幕式表示装置
【課題】示幕の折り返し途中での意図しない電源オフによる表示幕の巻き取り停止に対し、簡素な構成で対処することができる幕式表示装置を提供する。
【解決手段】表示幕7に印された折り返しマークMbの更に奥の位置に、表示幕7の終端を指示する幕終了マークMcを設ける。そして、幕式表示装置の電源オフ時に折り返しマークMbがマーク検出センサをオーバーランして表示幕7が停止しても、電源再投入後は幕終了マークMcを検出させることにより、表示幕7の正常な巻き取り動作を確保する。
【解決手段】表示幕7に印された折り返しマークMbの更に奥の位置に、表示幕7の終端を指示する幕終了マークMcを設ける。そして、幕式表示装置の電源オフ時に折り返しマークMbがマーク検出センサをオーバーランして表示幕7が停止しても、電源再投入後は幕終了マークMcを検出させることにより、表示幕7の正常な巻き取り動作を確保する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の表示物が載せられた帯状の表示幕を巻き取り又は折り返しすることにより所定表示物を表示する幕式表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の広告が印刷された表示幕を例えばモータ等で巻き取ることによって所定の1広告を表示することにより、周囲に対して広告表示を行う幕式表示装置がある。この種の幕式表示装置は、表示幕を1枚ずつ巻き取って所定位置で停止させ、止まった表示幕を再度巻き取るという動作を繰り返すことにより広告表示を実行する。この種の幕式表示装置においては、表字幕を一時停止させたり或いは巻き取りを折り返しさせたりするための特別な機構が必要である。そこで、表字幕の各表示物に一時停止マークや折り返しマークを印刷し、これらマークの検出に基づき一時停止動作や折り返し動作を実行させる技術(例えば、特許文献1等参照)が開示されている。
【特許文献1】特公昭62−39798号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、表示幕の折り返し動作では、表示幕が折り返しマークの検出位置で直ちに停止する訳ではなく、例えばモータの惰性等により折り返しマークの検出位置から表示幕が奥にオーバーランした後に停止し、その後に表示幕が逆方向に巻き取られる動作が開始される現状がある。このため、例えば表示幕が折り返し動作を行っている最中に、幕式表示装置の電源スイッチがオフ操作されたり、或いは幕式表示装置の電源ケーブルが商用電源等の電源プラグから抜かれたりすると、表示幕は折り返しマークよりも奥に位置した地点で停止してしまう状態をとることがある。
【0004】
ところで、この種の幕式表示装置では、例えば部品点数削減や部品コスト抑制等の目的から、表示幕の幕送りを管理するコンピュータからメモリ(EEPROM等)をできる限り減らしたい要望がある。よって、このような搭載メモリ個数の削減に伴い、幕式表示装置の動作状態をメモリに逐次保持する動作をとることができない場合には、表示幕の折り返し動作の途中で急に電源オフされた後の電源再投入の際、コンピュータはそのときにとるべき動作を認識することができない状態に陥る。このため、場合によっては、幕式表示装置が表示幕を正規方向とは逆方向に巻き取る動作をとることも想定されるので、何らかの対応策が要望されていた。
【0005】
本発明の目的は、表示幕の折り返し途中での意図しない電源オフによる表示幕の巻き取り停止に対し、簡素な構成で対処することができる幕式表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記問題点を解決するために、本発明では、複数の表示物が巻き取り方向に表示された帯状の表示幕に、該表示幕の巻き取りの際の動作判断の目印としてマークが設けられ、前記マークを検出手段によって検出するとともに、この検出マークに応じた動作を巻き取りの駆動源にとらせることにより、前記表示幕を巻き取り又は折り返させて前記表示物の表示を行う幕式表示装置において、前記マークの一種として前記表示幕の終端を通知すべく設けた幕終了マークと、前記幕終了マークを検出した際、前記表示幕が終端に到達した際にとるべき動作を実行させる制御手段とを備えたことを要旨とする。
【0007】
この構成によれば、幕式表示装置が電源オフされた際、場合によっては表示幕の折り返しを指示する折り返しマークが検出手段から更に奥にまでオーバーランした位置で表示幕が停止することがある。この状況下で幕式表示装置に電源を再投入した際、本例においては折り返しマークよりも更に奥に印される幕終了マークを検出手段が検出するので、電源オフ時に折り返しマークが検出手段に対してオーバーランする位置で表示幕が停止しても、この状況下での電源再投入時おいて表示幕がとるべき動作を、幕終了マークによって把握することが可能となる。このため、電源オフ時に表示幕がオーバーランして停止する状態をとっても、これに対処可能となる。よって、表示幕の巻き取り動作を信頼性の高いものとすることが可能となり、例えば表示幕が巻き取り過ぎられて軸から外れてしまう状況を生じ難くすることが可能となる。また、本構成では、幕終了マークというマーク部位を検出するという簡素な構成で、折り返しマークのオーバーラン停止を原因とする再電源投入時における幕の異常巻き取りを発生し難くすることが可能となる。
【0008】
本発明では、前記制御手段は、前記幕終了マークを検出した際、前記表示幕を直ちに折り返す動作を実行することを要旨とする。
この構成によれば、幕終了マークが検出手段により検出された際には、表示幕が直ぐに折り返される動作がとられるので、時間を無駄に消費することなく、折り返しの表示を実行することが可能となる。
【0009】
本発明では、前記検出手段は、光学センサであることを要旨とする。
この構成によれば、光学センサという安価なセンサによって、マーク検出を実行することが可能となる。
【0010】
本発明では、前記マークは、マーク周囲に対して異なる色が一帯に色付けされた一帯色付き部であることを要旨とする。
この構成によれば、検出手段がマークとして一帯色付き部を検出した際には、その検出の間、例えば電圧検出信号として一定値をとり続け、マーク種類によってこのときの時間幅が異なることから、この時間幅を見ることによりマーク種類が識別される。よって、検出マークの時間長を見るという簡単な検出方式により、マークの種類を識別することが可能となる。
【0011】
本発明では、前記表示幕は、1つひとつの表示物を構成する単位表示幕を帯状に連結することにより形成され、前記マークは、隣同士に位置する前記単位表示幕を貼り合わせたその重ね合わせ部分に配置されていることを要旨とする。
【0012】
この構成によれば、単位表示幕を重ね合わせた部分は幕が2枚存在するので、幕を重ね合わせていない周囲の1枚の部分に比べて、幕重ね合わせ部分は光の遮断効果が高くなる。よって、この幕重ね合わせ部分にマークを配置すれば、マークとその周り部分との光透過率を大きく異ならせることが可能となるので、マークからの透過光をより少なくすることが可能となり、その分だけマークの検出精度を高いものとすることが可能となる。
【0013】
本発明では、前記表示幕においてその巻き取り前後で連続する前記表示物のうち一方を装置前面で表示し、他方を装置後面で表示する両面表示式であることを要旨とする。
この構成によれば、表示物を前面及び後面の両方で表示する両面表示式であるので、本構成の表示装置を宣伝用に使用すれば、より広告度の高い宣伝表示を行うことが可能となる。
【0014】
本発明では、前記検出手段は、装置本体の側部に取り付けられ、前記マークの通過を当該側部において検出することを要旨とする。
この構成によれば、検出手段を装置本体の側部に配置するので、前面や後面で表示を実行する表示幕に対して検出手段が邪魔にならない。
【0015】
本発明では、前記表示幕の裏面側には、当該表示幕を裏面側から照明する照明部が設けられていることを要旨とする。
この構成によれば、表示幕を裏面側から照明可能となるので、装置周囲が暗くても表示幕を視認可能とすることが可能となる。
【0016】
本発明では、前記マークは、隣同士に位置する単位表示幕の間に配置されていることを要旨とする。
この構成によれば、例えば幕式表示装置を両面表示式とした際、前面及び後面の両方に表示物を常時表示させた状態で、表示幕の巻き取りや折り返し等の各種動作を実行することが可能となる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、表示幕の折り返し途中での意図しない電源オフによる表示幕の巻き取り停止に対し、簡素な構成で対処することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明を具体化した幕式表示装置の一実施形態を図1〜図12に従って説明する。
図1及び図2に示すように、幕式表示装置(幕式看板)1において装置本体2の前面には、装置本体2の前面蓋として前面フレーム3が着脱可能に取り付けられている。一方、装置本体2の後面にも、前面と同様のフレームとして後面フレーム4が着脱可能に取り付けられている。これらフレーム3,4は、上下左右の4辺の縁を除いた部分が刳り抜かれた形状をとり、この刳り抜き部分である枠部5に嵌め込まれた透明板6から幕式表示装置1の広告として表示幕7(図2参照)が外部に露出する。即ち、本例の幕式表示装置1は、装置本体2の前面及び後面の両方において表示幕7の広告を表示可能な両面表示式となっている。
【0019】
図2に示すように、前面フレーム3において内面の上部には、装置本体2側に飛び出す一対の係止片8,8が設けられている。また、装置本体2の内部前面においてその上部には、前面フレーム3の係止片8,8の係止先として一対の被係止片9,9が設けられている。前面フレーム3は、自身の係止片8,8を装置本体2の被係止片9,9に引っ掛けることにより、装置本体2に組み付け可能となっている。なお、後面フレーム4も前面フレーム3と同様の組み付け構造によって装置本体2に組み付けられているが、この構造は前面と同じであるので、説明は省略する。
【0020】
図3及び図4に示すように、装置本体2の内部には、表示幕7の各々の終端の巻き付け先として一対の巻き取り軸10,11が回動可能に取り付けられている。表示幕7は、これら巻き取り軸10,11に対して幕を外側から内側に向かって巻く方向、即ち内巻き方向で巻かれている。また、表示幕7の巻き取り経路上には、表示幕7を裏面側から押してこれを張設する一対の保持用軸12,13が回動可能に取り付けられている。これら軸10〜13は、長細い円柱形状をとるとともに、回動軸心が装置本体2の高さ方向(図3及び図4の矢印Z方向)に沿う向き、即ち縦向きに取り付けられている。また、巻き取り軸10,11は、装置本体2の幅方向(図3及び図4の矢印Y方向)において同じ側の端部に配置され、しかもこの幅方向において同じ位置に並んだ状態で配置されている。なお、本例は、前面側巻き取り軸を10とし、後面側巻き取り軸を11とする。
【0021】
一方、保持用軸12,13は、装置本体2の幅方向において巻き取り軸10,11と反対側の端部に配置されている。保持用軸12,13は、巻き取り軸10,11と平行する向きに取り付けられ、装置本体2の幅方向において同じ位置に並んだ状態で配置されている。なお、本例は、前面側保持用軸を12とし、後面側保持用軸を13とする。これら保持用軸12,13は、装置本体2の奥行き方向(図3及び図4の矢印X方向)において、前面側保持用軸12が前面側巻き取り軸10と同じ位置に並び、後面側保持用軸13が後面側巻き取り軸11と同じ位置に並んでいる。軸10〜13は、図4に示すように、平面視において装置本体2の4隅に位置する配置状態をとっている。
【0022】
図3に示すように、巻き取り軸10,11の各々の下方位置には、これら巻き取り軸10,11の各々の回動駆動源としてモータ14,15(図3では、モータ15は省略)が取り付けられている。即ち、巻き取り軸10,11は表示幕7の巻き取り時における駆動軸として働き、保持用軸12,13はこれに連れ回りする従動軸として働く。なお、本例は、前面側モータを14とし、後面側モータを15とする。これらモータ14,15は、それぞれ複数のギア及びタイミングベルト(図示略)を介して巻き取り軸10,11に連結されている。また、モータ14,15は、ACモータが使用されるとともに、装置本体2に対して縦向きに取り付けられている。本例の場合、前面側モータ14が停止状態のままで後面側モータ15が駆動状態(例えば、正転)をとると、表示幕7が一方向(図3のK1方向)に巻き取られ、後面側モータ15が停止状態のままで前面側モータ14が駆動状態(例えば、逆転)をとると、表示幕7が他方向(図3のK2方向)に巻き取られる。なお、モータ14,15が駆動源に相当する。
【0023】
図5に示すように、これら軸10〜13において各々の軸本体16の上端には、この軸上端における装置本体2への軸支箇所としてストッパ部17が設けられている。このストッパ部17は、バネ等の付勢部材18によって飛び出す側に常時付勢されつつ、抜け止めが施された状態で軸本体16に取り付けられている。これら軸10〜13は、軸本体16の下端に形成された下端軸部19を装置本体2の下部軸支穴20に挿し込みつつ、ストッパ部17の先端を装置本体2の上部軸支穴21に挿し込むことにより取り付けられている。軸10〜13を装置本体2から取り外す際には、軸本体16を付勢部材18の付勢力に抗して持ち上げることにより下端軸部19を下部軸支穴20から外し、この状態を以てストッパ部17を上部軸支穴21から抜くことにより行う。
【0024】
図3及び図4に示すように、装置本体2の内部において表示幕7の内側には、光透過部材からなるこの表示幕7を裏面側から照明する照明部22が設けられている。本例の照明部22は、例えば蛍光灯が使用されるとともに、この蛍光灯を縦向きに2本配置した構成がとられている。この照明部22が点灯状態をとると、表示幕7が裏面側から明るく照らし出される状態をとり、幕式表示装置1の周囲が暗い場合であっても、表示幕7の広告が視覚可能となる。
【0025】
図1に示すように、装置本体2の下部位置には、後面フレーム4の下部に配設された横開きの開閉扉23を開けた位置に、幕式表示装置1の操作系として各種スイッチ24〜27及びダイヤル28が設けられている。これらスイッチ24〜27は、幕式表示装置1の主電源のオンオフを切り換える際に操作する電源スイッチ24、表示幕7の巻き取りを手動操作する際に操作する手動幕送りスイッチ25、照明部22の電源をオンオフする際に操作する照明スイッチ26、表示幕7の自動送りの運転/停止を操作する自動幕送りスイッチ27からなる。また、ダイヤル28は、表示幕7の停止時間を手動で調整可能な停止時間設定ダイヤル28からなる。これらスイッチ24〜27及びダイヤル28による幕式表示装置1の設定操作(動作切り換え操作)は、装置本体2の底面から延びる電源ケーブル29を、商用電源等の電源プラグ(図示略)に挿し込んで、幕式表示装置1が商用電源の電力を得ている際に可能となっている。
【0026】
図6及び図7に示すように、表示幕7は、1つひとつが1広告物(広告単位)をなす略四角形状の単位表示幕Sを複数枚(本例は10コマ)順番に貼り合わせることにより、一枚の長い帯として形成されている。これら単位表示幕S,S…は、前面フレーム3及び後面フレーム4の透明板6の大きさに合わせた広告(文字、絵柄等)が印刷され、各々の端縁をテープ(接着剤)等で接着することにより1枚に連結されている。表示幕7は、連続する2コマの単位表示幕S,Sが前面フレーム3の前面透明板6aと後面フレーム4の後面透明板6bとから広告として表示される。そして、モータ14,15により表示幕7を巻き取って透明板6a,6bに位置する単位表示幕S,Sを切り換えることにより、これら透明板6a,6bで表示される広告内容が変更される。
【0027】
また、表示幕7の下端位置には、表示幕7の巻き取り時における動作判断の目印として各種マークが設けられている。本例の場合、複数の単位表示幕S,S…のうち最も端から1つ手前の幕間に位置する幕同士の境目、即ち2コマ目単位表示幕S2及び9コマ目単位表示幕S9の間の各幕同士の境目には、巻き取り動作の一時停止を指示する一時停止マークMaが印されている。本例の一時停止マークMaは、例えば表示幕7の幕材に黒色をベタ印刷することによって形成され、巻き取り方向の幅間隔Laが例えば25mmに設定されている。また、一時停止マークMaは、隣同士の単位表示幕Sを連結するときのその重ね合わせ部分30(図7参照)に配置されている。
【0028】
更に、複数の単位表示幕S,S…のうち最も端の幕とその1つ手前の幕との間には、表示幕7の巻き取りに折り返し動作を指示する折り返しマークMbが印されている。本例の折り返しマークMbは、1コマ目単位表示幕S1及び2コマ目単位表示幕S2の間の境目と、9コマ目単位表示幕S9及び10コマ目単位表示幕S10の境目とに印されている。この折り返しマークMbも、例えば表示幕7の幕材に黒色をベタ印刷することによって形成され、巻き取り方向の幅間隔Lbが例えば150mm(Lb>La)に設定されている。また、2コマ目単位表示幕S2の折り返しマークMbは、2コマ目単位表示幕S2をその隣の1コマ目単位表示幕S1に連結するときのその重ね合わせ部分30に配置されている。
【0029】
また、複数の単位表示幕S,S…のうち最も端の幕には、表示幕7が終端に到達していることを指示する幕終了マークMcが印されている。本例の場合、幕終了マークMcは、1コマ目単位表示幕S1と10コマ目単位表示幕S10とに印され、隣に位置するマークである折り返しマークMbから所定間隔(例えば、約50mm)を開けて配置されている。また、この幕終了マークMcも、例えば表示幕7の幕材に黒色をベタ印刷することによって形成され、巻き取り方向の幅間隔Lcが例えば75mm(La<Lc<Lb)に設定されている。なお、マークMa〜Mcがマーク(一帯色付き部)を構成する。
【0030】
図3及び図4に示すように、装置本体2の内部においてマークMa〜Mcの通過経路の対向位置には、マークMa〜Mcを検出可能なマーク検出センサ31が設けられている。マーク検出センサ31は、装置本体2の内面側壁において保持用軸12,13の中間位置に配置されるとともに、黒色印刷から形成される各種マークMa〜Mcを検出すべく例えば光透過型センサが使用されている。マーク検出センサ31は、一定の透過率を持つ光を受け付けたときに一定値をとる電圧検出信号を出力し、この一定値の時間幅がマーク印刷部分の黒色を検出する時間に相当している。なお、マーク検出センサ31が検出手段に相当する。
【0031】
図8に示すように、幕式表示装置1には、この幕式表示装置1のコントロールユニットとして制御装置32が設けられている。この制御装置32には、同制御装置32を統括制御するCPU(Central Processing Unit)33や、表示幕7の巻き取りの制御プログラムが記憶されたROM(Read Only Memory)34等が設けられている。CPU33は、A/D変換等の信号値変換を行うセンサ検出回路35を介してマーク検出センサ31に接続されるとともに、CPU33からの指令信号をモータ駆動用の電圧に変換するモータ駆動回路36を介してモータ14,15に接続されている。CPU33は、モータ14,15のうち巻き取り側のものを定速回転させて表示幕7の巻き取り動作を実行する。また、これら回路素子群は、表示幕7の下方に収納された横向き配置の基板37(図3参照)に実装されている。
【0032】
図9に示すように、制御装置32には、マーク検出センサ31で一時停止マークMaを検出する度に、表示幕7を一時停止させつつ停止から規定時間経過後に表示幕7を再度巻き取らせる一時停止送り部38が設けられている。また、制御装置32には、マーク検出センサ31で折り返しマークMbを検出した際に、表示幕7を規定時間停止させた後、それまでとは逆方向に表示幕7を巻き取ることにより表示幕7を折り返させる表示幕折返部39が設けられている。更に、制御装置32には、マーク検出センサ31で幕終了マークMcを検出した際に、それまでとは逆方向に表示幕7を直ちに巻き取って、表示幕7を直ぐに折り返させる幕終了処理部40が設けられている。なお、幕終了処理部40が制御手段に相当する。
【0033】
次に、本例の幕式表示装置1において表示幕7を巻き取る際の動作を説明する。
幕式表示装置1の動作中に、例えば電源スイッチ24がオンからオフに操作されたり、或いは電源ケーブル29が電源プラグから抜かれたりするなどして、幕式表示装置1が電源オフ状態になったとする。このように、幕式表示装置1がオフ状態になると、幕式表示装置1には電力が供給されない状態となるので、表示幕7が電源オフ時点での位置で停止するとともに、点灯していた照明部22が消灯する。この電源オフ状態から、電源スイッチ24が再びオン操作されたり、或いは電源ケーブル29が電源プラグに再度挿し込まれたりして、幕式表示装置1が電源オン状態に再度切り換わると、幕式表示装置1に電力が再供給され、照明部22が再点灯するとともに、表示幕7の巻き取りが再実行される。
【0034】
ここで、幕式表示装置1が電源投入されたときにとる規定の幕巻き取り方向を例えば矢印K1方向とすると、電源オフ後の電源再投入の際には、この矢印K1方向に表示幕7の巻き取りが開始される。このとき、例えば図6に示すように、2コマ目単位表示幕S2と9コマ目単位表示幕S9との間(以降、これを検出範囲Eaと記す)の所定位置をマーク検出センサ31が検出していて、かつこのマーク検出センサ31が一時停止マークMa及び折り返しマークMbの両方とも検出していないのであれば、表示幕7の巻き取り動作の過程でマーク検出センサ31が各種マーク記号を検出する状態をとる。
【0035】
ところで、制御装置32(CPU33)は、マーク検出センサ31でマーク記号を検出した際、このときのマーク検出時間Txがどの程度の時間をとるかを見ることによって、マーク種を識別する。例えば、図10に示すように、マーク検出時間Txの比較値としては、マーク検出の際にマーク検出センサ31がマーク検出し得る最低時間をT1とし、最高時間をT4とすると、T1〜T4間の時間領域を3つの領域に区切り、時間T1〜T2を一時停止マークMaの検出時間幅とし、時間T2〜T3を幕終了マークMcの検出時間幅とし、時間T3〜T4を折り返しマークMbの検出時間幅としている。そして、制御装置32は、マーク検出時間Txがどの時間幅をとるのかを見ることにより、検出マークがどの種であるのかを識別する。
【0036】
前述した電源再投入時における表示幕7の巻き取り動作の際、一時停止マークMaがマーク検出センサ31を通過すると、マーク検出時間TxがT1〜T2の間の時間をとる。一時停止送り部38は、マーク検出時間TxがT1〜T2の間の時間をとることを確認すると、マーク検出センサ31を一時停止マークMaが通過したと認識し、表示幕7の巻き取りを一時停止するとともに、規定時間経過後、巻き取りを再開し、次の一時停止マークMaを探しに入る。そして、一時停止送り部38は、一時停止マークMaを検出する度に、この幕送り一時停止及び規定時間後の再開の動作を繰り返し実行する。
【0037】
また、前述した電源再投入時における表示幕7の巻き取り動作の際、折り返しマークMbがマーク検出センサ31を通過すると、マーク検出時間TxがT3〜T4の間の時間をとる。表示幕折返部39は、マーク検出時間TxがT3〜T4の間の時間をとることを確認すると、マーク検出センサ31を折り返しマークMbが通過したと認識し、表示幕7の巻き取りを一時停止するとともに、規定時間経過後、これまでの巻き取りとは逆方向である矢印K2方向に表示幕7を巻き取ることにより表示折り返しを実行し、表示幕7の表示を復動させる。なお、この表示折り返しの際、折り返しマークMbを再度検出することになるが、表示折り返し直後の1回目のマーク検出は無視するので、このときは折り返しマークMbの検出を見送り、幕送りを継続する。
【0038】
更に、一時停止マークMaや折り返しマークMbがマーク検出センサ31を通過している最中に幕式表示装置1の電源が切られると、この後の電源再投入時は、マーク検出センサ31がマーク上に位置した状態から起動することになる。このとき、マーク検出時間Txが時間T1〜T2を満たす値をとれば、このときの検出マークが一時停止マークMaとして処理され、マーク検出時間Txが時間T3〜T4を満たす値をとれば、このときの検出マークが折り返しマークMbとして処理される。このため、マークMa,Mb上からの再起動も対応可能である。また、マーク検出時間Txが時間T1〜T2よりも短い検出幅をとるときには、これを無視して停止せずに見送り、幕送りが継続される。
【0039】
ところで、表示幕7が矢印K1方向に巻き取られる巻き取り往路時、例えば9コマ目単位表示幕S9の折り返しマークMbがマーク検出センサ31を通過する途中又は通過した後に、幕式表示装置1が電源オフされると、停止過程をとる際に折り返しマークMbがマーク検出センサ31に対してオーバーランして、9コマ目単位表示幕S9の折り返しマークMbと10コマ目単位表示幕S10の幕終了マークMcの間の所定位置(図6の検出範囲Eb)がマーク検出センサ31に向き合う位置状態で停止することも起こり得る。この状況下で電源が再投入されると、従来技術の場合には、表示幕7を矢印K1方向に更に巻き取ってしまい、表示幕7が巻き取り軸10から全て巻き取られてしまうことになり、表示幕7が巻き取り軸10から外れる問題が発生する。
【0040】
しかし、本例の場合には、折り返しマークMbの更に先に幕終了マークMcが印されているので、電源再投入の際に表示幕7が矢印K1方向への巻き取りが再開されると、幕終了マークMcがマーク検出センサ31を通過するので、次に行うべき動作が認識可能となる。この幕送りの際、幕終了マークMcがマーク検出センサ31を通過すると、マーク検出時間TxがT2〜T3の値をとる。幕終了処理部40は、マーク検出時間TxがT2〜T3の間の時間をとることを確認すると、マーク検出センサ31を幕終了マークMcが通過したと認識し、このときは表示幕7を一時停止させずに、直ちに幕送りを折り返す幕終了折り返しを実行する。なお、この幕終了折り返し時には、幕終了マークMc及び折り返しマークMbをマーク検出センサ31で検出することになるが、この折り返し直後の2回のマーク検出は無効とするので、これらマーク検出が見送られて幕送りが継続される。
【0041】
また、巻き取りの復路時に電源オフされた際、1コマ目単位表示幕S1の幕終了マークMcと2コマ目単位表示幕S2の折り返しマークMbとの間の所定位置(図6の検出範囲Ec)がマーク検出センサ31に向き合う位置状態をとって停止することもある。この状況下から電源が再投入されると、電源投入時の最初の巻き取り方向は矢印K1方向と設定されているので、電源再投入時、まずは矢印K1方向に表示幕7の巻き取りが実行される。この巻き取り時、2コマ目単位表示幕S2の折り返しマークMbがマーク検出センサ31を通過するので、このマーク検出により一定時間停止する処理を行った後、それまでとは逆方向の矢印K2方向に表示幕7の巻き取りが一旦切り換えられる。このとき、折り返しマークMbがマーク検出センサ31を再度通過することになるが、このときは折り返し直後の検出であるので、このマーク検出を無視して幕送りを継続する。
【0042】
この後、今度は1コマ目単位表示幕S1に印された幕終了マークMcがマーク検出センサ31を通過する動作をとる。このため、マーク検出センサ31が幕終了マークMcを検出したときにとる動作、即ちマーク検出後において幕送りを停止せずに、巻き取りを即時折り返す動作を実行する。この幕終了折り返しの後、幕終了マークMc及び折り返しマークMbを検出するが、幕終了折り返し後の2回のマーク検出は無視されるので、一時停止マークMaが検出されるまで幕送りが継続される。
【0043】
次に、本例の幕式表示装置1の制御装置32(CPU33)が実行する表示幕7の巻き取り動作を、図11及び図12のフローチャートに従って説明する。なお、同図のフローチャートは、電源スイッチ24がオンされた際に常時実行されるものである。
【0044】
ステップ100では、表示幕7の巻き取り(表示)を往動させる際の駆動源である後面側モータ15を駆動する。
ステップ101では、マーク検出センサ31で各種マーク(マークMa〜Mc)を検出したか否かを判断する。このとき、マークMa〜Mcを検出していればステップ102に移行し、マークMa〜Mcを検出していなければステップ100に戻る。
【0045】
ステップ102では、自身の状態フラグに幕終了フラグが立っているか否かを確認する。この幕終了フラグは、表示幕7が終端に到達したことをCPU33に指示するフラグであって、マーク検出センサ31が幕終了マークMcを検出した際に立てられるものである。そして、状態フラグに幕終了フラグが立っていればステップ103に移行し、状態フラグに幕終了フラグが立っていなければステップ104に移行する。
【0046】
ステップ103では、状態フラグを折り返しフラグに設定する。なお、この折り返しフラグは、CPU33に幕巻き取りの折り返しを指示するフラグである。そして、このフラグ設定後、ステップ100に戻る。
【0047】
ステップ104では、検出マークが幕終了マークMcであるか否かを判断する。このとき、検出マークが幕終了マークMcであればステップ105に移行し、検出マークが幕終了マークでなければステップ106に移行する。
【0048】
ステップ105では、状態フラグを幕終了フラグに設定する。このフラグ設定後は、図12に示すステップ115に移行する。
ステップ106では、自身の状態フラグに折り返しフラグが立っているか否かを確認する。このとき、状態フラグに折り返しフラグが立っていればステップ107に移行し、状態フラグに折り返しフラグが立っていなければステップ108に移行する。
【0049】
ステップ107では、状態フラグを中間フラグに設定する。なお、この中間フラグは、マーク検出センサ31の検出位置が検出範囲Eaの領域にあるときに立たせるフラグである。そして、このフラグ設定後、ステップ100に戻る。
【0050】
ステップ108では、検出マークが一時停止マークMaであるか否かを判断する。このとき、検出マークが一時停止マークMaであればステップ109に移行し、検出マークが一時停止マークMaでなければステップ111に移行する。
【0051】
ステップ109では、駆動中の後面側モータ15を停止させ、表示幕7の巻き取りを一旦停止させる。
ステップ110では、ステップ109の一旦停止時間が規定時間を経過したか否かを判断する。このとき、一旦停止時間が規定時間以内であればこのステップで待機し、一旦停止時間が規定時間を超えればステップ100に戻る。
【0052】
ステップ111では、検出マークが折り返しマークMbであるか否かを判断する。このとき、検出マークが折り返しマークMbであればステップ112に移行する。一方、検出マークが折り返しマークでなければ、このときの検出物はゴミ等の異物として処理し、ステップ100に戻る。
【0053】
ステップ112では、駆動中の後面側モータ15を停止させ、表示幕7の巻き取りを一旦停止させる。
ステップ113では、ステップ112の一旦停止時間が規定時間を経過したか否かを判断する。このとき、一旦停止時間が規定時間以内であればこのステップで待機し、一定時間が規定時間を超えればステップ114に移行する。
【0054】
ステップ114では、状態フラグを折り返しフラグに設定する。
ステップ115では、表示幕7の巻き取り(表示)を復動させる際の駆動源である前面側モータ14を駆動する。
【0055】
ステップ116では、マーク検出センサ31で各種マーク(マークMa〜Mc)を検出したか否かを判断する。このとき、マークMa〜Mcを検出していればステップ117に移行し、マークMa〜Mcを検出していなければステップ115に戻る。
【0056】
ステップ117では、自身の状態フラグに幕終了フラグが立っているか否かを確認する。このとき、状態フラグに幕終了フラグが立っていればステップ118に移行し、状態フラグに幕終了フラグが立っていなければステップ119に移行する。
【0057】
ステップ118では、状態フラグを折り返しフラグに設定する。そして、このフラグ設定後、ステップ115に戻る。
ステップ119では、検出マークが幕終了マークMcであるか否かを判断する。このとき、検出マークが幕終了マークMcであればステップ120に移行し、検出マークが幕終了マークでなければステップ121に移行する。
【0058】
ステップ120では、状態フラグを幕終了フラグに設定する。このフラグ設定後は、図11のステップ100に復帰する。
ステップ121では、自身の状態フラグに折り返しフラグが立っているか否かを確認する。このとき、状態フラグに折り返しフラグが立っていればステップ122に移行し、状態フラグに折り返しフラグが立っていなければステップ123に移行する。
【0059】
ステップ122では、状態フラグを中間フラグに設定する。このフラグ設定後は、ステップ115に復帰する。
ステップ123では、検出マークが一時停止マークMaであるか否かを判断する。このとき、検出マークが一時停止マークMaであればステップ124に移行し、検出マークが一時停止マークMaでなければステップ126に移行する。
【0060】
ステップ124では、駆動中の前面側モータ14を停止させ、表示幕7の巻き取りを一旦停止させる。
ステップ125では、ステップ124の一旦停止時間が規定時間を経過したか否かを判断する。このとき、一旦停止時間が規定時間以内であればこのステップで待機し、一旦停止時間が規定時間を超えればステップ115に戻る。
【0061】
ステップ126では、検出マークが折り返しマークMbであるか否かを判断する。このとき、検出マークが折り返しマークMbであればステップ127に移行する。一方、検出マークが折り返しマークでなければ、このときの検出物はゴミ等の異物として処理し、ステップ115に戻る。
【0062】
ステップ127では、駆動中の前面側モータ14を停止させ、表示幕7の巻き取りを一旦停止させる。
ステップ128では、ステップ127の一旦停止時間が規定時間を経過したか否かを判断する。このとき、一旦停止時間が規定時間以内であればこのステップで待機し、一旦停止時間が規定時間を超えればステップ129に移行する。
【0063】
ステップ129では、状態フラグを折り返しフラグに設定する。
さて、本例においては、折り返しマークMbの更に奥の位置に幕終了マークMcを設けたので、幕式表示装置1が電源オフ状態とされた際に表示幕7が折り返しマークMbよりも更に奥で停止しても、電源再投入時には幕終了マークMcを読み取らせることにより、制御装置32に巻き取り動作の指示を与えることが可能となる。このため、幕式表示装置1が電源オフ状態とされた際に表示幕7が折り返しマークMbよりも更に奥で停止しても、電源再投入時には表示幕7が正しく巻き取られることになるので、例えば表示幕7が異常巻き取りされて巻き取り軸10,11から外れてしまうなどの不具合を発生させずに済む。
【0064】
本実施形態の構成によれば、以下に記載の効果を得ることができる。
(1)折り返しマークMbの更に奥の位置に幕終了マークMcを設け、幕式表示装置1の電源オフ時に折り返しマークMbがマーク検出センサ31をオーバーランして表示幕7が停止しても、電源再投入後は幕終了マークMcを検出させることにより、表示幕7の正常な巻き取り動作を確保する。このため、電源オフ状態の際に折り返しマークMbがマーク検出センサ31をオーバーランして表示幕7が停止しても、これに対処することができる。また、本例の場合は、幕終了マークMcという単なる柄を検出するという簡素な検出方式で、折り返しマークMbのオーバーランに対処することができる。
【0065】
(2)マーク検出センサ31で検出した検出マークの識別は、ベタ印刷部位からなるマークMa〜Mcがマーク検出センサ31を通過する際の通過時間を見ることにより実行される。よって、ベタ印刷部分の時間長を見るという簡素な検出方式で、マークMa〜Mcの種類を識別することができ、ひいては制御装置32に登録する巻き取り動作用の制御プログラムを簡素なものとすることもできる。また、本例のマーク検出方式を採用すれば、例えばもし仮に単位表示幕Sが増減されて幕の総数が変わっても、制御プログラムを変更することなく幕式表示装置1に正常な巻き取り動作をとらせることができる。
【0066】
(3)巻き取り動作のフローチャートの早めの段階(図11のステップ104)で、検出マークが幕終了マークMcであるか否かを見る判断を行うというように、幕終了マークMcの検出処理の優先度が高く設定される。このため、電源投入時において幕終了マークMcがマーク検出センサ31を通過した際には、直ぐに幕終了折り返しが開始されるので、この折り返しを時間のロスなく実行することができる。
【0067】
(4)1つのマーク検出センサ31でマーク検出を行うので、少ない部品点数でマーク検出を実行することができる。
(5)CPU33が巻き取り動作実行の際の判断基準として使用するフラグとして、中間、折り返し、幕終了という記号的な特性値を用いて状態が設定される状態フラグを使用した。このため、中間、折り返し、幕終了の各々の状態毎に専用のフラグを用意する必要がないので、巻き取り動作の制御プログラムの簡素化を図ることができる。
【0068】
(6)軸10〜13の片側の軸支箇所(挿込突)を付勢部材18により動くストッパ部17で構成したので、装置本体2への軸10〜13の取り付けや、装置本体2からの軸10〜13の取り外しを楽に行うことができる。
【0069】
(7)マーク検出センサ31が幕終了マークMcを検出した際に幕式表示装置1がとる動作を、表示幕7を一時停止させずに直ぐに折り返す動作とした。このため、幕折り返しの際に、時間を無駄に消費することなく、表示幕7の折り返し表示を直ちに実行することができる。
【0070】
(8)マーク検出センサ31として光透過型センサを用いたので、光学センサという安価なセンサによってマーク検出を実行することができる。
(9)単位表示幕S,S…を連結する際に貼り合わせたその重ね合わせ部分30にマーク(本例は、全ての一時停止マークMaと、片方の折り返しマークMbの一部分)を配置した。ところで、単位表示幕S,S…を重ね合わせた部分30は幕が2枚存在するので、幕を重ね合わせていない周囲の1枚の部分に比べて、この重ね合わせ部分30は光の遮断効果が高くなる。よって、この重ね合わせ部分30にマークMa,Mbを配置すれば、マークMa,Mbとその周囲との光透過率を大きく異ならせることが可能となるので、マークMa,Mbからの光透過率をより少なくすることが可能となる。このため、その分だけマークMa,Mbの検出精度を高いものとすることができる。
【0071】
(10)装置本体2の前面及び後面の両面に広告表示面(透明板6a,6b)を設けて幕式表示装置1を両面表示式としたので、前面及び後面の両面で広告表示がなされる。このため、前面及び後面のどちら側にいても広告が目に入るので、高い宣伝効果を得ることができる。
【0072】
(11)マーク検出センサ31を装置本体2の側部に配置したので、前面及び後面を表示部分とする本例の幕式表示装置1においてマーク検出センサ31が表示の邪魔になることがない。
【0073】
(12)巻き取り軸10,11の駆動源であるモータ14,15を表示幕7の下方位置に配置したので、これらモータ14,15と表示幕7とが重なり合わない。よって、照明部22が点灯状態をとった際に、これらモータ14,15を表示幕7に映り込ませずに済む。
【0074】
(13)表示幕7の裏面側に照明部22を設けたので、装置周囲が暗い状態であっても、表示幕7を視認可能とすることができる。
なお、実施形態はこれまでに述べた構成に限らず、以下の態様に変更してもよい。
【0075】
・ 各種マークMa〜Mcは、帯材に直に印刷されるものに限定されず、どのような形状や色付け方法を採用してもよい。
・ マーク検出センサ31は、必ずしも光透過型センサに限らず、例えば光反射型センサを使用してもよい。
【0076】
・ 表示幕7の位置検出機構は、光透過型や光反射型等を使用した光学式に限定されない。例えば、表示幕7に磁性体を埋め込み、これをホールICやMREで検出する磁気式としてもよい。
【0077】
・ モータ14,15は、必ずしもACモータに限らず、ステッピングモータやブラシレスモータ等を使用してもよい。
・ 表示幕7の巻き取り向きは、必ずしも左右方向に限らず、例えば上下方向としてもよい。
【0078】
・ 表示幕7の駆動は、タイミングベルト伝達式に限らず、モータ14,15の回転力が直に表示幕7に伝達される直駆動でもよい。
・ 幕終了マークMcは、重なり合い部分30に配置してもよい。
【0079】
・ マークMa〜Mcは、一帯色付き部に限らず、複数の線からなるもので、この線の数をカウントすることにより、マーク種類を識別するものでもよい。
・ 一帯色付き部は、印刷ベタ部に限定されず、例えば黒色テープを幕材に貼り付けたものでもよい。
【0080】
・ 状態フラグを用いた際、中間、折り返し、幕終了を表す特性値として、例えば記号を使用してA,B,Cでもよいし、或いは数字を使用して1,2,3としてもよい。
・ マーク検出センサ31の配置位置は、装置本体2の側部に限らず、前面や後面等の各位置に配置してもよい。
【0081】
・ 表示幕7は、複数の単位表示幕S,S…を1枚に連結したものに限らず、元から1枚となっているものでもよい。
・ マークMa〜Mcの配置位置は、隣同士の各々の単位表示幕S,S…の間に限定されず、適宜変更してもよい。
【0082】
・ 幕式表示装置1は、必ずしも両面表示式(広告式)に限らず、片面のみで広告を表示する片面表示式でもよい。
次に、上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想について、それらの効果とともに以下に追記する。
【0083】
(1)請求項1〜9のいずれかにおいて、前記表示幕の巻き取り方向は、前記装置本体の幅方向(水平面に対して左右方向)となっている。この構成によれば、表示幕の巻き取り方向を装置本体の幅方向とするので、表示幕の巻き取り構造を、表示幕の巻き取り軸に大きな負荷がかからないものとすることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】一実施形態において前面と後面とから見た幕式表示装置を示す斜視図。
【図2】前面フレームと装置本体との取り付け部分を示す部分拡大斜視図。
【図3】前面フレームを外した幕式表示装置の全体を示す斜視図。
【図4】幕式表示装置の内部構成を示す平断面図。
【図5】巻き取り軸及び保持用軸の装置本体への取り付け部分を示す斜視図。
【図6】複数の幕からなる帯状の表示幕の概略を示す概念図。
【図7】複数の幕からなる帯状の表示幕の構造を示す説明図。
【図8】幕式表示装置の電気的構成を示すブロック図。
【図9】幕式表示装置の機能をブロック図で示した機能ブロック図。
【図10】マーク検出時間の比較値を説明するマップ。
【図11】幕巻き取り動作時に実行されるフローチャート。
【図12】図11の続きを示したフローチャート。
【符号の説明】
【0085】
1…幕式表示装置、2…装置本体、7…表示幕、14,15…駆動源としてのモータ、22…照明部、30…重ね合わせ部分、31…検出手段としてのマーク検出センサ、40…制御手段としての幕終了処理部、Ma…マーク(一帯色付き部)を構成する一時停止マーク、Mb…マーク(一帯色付き部)を構成する折り返しマーク、Mc…マーク(一帯色付き部)を構成する幕終了マーク、S(S1〜S10)…単位表示幕。
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の表示物が載せられた帯状の表示幕を巻き取り又は折り返しすることにより所定表示物を表示する幕式表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の広告が印刷された表示幕を例えばモータ等で巻き取ることによって所定の1広告を表示することにより、周囲に対して広告表示を行う幕式表示装置がある。この種の幕式表示装置は、表示幕を1枚ずつ巻き取って所定位置で停止させ、止まった表示幕を再度巻き取るという動作を繰り返すことにより広告表示を実行する。この種の幕式表示装置においては、表字幕を一時停止させたり或いは巻き取りを折り返しさせたりするための特別な機構が必要である。そこで、表字幕の各表示物に一時停止マークや折り返しマークを印刷し、これらマークの検出に基づき一時停止動作や折り返し動作を実行させる技術(例えば、特許文献1等参照)が開示されている。
【特許文献1】特公昭62−39798号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、表示幕の折り返し動作では、表示幕が折り返しマークの検出位置で直ちに停止する訳ではなく、例えばモータの惰性等により折り返しマークの検出位置から表示幕が奥にオーバーランした後に停止し、その後に表示幕が逆方向に巻き取られる動作が開始される現状がある。このため、例えば表示幕が折り返し動作を行っている最中に、幕式表示装置の電源スイッチがオフ操作されたり、或いは幕式表示装置の電源ケーブルが商用電源等の電源プラグから抜かれたりすると、表示幕は折り返しマークよりも奥に位置した地点で停止してしまう状態をとることがある。
【0004】
ところで、この種の幕式表示装置では、例えば部品点数削減や部品コスト抑制等の目的から、表示幕の幕送りを管理するコンピュータからメモリ(EEPROM等)をできる限り減らしたい要望がある。よって、このような搭載メモリ個数の削減に伴い、幕式表示装置の動作状態をメモリに逐次保持する動作をとることができない場合には、表示幕の折り返し動作の途中で急に電源オフされた後の電源再投入の際、コンピュータはそのときにとるべき動作を認識することができない状態に陥る。このため、場合によっては、幕式表示装置が表示幕を正規方向とは逆方向に巻き取る動作をとることも想定されるので、何らかの対応策が要望されていた。
【0005】
本発明の目的は、表示幕の折り返し途中での意図しない電源オフによる表示幕の巻き取り停止に対し、簡素な構成で対処することができる幕式表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記問題点を解決するために、本発明では、複数の表示物が巻き取り方向に表示された帯状の表示幕に、該表示幕の巻き取りの際の動作判断の目印としてマークが設けられ、前記マークを検出手段によって検出するとともに、この検出マークに応じた動作を巻き取りの駆動源にとらせることにより、前記表示幕を巻き取り又は折り返させて前記表示物の表示を行う幕式表示装置において、前記マークの一種として前記表示幕の終端を通知すべく設けた幕終了マークと、前記幕終了マークを検出した際、前記表示幕が終端に到達した際にとるべき動作を実行させる制御手段とを備えたことを要旨とする。
【0007】
この構成によれば、幕式表示装置が電源オフされた際、場合によっては表示幕の折り返しを指示する折り返しマークが検出手段から更に奥にまでオーバーランした位置で表示幕が停止することがある。この状況下で幕式表示装置に電源を再投入した際、本例においては折り返しマークよりも更に奥に印される幕終了マークを検出手段が検出するので、電源オフ時に折り返しマークが検出手段に対してオーバーランする位置で表示幕が停止しても、この状況下での電源再投入時おいて表示幕がとるべき動作を、幕終了マークによって把握することが可能となる。このため、電源オフ時に表示幕がオーバーランして停止する状態をとっても、これに対処可能となる。よって、表示幕の巻き取り動作を信頼性の高いものとすることが可能となり、例えば表示幕が巻き取り過ぎられて軸から外れてしまう状況を生じ難くすることが可能となる。また、本構成では、幕終了マークというマーク部位を検出するという簡素な構成で、折り返しマークのオーバーラン停止を原因とする再電源投入時における幕の異常巻き取りを発生し難くすることが可能となる。
【0008】
本発明では、前記制御手段は、前記幕終了マークを検出した際、前記表示幕を直ちに折り返す動作を実行することを要旨とする。
この構成によれば、幕終了マークが検出手段により検出された際には、表示幕が直ぐに折り返される動作がとられるので、時間を無駄に消費することなく、折り返しの表示を実行することが可能となる。
【0009】
本発明では、前記検出手段は、光学センサであることを要旨とする。
この構成によれば、光学センサという安価なセンサによって、マーク検出を実行することが可能となる。
【0010】
本発明では、前記マークは、マーク周囲に対して異なる色が一帯に色付けされた一帯色付き部であることを要旨とする。
この構成によれば、検出手段がマークとして一帯色付き部を検出した際には、その検出の間、例えば電圧検出信号として一定値をとり続け、マーク種類によってこのときの時間幅が異なることから、この時間幅を見ることによりマーク種類が識別される。よって、検出マークの時間長を見るという簡単な検出方式により、マークの種類を識別することが可能となる。
【0011】
本発明では、前記表示幕は、1つひとつの表示物を構成する単位表示幕を帯状に連結することにより形成され、前記マークは、隣同士に位置する前記単位表示幕を貼り合わせたその重ね合わせ部分に配置されていることを要旨とする。
【0012】
この構成によれば、単位表示幕を重ね合わせた部分は幕が2枚存在するので、幕を重ね合わせていない周囲の1枚の部分に比べて、幕重ね合わせ部分は光の遮断効果が高くなる。よって、この幕重ね合わせ部分にマークを配置すれば、マークとその周り部分との光透過率を大きく異ならせることが可能となるので、マークからの透過光をより少なくすることが可能となり、その分だけマークの検出精度を高いものとすることが可能となる。
【0013】
本発明では、前記表示幕においてその巻き取り前後で連続する前記表示物のうち一方を装置前面で表示し、他方を装置後面で表示する両面表示式であることを要旨とする。
この構成によれば、表示物を前面及び後面の両方で表示する両面表示式であるので、本構成の表示装置を宣伝用に使用すれば、より広告度の高い宣伝表示を行うことが可能となる。
【0014】
本発明では、前記検出手段は、装置本体の側部に取り付けられ、前記マークの通過を当該側部において検出することを要旨とする。
この構成によれば、検出手段を装置本体の側部に配置するので、前面や後面で表示を実行する表示幕に対して検出手段が邪魔にならない。
【0015】
本発明では、前記表示幕の裏面側には、当該表示幕を裏面側から照明する照明部が設けられていることを要旨とする。
この構成によれば、表示幕を裏面側から照明可能となるので、装置周囲が暗くても表示幕を視認可能とすることが可能となる。
【0016】
本発明では、前記マークは、隣同士に位置する単位表示幕の間に配置されていることを要旨とする。
この構成によれば、例えば幕式表示装置を両面表示式とした際、前面及び後面の両方に表示物を常時表示させた状態で、表示幕の巻き取りや折り返し等の各種動作を実行することが可能となる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、表示幕の折り返し途中での意図しない電源オフによる表示幕の巻き取り停止に対し、簡素な構成で対処することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明を具体化した幕式表示装置の一実施形態を図1〜図12に従って説明する。
図1及び図2に示すように、幕式表示装置(幕式看板)1において装置本体2の前面には、装置本体2の前面蓋として前面フレーム3が着脱可能に取り付けられている。一方、装置本体2の後面にも、前面と同様のフレームとして後面フレーム4が着脱可能に取り付けられている。これらフレーム3,4は、上下左右の4辺の縁を除いた部分が刳り抜かれた形状をとり、この刳り抜き部分である枠部5に嵌め込まれた透明板6から幕式表示装置1の広告として表示幕7(図2参照)が外部に露出する。即ち、本例の幕式表示装置1は、装置本体2の前面及び後面の両方において表示幕7の広告を表示可能な両面表示式となっている。
【0019】
図2に示すように、前面フレーム3において内面の上部には、装置本体2側に飛び出す一対の係止片8,8が設けられている。また、装置本体2の内部前面においてその上部には、前面フレーム3の係止片8,8の係止先として一対の被係止片9,9が設けられている。前面フレーム3は、自身の係止片8,8を装置本体2の被係止片9,9に引っ掛けることにより、装置本体2に組み付け可能となっている。なお、後面フレーム4も前面フレーム3と同様の組み付け構造によって装置本体2に組み付けられているが、この構造は前面と同じであるので、説明は省略する。
【0020】
図3及び図4に示すように、装置本体2の内部には、表示幕7の各々の終端の巻き付け先として一対の巻き取り軸10,11が回動可能に取り付けられている。表示幕7は、これら巻き取り軸10,11に対して幕を外側から内側に向かって巻く方向、即ち内巻き方向で巻かれている。また、表示幕7の巻き取り経路上には、表示幕7を裏面側から押してこれを張設する一対の保持用軸12,13が回動可能に取り付けられている。これら軸10〜13は、長細い円柱形状をとるとともに、回動軸心が装置本体2の高さ方向(図3及び図4の矢印Z方向)に沿う向き、即ち縦向きに取り付けられている。また、巻き取り軸10,11は、装置本体2の幅方向(図3及び図4の矢印Y方向)において同じ側の端部に配置され、しかもこの幅方向において同じ位置に並んだ状態で配置されている。なお、本例は、前面側巻き取り軸を10とし、後面側巻き取り軸を11とする。
【0021】
一方、保持用軸12,13は、装置本体2の幅方向において巻き取り軸10,11と反対側の端部に配置されている。保持用軸12,13は、巻き取り軸10,11と平行する向きに取り付けられ、装置本体2の幅方向において同じ位置に並んだ状態で配置されている。なお、本例は、前面側保持用軸を12とし、後面側保持用軸を13とする。これら保持用軸12,13は、装置本体2の奥行き方向(図3及び図4の矢印X方向)において、前面側保持用軸12が前面側巻き取り軸10と同じ位置に並び、後面側保持用軸13が後面側巻き取り軸11と同じ位置に並んでいる。軸10〜13は、図4に示すように、平面視において装置本体2の4隅に位置する配置状態をとっている。
【0022】
図3に示すように、巻き取り軸10,11の各々の下方位置には、これら巻き取り軸10,11の各々の回動駆動源としてモータ14,15(図3では、モータ15は省略)が取り付けられている。即ち、巻き取り軸10,11は表示幕7の巻き取り時における駆動軸として働き、保持用軸12,13はこれに連れ回りする従動軸として働く。なお、本例は、前面側モータを14とし、後面側モータを15とする。これらモータ14,15は、それぞれ複数のギア及びタイミングベルト(図示略)を介して巻き取り軸10,11に連結されている。また、モータ14,15は、ACモータが使用されるとともに、装置本体2に対して縦向きに取り付けられている。本例の場合、前面側モータ14が停止状態のままで後面側モータ15が駆動状態(例えば、正転)をとると、表示幕7が一方向(図3のK1方向)に巻き取られ、後面側モータ15が停止状態のままで前面側モータ14が駆動状態(例えば、逆転)をとると、表示幕7が他方向(図3のK2方向)に巻き取られる。なお、モータ14,15が駆動源に相当する。
【0023】
図5に示すように、これら軸10〜13において各々の軸本体16の上端には、この軸上端における装置本体2への軸支箇所としてストッパ部17が設けられている。このストッパ部17は、バネ等の付勢部材18によって飛び出す側に常時付勢されつつ、抜け止めが施された状態で軸本体16に取り付けられている。これら軸10〜13は、軸本体16の下端に形成された下端軸部19を装置本体2の下部軸支穴20に挿し込みつつ、ストッパ部17の先端を装置本体2の上部軸支穴21に挿し込むことにより取り付けられている。軸10〜13を装置本体2から取り外す際には、軸本体16を付勢部材18の付勢力に抗して持ち上げることにより下端軸部19を下部軸支穴20から外し、この状態を以てストッパ部17を上部軸支穴21から抜くことにより行う。
【0024】
図3及び図4に示すように、装置本体2の内部において表示幕7の内側には、光透過部材からなるこの表示幕7を裏面側から照明する照明部22が設けられている。本例の照明部22は、例えば蛍光灯が使用されるとともに、この蛍光灯を縦向きに2本配置した構成がとられている。この照明部22が点灯状態をとると、表示幕7が裏面側から明るく照らし出される状態をとり、幕式表示装置1の周囲が暗い場合であっても、表示幕7の広告が視覚可能となる。
【0025】
図1に示すように、装置本体2の下部位置には、後面フレーム4の下部に配設された横開きの開閉扉23を開けた位置に、幕式表示装置1の操作系として各種スイッチ24〜27及びダイヤル28が設けられている。これらスイッチ24〜27は、幕式表示装置1の主電源のオンオフを切り換える際に操作する電源スイッチ24、表示幕7の巻き取りを手動操作する際に操作する手動幕送りスイッチ25、照明部22の電源をオンオフする際に操作する照明スイッチ26、表示幕7の自動送りの運転/停止を操作する自動幕送りスイッチ27からなる。また、ダイヤル28は、表示幕7の停止時間を手動で調整可能な停止時間設定ダイヤル28からなる。これらスイッチ24〜27及びダイヤル28による幕式表示装置1の設定操作(動作切り換え操作)は、装置本体2の底面から延びる電源ケーブル29を、商用電源等の電源プラグ(図示略)に挿し込んで、幕式表示装置1が商用電源の電力を得ている際に可能となっている。
【0026】
図6及び図7に示すように、表示幕7は、1つひとつが1広告物(広告単位)をなす略四角形状の単位表示幕Sを複数枚(本例は10コマ)順番に貼り合わせることにより、一枚の長い帯として形成されている。これら単位表示幕S,S…は、前面フレーム3及び後面フレーム4の透明板6の大きさに合わせた広告(文字、絵柄等)が印刷され、各々の端縁をテープ(接着剤)等で接着することにより1枚に連結されている。表示幕7は、連続する2コマの単位表示幕S,Sが前面フレーム3の前面透明板6aと後面フレーム4の後面透明板6bとから広告として表示される。そして、モータ14,15により表示幕7を巻き取って透明板6a,6bに位置する単位表示幕S,Sを切り換えることにより、これら透明板6a,6bで表示される広告内容が変更される。
【0027】
また、表示幕7の下端位置には、表示幕7の巻き取り時における動作判断の目印として各種マークが設けられている。本例の場合、複数の単位表示幕S,S…のうち最も端から1つ手前の幕間に位置する幕同士の境目、即ち2コマ目単位表示幕S2及び9コマ目単位表示幕S9の間の各幕同士の境目には、巻き取り動作の一時停止を指示する一時停止マークMaが印されている。本例の一時停止マークMaは、例えば表示幕7の幕材に黒色をベタ印刷することによって形成され、巻き取り方向の幅間隔Laが例えば25mmに設定されている。また、一時停止マークMaは、隣同士の単位表示幕Sを連結するときのその重ね合わせ部分30(図7参照)に配置されている。
【0028】
更に、複数の単位表示幕S,S…のうち最も端の幕とその1つ手前の幕との間には、表示幕7の巻き取りに折り返し動作を指示する折り返しマークMbが印されている。本例の折り返しマークMbは、1コマ目単位表示幕S1及び2コマ目単位表示幕S2の間の境目と、9コマ目単位表示幕S9及び10コマ目単位表示幕S10の境目とに印されている。この折り返しマークMbも、例えば表示幕7の幕材に黒色をベタ印刷することによって形成され、巻き取り方向の幅間隔Lbが例えば150mm(Lb>La)に設定されている。また、2コマ目単位表示幕S2の折り返しマークMbは、2コマ目単位表示幕S2をその隣の1コマ目単位表示幕S1に連結するときのその重ね合わせ部分30に配置されている。
【0029】
また、複数の単位表示幕S,S…のうち最も端の幕には、表示幕7が終端に到達していることを指示する幕終了マークMcが印されている。本例の場合、幕終了マークMcは、1コマ目単位表示幕S1と10コマ目単位表示幕S10とに印され、隣に位置するマークである折り返しマークMbから所定間隔(例えば、約50mm)を開けて配置されている。また、この幕終了マークMcも、例えば表示幕7の幕材に黒色をベタ印刷することによって形成され、巻き取り方向の幅間隔Lcが例えば75mm(La<Lc<Lb)に設定されている。なお、マークMa〜Mcがマーク(一帯色付き部)を構成する。
【0030】
図3及び図4に示すように、装置本体2の内部においてマークMa〜Mcの通過経路の対向位置には、マークMa〜Mcを検出可能なマーク検出センサ31が設けられている。マーク検出センサ31は、装置本体2の内面側壁において保持用軸12,13の中間位置に配置されるとともに、黒色印刷から形成される各種マークMa〜Mcを検出すべく例えば光透過型センサが使用されている。マーク検出センサ31は、一定の透過率を持つ光を受け付けたときに一定値をとる電圧検出信号を出力し、この一定値の時間幅がマーク印刷部分の黒色を検出する時間に相当している。なお、マーク検出センサ31が検出手段に相当する。
【0031】
図8に示すように、幕式表示装置1には、この幕式表示装置1のコントロールユニットとして制御装置32が設けられている。この制御装置32には、同制御装置32を統括制御するCPU(Central Processing Unit)33や、表示幕7の巻き取りの制御プログラムが記憶されたROM(Read Only Memory)34等が設けられている。CPU33は、A/D変換等の信号値変換を行うセンサ検出回路35を介してマーク検出センサ31に接続されるとともに、CPU33からの指令信号をモータ駆動用の電圧に変換するモータ駆動回路36を介してモータ14,15に接続されている。CPU33は、モータ14,15のうち巻き取り側のものを定速回転させて表示幕7の巻き取り動作を実行する。また、これら回路素子群は、表示幕7の下方に収納された横向き配置の基板37(図3参照)に実装されている。
【0032】
図9に示すように、制御装置32には、マーク検出センサ31で一時停止マークMaを検出する度に、表示幕7を一時停止させつつ停止から規定時間経過後に表示幕7を再度巻き取らせる一時停止送り部38が設けられている。また、制御装置32には、マーク検出センサ31で折り返しマークMbを検出した際に、表示幕7を規定時間停止させた後、それまでとは逆方向に表示幕7を巻き取ることにより表示幕7を折り返させる表示幕折返部39が設けられている。更に、制御装置32には、マーク検出センサ31で幕終了マークMcを検出した際に、それまでとは逆方向に表示幕7を直ちに巻き取って、表示幕7を直ぐに折り返させる幕終了処理部40が設けられている。なお、幕終了処理部40が制御手段に相当する。
【0033】
次に、本例の幕式表示装置1において表示幕7を巻き取る際の動作を説明する。
幕式表示装置1の動作中に、例えば電源スイッチ24がオンからオフに操作されたり、或いは電源ケーブル29が電源プラグから抜かれたりするなどして、幕式表示装置1が電源オフ状態になったとする。このように、幕式表示装置1がオフ状態になると、幕式表示装置1には電力が供給されない状態となるので、表示幕7が電源オフ時点での位置で停止するとともに、点灯していた照明部22が消灯する。この電源オフ状態から、電源スイッチ24が再びオン操作されたり、或いは電源ケーブル29が電源プラグに再度挿し込まれたりして、幕式表示装置1が電源オン状態に再度切り換わると、幕式表示装置1に電力が再供給され、照明部22が再点灯するとともに、表示幕7の巻き取りが再実行される。
【0034】
ここで、幕式表示装置1が電源投入されたときにとる規定の幕巻き取り方向を例えば矢印K1方向とすると、電源オフ後の電源再投入の際には、この矢印K1方向に表示幕7の巻き取りが開始される。このとき、例えば図6に示すように、2コマ目単位表示幕S2と9コマ目単位表示幕S9との間(以降、これを検出範囲Eaと記す)の所定位置をマーク検出センサ31が検出していて、かつこのマーク検出センサ31が一時停止マークMa及び折り返しマークMbの両方とも検出していないのであれば、表示幕7の巻き取り動作の過程でマーク検出センサ31が各種マーク記号を検出する状態をとる。
【0035】
ところで、制御装置32(CPU33)は、マーク検出センサ31でマーク記号を検出した際、このときのマーク検出時間Txがどの程度の時間をとるかを見ることによって、マーク種を識別する。例えば、図10に示すように、マーク検出時間Txの比較値としては、マーク検出の際にマーク検出センサ31がマーク検出し得る最低時間をT1とし、最高時間をT4とすると、T1〜T4間の時間領域を3つの領域に区切り、時間T1〜T2を一時停止マークMaの検出時間幅とし、時間T2〜T3を幕終了マークMcの検出時間幅とし、時間T3〜T4を折り返しマークMbの検出時間幅としている。そして、制御装置32は、マーク検出時間Txがどの時間幅をとるのかを見ることにより、検出マークがどの種であるのかを識別する。
【0036】
前述した電源再投入時における表示幕7の巻き取り動作の際、一時停止マークMaがマーク検出センサ31を通過すると、マーク検出時間TxがT1〜T2の間の時間をとる。一時停止送り部38は、マーク検出時間TxがT1〜T2の間の時間をとることを確認すると、マーク検出センサ31を一時停止マークMaが通過したと認識し、表示幕7の巻き取りを一時停止するとともに、規定時間経過後、巻き取りを再開し、次の一時停止マークMaを探しに入る。そして、一時停止送り部38は、一時停止マークMaを検出する度に、この幕送り一時停止及び規定時間後の再開の動作を繰り返し実行する。
【0037】
また、前述した電源再投入時における表示幕7の巻き取り動作の際、折り返しマークMbがマーク検出センサ31を通過すると、マーク検出時間TxがT3〜T4の間の時間をとる。表示幕折返部39は、マーク検出時間TxがT3〜T4の間の時間をとることを確認すると、マーク検出センサ31を折り返しマークMbが通過したと認識し、表示幕7の巻き取りを一時停止するとともに、規定時間経過後、これまでの巻き取りとは逆方向である矢印K2方向に表示幕7を巻き取ることにより表示折り返しを実行し、表示幕7の表示を復動させる。なお、この表示折り返しの際、折り返しマークMbを再度検出することになるが、表示折り返し直後の1回目のマーク検出は無視するので、このときは折り返しマークMbの検出を見送り、幕送りを継続する。
【0038】
更に、一時停止マークMaや折り返しマークMbがマーク検出センサ31を通過している最中に幕式表示装置1の電源が切られると、この後の電源再投入時は、マーク検出センサ31がマーク上に位置した状態から起動することになる。このとき、マーク検出時間Txが時間T1〜T2を満たす値をとれば、このときの検出マークが一時停止マークMaとして処理され、マーク検出時間Txが時間T3〜T4を満たす値をとれば、このときの検出マークが折り返しマークMbとして処理される。このため、マークMa,Mb上からの再起動も対応可能である。また、マーク検出時間Txが時間T1〜T2よりも短い検出幅をとるときには、これを無視して停止せずに見送り、幕送りが継続される。
【0039】
ところで、表示幕7が矢印K1方向に巻き取られる巻き取り往路時、例えば9コマ目単位表示幕S9の折り返しマークMbがマーク検出センサ31を通過する途中又は通過した後に、幕式表示装置1が電源オフされると、停止過程をとる際に折り返しマークMbがマーク検出センサ31に対してオーバーランして、9コマ目単位表示幕S9の折り返しマークMbと10コマ目単位表示幕S10の幕終了マークMcの間の所定位置(図6の検出範囲Eb)がマーク検出センサ31に向き合う位置状態で停止することも起こり得る。この状況下で電源が再投入されると、従来技術の場合には、表示幕7を矢印K1方向に更に巻き取ってしまい、表示幕7が巻き取り軸10から全て巻き取られてしまうことになり、表示幕7が巻き取り軸10から外れる問題が発生する。
【0040】
しかし、本例の場合には、折り返しマークMbの更に先に幕終了マークMcが印されているので、電源再投入の際に表示幕7が矢印K1方向への巻き取りが再開されると、幕終了マークMcがマーク検出センサ31を通過するので、次に行うべき動作が認識可能となる。この幕送りの際、幕終了マークMcがマーク検出センサ31を通過すると、マーク検出時間TxがT2〜T3の値をとる。幕終了処理部40は、マーク検出時間TxがT2〜T3の間の時間をとることを確認すると、マーク検出センサ31を幕終了マークMcが通過したと認識し、このときは表示幕7を一時停止させずに、直ちに幕送りを折り返す幕終了折り返しを実行する。なお、この幕終了折り返し時には、幕終了マークMc及び折り返しマークMbをマーク検出センサ31で検出することになるが、この折り返し直後の2回のマーク検出は無効とするので、これらマーク検出が見送られて幕送りが継続される。
【0041】
また、巻き取りの復路時に電源オフされた際、1コマ目単位表示幕S1の幕終了マークMcと2コマ目単位表示幕S2の折り返しマークMbとの間の所定位置(図6の検出範囲Ec)がマーク検出センサ31に向き合う位置状態をとって停止することもある。この状況下から電源が再投入されると、電源投入時の最初の巻き取り方向は矢印K1方向と設定されているので、電源再投入時、まずは矢印K1方向に表示幕7の巻き取りが実行される。この巻き取り時、2コマ目単位表示幕S2の折り返しマークMbがマーク検出センサ31を通過するので、このマーク検出により一定時間停止する処理を行った後、それまでとは逆方向の矢印K2方向に表示幕7の巻き取りが一旦切り換えられる。このとき、折り返しマークMbがマーク検出センサ31を再度通過することになるが、このときは折り返し直後の検出であるので、このマーク検出を無視して幕送りを継続する。
【0042】
この後、今度は1コマ目単位表示幕S1に印された幕終了マークMcがマーク検出センサ31を通過する動作をとる。このため、マーク検出センサ31が幕終了マークMcを検出したときにとる動作、即ちマーク検出後において幕送りを停止せずに、巻き取りを即時折り返す動作を実行する。この幕終了折り返しの後、幕終了マークMc及び折り返しマークMbを検出するが、幕終了折り返し後の2回のマーク検出は無視されるので、一時停止マークMaが検出されるまで幕送りが継続される。
【0043】
次に、本例の幕式表示装置1の制御装置32(CPU33)が実行する表示幕7の巻き取り動作を、図11及び図12のフローチャートに従って説明する。なお、同図のフローチャートは、電源スイッチ24がオンされた際に常時実行されるものである。
【0044】
ステップ100では、表示幕7の巻き取り(表示)を往動させる際の駆動源である後面側モータ15を駆動する。
ステップ101では、マーク検出センサ31で各種マーク(マークMa〜Mc)を検出したか否かを判断する。このとき、マークMa〜Mcを検出していればステップ102に移行し、マークMa〜Mcを検出していなければステップ100に戻る。
【0045】
ステップ102では、自身の状態フラグに幕終了フラグが立っているか否かを確認する。この幕終了フラグは、表示幕7が終端に到達したことをCPU33に指示するフラグであって、マーク検出センサ31が幕終了マークMcを検出した際に立てられるものである。そして、状態フラグに幕終了フラグが立っていればステップ103に移行し、状態フラグに幕終了フラグが立っていなければステップ104に移行する。
【0046】
ステップ103では、状態フラグを折り返しフラグに設定する。なお、この折り返しフラグは、CPU33に幕巻き取りの折り返しを指示するフラグである。そして、このフラグ設定後、ステップ100に戻る。
【0047】
ステップ104では、検出マークが幕終了マークMcであるか否かを判断する。このとき、検出マークが幕終了マークMcであればステップ105に移行し、検出マークが幕終了マークでなければステップ106に移行する。
【0048】
ステップ105では、状態フラグを幕終了フラグに設定する。このフラグ設定後は、図12に示すステップ115に移行する。
ステップ106では、自身の状態フラグに折り返しフラグが立っているか否かを確認する。このとき、状態フラグに折り返しフラグが立っていればステップ107に移行し、状態フラグに折り返しフラグが立っていなければステップ108に移行する。
【0049】
ステップ107では、状態フラグを中間フラグに設定する。なお、この中間フラグは、マーク検出センサ31の検出位置が検出範囲Eaの領域にあるときに立たせるフラグである。そして、このフラグ設定後、ステップ100に戻る。
【0050】
ステップ108では、検出マークが一時停止マークMaであるか否かを判断する。このとき、検出マークが一時停止マークMaであればステップ109に移行し、検出マークが一時停止マークMaでなければステップ111に移行する。
【0051】
ステップ109では、駆動中の後面側モータ15を停止させ、表示幕7の巻き取りを一旦停止させる。
ステップ110では、ステップ109の一旦停止時間が規定時間を経過したか否かを判断する。このとき、一旦停止時間が規定時間以内であればこのステップで待機し、一旦停止時間が規定時間を超えればステップ100に戻る。
【0052】
ステップ111では、検出マークが折り返しマークMbであるか否かを判断する。このとき、検出マークが折り返しマークMbであればステップ112に移行する。一方、検出マークが折り返しマークでなければ、このときの検出物はゴミ等の異物として処理し、ステップ100に戻る。
【0053】
ステップ112では、駆動中の後面側モータ15を停止させ、表示幕7の巻き取りを一旦停止させる。
ステップ113では、ステップ112の一旦停止時間が規定時間を経過したか否かを判断する。このとき、一旦停止時間が規定時間以内であればこのステップで待機し、一定時間が規定時間を超えればステップ114に移行する。
【0054】
ステップ114では、状態フラグを折り返しフラグに設定する。
ステップ115では、表示幕7の巻き取り(表示)を復動させる際の駆動源である前面側モータ14を駆動する。
【0055】
ステップ116では、マーク検出センサ31で各種マーク(マークMa〜Mc)を検出したか否かを判断する。このとき、マークMa〜Mcを検出していればステップ117に移行し、マークMa〜Mcを検出していなければステップ115に戻る。
【0056】
ステップ117では、自身の状態フラグに幕終了フラグが立っているか否かを確認する。このとき、状態フラグに幕終了フラグが立っていればステップ118に移行し、状態フラグに幕終了フラグが立っていなければステップ119に移行する。
【0057】
ステップ118では、状態フラグを折り返しフラグに設定する。そして、このフラグ設定後、ステップ115に戻る。
ステップ119では、検出マークが幕終了マークMcであるか否かを判断する。このとき、検出マークが幕終了マークMcであればステップ120に移行し、検出マークが幕終了マークでなければステップ121に移行する。
【0058】
ステップ120では、状態フラグを幕終了フラグに設定する。このフラグ設定後は、図11のステップ100に復帰する。
ステップ121では、自身の状態フラグに折り返しフラグが立っているか否かを確認する。このとき、状態フラグに折り返しフラグが立っていればステップ122に移行し、状態フラグに折り返しフラグが立っていなければステップ123に移行する。
【0059】
ステップ122では、状態フラグを中間フラグに設定する。このフラグ設定後は、ステップ115に復帰する。
ステップ123では、検出マークが一時停止マークMaであるか否かを判断する。このとき、検出マークが一時停止マークMaであればステップ124に移行し、検出マークが一時停止マークMaでなければステップ126に移行する。
【0060】
ステップ124では、駆動中の前面側モータ14を停止させ、表示幕7の巻き取りを一旦停止させる。
ステップ125では、ステップ124の一旦停止時間が規定時間を経過したか否かを判断する。このとき、一旦停止時間が規定時間以内であればこのステップで待機し、一旦停止時間が規定時間を超えればステップ115に戻る。
【0061】
ステップ126では、検出マークが折り返しマークMbであるか否かを判断する。このとき、検出マークが折り返しマークMbであればステップ127に移行する。一方、検出マークが折り返しマークでなければ、このときの検出物はゴミ等の異物として処理し、ステップ115に戻る。
【0062】
ステップ127では、駆動中の前面側モータ14を停止させ、表示幕7の巻き取りを一旦停止させる。
ステップ128では、ステップ127の一旦停止時間が規定時間を経過したか否かを判断する。このとき、一旦停止時間が規定時間以内であればこのステップで待機し、一旦停止時間が規定時間を超えればステップ129に移行する。
【0063】
ステップ129では、状態フラグを折り返しフラグに設定する。
さて、本例においては、折り返しマークMbの更に奥の位置に幕終了マークMcを設けたので、幕式表示装置1が電源オフ状態とされた際に表示幕7が折り返しマークMbよりも更に奥で停止しても、電源再投入時には幕終了マークMcを読み取らせることにより、制御装置32に巻き取り動作の指示を与えることが可能となる。このため、幕式表示装置1が電源オフ状態とされた際に表示幕7が折り返しマークMbよりも更に奥で停止しても、電源再投入時には表示幕7が正しく巻き取られることになるので、例えば表示幕7が異常巻き取りされて巻き取り軸10,11から外れてしまうなどの不具合を発生させずに済む。
【0064】
本実施形態の構成によれば、以下に記載の効果を得ることができる。
(1)折り返しマークMbの更に奥の位置に幕終了マークMcを設け、幕式表示装置1の電源オフ時に折り返しマークMbがマーク検出センサ31をオーバーランして表示幕7が停止しても、電源再投入後は幕終了マークMcを検出させることにより、表示幕7の正常な巻き取り動作を確保する。このため、電源オフ状態の際に折り返しマークMbがマーク検出センサ31をオーバーランして表示幕7が停止しても、これに対処することができる。また、本例の場合は、幕終了マークMcという単なる柄を検出するという簡素な検出方式で、折り返しマークMbのオーバーランに対処することができる。
【0065】
(2)マーク検出センサ31で検出した検出マークの識別は、ベタ印刷部位からなるマークMa〜Mcがマーク検出センサ31を通過する際の通過時間を見ることにより実行される。よって、ベタ印刷部分の時間長を見るという簡素な検出方式で、マークMa〜Mcの種類を識別することができ、ひいては制御装置32に登録する巻き取り動作用の制御プログラムを簡素なものとすることもできる。また、本例のマーク検出方式を採用すれば、例えばもし仮に単位表示幕Sが増減されて幕の総数が変わっても、制御プログラムを変更することなく幕式表示装置1に正常な巻き取り動作をとらせることができる。
【0066】
(3)巻き取り動作のフローチャートの早めの段階(図11のステップ104)で、検出マークが幕終了マークMcであるか否かを見る判断を行うというように、幕終了マークMcの検出処理の優先度が高く設定される。このため、電源投入時において幕終了マークMcがマーク検出センサ31を通過した際には、直ぐに幕終了折り返しが開始されるので、この折り返しを時間のロスなく実行することができる。
【0067】
(4)1つのマーク検出センサ31でマーク検出を行うので、少ない部品点数でマーク検出を実行することができる。
(5)CPU33が巻き取り動作実行の際の判断基準として使用するフラグとして、中間、折り返し、幕終了という記号的な特性値を用いて状態が設定される状態フラグを使用した。このため、中間、折り返し、幕終了の各々の状態毎に専用のフラグを用意する必要がないので、巻き取り動作の制御プログラムの簡素化を図ることができる。
【0068】
(6)軸10〜13の片側の軸支箇所(挿込突)を付勢部材18により動くストッパ部17で構成したので、装置本体2への軸10〜13の取り付けや、装置本体2からの軸10〜13の取り外しを楽に行うことができる。
【0069】
(7)マーク検出センサ31が幕終了マークMcを検出した際に幕式表示装置1がとる動作を、表示幕7を一時停止させずに直ぐに折り返す動作とした。このため、幕折り返しの際に、時間を無駄に消費することなく、表示幕7の折り返し表示を直ちに実行することができる。
【0070】
(8)マーク検出センサ31として光透過型センサを用いたので、光学センサという安価なセンサによってマーク検出を実行することができる。
(9)単位表示幕S,S…を連結する際に貼り合わせたその重ね合わせ部分30にマーク(本例は、全ての一時停止マークMaと、片方の折り返しマークMbの一部分)を配置した。ところで、単位表示幕S,S…を重ね合わせた部分30は幕が2枚存在するので、幕を重ね合わせていない周囲の1枚の部分に比べて、この重ね合わせ部分30は光の遮断効果が高くなる。よって、この重ね合わせ部分30にマークMa,Mbを配置すれば、マークMa,Mbとその周囲との光透過率を大きく異ならせることが可能となるので、マークMa,Mbからの光透過率をより少なくすることが可能となる。このため、その分だけマークMa,Mbの検出精度を高いものとすることができる。
【0071】
(10)装置本体2の前面及び後面の両面に広告表示面(透明板6a,6b)を設けて幕式表示装置1を両面表示式としたので、前面及び後面の両面で広告表示がなされる。このため、前面及び後面のどちら側にいても広告が目に入るので、高い宣伝効果を得ることができる。
【0072】
(11)マーク検出センサ31を装置本体2の側部に配置したので、前面及び後面を表示部分とする本例の幕式表示装置1においてマーク検出センサ31が表示の邪魔になることがない。
【0073】
(12)巻き取り軸10,11の駆動源であるモータ14,15を表示幕7の下方位置に配置したので、これらモータ14,15と表示幕7とが重なり合わない。よって、照明部22が点灯状態をとった際に、これらモータ14,15を表示幕7に映り込ませずに済む。
【0074】
(13)表示幕7の裏面側に照明部22を設けたので、装置周囲が暗い状態であっても、表示幕7を視認可能とすることができる。
なお、実施形態はこれまでに述べた構成に限らず、以下の態様に変更してもよい。
【0075】
・ 各種マークMa〜Mcは、帯材に直に印刷されるものに限定されず、どのような形状や色付け方法を採用してもよい。
・ マーク検出センサ31は、必ずしも光透過型センサに限らず、例えば光反射型センサを使用してもよい。
【0076】
・ 表示幕7の位置検出機構は、光透過型や光反射型等を使用した光学式に限定されない。例えば、表示幕7に磁性体を埋め込み、これをホールICやMREで検出する磁気式としてもよい。
【0077】
・ モータ14,15は、必ずしもACモータに限らず、ステッピングモータやブラシレスモータ等を使用してもよい。
・ 表示幕7の巻き取り向きは、必ずしも左右方向に限らず、例えば上下方向としてもよい。
【0078】
・ 表示幕7の駆動は、タイミングベルト伝達式に限らず、モータ14,15の回転力が直に表示幕7に伝達される直駆動でもよい。
・ 幕終了マークMcは、重なり合い部分30に配置してもよい。
【0079】
・ マークMa〜Mcは、一帯色付き部に限らず、複数の線からなるもので、この線の数をカウントすることにより、マーク種類を識別するものでもよい。
・ 一帯色付き部は、印刷ベタ部に限定されず、例えば黒色テープを幕材に貼り付けたものでもよい。
【0080】
・ 状態フラグを用いた際、中間、折り返し、幕終了を表す特性値として、例えば記号を使用してA,B,Cでもよいし、或いは数字を使用して1,2,3としてもよい。
・ マーク検出センサ31の配置位置は、装置本体2の側部に限らず、前面や後面等の各位置に配置してもよい。
【0081】
・ 表示幕7は、複数の単位表示幕S,S…を1枚に連結したものに限らず、元から1枚となっているものでもよい。
・ マークMa〜Mcの配置位置は、隣同士の各々の単位表示幕S,S…の間に限定されず、適宜変更してもよい。
【0082】
・ 幕式表示装置1は、必ずしも両面表示式(広告式)に限らず、片面のみで広告を表示する片面表示式でもよい。
次に、上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想について、それらの効果とともに以下に追記する。
【0083】
(1)請求項1〜9のいずれかにおいて、前記表示幕の巻き取り方向は、前記装置本体の幅方向(水平面に対して左右方向)となっている。この構成によれば、表示幕の巻き取り方向を装置本体の幅方向とするので、表示幕の巻き取り構造を、表示幕の巻き取り軸に大きな負荷がかからないものとすることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】一実施形態において前面と後面とから見た幕式表示装置を示す斜視図。
【図2】前面フレームと装置本体との取り付け部分を示す部分拡大斜視図。
【図3】前面フレームを外した幕式表示装置の全体を示す斜視図。
【図4】幕式表示装置の内部構成を示す平断面図。
【図5】巻き取り軸及び保持用軸の装置本体への取り付け部分を示す斜視図。
【図6】複数の幕からなる帯状の表示幕の概略を示す概念図。
【図7】複数の幕からなる帯状の表示幕の構造を示す説明図。
【図8】幕式表示装置の電気的構成を示すブロック図。
【図9】幕式表示装置の機能をブロック図で示した機能ブロック図。
【図10】マーク検出時間の比較値を説明するマップ。
【図11】幕巻き取り動作時に実行されるフローチャート。
【図12】図11の続きを示したフローチャート。
【符号の説明】
【0085】
1…幕式表示装置、2…装置本体、7…表示幕、14,15…駆動源としてのモータ、22…照明部、30…重ね合わせ部分、31…検出手段としてのマーク検出センサ、40…制御手段としての幕終了処理部、Ma…マーク(一帯色付き部)を構成する一時停止マーク、Mb…マーク(一帯色付き部)を構成する折り返しマーク、Mc…マーク(一帯色付き部)を構成する幕終了マーク、S(S1〜S10)…単位表示幕。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の表示物が巻き取り方向に表示された帯状の表示幕に、該表示幕の巻き取りの際の動作判断の目印としてマークが設けられ、前記マークを検出手段によって検出するとともに、この検出マークに応じた動作を巻き取りの駆動源にとらせることにより、前記表示幕を巻き取り又は折り返させて前記表示物の表示を行う幕式表示装置において、
前記マークの一種として前記表示幕の終端を通知すべく設けた幕終了マークと、
前記幕終了マークを検出した際、前記表示幕が終端に到達した際にとるべき動作を実行させる制御手段と
を備えたことを特徴とする幕式表示装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記幕終了マークを検出した際、前記表示幕を直ちに折り返す動作を実行することを特徴とする請求項1に記載の幕式表示装置。
【請求項3】
前記検出手段は、光学センサであることを特徴とする請求項1又は2に記載の幕式表示装置。
【請求項4】
前記マークは、マーク周囲に対して異なる色が一帯に色付けされた一帯色付き部であることを特徴とする請求項3に記載の幕式表示装置。
【請求項5】
前記表示幕は、1つひとつの表示物を構成する単位表示幕を帯状に連結することにより形成され、前記マークは、隣同士に位置する前記単位表示幕を貼り合わせたその重ね合わせ部分に配置されていることを特徴とする請求項3又は4に記載の幕式表示装置。
【請求項6】
前記表示幕においてその巻き取り前後で連続する前記表示物のうち一方を装置前面で表示し、他方を装置後面で表示する両面表示式であることを特徴とする請求項1〜4のうちいずれか一項に記載の幕式表示装置。
【請求項7】
前記検出手段は、装置本体の側部に取り付けられ、前記マークの通過を当該側部において検出することを特徴とする請求項1〜6のうちいずれか一項に記載の幕式表示装置。
【請求項8】
前記表示幕の裏面側には、当該表示幕を裏面側から照明する照明部が設けられていることを特徴とする請求項1〜7のうちいずれか一項に記載の幕式表示装置。
【請求項9】
前記マークは、隣同士に位置する単位表示幕の間に配置されていることを特徴する請求項1〜8のうちいずれか一項に記載の幕式表示装置。
【請求項1】
複数の表示物が巻き取り方向に表示された帯状の表示幕に、該表示幕の巻き取りの際の動作判断の目印としてマークが設けられ、前記マークを検出手段によって検出するとともに、この検出マークに応じた動作を巻き取りの駆動源にとらせることにより、前記表示幕を巻き取り又は折り返させて前記表示物の表示を行う幕式表示装置において、
前記マークの一種として前記表示幕の終端を通知すべく設けた幕終了マークと、
前記幕終了マークを検出した際、前記表示幕が終端に到達した際にとるべき動作を実行させる制御手段と
を備えたことを特徴とする幕式表示装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記幕終了マークを検出した際、前記表示幕を直ちに折り返す動作を実行することを特徴とする請求項1に記載の幕式表示装置。
【請求項3】
前記検出手段は、光学センサであることを特徴とする請求項1又は2に記載の幕式表示装置。
【請求項4】
前記マークは、マーク周囲に対して異なる色が一帯に色付けされた一帯色付き部であることを特徴とする請求項3に記載の幕式表示装置。
【請求項5】
前記表示幕は、1つひとつの表示物を構成する単位表示幕を帯状に連結することにより形成され、前記マークは、隣同士に位置する前記単位表示幕を貼り合わせたその重ね合わせ部分に配置されていることを特徴とする請求項3又は4に記載の幕式表示装置。
【請求項6】
前記表示幕においてその巻き取り前後で連続する前記表示物のうち一方を装置前面で表示し、他方を装置後面で表示する両面表示式であることを特徴とする請求項1〜4のうちいずれか一項に記載の幕式表示装置。
【請求項7】
前記検出手段は、装置本体の側部に取り付けられ、前記マークの通過を当該側部において検出することを特徴とする請求項1〜6のうちいずれか一項に記載の幕式表示装置。
【請求項8】
前記表示幕の裏面側には、当該表示幕を裏面側から照明する照明部が設けられていることを特徴とする請求項1〜7のうちいずれか一項に記載の幕式表示装置。
【請求項9】
前記マークは、隣同士に位置する単位表示幕の間に配置されていることを特徴する請求項1〜8のうちいずれか一項に記載の幕式表示装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2010−145642(P2010−145642A)
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−321336(P2008−321336)
【出願日】平成20年12月17日(2008.12.17)
【出願人】(000144544)レシップ株式会社 (179)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年12月17日(2008.12.17)
【出願人】(000144544)レシップ株式会社 (179)
【Fターム(参考)】
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