説明

帯電防止剤及びそれを含有する樹脂組成物

【課題】長期に渡って帯電防止性を持続し、樹脂に練り込んでもその外観や透明性を損なわない帯電防止剤及びそれを含有する樹脂組成物を提供すること。
【解決手段】下記(a)と(b)、又は(a)、(b)及び(c)の反応物であるエステル化合物から得られ、該エステル化合物中に残存する酸基の一部もしくは全部がアルカリ性物質により中和されてなるブロック共重合体からなる帯電防止剤及びそれを含有する熱可塑性樹脂組成物。該熱可塑性樹脂組成物からなるフィルム、シート。
(a)片末端が酸変性されたポリオレフィン
(b)3〜20価の多価アルコールのアルキレンオキサイド付加物
(c)(a)及び/又は(b)と反応可能な化合物

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は帯電防止剤及びそれを含有する樹脂組成物に関する。詳しくは、帯電防止性に加え、樹脂に配合してもその透明性や外観を損なわない帯電防止剤、及び該帯電防止剤を含有する樹脂組成物、さらに該樹脂組成物からなるフィルム、シートに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、合成樹脂はその優れた特性のため成型品やフィルム等様々な用途で使用されている。しかしながら、合成樹脂製品はその疎水性ゆえに非常に静電気を帯びやすく、そのため製品にゴミや埃が付着して外観をそこねたり、加工中に電気的障害が現れたり、電子機器に用いられた場合は誤動作を引き起こすといった大きな欠点を有している。
【0003】
従来、これら欠点を解決する手段としてアニオン、カチオン、ノニオン等種々の界面活性剤を添加する方法があり実用に供されている。しかしながらこの界面活性剤を添加する方法は、製品成形後の短期間における帯電防止性には優れるが、製品表面にブリードアウトした界面活性剤が摩擦、水洗等によって失われてしまうために長期に渡って性能を持続することが困難である。更に合成樹脂製品は成形時の温度が高温であるため界面活性剤が一部熱分解を引き起こし、成型時の発煙や、製品の着色等の原因となる。また合成樹脂の多層フィルム及びシ−トにおいては、帯電防止性能を発揮させるために、表面層だけでなくコア層にも帯電防止剤を添加する必要があるため、添加量が多くなり経済的に不利な面がある。
【0004】
近年、これら界面活性剤使用による欠点や問題点を解決する手段として、ポリエ−テルエステルアミドを主成分とし第3成分として酸変性ポリオレフィン等を配合(特許文献1)したりカチオン化マレイミド構造体を有する(特許文献2)高分子型帯電防止剤が提案されているが、これらはまだ性能的に不十分である。また、変性ポリオレフィンと多官能親水基を共重合(特許文献3、4)させた高分子型帯電防止剤が提案されているが、成型品では有効でもフィルム及びシートでは性能が安定しないという問題があった。特に、同フィルムをタッチパネルや偏向板等の部材として使用する場合、高い光学的均質性が求められるが、スジやフィッシュアイが発生するなどその外観や透明性も十分満足できるものではなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−170456号公報(2頁)
【特許文献2】特許第3077847号公報(1〜2頁)
【特許文献3】特開2001−278985号公報(2〜5頁)
【特許文献4】特開2002−284880号公報(2〜3頁)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、長期に渡って帯電防止性を持続し、樹脂に練り込んでもその外観や透明性を損なわない帯電防止剤及びそれを含有する樹脂組成物を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は鋭意検討の結果、特定のブロック共重合体からなる帯電防止剤が上記課題を解決できることを見出し本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち本発明は、下記(a)と(b)、又は(a)、(b)及び(c)の反応物であるエステル化合物から得られ、該エステル化合物中に残存する酸基の一部もしくは全部がアルカリ性物質により中和されてなるブロック共重合体からなる帯電防止剤に関する。
(a)片末端が酸変性されたポリオレフィン
(b)3〜20価の多価アルコールのアルキレンオキシド付加物
(c)(a)及び/又は(b)と反応可能な化合物
ここで前記(a)片末端が酸変性されたポリオレフィンは、ポリオレフィンの片末端をα,β−不飽和カルボン酸又はその無水物により変性することにより得られるものであるものが好ましい。
【0009】
前記帯電防止剤の中でも、前記(a)片末端が酸変性されたポリオレフィンが、ポリ(イソ)ブテニルコハク酸無水物であることが好ましい。
【0010】
あるいは、前記帯電防止剤の中でも、前記(a)片末端が酸変性されたポリオレフィンが、ポリプロピレンを無水マレイン酸変性したポリオレフィンであることが好ましく、該ポリプロピレンが、一分子当たりの平均末端二重結合量が1.0以下のポリプロピレンであることがより好ましい。
【0011】
また本発明は、前述の帯電防止剤と熱可塑性樹脂とを含有することを特徴とする帯電防止樹脂組成物、及び該樹脂組成物からなるフィルム又はシートをも対象とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明の帯電防止剤は、樹脂に配合してフィルムやシート等を形成する際、非常に作業性に優れ、また、得られたフィルム・シート等において、長期間に亘って優れた帯電防止性能を発現すると共に、外観や透明性を優れたものとすることができる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明は、下記(a)と(b)、又は(a)、(b)及び(c)の反応物であるエステル化合物から得られ、該エステル化合物中に残存する酸基の一部もしくは全部がアルカリ性物質により中和されてなるブロック共重合体からなる帯電防止剤に関する。
(a)片末端が酸変性されたポリオレフィン
(b)3〜20価の多価アルコールのアルキレンオキシド付加物
(c)(a)及び/又は(b)と反応可能な化合物
以下、本発明を詳細に説明する。
【0014】
[(a)片末端が酸変性されたポリオレフィン]
(a)片末端が酸変性されたポリオレフィンは、例えばポリオレフィンの片末端をα,β−不飽和カルボン酸又はその無水物により変性することにより得ることができる。
【0015】
ポリオレフィンとしては、炭素原子数2乃至30の、好ましくは炭素原子数2乃至12の、さらに好ましくは炭素原子数2乃至10のオレフィンの1種もしくは2種以上の混合物を重合することによって得られるポリオレフィン(重合法)、高分子量ポリオレフィンの熱減成法によって得られる低分子量ポリオレフィン(熱減成法)が使用できる。ポリオレフィンの数平均分子量Mnは100乃至10,000が好ましく、300乃至7,000がより好ましく、500乃至5,000が最も好ましい。
【0016】
炭素原子数2乃至30のオレフィンとしては、例えばエチレン、プロピレン、1−ブテン、2−ブテン、イソブテン;炭素原子数5乃至30の、好ましくは炭素原子数5乃至12の、さらに好ましくは炭素原子数5乃至10のα−オレフィン、例えば、4−メチル−1−ペンテン、1−ペンテン、1−オクテン、1−デセン及び1−ドデセン;炭素原子数4乃至30の、好ましくは炭素原子数4乃至18の、さらに好ましくは炭素原子数4乃至8のジエン、例えば、ブタジエン、イソプレン、シクロペンタジエン、11−ドデカジエン等が挙げられる。
片末端が変性可能なポリオレフィンの好適例として、一分子当たりの平均末端二重結合数が通常0.5〜1.5個、好ましくは0.7〜1.0個のポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイソブチレン等が挙げられる。
【0017】
前記ポリオレフィンの酸変性に用いられるα,β−不飽和カルボン酸又はその無水物としては、モノカルボン酸、ジカルボン酸及びそれらの無水物、例えば(メタ)アクリル酸、(無水)マレイン酸、フマル酸、(無水)イタコン酸及び(無水)シトラコン酸等が挙げられる。これらのうち好ましいものはフマル酸及び(無水)マレイン酸である。
【0018】
ポリオレフィンの片末端を酸変性する方法としては、例えばステンレス製オートクレーブに片末端が変性可能なポリオレフィンとα,β−不飽和カルボン酸又はその無水物と、必要に応じ有機過酸化物とを仕込んで窒素置換をし、反応温度150〜250℃にて反応させる方法が挙げられる。なお、ポリオレフィンの片末端のみを酸変性するために有機過酸化物を用いずに熱変性で反応させる方が好ましい。変性に用いるα,β−不飽和カルボン酸又はその無水物の量は、ポリオレフィンの質量に基づき、通常20〜0.1%、好ましくは10〜0.5%である。この反応は、溶融法又は溶液法いずれの方法で行ってもよい。
末端が酸変性されたポリオレフィン一分子当たりの酸変性度はGPCによる数平均分子量Mnと酸価もしくは鹸化価によって求める事ができる。酸変性度は0.5〜1.5個が好ましく、より好ましいのは0.7〜1.0個である。
【0019】
(a)片末端が酸変性されたポリオレフィンとしては、片末端のみが酸変性されているポリ(イソ)ブテニルコハク酸無水物(PIBSA)が好ましく用いられる。ポリ(イソ)ブテニルコハク酸無水物は、イソブテンの単独重合体、もしくはイソブテンとn−ブテンとの共重合体であるポリ(イソ)ブテンと無水マレイン酸を反応させることで得ることができ、以下の化学式に示すとおり片末端のみがマレイン化されていることを特徴とする。
【化4】

図中、aは繰り返し単位の繰り返し数を示す。
【0020】
また、(a)片末端が酸変性されたポリオレフィンとしては、以下に示すような、一分子当たりの平均末端二重結合量が1.0以下のポリプロピレンを無水マレイン酸で変性したものが挙げられる。
【化5】

図中、bは繰り返し単位の繰り返し数を示す。
【0021】
[(b)3〜20価の多価アルコールのアルキレンオキサイド付加物]
(b)3〜20価の多価アルコールのアルキレンオキサイド付加物は、3〜20価の多価アルコールにアルキレンオキサイドを付加することにより得ることができる。帯電防止性等の観点から、ポリオキシアルキレン単位を成分(b)の全質量に対して好ましくは20〜100質量%、さらに好ましくは50〜100質量%、特に好ましくは70〜100質量%含有する。
【0022】
3〜20価の多価アルコールとしては、ポリビニルアルコール(水酸基数3〜20)、ポリグリシドール(水酸基数3〜20)、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン(水酸基数5〜20)、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,3,5−ペンタトリオール、エリスリトール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、ソルビトール、ソルビタン、ソルビトールグリセリン縮合物、アドニトール、アラビトール、キシリトール、マンニトールが好適である。また、糖類として、グルコース、フルクトース、マンノース、インドース、ソルボース、グロース、タロース、タガトース、ガラクトース、アロース、プシコース、アルトロース等のヘキソース類の糖類;アラビノース、リブロース、リボース、キシロース、キシルロース、リキソース等のペントース類の糖類;トレオース、エリトルロース、エリトロース等のテトロース類の糖類;ラムノース、セロビオース、マルトース、イソマルトース、トレハロース、シュウクロース、ラフィノース、ゲンチアノース、メレジトース等のその他糖類;これらの糖アルコール、糖酸(糖類;グルコース、糖アルコール;グルシット、糖酸;グルコン酸)も好適である。これらのうち、3〜8価の多価アルコールが好ましい。
【0023】
上記3〜20価の多価アルコールに付加させるアルキレンオキサイドとしては、炭素原子数2乃至4のアルキレンオキサイド、例えば、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイドが挙げられ、これらの1種又は2種以上を使用することができる。2種以上のアルキレンオキサイドを付加する場合の結合形式はブロック若しくはランダム又はこれらの組合せのいずれでもよい。アルキレンオキサイドの付加モル数は、通常1乃至200、好ましくは3乃至60、特に好ましくは5乃至30の整数である。アルキレンオキサイドの付加は、例えばアルカリ触媒の存在下、100〜200℃の温度で行なう。
【0024】
[(c)(a)及び/又は(b)と反応可能な化合物]
(c)としては(a)及び/又は(b)と反応可能な化合物であれば特に限定されるものではないが、例えばカルボン酸(無水物)基、水酸基、アミノ基、イソシアネート基等を有する化合物を挙げることができる。具体的には、モノカルボン酸、ジカルボン酸、モノオール、ジオール、ヒドロキシカルボン酸、アミノカルボン酸等を挙げることができる。
モノカルボン酸としては、例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、ベヘン酸、オレイン酸、エライジン酸、エルカ酸、リノール酸、リノレン酸、およびリシノレイン酸等が挙げられる。これらのうち好ましいものは、ラウリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、およびベヘン酸等である。
ジカルボン酸としては、例えば、炭素数4〜12またはそれ以上の飽和および不飽和の脂肪族ジカルボン酸、例えばコハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカンジ酸、ドデカンジ酸、マレイン酸、フマール酸;炭素数6〜40の脂環式ジカルボン酸、例えば1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、4,4´−ジシクロヘキシルジカルボン酸、ダイマー酸;炭素数8〜15の芳香族ジカルボン酸、例えばフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、2,6−および2,7−ナフタレンジカルボン酸、4,4´−ジフェニルジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸が挙げられる。これらのジカルボン酸は、無水物を使用することもできる。
モノオール、ジオールとしては、前記したものが挙げられる。
ヒドロキシカルボン酸としては、炭素数2〜12の脂肪族ヒドロキシカルボン酸、例えばグリコール酸、乳酸、ω−オキシカプロン酸、ω−オキシエナント酸、ω−オキシカプリル酸、ω−オキシペラルゴン酸、ω−オキシカプリン酸、11−オキシウンデカン酸、12−オキシドデカン酸が挙げられる。
アミノカルボン酸としては、炭素数2〜12のアミノカルボン酸、例えばグリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、フェニルアラニン等のアミノ酸、ω−アミノカプロン酸、ω−アミノエナント酸、ω−アミノカプリル酸、ω−アミノペラルゴン酸、ω−アミノカプリン酸、11−アミノウンデカン酸、12−アミノドデカン酸
これらの化合物は単独で使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。
【0025】
[ブロック共重合体]
本発明に係るブロック共重合体は、前記(a)片末端が酸変性されたポリオレフィンと前記(b)3〜20価の多価アルコールのアルキレンオキサイド付加物との反応物、あるいは前記(a)、(b)及び(c)(a)及び/又は(b)と反応可能な化合物の反応物から得られ、該反応物中に残存する酸基の一部もしくは全部がアルカリ性物質により中和されてなることを特徴とする。例えば(a)が片末端を無水マレイン酸で変性したポリオレフィンである場合、該ブロック共重合体は(a)と(b)を反応させることで(a)中の無水マレイン酸由来の構造が開環し、残存する遊離のカルボキシル基がアルカリ性物質によって中和され塩を形成してなるハーフエステルとなる。
【0026】
(a)片末端が酸変性されたポリオレフィンと(b)3〜20価の多価アルコールのアルキレンオキサイド付加物、あるいは前記(a)、(b)及び(c)(a)及び/又は(b)と反応可能な化合物の反応は、触媒の存在下、150〜250℃で行うことができる。触媒は酸触媒であってもアルカリ触媒であってもよいが、そのまま酸基の中和にも用いることができる点でアルカリ触媒が好ましい。アルカリ触媒としては、後述の酸基の中和のために使用するアルカリ性物質として挙げるものを好適に使用できる。
また、上記触媒として、三酸化アンチモンなどのアンチモン系触媒;モノブチルスズオキシドなどのスズ系触媒;テトラブチルチタネートなどのチタン系触媒;テトラブチルジルコネートなどのジルコニウム系触媒;酢酸ジルコニル、酢酸亜鉛などの有機酸金属塩系触媒;酢酸パラジウム、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウムなどのパラジウム系触媒;及びこれらの2種以上の組み合わせを用いてもよい。これらのうち好ましいものは、ジルコニウム系触媒及び有機酸金属塩系触媒であり、特に好ましいものは酢酸ジルコニルである。このような有機金属塩系触媒を使用する際は、残存酸基のアルカリ性物質による中和工程が必要となり、中和工程はブロック共重合体の反応前に行っても良いし、反応後に行っても良い。なおここで用いられるアルカリ性物質とは、後述の残存する酸基の中和のために使用するアルカリ性物質として挙げるものを好適に使用できる。
(a)と(b)に加えて(c)を反応させる場合には、(a)、(b)及び(c)を同時に反応させてもよいし、また例えば先に(a)と(b)を反応させた後にこれと(c)を反応させる、あるいは(b)と(c)の反応物と(a)と反応させる等、任意の反応順序をとることができる。
【0027】
残存する酸基の中和のために使用するアルカリ性物質としては、リチウム、カリウム、ナトリウム等のアルカリ金属の水酸化物や炭酸塩、カルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属の水酸化物や炭酸塩、アンモニア、有機アミン等及びこれらの2種以上の併用が挙げられる。
具体的には水素化ナトリウム、水素化カリウム、水素化カルシウム、ナトリウムエトキシド、ナトリウムメトキシド、ナトリウムtert−ブトキシド、カリウムtert−ブトキシド、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、リチウムジイソプロピルアミド、ナトリウムアミド、リチウムビストリメチルシリルアミド、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化バリウム、水酸化カルシウム、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、リン酸カルシウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸マグネシウム、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸リチウム、トリポリ燐酸ナトリウム、エチレンジアミンテトラ酢酸ナトリウム、ニトリロトリ酢酸ナトリウム、パラトルエンスルホン酸ナトリウム、パラトルエンスルホン酸カリウム、メタ硼酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、クエン酸カリウム、エチレンジアミン四酢酸ナトリウム、ニトリロ三酢酸ナトリウム、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸ナトリウム、ジエチレントリアミン五酢酸ナトリウム、ウラシル二酢酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム等を例示する事ができるがこの限りではない。
これらアルカリ性物質のうち、帯電防止性の点でカリウム、ナトリウム等のアルカリ金属の水酸化物が好ましい。
またアルカリ性物質による中和工程によって塩を形成している酸基の割合は、必ずしも(a)片末端が酸変性されたポリオレフィンと(b)3〜20価の多価アルコールのアルキレンオキサイド付加物の反応後に残存する酸基の全てでなくてもよいが、帯電防止性の点で30モル%以上が好ましく、50モル%以上がより好ましい。また残存する酸基をより多く中和するために、アルカリ性物質は残存する酸基に対して100モル%以上使用する事ができる。使用量は残存する酸基に対して10〜200モル%が好ましく、より好ましくは30〜150モル%であり、更に好ましくは50〜100モル%である。なお、その後に帯電防止剤として使用するとき、ブリードアウトの低減のために、中和工程後、減圧脱気する事でアルカリ性物質のうち金属塩部分以外を除去することが好ましい。
【0028】
残存する酸基の具体的な中和方法としては、(1)仕込時にアルカリ性物質を入れ、昇温攪拌と共に中和する方法、(2)昇温しポリオレフィンの粘度が下がった時にアルカリ性物質を投入する方法、(3)(a)ポリオレフィンと(b)3〜20価の多価アルコールのアルキレンオキサイド付加物の反応後に滴下し中和する方法が挙げられる。中でも、アルカリ性物質を触媒として用いることができることから、(a)と(b)の反応前に中和する、すなわち、(1)仕込時にアルカリ性物質を入れる方法が望ましい。アルカリ性物質を投入する方法は、そのまま入れても良いし、水又は有機溶媒に溶解させて滴下させても良い。中和反応の進行のしやすさから好ましくは水又は有機溶媒に溶解させて滴下することが望ましい。
【0029】
[樹脂組成物]
本発明は前述の帯電防止剤と、熱可塑性樹脂とを含有する帯電防止樹脂組成物にも関する。
前記熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリオレフィン樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリル樹脂、ビニル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリカーボネート樹脂、熱可塑性ポリウレタン樹脂、フッ素樹脂及びこれらの2種以上の混合物が挙げられる。
【0030】
ポリオレフィン樹脂としては、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン等のα−オレフィンの単独重合体、前記α−オレフィン同士の共重合体、前記α−オレフィンと共重合可能なα−オレフィン以外の単量体とα−オレフィンとの共重合体、及びこれらの混合物が挙げられる。前記のα−オレフィンと共重合可能なα−オレフィン以外の単量体としては、酢酸ビニル、マレイン酸、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル等を挙げることができる。
ポリスチレン樹脂としては、スチレン類の単独重合体の他、スチレン類と共重合可能な単量体とスチレン類との共重合体が挙げられる。具体的には、ポリスチレン、アクリロニトリル−スチレン樹脂(AS)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂(ABS)等が挙げられる。
ビニル樹脂としては、ジエン系重合体、例えばブタジエン樹脂、ポリイソプレン樹脂等が挙げられる。ポリアミド樹脂としては、ナイロン等が挙げられる。
ポリエステル樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等の芳香族ポリエステル、ポリブチレンアジペート、ポリエチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネート、ポリエチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネートアジペート、ポリエチレンサクシネートアジペート、ポリカプロラクトン、ポリ乳酸等の脂肪族ポリエステル等が挙げられる。
ポリアセタール樹脂としては、ホルムアルデヒド又はトリオキサンの重合体が挙げられる。ポリカーボネート樹脂としては、ビスフェノールAとホスゲンとの縮合物、ビスフェノールAと炭酸ジエステルとの縮合物が挙げられる。
熱可塑性ポリウレタン樹脂としては、有機ジイソシアネートと高分子ジオールの反応物が挙げられる。フッ素樹脂としては、フッ素含有モノマーの重合体が挙げられる。
これら熱可塑性樹脂の中でも、特にポリオレフィン樹脂が好ましい。
【0031】
本発明の帯電防止剤の配合量は、前記熱可塑性樹脂に対して3乃至30質量%が好ましく、5乃至20質量%がより好ましい。
【0032】
本発明の帯電防止剤は、単独でも十分効果を発揮することができるが、本発明の目的を損なわない範囲で、必要により本発明以外の公知のアニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、ノニオン界面活性剤、両性界面活性剤を単独或いは2種以上併用させてもよい。また、ポリエーテルエステルアミド等のような高分子型帯電防止剤、酸化防止剤、滑剤、着色剤、相溶化剤、イオン液体、紫外線吸収剤やその他通常の樹脂製品に添加される各種添加剤、充填剤を付加成分として添加することもできる。
【0033】
アニオン界面活性剤としては、例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸カリウム、ミリスチル硫酸ナトリウム、ミリスチル硫酸カリウム、セチル硫酸ナトリウム、ステアリル硫酸ナトリウム、オレイル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸トリエタノールアミン等のアルキル硫酸及びその塩;ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンセチルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンオレイルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸トリエタノールアミン等のアルキルエーテル硫酸及びその塩;ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル硫酸ナトリウム等のアルキルアリールエーテル硫酸及びその塩;ポリオキシエチレンラウリン酸アミドエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンラウリン酸アミドエーテル硫酸トリエタノールアミン、ポリオキシエチレンミリスチン酸アミドエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンオレイン酸アミドエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンヤシ油脂肪酸アミドエーテル硫酸ナトリウム、オレイン酸アミドエーテル硫酸ナトリウム等のアルキルアミド硫酸及びその塩;硬化ヤシ油脂肪酸グリセリン硫酸ナトリウム等のアシルエステル硫酸及びその塩;ラウリルスルホン酸ナトリウム、ミリスチルスルホン酸ナトリウム、ヤシ油アルキルスルホン酸ナトリウム等のアルキルスルホン酸及びその塩;ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸トリエタノールアミン等のアルキルベンゼンスルホン酸及びその塩;アルキルナフタレンスルホン酸及びその塩;ナフタレンスルホン酸塩のホルマリン重縮合物等のホルマリン縮合系スルホン酸及びその塩;スルホコハク酸ラウリル2ナトリウム、ジ−2−エチルヘキシルスルホコハク酸ナトリウム、ポリオキシエチレンスルホコハク酸ラウリル2ナトリウム、オレイン酸アミドスルホコハク酸2ナトリウム等のスルホコハク酸及びその塩;ドデセンスルホン酸ナトリウム、テトラデセンスルホン酸ナトリウム、ドデセンスルホン酸カリウム、デトラデセンスルホン酸カリウム等のα−オレフィンスルホン酸及びその塩;α−スルホラウリン酸メチルエステル、α−スルホミリスチン酸メチルエステル、α−スルホラウリン酸(EO)nメチルエステル等のα−スルホ脂肪酸エステル及びその塩;ヤシ油脂肪酸アシル−N−メチルタウリンカリウム、ラウロイル−N−メチルタウリンナトリウム、ラウロイル−Nメチルタウリンカリウム、ラウロイル−N−メチルタウリントリエタノールアミン、ミリストイル−N−メチルタウリンナトリウム、ミリストイル−N−メチルタウリントリエタノールアミン、ヤシ油脂肪酸アシル−N−メチルタウリンナトリウム、ヤシ油脂肪酸アシル−N−メチルタウリントリエタンールアミン等のN−アシルメチル−タウリン及びその塩;ヤシ油脂肪酸アシル−グルタミン酸カリウム、ヤシ油脂肪酸アシル−グルタミン酸ナトリウム、ヤシ油脂肪酸アシル−グルタミン酸トリエタンールアミン、ラウロイル−グルタミン酸ナトリウム、ミリストイル−グルタミン酸カリウム、ミリストイル−グルタミン酸ナトリウム、パーム油脂肪酸アシル−グルタミン酸ナトリウム等のN−アシルグルタミン酸及びその塩;N−ラウロイルグリシンナトリウム、N−ミリストイルグリシントリエタノールアミン、N−ヤシ油脂肪酸アシル−グリシンナトリウム、N−ヤシ油脂肪酸アシル−グリシンカリウム等のN−アシルグリシン及びその塩;ラウロイルイセチオン酸ナトリウム、ミリストイルイセチオン酸ナトリウム、ヤシ油脂肪酸アシルイセチオン酸ナトリウム等のアシルイセチオン酸及びその塩;アルキルスルホ酢酸塩;ポリオキシエチレンラウリルエーテルリン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンセチルエーテルリン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンミリスチルリン酸カリウム、ポリオキシエチレンオレイルエーテルリン酸ナトリウム、ジポリオキシエチレンオレイルエーテルリン酸ナトリウム等のアルキルエーテルリン酸及びその塩;アルキルアリールエーテルリン酸及びその塩;ポリオキシエチレンラウリルアミドエーテルリン酸ナトリウム等の脂肪酸アミドエーテルリン酸及びその塩;ラウリルリン酸ナトリウム、ミリスチルリン酸ナトリウム、ヤシ油脂肪酸リン酸ナトリウム、ミリスチルリン酸カリウム、ラウリルリン酸トリエタノールアミン、オレイルリン酸ジエタノールアミン等のアルキルリン酸及びその塩;ラウロイルイミノジ酢酸ナトリウム、ラウロイルイミノジ酢酸トリエタノールアミン、ヤシ油脂肪酸アシルイミノジ酢酸ナトリウム、ラウロイルイミノジ酢酸ジナトリウム、パーム核脂肪酸イミノジ酢酸ナトリウム等のアシルイミノジ酢酸及びその塩;ポリオキシエチレンラウリルエーテル酢酸ナトリウム、ポリオキシエチレンミリスチルエーテル酢酸カリウム、ポリオキシエチレンパルミチルエーテル酢酸トリエタノールアミン、ポリオキシエチレンステアリルエーテル酢酸ナトリウム、ポリグリセリルラウリルエーテル酢酸ナトリウム等のエーテルカルボン酸及びその塩;ヤシ油脂肪酸シルクペプチド等のアシル化ペプチド;ポリオキシエチレンラウリン酸アミドエーテルカルボン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンミリスチン酸アミドエーテルカルボン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンヤシ油脂肪酸アミドエーテルカルボン酸トリエタノールアミン等のアミドエーテルカルボン酸及びその塩;アシル乳酸塩;アルケニルコハク酸及びその塩等が挙げられる。
【0034】
カチオン界面活性剤としては、例えば、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド、ミリスチルトリメチルアンモニウムクロライド、パルミチルトリメチルアンモニウムクロライド、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド、オレイルトリメチルアンモニウムクロライド、セチルトリメチルアンモニウムクロライド、ベヘニルトリメチルアンモニウムクロライド、ヤシ油アルキルトリメチルアンモニウムクロライド、牛脂アルキルトリメチルアンモニウムクロライド、ステアリルトリメチルアンモニウムブロミド、ヤシ油アルキルトリメチルアンモニウムブロミド、セチルトリメチルアンモニウムメチル硫酸等のモノアルキル第四級アンモニウム塩;ジオクチルジメチルアンモニウムクロライド、ジラウリルジメチルアンモニウムクロライド、ジステアリルジメチルアンモニウムクロライド等のジアルキル第四級アンモニウム塩;トリエチルメチルアンモニウムメチル炭酸塩;ラノリン脂肪酸アミノプロピルエチルジメチルアンモニウムエチル硫酸、ラウロイルアミノエチルメチルジエチルアンモニウムメチル硫酸等のアシルアミノアルキル第四級アンモニウム塩;ジパルミチルポリエテノキシエチルアンモニウムクロライド、ジステアリルポリエテノキシメチルアンモニウムクロライド等のアルキルエテノキシ第四級アンモニウム塩;ラウリルイソキノリニウムクロライド等のアルキルイソキノリニウム塩;ラウリルジメチルベンジルアンモニウムクロライド、ステアリルジメチルベンジルアンモニウムクロライド等のベンザルコニウム塩;ベンジルジメチル{2−[2−(p−1,1,3,3−テトラメチルブチルフェノオキシ)エトオキシ]エチル}アンモニウムクロライド等のベンゼトニウム塩;セチルピリジニウムクロライド等のピリジニウム塩;イミダゾリニウム塩;トリブチルメチルホスホニウムメチル炭酸塩;N−ココイルアルギニンエチルエステルピロリドンカルボン酸塩、N−ラウロイルリジンエチルエチルエステル塩酸塩等のアシル塩基性アミノ酸アルキルエステル塩;ラウリルアミン塩酸塩等の第一級アミン塩;ジラウリルアミン酢酸塩等の第二級アミン塩;第三級アミン塩;脂肪酸アミドグアニジニウム塩;ラウリルトリエチレングリコールアンモニウムハイドロオキサイド等のアルキルトリアルキレングリコールアンモニウム塩等が挙げられる。
【0035】
ノニオン界面活性剤としては、例えば、POE(ポリオキシエチレン)オクチルエーテル、POE(2−エチル−ヘキシル)エーテル、POEラウリルエーテル、POEミリスチルエーテル、POEセチルエーテル、POEステアリルエーテル、POEオレイルエーテル、POEイソステアリルエーテル、POEベヘニルエーテル、ポリオキシエチレンセチルステアリルジエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル;POE・POP(ポリオキシプロピレン)ブチルエーテル、POE・POPラウリルエーテル、POE・POPセチルエーテル、POE・POPグリコール等のポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール型;POEオクチルフェニルエーテル、POEノニルフェニルエーテル、POEクロロフェニルエーテル、POEナフチルエーテル等のポリオキシエチレンアリールエーテル;POE硬化ひまし油エーテル、POEひまし油エーテル;その他POEラノリンアルコールエーテル、POEフィトステロール等のエーテル系;モノステアリン酸POEグリセリル、オレイン酸POEグリセリル等のポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル;モノラウリン酸POEソルビタン、モノステアリン酸POEソルビタン、トリステアリン酸POEソルビタン、モノイソステアリン酸POEソルビタン等のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル;ヘキサステアリン酸POEソルビトール、テトラステアリン酸POEソルビトール、テトラオレイン酸POEソルビトール、モノラウリン酸POEソルビトール等のポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル;ポリエチレングリコールモノラウリン酸、ポリエチレングリコールモノステアリン酸、ポリエチレングリコールモノオレイン酸、ポリエチレングリコールジステアリン酸、ポリエチレングリコールジオレイン酸、ポリエチレングリコールジイソステアリン酸等のポリエチレングリコール脂肪酸エステル;ポリエチレングリコールラノリン脂肪酸エステル等のエーテルエステル系;モノステアリン酸グリセリル、自己乳化型モノステアリン酸グリセリル、モノヒドロキシステアリン酸グリセリル、ジステアリン酸グリセリル等のグリセリン脂肪酸エステル;モノステアリン酸ジグリセリル、モノオレイン酸ジグリセリル、ジオレイン酸ジグリセリル、モノイソステアリン酸ジグリセリル、モノステアリン酸テトラグリセリル、トリステアリン酸テトラグリセリル、ペンタステアリン酸テトラグリセリル、モノラウリン酸ヘキサグリセリル、モノミリスチン酸ヘキサグリセリル、ジステアリン酸デカグリセリル、ジイソステアリン酸デカグリセリル等のポリグリセリン脂肪酸エステル;モノラウリン酸ソルビタン、モノステアリン酸ソルビタン、モノオレイン酸ソルビタン、トリオレイン酸ソルビタン、トリステアリン酸ソルビタン、モノイソステアリン酸ソルビタン等のソルビタン脂肪酸エステル;モノラウリン酸エチレングリコール、ジステアリン酸エチレングリコール等のエチレングリコール脂肪酸エステル;モノステアリン酸プロピレングリコール、自己乳化型モノステアリン酸プロピレングリコール等のプロピレングリコール脂肪酸エステル;モノステアリン酸ペンタエリスリトール、モノオレイン酸ペンタエリスリトール等のペンタエリスリトール脂肪酸エステル;マルチトールヒドロキシ脂肪酸エーテル、アルキル化多糖、アルキル(ポリ)グルコシド、シュガーエステル等の糖誘導体;α−モノイソステアリルグリセリルエーテル等のアルキルグリセリルエーテル;アセチル−モノグリセリド、乳酸モノグリセリド、クエン酸モノグリセリド等の有機酸モノグリセリド;ヤシ油脂肪酸モノエタノールアミド、ラウロイルモノエタノールアミド、ミリストイルモノエタノールアミド、ラウロイルジエタノールアミド、ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド、ラウロイルイソプロパノールアミド、ミリストイルイソプロパノールアミド、ヤシ油脂肪酸イソプロパノールアミド、POEラウロイルモノエタノールアミド、ヤシ油脂肪酸メチルモノエタノールアミド、ヤシ油脂肪酸メチルジエタノールアミド等の脂肪酸アルカノールアミド;POEラウリルアミン、POEステアリルアミン等のPOEアルキルアミン;ラウリルジメチルアミンオキサイド、ココジメチルアミンオキサイド、ココアミドプロピルジメチルアミンオキサイド等のアミンオキサイド等が挙げられる。
【0036】
両性界面活性剤としては、例えば、ラウリルジメチルベタイン、ミリスチルジメチルベタイン、パルミチルジメチルベタイン、ステアリルジメチルベタイン、オレイルジメチルベタイン、ヤシ油アルキルジメチルベタイン、ラウリルメチルエチルベタイン、オクタデシルオキシメチルジメチルベタイン、ラウリルジヒドロキシエチルベタイン、ステアリルジヒドロキシエチルベタイン、ヤシ油アルキルジヒドロキシエチルベタイン、ラウリン酸アミドプロピルジメチルベタイン、ミリスチン酸アミドプロピルジメチルベタイン、ステアリン酸アミドプロピルジメチルベタイン、オレイン酸アミドプロピルジメチルベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルジメチルベタイン等のカルボキシベタイン型;RNCHCOO(R:アルキル)で示されるラウリルグリシン、ステアリルグリシン、ラウリルジアミノエチルグリシンナトリウム、塩化アルキルアミノエチルグリシン、ヤシ油脂肪酸アシル−N−カルボキシエトキシエチル−N−カルボキシエチルエチレンジアミン2ナトリウム等のグリシン型;RNCHCHCOO(R:アルキル)で示されるラウリル−β−アラニン、ステアリル−β−アラニン等のアミノプロピオン酸型;ラウリルスルホ酢酸ナトリウム、テトラデセンスルホン酸ナトリウム、スルホコハク酸ジ(2−エチルヘキシル)ナトリウム、ラウリルジメチルヒドロキシプロピルスルホベタイン、ミリスチルジメチルヒドロキシプロピリルスルホベタイン、ラウリルジメチルプロピルスルホベタイン、ヤシ油アルキルジメチルプロピルスルホベタイン、ラウリン酸アミドプロピルジメチルヒドロキシプロピルスルホベタイン等のスルホベタイン型;RNCHCHSO(R:アルキル)で示されるスルホン酸型;RNCHCHOSO(R:アルキル)で示される硫酸型;ラウリルアミノプロピオン酸ナトリウム、ラウリルアミノジプロピオン酸ナトリウム、N−ラウロイル−N−ヒドロキシエチル−N’−ジカルボキシエチル−エチレンジアミン2ナトリウム、N−ラウロイル−N−ヒドロキシエチル−N’−カルボキシエチル−エチレンジアミンナトリウム、N−ラウロイル−N’−カルボキシメチル−N’−ヒドロキシエチルエチレンジアミンナトリウム、N−ヤシ脂肪酸アシル−N’−カルボキシエチル−N’−ヒドロキシエチルエチレンジアミンナトリウム、N−ラウロイル−N−ヒドロキシエチル−N’−ジカルボキシメチル−エチレンジアミン2ナトリウム、N−ラウロイル−N−ヒドロキシエチル−N’−カルボキシメチル−エチレンジアミンナトリウム、N−ヒドロキシドデシル−N−ポリオキシエチレン−N’−カルボキシエチル−N’−ポリオキシエチレンエチレンジアミンナトリウム、ヤシ脂肪酸アシル−N−ヒドロキシエチルエチレンジアミンナトリウム、等のアミノカルボン酸塩型;2−ラウリル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、2−ミリスチル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、2−ステアリル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、2−ヤシ油アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン等のイミダゾリン型;RNCH(CH)P(OH)O(R:アルキル)で示されるリン酸型;レシチン;ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン等のアミノ酢酸ベタイン型等が挙げられる。
【0037】
なお、本発明の帯電防止剤はマスターバッチを経由して樹脂組成物を得る事もできる。例えば前記ブロック共重合体又はブロック共重合体を含有してなる帯電防止剤と前述の公知の界面活性剤からなる混合物を、熱可塑性樹脂にブレンド、混練してマスターバッチとすることができる。マスターバッチを作製する方法として、単軸押出機、二軸押出機、多軸押出機を用いることができるが、コストと分散性の面で二軸押出機を用いる事が望ましい。特にマスターバッチとすることで、成型品に加工した際に帯電防止剤を均一に分散することができる。
【0038】
[樹脂組成物からなるフィルム及びシート]
本発明に係る帯電防止剤を添加した帯電防止樹脂組成物は、公知公用の成形法に適用できる好適な材料であり、得られる成形体には、特に制限はなく、例えばフィルム・シート、モノフィラメント、繊維や不織布等のマルチフィラメント、射出成形体、ブロー成形体、積層体、発泡体、真空成形体などの熱成形体が挙げられる。又、本発明に係る帯電防止剤を添加した樹脂組成物は、延伸配向結晶化させる際の成形性が良く、本発明効果が顕著に現れ、延伸して得られるフィルム・シート、テープヤーン、延伸ブロー成形体、(モノ、マルチ)フィラメントの製造に好適である。
【0039】
本発明に係る帯電防止剤を添加した樹脂組成物から得られる成形体の成形方法としては、射出成形法、ブロー成形法(射出延伸ブロー、押出し延伸ブロー、ダイレクトブロー)、バルーン法、インフレーション成形、共押出法、カレンダー法、ホットプレス法、溶媒キャスティング法、(延伸)押出し成形,紙やアルミとの押出しラミネーション法、異形押出し成形、真空(圧空)成形などの熱成形、溶融紡糸(モノフィラメント、マルチフィラメント、スパンボンド法、メルトブローン法、解繊糸法など)、発泡成形法、圧縮成形法等が挙げられ、何れの方法にも適応できる。
【0040】
特に、押出し成形、溶融紡糸などの延伸配向結晶化させる工程をとり得る成形法の場合、得られる成形体の強度、耐熱性、耐衝撃性、透明性等の実用強度や外観を改良させる事ができ、より好ましく用いられる。本発明に係るブロック共重合体を添加した樹脂組成物から得られる成形体は、例えば、公知・公用の成形法で得られる成形体を包含し、その形状、大きさ、厚み、意匠等に関して何ら制限はない。
【0041】
本発明に係るブロック共重合体を添加した樹脂組成物を上記成形方法から得られる、ボトル、フィルム又はシート、中空管、積層体、真空(圧空)成形容器、(モノ、マルチ)フィラメント、不織布、発泡体等の成形体は、例えば、ショッピングバッグ、紙袋、シュリンクフィルム、ゴミ袋、コンポストバッグ、弁当箱、惣菜用容器、食品・菓子包装用フィルム、食品用ラップフィルム、化粧品・香粧品用ラップフィルム、おむつ、生理用ナプキン、医薬品用ラップフィルム、製薬用ラップフィルム,肩こりや捻挫等に適用される外科用貼付薬用ラップフィルム、農業用・園芸用フィルム、農薬品用ラップフィルム、温室用フィルム、肥料用袋、包装用バンド、ビデオやオーディオ等の磁気テープカセット製品包装用フィルム、フレキシブルディスク包装用フィルム、製版用フィルム、粘着テープ、テープ、ヤーン、育苗ポット、防水シート、土嚢用袋、建築用フィルム、雑草防止シート、植生ネット、など食品、電子、医療、薬品、化粧品等の各種包装用フィルム、電子部品用フィルム、電機絶縁フィルム、金属板ラミネート用フィルム、ガラスディスプレイ用フィルム等のフィルム、液晶表示装置用部材のプリズムレンズシート、タッチパネル、バックライト等のベースフィルム、偏光板、光学レンズ、各種計器のカバー、自動車、電車等の窓ガラスに用いられる反射防止用フィルム;ディスプレイ防爆用フィルムのベースフィルム、液晶表示用基板、有機EL表示素子基板、カラーフィルター用基板、タッチパネル用基板、太陽電池用基板等の光学シート;光学レンズ、スクリーン等に用いるレンズシート、電機・自動車製造業、農業・土木・水産分野で用いられる資材等の広範囲における各種材料として好適に使用し得る。
【実施例】
【0042】
次に実施例に基づいて本発明をより詳しく説明する。ただし、本発明はこの実施例に限定されるものではない。
【0043】
<数平均分子量>
数平均分子量(Mn)はゲルパーミネーションクロマトグラフィーにて、下記測定条件に従って測定した。
装置:高温ゲルパーミネーションクロマトグラフィー(Waters allianceGPC 2000)
溶媒:オルトジクロロベンゼン
基準物質:ポリスチレン
【0044】
[製造例1]
窒素導入管、攪拌機、温度計を備えたステンレス製オートクレーブ(以下同様)にポリ(イソ)ブテニルコハク酸無水物(鹸化価90mgKOH/g)2940g、ポリオキシエチレングリセリンエーテル(水酸基価170mgKOH/g)780g、酸化防止剤(イルガノックス1010)12gを仕込んだ。充分に窒素置換を行い、80℃まで昇温した後、48%KOH272gを添加した。更に充分な窒素置換を行い、170℃まで昇温した後、170℃、0.2kPa以下、微量窒素バブリングの減圧下条件で3時間維持した。得られた生成物は粘ちょうなポリマーであった。生成物のエステル価は34.9mgKOH/gであった。また、IRスペクトルでは、C=O伸縮1735cm−1、C(=O)O−逆対称伸縮1565cm−1に特徴的な吸収があった。得られた生成物をブロック共重合体1とする。
【0045】
[製造例2]
ステンレス製オートクレーブにポリ(イソ)ブテニルコハク酸無水物(鹸化価62mgKOH/g)3520g、ポリオキシエチレンペンタエリスリトールエーテル(水酸基価373mgKOH/g)390g、酸化防止剤(イルガノックス1010)13gを仕込んだ。充分に窒素置換を行い、80℃まで昇温した後、48%KOH228gを添加した。更に充分な窒素置換を行い、220℃まで昇温した後、220℃、0.2kPa以下、微量窒素バブリングの減圧下条件で3時間維持した。得られた生成物は粘ちょうなポリマーであった。生成物のエステル価は27.3mgKOH/gであった。また、IRスペクトルでは、C=O伸縮1735cm−1、C(=O)O−逆対称伸縮1565cm−1に特徴的な吸収があった。得られた生成物をブロック共重合体2とする。
【0046】
[製造例3]
ステンレス製オートクレーブにポリ(イソ)ブテニルコハク酸無水物(鹸化価90mgKOH/g)1944g、ポリオキシエチレンジペンタエリスリトールエーテル(水酸基価204mgKOH/g)642g、ステアリン酸222g、酸化防止剤(イルガノックス1010)9gを仕込んだ。充分に窒素置換を行い、80℃まで昇温した後、48%KOH183gを添加した。更に充分な窒素置換を行い、220℃まで昇温した後、220℃、0.2kPa以下、微量窒素バブリングの減圧下条件で3時間維持した。得られた生成物は粘ちょうなポリマーであった。生成物のエステル価は45.8mgKOH/gであった。また、IRスペクトルでは、C=O伸縮1735cm−1、C(=O)O−逆対称伸縮1565cm−1に特徴的な吸収があった。得られた生成物をブロック共重合体3とする。
【0047】
[製造例4]
ステンレス製オートクレーブにMnが3,300で平均末端二重結合数が0.9の低分子量ポリプロピレン9,700部と無水マレイン酸300部とを仕込み、窒素ガス雰囲気下、220℃で溶融し10時間反応を行った。その後、過剰のマレイン酸を200℃で4時間減圧留去してポリプロピレンの無水マレイン酸変性物を得た。Mnは3,400、鹸化価は30mgKOH/g、1分子あたりの酸変性度は0.9であった。
【0048】
[製造例5]
ステンレス製オートクレーブに製造例4で作製したポリプロピレンの無水マレイン酸変性物4,000g、ポリオキシエチレンペンタエリスリトールエーテル(水酸基価93.5mgKOH/g)706g、酸化防止剤(イルガノックス1010)14g、48%NaOH98g、イオン水48gを仕込んだ。充分に窒素置換を行い、220℃まで昇温した後、攪拌を1時間行なった。更に0.2kPa以下、微量窒素バブリングの減圧下条件で4時間維持した。得られた生成物のハンドリングは良好であり、固体状のポリマーであった。生成物のエステル価は12.9mgKOH/gであった。また、IRスペクトルでは、C=O伸縮1737cm−1、C(=O)O−逆対称伸縮1579cm−1に特徴的な吸収があった。得られた生成物をブロック共重合体4とする。
【0049】
[製造例6]
ステンレス製オートクレーブにMnが8,900で平均末端二重結合数が1.6の低分子量ポリプロピレン9,800部と無水マレイン酸200部とを仕込み、窒素ガス雰囲気下、220℃で溶融し20時間反応を行った。その後、過剰のマレイン酸を200℃で4時間減圧留去してポリプロピレンの無水マレイン酸変性物を得た。Mnは9,000、鹸化価は20mgKOH/g、1分子あたりの酸変性度は1.6であった。
【0050】
[比較製造例1]
ステンレス製オートクレーブに製造例6で作製したポリプロピレンの無水マレイン酸変性物4000g、ポリオキシエチレンペンタエリスリトールエーテル(水酸基価93.5mgKOH/g)712g、酸化防止剤(イルガノックス1010)14g、水酸化カリウム34g、イオン水48gを仕込んだ。充分に窒素置換を行い、220℃まで昇温した後、攪拌を1時間行なった。更に0.2kPa以下、微量窒素バブリングの減圧下条件で4時間維持した。得られた生成物のハンドリングは不良であり、ゴム状固体のポリマーであった。生成物のエステル価は7mgKOH/gであった。また、IRスペクトルでは、C=O伸縮1737cm−1、C(=O)O−逆対称伸縮1579cm−1に特徴的な吸収があった。得られた生成物をブロック共重合体5とする。
【0051】
先の製造例及び比較製造例で調製した各ブロック共重合体からなる実施例及び比較例の帯電防止剤を表1中の欄の「帯電防止剤」に示すように準備し、そしてこの帯電防止剤を表1に示す処方にて熱可塑性樹脂に配合し、実施例1乃至実施例12及び比較例1の樹脂組成物を調製し、それよりそれぞれの試験片を得た。
具体的には、試験片は、表1に記載の帯電防止剤(ブロック共重合体)を、下記<試験片の作成>の手順に従ってフィルム又はシート形態の試験片に作製され、そして後述の<評価方法>に従って試験片の帯電防止性、外観及び透明性を評価した。
また、表1中の欄「配合量」は、上記樹脂組成物中の帯電防止剤の割合(質量%)を表し、欄「試験片」は下記<試験片の作成>に示す試験片1乃至試験片5の種類を示す。
【0052】
<試験片の作成>
下記手順に倣い、試験片を作製した。なお、後述の外観評価及び透明性評価においては、帯電防止剤を配合しない試験片を基準試験片として、同様の手順にて作製した。
(1)試験片1
熱可塑性樹脂としてポリプロピレン[ノバテックPP FL6H(商品名:日本ポリプロ(株)販売)]に対して前述の本発明の帯電防止剤を表1に示した配合量で配合し、ラボプラストミルとローラミキサー((株)東洋精機製作所製)にて200℃で溶解混合した後、混合した樹脂をプレス機にて厚さ0.5mm、縦60mm、横60mmのシート状に成型した。次にこのシートをオーブンの中で加熱した後、縦5.0倍、横5.0倍に延伸し厚み20μmのフィルムを得た。
(2)試験片2
熱可塑性樹脂としてポリプロピレン[プライムポリプロ F−300SP(商品名:(株)プライムポリマー販売)]に対して前述の本発明の帯電防止剤を表1に示した配合量で配合し、Tダイ押出機で溶融温度200−240℃にて厚さ200μmのシートを製膜した。
(3)試験片3
熱可塑性樹脂としてポリエチレン[スミカセン F−102(商品名:住友化学(株)販売)]に対して前述の本発明の帯電防止剤を表1に示した配合量で配合し、Tダイ押出機で溶融温度200−220℃にて厚さ200μmのシートを製膜した。
(4)試験片4
熱可塑性樹脂としてポリ乳酸[レイシアH−400(商品名:三井化学(株)販売)]に対して前述の本発明の帯電防止剤を表1に示した配合量で配合し、ラボプラストミルとローラミキサー((株)東洋精機製作所製)にて200℃で溶解混合した後、混合した樹脂をプレス機にて厚さ0.2mm、縦60mm、横60mmのシート状に成型した。次にこのシートをオーブンの中で加熱した後、縦3.0倍、横3.0倍に延伸し厚み20μmのフィルムを得た。
(5)試験片5
熱可塑性樹脂としてポリプロピレン[ノバテックPP FL6H(商品名:日本ポリプロ(株)販売)]に対して前述の本発明の帯電防止剤を表1に示した配合量で配合し、二軸押出機にてマスターバッチ化を行なった。この樹脂組成物をTダイにより押出し、テンター法二軸延伸機により厚さ30μmの延伸フィルムを得た。
【0053】
<評価方法>
(1)帯電防止性
試験片を温度23℃、相対湿度50%の環境下に1日放置した後、同条件下でJIS−K6911に準じ、(株)川口電気製作所製超絶縁計P−616を使用して作製した試験片の表面固有抵抗値を測定した。その後、試験片を80℃のお湯に30分浸漬し、綺麗な布で表面を拭き取り後、同様に表面固有抵抗値を測定した。なお、数値が小さい程、帯電防止性が優れている事を示し、表面固有抵抗値(LogΩ/□)は13以下が目標である。
得られた結果を表1に示す。
(2)外観
帯電防止剤未配合の試験片と本発明の帯電防止剤を配合した試験片を目視で比較確認した。未配合と同等の外観で、帯電防止剤が樹脂に相溶して一様な外観を有しているものを○、スジ、ボイドやフィッシュアイ等が発生し外観が不良なものを×で評価した。
得られた結果を表1に示す。
(3)透明性
HAZE測定装置((有)東京電色製 HAZEMETER TC−HIIIDPK)にて作製した試験片(フィルム、シート)のHAZE値を測定し、帯電防止剤未配合の試験片と本発明の帯電防止剤配合の試験片との差ΔHAZEを比較評価した。なお、ΔHAZEが小さいほど、帯電防止剤未配合の試験片に近い透明性を示し、ΔHAZEは10以下が目標である。
得られた結果を表1に示す。
【0054】
【表1】

【0055】
表1に示すように実施例1乃至実施例12においては、洗浄前後で帯電防止性能に殆ど変化がなく、また、帯電防止無添加の試験片と同様に、スジ、ボイド、フィッシュアイ等の発生のない、優れた外観を有し、また、透明性にも優れたものであるとする結果が得られた。
一方、比較例1においては、帯電防止性の持続性、外観及び透明性の全てを満足できる結果は得られなかった。
以上の結果より、本発明に係る帯電防止剤は、帯電防止性とその持続性に優れ、かつ、樹脂に練り込んでもその外観や透明性を損なわないことが確認できた。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記(a)と(b)、又は(a)、(b)及び(c)の反応物であるエステル化合物から得られ、該エステル化合物中に残存する酸基の一部もしくは全部がアルカリ性物質により中和されてなるブロック共重合体からなる帯電防止剤。
(a)片末端が酸変性されたポリオレフィン
(b)3〜20価の多価アルコールのアルキレンオキサイド付加物
(c)(a)及び/又は(b)と反応可能な化合物
【請求項2】
前記(a)片末端が酸変性されたポリオレフィンは、ポリオレフィンの片末端をα,β−不飽和カルボン酸又はその無水物により変性することにより得られるものである請求項1に記載の帯電防止剤。
【請求項3】
前記(a)片末端が酸変性されたポリオレフィンが、ポリ(イソ)ブテニルコハク酸無水物である請求項1又は請求項2に記載の帯電防止剤。
【請求項4】
前記(a)片末端が酸変性されたポリオレフィンが、ポリプロピレンを無水マレイン酸変性したポリオレフィンである、請求項1又は請求項2記載の帯電防止剤。
【請求項5】
前記ポリプロピレンが、一分子当たりの平均末端二重結合量が1.0以下のポリプロピレンである、請求項4に記載の帯電防止剤。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5のうちいずれか1項に記載の帯電防止剤と熱可塑性樹脂とを含有することを特徴とする帯電防止樹脂組成物。
【請求項7】
前記熱可塑性樹脂がポリオレフィン樹脂である、請求項6に記載の帯電防止樹脂組成物。
【請求項8】
請求項6又は請求項7に記載の樹脂組成物からなるフィルム。
【請求項9】
請求項6又は請求項7に記載の樹脂組成物からなるシート。

【公開番号】特開2013−18923(P2013−18923A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−155261(P2011−155261)
【出願日】平成23年7月13日(2011.7.13)
【出願人】(000221797)東邦化学工業株式会社 (188)
【Fターム(参考)】