説明

干渉測定法における時間変化する位相の補償法

【課題】干渉法を用いて被測定光デバイス(DUT)を測定する。DUTは光ファイバ、光部品、或いは光システムを1つ以上含むものである。
【解決手段】DUTに対する第1の干渉パターンのデータがDUTへの第1の経路に対して得られる。DUTに対する第2の干渉パターンのデータがDUTへの第2のやや長い経路に対して得られる。この長いほうの長さのゆえに、第2の干渉パターンのデータは第1の干渉パターンのデータから時間的に遅れる。次に、DUT干渉パターンデータの時間変化する成分は第1および第2の干渉パターンデータから特定される。特定された時間変化成分は振動などによって生じた時間変化する位相を補償するために、第1または第2の干渉パターンデータを修正する目的で用いられる。そこで、DUTの1つ以上の光学的特性が修正された干渉パターンデータに基づいて決定される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術分野は測定装置と測定方法に関するものであり、より具体的には干渉測定法の確度、精度の向上と応用分野に関するものである。1つの非制限的な応用例は光周波数領域反射測定法(OFDR)である。
【0002】
<仮出願特許に関する利益の主張>
2004年12月14日出願の米国特許仮出願第60/635,440号および2005年3月10日出願の米国特許仮出願第60/659、866号について優先権を主張する。これら仮出願の内容は参照することによって本願明細書に合体されているものとする。
【0003】
<関連特許出願>
本願は本発明の譲渡人に譲渡された2005年2月23日に出願された米国特許出願第11/062、740号と関連するものであり、その内容は参照することにより本願明細書に合体されているものとする。
【背景技術】
【0004】
参照信号とデータ信号を混合することは光デバイスやネットワークに関する情報を抽出するためにしばしば必要となる。同じ光源から発したプローブ信号と参照信号を混合、即ち干渉させると光干渉「縞」を発生するのが通常である。光が同相で建設的に結合する(干渉する)と強度が増大し正の干渉縞が生じる。一方、光が180度逆位相で破壊的に結合する(干渉する)と光が相殺することになり負の干渉縞が生じることになる。干渉縞の強度は検出して調べているデバイスの情報を評価するために用いることが出来る。干渉法を用いたセンシング技術においては、参照信号は、測定すべきパラメータによって変化を受けた位相および/または振幅を持つ反射プローブ信号と混合される。混合の結果、干渉信号が生じ、干渉信号の振幅は2つの光信号を混合する際の効率に依存する。
【0005】
ファイバ或いはファイバの1部であるファイバ光部品に関して、例えば数100メートル未満のような比較的短距離に亘っての(例えば後方散乱や分散などの)1つ以上の光学的な特性に関するデータを、例えばセンチメートル以下の比較的高い「空間」分解能で提供するためには光周波数領域反射測定法(OFDR)が用いられる。高い空間分解能は多くの理由で価値がある。例えばファイバの傷や割れ目、歪、温度変化などの「イベント(事象)」や結合器、分割器などのデバイスのより正確な位置決め、および/または光学的特性測定を行うことが出来る。高分解能はまた、互いに接近した位置に在る事象やデバイスを区別できる程度に高い精度で操作を行うことを可能とする。その程度に高い分解能がなければ、近接した事象やデバイスの測定は個々の事象やデバイスを識別するレベルで行うことは出来ない。これらや他の理由によって、より長距離に亘って高分解能を得るためには、より長いファイバにOFDRを適用することは非常に望ましいことであろう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
残念なことに、OFDRをより長いファイバに成功裏に適用するためには未解決の障害が主に2つ存在する。1つがテスト対象であるファイバの長さが時間変化することによって生じる動的な位相変化である。このような時間変化の原因の1つは振動である。ファイバが振動すると、その長さが変わって、これら異なるファイバ長を伝播する反射光に異なる時間遅延をもたらす。OFDRがうまく作動するためには、ファイバに沿っての反射光の位相は静的であり、時間と共に変化してはならない。もし位相の時間変化が干渉パターン強度データを取得する速度に比べて相対的にゆっくりと起こると、そのときは位相変化は問題とはならない。しかし干渉パターン強度データを検出/取得する速度が位相変化の速度よりも遅いときは、位相変化は無視できなくなる。
【0007】
OFDR干渉パターン強度データを得る速度はOFDR中の波長可変レーザが関係する周波数領域を掃引する早さとファイバ長の関数である。波長可変レーザの掃引できる速さはバンド幅、増幅器の価格、パワー増大の要請、および処理速度によって制限がある。レーザの掃引速度に関係なく、長いファイバでは測定データを得るのにより多くの時間がかかり、そのデータ量もより多くなる。多量のデータが必要なことは第2の障害となる。それはどれくらい多くのデータを効率よく経費をかけないで蓄積し、処理をすることが出来るかということに関して現実的な制限が存在するからである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
これらの障害を避けるために、本願の発明者は、レーザの掃引速度やデータセットの大きさを増大する必要がないように、振動やその他の原因によって生じる時間変動位相を補償する方法を発見した。テストの対象である光デバイス(DUT)は干渉法を用いて測定される。DUTは光ファイバ、光部品または光システムを1つ以上含んでいる。DUTは測定システム(例えばOFDR)と光ファイバを経由して、或いは他の媒体を経由して、或いは自由空間を経由して結合される。DUTに対する第1の干渉パターンデータはDUTへの第1の経路に対して得られ、第2の干渉パターンデータはDUTへの第2の、いくらか長い経路に対して得られる。長さが長いために第2の干渉パターンデータは第1の干渉パターンデータより時間的に遅れている。DUTの干渉パターンデータの中に存在する時間変動成分はそこで第1および第2の干渉パターンデータから特定される。特定された時間変動成分は第1または第2の干渉パターンデータを修正するために用いられる。DUTにおける1つ以上の光学特性は、修正された干渉パターンデータに基づいて決定される。例えば、DUTが500mよりも長い長さを持つファイバを含む場合は、修正された干渉パターンデータはファイバに沿っての任意の位置における1つ以上の光学的特性を決定するために用いることが出来る。実際に、ファイバに沿ってのその位置は、修正された干渉パターンデータに基づいて、例えば1または2センチメートルの分解能で決定することが出来る。
【0009】
第1と第2の干渉パターンデータのそれぞれは静的な位相情報と動的な位相情報を含んでいる。時間変動成分は動的な位相情報を含む。第1と第2の干渉縞の干渉パターンデータは結合されると静的な位相情報が実質的に取り除かれる。例えば、第1または第2の干渉パターンデータが結合されると、DUTに対して得られる干渉パターンデータに悪影響をもたらす振動誘起の位相変化を取り除くことが出来る。
【0010】
好適な、非制限的な実施例は、第1の干渉パターンデータおよび第2の干渉パターンデータを得るための光周波数領域反射測定法(OFDR)として実施される。第1および第2の干渉パターンデータはOFDRに用いられる波長可変レーザに関連する非線形性を補償して、(レーザの同調における非線形性による影響が)補償された第1および第2の干渉パターンデータを得る。OFDRによって用いることの出来る処理方法の1例は次の工程を含む。即ち、第1および第2の干渉パターンデータを周波数領域に変換するステップと、解析中のDTUの1部分に対応する第1の干渉パターンデータに対する周波数領域のデータを第1のウインドウを捕捉(キャプチャ)するステップと、解析中のDTUの前記部分に対応する第2の干渉パターンデータに対する周波数領域のデータを第2のウインドウを補足するステップと、周波数領域データにおける第1および第2のウインドウを対応する第1および第2の位相データに変換するステップと、および第1および第2の対応する位相データを結合するステップを含む。
【0011】
この技術の他の側面は、干渉計によって発生した干渉パターンデータの処理についての有利な方法を含む。干渉計は波長可変レーザからのレーザ信号を、経路遅延を持つ所定の光路に沿って、および参照光路に提供し、その所定の光路と参照光路からの反射光を結合して、干渉パターンデータを発生する。(所定の光路とは例えばテスト対象のデバイス(DUT)に関するものであっても良い。)。レーザ信号の第1のレーザ光位相が推定され、所定の光路に対して期待される複素応答がレーザ光位相の推定値に基づいて計算される。干渉計からの干渉パターンデータは期待される複素応答と掛け算(乗算)されて積を生成する。この積は干渉計から発生した干渉パターンデータから所定の光路に関する干渉パターンデータを抽出するためにフィルタにかけられる。
【0012】
1つの非制限的実施例においては、レーザ光位相の推定値に基づいて所定の光路に対する複素応答の期待値を求める計算は、レーザ信号のレーザ光位相の遅延形(遅延バージョン)を推定するステップと、レーザ光位相の推定値の遅延形と第1のレーザ光位相の推定値との間にある位相差を決定するステップと、位相差の余弦(cos)を計算して複素応答の期待値の実数部を形成するステップと、位相差の正弦(sin)を計算して期待された複素応答(期待値)の虚数部を形成するステップを含む。次に、この複素応答の期待値は干渉パターンデータと乗算される。その結果の複素信号の実数部および虚数部は低域通過フィルタを通って、干渉計によって発生した干渉パターンデータから所定の光路に関する干渉パターンデータを抽出するために、間引き処理される。レーサ光位相を推定するステップは、レーザ光の1部を第2の干渉計に結合させるステップと、第2の干渉計からの干渉縞またはパターン信号を、干渉縞信号の標本化形である、干渉パターンデータに対応するディジタル信号に変換するステップと、ディジタル信号に基づいてレーザ位相を推定するステップを含む。
【0013】
レーザ光位相の第1微分値はデジタル信号に基づいて、デジタル信号をフーリエ変換するステップと、変換された信号にウインドウ処理して変換された信号の所定の経路遅延に対応する部分を特定するステップと、ウインドウを掛けた信号を逆フーリエ変換するステップと、信号の位相を計算するステップによって推定することが出来る。同様に、レーザ光位相の第2微分値は、デジタル信号のゼロクロス点を特定するステップと、デジタル信号のゼロクロス点間に位置する標本値の数を数えるステップによって推定される。レーザ光位相の推定値に基づいて所定光路に対する複素応答の期待値を計算するステップは、レーザ光位相の第2微分値を推定するステップと、レーザ光位相の第2微分値の累積和を計算するステップであって、その累積期間が所定の経路遅延の長さに関するものである累積和計算ステップと、累積和を蓄積するステップと、蓄積された和の正弦(sin)を計算して複素応答の期待値の虚数部を形成するステップと、蓄積された和の余弦(cos)を計算して複素応答の期待値の実数部を形成するステップとによって達成できる。複素応答の期待値の実数部および虚数部は低域通過フィルタに通され、干渉計によって発生した干渉パターンデータから所定の光路と関係する干渉パターンデータを抽出するために間引き処理される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】干渉測定において時間変動位相変化を補償するOFDRの非制限的な例を示す図である。
【図2a】光路に時間変化がある場合の単一反射からの干渉パターンまたは干渉縞を示す図である。
【図2b】図2(a)に示したパターンのフーリエ変換を示す図である。
【図3a】、
【図3b】、
【図3c】図2(a)に示した2つの信号の位相、2つの測定位相間の位相差、および位相差の積分を時間の関数としてプロットしている3つのグラフである。
【図4】OFDRの実施例の第2の非制限的例を示す図である。
【図5】OFDRの第3の非制限的実施例を示す図である。
【図6】長い遅延線の偏波安定性を達成する1つの例示的な方法を示す図である。
【図7】偏波安定性により富んだ遅延線を提供するための1配置例を示す図である。
【図8】OFDRの第4の非制限的実施例を示す図である。
【図9】ファイバDUTに衝撃を与える振動を示す図である。
【図10】振動許容度を調べるための非制限的な実験的OFDR装置を示す図である。
【図11】周波数線形化した干渉パターンデータのフーリエ変換を示す図である。
【図12】図11に示したグラフの1部分を示すグラフである。
【図13】近距離干渉計および遠距離干渉計によって測定された位相をプロットしたグラフである。
【図14】位相校正した位相データとの比較目的で、振動に対して校正前の位相データを示すグラフである。
【図15】OFDRの第5の非制限的実施例を示す図である。
【図16】図17の実施例に対するフーリエ変換された後の振幅信号を示すグラフである。
【図17】OFDRの第6の非制限的実施例を示す図である。
【図18】時間変動位相を決定するための処理プロセス例の流れ図である。
【図19】、
【図20】、
【図21】、
【図22】、
【図23】、
【図24】、
【図25】、
【図26】、
【図27】、 OFDR例における色々な遅延経路を示す図である。
【図28】ウインドウ関数を示す図である。
【図29a】、
【図29b】、
【図29c】変換されたLM位相の振幅に関する3つのグラフを示す図である。
【図30】データセットの大きさ、処理時間およびメモリへの要求を軽減するために好適な(しかし非制限的な)実施例としての、ディジタル信号処理ブロックの機能ブロック図である。
【図31】検出され、ディジタル化されたLMデータ信号としての標本のグラフである。
【図32】図31の信号から計算された位相の微分値の例を示す図である。
【図33】ディジタル化信号の立ち上がりゼロクロス点を検出するために用いられるディジタル回路の機能ブロック図である。
【図34】図33にて決定した立ち上がりゼロクロス点信号から位相微分値信号を計算するために用いられるディジタル回路の機能ブロック図である。
【図35】LM干渉計に対するレーザ位相校正信号例のグラフである。
【図36】図35に示したウインドウ付き位相校正関数のフーリエ変換から得られるインパルス応答のグラフである。
【図37】LM位相から近距離位相と遠距離位相を決定するときに用いるシフトレジスタの例を示す図である。
【図38】6分割ブラックマンのウインドウ処理同期関数の図である。
【図39】間引き用の6分割ディジタルフィルタの機能ブロック図である。
【図40】遅延つき参照経路を持つ光ネットワークの非制限的な例の概略図である。
【図41】図40の光ネットワークに対する信号遅延DUTを示すグラフである。
【図42】図41からの遅延の正および負の周波数を示すグラフである。
【図43】ベースバンドへの変換に関する非制限的ディジタル実施例を示す図である。
【図44】伝送測定に関する振動校正ネットワークを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下の記述では、説明であり非制限的であることを目的として、記述される技術が理解されるように、特別なノード、機能の実体、技術、プロトコル、標準などに関して特殊な詳細記述が開示される。以下に開示される特殊な詳細記述とは別の、他の実施例が実現されてもよいことは、当業者には明らかなことであろう。不必要な詳細記述によって説明が不鮮明となることのないように、他の例に関する公知の方法、デバイス、技術などの詳細説明は除かれる。図には個別の機能ブロックが示される。これらのブロックの機能は、個々のハードウェア回路を用いて、ソフトウェア・プログラムとデータを適当にプログラムされたマイクロプロセッサや一般目的のコンピュータと一緒に用いて、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ、1つ以上のディジタル信号処理装置(DSP)などを用いて、実行できることは当業者の容易に理解するところであろう。
【0016】
図1はOFDR10の中で実現された第1の非制限的な実施例を示す。本発明はOFDRに限定されるものではなく、干渉測定法における時間変動位相を補償するためのいかなる方式、実施形態、または環境にも適用できるものである。OFDRは波長可変レーザ14を制御するための処理装置12とデータ収集ユニット16を含んでいる。処理装置12は波長可変レーザを連続的に、何箇所かでモードホッピングを起こすが、関係する波長範囲に亘って掃引する。波長可変レーザ14の出力光はOFDR10に関係する光ネットワークに導入される。入力光結合器18はレーザ光を2つの経路P1とP2分割する。上方の経路P1は参照干渉計20に導入される。
【0017】
参照干渉計20はマッハ・ツェンダ干渉計であるとして示してあるが、ファブリ・ペロー型或いはマイケルソン型干渉計のような他のいかなる形の干渉計であっても良い。参照干渉計は分散が最小となる2つの安定したアームを有する。この応用のためには光ファイバが十分機能する。参照干渉計20は光を2つの光路P3とP4に分割する光結合器22を含んでいる。P4は短いほうの経路であり、光結合器26に結合する。長いほうの経路であるP3は同じ光結合器26に到達する前に光を遅延させる。結合光は光の強度を検出する検出器46へ導かれて、検出強度は処理のためのデータ収集ユニット16へ供給される。参照干渉計20に備えられた2つの経路P3とP4間にある遅延差はレーザの同調速度変化の微細構造が捉まる程度に十分に長くなければならない。大抵のレーザにおける同調機構は音響機械効果によるもので、その周波数は10KHz以下であるから、参照干渉計の長さは、OFDRの通常動作において、参照干渉計によって作られる干渉縞、即ち干渉パターンの周波数は10kHzよりもかなり大きくなるように選ぶべきである。1例として周波数は40kHzである。検出器46から出力される参照干渉計の光はデータ収集ユニット16においてディジタル化されて、次に(以下に記述する)近距離および遠距離干渉計30および33からの干渉測定データを、1例としてUS5,798,521号に記載の技術を用いて、再サンプリングするために用いられる。この特許文献の内容は引用することによってここに合体されているものとする。この再サンプリング操作はデータを等間隔の時間でサンプリングして、それを等間隔の波長におけるデータに変形する。別の言葉で言えば、サンプリングされた近距離および遠距離干渉測定データはいまや波長に対して線形である。
【0018】
経路P2の光は結合器28において再び分割され、それぞれ近距離干渉計30および遠距離干渉計33へ向かう。近距離干渉計30は入力光を、出力光結合器32へ直結している短経路P5と入出力結合器36に結合している長経路P6を含む2つの経路に分割する光結合器31を含む。遠距離干渉計33は(追加の長さが、例として、5kmのファイバループ35として示されている。)長い経路を含み、遅れて光結合器34に到達する。結合器34は遅延した光を短経路P7と長経路P8に分割する。短経路P7は結合器37に直結する。長経路P8は入出力結合器36に結合する。入出力結合器36は近距離干渉計30の長経路P6からの光と遠距離干渉計33の長経路P8からの光を結合する。結合器36の出力はコネクタ38に結合し、それはテスト対象デバイス(DUT)40に図示のファイバによって結合される。
【0019】
DUT40からの反射光は入出力結合器36に結合して、2つの長経路P6とP8に分配される。そこでそれぞれの結合器32と37において、それぞれの参照経路P5とP7からの光と結合する(干渉する)。結合器32からの干渉出力は偏波ビームスプリッタ(PBS)44に供給される。PBSは光の2つの直交偏波成分S1とP1を、別々のS波強度検出器48と、P波強度検出器48と50に供給する。遠距離干渉計33からの出力も同様に固有の偏波ビームスプリッタ42へ供給され、直交偏波S2とP2の強度はそれぞれの検出器52と54へ供給される。データ収集ユニット16はそれぞれの検出器で検出した光をディジタル化して、処理のためにディジタル情報(干渉パターン測定データ)を提供する。
【0020】
遠距離干渉計33の中に備えられた5kmのファイバ35は約25マイクロ秒の遅延を生じる。その結果、遠距離干渉計33によって行われる測定は近距離干渉計30による測定の25マイクロ秒後に行われる。干渉測定データのこの2つの時間ずれしたグループはDUT40の時間変化特性の定量的な測定値を与える。もしDUTに影響を与える時間変化の周波数が遠距離干渉計33に対する時間遅延の周波数よりもはるかに小さい場合(例えば、25マイクロ秒は40kHzに対応し、通常の振動周波数は1kHz以下である。)、2つの測定間の位相差は、位相差の時間を関数とした微係数に比例する。実際の位相変化は2つの測定値間の位相差を積分することによって得られる。
【0021】
図2(a)は近距離干渉と遠距離干渉のパターン、すなわち「干渉図」を示す。位相の歪が正弦波の周期の圧縮と拡大として現れる。これは2つの波形のゼロクロス点を比べることによって容易に見て取れる。フーリエ変換を用いて干渉図を周波数ドメインに変換すると、時間変動する変化による誤差は期待されたシャープな周波数ピークを広げてしまい、図2(b)に示すように不恰好なものになる。
【0022】
図2(b)に示した拡がった周波数ピークのそれぞれに関する波形セグメントにおける点に逆フーリエ変換を適用して時間ドメインに移すと、各信号の位相の測定値が得られる。両方の干渉信号の位相は図3(a)に示される。ここで信号位相の片方が破線で示されている。一方の信号が他方に比べて遅れている。もしも位相特性がDUTの固定の特性である場合は、OFDRの各レーザ掃引時に同じ波長においておこるはずである。それ故にそのような遅延は存在しない。位相信号の時間変化部分はいかなる遅延にも対応する。その結果、各信号の位相を減算すると図3(b)に示すように、DUTの位相の変化の静的な部分は相殺され、動的な、時間変動位相成分だけが残る。そこで、同じサンプリング間隔を導入して、残った位相差を積分すると、(以下の式(5)で示す比例関係を考慮に入れて)図3(c)のようになり、本来の時間変化する位相が再構成される。この積分は数値積分を用いて行ってもよい。それについては多くの方法があり、その中のどれか1つを用いればよい。再構成された位相はもともとの近距離干渉パターンデータの位相と差をとると、干渉計における振動(またはその他の時間変化する影響力など)の影響がない位相測定結果が得られることになる。
【0023】
これまで図を用いて文章により説明してきたことを数学的に示してみる。まず、信号の位相に対する式は、次式の通りである。
【0024】
【数1】

【0025】
ここでψは測定信号の位相、θは入射光の周波数ωに依存する信号の位相、βはDUTへ導く経路における時間変化する位相である。周波数ωと時間変化する位相βは共に時間tの関数であるとして示されている。標準的なOFDRシステムではψの時間関数としての測定は1回だけ可能であるので、位相の周波数と時間成分依存θとβを分離することは出来ない。レーザの掃引に少し遅延を導入すると第2の位相測定結果が得られる。ここで、Δを遅延量とする。
【0026】
【数2】

【0027】
2つの関数ψ、ψ´のレーザ周波数が同一となるように第2の測定量を数値的に遅延させることが出来る。これはファイバ遅延線によって導入される遅延量Δに等価な量だけデータを数値的に移動させることによって達成される。
【0028】
【数3】

【0029】
2つの位相測定を引き算すると次の結果になる。
【0030】
【数4】

【0031】
遅延量Δで割り算すると次の表現になる。
【0032】
【数5】

【0033】
有用な結果を得るためには、前記2つの信号における差から位相誤差のより正確な計算が必要である。それはフーリエ変換を用いて達成できる。測定される信号の式(4)の表現から出発すると次式が得られる。
【0034】
【数6】

【0035】
ここでg(t)は実際に測定される信号であり、β(t)はこれから決定すべき信号である。
【0036】
この式のフーリエ変換は次のようになる。
【0037】
【数7】

【0038】
変数変換を行うと次式が得られる。
【0039】
【数8】

【0040】
時間tに関する積分からΔを引き出すと次式が得られる。
【0041】
【数9】

【0042】
Δ=0では、即ち時間遅延がない場合、信号が得られないので時間変化する位相は測定できない。Δωが非常に小さい場合は時間変化する位相の測定は内容不十分である。したがってゆっくり変わる位相は十分に考慮されない。幸いに、上で説明したように、ゆっくり変化する効果は測定を著しく妨害するものではないので一般的には無視できる。Δωが2πに近づくと遅延量が信号の1周期に等しくなるので信号はゼロになる。25マイクロ秒の遅延量の場合、この効果は40kHzにて起こる。しかしそのような高い周波数は光ファイバ長においてよく起こることではない。βに関する積分の前にある項で割り算して、βを求めるために逆変換をすると、
【0043】
【数10】

【0044】
上の数式から以下のプロセスが抽出できる。遅延を行った(遠距離)信号と遅延を行わない(近距離)信号の両方に対して干渉パターンデータを測定する。この信号はレーザ波長の関数として得られる。それ故に、周波数ドメイン内であるように考えられる。次に、両方の信号を時間ドメインに変換する。興味の対象のDUT素片を含む時間素片が選ばれる。DUTデータの素片は次に周波数ドメインに逆変換される。DUTデータの素片から遠距離信号と近距離信号の位相が決定され、これらの位相の位相差が計算される。位相差は周波数ドメインへフーリエ変換されて、式(10)の分母にある表現によって割り算((除算)される。結果に対して逆変換が行われて時間変動位相成分β(t)を得る。
【0045】
上記の手続は図1に示した構成例を用いて実行することが出来るが、図4に示した別の結合器配置を用いた代替法である第2の、非制限的な実施例を用いてもよい。(図を通して、同様の参照番号は同様の要素を示している。)近距離干渉計30´および遠距離干渉計35´の構成は少し違っている。結合器28からの光は光結合器31に供給される。結合器31からの光は偏波制御器(PC)60への経路と1x2入出力結合器36´へ直結する他の経路に分割される。PC60は偏光ビームスプリッタ(PBS)44の(例えばs偏光とp偏光のような)偏波モード間で光が等分割されるように調節し、その偏光を光結合器32へ供給する。DUT40からの反射光は結合器36´を通って結合器31に戻る。DUTからの反射光は結合器32へ直結し、そこで偏波制御器(PC)60を通ってきた光と合算される。遠距離干渉計33´は入力光結合器34、偏波制御器62、および出力光結合器37を持つ同様の構成を含んでいる。光結合器34からの出力の第2の経路は入出力結合器36´に接続される。この実施例は第1の実施例に比べると、結合器がより安価でより入手しやすい2x2または1x2結合器であるという利点を持っている。第1の実施例に用いた1x4入出力結合器36はここでは必要ではない。さらに、2つの干渉計30´と33´の全光損失がやや小さい。欠点としては偏光ビームスプリッタ44と42および検出器46から54からの反射が測定データに現れやすいことである。
【0046】
図5は近距離干渉計30"と遠距離干渉計33"を含むOFDRの第3の、非制限的な実施例を示す。近距離干渉計30"は光を2x2結合器31にて受け、その出力は偏波制御器PC1へ供給される。結合器31の第2の出力(結合器31の右下側)は結合器44に供給され、その後、結合器36"へ向かう。DUT40からの反射光は結合器36"を通って戻る。その光の1部は結合器44へと続き、その光の半分は結合器44と31とを結ぶ左側の経路に沿って進む。光はそこで結合器31において合算される。遠距離干渉計33"は同様の結合器構成を含んでいて、2x2結合器46が光を受けて偏波制御器PC2へ向かう経路に出力する。2つの出力経路は出力結合器48にて結合し、その出力は1x2入出力結合器36"に供給される。この実施例の利点は偏光ビームスプリッタ44と42および検出器46−54からの反射は干渉パターン測定データには現れないことである。しかしながら欠点はDUT40からの強い反射がぐるぐると循環し多重の像が生じることである。もし強い反射がDUTに存在すると光が結合器44と結合器31を結ぶ右側の経路から、結合器31と結合器44を結ぶ左側の経路へ通過してDUTへ逆戻りし、そこでまた反射される。
【0047】
図1に示したような5kmファイバループ35のような比較的長い遅延ファイバループを用いることによる問題点は時間および波長に対する偏波安定性である。しかしながら偏波安定性問題はファラデイ回転鏡(FRM)をファイバ光学的に結合したサーキュレータと組み合わせることで解決し、安定な偏波面を持つ長い遅延線を作ることが出来る。ファラデイ回転鏡は受けた光の偏波状態の変化を補償して、受けた光とは直交する偏波モードである偏波で光を戻す。図6は光を受けて、長いファイバ遅延線66への方向へ回転させるサーキュレータ64を示す。遅延を受けた光はファラデイ回転鏡68で反射されて、サーキュレータ64の入力に入射した時とは直交した偏波モードの光となる。サーキュレータ64の出力光はその結果、ファラデイ回転鏡によって、サーキュレータの入力ポートに入ったときの光とは直交するようになる。長いファイバ66はサーキュレータ64に入った光の偏波状態に影響しないので、サーキュレータ64の出力光の偏波状態に影響することはない。
【0048】
サーキュレータの代わりに偏波制御器と偏光ビームスプリッタ(PBS)を用いることが出来る。図7は、偏光ビームスプリッタ72によって分割される前に、偏波制御器70によってs偏光にそろった入力光を示している。s偏光は全て遅延線66を通ってFRM68によって反射される。PBS72はp偏光モードとなった反射光を先に送る。この構成は図6の構成に比べて安価である。図8は図1と同様のOFDRであるが、図7に示した偏波安定素子を含むものであり、それは図3および/または図4にも含めることが出来うる。
【0049】
背景説明で記したように、振動が干渉測定における問題となりうる。例えば、図9はファイバであるDUT40に結合するOFDR10を示す。振動源が振動波面と拡がっていく進行波を発生する。これがDUTであるファイバ40に衝突して振動させる。DUT40に入射する進行波のパターンから振動源の位置、ファイバから振動源までの距離、および振動源に最も近いファイバの位置を決めることが出来る。同様に、位相アレイアンテナの原理を用いて、ファイバの或る位置に対して期待される入射パターンと整合することによって、その位置から発する振動を多くの異なる振動源から抜き出すことが出来る。
【0050】
OFDRの原型の非制限的な例を図10に示す。DUT80はアセチレンガスセル82に結合している反射鏡84を含む。このガスセルは干渉データの静的な部分に意図的に作られた位相を発生する。この意図的に作られた位相はセル内のガスの吸収線によるものであり、この方法は実際に動的な位相効果を除去して静的な部分を保存するということを確認するために選ばれたものである。ガスセルに結合した小さなコイル86はレーザ掃引中にゆれ(指による軽打)を受ける。レーザは1秒間に約40nmの速度で掃引される。参照干渉計20の中に用いられている50mの遅延線は検出される干渉パターンデータをデータ収集ユニット16によって、正しい、対応するレーザ波長に線形化するために用いられる。この補償をするプロセスを達成する方法の1例は特許文献US5,798,521号に記載されている。線形化された干渉パターンデータは次にフーリエ変換されて、その結果の振幅対周波数の図は図11に示してある。近距離干渉計と遠距離干渉計は正確に同じ長さの差を持っているわけではないので、「位相整列」反射鏡88が用いられて、近距離干渉計と遠距離干渉計のそれぞれで測定された位相を、2つの干渉計が正確に同じ長さであるかのような干渉パターンデータが現れるように調整することを可能とする。
【0051】
測定経路における振動ゆれの効果は図11のガスセル周波数ピークのベースの幅に見ることが出来る。図12はガスセルの反射を拡大して見たものである。ピークのベースの周りの広い広がりは光ファイバへの時間変化する擾乱によるものである。図12に示したファイバ片に関係する複素データはウインドウ処理され、時間ドメインにフーリエ逆変換され、位相が計算されて、近距離干渉計と遠距離干渉計のそれぞれに対する位相対時間のプロットを作成する。図13に2つの信号(太線と細線)の間の小さな位相遅延が見られる。この位相の差は式(10)に記載したように決定され、処理される。計算された時間変化する位相を近距離干渉計または遠距離干渉計のどちらかから測定された位相から引き算することによって、静的な、即ち時間変化しない位相が図14の太い黒線で示されているように求められる。比較のために、時間変化する成分と時間変化しない成分の両方を含む元来の位相は細線で示されている。
【0052】
上の実施例の中に示すように、別々の参照経路を持つ2つの別々の近距離干渉計と遠距離干渉計を用いることは、色々な更なる問題をもたらすことになる。第1に、近距離干渉計と遠距離干渉計の参照経路に光を分割するために必要となり、かつ近距離干渉計および遠距離干渉計からDUTへ、およびその逆であるプローブ信号を得るために必要となる結合機構は、かなりの信号損失を伴う。第2に、2つの別々の干渉計である近距離干渉計と遠距離干渉計からの2つのプローブ信号は偏波が異なっている可能性がある。DUTが偏波依存性を持つ場合は、これはありそうなことであるが、プローブ光の偏波が異なることによって結果としての干渉計測定データは異なることになるだろう。第3に、近距離干渉計と遠距離干渉計とで異なる参照経路を持つと、干渉パターンまたは干渉縞データ間の相対位相は、参照経路の相対的な長さにおける温度誘起の変化によってドリフトを生む結果となる。温度が非常に小さく変わると(<1℃)、光ファイバの長さは波長の数倍の長さで変わる。これらの問題を克服するために、遅延が干渉計の測定アームに導入されるときは、単一の参照経路を用いてもよい。遅延項は遅延距離プラスDUTの距離に干渉項として現れる。単一参照経路の構成はOFDR光ネットワークを非常に簡単にするし、必要とする光部品の数が少ないので、コスト低減と信頼性向上に繋がる。
【0053】
図15は単一の干渉参照経路を用いているが、依然として近距離干渉計と遠距離干渉計測定データを供給するOFDRの例を示す。図15におけるOFDRは多重の参照経路を用いるOFDRよりもかなり単純で、パワー効率のより高いものである。波長可変レーザ光源からの光は「レーザ入力」と記したポートからネットワークに導入される。光の僅かの割合(1%から10%)は切り離されてレーザ・モニタ(LM)ネットワーク90へ接続される。LMネットワークは結合器88からの入力レーザ光を受け入れる結合器92、干渉計および絶対波長基準を含む。絶対基準は典型的にはレーザの同調範囲内に吸収線を持つガスセル94であるが、これを精度において劣るもの熱的に安定したエタロンで置き換えることも出来る。レーザ(波長)モニタリングネットワーク90の長さはレーザ周波数を高時間分解能測定が出来る程度に長く、レーザの同調速度誤差に対するゼロでない周波数応答を供給するために十分な短さであるように選択される。レーザ同調速度の誤差の最大周波数成分がfであり、レーザの最小同調速度(周波数における)がvminで与えられるときに、波長モニタ干渉計は次のように選ばれなければならない。
【0054】
【数11】

【0055】
ここでDは干渉計の遅延(単位は秒)である。光の速度、ファイバの群屈折率、および干渉計の形態(マッハ・ツェンダ、マイケルソン、またはファブリ・ペロー)を用いてファイバの必要な長さはすぐに計算できる。
【0056】
結合器92からの光は検出器96によって検出される絶対波長基準を供給するガスセル94と結合器98とに分割される。結合器98は光をFRM102、400mの遅延ループ104およびFRM106を含む偏波安定化ネットワークに結合する。究極的には、反射光は結合器98で結合し、補助検出器100で検出され、LMモニタ信号として処理のために供給される。このLM信号はレーザ波長における変化の正確な測定値を供給するものである。ガスセルは吸収線を供給し、レーザの絶対波長の高度に正確な測定値を与える。このようにLMネットワーク90はデータ処理装置に絶対波長基準と時間の関数としての出力レーザ波長を供給して、光強度干渉パターンデータを、そのデータを作り出した実際の入力波長と関係付けることが出来る。
【0057】
結合器88からのレーザ入力光はまた近距離干渉計および遠距離干渉計の単一参照経路に受け入れられる。結合器112は光を単一参照経路と測定経路に分割する。単一参照経路は参照光を偏光ビームスプリッタ(PBS)132における偏波ポートの1つの透過偏波状態に一致させるための偏波制御器116を含んでいる。測定経路は偏光ビームスプリッタ(PBS)118のsポートで受け入れられる前に1つの偏波「s」に一致させるべく偏波制御器PC114を含んでいる。PC114でs偏波となる結果、入力光のほぼ全てがPBS118から出力される。このPBS出力は結合器120で「短経路」(上記の2参照経路の実施例では近距離干渉計と関係するものである。)と「長経路」(上記の2参照経路の実施例では遠距離干渉計と関係するものである。)とに分割される。「短経路」はFRM126で終了する。「長経路」は14kmのループ122で遅延を受けて後、FRM124で終了する。FRM124と126から反射された光は入力光の「s」光とは直交した偏波である「p」であり、結合器120で結合される。
【0058】
結合器120出力は検出器136へ通じる「時間ずれ」経路とPBS118へ通じる戻り経路に分割される。短経路および長経路からのこれら2つの時間ずれした(時間遅延した)光信号は検出器136上で干渉して長経路と短経路間の遅延差分(時間ずれ)の高度に正確な測定値を与える。検出器136の出力はミキサ140および142の入力として提供される。
【0059】
PBS118は結合器120からの短経路と長経路の結合出力光を光サーキュレータ128の出力1に導く。光サーキュレータはその光の全てを、ポート2を経てDUTに結合する。短遅延および長遅延の両方からの光は同じ偏波を持つ。それ故、反射光の位相のいかなる差も2つの遅延の間にある時間間隔の間で起こるDUTにおける時間変化に起因するものに違いない。DUTから反射される光はサーキュレータ128のポート2から結合してサーキュレータ128のポート3へ向かう。そこで結合器130において単一参照経路からの光と結合する。サーキュレータは結合器で置き換えることも出来る。そうするとコスト軽減になるが信号対雑音費が少し劣化する。
【0060】
参照光が結合器130の出力側に結合しているPBS132のsとp状態にほぼ等分して分けられるように、単一参照経路に偏波制御器116が存在する。PBS132は干渉光を「s2」偏光が検出器134で検出され,直交する「p」偏光が検出器138で検出されるように分割する。sおよびp検出器134および138は干渉パターンまたは干渉縞を測定する。s偏波検出器134はsモード干渉パターン信号をミキサ140へ、そしてその後、低域通過フィルタ(LPF)144へ供給すると共に、ミキサを経ることなく直接低域通過フィルタ146へ供給する。p偏波検出器138はpモード干渉パターン信号をミキサ142へ、そしてその後、低域通過フィルタ(LPF)148へ供給すると共に、ミキサを経ることなく直接低域通過フィルタ150へ供給する。
【0061】
検出器134および138に到達する信号にはDUT40の2つの応答がある。DUT応答の1つは短経路をとり、DUT応答のもう1つは長経路を通って遅れて到達する。もし、一連のブラッグ回折格子のような分布型のDUTを仮定すると、DUTはある長さまたは距離に亘って分布する。図16はこの短経路および長経路DUT応答信号の対応する周波数分布を表わしている。光路が長いほど応答干渉縞の周波数が高くなる。それ故により近くにある回折格子はより低い周波数の干渉縞を生じ、より遠い回折格子はより高い周波数の干渉縞を生じる。図16は検出器134および138におけるこれら短経路および長経路の信号のスペクトル分布を示す。
【0062】
長経路干渉パターン信号は周波数が高すぎて低域通過フィルタを通さない。そしてそれ故に、取り除かれて、残されるのは短経路から来る干渉パターン信号の検出値だけである。これを「近距離」信号と呼ぶ。sおよびp検出器のどちらにも近距離信号が存在する。p−近距離をp、s−近距離をsと呼ぶ。ミキサ140および142に接続される信号は検出器136からの「時間ずれ」した干渉信号と混合されて、長経路干渉パターン信号をベースバンド、即ち、より低周波域へ周波数変換、即ち、ダウンコンバージョンし、一方、短経路遅延信号をベースバンドからより高周波域へ移動させる。時間ずれした信号は局部発振器信号として機能し、遠距離信号の周波数と同じ周波数を持ち、遠距離信号をベースバンドへ周波数変換する。時間ずれ干渉信号はいかなる同調速度変化にも対応するので,遠距離信号は非常に高精度でベースバンドに写し戻される。次に各混合信号が低域通過フィルタに通されるとき、長経路の信号だけが残る。これを遠距離信号と呼ぶことにする。sおよびp検出器の両方に遠距離信号sおよびpを含んでいる。長経路および短経路からの干渉パターンデータに対応する4つのLPF出力が処理のために提供される。
【0063】
レーリー後方散乱やブラッグ回折格子については、この偏波状態整合は重要である。なぜならば2つの長経路と短経路プローブ信号間の位相差は時間変化によって引き起こされ、偏波依存はないと解釈されているからである。単一参照信号を用いることの意味は2つの長経路及ぶ短経路プローブ信号が同じ偏波で検出されることである。
【0064】
図17は単一参照経路OFDRの実施例のより完全な図を示す。サーキュレータ128はコストを節約するために結合器128に置き換えてある。アナログ検出器出力はそれぞれのアナログ・ディジタル変換器152−162においてディジタル型式に変換されてディジタル処理ブロック166にて処理される。ディジタル処理ブロックはフィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)であっても良いがこれには限定されるものではない。ディジタル信号処理ブロック166とプロセッサ156の詳細は以下に記述する。
【0065】
<データ処理過程>
背景説明で説明したように、高速のレーザ同調速度における干渉パターンデータ、および/または長距離DUTに対して干渉パターンデータを処理するための処理方法とメモリへの要求条件は大変重要なものである。このような要求条件を軽減するために処理のためのデータセットは少なくした。DUTの興味の対象部分が特定され、対応するデータが全ての干渉パターンデータから抽出される。そこでははるかに小さな抽出データが処理される。
【0066】
低減されたデータセットの時間変動位相成分を計算することを目的とした、図18に示したデータ処理の流れには6つのステップがある。これら6個の中で最初の4つはデータ低減プロセスを記述するものである。
【0067】
1.LM干渉信号からレーザの位相信号を形成する。
【0068】
2.レーザ位相信号から近経路と遠経路の遅延位相校正信号を形成する。
【0069】
3.レーザ位相信号を用いて遅延位置を掛け算して(混合して)ベースバンドに戻す。
【0070】
4.混合した信号を低域通過フィルタに通して間引きする。
【0071】
5.近距離部分と遠距離部分の位相を計算する。
【0072】
6.その部分の時間変動位相を計算してそれを取り去る。
レーザ位相信号はDUT素片のデータをベースバンド、即ち低周波数域に周波数変換するために必要な局部発振器(LO)信号である。遅延固有の信号の形成はベースバンドへ戻されることになるDUT信号の位置(例えば2.752km)を決定する。掛け算プロセスはこのDUT素片をベースバンド、或いは低周波数域にもってくるための混合過程である。低域通過フィルタを通すことおよび間引きは解析の対象となるDUT素片の幅または範囲(例えば20m)を決定する。そして上記した近距離および遠距離位相計算はDUT素片のデータに基づいて行われる。
【0073】
この処理方法を実行するためには色々な方法がある。2つの非制限的な方法の例を以下に記述する。第1は「数値計算法」であり、コンピュータソフトウェアインストラクションを用いて数式などを計算するものであり、プロセッサまたはコンピュータの中で数値計算を実行することでステップ1から4においてデータを処理する。第2の方法の例は生データが到着するごとにディジタル信号処理回路の中でステップ1から4の処理を何回も行うもので「ディジタル処理法」と呼ばれる。「ディジタル処理法」はハードウェア回路の中で実行される。
【0074】
<ソフトウェアベースの数値的信号処理>
1.レーザ位相計算
アナログ・ディジタル変換器156から162でディジタル化された信号はゼロメートルからシステムの全範囲、10メートル、100メートル、1,000メートルまたはそれ以上までの光路についての情報を含む。ファイバの特定の位置(例えば2.752km)でその位置を中心とした或る特定の範囲(例えば20m)に関する信号を抽出することが出来れば有利であろう。この抽出は望みの情報を回復させるために蓄積し処理しなければならないデータの数を大いに減少させるであろう。この素片の切り出しを行うプロセスは、すなわち干渉パターンデータ抽出は希望の信号をベースバンド或いは低周波数域にもってきて、その後、低域通過フィルタでろ波することを意味する。
【0075】
ベースバンドに変換することは最新の通信システムで行われる過程である。FMやAMラジオ放送においては、多くの局が同じ空間を共有し、特定の局には特定の周波数が割り当てられる。各周波数は完全な正弦波であり、送信局ではそれを少しだけ変形して正弦波に低周波音声情報を符号化する。個々の無線局では興味の対象である送信局に割り当てられた特定の周波数の完全な正弦波を再生する。これは一般的には局部発振器(LO)信号と呼ばれる。この正弦波、すなわちLO信号とアンテナから受信した信号とを混合する。アンテナの信号には色々な無線局からの信号、および希望の局からのより弱い信号が時間変化を受けた形で含まれている。アンテナ信号と局部発振器(LO)信号を掛け算、即ち混合し、この信号を低域通過フィルタに通すことは、1つの特定の局の信号を選び出し、送信された信号の、完全な正弦波からの小さなずれを測定することである。この小さなずれが興味の対象となっている信号であり、無線放送の言葉では音声信号ということになる。通信システムでは正弦波以外の信号をベース信号即ち局部発振器として用いることも出来る。だが、掛け算することおよび低域通過フィルタを通して特定の低バンド幅の信号を選択するという原理は用いられている。
【0076】
この場合の干渉測定における所望の目的は、干渉測定系における遅延によって固有的に符号化された情報を抽出することである。通常は、検出された干渉信号には多くの遅延経路についての情報が存在するので、関係のない遅延に関する情報を無視または除去できるのは大きな利点であろう。困難な点は、標準的な無線システムにおける正弦波に類似したベース信号が、ここでは正弦波ではなく遅延と干渉計波長可変レーザの同調特性とで決められる点である。この同調特性は複雑であり、また、一般には測定ごとに再現するものではない。
【0077】
ここでの革新的な方法は、遅延とレーザの同調特性で決定されるベース信号がそれぞれのレーザ掃引ごとに計算できるプロセスを提供することである。計算された信号はそこで、干渉測定システムにおいて、ある特別な、しかし任意の遅延に関する固有の干渉情報を選択または抽出する局部発振器(LO)信号を形成するために用いられる。
【0078】
図16に示されたようなOFDRへの応用においては、分布型DUTに沿っての長い距離は高い周波数を意味する。再び、レーザ同調は完全ではない、ということは、レーザは完全な正弦波を作るものではないことを意味する。それ故に、所望のDUT素片の位置データをベースバンドに戻す混合に用いられるディジタル信号はレーザ・モニタ干渉計(LMI)を用いて構築される。
【0079】
分布したDUTの長い距離においては、不完全なレーザでは戻り光は参照光とほぼ同じ波長であると、もはや仮定することは出来ない。実際に、参照光の同調速度がDUTからの戻り光の同調速度と同じであると仮定することさえ出来ない。その結果、干渉縞データを処理する、以前に記述された方法(例えばUS6,900,897, 6,856,400, 6,566,648, 6,545,760, 6,376,830, 5,798,521)号はもはや十分ではない。実際に光学系、および電気系における時間遅延の全てを注意深く考慮している、より正確な方法が必要である。
【0080】
図19から27は、DUTの複素時間領域応答の再構成において用いられる、関連する時間遅延をラベルで表示した、光学的および電気的な経路を強調して示している。入射レーザ電界は或る光学的な位相φ(t)を持つと仮定しよう。測定される各信号p(t)は図19から27にて強調されている2つの光路間の干渉の結果であり、それゆえに測定される量は常にもともとのレーザ位相φ(t)の2つの遅延形の間の差である。レーザ位相φ(t)が測定するには速すぎる速度で変化するので、このことが必要となる。それ故、LM検出器での信号は次のような形になる。
【0081】
【数12】

【0082】
式12における遅延τLMとTLMはそれぞれ図19および20において強調された経路に関するものである。パワー「p」は一定と仮定しても、ゆっくりと変わっても良い。これを知ることによって、およびレーザの掃引は単調であることを知ることによって、p(t)の測定値から次式で与えられるφLMを計算できる。
【0083】
【数13】

【0084】
φLMのフーリエ変換を採ると
【0085】
【数14】

【0086】
レーザの位相を回復したいのであれば
【0087】
【数15】

【0088】
レーザ位相を数値的に計算するためには、これらの式で、LM検出器において存在する干渉信号を、フーリエ変換を用いて周波数ドメインに変換する。変換されたデータの関心の対象である素片または部分はLM干渉計と関係する遅延に対応する位置での周波数ピークの周りでウインドウ処理される。ウインドウ処理は、レーザ・モニタ干渉計の正の周波数に関係するデータだけ抽出する。ウインドウ処理は変換されたデータに、ピーク位置を中心としてピークを含む十分な幅を持つウインドウ関数(図28参照)を掛け合わせることによって達成される。(図28に示すような)単純な四角形のウインドウからより複雑なブラックマン・ウインドウに至る多くの異なるウインドウ関数を用いることが出来よう。次に逆変換をしてこのウインドウ処理データを時間領域に戻す。そこで、抽出されたデータ列の各入力の実数部分および虚数部分を位相に変換するために、結果の複素データの位相が時間の関数として計算されて、メモリに蓄積される。計算には4象限アークタンジェントと、0から2πに制限されている位相を、全同調範囲を表わすようなより大きな範囲に調節する、よく知られている「位相開放法」を用いて行われる。レーザ・モニタ(LM)位相は、実際には式13にて記述されるように、時間的にシフトされた2つのレーザ位相における差である。抽出されたLM位相からレーザ位相を計算するためには、レーザ位相を式15に示した分母で割り算すればよい。しかしながら、この計算を数値的に行うときに、以下に示されるようにLM位相をまた用いることが出来る。
【0089】
2.近距離遅延位相と遠距離遅延位相の計算
次のデータ処理ステップは検出された遅延なし(短経路または近距離)干渉パターン信号と遅延した(長経路、または遠距離)干渉パターン信号とに関係する遅延に固有の位相を計算することを含む。近距離および遠距離の位相はLM位相と同様の関係を用いてレーザ位相と関係付けられる。これらの関係式は以下に示される。sチャネルとpチャネルは遅延に関して同一構成されていると仮定して、s項を取り扱うだけにしてp項は同じであるとの理解をする。それぞれの経路遅延τrn,τ,τDUT,τrf,τ,τsn,およびτsfに対する経路は図21から27に強調されて示されている。
【0090】
【数16】

【0091】
【数17】

【0092】
ここでφsnearはDUTを通る近距離経路に対して測定される位相であり、φsfarはDUTを通る遠距離経路に対して測定される位相である。
【0093】
式16と17のフーリエ変換をとると
【0094】
【数18】

【0095】
および
【0096】
【数19】

【0097】
ここでωは周波数、Φ(ω)はレーザ信号の位相のフーリエ変換、Φsfar(ω)はτDUTによって規定される遅延経路に対して存在する信号の位相のフーリエ変換である。
【0098】
上に示したLM位相とレーザ位相の関係を用いると、近距離位相および遠距離位相をLM位相と関係付ける式を導出できる。
【0099】
【数20】

【0100】
【数21】

【0101】
ここでΦLM(ω)はレーザ・モニタ位相のフーリエ変換、τLMとTLMは図19および20にて強調して示されている経路の遅延である。
【0102】
LM干渉信号から計算されたLM位相はまず複素フーリエ変換を用いて周波数ドメインへ変換される。この変換された位相には次に式20および21に示されているような、LM位相を近距離位相および遠距離位相に関係付ける近距離および遠距離複素係数が掛け算される。この係数は分母がゼロになる所で極が存在する(図29のグラグ(b)を参照〕ので、第1の極にて、およびそれ以降の周波数にてゼロになるように、データはウインドウ処理される。例えばDCで値1であり、第1の極およびそれ以降でゼロとなるハミング・ウインドウによって作られたウインドウ関数を変換ドメインにあるデータに掛け算するために用いることが出来る。図29を参照のこと。
【0103】
この処理を行うに当たって、正および負の周波数の両方を含め、ウインドウ処理されなければならない。実際のデータセットにFFTを行うときは、図29のグラフ(a)に示されるように、正の周波数はデータの第1の半分に現れ、負の周波数はデータの第2の半分に現れる。両方の半分にウインドウを補足するためには、図29(c)に示すような正および負の周波数のどちらにもウインドウを補足するようなウインドウが用いられる。ここでは、負の周波数に対するウインドウ関数は正の周波数のウインドウ関数の鏡像である。
【0104】
近距離および遠距離データの位相が計算されて適当にウインドウ処理されると、2つのデータセットは逆変換されて時間ドメインに戻り、近距離および遠距離信号に固有の位相を形成する。
【0105】
3.ベースバンドへの数値的な混合
近距離および遠距離位相が計算されると、もともとの近距離および遠距離干渉データセットはこれらの位相の余弦(cos)および正弦(sin)と混合して望みの位置をベースバンドへもたらすことが出来る。測定される近距離および遠距離信号は次のように表わされる。
【0106】
【数22】

【0107】
および
【0108】
【数23】

【0109】
DUTの所望の素片をベースバンドへ周波数変換するためには、測定された近距離および遠距離信号に近距離および遠距離位相の正弦(sin)および余弦(cos)が掛け算される。
【0110】
【数24】

【0111】
【数25】

【0112】
【数26】

【0113】
【数27】

【0114】
4.低域通過フィルタリングと間引き
ベースバンドにあるDUT信号の所望の素片について間引きフィルタを用いて低域通過フィルタリングを行う。上の式では表現式の第二項はもともとの2倍の周波数を持つ。信号に低域通過フィルタリングを行うと、この項が除かれて次のようになる。
【0115】
【数28】

【0116】
【数29】

【0117】
【数30】

【0118】
【数31A】

【0119】
もともとの近距離および遠距離干渉測定データは、長い遅延に対してバンド幅が十分となるように、高いサンプリング速度、即ち細かい時間間隔でサンプリングされていた。いまや、データがベースバンドにありフィルタによりろ波されているので、サンプリング速度を下げて、即ち時間間隔を大きくして間引きが可能である。これは間引き率によって決まる全長をもつデータセットの中からDUTファイバの所望の区間を選択する効果を持つ。このプロセスは蓄積および更なる処理のためのデータサイズを著しく低減する。例えば、データセットを数値的に低域通過フィルタリングと間引きをするために既知のフィルタ機能はいくつでも用いることが出来る。
【0120】
5.近経路と遠経路素片の位相の計算
上記ステップ4にて計算される近距離および遠距離信号の位相は4象限逆正接(アークタンジェント)と近距離および遠距離信号の実数部および虚数部を用いて計算される。これら近経路と遠経路の位相はいまや上の式1と2にて記述した位相信号ψ(t)、ψ´(t)に対応するものである。
【0121】
6.時間変動位相の計算と除去
上のステップ5にて計算された2つの位相信号は、次に、DUT経路の時間変動位相を計算するために上の式3から10にて記述したように用いることが出来る。この計算には、式3に記したような遠距離位相の時間シフト、式4に記した2つの位相の引き算、および式5または10(式10がより詳しい計算である。)に記したように位相の時間変動成分へこの位相差を変換することが含まれる。
【0122】
<ハードウェアベースのディジタル信号処理(DSP)のアプローチ>

上記したソフトウェアベースの数値処理法は全ての干渉データセットが数回に亘って数学的に変換される必要がある。長いDUTに対してはデータセットあたり1千万点以上もあり、これは時間、データ処理操作、およびお金などのリソースを非常に消費するプロセスである。「強引な」アプローチとでもみなすことが出来る。以下に説明する別の、より効率の良いアプローチは、信号が適当に構成されたディジタル信号処理回路に到達するごとに、信号をディジタル的に処理する。図30はそのような構成を持つディジタル処理回路の非制限的な例を示す概略図である。この回路は、希望するならば、フィールド・プログラマブル・ゲートアレイ(FPGA)として実施できる。ディジタル処理法によって実施される処理ステップはソフトウェアベースの数値処理法に対して上に記述したものと同じであるが、以下に示すように処理が異なった方法でより効率的に行われる。
【0123】
一般に、デジタル信号処理のハードウェアは、この非制限的な例ではFPGA166であるが、解析すべきDUTファイバの所望の素片に関するデータを選択し抽出していて、このようにすることで、処理すべきデータ量は大きく削減される。レーザ・モニタ(LM)干渉測定信号がアナログ・ディジタル変換器からのディジタル数としてFPGAに入る。LM検出器でのパワーを表わすこの一連の数は、LM検出器で存在する信号の位相の微分(周波数)を表わす一連の数値に変換される。DUTファイバ素片の中心の位置は、位相変換モジュールへ搭載されているシフトレジスタ(各光強度検出器に対してシフトレジスタが有る。)に蓄積されている干渉測定ディジタルデータによって決められる。DUT素片の幅は間引き用ディジタル低域通過フィルタ(遮断周波数はプロセッサ経由でプログラムできる。)の遮断周波数によって決定される。この位相の微分値は「LMから周波数へ」のモジュール内部でLM干渉計の長さ(遅延)を考慮するために再度伸縮される。
【0124】
図30に示すデジタル処理ブロック166を参照して、レーザ・モニタ信号(LM信号)、近距離経路をとった2つの検出された偏波状態sとpに対する2つの干渉信号のセット、および遠距離経路をとった2つの検出された偏波状態sとpに対する2つの干渉信号を含む4つの入力信号について説明する。LM信号は「LMから周波数へ」のモジュール160によってレーザ位相の位相微分値の推定値へと変換される。これは以下に、図36により詳しく記述される。位相微分信号は位相変換モジュール162に入り、そこでは、以下および図37に記述されるように、近距離および遠距離位相項を整合させる、遅延に対する位相の期待値が計算される。計算された近距離位相は余弦(cos)に対するルックアップテーブル166と正弦(sin)に対するルックアップテーブル168を参照するために用いられる。計算された遠距離位相は余弦(cos)に対するルックアップテーブル170と正弦(sin)に対するルックアップテーブル172を参照するために用いられる。
【0125】
近距離余弦ルックアップテーブルの出力は、「LMから周波数へ」のモジュール160における待ち時間を補償するためにデータ遅延レジスタ174を通って遅延された近距離s偏波信号と乗算される。掛け算はハードウェア乗算器176によって実行される。その出力は間引き用ディジタル低域通過フィルタ(LPF)178に供給される。このフィルタの出力は関心の有るDUT遅延における近距離s偏波信号の実数値である。近距離正弦ルックアップテーブルの出力は、「LMから周波数へ」のモジュール160における待ち時間を補償するためにデータ遅延レジスタ174を通って遅延された近距離s偏波信号と掛け算される。掛け算はハードウェア乗算器180によって実行される。その出力は間引き用ディジタル低域通過フィルタ(LPF)182に供給される。このフィルタの出力は関心の有る遅延における近距離s偏波信号の虚数値である。
【0126】
近距離余弦ルックアップテーブルの出力は、「LMから周波数へ」のモジュール160における待ち時間を補償するためにデータ遅延レジスタ184を通って遅延された近距離p偏波信号と掛け算される。掛け算はハードウェア乗算器186によって実行される。その出力は間引き用ディジタル低域通過フィルタ(LPF)188に供給される。このフィルタの出力は関心の有る遅延における近距離p偏波信号の実数値である。近距離正弦ルックアップテーブルの出力は、「LMから周波数へ」のモジュール160における待ち時間を補償するためにデータ遅延レジスタ184を通って遅延された近距離p偏波信号と掛け算される。掛け算はハードウェア乗算器190によって実行される。その出力は間引き用ディジタル低域通過フィルタ(LPF)192に供給される。このフィルタの出力は関心の有るDUT遅延における近距離p偏波信号の虚数値である。
【0127】
遠距離余弦ルックアップテーブルの出力は、「LMから周波数へ」のモジュール160における待ち時間を補償するためにデータ遅延レジスタ194を通って遅延された遠距離s偏波信号と掛け算される。掛け算はハードウェア乗算器196によって実行される。その出力は間引き用ディジタル低域通過フィルタ(LPF)198に供給される。このフィルタの出力は関心の有るDUT遅延における遠距離s偏波信号の実数値である。遠距離正弦ルックアップテーブルの出力は、「LMから周波数へ」のモジュール160における待ち時間を補償するためにデータ遅延レジスタ194を通って遅延された遠距離s偏波信号と掛け算される。掛け算はハードウェア乗算器200によって実行される。その出力は間引き用ディジタル低域通過フィルタ(LPF)202に供給される。このフィルタの出力は関心の有る遅延における遠距離s偏波信号の虚数値である。
【0128】
遠距離余弦ルックアップテーブルの出力は、「LMから周波数へ」のモジュール160における待ち時間を補償するためにデータ遅延レジスタ204を通って遅延された遠距離p偏波信号と掛け算される。掛け算はハードウェア乗算器206によって実行される。その出力は間引き用ディジタル低域通過フィルタ(LPF)208に供給される。このフィルタの出力は関心の有るDUT遅延における遠距離p偏波信号の実数値である。遠距離正弦ルックアップテーブルの出力は、「LMから周波数へ」のモジュール160における待ち時間を補償するためにデータ遅延レジスタ204を通って遅延された遠距離p偏波信号と掛け算される。掛け算はハードウェア乗算器210によって実行される。その出力は間引き用ディジタル低域通過フィルタ(LPF)212に供給される。このフィルタの出力は関心の有るDUT遅延における遠距離p偏波信号の虚数値である。
【0129】
1.DSPレーザ・モニタ処理
ディジタル信号処理は、信号がFPGA166に到達するごとに、レーザ・モニタ(LM)干渉信号を位相信号へ、データのフーリエ変換を行う必要なしに変換するために用いることが出来て有利である。このより簡単な変換はFPGA論理回路の待ち時間が非常に小さいことで達成できるものである。
【0130】
図31はLM干渉計検出器100から到達する信号である。LM干渉計検出器における正弦波信号の立ち上がり端のそれぞれは、ここではそれは負の点に続く最初の正の点であるとして示してあるが、1サイクル即ち2πラジアンを表わす。離散的な値が与えられると、ディジタル回路における2値データ表現は2のべき乗が1つのフルサイクルを表わすのに用いられ、これはディジタル合成において通常なされることである。図32は図31の信号から計算される位相の微分値である。この立ち上がり端で定義(上記)される1サイクルは15クロック、即ち15サンプリング周期である。位相に関し11ビット表現を選ぶと、15サンプルに対する位相の平均的な増分は次式となる。
【0131】
【数31B】

【0132】
しかしながら整数の計算では分数部分は直接的には取り扱えない。そのかわり、割り算(211−1)/15の剰余である8は干渉縞の周期内の15標本に分配すると、7個は136、8個は137となって平均値が136.5333となる。割り算は時間とリソースにおいて費用がかかるディジタル操作であるので、ルックアップテーブルが作られて、基本値(例えば136)を持つ1サイクル中の標本の数および増加した値の数(例えば136+1が8個)を整合する。干渉計の長さ、サンプリング速度、同調速度および同調変化幅が与えられるとサイクルごとの可能な標本の数が計算でき、それは通常は100のオーダーであり、ルックアップテーブルは扱いやすい大きさになる。
【0133】
図33と34はこの計算をディジタル・ハードウェアにおいて実行するための1つの可能な方法のディジタル的概要を示す。図33は、各クロックのLM標本を蓄積するための遅延ラッチ220を用いて、ディジタル化された波形の立ち上がり端のそれぞれを1クロックサイクルに対して単一のディジタル高レベルへ変換する。遅延した標本はデジタル比較器222においてゼロと比較され、その値が0よりも大きい場合は比較器222が1を出力し、そうでなければゼロを出力する。現在の標本はデジタル比較器224においてゼロと比較され、その値がゼロ未満であれば比較器224は1を出力し、そうでなければゼロを出力する。この比較器の出力はゲート226でAND演算され、レーザ・モニタ・立ち上がり端(LMRE)信号を表わす信号を生成する。アナログの干渉信号をゼロクロスディジタル・パルス列に変換するこの変換はディジタル回路の前段のアナログ比較器でも達成できる。
【0134】
図34はこのゼロクロスのディジタル・パルス列を処理する方法を示す。各パルスにてカウンタ230は1に再度初期化した後、次のパルスが来るまでクロックパルスの数を数え始める。次のパルスが到着すると、カウンタの値は、N−位置の長さでp−ビット幅のシフトレジスタ232内に1つの位置を指定する。N値の非制限的な例は256である。カウンタの値はまたシフトレジスタ232に書き込まれるデータの値である。シフトレジスタの長さNは少なくともレーザ・モニタLM干渉計の最長周期の長さでなければならない。
【0135】
立ち上がり端パルス列はまたN位置シフトレジスタ228にも入る。1つのパルスがN位置シフトレジスタ228からシフトすると、p−ビット幅のシフトレジスタの出力についての数が、位相の1周期を表わすディジタル数と周期のクロックサイクル数(アドレス)の割り算の商と剰余とを含むルックアップテーブル234を呼び出すために用いられる。剰余はダウン・カウンタ238に入力され、ダウン・カウンタ238がゼロより大であれば1が合算器240の指数に加えられる。ダウン・カウンタの値がゼロより下に落ちた場合にはゼロが合算器240の指数に加えられる。これはシフトレジスタ242をLM位相の微分で充たすことになる。
【0136】
LM位相の微分値はレジスタ242にアレイとして蓄積される。望みの信号はレーザ電界の位相であることを思い出そう。測定方法の効果を校正した複素スペクトルを持つディジタルフィルタを用いて処理することによって、図34に示した回路によって作られるレーザ位相信号の精度を増大させることが出来る。またLM位相とレーザ位相の間の関係は次式で与えられることを思い出そう。
【0137】
【数32】

【0138】
これは良い解析結果ではあるが、ゼロに極を持つ。その結果、φは過度の急速さで増大する。それに代わってレーザ位相の微分を計算するならば、次式が得られる。
【0139】
【数33】

【0140】
ここでゼロでの極を相殺するゼロがある。そこでこの表現式は計算できる。もしτLMがゼロであれば、伝達関数のテーラー展開が次のように計算される。
【0141】
【数34】

【0142】
この表現式を用いて、レーザ・モニタ検出器にて測定された位相をレーザ位相の微分に変換する有限インパルス応答(FIR)フィルタが合成される。レーザ位相の微分は次式を用いて時間ドメインで計算される。
【0143】
【数35】

【0144】
そこでφsnearとφsfarの微分はこの位相のシフト形を合算することによって単純に計算される。もちろんテーラー展開は時間ドメインフィルタを計算する方法の非制限的1例である。
【0145】
フィルタを設計する別の方法は式33に示したLM位相をレーザ位相に関係付ける係数の複素スペクトルを計算することである。この表現式は図35における例において示したように、極を取り除くためにウインドウ処理されている。この図は周波数ドメインにおけるレーザ位相校正関数の振幅を1,600ns遅延を持つレーザ・モニタ干渉計に対してプロットしている。600kHz付近に極が存在し、関数がこの周波数で「爆発」するのを抑えるためにウインドウ処理が用いられる。そこで、この表現はFIRフィルタの係数を得るために、図36に示すように、時間ドメインへフーリエ逆変換される。この図はウインドウ処理された位相校正関数のフーリエ逆変換から得られたインパルス応答をプロットしたものである。これらの値はレーザ位相信号を形成するために、レーザ・モニタ干渉計からの信号を校正する目的で用いられるFIRフィルタに関する係数である。データは極を除去するためにウインドウ処理される時に、伝達関数の帯域は、時には劇的に、低減されて、信号に影響を与える雑音を大幅に低減する。
【0146】
このように計算される位相信号はサイクルの可能な最長周期に等しい待ち時間(入力してから出力するまでのクロックサイクル単位の遅れ。)を有する。この最長周期はもっとも遅いレーザの同調速度とFIRフィルタの長さで起こる。入力の信号の全てはこの待ち時間と整合するように遅延される必要がある。
【0147】
2.近距離および遠距離遅延位相のDSPベースの計算
上の数値処理におけると同様に、sチャネルとpチャネルは遅延においては同一構成であると仮定しているので、それ故にs項だけを取り扱い、p項は同一であるというように理解する。近距離遅延と遠距離遅延は再び次式にて記述される。
【0148】
【数36】

【0149】
および
【0150】
【数37】

【0151】
レーザ位相信号が構築されると、近距離遅延項と遠距離遅延項を構築するのは単純なプロセスである。この構築はボックスカーフィルタ、またはフィルタの長さ、即ち等価的には2つのタップの間隔が所望のDUT位置の遅延に等しい2タップつきフィルタを実装することによって達成される。図37は6タップつきの長い(例えば、17,000素子)シフトレジスタを用いてこの技術を実現する様子を示している。光学的および電子的な設計は3つの前方のタップはゼロにセットされ、結局3タップになるように設計することが出来る。しかしながら、近距離遅延と遠距離遅延が得られるようにデータを積分する蓄積器(合算器)と一緒により一般の場合が示されている。
【0152】
3.DSPベースの、ベースバンドへの信号の混合
混合プロセスは数値処理の章で上記したのと同じである。ただし、この場合は、正弦(sin)と余弦(cos)の計算は図30の正弦および余弦のルックアップテーブル166−172と図30に示したハードウェア乗算器176−210を用いて行われる掛け算に置き換えられる。
【0153】
4.DSPベースの、低域通過フィルタリングと間引き
低域通過フィルタリングはFIR間引きフィルタで実施される。間引きフィルタは信号帯域を低減させ、サンプリング速度も低減させる。低減された帯域はもはや高速サンプリングを必要とはせず、信号の忠実度に損失がなければ、より少ない標本で動作することは有利なことである。間引きフィルタのこの特別の実施例が記述されるが、適当ないかなるフィルタを用いて、設計しても良い。
【0154】
シャープな遮断周波数を得るために、ブラックマン・ウインドウ付き同期関数を図38に示すように、間引き率64に対して計算する。図は6区画のブラックマン・ウインドウ付き同期関数を示す。フィルタのこの区画のそれぞれに対するディジタル値を図39に示す循環式シフトレジスタにロードする。間引き率が8である、この6区画ディジタルフィルタの1つの非制限的な実施例を図39に示す。上部のシフトレジスタは発生した遅延信号と得られた信号のディジタル積を含む。各クロックサイクルごとに各ブロックのデジタル数は1レジスタ位置だけ右に進む。下の小さなシフトレジスタは図38に示した区画の値を含む。上部のシフトレジスタは混合器からのデータを受け入れる。乗算器は入力されたデータに小さな循環式シフトレジスタ内に保持された係数が掛け算される。その論理はここには示していないが、8クロックサイクルごとに間引きされた標本を出力するようにトリガを掛け、また全ての蓄積器をクリアして(ゼロにセットして)次の標本が計算されるようにする。各クロックサイクルごとに、各デジタル数はまた1ブロックだけ右に動くが、これは循環式であるから最右端の値は第1のブロックに再循環する。また、各クロックサイクルごとに、矢印を経由して乗算器に繋がっているブロック内のデータは一緒に掛け算されて、蓄積器に足し合わされる。8クロックサイクル後に全ての乗算器の中の値は足し算されて単一の出力標本を生成する。蓄積器はこの8クロックでまたクリアされて、次のクロックサイクルにおける次の標本値の蓄積を開始できるようにする。
【0155】
ステップ5と6はソフトウェアベースの数値処理法の実施例に対して前に記述したように行われる。
【0156】
<その他の実施例>
もしバンド幅が制限要因であれば、光ネットワークは図40に示すように変更できる。この実施例では付加的な遅延線262が参照経路に追加される。この遅延線の長さは、近距離反射が負の周波数にマッピングされ、遠距離項はそのまま正の周波数にマッピングされるように選ばれる。図41は短い(実効的にはゼロの)長さの参照経路を仮定した場合の反射特性の現れる位置を示す。4nm/secの同調速度と6km参照遅延の現れる位置に対して100MHzである信号の全バンド幅もまた示されている。参照光路に6kmの遅延を置くと、全ての周波数はこの遅延から計られ、図42に示すような信号スペクトルで終わる。この図はいまや100MHzではなく66MHzのバンド幅を持つとして書かれている。
【0157】
もしサンプリング周波数が十分に高いときには、アナログの乗算器や混合器を用いないで振動緩和技術を実装することも出来る。この場合には、必要とされるバンド幅が低減されるため、図44に示すような例の光ネットワークが有利となるであろう。この例では、結合された近距離および遠距離信号を変換するために120Ms/s変換器が用いられるであろう。またディジタル型式で混合を行うためにハードウェア乗算器が用いられるであろう。そこでは信号は上記したのと同様のFPGA166内で、またはプロセッサ156内で処理することが出来よう。
【0158】
<応用例>
本測定技術は多くの応用に適用される。例えば、光ファイバのレーリー後方散乱のOFDR測定に適用される。局所散乱強度、位相、位相の時間変化に関する情報が、非常に長いDUTファイバを含んでいるDUTファイバに沿っての各区画に対して入手できる。時間変化測定のこの空間分解能は掃引速度と存在する音響信号の最高周波数によって決まる。光ファイバからのレーリー散乱のスペクトルを精度よく測定することが出来ることは利用価値が高く、例えば振動または雑音の高い環境(例えば、飛行機、電力プラント、船など)の中で温度や歪の分布を検知するという用途がある。さらにファイバの時間変化の効果に影響されない性質があるので、レーザも掃引速度を低くすることが出来、これはシステムの動作距離の範囲を増大させるものである。その結果、音響耐性は数千メートルにまで拡張できる。この付加された距離範囲は装置の利用におけるもうひとつの重要な改良点である。
【0159】
検知のためにレーリー散乱を用いることはファイバの全ての区画が走査の各点で光を反射していることを意味する。音響信号は走査の間ずっと測定できる。レーザを連続した三角形波のように上へ、そして下へ走査すると、ファイバに入射する音響信号の連続モニタは達成される。千メートル長の光ファイバに亘っての1メートル区画ごとのファイバが個別のマイクロフォンとして用いられる。ファイバ音響検知のこの分布した性質はファイバを位相アレイ音響源として用いることが出来る。このような音響信号処理法は音響源の位置の決定と特定に用いることが出来る。さらに、周囲の音が周囲の物理的な特徴のイメージを形成するために用いることが出来る。分布した音響センサを海中の雰囲気で実行することは船や(鯨のような)大きな動物を追跡するのに有用である。
【0160】
他の応用として、多くの化学的な施設において、温度は微妙なパラメータである。大きな体積に亘って温度を知ることは大きな価値がある。流体の乱流によってこれらの環境は雑音の高い環境である。そこでここでの振動に影響されない性質は利用上重要な改良点を意味する。
【0161】
陸上の応用において、この位相アレイによって可能となった複雑な音響検知は、部屋や境界の周囲における侵入センサとして用いることも出来る。込み合った部屋での個人の発言のように、空間的に離れた、異なる源の不協和音の中から単一の源を抽出することも出来る。他の応用は安価な、分布型の地震計である。
【0162】
高分解能のレーリー散乱測定が長距離(>100m)に亘って可能であれば、散乱相関は、仮出願「損失と温度測定におけるレーリー散乱測定の相関と変調(Correlation and Keying of レーリー Scatter Measurements for Loss and Temperature Measurements)」にて記述されているように、ファイバネットワークにおける(小さなタップを付け加えるなどの)勝手な加工跡を見つけるセキュリティ・ツールとして用いることが出来よう。
【0163】
色々な実施例を示してきたし、詳細に記述してきたが、請求項は特定の実施例には限定されるものではない。上記の説明は、特定の要素、ステップ、範囲、または機能が本質的であるので請求項の範囲に含まれるべきものであることを意味するように読まれるべきものではない。特許の課題事項の範囲は請求項のみにて規定される。法的な保護の範囲は許可される請求項およびその等価物に語られた言葉によってのみ定義される。「----の手段」という語が用いられなければ、どの請求項も35USC§112の6項により保護されることを意図してはいない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
干渉法を用いてテスト対象の光デバイス(DUT)を測定する方法であって、
第1の経路を介して前記DUTについて第1の干渉パターンデータを取得するステップと、
第2の経路を介して前記DUTについて、前記第1の干渉パターンデータに対して時間的に遅延した第2の干渉パターンデータを取得するステップと、
前記第1の干渉パターンデータと前記第2の干渉パターンデータとから前記DUTにおける時間変動成分を特定するステップと
を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
特定された前記時間変動成分を使用して前記第1の干渉パターンデータ又は前記第2の干渉パターンデータを修正するステップ
をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1の干渉パターンデータ又は前記第2の干渉パターンデータうち修正された干渉パターンデータに基づいて前記DUTにおける1つ以上の光特性を判別するステップ
をさらに含むことを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記DUTには、500mを超える長さを有したファイバが含まれており、
前記方法は、
前記修正された干渉パターンデータを使用して前記ファイバの長さ方向におけるいずれかの箇所における1つ以上の光特性を判別するステップ
をさらに含むことを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記修正された干渉パターンデータを使用して1cmないし2cmの分解能でもって前記ファイバの前記箇所を決定するステップ
をさらに含むことを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記第1の干渉パターンデータ及び前記第2の干渉パターンデータのそれぞれは、静的な位相情報と動的な位相情報とを含み、
前記時間変動成分には前記動的な位相情報が含まれている
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記第1の干渉パターンデータと前記第2の干渉パターンデータとを合成することで実質的に前記静的な位相情報を除去するステップ
をさらに含むことを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記第1の干渉パターンデータ又は前記第2の干渉パターンデータを修正することで、前記DUTについて取得された干渉パターンデータに影響を及ぼす振動を補償するステップ
をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項9】
光周波数領域反射測定法(OFDR)を使用して、前記第1の干渉パターンデータ及び前記第2の干渉パターンデータを取得するステップと、
修正された前記干渉パターンデータをメモリに記憶するステップと
をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記OFDRにおいて使用されている波長可変レーザに関する非線形性について前記第1の干渉パターンデータ及び前記第2の干渉パターンデータを補償するステップ
をさらに含むことを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記第1の干渉パターンデータ及び前記第2の干渉パターンデータを周波数領域のデータに変換するステップと、
解析対象となっている前記DUTの一部に対応した前記第1の干渉パターンデータについて第1ウインドウで周波数領域データをキャプチャするステップと、
解析対象となっている前記DUTの一部に対応した前記第2の干渉パターンデータについて第2ウインドウで周波数領域データをキャプチャするステップと、
キャプチャされた前記第1ウインドウでの周波数領域データと前記第2ウインドウでの周波数領域データとを、対応する第1及び第2の位相データに変換するステップと、
前記第1及び第2の位相データを合成するステップと
をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記第1の経路からの光と前記第2の経路からの光とが共通の参照経路からの光と干渉する
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記第1の経路からの光の偏波と前記第2の経路からの光の偏波とが同一である
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記第1の経路からの光が第1の参照経路からの光と干渉し、前記第2の経路からの光が第2の参照経路からの光と干渉する
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項15】
干渉法を用いてテスト対象の光デバイス(DUT)を測定する装置であって、
第1の経路を介して前記DUTについて第1の干渉パターンデータを取得するとともに、第2の経路を介して前記DUTについて、前記第1の干渉パターンデータに対して時間的に遅延した第2の干渉パターンデータを取得するよう構成された光検出回路と、
前記第1の干渉パターンデータと前記第2の干渉パターンデータとから前記DUTにおける時間変動成分を特定するよう構成された処理回路と
を含むことを特徴とする装置。
【請求項16】
前記処理回路は、
特定された前記時間変動成分を使用して前記第1の干渉パターンデータ又は前記第2の干渉パターンデータを修正するよう構成されている
ことを特徴とする請求項15に記載の装置。
【請求項17】
前記処理回路は、
前記第1の干渉パターンデータ又は前記第2の干渉パターンデータうち修正された干渉パターンデータに基づいて前記DUTにおける1つ以上の光特性を判別するよう構成されている
ことを特徴とする請求項15に記載の装置。
【請求項18】
前記DUTには、500mを超える長さを有したファイバが含まれており、
前記処理回路は、
修正された干渉パターンデータを使用して前記ファイバの長さ方向におけるいずれかの箇所における1つ以上の光特性を判別するよう構成されている
ことを特徴とする請求項15に記載の装置。
【請求項19】
前記処理回路は、
修正された干渉パターンデータを使用して1cmないし2cmの分解能でもって前記ファイバの前記箇所を決定するよう構成されている
ことを特徴とする請求項15に記載の装置。
【請求項20】
前記第1の干渉パターンデータ及び前記第2の干渉パターンデータのそれぞれは、静的な位相情報と動的な位相情報とを含み、
前記時間変動成分には前記動的な位相情報が含まれている
ことを特徴とする請求項15に記載の装置。
【請求項21】
前記処理回路は、
前記第1の干渉パターンデータと前記第2の干渉パターンデータとを合成することで実質的に前記静的な位相情報を除去するよう構成されている
ことを特徴とする請求項15に記載の装置。
【請求項22】
前記処理回路は、
前記第1の干渉パターンデータ又は前記第2の干渉パターンデータを修正することで、前記DUTについて取得された干渉パターンデータに影響を及ぼす振動を補償するよう構成されている
ことを特徴とする請求項15に記載の装置。
【請求項23】
前記装置は、波長可変レーザを備えた光周波数領域反射測定装置(OFDR)であり、
前記処理回路は、
前記OFDRにおいて使用されている波長可変レーザに関する非線形性について前記第1の干渉パターンデータ及び前記第2の干渉パターンデータを補償して、補償された第1の干渉パターンデータ及び第2の干渉パターンデータを取得するよう構成されている
ことを特徴とする請求項15に記載の装置。
【請求項24】
前記処理回路は、
前記第1の干渉パターンデータ及び前記第2の干渉パターンデータを周波数領域のデータに変換し、
解析対象となっている前記DUTの一部に対応した前記第1の干渉パターンデータについて第1ウインドウで周波数領域データをキャプチャし、
解析対象となっている前記DUTの一部に対応した前記第2の干渉パターンデータについて第2ウインドウで周波数領域データをキャプチャし、
キャプチャされた前記第1ウインドウでの周波数領域データと前記第2ウインドウでの周波数領域データとを、対応する第1及び第2の位相データに変換し、
前記第1及び第2の位相データを合成する
よう構成されていることを特徴とする請求項15に記載の装置。
【請求項25】
前記第1の経路からの光と前記第2の経路からの光とが共通の参照経路からの光と干渉する
ことを特徴とする請求項15に記載の装置。
【請求項26】
前記第1の経路からの光の偏波と前記第2の経路からの光の偏波とが同一である
ことを特徴とする請求項15に記載の装置。
【請求項27】
前記第1の経路からの光が第1の参照経路からの光と干渉し、前記第2の経路からの光が第2の参照経路からの光と干渉する
ことを特徴とする請求項15に記載の装置。
【請求項28】
前記第1の経路と前記第2の経路の一方又は双方に偏波を安定させる1つ以上の偏波安定部品が設けられている
ことを特徴とする請求項15に記載の装置。
【請求項29】
前記1つ以上の偏波安定部品には、前記第1又は第2の経路の終端に結合されたファラデイ回転鏡が含まれている
ことを特徴とする請求項28に記載の装置。
【請求項30】
前記1つ以上の偏波安定部品には、前記第1又は第2の経路に設けられた偏波ビームスプリッタが含まれている
ことを特徴とする請求項29に記載の装置。
【請求項31】
前記1つ以上の偏波安定部品には、前記偏波ビームスプリッタ又はサーキュレータに結合された前記第1又は第2の経路に前記ファラデイ回転鏡が含まれている
ことを特徴とする請求項30に記載の装置。
【請求項32】
干渉計により生成された干渉パターンデータを処理する方法であって、前記干渉計は、波長可変レーザから所与の光経路と参照光経路とにレーザ信号を供給し、該所与の光経路は関連した経路遅延を有しており、前記所与の光経路かからの反射した光と前期参照光経路からの反射した光とを合成することで干渉パターンデータが生成され、
前記方法は、
前記レーザ信号についての第1のレーザ光位相を推定するステップと、
推定された前記レーザ光位相に基づいて前記所与の光経路について期待された複素応答を算出するステップと、
前記干渉計からの干渉パターンデータと前記レーザ光位相とを乗算することで積を生成するステップと、
前記積をろ波することで、前記干渉計によって生成された前記干渉パターンデータから前記所与の光経路に関連した干渉パターンデータを抽出するステップと
を含むことを特徴とする方法。
【請求項33】
前記所与の光経路は、テスト対象のデバイス(DUT)に関連した光経路である
ことを特徴とする請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記レーザ信号についての第1のレーザ光位相を推定するステップは、
前記レーザ信号の前記レーザ光位相についての遅延バージョンを推定するステップと、
前記遅延バーションと前記第1のレーザ光位相との位相差を決定するステップと、
前記位相差の余弦を算出することで前記期待された複素応答の実数部を形成するステップと、
前記位相差の正弦を算出することで前記期待された複素応答の虚数部を形成するステップと
を含むことを特徴とする請求項32に記載の方法。
【請求項35】
前記期待された複素応答の実数部及び虚数部をローパスフィルタによりろ波して間引くことにより、前記干渉計によって生成された前記干渉パターンデータから前記所与の光経路に関連した干渉パターンデータを抽出するステップ
をさらに含むことを特徴とする請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記レーザ光位相を推定するステップは、
前記レーザ光の一部を第2の干渉計に結合するステップと、
前記第2の干渉計からの干渉縞の信号を、前記干渉縞の信号の標本化形式である、前記干渉パターンデータに対応したデジタル信号に変換するステップと、
を含むことを特徴とする請求項32に記載の方法。
【請求項37】
前記方法は、
前記デジタル信号に基づいて前記レーザ光位相の第1の微分値を推定するステップをさらに含み、
前記第1の微分値を推定するステップは、
前記デジタル信号をフーリエ変換するステップと、
フーリエ変換により得られた信号をウインドウ処理することで、前記所与の光経路における経路遅延に対応した、該フーリエ変換により得られた信号の一部を特定するステップと、
ウインドウ処理により得られた信号を逆フーリエ変換するステップと、
逆フーリエ変換により得られた信号の位相を計算するステップと
を含むことを特徴とする請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記デジタル信号のゼロクロスを特定することで、該デジタル信号に基づいた前記レーザ光位相の第2の微分値を推定するステップと、
前記デジタル信号のゼロクロス間に位置する標本値の数を算出するステップと
を含むことを特徴とする請求項36に記載の方法。
【請求項39】
前記推定されたレーザ光位相に基づいて前記所与の光経路について期待された複素応答を算出するステップは、
前記レーザ光位相の第2の微分値の遅延バージョンを推定するステップと、
前記所与の光経路における経路遅延の長さに対応した累積期間にわたり、前記レーザ光位相の第2の微分値の累積和を算出するステップと、
前記累積和を蓄積するステップと、
蓄積されている前記累積和の正弦を計算することで、前記期待された複素応答の虚数部を形成するステップと、
蓄積されている前記累積和の余弦を計算することで、前記期待された複素応答の実数部を形成するステップと
を含むことを特徴とする請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記期待された複素応答の実数部及び虚数部をローパスフィルタによりろ波して間引くことにより、前記干渉計によって生成された前記干渉パターンデータから前記所与の光経路に関連した干渉パターンデータを抽出するステップ
を含むことを特徴とする請求項39に記載の方法。
【請求項41】
干渉計により生成された干渉パターンデータを処理する装置であって、前記干渉計は、波長可変レーザから所与の光経路と参照光経路とにレーザ信号を供給し、該所与の光経路は関連した経路遅延を有しており、前記所与の光経路かからの反射した光と前期参照光経路からの反射した光とを合成することで干渉パターンデータが生成され、
前記装置は、
前記レーザ信号についての第1のレーザ光位相を推定する手段と、
推定された前記レーザ光位相に基づいて前記所与の光経路について期待された複素応答を算出する手段と、
前記干渉計からの干渉パターンデータと前記レーザ光位相とを乗算することで積を生成する手段と、
前記積をろ波することで、前記干渉計によって生成された前記干渉パターンデータから前記所与の光経路に関連した干渉パターンデータを抽出する手段と
を含むことを特徴とする装置。
【請求項42】
前記所与の光経路は、テスト対象のデバイス(DUT)に関連した光経路である
ことを特徴とする請求項41に記載の装置。
【請求項43】
前記レーザ信号についての第1のレーザ光位相を推定する手段は、
前記レーザ信号の前記レーザ光位相についての遅延バージョンを推定する手段と、
前記遅延バーションと前記第1のレーザ光位相との位相差を決定する手段と、
前記位相差の余弦を算出することで前記期待された複素応答の実数部を形成する手段と、
前記位相差の正弦を算出することで前記期待された複素応答の虚数部を形成する手段と
を含むことを特徴とする請求項41に記載の装置。
【請求項44】
前記期待された複素応答の実数部及び虚数部をローパスフィルタによりろ波して間引くことにより、前記干渉計によって生成された前記干渉パターンデータから前記所与の光経路に関連した干渉パターンデータを抽出する手段
をさらに含むことを特徴とする請求項43に記載の装置。
【請求項45】
前記レーザ光位相を推定する手段は、
前記レーザ光の一部を第2の干渉計に結合する手段と、
前記第2の干渉計からの干渉縞の信号を、前記干渉縞の信号の標本化形式である、前記干渉パターンデータに対応したデジタル信号に変換する手段と、
を含むことを特徴とする請求項41に記載の装置。
【請求項46】
前記装置は、
前記デジタル信号に基づいて前記レーザ光位相の第1の微分値を推定する手段をさらに含み、
前記第1の微分値を推定する手段は、
前記デジタル信号をフーリエ変換する手段と、
フーリエ変換により得られた信号をウインドウ処理することで、前記所与の光経路における経路遅延に対応した、該フーリエ変換により得られた信号の一部を特定する手段と、
ウインドウ処理により得られた信号を逆フーリエ変換する手段と、
逆フーリエ変換により得られた信号の位相を計算する手段と
を含むことを特徴とする請求項45に記載の装置。
【請求項47】
前記デジタル信号のゼロクロスを特定することで、該デジタル信号に基づいた前記レーザ光位相の第2の微分値を推定する手段と、
前記デジタル信号のゼロクロス間に位置する標本値の数を算出する手段と
を含むことを特徴とする請求項46に記載の装置。
【請求項48】
前記推定されたレーザ光位相に基づいて前記所与の光経路について期待された複素応答を算出する手段は、
前記レーザ光位相の第2の微分値の遅延バージョンを推定する手段と、
前記所与の光経路における経路遅延の長さに対応した累積期間にわたり、前記レーザ光位相の第2の微分値の累積和を算出する手段と、
前記累積和を蓄積する手段と、
蓄積されている前記累積和の正弦を計算することで、前記期待された複素応答の虚数部を形成する手段と、
蓄積されている前記累積和の余弦を計算することで、前記期待された複素応答の実数部を形成する手段と
を含むことを特徴とする請求項47に記載の装置。
【請求項49】
前記期待された複素応答の実数部及び虚数部をローパスフィルタによりろ波して間引くことにより、前記干渉計によって生成された前記干渉パターンデータから前記所与の光経路に関連した干渉パターンデータを抽出する手段
を含むことを特徴とする請求項48に記載の装置。
【請求項50】
前記の各手段がフィールド・プログラマブル・ゲート・アレイを使用して実現されている
ことを特徴とする請求項41に記載の装置。
【請求項51】
前記の各手段がソフトウエアによりプログラム化されたデータプロセッサを使用して実現されている
ことを特徴とする請求項41に記載の装置。

【図1】
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【図2a】
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【図2b】
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【図3a】
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【図3b】
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【図3c】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29a】
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【図29b】
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【図29c】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【図44】
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【公開番号】特開2011−7806(P2011−7806A)
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−187589(P2010−187589)
【出願日】平成22年8月24日(2010.8.24)
【分割の表示】特願2007−545714(P2007−545714)の分割
【原出願日】平成17年12月13日(2005.12.13)
【出願人】(507194497)ルナ イノベーションズ インコーポレイテッド (5)
【氏名又は名称原語表記】LUNA INNOVATIONS INC.
【Fターム(参考)】