説明

平型ヒートパイプの封止構造及びその製造方法

【課題】平型ヒートパイプの封止端及び管体が突出することにより、平型ヒートパイプと放熱ユニットとを組み合わせる作業の邪魔になるのを防止することができる平型ヒートパイプの封止構造及びその製造方法を提供する。
【解決手段】平型ヒートパイプ1の封止構造は、本体11及び管体12を含む。本体11の両端又は4つの角部の中の1つにプレスなどの機械加工により、切欠115が設けられ、そこが本体11の封止部分とされる。また、管体12が封止部分に配置されて本体11と接続され、封止される。これにより、封止部分が突出しないため、平型ヒートパイプ1の封止部分と放熱部材とを組み合わせるとき、組立作業の邪魔にならない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、平型ヒートパイプの封止構造及びその製造方法に関し、特に、平型ヒートパイプと放熱部材とを組み合わせるとき、平型ヒートパイプの封止端及び管体が突出することにより、組立作業及び生産の邪魔になるのを防止することができる平型ヒートパイプの封止構造及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
平型ヒートパイプ(Plate type heat pipe)は、熱伝導性が高い、軽量である、構造が簡単である、用途が多い、加工が簡単である、などの特性を有している。また、平型ヒートパイプは、電力を消費することなく、大量の熱を伝達することができる。
【0003】
従って、平型ヒートパイプは、様々な産業に広く応用され、熱を伝達するのに使用されている。また、平型ヒートパイプは、電子素子から発生する熱を迅速に除去することができ、現段階における電子素子の熱集中現象の発生を有効に防止している。
【0004】
平型ヒートパイプの作動原理は、真空環境の内部に注入された作動流体が熱を吸収することによって相変化する現象を利用することにより、熱を伝達するものである。また、気化された作動流体は、冷却されることによって液体に戻り、循環して再使用される。即ち、平型ヒートパイプの蒸発部が電子素子の表面に貼合されることにより、電子素子から発生する熱の一部が平型ヒートパイプの蒸発部から吸収され、これにより、放熱が行われる。
【0005】
従来の平型ヒートパイプは、管体が接続された封止端を有し、この封止端及び管体が平型ヒートパイプの本体を構成する矩形部分から突出するように構成されている。
【0006】
このような従来の平型ヒートパイプとしては、例えば特許文献1に示すように、銅パイプの開口端から芯材をその軸線方向に沿った姿勢で挿入配置させ、芯材が開口端よりも突出した状態で開口端を圧着及び溶接等により密閉するようにした平型ヒートパイプがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2001―208491号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
現在の電子装置は、携帯性を高めるため、更なる軽薄化が要求されている。従って、装置本体が益々小型化される中、電子素子の放熱に使用される平型ヒートパイプも軽薄化及び軽量化が求められている。
【0009】
しかしながら、従来の平型ヒートパイプは、封止端及び管体が平型ヒートパイプの矩形部分から突出するため、平型ヒートパイプと放熱部材とを組み合わせるとき、作業の邪魔になったり、破損したりする虞がある。従って、従来の平型ヒートパイプは、放熱部材への取り付けに不便であり、また、突出する封止端及び管体により組立作業の邪魔になってしまうといった問題点があった。
【0010】
特許文献1に記載の平型ヒートパイプにおいても、上記同様の問題点があり、この問題を解決するための構成を備えたものではない。
【0011】
そこで、本発明の第1の目的は、平型ヒートパイプの封止端及び管体が突出することにより、平型ヒートパイプと放熱ユニットとを組み合わせる作業の邪魔になるのを防止することができる平型ヒートパイプの封止構造を提供することにある。
【0012】
また、本発明の第2の目的は、平型ヒートパイプの封止端及び管体が突出することにより、平型ヒートパイプと放熱ユニットとを組み合わせる作業の邪魔になるのを防止することができる平型ヒートパイプの封止構造の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するために本発明による平型ヒートパイプの封止構造は、第1の側部、第2の側部、第3の側部、第4の側部及び切欠を有し、前記第1の側部と第3の側部とが交差する部分は、第1の交差部を有し、前記第1の側部と前記第4の側部とが交差する部分は、第2の交差部を有し、前記第2の側部と前記第3の側部とが交差する部分は、第3の交差部を有し、前記第2の側部と前記第4の側部とが交差する部分は、第4の交差部を有し、前記切欠は、第1の側部、第2の側部、第1の交差部、第2の交差部、第3の交差部又は第4の交差部に設けられ、内部には、チャンバを有する本体と、一方の端部が封止された状態で前記切欠内に配置され、他方の端部が前記切欠に挿入接続されて前記チャンバに連通する管体と、を備えることを特徴とする。
【0014】
また、本発明による平型ヒートパイプの封止構造の製造方法は、平型ヒートパイプを準備するステップと、平型ヒートパイプの本体に切欠を設けるステップと、切欠部分に管体を挿設して本体と接続すると同時に、切欠部分を封止するステップと、を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明の平型ヒートパイプの封止構造及びその製造方法によれば、封止端及び管体が平型ヒートパイプの矩形部分から突出しないため、平型ヒートパイプと放熱ユニットとを組み合わせる作業の邪魔になるのを防止することができ、平型ヒートパイプの組立の融通性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の第1の実施形態による平型ヒートパイプを示す斜視図である。
【図2】第1の実施形態の変形例1による平型ヒートパイプを示す斜視図である。
【図3】第1の実施形態の変形例2による平型ヒートパイプを示す斜視図である。
【図4】第1の実施形態による平型ヒートパイプを示す断面図である。
【図5】第1の実施形態の変形例3による平型ヒートパイプを示す断面図である。
【図6】本発明の第1の実施形態による平型ヒートパイプの封止構造の製造方法を示す流れ図である。
【図7】本発明の第2の実施形態による平型ヒートパイプの封止構造の製造方法を示す流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の目的、特徴および効果を示す実施形態を図面に沿って詳細に説明する。
【0018】
(第1の実施形態)
図1〜図5を参照する。図1〜図5に示すように、本発明の第1の実施形態による平型ヒートパイプ1は、本体11及び管体12を有して構成される。
【0019】
本体11は、第1の側部111、第2の側部112、第3の側部113、第4の側部114及び切欠115を有して構成される。第1の側部111と第2の側部112とは対向配置している。第1の側部111の両端には、第3側部113及び第4の側部114が設けられている。第2の側部112の両端には、第3の側部113及び第4の側部114が設けられている。
【0020】
第1の側部111と第3の側部113とが交差する部分は、第1の交差部1111を有している。第1の側部111と第4の側部114とが交差する部分は、第2の交差部1112を有している。第2の側部112と第3の側部113とが交差する部分は、第3の交差部1113を有している。第2の側部112と第4の側部114とが交差する部分は、第4の交差部1114を有している。すなわち、第1〜第4の交差部1111〜1114は、本体11の四隅に夫々配置されている。
【0021】
切欠115は、第1の側部111、第2の側部112、第1の交差部1111、第2の交差部1112、第3の交差部1113又は第4の交差部1114に設けられている。本体11内部は、チャンバ13を有している(図4を参照)。
【0022】
尚、切欠115は、第1の側部111又は第2の側部112に設ける場合、図1に示す位置に限定されることはなく、管体12の配置位置に応じて適宜配置位置を変更しても良い。
【0023】
切欠115は、三角形又は矩形に形成される。切欠115は、第1の側部111又は第2の側部112に設けられる場合(図1を参照)、矩形である。また、切欠115は、第1の交差部1111、第2の交差部1112、第3の交差部1113又は第4の交差部1114に設けられる場合、矩形(図2に示す変形例1を参照)又は三角形(図3に示す変形例2を参照)である。
【0024】
尚、切欠114は、三角形又は矩形に形成されるように説明したが、これらの形状に限定されるものではなく、その他の形状に構成しても良い。
【0025】
管体12は、一方の端部が封止された状態で前記切欠内に配置され、他方の端部が切欠115を介して挿入接続されてチャンバ13に連通する。尚、管体12は、本体11の長手方向において、第1の側部111又は第2の側部112の端面より突出しないように設けることが望ましい。
【0026】
チャンバ13内は、導流構造14及び作動流体を有する。導流構造14は、ウィック構造(図4を参照)又は複数の導流路群(図5に示す変形例3を参照)である。ウィック構造は、焼結体141及びメッシュ体142である。導流路群は、複数の導流体143が離間配列されて構成され、複数の導流体143間は、少なくとも1つの流路144を有する。
【0027】
従って、このような構成によれば、平型ヒートパイプ1の封止端を構成する第1の側部111及び管体12が該平型ヒートパイプ1の矩形部分から突出しない構成となっているため、平型ヒートパイプ1と放熱ユニットとを組み合わせる作業の邪魔になるのを防止することができる。
【0028】
次に、本発明の第1の実施形態による平型ヒートパイプの封止構造の製造方法について図1〜図6を参照しながら説明する。
【0029】
図6に示すように、本発明の第1の実施形態による平型ヒートパイプの封止構造の製造方法は、以下のステップを含む。
【0030】
作業者は、ステップS11により、平型ヒートパイプを準備する。本ステップS11において、内部に導流構造14を有する平型ヒートパイプ1を準備する。
【0031】
次に、作業者は、ステップS12により、平型ヒートパイプ1の本体11に切欠115を設ける。本ステップS12において、機械加工方式(例えばプレス、ワイヤ切断、フライス削りなど)により、平型ヒートパイプ1の本体11に切欠115を設ける。
【0032】
その後、作業者は、ステップS13により、切欠115部分に管体12を挿設して本体11と接続すると同時に、切欠115部分を封止する。本ステップS13において、管体12を切欠115部分を介して挿通し、管体12と本体11とを接続する。この場合、管体12は、切欠115内に配置され、本体11の長手方向において第1の側部111又は第2の側部112の端面から突出しないように配置する。
【0033】
これと同時に、作業者は、切欠115部分を封止する。切欠115を封止する方式は、高周波法又は銅接続により行われる。
【0034】
従って、以上説明したように、第1の実施形態による平型ヒートパイプの封止構造及びその製造方法によれば、封止端及び管体が平型ヒートパイプの矩形部分から突出しないため、平型ヒートパイプと放熱ユニットとを組み合わせる作業の邪魔になるのを防止することができ、平型ヒートパイプの組立の融通性を高めることができる。
【0035】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態による平型ヒートパイプの封止構造の製造方法について図1〜図7を参照しながら説明する。図7は、本発明の第2の実施形態による平型ヒートパイプの封止構造の製造方法を示す流れ図である。図7に示すように、第2実施形態による平型ヒートパイプの封止構造の製造方法は、以下のステップを含む。
【0036】
作業者は、ステップS21により、平型ヒートパイプを準備する。本ステップS21において、内部に導流構造14を有する平型ヒートパイプ1を準備する。
【0037】
次に、作業者は、ステップS22により、平型ヒートパイプの本体の未封止部分に管体12を挿入し接続する。本ステップ22において、平型ヒートパイプ1の本体11の未封止部分に管体12を挿通して配設し、管体12と平型ヒートパイプ1とを接続する。
【0038】
その後、作業者は、ステップS23により、平型ヒートパイプ1の管体12が挿通された部分を切除して切欠115を形成すると同時に、切欠部分115を封止する。本ステップS23において、機械加工方式(例えばプレス、ワイヤ切断、フライス削りなど)により、平型ヒートパイプ1の管体12が挿通して配設された部分を切除して切欠115を形成する。これと同時に、作業者は、切欠115部分を高周波法又は銅接続によって封止する。
【0039】
従って、第2の実施形態による平型ヒートパイプの封止構造及びその製造方法によれば、上記第1の実施形態と同様に、封止端及び管体が平型ヒートパイプの矩形部分から突出しないため、平型ヒートパイプと放熱ユニットとを組み合わせる作業の邪魔になるのを防止することができ、平型ヒートパイプの組立の融通性を高めることができる。
【0040】
本発明は、上述した実施形態及び変形例に限定されるものではなく、本発明の要旨を変えない範囲において、種々の変更、改変等が可能である。
【符号の説明】
【0041】
1…平型ヒートパイプ
11…本体
111…第1の側部
1111…第1の交差部
1112…第2の交差部
1113…第3の交差部
1114…第4の交差部
112…第2の側部
113…第3の側部
114…第4の側部
115…切欠
12…管体
13…チャンバ
14…導流構造
141…焼結体
142…メッシュ体
143…導流体
144…流路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の側部、第2の側部、第3の側部、第4の側部及び切欠を有し、前記第1の側部と前記第3の側部とが交差する部分は、第1の交差部を有し、前記第1の側部と前記第4の側部とが交差する部分は、第2の交差部を有し、前記第2の側部と前記第3の側部とが交差する部分は、第3の交差部を有し、前記第2の側部と前記第4の側部とが交差する部分は、第4の交差部を有し、前記切欠は、前記第1の側部、前記第2の側部、前記第1の交差部、前記第2の交差部、前記第3の交差部又は前記第4の交差部に設けられ、内部には、チャンバを有する本体と、
一方の端部が封止された状態で前記切欠内に配置され、他方の端部が前記切欠を介して挿入接続されて前記チャンバに連通する管体と、
を備えることを特徴とする平型ヒートパイプの封止構造。
【請求項2】
前記チャンバ内は、導流構造及び作動流体を有し、前記導流構造は、ウィック構造又は複数の導流路群であることを特徴とする請求項1記載の平型ヒートパイプの封止構造。
【請求項3】
前記ウィック構造は、焼結体及びメッシュ体を含むことを特徴とする請求項2記載の平型ヒートパイプの封止構造。
【請求項4】
前記切欠は、三角形又は矩形であることを特徴とする請求項1記載の平型ヒートパイプの封止構造。
【請求項5】
前記第1の側部と前記第2の側部は、対向配置され、前記第1の側部の両端には、前記第3の側部及び前記第4の側部が接続され、前記第2の側部の両端には、前記第3の側部及び前記第4の側部が接続されることを特徴とする請求項1記載の平型ヒートパイプの封止構造。
【請求項6】
前記導流路群は、複数の導流体が離間配列されて構成される上、前記複数の導流体間は、少なくとも1つの流路を有することを特徴とする請求項2記載の平型ヒートパイプの封止構造。
【請求項7】
平型ヒートパイプを準備するステップと、
前記平型ヒートパイプの本体に切欠を設けるステップと、
前記切欠部分に管体を挿設して前記本体と接続すると同時に、前記切欠部分を封止するステップと、
を含むことを特徴とする平型ヒートパイプの封止構造の製造方法。
【請求項8】
前記管体の一方の端部は、封止端であることを特徴とする請求項7記載の平型ヒートパイプの封止構造の製造方法。
【請求項9】
前記平型ヒートパイプの本体に設けられる前記切欠は、プレス方式によって形成されることを特徴とする請求項7記載の平型ヒートパイプの封止構造の製造方法。
【請求項10】
前記本体の切欠部分は、高周波法又は銅接続によって封止されることを特徴とする請求項7記載の平型ヒートパイプの封止構造の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−67976(P2012−67976A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−214016(P2010−214016)
【出願日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【出願人】(504115301)奇▲こう▼科技股▲ふん▼有限公司 (82)