説明

常温接合装置

【課題】基板の表面をより均一に活性化することにより、複数の基板をより適切に接合すること。
【解決手段】第1基板の第1活性化表面に照射される複数の第1活性化ビームをそれぞれ出射する複数の第1ビーム源17−1〜17−2と、第2基板のその第2活性化表面に照射される複数の第2活性化ビームをそれぞれ出射する複数の第2ビーム源18−1〜18−2と、その第1活性化表面とその第2活性化表面とが照射された後に、その第1活性化表面とその第2活性化表面とを接触させることにより、その第1基板とその第2基板とを接合する圧接機構15とを備えている。このような常温接合装置は、その第1活性化表面とその第2活性化表面とをそれぞれ1つのビーム源を用いて照射する他の常温接合装置に比較して、その第1活性化表面とその第2活性化表面とをより均一に照射することができ、その第1基板とその第2基板とをより適切に接合することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、常温接合装置に関し、特に、真空雰囲気で活性化された表面を接触させることにより複数の基板を接合する常温接合装置に関する。
【背景技術】
【0002】
微細な電気部品や機械部品を集積化したMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)が知られている。そのMEMSとしては、マイクロマシン、圧力センサ、超小型モーターなどが例示される。半導体ウェハ上に形成されたLSI(Large Scale Integration)が積層されることにより作製される半導体デバイスが知られている。このような半導体デバイスは、リーク電流の増大や配線における信号遅延などを低減することができる。
【0003】
真空雰囲気で活性化されたウェハ表面同士を接触させ、そのウェハを接合する常温接合が知られている。このような常温接合は、そのMEMSを作製することに好適であり、半導体デバイスを作製することに好適である。そのMEMSとその半導体デバイスとは、生産性の増大、低価格化が望まれ、大口径の半導体ウェハから作製されることが望まれている。このため、大口径の半導体ウェハをより適切に常温接合することができる常温接合装置が望まれている。
【0004】
より大径の基板を常温接合することができる常温接合装置は、大型化する傾向がある。大径の基板を常温接合することができ、かつ、よりコンパクトである常温接合装置が望まれている。
【0005】
特許第2791429号公報には、大きな接合強度を持ち、かつ荷重による押し付けや加熱処理を必要としないシリコンウェハーの接合方法が開示されている。そのシリコンウェハーの常温接合方法は、シリコンウェハーとシリコンウェハーとを接合する方法であって、両方のシリコンウェハーの接合面を接合に先立って室温の真空中で不活性ガスイオンビームまたは不活性ガス高速原子ビームで照射してスパッタエッチングすることを特徴としている。
【0006】
特開2009−49081号公報には、電極表面酸化を防止し安定した常温接合装置接合装置が開示されている。その接合装置は、2体のウェハにそれぞれ形成された複数の電極面を接合する接合装置であって、前記電極面を平坦化する平坦化装置と、前記平坦化された前記電極面を活性化する活性化装置と、前記電極面同士の位置合わせを行うアライメント装置と、前記位置合わせされた電極面同士を重ね合わせる重ね合わせ装置と、重ね合わせた前記2体のウェハを加圧する加圧装置と、前記平坦化装置、前記活性化装置、前記アライメント装置、前記重ね合わせ装置、及び前記加圧装置の間の少なくとも1つに前記ウェハを搬送する搬送装置とを有することを特徴としている。
【0007】
特許第3970304号公報には、常温接合する常温接合装置が開示されている。その常温接合装置は、上側基板と下側基板とを常温接合するための真空雰囲気を生成する接合チャンバーと、前記接合チャンバーの内部に設置され、前記上側基板を前記真空雰囲気に支持する上側ステージと、前記接合チャンバーの内部に設置され、前記下側基板を前記真空雰囲気に支持するキャリッジと、前記キャリッジに同体に接合される弾性案内と、前記接合チャンバーの内部に設置され、水平方向に移動可能に前記弾性案内を支持する位置決めステージと、前記弾性案内を駆動して前記水平方向に前記キャリッジを移動する第1機構と、前記水平方向に垂直である上下方向に前記上側ステージを移動する第2機構と、前記接合チャンバーの内部に設置され、前記下側基板と前記上側基板とが圧接されるときに、前記上側ステージが移動する方向に前記キャリッジを支持するキャリッジ支持台とを備えている。前記弾性案内は、前記下側基板と前記上側基板とが接触しないときに前記キャリッジが前記キャリッジ支持台に接触しないように前記キャリッジを支持し、前記下側基板と前記上側基板とが圧接されるときに前記キャリッジが前記キャリッジ支持台に接触するように弾性変形する。
【0008】
特許第4172806号公報には、基板面に中間材を均一に形成し、接合時の加熱が不要で常温にて接合しても十分な接合強度が得られる常温接合方法が開示されている。その常温接合方法は、中間材を介して複数の基板を常温で接合する方法において、複数のターゲットを物理スパッタリングすることによって、前記基板の被接合面上に前記中間材を形成する工程と、前記基板の被接合面を物理スパッタリングにより活性化する工程とを含むことを特徴としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特許第2791429号公報
【特許文献2】特開2009−49081号公報
【特許文献3】特許第3970304号公報
【特許文献4】特許第4172806号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の課題は、複数の基板をより適切に接合する常温接合装置を提供することにある。
本発明の他の課題は、よりコンパクトである常温接合装置を提供することにある。
本発明のさらに他の課題は、複数の基板を接合する常温接合装置をよりコンパクトにする常温接合方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
以下に、発明を実施するための形態・実施例で使用される符号を括弧付きで用いて、課題を解決するための手段を記載する。この符号は、特許請求の範囲の記載と発明を実施するための形態・実施例の記載との対応を明らかにするために付加されたものであり、特許請求の範囲に記載されている発明の技術的範囲の解釈に用いてはならない。
【0012】
本発明による常温接合装置は、第1基板(42)(85)(93)の第1活性化表面(40)に照射される複数の第1活性化ビーム(41−1〜41−2)(84−1〜84−4)(92−1〜92−2)をそれぞれ出射する複数の第1ビーム源(17−1〜17−2)(82−1〜82−4)(91−1〜91−2)と、第2基板(52)(88)の第2活性化表面(50)に照射される複数の第2活性化ビーム(51−1〜51−2)(87−1〜87−4)をそれぞれ出射する複数の第2ビーム源(18−1〜18−2)(83−1〜83−4)と、第1活性化表面(40)と第2活性化表面(50)とが照射された後に、第1活性化表面(40)と第2活性化表面(50)とを接触させることにより、第1基板(42)(85)(93)と第2基板(52)(88)とを接合する圧接機構(15)とを備えている。このような常温接合装置は、第1活性化表面(40)と第2活性化表面(50)とをそれぞれ1つのビーム源を用いて照射する他の常温接合装置に比較して、第1活性化表面(40)と第2活性化表面(50)とをより均一に照射することができ、第1基板(42)(85)(93)と第2基板(52)(88)とをより適切に接合することができる。
【0013】
本発明による常温接合装置は、複数の第1ビーム源(17−1〜17−2)(82−1〜82−4)(91−1〜91−2)と複数の第2ビーム源(18−1〜18−2)(83−1〜83−4)とに対応する複数の取付位置調整機構(19)をさらに備えている。複数の取付位置調整機構(19)のうちの任意のビーム源に対応する取付位置調整機構は、複数の取付位置のうちの任意の取付位置にその任意のビーム源を固定する。第1活性化表面(40)と第2活性化表面(50)とは、複数の第1ビーム源(17−1〜17−2)(82−1〜82−4)(91−1〜91−2)と複数の第2ビーム源(18−1〜18−2)(83−1〜83−4)とが適切に製造されていないときに、所定の程度より均一に照射されないことがある。このとき、このような常温接合装置は、複数の第1ビーム源(17−1〜17−2)(82−1〜82−4)(91−1〜91−2)と複数の第2ビーム源(18−1〜18−2)(83−1〜83−4)とのうちのいくつかのビーム源が配置される位置を変更することにより、第1活性化表面(40)と第2活性化表面(50)とをより均一に照射することができ、第1基板(42)(85)(93)と第2基板(52)(88)とをより適切に接合することができる。
【0014】
本発明による常温接合装置は、第1活性化表面(40)が複数の第1活性化ビーム(41−1〜41−2)(84−1〜84−4)(92−1〜92−2)により照射されるときに、第1基板(42)(85)(93)を保持する第1保持装置(11)と、第2活性化表面(50)が複数の第2活性化ビーム(51−1〜51−2)(87−1〜87−4)により照射されるときに、第2基板(52)(88)を保持する第2保持装置(14)とをさらに備えている。複数の第1ビーム源(17−1〜17−2)(82−1〜82−4)(91−1〜91−2)は、第1回転軸(46)に対して回転対称になるように、配置される。第1回転軸(46)は、第1活性化表面(40)が複数の第1活性化ビーム(41−1〜41−2)(84−1〜84−4)(92−1〜92−2)により照射されるときに、第1活性化表面(40)に垂直である。複数の第2ビーム源(18−1〜18−2)(83−1〜83−4)は、第2回転軸(56)に対して回転対称になるように、配置される。第2回転軸(56)は、第2活性化表面(50)が複数の第2活性化ビーム(51−1〜51−2)(87−1〜87−4)により照射されるときに、第2活性化表面(50)に垂直である。このような常温接合装置は、複数の第1ビーム源(17−1〜17−2)(82−1〜82−4)(91−1〜91−2)と複数の第2ビーム源(18−1〜18−2)(83−1〜83−4)とが回転対称に配置されていない他の常温接合装置に比較して、第1活性化表面(40)と第2活性化表面(50)とをより均一に活性化させることができ、第1基板(42)(85)(93)と第2基板(52)(88)とをより適切に接合することができる。
【0015】
本発明による常温接合装置は、複数の第1活性化ビーム(41−1〜41−2)(84−1〜84−4)(92−1〜92−2)と複数の第2活性化ビーム(51−1〜51−2)(87−1〜87−4)とのうちの任意の活性化ビームが複数の第1活性化ビーム(41−1〜41−2)(84−1〜84−4)(92−1〜92−2)と複数の第2活性化ビーム(51−1〜51−2)(87−1〜87−4)とのうちのその任意の活性化ビームと異なる他の活性化ビームと異なるように、複数の第1ビーム源(17−1〜17−2)(82−1〜82−4)(91−1〜91−2)と複数の第2ビーム源(18−1〜18−2)(83−1〜83−4)とを制御する制御装置(71)をさらに備えている。このような常温接合装置は、複数の第1ビーム源(17−1〜17−2)(82−1〜82−4)(91−1〜91−2)と複数の第2ビーム源(18−1〜18−2)(83−1〜83−4)とが同様に制御される他の常温接合装置に比較して、第1活性化表面(40)と第2活性化表面(50)とをより適切に活性化させることができ、第1基板(42)(85)(93)と第2基板(52)(88)とをより適切に接合することができる。
【0016】
本発明による常温接合装置は、チャンバー(3)の内部を排気することにより、複数の第1活性化ビーム(41−1〜41−2)(84−1〜84−4)(92−1〜92−2)と複数の第2活性化ビーム(51−1〜51−2)(87−1〜87−4)とが出射される真空雰囲気をチャンバー(3)の内部に生成する排気装置(10)をさらに備えている。制御装置(71)は、複数の第1活性化ビーム(41−1〜41−2)(84−1〜84−4)(92−1〜92−2)と複数の第2活性化ビーム(51−1〜51−2)(87−1〜87−4)とのうちの任意の活性化ビームが出射されている期間に、複数の第1活性化ビーム(41−1〜41−2)(84−1〜84−4)(92−1〜92−2)と複数の第2活性化ビーム(51−1〜51−2)(87−1〜87−4)とのうちのその任意の活性化ビームと異なる他の活性化ビームが出射されないように、複数の第1ビーム源(17−1〜17−2)(82−1〜82−4)(91−1〜91−2)と複数の第2ビーム源(18−1〜18−2)(83−1〜83−4)とを制御する。
【0017】
このような常温接合装置は、複数の第1活性化ビーム(41−1〜41−2)(84−1〜84−4)(92−1〜92−2)と複数の第2活性化ビーム(51−1〜51−2)(87−1〜87−4)とが一斉に出射されるときに必要である最大排気速度でチャンバー(3)の内部を排気する必要がなく、複数の第1活性化ビーム(41−1〜41−2)(84−1〜84−4)(92−1〜92−2)と複数の第2活性化ビーム(51−1〜51−2)(87−1〜87−4)とのうちの一部の活性化ビームだけが出射されるときに必要である最小排気速度以上の排気速度で排気することにより、チャンバー(3)の内部に真空雰囲気を継続して生成することができる。このような常温接合装置は、その最大排気速度で排気することができないで、かつ、その排気速度で排気することができる小型の真空排気装置が真空排気装置(10)として適用されることができる。このような常温接合装置は、このような小型の真空排気装置を適用することにより、その最大排気速度で排気することができる大型の真空排気装置が適用された他の常温接合装置に比較して、よりコンパクトに、より安価に作製されることができる。
【0018】
本発明による常温接合装置は、複数の第1ビーム源(17−1〜17−2)(82−1〜82−4)(91−1〜91−2)と複数の第2ビーム源(18−1〜18−2)(83−1〜83−4)とに対応する複数のガス種切替機構をさらに備えている。その複数のガス種切替機構のうちの任意のビーム源に対応するガス種切替機構(61)は、複数のガスのうちの任意のガスをその任意のビーム源に供給する。その任意のビーム源は、その任意のガスから活性化ビームを生成する。
【0019】
本発明によるビーム源取付位置調整方法は、第1基板(42)(85)(93)の第1活性化表面(40)を活性化させる複数の第1活性化ビーム(41−1〜41−2)(84−1〜84−4)(92−1〜92−2)をそれぞれ出射する複数の第1ビーム源(17−1〜17−2)(82−1〜82−4)(91−1〜91−2)と、第2基板(52)(88)の第2活性化表面(50)を活性化させる複数の第2活性化ビーム(51−1〜51−2)(87−1〜87−4)をそれぞれ出射する複数の第2ビーム源(18−1〜18−2)(83−1〜83−4)と、第1活性化表面(40)と第2活性化表面(50)とが照射された後に、第1活性化表面(40)と第2活性化表面(50)とを接触させることにより、第1基板(42)(85)(93)と第2基板(52)(88)とを接合する圧接機構(15)と、複数の第1ビーム源(17−1〜17−2)(82−1〜82−4)(91−1〜91−2)と複数の第2ビーム源(18−1〜18−2)(83−1〜83−4)とに対応する複数の取付位置調整機構(19)とを備えている。複数の取付位置調整機構(19)のうちの任意のビーム源に対応する取付位置調整機構は、複数の取付位置のうちの任意の取付位置にその任意のビーム源を固定する常温接合装置を用いて実行される。
【0020】
本発明によるビーム源取付位置調整方法は、複数の第1ビーム源(17−1〜17−2)(82−1〜82−4)(91−1〜91−2)からそれぞれ出射される複数の第1エッチングレート測定用活性化ビームをエッチングレート測定用第1基板の第1表面に照射し、複数の第2ビーム源(18−1〜18−2)(83−1〜83−4)からそれぞれ出射される複数の第2エッチングレート測定用活性化ビームをエッチングレート測定用第2基板の第2表面に照射するステップ(S21)と、その第1表面がその複数の第1エッチングレート測定用活性化ビームに照射されることより、その第1表面のうちの複数の第1領域がそれぞれエッチングされる複数の第1エッチングレートを測定し、その第2表面がその複数の第2エッチングレート測定用活性化ビームに照射されることより、その第2表面のうちの複数の第2領域がそれぞれエッチングされる複数の第2エッチングレートを測定するステップ(S22)と、その複数の第1エッチングレートに基づいて算出された複数の第1位置に複数の第1ビーム源(17−1〜17−2)(82−1〜82−4)(91−1〜91−2)がそれぞれ配置されるように、かつ、その複数の第2エッチングレートに基づいて算出された複数の第2位置に複数の第2ビーム源(18−1〜18−2)(83−1〜83−4)がそれぞれ配置されるように、その複数の取付位置調整機構を調整するステップ(S24)とを備えている。第1活性化表面(40)と第2活性化表面(50)とは、複数の第1ビーム源(17−1〜17−2)(82−1〜82−4)(91−1〜91−2)と複数の第2ビーム源(18−1〜18−2)(83−1〜83−4)とが適切に製造されていないときに、所定の程度より均一に照射されないことがある。このとき、その常温接合装置は、このようなビーム源取付位置調整方法が実行されることにより、複数の第1ビーム源(17−1〜17−2)(82−1〜82−4)(91−1〜91−2)と複数の第2ビーム源(18−1〜18−2)(83−1〜83−4)とが適切な位置に配置され、第1活性化表面(40)と第2活性化表面(50)とをより均一に照射することができ、第1基板(42)(85)(93)と第2基板(52)(88)とをより適切に接合することができる。
【0021】
そのエッチングレート測定用第1基板は、その複数の第1領域がその複数の第1エッチングレート測定用活性化ビームに照射されるように、その第1表面が保護膜により被覆される。その複数の第1エッチングレートのうちの任意の第1領域に対応する第1エッチングレートは、その第1表面がその複数の第1エッチングレート測定用活性化ビームに照射されることにより、その任意の第1領域がエッチングされた深さに基づいて算出される。そのエッチングレート測定用第2基板は、その複数の第2領域がその複数の第2エッチングレート測定用活性化ビームに照射されるように、その第2表面が保護膜により被覆される。その複数の第2エッチングレートのうちの任意の第2領域に対応する第2エッチングレートは、その第2表面がその複数の第2エッチングレート測定用活性化ビームに照射されることにより、その任意の第2領域がエッチングされた深さに基づいて算出される。
【発明の効果】
【0022】
本発明による常温接合装置は、1つの基板の表面に対して複数のビーム源を備えることにより、1つの基板の表面を1つのビーム源を用いて照射する他の常温接合装置に比較して、その表面をより均一に照射することができ、2つの基板をより適切に接合することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】図1は、常温接合装置本体を示す断面図である。
【図2】図2は、接合チャンバーを示す断面図である。
【図3】図3は、ガス種切替機構を示すブロック図である。
【図4】図4は、活性化装置を示す斜視図である。
【図5】図5は、取付位置調整機構を示す側面図である。
【図6】図6は、複数の下側ビーム源を示す斜視図である。
【図7】図7は、複数の上側ビーム源を示す斜視図である。
【図8】図8は、常温接合装置制御装置を示すブロック図である。
【図9】図9は、常温接合方法を示すフローチャートである。
【図10】図10は、活性化シーケンスを示すフローチャートである。
【図11】図11は、本発明によるガン取付位置調整方法を示すフローチャートである。
【図12】図12は、他の活性化装置を示す斜視図である。
【図13】図13は、さらに他の活性化装置を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図面を参照して、本発明による常温接合装置の実施の形態を記載する。その常温接合装置は、常温接合装置本体と常温接合装置制御装置とを備えている。その常温接合装置本体1は、図1に示されているように、ロードロックチャンバー2と接合チャンバー3とを備えている。ロードロックチャンバー2は、環境から内部を密閉する容器に形成されている。接合チャンバー3は、環境から内部を密閉する容器に形成されている。常温接合装置本体1は、さらに、ゲート5とゲートバルブ6とを備えている。ゲート5は、ロードロックチャンバー2と接合チャンバー3との間に介設され、接合チャンバー3の内部とロードロックチャンバー2の内部とを接続している。ゲートバルブ6は、その常温接合装置制御装置に制御されることにより、ゲート5を閉鎖し、または、ゲート5を開放する。
【0025】
ロードロックチャンバー2は、図示されていない蓋と真空排気装置とを備えている。その蓋は、ユーザに操作されることにより、環境とロードロックチャンバー2の内部とを接続する開口部を閉鎖し、または、その開口部を開放する。その真空排気装置は、その開口部とゲート5とが閉鎖されているときに、その常温接合装置制御装置に制御されることにより、ロードロックチャンバー2の内部から気体を排気する。その真空排気装置としては、ターボ分子ポンプ、クライオポンプ、油拡散ポンプが例示される。
【0026】
ロードロックチャンバー2は、さらに、複数の棚7と搬送ロボット8とを内部に備えている。複数の棚7には、複数のカートリッジが載せられる。その複数のカートリッジの各々のカートリッジは、概ね円盤状に形成されている。そのカートリッジが形成される材料としては、アルミニウム、ステンレス鋼、窒化アルミニウム、シリコン、石英、グラッシーカーボンが例示される。そのカートリッジは、そのカートリッジの上にウェハが載せられて利用される。搬送ロボット8は、ゲート5が開放されているときに、その常温接合装置制御装置に制御されることにより、複数の棚7に配置されたカートリッジを接合チャンバー3の内部に搬送し、または、接合チャンバー3の内部に配置されたカートリッジを複数の棚7に搬送する。
【0027】
接合チャンバー3は、真空排気装置10を備えている。真空排気装置10は、ゲート5が閉鎖されているときに、その常温接合装置制御装置に制御されることにより、接合チャンバー3の内部から気体を排気する。真空排気装置10としては、ターボ分子ポンプ、クライオポンプ、油拡散ポンプが例示される。
【0028】
接合チャンバー3は、図2に示されているように、さらに、位置決めステージキャリッジ11と位置合わせ機構12とを備えている。位置決めステージキャリッジ11は、板状に形成されている。位置決めステージキャリッジ11は、接合チャンバー3の内部に配置され、鉛直方向に垂直である水平方向に平行移動可能に、かつ、鉛直方向に平行である回転軸を中心に回転移動可能に支持されている。位置決めステージキャリッジ11は、ウェハが載せられたカートリッジを保持することにより、そのウェハを保持する。位置合わせ機構12は、その常温接合装置制御装置に制御されることにより、位置決めステージキャリッジ11が水平方向に平行な方向に平行移動するように、または、位置決めステージキャリッジ11が鉛直方向に平行である回転軸を中心に回転移動するように、位置決めステージキャリッジ11を移動させる。
【0029】
接合チャンバー3は、さらに、静電チャック14と圧接機構15とを備えている。静電チャック14は、接合チャンバー3の内部に配置され、位置決めステージキャリッジ11の鉛直上方に配置されている。静電チャック14は、鉛直方向に平行移動可能に接合チャンバー3に支持されている。静電チャック14は、アルミナ系セラミックに例示される絶縁体から形成されている誘電層から形成されている。静電チャック14は、鉛直方向に概ね垂直に配置される平坦な面が下端に形成されている。静電チャック14は、さらに、その誘電層の内部に配置される内部電極を備えている。静電チャック14は、その常温接合装置制御装置に制御されることにより、その内部電極に所定の印加電圧が印加される。静電チャック14は、その内部電極に所定の印加電圧が印加されることにより、その誘電層の平坦な面の近傍に配置されるウェハまたは基板を静電力によって保持する。
【0030】
圧接機構15は、その常温接合装置制御装置に制御されることにより、接合チャンバー3に対して鉛直方向に静電チャック14を平行移動させる。たとえば、圧接機構15は、その常温接合装置制御装置に制御されることにより、複数の位置のうちの1つの位置に静電チャック14を配置する。その複数の位置は、アライメント位置とホーム位置と活性化位置とを含んでいる。そのアライメント位置は、下側ウェハが位置決めステージキャリッジ11に保持されている場合で、上側ウェハが静電チャック14に保持されているときに、その下側ウェハと上側ウェハとが所定の距離(たとえば、1mm)だけ離れるように、設計される。そのホーム位置は、そのアライメント位置よりさらに鉛直上方である。その活性化位置は、そのホーム位置よりさらに鉛直上方である。
【0031】
圧接機構15は、さらに、その常温接合装置制御装置に制御されることにより、静電チャック14が配置される位置を測定し、その位置をその常温接合装置制御装置に出力する。圧接機構15は、さらに、その常温接合装置制御装置に制御されることにより、静電チャック14により保持されたウェハに印加される荷重を測定し、その荷重をその常温接合装置制御装置に出力する。
【0032】
接合チャンバー3は、さらに、活性化装置16を備えている。活性化装置16は、複数の下側原子ビーム源17−1〜17−2と複数の上側原子ビーム源18−1〜18−2とを備えている。複数の下側原子ビーム源17−1〜17−2は、接合チャンバー3の内部に配置されている。複数の上側原子ビーム源18−1〜18−2は、接合チャンバー3の内部に配置されている。
【0033】
常温接合装置本体1は、さらに、複数の下側原子ビーム源17−1〜17−2と複数の上側原子ビーム源18−1〜18−2とに対応する複数のガス種切替機構を備えている。その複数のガス種切替機構のうちの下側原子ビーム源17−i(i=1,2)に対応するガス種切替機構は、その常温接合装置制御装置に制御されることにより、所定のガスを下側原子ビーム源17−iに供給する。すなわち、そのガス種切替機構61は、図3に示されているように、複数のガス供給装置62−1〜62−4と複数のバルブ63−1〜63−4と管路64とを備えている。複数のガス供給装置62−1〜62−4は、接合チャンバー3の外部に配置されている。複数のガス供給装置62−1〜62−4は、たとえば、複数のボンベから形成され、互いに異なる複数種の気体をそれぞれ放出する。たとえば、ガス供給装置62−1は、アルゴンガスArを放出する。ガス供給装置62−2は、ネオンガスNeを放出する。ガス供給装置62−3は、クリプトンガスKrを放出する。ガス供給装置62−4は、キセノンガスXeを放出する。複数のバルブ63−1〜63−4は、接合チャンバー3の外部に配置されている。複数のバルブ63−1〜63−4のうちの任意のバルブ63−k(k=1,2,3,4)は、その常温接合装置制御装置に制御されることにより、複数のガス供給装置62−kから放出される気体を管路64に供給し、または、その気体が管路64に供給されることを停止する。管路64は、複数のバルブ63−1〜63−4から管路64に供給される気体を下側原子ビーム源17−iに供給されるように、複数のバルブ63−1〜63−4を下側原子ビーム源17−iに接続している。このとき、下側原子ビーム源17−iは、その常温接合装置制御装置に制御されることにより、ガス種切替機構61から供給される気体を用いて生成される高速原子ビームを出射する。
【0034】
上側原子ビーム源18−iは、下側原子ビーム源17−iと同様にして、他のガス種切替機構を備えている。そのガス種切替機構は、ガス種切替機構61と同様にして、構成され、その常温接合装置制御装置に制御されることにより、所定のガスを上側原子ビーム源18−iに供給する。このとき、上側原子ビーム源18−iは、その常温接合装置制御装置に制御されることにより、そのガス種切替機構から供給される気体を用いて生成される高速原子ビームを出射する。
【0035】
接合チャンバー3は、さらに、図4に示されているように、複数の下側原子ビーム源17−1〜17−2と複数の上側原子ビーム源18−1〜18−2とに対応する複数の取付位置調整機構19を備えている。複数の取付位置調整機構19は、接合チャンバー3の内部に配置されている。
【0036】
複数の取付位置調整機構19のうちの下側原子ビーム源17−iに対応する下側取付位置調整機構は、図5に示されているように、角度調整フレーム21と距離調整フレーム22と固定フレーム23と角度調整用第1締結部材24と角度調整用第2締結部材25と距離調整用第1締結部材26と距離調整用第2締結部材27とを備えている。角度調整フレーム21は、接合チャンバー3に固定されている。角度調整フレーム21は、複数の角度調整用穴28が形成されている。複数の角度調整用穴28は、円弧29に沿って配置されている。距離調整フレーム22は、固定用第1穴30と固定用第2穴31と複数の距離調整用第1穴32と複数の距離調整用第2穴33とが形成されている。複数の距離調整用第1穴32は、直線34に沿って配置されている。複数の距離調整用第2穴33は、直線35に沿って配置されている。直線35は、直線34に平行である。固定フレーム23は、下側原子ビーム源17−iに固定されている。固定フレーム23は、さらに、固定用第3穴36と固定用第4穴37とが形成されている。
【0037】
角度調整用第1締結部材24と角度調整用第2締結部材25と距離調整用第1締結部材26と距離調整用第2締結部材27とは、それぞれ、2つの部品にそれぞれ形成される2つの穴に挿入されて締結されることにより、その2つの部品を固定するジグから形成され、たとえば、ボルトとナットとから形成されている。
【0038】
距離調整フレーム22は、角度調整用第1締結部材24が複数の角度調整用穴28のうちの1つの穴と固定用第1穴30とに挿入されて締結され、角度調整用第2締結部材25が複数の角度調整用穴28のうちの他の1つの穴と固定用第2穴31とに挿入されて締結されることにより、角度調整フレーム21に固定されている。固定フレーム23は、距離調整用第1締結部材26が複数の距離調整用第1穴32のうちの1つの穴と固定用第3穴36とに挿入されて締結され、距離調整用第2締結部材27が複数の距離調整用第2穴33のうちの1つの穴と固定用第4穴37とに挿入されて締結されることにより、距離調整フレーム22に固定されている。
【0039】
複数の取付位置調整機構19のうちの上側原子ビーム源18−iに対応する上側取付位置調整機構は、その下側取付位置調整機構と同様にして、形成され、上側原子ビーム源18−iを接合チャンバー3に固定している。
【0040】
図6は、複数の下側原子ビーム源17−1〜17−2を示している。複数の下側原子ビーム源17−1〜17−2のうちの任意の下側原子ビーム源17−iは、その常温接合装置制御装置に制御されることにより、ガス種切替機構61から供給されるガスから形成される高速原子ビーム(FAB:FAST ATOM BEAM)を生成し、照射軸41−iに沿ってその高速原子ビームを出射する。照射軸41−iは、下側原子ビーム源17−iの照射孔の概ね中心を通り、下側原子ビーム源17−iの照射孔面に概ね垂直である。その高速原子ビームは、照射軸41−iに垂直である平坦な表面にその高速原子ビームが照射されるときに、その表面のうちのある微小領域が照射軸41−iから遠いほど、その微小領域がその高速原子ビームによりエッチングされるエッチングレートが小さくなるような特性を有している。複数の下側原子ビーム源17−1〜17−2は、さらに、下側原子ビーム源17−1から出射される第1高速原子ビームが下側原子ビーム源17−2から出射される第2高速原子ビームと異なるように、互いに独立にその常温接合装置制御装置に制御されることもできる。
【0041】
位置決めステージキャリッジ11は、下側ウェハ42が載せられているカートリッジを保持することにより、下側ウェハ42の活性化表面40が鉛直上方を向くように、接合チャンバー3の内部に下側ウェハ42を保持する。下側ウェハ42は、シリコンやサファイアの単結晶などから形成され、円板状に形成されている。下側ウェハ42は、活性化表面40に複数のパターンが形成されている。なお、下側ウェハ42は、円板状に形成されていない基板に置換されることができる。その基板としては、矩形の板に形成されたものが例示される。下側原子ビーム源17−iは、下側ウェハ42が位置決めステージキャリッジ11に保持されているときに、照射軸41−iが活性化表面40のうちの交点43−iで交差するように、接合チャンバー3に固定されている。
【0042】
複数の下側原子ビーム源17−1〜17−2は、交点43−1と交点43−2とが一致しないように、かつ、交点43−1と交点43−2との中点が活性化表面40の中心44に一致するように、配置されている。複数の下側原子ビーム源17−1〜17−2は、さらに、交点43−1と交点43−2とを通る直線45が照射軸41−1に垂直であるように、かつ、直線45が照射軸41−2に垂直であるように、配置されている。複数の下側原子ビーム源17−1〜17−2は、さらに、下側原子ビーム源17−1の照射孔から交点43−1までの距離が下側原子ビーム源17−2の照射孔から交点43−2までの距離に等しくなるように、配置されている。すなわち、複数の下側原子ビーム源17−1〜17−2は、さらに、主回転軸46に関して2回回転対称になるように、配置されている。主回転軸46は、中心44を通り、活性化表面40に垂直である。すなわち、複数の下側原子ビーム源17−1〜17−2は、主回転軸46を中心に下側原子ビーム源17−1を180度(1/2回転)だけ回転させたときに、下側原子ビーム源17−2に重なるように、配置されている。
【0043】
このとき、その下側取付位置調整機構の角度調整フレーム21は、直線45に垂直である平面に円弧29が沿うように、かつ、直線45を軸とする円柱の側面に円弧29が沿うように、配置されている。距離調整フレーム22は、固定フレーム23が距離調整フレーム22に固定されたときに、直線34と直線35とが照射軸41−iに平行になるように、形成されている。下側原子ビーム源17−iは、その下側取付位置調整機構がこのように形成されることにより、複数の角度調整用穴28のうちの任意の角度調整用穴を用いて距離調整フレーム22が固定された場合でも、複数の距離調整用第1穴32のうちの任意の距離調整用穴を用いて固定フレーム23が固定された場合でも、照射軸41−iが交点43−iに常に交差するように、配置される。
【0044】
活性化装置16は、複数の下側原子ビーム源17−1〜17−2が主回転軸46に対して回転対称に配置されることにより、複数の下側原子ビーム源17−1〜17−2が同様の条件で高速原子ビームを出射したときに、複数の下側原子ビーム源17−1〜17−2が非対称に配置された他の活性化装置に比較して、活性化表面40に高速原子ビームをより均一に照射することができ、活性化表面40をより均一にエッチングすることができる。
【0045】
図7は、複数の上側原子ビーム源18−1〜18−2を示している。複数の上側原子ビーム源18−1〜18−2のうちの任意の上側原子ビーム源18−iは、その常温接合装置制御装置に制御されることにより、ガス種切替機構61から供給されるガスから形成される高速原子ビームを生成し、照射軸51−iに沿ってその高速原子ビームを出射する。照射軸51−iは、上側原子ビーム源18−iの照射孔の概ね中心を通り、上側原子ビーム源18−iの照射孔面に概ね垂直である。その高速原子ビームは、照射軸51−iに垂直である平坦な表面にその高速原子ビームが照射されるときに、その表面のうちのある微小領域が照射軸51−iから遠いほど、その微小領域がその高速原子ビームによりエッチングされるエッチングレートが小さくなるような特性を有している。複数の上側原子ビーム源18−1〜18−2は、さらに、上側原子ビーム源18−1から出射される第1高速原子ビームが上側原子ビーム源18−2から出射される第2高速原子ビームと異なるように、互いに独立にその常温接合装置制御装置に制御されることもできる。
【0046】
静電チャック14は、上側ウェハ52の活性化表面50が鉛直下方を向くように、接合チャンバー3の内部に上側ウェハ52を保持する。上側ウェハ52は、シリコンやサファイアの単結晶などから形成され、円板状に形成されている。上側ウェハ52は、活性化表面50に複数のパターンが形成されている。上側原子ビーム源18−iは、上側ウェハ52が静電チャック14に保持されている場合で、静電チャック14がその活性化位置に配置されているときに、照射軸51−iが活性化表面50のうちの交点53−iで交差するように、接合チャンバー3に固定されている。
【0047】
複数の上側原子ビーム源18−1〜18−2は、交点53−1と交点53−2との中点が活性化表面50の中心54に一致するように、配置されている。複数の上側原子ビーム源18−1〜18−2は、さらに、交点53−1と交点53−2とを通る直線55が照射軸51−1に垂直であるように、かつ、直線55が照射軸51−2に垂直であるように、配置されている。複数の上側原子ビーム源18−1〜18−2は、さらに、上側原子ビーム源18−1の照射孔から交点53−1までの距離が上側原子ビーム源18−2の照射孔から交点53−2までの距離に等しくなるように、配置されている。すなわち、複数の上側原子ビーム源18−1〜18−2は、主回転軸56に関して2回回転対称になるように、配置されている。主回転軸56は、中心54を通り、活性化表面50に垂直であり、主回転軸46に一致している。すなわち、複数の上側原子ビーム源18−1〜18−2は、主回転軸56を中心に上側原子ビーム源18−1を180度(1/2回転)だけ回転させたときに、上側原子ビーム源18−2に重なるように、配置されている。
【0048】
このとき、その上側取付位置調整機構の角度調整フレーム21は、直線55に垂直である平面に円弧29が沿うように、かつ、直線55を軸とする円柱の側面に円弧29が沿うように、配置されている。距離調整フレーム22は、固定フレーム23が距離調整フレーム22に固定されたときに、直線34と直線35とが照射軸51−iに平行になるように、形成されている。上側原子ビーム源18−iは、その上側取付位置調整機構がこのように形成されることにより、複数の角度調整用穴28のうちの任意の角度調整用穴を用いて距離調整フレーム22が固定された場合でも、複数の距離調整用第1穴32のうちの任意の距離調整用穴を用いて固定フレーム23が固定された場合でも、照射軸51−iが交点53−iに常に交差するように、配置される。
【0049】
活性化装置16は、複数の上側原子ビーム源18−1〜18−2が主回転軸56に対して回転対称に配置されることにより、複数の上側原子ビーム源18−1〜18−2が同様の条件で高速原子ビームを出射したときに、複数の上側原子ビーム源18−1〜18−2が非対称に配置された他の活性化装置に比較して、活性化表面50に高速原子ビームをより均一に照射することができ、活性化表面50をより均一にエッチングすることができる。
【0050】
このとき、常温接合装置本体1は、複数の下側原子ビーム源17−1〜17−2と複数の上側原子ビーム源18−1〜18−2とを備えることにより、固定された1つの下側原子ビーム源と1つの上側原子ビーム源とを備える他の常温接合装置に比較して、より広い領域をより均一に照射することができる。このため、常温接合装置本体1は、より大型の基板の表面の全体を活性化することができ、その大型の基板をより適切に接合することができる。
【0051】
図8は、常温接合装置制御装置71を示している。常温接合装置制御装置71は、コンピュータであり、図示されていないCPUと記憶装置とインターフェースとを備えている。そのCPUは、常温接合装置制御装置71にインストールされているコンピュータプログラムを実行することにより、その記憶装置とそのインターフェースとを制御する。その記憶装置は、そのコンピュータプログラムを記録し、そのCPUにより作成される情報を一時的に記録する。
【0052】
そのインターフェースは、常温接合装置制御装置71に接続されている複数の外部機器により作成される情報をそのCPUに出力したり、そのCPUにより作成された情報をその複数の外部機器に出力したりする。その複数の外部機器としては、入力装置、出力装置、通信装置、リムーバルメモリドライブが例示される。その入力装置は、ユーザに操作されることにより情報を作成し、その情報をそのCPUに出力する。その入力装置としては、キーボード、ポインティングデバイス、タッチパネルが例示される。その出力装置は、そのCPUにより作成される情報をユーザに認識可能に出力する。その出力装置としては、ディスプレイ、音響装置、タッチパネルが例示される。その通信装置は、常温接合装置制御装置71が通信ネットワークに接続されているときに、その通信ネットワークを介してそのCPUにより作成された情報を他のコンピュータに送信し、その通信ネットワークを介して他のコンピュータから受信された情報をそのCPUに出力する。その通信装置は、さらに、常温接合装置制御装置71にインストールされるコンピュータプログラムを他のコンピュータからダウンロードすることに利用される。そのリムーバルメモリドライブは、記録媒体が挿入されたときに、その記録媒体に記録されているデータを読み出すことに利用される。そのリムーバルメモリドライブは、さらに、コンピュータプログラムが記録されている記録媒体が挿入されたときに、そのコンピュータプログラムを常温接合装置制御装置71にインストールするときに利用される。その記録媒体としては、磁気ディスク(フレキシブルディスク、ハードディスク)、光ディスク(CD、DVD)、光磁気ディスク、フラッシュメモリが例示される。
【0053】
そのインターフェースは、さらに、ゲートバルブ6と搬送ロボット8とロードロックチャンバー2から排気する真空排気装置と真空排気装置10と位置合わせ機構12と静電チャック14と圧接機構15と複数の下側原子ビーム源17−1〜17−2と複数の上側原子ビーム源18−1〜18−2と複数のバルブ63−1〜63−4とを常温接合装置制御装置71に接続している。
【0054】
常温接合装置制御装置71にインストールされるコンピュータプログラムは、常温接合装置制御装置71に複数の機能をそれぞれ実現させるための複数のコンピュータプログラムから形成されている。その複数の機能は、搬送部72と活性化部73と接合部74とを含んでいる。
【0055】
搬送部72は、ゲート5が閉鎖されているときに、ロードロックチャンバー2の内部に所定の真空度の予備雰囲気が生成されるように、または、ロードロックチャンバー2の内部に大気圧雰囲気が生成されるように、ロードロックチャンバー2の真空排気装置を制御する。搬送部72は、ロードロックチャンバー2の内部にその予備雰囲気が生成されているときに、ゲート5が開閉するようにゲートバルブ6を制御する。
【0056】
搬送部72は、ゲート5が開放されているときに、複数の棚7に配置されているカートリッジが接合チャンバー3の位置決めステージキャリッジ11に搬送されるように、または、位置決めステージキャリッジ11に保持されているカートリッジがロードロックチャンバー2の複数の棚7に搬送されるように、搬送ロボット8を制御する。
【0057】
搬送部72は、静電チャック14にウェハが保持されていない場合で、上側ウェハ52が載せられているカートリッジが位置決めステージキャリッジ11に保持されているときに、上側ウェハ52が静電チャック14に保持されるように、常温接合装置本体1を制御する。すなわち、搬送部72は、静電チャック14にウェハが保持されていない場合で、上側ウェハ52が載せられているカートリッジが位置決めステージキャリッジ11に保持されているときに、静電チャック14が下降するように、圧接機構15を制御する。搬送部72は、静電チャック14が下降しているときに、静電チャック14に印加される荷重が測定されるように、圧接機構15を制御する。搬送部72は、そのカートリッジに載っている上側ウェハ52が静電チャック14に接触するタイミングをその荷重に基づいて算出する。搬送部72は、そのタイミングで静電チャック14が停止するように、圧接機構15を制御する。搬送部72は、上側ウェハ52が静電チャック14に接触しているときに、静電チャック14に上側ウェハ52が保持されるように、静電チャック14を制御する。搬送部72は、上側ウェハ52が静電チャック14に保持されているときに、静電チャック14が上昇するように、圧接機構15を制御する。
【0058】
活性化部73は、複数の下側原子ビーム源17−1〜17−2と複数の上側原子ビーム源18−1〜18−2とに所定のガスが供給されるように、その複数のガス種切替機構を制御する。このとき、活性化部73は、複数の下側原子ビーム源17−1〜17−2と複数の上側原子ビーム源18−1〜18−2とのうちのある2つの原子ビーム源にそれぞれ供給される2つのガスの種類が異なるように、その複数のガス種切替機構を制御することもできる。活性化部73は、ゲート5が閉鎖されているときに、接合チャンバー3の内部に所定の真空度の活性化雰囲気が生成されるように、かつ、接合チャンバー3の内部から気体が所定の排気速度で排気されるように、真空排気装置10を制御する。その所定の排気速度は、複数の下側原子ビーム源17−1〜17−2と複数の上側原子ビーム源18−1〜18−2とのうちの1つのビーム源だけが高速原子ビームを出射するときに必要である最小排気速度より大きく、複数の下側原子ビーム源17−1〜17−2と複数の上側原子ビーム源18−1〜18−2とが一斉に高速原子ビームを出射するときに必要である最大排気速度より小さい。活性化部73は、静電チャック14に上側ウェハ52が保持されている場合で、下側ウェハ42が載せられているカートリッジが位置決めステージキャリッジ11に保持されているときに、静電チャック14がその活性化位置に配置されるように、圧接機構15を制御する。
【0059】
活性化部73は、静電チャック14がその活性化位置に配置されている場合で、真空排気装置10により接合チャンバー3の内部から気体が所定の排気速度で排気されているときに、下側ウェハ42の活性化表面40と上側ウェハ52の活性化表面50との全部が活性化されるように、かつ、下側ウェハ42の活性化表面40と上側ウェハ52の活性化表面50との全部が一斉に活性化されないように、活性化装置16を制御する。すなわち、活性化部73は、任意の時刻に複数の下側原子ビーム源17−1〜17−2と複数の上側原子ビーム源18−1〜18−2とのうちの1つのビーム源だけが高速原子ビームを出射するように、複数の下側原子ビーム源17−1〜17−2と複数の上側原子ビーム源18−1〜18−2とのうちのその1つのビーム源を除く他のビーム源が高速原子ビームを出射しないように、複数の下側原子ビーム源17−1〜17−2と複数の上側原子ビーム源18−1〜18−2とを制御する。
【0060】
接合部74は、静電チャック14に上側ウェハ52が保持されている場合で、位置決めステージキャリッジ11に下側ウェハ42が保持されているときに、静電チャック14がそのアライメント位置に配置されるように、圧接機構15を制御する。接合部74は、静電チャック14がそのアライメント位置に配置されているときに、上側ウェハ52に対して下側ウェハ42が所定の位置合わせ位置に配置されるように、位置合わせ機構12を制御する。その位置合わせ位置は、静電チャック14が下降したときに、上側ウェハ52と下側ウェハ42とが設計通りに接合されるように、設定される。
【0061】
接合部74は、さらに、下側ウェハ42がその位置合わせ位置に配置されているときに、静電チャック14が下降するように、圧接機構15を制御する。接合部74は、静電チャック14が下降しているときに、静電チャック14に印加される荷重が測定されるように、圧接機構15を制御する。接合部74は、その荷重が所定の接合荷重に到達するタイミングを算出する。接合部74は、そのタイミングで静電チャック14が停止するように、すなわち、上側ウェハ52と下側ウェハ42とにその接合荷重が印加されるように、圧接機構15を制御する。
【0062】
接合部74は、上側ウェハ52と下側ウェハ42とにその接合荷重が所定の接合時間印加された後に、上側ウェハ52と下側ウェハ42とから作製された接合ウェハが静電チャック14から離脱されるように、静電チャック14を制御する。接合部74は、その接合ウェハが静電チャック14から離脱された後に、静電チャック14が上昇するように、圧接機構15を制御する。
【0063】
図9は、本発明による常温接合装置を用いて実行される常温接合方法を示している。常温接合装置制御装置71は、まず、ゲートバルブ6を制御することにより、ゲート5を閉鎖する。常温接合装置制御装置71は、ゲート5が閉鎖されているときに、ロードロックチャンバー2の真空排気装置を制御することにより、ロードロックチャンバー2の内部に大気圧雰囲気を生成し、真空排気装置10を制御することにより、接合チャンバー3の内部に接合雰囲気を生成する。
【0064】
ユーザは、複数の下側ウェハと複数の上側ウェハと複数の下側カートリッジと複数の上側カートリッジとを準備する。その複数の下側ウェハは、下側ウェハ42を含んでいる。その複数の上側ウェハは、上側ウェハ52を含んでいる。その複数の下側カートリッジは、その複数の下側ウェハに対応している。その複数の上側カートリッジとその複数の上側ウェハに対応している。ユーザは、次いで、ロードロックチャンバー2の内部に大気圧雰囲気が生成されているときに、ロードロックチャンバー2の蓋を開けて、複数の棚7にその複数の下側カートリッジとその複数の上側カートリッジとを配置する。その複数の下側カートリッジのうちの下側ウェハ42に対応する下側カートリッジには、活性化表面40の裏がその下側カートリッジに対向するように、下側ウェハ42が載せられている。その複数の上側カートリッジのうちの上側ウェハ52に対応する上側カートリッジには、活性化表面50がその上側カートリッジに対向するように、上側ウェハ52が載せられている。
【0065】
ユーザは、複数の棚7にその複数の下側カートリッジとその複数の上側カートリッジとが配置された後に、ロードロックチャンバー2の蓋を閉鎖する。常温接合装置制御装置71は、ロードロックチャンバー2の蓋が閉鎖されているときに、ロードロックチャンバー2の真空排気装置を制御することにより、ロードロックチャンバー2の内部に予備雰囲気を生成する(ステップS1)。
【0066】
常温接合装置制御装置71は、ロードロックチャンバー2の内部にその予備雰囲気が生成されているときに、ゲートバルブ6を制御することにより、ゲート5を開放する。常温接合装置制御装置71は、ゲート5が開放しているときに、搬送ロボット8を制御することにより、上側ウェハ52が接合チャンバー3の位置決めステージキャリッジ11に保持されるように、その上側カートリッジを複数の棚7から位置決めステージキャリッジ11に搬送する。常温接合装置制御装置71は、上側ウェハ52が位置決めステージキャリッジ11に保持されているときに、圧接機構15を制御することにより、静電チャック14を下降させる。常温接合装置制御装置71は、静電チャック14が下降しているときに、圧接機構15を制御することにより、静電チャック14に印加される荷重を測定する。常温接合装置制御装置71は、その荷重が所定の接触荷重に到達するタイミングをその荷重の変化に基づいて算出し、すなわち、その上側カートリッジに載っている上側ウェハ52が静電チャック14に接触するタイミングをその荷重の変化に基づいて算出する。常温接合装置制御装置71は、圧接機構15を制御することにより、そのタイミングで静電チャック14の下降を停止させる。
【0067】
常温接合装置制御装置71は、上側ウェハ52に静電チャック14が接触しているときに、静電チャック14を制御することにより、静電チャック14に上側ウェハ52を保持させる。常温接合装置制御装置71は、上側ウェハ52が静電チャック14に保持されているときに、圧接機構15を制御することにより、静電チャック14がそのホーム位置に配置されるまで静電チャック14を上昇させる。常温接合装置制御装置71は、静電チャック14がホーム位置に配置された後に、搬送ロボット8を制御することにより、その上側カートリッジを位置決めステージキャリッジ11から複数の棚7に搬送する。
【0068】
常温接合装置制御装置71は、その上側カートリッジが複数の棚7に搬送された後に、搬送ロボット8を制御することにより、下側ウェハ42が接合チャンバー3の位置決めステージキャリッジ11に保持されるように、その下側カートリッジを複数の棚7から位置決めステージキャリッジ11に搬送する。常温接合装置制御装置71は、その下側カートリッジが位置決めステージキャリッジ11に保持された後に、ゲートバルブ6を制御することにより、ゲート5を閉鎖する(ステップS2)。
【0069】
常温接合装置制御装置71は、ゲート5が閉鎖されているときに、圧接機構15を制御することにより、静電チャック14がその活性化位置に配置されるまで静電チャック14を上昇させ、真空排気装置10を制御することにより、接合チャンバー3の内部にその活性化雰囲気を生成する(ステップS3)。常温接合装置制御装置71は、さらに、接合チャンバー3の内部にその活性化雰囲気が生成されているときに、活性化装置16を制御することにより、下側ウェハ42の活性化表面40の全部と上側ウェハ52の活性化表面50全部とを活性化させる(ステップS4)。
【0070】
常温接合装置制御装置71は、下側ウェハ42の活性化表面40と上側ウェハ52の活性化表面50とが活性化された後に、圧接機構15を制御することにより、静電チャック14を下降させ、静電チャック14をそのアライメント位置に配置する。常温接合装置制御装置71は、上側ウェハ52と下側ウェハ42とがその位置合わせ距離だけ離れているときに、位置合わせ機構12を制御することにより、下側ウェハ42を上側ウェハ52に対して所定の位置合わせ位置に配置する(ステップS5)。
【0071】
常温接合装置制御装置71は、下側ウェハ42がその位置合わせ位置に配置された後に、圧接機構15を制御することにより、静電チャック14を下降させる。常温接合装置制御装置71は、静電チャック14が下降しているときに、圧接機構15を制御することにより、静電チャック14に印加される荷重を測定する。常温接合装置制御装置71は、その荷重が所定の接合荷重に到達するタイミングを算出する。常温接合装置制御装置71は、圧接機構15を制御することにより、そのタイミングで静電チャック14の下降を停止させ、すなわち、上側ウェハ52と下側ウェハ42とにその接合荷重を印加する(ステップS6)。下側ウェハ42と上側ウェハ52とは、その接合荷重が印加されることにより、接合され、1枚の接合ウェハに形成される。
【0072】
常温接合装置制御装置71は、その接合ウェハにその接合荷重が所定の接合時間印加された後に、静電チャック14を制御することにより、その接合ウェハを静電チャック14から離脱させる。常温接合装置制御装置71は、その接合ウェハが静電チャック14から離脱された後に、圧接機構15を制御することにより、静電チャック14を上昇させる。常温接合装置制御装置71は、静電チャック14が十分に上昇した後に、ゲートバルブ6を制御することにより、ゲート5を開放する。常温接合装置制御装置71は、ゲート5が開放されているときに、搬送ロボット8を制御することにより、その接合ウェハがロードロックチャンバー2に搬送されるように、その下側カートリッジを位置決めステージキャリッジ11から複数の棚7に搬送する(ステップS7)。
【0073】
常温接合装置制御装置71は、その複数の下側カートリッジのうちの下側ウェハが載せられている他の下側カートリッジとその複数の上側カートリッジのうちの上側ウェハが載せられている他の上側カートリッジとが複数の棚7に配置されているときに(ステップS8、YES)、ステップS2〜ステップS7の動作を再度繰り返して実行する。
【0074】
常温接合装置制御装置71は、接合することが予定されている下側ウェハと上側ウェハとが複数の棚7に配置されていないときに(ステップS8、NO)、ゲートバルブ6を制御することにより、ゲート5を閉鎖する。常温接合装置制御装置71は、ゲート5が閉鎖された後に、ロードロックチャンバー2の真空排気装置を制御することにより、ロードロックチャンバー2の内部に大気圧雰囲気を生成する(ステップS9)。ユーザは、ロードロックチャンバー2の内部に大気圧雰囲気が生成された後に、ロードロックチャンバー2の蓋を開けて、その複数の下側カートリッジとその複数の上側カートリッジとを複数の棚7から取り出すことにより、その接合ウェハを含む複数の接合ウェハをロードロックチャンバー2から取り出す。
【0075】
ユーザは、さらに他の複数の下側ウェハと他の複数の上側ウェハとをさらに常温接合したいときに、その複数の下側ウェハに対応する複数の下側カートリッジとその複数の上側ウェハに対応する複数の上側カートリッジとを準備し、このような常温接合方法を再度実行する。
【0076】
図10は、ステップS4の処理を示し、下側ウェハ42の活性化表面40と上側ウェハ52の活性化表面50とを活性化させる活性化シーケンスを示している。常温接合装置制御装置71は、真空排気装置10を制御することにより、接合チャンバー3の内部から気体を所定の排気速度で排気する。その所定の排気速度は、複数の下側原子ビーム源17−1〜17−2と複数の上側原子ビーム源18−1〜18−2とのうちの1つのビーム源だけが高速原子ビームを出射するときに必要である最小排気速度より大きく、かつ、複数の下側原子ビーム源17−1〜17−2と複数の上側原子ビーム源18−1〜18−2とが一斉に高速原子ビームを出射するときに必要である最大排気速度より小さい。
【0077】
常温接合装置制御装置71は、接合チャンバー3の内部にその活性化雰囲気が生成されているときに、その複数のガス種切替機構を制御することにより、所定のガス(たとえば、アルゴンガス)を複数の下側原子ビーム源17−1〜17−2と複数の上側原子ビーム源18−1〜18−2とに供給する。常温接合装置制御装置71は、常温接合装置制御装置71は、静電チャック14がその活性化位置に配置されている場合で、接合チャンバー3の内部から気体がその所定の排気速度で排気されている最中に、活性化装置16を制御することにより、複数の下側原子ビーム源17−1〜17−2と複数の上側原子ビーム源18−1〜18−2とに1つずつ高速原子ビームを出射させる。すなわち、複数の下側原子ビーム源17−1〜17−2と複数の上側原子ビーム源18−1〜18−2とは、順番に対応づけられている。常温接合装置制御装置71は、まず、1番に対応づけられているビーム源を制御することにより、所定の時間だけそのビーム源から高速原子ビームを出射させる。常温接合装置制御装置71は、j番(jは、自然数。)に対応づけられているビーム源による高速原子ビームの出射が停止した後に、(j+1)番に対応づけられているビーム源を制御することにより、所定の時間だけそのビーム源から高速原子ビームを出射させる(ステップS11)。
【0078】
常温接合装置制御装置71は、最後の順番に対応づけられているビーム源による高速原子ビームの出射が停止した後に、下側ウェハ42の活性化表面40と上側ウェハ52の活性化表面50とが所定のエッチング積算時間だけ高速原子ビームに照射されたかどうかを判別する(ステップS12)。たとえば、常温接合装置制御装置71は、ステップS11がt回(tは、自然数)実行されたときに、その所定の時間のt倍の時間がそのエッチング積算時間より大きいかどうかを判別する。
【0079】
常温接合装置制御装置71は、下側ウェハ42の活性化表面40と上側ウェハ52の活性化表面50とが高速原子ビームに照射された時間がそのエッチング積算時間より小さいときに(ステップS12、NO)、再度ステップS11を実行し、活性化装置16を制御することにより、下側ウェハ42の活性化表面40と上側ウェハ52の活性化表面50とに所定のエッチング積算時間だけ高速原子ビームを照射する。
【0080】
接合チャンバー3の内部は、複数の下側原子ビーム源17−1〜17−2と複数の上側原子ビーム源18−1〜18−2とにより高速原子ビームが出射されることにより、その高速原子ビームを構成するガスが供給される。このため、真空排気装置10は、その高速原子ビームが出射される最中にも、接合チャンバー3の内部から気体を排気する必要がある。下側ウェハ42の活性化表面40と上側ウェハ52の活性化表面50とが活性化されている最中に必要である排気速度は、活性化表面40と活性化表面50とのうちの活性化装置16により同時に活性化される領域の面積が大きいほど大きく、すなわち、複数の下側原子ビーム源17−1〜17−2と複数の上側原子ビーム源18−1〜18−2とのうちの高速原子ビームを同時に出射しているビーム源の個数が多いほど大きい。
【0081】
このような活性化シーケンスによれば、活性化表面40と活性化表面50とは、複数の下側原子ビーム源17−1〜17−2と複数の上側原子ビーム源18−1〜18−2とのうちの1つの原子ビーム源が高速度原子ビームを出射するときに必要である最小排気速度より大きい排気速度で真空排気装置10が接合チャンバー3の内部を排気することにより、適切に活性化される。このような活性化シーケンスによれば、真空排気装置10は、その活性化シーケンスが実行されている最中に、複数の下側原子ビーム源17−1〜17−2と複数の上側原子ビーム源18−1〜18−2との全部が一斉に高速度原子ビームを出射するときに必要である最大排気速度より大きい排気速度で接合チャンバー3の内部を排気する必要がない。このため、本発明による常温接合装置は、その最大排気速度より大きい排気速度で排気することができないで、かつ、その最小排気速度より大きい排気速度で排気することができる小型の真空排気装置が真空排気装置10として適用されることができる。本発明による常温接合装置は、このような小型の真空排気装置が真空排気装置10として適用されることにより、その最大排気速度より大きい排気速度で排気することができる大型の真空排気装置が適用された他の常温接合装置に比較して、よりコンパクトに、より安価に作製されることができる。
【0082】
なお、ステップS11で同時に高速原子ビームを出射する原子ビーム源の個数は、1個と異なるk個(kは、複数の下側原子ビーム源17−1〜17−2と複数の上側原子ビーム源18−1〜18−2との総数より小さい自然数。)に置換することができる。このとき、その最小排気速度は、下側原子ビーム源17−1〜17−4と複数の上側原子ビーム源18−1〜18−2とのうちのk個のビーム源だけが高速原子ビームを出射するときに必要である排気速度を示している。この場合も、本発明による常温接合装置は、その最大排気速度より大きい排気速度で排気することができないで、かつ、その最小排気速度より大きい排気速度で排気することができる小型の真空排気装置が真空排気装置10として適用されることができ、このような小型の真空排気装置が真空排気装置10として適用されることにより、コンパクトに、安価に作製されることができる。
【0083】
図11は、本発明によるビーム源取付位置調整方法の実施の形態を示している。そのビーム源取付位置調整方法は、本発明による常温接合装置を用いて実行される。ユーザは、まず、エッチングレート測定用下側ウェハとエッチングレート測定用上側ウェハと下側カートリッジと上側カートリッジとを準備する。そのエッチングレート測定用下側ウェハは、シリコンやサファイアの単結晶などから形成され、円板状に形成されている。そのエッチングレート測定用下側ウェハは、さらに、活性化表面が形成され、その活性化表面に分散されて配置される複数の領域だけが露出するように、その活性化表面が粘着テープにより被覆されている。そのエッチングレート測定用上側ウェハは、シリコンやサファイアの単結晶などから形成され、円板状に形成されている。そのエッチングレート測定用上側ウェハは、さらに、活性化表面が形成され、その活性化表面に分散されて配置される複数の領域だけが露出するように、その活性化表面が粘着テープにより被覆されている。
【0084】
常温接合装置制御装置71は、ゲートバルブ6を制御することにより、ゲート5を閉鎖する。常温接合装置制御装置71は、ゲート5が閉鎖されているときに、ロードロックチャンバー2の真空排気装置を制御することにより、ロードロックチャンバー2の内部に大気圧雰囲気を生成し、真空排気装置10を制御することにより、接合チャンバー3の内部に接合雰囲気を生成する。
【0085】
ユーザは、ロードロックチャンバー2の内部に大気圧雰囲気が生成されているときに、ロードロックチャンバー2の蓋を開けて、複数の棚7にその下側カートリッジとその上側カートリッジとを配置する。その下側カートリッジには、その活性化表面の裏側がその下側カートリッジに対向するように、そのエッチングレート測定用下側ウェハが載せられている。その上側カートリッジには、その活性化表面がその上側カートリッジに対向するように、そのエッチングレート測定用上側ウェハが載せられている。ユーザは、複数の棚7にその下側カートリッジとその上側カートリッジとが配置された後に、ロードロックチャンバー2の蓋を閉鎖する。常温接合装置制御装置71は、ロードロックチャンバー2の蓋が閉鎖されているときに、ロードロックチャンバー2の真空排気装置を制御することにより、ロードロックチャンバー2の内部に予備雰囲気を生成する。
【0086】
常温接合装置制御装置71は、ロードロックチャンバー2の内部に予備雰囲気が生成されているときに、ゲートバルブ6を制御することにより、ゲート5を開放する。常温接合装置制御装置71は、ゲート5が開放しているときに、搬送ロボット8を制御することにより、そのエッチングレート測定用上側ウェハが接合チャンバー3の位置決めステージキャリッジ11に保持されるように、その上側カートリッジを複数の棚7から位置決めステージキャリッジ11に搬送する。常温接合装置制御装置71は、そのエッチングレート測定用上側ウェハが位置決めステージキャリッジ11に保持されているときに、圧接機構15を制御することにより、静電チャック14を下降させる。常温接合装置制御装置71は、静電チャック14が下降しているときに、圧接機構15を制御することにより、静電チャック14に印加される荷重を測定する。常温接合装置制御装置71は、その荷重が所定の接触荷重に到達するタイミングをその荷重の変化に基づいて算出し、すなわち、その上側カートリッジに載っているそのエッチングレート測定用上側ウェハが静電チャック14に接触するタイミングをその荷重の変化に基づいて算出する。常温接合装置制御装置71は、圧接機構15を制御することにより、そのタイミングで静電チャック14の下降を停止させる。
【0087】
常温接合装置制御装置71は、そのエッチングレート測定用上側ウェハに静電チャック14が接触しているときに、静電チャック14を制御することにより、静電チャック14にそのエッチングレート測定用上側ウェハを保持させる。常温接合装置制御装置71は、そのエッチングレート測定用上側ウェハが静電チャック14に保持されているときに、圧接機構15を制御することにより、静電チャック14がそのホーム位置に配置されるまで静電チャック14を上昇させる。常温接合装置制御装置71は、静電チャック14がそのホーム位置に配置された後に、搬送ロボット8を制御することにより、その上側カートリッジを位置決めステージキャリッジ11から複数の棚7に搬送する。
【0088】
常温接合装置制御装置71は、その上側カートリッジが複数の棚7に搬送された後に、搬送ロボット8を制御することにより、そのエッチングレート測定用下側ウェハが接合チャンバー3の位置決めステージキャリッジ11に保持されるように、その下側カートリッジを複数の棚7から位置決めステージキャリッジ11に搬送する。常温接合装置制御装置71は、その下側カートリッジが位置決めステージキャリッジ11に保持された後に、ゲートバルブ6を制御することにより、ゲート5を閉鎖する。
【0089】
常温接合装置制御装置71は、ゲート5が閉鎖されているときに、圧接機構15を制御することにより、静電チャック14がその活性化位置に配置されるまで静電チャック14を上昇させ、真空排気装置10を制御することにより、接合チャンバー3の内部に活性化雰囲気を生成する。常温接合装置制御装置71は、さらに、接合チャンバー3の内部にその活性化雰囲気が生成されているときに、既述のステップS4と同様にして、活性化装置16を制御することにより、そのエッチングレート測定用上側ウェハの活性化表面とそのエッチングレート測定用下側ウェハの活性化表面とを活性化させる(ステップS21)。
【0090】
常温接合装置制御装置71は、そのエッチングレート測定用上側ウェハの活性化表面とそのエッチングレート測定用下側ウェハの活性化表面とが活性化された後に、ゲートバルブ6を制御することにより、ゲート5を開放する。常温接合装置制御装置71は、ゲート5が開放されているときに、搬送ロボット8を制御することにより、その下側カートリッジを位置決めステージキャリッジ11からロードロックチャンバー2に搬送することにより、そのエッチングレート測定用下側ウェハを位置決めステージキャリッジ11からロードロックチャンバー2に搬送する。
【0091】
常温接合装置制御装置71は、そのエッチングレート測定用下側ウェハがロードロックチャンバー2に搬送された後に、搬送ロボット8を制御することにより、その上側カートリッジを複数の棚7から位置決めステージキャリッジ11に搬送する。常温接合装置制御装置71は、その上側カートリッジが位置決めステージキャリッジ11に保持されているときに、圧接機構15を制御することにより、静電チャック14を下降させる。常温接合装置制御装置71は、静電チャック14が下降しているときに、圧接機構15を制御することにより、静電チャック14に印加される荷重を測定する。常温接合装置制御装置71は、その荷重が所定の接触荷重に到達するタイミングをその荷重の変化に基づいて算出し、すなわち、静電チャック14に保持されているエッチングレート測定用上側ウェハがその上側カートリッジに接触するタイミングをその荷重の変化に基づいて算出する。常温接合装置制御装置71は、圧接機構15を制御することにより、そのタイミングで静電チャック14の下降を停止させる。
【0092】
常温接合装置制御装置71は、そのエッチングレート測定用上側ウェハがその上側カートリッジに接触しているときに、静電チャック14を制御することにより、そのエッチングレート測定用上側ウェハを静電チャック14から離脱させる。常温接合装置制御装置71は、そのエッチングレート測定用上側ウェハが静電チャック14から離脱された後に、圧接機構15を制御することにより、静電チャック14を上昇させる。
【0093】
常温接合装置制御装置71は、静電チャック14が十分に上昇した後に、搬送ロボット8を制御することにより、その上側カートリッジを位置決めステージキャリッジ11からロードロックチャンバー2に搬送することにより、そのエッチングレート測定用上側ウェハを位置決めステージキャリッジ11からロードロックチャンバー2に搬送する。
【0094】
常温接合装置制御装置71は、そのエッチングレート測定用下側ウェハとそのエッチングレート測定用上側ウェハとが複数の棚7に配置された後に、ゲートバルブ6を制御することにより、ゲート5を閉鎖する。常温接合装置制御装置71は、ゲート5が閉鎖された後に、ロードロックチャンバー2の真空排気装置を制御することにより、ロードロックチャンバー2の内部に大気圧雰囲気を生成する。ユーザは、ロードロックチャンバー2の内部に大気圧雰囲気が生成された後に、ロードロックチャンバー2の蓋を開けて、その下側カートリッジとその上側カートリッジとを複数の棚7から取り出すことにより、そのエッチングレート測定用下側ウェハとそのエッチングレート測定用上側ウェハとをロードロックチャンバー2から取り出す。
【0095】
ユーザは、そのエッチングレート測定用下側ウェハからその粘着テープを剥がす。ユーザは、そのエッチングレート測定用下側ウェハの活性化表面のうちのその粘着テープに被覆されていなかった複数の領域に対応する複数のエッチング深さを測定する。その複数のエッチング深さのうちのある領域に対応するエッチング深さは、ステップS21が実行されることによりその領域がエッチングされた深さを示している。ユーザは、さらに、その複数のエッチング深さに基づいて、その複数の領域に対応する複数の下側エッチングレートを算出する。その複数の下側エッチングレートのうちのある領域に対応する下側エッチングレートは、ステップS21が実行されることによりその領域が単位時間当たりにエッチングされたエッチングレートを示している。
【0096】
ユーザは、さらに、そのエッチングレート測定用上側ウェハからその粘着テープを剥がす。ユーザは、そのエッチングレート測定用上側ウェハの活性化表面のうちのその粘着テープに被覆されていなかった複数の領域に対応する複数のエッチング深さを測定する。その複数のエッチング深さのうちのある領域に対応するエッチング深さは、ステップS21が実行されることによりその領域がエッチングされた深さを示している。ユーザは、さらに、その複数のエッチング深さに基づいて、その複数の領域に対応する複数の上側エッチングレートを算出する。その複数の上側エッチングレートのうちのある領域に対応する上側エッチングレートは、ステップS21が実行されることによりその領域が単位時間当たりにエッチングされたエッチングレートを示している(ステップS22)。
【0097】
ユーザは、さらに、その複数の下側エッチングレートに基づいて、下側ばらつきを算出する(ステップS23)。その下側ばらつきは、その複数の下側エッチングレートの標準偏差を示し、または、その複数の下側エッチングレートの最大値と最小値との差を示している。ユーザは、その下側ばらつきが所定の値より大きいときに(ステップS23、NO)、その複数の下側エッチングレートに基づいて、複数の下側原子ビーム源17−1〜17−2に対応する複数の下側最適取付位置を算出する。その複数の下側最適取付位置は、複数の下側原子ビーム源17−1〜17−2がその複数の下側最適取付位置にそれぞれ配置されたときに、その下側ばらつきが低減するように、算出される。その複数の下側最適取付位置は、さらに、複数の下側原子ビーム源17−1〜17−2がその複数の下側最適取付位置にそれぞれ配置されたときに、複数の下側原子ビーム源17−1〜17−2が主回転軸46に関して回転対称にならないように、算出されることもある。
【0098】
ユーザは、さらに、その複数の上側エッチングレートに基づいて、上側ばらつきを算出する(ステップS23)。その上側ばらつきは、その複数の上側エッチングレートの標準偏差を示し、または、その複数の上側エッチングレートの最大値と最小値との差を示している。ユーザは、その上側ばらつきが所定の値より大きいときに(ステップS23、NO)、その複数の上側エッチングレートに基づいて、複数の上側原子ビーム源18−1〜18−2に対応する複数の上側最適取付位置を算出する。その複数の上側最適取付位置は、複数の上側原子ビーム源18−1〜18−2がその複数の上側最適取付位置にそれぞれ配置されたときに、その上側ばらつきが低減するように、算出される。その複数の上側最適取付位置は、さらに、複数の上側原子ビーム源18−1〜18−2がその複数の上側最適取付位置にそれぞれ配置されたときに、複数の上側原子ビーム源18−1〜18−2が主回転軸56に関して回転対称にならないように、算出されることもある。
【0099】
ユーザは、接合チャンバー3の内部が大気に解放されたときに、複数の取付位置調整機構19のうちの下側原子ビーム源17−iに対応する取付位置調整機構を調整することにより、その複数の下側最適取付位置のうちの下側原子ビーム源17−iに対応する下側最適取付位置に下側原子ビーム源17−iを配置する。ユーザは、接合チャンバー3の内部が大気に解放されたときに、さらに、複数の取付位置調整機構19のうちの上側原子ビーム源18−iに対応する取付位置調整機構を調整することにより、その複数の下側最適取付位置のうちの上側原子ビーム源18−iに対応する上側最適取付位置に上側原子ビーム源18−iを配置する(ステップS24)。ユーザは、複数の下側原子ビーム源17−1〜17−2と複数の上側原子ビーム源18−1〜18−2との位置を調整した後に、その下側ばらつきとその上側ばらつきとが所定の値より小さくなるまで、ステップS21〜S23の処理を繰り返して実行する。
【0100】
その複数の下側エッチングレートのばらつきは、接合チャンバー3を構成する複数の部品の製造誤差が大きいときに、複数の下側原子ビーム源17−1〜17−2が主回転軸46に関して回転対称に配置されている場合でも、所定の値より大きくなることがある。その複数の上側エッチングレートのばらつきは、接合チャンバー3を構成する複数の部品の製造誤差が大きいときに、複数の上側原子ビーム源18−1〜18−2が主回転軸56に関して回転対称に配置されている場合でも、所定の値より大きくなることがある。このようなビーム源取付位置調整方法によれば、その製造誤差が大きい場合でも、その複数の下側エッチングレートのばらつきを低減することができ、その複数の上側エッチングレートのばらつきを低減することができる。このため、このようなビーム源取付位置調整方法によれば、本発明による常温接合装置は、その常温接合方法を実行したときに、下側ウェハ42の活性化表面40と上側ウェハ52の活性化表面50とをより均一に活性化させることができ、下側ウェハ42と上側ウェハ52とをより適切に常温接合することができる。
【0101】
なお、その粘着テープは、その高速原子ビームからウェハの表面を保護する保護膜に置換されることができる。その保護膜としては、樹脂から形成される膜、金属から形成される膜が例示される。このような保護膜が適用されたビーム源取付位置調整方法は、既述の実施の形態におけるビーム源取付位置調整方法と同様にして、実行されることができ、下側ウェハ42の活性化表面40と上側ウェハ52の活性化表面50とをより均一に活性化させることができ、下側ウェハ42と上側ウェハ52とをより適切に常温接合することができる。
【0102】
なお、そのエッチングレート測定用下側ウェハとそのエッチングレート測定用上側ウェハとは、他のエッチングレート測定用下側ウェハとエッチングレート測定用上側ウェハとに置換されることができる。そのエッチングレート測定用下側ウェハとそのエッチングレート測定用上側ウェハとは、シリコン酸化物から形成されているシリコン酸化物膜が活性化表面に成膜されている。そのシリコン酸化物膜は、厚さが位置に関して一様であり、厚さが所定の厚さに形成される。
【0103】
このとき、ステップS22では、ユーザは、そのエッチングレート測定用下側ウェハのその活性化表面に分散して配置される複数の領域に対応する複数の下側膜厚を測定する。その複数の下側膜厚のうちのある領域に対応する下側膜厚は、その領域のシリコン酸化物膜の厚さを示している。ユーザは、さらに、その複数の下側膜厚に基づいて、その複数の領域に対応する複数の下側エッチングレートを算出する。
【0104】
ユーザは、さらに、そのエッチングレート測定用上側ウェハのその活性化表面に分散して配置される複数の領域に対応する複数の上側膜厚を測定する。その複数の上側膜厚のうちのある領域に対応する上側膜厚は、その領域のシリコン酸化物膜の厚さを示している。ユーザは、さらに、その複数の上側膜厚に基づいて、その複数の領域に対応する複数の上側エッチングレートを算出する。
【0105】
このとき、その複数の下側最適取付位置は、その複数の下側エッチングレートに基づいて算出される。その複数の上側最適取付位置は、その複数の上側エッチングレートに基づいて算出される。本発明による常温接合装置は、このようなビーム源取付位置調整方法を実行することにより、既述の実施の形態におけるビーム源取付位置調整方法実行すること同様にして、下側ウェハ42の活性化表面40と上側ウェハ52の活性化表面50とをより均一に活性化させることができ、下側ウェハ42と上側ウェハ52とをより適切に常温接合することができる。
【0106】
なお、複数の下側原子ビーム源17−1〜17−2の個数と複数の上側原子ビーム源18−1〜18−2の個数とは、2個と異なるn個(nは、1と異なる自然数。)に置換することができる。すなわち、複数の下側原子ビーム源17−1〜17−2は、n個の下側原子ビーム源に置換されることができる。そのn個の下側原子ビーム源は、主回転軸に関してn回回転対称になるように、配置されている。その主回転軸は、活性化の対象であるウェハの中心を通り、そのウェハの活性化表面に垂直である。すなわち、そのn個の下側原子ビーム源は、その主回転軸を中心にそのn個の下側原子ビーム源を(360/n)度(1/n回転)だけ回転させたときに、そのn個の下側原子ビーム源に重なるように、配置されている。複数の上側原子ビーム源18−1〜18−2は、n個の上側原子ビーム源に置換されることができる。そのn個の上側原子ビーム源は、主回転軸に関してn回回転対称になるように、配置されている。その主回転軸は、活性化の対象であるウェハの中心を通り、そのウェハの活性化表面に垂直である。すなわち、そのn個の上側原子ビーム源は、その主回転軸を中心にそのn個の上側原子ビーム源を(360/n)度(1/n回転)だけ回転させたときに、そのn個の上側原子ビーム源に重なるように、配置されている。
【0107】
そのn個の下側原子ビーム源とそのn個の上側原子ビーム源とが適用された常温接合装置は、既述の実施の形態における常温接合装置と同様にして、その常温接合方法が実行されることにより、下側ウェハ42の活性化表面40と上側ウェハ52の活性化表面50とをより均一に活性化させることができ、下側ウェハ42と上側ウェハ52とをより適切に常温接合することができる。
【0108】
なお、複数の取付位置調整機構19のうちの下側原子ビーム源17−iに対応する下側取付位置調整機構は、ユーザにより設定された任意の交点で下側ウェハ42の活性化表面40に照射軸41−iが交差するように、下側原子ビーム源17−iを接合チャンバー3に固定することができる他の下側取付位置調整機構に置換されることもできる。複数の取付位置調整機構19のうちの上側原子ビーム源18−iに対応する上側取付位置調整機構は、ユーザにより設定された任意の交点で上側ウェハ52の活性化表面50に照射軸51−iが交差するように、上側原子ビーム源18−iを接合チャンバー3に固定することができる他の上側取付位置調整機構に置換されることもできる。
【0109】
このような取付位置調整機構によれば、複数の下側原子ビーム源17−1〜17−2と複数の上側原子ビーム源18−1〜18−2とが配置される位置の自由度がより向上する。このため、このような取付位置調整機構が適用された常温接合装置は、本発明によるビーム源取付位置調整方法が実行されることにより、既述の実施の形態における常温接合装置に比較して、その複数の下側エッチングレートのばらつきをより低減することができ、その複数の上側エッチングレートのばらつきをより低減することができる。その結果、その常温接合装置は、その常温接合方法を実行したときに、下側ウェハ42の活性化表面40と上側ウェハ52の活性化表面50とをより均一に活性化させることができ、下側ウェハ42と上側ウェハ52とをより適切に常温接合することができる。
【0110】
本発明による常温接合装置の実施の他の形態は、既述の実施の形態における活性化装置16が他の活性化装置に置換されている。たとえば、その活性化装置81は、図12に示されているように、複数の下側原子ビーム源82−1〜82−4と複数の上側原子ビーム源83−1〜83−4とを備えている。複数の下側原子ビーム源82−1〜82−4のうちの任意の下側原子ビーム源82−x(x=1,2,3,4)は、既述の実施の形態における下側原子ビーム源17−iと同様にして、常温接合装置制御装置71に制御されることにより、照射軸84−xに沿って高速原子ビームを出射する。照射軸84−xは、位置決めステージキャリッジ11に保持される下側ウェハ85の活性化表面に交点86−xに交差している。
【0111】
複数の下側原子ビーム源82−1〜82−4は、さらに、ある主回転軸に関して2回回転対称になるように、配置されている。その主回転軸は、下側ウェハ85の活性化表面の中心を通り、その活性化表面に垂直である。
【0112】
複数の上側原子ビーム源83−1〜83−4のうちの任意の上側原子ビーム源83−xは、既述の実施の形態における上側原子ビーム源18−iと同様にして、常温接合装置制御装置71に制御されることにより、照射軸87−xに沿って高速原子ビームを出射する。照射軸87−xは、静電チャック14がその活性化位置に配置されているときに、静電チャック14に保持される上側ウェハ88の活性化表面に交点89−xに交差している。
【0113】
複数の上側原子ビーム源83−1〜83−4は、さらに、ある主回転軸に関して2回回転対称になるように、配置されている。その主回転軸は、上側ウェハ88の活性化表面の中心を通り、その活性化表面に垂直であり、複数の下側原子ビーム源82−1〜82−4の主回転軸に一致している。
【0114】
その常温接合装置は、さらに、複数の下側原子ビーム源82−1〜82−4と複数の上側原子ビーム源83−1〜83−4とに対応する複数の取付位置調整機構(図示されていない)を備えている。その複数の取付位置調整機構は、既述の実施の形態における複数の取付位置調整機構19と同様にして、形成され、複数の下側原子ビーム源82−1〜82−4と複数の上側原子ビーム源83−1〜83−4とがそれぞれ配置される複数の位置を変更可能に、複数の下側原子ビーム源82−1〜82−4と複数の上側原子ビーム源83−1〜83−4とを接合チャンバー3に固定している。
【0115】
活性化装置81が適用された常温接合装置は、固定された4個以下の下側原子ビーム源と4個以下の上側原子ビーム源とを備える他の常温接合装置に比較して、より広い領域を高速原子ビームでより均一に照射することができる。このため、このような常温接合装置は、より大型の基板の表面の全体を活性化することができ、その大型の基板をより適切に接合することができる。
【0116】
このような常温接合装置は、さらに、既述の実施の形態における常温接合装置と同様にして、その常温接合方法を実行することができる。このような常温接合装置は、その常温接合方法が実行されることにより、既述の実施の形態における常温接合装置と同様にして、小型の真空排気装置が真空排気装置10として適用されることができ、よりコンパクトに、より安価に作製されることができる。
【0117】
このような常温接合装置は、さらに、既述の実施の形態における常温接合装置と同様にして、本発明によるビーム源取付位置調整方法を実行することができる。このような常温接合装置は、本発明によるビーム源取付位置調整方法が実行されることにより、既述の実施の形態における常温接合装置と同様にして、下側ウェハ85の活性化表面と上側ウェハ88の活性化表面とをより均一に活性化させることができ、下側ウェハ85と上側ウェハ88とをより適切に常温接合することができる。
【0118】
なお、複数の下側原子ビーム源82−1〜82−4の個数と複数の上側原子ビーム源83−1〜83−4の個数とは、4個と異なるm個(mは、素数と異なる自然数。)に置換することができる。すなわち、複数の下側原子ビーム源82−1〜82−4は、m個の下側原子ビーム源に置換されることができる。そのm個の下側原子ビーム源は、主回転軸に関してk回回転対称(kは、mの約数のうちの1と異なる自然数)になるように、配置されている。その主回転軸は、活性化の対象であるウェハの中心を通り、そのウェハの活性化表面に垂直である。すなわち、そのm個の下側原子ビーム源は、その主回転軸を中心にそのm個の下側原子ビーム源を(360/k)度(1/k回転)だけ回転させたときに、そのm個の下側原子ビーム源に重なるように、配置されている。複数の上側原子ビーム源83−1〜83−4は、m個の上側原子ビーム源に置換されることができる。そのm個の上側原子ビーム源は、主回転軸に関してk回回転対称になるように、配置されている。その主回転軸は、活性化の対象であるウェハの中心を通り、そのウェハの活性化表面に垂直である。すなわち、そのm個の上側原子ビーム源は、その主回転軸を中心にそのm個の上側原子ビーム源を(360/k)度(1/k回転)だけ回転させたときに、そのm個の上側原子ビーム源に重なるように、配置されている。
【0119】
そのm個の下側原子ビーム源とそのm個の上側原子ビーム源とが適用された常温接合装置は、既述の実施の形態における常温接合装置と同様にして、より広い領域を高速原子ビームでより均一に照射することができる。このため、このような常温接合装置は、より大型の基板の表面の全体を活性化することができ、その大型の基板をより適切に接合することができる。さらに、kが2を示すことは、接合チャンバー3が直方体の内部を形成するときに、その活性化装置を接合チャンバー3の内部に効率よく配置しやすい点で好ましい。
【0120】
このような常温接合装置は、さらに、既述の実施の形態における常温接合装置と同様にして、その常温接合方法を実行することができる。このような常温接合装置は、その常温接合方法が実行されることにより、既述の実施の形態における常温接合装置と同様にして、小型の真空排気装置が真空排気装置10として適用されることができ、よりコンパクトに、より安価に作製されることができる。
【0121】
このような常温接合装置は、さらに、既述の実施の形態における常温接合装置と同様にして、本発明によるビーム源取付位置調整方法を実行することができる。このような常温接合装置は、本発明によるビーム源取付位置調整方法が実行されることにより、既述の実施の形態における常温接合装置と同様にして、下側ウェハ85の活性化表面と上側ウェハ88の活性化表面とをより均一に活性化させることができ、下側ウェハ85と上側ウェハ88とをより適切に常温接合することができる。
【0122】
本発明による常温接合装置の実施のさらに他の形態は、既述の実施の形態における活性化装置16が他の活性化装置に置換されている。その活性化装置は、図13に示されているように、複数の下側原子ビーム源91−1〜91−2を備えている。複数の下側原子ビーム源91−1〜91−2のうちの任意の下側原子ビーム源91−iは、既述の実施の形態における下側原子ビーム源17−iと同様にして、常温接合装置制御装置71に制御されることにより、照射軸92−iに沿って高速原子ビームを出射する。照射軸92−iは、位置決めステージキャリッジ11に保持される下側ウェハ93の活性化表面に交点94−iに交差している。複数の下側原子ビーム源91−1〜91−2は、さらに、照射軸92−2が照射軸92−1に概ね平行になるように、配置されている。
【0123】
その常温接合装置は、さらに、複数の下側原子ビーム源91−1〜91−2に対応する複数の取付位置調整機構(図示されていない)を備えている。その複数の取付位置調整機構は、既述の実施の形態における複数の取付位置調整機構19と同様にして、形成され、複数の下側原子ビーム源91−1〜91−2がそれぞれ配置される複数の位置を変更可能に、複数の下側原子ビーム源91−1〜91−2を接合チャンバー3に固定している。
【0124】
その活性化装置は、さらに、図示されていない複数の上側原子ビーム源を備えている。その複数の上側原子ビーム源は、複数の下側原子ビーム源91−1〜91−2と同様にして、それぞれ2つの高速原子ビームを上側ウェハに向けて出射するように、かつ、平行である2つの照射軸に沿ってその2つの高速原子ビームが出射されるように、配置されている。
【0125】
このような活性化装置が適用された常温接合装置は、1つの下側原子ビーム源を備える他の常温接合装置に比較して、下側ウェハのより広い領域を高速原子ビームでより均一に照射することができる。このため、このような常温接合装置は、より大型の基板の表面の全体を活性化することができ、その大型の基板をより適切に接合することができる。
【0126】
このような常温接合装置は、さらに、既述の実施の形態における常温接合装置と同様にして、その常温接合方法を実行することができる。このような常温接合装置は、その常温接合方法が実行されることにより、既述の実施の形態における常温接合装置と同様にして、小型の真空排気装置が真空排気装置10として適用されることができ、よりコンパクトに、より安価に作製されることができる。
【0127】
このような常温接合装置は、さらに、既述の実施の形態における常温接合装置と同様にして、本発明によるビーム源取付位置調整方法を実行することができる。このような常温接合装置は、本発明によるビーム源取付位置調整方法が実行されることにより、既述の実施の形態における常温接合装置と同様にして、下側ウェハ93の活性化表面と上側ウェハ88の活性化表面とをより均一に活性化させることができ、下側ウェハ93と上側ウェハ88とをより適切に常温接合することができる。
【0128】
なお、複数の下側原子ビーム源91−1〜91−2は、互いに固定されることもできる。この場合も、このような常温接合装置は、既述の実施の形態における常温接合装置と同様にして、その常温接合方法が実行されることにより、小型の真空排気装置が真空排気装置10として適用されることができ、本発明によるビーム源取付位置調整方法が実行されることにより、下側ウェハの活性化表面をより均一に活性化させることができる。
【0129】
このような活性化装置が適用された常温接合装置は、その活性化表面でのエッチングレートの分布がウェハの中心に対して対称にならないことがあり、その活性化表面でのエッチングレートの分布のばらつきが所定の値より大きくなることがある。既述の実施の形態における活性化装置16、81は、このような活性化装置に比較して、そのエッチングレートの分布をウェハの中心に対して対称にすることができ、より大型の基板の表面の全体をより均一に活性化することができ、その大型の基板をより適切に接合することができる。
【0130】
なお、複数の下側原子ビーム源17−1〜17−2と複数の上側原子ビーム源18−1〜18−2と複数の下側原子ビーム源82−1〜82−4と複数の上側原子ビーム源83−1〜83−4と複数の下側原子ビーム源91−1〜91−2とは、接合チャンバー3に固定されることもできる。このような常温接合装置も、既述の実施の形態における常温接合装置と同様にして、ウェハの活性化表面をより均一にエッチングすることができ、その常温接合方法を実行することにより、よりコンパクトに作製されることができる。
【0131】
なお、複数の下側原子ビーム源17−1〜17−2と複数の上側原子ビーム源18−1〜18−2と複数の下側原子ビーム源82−1〜82−4と複数の上側原子ビーム源83−1〜83−4と複数の下側原子ビーム源91−1〜91−2とは、それぞれ、高速原子ビームと異なる活性化ビームを出射する他のビーム源に置換されることができる。そのビーム源としては、イオンガン、プラズマガンが例示される。このようなビーム源が適用された常温接合装置は、既述の実施の形態における常温接合装置と同様にして、その常温接合方法を実行することができる。このような常温接合装置は、その常温接合方法が実行されることにより、既述の実施の形態における常温接合装置と同様にして、小型の真空排気装置が真空排気装置10として適用されることができ、よりコンパクトに、より安価に作製されることができる。
【0132】
このような常温接合装置は、さらに、既述の実施の形態における常温接合装置と同様にして、本発明によるビーム源取付位置調整方法を実行することができる。このような常温接合装置は、本発明によるビーム源取付位置調整方法が実行されることにより、既述の実施の形態における常温接合装置と同様にして、下側ウェハの活性化表面と上側ウェハの活性化表面とをより均一に活性化させることができ、その下側ウェハと上側ウェハとをより適切に常温接合することができる。
【0133】
なお、ステップS4の活性化シーケンスは、他の活性化シーケンスに置換されることができる。その活性化シーケンスでは、本発明による常温接合装置は、真空排気装置10が排気している最中に、活性化装置が備える複数の活性化ビームの全部が一斉に活性化ビームを出射することにより、下側ウェハと上側ウェハとを活性化させる。
【0134】
このような活性化シーケンスが適用された常温接合方法は、その複数の活性化ビームの全部が一斉に活性化ビームを出射するときに必要である最大排気速度で真空排気装置10が排気することができるときに、実行されることができる。本発明による常温接合装置は、このような常温接合方法に実行された場合でも、既述の実施の形態における常温接合装置と同様にして、下側ウェハの活性化表面と上側ウェハの活性化表面とをより均一に活性化させることができ、その下側ウェハと上側ウェハとをより適切に常温接合することができる。
【0135】
なお、本発明によるビーム源取付位置調整方法では、その複数の下側エッチングレートのばらつきが低減しないように、または、その複数の上側エッチングレートのばらつきが低減しないように、その複数の下側最適取付位置とその複数の上側最適取付位置とを算出することもできる。たとえば、その複数の下側最適取付位置とその複数の上側最適取付位置とは、下側ウェハの活性化表面の一部が他部に比較してよりエッチングされるように、または、上側ウェハの活性化表面の一部が他部に比較してよりエッチングされるように、算出される。このようなビーム源取付位置調整方法によれば、様々な常温接合を実行することができる。
【0136】
なお、本発明による常温接合装置は、既述の実施の形態における活性化シーケンスにおいて、その複数の下側原子ビーム源と複数の上側原子ビーム源とのうちのある2つの原子ビーム源からそれぞれ出射される2つのビームが異なるように、その複数の下側原子ビーム源と複数の上側原子ビーム源とを制御することもできる。たとえば、その複数の下側原子ビーム源と複数の上側原子ビーム源とは、その2つのビームの密度が異なり、または、その2つのビームの速さが異なっている。その常温接合装置は、その複数の下側原子ビーム源と複数の上側原子ビーム源とのうちのある2つの原子ビーム源にそれぞれ供給される2つのガスの種類が異なるように、その複数のガス種切替機構を制御することもできる。このとき、その常温接合装置は、下側ウェハの活性化表面の一部と他部とのエッチングレートが異なるように、または、上側ウェハの活性化表面の一部と他部とのエッチングレートが異なるように、表面を活性化して接合する常温接合を含む様々な常温接合を実行することができる。
【0137】
なお、本発明による常温接合装置は、その複数のガス種切替機構を省略することもできる。この場合も、その常温接合装置は、既述の実施の形態と同様にして、下側ウェハと上側ウェハをより均一に活性化させることができ、その下側ウェハと上側ウェハをより適切に常温接合することができる。
【符号の説明】
【0138】
1 :常温接合装置本体
2 :ロードロックチャンバー
3 :接合チャンバー
5 :ゲート
6 :ゲートバルブ
7 :複数の棚
8 :搬送ロボット
10:真空排気装置
11:位置決めステージキャリッジ
12:位置合わせ機構
14:静電チャック
15:圧接機構
16:活性化装置
17−1〜17−2:下側原子ビーム源
18−1〜18−2:上側原子ビーム源
19:複数の取付位置調整機構
21:角度調整フレーム
22:距離調整フレーム
23:固定フレーム
24:角度調整用第1締結部材
25:角度調整用第2締結部材
26:距離調整用第1締結部材
27:距離調整用第2締結部材
28:複数の角度調整用穴
29:円弧
30:固定用第1穴
31:固定用第2穴
32:複数の距離調整用第1穴
33:複数の距離調整用第2穴
34:直線
35:直線
36:固定用第3穴
37:固定用第4穴
40:活性化表面
41−1〜41−2:照射軸
42:下側ウェハ
43−1〜43−2:交点
44:中心
45:直線
46:主回転軸
50:活性化表面
51−1〜51−2:照射軸
52:上側ウェハ
53−1〜53−2:交点
54:中心
55:直線
56:主回転軸
61:ガス種切替機構
62−1〜62−4:ガス供給装置
63−1〜63−4:バルブ
64:管路
71:常温接合装置制御装置
72:搬送部
73:活性化部
74:接合部
81:活性化装置
82−1〜82−4:下側原子ビーム源
83−1〜83−4:上側原子ビーム源
91−1〜91−2:下側原子ビーム源
92−1〜92−2:照射軸
93:下側ウェハ
94−1〜94−2:交点

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1基板の第1活性化表面に照射される複数の第1活性化ビームをそれぞれ出射する複数の第1ビーム源と、
第2基板の第2活性化表面に照射される複数の第2活性化ビームをそれぞれ出射する複数の第2ビーム源と、
前記第1活性化表面と前記第2活性化表面とが照射された後に、前記第1活性化表面と前記第2活性化表面とを接触させることにより、前記第1基板と前記第2基板とを接合する圧接機構
とを具備する常温接合装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記複数の第1ビーム源と前記複数の第2ビーム源とに対応する複数の取付位置調整機構をさらに具備し、
前記複数の取付位置調整機構のうちの任意のビーム源に対応する取付位置調整機構は、複数の取付位置のうちの任意の取付位置に前記任意のビーム源を固定する
常温接合装置。
【請求項3】
請求項1〜請求項2のいずれか一項において、
前記第1活性化表面が前記複数の第1活性化ビームにより照射されるときに、前記第1基板を保持する第1保持装置と、
前記第2活性化表面が前記複数の第2活性化ビームにより照射されるときに、前記第2基板を保持する第2保持装置とをさらに具備し、
前記複数の第1ビーム源は、第1回転軸に対して回転対称になるように、配置され、
前記第1回転軸は、前記第1活性化表面が前記複数の第1活性化ビームにより照射されるときに、前記第1活性化表面に垂直であり、
前記複数の第2ビーム源は、第2回転軸に対して回転対称になるように、配置され、
前記第2回転軸は、前記第2活性化表面が前記複数の第2活性化ビームにより照射されるときに、前記第2活性化表面に垂直である
常温接合装置。
【請求項4】
請求項1〜請求項3のいずれか一項において、
前記複数の第1活性化ビームと前記複数の第2活性化ビームとのうちの任意の活性化ビームが前記複数の第1活性化ビームと前記複数の第2活性化ビームとのうちの前記任意の活性化ビームと異なる他の活性化ビームと異なるように、前記複数の第1ビーム源と前記複数の第2ビーム源とを制御する制御装置
をさらに具備する常温接合装置。
【請求項5】
請求項4において、
チャンバーの内部を排気することにより、前記複数の第1活性化ビームと前記複数の第2活性化ビームとが出射される真空雰囲気を前記チャンバーの内部に生成する排気装置をさらに具備し、
前記制御装置は、前記複数の第1活性化ビームと前記複数の第2活性化ビームとのうちの任意の活性化ビームが出射されている期間に、前記複数の第1活性化ビームと前記複数の第2活性化ビームとのうちの前記任意の活性化ビームと異なる他の活性化ビームが出射されないように、前記複数の第1ビーム源と前記複数の第2ビーム源とを制御する
常温接合装置。
【請求項6】
請求項1〜請求項5のいずれか一項において、
前記複数の第1ビーム源と前記複数の第2ビーム源とに対応する複数のガス種切替機構をさらに具備し、
前記複数のガス種切替機構のうちの任意のビーム源に対応するガス種切替機構は、複数のガスのうちの任意のガスを前記任意のビーム源に供給し、
前記任意のビーム源は、前記任意のガスから活性化ビームを生成する
常温接合装置。
【請求項7】
第1基板の第1活性化表面を活性化させる複数の第1活性化ビームをそれぞれ出射する複数の第1ビーム源と、
第2基板の第2活性化表面を活性化させる複数の第2活性化ビームをそれぞれ出射する複数の第2ビーム源と、
前記第1活性化表面と前記第2活性化表面とが照射された後に、前記第1活性化表面と前記第2活性化表面とを接触させることにより、前記第1基板と前記第2基板とを接合する圧接機構と、
前記複数の第1ビーム源と前記複数の第2ビーム源とに対応する複数の取付位置調整機構とを具備し、
前記複数の取付位置調整機構のうちの任意のビーム源に対応する取付位置調整機構は、複数の取付位置のうちの任意の取付位置に前記任意のビーム源を固定する
常温接合装置
を用いて実行されるビーム源取付位置調整方法であり、
前記複数の第1ビーム源からそれぞれ出射される複数の第1エッチングレート測定用活性化ビームをエッチングレート測定用第1基板の第1表面に照射し、前記複数の第2ビーム源からそれぞれ出射される複数の第2エッチングレート測定用活性化ビームをエッチングレート測定用第2基板の第2表面に照射するステップと、
前記第1表面が前記複数の第1エッチングレート測定用活性化ビームに照射されることより、前記第1表面のうちの複数の第1領域がそれぞれエッチングされる複数の第1エッチングレートを測定し、前記第2表面が前記複数の第2エッチングレート測定用活性化ビームに照射されることより、前記第2表面のうちの複数の第2領域がそれぞれエッチングされる複数の第2エッチングレートを測定するステップと、
前記複数の第1エッチングレートに基づいて算出された複数の第1位置に前記複数の第1ビーム源がそれぞれ配置されるように、かつ、前記複数の第2エッチングレートに基づいて算出された複数の第2位置に前記複数の第2ビーム源がそれぞれ配置されるように、前記複数の取付位置調整機構を調整するステップ
とを具備するビーム源取付位置調整方法。
【請求項8】
請求項7において、
前記エッチングレート測定用第1基板は、前記複数の第1領域が前記複数の第1エッチングレート測定用活性化ビームに照射されるように、前記第1表面が保護膜により被覆され、
前記複数の第1エッチングレートのうちの任意の第1領域に対応する第1エッチングレートは、前記第1表面が前記複数の第1エッチングレート測定用活性化ビームに照射されることにより、前記任意の第1領域がエッチングされた深さに基づいて算出され、
前記エッチングレート測定用第2基板は、前記複数の第2領域が前記複数の第2エッチングレート測定用活性化ビームに照射されるように、前記第2表面が保護膜により被覆され、
前記複数の第2エッチングレートのうちの任意の第2領域に対応する第2エッチングレートは、前記第2表面が前記複数の第2エッチングレート測定用活性化ビームに照射されることにより、前記任意の第2領域がエッチングされた深さに基づいて算出される
ビーム源取付位置調整方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2013−98186(P2013−98186A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−236545(P2011−236545)
【出願日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】