部とが連続した直線形状の帯状発光体であり、前記第2帯状発光体の前記複数の点光源は、前記第1帯状発光体の前記複数の点光源が配置された面とは反対側の面に配置されていることを
特徴とする。
【0019】
請求項7に記載の発明によれば、第1帯状発光体及び前記第2帯状発光体は、連続した直線形状の帯状発光体であり、第2帯状発光体の前記複数の点光源は、前記第1帯状発光体の前記複数の点光源が配置された面とは反対側の面に配置されているので、第1帯状発光体と第2帯状発光体との間の帯状部分を「ねじって」反転させることなく、第1帯状発光体及び第2帯状発光体を、ブラケット(の外周に形成された第1帯状発光体固定曲面及び第2帯状発光体固定曲面)にスパイラル状に巻き付けることが可能となる。
【0020】
請求項8に記載の発明は、請求項3から6のいずれかに記載の発明において、前記第1帯状発光体固定曲面及び前記第2帯状発光体固定曲面は、前記第1帯状発光体及び前記第2帯状発光体を該第1帯状発光体固定曲面及び該第2帯状発光体固定曲面に巻き付け固定した場合に、該第1帯状発光体の前記複数の点光源及び該第2帯状発光体の前記複数の点光源が所定範囲を照射する姿勢となるように設計されていることを特徴とする。
【0021】
請求項8に記載の発明によれば、第1帯状発光体固定曲面及び第2帯状発光体固定曲面を各点光源が所望の範囲を照射する位置、姿勢となるように設計することにより、第1帯状発光体の複数の点光源及び第2帯状発光体の複数の点光源を、第1帯状発光体固定曲面及び第2帯状発光体固定曲面に沿って一挙に所望の位置に所望の姿勢(例えば、灯具正面所定範囲を照射する位置、姿勢)で装着することが可能となる。
【0022】
請求項9に記載の発明は、請求項1から8のいずれかに記載の発明において、前記第1帯状発光体と前記第2帯状発光体の間には、灯具正面視上下方向に延びる樹脂部材が配置されていることを特徴とする。
【0023】
請求項9に記載の発明によれば、第1帯状発光体と第2帯状発光体の間には、灯具正面視上下方向に延びる樹脂部材(例えば、導光棒)が配置されているので、灯具正面視スパイラル状に立体配置された点光源(実像)による立体感をさらに強調できる新規見栄えの灯具を提供することが可能となる。
【0024】
請求項10に記載の発明は、請求項1から9のいずれかに記載の発明において、前記帯状部材は、フレキシブル基板であることを特徴とする。
【0025】
これは、帯状部材の例示である。本発明は、これに限定されず、例えば、他のフレキシブルな材料を帯状部材としてもよい。
【0026】
請求項11に記載の発明は、可撓性を有する材料により形成された帯状部材であって、その長手方向に配置された複数の点光源を有する第1帯状発光体と、可撓性を有する材料により形成された帯状部材であって、その長手方向に配置された複数の点光源を有する第2帯状発光体と、前記第1帯状発光体を所定形状に湾曲させた状態で灯具正面視手前側に保持するとともに、前記第2帯状発光体を所定形状に湾曲させた状態で灯具正面視奥側に保持する帯状発光体保持手段と、を備え、前記複数の点光源は、前記第1帯状発光体の灯具正面視手前側の面及び前記第2帯状発光体の灯具正面視手前側の面に配置されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、複数の点光源1つ1つを、極めて迅速に、所定位置に適正姿勢で立体的に配置することができ、かつ、実像による立体感を演出することができる新規見栄えの灯具を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の灯具である車両用灯具100が適用された車両の背面図(車両用灯具100に着目すれば、車両用灯具100の正面図)である。
【図2】本実施形態の車両用灯具100の構成を説明するための図である。
【図3】本実施形態の車両用灯具100の組み立て図である。
【図4】本実施形態の車両用灯具100に用いられる帯状発光体10の例を説明するための図である。
【図5】ブラケット20の外周に形成される帯状発光体固定曲面21a、21bを説明するための図である。
【図6】ブラケット20の外周に形成された帯状発光体固定曲面21a、21bに帯状発光体10を巻き付けた状態を説明するための図である。
【図7】帯状発光体10の変形例である。
【図8】帯状発光体10の変形例である。
【図9】帯状発光体10の変形例である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の灯具を自動車等の車両のリアランプ等の車両用灯具に適用した例について、図面を参照しながら説明する。
【0030】
図1は、本発明の灯具である車両用灯具100が適用された車両の背面図(車両用灯具100に着目すれば、車両用灯具100の正面図)である。図2は、本実施形態の車両用灯具100の構成を説明するための図である。図3は、本実施形態の車両用灯具100の組み立て図である。
【0031】
図1に示すように、本実施形態の車両用灯具100は、自動車等の車両Vのリアランプ等の車両用灯具に適用されるものであり、図2及び図3に示すように、帯状発光体10、帯状発光体10を所定形状に湾曲させた状態で保持するブラケット20、導光棒30、奥側インナーレンズ40、エクステンション50、手前側インナーレンズ60等を備えている。
【0032】
図4(a)(b)は、本実施形態の車両用灯具100に用いられる帯状発光体10の例を説明するための図である。
【0033】
図4(a)(b)に示すように、帯状発光体10は、フレキシブル基板等の可撓性を有する材料により形成された帯状部材であって、その長手方向に配置された複数のLEDパッケージ等の点光源13を有する第1帯状発光体11及び第2帯状発光体12を備えている。第1帯状発光体11の一端11aと第2帯状発光体12の一端12aとは連続しており、帯状発光体10は略直線形状となっている(図4(a)参照)。なお、複数の点光源13の配置間隔は、均等、不均等のいずれであってもよい。
【0034】
第2帯状発光体12の複数の点光源13は、第1帯状発光体11の複数の点光源13が配置された面とは反対側の面に配置されている(両面実装)。このため、第1帯状発光体11と第2帯状発光体12との間の帯状部分を「ねじって」反転させることなく、後述のように、帯状発光体10をブラケット20の外周にスパイラル状に巻き付けることが可能となる(図4(b)参照)。
【0035】
図5は、ブラケット20の外周に形成される帯状発光体固定曲面21a、21bを説明するための図である。
【0036】
図3、図5に示すように、ブラケット20は、透明又は半透明の合成樹脂材料等で形成された第1ブラケット21及び第2ブラケット22を備えている。
【0037】
第1ブラケット21は、灯具正面視手前側に配置されており、灯具正面視奥側から手前側に向かって膨らみ、かつ、灯具正面からみてスパイラル状に延びる第1凸曲面21a(図3、図5では、第1ブラケット21に形成されたインナーレンズ取付溝21bの底面を例示)を有している。第2ブラケット22は、灯具正面視奥側に配置されており、灯具正面視手前側から奥側に向かって膨らみ、かつ、灯具裏面からみてスパイラル状に延びる第2凸曲面22a(図3、図5では、インナーレンズ取付溝22bの底面を例示)を有している。この第1ブラケット21と第2ブラケット22を図5に示すように組み合わせることで、ブラケット20の外周には、第1凸曲面21aと第2凸曲面22aとが略連続したスパイラル状に延びる帯状発光体固定曲面21a、22aが形成される。
【0038】
図6は、ブラケット20の外周に形成された帯状発光体固定曲面21a、21bに帯状発光体10を巻き付けた状態を説明するための図である。
【0039】
この帯状発光体固定曲面21a、22aには、図6に示すように、帯状発光体10がスパイラル状に巻き付けられ、接着剤、ネジ、熱カシメ等の公知の固定手段により固定される。第1帯状発光体及び第2帯状発光体は、スパイラル状に巻き付けられるので、ブラケット20に対する第1帯状発光体11及び第2帯状発光体12の装着を極めて迅速に行うことが可能となる。
【0040】
灯具正面視手前側の第1凸曲面21aには、第1帯状発光体11がその複数の点光源13が配置された面とは反対側の面を第1凸曲面21aに略面接触させた状態で巻き付けられ、固定される。
【0041】
第1凸曲面21aは、該第1凸曲面21aに巻き付け固定された第1帯状発光体11の各点光源13が所望の範囲を照射する位置、姿勢となるように設計されている。このため、第1帯状発光体11を第1凸曲面21aに巻き付け固定するだけで、その複数の点光源13を、第1凸曲面21aに沿って一挙に所望の位置に所望の姿勢(例えば、灯具正面所定範囲を照射する位置、姿勢)で装着することが可能となる。
【0042】
インナーレンズ取付溝21bには、第1帯状発光体11が第1凸曲面21aに巻き付けられ、固定された後、アルミ蒸着等による鏡面処理が施された表面51(第1帯状発光体11の複数の点光源13が挿入される複数の開口52が形成されている)を持つエクステンション50が装着され、さらに、そのエクステンション50を覆うように、カット等の所定処理が施された表面61を持つインナーレンズ60が装着される。
【0043】
灯具正面視奥側の第2凸曲面22aには、第2帯状発光体12の複数の点光源13が挿入される複数の開口22cが形成されている。この第2凸曲面22aには、第2帯状発光体12の複数の点光源13が該複数の開口22cに挿入されるとともに、その複数の点光源13が配置された面を第2凸曲面22aに略面接触させた状態で巻き付けられ、固定される。第2凸曲面22aには、複数の開口22cが形成されているので、仮に第2帯状発光体12の点光源13が該第2帯状発光体12表面よりも突出していたとしても(フレキシブル基板にLEDパッケージを表面実装した場合)、該突出した点光源13は第2凸曲面22aの開口22cに挿入されるので、第2帯状発光体12の複数の点光源13を、一挙に所定位置に適正姿勢で(例えば、灯具正面所定範囲を照射する位置、姿勢で)装着することが可能となる。
【0044】
第2凸曲面22aは、該第2凸曲面22aに巻き付け固定された第2帯状発光体12の各点光源13が所望の範囲を照射する位置、姿勢となるように設計されている。このため、第2帯状発光体12を第2凸曲面22aに巻き付け固定するだけで、その複数の点光源13を、第2凸曲面22aに沿って一挙に所望の位置に所望の姿勢(例えば、灯具正面所定範囲を照射する位置、姿勢)で装着することが可能となる。
【0045】
なお、第2帯状発光体12の複数の点光源13は、第1帯状発光体11の複数の点光源13が配置された面とは反対側の面に配置されている。このため、第1帯状発光体11と第2帯状発光体12との間の帯状部分を「ねじって」反転させることなく、帯状発光体10を巻き付けることが可能となっている。
【0046】
第2凸曲面22aの反対側には、灯具正面視手前側から奥側に膨らみ、かつ、アルミ蒸着等による鏡面処理が施された凹曲面22dが形成されており、この凹曲面22dには、カット等の所定処理が施された表面41を持つインナーレンズ40が装着されている。
【0047】
以上説明したように、本実施形態の車両用灯具100によれば、帯状発光体10は、ブラケット20の外周に形成された帯状発光体固定曲面21a、22aにスパイラル状に巻き付けられ、固定される。これにより、第1帯状発光体11は灯具正面視手前側に配置され(さらに第1帯状発光体11の複数の点光源13が第1凸曲面21aに沿って立体的に配置され)、かつ、第2帯状発光体12は灯具正面視奥側に配置される(さらに第2帯状発光体12の複数の点光源13が第2凸曲面22aに沿って立体的に配置される)。
【0048】
すなわち、本実施形態の車両用灯具100によれば、第1帯状発光体11及び第2帯状発光体12を、第1凸曲面21a及び第2凸曲面22aに巻き付け固定することにより、第1帯状発光体11の複数の点光源13及び第2帯状発光体12の複数の点光源13を、第1凸曲面21a及び第2凸曲面22aに沿って一挙に所定位置に適正姿勢で(例えば、灯具正面所定範囲を照射する位置、姿勢で)装着することが可能となる。
【0049】
従って、車両用灯具100正面に視点を置いた場合、第1帯状発光体11及び第2帯状発光体12を立体的に視認することが可能となる。すなわち、本実施形態の車両用灯具100によれば、立体配置された複数の点光源13(実像)による立体感を演出することができる新規見栄えの車両用灯具100を提供することが可能となる。
【0050】
本実施形態では、立体配置された点光源13(実像)による立体感をさらに強調するために、図2に示すように、第1帯状発光体11と第2帯状発光体12の間に、灯具正面視上下方向に延びる導光棒30(図2、図3等では、三本の導光棒30を例示)が配置されている。
【0051】
この導光棒30は、その一端(又は両端)に配置されたLEDパッケージ等の光源70が発光した光が入射し内部反射することにより発光するようになっている。この導光棒30は、例えば、図5に示すように、第2ブラケット22の第2凸曲面22aが形成された面とは反対側の面に形成された上下方向に延びる溝22eに挿入され位置決めされた状態で固定される。このため、車両Vが振動したとしても導光棒30の位置ズレは生じない。また、ブラケット20は、第1ブラケット21と第2ブラケット22に分割し、両者を組み合わせて構成されている。このため、第2ブラケット22(又は第1ブラケット21)に対する導光棒30の装着を極めて容易に行うことが可能となる。
【0052】
このように、第1帯状発光体11と第2帯状発光体12の間には、灯具正面視上下方向に延びる導光棒30が配置されているので、灯具正面視スパイラル状に立体配置された点光源13(実像)による立体感をさらに強調できる新規見栄えの車両用灯具100を提供することが可能となる。
【0053】
次に、上記構成の車両用灯具100の組立方法について図3を参照しながら説明する。
【0054】
まず、第2ブラケット22(第2凸曲面22aの反対側の凹曲面22d)に、インナーレンズ40を装着する。
【0055】
次に、導光棒30を、第2ブラケット22の溝22e(第2凸曲面22aが形成された面とは反対側の面に形成された上下方向に延びる溝22e)に装着する。そして、この導光棒30が装着された第2ブラケット22と第1ブラケット21を組み合わせる。これにより、ブラケット20の外周には、第1凸曲面21aと第2凸曲面22aとが略連続したスパイラル状に延びる帯状発光体固定曲面21a、22aが形成される。
【0056】
次に、帯状発光体10を、ブラケット20の外周面に形成された帯状発光体固定曲面21a、22aにスパイラル状に巻き付け、接着剤、ネジ、熱カシメ等の公知の固定手段により固定する。そして、インナーレンズ取付溝21bに、エクステンション50を装着し、さらにそのエクステンション50を覆うようにインナーレンズ60を装着する。以上のようにして、図2に示す、車両用灯具100の組み立てが完成する。
【0057】
以上説明したように、本実施形態の車両用灯具100によれば、第1帯状発光体11及び第2帯状発光体12を帯状発光体保持手段であるブラケット20に所定形状に湾曲させた状態で保持(巻き付け固定)させるだけで、第1帯状発光体11の複数の点光源13及び第2帯状発光体12の複数の点光源13を、一挙に所定位置に適正姿勢で(例えば、灯具正面所定範囲を照射する位置、姿勢で)装着することが可能となる。すなわち、点光源1つ1つを、極めて迅速に、所定位置に適正姿勢で立体的に配置することが可能となる。また、このように立体配置された点光源13(実像)による立体感を演出することができる新規見栄えの車両用灯具100を提供することが可能となる。
【0058】
次に、変形例について説明する。
【0059】
上記実施形態においては、第1帯状発光体11と第2帯状発光体12の二つを用いた例について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、第3帯状発光体等の三つ以上の帯状発光体を用いて本発明の灯体を構成してもよい(この場合、図2に示すスパイラルが、上下方向にさらに長くなる)。
【0060】
また、上記実施形態においては、第1帯状発光体11と第2帯状発光体12が固定される面は、第1凸曲面21aと第2凸曲面22aとが略連続したスパイラル状に延びる帯状発光体固定曲面21a、22aであるように説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、第1凸曲面21aと第2凸曲面22aとは、灯具正面視略平行に配置されていてもよい。
【0061】
また、上記実施形態においては、第1帯状発光体11の一端11aと第2帯状発光体12の一端12aとは連続しており、帯状発光体10は略直線形状となっているように説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、帯状発光体10は、図7(a)(b)に示すように、第1帯状発光体11と第2帯状発光体12それぞれの両端部が連続した環形状となっていてもよい。あるいは、図8(a)(b)に示すように、帯状発光体10は、第1帯状発光体11と第2帯状発光体12が所定角度をなすように、それぞれの端部で連続した形状となっていてもよい。あるいは、図9(a)(b)に示すように、帯状発光体10は、第1帯状発光体11と、この第1帯状発光体11とは別体の第2帯状発光体12であってもよい。この場合、第1帯状発光体11と第2帯状発光体12をジャンパー線等で接続してもよい。
【0062】
また、上記実施形態においては、本発明の灯具を、帯状発光体10、ブラケット20、導光棒30、奥側インナーレンズ40、エクステンション50、手前側インナーレンズ60で構成する例について説明したが、本発明はこれに限定されない。これらの構成を適宜組み合わせることで、本発明の灯具を構成することが可能である。例えば、帯状発光体10、ブラケット20のみでも本発明の灯具を構成することが可能である。この場合、ブラケット20は、第1ブラケット21と第2ブラケット22に分割することなく、一体的に構成することが可能である。
【0063】
また、上記実施形態においては、本発明の灯具を自動車等の車両のリアランプ等の車両用灯具に適用した例について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、本発明の灯具は、自動車等の車両の室内灯等のインテリア装飾灯、自動二輪車等のリアランプにも適用可能である。あるいは、広告灯、警告灯、標識灯、遊技機灯の装飾灯としても適用可能である。
【0064】
上記実施形態はあらゆる点で単なる例示にすぎない。これらの記載によって本発明は限定的に解釈されるものではない。本発明はその精神または主要な特徴から逸脱することなく他の様々な形で実施することができる。
【符号の説明】
【0065】
100…車両用灯具、10…帯状発光体、11…第1帯状発光体、12…第2帯状発光体、13…点光源(LEDパッケージ)、20…ブラケット、21…第1ブラケット、21a…第1凸曲面、21b…インナーレンズ取付溝、22…第2ブラケット、22a…第2凸曲面、22b…インナーレンズ取付溝、22c…開口、22d…面、22e…溝、30…導光棒、40…奥側インナーレンズ、41…表面、50…エクステンション、51…表面、52…開口、60…手前側インナーレンズ、61…表面、70…光源、V…車両

【特許請求の範囲】
【請求項1】
帯状部材であって、その長手方向に配置された複数の点光源を有する第1帯状発光体と、
帯状部材であって、その長手方向に配置された複数の点光源を有する第2帯状発光体と、
前記第1帯状発光体を所定形状で灯具正面視手前側に保持するとともに、前記第2帯状発光体を所定形状で灯具正面視奥側に保持する帯状発光体保持手段と、
を備え、
前記帯状発光体保持手段は、灯具正面視奥側から手前側に向かって膨らんだ第1ブラケットと、灯具正面視奥側の第2ブラケットと、を備え、
前記第1ブラケットには、灯具正面視奥側から手前側に向かって膨らんだ面に沿って第1帯状発光体装着部が設けられ、当該第1帯状発光体装着部に前記第1帯状発光体が取り付けられ、
前記第2ブラケットには、前記第1帯状発光体の灯具正面視奥側の位置から前記第2帯状発光体を前記第2ブラケットに沿って装着する第2帯状発光体装着部が設けられており、
前記第1帯状発光体と第2帯状発光体が立体的に連続しているように視認可能とされ、
前記第2ブラケットよりも、灯具正面視奥側には、さらに鏡面が設けられていることを特徴とする帯状発光体を用いた灯具。
【請求項2】
前記帯状発光体保持手段は、
灯具正面視手前側に配置された曲面であって、前記第1帯状発光体が固定される第1帯状発光体固定曲面と、
灯具正面視奥側に配置された曲面であって、前記第2帯状発光体が固定される第2帯状発光体固定曲面と、を含むこと特徴とする請求項1に記載の帯状発光体を用いた灯具。
【請求項3】
前記第1帯状発光体は、その複数の点光源が配置された面とは反対側の面が、前記第1帯状発光体固定曲面に略面接触した状態で巻き付けられて固定され、
前記第2帯状発光体は、その複数の点光源が配置された側の面が、前記第2帯状発光体固定曲面に略面接触した状態で巻き付けられて固定されること特徴とする請求項2に記載の帯状発光体を用いた灯具。
【請求項4】
前記第2帯状発光体固定曲面には、該第2帯状発光体固定曲面に巻き付けられた前記第2帯状発光体の前記複数の点光源が挿入される開口が形成されていることを特徴とする請求項3に記載の帯状発光体を用いた灯具。
【請求項5】
前記第1帯状発光体固定曲面及び前記第2帯状発光体固定曲面は、前記第1ブラケット及び第2ブラケットの外周に設けられており、
前記第1ブラケット及び第2ブラケット、前記第1帯状発光体固定曲面及び前記第2帯状発光体固定曲面は、透明又は半透明材料により形成されていることを特徴とする請求項3又は4に記載の帯状発光体を用いた灯具。
【請求項6】
前記第1帯状発光体固定曲面及び前記第2帯状発光体固定曲面は、前記第1ブラケット及び第2ブラケットに沿って非直線状に形成されていることを特徴とする請求項2に記載の帯状発光体を用いた灯具。
【請求項7】
前記第1帯状発光体及び前記第2帯状発光体は、該第1帯状発光体の一方の端部と前記第2帯状発光体の一方の端部とが連続した直線形状の帯状発光体であり、
前記第2帯状発光体の前記複数の点光源は、前記第1帯状発光体の前記複数の点光源が配置された面とは反対側の面に配置されていることを特徴とする請求項5又は6に記載の帯状発光体を用いた灯具。
【請求項8】
前記第1帯状発光体固定曲面及び前記第2帯状発光体固定曲面は、前記第1帯状発光体及び前記第2帯状発光体を該第1帯状発光体固定曲面及び該第2帯状発光体固定曲面に巻き付け固定した場合に、該第1帯状発光体の前記複数の点光源及び該第2帯状発光体の前記複数の点光源が所定範囲を照射する姿勢となるように設計されていることを特徴とする請求項3から6のいずれかに記載の帯状発光体を用いた灯具。
【請求項9】
前記第1帯状発光体と前記第2帯状発光体の間には、灯具正面視上下方向に延びる樹脂部材が配置されていることを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載の帯状発光体を用いた灯具。
【請求項10】
前記帯状部材は、フレキシブル基板であることを特徴とする請求項1から9のいずれかに記載の帯状発光体を用いた灯具。
【請求項11】
可撓性を有する材料により形成された帯状部材であって、その長手方向に配置された複数の点光源を有する第1帯状発光体と、
可撓性を有する材料により形成された帯状部材であって、その長手方向に配置された複数の点光源を有する第2帯状発光体と、
前記第1帯状発光体を所定形状に湾曲させた状態で灯具正面視手前側に保持するとともに、前記第2帯状発光体を所定形状に湾曲させた状態で灯具正面視奥側に保持する帯状発光体保持手段と、
を備え、
前記複数の点光源は、前記第1帯状発光体の灯具正面視手前側の面及び前記第2帯状発光体の灯具正面視手前側の面に配置されていることを特徴とする帯状発光体を用いた灯具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−238605(P2012−238605A)
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−164637(P2012−164637)
【出願日】平成24年7月25日(2012.7.25)
【分割の表示】特願2008−12746(P2008−12746)の分割
【原出願日】平成20年1月23日(2008.1.23)
【出願人】(000002303)スタンレー電気株式会社 (2,684)
【Fターム(参考)】