説明

帯電ローラ

【課題】電子写真装置の高速化、高画質化、ならびに高耐久化を達成するにあたり、ポチ画像、およびスジ画像を抑制することのできる帯電ローラを提供する。
【解決手段】第1の導電性弾性層4と、その上に第2の導電性弾性層5が積層される帯電ローラにおいて、第1の導電性弾性層4が有する中空粒子6の粒径は、第2の導電性弾性層5が有する中空粒子7の粒径よりも大きい。その粒径差によって、第2の導電性弾性層5の反発弾性率が、第1の導電性弾性層4の反発弾性率よりも大きくされている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真装置に用いられる帯電ローラおよび電子写真装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ドラム形状の電子写真感光体(以降、単に「感光体」ともいう)の表面に接触して当該電子写真感光体を帯電させる帯電ローラは、通常、感光体に対して従動回転させられている。安定的に感光体を帯電させるために、感光体との間で十分なニップ幅を確保できるように、帯電ローラは低硬度化させることが行われている。
特許文献1には、帯電ローラの低硬度化を達成する手段として、ローラ全体をスポンジで形成する方法が開示されている。
【0003】
ところで、電子写真装置のプロセススピードの高速化を図ろうとしたときに、従来の低硬度な帯電ローラによる接触帯電方式では、感光体の帯電電位が不安定となり、ひいては、電子写真画像の品質に影響を与えることがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−010839号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本発明の目的は、接触帯電において、電子写真感光体をより安定に帯電させられる帯電ローラを提供することにある。また、本発明の他の目的は、高品位な電子写真画像を安定に形成可能な電子写真装置の提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
すなわち、本発明によれば、導電性基体と、該導電性基体上に積層される第1の導電性弾性層と、該第1の導電性弾性層上に積層される第2の導電性弾性層とを有する帯電ローラであって、該第1の導電性弾性層は、熱可塑性樹脂からなるシェルを有し、気体を内包する第1の中空粒子と、該第1の中空粒子を分散するゴムとを含み、該第2の導電性弾性層は、熱可塑性樹脂からなるシェルを有し、気体を内包する第2の中空粒子と、該第2の中空粒子を分散するゴムとを含み、該第1の中空粒子の体積平均粒径P1(μm)は、該第2の中空粒子の体積平均粒径P2(μm)よりも大きく、該第2の導電性弾性層の反発弾性率は、該第1の導電性弾性層の反発弾性率よりも大きい帯電ローラが提供される。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、電子写真感光体をより安定して帯電させることのできる帯電ローラを得ることができる。また、本発明によれば、高品位な電子写真画像を形成することのできる電子写真装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】柔軟な帯電ローラと感光体とのニップ部近傍の拡大断面図である。
【図2】本発明の帯電ローラの模式図である。
【図3】本発明に係る帯電ローラと感光体とのニップ部近傍の拡大断面図である。
【図4】本発明の帯電ローラを製造する帯電ローラの押出工程の模式図である。
【図5】帯電ローラの研磨工程を示す、(a)帯電ローラの長手方向に平行、(b)帯電ローラの長手方向に垂直な断面の模式図である。
【図6】本発明の帯電ローラを適用できる電子写真装置の一例の概略構成図である。
【図7】本発明のプロセスカートリッジの模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明者らは、柔軟な帯電ローラを用いた接触帯電方式において、感光体の帯電電位が不安定化するメカニズムについて検討を行った。
図1は、柔軟なスポンジ層を表面に有する帯電ローラと電子写真感光体とのニップ部近傍を拡大した模式図である。
接触帯電方式は帯電ローラ2の表面と感光体1の表面との距離が所定の範囲にあるときにパッシェンの法則に則って生じる放電現象を利用している。
そして、この放電現象は、ニップ部(領域A1)の上流側の領域A2で帯電ローラ2の表面と感光体1の表面とが徐々に近づいていく過程と、ニップ部の下流の領域A3で帯電ローラ2と感光体1の表面とが徐々に離れていく過程とにおいて生じる。そのため、安定した帯電を実現するためには、領域A2においては、帯電ローラ2と感光体1との表面間の距離が漸次減少し、領域A3において、帯電ローラ2および感光体1の表面間距離が漸次増加していくようにすることが理想的であると本発明者らは考えている。
しかしながら、柔軟な帯電ローラを用いた接触帯電方式では、領域A3における帯電ローラ2および感光体1の表面間距離が安定せず、当該表面間距離の漸次増加を達成することが困難であった。
つまり、ニップ幅を確保するために柔軟化させた帯電ローラは、ニップにおいて大きく変形するため、当該変形部がニップ部を通過して領域A3に至ったときには、その変形が維持されている。ニップ部を通過し、感光体との当接圧力から解放された帯電ローラの形状は、その後回復していくため、帯電ローラと感光体との表面間距離が領域A3では安定せず、前記した漸次増加という理想的な状況が達成しにくい。すなわち、ニップの下流域における表面間距離の不安定性が、柔軟な帯電ローラを用いた接触帯電方式における帯電の不安定性の原因であると本発明者らは考えた。
そこで、本発明者らは、ニップ幅の確保の点から柔軟性を維持しつつ、ニップ下流における感光体との表面間距離の漸次増加を実現し得る帯電ローラを得ることを目的として種々の検討を行った。
その結果、本発明に係る帯電ローラが、上記の目的をよく達成できることを見出した。以下に本発明に係る帯電ローラについて、図2を用いて詳細に説明する。
図2は、本発明に係る帯電ローラの表面近傍の断面を示す模式図である。導電性基体3と、該導電性基体3上に積層される第1の導電性弾性層4と、該第1の導電性弾性層4上に積層されてなる第2の導電性弾性層5とを有している。
第1の導電性弾性層4は、熱可塑性樹脂を含むシェルを有し、気体を内包する第1の中空粒子6と、該第1の中空粒子を分散するゴムを含有している。
また、第2の導電性弾性層5は、熱可塑性樹脂を含むシェルを有し、気体を内包する第2の中空粒子7と、該第2の中空粒子を分散するゴムとを含有している。
また、第1の中空粒子6の体積平均粒径P1(μm)は、該第2の中空粒子7の体積平均粒径P2(μm)よりも大きい。さらに、第2の導電性弾性層5の反発弾性率は、第1の導電性弾性層4の反発弾性率よりも大きい。
【0010】
上記構成をとることにより、本発明の帯電ローラは、ニップ幅を確保し、ニップ下流における感光体との表面間隔距離の漸次増加をできることを見出した。その理由について、以下の記述するように考察している。図3は、本発明の帯電ローラ2と電子写真感光体1との当接部の概念図である。第1の中空粒子6は第2の中空粒子7より大きいため、第1の導電性弾性層4の方が歪みやすい。また、第2の導電性弾性層5は第1の導電性弾性層4より反発弾性率が大きいため、第2の導電性弾性層5は第1の導電性弾性層4より変形回復速度が速い。
上記のように、第1の導電性弾性層4と第2の導電性弾性層5との歪みの変形回復速度が異なることにより、ニップ下流において特異的な変形回復挙動を示す。すなわち、変形部がニップ部を通過した直後(領域A4のニップ側)においては、第2の導電性弾性層5が迅速に変形から回復する。そのため、帯電ローラと感光体との表面間の距離が、柔軟な帯電ローラを用いた場合と比較して小さいものとなる。一方、変形部がニップから離れるにつれて、つまり、領域A4の下流側においては、相対的に変形回復が遅い第1の導電性弾性層4が変形から回復してくる。その結果、帯電ローラと感光体との表面間の距離が急激に増加あるいは減少することを抑制できる。すななち、ニップ下流における帯電ローラと感光体との表面間の距離を、理想的な漸次増加に近い状態を実現することができるものと考えられる。
【0011】
第1の導電性弾性層4と第2の導電性弾性層5との中空粒子の粒径が同じになると、ニップ下流近傍の第2の導電性弾性層5の変形回復が遅くなる。その結果、領域A4での第2の導電性弾性層5の変形からの迅速な回復が生じにくく、帯電ローラと感光体との表面間の距離の漸次増加を達成しにくくなる。
第2の中空粒子7の粒径が小さくなって、第1の中空粒子6と等しくなった場合、ニップ下流近傍から離れた領域の第1の導電性弾性層4の変形回復が起こらない。第1の中空粒子6の粒径が大きくなって、第2の中空粒子7と等しくなった場合、ニップ下流近傍の第2の導電性弾性層5の変形回復速度が遅れてしまう。
第1の中空粒子6が第2の中空粒子7の粒径よりも小さくなると、ニップ下流近傍の第2の導電性弾性層5の変形回復速度が遅れ、かつ、ニップ下流近傍から離れた領域の第1の導電性弾性層4の変形回復も起こらない。ゆえに、感光体との表面間距離の漸次増加の達成が困難となる。
【0012】
変形回復の速度を制御する方法について説明する。導電性弾性層の変形回復速度は、導電性弾性層の反発弾性率により決定する。導電性弾性層の反発弾性率は、中空粒子の粒径により決定する。中空粒子は熱可塑性樹脂からなるシェルを有し、気体を内包した粒子である。熱膨張性マイクロカプセルを加熱することにより、中空粒子を任意の大きさに設計できる。中空粒子を導電性弾性層中に分散させることにより、反発弾性率は、0.1%から99%まで任意の値に設計することが可能である。
また、導電性弾性層中のベースポリマーの影響も考えられるが、中空粒子が存在している場合には、中空粒子の粒径、シェルの材料が反発弾性率を規定する主要な因子となることが、筆者らの検討から明らかになっている。
また、第1の導電性弾性層4の反発弾性率をR1、第2の導電性弾性層5の反発弾性率をR2としたとき、R2−R1の値が3.0以上であることが望ましい。この比率を満たすことで、感光体との表面間距離の漸次増加を達成すること可能となり、ポチ画像、およびスジ画像の発生を抑制する効果をより高めることができる。
【0013】
中空粒子の粒径は、体積平均粒径を用いて規定するのが好ましい。第1の中空粒子6の体積平均粒径をP1(μm)、第2の中空粒子7の体積平均粒径をP2(μm)としたとき、100≦P1≦200、10≦P2≦80、3≦(P1/P2)≦20の3つの条件を満たすことが望ましい。100≦P1≦200、3≦(P1/P2)≦20を満たすことで、ニップ下流近傍から離れた領域で第1の導電性弾性層4の変形回復を生じさせることが可能となる。P2の値が10≦P2≦80、3≦(P1/P2)≦20を満たすことで、ニップ下流近傍においては、第2の導電性弾性層5の速い変形回復を生じさせることが可能となる。これにより、感光体との表面間距離の漸次増加を達成すること可能となり、ポチ画像、およびスジ画像の抑制効果が高くなる。
【0014】
導電性弾性層が含有する中空粒子の量は、ベースポリマー100質量部に対して2質量部から30質量部、より好ましくは5質量部から20質量部の範囲が適当である。
【0015】
<帯電ローラの硬度の測定>
アスカーゴム硬度計C2型(高分子計器株式会社製)により、500g加重における帯電ローラの硬度を測定した。単位はポイントである。測定位置は、帯電ローラの長手中央位置、周方向に6点測定して、その平均値を求めた。
【0016】
<中空粒子の体積平均粒径の測定>
中空粒子の体積平均粒径の測定方法は、X線CTスキャンを用いて、中空粒子を測定した。測定した中空粒子の断面画像を画像解析ソフトによって3次元画像に変換し、球体近似により、中空粒子の直径を求めた。単位は、μmである。中空粒子100個をサンプリングし、その直径の平均値を体積平均粒径とした。
【0017】
<導電性弾性層の反発弾性率の測定>
反発弾性率の測定は、JISK6255に記載されているリュプケ式反発弾性試験に基づいて行った。帯電ローラから第1の導電性弾性層(内層)と第2の導電性弾性層(外層)とをそれぞれ切り出し、第1の導電性弾性層と第2の導電性弾性層との各々を角状に切り出して積層することにより、直径2.5cm、高さ1cmの円柱状の測定試料を作製した。そして、反発弾性測定装置(高分子計器社製、EPH−50)をもちいて、反発弾性率を測定した。落下端の形状は、直径2cmの半円球である。測定試料の円状面の中心に、鉄球の球面が当るように調整した。反発弾性率の計算方法は、以下に示す計算式(1)および(2)から求めることができる。単位は%である。
反発弾性= h/H ・・・(1)
R(反発弾性率)=反発弾性×100 ・・・(2)
h:反発高さ(mm) H:落下高さ(mm)
測定環境は、室温23℃、落下高さは200mmで行った。
【0018】
<導電性弾性層の構成>
導電性基体上に積層される導電性弾性層を構成する材料としては、原料ゴムであるベースポリマーと導電性材料とを主要成分とする。ベースポリマーに関しては、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、エチレンプロピレンゴム(EPDM)、シリコーンゴム、ウレタンゴム、ヒドリンゴムが使用できる。これらは、単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
導電性材料は以下のものを挙げることができる。アルミニウム、パラジウム、鉄、銅、銀の如き金属系の微粒子や繊維。酸化チタン、酸化錫、酸化亜鉛の如き金属酸化物。前記記載の金属系微粒子、繊維および金属酸化物表面に、電解処理、スプレー塗工、混合振とうにより表面処理した複合粒子。カーボンブラック、および、カーボン系微粒子。カーボンブラックとしては、ファーネスブラック、サーマルブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラックを例示することができる。ファーネスブラックとしては、SAF−HS、SAF、ISAF−HS、ISAF、ISAF−LS、I−ISAF−HS、HAF−HS、HAF、HAF−LS、T−HS、T−NS、MAF、FEF、GPFを例示することができる。サーマルブラックとしては、FT、MTを例示することができる。カーボン系微粒子としては、PAN(ポリアクリロニトリル)系カーボン粒子、ピッチ系カーボン粒子を例示することができる。また、これらの電子導電材を、単独でまたは2種以上組み合わせて用いることができる。また、イオン導電性の材料として、四級アンモニウム塩、イオン性液体を用いることができる。導電性弾性層が含有する導電性材料の量は、ベースポリマー100質量部に対して0.2質量部から200質量部、好ましくは1質量部から100質量部の範囲が適当である。
【0019】
本発明の導電性弾性層は、前記で説明したもの以外に、加硫剤、加硫促進剤、可塑剤、滑剤、増量剤、老化防止剤のような添加剤を任意に用いることができる。
【0020】
<導電性基体>
導電性基体としては、導電性を有し、その上に設けられる導電性弾性層を支持する機能を有するものである。材料としては、例えば、鉄、銅、ステンレス、アルミニウム、ニッケルのような金属やその合金を挙げることができる。
【0021】
<中空粒子およびその製造方法>
本発明で使用する中空粒子は、熱可塑性樹脂からなるシェルを有し、気体を内包している。シェルを構成する熱可塑性樹脂としては、以下の重合性単量体を用いた重合体が用いられる。アクリロニトリル、メタクリロニトリル、α−クロルアクリロニトリル、α−エトキシアクリロニトリル、フマロニトリルを例示することができる。アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、塩化ビニリデン、酢酸ビニル、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレートを例示することができる。イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレートを例示することができる。スチレン系モノマー、アクリルアミド、置換アクリルアミド、メタクリルアミド、置換メタクリルアミド、ブタジエン、εカプロラクタム、ポリエーテル、イソシアネートを例示することができる。これらの重合性単量体は単独で、あるいは2種類以上を組み合わせて使用することができる。本発明では、中空粒子のシェルを構成する熱可塑性樹脂としては、アクリロニトリル樹脂、メタクリロニトリル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、塩化ビニル樹脂およびウレタン樹脂からなる群から選ばれる1つまたは2つ以上を含むものであることが特に望ましい。この理由は、高温高湿環境において、吸湿の影響によるシェルの弾性の低下を防ぐ効果があるからと考察している。
【0022】
本発明で使用する中空粒子は、例えば、熱膨張性マイクロカプセルを加熱膨張させることにより製造することができる。熱膨張性マイクロカプセルを加熱膨張させて、中空粒子として未加硫ゴム中に分散させてもよい。未膨張の熱膨張性マイクロカプセルを未加硫ゴム中に分散させ、未加硫ゴムローラを作製し、加熱加硫時に発泡せしめて、中空粒子を含有する導電性弾性層としてもよい。
【0023】
<熱膨張性マイクロカプセルおよびその製造方法>
熱膨張性マイクロカプセルの製造方法について述べる。熱膨張性マイクロカプセルは、重合性単量体、電子導電材、発泡剤を混合し、この混合物を界面活性剤や分散安定剤を含む水性媒体中に分散させた後、懸濁重合させる方法により得られる。尚、必要により重合開始剤、重合性単量体の官能基と反応する反応性基を有する化合物、熱可塑性樹脂を添加してもよい。
【0024】
発泡剤としては、n−ペンタン、イソペンタン、n−ヘキサン、イソヘキサン、ヘプタン、ベンゼン、トルエン、キシレン、シクロヘキサン、n−オクタン、イソオクタンを例示することができる。シクロペンタン、メチルシクロヘキサン、塩化エチル、臭化メチル、メタノール、エタノール、ブタノール、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、アセトン、メチルエチルケトンが例示できる。これらのうち好ましいのはイソペンタン、イソヘキサン、n−ヘキサンである。発泡剤の使用量は、構成単位とする重合性単量体100質量部に対して、5〜50質量部が好ましい。
【0025】
重合開始剤としては、特に限定されるものではないが、重合性単量体に可溶の開始剤が好ましく、公知のパーオキサイド開始剤およびアゾ開始剤のような開始剤を使用できる。これらのうち、アゾ開始剤が好ましく、さらに好ましくは2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、1,1’−アゾビスシクロヘキサン1−カーボニトリルを例示できる。さらに、2,2’−アゾビス−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリルおよび2,2’−アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル、特に好ましくは2,2’−アゾビスイソブチロニトリルである。重合開始剤を用いる場合、この使用量は、構成単位とする重合性単量体100質量部に対して、0.01〜5質量部が好ましい。
【0026】
界面活性剤としては、ラウリル硫酸ナトリウム、(ポリ)オキシエチレン(重合度1〜100)ラウリル硫酸ナトリウムおよび(ポリ)オキシエチレン(重合度1〜100)ラウリル硫酸トリエタノールアミンを例示することができる。塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、ステアリン酸ジエチルアミノエチルアミド乳酸塩、ジラウリルアミン塩酸塩およびオレイルアミン乳酸塩、アジピン酸ジエタノールアミン縮合物、ラウリルジメチルアミンオキシドを例示することができる。モノステアリン酸グリセリン、モノラウリン酸ソルビタンおよびステアリン酸ジエチルアミノエチルアミド乳酸塩、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタインを例示することができる。ラウリルヒドロキシスルホベタインおよびβ−ラウリルアミノプロピオン酸ナトリウム、ポリビニルアルコール、デンプンおよびカルボキシメチルセルロースを例示することができる。界面活性剤を使用する場合、この使用量は、構成単位とする重合性単量体100質量部に対して、0.01〜10質量部が好ましい。
【0027】
分散安定剤としては、ポリスチレン粒子、ポリメタクリル酸メチル粒子、ポリアクリル酸粒子、シリカ、コロイダルシリカ、炭酸カルシウム、リン酸カルシウムが挙げられる。分散安定剤を使用する場合、この使用量(重量%)は、構成単位とする重合性単量体100質量部に対して、0.01〜20質量部が好ましい。
【0028】
懸濁重合は、耐圧容器を用い、密閉下で行うことが好ましい。また、分散機のような機器で懸濁してから、耐圧容器に移して懸濁重合してもよく、耐圧容器内で懸濁させてもよい。重合温度(℃)は、50〜120℃が好ましい。重合は、大気圧下で行ってもよいが、発泡剤のような添加剤を気体状にさせないようにするため加圧下(大気圧+0.1〜1MPa)で行うことが好ましい。重合終了後は、遠心分離やろ過のような方法によって、固液分離および/または洗浄してもよい。固液分離や洗浄する場合、この後、シェルを構成する樹脂の軟化温度以下にて乾燥や粉砕をしてもよい。乾燥および粉砕は、既知の方法により行うことができ、例えば、気流乾燥機、順風乾燥機およびナウターミキサーを使用できる。また、乾燥および粉砕は粉砕乾燥機によって同時に行うこともできる。水性媒体、界面活性剤および分散安定剤は、熱膨張性マイクロカプセルの製造後に洗浄ろ過により除去してもよい。
【0029】
また、熱膨張性マイクロカプセルは、発泡後の中空粒子の体積平均粒径が5〜210μmになるように、任意に調整できる。また、発泡後の中空粒子の体積平均粒径に影響を与える因子として、熱膨張性マイクロカプセルの体積平均粒径、発泡剤の含有量、シェルを構成するポリマー材料、架橋度、発泡温度のような因子が挙げられる。これらの因子を制御することで、所望の粒径を有する中空粒子を得ることができる。
熱膨張性マイクロカプセルの形状は、針状や扁平状でもよいが、膨張性の観点から、球状であることが好ましい。また、粒径に関しては、分級のような方法を行うことにより、所望の粒径、粒度分布に制御することが可能である。
【0030】
<帯電ローラの製造方法>
本発明の帯電ローラを製造する工程について一例を説明する。少なくとも原料ゴムであるベースポリマー、導電剤、中空粒子もしくは熱膨張性マイクロカプセルを配合し混練して調製された2種類の未加硫ゴムを、導電性基体とともに押し出すことで導電性基体上に2種類の未加硫ゴム層を積層させる。これを加熱処理することにより、導電性基体上に積層される第1の導電性弾性層と、該第1の導電性弾性層上に積層されている第2の導電性弾性層とを有している帯電ローラが得られる。図4は、本発明の帯電ローラを製造する帯電ローラの押出工程の模式図である。押出機8は、2層クロスヘッド9を備える。2層クロスヘッド9により、2種類の未加硫ゴムを用いて、第1の導電性弾性層の上に第2導電性弾性層を積層させた帯電ローラ12を作製することができる。2層クロスヘッド9には、矢印方向に回転している芯金送りローラ10によって送られた導電性基体3を後ろから挿入する。導電性基体3と同時に円筒状の2種類の未加硫ゴム層を一体的に押出すことにより周囲を2種類の未加硫ゴム層で被覆された未加硫ゴムローラ11が得られる。得られた未加硫ゴムローラ11を熱風循環炉や赤外線乾燥炉を用いて加硫する。そして、導電性基体端部のゴムを削除して帯電ローラ12を得ることができる。
また、得られた帯電ローラ12の表面を研磨してもよい。所定の外径寸法を形成する円筒研磨機としては、トラバース方式のNC円筒研磨機、プランジカット方式のNC円筒研磨機のような研磨機を用いることができる。プランジカット方式のNC円筒研磨機は、トラバース方式に比べ幅広な研削砥石を用いるため加工時間を短くすることができ、また研削砥石の径変化が少ないので好ましい。図5(a)および(b)は、プランジカット方式のNC円筒研磨機による研磨工程の模式図である。帯電ローラ12を支持体軸中心に回転させながら固定する。そこに導電性弾性層の幅より若干大きい幅を有する砥石13を高速回転させながら切り込む。以上の工程により帯電ローラ12を得ることができる。
【0031】
<電子写真装置>
本発明に係る帯電ローラを用いた電子写真装置の構成を図6に示す。当該電子写真装置は、電子写真感光体1と、電子写真感光体1を帯電する帯電装置、露光を行う潜像形成装置14、トナー像に現像する現像装置、転写材17に転写する転写装置、電子写真感光体1上の転写トナーを回収するクリーニング装置、およびトナー像を定着する定着装置19のような装置とを具備している。
【0032】
電子写真感光体1は、導電性基体上に感光層を有し、また、ドラム形状を有している。電子写真感光体1は矢示の方向に所定の周速度(プロセススピード)で回転駆動される。帯電装置は、電子写真感光体1に所定の押圧力で当接されることにより接触配置された、本発明に係る帯電ローラ12を有する。帯電ローラ12は、電子写真感光体1の回転に従い回転する従動回転であり、帯電用電源から所定の直流電圧を印加することにより、電子写真感光体1を所定の電位に帯電する。
電子写真感光体1に静電潜像を形成する潜像形成装置14は、例えばレーザービームスキャナーのような露光装置が用いられる。一様に帯電された電子写真感光体1に画像情報に対応した露光を行うことにより、静電潜像が形成される。現像装置は、電子写真感光体1に近接または接触して配置された現像ローラ15を有する。電子写真感光体1の帯電極性と同極性に静電的処理されたトナーを、反転現像により静電潜像をトナー像に可視化現像する。
転写装置は、接触式の転写ローラ16を有する。電子写真感光体1からトナー像を普通紙のような転写材17(転写材は、搬送部材を有する給紙システムにより搬送される。)に転写する。クリーニング装置は、ブレード型のクリーニング部材18、回収容器を有し、転写した後、電子写真感光体1上に残留する転写残トナーを機械的に掻き落とし回収する。ここで、現像装置にて転写残トナーを回収する現像同時クリーニング方式を採用することにより、クリーニング装置を省くことも可能である。定着装置19は、加熱されたロールのような部材で構成され、転写されたトナー像を転写材17に定着し、機外に排出する。
【0033】
<プロセスカートリッジ>
電子写真感光体1と、帯電ローラ12を備える帯電装置、現像ローラ15を備える現像装置、およびクリーニング部材18を備えるクリーニング装置のような装置とを一体化し、電子写真装置に着脱可能に設計されたプロセスカートリッジ(図7)を用いることもできる。プロセスカートリッジは、帯電装置と電子写真感光体1とが少なくとも一体化され、かつ、電子写真装置の本体に着脱自在に構成されている。そして、帯電装置が本発明に係る帯電ローラを有している。
【実施例】
【0034】
以下に本発明を実施例に沿って説明する。
【0035】
[製造例1]
<熱膨張性マイクロカプセルの製造例>
重合反応容器に、水8L、コロイダルシリカ(旭電化社製)8質量部およびポリビニルピロリドン(BASF社製)0.2質量部を添加し、水性分散媒体を調製した。次いで、アクリロニトリル100質量部と、n−オクタン10質量部と、ジクミルパーオキシド1.5質量部と、メチルメタクリレート1.0質量部とからなる油性混合液を水溶性分散媒体に添加した。更に水酸化ナトリウム0.8質量部を添加することにより、分散液を調製した。得られた分散液をホモジナイザーで攪拌混合し、窒素置換した加圧重合器(20L)内へ仕込み、加圧(0.2MPa)し、60℃で20時間反応させることにより、反応生成物を調製した。得られた反応生成物について、ろ過と水洗とを繰り返した後、乾燥した。その後、乾式気流分級機(クラッシールN−20:セイシン企業社製)により篩い分けし、熱膨張性マイクロカプセル1を得た。分級条件は、分級ローターの回転数を2000rpmとした。
【0036】
<熱膨張性マイクロカプセルの体積平均粒径>
熱膨張性マイクロカプセル1を純水100mlに分散させて、レーザー散乱式粒度分布測定装置(商品名:LA−920、堀場製作所製)を用いて測定した。測定結果は7μmであった。
【0037】
[製造例2]
n−オクタン10質量部をイソオクタン20質量部に変更した以外は、製造例1と同様の方法で熱膨張性マイクロカプセル2を得た。製造例1と同様の方法で体積平均粒径を測定した結果、熱膨張性マイクロカプセル2は39μmであった。
【0038】
[製造例3]
n−オクタン10質量部をn−ヘキサン30質量部に変更した以外は、製造例1と同様の方法で熱膨張性マイクロカプセル3を得た。製造例1と同様の方法で体積平均粒径を測定した結果を表7に示す。
【0039】
[製造例4]
n−オクタン10質量部をイソペンタン30質量部に変更した以外は、製造例1と同様の方法で熱膨張性マイクロカプセル4を得た。製造例1と同様の方法で体積平均粒径を測定した結果を表7に示す。
【0040】
[製造例5]
重合反応容器に、水8L、コロイダルシリカ(旭電化社製)8質量部およびポリビニルピロリドン(BASF社製)0.2質量部を添加し、水性分散媒体を調製した。次いで、メタクリロニトリル100質量部と、n−オクタン10質量部と、ジクミルパーオキシド1.5質量部と、メチルメタクリレート1.0質量部とからなる油性混合液を水溶性分散媒体に添加した。更に水酸化ナトリウム0.8質量部を添加することにより、分散液を調製した。得られた分散液をホモジナイザーで攪拌混合し、窒素置換した加圧重合器(20L)内へ仕込み、加圧(0.2MPa)し、60℃で20時間反応させることにより、反応生成物を調製した。得られた反応生成物について、ろ過と水洗とを繰り返した後、乾燥した。その後、乾式気流分級機(クラッシールN−20:セイシン企業社製)により篩い分けし、熱膨張性マイクロカプセル5得た。分級条件は、分級ローターの回転数を4500rpmとした。製造例1と同様の方法で体積平均粒径を測定した結果を表7に示す。
【0041】
[製造例6]
n−オクタン10質量部をイソオクタン20質量部に変更した以外は、製造例5と同様の方法で熱膨張性マイクロカプセル6を得た。製造例1と同様の方法で体積平均粒径を測定した結果を表7に示す。
【0042】
[製造例7]
n−オクタン10質量部をn−ヘキサン30質量部に変更した以外は、製造例5と同様の方法で熱膨張性マイクロカプセル7を得た。製造例1と同様の方法で体積平均粒径を測定した結果を表7に示す。
【0043】
[製造例8]
n−オクタン10質量部をイソペンタン30質量部に変更した以外は、製造例5と同様の方法で熱膨張性マイクロカプセル8を得た。製造例1と同様の方法で体積平均粒径を測定した結果を表7に示す。
【0044】
[製造例9]
重合反応容器に、水8L、コロイダルシリカ(旭電化社製)8質量部およびポリビニルピロリドン(BASF社製)0.2質量部を添加し、水性分散媒体を調製した。次いで、塩化ビニリデン100質量部と、n−オクタン10質量部と、ジクミルパーオキシド1.5質量部と、メチルメタクリレート1.0質量部とからなる油性混合液を水溶性分散媒体に添加した。更に水酸化ナトリウム0.8質量部を添加することにより、分散液を調製した。得られた分散液をホモジナイザーで攪拌混合し、窒素置換した加圧重合器(20L)内へ仕込み、加圧(0.2MPa)し、60℃で20時間反応させることにより、反応生成物を調製した。得られた反応生成物について、ろ過と水洗とを繰り返した後、乾燥した。その後、乾式気流分級機(クラッシールN−20:セイシン企業社製)により篩い分けし、熱膨張性マイクロカプセル9を得た。分級条件は、分級ローターの回転数を4500rpmとした。製造例1と同様の方法で体積平均粒径を測定した結果を表7に示す。
【0045】
[製造例10]
n−オクタン10質量部をイソオクタン20質量部に変更した以外は、製造例9と同様の方法で熱膨張性マイクロカプセル10を得た。製造例1と同様の方法で体積平均粒径を測定した結果を表7に示す。
【0046】
[製造例11]
n−オクタン10質量部をn−ヘキサン30質量部に変更した以外は、製造例9と同様の方法で熱膨張性マイクロカプセル11を得た。製造例1と同様の方法で体積平均粒径を測定した結果を表7に示す。
【0047】
[製造例12]
n−オクタン10質量部をイソペンタン30質量部に変更した以外は、製造例9と同様の方法で熱膨張性マイクロカプセル12を得た。製造例1と同様の方法で体積平均粒径を測定した結果を表7に示す。
【0048】
[製造例13]
重合反応容器に、水8L、コロイダルシリカ(旭電化社製)8質量部およびポリビニルピロリドン(BASF社製)0.2質量部を添加し、水性分散媒体を調製した。次いで、塩化ビニル100質量部と、n−オクタン10質量部と、ジクミルパーオキシド1.5質量部と、メチルメタクリレート1.0質量部とからなる油性混合液を水溶性分散媒体に添加した。更に水酸化ナトリウム0.8質量部を添加することにより、分散液を調製した。得られた分散液をホモジナイザーで攪拌混合し、窒素置換した加圧重合器(20L)内へ仕込み、加圧(0.2MPa)し、60℃で20時間反応させることにより、反応生成物を調製した。得られた反応生成物について、ろ過と水洗とを繰り返した後、乾燥した。その後、乾式気流分級機(クラッシールN−20:セイシン企業社製)により篩い分けし、熱膨張性マイクロカプセル13を得た。分級条件は、分級ローターの回転数を4500rpmとした。製造例1と同様の方法で体積平均粒径を測定した結果を表7に示す。
【0049】
[製造例14]
n−オクタン10質量部をイソオクタン20質量部に変更した以外は、製造例13と同様の方法で熱膨張性マイクロカプセル14を得た。製造例1と同様の方法で体積平均粒径を測定した結果を表7に示す。
【0050】
[製造例15]
n−オクタン10質量部をn−ヘキサン30質量部に変更した以外は、製造例13と同様の方法で熱膨張性マイクロカプセル15を得た。製造例1と同様の方法で体積平均粒径を測定した結果を表7に示す。
【0051】
[製造例16]
n−オクタン10質量部をイソペンタン30質量部に変更した以外は、製造例13と同様の方法で熱膨張性マイクロカプセル16を得た。製造例1と同様の方法で体積平均粒径を測定した結果を表7に示す。
【0052】
[製造例17]
ポリエチレンテレフタラート600質量部に、1000質量部のトルエンを添加し、さらに130質量部のIPDIを添加し、トルエン還流下に120℃で5時間反応を行った。室温まで冷却し、20質量部のヘキサメチレンジアミン、および25質量部のジエチレントリアミンを添加し60℃で6時間反応を行った。トルエンを減圧下に留去し、ポリウレタン樹脂を得た。得られたポリウレタン樹脂100質量部、n−オクタン10質量部、酢酸エチル70質量部を混合し、あらかじめ作製したポリビニルアルコール0.4%水溶液1000質量部に滴下しながら分散した。得られた樹脂をろ過にて水中より取り出し、40℃の循風乾燥機にて乾燥した。その後、乾式気流分級機(クラッシールN-20:セイシン企業社製)により篩い分けし、熱膨張性マイクロカプセル17を得た。分級条件は、分級ローターの回転数を4500rpmとした。製造例1と同様の方法で体積平均粒径を測定した結果を表7に示す。
【0053】
[製造例18]
n−オクタン10質量部をイソオクタン20質量部に変更した以外は、製造例17と同様の方法で熱膨張性マイクロカプセル18を得た。製造例1と同様の方法で体積平均粒径を測定した結果を表7に示す。
【0054】
[製造例19」
n−オクタン10質量部をn−ヘキサン30質量部に変更した以外は、製造例17と同様の方法で熱膨張性マイクロカプセル19を得た。製造例1と同様の方法で体積平均粒径を測定した結果を表7に示す。
【0055】
[製造例20」
n−オクタン10質量部をイソペンタン30質量部に変更した以外は、製造例17と同様の方法で熱膨張性マイクロカプセル20を得た。製造例1と同様の方法で体積平均粒径を測定した結果を表7に示す。
【0056】
[製造例21]
スチレン含有量が92.8%、ブタジエン含有量が7.2%の耐衝撃性スチレン樹脂を押出機に投入してペレットに成形した。50リットルの撹拌機付き耐圧密閉容器に、ペレット100質量部に対して、ピロリン酸マグネシウム2質量部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.5質量部、水120質量部を投入した。その後、容器内を100℃に昇温し、n−オクタン10質量部と、ブタジエン(共役ジエン化合物)1質量部とを投入し、100℃に8時間保持して、ペレットに含浸させた。その後30℃まで冷却して、容器内の残留物を取り除き、ペレットを水溶液から分離して、乾燥した。その後、乾式気流分級機(クラッシールN−20:セイシン企業社製)により篩い分けし、熱膨張性マイクロカプセル21を得た。分級条件は、分級ローターの回転数を2000rpmとした。製造例1と同様の方法で体積平均粒径を測定した結果を表7に示す。
【0057】
[製造例22]
n−オクタン10質量部をイソオクタン10質量部に変更した以外は、製造例21と同様の方法で熱膨張性マイクロカプセル22を得た。製造例1と同様の方法で体積平均粒径を測定した結果を表7に示す。
【0058】
[製造例23]
n−オクタン10質量部をn−ヘキサン20質量部に変更した以外は、製造例21と同様の方法で熱膨張性マイクロカプセル23を得た。製造例1と同様の方法で体積平均粒径を測定した結果を表7に示す。
【0059】
[製造例24]
n−オクタン10質量部をn−ペンタン20質量部に変更した以外は、製造例21と同様の方法で熱膨張性マイクロカプセル24を得た。製造例1と同様の方法で体積平均粒径を測定した結果を表7に示す。
【0060】
[製造例25]
n−オクタン10質量部をイソペンタン20質量部に変更した以外は、製造例21と同様の方法で熱膨張性マイクロカプセル25を得た。製造例1と同様の方法で体積平均粒径を測定した結果を表7に示す。
【0061】
[製造例26]
n−オクタン10質量部をn−オクタン30質量部に変更した以外は、製造例21と同様の方法で熱膨張性マイクロカプセル26を得た。製造例1と同様の方法で体積平均粒径を測定した結果を表7に示す。
【0062】
[製造例27]
n−オクタン10質量部をイソオクタン20質量部に変更した以外は、製造例21と同様の方法で熱膨張性マイクロカプセル27を得た。製造例1と同様の方法で体積平均粒径を測定した結果を表7に示す。
【0063】
[製造例28]
n−オクタン10質量部をn−ヘキサン30質量部に変更した以外は、製造例21と同様の方法で熱膨張性マイクロカプセル28を得た。製造例1と同様の方法で体積平均粒径を測定した結果を表7に示す。
【0064】
[製造例29]
n−オクタン10質量部をn−ペンタン30質量部に変更した以外は、製造例21と同様の方法で熱膨張性マイクロカプセル29を得た。製造例1と同様の方法で体積平均粒径を測定した結果を表7に示す。
【0065】
[製造例30]
n−オクタン10質量部をイソペンタン30質量部に変更した以外は、製造例21と同様の方法で熱膨張性マイクロカプセル30を得た。製造例1と同様の方法で体積平均粒径を測定した結果を表7に示す。
【0066】
[製造例31]
n−オクタン10質量部をn−オクタン30質量部に変更した以外は、製造例21と同様の方法で熱膨張性マイクロカプセル31を得た。製造例1と同様の方法で体積平均粒径を測定した結果を表7に示す。
【0067】
[実施例1]
<帯電ローラの作製>
原料ゴムは二種類を用意した。
導電性基体上に積層される第1の導電性弾性層(内層)用の原料ゴムとして、下記表1に記載の材料を、加圧ニーダーとオープンロールを用いて混練した。
【表1】

第1の導電性弾性層上に積層される第2の導電性弾性層(外層)用の原料ゴムとして、下記表2に記載の材料を加圧ニーダーとオープンロールを用いて混練した。
【表2】

得られた原料ゴムを導電性基体の周囲に成形するために、図5に示すような二層押出装置を用いて、二層押出を行った。二層クロスヘッドは、温度を90度、押出後の押出物の外径が8〜10mmの間で適宜調整した。次に円筒状の導電性基体(材質SUS、長さ252mm、直径Φ6mm)を用意して原料ゴムとともに押し出すことで、芯金の周囲に円筒状の原料ゴム層を二層同時に成形した。その後、170℃で1時間加熱し、第1の導電性弾性層(内層)、第2の導電性弾性層(外層)共に中空粒子を含有する二層の弾性ローラを得た。加熱時に熱膨張性マイクロカプセルが膨張して中空粒子になった。加硫後の弾性ローラの外径は、13.0mmで、上第2の導電性弾性層(外層)の厚さは1.0mmとなるように、押出時に内層と外層の肉厚比や全体の外径を調整した。
【0068】
次に、図6に示すような円筒研磨機を用いて、加熱処理後の弾性ローラを研磨した。弾性ローラの外径がΦ12mmになるように研磨を行った。研磨工程は、切り込み時間とスパークアウト時間と引き離し時間とを合わせて、30秒に設定した。以上の工程を経て、帯電ローラ1が完成した。実施例1の帯電ローラ1は、第1の導電性弾性層(内層)が2.5mm、第2の導電性弾性層(外層)が0.5mmであった。
【0069】
<帯電ローラの硬度の測定>
前述の方法により測定した結果、実施例1の帯電ローラ1のアスカーC硬度は63.0ポイントであった。
【0070】
<中空粒子の体積平均粒径測定>
前述の方法により測定した結果、実施例1の帯電ローラ1の第1の中空粒子の体積平均粒径P1は、100μmであった。実施例1の帯電ローラ1の第2の中空粒子の体積平均粒径P2は、10μmであった。(P1/P2)は、10.0であった。
【0071】
<反発弾性率測定>
前述の方法により測定した結果、実施例1の帯電ローラ1の第1の導電性弾性層の反発弾性率(R1)は、30.1%であった。実施例1の帯電ローラ1の第2の導電性弾性層の反発弾性率(R2)は、40.0%であった。R2−R1は、9.9であった。
【0072】
<ポチ、およびスジ状画像の評価>
電子写真装置として、キヤノン社製カラーレーザージェットプリンター(商品名:SateraLBP5400)を記録メディアの出力スピード200mm/sec(A4縦出力)に改造して用いた。画像の解像度は、600dpi、1次帯電の出力は直流電圧−1100Vである。プロセスカートリッジとして、前記プリンター用のプロセスカートリッジを改造して用いた。前記プロセスカートリッジから帯電ローラを取り外して、感光体ドラムに対して一端で4.9N、両端で9.8Nのバネによる押し圧力で、実施例1の帯電ローラ1をセットした。ハーフトーン画像(感光体の回転方向と垂直方向に幅1ドット、間隔2ドットの横線を描く画像)を出力して、ハーフトーン画像上に存在するポチ画像とスジ画像との評価を行った。耐久試験の条件は、高温高湿環境下(30℃、80%RH)、間欠通紙(2枚通紙後3秒停止)2%印字で1万枚(10k)の耐久を行った。画像評価は、初期(0k)、2千枚後(2k)、4千枚後(4k)、6千枚後(6k)、8千枚後(8k)、1万枚後(10k)の6条件である。
ポチ画像のランクは以下の通りである。
ランク1:ポチ画像が発生しない。
ランク2:軽微なポチ画像が帯電ローラピッチで発生している。
ランク3:ポチ画像が発生し、画質が著しく低下した。
スジ画像のランクは以下の通りである。
ランク1:スジ画像が発生しない。
ランク2:軽微なスジ画像が帯電ローラピッチで発生している。
ランク3:スジ画像が発生し、画質が著しく低下した。
【0073】
[実施例2〜実施例37]
第1の導電性弾性層用(内層)原料ゴムおよび第2の導電性弾性層用(外層)原料ゴムの作製に使用した熱膨張性マイクロカプセルの種類とその添加量とを表8に示すとおりに変更した以外は、実施例1と同様の材料、製法で帯電ローラを作製した。作製した帯電ローラについて、実施例1と同様の方法により評価した結果を表8、表9に示す。
【0074】
[比較例1〜比較例5]
第1の導電性弾性層用(内層)原料ゴムおよび第2の導電性弾性層用(外層)原料ゴムの作製に使用した熱膨張性マイクロカプセルの種類とその添加量とを表10に示すとおりに変更した以外は、実施例1と同様の材料、製法で帯電ローラを作製した。作製した帯電ローラについて、実施例1と同様の方法により評価した結果を表10、表11に示す。
【0075】
[比較例6]
原料ゴムは二種類を用意した。
第1の導電性弾性層(内層)用の原料ゴムとして、下記表3に記載の材料を、加圧ニーダーとオープンロールを用いて混練した。
【表3】

第2の導電性弾性層(外層)用の原料ゴムとして、下記表4に記載の材料を加圧ニーダーとオープンロールを用いて混練した。
【表4】

上記以外は、実施例1と同様の材料、製法で帯電ローラを作製した。
作製した帯電ローラについて、実施例1と同様の方法により評価した。結果を表10、表11に示す。
【0076】
[比較例7]
原料ゴムは二種類を用意した。
第1の導電性弾性層(内層)用の原料ゴムとして、下記表5に記載の材料を、加圧ニーダーとオープンロールを用いて混練した。
【表5】

第2の導電性弾性層(外層)用の原料ゴムとして、下記表6に記載の材料を加圧ニーダーとオープンロールを用いて混練した。
【表6】

上記以外は、実施例1と同様の材料、製法で帯電ローラを作製した。
作製した帯電ローラについて、実施例1と同様の方法により評価した。結果を表10、表11に示す。
【0077】
【表7】

【0078】
【表8】

【0079】
【表9】

【0080】
【表10】

【0081】
【表11】

【符号の説明】
【0082】
1 電子写真感光体
2 帯電ローラ
3 導電性基体
4 第1の導電性弾性層
5 第2の導電性弾性層
6 第1の中空粒子
7 第2の中空粒子
8 押出機
9 2層クロスヘッド
10 芯金送りローラ
11 未加硫ゴムローラ
12 帯電ローラ
13 砥石
14 潜像形成装置
15 現像ローラ
16 転写ローラ
17 転写材
18 クリーニング部材
19 定着装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電性基体と、該導電性基体上に積層される第1の導電性弾性層と、該第1の導電性弾性層上に積層される第2の導電性弾性層とを有する帯電ローラであって、
該第1の導電性弾性層は、熱可塑性樹脂からなるシェルを有し、気体を内包する第1の中空粒子と、該第1の中空粒子を分散するゴムとを含み、
該第2の導電性弾性層は、熱可塑性樹脂からなるシェルを有し、気体を内包する第2の中空粒子と、該第2の中空粒子を分散するゴムとを含み、
該第1の中空粒子の体積平均粒径P1(μm)は、該第2の中空粒子の体積平均粒径P2(μm)よりも大きく、該第2の導電性弾性層の反発弾性率は、該第1の導電性弾性層の反発弾性率よりも大きいことを特徴とする帯電ローラ。
【請求項2】
前記P1およびP2が下記式(1)および(2)を満たす請求項1に記載の帯電ローラ。
100≦P1≦200 ・・・(1)
10≦P2≦80 ・・・(2)
【請求項3】
前記P1およびP2が下記式(3)を満たす請求項1または2に記載の帯電ローラ。
3≦(P1/P2)≦20 ・・・(3)
【請求項4】
前記熱可塑性樹脂は、アクリロニトリル樹脂、メタクリロニトリル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、塩化ビニル樹脂およびウレタン樹脂からなる群から選ばれるいずれかを含む請求項1乃至3のいずれか1項に記載の帯電ローラ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−141386(P2012−141386A)
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−292798(P2010−292798)
【出願日】平成22年12月28日(2010.12.28)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】