説明

帯電泳動粒子の製造方法、電気泳動表示用分散液ならびに電気泳動表示装置

【課題】 品質が安定し、生産再現性に優れた帯電泳動粒子の製造方法、品質が安定した電気泳動表示用分散液ならびに安定した画像を表示できる電気泳動表示装置を提供する。
【解決手段】 一対の基板と、該基板の少なくとも一方に形成された少なくとも一つの電極と、該基板間に挟持された、帯電泳動粒子と該帯電泳動粒子を分散させる分散媒を含有する分散液を有する電気泳動表示装置に使用する該帯電泳動粒子の製造方法において、予め重合された一般式(1)又は/及び(2)で表される高分子重合体の分子鎖末端の官能基Xと、粒子表面の官能基Yが化学結合して該高分子重合体を粒子表面に固定化する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、帯電泳動粒子が電極間を移動することにより表示が行われる電気泳動表示装置、および該表示装置に使用する帯電泳動粒子の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、情報機器の発達に伴い、低消費電力且つ薄型の表示装置のニーズが増しており、これらニーズに合わせた表示装置の研究、開発が盛んに行われている。中でも液晶表示装置は、液晶分子の配列を電気的に制御し液晶の光学的特性を変化させる事ができ、上記のニーズに対応できる表示装置として活発な開発が行われ商品化されている。
【0003】
低消費電力、眼への負担軽減などの観点から反射型表示装置が期待されている。その1つとして、絶縁性溶媒中に分散した帯電泳動粒子が電極間を移動することにより表示が行われる電気泳動表示装置が知られている。例えば、特許文献1および特許文献2に電気泳動表示装置が提案されている。
【0004】
電気泳動表示装置の基本的な構造として、図1に帯電泳動粒子が水平に移動する例、図3に帯電泳動粒子が垂直に移動する例、図4に帯電泳動粒子と分散媒からなる電気泳動表示用分散液が内包されたマイクロカプセルを使用した例を示す。それぞれの構造においては、帯電泳動粒子の極性と、両電極に印加する電圧の極性に応じて帯電泳動粒子が電気泳動する。その結果、これらの電気泳動表示装置は、反射型・視野角で高コントラストな表示を実現することができる。
【0005】
電気泳動表示装置においては、帯電泳動粒子の電気泳動を制御することが、表示の高コントラストな表示性能や表示安定性をもたらす。これら電気泳動表示装置に使用される帯電泳動粒子の提案としては、特許文献3乃至特許文献5がある。
【特許文献1】特開平9−185087号公報(第2頁)
【特許文献2】特許第2551783号公報(第1頁)
【特許文献3】特開平4−166918号公報(第1頁)
【特許文献4】特開平5−173193号公報(第2頁)
【特許文献5】特開2002−287178号公報(第2頁)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の帯電泳動粒子においては、同じ原料ならびに同じ作成条件で作製された帯電泳動粒子であっても、泳動特性に差がある場合があった。たとえば、帯電量がばらついたり、泳動速度に差があったり、あるいは電極への貼り付き度合いに差がある場合があった。つまり、帯電泳動粒子の品質が安定せず、生産再現性が得られないという問題があった。
【0007】
本発明は、この様な従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、品質が安定した帯電泳動粒子の製造方法を提供することを目的とするものである。該製造方法による帯電泳動粒子を用いることにより、品質が安定した電気泳動表示用分散液が得られ、該電気泳動表示用分散液を用いることにより安定した画像が表示できる電気泳動表示装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
即ち、本発明の第1発明は、一対の基板と、該基板の少なくとも一方に形成された少なくとも一つの電極と、該基板間に挟持された、帯電泳動粒子と該帯電泳動粒子を分散させる分散媒を含有する分散液を有する電気泳動表示装置に使用する該帯電泳動粒子の製造方法において、予め重合された一般式(1)又は/及び(2)で表される高分子重合体の分子鎖末端の官能基Xと、粒子表面の官能基Yが化学結合して該高分子重合体を粒子表面に固定化することを特徴とする帯電泳動粒子の製造方法である。
【0009】
【化1】

【0010】
,R:水素原子または−CHを示す。
【0011】
2:−C2p+1または−C2qN(C2r+12または−(CH2−(CF2−Bを示す。pは0以上30以下の整数、qは1以上30以下の整数、rは0以上30以下の整数である。Bは水素原子またはフッ素原子を示し、s、tは0以上30以下の整数である。但し、CH2 の水素原子はフッ素原子またはCFで置換されてもよく、一方、CF2 のフッ素原子はCF3 で置換されていてもよい。
【0012】
は水素原子、または−C2x+1を示し、xは0以上30以下の整数である。
【0013】
本発明の第2発明は、前記粒子が、複数の顔料粒子または/ならびに染料と高分子重合体からなる複合粒子であることを特徴とする第1発明記載の製造方法である。
【0014】
本発明の第3発明は、前記官能基Xならびに前記官能基Yは、−COOH基、−NH2基、−OH基、−NCO基から選ばれることを特徴とする第1,2発明記載の製造方法である。
【0015】
本発明の第4発明は、前記化学結合が、エステル結合、アミド結合、ウレタン結合のいずれかであることを特徴とする第3発明記載の製造方法である。
【0016】
本発明の第5発明は、前記高分子重合体の分子量が1000〜10000の範囲であることを特徴とする第1、2、3発明記載の製造方法である。
【0017】
本発明の第6発明は、粒子表面に固定化された前記高分子重合体の厚みが1〜200nmの範囲であることを特徴とする第1、2発明記載の製造方法である。
【0018】
本発明の第7発明は、第1〜6発明記載の製造方法で得られる帯電泳動粒子と、該帯電泳動粒子を分散させる分散媒ならびに帯電安定化剤を含有することを特徴とする電気泳動表示用分散液である。
【0019】
本発明の第8発明は、第7発明記載の電気泳動表示用分散液を備えていることを特徴とする電気泳動表示装置である。
【発明の効果】
【0020】
以上説明したように、本発明によれば、予め重合された一般式(1)又は/及び(2)で表される高分子重合体の分子鎖末端の官能基Xと、粒子表面の官能基Yが化学結合して該高分子重合体を粒子表面に固定化することを特徴とする帯電泳動粒子の製造方法を適用することにより、帯電泳動粒子の品質を安定化させることができる。また、該製造方法による帯電泳動粒子を用いることにより、品質が安定した電気泳動表示用分散液、ならびに該電気泳動表示用分散液を用いることにより安定した画像を表示できる電気泳動表示装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0022】
図1〜4を参照して本発明の実施形態について説明する。なお、これらの図は、本発明に係る電気泳動表示装置の構成ならびに帯電泳動粒子の構成を示す図ではあるが、便宜上、一例を模式的に示すものである。
【0023】
まず、図1、3を用いて、電気泳動表示装置について説明する。図1は本発明に係る電気泳動表示装置の構成の一例を示す概略図、図3は本発明に係る電気泳動表示装置の構成の他の例を示す概略図である。
【0024】
本発明は、帯電泳動粒子1が水平移動する電気泳動表示装置(図1参照)にも、また帯電泳動粒子1が垂直移動する電気泳動表示装置(図3参照)にも適用できる。ここで、水平移動型とは、図1に示すように、第1電極4a及び第2電極4bの両方をいずれか一方の基板3a又は3bに沿うように配置し、帯電泳動粒子1が基板3a,3bに沿って移動するように構成したものを意味する。これに対して、垂直移動型とは、図3に示すように、分散媒2を挟み込むように第1電極4a及び第2電極4bを別々の基板側に配置し、帯電泳動粒子1が基板3a,3bに対して垂直方向(法線方向)に移動するように構成したものを意味する。なお、図1ならびに図3に例示した帯電泳動粒子は、正極性に帯電しているものとする。
【0025】
以下、図1、2の水平移動型の電気泳動表示装置を例として説明する。
【0026】
本発明に係る電気泳動表示装置は、図1に示すように、複数の帯電泳動粒子と、これらの帯電泳動粒子が分散された分散媒とを備え、電圧を印加して前記帯電泳動粒子を移動させることに基き、画像を表示するよう構成されている。
【0027】
本発明の帯電泳動粒子の製造方法において、一般式(1)又は/及び(2)で表される高分子重合体は、粒子表面に固定化される工程以前に予め重合されていることが必須である。本発明の高分子重合体の重合工程と、本発明の高分子重合体を粒子に固定化する工程を同じ系内で同時に行うと、本発明の一般式(1)又は/及び(2)で表される高分子重合体の組成、分子量、あるいは粒子表面に固定化される量にばらつきが生じたり、制御できなくなる。その結果、粒子表面に固定化される高分子重合体の被覆層の組成や厚みが粒子個体間でばらつき、粒子の品質が低下することはもとより、生産再現性も悪化する。粒子の品質低下や生産再現性の悪化によって、帯電量、泳動速度、あるいは電極への貼り付き度合いの制御が困難となり、再現性の良い安定した泳動特性が得られない。
【0028】
本発明の粒子表面に固定化される高分子重合体は、一般式(1)又は/及び一般式(2)で表される。前記高分子重合体は一般式(1)、一般式(2)で表される範囲内であれば、モノマーが1種類からなる高分子重合体であっても、2種類以上のモノマーからなる高分子共重合体であってもよく、あるいは一般式(1)と一般式(2)の高分子共重合体であってもよい。また、高分子共重合体はランダム共重合体であっても、ブロック共重合体であってもよい。
【0029】
本発明においては、一般式(1)又は/及び一般式(2)で表される高分子重合体を粒子表面に固定化することで下記(1)および(2)の効果が得られる。
【0030】
(1)高分子重合体の固定化前の粒子表面に存在する粒子を構成する主成分材料、ならびに着色剤としての顔料または/ならびに染料が、粒子の駆動に及ぼす不具合(例えば、電極や電極以外の内壁への貼り付き、駆動の経時変化等)を低減する効果
(2)粒子への帯電付与、帯電安定化、分散媒への良分散性、あるいは電極や電極以外の内壁への貼り付き抑制等の機能を付与する効果
さらに一般式(1)(2)の構造を選択することによって、効果(2)を精密に制御することができる。例えば、一般式(1)の(R1、R2)を(−CH3または−H、−CH3)にすると、粒子のζ電位は正帯電を示し、さらに(−CH3または−H、−C12H25)にすると、粒子のζ電位は高い正帯電を示して粒子は互いに離れて分散して電極や電極以外の内壁には貼り付かなくなる。あるいは一般式(1)の(R1、R2)を(−CH3、−C4H)あるいは(−CH3、−CH22H45)にすると、粒子は互いに凝集するようになる。一般式(1)の(R、R)を(−CH3、−CH2CH2CF3)にすると、粒子のζ電位は高い負帯電を示し、粒子同士が互いに凝集するようになる。また、一般式(2)の(R、R4)を(CH3または−H、CH)にすると粒子のζ電位は高い正帯電を示す。
【0031】
次に本発明の一般式(1)又は/及び一般式(2)で表される高分子重合体の好適な構造を挙げる。本発明の一般式(1)で表される高分子重合体においては、R1、R2の組み合せ(R1、R2)が次の群から選ばれることが好ましい。
【0032】
群:(−CH3または−H 、−CH3 )、(−CH3または−H 、−C49 )、(−CH3または−H 、C817)(−CH3または−H 、CH1021)、(−CH3または−H 、−C1225)、(−CH3または−H 、CH1837)、(−CH3または−H 、CH2225)、(−CH3または−H、−C24 NH2 )、(−CH3または−H 、−C24 N(CH32 )、(−CH3または−H、−CH2 −CF3 )、(−CH3または−H、−CH2 CH2 −(CF26 −F)。
【0033】
一般式(1)で表され、かつ二種以上のモノマーからなる高分子共重合体においては、R1、R2の組み合わせ(R1、R2)が、(−CH3または−H、−CH3 )ならびに(−CH3または−H 、−C1225)である高分子共重合体、(−CH3または−H 、−C24 N(CH32 )ならびに(−CH3または−H、−C1225)である高分子共重合体、(−CH3または−H 、−CH3 )ならびに(−CH3または−H 、CH1837)である高分子共重合体、または(−CH3または−H 、−C24 N(CH32 )ならびに(−CH3または−H 、CH1837)である高分子共重合体であることが好ましい。
【0034】
一般式(2)で表される高分子重合体においては、一般式(2)のR、Rの組み合せ(R、R)においては(−CH3または−H、H)、(−CH3または−H、−CH)、
(−CH3または−H、−C)、または(−CH3または−H、−C3)が好ましい。
【0035】
本発明の高分子重合体の分子鎖末端の官能基Xは、粒子表面に存在する官能基Yと化学結合する。その結果、粒子表面に固定化された高分子重合体は、80℃の高温においても分散媒中に溶解することなく、粒子の泳動特性を制御することが可能となる。高分子重合体が粒子表面と化学結合されずに導入されると、高分子重合体が分散媒中に溶け出したりして、泳動特性が経時で変化する場合がある。
【0036】
本発明の官能基Xならびに官能基Yは両者が化学結合できれば特に限定はされないが、取り扱いが容易な点で、−COOH基、−NH2基、−OH基、-NCO基から選ばれることが好ましい。
【0037】
本発明の官能基Xと官能基Yが反応して生成する化学結合は、強固な結合という観点でエステル結合、アミド結合、ウレタン結合のいずれかであることが好ましい。
【0038】
本発明においては、一般式(1)又は/及び(2)で表される高分子重合体の分子鎖末端の官能基Xと、粒子表面の官能基Yが化学結合して該高分子重合体を粒子表面に固定化する反応は公知の化学反応で実施することができ、官能基Xと官能基Yの組み合わせにより適宜反応条件を選択することができる。たとえば、官能基Xと官能基Yの組み合わせが−COOH基と−OH基の場合では脱水反応によるエステル結合で固定化することができ、官能基Xと官能基Yの組み合わせが−NCO基と−COOH基の場合ではアミド結合で固定化することができる。
【0039】
本発明の粒子表面に固定化される高分子重合体の重量平均分子量は1000〜200000が好ましいが、より好ましくは1000〜10000である。重量平均分子量が1000未満であると、粒子に付与される帯電量が不十分であり、重量平均分子量が200000を超えると高分子重合体の粘度が上昇し、粒子表面への固定化反応が不均一になる。
【0040】
本発明の高分子重合体は、公知の重合方法によって合成することができる。高分子重合体への分子鎖末端の官能基Xの導入方法は公知の方法で行えるが、例えば、官能基Xを有する重合末端停止剤を高分子重合体の重合時に添加することで導入することができる。
【0041】
本発明の高分子重合体は、市販の高分子重合体を使用することも出来、例えば、分子鎖末端にOH基が導入されたアクトフローUMB1001[一般式(1)の(R1、R2)=(−H、−C4H9)]、UME1001[一般式(1)の(R1、R2)=(−H、−C2H5)]、UMM1001[一般式(1)の(R1、R2)=(−H、−CH3)](いずれも綜研化学(株))、分子鎖末端にCOOH基が導入されたCBL3098[一般式(1)の(R1、R2)=(−H、−C12H25)]、CBB3098[一般式(1)の(R1、R)=(−H、−C4H9)](いずれも綜研化学(株))を使用することができる。
【0042】
本発明で用いることができる粒子としては、無機顔料からなる粒子を使用することができる。分散媒中に溶解しないものであれば特に限定はされないが、具体的には黒色顔料としてはカーボンブラック、黒色低次酸化チタン、チタンブラック、白色顔料としては二酸化チタン(TiO)等が好適に用いられる。必要に応じて無機顔料粒子を単独、あるいは2種類以上用いることができる。
【0043】
また、本発明で用いることができる粒子としては、有機顔料からなる粒子を使用することができる。分散媒中に溶解しないものであれば特に限定はされないが、例えばファストイエロー、フタロシアニンブルー等が挙げられる。必要に応じて、有機顔料粒子を単独、あるいは2種類以上用いることができる。
【0044】
前記無機顔料ならびに有機顔料を本発明の粒子に用いる場合には、顔料表面に官能基Yを公知の方法で導入することができ、たとえば、カップリング剤によって導入することができる。あるいは、顔料表面にUV照射することで、―OH基や―COOH基の親水性基を導入することができる。
【0045】
前記した無機顔料ならびに有機顔料は、粉砕・造粒等の公知の方法で粒子化できる。
【0046】
さらに本発明の粒子としては、複数の顔料粒子または/ならびに染料と高分子重合体からなる複合粒子を使用することができる。特に複合粒子を構成する高分子重合体に対しては、本発明の官能基Yを容易に導入できるので、本発明には複合粒子が好適に用いられる。
【0047】
複合粒子に使用する高分子重合体としては、分散媒に対して不溶であれば特に限定はされないが、ポリエステル、ポリメタクリレート、ポリアクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリメチルアクリレート、ポリエチルメタクリレート、ポリエチルアクリレート、ポリアクリロニトリル、ポリスチレン、ジビニルベンゼン樹脂、ポリ尿素、ナイロン、ウレタン樹脂、メラミン樹脂、テトラフルオロエチレン樹脂、フェノール樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、環状脂肪族エポキシ樹脂、グリシジルエステル系エポキシ樹脂、ポリメタクリル酸エステル等の高分子重合体が挙げられる。
【0048】
複合粒子に使用する顔料粒子としては、前記した無機顔料粒子ならびに有機顔料粒子を挙げることができる。必要に応じて、これら顔料粒子を単独、あるいは2種類以上用いることができる。複合粒子の着色度合いを調節するために、複合粒子には、顔料粒子を複数個含有してもよい。複合粒子に使用する顔料粒子の大きさとしては、帯電泳動粒子の平均粒径から考慮して0.005μm以上1μm以下にすることが好ましい。
【0049】
また、複合粒子に使用する染料としては、高分子重合体を染色することができ、かつ分散媒中に溶出しないものであれば特に限定はされないが、例えばアゾ系染料、アントラキノン系染料、アジン系染料、フタロシアニン系染料、トリフェニルメタン系染料が挙げられるが、具体的にはValifast(登録商標) Red、Valifast(登録商標)Yellow、Oplas(登録商標) Red、Oil Scarlet、Valifast(登録商標)Black 3810、Orient Oil Black〔オリエント化学工業(株)製〕、Oil Blue V、Oil Green、Bright、Green、Sudan IV、Sudan III〔大和化工社製〕、Sumiplast(登録商標) Blue、Sumiplast(登録商標) Red HFG、Sumiplast(登録商標) Red HF4G、Sumiplast(登録商標) Yellow、Whiteflour B、Sumikaron Brilliant Blue、Sumikaron Violet〔住友化学工業社製〕、Macrolex(登録商標) Red GS〔バイエル・ジャパン社製〕、Microlis Blue、Microlis Green〔日本チバガイギー社製〕、Kayacryl Black、Kayalon Polyester Blue、Kayaron Polyester Red〔日本化薬社製〕が挙げられる。
【0050】
複数の顔料粒子または/ならびに染料と高分子重合体からなる複合粒子を作製する方法としては、高分子重合体の重合過程(モノマー仕込み時を含む)で顔料粒子や染料を添加して乳化重合、分散重合、懸濁重合、あるいはシード重合を行う方法、高分子重合体の粒子自体を染料で染色する方法、顔料粒子を高分子重合体と溶融混練し粉砕する方法、高分子重合体を溶媒に溶解させた溶液に顔料粒子あるいは染料を添加し、その後溶媒を除去、溶液の温度を下げる、あるいは貧溶媒を使用した再沈殿を行って複合粒子を析出・造粒する方法等、公知の方法で行うことができる。また、複合粒子を構成する高分子重合体あるいは染料は、分散媒に対する不溶化を目的として架橋処理や固定化処理を施して使用することもできる。さらに、複合粒子の着色度合いに応じて、顔料粒子と染料を混合して使用することができる。
【0051】
本発明において、複数の顔料粒子または/ならびに染料と高分子重合体からなる複合粒子の表面に官能基Yを導入する方法としては、複合粒子を構成する高分子重合体のモノマーに官能基Yを有するものを使う方法、あるいは複合粒子の表面にカップリング剤によって官能基Yを導入する方法、複合粒子表面にUV照射して親水性化して導入する方法等が挙げられる。
【0052】
また、本発明に用いる帯電粒子としては、本発明の範囲内では市販の粒子を用いることができる。例えば、ミクロパール(登録商標)(積水化学工業(株)製)、ナトコ(登録商標)スペーサー粒子(ナトコ(株)製)、エポカラー(登録商標)粒子(日本触媒化学工業(株)製)、ケミスノー(登録商標)(総研化学(株)製)、トスパール(登録商標)(GE東芝シリコーン(株)製)、テクポリマー(登録商標)(積水化成品工業)等が挙げられるが、特に限定されるものではない。
【0053】
さらに、本発明の帯電泳動粒子の平均粒径は、0.1μm以上7μm以下の範囲にすることができ、好ましくは0.1μm以上3μm以下の範囲にすることができる。0.1μm未満であると、ハンドリングが低下し、7μmを超えると表示の解像度が低下する。本発明の帯電泳動粒子1においては、必要に応じて乾式分級、湿式分級等の公知の方法で、平均粒径を本発明の範囲内に制御することができる。
【0054】
本発明の粒子表面に固定化する高分子重合体の厚みは、3nm以上200nm以下の範囲であることが好ましくは、さらに好ましくは3nm以上50nm以下の範囲である。高分子重合体の厚みが3nm未満の場合、泳動特性の制御が出来ない場合がある。200nmを超えると、粒子の色味が薄くなる場合がある。
【0055】
また、本発明は、本発明の製造方法で得られる帯電泳動粒子と、帯電泳動粒子を分散させる分散媒を含有する電気泳動表示用分散液を特徴とする。
【0056】
さらに本発明は、前記電気泳動表示用分散液を備える電気泳動表示装置を特徴とする。
【0057】
本発明の電気泳動表示装置は、本発明で得られる帯電泳動粒子と、該帯電泳動粒子が分散された分散媒を含む電気泳動表示用分散液を使用する。
【0058】
本発明の分散媒には、本発明の帯電泳動粒子の帯電を安定化させるために、帯電安定化剤を添加させることができる。帯電安定化剤としては、分散媒に可溶であるならば特に限定されないが、例えばロジンエステルまたはロジン誘導体が挙げられ、詳しくはガムロジン、ウッドロジン、トール油ロジン、ロジン変性マレイン酸、ロジン変性ペンタエリスリトール、ロジングリセリンエステル、部分水素添加ロジンメチルエステル、部分水素添加ロジングリセリンエステル、部分水素添加ロジントリエチレングリコールエステル、完全水素添加ロジンペンタエリスリトールエステル、マレイン酸変性ロジンエステル、フマル酸変性ロジンエステル、アクリル酸変性ロジンエステル、マレイン酸変性ロジンペンタエリスリトールエステル、フマル酸変性ロジンペンタエリスリトールエステル、アクリル酸変性ロジングリセリンエステル、マレイン酸変性ロジングリセリンエステル、フマル酸変性ロジングリセリンエステル、アクリル酸変性ロジングリセリンエステル等が挙げられる。具体的には、例えばネオトール(登録商標)(ハリマ化成)、ペンセル(登録商標)、エステルガム、スーパーエステル(いずれも荒川化学工業)が挙げられる。帯電安定化剤は、分散媒100重量部に対して0.01重量部以上5重量部以下、好ましくは0.05重量部以上3重量部以下の範囲で含有することができる。
【0059】
本発明の分散媒には、帯電泳動粒子に帯電を付与する、あるいは帯電を補助するために、帯電制御剤を含有してもよい。帯電制御剤は分散媒に可溶であるならば特に限定されないが、たとえばナフテン酸コバルト、ナフテン酸ジルコニウム、ナフテン酸銅、ナフテン酸鉄、ナフテン酸鉛、ナフテン酸マンガン、ナフテン酸亜鉛のナフテン酸系金属石鹸、オクタン酸コバルト、オクタン酸ジルコニウム、オクタン酸鉄、オクタン酸鉛、オクタン酸ニッケル、オクタン酸マンガン、オクタン酸亜鉛のオクタン酸系金属石鹸、ステアリン酸系金属石鹸等の金属石鹸、ポリアミノポリブテルコハク酸イミド、レシチン等の公知のものが挙げられる。
【0060】
さらに、本発明の分散媒には、帯電泳動粒子の分散安定剤あるいは壁への付着抑制剤として、分散媒に可溶する高分子樹脂を含有してもよい。具体的には、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリイソブチレン、ポリブテン、スチレンブタジエン共重合体、スチレンイソプレン共重合体、イソプレンブタジエン共重合体、スチレン無水マレイン酸共重合体、ノルボルネン樹脂、ポリエチレンワックスが挙げられる。中でも、スチレンブタジエン共重合体が好ましく、例えば市販の材料としては、E−SBR、S−SBR(JSR(株)製)、NIPOL(登録商標)1502,NIPOL(登録商標)1712、NIPOL(登録商標)NS112,NIPOL(登録商標)NS116、NIPOL(登録商標)1006,NIPOL(登録商標)1009(日本ゼオン(株)製)、タフデン(登録商標)、タフプレン(登録商標)、アサプレン(登録商標)(旭化成社製)、住友SBR(住友化学(株)製)を使用することができる。
【0061】
本発明においては、分散媒に含有する上記成分を単独または2種類以上混合して用いることができる。また、本発明の分散媒には、必要に応じて分散媒に可溶な陰イオン界面活性剤、陽イオン界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン界面活性剤、フッ素系界面活性剤を含有してもよく、これらは単独、または2種以上混合して用いても良い。
【0062】
本発明の帯電泳動粒子を分散させる分散媒としては、導電率の低い高絶縁性有機溶媒が使用される。具体的には、ベンゼン、エチルベンゼン、ドデシルベンゼン、トルエン、キシレン、ナフテン系炭化水素などの芳香族炭化水素溶媒、ヘキサン、シクロヘキサン、ケロシン、パラフィン系炭化水素溶媒ならびにイソパラフィン系炭化水素溶媒の脂肪族炭化水素溶媒、クロロホルム、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、ジクロロメタン、トリクロロトリフルオロエチレン、臭化エチルなどのハロゲン化炭化水素溶媒、あるいはシリコンオイル、高純度石油等が挙げられるが、中でも脂肪族炭化水素溶媒が好適に使用され、具体的にはアイソパー(登録商標)G、H,M,L、P、V(いずれもエクソン化学社製)、Shellsol(登録商標)(昭和シェルジャパン)、IPソルベント1016、1620、2028、2835(出光石油化学)、日石アイソゾール200、300、400(いずれも日本石油化学)が挙げられる。これらを単独、あるいは2種類以上混合して用いることができる。
【0063】
本発明に用いる分散媒は、使用する電気泳動表示装置の表示方法に合わせて粒子と異なる色に着色することができる。着色剤としては、分散媒に溶解可能な油溶性染料であれば特に限定はされない。
【0064】
また、本発明では、電気泳動表示装置の表示方法に合わせて、粒子径、粒子成分、あるいは着色等が異なる2種類以上の帯電泳動粒子を使用してもよい。
【0065】
本発明の電気泳動表示用分散液は、図4に示すように、マイクロカプセル10内に内包させて用いることができる。マイクロカプセルの内包方法としては、in−situ法、界面重合法、コアセルベーション法等の通常の方法が挙げられる。
【0066】
マイクロカプセルの壁材としてはポリウレタン、ポリ尿素、ポリ尿素−ポリウレタン、尿素−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂、ポリアミド、ポリエステル、ポリスルホンアミド、ポリカーボネート、ポリスルフィネート、エポキシ、ポリアクリル酸エステル、ポリメタクリル酸エステル、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ゼラチン等が挙げられる。
【0067】
本発明の電気泳動表示装置に用いられるマイクロカプセルの大きさは、1〜500μm程度であり、好ましくは20〜100μm程度である。
【0068】
本発明の帯電泳動粒子1は分散媒2に対して任意の重量比で用いることが可能であるが、好ましくは、分散媒100重量部に対して0.1重量部以上20重量部以下の範囲である。
【0069】
次に電気泳動表示装置を、図1〜3を用いて説明する。
【0070】
基板3a,3bには、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエーテルサルフォン(PES)、ポリイミド(PI)、ポリエチレンナフタレ−ト(PEN)、ポリカーボネート(PC)等のポリマーフィルム、ガラス、石英等の無機材料、あるいは表面に絶縁層を有するステンレス基板を使用することができる。なお、観察者側の基板3aには、可視光の透過率が高い材料、たとえば透明なポリマーフィルムやガラスを使用するとよい。また、基板3aの分散液と接する面にはゴム硬度が10以上90以下の範囲にある高分子材料、具体的にはシリコン樹脂、天然ゴム、熱可塑性エラストマー樹脂等を形成させてもよい。
【0071】
電極4a,4bに使用する材料としてはパターニング可能な導電性材料なら特に限定されないが、例えば酸化インジウムすず(ITO)、アルミ、チタン、銅などを挙げることができる。さらに、電極4a,4bの表面には絶縁層6を形成すると良く、絶縁層を形成した場合には、各電極4a,4bから帯電泳動粒子1への電荷注入を防止できる。この絶縁層6に用いる材料としては、薄膜でピンホールが形成されにくいものが良い。具体的には、高い透明性を有するポリイミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアクリレート樹脂、ポリメタクリレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、ノボラック樹脂、エポキシ樹脂等を挙げることができる。
【0072】
また、隔壁5にはポリマー樹脂を使用すれば良く、図2の電気泳動表示装置の場合では、電極4aの上部に隔壁5を形成することもできる。隔壁に使用する材料としては、ポリイミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアクリレート樹脂、ポリメタクリレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、ノボラック樹脂、エポキシ樹脂等を挙げることができる。
【0073】
隔壁5を形成する方法としては、光感光性樹脂層を塗布した後に露光及びウエット現像を行う方法、印刷法によって形成する方法、隔壁を形成した後に基板に接着する方法、光透過性の基板表面にモールドによって形成しておく方法等を挙げることができる。具体的な材料としては、光感光性エポキシ樹脂(SU8 日本マグダーミッド(株)が挙げられる。
【0074】
さらに、第1電極4a及び第2電極4bの内、いずれか一方の電極が配置された領域には帯電泳動粒子1と同じ色を付し、他方の電極が配置された領域には異なる色に着色することができる。また図2の装置の場合には、第1電極4a自体を黒色に着色してもよく、あるいは着色した絶縁層を電極と重なるように配置しても良い。
【0075】
図3に示す垂直移動型の場合、帯電泳動粒子を分散させる分散媒2を、粒子1と異なる色に着色することができる。これらにより2色表示が可能となるが、隣接される複数の画素で異なる色を表示することにより、表示装置全体としてはカラー表示をすることもできる。
【実施例1】
【0076】
以下、図2に示す電気泳動表示装置を使って、実施例を説明する。
【0077】
なお、本発明の粒子の平均粒径ならびに未被覆の粒子が高分子重合体によって被覆される厚みは、透過型電子顕微鏡を用いて、サンプル数20点の平均から求める。
【0078】
実施例ならびに比較例で使用する粒子としては、下記の3種類を用いる。
(1)粒子A:
メチルメタクリレート75重量部と2−ヒドロキシプロピルメタクリレート10重量部とカーボンブラック(CB、平均粒径0.02μm)15重量部を懸濁重合することにより得られる重合粒子であり、平均粒径は2.5μmである。本粒子の表面には、−OH基が存在している。
(2)粒子B:
スチレン50重量部とメタクリル酸50重量部からなる高分子共重合粒子を、染料Valifast(登録商標) Black 3810、Orient Oil Black〔オリエント化学工業(株)製〕によって黒色に染色した粒子であり、平均粒径は、1.5μmである。本粒子の表面には、−COOH基が存在している。
(3)粒子C:
スチレン65重量部、アリルメタクリレート20重量部、カーボンブラック(CB、平均粒径0.02μm)15重量部を懸濁重合することにより得られる重合粒子であり、平均粒径は2.5μmである。また、粒子表面にはアリル基(CH2=CH−CH−)が存在している。
【0079】
一つの画素の大きさは100μm×100μmとし、画素の数は200個×200個とした。図2では便宜上、2つの画素(画素8、9)を示す。基板3bは厚みが1.1mmの無アルカリガラスを使い、その表面に厚み100nmでアルミを蒸着して第2電極4bを配置する。第2電極4bの上部には、酸化チタン微粒子を混合させて白色化させたポリウレタン樹脂層を白色散乱層7として配置した。画素の境界部には幅5μm、高さ18μm(図2中の隔壁5と第1電極4aの高さの合計である)の光感光性エポキシ樹脂のSU8(日本マグダーミッド)からなる隔壁5を配置し、さらに図2のように隔壁5の下部の幅5μm、高さ5μmの範囲をTiで蒸着した第1電極4aを配置する。そして、第1電極4aを含む隔壁5ならびに第2電極上にポリアクリレート樹脂(オプトマーSS6699、JSR(株)製)からなる絶縁透明樹脂層6を形成する。その後、隔壁5の上面(基板3aとの接合面)に熱融着性の接着層を形成する。
【0080】
次いで、一般式(1)におけるR1 、R2 の組み合せ(R1 、R2 )が(−H 、−C1225 )で表され、かつその分子鎖末端の官能基Xが−COOHである高分子重合体(重量平均分子量=3000、品名アクトフローCBL3098(綜研化学社製))を、粒子Aの表面官能基である−OHと脱水触媒下、化学結合させて粒子表面に固定化することにより帯電泳動粒子Dを得る。さらに同様な条件で帯電泳動粒子Dを5回作製する。
【0081】
次に、分散媒として脂肪族炭化水素溶媒であるアイソパー(登録商標)H(エクソン社製)100重量部、ロジンエステルとしてネオトール(登録商標)125H(ハリマ化成(株)製)2.5重量部、スチレンブタジエン共重合体としてアサプレン(登録商標)1205(旭化成(株)製)0.8重量部を24時間混合攪拌後、0.2μmのPTFE製メンブランフィルターを使って加圧濾過した液に、帯電泳動粒子Dを混合して電気泳動表示用分散液を作製する。
【0082】
5回の各作製毎に作製する帯電泳動粒子Dを使い、粒子濃度が0.01重量%になるように前記電気泳動表示用分散液を作製し、ゼータ電位測定装置(ブルックヘブン社製Zeta PALS)にてゼータ電位を測定する。
【0083】
合計5回作製する帯電泳動粒子の被覆厚みは27〜30nmの範囲内であり、ゼータ電位は52〜56mVの範囲内である。
【0084】
【表1】

【0085】
次に粒子濃度を5重量%にした前記電気泳動表示用分散液を隔壁5内に充填し、厚さ100μmのポリカーボネートフィルムの基板3aを、隔壁上部の接着層で加熱接着して封止し、本発明の電気泳動表示装置を作製する。
【0086】
このようにして作製した表示装置に、第1電極4aを0Vの共通電極とし、第2電極4bに電圧±15Vを周波数0.25Hzの矩形波で印加する。
【0087】
作製1回〜5回目のいずれの帯電泳動粒子においても、電圧印加直後から正極性に帯電して速やかに電極間を泳動し、電極あるいは電極以外の内壁に付着することなく、白黒コントラストの高い表示が確認できる。なお、図2(a)は第2電極4bに+15Vの電圧が印加された場合であり、正極性の帯電泳動粒子は隔壁5の側面に集まるので、基板3a側から画素8、9を観測すると、散乱層7が視認されて白表示となる。一方、図2(b)は第2電極4bに−15Vの電圧が印加された場合であり、帯電泳動粒子は第2電極4b上に広がるので、基板3a側から画素8、9を観測すると、帯電泳動粒子が視認されて黒表示となる。
【実施例2】
【0088】
一般式(1)におけるR1 、R2 の組み合せ(R1 、R2 )が(−H 、−C)で表され、かつその分子鎖末端の官能基Xが−OHである高分子重合体(重量平均分子量=3000、品名アクトフローUME1001(綜研化学社製))を、粒子Bの表面官能基である−COOHと脱水触媒下、化学結合させて粒子表面に固定化することにより帯電泳動粒子Eを得る。さらに同様な条件で帯電泳動粒子Eを5回作製する。
【0089】
5回の各作製毎に作製する帯電泳動粒子Eを使い、粒子濃度が0.01重量%になるように上記電気泳動表示用分散液を作製し、ゼータ電位測定装置にてゼータ電位を測定する。
【0090】
合計5回作製する帯電泳動粒子の被覆厚みは28〜31nmの範囲内であり、ゼータ電位は20〜23mVの範囲内である。
【0091】
【表2】

【0092】
次いで、実施例1と同様に、帯電泳動粒子の粒子濃度5wt%にした電気泳動表示用分散液を作製し、電気泳動表示装置を作製する。
【0093】
このように作製した表示装置に、第1電極4aを0Vの共通電極とし、第2電極4bに電圧±15Vを周波数0.25Hzの矩形波で印加する。
【0094】
作製1回〜5回目のいずれの帯電泳動粒子においても、電圧印加直後から正極性に帯電して速やかに電極間を泳動し、電極あるいは電極以外の内壁に付着することなく、白黒コントラストの高い表示が確認できる。
【0095】
(比較例1)
実施例1と同じ方法で、粒子Aを含む電気泳動表示用分散液を作製する。次いで実施例1と同じ方法で電気泳動表示装置を作製する。作製した表示装置に、実施例1と同様な条件で電圧を印加すると、帯電泳動粒子は、電極間をゆっくりと泳動し、泳動3時間後には電極に貼り付いて泳動しなくなる。
【0096】
(比較例2)
一般式(1)におけるR1 、R2 の組み合せ(R1 、R2 )が(−H 、−C1225)で表される高分子重合体のモノマー(ラウリルアクリレート)と粒子Cを同一系内で重合させることにより、粒子Cの表面に存在するアリル基(CH=CH−CH−)を基点にラウリルアクリレートがグラフト重合した帯電泳動粒子Fを得る。帯電泳動粒子Fの表面には前記高分子重合体が被覆される。さらに同様な条件で帯電泳動粒子Fを5回作製する。
【0097】
各作製回の帯電泳動粒子Fを使い、粒子濃度が0.01重量%になるように上記電気泳動表示用分散液を作製し、ゼータ電位測定装置にてゼータ電位を測定する。
【0098】
合計5回作製する帯電泳動粒子の被覆厚みは14nm〜30nmの範囲内であり、ゼータ電位は20〜43mVの範囲内であり、品質のばらつきが大きい。
【0099】
【表3】

【0100】
次いで、実施例1と同様に、帯電泳動粒子の粒子濃度5wt%にした電気泳動表示用分散液を作製し、電気泳動表示装置を作製する。
【0101】
このように作製した表示装置に、第1電極4aを0Vの共通電極とし、第2電極4bに電圧±15Vを周波数0.25Hzの矩形波で印加する。
【0102】
第2、4回作製の帯電泳動粒子を除いては、粒子は電圧印加直後から正極性に帯電して速やかに電極間を泳動し、電極あるいは電極以外の内壁の壁に付着することなく、白黒コントラストの高い表示が確認できる。しかし、作製第2、4回の粒子においては、電極あるいは電極以外の内壁に貼り付く粒子が存在し、粒子泳動特性のばらつきが大きかった。このように比較例2では、粒子の生産再現性が低く、また品質のばらつきが大きい。
【図面の簡単な説明】
【0103】
【図1】本発明に係る電気泳動表示装置の構造の一例を示す概略図である。
【図2】本発明に係る電気泳動表示装置の構造の他の例を示す概略図である。
【図3】本発明に係る電気泳動表示装置の構造の他の例を示す概略図である。
【図4】本発明に係る電気泳動表示装置の構造の他の例を示す概略図である。
【符号の説明】
【0104】
1 帯電泳動粒子
2 分散媒
3a、3b 基板
4a 第1電極
4b 第2電極
5 隔壁
6 絶縁層
7 白色散乱層
8 画素
9 画素
10 マイクロカプセル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の基板と、該基板の少なくとも一方に形成された少なくとも一つの電極と、該基板間に挟持された、帯電泳動粒子と該帯電泳動粒子を分散させる分散媒を含有する分散液を有する電気泳動表示装置に使用する該帯電泳動粒子の製造方法において、予め重合された一般式(1)又は/及び(2)で表される高分子重合体の分子鎖末端の官能基Xと、粒子表面の官能基Yが化学結合して該高分子重合体を粒子表面に固定化することを特徴とする帯電泳動粒子の製造方法。
【化1】

,R:水素原子または−CHを示す。
2:−C2p+1または−C2qN(C2r+12または−(CH2 −(CF2−Bを示す。pは0以上30以下の整数、qは1以上30以下の整数、rは0以上30以下の整数である。Bは水素原子またはフッ素原子を示し、s、tは0以上30以下の整数である。但し、CH2 の水素原子はフッ素原子またはCFで置換されてもよく、一方、CF2 のフッ素原子はCF3 で置換されていてもよい。
は水素原子、または−C2x+1を示し、xは0以上30以下の整数である。
【請求項2】
前記帯電粒子が、複数の顔料粒子または/ならびに染料と高分子重合体からなる複合粒子であることを特徴とする請求項項1記載の製造方法。
【請求項3】
前記官能基Xならびに前記官能基Yは、−COOH基、−NH2基、−OH基、−NCO基から選ばれることを特徴とする請求項1,2記載の製造方法。
【請求項4】
前記化学結合が、エステル結合、アミド結合、ウレタン結合のいずれかであることを特徴とする請求項3記載の製造方法。
【請求項5】
官能基Xを末端に有する前記高分子重合体の分子量が1000以上10000以下の範囲であることを特徴とする請求項1、2、3記載の製造方法。
【請求項6】
粒子表面に固定化された前記高分子重合体の厚みが3nm以上200nm以下の範囲であることを特徴とする請求項1、2記載の製造方法。
【請求項7】
請求項1〜6記載の製造方法で得られる帯電泳動粒子と、帯電泳動粒子を分散させる分散媒とからなることを特徴とする電気泳動表示用分散液。
【請求項8】
請求項7記載の電気泳動表示用分散液を備えていることを特徴とする電気泳動表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−279434(P2007−279434A)
【公開日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−106465(P2006−106465)
【出願日】平成18年4月7日(2006.4.7)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】