説明

帯電部材

【課題】帯電ローラを感光体に従動回転させて帯電ローラの弾性体層にねじれが生じたときにも、当該ねじれが容易に解放され、感光体とのスリップが生じにくい帯電ローラを提供する。
【解決手段】導電性基体と、該導電性基体上に形成されてなる弾性体層とを有する帯電ローラであって、該弾性体層は、ゴム粒子が分散されてなり、該ゴム粒子は、熱可塑性樹脂をシェルとする気体を内包した中空粒子を含有し、該熱可塑性樹脂はアクリロニトリル樹脂、メタクリロニトリル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、塩化ビニル樹脂、スチレン樹脂、ポリウレタン樹脂およびポリアミド樹脂から選ばれる少なくとも1つの樹脂を含むことを特徴とする帯電ローラ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、帯電部材に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真装置において、ドラム形状の電子写真感光体(以下、「感光体」ともいう)の接触帯電においては、ローラ形状の帯電部材(以下、「帯電ローラ」という)が用いられている。帯電ローラは、電子写真感光体に対して、バネ等の押し圧力により当接され、従動回転するように配置される。ところで、かかる帯電ローラは、硬度が高いと、感光体との接触により従動回転する際にスリップを生じ、帯電ムラや帯電ローラ表面へのトナーや外添剤等の固着が生じることがあった。そのため、帯電部材の低硬度化が従来より検討されてきている。
【0003】
特許文献1では、弾性体層をドメイン構造(海島構造)とする方法が開示されている。ドメイン構造とは、連続相(海相)と非連続相(島相)からなる2種類以上の相を有する構造をいう。この方法では、ブレンドした複数種のゴム相のうち、導電剤が1つのゴム相に多く偏在する。従って、導電剤の充填量が少量でも半導電領域の電気抵抗値が得られると同時に充填量が少量で済むので低硬度の帯電部材が得られる。
【0004】
また、特許文献2では、あらかじめ架橋したゴム組成物を粉砕し、そのゴム粒子をドメイン相とした、ドメイン構造を形成する方法が提案されている。ここでは、ドメイン構造の海相もしくは島相のどちらか一方に総ての導電剤を偏在させることができるため、弾性体層中に添加する充填量が少量で済み、低硬度の帯電部材が得られることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−45013号公報
【特許文献2】特開2007−138034号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、一般に、帯電ローラは、その軸芯体の両端部に荷重を印加することによって感光体に当接させられている。即ち、帯電ローラの弾性体層の軸方向両端部は、中央部に比較して相対的に高い圧力で感光体に当接している。そのため、帯電ローラの弾性体層が柔軟である場合、弾性体層には帯電ローラの軸に沿う方向の両端部と中央部との間でねじれが生じることとなる。特にプロセススピードが高くなってくると、弾性体層にねじれが蓄積されていく。そして、そのねじれが解放されるときに、帯電ローラと感光体との間ですべりが生じ、感光体の帯電不良が生じることがある。特に、近年の電子写真装置におけるプロセススピードの向上により、帯電ローラの弾性体層に蓄積されるねじれが大きくなってきており、当該ねじれの解放に伴う帯電不良は、高品位な電子写真画像を安定的に形成するうえで解決すべき課題であるとの認識を得た。
【0007】
そこで、本発明の目的は、帯電ローラを感光体に従動回転させて帯電ローラの弾性体層にねじれが生じたときにも、当該ねじれが容易に解放され、感光体とのスリップが生じにくい帯電ローラを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様によれば、導電性基体と、該導電性基体上に形成されてなる弾性体層とを有する帯電ローラであって、該弾性体層は、ゴム粒子が分散されてなり、該ゴム粒子は、熱可塑性樹脂をシェルとする気体を内包した中空粒子を含有し、該熱可塑性樹脂はアクリロニトリル樹脂、メタクリロニトリル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、塩化ビニル樹脂、スチレン樹脂、ポリウレタン樹脂およびポリアミド樹脂から選ばれる少なくとも1つの樹脂を含む帯電ローラが提供される。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る帯電ローラによれば、感光体との従動回転によって弾性体層にねじれが生じたときにも、当該ねじれが容易に解放され、感光体とのスリップが生じにくい。そのため、帯電ローラと感光体との間でのスリップに起因する帯電ムラの発生を抑制できる。さらに、当該スリップに起因するトナー等の帯電ローラ表面への固着を抑制することができる。これらの結果として、高品位な電子写真画像を安定して形成することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明に係る帯電部材(ローラ形状)の断面図である。
【図2】本発明に係る帯電部材(平板形状)の断面図である。
【図3】帯電ローラの電気抵抗値測定器の概略図である
【図4】帯電部材及び成形体の製造に用いる単層クロスヘッド押出成形機の概略断面図である。
【図5】本発明に係る電子写真装置の一実施形態の概略断面図である。
【図6】本発明に係るプロセスカートリッジの一実施形態の概略断面図である。
【図7】本発明に係る帯電ローラと電子写真感光体との当接状態を表す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<帯電部材>
本発明に係る帯電部材は、導電性基体上に、弾性体層を有する構成の電子写真用帯電部材であり、被帯電体を帯電するのに用いられる。この弾性体層は、ゴム粒子を含有してなる。ゴム粒子は、熱可塑性樹脂をシェルとする気体を内包した中空粒子を含有する。熱可塑性樹脂はアクリロニトリル樹脂、メタクリロニトリル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、塩化ビニル樹脂、スチレン樹脂、ポリウレタン樹脂、およびポリアミド樹脂から選ばれる少なくとも1つの樹脂を含む。
【0012】
前記熱可塑性樹脂はガス透過性が低い材料である。中空粒子は、変形が加わった時、高い反発性を発現する。これは、シェルのガス透過性が低いことにより、中空粒子の内圧が高まるためである。ゴム粒子は、弾性体層中に分散されてなり、弾性体層中に島相を形成する。そして、当該島相は、上記の中空粒子を含むため、外力に対し高い反発性を有することとなる。
【0013】
弾性体層中に島相が存在することにより、弾性体層にねじれが生じたときには、当該島相に応力が集中すると考えられる。そして、当該島相は、上記したように中空粒子を含有することにより、高い反発性を示す。その結果、弾性体層に生じたねじれは容易に解放され、蓄積されにくい。そのため、従来、弾性体層中に生じたねじれの解放時に発生していた帯電ローラと感光体との間のスリップが生じにくくなり、帯電ムラの発生を抑制することができる。
【0014】
本発明に係る帯電部材の一例を図1(ローラ形状)及び図2(平板形状)に示す。なお、これらの図は、本発明に係る帯電部材の概略断面図を示したものである。以下において、図1に示したローラ形状のもの、すなわち帯電ローラによって詳細に説明する。
【0015】
図1(a)は、導電性基体1と弾性体層2を有している帯電ローラである。図1(b)は、導電性基体1と弾性体層2、さらに弾性体層2の上に表面層3を有する帯電ローラである。本発明に係る帯電ローラは、導電性基体1と弾性体層2を有しており、弾性体層2は、ゴム粒子3を含有しており、ゴム粒子は中空粒子4を含有している。弾性体層2は、その上に表面層5を有しても良い。導電性基体1と弾性体層2、あるいは、順次積層する層(例えば、図1(b)に示す弾性体層と表面層)は、接着剤を介して接着してもよい。この場合、接着剤は導電性であることが好ましい。導電性とするため、接着剤には公知の導電剤を含有させることができる。
【0016】
接着剤のバインダーとしては、熱硬化性樹脂や熱可塑性樹脂が挙げられるが、ウレタン系、アクリル系、ポリエステル系、ポリエーテル系、エポキシ系等の公知のものを用いることができる。接着剤に導電性を付与するための導電剤としては、後に詳述する導電剤から適宜選択し、単独で、また2種類以上組み合わせて、用いることができる。
【0017】
本発明に係る帯電ローラは、感光体の帯電を良好なものとするため、通常、電気抵抗値が、23℃、50%RH環境中において、1×102Ω以上、1×1010Ω以下であることがより好ましい。一例として、図3に帯電ローラ10の電気抵抗値の測定法を示す。導電性基体1の両端を、荷重のかかった軸受け7により電子写真感光体と同じ曲率の金属製円柱6に、平行になるように当接させる。この状態で、モータにより金属製円柱6を回転させ、当接した帯電ローラ10を従動回転させながら安定化電源8から直流電圧−200Vを印加する。この時に流れる電流を電流計9で測定し、帯電ローラ10の電気抵抗値を計算する。本発明において、荷重は各4.9Nとし、金属製円柱は直径30mm、金属製円柱の回転は周速45mm/secとされる。
【0018】
〔導電性基体〕
本発明の帯電部材に用いられる導電性基体は、導電性を有し、その上に設けられる弾性体層等を支持する機能を有するものである。材質としては、例えば、鉄、銅、ステンレス、アルミニウム、ニッケル等の金属やその合金を挙げることができる。
【0019】
〔弾性体層〕
弾性体層は、ゴム粒子を含有してなり、該ゴム粒子は、熱可塑性樹脂をシェルとする気体を内包した中空粒子を含有し、該熱可塑性樹脂はアクリロニトリル樹脂、メタクリロニトリル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、塩化ビニル樹脂、スチレン樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂から選ばれる少なくとも1つの樹脂を含むことを特徴とする。
【0020】
弾性体層(ゴム粒子を除くもの)に用いる材料としては、公知のものを採用することができる。例えば、樹脂、天然ゴムやこれを加硫処理したもの、合成ゴムなどのゴム等を挙げることができる。樹脂としては、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂等の樹脂が使用できる。中でも、フッ素樹脂、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂、ブチラール樹脂等がより好ましい。合成ゴムとしては、以下のものが挙げられる。エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、シリコーンゴム、ウレタンゴム、イソプレンゴム(IR)、ブチルゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)、アクリルゴム及びエピクロルヒドリンゴム等。あるいはスチレンブタジエンスチレンブロックコポリマー(SBS)、スチレンエチレンブチレンスチレンブロックコポリマー(SEBS)等の熱可塑性エラストマー。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
【0021】
この中でも、電気抵抗値の調整が容易であることから、極性ゴムを用いるのがより好ましい。中でも、エピクロルヒドリンゴム及びNBRを挙げることができる。これらは、弾性体層の抵抗値制御及び硬度制御をより行い易いという利点がある。エピクロルヒドリンゴムは、ポリマー自体が中抵抗値領域の導電性を有し、導電剤の添加量が少なくても良好な導電性を発揮することができる。また、位置による電気抵抗値のバラツキも小さくすることができるので、高分子弾性体として好適に用いられる。エピクロルヒドリンゴムとしては以下のものが挙げられる。エピクロルヒドリン単独重合体、エピクロルヒドリン−エチレンオキサイド共重合体、エピクロルヒドリン−アリルグリシジルエーテル共重合体及びエピクロルヒドリン−エチレンオキサイド−アリルグリシジルエーテル三元共重合体。この中でも安定した中抵抗値領域の導電性を示すことから、エピクロルヒドリン−エチレンオキサイド−アリルグリシジルエーテル三元共重合体が特に好適に用いられる。エピクロルヒドリン−エチレンオキサイド−アリルグリシジルエーテル三元共重合体は、重合度や組成比を適度に調整することで導電性や加工性を制御できる。
【0022】
弾性体層(ゴム粒子を除くもの)に用いる材料は、エピクロルヒドリンゴム単独でもよいが、エピクロルヒドリンゴムを主成分として、必要に応じてその他の一般的なゴムを含有してもよい。その他の一般的なゴムとしては、以下のものが挙げられる。エチレンプロピレンゴム(EPM)、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、クロロプレンゴム、天然ゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴム等。また、スチレンブタジエンスチレンブロックコポリマー(SBS)、スチレンエチレンブチレンスチレンブロックコポリマー(SEBS)の如き熱可塑性エラストマーを含有してもよい。上記の一般的なゴムを含有する場合、その含有量は、弾性体層の材料100質量部に対し、1〜50質量部であるのがより好ましい。
【0023】
弾性体層の体積抵抗率は、23℃、50%RH環境下で測定して、102Ω・cm以上1010Ω・cm以下であることが好ましい。また、体積抵抗率を調整するため、カーボンブラック、導電性金属酸化物、アルカリ金属塩、アンモニウム塩等の導電剤を適宜添加することができる。弾性体層の材料に極性ゴムを使用する場合は、特に、アンモニウム塩を用いることが好ましい。
【0024】
また、弾性体層には、硬度等を調整するために、軟化油、可塑剤等の添加剤を添加してもよい。可塑剤等の配合量は、弾性体層の材料100質量部に対して、好ましくは1〜30質量部であり、より好ましくは3〜20質量部である。可塑剤としては、高分子タイプのものを用いることがより好ましい。高分子可塑剤の分子量は、好ましくは2000以上、より好ましくは4000以上である。更に、弾性体層には、種々な機能を付与する材料を適宜含有させてもよい。これらの例として、老化防止剤、充填剤等を挙げることができる。
【0025】
(ゴム粒子)
弾性体層に含有させるゴム粒子に用いる材料としては、ゴム弾性を有する材料を使用でき、弾性体層(ゴム粒子を除くもの)の材料として上記で例示した公知のゴムを挙げることができる。帯電部材としての抵抗値ムラが生じることを抑えるため、ゴム粒子は弾性体層(ゴム粒子を除くもの)の材料と同等の体積抵抗率を有するものであることが好ましい。体積抵抗率を調整するため、カーボンブラック、導電性金属酸化物、アルカリ金属塩、アンモニウム塩等の導電剤を適宜添加することができる。ゴム粒子の材料として極性ゴムを使用する場合は、特に、アンモニウム塩を用いることが好ましい。
【0026】
また、弾性体層(ゴム粒子を除くもの)の材料と同様に抵抗値調整が容易であり、かつ圧縮永久歪みが低いという観点から、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)、およびエピクロルヒドリンゴムから選ばれる1つのゴムを含むゴム粒子を好適に用いることができる。さらに、これらは、抵抗値制御及び硬度制御をより行い易いという利点がある。また、弾性体層(ゴム粒子を除くもの)の場合と同様にゴム粒子にも、硬度等を調整するために、軟化油、可塑剤等の添加剤を添加してもよい。可塑剤等の配合量および分子量は、上記弾性体層(ゴム粒子を除くもの)の場合と同様である。また同様にして、老化防止剤、充填剤等を使用できる。
【0027】
ゴム粒子の製造方法としては、加硫したゴムを凍結粉砕法や研削粉砕法等を用いて粉砕する方法、ラテックスから重合する方法、ゴム中に分散させたゴム粒子の組成物を加硫する方法等が挙げられる。本発明のゴム粒子は、中空粒子を含有していることから、中空粒子を含有させた加硫ゴムを粉砕する方法を好適に用いることができる。具体的には、上記ゴムと上記中空粒子と架橋剤を混合し加硫する。この加硫ゴムを公知の粉砕法により粉砕することで、本発明のゴム粒子を得る。特に、凍結粉砕をすることによって粉砕性を高めることができる。このように作製したゴム粒子を篩い分けることで、ゴム粒子の粒径を所望のサイズに調整することができる。ゴム粒子の平均粒径は、50μm以上300μm以下が好ましく、更には、100μm以上200μm以下がより好ましい。弾性体層中のゴム粒子の大きさ、即ち島相の大きさを本範囲とすることにより、帯電部材にかかるねじれを微小に抑え、微小な状態からの開放という島相による効果を効果的に実現できる。
【0028】
帯電部材中のゴム粒子の平均粒径は以下の方法で測定される。先ず、弾性体層の任意の点を500μmに亘って、20nmずつ集束イオンビーム(商品名:FB−2000C、日立製作所社製)にて切り出し、その断面画像を撮影する。そして同一のゴム粒子を撮影した画像を組み合わせて立体像を算出する。ゴム粒子の立体像からゴム粒子の投影面積を求め、この面積と等しい面積を持つ円の直径をゴム粒子の粒径とする。同様にして、別のゴム粒子の断面投影面積から、ゴム粒子の粒径を求める。このような作業を視野内のゴム粒子10個について行う。そして、同様の測定を帯電部材の長手方向10箇所について行い、得られた合計100個の直径の算術平均値を平均粒径とする。
【0029】
弾性体層のドメイン構造中の海相ゴム成分100質量部に対して、ゴム粒子の添加量は10質量部以上80質量部以下が好ましく、更には、30質量部以上60質量部以下がより好ましい。本範囲とすることにより、一つ一つのゴム粒子に加わるねじれを微小に抑え、高反発性によるねじれの微小な状態からの開放という島相の特性がより効果的に実現される。
【0030】
(中空粒子)
ゴム粒子中の中空粒子は、気体を内包したシェル構造を有し、シェルは熱可塑性樹脂からなる。中空粒子のシェルに用いる材料としては、中空粒子の反発性をより高くすることを目的として、ガス透過性が低いものが選択される。その目的に適合する中空粒子のシェルの材料として、アクリロニトリル樹脂、メタクリロニトリル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、塩化ビニル樹脂、スチレン樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂から選ばれる少なくとも1つの樹脂を含む熱可塑性樹脂が挙げられる。特には、ガス透過性が特に低い、アクリロニトリル樹脂、メタクリロニトリル樹脂、塩化ビニリデン樹脂を含む熱可塑性樹脂が好ましい。
【0031】
中空粒子の平均粒径は、ゴム粒子の平均粒径に対して1/2以下であることが好ましい。具体的には、中空粒子の平均粒径は10μm以上50μm以下であることが好ましい。また、中空粒子により形成されるゴム粒子中の空孔率は、30体積%以上であることが好ましい。ここで空孔率とはゴム粒子の単位体積中に含まれる中空部の体積の割合(%)をいう。これらにより、ゴム粒子に対して低硬度かつ高反発性という特性を、より効果的に付与することができる。中空粒子の平均粒径の測定は、前記ゴム粒子の平均粒径の測定の場合と同様の方法で行うことができる。
【0032】
中空粒子に由来するゴム粒子の空孔率は以下の方法で測定される。先ず、弾性体層の任意の点を500μmに亘って、20nmずつ集束イオンビーム(商品名:FB−2000C、日立製作所製)にて切り出し、その断面画像を撮影する。そして同一のゴム粒子を撮影した画像を組み合わせて立体像を算出する。ゴム粒子の立体像から中空粒子を含むゴム粒子の体積を求める。また、体積を求めた粒子と同一のゴム粒子中に存在する中空部の体積の総和を求める。中空粒子を含むゴム粒子の体積に対する中空部の体積によりゴム粒子の空孔率を算出する。このような作業を視野内のゴム粒子10個について行う。そして、同様の測定を帯電部材の長手方向10箇所について行い、得られた合計100個の平均値を算出する。
【0033】
中空粒子としては、粒子の内部が気泡となっている粒子を用いても良いし、粒子の内部に内包物質を含み、熱を加えることにより内包物質が膨張し、中空粒子となるいわゆる熱膨張性マイクロカプセルを用いても良い。熱膨張性マイクロカプセルを本発明に用いた場合、ゴム粒子用未加硫ゴム組成物の加硫時の熱でシェルとなる熱可塑性樹脂が膨張する。成形時の温度条件を制御することによって、カプセルが溶融したり破裂することなくシェル構造を維持した状態で成形することができる。
【0034】
熱膨張性マイクロカプセルを用いる場合、内包させる物質としては、中空粒子のシェルの軟化点以下の温度でガスになって膨張するもので、例えば以下のものが用いられる。プロパン、プロピレン、ブテン、ノルマルブタン、イソブタン、ノルマルペンタン、イソペンタンなどの低沸点液体、ノルマルヘキサン、イソヘキサン、ノルマルヘプタン、ノルマルオクタン、イソオクタン、ノルマルデカン、イソデカンなどの高沸点液体等。これら熱膨張性マイクロカプセルは、懸濁重合法、界面重合法、界面沈殿法、液中乾燥法といった公知の製法により製造することができる。
【0035】
懸濁重合法とは、分散安定剤を含有する水相中に、原料モノマーが添加されてなる油相を添加、攪拌混合して原料モノマーの微細な液滴を形成させ、次いで加熱反応させ重合を行い、熱膨張性マイクロカプセルを製造する方法である。具体的には、原料モノマー、前記内包物質、重合開始剤、及び架橋剤等を添加させた油相を調製する。次に、分散安定剤、分散安定補助剤等を添加させた水相を調製する。これら油相と水相を混合させて分散液を作製する。この分散液を攪拌混合し、加圧し、加熱反応させることにより、反応生成物を作製する。得られた反応生成物について、ろ過、水洗浄を行い、その後乾燥させることで所望の熱膨張性マイクロカプセルを得ることができる。
【0036】
界面重合法とは、乳化分散剤と親水性原料モノマーが添加されてなる水相と、疎水性原料モノマーが添加されてなる油相とを混合させて作製した乳化分散液を加熱反応させ、水相と油相の界面において重合を行い、熱膨張性マイクロカプセルを製造する方法である。具体的には、親水性の原料モノマー、乳化分散剤を添加させた水相を調製する。次に、疎水性の原料モノマー、前記内包物質、架橋剤を溶解させた油相をそれぞれ調製する。これら水相と油相を混合させ、攪拌混合させることで水相に油相が分散された乳化分散液を調製する。この分散液を攪拌混合し、加圧し、加熱させることで水相と油相の界面で重合が進行し、反応生成物が作製される。得られた反応生成物について、ろ過、水洗浄を行い、その後乾燥させることで所望の熱膨張性マイクロカプセルを得ることができる。
【0037】
界面沈殿法とは、温度、PH、溶解度パラメータ等による溶媒と熱可塑性樹脂との溶解度の差を利用して熱可塑性樹脂を析出させ、カプセル化させる製法である。具体的には、まず、あらかじめ重合反応により作製した熱可塑性樹脂を、前記内包物質を含む溶剤に溶解させる。この溶液に、熱可塑性樹脂に対して溶解度の低い溶媒(貧溶媒)を添加することで、熱可塑性樹脂の粒子を析出させる。この際、貧溶媒に予め内包物質を添加しておいてもよい。または、熱可塑性樹脂を内包物質を含む溶剤に溶解させ、その後、内包物質を含む貧溶媒を添加してもよい。あるいは、内包物質を含む溶剤に、熱可塑性樹脂を加熱し溶解させ、その後冷却することで熱可塑性樹脂の粒子を析出させてもよい。いずれの方法においても、ろ過、洗浄、乾燥させることで所望の熱膨張性マイクロカプセルを得ることができる。
【0038】
液中乾燥法とは、溶媒にポリマーを溶解させ、分散剤を含む媒体中に加えて分散液を調製した後に、溶媒を除去してカプセル化させる製法である。具体的には、まず、あらかじめ重合反応により作製した熱可塑性樹脂を、前記内包物質を含む溶剤に溶解させた樹脂溶液を調製する。次に、分散剤を添加した水性媒体中に該樹脂溶液を分散させ、加熱、減圧により溶剤を除去する。その後、ろ過、洗浄、乾燥させることで所望の熱膨張性マイクロカプセルを得ることができる。
【0039】
(弾性体層の形成)
弾性体層の形成方法としては、特に制約はなく、公知の方法を適宜用いればよい。例えば、この形成方法として、上述の各種ゴム成分その他の成分からなる組成物をリボンブレンダー、ナウターミキサー、ヘンシェルミキサー、スーパーミキサー、バンバリーミキサー、加圧ニーダー等で混合するなど、公知の方法を用い、弾性体層用の未加硫ゴム組成物を得る。さらに、得られた未加硫ゴム組成物に上述のゴム粒子を二本ロール機等を用いて、混合する。
【0040】
得られたゴム粒子を含有した未加硫ゴム組成物をクロスヘッドを備えた押出機を用いて、導電性基体と未加硫ゴム組成物を一体的に押出して予備成形体を作製することができる。クロスヘッドとは、電線や針金の被覆層を構成するために用いられる、押出機のシリンダ先端に設置して使用する押出金型である。さらに、得られた予備成形体を熱風炉などの高温雰囲気中にて加熱架橋させることで、帯電部材を得る。
【0041】
または、ゴム粒子を含有した未加硫ゴム組成物を予め所定の膜厚に形成されたシート形状又はチューブ形状にしたのちに、導電性基体に接着又は被覆して帯電部材予備成形体を作製する。次いでこの予備成形体を円筒状のキャビティを有する円筒型または割型内に設置して加熱し、所定の寸法を有する帯電部材を得る方法がある。また、前記円筒型内に未加硫ゴム組成物と導電性基体を設置してから加熱架橋する方法も用いられる。
【0042】
上記帯電部材は、適時、表面を研磨加工してもよい。研磨加工を行う円筒研磨機としては、トラバース方式のNC円筒研磨機、プランジカット方式のNC円筒研磨機等を例示することができる。
【0043】
(表面層)
本発明の帯電部材は、弾性体層の上に表面層を形成した構成であってもよい。表面層を形成することで、帯電部材の離型性を向上させることができる。表面層に用いるバインダーとしては、公知のバインダー樹脂を採用することができる。例えば、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂等の樹脂が使用できる。中でも、フッ素樹脂、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリルウレタン樹脂、シリコーン樹脂、ブチラール樹脂等がより好ましい。これらは、単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。また、これら樹脂の原料である単量体を共重合させた共重合体を用いても良い。なお、これらの中でも、表面層に用いるバインダーとしては、電子写真感光体やその他の部材を汚染せず離型性が高いという観点から、樹脂を用いることが好ましい。
【0044】
表面層の体積抵抗率は、23℃、50%RH環境において、1×103Ω・cm以上1×1015Ω・cm以下であることが好ましい。表面層の体積抵抗率がこれよりも小さいと、電子写真感光体にピンホールが発生した場合、ピンホールに過大な電流が流れて印加電圧が降下してしまい、ピンホール部の長手方向全域に帯状の画像ムラが発生する場合がある。逆に体積抵抗率が大き過ぎると、帯電ローラに電流が流れにくくなり、電子写真感光体を所定の電位に帯電することができず画像が所望濃度にならない場合がある。
【0045】
表面層の体積抵抗率は、以下のようにして求められる。まず、ローラ状態から表面層を剥がし、縦5mm、横5mm程度の短冊形に切り出す。両面に金属を蒸着して電極とガード電極とを作製し測定用サンプルを得る。あるいはアルミシートの上に塗布して表面層塗膜を形成し、塗膜面に金属を蒸着して測定用サンプルを得る。得られた測定用サンプルについて微小電流計(商品名:ADVANTEST R8340A ULTRA HIGH RESISTANCE METER、アドバンテスト社製)を用いて200Vの電圧を印加する。そして、30秒後の電流を測定し、膜厚と電極面積とから計算して求める。
【0046】
表面層の体積抵抗率は、前述した導電剤により調整することができる。表面層に加えられる導電剤の添加量は、バインダー100質量部に対して2〜80質量部、好ましくは20〜60質量部の範囲が適当である。
【0047】
表面層には、本発明の効果を損なわない範囲で他の粒子を含有させることができる。他の粒子としては、絶縁性粒子を挙げることができる。絶縁性粒子は1種を使用しても、2種以上を組み合わせて用いてもよく、また、表面処理、変性、官能基や分子鎖の導入、コーティング等を施したものでもよい。粒子の分散性を高めるために、粒子は表面処理が施されていることがより好ましい。
【0048】
表面層には、更に、離型性を向上させるために、離型剤を含有させても良い。表面層に離型剤を含有させることで、帯電部材の表面に汚れが付着することを防ぎ、帯電部材の耐久性を向上させることができる。離型剤が液体の場合は、表面層を形成する際にレベリング剤としても作用する。
【0049】
表面層は、0.1μm以上100μm以下の厚さを有することが好ましい。より好ましくは、1μm以上50μm以下である。なお、表面層の膜厚は、帯電部材断面を鋭利な刃物で切り出して、光学顕微鏡や電子顕微鏡で観察することで測定できる。
【0050】
表面層は、表面処理が施されていてもよい。表面処理としては、UVや電子線を用いた表面加工処理や、化合物等を表面に付着及び/又は含浸させる表面改質処理を挙げることができる。
【0051】
(表面層の形成)
表面層は、静電スプレー塗布やディッピング塗布やリング塗布等の塗布法により形成することができる。または、予め所定の膜厚に成膜されたシート形状又はチューブ形状の層を接着又は被覆することにより形成することもできる。あるいは、型内で所定の形状に材料を硬化、成形する方法も用いることができる。この中でも、塗布法によって塗料を塗工し、塗膜を形成することが好ましい。
【0052】
塗布法によって層を形成する場合、塗布液に用いられる溶剤としては、バインダーを溶解することができる溶剤であればよい。具体的には以下のものが挙げられる。メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類、ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールモノメチルエーテル等のエーテル類、酢酸メチル、酢酸エチル等のエステル類、キシレン、リグロイン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン等の芳香族化合物など。
【0053】
塗布液に、バインダー、導電剤及び絶縁性粒子等を分散する方法としては、ボールミル、サンドミル、ペイントシェーカー、ダイノミル、パールミル等の公知の溶液分散手段を用いることができる。
【実施例】
【0054】
以下、製造例、実施例及び比較例によって本発明をより具体的に説明する。製造例1〜7は、中空粒子として用いられる熱膨張性マイクロカプセル1〜7の製造例である。製造例8〜11は、ゴム粒子1〜4の製造例である。製造例12〜15は、未加硫ゴム組成物1〜4の製造例である。製造例16〜18は、表面層用塗布液1〜3の製造例である。製造例19〜24は、中空粒子として用いられる熱膨張性マイクロカプセル8〜13の製造例である。製造例25〜80は、ゴム粒子5〜60の製造例である。
【0055】
〔製造例1〕熱膨張性マイクロカプセル1の作製
反応容器に、イオン交換水8000質量部と、分散安定剤としてコロイダルシリカ9質量部及びポリビニルピロリドン0.3質量部を添加し、水性分散媒体を調製した。次いで、原料モノマーとしてアクリロニトリル200質量部と、内包物質としてノルマルヘキサン25質量部と、重合開始剤としてジクミルパーオキシド1.5質量部と、架橋物質としてメチルメタアクリレート1.0質量部からなる油性混合液を調製した。この液を上記水溶性分散媒体に添加し、更に水酸化ナトリウム0.8質量部を添加することにより、分散液を得た。
【0056】
得られた分散液をホモジナイザーを用いて攪拌混合し、窒素置換した反応容器内へ仕込み、加圧し、60℃で20時間反応させることにより、反応生成物を得た。得られた反応生成物について、ろ過と水洗を繰り返した後、乾燥して熱膨張性マイクロカプセルを得た。これを分級することにより体積平均粒径12μmの熱膨張性マイクロカプセル1とした。
【0057】
〔製造例2〕熱膨張性マイクロカプセル2の作製
原料モノマーをメタクリロニトリルとした以外は、製造例1と同様の方法で、体積平均粒径12μmの熱膨張性マイクロカプセル2を得た。
【0058】
〔製造例3〕熱膨張性マイクロカプセル3の作製
原料モノマーを塩化ビニリデンとした以外は、製造例1と同様の方法で、体積平均粒径12μmの熱膨張性マイクロカプセル3を得た。
【0059】
〔製造例4〕熱膨張性マイクロカプセル4の作製
原料モノマーをスチレンとした以外は、製造例1と同様の方法で、体積平均粒径12μmの熱膨張性マイクロカプセル4を得た。
【0060】
〔製造例5〕熱膨張性マイクロカプセル5の作製
反応容器内で、イオン交換水800質量部に乳化剤10質量部を溶解させ、水性分散媒体を調製した。次いで、ヘキサメチレンジアミン80質量部、ジエチレントリアミン15質量部、イソブタン100質量部、イソフタル酸クロリド100質量部、及びメチルエチルケトン(MEK)120質量部からなる油性混合液を調製した。この液を上記水溶性分散媒体に添加し、分散液を調製した。得られた分散液をホモジナイザーを用いて攪拌混合し、60℃で10時間反応させることにより、反応生成物を得た。得られた反応生成物について、ろ過と水洗を繰り返した後、乾燥して熱膨張性マイクロカプセルを得た。これを分級することにより体積平均粒径12μmの熱膨張性マイクロカプセル5を得た。
【0061】
〔製造例6〕熱膨張性マイクロカプセル6の作製
反応容器内で、イオン交換水400質量部にドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム2部を添加し、水溶性分散媒体を調製した。次いで、塩化ビニル100質量部、イソペンタン200質量部、n−ブチルアクリレート100質量部、トリメチロールプロパントリアクリレート2質量部、2,2−アゾビスイソブチロニトリル2質量部からなる油性混合液を調製した。この液を上記水溶性分散媒体に添加し、分散液を調製した。得られた分散液をホモジナイザーを用いて攪拌混合し、窒素置換した反応容器内へ仕込み、80℃で30分間反応させることで反応性生物を得た。得られた反応生成物について、ろ過と水洗を繰り返した後、乾燥して熱膨張性マイクロカプセルを得た。これを分級することにより体積平均粒径12μmの熱膨張性マイクロカプセル6を得た。
【0062】
〔製造例7〕熱膨張性マイクロカプセル7の作製
ポリエチレンテレフタレート325質量部に、トルエン500質量部を添加し、さらにイソホロンジイソシアネート(IPDI)70質量部を添加し、トルエン還流下に120℃で5時間反応を行った後、室温まで冷却した。次いで、ヘキサメチレンジアミン13質量部、及びジエチレントリアミン10質量部を添加し60℃で5時間反応を行った後、トルエンを減圧下に留去し、両末端に水酸基を持ちウレタンおよびウレア結合を有するポリウレタン樹脂を得た。得られた樹脂200質量部、黄酸化鉄6質量部、ノルマルヘキサン30質量部、酢酸エチル185質量部を混合し、あらかじめ作製したポリビニルアルコール0.5%水溶液1000質量部中に室温で5時間かけて滴下しながら攪拌分散し、熱膨張性マイクロカプセルの水分散物を得た。得られた熱膨張性マイクロカプセルの水分散物について、ろ過と水洗を繰り返した後、乾燥して熱膨張性マイクロカプセルを得た。これを分級することにより体積平均粒径12μmの熱膨張性マイクロカプセル7を得た。
【0063】
〔製造例8〕ゴム粒子1の作製
アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)(商品名:N230SV、JSR社製)100質量部に対し下記の4成分を加えて、50℃に調節した密閉型ミキサーにて15分間混練した。
・カーボンブラック(商品名:トーカブラック#7360SB、東海カーボン社製):48質量部、
・ステアリン酸亜鉛(商品名:SZ−2000、堺化学工業社製):1質量部、
・酸化亜鉛(商品名:亜鉛華2種、堺化学工業社製):5質量部、
・炭酸カルシウム(商品名:シルバーW、白石工業社製):20質量部。
【0064】
これに、熱膨張性マイクロカプセル1を13質量部、加硫剤として硫黄1.2質量部、加硫促進剤としてテトラベンジルチウラムジスルフィド(TBzTD)(商品名:パーカシットTBzTD、フレキシス社製)4.5質量部を添加し、25℃に冷却した二本ロール機にて10分間混練し、未加硫ゴム組成物を得た。この未加硫ゴム組成物を160℃の型内で加硫し、その後、160℃のオーブンの中で加硫をした。この加硫ゴムを2mm角に切断し、凍結させ、ミルで粉砕し、分級することで平均粒径150μmのゴム粒子1を得た。尚、加硫段階において熱膨張性マイクロカプセルが膨張して中空粒子となり、これがゴム粒子1内に存在していた。
【0065】
〔製造例9〕ゴム粒子2の作製
エピクロルヒドリンゴム(EO−EP−AGE三元共化合物)(商品名:エピオンON301、ダイソー社製)100質量部に対し下記の7成分を加えて、50℃に調節した密閉型ミキサーにて10分間混練した。
・炭酸カルシウム(商品名:ナノックス#30、丸尾カルシウム社製):60質量部、
・脂肪族ポリエステル系可塑剤(商品名:ポリサイザーP−202、大日本インキ化学工業社製):10質量部、
・ステアリン酸亜鉛(製造例8と同様):1質量部、
・2−メルカプトベンズイミダゾール(商品名:ノクラックNS−5、大内新興化学工業社製):0.5質量部、
・酸化亜鉛(製造例8と同様):2質量部、
・四級アンモニウム塩(商品名:アデカサイザーLV70、旭電化工業社製):2質量部、
・カーボンブラック(商品名:シーストGSO、東海カーボン社製):5質量部。
【0066】
これに、熱膨張性マイクロカプセル3を1質量部、加硫剤として硫黄0.8質量部、加硫促進剤としてジベンゾチアジルスルフィド(DM)(商品名:ノクセラーDM、大内新興化学工業社製)1質量部、テトラメチルチウラムモノスルフィド(TS)(商品名:ノクセラーTS、大内新興化学工業社製)0.5質量部を添加し、25℃に冷却した二本ロール機にて10分間混練し、未加硫ゴム組成物を得た。この未加硫ゴム組成物を用いて、製造例8と同様の方法により平均粒径50μmのゴム粒子2を作製した。
【0067】
〔製造例10〕ゴム粒子3の作製
スチレンブタジエンゴム(SBR)(商品名:SBR1500、JSR社製)100質量部に対し下記の6成分を加えて、80℃に調節した密閉型ミキサーにて15分間混練した。
・酸化亜鉛(製造例8と同様):5質量部、
・ステアリン酸亜(製造例8と同様):2質量部、
・カーボンブラック(商品名:ケッチェンブラックEC600JD、ライオン社製):8質量部、
・カーボンブラック(商品名:シーストS、東海カーボン社製):40質量部、
・炭酸カルシウム(製造例8と同様):15質量部、
・パラフィンオイル(商品名:PW380、出光興産社製):20質量部。
【0068】
これに、熱膨張性マイクロカプセル1を5質量部、加硫剤として硫黄1質量部、加硫促進剤としてジベンゾチアジルスルフィド(DM)(製造例9と同様)1質量部、テトラメチルチウラムモノスルフィド(TS)(製造例9と同様)1質量部を添加し、25℃に冷却した二本ロール機にて10分間混練し、未加硫ゴム組成物を得た。この未加硫ゴム組成物を用いて、製造例8と同様の方法により平均粒径150μmのゴム粒子3を作製した。
【0069】
〔製造例11〕ゴム粒子4の作製
エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)(商品名:エスプレンEPDM505A、住友化学工業社製)100質量部に対し下記の6成分を加えて、80℃に調節した密閉型ミキサーにて15分間混練した。
・酸化亜鉛(製造例8と同様):5質量部
・ステアリン酸亜鉛(製造例8と同様):2質量部、
・カーボンブラック(商品名:ケッチェンブラックEC600JD、ライオン社製):8質量部、
・カーボンブラック(商品名:シーストS、東海カーボン社製):30質量部、
・炭酸カルシウム(製造例8と同様):15質量部、
・パラフィンオイル(製造例10と同様):20質量部。
【0070】
これに、熱膨張性マイクロカプセル3を1質量部、加硫剤として硫黄1質量部、加硫促進剤としてジベンゾチアジルスルフィド(DM)(製造例9と同様)1質量部、テトラメチルチウラムモノスルフィド(TS)(製造例9と同様)1質量部を添加し、25℃に冷却した二本ロール機にて10分間混練し、未加硫ゴム組成物を得た。この未加硫ゴム組成物を用いて、製造例8と同様の方法により平均粒径100μmのゴム粒子4を作製した。
【0071】
〔製造例12〕NBRを用いた未加硫ゴム組成物1の作製
製造例8において、熱膨張性マイクロカプセルに代えて、NBR100質量部に対してゴム粒子1を50質量部加えたものを使用したこと以外は製造例8と同様の方法により未加硫ゴム組成物1を作製した。
【0072】
〔製造例13〕エピクロルヒドリンゴムを用いた未加硫ゴム組成物2の作製
製造例9において、熱膨張性マイクロカプセルに代えて、エピクロルヒドリンゴム100質量部に対してゴム粒子1を50質量部加えたものを使用したこと以外は製造例9と同様の方法により未加硫ゴム組成物2を作製した。
【0073】
〔製造例14〕SBRを用いた未加硫ゴム組成物3の作製
製造例10において、熱膨張性マイクロカプセルに代えて、SBR100質量部に対してゴム粒子1を50質量部加えたものを使用したこと以外は製造例10と同様の方法により未加硫ゴム組成物を作製した。
【0074】
〔製造例15〕EPDMを用いた未加硫ゴム組成物4の作製
製造例11において、熱膨張性マイクロカプセルに代えて、EPDM100質量部に対してゴム粒子1を50質量部加えたものを使用したこと以外は製造例11と同様の方法により未加硫ゴム組成物4を作製した。
【0075】
〔製造例16〕表面層用塗布液1の作製
カプロラクトン変性アクリルポリオール溶液(商品名:プラクセルDC2016、ダイセル化学工業社製)にメチルイソブチルケトン(MIBK)を加え、固形分17質量%となるように調整した。この溶液588.24質量部(アクリルポリオール固形分100質量部)に対して、下記の3成分を加え、混合溶液を調製した。
・カーボンブラック(商品名:#52、三菱化学社製):45質量部、
・変性ジメチルシリコーンオイル(商品名:SH28PA、東レ・ダウコーニングシリコーン社製):0.08質量部、
・ブロックイソシアネート混合物(HDI(商品名:デュラネートTPA−B80E、旭化成工業社製)とIPDI(商品名:ベスタナートB1370、デグサ・ヒュルス社製)の各ブタノンオキシムブロック体の7:3混合物):80.14質量部。
このとき、ブロックイソシアネート混合物は、イソシアネート量としては「NCO/OH=1.0」となる量であった。
【0076】
内容積450mLのガラス瓶に上記混合溶液200gを、メディアとしての平均粒径0.8mmのガラスビーズ200gと共に入れ、ペイントシェーカー分散機を用いて28時間分散し、ガラスビーズを除去して表面層用塗布液1を得た。
【0077】
〔製造例17〕表面層用塗布液2の作製
N−メトキシメチル化ナイロン100質量部に対して、下記の4成分を加え、混合溶液を調製した。
・カーボンブラック(商品名:#52、三菱化学社製):45質量部、
・メタノール:256質量部、
・トルエン:135質量部、
・クエン酸:2質量部。
上記混合溶液を、製造例16と同様にしてペイントシェーカー分散機を用いて24時間分散した。その後、ガラスビーズを除去して、表面層用塗布液2を得た。
【0078】
〔製造例18〕表面層用塗布液3の作製
下記の4成分を混合することで、表面層用塗布液3を得た。
・3官能アクリレートモノマー(商品名:SR−454、日本化薬社製):90質量部、
・シランカップリング剤(商品名:KBM−5103、信越化学工業社製):10質量部、
・カーボンブラック(商品名:#52、三菱化学社製):50質量部、
・MIBK:488質量部。
【0079】
〔製造例19〜24〕熱膨張性マイクロカプセル8〜13の作製
製造例1〜6のそれぞれにおいて作製した熱膨張性マイクロカプセルを分級することによって、平均粒径が8μmの熱膨張性マイクロカプセル8〜13を作製した。
【0080】
〔製造例25〜80〕ゴム粒子5〜60の作製
熱膨張性マイクロカプセルの種類(番号)と使用量を表1に示す条件とし、また、その他の製造条件を製造例8〜11のいずれかの条件として、ゴム粒子5〜ゴム粒子60を作製した。それぞれのゴム粒子作製後に、粉砕、分級して表1中に示す平均粒径のゴム粒子とした。
【0081】
〔実施例1〕
直径6mm、長さ258mmのステンレス製棒に、熱硬化性接着剤(商品名:メタロックU−20、東洋化学研究所社製)を塗布し、180℃の熱風炉内にて30分間静置して導電性基体を得た。続いて、図4に示すクロスヘッドを具備する押出成形装置を用いて、導電性基体を中心軸として、同軸上に円筒状に、製造例12で得られた未加硫ゴム組成物1を被覆して、未加硫ゴム組成物の層の外径が12.5mmである帯電部材予備成形体を得た。この成形体を熱風炉にて160℃で1時間加熱、加硫して、導電性基体の外周に弾性体層を形成した。この弾性体層の端部を除去して、長さが224.2mmの弾性体層を有する帯電ローラを得た。次いで、この弾性体層の外周面を、プランジカット式の円筒研磨機を用いて研磨して、弾性体層の外径を12mmに調整し、外径12mm、長さ224.2mmの弾性体層を有する帯電ローラ1を得た。
【0082】
帯電ローラ1の製造に使用した、弾性体層(除ゴム粒子)のゴム成分の種類、熱膨張性マイクロカプセルの番号、シェルの材質、未加硫ゴム組成物の製造条件、ゴム粒子の種類(番号)、及び未加硫ゴム組成物の製造の際のゴム粒子の使用量を表2に示す。帯電ローラ1について、前述の方法で、ゴム粒子の平均粒径、中空粒子の平均粒径、及びゴム粒子の空孔率を測定した。結果を表2に示す。
【0083】
[耐久性能の評価]
図5に示す構成を有する電子写真装置であるカラーレーザープリンタ(商品名:HP Colar LaserJet 4700dn、ヒューレット・パッカード社製)を220mm/sec(A4縦出力)で記録メディアを出力できるよう改造して使用した。1次帯電の出力は、直流電圧(Vdc)が−1100Vである。画像の解像度は、600dpiである。この電子写真装置のプロセスカートリッジから帯電ローラを取り外し、帯電ローラ1をセットした。また、帯電ローラ1は、図7に示すように感光体に対し、一端で4.9N、両端で合計9.8Nのバネによる押し圧力で当接させた。
【0084】
帯電ローラ1をセットしたプロセスカートリッジを15℃、0%RH環境(環境1)、23℃、50%RH環境(環境2)、及び30℃、80%RH環境(環境3)に24時間放置した後、それぞれの環境にて、耐久性能評価を行った。具体的には、印字濃度1%画像をプロセススピード220mm/secで2枚間欠耐久性能試験(2枚ごとにプリンタの回転を3秒停止して耐久性能評価)を行った。その途中(12000枚終了時、24000枚終了時、36000枚終了時)で、ハーフトーン画像(感光体の回転方向と垂直方向に幅1ドット、間隔2ドットの横線を描く画像)を、出力し、評価した。なお、評価は、得られたハーフトーン画像を目視にて観察し、前述した帯電ローラ表面の汚れが原因で発生する細かいスジ状画像、ポチ状画像、及びガサツキ画像を、下記基準で判定した。
ランク1;スジ状画像、ポチ状画像、ガサツキ画像は発生しない。
ランク2;軽微なスジ状画像、ポチ状画像、ガサツキ画像が認められるのみである。
ランク3;一部にスジ状画像、ポチ状画像、ガサツキ画像が帯電ローラのピッチで確認できるが、実用上問題無い。
ランク4;スジ状画、ポチ状画像、ガサツキ画像が目立ち、画質の低下が認められる。
【0085】
本実施例の帯電ローラ1では、ランク1であり、スジ状画像、ポチ状画像及びガサツキ画像が発生せず、良好な画像が得られた。評価結果を表2及び表4に示す。
【0086】
〔実施例2〜65、69及び70〕
ゴム粒子の種類(番号)、未加硫ゴム組成物の製造条件、およびその際のゴム粒子の添加部数を表2または表3に示す条件とした。これら以外の条件は、実施例1と同様にして、帯電ローラ2〜65、69及び70を作製した。得られた各帯電ローラについて、ゴム粒子及び中空粒子の平均粒径、ゴム粒子の空孔率を実施例1と同様の方法により測定し、また実施例1と同様の方法により耐久性能を評価した。評価結果を表2〜表5に示す。
【0087】
〔実施例66〕
実施例65と同様にして作製した帯電ローラに対して、製造例16により作製した表面層用塗布液1を1回ディッピング塗布した。塗布後に常温で30分間以上風乾した後、熱風循環乾燥機にて80℃で1時間、更に160℃で1時間乾燥して、弾性体層上に表面層を形成した帯電ローラ66を得た。尚、ディッピング塗布の条件は以下の通りである。浸漬時間を9秒間として、引き上げ速度は、初期速度20mm/s、最終速度2mm/s、その間は時間に対して直線的に速度を変化させて行った。評価結果を表3及び表5に示す。
【0088】
〔実施例67〕
製造例17により作製した表面層用塗布液2を用いたこと以外は、実施例66と同様にして帯電ローラ67を得た。表3及び表5に示す。
【0089】
〔実施例68〕
実施例65と同様にして作製した帯電ローラに対して、製造例18により作製した表面層用塗布液3を、リング塗布した。塗布後に常温で30分間以上風乾した後、電子線照射装置(岩崎電気社製)を用いて、加速電圧150kV、線量1200kGy、酸素濃度300ppm以下という条件で電子線を照射し、弾性体層上に表面層を形成した帯電ローラ68を得た。評価結果を表3及び表5に示す。
【0090】
〔比較例1〕
実施例1において、製造例8における原料ゴムとしてNBRをイソプレンゴム(IR)(商品名:IR2200L、日本ゼオン社製)とし、熱膨張性マイクロカプセルを添加せずにゴム粒子61を作製した。ゴム粒子61を用い、製造例12における原料ゴムとしてNBRをIRとし、未加硫ゴム組成物を作製した以外は、実施例1と同様にして、帯電ローラ71を作製した。評価結果を表3及び表5に示す。
【0091】
〔比較例2〕
製造例8において、熱膨張性マイクロカプセルに代えて平均粒径20μmのシリコーンゴム中空粒子を添加し作製したゴム粒子62を用いた以外は、比較例1と同様にして、帯電ローラ72を作製した。評価結果を表3及び表5に示す。
【0092】
〔比較例3〕
フッ素ゴム(商品名:ダイエルG−755L、ポリオール加硫二元系、ダイキン工業社製)100質量部に対し下記の3成分を加えて、30℃に冷却した二本ロール機にて15分間混練することで、未加硫ゴム組成物を得た。
・MTカーボンブラック(商品名:Thermax N−990、CANCARB Ltd 製):10質量部、
・酸化マグネシウム(商品名:キョーワマグMA−150、協和化学工業社製):3質量部、
・水酸化カルシウム(商品名:CALDIC-2000、近江化学工業社製):6質量部。
【0093】
この未加硫ゴム組成物を160℃の型内で加硫し、その後、170℃のオーブンの中で加硫をした。この加硫ゴムを2mm角に切断し、凍結し、ミルで粉砕し、分級することで平均粒径150μmのフッ素ゴムのゴム粒子63とした。このゴム粒子63をフッ素ゴム100質量部に対して、50質量部加えた以外は上記フッ素ゴムによるゴム粒子の作製方法と同様にして、フッ素ゴムの未加硫ゴム組成物を得た。
【0094】
直径6mm、長さ252.5mmのステンレス製棒に、プライマー(商品名:FC5150、住友スリーエム社製)を塗布し、乾燥したものを導電性基体として使用した。この導電性基体とともに、上記未加硫ゴム組成物をクロスヘッド付き押出成型機にて押し出し、外径が約12.5mmのローラ形状になるように成形し帯電ローラ予備成形体を作製した。この成形体を熱風炉にて160℃で1時間加熱し加硫して、導電性基体の外周に弾性体層を形成した。弾性体層の端部を除去して、長さが224.2mmの弾性体層を有する帯電ローラを得た。次いで、実施例1と同様にして弾性体層の外周面を研磨して、外径12mm、長さ224.2mmの弾性体層を有する帯電ローラ73を得た。評価結果を表3及び表5に示す。
【0095】
〔比較例4〕
比較例3において、ゴム粒子作製に用いる未加硫ゴム組成物を作製する際に、平均粒径20μmのシリコーンゴム中空粒子をフッ素ゴム100質量部に対して13質量部加えて作製したゴム粒子64を用いた以外は、比較例3と同様にして帯電ローラ74を作製した。評価結果を表3及び表5に示す。
【0096】
【表1】

【0097】
【表2】

【0098】
【表3】

【0099】
【表4】

【0100】
【表5】

【符号の説明】
【0101】
1‥‥導電性基体
2‥‥弾性体層
3‥‥ゴム粒子
4‥‥中空粒子
5‥‥表面層
6‥‥金属製円柱
7‥‥軸受け
8、25、26、27‥‥電源
9‥‥電流計
10‥‥帯電ローラ
11‥‥押出機
12‥‥帯電部材予備成形体
13‥‥クロスヘッド
14‥‥送りロール
15‥‥電子写真感光体
16‥‥現像ローラ
17‥‥印刷メディア
18‥‥転写ローラ
19‥‥定着部
20‥‥クリーニングブレード
21‥‥潜像形成装置(露光装置)
22‥‥帯電前露光装置
23‥‥弾性規制ブレード
24‥‥トナー供給ローラ
28‥‥トナーシール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電性基体と、該導電性基体上に形成されてなる弾性体層とを有する帯電ローラであって、該弾性体層は、ゴム粒子が分散されてなり、該ゴム粒子は、熱可塑性樹脂をシェルとする気体を内包した中空粒子を含有し、該熱可塑性樹脂はアクリロニトリル樹脂、メタクリロニトリル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、塩化ビニル樹脂、スチレン樹脂、ポリウレタン樹脂およびポリアミド樹脂から選ばれる少なくとも1つの樹脂を含むことを特徴とする帯電ローラ。
【請求項2】
前記ゴム粒子はアクリロニトリルブタジエンゴム、スチレンブタジエンゴム、エチレンプロピレンジエンゴムおよびエピクロルヒドリンゴムから選ばれる1つのゴムを含む請求項1に記載の帯電ローラ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−133008(P2012−133008A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−283331(P2010−283331)
【出願日】平成22年12月20日(2010.12.20)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】