説明

常温液状の変性ジフェニルメタンジイソシアネートの貯蔵及び/又は輸送方法

【課題】液状MDIの性質を変化させることなく、長期貯蔵時のウレチジオン化による品質劣化を防ぐことが可能な常温液状の変性ジフェニルメタンジイソシアネートの貯蔵及び/又は輸送方法を提供する。
【解決手段】本発明の常温液状の変性ジフェニルメタンジイソシアネートの貯蔵及び/又は輸送方法は、97重量%以上の4,4´−ジフェニルメタンジイソシアネートを含有するジフェニルメタンジイソシアネートのイソシアネート基の一部をカルボジイミド及び/又はウレトンイミン変性した常温液状の変性ジフェニルメタンジイソシアネートを0℃以下の冷凍固化状態として貯蔵及び/又は輸送するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、種々のポリウレタン製品の製造に用いることができる常温液状の変性ジフェニルメタンジイソシアネートの貯蔵及び/又は輸送方法に関する。
【背景技術】
【0002】
常温液状の変性ジフェニルメタンジイソシアネート(液状MDI)は、4,4´−ジフェニルメタンジイソシアネートを主として(97重量%以上)含有するジフェニルメタンジイソシアネート(pure−MDI)をホスホレン系またはアルキルホスフェート系などの公知の触媒を用いて、イソシアネート基(NCO基)の一部をカルボジイミド及び/又はウレトンイミン変性することにより得られる。このような液状MDIは、常温で液状であることから液状のまま輸送され貯蔵される。
【0003】
しかしながら、その温度管理は困難で、一般に15℃以下になると、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)の結晶が析出し、0℃以下では完全に固化する。一度、沈殿、固化したMDIは、常温下では溶解しにくく、固化したMDIは、更にウレチジオン化が進むという問題点がある。ウレチジオン化の進んだ液状MDIは、加熱処理しても未溶解分が残り、使用することは好ましくない。一方、適温(20℃〜25℃)で貯蔵しても、貯蔵期間が1年以上となると、徐々にウレチジオン化が進み、沈殿が生成することがある。さらに、35℃以上では、カルボジイミド化が進むことにより、NCO基の含有率が低下して、生成する炭酸ガスによる容器の膨れなどの不具合を引き起こすという問題点がある。
【0004】
そこで、従来では、低温下に晒された場合でも、MDIの結晶が析出するのを抑制することが可能な低温安定性が優れた液状MDIが種々提案されている(例えば、特許文献1および特許文献2参照)。上記特許文献1には、MDIの異性体比を高めることにより、低温安定性が向上した液状MDIが開示されている。また、上記特許文献2には、シリコーン含有界面活性剤を添加することにより、低温安定性が向上した液状MDIが開示されている。
【0005】
【特許文献1】特許第3470328号公報
【特許文献2】特開平10−316733号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1に開示された液状MDIは、MDIの異性体比が高いために、液状MDIの性質が変化し、その液状MDIから得られるウレタン樹脂の性能が変化するという問題点がある。また、1年以上の長期貯蔵によるウレチジオン化による品質劣化は避けられないという問題点もある。
【0007】
また、上記特許文献2に開示された液状MDIでは、液状MDIにシリコーン含有界面活性剤を添加しているために液状MDIの性質が変化する。このため、この液状MDIを塗料として用いる場合には、シリコーン含有界面活性剤によるハジキの発生や面材との接着不良などの不具合が起こりやすいという問題点がある。また、上記特許文献1の液状MDIと同様に、1年以上の長期貯蔵によるウレチジオン化による品質劣化は避けられないという問題点もある。
【0008】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、液状MDIの性質を変化させることなく、長期貯蔵時のウレチジオン化による品質劣化を抑制することが可能な常温液状の変性ジフェニルメタンジイソシアネートの貯蔵及び/又は輸送方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段および発明の効果】
【0009】
本願発明者は、鋭意検討した結果、20℃のウレチジオン化速度に比べて、0℃以下のウレチジオン化の速度が低いことに着目して、変性ジフェニルメタンジイソシアネート(液状MDI)を0℃以下に冷凍固化することにより、その液状MDIを長期間品質劣化の少ない状態で貯蔵及び/又は輸送することが可能であることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
すなわち、本発明は、97重量%以上の4,4´−ジフェニルメタンジイソシアネートを含有するジフェニルメタンジイソシアネートのNCO基の一部をカルボジイミド及び/又はウレトンイミン変性した常温液状の変性ジフェニルメタンジイソシアネートを0℃以下の冷凍固化状態として貯蔵及び/又は輸送することである。また、前記変性ジフェニルメタンジイソシアネートのNCO基の含有率は、27.5重量%〜30.0重量%であることが好ましい。なお、常温とは、20℃〜30℃であるとする。
【0011】
上記構成によれば、液状MDIの性質を変化させることなく、長期貯蔵時のウレチジオン化による品質劣化を抑制することが可能な常温液状の変性ジフェニルメタンジイソシアネートの貯蔵及び/又は輸送をする方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明を具体化した実施形態に係る液状MDIについて説明する。
【0013】
本実施形態に係る変性ジフェニルメタンジイソシアネート(液状MDI)は、97重量%以上の4,4´−ジフェニルメタンジイソシアネートを含有するpure−MDIを、触媒を用いて、カルボジイミド及び/又はウレトンイミン変性することにより得られる。本実施形態に係る液状MDIの原料として用いるpure−MDIには、4,4´−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4´−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,2´−ジフェニルメタンジイソシアネートなどの各種の異性体が存在する。これらの異性体の分布については、ジフェニルメタンジイソシアネート製造時の各種条件によって影響を受けるが、通常は、4,4´−ジフェニルメタンジイソシアネートが最も多く生成し、次いで、2,4´−ジフェニルメタンジイソシアネート、最も少ないのが2,2´−ジフェニルメタンジイソシアネートとなる。これらの比率は、製造時の温度や触媒量よってコントロール可能である。本発明では、原料として用いるジフェニルメタンジイソシアネートの異性体の分布については特に限定はない。市販されているジフェニルメタンジイソシアネートには、4,4´−ジフェニルメタンジイソシアネート含有量を97重量%程度以上に精製したものが多いが、本発明では、このような4,4´−ジフェニルメタンジイソシアネートを主として含有するジフェニルメタンジイソシアネートを特に問題なく使用できる。
【0014】
また、液状MDIは、4,4´−ジフェニルメタンジイソシアネートの含有率が高いものほど融点が高く、2,2´−ジフェニルメタンジイソシアネートや2,4´−ジフェニルメタンジイソシアネートが増加するに従って融点が低下してくる。そのため、4,4´−ジフェニルメタンジイソシアネート以外の異性体が増加するにつれてカルボジイミド化の程度が低くても常温(20℃〜30℃)液状化される。
【0015】
また、上記した触媒としては、ホスホレン系とアルキルホスフェート系の触媒が挙げられる。
【0016】
ホスホレン系の触媒としては、1−フェニル−3−メチル−3−ホスホレン−1−オキサイド、1−メチル−3−メチル−3−ホスホレン−1−オキサイド、1−エチル−3−メチル−3−ホスホレン−1−オキサイド、1−ブチル−3−メチル−3−ホスホレン−1−オキサイド、1−(N−ピペリジニル)−3−メチル−3−ホスホレン−1−オキサイド、1−モルフォリノ−3−メチル−3−ホスホレン−1−オキサイド、1−フェニル−3−メチル−2−ホスホレン−1−オキサイド、1−メチル−3−メチル−2−ホスホレン−1−オキサイド、1−エチル−3−メチル−2−ホスホレン−1−オキサイド、1−ブチル−3−メチル−2−ホスホレン−1−オキサイド、1−フェノキシ−3−メチル−2−ホスホレン−1−オキサイド、1−フェニル−3−ホスホレン−1−オキサイド、1−メチル−3−ホスホレン−1−オキサイド、1−エチル−3−ホスホレン−1−オキサイド、1−フェニル−2−ホスホレン−1−オキサイド、1−メチル−2−ホスホレン−1−オキサイド、1−エチル−2−ホスホレン−1−オキサイド、1−フェニル−3−メチル−3−ホスホレン−1−スルフィド、及び、これらの混合物などが挙げられる。そして、中でも、触媒活性が高い点などから、1−フェニル−3−メチル−3−ホスホレン−1−オキサイド(以下、PMPOと記載する)、1−フェニル−3−メチル−2−ホスホレン−1−オキサイド、1−フェニル−3−ホスホレン−1−オキサイド、1−フェニル−2−ホスホレン−1−オキサイドなどが好ましい。
【0017】
また、アルキルホスフェート系の触媒としては、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリプロピルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリス(2−エチルヘキシル)ホスフェート、トリオクチルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリス(β−クロロエチル)ホスフェート、トリス(β−クロロプロピル)ホスフェート、リン酸ジメチルエステル、リン酸ジエチルエステル、リン酸ジプロピルエステル、リン酸ジブチルエステル、リン酸ジ(2−エチルヘキシル)エステル、リン酸ジオクチルエステル、リン酸モノメチルエステル、リン酸モノエチルエステル、リン酸モノプロピルエステル、リン酸モノブチルエステル、リン酸モノ(2−エチルヘキシル)エステル、リン酸モノオクチルエステル、及び、これらの混合物などが挙げられる。そして、中でも、入手の容易さ、コスト、触媒活性などの点から、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリス(2−エチルヘキシル)ホスフェート、リン酸ジメチルエステル、リン酸ジエチルエステル、リン酸ジブチルエステル、リン酸ジ(2−エチルヘキシル)エステルなどが好ましい。
【0018】
ホスホレン系触媒を用いる場合は、pure−MDIに対して、0.1ppm〜50ppm、好ましくは、0.5ppm〜30ppmの量の触媒を添加し、70℃〜150℃、好ましくは、80℃〜120℃に加熱して反応を進行させる。反応の進行は、反応系中の残存するNCO基の含有率の測定により随時確認し、NCO基の含有率が27.5重量%〜30.0重量%に達したら、冷却及び/又は酸系反応停止剤の添加により反応を停止する。これにより、NCO基の含有率が27.5重量%〜30.0重量%の液状MDIを得ることができる。
【0019】
上記酸系反応停止剤としては、塩化水素、硝酸、硫酸、リン酸、酢酸、安息香酸、フタル酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、三塩化アルミニウム、三フッ化ホウ素、三塩化ホウ素、三フッ化鉄、三塩化鉄、フェニルトリクロロシラン、ジフェニルジクロロシラン、及び、これらの混合物などが挙げられる。更に好ましくは、リン酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、三フッ化ホウ素、三塩化ホウ素、三フッ化鉄、三塩化鉄、ジフェニルジクロロシラン、及び、これらの混合物である。
【0020】
アルキルホスフェート系触媒を用いる場合は、pure−MDIに対して、0.05重量%〜5.00重量%、好ましくは、0.1重量%〜2.0重量%の量の触媒を添加し、150℃〜250℃、好ましくは、180℃〜230℃に加熱して反応を進行させる。反応の進行は、反応系中の残存するNCO基の含有率の測定により随時確認し、NCO基の含有率が27.5重量%〜30.0重量%に達したら冷却により反応を停止する。これにより、NCO基の含有率が27.5重量%〜30.0重量%の液状MDIを得ることができる。
【0021】
本実施形態では、このような方法によって得られた液状MDIを、0℃以下の冷凍固化状態で貯蔵及び/又は輸送する。この貯蔵及び/又は輸送方法は、ホスホレン系触媒による液状MDIにも、アルキルホスフェート系触媒による液状MDIにも適用できる。
【実施例】
【0022】
次に、実施例および比較例を用いて本発明を説明する。
【0023】
まず、アルキルホスフェート系触媒を用いて得られた液状MDIであるポリイソシアネート1(NCO基含有率:29.4重量%)を用いた比較例1、比較例2および実施例1を比較検証する。そして、以下に、上記したポリイソシアネート1の製造方法について詳細に説明する。
【0024】
攪拌機、温度計、アリーン冷却器及び窒素ガス導入管を備えた反応装置に、4,4´−ジフェニルメタンジイソシアネートを99.8重量%含有するジフェニルメタンジイソシアネートを1000重量部仕込み、攪拌下にトリエチルホスフェートを12重量部添加し、190℃まで昇温してカルボジイミド化反応を行った。NCO基含有量が7.09mmol/gとなった時点で、反応器ごと氷水で常温まで急冷して、カルボジイミド化反応を停止させた。その後、2日間エージングを行ってカルボジイミド化MDIを得た。得られたカルボジイミド化MDI(液状MDI)の外観は、淡褐色透明液体であり、NCO基含有量は7.01mmol/g(29.4重量%)であった。このように製造された液状MDIがポリイソシアネート1である。
【0025】
(比較例1)
上記したポリイソシアネート1を、20℃で18ヶ月間保管した。18ヶ月経過した後、外観確認およびIR(赤外分光法)を用いてウレジオン量の測定を実施した。その結果を、以下の表1に示す。
【0026】
【表1】

【0027】
(比較例2)
上記したポリイソシアネート1を、10℃で5日間保管して、MDIの一部を沈殿させた。その後、20℃で18ヶ月間保管した。18ヶ月経過した後も沈殿があったことから、60℃熱風乾燥機にて2時間加熱して、室温まで冷却した後、外観確認およびIRを用いてウレチジオン量の測定を実施した。その結果を、以下の表2に示す。
【0028】
【表2】

【0029】
(実施例1)
上記したポリイソシアネート1を、−5℃で18ヶ月間保管した。ポリイソシアネート1は、完全に固化していたため、80℃の熱風乾燥機にて2時間加熱して、完全に融解させ、室温まで冷却した後、外観確認およびIRを用いてウレチジオン量の測定を実施した。その結果を、以下の表3に示す。
【0030】
【表3】

【0031】
上記表1〜表3に示すように、比較例1に係る保管後のポリイソシアネート1の外観は、若干濁りのあるもので、比較例2に係る保管後のポリイソシアネート1の外観は、濁りのあるものであった。これに対して、実施例1に係る保管後のポリイソシアネート1の外観は、透明であった。これにより、ポリイソシアネート1を−5℃以下で冷凍固化して貯蔵すれば、ポリイソシアネート1に濁りが生じるのを抑制することができることが判明した。また、比較例1および比較例2に係る保管後のポリイソシアネート1のウレチジオン量は、それぞれ、1.3重量%および1.8重量%であった。これに対して、実施例1に係る保管後のポリイソシアネート1のウレチジオン量は、0.9重量%であり、比較例1および比較例2に比べて少量であった。これにより、冷凍固化して保管した実施例1に係るポリイソシアネート1では、ウレチジオン化の進行が抑制されていることが判明した。さらに、実施例1のように、80℃熱風乾燥機にて2時間加熱して、冷凍固化したポリイソシアネート1を融解させれば、ウレチジオン化による影響を実質的に無視できることが判明した。
【0032】
次に、ホスホレン系触媒を用いて得られた液状MDIであるポリイソシアネート2(NCO基含有率:29.4重量%)を用いた比較例3、比較例4、実施例2および実施例3を比較検証する。そして、以下に、上記したポリイソシアネート2の製造方法について詳細に説明する。
【0033】
攪拌機、温度計、アリーン冷却器及び窒素ガス導入管を備えた反応装置に、4,4´−ジフェニルメタンジイソシアネートを99.8重量%含有するジフェニルメタンジイソシアネートを1000重量部仕込み、攪拌しながら温度を90℃まで昇温し、PMPOを0.005重量部添加してカルボジイミド化反応を行った。NCO基含有量が7.09mmol/gとなった時点でフタル酸を0.1重量部添加し、反応器ごと氷水で常温まで急冷して、カルボジイミド化反応を停止させた。その後、2日間エージングを行ってカルボジイミド化MDI(液状MDI)を得た。得られたカルボジイミド化MDIの外観は、淡褐色透明液体であり、NCO基含有量は7.01mmol/g(29.4重量%)であった。このように製造された液状MDIがポリイソシアネート2である。
【0034】
(比較例3)
上記したポリイソシアネート2を、25℃で8ヶ月間保管した。8ヶ月経過した後、外観確認およびIRを用いてウレジオン量の測定を実施した。その結果を、以下の表4に示す。
【0035】
【表4】

【0036】
(比較例4)
上記したポリイソシアネート2を、−10℃で冷凍固化して1週間保管した後、25℃にて8ヶ月間保管した。8ヶ月後に外観を確認したところ沈殿が生成していたことから、80℃水浴にて2時間で融解させた。室温まで冷却した後、外観確認およびIRを用いてウレチジオン量の測定を実施した。その結果を、以下の表5に示す。
【0037】
【表5】

【0038】
(実施例2)
上記したポリイソシアネート2を、−10℃で冷凍固化して8ヶ月間保管した。8ヶ月経過後、80℃水浴にて4時間で融解させた。室温まで冷却した後、外観確認およびIRを用いてウレチジオン量の測定を実施した。その結果を、以下の表6に示す。
【0039】
【表6】

【0040】
(実施例3)
上記したポリイソシアネート2を、0℃で冷凍固化して8ヶ月間保管した。8ヶ月経過後、80℃水浴にて4時間で融解させた。室温まで冷却した後、外観確認およびIRを用いてウレチジオン量の測定を実施した。その結果を、以下の表7に示す。
【0041】
【表7】

【0042】
上記表4〜表7に示すように、比較例3に係る保管後のポリイソシアネート2の外観は、透明で、比較例4に係る保管後のポリイソシアネート2の外観は、濁りのあるものであった。そして、実施例2および実施例3に係る保管後のポリイソシアネート2の外観は、共に透明であった。これにより、液状MDIの保存に適した温度(20℃〜25℃)とされる25℃で8ヶ月保管した場合と、0℃で冷凍固化して保管した場合と、−10℃で冷凍固化して保管した場合とで保管後のポリイソシアネート2に濁りが生じるのを抑制することができることが判明した。また、比較例3および比較例4に係る保管後のポリイソシアネート2のウレチジオン量は、それぞれ、1.0重量%および1.6重量%であった。これに対して、実施例2および実施例3に係る保管後のポリイソシアネート2のウレチジオン量は、それぞれ、0.7重量%および0.9重量%であり、比較例3および比較例4に比べて少量であった。これにより、冷凍固化して保管した実施例2および実施例3に係るポリイソシアネート2では、ウレチジオン化の進行が抑制されていることが判明した。さらに、実施例2および実施例3のように、冷凍固化したポリイソシアネート2を、80℃水浴にて4時間加熱して融解することで、ウレチジオン化による影響を実質的に無視できることが判明した。
【0043】
なお、今回開示された実施形態および実施例は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態および実施例の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
97重量%以上の4,4´−ジフェニルメタンジイソシアネートを含有するジフェニルメタンジイソシアネートのイソシアネート基の一部をカルボジイミド及び/又はウレトンイミン変性した常温液状の変性ジフェニルメタンジイソシアネートを0℃以下の冷凍固化状態として貯蔵及び/又は輸送することを特徴とする、常温液状の変性ジフェニルメタンジイソシアネートの貯蔵及び/又は輸送方法。
【請求項2】
前記変性ジフェニルメタンジイソシアネートのイソシアネート基の含有率が27.5重量%〜30.0重量%であることを特徴とする、請求項1に記載の常温液状の変性ジフェニルメタンジイソシアネートの貯蔵及び/又は輸送方法。

【公開番号】特開2007−326975(P2007−326975A)
【公開日】平成19年12月20日(2007.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−160014(P2006−160014)
【出願日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【出願人】(000230135)日本ポリウレタン工業株式会社 (222)
【Fターム(参考)】