説明

平板ランプ

【課題】 放電電圧を低減させ、かつ発光効率を向上させることができる平板ランプを提供する。
【解決手段】 互いに対向して配置されて、その間に放電空間を形成する下部パネル101及び上部パネル102と、下部パネル101と上部パネル102のうち少なくとも一つのパネルに形成された複数の放電電極112a,112bと、この放電電極112a,112bが形成されたパネルに形成され、放電電極112a,112bに電圧を印加することによって、電圧が誘起されて開始放電150aを引き起こす複数の補助電極111a,111bとを備え、放電電極112a,112bと補助電極111a,111bとの間には、誘電体層115が形成される。放電電極112a,112bは、対をなして互いに平行に形成され、補助電極111a,111bは、放電電極112a,112bそれぞれに対応して対をなして互いに平行に形成される平板ランプ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、平板ランプに係り、詳細には、放電電圧を低減し、かつ発光効率を向上させることができる平板ランプに関する。
【背景技術】
【0002】
主に、LCD(Liquid Crystal Display)のバックライトとして開発されている平板ランプは、従来の冷陰極蛍光ランプを利用したエッジライトまたはダイレクトライト方式から、発光効率、輝度の均一度などを考慮した、発光面の下部全体が放電空間となる面放電型または対向放電型平板ランプの形態に発展した。
一般的に、面放電型平板ランプは、対向放電型に比べて放電特性が安定しているという利点があるが、全体的な輝度が、対向放電型平板ランプに比べて落ちるという欠点がある。
【0003】
ここで図面を参照して、従来の面面放電型平板ランプについて説明する。
図1は、従来の面放電型平板ランプの一部を示す斜視図である。図1に示すように、下部基板10と上部基板20とは、スペーサ14によって一定の間隔に離隔して互いに対向して配置されている。下部基板10と上部基板20との間には、プラズマ放電が生じる放電空間30が形成され、このような放電空間30の内部には、一般的にネオン(Ne)ガスとキセノン(Xe)ガスとが混合された放電ガスが満たされている。
【0004】
下部基板10と上部基板20との内面及びスペーサ14の両側面には、放電にともない発生した紫外線によって励起されて、可視光を発生させる蛍光体層13が形成されている。そして、下部基板10及び上部基板20の上には、プラズマ放電を引き起こすための複数の放電電極が形成されている。具体的に、下部基板10の外面(図1において下面)には複数の第1下部電極12a、第2下部電極12bが形成され、上部基板20の外面(図1において下面)には複数の第1上部電極22a、第2上部電極22bとが対をなして形成されている。ここで、第1下部電極12aと第1上部電極22aとには同じ電位が印加されて、それら相互間には放電が誘導されない。そして、第2下部電極12bと第2上部電極22bとにもやはり同じ電位が印加されて、それら相互間に放電が誘導されない。一方、第1下部電極12aと第2下部電極12bとの間及び第1上部電極22aと第2上部電極22bとの間には、それぞれ所定の電位差が存在して、下部基板10または上部基板20に平行な方向に面放電が誘導される。
【0005】
前記のような構造の平板ランプでは、キセノンガスの分圧や放電ガスの絶対圧力を高めれば発光効率を向上させることはできるが、放電電圧が上昇してしまうという問題点がある。
また、電極間の間隔を広げて放電経路を長くすれば、発光効率を向上させることができるが、この場合にもやはり放電電圧が上昇してしまうという問題点がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、前記のような問題点を鑑みてなされたものであり、放電電圧を低減させ、かつ発光効率を向上させることができる平板ランプを提供するところにその目的がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するために、本発明による平板ランプは、互いに対向して配置されて、その間に放電空間を形成する下部パネル及び上部パネルと、前記下部パネルと前記上部パネルのうち少なくとも一つのパネルに形成された複数の放電電極と、前記放電電極が形成されたパネルに形成され、前記放電電極に電圧を印加することによって、電圧が誘起されて開始放電を引き起こす複数の補助電極と、を備える。
【0008】
前記放電電極と前記補助電極との間には、誘電体層が形成される。
前記放電電極は、対をなして互いに平行に形成され、前記補助電極は、前記放電電極それぞれに対応して対をなして互いに平行に形成される。ここで、前記補助電極は、前記放電電極と平行な方向に形成されることが望ましい。
一対の前記補助電極間の間隔は、一対の前記放電電極間の間隔より狭いことが望ましい。
【0009】
前記下部パネルと前記上部パネルとの間には、前記下部パネルと前記上部パネルとの間隔を一定に維持させる複数のスペーサが設けられることが望ましい。
前記放電空間の内壁には、蛍光体層が形成され、前記放電空間の内部には、キセノンガスを含む放電ガスが満たされている。
【0010】
本発明の実施形態に係る平板ランプは、互いに対向して配置され、その間に放電空間を形成する下部基板及び上部基板と、前記下部基板と上部基板のうち少なくとも一つの基板の外面に形成された誘電体層と、前記誘電体層の表面に形成された複数の放電電極と、前記基板の外面に形成されて前記誘電体層により埋め込まれ、前記放電電極に電圧をが印加することによって、電圧が誘起されて開始放電を引き起こす複数の補助電極と、を備える。
【0011】
前記下部基板及び上部基板は、ガラス基板であることが望ましい。
前記補助電極は、ITOまたはSnO2のような透明な導電性物質から形成される。また、前記補助電極は、RuO2、Ag、Cu及びCrから構成される群から選択された一つの物質から形成されていてもよい。
前記誘電体層は、強誘電体から形成することもできる。
【0012】
本発明の他の実施形態に係る平板ランプは、互いに対向して配置され、その間に放電空間を形成する下部基板及び上部基板と、前記下部基板と上部基板のうち少なくとも一つの基板の外面に形成された複数の放電電極と、前記放電電極が形成された基板の内面に形成され、前記放電電極に電圧を印加することによって、電圧が誘起されて開始放電を引き起こす複数の補助電極と、を備える。
前記補助電極が形成された基板の内面には、前記補助電極を埋め込む誘電体層が形成されることが望ましい。この時、前記補助電極間の前記誘電体層には、トレンチが形成され、前記トレンチは、前記補助電極と平行な方向に形成されることが望ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明による平板ランプによれば、上部基板と下部基板のうち少なくとも一つの放電電極に電圧が印加され、電圧が誘起される補助電極を形成することによって、従来の平板ランプより放電電圧を低減させることができるのと同時に、発光効率を向上させることができる。
【0014】
また、本発明による平板ランプと従来の平板ランプとに印加される放電電圧の範囲が同一である場合には、本発明による平板ランプは、従来の平板ランプよりさらに多量のキセノンガスを用いることができるので、発光効率をさらに向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、添付図面を参照して、本発明による望ましい実施形態を詳細に説明する。
[第1の実施形態]
図2は、本発明の第1の実施形態に係る平板ランプの一部を示す断面図である。
図2に示すように、本発明の第1の実施形態に係る平板ランプは、互いに離隔して配置される下部パネル101及び上部パネル102を備える。ここで、下部パネル101と上部パネル102との間にはプラズマ放電が生じる放電空間130が形成され、この放電空間130の内部には、主にネオンガスとキセノンガスとが混合された放電ガスが満たされている。
【0016】
下部パネル101は、下部基板110と、この下部基板110の下面に形成された誘電体層115とを備える。ここで、下部基板110としては、一般的にガラス基板が使われる。誘電体層115の下面には、少なくとも一対の第1電極112a及び第2電極112bが互いに平行に形成される。このような第1電極112a及び第2電極112bは、電源からパルス形態の電圧が印加される放電電極であって、導電性材料から形成される。
【0017】
下部基板110の下面には、少なくとも一対の第1補助電極111a及び第2補助電極111bが互いに平行に形成される。そして、誘電体層115は、第1補助電極111a及び第2補助電極111bを埋め込むように、下部基板110の下面に形成される。第1補助電極111a及び第2補助電極111bは、それぞれ第1電極112a及び第2電極112bに対応し、第1電極112a及び第2電極112bと平行に形成される。また、第1補助電極111a及び第2補助電極111bは、その間の間隔が第1電極112a及び第2電極112b間の間隔より狭く形成される。
【0018】
このような第1補助電極111a及び第2補助電極111bは、第1電極112a及び第2電極112bに所定電圧を印加することによって、誘電体層115を通じて電圧が誘起されるフローティング電極である。第1補助電極111a及び第2補助電極111bは、ITO(Indium Tin Oxide)やSnO2のような透明な導電性物質から形成される。
また、第1補助電極111a及び第2補助電極111bは、RuO2、Ag、Cu、Crのような導電性物質から形成することもできる。
一方、誘電体層115による電圧降下を減らすために、誘電体層115は誘電率の大きい物質から形成されることが望ましい。一方、誘電体層115は、ヒステリシス特性を持つ強誘電体から形成することもできる。
【0019】
上部パネル102は、下部基板110と一定間隔離隔して配置される上部基板120を備える。ここで、上部基板120としては、一般的に下部基板110と同じくガラス基板が使われる。下部基板110と上部基板120との間には、下部基板110と上部基板120との間隔を一定に維持させるための複数のスペーサ114が設けられる。そして、放電空間130の内壁をなす部分、すなわち、下部基板110と上部基板120との内面及びスペーサ114の側面には、プラズマ放電にともなう放電ガスから発生した紫外線によって励起されて、可視光を発生させる蛍光体層113が形成されている。
【0020】
次に、前記のような構造を持つ平板ランプの動作について詳細に説明する。
プラズマ放電のために、第1電極112a及び第2電極112bには、電源からパルス形態の電圧が印加される。このようなパルス形態の電圧が第1電極112a及び第2電極112bに印加される過程で、まず第1電極112a及び第2電極112bの電圧が変化して所定値に到達する工程を経る。このように、第1電極112a及び第2電極112bの電圧が変化すれば、第1補助電極111a及び第2補助電極111bには、誘電体層115を通じて第1電極112a及び第2電極112bの電圧に対応する電圧がそれぞれ誘起される。ここで、誘電体層115を誘電率の大きい物質で形成すれば、誘電体層115による電圧降下を大きく減らすことができるので、第1補助電極111a及び第2補助電極111bには、第1電極112a及び第2電極112bの電圧と実質的に同じ電圧が誘起される。このように誘起された電圧によって、第1補助電極111aと第2補助電極111bとの間では、先ず、開始放電150aが生じる。これは、第1補助電極111aと第2補助電極111bとの間隔が第1電極112aと第2電極112bとの間隔より狭いためである。このような第1補助電極111a及び第2補助電極111bによって、本実施形態に係る平板ランプでは、従来の平板ランプよりさらに低い電圧で開始放電150aが生じる。
【0021】
次に、第1電極112a及び第2電極112bの電圧は所定値に到達した後、一定に維持される工程を経る。この過程では、第1電極112a及び第2電極112bの電圧が変化しないので、第1補助電極111a及び第2補助電極111bには電圧が誘起されない。したがって、第1補助電極111aと第2補助電極111bとの間では放電が生じず、第1電極112aと第2電極112bとの間でのみ維持放電150bが生じる。この時、第1電極112aと第2電極112bとの間隔を広くして放電経路を長くすることにより、発光効率を向上させることができる。そして、このような開始放電150aと維持放電150bとが、放電空間130の内部で順次反復して生じる。
【0022】
[第2の実施形態]
図3は、本発明の第2の実施形態に係る平板ランプの一部を示す断面図である。
図3に示すように、上部パネル127は、上部基板120と、上部基板120の上面に形成された誘電体層125とを備える。そして、下部パネル126は、上部基板120と一定間隔離隔して配置される下部基板110を備える。
誘電体層125の上面には、少なくとも一対の第1電極122a及び第2電極122bが互いに平行に形成される。このような第1電極122a及び第2電極122bは、電源からパルス形態の電圧が印加される放電電極である。そして、上部基板120の上面には、少なくとも一対の第1補助電極121a及び第2補助電極121bが互いに平行に形成される。そして、誘電体層125は、第1補助電極121a及び第2補助電極121bを埋め込むように、上部基板120の上面に形成される。第1補助電極121a及び第2補助電極121bは、それぞれ第1電極122a及び第2電極122bに対応し、第1電極122a及び第2電極122bと平行な方向に形成される。また、第1補助電極121aと第2補助電極121bとの間隔が、第1電極122aと第2電極122bとの間隔より狭く形成される。このような第1補助電極121a及び第2補助電極121bは、第1電極122a及び第2電極122bに所定電圧を印加することによって、誘電体層125を通じて電圧が誘起されるフローティング電極である。
【0023】
ここで、第1補助電極121a及び第2補助電極121bは、可視光が透過できるようにITO、SnO2のような透明な導電性物質から形成されることが望ましい。一方、第1補助電極121a及び第2補助電極121bは、RuO2、Ag、Cu、Crのような導電性物質から形成することもできる。誘電体層125は、誘電率の大きい物質から形成されることが望ましく、ヒステリシス特性を持つ強誘電体から形成することもできる。
前記のような構造を持つ平板ランプの動作は、前記第1の実施形態に係る平板ランプと同様であるのでその説明は省略する。
【0024】
[第3の実施形態]
図4は、本発明の第3の実施形態に係る平板ランプを示す断面図である。
図4に示すように、下部パネル201は、下部基板110と、この下部基板110の下面に形成された第1誘電体層215とを備える。そして、上部パネル202は、下部基板110と一定間隔に離隔して配置される上部基板120と、この上部基板120の上面に形成された第2誘電体層225とを備える。
【0025】
第1誘電体層215の下面には、少なくとも一対の第1下部電極212a及び第2下部電極212bが互いに平行に形成される。第1下部電極212a及び第2下部電極212bは、電源からパルス形態の電圧が印加される放電電極である。下部基板110の下面には、少なくとも一対の第1下部補助電極211a及び第2下部補助電極211bが互いに平行に形成される。そして、第1誘電体層215は、第1下部補助電極211a及び第2下部補助電極211bを埋め込むように、下部基板110の下面に形成される。第1下部補助電極211a及び第2下部補助電極211bは、それぞれ第1下部電極212a及び第2下部電極212bに対応し、第1下部電極212a及び第2下部電極212bと平行に形成される。
【0026】
また、第1下部補助電極211aと第2下部補助電極211bとの間隔は、第1下部電極212aと第2下部電極212bとの間隔より狭く形成される。このような第1下部補助電極211a及び第2下部補助電極211bは、第1下部電極212a及び第2下部電極212bに所定電圧を印加することによって、第1誘電体層215を通じて電圧が誘起されるフローティング電極である。第1下部補助電極211a及び第2下部補助電極211bは、ITO、SnO2のような透明な導電性物質から形成され、RuO2、Ag、Cu、Crのような導電性物質から形成することもできる。一方、第1誘電体層215は、誘電率の大きい物質から形成されることが望ましく、ヒステリシス特性を持つ強誘電体から形成することもできる。
【0027】
第2誘電体層225の上面には、少なくとも一対の第1上部電極222a及び第2上部電極222bが互いに平行に形成される。そして、第1上部電極222a及び第2上部電極222bは、第1下部電極212a及び第2下部電極212bと平行な方向に形成される。第1上部電極222a及び第2上部電極222bは、電源からパルス形態の電圧が印加される放電電極である。上部基板120の上面には、少なくとも一対の第1上部補助電極221a及び第2上部補助電極221bが互いに平行に形成される。そして、第2誘電体層225は、第1上部補助電極221a及び第2上部補助電極221bを埋め込むように上部基板120の上面に形成される。第1上部補助電極221a及び第2上部補助電極221bは、それぞれ第1上部電極222a及び第2上部電極222bに対応し、第1上部電極222a及び第2上部電極222bと平行な方向に形成される。
【0028】
また、第1上部補助電極221aと第2上部補助電極221bとの間隔は、第1上部電極222aと第2上部電極222bとの間隔より狭く形成される。このような第1上部補助電極221a及び第2上部補助電極221bは、第1上部電極222a及び第2上部電極222bに所定電圧を印加することによって、第2誘電体層225を通じて電圧が誘起されるフローティング電極である。第1上部補助電極221a及び第2上部補助電極221bは、可視光が透過できるようにITO、SnO2のような透明な導電性物質から形成されることが望ましい。一方、第1上部補助電極221a及び第2上部補助電極221bは、RuO2、Ag、Cu、Crのような導電性物質から形成することもできる。第2誘電体層225は、誘電率の大きい物質から形成されることが望ましく、ヒステリシス特性を持つ強誘電体から形成することもできる。
前記のような構造の平板ランプでは、下部パネル201及び上部パネル202のいずれにも放電電極212a、212b、222a、222bと補助電極211a、211b、221a、221bとを形成することによって、輝度及び発光効率をさらに向上させることができる。
【0029】
[第4の実施形態]
図5は、本発明の第4の実施形態に係る平板ランプの一部を示す断面図である。以下では、前記した実施形態と異なる点のみを説明する。
図5に示すように、下部基板110の下面には、開始放電を引き起こす第1補助電極111′a及び第2補助電極111′bが互いに平行に形成される。そして、下部基板110の下面には、誘電体層115′が、第1補助電極111′a及び第2補助電極111′bを埋め込むように形成される。ここで、誘電体層115′は、前記した実施形態でさらに薄く形成される。そして、誘電体層115′は、誘電率の大きい物質から形成される。誘電体層115′の下面には、維持放電を引き起こす第1電極112′a及び第2電極112′bが互いに平行に形成される。ここで、第1電極112′aと第2電極112′bとの間隔は、第1補助電極111′aと第2補助電極111′bとの間隔より広く形成される。一方、第1電極112′aと第1補助電極111′aとが重なる部分及び第2電極112′bと第2補助電極111′bとが重なる部分は、その面積が前記した実施形態のうちで最も大きい。このような第1電極112′a及び第2電極112′bは、電源からパルス形態の電圧が印加される放電電極である。
このように、誘電体層115′として、薄くてかつ誘電率の大きい物質を使用し、放電電極112′a、112′bと補助電極111′a、111′bとが重なる部分の面積が大きくなれば、静電容量が増加して、前記した実施形態の場合より電圧降下がさらに低減する。
【0030】
[第5の実施形態]
図6は、本発明の第5の実施形態に係る平板ランプの一部を示す断面図である。
図6に示すように、本実施形態に係る平板ランプは、互いに離隔して配置される下部パネル301と上部パネル302とを備える。ここで、下部パネル301と上部パネル302との間には、プラズマ放電が生じる放電空間330が形成され、この放電空間330の内部には、主にネオンガスとキセノンガスとが混合された放電ガスが満たされている。
下部パネル301は、下部基板310と、この下部基板310の上面に形成された誘電体層315とを備える。ここで、下部基板310としては、一般的にガラス基板が使われる。下部基板310の下面には、少なくとも一対の第1電極312a及び第2電極312bが互いに平行に形成される。このような第1電極312a及び第2電極312bは、電源からパルス形態の電圧が印加される放電電極であり、導電性材料から形成される。
【0031】
下部基板310の上面には、少なくとも一対の第1補助電極311a及び第2補助電極311bが互いに平行に形成される。第1補助電極311a及び第2補助電極311bは、それぞれ第1電極312a及び第2電極312bに対応し、第1電極312a及び第2電極312bに平行な方向に形成される。また、第1補助電極311aと第2補助電極311bとの間隔は、第1電極312aと第2電極312bとの間隔より狭く形成される。このような第1補助電極311a及び第2補助電極311bは、第1電極312a及び第2電極312bに所定電圧を印加することによって、誘電物質である下部基板310を通じて電圧が誘起されるフローティング電極である。ここで、第1補助電極311a及び第2補助電極311bは、ITO、SnO2のような透明な導電性物質から形成され、RuO2、Ag、Cu、Crのような導電性物質から形成することもできる。そして、下部基板310の上面には、第1補助電極311a及び第2補助電極311bを埋め込むように、誘電体層315が形成される。
【0032】
上部パネル302は、下部基板310と一定間隔離隔して配置される上部基板320を備える。ここで、上部基板320としては、下部基板310と同じく一般的にガラス基板が使われる。下部基板310と上部基板320との間には、その間隔を一定に維持させるために複数のスペーサ314が設けられる。そして、放電空間330の内壁をなす部分、すなわち、下部基板310と上部基板320との内面及びスペーサ314の側面には、プラズマ放電にともなう放電ガスから発生した紫外線によって励起されて、可視光を発生させる蛍光体層313が形成される。
前記のような構造を持つ平板ランプの動作は、前記した実施形態と同一であるので、これについての詳細な説明は省略する。
【0033】
[第6の実施形態]
図7は、本発明の第6の実施形態に係る平板ランプを示す断面図である。
図7に示すように、下部基板310の上面には、第1補助電極311a及び第2補助電極311bを覆うように誘電体層315′が形成される。そして、第1補助電極311aと第2補助電極311bとの間の誘電体層315′には、下部基板310を露出させる所定形状のトレンチ315′aが形成される。このトレンチ315′aは、第1補助電極311a及び第2補助電極311bと平行な方向に形成される。このようなトレンチ315′aによって、第1補助電極311aと第2補助電極311bとの間で放電が生じるとき、面放電だけでなく対向放電も発生できるので、発光効率を向上させることができる。
本実施形態では、放電電極及び補助電極が下部パネル331に形成された場合のみ説明したが、これに限定されず、放電電極及び補助電極を上部パネル332に形成することもでき、また、上部パネル332と下部パネル331のいずれにも形成することもできる。
【0034】
図8Aないし図8Cは、従来の平板ランプと本発明に係る平板ランプとの放電電圧及び発光効率を比較するために使われた平板ランプを示す図面である。図8Aは、放電電極412a、412b間の間隔が8mmである従来の平板ランプを示し、図8Bは、放電電極412′a、412′b間の間隔が16mmである従来の平板ランプを示している。図8Cは、放電電極512a、512b間の間隔が16mmであり、補助電極511a、511b間の間隔が8mmである本発明による平板ランプを示している。
図8Aないし図8Cに示すように、放電電極及び補助電極としては、いずれも銅テープを使用し、図8Cに示すように、放電電極512a、512bと補助電極511a、511bとの間に形成された誘電体層415としては、誘電定数が約2〜3であるアセテートテープを使用した。そして、図8Aないし図8Cに示すように、符号410、413、414及び420は、それぞれ下部基板、蛍光体層、スペーサ及び上部基板を示す。
図9及び図10は、図8Aないし図8Cに示した平板ランプの放電電圧及び発光効率をそれぞれ示す図面である。図9及び図10は、放電電極に、周波数が20kHz、デューティ比が20%であるパルス形態の電圧を印加した時に測定された結果である。ここで、A及びBは、それぞれ図8A及び図8Bに示した平板ランプを示し、C及びDは、図8Cに示した平板ランプで誘電体層の厚さがそれぞれ40μm、120μmである場合を示す。
【0035】
まず、図9は、放電開始電圧Vf及び放電維持電圧Vsを示している。
図9に示すように、放電電極412′a、412′b間の間隔が広い従来の平板ランプ(Bの場合)では、放電開始電圧Vfが2.48KVであるのに対し、本発明による平板ランプ(Cの場合)では、放電開始電圧Vfが2.03KVであった。したがって、本発明による平板ランプ(Cの場合)では、従来の平板ランプ(Bの場合)に比べて放電開始電圧Vfが約18%程度低くなることが分かる。そして、放電電極412′a、412′b間の間隔が広い従来の平板ランプ(Bの場合)では、放電維持電圧Vsが1.90KVであるのに対し、本発明による平板ランプ(Cの場合)では、放電維持電圧Vsが1.46KVであった。したがって、本発明による平板ランプ(Cの場合)では、従来の平板ランプ(Bの場合)に比べて放電維持電圧Vsが約23%程度低くなることが分かる。
【0036】
次いで、図10は、発光効率を示している。図10に示すように、放電電極412′a、412′b間の間隔が広い従来の平板ランプ(Bの場合)で発光効率が14.2lm/Wであるのに対し、本発明による平板ランプ(Cの場合)では、発光効率が17.9lm/Wであった。したがって、本発明による平板ランプ(Cの場合)では、従来の平板ランプ(Bの場合)に比べて発光効率が約26%程度向上したことが分かる。
以上、本発明による望ましい実施形態が説明されたが、これは例示的なものに過ぎず、当業者ならば、これより多様な変形及び同様な他の実施形態が可能であるという点を理解できる。したがって、本発明の真の技術的保護範囲は、特許請求の範囲により定められねばならない。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明は、主にLCDのバックライトとして開発されている平板ランプの関連技術分野に好適に用いられる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】従来の平板ランプの一部を概略的に示す斜視図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る平板ランプの一部を示す断面図である。
【図3】本発明の第2の実施形態に係る平板ランプの一部を示す断面図である。
【図4】本発明の第3の実施形態に係る平板ランプの一部を示す断面図である。
【図5】本発明の第4の実施形態に係る平板ランプの一部を示す断面図である。
【図6】本発明の第5の実施形態に係る平板ランプの一部を示す断面図である。
【図7】本発明の第6の実施形態に係る平板ランプの一部を示す断面図である。
【図8A】従来の平板ランプと本発明に係る平板ランプとの放電電圧及び発光効率を比較するために使われた平板ランプを示す図面である。
【図8B】従来の平板ランプと本発明に係る平板ランプとの放電電圧及び発光効率を比較するために使われた平板ランプを示す図面である。
【図8C】従来の平板ランプと本発明に係る平板ランプとの放電電圧及び発光効率を比較するために使われた平板ランプを示す図面である。
【図9】従来の平板ランプと本発明に係る平板ランプとの放電電圧を比較して示す図面である。
【図10】従来の平板ランプと本発明に係る平板ランプとの発光効率を比較して示す図面である。
【符号の説明】
【0039】
110 下部基板
120 上部基板
111a,121a 第1補助電極
111b,121b 第2補助電極
112a,122a 第1電極(第1放電電極)
112b,122b 第2電極(第2放電電極)
113 蛍光体層
114 スペーサ
115,125 誘電体層
120 上部基板
130,330 放電空間
150a 開始放電
150b 維持放電
101,126,201,301,331 下部パネル
102,127,202,302,332 上部パネル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに対向して配置されて、その間に放電空間を形成する下部パネル及び上部パネルと、
前記下部パネルと前記上部パネルのうち少なくとも一つのパネルに形成された複数の放電電極と、
前記放電電極が形成されたパネルに形成され、前記放電電極に電圧を印加することによって、電圧が誘起されて開始放電を引き起こす複数の補助電極と、
を備えることを特徴とする平板ランプ。
【請求項2】
前記放電電極と前記補助電極との間に、誘電体層を形成することを特徴とする請求項1に記載の平板ランプ。
【請求項3】
前記放電電極は、対をなして互いに平行に形成され、前記補助電極は、前記放電電極それぞれに対応して対をなして互いに平行に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の平板ランプ。
【請求項4】
前記補助電極は、前記放電電極と平行に形成されていることを特徴とする請求項3に記載の平板ランプ。
【請求項5】
一対の前記補助電極間の間隔は、一対の前記放電電極間の間隔より狭いことを特徴とする請求項4に記載の平板ランプ。
【請求項6】
前記下部パネルと前記上部パネルとの間には、前記下部パネルと前記上部パネルとの間隔を一定に維持する複数のスペーサが設けられていることを特徴とする請求項1に記載の平板ランプ。
【請求項7】
前記放電空間を形成する内壁には、蛍光体層が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の平板ランプ。
【請求項8】
前記放電空間の内部には、キセノンガスを含む放電ガスが満たされていることを特徴とする請求項1に記載の平板ランプ。
【請求項9】
互いに対向して配置され、その間に放電空間を形成する下部基板及び上部基板と、
前記下部基板と前記上部基板のうち少なくとも一つの基板の外面に形成された誘電体層と、
前記誘電体層の表面に形成された複数の放電電極と、
前記基板の外面に形成されて前記誘電体層により埋め込まれ、前記放電電極に電圧を印加することによって、電圧が誘起されて開始放電を引き起こす複数の補助電極と、
を備えることを特徴とする平板ランプ。
【請求項10】
前記放電電極は、対をなして互いに平行に形成され、前記補助電極は、前記放電電極それぞれに対応して対をなして互いに平行に形成されていることを特徴とする請求項9に記載の平板ランプ。
【請求項11】
前記補助電極は、前記放電電極と平行な方向に形成されていることを特徴とする請求項10に記載の平板ランプ。
【請求項12】
一対の前記補助電極間の間隔は、一対の前記放電電極間の間隔より狭いことを特徴とする請求項11に記載の平板ランプ。
【請求項13】
前記下部基板及び前記上部基板は、ガラス基板であることを特徴とする請求項9に記載の平板ランプ。
【請求項14】
前記補助電極は、透明な導電性物質から形成されていることを特徴とする請求項9に記載の平板ランプ。
【請求項15】
前記補助電極は、ITOまたはSnO2から形成されていることを特徴とする請求項14に記載の平板ランプ。
【請求項16】
前記補助電極は、RuO2、Ag、Cu及びCrから構成される群から選択された一つの物質から形成されていることを特徴とする請求項9に記載の平板ランプ。
【請求項17】
前記誘電体層は、強誘電体から形成されていることを特徴とする請求項9に記載の平板ランプ。
【請求項18】
前記下部基板と前記上部基板との間には、前記下部基板と前記上部基板との間隔を一定に維持する複数のスペーサが設けられていることを特徴とする請求項9に記載の平板ランプ。
【請求項19】
前記放電空間を形成する内壁には、蛍光体層が形成されていることを特徴とする請求項9に記載の平板ランプ。
【請求項20】
前記放電空間の内部には、キセノンガスを含む放電ガスが満たされていることを特徴とする請求項9に記載の平板ランプ。
【請求項21】
互いに対向して配置され、その間に放電空間を形成する下部基板及び上部基板と、
前記下部基板と前記上部基板のうち少なくとも一つの基板の外面に形成された複数の放電電極と、
前記放電電極が形成された基板の内面に形成され、前記放電電極に電圧を印加することによって、電圧が誘起されて開始放電を引き起こす複数の補助電極と、
を備えることを特徴とする平板ランプ。
【請求項22】
前記放電電極は、対をなして互いに平行に形成され、前記補助電極は、前記放電電極それぞれに対応して対をなして、互いに平行に形成されていることを特徴とする請求項21に記載の平板ランプ。
【請求項23】
前記補助電極は、前記放電電極と平行な方向に形成されていることを特徴とする請求項22に記載の平板ランプ。
【請求項24】
一対の前記補助電極間の間隔は、一対の前記放電電極間の間隔より狭いことを特徴とする請求項23に記載の平板ランプ。
【請求項25】
前記補助電極が形成された基板の内面には、前記補助電極を埋め込む誘電体層が形成されていることを特徴とする請求項21に記載の平板ランプ。
【請求項26】
前記補助電極間の誘電体層には、トレンチが形成されていることを特徴とする請求項25に記載の平板ランプ。
【請求項27】
前記トレンチは、前記補助電極と平行に形成されていることを特徴とする請求項26に記載の平板ランプ。
【請求項28】
前記下部基板及び前記上部基板は、ガラス基板であることを特徴とする請求項21に記載の平板ランプ。
【請求項29】
前記補助電極は、透明な導電性物質から形成されていることを特徴とする請求項21に記載の平板ランプ。
【請求項30】
前記補助電極は、ITOまたはSnO2から形成されていることを特徴とする請求項29に記載の平板ランプ。
【請求項31】
前記補助電極は、RuO2、Ag、Cu及びCrから構成される群から選択された一つの物質から形成されていることを特徴とする請求項21に記載の平板ランプ。
【請求項32】
前記下部基板と前記上部基板との間には、前記下部基板と前記上部基板との間隔を一定に維持する複数のスペーサが設けられていることを特徴とする請求項21に記載の平板ランプ。
【請求項33】
前記放電空間を形成する内壁には、蛍光体層が形成されることを特徴とする請求項21に記載の平板ランプ。
【請求項34】
前記放電空間の内部には、キセノンガスを含む放電ガスが満たされていることを特徴とする請求項21に記載の平板ランプ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8A】
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【図8B】
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【図8C】
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【図9】
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【図10】
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