説明

平坦なダクトシール

【課題】フィールドフローフラクショネーションのための装置用のダクトハウジングの提供。
【解決手段】ダクトハウジングは第1および第2ダクトハウジング部10,70を含み、これらは組み立て状態で互いに対して接続され、とりわけ一定の張力により螺合され、その後シールするようにメンブレン40を取り囲む、メンブレンは、その上面で第1ダクトハウジング部に接触し、この領域において第1ダクトハウジング部は、メンブレンとの平面的な接触によって第1シール領域11aに内側シールをもたらす、組み立て状態においては、第1ダクトハウジング部と第2ダクトハウジング部との間、とりわけ第1ダクトハウジング部の第1シール領域と第2ダクトハウジング部の第2シール領域との間11bに外側シールがもたらされる、外側シールは、例えばこの領域にあるシールエレメント60を介して確保される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はダクトハウジングに関し、とりわけ、フィールドフローフラクショネーション(FFF)または非対称フローフィールドフローフラクショネーション(AF4)用の装置において、好ましくはプレート状の第1ダクトハウジング部、好ましくはプレート状の第2ダストハウジング部を備えるダクトを形成することに関する。この2つのダクトハウジング部は、組み立て状態で互いの上面の上方から位置づけられており、ダクト、好ましくは平坦なダクトを形成し、このダクトは、外部環境に対してシールするように2つのダクトハウジング部の間に配置されるメンブレンによって区画され、ゆえに第1ダクトハウジング部とメンブレンとの間に分離された容積を画定する。
【背景技術】
【0002】
このようなダクトハウジングは、例えばダクト状の中空空間を封止するために設けられ、この場合例えばフィールドフローフラクショネーション(FFF)または非対称フローフィールドフローフラクショネーション(AF4)の間に、ダクト内で流体のフラクショネーションが生じ、それはプレート状の部品およびメンブレンにより区画される。ここで流体のフラクショネーションは、ダクトが良好にシールされる、すなわち、流体のフラクショネーションは一方では外部環境に対して、他方ではダクトハウジングの個々の部品に対して良好にシールされるほど測定結果がより正確および有益となる。
【0003】
公知のダクトハウジングは一般に、組み立て状態において、フラクショネーションに必要な、また互いの上面の上方から位置づけられる複数の部品および/または要素を含むように構成される。一般に、下側ハウジング部として構成される一種の底部にOリングが挿入され、その後フリットが下側ハウジング部の上に設置され、分離メンブレンがフリットの上に設置される。そしてその上にスペーサフィルムが配置され、このフィルムはカットアウトまたは穿孔セクションを含む。このスペーサフィルムのカットアウトセクションは、一種の蓋として構成される上側ハウジング部およびメンブレンと共に、フラクショネーションのために設けられるダクトを形成する。ゆえにスペーサフィルムは、フィルム状の中間層を示す。
【0004】
個々の構成要素はダクトハウジングにおいて、例えば濾過、間隔の保持、ダクト形状の画定などの特定の機能、またはメンブレンの支持機能までをも果たす。シールの目的で、互いの上面に設置されるこれらシールおよび/または分離エレメントは一般に、互いにクランプされる。ここでクランプは、2つのハウジング部の間にスペーサフィルムを介して伝達されている力が加えられるようにして生じる。ここで、他の構成要素も互いに対して均一に圧縮され得る。このハウジング部は、好ましくはプレート状で、とりわけ適切に安定し、かつ可能であれば重厚に構成される。しばしば全体のシールは、互いの上面に上方から配置されるエレメントに非常に高いクランプ力が加えられることによってのみ保証でき、これは例えば多数のネジによって行わなければならない。高いクランプ力はフィールドフローフラクショネーションまたは非対称フローフィールドフローフラクショネーションにおいても要求され、これは装置内部、とりわけ平坦なダクトにおいて、適切であれば5〜15barの範囲で圧力が存在するべきだからである。
【0005】
フィールドフローフラクショネーション用の装置において、この種のハウジングでは内側シールと外側シールとの間で区別され得る。ここで、両方の種類のシールが、上側および下側ハウジング部をクランプすることのみによって、どのように保証され得るかは公知であり、これは以下でフィールドフローフラクショネーション(FFFまたはAF4についても同様)用の装置の例を用いて簡単に説明され得る。スペーサフィルムでは、上側ハウジング部に対してのシールと、メンブレンおよび下側ハウジング部に対してのシールの両方が要求され、カットアウトセクションを取り囲むスペーサフィルムの縁部領域そのものが、上側および下側ハウジング部の間のシールエレメントとして用いられ得る。さらに、Oリングによるフリットと下側ハウジング部との間でのシールも要求される。外部漏出は、流体が外部環境に流出し得る場合の不完全な密閉をいう。このような外部漏出は、例えばスペーサフィルムの上側および/または下側での漏出により、いくつかの場所、すなわち、上側/下側ハウジング部とスペーサフィルムとの間の領域で生じるおそれがある。一方で内部漏出は、ダクトからの流体が、とりわけ上側ハウジング部とスペーサフィルムとの間、または、スペーサフィルムとメンブレンおよび/または下側ハウジング部との間の領域に流入し、クロスフロー容積に流入し得る場合の不完全な密閉をいい、これによって測定が危うくなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記公知の解決手段では、上側および下側ハウジング部の間に強い力が加えられる場合でも、不充分な内側シールまたは外側シールしか達成され得ないということが問題である。また、通常、互いの上面の上方から配置される複数のエレメントの組み立て時に、汚染物質がこれらエレメントの間のどこかに落ちることを排除することができない。これはとりわけ、上側ハウジングとスペーサフィルムとの間、および/またはスペーサフィルムと下側ハウジング部との間のシール領域が大きい場合に当てはまる。また内側を保護するためのシールに作用する力が、外側シールを確保するシールに加えられる力にのみ基づいて調整され得ることも、不都合となるおそれがある。最後に、先行技術の部品を用いた装置においては、シールされなければならない領域が比較的多く形成され、そこでは後に漏出のリスクが生じ得る。通常、相当な出費を伴わなければ、漏出の実際の原因を決定することはできない。例えば、内側への漏出が生じた場合、流体は、スペーサフィルムと上側ハウジング部との間の領域で流出する可能性もあるし、スペーサフィルムとメンブレンとの間の領域で流出する可能性もある。さらに流体は、例えば付加的にメンブレンをフリット上で安定させるために、メンブレンがその上に配置され得るキャリア材料を通して流出するおそれもある。ゆえに、公知のダクトハウジングはしばしば、エラーの分析を可能にするため、および漏出が生じているかどうか、どの領域で漏出が生じているか、また漏出がどの程度まで測定を危うくするかを評価するために、高額な検査工程を受けなければならない。
【0007】
本発明の目的は、簡単な方法で、限外濾過用のメンブレンと上側ハウジング部および下側ハウジング部との間の確実なシールを保証できるダクトハウジングを提供することである。また、ダクトハウジングを、互いの上面に上方から配置されるエレメントの組み立てが先行技術よりも簡素化された方法で可能となるように構成することも本発明の目的である。さらなる本発明の目的は、ダクトハウジングを、所定のシール効果が組み立て中に加えられる力から独立して構造的な方法であらかじめ定められ得るように構成することである。最後の目的は、このようなダクトハウジングを提供することによって、組み立て中のメンブレンまたはキャリア材料の損傷リスクが広範囲に回避され得ることを含む。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的の少なくとも1つは、最初に言及する種類のダクトハウジングにおいて達成され、これは第1ダクトハウジング部に設けられ、環状突出部を含む第1シール領域を含む。この突出部は、第1ダクトハウジング部によって画定され、また組み立て状態においてダクトの第2の面を限定する第1領域から突出してダクトを取り囲み、ここで組み立て状態における第1シールセクションはメンブレンとシール係合されている。
【0009】
したがって、突出部は、メンブレン表面への平面的な圧力によってダクトと外部環境との間で内側シールを作り出すために、第1ダクトハウジング部によって規定される領域に対してオフセットして設けられ、また組み立て状態において、形がぴったり合い、平面上で、シール接触によってメンブレン表面の面と接触する。ゆえにダクトは少なくとも部分的に第1ダクトハウジング部で構成される。
【0010】
例示的な一実施形態によれば、ダクトハウジングは、組み立て状態において突出部がメンブレンを圧縮するように構成されてもよい。ここでダクトハウジングはとりわけ、突出部が、組み立て状態で加えられる圧力から本質的に独立して、構造的なデザインによってあらかじめ定められた押し込み深さにより表面を圧縮できるように設計され得る。ゆえにこの突出部は、おそらくは段状、つば(collar)またはフランジの形状で、または第1ダクトハウジング部の隣接する面または複数の面に関して外形が凸状の形状である、幾何学的に突出しているセクションの種類に関する。
【0011】
この突出部はそれゆえメンブレンをシールするように係合するために設けられ、ダクトおよびそれに伴い分離された容積を画定する。ダクトはそれゆえ第1ダクトハウジング部で突出部によって画定され、また押し込み深さによっては、突出部は組み立て状態において形成される分離された容積の大きさに影響する。ゆえに、一方で本発明の利点は、先行技術のスペーサフィルムなどの、分離したダクトを形成するエレメントが免除され得るので、組み立てが容易になるということにより現れる。それゆえもはやスペーサフィルムを正確に位置付ける必要がなく、組み立て中にメンブレンを損傷するリスクは大部分は除かれ得る。また、シールされるセクションの数が減少され得るので、第1ダクトハウジング部が直接メンブレンの上に作用し得る。上側ハウジング部とスペーサフィルムとの間および/またはスペーサフィルムと下側ハウジング部との間の、広い面積のシール領域はもはや必要ない。汚染物質がダクトハウジングおよび/またはシールの領域に到達するリスクは、組み立て中に効果的に減少され得る。
【0012】
狭い環状のシール面は突出部によって形成され得る。とりわけ、わずかな圧縮で高い圧力がシール面の面積においてメンブレンの上に加えられるように、シール面は非常に狭く、ほぼ線形のように構成され得る。
【0013】
ゆえに突出部上への圧力を介して、内部に対するダクトの内側シールを提供できる。この突出部は丸みを帯びた断面外形を有してもよいし、傾斜縁部を備えられてもよい。組み立て状態においてこのようなデザインの突出部は、メンブレンが連続しておよび/または途切れずに突出部に接触する一方で、メンブレンが周囲の流体により膨らむ場合であってもメンブレンへの切り込みの心配がないように、メンブレンの表面を押圧する。
【0014】
ここで、「内側の」および/または「内部に向かって」とは、ダクトに対して向くことをいい、「外側の」および/または「外部に向かって」とは、外部環境に対して向くことをいう。
【0015】
各ダクトハウジング部はプレート状に構成されてもよく、またダクトハウジング部はダクトの半分と称されてもよい。
【0016】
一実施形態によれば、突出部は第1ダクトハウジング部でひし形状の外形、すなわち凸状三角形を表し、これはダクトを画定する。シールはゆえにメンブレン表面でダクトの縁部に直接、狭く、線形の領域において確保され、2つのダクトハウジング部の間の広い面積のセクションには亘らない。
【0017】
第1ダクトハウジング部は、ひし形の2つの対角線の交点に配置される個々のポートまたは通路を有してもよい。第1ダクトハウジング部はまた、3つの通路を示し得る。すなわち、1つの通路はひし形の2つの対角線の交点に配置され、他の2つの通路は、ひし形の対称軸に相当するひし形の対角線の少なくともほぼ角の領域に配置される。
【0018】
例示的な実施形態によれば、第1ダクトハウジング部は上記2つの通路を除いたダクトの領域において、閉鎖された第1ダクトハウジング部として構成され、これは組み立て状態においてダクトを外部に対して限定する。
【0019】
また、第1ダクトハウジング部は、第2ダクトハウジング部に直接クランプすることができ、ここで発生される力は、メンブレンには伝達されない。このようにして、とりわけ内側シールの領域におけるシール効果は、組み立て中に加えられる力から独立して達成され得る。
【0020】
例示的な一実施形態によれば、第1ダクトハウジング部および第2ダクトハウジング部は、組み立て状態において少なくとも部分的に互いに直接接触するように構成される。
【0021】
このようにして、ダクトハウジング部は少なくとも接触領域および/または隙間を有さない各接触面の領域において、少なくとも部分的に、組み立て状態で互いに接触し得る。この配置によって、過度な力がメンブレンまたはフリット上に加えられることが防がれ得る。第1ダクトハウジング部と第2ダクトハウジング部との間の接触面は、第1ダクトハウジング部および/または第2ダクトハウジング部の縁部領域において形成され得る。しかしながら接触面は、環状の上述した突出部の外部に配置される外側突出部で形成されてもよい。接触領域はゆえに組み立て状態において、加えられる接続の力が本質的に伝達される領域を表すことができる。ダクトハウジングはそれゆえ、この接触面の領域でのみ、張力を避けるために許容誤差が関係する表面の質および寸法に適合されればよいので、コスト効率に優れた方法で製造され得る。
【0022】
外側突出部は第1ダクトハウジング部に設けられ、ダクトハウジングの組み立て状態において第2ダクトハウジング部の溝状の凹部と係合してもよい。この場合、外側突出部の下側は接触面を形成する。任意には、接触面は溝状の凹部そのものにも形成され得る。このようにして、組み立て中の第1ダクトハウジング部の第2ダクトハウジング部に対する単純なセンタリングが容易に可能となり、ダクトハウジング部の互いに対する整列配置(alignment)が容易になる。
【0023】
一実施形態によれば、第1ダクトハウジング部および/または第2ダクトハウジング部は、ダクトハウジング部から突出する段部(stop)を含む。この段部により接触領域が画定され、第1ダクトハウジング部は、第1ダクトハウジング部と第2ダクトハウジング部との間に加えられるあらゆる接続の力が本質的には段部を介してガイドされるように、組み立て状態において第2ハウジング部に接触し得る。
【0024】
このようにして、とりわけ、支持領域の配置、第1シール領域における突出部およびメンブレンの厚さによって、第1シール領域が組み立て状態でどの程度までメンブレンを圧縮するかが決定され得る。
【0025】
第1ダクトハウジング部および第2ダクトハウジング部は、上面図で外側突出部を表す外形と少なくともおよそ一致する形状を有する領域を含んでもよい。接続エレメントは、互いに同じ距離だけ離れて外側突出部の環状の線全体に沿って設けられてもよいし、外側突出部および段部から同一の距離だけ離れて外側突出部の外部に設けられてもよく、これにより接続エレメントに容易にアクセスできる。このようにして、第1ダクトハウジング部を第2ダクトハウジング部に対してセンタリングする間に、または2つのダクトハウジング部を結合する間に、第1ダクトハウジング部を第2ダクトハウジング部に接続する力が可能な限り均一に形成され、突出部上に分配される。
【0026】
例示的な一実施形態によれば、ダクトハウジングは第2シール領域を含み、ここで第1シール領域は第1ダクトハウジング部に設けられ、第2ダクトハウジング部の第2シール領域は、外側シールのために第1および第2ダクトハウジング部の間で直接シール接続をもたらす目的で、組み立て状態において第1シール領域と協働する。外側シールは、2つのダクトハウジング部の間で直接、または間に置かれたシールエレメントを介して確保され得る。例示的な一実施形態によれば、組み立て状態において第2シール領域では、シールエレメントはOリングなどの円形のシールエレメントの形状で設けられる。シールエレメントは例えば、その半径方向に外側を向く面および半径方向に内側を向く面によって、第1および第2ダクトハウジング部に接触してもよい。
【0027】
第2シール領域は、第1シール領域から分離されて配置され、また独立したシール原理に基づく。
【0028】
例示的な一実施形態によれば、第2シール領域において段部が設けられ、ここで好適には環状のシールエレメントを収容するために、第2シール領域は外部に向かって横方向に突出する。組み立て状態において、シールエレメントはシールするように第1シール領域および第2シール領域のそれぞれに接触し得る。シールエレメントはここで、フリットまたは他の構成要素によって損傷されるリスクが大部分は取り除かれ得るように取り付けられ得る。
【0029】
例示的な一実施形態によれば、上述の外側突出部は第1ダクトハウジング部に配置され、溝状の凹部は第2ダクトハウジング部に設けられて外側突出部を収容するので、この2つのダクトハウジング部の画定された配置は、とりわけ単純なデザインで、かつ効果的な形態で互いに対して達成され得る。
【0030】
例示的な実施形態によれば、第1シール領域は、外側突出部の内側の側壁によって形成される。
【0031】
本発明によれば、ダクトハウジング部はフィールドフローフラクショネーション装置のダクトハウジングに設けられてもよく、この場合組み立て状態でダクトハウジング部が他方のダクトハウジング部の上に置かれ、共にダクト、好ましくは平坦なダクトとして構成されるダクトを形成する。このダクトは、その片側が2つのダクトハウジング部の間に配置され外部に対してシールするメンブレンによって限定され、これによりダクトハウジング部とメンブレンとの間に分離された容積が形成される。ここで第1シール領域は円形の突出部を含んで設けられており、この突出部はダクトハウジング部によって、また組み立て状態においてはダクトの第2の面によって画定される第1領域から突出し、また組み立て状態においてメンブレンとシール係合しダクトを取り囲むことが想定される。
【0032】
本発明によれば、本発明によるダクトハウジングの組み立ては3つの工程で行われてもよく、ここでダクトハウジングは互いの上面に上方から配置されるエレメントから形成され、とりわけ第1ダクトハウジング部および第2ダクトハウジング部、メンブレンおよびシールエレメントを含む。またこのダクトハウジングは、
−第1工程において、互いの上面に上方から配置されるエレメントが、互いに対して整列(aligned)され、第1ダクトハウジング部の下にはメンブレンが直接配置されていること、
−第2工程において、第1ダクトハウジング部および第2ダクトハウジング部が一緒に押し込まれ、接触エレメントを介して第1の力により互いに接触させられ、ここで第1の力は、外部環境に対する外側シールがすでにシールエレメントを介して外部に向かって形成され得るように加えられていること、および
−第3工程において、接続エレメントは、第1ダクトハウジング部および第2ダクトハウジング部が、第1の力よりも大きく設定された力によって互いに対して押圧されるように定められ、その結果メンブレンと第1ダクトハウジング部との間に内側シールが形成され得ることを特徴とする。接続エレメントとしてはネジが用いられてもよく、これは所定のトルクで締め付けられる。
【0033】
以下の図面に、先行技術に関する詳細な情報および好適な実施形態の付加的な説明に基づいて、本発明をより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】平坦なダクト用の、従来技術のダクトハウジングを分解図で示す斜視側面図である。
【図2】スペーサフィルムがメンブレン上に置かれる領域における、先行技術のダクトハウジングの詳細を示す断面図である。
【図3】本発明の好適な実施形態によるダクトハウジングを分解図で示す斜視側面図である。
【図4】図4aは図3の好適な実施形態による第1ダクトハウジング部での突出部および外側突出部を示す斜視側面図であり、図4bは図4aの拡大図である。
【図5】図3の実施形態による第1ダクトハウジング部の下面図である。
【図6】図3の実施形態による第1ダクトハウジング部での、突出部を有する第1シール領域および第2シール領域の部分的な、詳細な断面図である。
【図7】組み立て状態における図3の好適な実施形態によるダクトハウジングの縁部セクションの断面図である。
【図8】a)〜c)は、鋭い縁部を有する突出部の動作を示す概略断面図であり、d)〜f)は、本発明の好適な実施形態による封止原理を直接対比した概略断面図である。
【図9】本発明の好適な実施形態による、突出部ならびにその構造およびメンブレンに対する配置を詳細に示す拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
図1に示す従来技術によるダクトハウジングは、上側ハウジング部1、スペーサフィルム30、メンブレン40、フリット50、シールエレメント60および下側ハウジング部7を含み、これらは列挙した逆の順番で互いの上面に組み立てられおよび/または取り付けられ得る。スペーサフィルム30は、組み立て状態でダクト20を形成するカットアウトセクションおよび/または凹部を含む。図1においてダクト20は、不等辺四角形、すなわちほぼ不等辺四角形状の体積として認識できる。ダクト20はフィールドフローフラクショネーション用に、分離された容積を形成する。先行技術のダクトハウジングの組み立ての間に、スペーサフィルム30は、図1に示すように、螺合される2つのハウジング部1、7の間に設置される。スペーサフィルム30はさらに組み立て状態において、通常限外濾過膜として構成されるメンブレン40上に置かれ、組み込まれた位置においても、今度は一般にシンタード・メタルで作製されるフリット50によって支持される。フリット50はその周りを取り囲むシールエレメント60と共に下側ハウジング部7上に載置され、シールエレメント60はここではシールリングとして図示される。
【0036】
列挙される構成要素は組み立て状態において互いにクランプされる。ゆえに、上述した全ての構成要素が上側ハウジング部1と下側ハウジング部7との間に配置される一種のサンドイッチ構造を表す。接続のために設けられるネジを締め付けることによって、スペーサフィルム30は圧力下で、上側ハウジング部1および下側ハウジング部7の両方に、シール状態で接触する。このために、スペーサフィルム30の外周縁部は、両側でシール面31を示し、上側ハウジング部1および下側ハウジング部7をシールする。
【0037】
フィールドフローフラクショネーションの間、図示されていないが、クロスフローがメンブレン40、フリット50および続いて下側ハウジング部7の孔によってダクト20の外へガイドされる。しかし分離される流体成分および/または粒子はメンブレン40を通過できず、流体部分と共にダクト20に残り、ダクト20の端部に備えられる出口により流出する。ここでフィールドフローフラクショネーションに要求される条件は、好ましくは5〜15barの圧力である。溶媒および試料成分のどちらもが流出できないように、組み立てられたハウジングおよび/またはダクト20でのシール領域はこのような圧力に耐えなければならない。漏出の場合には、外側の漏出と内側の漏出とが区別されなければならない。
【0038】
外側への漏出の場合、液体は、例えばメンブレン40の下の領域から外部環境に流出する。これはとりわけ、ネジが弱かったり、不規則に締め付けられたりした場合、シールエレメント60が損傷している場合、または下側ハウジング部7が損傷している場合に起こる。また潜在的な原因には、スペーサフィルム30と上側ハウジング部1との間のシールの失敗も含まれる。このケースは、とりわけ塵や毛髪などの汚染物質が、シール領域31と上側ハウジング部1の底との間に入り、シール領域31全体の充分なシールを妨げる場合に起こる。また、漏出はスペーサフィルム30と下側ハウジング部7との間でも起こるおそれがある。
【0039】
一方で、内側の漏出はダクト20からの漏出と考えられ、これは流体を、上側ハウジング部1の底部とスペーサフィルム30との間、またはスペーサフィルム30とメンブレン40との間に到達させる。ここで、漏出フローは流体フローに到達し、そこで共に排出される。この場合漏出および/または漏出の原因を検知することはとりわけ困難である。というのも、ダクト20の外部での流体の排出は通常観察され得ないからである。このような損傷したシールは、おそらくは非常に弱まった、または完全に失われた検知信号によって、間接的に判明し得るのみであるが、このとき試料は永遠に失われる。内側のダクト容積またはフロー方向におけるメンブレンに関して下流の領域への圧力センサの取り付けは、異なる圧力を認識することによってこのような漏出を検知し得る。しかしながら、微少な漏出の場合、圧力の低下は通常圧力センサの許容誤差を下回るので、ほとんどの場合検知されないままとなり、結果として悪い測定結果を伴う。このようにして漏出は、スペーサフィルム30の下または上で起こり得る。
【0040】
図2からメンブレンは、濾過層401およびキャリア材料402からなる複合膜40aとして設けられてもよいことが認識できる。スペーサフィルム30と、メンブレン40および/または濾過層401との間の領域、および/または、上側ハウジング部1とスペーサフィルム30との間の領域への流体の浸透は、上述のように一方ではシール領域31によって防がれるべきであって、このため上側ハウジング部1は、強力なクランプ力で下側ハウジング部7に対して螺合されなければならない。また他方では、スペーサフィルム30の下のシール効果はバリ32によって向上されるべきであって、これはスペーサフィルム30の製造中、すなわち、例えばナイフ、または現代のレーザ切断によってダクトを形成するセクションに切り込みを入れる際に作ってもよい。このバリ32は、上側ハウジング部1および下側ハウジング部7が互いに対して押し付けられる際に濾過層401に圧入され、これはバリ32がメンブレン40および/または複合膜40aの濾過膜401に切り込むように、スペーサフィルム30と濾過層401との間の領域におけるシール効果をサポートするであろう。このバリ32は、一般には数十ミリメートルの範囲の厚さのみを有して構成されるが、ハウジング部1、7の間に高い圧力が加えられる場合には、バリ32は濾過層401全体の深さを通して切り込み得る。しかし複合材料のキャリア材料402は傷つかないかもしれないが、バリ32は強制的に、正確な寸法を有して構成されるべきである。
【0041】
図1および図2に示されるシール原理の欠点は、例えば、スペーサフィルム30の製造中にバリ32が副産物として生じるという事実、および一般にバリ32の形状および厚さを正確に調整することは不可能だという事実に起因する。とりわけ、レーザおよび/またはナイフによる切り込みの方向の変化の間に生じるおそれのある、ずれまたは厚さが厚くなることは、一様でないバリ32を導き、ゆえにこのシール原理の欠陥に導く。また、この補助的なシール原理の効果は、正確に評価および予め判断できない。仮にバリ32が不充分な厚さを伴って構成される場合には、例えば充分なシールは均等なさらに高圧の圧縮によって達成され得るが、あるときはバリ32はその後キャリア材料402に貫入することもあるだろう。ゆえにバリ32は決して厚く構成されすぎてはならず、これはさもなければバリ32が、溶媒および試料が透過可能なキャリア材料402全体に切り込むからである。これはシールするどころか、大量の漏出を発生させる。
【0042】
さらに、欠点は最適な組み立てに必要な要件および/または経験に関しても起こる。溶媒に浸潤されているメンブレンの濾過層401は20〜60μmだけ膨らむので、メンブレン40は、バリ32の過度に深い切り込みを防ぐために、好ましくは湿潤状態で取り付けられる。しかしながら、これはより高度なユーザの取り扱いの注意を必要とする。というのも、湿潤メンブレンはフリット50上で滑り、および/または浮動により制御不能にスライドするからである。メンブレン40および/または複合膜40aを触れることなくこれらを正確な位置に維持することは、ダクトハウジングを組み立てる際には非常に重要である。しかしながら複合膜40aは、例えばシールエレメント60(図1参照)に接触する際に、すでにこのような接触だけで傷つけられ、その場合もはや適切にシールすることはできない。通常このような損傷は起動操作の際にのみ検知でき、これは時間を必要とするとともに多数の修正作業を必要とする。
【0043】
図3は本発明によるダクトハウジングの好適な実施形態を示し、第1ダクトハウジング部10、メンブレン40、フリット50、シールエレメント60およびダクトハウジング部70を含む。組み立て状態において第1ダクトハウジング部10は、メンブレン40のメンブレン表面42上に直接置かれ、すなわちここでは、スペーサフィルムまたはその他ダクトを形成するあらゆる分離部品は存在しない。しかしながら図3に示される好適な例示的実施形態において、ダクト20は、本質的に第1ダクトハウジング部10によって形成され、および/または第1ダクトハウジング部10に一体化される(図6参照)。第1ダクトハウジング部10を介してダクト20および/または分離された容積を画定することによって、第1ダクトハウジング10とメンブレン40との間のただ1つの線形シール、および第1ダクトハウジング部10と第2ダクトハウジング部70との間の外側シールで確保されればよいように、シール面および/またはシールされるべきセクションが省かれ得る。
【0044】
図4aおよび図4bならびに図5は、底部からの第1ダクトハウジング部10を示し、内側突出部13によって限定されるダクト20を開示する。突出部13の内側には第1領域101が形成され、内側突出部13の外側には第2領域102が形成され、ここに内側突出部13が当接する。図5、図6および図7では、第2領域102が内側突出部13と外側突出部12との間に位置づけられ、第1領域101が位置づけられる高さに対して少なくともほぼ平行な高さに位置づけられることが認識できる。図6で詳細に示されるように、内側突出部13は第1領域101および第2領域102からの帯状のオフセットである。孔14は第1ダクトハウジング部10において認識でき、これら孔14は外側突出部12に沿って外側突出部12の外側に配置される。図5から、孔14は接続エレメントを収容するために、互いにおよび外側突出部12からほぼ同一の間隔だけ離れて配置されていることが容易に認識できる。第1ダクトハウジング部10のジャケット領域の外側およびそれに隣接する場所において段部15の形状で縁部が設けられ、これにより第1ダクトハウジング部10および第2ダクトハウジング部70が互いに接触し得る。この段部15は環状の帯として縁部領域に形成され、凹部16の領域でのみ中断される。凹部16はここでは、孔または外側突出部12の前のカットアウト端部(cut-out ending)の形状で備えられる。
【0045】
ダクト20の2つのテーパエンドには、第1ダクトハウジング部10において、図5に参照符号「17a」および「17b」によって示すように、孔状の通路が各々設けられる。一般に、通路17aが入口ポートとして用いられ、通路17bが出口ポートとして用いられているこれら通路17aおよび17bは、図3にも示される。さらに図5で参照符号「17c」により示されるように、必要な場合には、ダクト20の最も幅広の領域に、とりわけ試料の注入のための別の孔のような通路が設けられてもよく、この付加的な通路17cは図3でも認識できる。
【0046】
図6には、どのようにして外側突出部12が好適に構成されるかが詳細に示されている。外側突出部12は、ダクト20に向かう方向を向く内側傾斜部122aを含む。このようにして、シールエレメント60(図3参照)はダクトハウジング部の組み立ての際に、正確な位置に圧入される。さらに外側突出部12は、内側傾斜部122aとは反対に傾斜している外側傾斜部122bを含む。ゆえに外側突出部12は、端部に向かって先細になる。外側突出部12によって、本質的には第1ダクトハウジング部10を第2ダクトハウジング部70に対してセンタリングするという目的が対処されるが、この外側突出部12は少なくとも部分的に第2シール領域11を形成し、ここにシールエレメント60(図7参照)が配置され得る。
【0047】
また図6には、どのようにして内側突出部13が構成され得るかが示される。突出部13は本質的に、プレス領域103を有する第1シール領域11aおよび内側傾斜部105を画定する。第1シール領域11aは、とりわけメンブレン40(図7参照)が配置される水平面に対して直交する方向において、第2シール領域11bから離間される。第4領域107は、第1ダクトハウジング部10の底部において、第2領域102と隣接し、かつ第2領域102に対してほぼ垂直に構成される。示される例示的な実施形態において、メンブレン40およびフリット50のための収容空間Hが設けられ、これはとりわけ図6において認識できるように組み立て状態において、第1ダクトハウジング部10、とりわけ本質的には第1領域101および第2領域102ならびに第4領域107によって、横方向および上部に対して限定されている。また図7に示されるように、収容空間Hは第2ダクトハウジング部70によって、底部に対して限定されている。
【0048】
図7において構成要素は組み立て状態で示され、ここでは第1の組み立て工程の状態が示されており、それによれば第1ダクトハウジング部10および第2ダクトハウジング部70は、まだ最終的には互いに対して圧力を加えられていない。図7の説明図では外側のシールは、シールエレメント60によって第2シール領域11bに作り出されているが、第1シール領域11aにおいて突出部13はメンブレン40上に置かれているだけであって、すなわち突出部13はメンブレン40を圧縮せずにメンブレン40の表面に接触する。さらに段部15によって接触領域151が形成されることが認識でき、これは第1ダクトハウジング部10の底部の残りの部分に対して突出し、また第1ダクトハウジング部10に対して比較的狭く構成される。これは、第2ダクトハウジング部70での第1ダクトハウジング部10の隙間のない配置に対して良好な公差値をもたらし、またとりわけ構造的な方法で押し込み深さを可能な限り正確にあらかじめ定めるために、小さな領域のみを処理されればよいようにするためである。
【0049】
一実施形態によれば、組み立て状態において第1ダクトハウジング部10は、メンブレン40および/またはフリット50のあらゆる位置ずれが取り除かれ得るように、一種の側壁として構成される第4領域107でメンブレン40およびフリット50を横方向に限定する。組み立て状態において、図示されるように、ここで、第4領域107とフリット50および/またはメンブレン40との間に自由領域が生じてもよい。しかしながら、第1ダクトハウジング部10によってフリット50のための一種のセンタリングが生じるように、第4領域107が、フリット50および/またはメンブレン40に近接して配置されること、またフリット50および/またはメンブレン40に直接接触することも可能である。
【0050】
第1ダクトハウジング部10とメンブレン40との間のダクト20によって分離された容積が形成されている一方で、第2ダクトハウジング部70を向くフリット50の領域においてはクロスフローおよび/またはクロスフローのデッドボリュームTが形成され、その上にメンブレン40が配置される。図7に示される組み立て状態において、外側突出部12はすでに、第2ダクトハウジング部70の溝状の凹部72と係合する位置にある。この凹部72は2つの対向する領域、すなわち内側の溝領域721および外側の溝領域722によって限定され、外側突出部12は、これらの領域によってガイドされ、および/またはセンタリングされる。シールエレメント60は段部75で第2ダクトハウジング部70に配置される。段部75は、外側突出部12外側に向かう方向において横方向を向く第2シール部71によって限定され、またシールエレメント60が接触し得る段部領域751によっても限定される。シールは第2シール部71を介して、また段部領域751を介して生じ得る。これはシールエレメント60が接触する、第1ダクトハウジング部10のこの2つの領域にも適用される。
【0051】
ダクトハウジングをシールするために、第1工程において、第1ダクトハウジング部10および第2ダクトハウジング部70は互いに対して対向するように設置される。このために、ダクトハウジング部70ではシールエレメント60が段部75に挿入され、続いてメンブレン40を有するフリット50が第2ダクトハウジング部70の上に配置され得る。ここで要求されることは第1ダクトハウジング部10を取り付けることのみであり、すなわち、もはやメンブレン40または第2ダクトハウジング部70に対してスペーサフィルムを揃える(align)ことは要求されない。組み立てはゆえに、第1ダクトハウジング部10における外側突出部12、およびこれに対応する、第2ダクトハウジング部における溝状の凹部72によって容易になり、ここで第1ダクトハウジング部10は第2ダクトハウジング部70に対して正しく揃えられる(align)。このようにして、組み立て中のメンブレン40と突出部13との間の相対運動は、大部分は除かれ得る。
【0052】
その後、第2工程において接続エレメント80が設けられ、2つのダクトハウジング部10、70が位置付けられる。ここでOリングの形状で構成されているシールエレメント60は、このときダクトハウジング部10、70の間に固定されて位置付けられ、接続エレメント80(図3参照)のわずかな締め付けの下で外部に対するシール、すなわち第2シール領域11bにおけるシールをすでに引き起こす。内側傾斜部122aと、組み立ての際にシールエレメント60を正しい位置で段部75に圧入するためにシールエレメント60のガイドとして機能する内側側面部121(図6)とによる閉鎖の際に、潜在的に不正確に挿入されているシールエレメント60はここで、外側突出部12によって自動的に正しい位置へ移動させられ得る。
【0053】
別の工程では、内部に対するシール、すなわち第1シール領域11aにおけるシールが、接続エレメント80の完全な締め付けによって達成される。このために、内部に位置付けられ、おそらくはまだ乾いた状態のメンブレン40に内側突出部13は押し付けられる。ここでの寸法および/または許容誤差は、第1ダクトハウジング部10および第2ダクトハウジング部70が、隙間なしに接触領域15によって互いに接触し得るように定められ、ここでメンブレン40は目的通りに突出部13によって圧縮される。この場合も、外部に対するシールは依然として変わらない。ここで押し込みの深さは、様々な構成の寸法、例えば段部15の高さによって、あらかじめ定められ得る。このようにしてメンブレン40が、第1ダクトハウジング部10を第2ダクトハウジング部70に締め付けるために加えられる力の特定量からは独立し、過度に圧縮されたり、さらには切り込まれたり貫通されたりしないことが保証され得る。さらに、ダクトハウジング部10、70は、隙間なしに互いに接触するとすぐに目的の押し込み深さが達せられるので、視覚による制御も可能である。接続エレメント80は、ネジとして構成されている場合には、例えば、最大で4Nmのトルク・レンチで締め付けられ得る。接続エレメント80によって加えられる力および/または第1ダクトハウジング部10から第2ダクトハウジング部70へ直接には伝達されない力の一部は、このときメンブレン40の表面の小さな部分にのみ影響を及ぼし、この力はダクト20が内部に対して効果的にシールされ得るように、第3領域103および場合によっては環状の突出部13の内側傾斜部105も介してメンブレン40に伝達される。
【0054】
本発明によるダクトハウジング1はそれゆえ容易に組み立てられ、また2工程のシール原理により、必要とされる力および/または圧力が従来技術よりも少ない。また、例えば異なる厚さを有するメンブレン40の場合、第1ダクトハウジング部10と第2ダクトハウジング部70との間の特定の距離は、とりわけ第1ダクトハウジング部10と第2ダクトハウジング部70との間のスペーサを介して実現されてもよく、このスペーサは例えば段部15および/または接触領域151に配置されるべきである。
【0055】
図8a〜図8cは、スペーサフィルムにバリを有する従来技術から公知のダクトハウジングによって教示されるように、突出部13が鋭い縁部を有して構成された場合に、メンブレン40がどのように圧力を加えられるかを示す。このような場合、メンブレン40の押し込まれた領域は、突出部13の縁部によりメンブレン40の残りの部分から切断されるおそれがあり、最悪の場合には、フリット50中へと深く押し込まれて内側の漏出を招く。図8cから、膨張したメンブレン40の場合でも、鋭い縁部側面の場合にはシールが不可能となるおそれもあり、その結果流体Fが突出部13の両側から生じ得ることが認識できる。
【0056】
これとは反対に、図8d〜図8fは、突出部13が本発明によって構成される場合、ゆえに少なくとも内部に向かって傾斜部または面取りを含む場合に、メンブレン40がどのように圧力を加えられるかを示す。ここではメンブレンが、メンブレン表面が噛み合うことなく押し込まれることが認識できる。とりわけ図8eは、本発明によれば突出部13をそのプレス領域103の縁部に沿って正確に丸みを帯びさせ、または傾斜をつけることによって、メンブレン表面を傷つけることなくメンブレン40のシール圧縮およびおそらくはフリット50のシール圧縮をもが達成され得るということが示されることを表す。またこれは、膨張したメンブレン40(図8f参照)にも適用できる。
【0057】
したがって内側突出部13は内側傾斜部105を設けられ、この内側傾斜部105は、図9で認識できるように、内側突出部13でのメンブレン表面42の内側側面104へのシール係合のために設けられる第3領域103と接触する。図9の詳細な説明図は、組み立て前の状態における第1ダクトハウジング部10のメンブレン40に関する位置を示し、ここで突出部13は、まだメンブレン40を著しくは押し込んでいない。ゆえに組み立てが完了した状態において、第1シール領域11aは、第3領域103だけでなく、少なくも部分的には傾斜部105によっても形成される。
【0058】
ここで第1ダクトハウジング部10が第2ダクトハウジング部70にクランプされると(図3参照)、突出部13、とりわけ第3領域103がメンブレン表面42の上に押し付けられ、一定の押し込み深さが生じ、これによってメンブレン表面42がフリット50の方向へと押し付けられる。メンブレン40およびフリット50の押し込み深さおよび実施形態および/または一貫性によって、ここで一定の圧力が生じ、これにより外部環境に対するダクト20の充分な内側シールが保証され得る。ここで、必要であれば、メンブレン40に加えてフリット50も所定の量だけ圧縮され得る。
【符号の説明】
【0059】
1 上側ハウジング部
7 下側ハウジング部
10 第1ダクトハウジング部
101 第1領域
102 第2領域
103 第3領域(プレス領域)
104 内側側面領域
105 内側傾斜部
106 外側側面領域
107 第4領域
11a 第1シール領域
11b 第2シール領域
12 外側突出部(ガイド・エッジ)
121 (内側の)第1シール部
122a 内側傾斜部
122b 外側傾斜部
13 突出部(環状の外形)
14 第1ダクトハウジング部における穴
15 段部(縁)
151 段部領域
16 凹部
17 通路
18 第1ジャケット領域
20 ダクト
30 フィルム
31 スペーサフィルムと上側および/または下側ハウジング部との間のシール領域
32 バリ
40 メンブレン
401 濾過層
402 キャリア材料
40a 複合膜
41 スペーサフィルムとメンブレンとの間のシール領域
42 メンブレン表面
50 フリット
60 シールエレメント
70 第2ダクトハウジング部
71 第2シール部
72 溝状の凹部(ガイド溝)
721 内側の溝領域
722 外側の溝領域
75 段部(外側の封止のための封止段部)
751 段部表面
78 第2ジャケット領域
80 接続エレメント
F 流体
H 収容空間
T メンブレンの下の容積(クロスフローのデッドボリューム)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
好適にはプレート状の第1ダクトハウジング部(10)および好適にはプレート状の第2ダクトハウジング部(70)を有するフィールドフローフラクショネーション装置用のダクトハウジングであって、
前記2つのダクトハウジング部(10、70)は組み立て状態において互いの上面を覆って位置づけられ、好適には平坦なダクトとして構成されるダクト(20)を形成し、該ダクト(20)は、外部に対してシールする前記2つのダクトハウジング部(10、70)の間に配置されるメンブレン(40)によって第1側面において限定され、これにより前記第1ダクトハウジング部(10)と前記メンブレン(40)との間に分離容積が定められ、
前記第1ダクトハウジング部(10)に設けられる第1シール領域(11a)と、
前記第1ダクトハウジング部(10)により画定され、かつ、組み立て状態では前記ダクト(20)の第2側面を限定する第1領域(101)から突出し、前記ダクト(20)を取り囲む環状突出部(13)とによって特徴付けられ、
前記第1シール領域(11a)は、組み立て状態においてシールするように前記メンブレン(40)と噛み合うダクトハウジング。
【請求項2】
前記ダクトハウジングが、前記突出部(13)が組み立て状態で前記メンブレン(40)を押し込むように構成されている請求項1記載のダクトハウジング。
【請求項3】
前記第1ダクトハウジング部(10)および前記第2ダクトハウジング部(70)が、組み立て状態で、少なくとも部分的に互いに直接接触するように構成されていることを特徴とする請求項1または2記載のダクトハウジング。
【請求項4】
前記突出部(13)が、前記ダクト(20)に向かって内側を向く内側傾斜部(105)または面取りと、前記突出部(13)を前記メンブレン(40)上で押し付ける第3領域(103)とを含む請求項1〜3のいずれか1項に記載のダクトハウジング。
【請求項5】
第1シール部(121)が前記第1ダクトハウジング部(10)に設けられ、第2シール部(71)が第2ダクトハウジング部(70)に設けられる第2シール領域(11b)に特徴付けられ、該第2シール部(71)が、外側シールのために前記第1ダクトハウジング部(10)および前記第2ダクトハウジング部(70)の間で直接シール接続をもたらすために、組み立て状態において前記第1シール部(121)と協働する請求項1〜4のいずれか1項に記載のダクトハウジング。
【請求項6】
段部(75)が前記第2シール領域(11b)に設けられており、ここで前記第2シール部(71)は、好適には外側を向く、好適には環状のシールエレメント(60)を収容するように構成され、組み立て状態の前記シールエレメント(60)は前記第1シール部(121)および前記第2シール部(71)のそれぞれにシールするように接触する請求項5記載のダクトハウジング。
【請求項7】
前記突出部(13)の外部に配置され、前記第1ダクトハウジング部(10)で前記ダクト(20)を取り囲む外側突出部(12)と、前記第2ダクトハウジング部(70)に配置され、前記外側突出部(12)を収容する溝状の凹部(72)とを有する請求項1〜6のいずれか1項に記載のダクトハウジング。
【請求項8】
前記第1シール部(121)が、前記外側突出部(12)の内側の側壁によって形成されていることを特徴とする請求項6または7記載のダクトハウジング。
【請求項9】
フィールドフローフラクショネーション装置のダクトハウジング用のダクトハウジング部(10)であって、組み立て状態において前記ダクトハウジング部(10)は別のダクトハウジング部(70)の上に置かれ、該別のハウジング部(70)と共に好適には平坦なダクトとして構成されるダクトを形成し、該ダクトは、外部に向かってシールする前記2つのダクトハウジング部(10、70)の間に配置されるメンブレン(40)の第1の面によって限定され、前記ダクトハウジング部(10)と前記メンブレン(40)との間に分離された容積を形成し、
前記ダクトハウジング部(10)によって画定され、かつ、組み立て状態では前記ダクト(20)の第2側面によって限定される第1領域(101)から突出し、組み立て状態においてシールするように前記メンブレン(40)と噛み合い、前記ダクト(20)を取り囲む環状突出部(13)を含む、第1シール領域(11a)によって特徴付けられるダクトハウジング部(10)。
【請求項10】
フィールドフローフラクショネーションのために設けられるダクトハウジングを組み立てる方法であって、該ダクトハウジングは互いに上面上方から配置されるエレメント(10、40、50、60、70)、とりわけ第1ダクトハウジング部(10)および第2ダクトハウジング部(70)、メンブレン(40)およびシールエレメント(60)によって形成されており、
第1工程において、互いに上面上方から配置される前記エレメント(10、40、50、60、70)が、前記メンブレン(40)は前記第1ダクトハウジング部(10)の下に直接配置されるように、互いに位置付けられ、
第2工程において、前記第1ダクトハウジング部(10)および前記第2ダクトハウジング部(70)が共に押し込まれ、外部環境に対する外部へのシールが、前記シールエレメント(60)を介してすでに形成され得るような、第1の力の形成の下で接触エレメント(80)を介して互いに接触させられ、および
第3工程において、前記接続エレメント(80)は、前記第1ダクトハウジング部(10)および前記第2ダクトハウジング部(70)が、前記メンブレン(40)と前記第1ダクトハウジング部(10)との間に内側シールが形成され得るように、第1の力よりも大きく設定された第2の力によって互いに対してクランプされ得るように固定されること
を特徴とする方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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