説明

帯電ローラおよびその製造方法

【課題】平滑な表面形状の帯電ローラにおいて、横スジ状の画像の発生を抑制した帯電ローラおよび該帯電ローラの製造方法を提供する。そして、高画質化、高速化、長寿命化を図る電子写真装置において好適な帯電ローラを提供する。
【解決手段】導電性基体と、該導電性基体外周上の導電性弾性体層と、該導電性弾性体層外周上の表面層とを有する帯電ローラであって、該表面層がバインダーと導電性粒子とを含有し、該表面層は膜厚が1μm以上10μm以下であり、表面層における該導電性粒子は5体積%以上30体積%以下存在する。表面層の基層近傍を表面に平行に切断した断面には、導電性粒子の疎な部分と密な部分が斑点状に分布しており、疎な部分が直径10μm以上100μm以下の斑点である。該表面層は表面粗さRzが3μm以下である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、帯電ローラおよびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真装置においては、ローラ形状の帯電部材(以下、「帯電ローラ」と呼ぶ。)を電子写真感光体に当接させ、直流電圧または直流電圧および交流電圧を重畳した電圧を印加することで当該電子写真感光体を帯電させる接触帯電方式が多く採用されている。
【0003】
ところで、接触帯電方式を採用した電子写真装置によって得られる電子写真画像には、横スジ状の画像ムラが発生する場合がある。このような画像ムラは、帯電ローラに直流電圧のみを印加することで、電子写真感光体を帯電させる場合に特に生じやすい。かかる画像ムラの発生を抑制するため、特許文献1は、帯電ローラの表面層に樹脂粒子を含有させ、帯電ローラ表面に凹凸を形成させる方法を開示している。これは、帯電ローラ表面に凹凸が存在すると、被帯電体である感光体とのニップ部において、微小な空隙が形成され、点状放電が起きるため、横スジ状の画像が抑制されると考えられる。
【0004】
一方、近年の電子写真画像に対する高画質化、電子写真装置に対する高速化および高耐久化の要求のより一層の高度化に伴って、帯電ローラの使用環境が更に過酷になっている。例えば、トナーが小粒径化し、トナーの微粉の割合が増加してきている。更に、トナーの高機能化に伴い、様々な外添剤が使用されている。また、長寿命化の要求により、帯電ローラ及び感光体を含むユニットの目標耐久寿命が伸びている。これらの使用環境の変化により、付着物の堆積量が多くなっている。それゆえ、以前は発生することのなかった画像ムラが、発生する場合も出てきた。その画像ムラとは、帯電ローラの凹凸にトナーや外添剤が堆積することに起因するものであった。
【0005】
しかし、帯電ローラの表面を、トナーや外添剤が堆積しにくい平滑な表面形状とすると、前述のように横スジ状の画像ムラが発生することになる。そのため、平滑な表面形状においても、横スジ状の画像を抑制する技術が求められている。
【0006】
平滑な表面形状においても、横スジ状の画像を抑制する方法としては、電流値のミクロ分布を制御することが考えられる。つまり、電流値の小さい部分を存在させることで、放電が横方向に広がらないようにできる可能性がある。平滑な表面において電流値のミクロ分布を制御する方法としては、海島構造の海相に導電性粒子を含む帯電ローラ(特許文献2)や、表面近傍に絶縁性の接着剤を存在させ、その電流値をミクロ分布させる方法が考えられる。(特許文献3)
【0007】
しかし、特許文献2の場合には、導電性粒子を含む海相と含まない島相で放電電荷量の差が大きすぎるため、点状の画像ムラが発生する場合があった。一方、特許文献3の場合には、導電性粒子が表面層中に均一に分散しているために、電荷が絶縁性の接着剤の上部にも回りこみ、電流値はミクロ分布しない。そのため、放電が横方向に広がり、横スジ状の画像ムラが発生する場合があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2003−316112号公報
【特許文献2】特開2000−336212号公報
【特許文献3】特開2004−354503号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、平滑な表面形状の帯電ローラにおいて、横スジ状の画像の発生を抑制した帯電ローラおよび帯電ローラの製造方法を提供することにある。そして、高画質化、高速化、長寿命化を図る電子写真装置において好適な帯電ローラを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、帯電ローラの表面への付着物が低減できる平滑な表面形状でありながら、導電性粒子が疎密分布していることで、放電が横方向に広がるのを抑制し、横スジ状の画像ムラを抑制できることを見出し、本発明に至った。
【0011】
横スジ状の画像ムラを抑制するための手段を更に詳しく説明すると、表面層はバインダーと導電性粒子とを含有し、表面層の膜厚は1μm以上10μm以下であり、表面層における導電性粒子は5体積%以上30体積%以下存在し、表面層の基層近傍を表面に平行に切断した断面には、導電性粒子の疎な部分と密な部分が斑点状に分布しており、疎な部分が直径10μm以上100μm以下の斑点であり、表面層の表面粗さRzは3μm以下であることを特徴とする帯電ローラである。
【発明の効果】
【0012】
以上説明したように、本発明によれば、平滑な表面形状の帯電ローラにおいて、横スジ状の画像の発生を抑制した帯電ローラおよび帯電ローラの製造方法を提供することができる。そして、高画質化、高速化、長寿命化を図る電子写真装置において好適な帯電ローラを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明に係る帯電ローラの横スジの抑制作用の説明図である。
【図2】本発明の帯電ローラの一例を示す断面図である。
【図3】導電性粒子が均一に分布し、表面に凹凸のある帯電ローラを示す概念図である。
【図4】本発明に係る帯電ローラの横スジ抑制作用を示す概念図である。
【図5】帯電ローラの導電性測定装置を示す構成図である。
【図6】本発明に係る電子写真装置の断面図である。
【図7】本発明に係るプロセスカートリッジを例示する断面図である。
【図8】導電性粒子が均一に分布した帯電ローラの説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明に係る帯電ローラは、導電性基体と、該導電性基体外周上の導電性弾性体層と、該導電性弾性体層外周上の表面層とを有する。さらに、上記導電性基体、導電性弾性体層、表面層の機能を阻害しない範囲において、他の機能を有する層を有していてもよい。本発明の帯電ローラの構成を示す一例として、導電性基体11、導電性弾性体層12、および表面層13からなるものを、図2に示す。
【0015】
本発明にかかる帯電ローラは、表面の十点平均粗さRzjisが3μm以下という平滑な表面を有しつつも、横スジ状の画像を抑制するために発明されたものである。そして、鋭意検討した結果、以下のような表面層を備えた帯電ローラが、横スジ状の画像をよく抑制し得ることを見出した。
すなわち、本発明に係る表面層はバインダーと該バインダーに分散された導電性粒子とを含有している。当該表面層は、1μm以上、10μm以下の厚さを有し、かつ、該導電性粒子を表面層に対して5体積%以上、30体積%以下含んでいる。
そして、該表面層は、基層に近い側を帯電ローラの表面に平行に切断した断面においては、導電性粒子が密に集中している部分と、導電性粒子が疎な部分とを有している。また、導電性粒子が密に集中している部分同士は、導電性粒子が疎な部分により隔てられている。さらに、導電性粒子が疎な部分は、直径が10μm以上、100μm以下である。
【0016】
導電性粒子の疎な部分の直径を、10μm以上、100μm以下の斑点状に分布させ、導電性粒子が密に集中している部分同士を当該斑点によって隔てることで、放電が横スジ状に広がるのを分断できているものと考えられる。この作用を以下に説明する。
【0017】
帯電ローラと感光体の間で起こる放電が、帯電ローラの長手方向に広がる現象が横スジ状の画像になる。この長手方向に広がる放電を分断するためには、導電性粒子が密に集中している部分同士を隔てる、導電性粒子が疎な部分の直径を、10μm以上、100μm以下とすることが重要である。導電性粒子の疎な部分は、周囲の密な部分に比べ適度な高抵抗であるために、放電がそれ以上長手方向に連ならない。図1にその概念図を示す。図中、21は導電性粒子、22は表面層のバインダー、23は導電性弾性体層、24は表面層中の電荷の流れをそれぞれ表す。
一方、導電性粒子の分布が均一な場合には、表面層中の電荷の周り込みが起こる。そのため、導電性が面方向に均一になり、放電が長手方向に連なってしまう。図8にその概念図を示す。また、導電性粒子の分布は均一であるが、表面に凹凸がある場合は、表面層中の電荷の周り込みは起こるが、凸の部分からの放電電荷量が多いため、放電が長手方向には連ならない。図3にその概念図を示す。
【0018】
導電性粒子の疎な部分が適度な高抵抗になる条件として、表面層の膜厚は1μm以上10μm以下であり、導電性粒子の体積%は5体積%以上30体積%以下であることが必要である。導電性粒子が疎な部分とは、導電性粒子が密に集中している部分の体積抵抗を10〜10Ω・cmとしたときに、当該体積抵抗に対して、2倍以上、100倍以下である部分をいう。
【0019】
膜厚が1μmより小さい場合や10μmより大きい場合には、図8と同様に、電荷が表面層中で周りこみ、疎な部分と密な部分の抵抗比がなくなってしまう。
【0020】
また、導電性粒子が5体積%より少ない場合や30体積%より多い場合には、導電性粒子の体積%の変化による抵抗の変化が小さいために、疎な部分と密な部分の抵抗比が無くなってしまう。導電性粒子の複合された樹脂の導電性は、パーコレーション理論(浸透理論)によって説明されている。このパーコレーション理論は、導電性粒子の繋がり方によって、導電性の変化を説明するものである。まず、導電性粒子の体積%が少ない場合は、導電性粒子同士が繋がらないため抵抗の変化は小さい。次に導電性粒子の体積%がパーコレーション閾値付近では、導電性粒子の体積%に対して急激に導電パスが形成されていくので、導電性の変化は大きい。最後に、導電性粒子の体積%が多い場合、導電パスが充分存在するため、抵抗の変化は小さくなる。このような現象があるために、導電性粒子の体積%の変化に対して導電性の変化の大きい、5体積%以上30体積%以下の範囲であることが必要となる。
【0021】
また、このような表面層を形成する製造方法として、以下のような1)から5)からなる工程の製造方法が好適である。
1)少なくとも、未加硫のエピクロルヒドリンゴムと、平均粒径が10μm以上100μm以下のフッ素樹脂またはシリコーン樹脂からなる粒子とを含有する未加硫のゴム組成物を該導電性基体外周上に被覆する工程、
2)該未加硫のゴム組成物を加硫する工程、
3)加硫したゴム組成物を研磨し導電性弾性体層を形成する工程、
4)イソシアネートモノマーと導電性粒子とを含む塗料、または、アクリルモノマーと導電性粒子とを含む塗料を該導電性弾性体層外周上に塗布し塗膜を形成する工程、
【0022】
この工程において、該イソシアネートモノマーまたはアクリルモノマーの、加硫したエピクロルヒドリンゴムへの浸透率が、該イソシアネートモノマーまたはアクリルモノマーのフッ素樹脂またはシリコーン樹脂からなる粒子への浸透率より大きいことを特徴とする。
【0023】
5)該塗膜を架橋させて表面層を形成する工程。
1)〜3)の工程により、導電性弾性体層の表面が、加硫したエピクロルヒドリンゴムとフッ素樹脂またはシリコーン樹脂からなる粒子とからなるドメイン構造を有する表面になる。
【0024】
4)の工程において、表面に、加硫したエピクロルヒドリンが露出した部分には、イソシアネートモノマーまたはアクリルモノマーが加硫したエピクロルヒドリンに浸透していく。塗料中に含まれる導電性粒子は、エピクロルヒドリンには浸透していかないので、エピクロルヒドリン上に取り残される。そのため、エピクロルヒドリンが露出した部分の上部にある塗膜の導電性粒子の濃度は、配合比率よりも高くなる。
【0025】
一方、フッ素樹脂またはシリコーン樹脂からなる粒子が露出した部分には、イソシアネートモノマーまたはアクリルモノマーがフッ素樹脂またはシリコーン樹脂からなる粒子に浸透していかない。そのため、フッ素樹脂またはシリコーン樹脂が露出した部分の上部にある塗膜の導電性粒子の濃度は、配合比率と同じままになる。
【0026】
この表面層塗料中のモノマーの導電性弾性体層への浸透率の差を利用して、導電性粒子の疎な部分と密な部分が斑点状に分布しており、疎な部分が直径10μm以上100μm以下の斑点になる帯電ローラを製造することができる。図4に、このような製造方法で作製した帯電ローラを表す概念図を示す。
表面層の導電性粒子が疎密分布した塗膜を形成する方法としては、上記の方法に限られたものではない。一例としては、以下のようなものが挙げられる。導電性粒子の濃度の異なる2種類以上の塗料をインクジェットでパターニングして塗膜を形成する方法。導電性粒子の濃度の異なる2種類以上の粉体塗料を静電塗装によって塗装して塗膜形成する方法、導電性粒子を含有する塗料のベナール対流を利用して導電性粒子を偏在させる塗膜の形成方法。
【0027】
上記の製造方法の中でも、表面層塗料中のモノマーの導電性弾性体層への浸透率の差を利用して、導電性粒子の疎な部分と密な部分を斑点状に分布させる塗膜の形成方法が、最も導電性粒子の疎密分布の制御が容易である。以下には、本発明の達成手段の一例である、この製造方法で製造された帯電ローラについて詳細に述べていく。
【0028】
〔導電性基体〕
本発明の帯電部材に用いられる導電性基体は、導電性を有し、その上に設けられる導電性弾性体層等を支持する機能を有するものである。材料としては、例えば、鉄、銅、ステンレス、アルミニウム、ニッケル等の金属やその合金を挙げることができる。また、これらの表面に耐傷性付与を目的として、導電性を損なわない範囲で、メッキ処理等を施してもよい。さらに、導電性基体として、樹脂製の基材の表面を金属等で被覆して表面導電性としたものや導電性樹脂組成物から製造されたものも使用可能である。
【0029】
〔導電性弾性体層〕
導電性弾性体層に用いるバインダーとしては、表面層のバインダーとして用いるイソシアネートモノマーやアクリルモノマーの浸透性が高いため、エピクロルヒドリンゴムを用いる。エピクロルヒドリンは、1×10Ω・cm〜1×10Ω・cm程度の中抵抗領域の導電性を有し、導電性弾性体層の電気抵抗のバラツキを抑制できるので、好適に用いられる。
【0030】
エピクロルヒドリンゴムとしては、エピクロルヒドリン(EP)単独重合体、EP−エチレンオキサイド(EO)共重合体、EP−アリルグリシジルエーテル(AGE)共重合体、EP−EO−AGE三元共重合体等を挙げることができる。これらのうち、EP−EO−AGE三元共重合体は、重合度や組成比を調整して導電性や加工性を制御することができ、また、硫黄架橋することにより良好な機械強度を持ち、導電性も高い導電性弾性体層が得られることから、特に好適である。
【0031】
導電性弾性体層に用いる粒子としては、平均粒径が10μm以上100μm以下であり、フッ素樹脂またはシリコーン樹脂からなる粒子を用いる。平均粒径が10μm以上100μm以下であることは、導電性粒子の疎な部分の直径を10μm以上100μm以下の斑点にするために必要となる。また、フッ素樹脂またはシリコーン樹脂は、イソシアネートモノマーやアクリルモノマーの浸透性が低い性質を持つために必要となる。
【0032】
フッ素樹脂としては、ポリテトラフルオロエチレン (PTFE)、パーフルオロエチレンプロペンコポリマー (FEP)、パーフルオロアルコキシアルカン (PFA) テトラフルオロエチレン−パーフルオロジオキソールコポリマー (TFE/PDD)、エチレン・テトラフルオロエチレンポリマー(ETFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、エチレン-クロロトリフロオロエチレンコポリマー(ECTFE)を用いることができる。
【0033】
更にフッ素樹脂として、ポリフッ化ビニル(PVF)フッ化ビニリデン系(FKM)、テトラフルオロエチレン-プロピレン系(FEPM)、テトラフルオロエチレン−パープルオロビニルエーテル系(FFKM) 等のフッ素ゴムも用いることができる。
【0034】
シリコーン樹脂としては、シリコーンゴムでもシリコーンレジンでも良い。
【0035】
フッ素樹脂とシリコーン樹脂の中でも、フッ素ゴムやシリコーンゴムといった、弾性がある粒子が更に好ましい。弾性がある粒子では、感光体を傷つけることが無く、トナーや外添剤と言った付着物を押しつぶし固着させることが無い
ここでフッ素樹脂とシリコーン樹脂の粒子の平均粒径は、コールターカウンターマルチサイザー等を用いて測定することができる。
【0036】
測定試料としては、フッ素樹脂またはシリコーン樹脂の粒子を、界面活性剤(アルキルベンゼンスルホン酸塩)を含む電解質溶液に懸濁し、超音波分散器で分散処理したものを用いる。測定条件としては、コールターカウンターマルチサイザーにおけるアパチャーを、適宜の樹脂粒子サイズ(17μm又は100μm等)に合わせた体積を基準として、0.3〜64μmの粒度分布等を測定する。この条件で測定した質量平均粒子径をコンピュータ処理により求めたものをフッ素樹脂またはシリコーン樹脂の粒子の平均粒径とする。
【0037】
また、導電性弾性体層には、本発明の帯電ローラとして必要とされる導電性や機械強度等の特性を損なわない範囲で、一般的な配合剤を用いることができる。配合剤としては、導電剤、架橋剤、架橋促進剤、架橋促進助剤、加工助剤、架橋遅延剤、充填剤、分散剤、発泡剤、滑剤、老化防止剤、オゾン劣化防止剤、酸化防止剤、可塑剤、軟化剤、改質剤等を用いることができる。
【0038】
未加硫のエピクロルヒドリンゴムと、フッ素樹脂またはシリコーン樹脂からなる粒子とを含有する未加硫のゴム組成物の混合方法としては、以下のようなものがある。密閉型混練機としては、バンバリーミキサー、インターミックス、加圧式ニーダー等が、開放型混練機としては、オープンロールが例示される。
【0039】
導電性基体外周上に未加硫のゴム組成物を被覆する工程の成形方法としては、押出成形、射出成形、圧縮成形等を使用することができる。特に、未加硫のゴム組成物を導電性基体と一体に押出すクロスヘッド押出成形が、作業の効率化等を考慮すると好ましい。
【0040】
未加硫のゴム組成物を加硫する工程としては、型加硫、加硫缶加硫、電気炉加硫、遠・近赤外線加硫、誘導加熱加硫等が好ましい。
【0041】
加硫したゴム組成物を研磨し導電性弾性体層を形成する工程としては、トラバース方式や幅広研削方式を採用することができる。トラバース方式は短い砥石をローラ表面に移動させて研削する方法であり、それに対して、幅広研削方式は、幅の広い砥石、即ち、導電性弾性体層の長さよりも広い幅の砥石を用い、僅かな時間で研削を行う方法である。作業の効率化等の点から、幅広研削方式が好ましい。
【0042】
以上の工程によって成形された物が、導電性弾性体層である。
〔表面層〕
続いて、導電性弾性体層の外周上の表面層について述べていく。
【0043】
表面層に用いるバインダーとしては、エピクロルヒドリンゴムへの浸透性が高いイソシアネートモノマーまたはアクリルモノマーを用いる。浸透性を高めるためには、分子量が小さく、エピクロルヒドリンゴムとの溶解度パラメータ(SP値)の近いモノマーが好ましい。
【0044】
イソシアネートモノマーとしては、トリレンジイソシアネート(TDI)、メチレンジフェニレンジイソシアネート(MDI)、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、224(2,4,4)−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート(TMDI)、P−フェニレンジイソシアネート(PPDI)、4,4′−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(HMDI)、3,3′−ジメチルジフェニル、4,4′−ジイソシアネート(TODI)、ジアニシジンジイソシアネート(DADI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、トランス−1,4−ジクロヘキシルジイソシアネート(CHDI)等が用いられる。
【0045】
アクリルモノマーとしては、アクリル基の数によって、単官能モノマー、2官能以上の多官能モノマーが用いられる。
【0046】
単官能モノマーとしては、2−エチルヘキシルアクリレート等、2官能モノマーとしては、ネオペンチルグリコールジアクリレート等、トリプロピレングリコールジアクリレート等、3官能モノマーとしては、トリメチロールプロパントリアクリレート等、4官能モノマーとしては、ペンタエリスリトールテトラアクリレート等が用いられる。また、これらのアクリルモノマーをエチレンオキサイド変性したものは、エピクロルヒドリンゴムへの浸透性が更に高いため好ましい。
【0047】
表面層に用いる導電性粒子としては、以下のものが挙げられる。アルミニウム、パラジウム、鉄、銅、銀の如き金属系の微粒子や繊維、酸化チタン、酸化錫、酸化亜鉛の如き金属酸化物。前記記載の金属系微粒子、繊維及び金属酸化物表面に、電解処理、スプレー塗工、混合振とうにより表面処理した複合粒子。ファーネスブラック、サーマルブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、PAN(ポリアクリロニトリル)系カーボン、ピッチ系カーボンの如きカーボン粉。
ファーネスブラックとしては以下のものが挙げられる。SAF−HS、SAF、ISAF−HS、ISAF、ISAF−LS、I−ISAF−HS、HAF−HS、HAF、HAF−LS、T−HS、T−NS、MAF、FEF、GPF、SRF−HS−HM、SRF−LM、ECF、FEF−HS。サーマルブラックとしては、FT、MTがある。
また、これらの導電性粒子を単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0048】
また、導電性粒子の平均粒径の目安としては、0.01μm以上、0.9μm以下、特には、0.01μm以上、0.5μm以下である。
【0049】
表面層に加えるこれらの導電性粒子の添加量は、バインダー100質量部に対して2質量部から80質量部、好ましくは20質量部から60質量部の範囲が適当である。
導電性粒子は、その表面を表面処理してもよい。表面処理剤としては、アルコキシシラン、フルオロアルキルシラン、ポリシロキサン等の有機ケイ素化合物等が挙げられる。
【0050】
表面層としては、バインダーと導電性粒子以外に、充填剤、レベリング剤、増量剤、架橋剤、充填剤、分散剤、老化防止剤、オゾン劣化防止剤、酸化防止剤、可塑剤、軟化剤、改質剤、希釈溶媒、触媒等を含有してもよい。
【0051】
イソシアネートモノマーと導電性粒子とを含む塗料、または、アクリルモノマーと導電性粒子とを含む塗料を分散する方法としては、ボールミル、サンドミル、ペイントシェーカー、ダイノミル、パールミル等の公知の溶液分散手段を用いることができる。
【0052】
導電性弾性体層外周上に塗布し塗膜を形成する工程としては、ディッピング塗布により形成することができる。この工程において、イソシアネートモノマーまたはアクリルモノマーの、加硫したエピクロルヒドリンゴムへの浸透率が、該イソシアネートモノマーまたはアクリルモノマーのフッ素樹脂またはシリコーン樹脂からなる粒子への浸透率より大きい。そのために、導電性粒子が加硫したエピクロルヒドリンゴム上に取り残され、導電性粒子の疎密分布が形成される。
【0053】
塗膜を架橋させて表面層を形成する工程としては、イソシアネートモノマーをバインダーとする場合には熱によって、アクリルモノマーを架橋する場合には紫外線や電子線によって架橋する方法を用いる。
【0054】
以上の工程によってできたものが帯電ローラである。
【0055】
[表面層の表面粗さ]
上記帯電ローラは、表面粗さRzjisが3μm以下であることが好ましい。帯電ローラの表面粗さRzをこの範囲とすることにより、汚れが凹凸に蓄積しにくくすることができる。Rzjisの測定法について下記に示す。JIS B 0601−1994の表面粗さの規格に準じて測定し、表面粗さ測定器「SE−3500」(商品名、株式会社小坂研究所製)を用いて行う。Rzは、帯電部材を無作為に6箇所測定し、その平均値である。尚、測定条件は以下の通りである。
カットオフ値 0.8mm
フィルタ ガウス
予備長さ カットオフ×2
レベリング 直線(全域)
評価長さ 8mm
【0056】
[導電性粒子が疎な部分の直径の算出方法]
導電性粒子が疎な部分の直径の算出方法としては、透過型電子顕微鏡(Transmission Electron Microscope)(以降「TEM」と略)の画像から算出する。TEMで観察するサンプルとしては、表面層の基層近傍を表面に平行に切断した薄片を用いる。このとき基層近傍の薄片とは、表面層の膜厚に対して、基層寄りの5分の1の位置を厚さ方向の中心とする膜厚50nmの薄片とする。薄片は超薄切片法によって調整する。切削装置は、クライオミクロトーム(商品名「Leica EM FCS」、ライカマイクロシステムズ株式会社製)を用いる。切削温度は、−100℃とする。この切片を観察するTEMとしては、株式会社日立ハイテクノロジーズ製H−7100FAを用いる。加速電圧は100kVに、視野は明視野にする。この薄片をTEMで観察した画像を、画像処理して、疎な部分の直径を算出する。
【0057】
疎な部分の直径を算出するソフトウェアとしては、画像処理ソフト(商品名「Image−Pro Plus」:プラネトロン株式会社製)を用いることができる。まず、導電性粒子が黒、バインダーが白になるようにTEM画像を2値化する。次に、収縮フィルタをかける。この操作により、明るいオブジェクト(バインダー)が収縮し、暗いオブジェクト(導電性粒子)が膨張するので、導電性粒子同士が繋がってくる。カウント/サイズによって明るいオブジェクトを自動抽出する。このときカウントする測定項目としては「直径(平均)」を用いる。このとき「直径(平均)」とは、オブジェクトの重心を通る直径を2度刻みに測定し、平均化したものである。
【0058】
カウント/サイズのとき、ノイズとなる小さいオブジェクトを排除するため、カウントするオブジェクトのサイズは3μm以上とし、一部でも画像輪郭と接しているオブジェクトについては除外した。
【0059】
こうして得たオブジェクトの中位径を、本発明における疎な部分の直径とした。疎な部分の直径が10μm以上100μm以下であれば、本発明の効果をよく発揮することができる。
【0060】
[導電性粒子の体積%の算出方法]
導電性粒子の体積%の算出方法としては、原料の配合から算出する方法と製造した表面層から算出する方法がある。
【0061】
原料の配合から算出する方法は、以下の手順である。まず、各原料の配合質量部を比重で割って、各原料の体積を計算する。そうして得られた導電性粒子の体積を全配合原料の体積で割り、その百分率が導電性粒子の体積%となる。
【0062】
また、表面層から算出する方法としては、表面層を加熱減量測定(TGA)する方法がある。加熱減量測定(TGA)による算出では、カーボンブラックのような熱により分解する場合と、金属酸化物のような熱により分解しない場合とで方法が異なる。
カーボンブラックの場合には、窒素をフローしながら室温から600℃まで昇温し、乾燥空気をフローしながら600℃から900℃まで昇温する条件で測定する。室温から600℃までの減量%は、樹脂分として、600℃から900℃までの減量%は、カーボンブラックとして、900℃の時点で残っている減量%は、灰分として扱う。このカーボンブラックの減量%を比重で割ったものが、カーボンブラックの体積%となる。
【0063】
金属酸化物の場合には、カーボンブラックの場合の条件における灰分を蛍光X線等で分析し、灰分における金属酸化物の質量%を算出する。この金属酸化物の質量%を比重で割ったものが、金属酸化物の体積%となる。
【0064】
[表面層の膜厚測定]
上記表面層は、その膜厚が、1μm以上10μm以下が好ましく、より好ましくは2μm以上5μm以下である。1μm未満である場合は、帯電ローラの抵抗に対する導電性弾性体層の寄与が大きくなり、導電性弾性体層の表面にフッ素樹脂粒子やシリコーン樹脂粒子がある部分の抵抗が高くなりすぎるため、点状の画像不良が発生するため好ましくない。10μm以上である場合には、導電性弾性体層の表面にフッ素樹脂粒子やシリコーン樹脂粒子がある部分にも電荷が表面層中に回り込み、導電性の分布ができないために好ましくない。
【0065】
膜厚の調整は、後述する表面層用塗料の固形分、粘度、塗工速度等を調整することにより可能である。表面層用塗料に含まれる固形分が大きく、その粘度が高く、塗工速度が速いほど膜厚を厚くすることができる。
【0066】
膜厚の値は、表面層を軸方向3箇所、円周方向3箇所、計9箇所の断面を、光学顕微鏡や電子顕微鏡で観察して測定し、その平均値を採用することができる。
【0067】
[導電性粒子が疎な部分と密な部分の抵抗比の算出方法]
導電性粒子の疎な部分と密な部分における導電性の測定は、原子間力顕微鏡(AFM)(Q−scope250:Quesant社)を用いて、導電性モードによって測定した測定値を採用することができる。図5に導電性測定装置の構成図を示す。帯電ローラ61の導電性基体に直流電源(6614C:Agilent社)64を接続して10Vを印加し、表面層にはカンチレバー62の自由端を接触させ、AFM本体63を通して電流像を得る。測定の条件を表1に示す。斑点状の導電性粒子の疎な部分について、100箇所測定し、その平均値を得る。密な部分の平均電流値を疎な部分の平均電流値で割った値を抵抗比とする。抵抗比が大きいほど、密な部分の体積抵抗が疎な部分の体積抵抗に比べて低いことを示す。
【0068】
【表1】

【0069】
<電子写真装置>
本発明の帯電ローラを備える電子写真装置の一例の概略構成を図6に示す。
電子写真装置は、感光体、感光体を帯電する帯電装置、露光を行う潜像形成装置、トナー像に現像する現像装置、転写材に転写する転写装置、感光体上の転写トナーを回収するクリーニング装置、トナー像を定着する定着装置等から構成されている。
感光体71は、導電性基体上に感光層を有する回転ドラム型である。感光体71は矢示の方向に所定の周速度(プロセススピード)で回転駆動される。
帯電装置は、感光体71に所定の押圧力で当接されることにより接触配置される接触式の帯電ローラ72を有する。帯電ローラ72は、感光体の回転に従い回転する従動回転であり、帯電用電源713から所定の直流電圧を印加することにより、感光体を所定の電位に帯電する。
感光体71に静電潜像を形成する潜像形成装置78は、例えばレーザービームスキャナーなどの露光装置が用いられる。一様に帯電された感光体に画像情報に対応した露光を行うことにより、静電潜像が形成される。
現像装置は、感光体に近接又は接触して配設される現像ローラ73を有する。感光体帯電極性と同極性に静電的処理されたトナーを反転現像により、静電潜像をトナー像に可視化現像する。
転写装置は、接触式の転写ローラ75を有する。感光体からトナー像を普通紙などの転写材74(転写材は、搬送部材を有する給紙システムにより搬送される。)に転写する。
クリーニング装置は、ブレード型のクリーニング部材77、回収容器を有し、転写した後、感光体上に残留する転写残トナーを機械的に掻き落とし回収する。
ここで、現像装置にて転写残トナーを回収する現像同時クリーニング方式を採用することにより、クリーニング装置を省くことも可能である。
定着装置76は、加熱されたローラ等で構成され、転写されたトナー像を転写材74に定着し、機外に排出する。
【0070】
<プロセスカートリッジ>
図7に示すように、感光体71、帯電装置72、現像装置73、クリーニング装置77等を一体化し、電子写真装置に着脱可能に設計されたプロセスカートリッジを用いることもできる。
すなわち、帯電ローラ72が感光体71と少なくとも一体化され、電子写真装置本体に着脱自在に構成されているプロセスカートリッジであり、該帯電ローラが上記の帯電ローラである。
また、電子写真装置は、少なくとも、プロセスカートリッジ、露光装置及び現像装置を有し、該プロセスカートリッジが上記のプロセスカートリッジである。
【実施例】
【0071】
以下に、具体的な実施例を挙げて本発明の帯電ローラを更に詳細に説明するが、本発明の技術的範囲はこれらに限定されるものではない。また、用いた材料について特に商品名の記載が無い場合は、高純度の市販試薬を用いた。
【0072】
[製造例1]導電性弾性体層1の作製
Φ6mm、長さ252.5mmの鉄製の円柱に、熱硬化性接着剤(メタロックU−20:株式会社東洋化学研究所製)を塗工し、乾燥したものを導電性基体として使用した。次いで、下記表1に記載の各材料を密閉型ミキサーにて10分間混練して、原料コンパウンドを調製した。
【表2】

これに、下記表2に記載の材料を添加し、オープンロールにて10分間混練して、導電性弾性体層用コンパウンドを得た。
【表3】

【0073】
前記導電性基体とともに、導電性弾性体層用コンパウンドをクロスヘッド押出成型機にて押し出し、外径が約9mmのローラ形状になるように成型した。次いで、160℃の電気オーブンの中で1時間加熱し、加硫及び接着剤を架橋した。ゴムの両端部を切り取り、導電性基体を露出させると共に、導電性弾性体層の長さを228mmとした。その後、外径が8.5mmのローラ形状になるように表面を研削して、導電性弾性体層1を得た。
【0074】
[製造例2]導電性弾性体層2の作製
製造例1のシリコーン樹脂粒子1(平均粒径30μm)の替わりに、シリコーン樹脂粒子2(平均粒径12μm、商品名「トスパール3120」、モメンティブパフォーマンスマテリアルズ株式会社製)を用いた以外は製造例1と同様の方法で、導電性弾性体層2を得た。
【0075】
[製造例3]導電性弾性体層3の作製
製造例1のシリコーン樹脂粒子1(平均粒径30μm)の替わりに、シリコーン樹脂粒子3(平均粒径100μm。両末端がヒドロキシル基であるジメチルポリシロキサン、両末端がトリメチルシロキシ基であるメチルハイドロジェンポリシロキサン、触媒からなる液状シリコーン組成物を純水中でエマルジョン化した後、硬化させ、加熱して水分を除去したシリコーン樹脂粒子。)を用いた以外は製造例1と同様の方法で、導電性弾性体層3を得た。
【0076】
[製造例4]導電性弾性体層4の作製
製造例1のシリコーン樹脂粒子1(平均粒径30μm)の替わりに、シリコーン樹脂粒子4(平均粒径5μm、商品名「X−52−1621」:信越化学工業株式会社製)を用いた以外は製造例1と同様の方法で、導電性弾性体層2を得た。
【0077】
[製造例5]導電性弾性体層5の作製
製造例1のシリコーン樹脂粒子1(平均粒径30μm)の替わりに、シリコーン樹脂粒子5(平均粒径200μm。両末端がヒドロキシル基であるジメチルポリシロキサン、両末端がトリメチルシロキシ基であるメチルハイドロジェンポリシロキサン、触媒からなる液状シリコーン組成物を純水中でエマルジョン化した後、硬化させ、加熱して水分を除去したシリコーン樹脂粒子。)を用いた以外は製造例1と同様の方法で、導電性弾性体層5を得た。
【0078】
[製造例6]導電性弾性体層6の作製
製造例1のシリコーン樹脂粒子1(平均粒径30μm)の替わりに、フッ素樹脂粒子1(平均粒径30μm、商品名「テフロン(登録商標)7A」:三井・デュポンフロロケミカル株式会社製)を用いた以外は製造例1と同様の方法で、導電性弾性体層6を得た。
【0079】
[製造例7]導電性弾性体層7の作製
製造例1のシリコーン樹脂粒子1(平均粒径30μm)の替わりに、フッ素樹脂粒子2(平均粒径10μm、商品名「PTFEパウダー」:サンプラテック株式会社製)を用いた以外は製造例1と同様の方法で、導電性弾性体層7を得た。
【0080】
[製造例8]導電性弾性体層8の作製
製造例1のシリコーン樹脂粒子1(平均粒径30μm)の替わりに、フッ素樹脂粒子3(平均粒径100μm。商品名「テフロン(登録商標)850A」:三井・デュポンフロロケミカル株式会社製を粉砕し分級したもの。)を用いた以外は製造例1と同様の方法で、導電性弾性体層8を得た。
【0081】
[製造例9]導電性弾性体層9の作製
製造例1のシリコーン樹脂粒子1(平均粒径30μm)の替わりに、フッ素樹脂粒子4(平均粒径5μm、商品名「ルブロン L−5」:ダイキン工業株式会社製)を用いた以外は製造例1と同様の方法で、導電性弾性体層9を得た。
【0082】
[製造例10]導電性弾性体層10の作製
製造例1のシリコーン樹脂粒子1(平均粒径30μm)の替わりに、フッ素樹脂粒子5(平均粒径200μm。商品名「テフロン(登録商標)850A」:三井・デュポンフロロケミカル株式会社製を粉砕し分級したもの。)を用いた以外は製造例1と同様の方法で、導電性弾性体層10を得た。
【0083】
[製造例11]導電性弾性体層11の作製
製造例1のシリコーン樹脂粒子1(平均粒径30μm)を入れない以外は製造例1と同様の方法で、導電性弾性体層11を得た。
【0084】
[製造例12]導電性弾性体層12の作製
製造例1のシリコーン樹脂粒子1(平均粒径30μm)の替わりに、シリコーンエラストマー粒子1(平均粒径30μm、商品名「KMP602」:信越シリコーン株式会社製)を用いた以外は製造例1と同様の方法で、導電性弾性体層12を得た。
【0085】
[製造例13]導電性弾性体層13の作製
製造例1のシリコーン樹脂粒子1(平均粒径30μm)の替わりに、ヒドリンゴム粒子1(平均粒径30μm。製造例1の導電性弾性体層1を粉砕して分級したもの。)を用いた以外は製造例1と同様の方法で、導電性弾性体層13を得た。
【0086】
以上の導電性弾性体層の配合をまとめたものを、表3に示す。
【0087】
【表4】

【0088】
[製造例14]表面層用塗料1−1の調製
以下のものを混合し混合液を調製した。
表面層のバインダーとなるアクリルモノマーとしてトリメチロールプロパンエチレンオキサイド変性トリアクリレート(3官能、分子量428、3molエチレンオキサイド付加物) 95質量部
シランカップリング剤(商品名「KBM−5103」:信越化学工業株式会社製) 5質量部
導電性粒子としてカーボンブラック(商品名「#52」:三菱化学株式社製) 20質量部(10体積%相当)
メチルイソブチルケトン(MIBK) 400質量部
ガラス瓶に混合液と平均粒径0.8mmのガラスビーズとを共に入れ、ペイントシェーカー分散機を用いて60時間分散して表面層用塗料1−1を調製した。
【0089】
[製造例15]表面層用塗料1−2の調製
製造例14のカーボンブラック 20質量部を8質量部(5体積%相当)にした以外は製造例1と同様の方法で、表面層用塗料1−2を得た。
【0090】
[製造例16]表面層用塗料1−3の調製
製造例14のカーボンブラック 20質量部を70質量部(30体積%相当)にした以外は製造例1と同様の方法で、表面層用塗料1−3を得た。
【0091】
[製造例17]表面層用塗料1−4の調製
製造例14のカーボンブラック 20質量部を6質量部(4体積%相当)にした以外は製造例1と同様の方法で、表面層用塗料1−4を得た。
【0092】
[製造例18]表面層用塗料1−5の調製
製造例14のカーボンブラック 20質量部を160質量部(50体積%相当)にした以外は製造例1と同様の方法で、表面層用塗料1−5を得た。
【0093】
[製造例19]表面層用塗料2−1の調製
以下のものを混合し混合液を調製した。
表面層のバインダーとなるアクリルモノマーとしてトリメチロールプロパントリアクリレート(3官能、分子量296) 95質量部
シランカップリング剤(KBM−5103:信越化学工業株式会社製) 5質量部
導電性粒子としてカーボンブラック(商品名「#52」、三菱化学株式社製)20質量部(10体積%相当)
メチルイソブチルケトン(MIBK) 400質量部
ガラス瓶に混合液と平均粒径0.8mmのガラスビーズとを共に入れ、ペイントシェーカー分散機を用いて60時間分散して表面層用塗料2−1を調製した。
【0094】
[製造例20]表面層用塗料2−2の調製
製造例19のカーボンブラック 20質量部を8質量部(5体積%相当)にした以外は製造例19と同様の方法で、表面層用塗料2−2を得た。
【0095】
[製造例21]表面層用塗料2−3の調製
製造例19のカーボンブラック 20質量部を70質量部(30体積%相当)にした以外は製造例19と同様の方法で、表面層用塗料2−3を得た。
【0096】
[製造例22]表面層用塗料3−1の調製
以下のものを混合し混合液を調製した。
表面層のバインダーとなるアクリルモノマーとしてジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(6官能、分子量578) 95質量部
シランカップリング剤(KBM−5103:信越化学工業株式会社製) 5質量部
導電性粒子としてカーボンブラック 20質量部(10体積%相当)
メチルイソブチルケトン(MIBK) 400質量部
ガラス瓶に混合液と平均粒径0.8mmのガラスビーズとを共に入れ、ペイントシェーカー分散機を用いて60時間分散して表面層用塗料3−1を調製した。
【0097】
[製造例23]表面層用塗料3−2の調製
製造例22のカーボンブラック 20質量部を8質量部(5体積%相当)にした以外は製造例22と同様の方法で、表面層用塗料3−2を得た。
【0098】
[製造例24]表面層用塗料3−3の調製
製造例22のカーボンブラック 20質量部を70質量部(30体積%相当)にした以外は製造例22と同様の方法で、表面層用塗料3−3を得た。
【0099】
[製造例25]表面層用塗料4−1の調製
以下のものを混合し混合液を調製した。
表面層のバインダーとなるポリオールとして(商品名「プラクセルDC2016」:ダイセル化学工業株式会社製)(固形分70質量%) 100質量部
表面層のバインダーとなるイソシアネートモノマーとしてブロックイソシアネートIPDI(商品名「ベスタナートB1370」:デグサ・ヒュルス社製) 22.5質量部
表面層のバインダーとなるイソシアネートモノマーとしてブロックイソシアネートHDI(商品名「デュラネートTPA−B80E」:旭化成工業株式会社製)33.6質量部
導電性粒子としてカーボンブラック 30質量部(10体積%相当)
メチルイソブチルケトン(MIBK) 500質量部
ガラス瓶に混合液と平均粒径0.8mmのガラスビーズとを共に入れ、ペイントシェーカー分散機を用いて60時間分散して表面層用塗料4−1を調製した。
【0100】
[製造例26]表面層用塗料4−2の調製
製造例25のカーボンブラック 50質量部を14質量部(5体積%相当)にした以外は製造例25と同様の方法で、表面層用塗料4−2を得た。
【0101】
[製造例27]表面層用塗料4−3の調製
製造例25のカーボンブラック 50質量部を140質量部(30体積%相当)にした以外は製造例25と同様の方法で、表面層用塗料4−3を得た。
【0102】
[製造例28]表面層用塗料5−1の調製
以下のものを混合し混合液を調製した。
表面層のバインダーとしてポリアミド樹脂(商品名「アラミンCM8000」:東レ株式会社製) 100質量部
導電性粒子としてカーボンブラック 20質量部(10体積%相当)
エタノール 400質量部
ガラス瓶に混合液と平均粒径0.8mmのガラスビーズとを共に入れ、ペイントシェーカー分散機を用いて60時間分散して表面層用塗料5−1を調製した。
【0103】
[製造例29]表面層用塗料6−1の調製
製造例14のカーボンブラック 20質量部を導電性酸化スズ 60質量部(10体積%相当)に替えた以外は製造例14と同様の方法で、表面層用塗料6−1を得た。
【0104】
[製造例30]表面層用塗料6−2の調製
製造例29の導電性酸化スズ 60質量部を30質量部(5体積%相当)にした以外は製造例29と同様の方法で、表面層用塗料6−2を得た。
【0105】
[製造例31]表面層用塗料6−3の調製
製造例29の導電性酸化スズ 60質量部を240質量部(30体積%相当)にした以外は製造例29と同様の方法で、表面層用塗料6−3を得た。
【0106】
[製造例32]表面層用塗料6−4の調製
製造例29の導電性酸化スズ 60質量部を24質量部(4体積%相当)にした以外は製造例29と同様の方法で、表面層用塗料6−4を得た。
【0107】
[製造例33]表面層用塗料6−5の調製
製造例29の導電性酸化スズ 60質量部を550質量部(50体積%相当)にした以外は製造例29と同様の方法で、表面層用塗料6−5を得た。
【0108】
[実施例1]
導電性弾性体層12の表面に表面層用塗料1−1を、ディッピング塗工した。その後、常温で30分間以上風乾して、電子線照射装置(商品名「ELECTOROBEAM-C EC150/45/40mA」:岩崎電気株式会社製)を用いて表面層用塗料1−1を電子線架橋し帯電ローラを得た。電子線は、加速電圧150kV、線量1200kGy、酸素濃度300ppm以下の条件で照射した。更に160℃で1時間加熱して、表面層用塗料1−1の架橋を完結させた。こうして導電性基体上に導電性弾性体層及び表面層を有する帯電ローラを得た。
得られた帯電ローラについて、膜厚、表面層の導電性粒子が疎な部分の直径、疎な部分と密な部分の抵抗比を測定した。結果を表4に示す。
また、得られた帯電ローラを用いて、以下のように画像ムラの評価を行った。
【0109】
[画像ムラの評価]
作製した帯電ローラを、電子写真装置(LBP5400:キヤノン株式会社製)の記録メディアの出力スピードが200mm/secになるよう改造した改造機のブラックカートリッジに装着した。この改造機により、15℃/10%RHの環境下で、画像の出力を行った。
画像出力条件としては、A4紙の画像形成領域の1面積%にランダムに印字した画像を使用し、1枚画像を出力すると電子写真装置を停止させ、10秒後また画像形成動作を再開するという動作を繰り返し3万枚の画像出力耐久試験を行った。3万枚耐久後の評価用画像の出力条件は、ハーフトーン画像(感光体の回転方向と垂直方向に幅1ドット、間隔2ドットの横線を描く、中間濃度の画像)を1枚出力した。この画像を用い、以下の基準で評価を行った。
A:横スジ状の画像ムラも点状の画像ムラもなかった。
B:軽微な横スジ状の画像ムラもしくは軽微な点状の画像ムラがあった。
C:横スジ状の画像ムラが画像の広範囲にあり、画像品位を著しく損なっていた。もしくは、点状の画像ムラが画像の広範囲にあり、画像品位を著しく損なっていた。
実施例1では、疎な部分の大きさが10μm以上100μm以下の範囲に入っており、疎な部分と密な部分の抵抗比が適正であった。そのため、横スジ状の画像ムラはランクAになり、高い画像品位を保っていた。結果を表4に示す。
【0110】
[実施例2〜7]
実施例1の導電性弾性体層12に替えて、表3に記載する導電性弾性体層1・3・4・6・8・9を用いた以外は実施例1と同様にして実施例2〜7の帯電ローラを作製した。
【0111】
[比較例1〜6]
実施例1の導電性弾性体層12に替えて、表3に記載する導電性弾性体層2・5・7・10・11・13を用いた以外は実施例1と同様にして比較例1〜6の帯電ローラを作製した。
実施例2〜7、比較例1〜6の帯電ローラについて、膜厚、表面粗さRz、表面層の導電性粒子が疎な部分の直径、疎な部分と密な部分の抵抗比を測定した。結果を表4に示す。
また、実施例2〜7、比較例1〜6の帯電ローラを用いて、画像ムラの評価を行った。結果を表4に示す。
【0112】
【表5】

【0113】
実施例2〜7、比較例1〜6では、導電性弾性体層に含有されるフッ素樹脂粒子およびシリコーン樹脂粒子の大きさに依存して、疎な部分の大きさが変わった。実施例2〜7では、10μm以上100μm以下の範囲に入っており、横スジ状の画像ムラはランクAになり、高い画像品位を保っていた。一方、比較例1〜6では、疎な部分の大きさが10μmより小さいもしくは、100μmより大きいために、横スジ状の画像ムラはランクCになり、実施例1〜7よりも劣っていた。また、実施例1では、実施例2〜7に比べ、導電性弾性体層に含有されるシリコーン樹脂粒子が柔軟であるため、帯電ローラ表面に付着する汚れが少なく、最も横スジ状の画像ムラの抑制に優れていた。
【0114】
[実施例8〜42]
実施例1の表面層用塗料1−1の替わりに、表6に示す表面層用塗料を用い、以下に示すように塗布と架橋の条件を変更した以外は、実施例1の帯電ローラと同様の方法で実施例8〜42の帯電ローラを作製した。
下記のように塗布条件を変更することで膜厚を調整した。実施例8〜10、16〜18、25〜27、34〜36においては、固形分が元の1/3になるように表面層用塗料をMIBKで希釈した。実施例13〜15、22〜24、31〜33、40〜42においては、表面層塗料が元の固形分の2倍になるまで、MIBKを蒸発させた。
バインダーの種類に合わせて下記のように架橋条件を変更した。実施例34〜42では、電子線架橋をせず、160℃で1時間加熱して架橋させた。
【0115】
[比較例7〜11]
実施例1の表面層用塗料1−1の替わりに、表6に示す表面層用塗料を用い、以下に示すように塗布と架橋の条件を変更した以外は、実施例1の帯電ローラと同様の方法で比較例7〜11の帯電ローラを作製した。
下記のように塗布条件を変更することで膜厚を調整した。比較例7においては、固形分が元の1/10になるように表面層用塗料をMIBKで希釈した。比較例10においては、表面層塗料が元の固形分の4倍になるまで、MIBKを蒸発させた。
バインダーの種類に合わせて下記のように架橋条件を変更した。比較例11では、風乾して溶媒を揮発させる以外は何も行わなかった。
【0116】
ここで、表面層用塗料のバインダーのエピクロルヒドリンゴムへの浸透性を以下の方法で評価した。まず、バインダーのみの表面層用塗料1〜5を準備する。表面層用塗料は、それぞれ以下の通り。この表面層用塗料1〜5は、表面層用塗料1−1〜5−1のハイフンの前の数字に対応している。この表面層用塗料1〜5を、1gずつ切り出した導電性弾性体層11に24時間浸漬させた。その後、膨潤した導電性弾性体層11の重量を測定し、(浸漬後の重量−浸漬前の重量)/(浸漬前の重量)×100%と言う計算をして、出てきた値を浸透率とした。
【0117】
その結果、1が最も浸透性が高く、5は全く浸透しなかった。表面層用塗料1と2では、2の方が極性が低いために浸透率が低かった。表面層用塗料1と3では、3の方が分子量が大きいため、浸透率が低かった。更に、表面層用塗料1と4と5では、塗料中のバインダーの分子量が1の次に4、4の次に5と大きくなるにつれて、浸透率は下がっていった。表面層用塗料1〜5のエピクロルヒドリンゴムへの浸透性は、以下の表5に示す通りであった。
【0118】
【表6】

【0119】
実施例8〜42および比較例7〜11の帯電ローラについて、膜厚、表面粗さRz、表面層の導電性粒子が疎な部分の直径、疎な部分と密な部分の抵抗比を測定した。結果を表6に示す。
【0120】
また、実施例8〜42および比較例7〜11の帯電ローラを用いて、画像ムラの評価を行った。結果を表6に示す。
【0121】
実施例8〜42、比較例7〜11では、表面層の膜厚と導電性粒子の体積%とバインダーの種類に起因する浸透性とによって、疎な部分と密な部分の抵抗比が変わっていた。
抵抗比が4以上50以下の場合(実施例9、14、16〜24,26、28〜30,32が該当)にはランクA、2以上4未満の場合(実施例8、10〜13、15、25、27、31、33〜42が該当)にはランクB、2未満の場合(比較例8〜11が該当)には横スジ状の画像ムラが発生してランクC、50より大きい場合(比較例7が該当)は、点状の画像ムラが発生してランクCであった。
【0122】
【表7】

【0123】
[実施例43〜45]
実施例1の表面層用塗料1−1の替わりに、表7に示す表面層用塗料6−1〜6−3を塗布した以外は、実施例1の帯電ローラと同様の方法で実施例43〜45の帯電ローラを作製した。
【0124】
[比較例12〜13]
実施例1の表面層用塗料1−1の替わりに、表7に示す表面層用塗料6−4〜6−5を塗布した以外は、実施例1の帯電ローラと同様の方法で比較例12〜13の帯電ローラを作製した。
【0125】
実施例43〜45および比較例12〜13の帯電ローラについて、膜厚、表面粗さRz、表面層の導電性粒子が疎な部分の直径、疎な部分と密な部分の抵抗比を測定した。結果を表7に示す。
【0126】
また、実施例43〜45および比較例12〜13の帯電ローラを用いて、画像ムラの評価を行った。結果を表7に示す。
【0127】
実施例43〜45、比較例12〜13では、導電性粒子として、導電性酸化スズを用いている。この酸化スズの場合にも、カーボンブラックを用いた場合と同様に、導電性粒子の体積%によって疎な部分と密な部分の抵抗比が変化した。
【0128】
抵抗比が4以上50以下の場合(実施例44が該当)にはランクA、2以上4未満の場合(実施例43、45が該当)にはランクB、2未満の場合比較例(12、13が該当)には横スジ状の画像ムラがランクCであった。
【0129】
【表8】

【符号の説明】
【0130】
11‥‥導電性基体
12‥‥導電性弾性体層
13‥‥表面層
21‥‥導電性粒子
22‥‥表面層のバインダー
23‥‥導電性弾性体層
24‥‥表面層中の電荷の流れ
53‥‥加硫したエピクロルヒドリンゴム
56‥‥フッ素樹脂またはシリコーン樹脂からなる粒子
61‥‥帯電ローラ
62‥‥カンチレバー
63‥‥AFM本体
64‥‥直流電源(6614C:Agilent社)
71‥‥感光体
72‥‥帯電ローラ
73‥‥現像ローラ
74‥‥印刷メディア
75‥‥転写ローラ
76‥‥定着装置
77‥‥クリーニングブレード
78‥‥露光装置
79‥‥帯電前露光装置
710‥弾性規制ブレード
711‥トナー供給ローラ
712、713、714‥電源
81‥‥トナーシール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電性基体と、該導電性基体外周上の導電性弾性体層と、該導電性弾性体層外周上の表面層とを有し、表面の十点平均粗さRzjisが3μm以下である帯電ローラであって、
該表面層は、
バインダーと導電性粒子とを含有し、膜厚が1μm以上10μm以下であり、
該導電性粒子は該表面層に対して、5体積%以上30体積%以下の割合で含有されており、
該表面層の基層近傍の、該帯電ローラの表面と平行に切断した断面においては、該導電性粒子が密に集中している部分と該導電性粒子が疎な部分とが存在し、
該導電性粒子が密に集中している部分同士は、該導電性粒子が疎な部分によって互いに隔てられており、かつ、該導電性粒子が疎な部分の直径が、10μm以上、100μm以下であることを特徴とする帯電ローラ。
【請求項2】
前記導電性粒子が密に集中している部分の体積抵抗が、10〜10Ω・cmであり、前記導電性粒子が疎な部分の体積抵抗が、該導電性粒子が密に集中している部分の体積抵抗の2倍以上、100倍以下である請求項1に記載の帯電ローラ。
【請求項3】
導電性基体と、該導電性基体外周上の導電性弾性体層と、該導電性弾性体層外周上の表面層とを有する帯電ローラの製造方法であって、
(1)未加硫のエピクロルヒドリンゴムと、平均粒径が10μm以上100μm以下のフッ素樹脂またはシリコーン樹脂からなる粒子とを含有する未加硫のゴム組成物の層を該導電性基体外周上に形成する工程と、
(2)該未加硫のゴム組成物を硬化せしめ、硬化したゴム組成物を研磨し導電性弾性体層を形成する工程と、イソシアネートモノマーと導電性粒子とを含む塗料、または、アクリルモノマーと導電性粒子とを含む塗料を該導電性弾性体層外周上に塗布し塗膜を形成する工程と、
(3)該塗膜を架橋させて表面層を形成する工程とを有し、
該イソシアネートモノマーまたはアクリルモノマーの加硫したエピクロルヒドリンゴムへの浸透率が、該イソシアネートモノマーまたはアクリルモノマーのフッ素樹脂またはシリコーン樹脂からなる粒子への浸透率より大きいことを特徴とする請求項1に記載の帯電ローラの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−118322(P2012−118322A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−268348(P2010−268348)
【出願日】平成22年12月1日(2010.12.1)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】