説明

干渉波型刺激装置およびその制御方法

【課題】干渉波の発生位置を把握可能な干渉波型刺激装置を提供する。
【解決手段】第1表面電極212a,212bと第2表面電極221a,221bとの間で、互いに交叉させた二つの中高周波電流の通電する場合に、各第1表面電極212a,212bの近傍に設けられた超音波送波部232a,232bと、各第2表面電極221a,221bの近傍に設けられた超音波受波部241a,241bとの間での超音波の送受波結果によって、中高周波電流の交叉点の位置を算出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体に対して、互いに交叉させた二つの中高周波電流の通電を行い、交叉点にて二つの中高周波の差に対応する周波数をもった干渉波を発生させて、電気的に刺激する干渉波型刺激装置およびその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
疼通緩和および末梢血行障害を改善するために、干渉波型刺激装置が用いられている。干渉波型刺激装置を用いた療法は、干渉電流療法(interferential current therapy:IFC)と呼ばれる。干渉電流療法では、互いに交叉させた二つの中高周波電流の通電を行い、二つの中高周波電流の交叉点にて二つの中高周波の差(たとえば、1〜200Hz)に対応する低周波数をもった干渉波(干渉波電流)を発生させ、この干渉波によって生体を電気的に刺激する。したがって、干渉波型刺激装置によれば、交叉点近傍のみを選択的に刺激することが可能である。
【0003】
また、干渉波の発生に用いられる中高周波電流は、一般的な低周波型刺激装置に比べて、深部到達性が高いといった長所を有する。すなわち、生体に通電する電流の周波数が高くなるにつれて、生体内でのインピーダンスが低くなり、深部到達性が高まる。したがって、干渉波型刺激装置によれば、干渉波を生体深部の局在した部位において発生させることができ、この結果、一般的な低周波刺激装置では刺激することが困難な生体深部の部位を局所的に刺激することが可能となる。
【0004】
干渉波型刺激装置を用いて電気刺激する場合、二つの中高周波電流の交叉点、すなわち、干渉波の発生部位の把握および調整が重要である。一般に、東洋医学では、経穴への刺激が行われている。特に、運動神経や骨格筋を養う血管が入り込むところである筋膜孔と関係する経穴への刺激が有効であるといわれている。筋膜孔は、皮下脂肪層と筋肉層との境界部分にあたる筋膜に存在する。したがって、干渉波型刺激装置によって、筋膜孔と関係する経穴を刺激するためには、二つの中高周波電流の交叉点を筋膜付近に位置させるように調節する必要がある。
【0005】
しかしながら、従来の干渉型刺激装置では、二つの中高周波電流の交叉点、すなわち、干渉波の発生部位を調節しながら、刺激することが難しく、満足いく刺激ができない場合が多かった。
【0006】
近年、二つの中高周波電流の周波数を任意に変更することによって、生体内での干渉波の発生位置までの深さを変える試みがなされている(特許文献1)。しかしながら、この特許文献1の技術によっても、中高周波電流の交叉点、すなわち、干渉波の発生部位の位置を把握するまでにはいたっておらず、交叉点までの距離を表示することは難しい。
【0007】
また、皮下脂肪層の厚みには固体差があるため、皮膚表面から筋膜などの目的部位までの距離(深さ)は、個体間によって異なる。このように皮下脂肪層の厚さについての個体差は、中高周波電流の交叉点を目的部位の近傍に位置するように調節することをさらに困難にしている。
【特許文献1】特開平8−112362号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、以上の問題点を解決するためになされたものである。
【0009】
したがって、本発明の目的は、中高周波電流の交叉点、すなわち、干渉波の発生位置を把握可能な干渉波型刺激装置を提供することである。特に、本発明は、筋膜などの目的部位の近傍になるように中高周波電流の交叉点の位置を調整することが可能な干渉波型刺激装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的は、下記の手段により達成される。
【0011】
本発明の干渉波型刺激装置は、生体の皮膚上に配置される少なくとも一対の第1表面電極と、前記生体内の目的部位を基準に前記第1表面電極の反対側の皮膚上に配置され、前記第1表面電極との間で、互いに交叉させた二つの中高周波電流の通電を行い、前記二つの中高周波電流の交叉点にて二つの中高周波の差に相当する周波数を有する干渉波を発生させるための少なくとも一対の第2表面電極と、前記第1表面電極から所定距離離れて設けられて、超音波を送波する超音波送波部と、前記第2表面電極から所定距離離れて設けられて、前記超音波送波部から送波された超音波を受波する超音波受波部と、前記超音波送波部と前記超音波受波部との間での超音波の送受波結果によって、前記交叉点の位置を算出する交叉位置算出部と、を有することを特徴とする。
【0012】
上記の超音波送波部は、各第1表面電極の近傍に設けられており、上記の超音波受波部は、各第2表面電極の近傍に設けられている。
【0013】
上記の干渉波型刺激装置は、さらに、前記交叉位置算出部によって算出された前記交叉点の位置を表示する表示部を有する。
【0014】
上記の干渉波型刺激装置は、さらに、前記超音波送波部から送波された超音波の反射波を受波する反射波受波部と、前記反射波受波部による前記反射波の受波結果によって、生体内の前記目的部位の位置を算出する目的位置算出部を有する。
【0015】
上記の反射波受波部として、前記超音波送波部が兼用される。
【0016】
上記の目的位置算出部は、反射波の強度の極大値を検出することにより、前記生体内の筋膜の位置を前記目的部位の位置として算出する。
【0017】
上記の干渉波型刺激装置は、さらに、前記皮膚表面から前記交叉点までの第1距離と前記皮膚表面から前記目的部位までの第2距離との差分が、所定範囲内に含まれるように、前記一対の第1表面電極間の間隔および/または前記一対の第2表面電極間の間隔を設定する設定機構を有する。
【0018】
上記の設定機構は、それぞれ電極間の間隔が異なる複数対の表面電極の中から、前記一対の第1表面電極および/または前記一対の第2表面電極として、少なくとも一対の表面電極を選択する。
【0019】
上記の設定機構は、前記一対の第1表面電極の近接離間移動および/または前記一対の第2表面電極の近接離間移動を実行する。
【0020】
上記の中高周波電流は、1kHz乃至10MHzの正弦波電流である。
【0021】
上記の各第1表面電極と各超音波送波部とは同一筐体内に設けられて一体化されており、各第2表面電極と各超音波受波部とは同一筐体内に設けられて一体化されている。
【0022】
本発明の干渉波型刺激装置の制御方法は、生体の皮膚上に配置される少なくとも一対の第1表面電極と、前記生体内の目的部位を基準に前記第1表面電極の反対側の皮膚上に配置される第2表面電極との間で、互いに交叉させた二つの中高周波電流の通電を行い、前記二つの中高周波電流の交叉点にて二つの中高周波の差に相当する周波数を有する干渉波を発生させる干渉波型刺激装置の制御方法であって、前記第1表面電極から所定距離離れた地点から順次に超音波を送波して、前記第2表面電極から所定距離離れた地点で超音波を受波する段階と、前記超音波の送受波結果によって、前記交叉点の位置を算出する段階と、を有することを特徴とする。
【0023】
本発明の干渉波型刺激装置の制御方法は、生体の皮膚上に配置される少なくとも一対の第1表面電極と、前記生体内の目的部位を基準に前記第1表面電極の反対側の皮膚上に配置される第2表面電極との間で、互いに交叉させた二つの中高周波電流の通電を行い、前記二つの中高周波電流の交叉点にて二つの中高周波の差に相当する周波数を有する干渉波を発生させる干渉波型刺激装置の制御方法であって、距離計測手段により皮膚表面から目的部位までの距離を算出する段階と、各第1表面電極と第2表面電極における前記交叉点の位置を算出する段階と、該皮膚表面から目的部位までの距離と該交叉点の位置を比較して、該一対の第1表面電極を選択するか、又は該一対の第1表面電極を移動させる段階と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0024】
本発明の干渉波型刺激装置およびその制御方法によれば、中高周波電流の交叉点、すなわち、干渉波の発生位置を把握可能な干渉波型刺激装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、図面を参照しつつ、本発明の刺激装置の内容について説明する。
【0026】
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の第1の実施の形態の刺激装置を模式的に示す図である。
【0027】
刺激装置1は、互いに交叉させた二つの中高周波電流の通電を行い、交叉点にて二つの中高周波の差に相当する干渉波を発生させて、この干渉波によって生体を電気的に刺激する干渉波型刺激装置である。本実施の形態の刺激装置1は、通電する表面電極近傍に対応する超音波素子(超音波送波部または受波部)を設けることにより、上記の交叉点の位置を算出するものである。刺激装置1は、装置本体10と、電極部20とを備える。
【0028】
装置本体10は、各種の表示を行う表示部110と、処理時間および電流の出力値などの各種パラメータを設定するための操作部120とを有する。さらに、装置本体10は、各種の処理を実行する回路部13と有する。回路部13は、電流供給部、交叉位置算出部、目的位置算出部、比較部、選択部、およびその他の構成を備える。これらの各部の詳細は後述する。
【0029】
1.電極部
まず、電極部20について説明する。電極部20は、装置本体10に電気的に接続されている。電極部20は、生体の皮膚上に配置される第1電極部210と、第2電極部220とを含む。ここで、第1電極部210と第2電極部220とは、生体内の目的部位を挟み込むように配置されるものである。言い換えれば、第1電極部210は、生体の皮膚上(第1表面側)に配置され、第2電極部220は、生体内の目的部位を基準に第1電極部10の反対側の皮膚上(第2表面側)に配置される。たとえば、第1電極部210および第2電極部210は、それぞれ、ベルト状をした可撓性を有する基材に各表面電極が装着されて構成される。
【0030】
第1電極部210は、生体の皮膚の第1表面側に配置される複数の表面電極(第1表面電極と称する)211a,211b,212a,212b,213a,213bを備える。なお、2つの第1表面電極が一組となって、表面電極対(第1表面電極対)を形成する。具体的には、表面電極211a,211bは、表面電極対211をなし、表面電極212a,212bは、表面電極対212をなし、表面電極対213a,213bは、表面電極対213をなす。各表面電極対211,212,213は、それぞれ相互に電極間の間隔(距離)が異なる。図1に示される例では、表面電極対211(表面電極211a,211b間)の間隔が最も小さく、表面電極対212(表面電極212a,212b間)の間隔が次に小さく、表面電極対213(表面電極213a,213b間)の間隔が最も大きい。
【0031】
一方、第2電極部220は、生体の皮膚の第2表面側に配置される複数の表面電極(第2表面電極)221a,221bを備える。これら表面電極221a,221bは、表面電極対(第2表面電極対)221をなす。
【0032】
次に、第1表面電極211a〜213a、211b〜213bの構成、および第2表面電極221a,221bの構成について説明する。
【0033】
図2は、第1表面電極および第2表面電極の概略構成を示す断面図である。図2(a)が、第1表面電極の概略構成を示し、図2(b)が第2表面電極の概略構成を示す。まず、第1表面電極211aを例にとって、第1表面電極の構成を説明する。
【0034】
第1表面電極211aは、たとえば、皮膚に接触する導電性の粘着性ゲル層を持つ電極である。第1表面電極211aの面積は、好ましくは、0.5cm乃至30cmであり、より好ましくは、1cm乃至5cmである。第1表面電極211aの電気抵抗値は、好ましくは0.1kΩ乃至10kΩであり、より好ましくは1kΩ乃至3kΩである。
【0035】
また、第1表面電極211aの近傍には、第1超音波素子231aが設けられている。第1超音波素子231aは、たとえば、圧電素子である。第1超音波素子231aは、超音波を送波する超音波送波部と、超音波送波部から送波された超音波の反射波を受波する反射波受波部とを兼ねている。なお、本実施の形態と異なり、超音波送波部と反射波受波部とを別々の圧電素子により構成することもできる。なお、超音波送波部は、超音波をパルスとして送り出すことが望ましい。
【0036】
第1表面電極211aと、第1超音波素子231aとは、超音波の送波および受波に支障がない範囲で近接して配置される。好ましくは、第1表面電極211aと第1超音波素子231a(超音波送波部および反射波受波部)とは、同一筐体内に設けられて一体化される。この場合、第1表面電極211aが皮膚側に配置されるように第1表面電極211aと第1超音波素子231aとを重ね合わせた二重構造としてもよい。また、第1表面電極211aと第1超音波素子231aが共に皮膚に接触するように構成してもよい。この場合、第1表面電極211aの周縁を取り囲むように第1超音波素子231aを円筒状(ドーナツ状)に形成することもできる。
【0037】
他の第1表面電極211b,212a,212b,213a,および213bについても、第1表面電極211aと同様の構成を有し、各表面電極別に対応する第1超音波素子231b,232a,232b,233a,および233bが備えられる。
【0038】
次に、第2表面電極221aを例にとって、第2表面電極の構成を説明する。なお、第2表面電極221aは、図2(b)に示されるとおり、第1表面電極211aの構成と略同様である。第2表面電極221aの近傍には、第2超音波素子241aが設けられている。第2超音波素子241aは、たとえば、圧電素子である。しかしながら、第2超音波素子241aは、上述した第1超音波素子231aと異なり、超音波を送波する超音波送波部として兼用する必要がない。第2超音波素子241aは、第1超音波素子(超音波送波部)231から送波された超音波を受波する超音波受波部として用いられる。なお、図示していない第2表面電極221bの近傍にも、第2超音波素子241bが設けられている。
【0039】
なお、本発明において「近傍」という用語には、超音波送波部と第1表面電極や超音波受波部と第2表面電極が同じ位置にあることも含まれ、距離として近接することも含まれる。
【0040】
次に、第1表面電極と第2表面電極との配置関係について説明する。図3は、第1表面電極と第2表面電極との配置関係について示す図である。図3は、生体40の断面方向から見た配置関係を示す。
【0041】
図3に示されるとおり、生体40の第1表面側に配置される第1電極部210と、生体の第2表面側に配置される第2電極部220とは、互いに平行に配置される。すなわち、第1電極部210と第2電極部220とは同一平面内に配置される。特に、皮膚表面から交叉点までの最短距離を求める見地からは、生体の軸線に垂直な平面内に第1電極部210と第2電極部220が配置されることが望ましい。
【0042】
第1電極部210に含まれる第1表面電極は、皮膚表面上において一側(図中の左側)に配置される第1周波電流用の第1表面電極211a,212a,213aと、他側(図中の右側)に配置される第2周波電流用の第1表面電極211b,212b,213bとに大別される。ここで、第1周波電流用の第1表面電極211a,212a,213aは、第1周波数を持つ中高周波電流(「第1周波電流」と称する)を供給するための第1表面電極である。一方、第2周波電流用の第1表面電極211b,212b,213bは、第2周波数を持つ中高周波電流(「第2周波電流」と称する)を供給するための第1表面電極である。
【0043】
一方、第2電流部220に含まれる第2表面電極は、皮膚表面において一側(図中の左側)に配置される第2周波電流用の第2表面電流221bと、皮膚表面において他側(図中の右側)に配置される第1周波電流用の第1表面電極221aとに、大別される。
【0044】
なお、複数対の第1表面電極対211,212,213の中から電流供給用の第1表面電極対が選ばれる。図3では、第1表面電極対212(212a,212b)が、電流供給用の第1表面電極対として選ばれた場合を示している。すなわち、図3に示される場合では、第1表面電極212aが第1周波電流用の第1表面電極となり、第1表面電極212bが第2周波電流用の第1表面電極となる。
【0045】
したがって、図3に点線で示されるとおり、第1周波電流用の第1表面電極212aと第1周波電流用の第2表面電極221aとの間に第1周波電流が通電される。一方、第2周波電流用の第1表面電極212bと第2周波電流用の第2表面電極221bとの間に第2周波電流が通電される。このように、第1表面電極と第2表面電極との間で、互いに交叉させた二つに中高周波電流である第1周波電流と第2周波電流の通電が行われることによって、交叉点Xにて第1周波電流と第2周波電流との周波数差に相当する干渉波が発生する。
【0046】
2.装置本体
次に、以上のような電極部20と接続される装置本体10の構成を説明する。図4は、本実施の形態の刺激装置1の概略構成の一例を示すブロック図である。以下、図4を参照しつつ、装置本体10の構成を説明する。
【0047】
装置本体10は、上述したとおり、表示部110と、操作部120と、回路部と、を含んでいる。たとえば、回路部として、電流供給部130、選択回路141、142、記憶部150、交叉位置算出部161、目的位置算出部162、比較部163、選択部164、および制御部165を有する。特に、目的位置算出部162、交叉位置算出部161、比較部163、選択部164、および制御部165は、主として、CPU(中央処理装置)などのプロセッサからなるマイクロコンピュータ素子などで構成することができる。以下、各部を順番に説明する。
【0048】
(電流供給部)
電流供給部130は、電極部20へ二つの中高周波電流を供給するものである。電流供給部130は、第1周波電流を供給する第1周波電流供給部131と、第2周波電流を供給する第2周波電流供給部132とを含む。ここで、第1周波電流の第1周波数は、好ましくは1kHz〜10MHzであり、さらに好ましくは、4kHz乃至1MHzである。同様に、第2周波数電流の第2周波数も、好ましくは1kHz〜10MHzであり、さらに好ましくは、4kHz〜1MHzである。しかしながら、第1周波数と第2周波数との間に、1Hz〜200Hzの周波数の差が生じるように、第1周波数と第2周波数とが設定されている。この場合、交叉点にて二つの中高周波(第1周波電流と第2周波電流)の差に相当する干渉波が発生するので、干渉波の周波数が1Hz〜200Hzとなる。
【0049】
(選択回路)
次に、選択回路141,142を説明する。選択回路は、電極用の選択回路141と、超音波素子用の選択回路142とを有する。
【0050】
電極用の選択回路141は、たとえば、上記の電流供給部130と、第1電極部210との間に設けられるスイッチ回路である。選択回路141は、第1周波電流供給部131と、第1周波電流用の第1表面電極211a,212a,213aとの電気的な接続関係を切り替える。具体的には、選択回路141は、第1周波電流用の第1表面電極211a,212a,213aのなかから選択された表面電極と第1周波電流供給部131とを電気的に接続し、選択されなかった他の表面電極と第1周波供給部131とを絶縁する。同様に、選択回路141は、第2周波電流用の第1表面電極211b,212b,213bのなかから選択された表面電極と第2周波電流供給部132とを電気的に接続し、選択されなかった他の表面電極と第2周波電流供給部132とを絶縁する。
【0051】
一方、超音波素子用の選択回路142は、複数の第1超音波素子231a〜233bと目的位置算出部162との間、および複数の第1超音波素子231a〜233bと交叉位置算出部161との間に設けられるスイッチ回路である。選択回路142は、目的位置算出部162と第1超音波素子231a〜233bとの間、および交叉位置算出部161と第1超音波素子231a〜233bとの間での電気的な接続関係を切り替える。具体的には、選択回路142は、第1超音波素子231a〜233bにおいて、選択された第1超音波素子を目的位置算出部162および交叉位置算出部161に電気的に接続し、選択されなかった他の第1超音波素子を目的位置算出部162および交叉位置算出部161から電気的に絶縁するものである。
【0052】
(交叉位置算出部)
次に、交叉位置算出部161について説明する。交叉位置算出部161は、二つの中高周波電流の交叉点の位置を算出するものである。より具体的には、交叉位置算出部161は、第1超音波素子における超音波送波部と、第2超音波素子における超音波受波部との間での超音波の送受波結果によって、上記交叉点Xの位置を算出するものである。
【0053】
なお、上記の第1電極部210に含まれる複数の表面電極のなかから選択される第1表面電極対の電極間の間隔に応じて、上記の交叉点Xの位置が変化しうる。したがって、交叉部は、選択された第1表面電極対に応じて、適宜に交叉点Xの位置を算出する。好ましくは、交叉位置算出部161は、皮膚表面から交叉点までの距離(第1距離)L1を算出する。
【0054】
(目的位置算出部)
次に、目的位置算出部162について説明する。目的位置算出部162は、筋膜などの目的部位の位置を算出するものである。より具体的には、目的位置算出部162は、少なくとも一つの第1超音波素子における反射波受波結果によって、生体内の目的部位の位置を算出する。好ましくは、目的位置算出部162は、皮膚表面から目的部位までの距離(第2距離)L2を算出する。ここで、第1超音波素子231a〜233a,211b〜233bが兼ねている超音波送波部および反射波受波部の機能と関連して目的位置算出部162を説明すれば、以下のとおりである。まず、超音波送波部から送波された超音波の反射波を反射波受波部が受波すると、目的位置算出部162は、その反射波の受波結果によって、生体内の目的部位の位置、すなわち目的位置を算出する。具体的には、反射波の強度の極大値(ピーク値)を検出し、時間軸上における前記極大値の位置(時間)から、目的位置を算出する。
【0055】
(比較部)
次に、比較部163について説明する。比較部163は、算出された交叉点の位置と目的部位の位置とを比較するものである。より具体的には、皮膚表面から交叉点までの距離L1と、皮膚表面から目的部位までの距離L2とを比較する。この結果、交叉点の位置と目的部位の位置との差が所定範囲内となるか否かが判断される。より具体的には、皮膚表面から交叉点までの距離L1と、皮膚表面から目的部位までの距離L2との差分が所定範囲内となるか否かが判断される。
【0056】
(選択部)
次に、選択部164について説明する。選択部164は、上述した選択回路141,142を制御するものである。特に、選択部164は、比較部163の処理結果に基づいて選択回路141,142を制御することによって、電極間の間隔が異なる複数対の第1表面電極対211〜213の中から、交叉点の位置と目的部位の位置との差が所定範囲内になるような第1表面電極対212を選択するものである。したがって、上記に比較部163および選択部164は、適宜に第1表面電極対を選択することによって、交叉点Xの位置と目的部位の位置との差が所定範囲内になるように第1表面電極間の間隔を設定する設定機構としての役割を有する。
【0057】
(制御部、記憶部、表示部、および操作部)
制御部165は、上記の各部の全体の制御を行うものである。記憶部150は、RAMやROMなどのメモリ素子であり、各種パラメータを記憶し、交叉点の位置および目的部位の位置の算出結果を記憶する。また、記憶部150は、交叉点位置算出部161が交叉点の位置を算出し、目的部位の位置を算出したりする際のワーキングエリアを提供する。
【0058】
表示部110は、種々情報を表示するディスプレイ装置であり、たとえば、交叉位置算出部によって算出された交叉点の位置(たとえば、距離L1)、および目的位置算出部によって算出された目的部位の位置(たとえば、距離L2)を表示する。なお、目的部位が筋膜である場合には、表示部110は、生体の皮膚表面から筋膜までの距離、すなわち、皮下脂肪層の厚さを表示することができる。さらに、表示部110は、現在使用している第1周波電流および第2周波電流の各周波数、および干渉波の周波数を表示してもよい。
【0059】
操作部120は、タッチパネル、ボタン、ツマミなどであってもよく、マウスなどのポインティングデバイスであってもよい。上述したとおり、操作部120は、処理時間および電流の出力値などの各種パラメータを設定するために用いられる。
【0060】
以上のように構成される本実施の形態の刺激装置は、以下のように処理を行う。
【0061】
図5および図6は、本実施の形態の刺激装置1の処理内容を示すフローチャートであり、言い換えれば、刺激装置1の制御方法を示す。図5および図6に示されるアルゴリズムは、記憶部150内などにプログラムとして記憶されており、主としてプロセッサによって実行される。図7は、交叉点の位置の算出、および目的部位の位置の算出処理の内容について説明するための模式図である。以下、図7を参照しつつ、図5および図6のフローチャートに示される処理について説明する。
【0062】
まず、初期設定がなされる(ステップS101)。具体的には、利用者が操作部120を操作することによって、刺激電流の出力値(具体的には、第1周波電流および第2周波電流の出力値)、刺激を開始してから完了するまでの処理時間、およびその他のパラメータが設定される。
【0063】
続いて、処理開始の指示を待って(ステップS102:YES)、以下のステップS103〜ステップS115に示される交叉点算出処理および目的位置算出処理等が実行される。
【0064】
まず、第1電極部210における複数対の表面電極(複数の第1表面電極対211〜213)の中から一対の表面電極が選択される。一対の表面電極は、電極間隔が短い順に選択してもよく、電極間隔が長い順に選択してもよい。本実施の形態では、最も電極間隔の短い第1表面電極211a,211bが最初に選択される場合を例にとって説明する。
【0065】
この場合、図7に示されるとおり、第1周波電流用の第1表面電極211a、第2周波電流用の第1表面電極211b、第2周波電流用の第2表面電極221b、および第1周波電流用の第2表面電極221aが、それぞれ位置A、位置B、位置C、および位置Dにあるものとする。すなわち、位置Aと位置Dとが生体40を位置挟んで対角線上に置かれ、同様に、位置Bと位置Cとが生体40を挟んで対角線上に置かれる。
【0066】
また、各表面電極211a,211b,221b,および221aには、それぞれ超音波素子が一体化されて配置されているので、位置A,位置B,位置C,および位置Dの近傍には、それぞれ第1超音波素子231a(超音波送波部および反射波受波部)、第1超音波素子231b(超音波送波部および反射波受波部)、第2超音波素子241b(超音波受波部)、および第2超音波素子241a(超音波受波部)が配置されることとなる。なお、各表面電極211a,211b,221b,および221aと、各超音波素子231a、231b,241b,および241aとは、互いに一体的に近接されているので、説明の簡単化のために、以下では、各超音波素子231a,231b,241b,および241aも、それぞれ位置A,位置B,位置C,および位置Dに配置されているものとみなして、説明する。
【0067】
図7に示される状態で、選択された一対の表面電極211a,211b(位置Aにある第1表面電極、および位置Bにある第1表面電極)のうちから、一方の表面電極が選択される(ステップS104)。たとえば、位置Aにある表面電極211aが選択される。
【0068】
続いて、選択された位置Aにある第1超音波素子231a(超音波送波部)から超音波を送波するように指示がなされる(ステップS105)。この結果、位置Aに配置された第1超音波素子231aは、超音波のパルスを送波する。
【0069】
次に、ステップS105において送波された超音波の反射波の強度の極大値を示す時間が検出され、記憶される(ステップS106)。言い換えれば、ステップS105において位置Aから超音波が送波された時点から、位置Aにおいて該超音波の反射波強度の極大値が示されるまでの時間Traが検出される。
【0070】
具体的には、第1超音波素子231aが超音波を送波した後、第1超音波素子231aを反射受波部として機能させる。そして、この位置Aに配置されている反射波受波部によって、各時刻の反射波強度が測定されて、反射波強度の極大値を示す時刻が特定される。反射波強度の極大値の検出は、一般的なピーク検出回路を用いてもよく、簡易的な方法として、予め閾値を設定しておき、この閾値を超えた場合を極大値として検出してもよい。
【0071】
このような反射波の極大値は、異なる内部組織間における境界面で生じる。一般に、音波を対象物に向けて送波すると、音響インピーダンスが異なる媒質の境界面において、送波された音波の一部が反射される。生体内においても、異なる内部組織間で音響インピーダンスが異なるので、内部組織間の境界で超音波の一部が反射される。したがって、図7に示されるとおり、皮膚表面から生体40に向けて、超音波を送波すると、超音波は、まず皮下脂肪層41を進み、ついで皮下脂肪層41と筋肉層42の境界面にあたる筋膜43において一部が反射されて、超音波の反射波の強度の極大値を示す。したがって、超音波が送波された時点から、該超音波の反射波強度の最初の極大値が示されるまでの時間Traを測定することによって、超音波が筋膜で反射されて返ってくるまでの時間、すなわち、皮下脂肪層41を超音波が一往復する時間を測定することができる。
【0072】
次いで、超音波が、ステップS105において位置Aから送波されてから、位置Cにある第2超音波素子241b(超音波受波部)で受波されるまでの時間Tacと、位置Dにある第2超音波素子241a(超音波受波部)で受波されるまでの時間Tadとが検出され、記憶される(ステプS107)。ここで、時間Tacは、位置Aから位置Cまで超音波が伝達されるのに要する時間に対応し、時間Tadは、位置Aから位置Dまで超音波が伝達されるのに要する時間に対応する。言い換えれば、時間Tacは、第1表面電極211aと第2表面電極221bとの間で超音波が伝達されるのに要する時間に対応し、時間Tadは、第1表面電極211aと第2表面電極221aとの間で超音波が伝達されるのに要する時間に対応する。
【0073】
続いて、ステップS103で選択された一対の表面電極211a,211b(位置Aにある第1表面電極、および位置Bにある第1表面電極)のうちから、他方の表面電極が選択される(ステップS108)。具体的には、位置Bにある表面電極211bが選択される。
【0074】
次いで、選択された位置Bにある第1超音波素子231b(超音波送波部)から超音波を送波するように指示がなされる(ステップS109)。この結果、位置Bに配置された第1超音波素子231bは、超音波のパルスを送波する。
【0075】
そして、ステップS109において送波された超音波の反射波の強度の極大値を示す時間が検出され、記憶される(ステップS110)。言い換えれば、ステップS109において位置Bから超音波が送波された時点から、位置Bにおいて該超音波の反射波強度の極大値が示されるまでの時間Trbが検出される。
【0076】
さらに、超音波が、ステップS109において位置Bから送波されてから、位置Cにある第2超音波素子241b(超音波受波部)で受波されるまでの時間Tbcと、位置Dにある第2超音波素子241a(超音波受波部)で受波されるまでの時間Tbdとが検出され、記憶される(ステップS111)。ここで、時間Tbcは、位置Bから位置Cまで超音波が伝達されるのに要する時間に対応し、時間Tbdは、位置Bから位置Dまで超音波が伝達されるのに要する時間に対応する。言い換えれば、時間Tbcは、第1表面電極211bと第2表面電極221bとの間で超音波が伝達されるのに要する時間に対応し、時間Tbdは、第1表面電極211bと第2表面電極221aとの間で超音波が伝達されるのに要する時間に対応する。
【0077】
なお、ステップS110およびステップS111は、上記のステップS106およびスステップS107と同様の処理である。
【0078】
次に、得られた時間Tac、時間Tad、時間Tbc、および時間Tbdに基づいて、対向する各電極間の距離、言い換えれば、第1表面側の各表面電極と第2表面側の各表面電極との間の各距離が算出される(ステップS112)。すなわち、図7における距離AC,距離AD,距離BC,距離BDの各距離が算出される。
【0079】
具体的には、時間Tac、時間Tad、時間Tbc、および時間Tbdに対して、それぞれ生体内の軟部組織における音速(超音波の伝播速度)を乗ずることによって、距離AC,距離AD,距離BC,距離BDの各距離が算出される。すなわち、第1周波電流用の第1表面電極211aと第2周波電流用の第2表面電極221bとの間の距離、第1周波電流用の第1表面電極211aと第1周波電流用の第2表面電極221aとの間の距離、第2周波電流用の第1表面電極211bと第2周波電流用の第2表面電極221bとの間の距離、および、第2周波電流用の第1表面電極211bと第1周波電流用の第2表面電極221aとの間の距離が算出される。ここで、簡易的には、生体内の軟部組織における音速として、たとえば、JIS規格で定められている1350m/秒を使用してもよい。
【0080】
次に、予め明らかにされている第1表面電極対211間の間隔(すなわち、第1周波電流用の第1表面電極211aと第2周波電流用の第1表面電流211bとの間の間隔)である距離ABと、第2表面電極221間の間隔(すなわち、第2周波電流用の第2表面電極221bと第1周波電流用の第2表面電流211aとの間の間隔)である距離CDと、上記の算出された距離AC,距離AD,距離BC,および距離BDに基づいて、交叉点の位置Xが算出される。具体的には、皮膚表面から交叉点Xまでの距離L1が算出される(ステップS113)。
【0081】
図7に示されるとおり、同一平面上の位置A,B,C,およびDにおいて、距離AB、距離CD、距離AC,距離AD,距離BC,および距離BDが確定することによって、線分AB(生体の皮膚表面に対応する)からの交叉点までの距離L1が算出される。なお、距離L1は、幾何学計算によって算出することができるので、詳しい説明を省略する。
【0082】
次に、ステップS106およびステップS110で算出された時間Traおよび時間Trbに基づいて、目的部位の位置が算出される。本実施の形態では、皮膚表面から目的部位までの距離L2が算出される(ステップSS114)。
【0083】
具体的には、時間Traおよび時間Trbは、皮膚表面に配置された超音波送波部から送波された超音波が筋膜で反射されて返ってくるまでの時間、すなわち、皮膚表面と筋膜とを超音波が往復する時間に相当する。したがって、時間Traに生体内の軟部組織における音速を乗じることによって、皮膚表面と筋膜との間の往復距離が求められ、さらに2で除算することによって、皮膚表面から筋膜までの距離L2が求められる。同様に、時間Trbからも、皮膚表面から筋膜までの距離L2が求められる。したがって、たとえば、距離L2とL2との平均をとることによって、皮膚表面から筋膜までの距離L2を最終的に算出するように構成してもよい。
【0084】
次に、ステップS113で算出された距離L1と、ステップS114で算出された距離L2とが比較される。そして、距離L1と距離L2との差分が所定値以下に収まるか否かが判断される(ステップS115)。言い換えれば、交叉点の位置と目的部位の位置とがともに所定範囲内に含まれるか否かが判断される。この結果、距離L1と距離L2との差分が所定値以下に収まっていれば(ステップS115:YES)、ステップS103で選択された一対の表面電極211a,211bが、最終的に中高周波電流が通電される第1表面電極として決定される(ステップS116)。
【0085】
一方、距離L1と距離L2との差分が所定値以下に収まっていなければ(ステップS115:NO)、さらに、第1電極部における総ての電極対211、212、213の選択が終了したか否かが判断される(ステップS117)。そして、まだ選択していない第1電極部における電極対211、212、213が存在すれば(ステップS117:NO)、ステップS103の処理に戻り、それぞれ電極間の間隔が異なる複数対の表面電極211、212、213の中から、別の表面電極が選択される。
【0086】
図7に示される幾何学的配置から明らかなように、第1表面電極対の電極間距離、すなわち距離ABが長くなるほど、交叉点の位置Xは、皮膚表面から生体内部方向に変化し、上記L1が長くなる。したがって、皮膚表面から交叉点の位置までの距離L1と、皮膚表面から目的部位までの距離L2との差分が所定範囲内になるような電極間の距離を持つ第1表面電極対が選択されるまで、ステップS103以下の処理が繰り返し実行される。
【0087】
一方、第1電極部における総ての電極対211、212、213の選択が終了していれば(ステップS117:YES)、配置のずれ等の何らかの要因によって、目的部位において干渉波を発生させる配置が困難であるので、配置が困難である旨、および/または第1電極部の取替えや配置の変更が必要である旨を表示部110に表示させて(ステップS118)、ステップS102の処理、すなわち、処理開始の指示があるまで待機する処理に戻る。
【0088】
最終的に中高周波電流が通電される第1表面電極が決定されると、交叉位置までの距離L1と、目的部位までの距離L2とを表示部110に表示させつつ(図6のステップS119)、最終的に決定された第1表面電極と第2表面電極対との間に中高周波電流が通電されるように、電極用の選択回路141に指示がなされ(ステップS120)、中高周波電流が供給される。
【0089】
中高周波電流の供給時には、刺激電流の出力値および処理時間の残り時間など種々のパラメータが表示される(ステップS121)。また、処理の途中において、利用者から刺激電流の出力値の調整指示があれば(ステップS122:YES)、所望の出力値となるように中高周波電流の供給状態を制御する(ステップS123)。
【0090】
次いで、処理時間が経過するのを待って(ステップS124:YES)、中高周波電流の供給の停止を指示し(ステップS125)、処理を完了する。
【0091】
以上のように、本実施の形態の干渉波型刺激装置について説明したが、ステップS104、ステップS105、ステップS107、ステップS108、ステップS109、ステップS111、ステップS112、およびステップS113の処理は、超音波送波部と超音波受波部との間での超音波の送受波結果によって、交叉点の位置を算出する交叉位置算出部の処理に対応する。
【0092】
ステップS106、ステップS110、およびステップS114の処理は、反射波受波部による反射波受波結果によって、生体内の前記目的部位の位置を算出する目的位置算出部の処理に対応し、特に、反射波の強度の極大値を検出することにより、筋膜の位置を目的部位の位置として算出処理に対応する。
【0093】
ステップS103、ステップS115、ステップS116、およびステップS117の処理は、皮膚表面から交叉点までの距離L1と皮膚表面から目的部位までの距離L2との差分が、所定範囲内となるように、一対の第1表面電極間の間隔(距離AB)を設定する設定機構(比較部および選択部)の処理に対応し、特に、それぞれ電極間の間隔が異なる複数対の表面電極の中から、第1周波電流および第2周波電流を供給すべき、一対の第1表面電極を選択する処理に対応する。
【0094】
なお、上述した例では、距離L1と距離L2との差分が所定範囲内となるように、第1表面電極対の電極間距離(距離AB)を設定する場合を説明したが、図7に示される幾何学的な配置関係から明らかなように、本実施の形態の刺激装置1は、この場合に限られず、第2表面電極対の電極間距離(距離CD)を設定してもよく、第1表面電極対の電極間距離(距離AB)と第2表面電極対の電極間距離(距離CD)の双方を設定してもよい。
【0095】
なお、第2表面電極対の電極間距離、すなわち距離CDを設定する場合には、第2表面電極対の電極間距離、すなわち距離CDが短くなるほど、交叉点の位置Xは、皮膚表面から生体内部方向に変化し、上記L1が長くなる。
【0096】
また、上述した例では、どの電極対211、212、213を選択した場合であって(ステップS117:YES)、距離L1と距離L2との差分が所定値以下に収まらない場合には(ステップS115:NO)、電極部の取替えや配置の変更が必要である旨を表示部110に表示させたが(ステップS118)、本実施の形態の刺激装置1は、この場合に限られず、距離L1と距離L2との差分が最も小さくなる場合の電極対を最終的に中高周波電流が通電される第1表面電極として決定して、通電してもよい。
【0097】
以上のように、本実施の形態の刺激装置1について説明したが、本実施の形態の刺激装置1によれば、以下のような効果が得られる。
【0098】
本実施の形態の刺激装置1によれば、各第1表面電極の近傍に設けられて、超音波を送波する第1超音波素子(超音波送波部)と、各第2表面電極の近傍に設けられて、前記超音波送波部から送波された超音波を受波する第2超音波素子(超音波受波部)とを有し、第1超音波素子と第2超音波素子との間での超音波の送受波結果によって、中高周波電流の交叉点の位置Xを算出する交叉位置算出部161を有するので、中高周波電流の交叉点、すなわち、干渉波の発生位置を把握することができる。特に、交叉位置算出部161によって算出された交叉点の位置を表示する表示部110を有するので、利用者は、常に交叉点の位置を確認することができる。
【0099】
さらに、本実施の形態の刺激装置1によれば、送波された超音波の反射波を受波する反射波受波部と、この反射波受波部による反射波の受波結果によって、生体内の目的部位の位置を算出する目的位置算出部162を有するので、上記交叉点の位置のみならず、目的部位の位置についても把握することができる。特に、一つの送波された超音波に基づいて、中高周波電流の交叉点の位置Xと、目的部位の位置とを同時に算出することができるので、それぞれ別個に超音波を送波する場合と比べて、処理時間を短縮することができる。
【0100】
各第1超音波素子が、超音波を送波する超音波送波部と、超音波送波部から送波された超音波の反射波を受波する反射波受波部とを兼ねるように構成され、超音波送波部と超音波受波部とを兼用することができる。したがって、部品点数を削減することができるとともに、超音波送波部と超音波受波部を別個に構成する場合と比べて、省スペース化が実現することができる。特に、省スペース化に伴って、超音波送波部と超音波受波部を第1表面電極の近傍に配置することが容易になり、中高周波電流の交叉点の位置と、目的部位の位置との測定精度が向上する。
【0101】
皮膚表面から交叉点までの距離L1と、皮膚表面から目的部位までの距離L2との差分が、所定範囲内に含まれるように、第1表面電極間の間隔および/または第2表面電極間の間隔を設定する設定機構(比較部163および選択部164)を有する。したがって、目的部位の近傍になるように中高周波電流の交叉点の位置を調整することができるので、目的部位の近傍で干渉波を発生させて、目的部位を効果的に刺激することができる。
【0102】
特に、電極間の間隔が異なる複数対の表面電極(たとえば、電極対211、212、213)の中から、少なくとも一対の表面電極を選択することによって、交叉点の位置を調整することができるので、機械的な機構を用いる必要がない。
【0103】
また、通電される中高周波電流は、1kHz乃至10MHzの正弦波電流であるので、深部到達性を高めることができ、生体深部の部位を局所的に刺激することができる。
【0104】
第1表面電極と超音波送波部とは同一筐体内に設けられて一体化されており、第2表面電極と超音波受波部とは同一筐体内に設けられて一体化されているので、超音波送波部と超音波受波部とを略同一点に設けることができ、中高周波電流の交叉点の位置の測定精度が向上する。
【0105】
(第2の実施の形態)
第1の実施の形態では、電極間の間隔が異なる複数対の表面電極対の中から、交叉点の位置と目的部位の位置との差が所定範囲内になるような電極間の間隔を持った表面電極対を選択する場合を説明したが、第2の実施の形態では、一対の第1表面電極を近接離間移動することによって、交叉点の位置と目的部位の位置との差が所定範囲内になるように調整する場合を説明する。
【0106】
なお、一対の第1表面電極を近接離間移動可能に構成している点を除いて、本実施の形態の刺激装置は、第1の実施の形態の刺激装置と同様である。したがって、第1の実施の形態の場合と同様の構成については、繰り返しの説明を省略し、同じ符号を用いて説明する。
【0107】
図8は、本実施の形態の刺激装置1の概略構成を示すブロック図である。
【0108】
本実施の形態では、第1電極部210は、2つの第1表面電極211a,211bを備える。一対の第1表面電極211a,211bは、一組の表面電極対211をなしている。一対の第1表面電極211aと第1表面電極211bとは、近接離間可能に構成されている。一対の第1表面電極211aと第1表面電極211bとは、駆動部301によって、近接離移動される。駆動部301は、第1表面電極211aと第1表面電極211bを相対的に近接離隔移動させる機構であり、たとえば、制御用モータなどのアクチュエータおよびボール螺子(不図示)を用いて構成されている。なお、第1表面電極211aには、第1超音波素子231aが一体化されて配置されており、第1表面電極211bには、第1超音波素子231bが一体化されて配置されている。したがって、第1表面電極211aと第1表面電極211bを相対的に近接離隔移動されるのに伴って、第1超音波素子231aおよび第1超音波素子231bも移動することとなる。
【0109】
また、第1表面電極211a,211bの位置、より具体的には、第1表面電極211a,211b間の距離(電極間距離)を計測するためのエンコーダ(電極間距離測定手段)302が第1電極部210周辺に設けられている。一方、第2電極部220の構成は、第1の実施の形態の場合と同様である。
【0110】
一方、装置本体10には、第1の実施の形態の場合と同様に、表示部110、操作部120、電流供給部130、記憶部150、交叉位置算出部161、目的位置算出部162、比較部163、および制御部165を有する。第1表面電極211a、211b間の距離は、第1超音波素子231aと第1超音波素子231bのいずれか一方を超音波送波部と受波部として兼用する構成とすることによって計測することができる。
【0111】
本実施の形態では、複数対の第1表面電極から一つの電極対を選択する必要がないので、電極用の選択回路141は、不要である。また、目的位置算出部162と第1超音波素子231a,231bとの間、交叉位置算出部161と第1超音波素子231a,231bとの間での電気的な接続関係を切り替えるための超音波素子用の選択回路142も不要り、単に、第1超音波素子231a,231bを切り替えて超音波を送波できるように構成されていればよい。
【0112】
また、本実施の形態では、第1の実施の形態における選択部164に代えて、駆動制御部166が設けられている。この駆動制御部165は、上述した駆動部301に指令を与えて、第1表面電極211aと第1表面電極211bを近接離間移動させるように制御する。
【0113】
具体的には、駆動制御部165は、皮膚表面か交叉点までの距離L1と、皮膚表面から目的部位までの距離L2との比較結果を比較部163から受けて、皮膚表面か交叉点までの距離L1と皮膚表面から目的部位までの距離L2との差分が所定範囲内となるように駆動部301に指令を与える。このような比較部163、駆動制御部163、および駆動部301は、一対の第1表面電極間211a,211bの間隔(距離AB)を設定するための設定機構として機能する。
【0114】
以上のように構成される本実施の形態の刺激装置は、以下のように処理を行う。
【0115】
図9は、本実施の形態の刺激装置1の処理内容を示すフローチャートであり、言い換えれば、刺激装置1の制御方法を示す。図5および図6に示されるアルゴリズムは、記憶部150内などにプログラムとして記憶されており、主としてプロセッサによって実行される。
【0116】
なお、本実施の形態においても、図7に示される第1の実施の形態の場合と同様に、第1周波電流用の第1表面電極211a、第2周波電流用の第1表面電極211b、第2周波電流用の第2表面電極221b、および第1周波電流用の第2表面電極221aが、それぞれ位置A、位置B、位置C、および位置Dにあるものとする。すなわち、位置Aと位置Dとが生体40を位置挟んで対角線上に置かれ、同様に、位置Bと位置Cとが生体40を挟んで対角線上に置かれる。
【0117】
なお、各表面電極211a,211b,221b,および221aと、各超音波素子231a、231b,241b,および241aとは、互いに近接されているので、説明の簡単化のために、以下では、各超音波素子231a,231b,241b,および241aも、それぞれ位置A,位置B,位置C,および位置Dに配置されているものとみなして、説明する。
【0118】
ステップS201およびステップS202の処理は、第1の実施の形態における図5のステップS101およびステップS102の処理と同様である。したがって、繰り返しの説明を省略する。
【0119】
次いで、エンコーダ302からの情報に基づいて、一対の第1表面電極間の間隔(距離AB)が取得され、記憶される(ステップS203)。以下、ステップS204〜ステップ211までの処理は、第1の実施の形態におけるステップS104〜ステップS111までの処理と同様である。
【0120】
そして、第1表面電極対211間の間隔(すなわち、第1周波電流用の第1表面電極211aと第2周波電流用の第1表面電流211bとの間の間隔)である距離ABと、第2表面電極221間の間隔(すなわち、第2周波電流用の第2表面電極221bと第1周波電流用の第2表面電流211aとの間の間隔)である距離CDと、上記の算出された距離AC,距離AD,距離BC,および距離BDに基づいて、交叉点の位置Xが算出される。具体的には、皮膚表面から交叉点の位置Xまでの距離L1が算出される(ステップS213)。
【0121】
ここで、第1表面電極対211間の間隔である距離ABは、ステップS203においてエンコーダ302による測定に基づいて逐次に得られたものである。なお、距離CDは、第1の実施の形態の場合と同様に、予め明らかにされている。
【0122】
一方、ステップS206およびステップS210で算出された時間Traおよび時間Trbに基づいて、目的部位の位置が算出される。本実施の形態では、皮膚表面から目的部位までの距離L2が算出される(ステップS214)。この点は、第1の実施の形態の場合と同様である。
【0123】
次いで、ステップS213で算出された距離L1と、距離L2とが比較される(ステップS215)。そして、距離L1と距離L2との差分が所定値以下に収まっていなければ(ステップS215:NO)、一対の第1表面電極211a,211bを近接または離間移動させるように駆動部301に指示がなされる(ステップS216)。
【0124】
具体的には、第1の実施の形態において説明したように、第1表面電極対の電極間距離、すなわち距離ABが長くなるほど、交叉点の位置Xは、皮膚表面から生体内部方向に変化し、上記L1が長くなる。したがって、距離L1が距離L2よりも小さい場合(L1<L2)、距離L1を長くするために、第1表面電極211a,211bを離間させる方向へ移動させる。一方、距離L1が距離L2よりも大きい場合(L1>L2)、距離L1を短くするために、第1表面電極211a,211bを近接させる方向へ移動させる。
【0125】
距離L1と距離L2との差分が所定値以下に収まるまで(ステップS215:YES)、ステップS204〜ステップS216の処理が繰り返され、第1表面電極の間隔が設定される。
【0126】
なお、ステップS216以降の処理は、第1の実施の形態における図6に示されるステップS119〜S125と同様である。したがって、ステップS216以降の処理は、図示していない。ステップS216以降の処理において、適宜に中高周波電流が通電されて、干渉波が発生する。
【0127】
以上のように、本実施の形態の干渉波型刺激装置について説明したが、ステップS2115およびステップS216の処理は、皮膚表面から交叉点までの距離L1と皮膚表面から目的部位までの距離L2との差分が、所定範囲内となるように、一対の第1表面電極間の間隔(距離AB)を設定する設定機構(比較部、駆動制御部)の処理に対応し、特に、一対の第1表面電極の近接離間移動を実行する処理に対応する。
【0128】
なお、上述した例では、距離L1と距離L2との差分が所定範囲内となるように、第1表面電極を近接離間移動する場合について説明したが、第2表面電極を近接離間移動してもよく、第1および第2表面電極のそれぞれを近接離間移動してもよい。
【0129】
本実施の形態の刺激装置1によれば、機械的な機構を必要とはするものの、他の点については、第1の実施の形態の刺激装置と同様の効果を奏することができる。また、表面電極の移動距離(位置)を調節することによって、距離L1と距離L2とを一致させることが可能となる。さらに、超音波素子の数を削減することができる。
【0130】
以上のように、本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明は、これらの実施の形態に限られるものではなく、種々の変形が可能である。
【0131】
たとえば、上記の第1および第2の実施の形態では、第1電極部210と、第2電極部220とが同一平面上にある場合、言い換えれば、上述した第1周波電流用の第1表面電極211a等(位置A)、第2周波電流用の第1表面電極211b等(位置B)、第2周波電流用の第2表面電極221b(位置C)、および第1周波電流用の第2表面電極221a(位置D)が同一平面内にある場合について説明した。
【0132】
しかしながら、第1周波電流用の第1表面電極211a(位置A)、第2周波電流用の第1表面電極211b(位置B)、第2周波電流用の第2表面電極221b(位置C)、および第1周波電流用の第2表面電極221a(位置D)が同一平面内にない場合にも、位置が既知である超音波受波部(位置E)をもう一つ配置することによって、中高周波電流の交叉点の位置を算出することができる。
【0133】
すなわち、上述した方法と同様に超音波の送受波によって得られる距離AC,距離AD,距離AE,距離BC,距離BD,および距離BEと、既知の距離AB,距離CD,距離DE,距離ECとに基づいて、幾何学的に交叉点の位置を特定することができる。
【0134】
また、上記の説明では、目的部位として筋膜を例にとって説明したが、本発明は、この場合に限られない。原理上、他の生体組織を目的部位とする場合であっても、本発明を適用することができることは明らかである。
【0135】
また、上記の説明では、交叉点の位置を算出した後(ステップS113、ステップS213)、目的部位の位置を算出する場合が示されたが(ステップS114、ステップS214)、処理の順番は、この場合に限られない。すなわち、目的部位を算出した後に、交叉点の位置を算出してもよく、並列処理を用いて、交叉点の位置と目的部位の位置とを同時に算出してもよい。
【0136】
上記の説明では、超音波送波部と第1表面電極や、超音波受波部と第2表面電極が近傍にある場合を説明したが、本発明は、この場合に限られず、超音波送波部と第1表面電極や、超音波受波部と第2表面電極が近くに配置されていなくても中高周波の交叉点を把握可能であれば、適用することができる。そのような例としては、超音波送波部と第1表面電極や超音波受波部と第2表面電極が所定距離離れている場合、その距離を予め考慮して交叉点を計算する態様が挙げられる。すなわち、上記の説明は、これら「所定距離」が短い場合(あるいは「0」の場合も含む)を一例として示すものといえる。
【0137】
また、上記の第2の実施の形態では、一対の第1表面電極211aと第1表面電極211bとは、駆動部301によって近接移動されるが、一対の電極を表示部110を見ながら手で動かしてもよい。
【0138】
また、上記の第1および第2の実施の形態では、超音波を送波および受波して所定の距離を算出していたが、超音波は、距離計測手段の一態様であり、他に磁気共鳴影像法などにより画像化して距離を計測することができる。
【図面の簡単な説明】
【0139】
【図1】本発明の第1の実施の形態における刺激装置を模式的に示す図である。
【図2】図1に示される第1表面電極および第2表面電極の概略構成を示す断面図である。
【図3】図1に示される第1表面電極と第2表面電極との配置関係について示す図である。
【図4】図1に示される刺激措置の概略構成を示すブロック図である。
【図5】図1に示される刺激装置の処理内容を示すフローチャートである。
【図6】図5に後続するフローチャートである。
【図7】図1に示される刺激装置による交叉点の位置および目的部位の位置の算出処理の内容を説明する図である。
【図8】本発明の第2の実施の形態における刺激装置の概略構成を示すブロック図である。
【図9】図8に示される刺激装置の処理内容を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0140】
1 刺激装置、
10 装置本体、
13 回路部、
40 生体、
41 皮下脂肪層、
42 筋肉層、
43 筋膜、
110 表示部、
120 操作部、
130 電流供給部、
131 第1周波電流供給部、
132 第2周波電流供給部、
141 電極用の選択回路、
142 超音波素子用の選択回路、
150 記憶部、
161 交叉位置算出部、
162 目的位置算出部、
163 比較部、
164 選択部、
165 制御部、
166 駆動制御部、
20 電極部、
210 第1電極部、
211a〜213a 第1周波電流用の第1表面電極、
211b〜213b 第2周波電流用の第1表面電極、
211〜213 第1表面電極対、
220 第2電極部、
221a 第1周波電流用の第2表面電極、
221b 第2周波電流用の第2表面電極、
221 第2表面電極対、
231a〜233b 第1超音波素子(超音波送波部および反射波受波部)、
241a,241b 第2超音波素子(超音波受波部)、
301 駆動部、
302 エンコーダ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体の皮膚上に配置される少なくとも一対の第1表面電極と、
前記生体内の目的部位を基準に前記第1表面電極の反対側の皮膚上に配置され、前記第1表面電極との間で、互いに交叉させた二つの中高周波電流の通電を行い、前記二つの中高周波電流の交叉点にて二つの中高周波の差に相当する周波数を有する干渉波を発生させるための少なくとも一対の第2表面電極と、
前記第1表面電極から所定距離離れて設けられて、超音波を送波する超音波送波部と、
前記第2表面電極から所定距離離れて設けられて、前記超音波送波部から送波された超音波を受波する超音波受波部と、
前記超音波送波部と前記超音波受波部との間での超音波の送受波結果によって、前記交叉点の位置を算出する交叉位置算出部と、を有することを特徴とする干渉波型刺激装置。
【請求項2】
前記超音波送波部は、各第1表面電極の近傍に設けられており、
前記超音波受波部は、各第2表面電極の近傍に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の干渉波型刺激装置。
【請求項3】
さらに、前記交叉位置算出部によって算出された前記交叉点の位置を表示する表示部を有することを特徴とする請求項1に記載の干渉波型刺激装置。
【請求項4】
さらに、前記超音波送波部から送波された超音波の反射波を受波する反射波受波部と、
前記反射波受波部による前記反射波の受波結果によって、生体内の前記目的部位の位置を算出する目的位置算出部を有することを特徴とする請求項1に記載の干渉波型刺激装置。
【請求項5】
前記反射波受波部として、前記超音波送波部が兼用されることを特徴とする請求項4に記載の干渉波型刺激装置。
【請求項6】
前記目的位置算出部は、反射波の強度の極大値を検出することにより、前記生体内の筋膜の位置を前記目的部位の位置として算出することを特徴とする請求項4に記載の干渉波型刺激装置。
【請求項7】
さらに、前記皮膚表面から前記交叉点までの第1距離と前記皮膚表面から前記目的部位までの第2距離との差分が、所定範囲内に含まれるように、前記一対の第1表面電極間の間隔および/または前記一対の第2表面電極間の間隔を設定する設定機構を有することを特徴とする請求項1に記載の干渉波型刺激装置。
【請求項8】
前記設定機構は、それぞれ電極間の間隔が異なる複数対の表面電極の中から、前記一対の第1表面電極および/または前記一対の第2表面電極として、少なくとも一対の表面電極を選択することを特徴とする請求項7に記載の干渉波型刺激装置。
【請求項9】
前記設定機構は、前記一対の第1表面電極の近接離間移動および/または前記一対の第2表面電極の近接離間移動を実行することを特徴とする請求項7に記載の干渉波型刺激装置。
【請求項10】
前記中高周波電流は、1kHz乃至10MHzの正弦波電流であることを特徴とする請求項1に記載の干渉波型刺激装置。
【請求項11】
各第1表面電極と各超音波送波部とは同一筐体内に設けられて一体化されており、各第2表面電極と各超音波受波部とは同一筐体内に設けられて一体化されていることを特徴とする請求項2に記載の干渉波型刺激装置。
【請求項12】
生体の皮膚上に配置される少なくとも一対の第1表面電極と、前記生体内の目的部位を基準に前記第1表面電極の反対側の皮膚上に配置される第2表面電極との間で、互いに交叉させた二つの中高周波電流の通電を行い、前記二つの中高周波電流の交叉点にて二つの中高周波の差に相当する周波数を有する干渉波を発生させる干渉波型刺激装置の制御方法であって、
前記第1表面電極から所定距離離れた地点から順次に超音波を送波して、第2表面電極から所定距離離れた地点で超音波を受波する段階と、
前記超音波の送受波結果によって、前記交叉点の位置を算出する段階と、を有することを特徴とする干渉波型刺激装置の制御方法。
【請求項13】
生体の皮膚上に配置される少なくとも一対の第1表面電極と、前記生体内の目的部位を基準に前記第1表面電極の反対側の皮膚上に配置される第2表面電極との間で、互いに交叉させた二つの中高周波電流の通電を行い、前記二つの中高周波電流の交叉点にて二つの中高周波の差に相当する周波数を有する干渉波を発生させる干渉波型刺激装置の制御方法であって、
距離計測手段により皮膚表面から目的部位までの距離を算出する段階と、
各第1表面電極と第2表面電極における前記交叉点の位置を算出する段階と、
該皮膚表面から目的部位までの距離と該交叉点の位置を比較して、
該一対の第1表面電極を選択するか、又は該一対の第1表面電極を移動させる段階と、を有することを特徴とする干渉波型刺激装置の制御方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2006−325835(P2006−325835A)
【公開日】平成18年12月7日(2006.12.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−152321(P2005−152321)
【出願日】平成17年5月25日(2005.5.25)
【出願人】(000109543)テルモ株式会社 (2,232)
【Fターム(参考)】