説明

平板型燃料電池セルの製造方法

【課題】電極間における遷移金属の拡散が抑制されており燃料電池の発電性能を低下させない平板型燃料電池セルを効率的に大量生産できる方法を提供する。
【解決手段】
電解質シート4の少なくとも一方の表面上または電解質シート4上に形成された中間層6上に、燃料極前駆体52、空気極前駆体71および中間層前駆体61よりなる群から選択される1以上を形成して燃料電池ハーフセル前駆体81または燃料電池セル前駆体91とし、さらに焼成することにより燃料極、空気極および/または燃料極を焼付けるに際し、2以上の燃料電池ハーフセル前駆体81または燃料電池セル前駆体91を同時に処理するに当たり、燃料極前駆体52同士、空気極前駆体71同士または中間層前駆体61同士が接するように積重することを特徴とする平板型燃料電池セルの製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自立膜型または支持膜型の平板型燃料電池セルを製造する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
固体酸化物形燃料電池は、高温で稼動するため貴金属触媒を用いずに電極反応を進行させ得ることから低コストであり、全ての構成要素が固体からなるので長期安定性が期待され、小型から大型まで適用範囲が広いという利点を有する。また、固体酸化形燃料電池のセルには円筒型と平板型があるが、平板型セルは円筒型セルよりも構造が単純でありながらもガスシールや集電が難しいため、円筒型セルの開発が先行している。
【0003】
即ち、平板型固体酸化物形燃料電池の電解質として用いられるジルコニアシート等は、その前駆体であるジルコニアグリーンシート等を焼結して製造されるが、平板型電解質シート等ではその際に反りやうねりが発生し易い。そこで、反り等が少なく品質のよいジルコニアシート等を効率的に製造するための技術が検討されている。
【0004】
例えば特許文献1には、セラミックスグリーンシートを焼結してセラミックスシートを製造するに当たり、特定の多孔質シートの間にグリーンシートを挟み込む技術が開示されている。当該技術によれば、反りやうねりが少なく表面平坦度が高いといった特性を有するセラミックスシートを製造することができる。
【0005】
また、特許文献2には、セラミックスシート製造用のセッターが開示されている。当該セッターも、セラミックスグリーンシートの焼結時にシートの上下或いはシート間に配置するものである。その上、当該セッターでは含有している[NiO]単位が規定されており、焼結時におけるセラミックスグリーンシート中の酸化ニッケルの移動や反応が抑制されている。
【0006】
さらに、特許文献1と2のシートを介して複数のグリーンシートを積重ねれば、焼結時における単位体積および単位時間当たりのグリーンシート量を高めることができ、多量のグリーンシートを同時に焼結することができる。
【0007】
斯かる事情は、燃料電池用セルでも同様である。即ち、自立膜型の燃料電池用セルは、ジルコニア等からなる電解質シート上に燃料極や空気極、或いは中間層の各材料からなるペースト等により印刷などした上で乾燥して燃料極等の前駆体とした後に、さらに高温で焼成して燃料極等を焼付けることにより製造する。また、支持膜型燃料電池用セルは、燃料極基板または空気極基板上に電解質膜や中間層等を形成するためのスラリーやペーストを塗布等した上で乾燥して電解質前駆体等を形成した後に、さらに高温で焼成して焼付けることにより製造する。その際、多量の乾燥体(セル前駆体)を同時に焼付処理できれば、燃料電池用セルを効率的に製造することができると考えられる。
【特許文献1】特開平8−151275(特許請求の範囲)
【特許文献2】国際公開第99/59936号パンフレット(特許請求の範囲、第3図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述した様に、ジルコニア等からなる電解質シート上に電極等の前駆体を形成したり、或いはNiO/ジルコニア等からなる電極基板上に電解質膜等の前駆体を形成して焼付ける際には、できる限り多くのセル前駆体やハーフセル前駆体を同時に処理できれば効率がよい。従って、スペーサーとなる多孔質シートを挟むことなくセル前駆体等同士を直接積重ねることが考えられる。しかし、電解質シートや電極基板等に電極や電解質等を焼付けるに当たりスペーサーシートを用いない場合には、様々な問題の生じることが明らかとなった。即ち、無作為にセル前駆体同士を積重ねると、例えば燃料極前駆体と空気極前駆体が接する場合、焼付処理時の温度は1000℃にも及ぶため、互いに接触した層間で電極を構成する遷移金属やアルカリ土類金属の層間移動や拡散が生じることにより燃料電池としての発電性能が低下することが分かった。
【0009】
そこで、本発明が解決すべき課題は、電極間における遷移金属等の層間移動や拡散が抑制されており燃料電池の発電性能を低下させない平板型燃料電池セルを、効率的に大量生産できる方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者は、上記課題を解決すべく、電解質シートや電極基板上に電極や電解質等を焼付ける際におけるセル前駆体やハーフセル前駆体の積重ねパターンにつき鋭意研究を重ねた。その結果、燃料極前駆体同士や中間層前駆体同士等が接するように積重ねれば、高温による焼付けの際にも同じ成分構成である燃料極同士等の間では遷移金属の拡散といった問題も起こらず製品品質は低下しないことを見出して、本発明を完成した。
【0011】
即ち、本発明に係る第1の平板型燃料電池セルの製造方法は、電解質の少なくとも一方の表面上または電解質上に形成された中間層上に、燃料極前駆体、空気極前駆体および中間層前駆体よりなる群から選択される1以上を形成して燃料電池ハーフセル前駆体または燃料電池セル前駆体とし、さらに焼成することにより燃料極、空気極および/または中間層を焼付けるに際し、2以上の燃料電池ハーフセル前駆体または燃料電池セル前駆体を同時に処理するに当たり、燃料極前駆体同士、空気極前駆体同士または中間層前駆体同士が接するように積重ねることを特徴とする。
【0012】
また、本発明に係る第2の平板型燃料電池セルの製造方法は、電極基板の片面上または電極基板上に形成された電解質および/または中間層の上に、電解質前駆体、中間層前駆体、燃料極前駆体および空気極前駆体よりなる群から選択されるものを形成して燃料電池ハーフセル前駆体または燃料電池セル前駆体とし、さらに焼成することにより電解質、中間層、燃料極または空気極を焼付けるに際し、2以上の燃料電池ハーフセル前駆体または燃料電池セル前駆体を同時に処理するに当たり、電解質前駆体同士、中間層前駆体同士、燃料極前駆体同士または空気極前駆体同士が接するように積重ねることを特徴とする。
【0013】
上記製造方法においては、最下段の燃料電池ハーフセル前駆体または燃料電池セル前駆体の下にセッターを敷き、当該セッターとして、最下段の燃料電池ハーフセル前駆体または燃料電池セル前駆体の下側層である電解質、燃料極、空気極、中間層または電極基板の成分と同様の成分を含むものを使用することが好ましい。最下段の燃料電池ハーフセル前駆体等の下側層の燃料極等の構成成分が、焼付時に棚板やセッターへ移動してしまうのを防止するためである。
【0014】
また、最上段の燃料電池ハーフセル前駆体または燃料電池セル前駆体の上にカバー用セッターを載置し、当該カバー用セッターとして、最上段の燃料電池ハーフセル前駆体または燃料電池セル前駆体の上側層である電解質、燃料極、空気極、中間層または電極基板の成分と同様の成分を含むものを使用することが好ましい。カバー用セッターはセルの反りやうねりを抑制でき、また、最上段の燃料電池ハーフセル前駆体等の上側層の燃料極等の構成成分が、焼付時にカバー用セッターへ移動するのを防止することができるからである。
【0015】
また、本発明の平板型燃料電池セルは、上記方法で製造されたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明の製造方法によれば、品質の高い平板型燃料電池セルを効率的に大量生産することができる。よって、本発明は、自立膜型または支持膜型の平板型燃料電池の製造技術として産業上極めて有用である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明に係る第1の平板型燃料電池セルの製造方法は、電解質の少なくとも一方の表面上または電解質上に形成された中間層上に、燃料極前駆体、空気極前駆体および中間層前駆体よりなる群から選択される1以上を形成して燃料電池ハーフセル前駆体または燃料電池セル前駆体とし、さらに焼成することにより燃料極、空気極および/または中間層を焼付けるに際し、2以上の燃料電池ハーフセル前駆体または燃料電池セル前駆体を同時に処理するに当たり、燃料極前駆体同士、空気極前駆体同士または中間層前駆体同士が接するように積重ねることを特徴とする。この方法は、主として自立膜型の平板型燃料電池セルを製造するためのものである。
【0018】
本発明の製造方法で用いる電解質の材料は、平板型燃料電池セルで用いられる一般的なものであればよい。例えば、ジルコニアに加えて、MgO、CaO、SrO、BaOなどのアルカリ土類金属酸化物、Y23、La23、CeO2、Pr23、Nd23、Sm23、Eu23、Gd23、Tb23、Dy23、Ho23、Er23、Yb23等の希土類金属酸化物、Sc23、Bi23、In23などを1種もしくは2種以上含有するジルコニア系セラミックを用いることができる。また、CeO2またはBi23に加えて、上記アルカリ土類金属酸化物、上記希土類金属酸化物、Sc23、In23、PbO、WO3、MoO3、V2Os、Nb25などを1種もしくは2種以上含有するセリア系またはビスマス系セラミックを用いることができる。その他に、ペロブスカイト構造を有するAZrO3(A:Srなどのアルカリ土類金属)に、InやGaなどをドープしたもの;LaGaO3に、上記アルカリ土類金属酸化物、上記希土類金属酸化物、Sc23、TiO2、V25、Cr23、Mn23、Fe23、Co34、NiO、CuO、ZnO、Nb25、WO3等の遷移金属酸化物、Al23、SiO2、In23、Sb23、Bi23等の典型銀族酸化物等をドープまたは分散強化したランタンガレート系セラミック;ブラウンミレライト構造を有するBa2In25等のインジウム系セラミックを例示することができる。これらセラミック中には、さらに他の酸化物としてSiO2、Al23、GeO2、SnO2、Sb23、PbO、Ta25、Nb25等を含むものであってもよい。
【0019】
これらの中でも特に好ましいのは、Y、Ce、Sm、Pr、Sc、Ybの1以上で安定化されたジルコニア酸化物からなる電解質であり、さらにSiO2、Al23およびTiO2よりなる群から選択された少なくとも1種が0.01〜5質量%配合されたものも好ましいものとして推奨される。
【0020】
中でもとりわけ電解質として好ましいのは、3〜10モル%のY23、または4〜12モル%のSc23または4〜15モル%のYb23で安定化されたジルコニアであり、さらに0.01〜2質量%程度のSiO2、Al23、TiO2、CeO2等が添加されたジルコニアである。
【0021】
電解質の厚さは特に限定されないが、イオン導電性と強度を考慮して50〜500μmが好ましく、より好ましくは80〜300μm、さらに好ましくは100〜200μmであり、電解質シートや電解質膜といわれる様な薄いものも含まれる。また、電解質の形状は、平板状のものであれば特に制限されず、例えば円形、楕円形、角形、R(アール)を持った角形などでもよい。さらに、電解質内に同様の円形、楕円形、角形、R(アール)を持った角形などの孔を1または2以上有するものであってもよい。
【0022】
電解質の製造方法も、一般的なものを用いることができる。例えば、上記材料にバインダーや有機溶剤、必要に応じて分散剤や可塑剤などを加えて、ドクターブレード法や押出成形法などによりグリーンシートとした後に1200〜1600℃、好ましくは1300〜1500℃で焼成し、所望の電解質を得ることができる。
【0023】
燃料極の材料も一般的なものを用いることができ、特に制限はない。例えば、導電性粒子にセラミック粒子を混合したサーメット材料を用いることができる。
【0024】
導電性金属粒子としては、Ni、Co、Feやそれらの酸化物であるNiO、CoO、Fe23の粒子を用いることができる。これら酸化物は、燃料電池として作動する際に水素などの燃料ガスに曝されて還元され、導電パスを形成する金属粒子に変化するものである。また、セラミック粒子としては、3〜10モル%(好ましくは8〜10モル%)のY23を含むイットリア安定化ジルコニア(YSZ);4〜12モル%(好ましくは10〜11モル%)のSc23を含むスカンジア安定化ジルコニア(ScSZ);セリア、Gd23、Y23、Sm23から選択される少なくとも1種の酸化物を10〜35モル%(好ましくは15〜30モル%、より好ましくは20〜30モル%)含有するガドリニウムドープセリア(GDC)、イットリアドープセリア(YDC)、サマリウムドープセリア(SDC)等のセリア系固溶体を用いることができる。これらセラミック粒子は単独で使用してもよいし、必要により2種以上を適宜組合わせて使用してもよい。これら導電性金属粒子とセラミック粒子は、例えば30:70〜70:30質量%、好ましくは50:50〜70:30質量%の割合で混合する。
【0025】
空気極材料も特に制限されず、一般的なものを用いることができる。例えば、ペロブスカイト型複合酸化物もしくはペロブスカイト型酸化物と上述した電解質材料との混合物が好ましく使用される。上記ペロブスカイト型酸化物としては、具体的にはLa1-xSrxCo1-yFey3(0.2≦x≦0.6、0.6≦y≦0.9)、Pr1-xSrxMnO3(0.2≦x≦0.6)、La1-xSrxMnO3(0.2≦x≦0.6)などの遷移金属ペロブスカイト型酸化物が好ましい例として挙げられ、これらは単独で使用し得る他、2種以上を任意に組合せて併用してもよい。
【0026】
なお上記では、ペロブスカイト型酸化物の組成式における酸素の原子比を3と表わしている。これは、当業者間では明らかな様に、例えば原子比x(y)が0でない場合には酸素空孔を生じるので、実際には酸素の原子比は3より小さい値を取ることが多い。しかし酸素空孔の数は、添加される元素の種類や製造条件によっても変化するので、便宜上、酸素の原子比を3と表わしている。
【0027】
また、ペロブスカイト型酸化物と電解質材料との混合物の場合における電解質材料としては、燃料極の場合と同様のYSZ、ScSZ、セリア、GDC、YDC、SDC等が好ましいものとして例示され、これらも単独で使用し得る他、必要により2種以上を適宜組み合わせて使用できる。これらのペロブスカイト型酸化物と電解質材料は、例えば95:5〜50:50質量%、好ましくは90:10〜70:30質量%の割合で混合することができる。
【0028】
さらに、電解質材料と空気極材料とが高温で長時間曝されることで固相反応を起こし、その界面にLa2Zr27やSrZrO3などの絶縁性物質を生成することがあるので、これを抑制するために電解質と電極、特に電解質と空気極との間には中間層を設けることが好ましい。このための中間層材料としては、酸素イオン導電性と電子導電性を有し、且つ電解質材料や空気極材料と固相反応を起こし難い材料として、上記GDC、YDC、SDCが好ましく使用できる。
【0029】
本発明では、上記材料を含むペーストやスラリーを電解質にスクリーン印刷や塗布等した後、当該ペースト等に含まれる溶媒を除去するために乾燥する。具体的には、上記材料を、エチルセルロース、ポリエチレングリコール、ポリビニルブチラール樹脂などのバインダー;エタノール、トルエン、α−テルピネオール、カルビトールなどの有機溶剤;グリセリン、グリコール、フタル酸ジブチルなどの可塑剤、更には必要に応じて配合される分散剤、消泡剤、界面活性剤などと共に、例えば3本ロールミルや遊星ミルなどを用いて適度の粘度のペーストとすれば、燃料極用、空気極用または中間層用のペーストが得られる。このペーストの粘度を調整した後、例えばスクリーン印刷法、或いはバーコーター、スピンコーター、ディッピング装置などにより固体電解質上にコーティングし、或いはスクリーン印刷法などで薄膜状に製膜した後、40〜150℃の温度、例えば50℃、80℃、120℃の様な一定の温度、あるいは順次連続的に昇温して加熱乾燥する。
【0030】
本発明では、上記乾燥により電解質上または中間層上に形成されたものであって、さらに高温で焼付けることにより燃料極、空気極または中間層となるものを、それぞれ燃料極前駆体、空気極前駆体または中間層前駆体という。また、電解質の一方の面に当該燃料極前駆体が形成されており且つ他方の面には空気極前駆体が形成されているものなど、焼付処理を行なうことにより燃料電池セルとなるものを燃料電池セル前駆体という。さらに、電解質の一方の面に燃料極前駆体が形成されており且つ他方の面には中間層前駆体が形成されているものなど、焼付処理により燃料電池セルには至らないものの、燃料極、空気極または中間層が焼付けられるものを燃料電池ハーフセル前駆体という。
【0031】
燃料電池ハーフセル前駆体の態様としては、電解質の片面に燃料極前駆体、空気極前駆体または中間層前駆体が形成されており、他方の面には何も形成されていないもの;電解質の片面に燃料極前駆体または空気極前駆体が形成されており、他方の面に中間層前駆体が形成されているものを挙げることができる。燃料電池セル前駆体の態様としては、電解質の片面に燃料極が形成されており、他方の面に空気極前駆体が形成されているもの;電解質の片面に燃料極が形成されており、他方の面に中間層を介して空気極前駆体が形成されているもの;電解質の片面に空気極前駆体が形成されており、他方の面に燃料極前駆体が形成されているもの等を挙げることができる。
【0032】
本発明では、上記燃料電池ハーフセル前駆体または燃料電池セル前駆体を焼成することによって、電解質等に燃料極、空気極または中間層を焼付ける。その際、2以上の燃料電池ハーフセル前駆体等を同時に処理するに当たり、燃料電池ハーフセル前駆体等の燃料極前駆体同士、空気極前駆体同士または中間層前駆体同士が接するように積重ねることを要旨とする。また、これら前駆体の逆の面には何も形成されていない場合、或いは燃料極、空気極または中間層が既に焼付けられている場合は、燃料極前駆体同士、空気極前駆体同士または中間層前駆体同士が接するようにすると共に、電解質同士、燃料極同士、空気極同士または中間層同士が接するように積重ねる。その結果、単位面積や単位時間当たりのセル前駆体等の数を増やすことができ、焼付けの効率を向上させることができる。また、異なる組成の層を接触させたまま高温で焼付けることがないため、層間における元素の移動による品質の低下は抑制される。また、従来、複数の燃料電池ハーフセル前駆体等を同時に焼成する場合、燃料電池ハーフセル前駆体等の間にスペーサーとして挟む必要のあった多孔質シートを用いる必要がないか、或いは必要な数量を低減することができる。
【0033】
本発明の焼付工程においては、燃料電池ハーフセル前駆体または燃料電池セル前駆体を2〜100枚、好ましくは5〜80枚、さらに好ましくは10〜50枚積重ねて焼付けることができる。この場合、炉内容積に余裕があれば、当該積重体を複数個炉内に挿入することによりさらに多量の燃料電池セルを効率的に製造することができる。
【0034】
焼付け温度は特に制限されないが、燃料極前駆体、中間層前駆体または電解質前駆体を焼付ける場合は1000〜1500℃、好ましくは1100〜1400℃とすることができる。また、空気極前駆体を焼付ける場合は900〜1300℃、好ましくは1000〜1200℃とすることができる。
【0035】
標準的な自立膜型の平板型燃料電池セルの製造においては、本発明の第1方法を適用して、先ず電解質シートの一方の面に燃料極前駆体を形成し、必要に応じて他方の面に中間層前駆体を形成した後に焼付けを行ない、次いで焼付けた中間層の上に空気極前駆体を形成し再び焼付ける。これら焼付工程においては、複数のハーフセル前駆体または燃料電池セル前駆体を同時に処理するに当たり、燃料極前駆体同士等が接するように積重ねることは上述した通りである。
【0036】
本発明に係る第2の平板型燃料電池セルの製造方法は、電極基板の片面上または電極基板上に形成された電解質および/または中間層の上に、電解質前駆体、中間層前駆体、燃料極前駆体および空気極前駆体よりなる群から選択されるものを形成して燃料電池ハーフセル前駆体または燃料電池セル前駆体とし、さらに焼成することにより電解質、中間層、燃料極または空気極を焼付けるに際し、2以上の燃料電池ハーフセル前駆体または燃料電池セル前駆体を同時に処理するに当たり、電解質前駆体同士、中間層前駆体同士、燃料極前駆体同士または空気極前駆体同士が接するように積重ねることを特徴とする。この方法は、主として支持膜型の平板型燃料電池セルを製造するためのものである。
【0037】
電極基板は、上述した燃料極または空気極とほぼ同様の条件のものを使用することができる。例えばその材料は、上述した燃料極または空気極と同様のものを使用できる。但し、電極基板には燃料ガス等を基板全体に拡散させるために多孔質であると共に、セルを支持するという役割を有するので厚さは上述した第1の発明の場合より厚くすることが好ましい。好適には0.3〜3mm程度にすることができる。しかし、多孔質の電極基板上には、緻密な電解質や中間層を形成し難くなる場合がある。そこで、多孔質電極基板の上に電解質を形成する場合には、燃料極基板または空気極基板上へ前述したように燃料極または空気極を形成し、その上に電解質を形成してもよい。なお、本発明においては、多孔質電極基板の上に燃料極または空気極を形成したものも「電極基板」の定義に含まれるものとする。
【0038】
電極基板は、上述した燃料極または空気極の材料からスラリーやペーストを調製した後、一般的な方法で製造することができる。例えば、上記材料にバインダーや有機溶剤、必要に応じて分散剤や可塑剤などを加えて、ドクターブレード法や押出成形法などによりグリーンシートとした後に1200〜1600℃、好ましくは1300〜1500℃で焼成し、所望の電極基板とすることができる。但し、多孔質電極基板を作製する場合には、上記温度で焼結することにより過剰に緻密にならないよう使用する原料粉末の粒径や粒度分布を調整し、さらに気孔剤を添加する等によって、所望の気孔率の電極基板を得ることが可能である。
【0039】
本発明の第2方法における燃料極、空気極、電解質および中間層の材料は、上述したものと同様のものを使用できる。
【0040】
本発明の第2方法では、電極基板の片面上または電極基板上に形成された電解質および/または中間層の上に、電解質前駆体、中間層前駆体、燃料極前駆体および空気極前駆体よりなる群から選択されるものを形成して燃料電池ハーフセル前駆体または燃料電池セル前駆体とする。燃料電池ハーフセル前駆体として、具体的には、燃料極基板または空気極基板の片面に中間層前駆体が形成されており、他方の面には何も形成されていないもの;燃料極基板または空気極基板の片面に電解質前駆体が形成されており、他方の面には何も形成されていないもの;燃料極基板または空気極基板の片面に中間層が形成されており、当該中間層上に電解質前駆体が形成されているもの;燃料極基板または空気極基板の片面に中間層前駆体が形成されており、当該中間層前駆体上に電解質前駆体が形成されているもの;燃料極基板または空気極基板の片面に電解質が形成されており、当該電解質上に中間層前駆体が形成されているものを挙げることができる。
【0041】
また、燃料電池セル前駆体として、具体的には、燃料極基板の片面に電解質が形成されており、当該電解質上に空気極前駆体が形成されているもの;空気極基板の片面に電解質が形成されており、当該電解質上に燃料極前駆体が形成されているもの;燃料極基板の片面に電解質が形成されており、当該電解質上に中間層が形成されており、当該中間層上に空気極前駆体が形成されているもの;空気極基板の片面に電解質が形成されており、当該電解質上に中間層が形成されており、当該中間層上に燃料極前駆体が形成されているもの;燃料極基板の片面に中間層が形成されており、当該中間層上に電解質が形成されており、当該電解質上に空気極前駆体が形成されているもの;空気極基板の片面に中間層が形成されており、当該中間層上に電解質が形成されており、当該電解質上に燃料極前駆体が形成されているものを例示することができる。なお、これら燃料電池ハーフセル前駆体または燃料電池セル前駆体の具体例における「燃料極基板または空気極基板」は、多孔質の燃料極基板または空気極基板の上に燃料極または空気極が形成されているものであってもよい。
【0042】
本発明の第2方法でも、上記燃料電池ハーフセル前駆体または燃料電池セル前駆体をさらに焼成することにより電解質、中間層、燃料極または空気極を焼付けるに際し、2以上の燃料電池ハーフセル前駆体または燃料電池セル前駆体を同時に処理するに当たり、電解質前駆体同士、中間層前駆体同士、燃料極前駆体同士または空気極前駆体同士が接するように積重ねる。また、これら前駆体の逆の面同士、即ち電極基板同士も接するように積重ねる。その焼付けの条件等も上述したものと同様とすることができる。
【0043】
その他、本発明の第2方法の実施条件は、上述した本発明の第1方法の実施条件を適宜適用するか、さらに変更を加えたものを採用することができる。
【0044】
標準的な支持膜型の平板型燃料電池セルの製造においては、本発明の第2方法を適用して、先ず燃料極基板の片面上に電解質前駆体を形成して焼付けを行ない、ついで焼付けた電解質膜の上に中間層前駆体を形成して焼付け、さらに焼付けた中間層の上に空気極前駆体を形成して焼付ける。これら焼付工程においては、複数のハーフセル前駆体または燃料電池セル前駆体を同時に処理するに当たり、電解質前駆体同士等が接するように積重ねることは上述した通りである。
【0045】
焼付けの際には、最下段の燃料電池ハーフセル前駆体または燃料電池セル前駆体の下にセッターを敷き、当該セッターとして、最下段の燃料電池ハーフセル前駆体または燃料電池セル前駆体の下側層である電解質、燃料極、空気極、中間層または電極基板の成分と同様の成分を含むものを使用することが好ましい。このセッターは、電解質等の強度やイオン導電性の低下を抑制するといった作用を有する。つまり、一般的な焼付工程では、アルミナ製やアルミナシリカ製等の棚板やセッター上に前駆体を置き、これを焼成炉内に入れて焼成する。しかし、この棚板やセッターに接した前駆体の元素が棚板等に拡散移動するなど、製品品質が低下するおそれがあった。そこでセッターとして、当該セッターに接する層の成分と同様の成分を含むものを用いることによって、斯かる元素の移動を抑制でき、製品品質を保つことができる。
【0046】
また、最上段の燃料電池ハーフセル前駆体または燃料電池セル前駆体の上にカバー用セッターを載置し、当該カバー用セッターとして、最上段の燃料電池ハーフセル前駆体または燃料電池セル前駆体の上側層である電解質、燃料極、空気極、中間層または電極基板の成分と同様の成分を含むものを使用するのも好適な態様である。このカバー用セッターは、積重ねたセル前駆体等の重しとなり反りやうねりを低減できる上に、上述したセッターと同様に、カバー用セッターに接する層との間の元素の移動を抑制し、製品品質を保つ。
【0047】
上記多孔質シート、セッター、カバー用セッターは、従来用いられている方法と同様の方法により製造することができる。
【0048】
本発明において、積重ねるセル前駆体またはハーフセル前駆体は、互いに同一であっても異なっていてもよい。異なる種類のセル前駆体等を積重ねる場合であっても、そのパターンを工夫することによって、セル前駆体等の間に挟む多孔質シートの必要数を低減することができる。しかし、実際の実施においては、同時に焼付けるセル前駆体等は、互いに同一であることが好ましい。
【0049】
上記セッターまたはカバー用セッターにおいて、電解質等の成分と同様の成分を含むとは、遷移金属やアルカリ土類金属など焼成時において層間での移動や拡散が起こる元素を含む成分の種類や割合が実質的に同一であることをいい、高温下においても斯かる移動や拡散が生じるとはおよそ考えられない成分の種類や割合が、本発明の目的を達成することができる範囲で多少の相違がある場合も含むこととする。
【0050】
本発明方法で製造された平板型燃料電池セルは、層間における元素の移動や拡散が抑制されたまま効率的に製造されたものであり、非常に高品質である。
【0051】
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例により制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に含まれる。
【実施例】
【0052】
実施例1
8モル%のイットリアで安定化されたジルコニアからなる8YSZ電解質シート(直径120mmφ×厚さ300μmの円形)の片面に、燃料極ペーストをスクリーン印刷した後に90℃で1時間乾燥することによって、厚さ40μmの燃料極前駆体が形成された燃料電池ハーフセル前駆体を作製した。なお、使用した燃料極ペーストは、酸化ニッケル粉末と8YSZ粉末(質量比で65:35)からなる燃料極材料100gに対し、バインダーとしてポリビニルブチラールを4g、溶剤としてテルピネオールを76g、分散剤としてソルビタン酸エステル(三洋化成製、イオネットS−80)1gを添加し、乳棒で攪拌混合後に3本ロールミルでミリングすることにより調製したものである。次いで、得られた燃料電池ハーフセル前駆体20枚を150mmφの20%アルミナ含有3YSZ製セッター上に図1の様に積重ね、上記セッターと同様の材質からなるカバー用セッターを最上部に載置した。このセッターと20枚のハーフセル前駆体とカバー用セッターを積重ねたものを300mm角のアルミナ−シリカ製棚板上に載せ、内容積が1m3のガス炉にセットし、最高温度1300℃で3時間焼成して焼付け、片面に燃料極が形成された燃料電池ハーフセルを作製した。
【0053】
当該ハーフセルの電解質シート上へ、燃料極を印刷した場合と同様の条件で厚さ35μmの空気極前駆体が形成された燃料電池セル前駆体とした。使用した空気極ペーストは、La0.8Sr0.2MnO3ペロブスカイト型酸化物粉末(セイミケミカル製、50体積%径:1.3μm、90体積%径:3.5μm)と上記の8YSZ粉末を質量比90:10で混合した空気極材料100gを用いて、上記燃料極ペーストと同様の条件で調製したものである。次に、当該セル前駆体20枚を150mmφのNiAl23製セッターを用い、図2の様にセッターと20枚のセル前駆体とカバー用セッターを積重ね、ガス炉で最高温度1150℃で3時間焼成して焼付け、燃料極と空気極が形成された燃料電池セルを作製した。
【0054】
実施例2
4モル%のスカンジアで安定化されたジルコニアからなる4ScSZ電解質シート(直径120mmφ×厚さ150μmの円形)を用いた以外は上記実施例1と同様にして、厚さ40μmの燃料極前駆体が形成された燃料電池ハーフセル前駆体を作製した。得られた燃料電池ハーフセル前駆体の電解質シート面上へ、中間層ペーストを同様の条件でスクリーン印刷し、90℃で1時間乾燥して中間層前駆体を形成した。使用した中間層ペーストは、20モル%イットリアをドープした(CeO20.8(Y230.2粉末(セイミケミカル製、50体積%径:0.8μm、90体積%径:5.7μm)からなる中間層材料を用いた以外は上記実施例1と同様の条件で中間層前駆体を形成した。この燃料極前駆体と中間層前駆体が形成された燃料電池ハーフセル前駆体14枚を150mmφの20%アルミナ含有3YSZ板上に図3のように積重ね、上記実施例1と同様にガス炉で最高温度1300℃で3時間焼成して焼付け、片面に燃料極が形成され他方の面に中間層が形成された燃料電池ハーフセルを作製した。
【0055】
この燃料電池ハーフセルの中間層上に空気極ペーストをスクリーン印刷し、90℃で1時間乾燥して空気極前駆体を形成した。使用した空気極ペーストは、La0.6Sr0.4Co0.2Fe0.83ペロブスカイト型酸化物粉末(セイミケミカル製、50体積%径:1.7μm、90体積%径:4.1μm)と、上記YDC粉末を質量比90:10で混合したものを用いた以外は上記実施例1と同様に調製したものである。
【0056】
次に、当該燃料電池セル前駆体を図4の様に積重体とし、ガス炉で最高温度1000℃で3時間焼成して焼付け、燃料極、中間層および空気極が形成された燃料電池セルを作製した。
【0057】
実施例3
実施例1で使用した酸化ニッケル粉末と8YSZ粉末(質量比:65:35)を用いて、酸化ニッケル粉末と8YSZとのサーメットからなる気孔率が35%の多孔質燃料極基板(直径120mmφ×厚さ650μmの円形)を作製した。この多孔質燃料極基板の片面に、実施例1で用いた燃料極ペーストをスクリーン印刷して燃料極前駆体を形成し、この燃料極前駆体の上にさらに電解質スラリーをスクリーン印刷した後に90℃で1時間乾燥することによって、厚さ15μmの電解質前駆体が形成された燃料電池ハーフセルを作製した。なお、使用した電解質スラリーは、10モル%スカンジアと1モル%セリアで安定化されたジルコニア粉末(第一稀元素製、10Sc1CeSZ)にバインダーとしてヒドロキシエチルセルロース、溶剤として水を用いた以外は上記実施例1と同様にして調製した。この燃料電池ハーフセル前駆体10枚を150mmφのNiAl24板上に図5のように積重ね、上記実施例1と同様にガス炉で最高温度1350℃で2時間焼成して焼付け、燃料電池ハーフセルを作製した。
【0058】
この燃料電池ハーフセルの電解質上に上記実施例2と同様の中間層ペーストをスクリーン印刷し、90℃で1時間乾燥して厚さ10μmの中間層前駆体を形成した。上記と同様にして1350℃で2時間焼成して焼付け、電解質膜上に中間層を形成した。その際、燃料極基板同士または中間層前駆体同士が接するように当該ハーフセル前駆体を積重ねた。さらに当該中間層上に上記実施例2と同様の空気極ペーストをスクリーン印刷し、90℃で1時間乾燥して厚さ35μmの空気極前駆体を形成した。上記実施例2と同様にして図6のように燃料電池セル前駆体を積重ねて1000℃で2時間焼成して焼付け、燃料極基板上に電解質膜、中間層および空気極が形成された燃料電池セルを作製した。
【0059】
比較例1〜3
上記実施例1〜3の図2、4、6のように積重ねた燃料電池セル前駆体の積重体において、図7〜9に示す如く異種層同士(例えば図7でいえば燃料極と空気極前駆体)が接するように積重ねた以外は実施例1〜3と全く同様にして燃料電池セル(比較例1〜3)を作製した。
【0060】
試験例1
上記実施例1〜3と比較例1〜3の燃料電池セルの表面につきEPMA観察により元素分析を行なった。また、電流密度が0.6A/cm2の時の発電特性を電流遮断法により測定した。使用した燃料ガスと空気極ガスは3%加湿H2ガスと空気であり、集電体としてはPtメッシュを用いた。測定温度は、実施例1と比較例1のセルでは950℃とし、実施例2と3および比較例2と3では800℃とした。結果を表1に示す。
【0061】
【表1】

【0062】
当該結果の通り、従来方法の様に無作為にセル前駆体同士を積重ねると、空気極のMn、Co、FeやSrが燃料極に移動したり、燃料極のNiが空気極に移動するなど、電極間における遷移金属の層間移動または拡散が観察され、発電特性も悪い。一方、本発明方法により平板型燃料電池セルを製造すれば、電極間における遷移金属等の層間移動や拡散が抑制されており燃料電池の発電特性も向上させることができることが実証された。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明方法の一態様を模式的に示す図である。即ち、電解質シート4の片面に燃料極前駆体52を形成してこれを焼付けるに当たり、燃料極同士が接するように積重ねた例である。
【図2】本発明方法の一態様を模式的に示す図である。即ち、電解質シート4の両面にそれぞれ燃料極5と空気極前駆体71を形成して空気極を焼付けるに当たり、燃料極同士または空気極前駆体同士が接するように積重ねた例である。
【図3】本発明方法の一態様を模式的に示す図である。即ち、電解質シート4の両面にそれぞれ燃料極前駆体52と中間層前駆体61を形成してこれらを焼付けるに当たり、燃料極前駆体同士または中間層前駆体同士が接するように積重ねた例である。
【図4】本発明方法の一態様を模式的に示す図である。即ち、電解質シート4の両面にそれぞれ燃料極5と中間層6を形成し、中間層6上に空気極前駆体71を形成して空気極を焼付けるに当たり、空気極前駆体同士または燃料極同士が接するように積重ねた例である。
【図5】本発明方法の一態様を模式的に示す図である。即ち、燃料極基板51の片面に燃料極前駆体52を形成し、さらに燃料極前駆体52上に電解質膜前駆体42を形成して燃料極と電解質膜を焼付けるに当たり、電解質膜前駆体同士または燃料極基板同士が接するように積重ねた例である。
【図6】本発明方法の一態様を模式的に示す図である。即ち、燃料極基板51の片面に燃料極5と電解質膜41を形成し、当該電解質膜上に中間層6を形成し、当該中間層上に空気極前駆体71を形成して空気極を焼付けるに当たり、空気極前駆体同士または燃料極基板同士が接するように積重ねた例である。
【図7】従来方法の一態様を模式的に示す図である。即ち、電解質シート4の両面にそれぞれ燃料極5と空気極前駆体71を形成して空気極を焼付けるに当たり、燃料極と空気極前駆体が接するように積重ねた例である。
【図8】従来方法の一態様を模式的に示す図である。即ち、電解質シート4の両面にそれぞれ燃料極5と中間層6を形成し、中間層6上に空気極前駆体71を形成して空気極を焼付けるに当たり、燃料極と空気極前駆体が接するように積重ねた例である。
【図9】従来方法の一態様を模式的に示す図である。即ち、燃料極基板51の片面に燃料極5と電解質膜41を形成し、当該電解質膜上に中間層6を形成し、当該中間層上に空気極前駆体71を形成して空気極を焼付けるに当たり、燃料極基板と空気極前駆体が接するように積重ねた例である。
【符号の説明】
【0064】
1:セッター、 11:カバー用セッター、 2:多孔質スペーサー、 3:棚板、 4:電解質シート、 41:電解質膜、 42:電解質膜前駆体、 5:燃料極、 51:燃料極基板、 52:燃料極前駆体、 6:中間層、 61:中間層前駆体、 7:空気極、 71:空気極前駆体、 8:燃料電池ハーフセル、 81:燃料電池ハーフセル前駆体、 9:燃料電池セル、 91:燃料電池セル前駆体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
平板型燃料電池セルを製造する方法であって、
電解質の少なくとも一方の表面上または電解質上に形成された中間層上に、燃料極前駆体、空気極前駆体および中間層前駆体よりなる群から選択される1以上を形成して燃料電池ハーフセル前駆体または燃料電池セル前駆体とし、さらに焼成することにより燃料極、空気極および/または中間層を焼付けるに際し、2以上の燃料電池ハーフセル前駆体または燃料電池セル前駆体を同時に処理するに当たり、燃料極前駆体同士、空気極前駆体同士または中間層前駆体同士が接するように積重ねることを特徴とする平板型燃料電池セルの製造方法。
【請求項2】
平板型燃料電池セルを製造する方法であって、
電極基板の片面上または電極基板上に形成された電解質および/または中間層の上に、電解質前駆体、中間層前駆体、燃料極前駆体および空気極前駆体よりなる群から選択されるものを形成して燃料電池ハーフセル前駆体または燃料電池セル前駆体とし、さらに焼成することにより電解質、中間層、燃料極または空気極を焼付けるに際し、2以上の燃料電池ハーフセル前駆体または燃料電池セル前駆体を同時に処理するに当たり、電解質前駆体同士、中間層前駆体同士、燃料極前駆体同士または空気極前駆体同士が接するように積重ねることを特徴とする平板型燃料電池セルの製造方法。
【請求項3】
最下段の燃料電池ハーフセル前駆体または燃料電池セル前駆体の下にセッターを敷き、
当該セッターとして、最下段の燃料電池ハーフセル前駆体または燃料電池セル前駆体の下側層である電解質、燃料極、空気極、中間層または電極基板の成分と同様の成分を含むものを使用する請求項1または2に記載の平板型燃料電池セルの製造方法。
【請求項4】
最上段の燃料電池ハーフセル前駆体または燃料電池セル前駆体の上にカバー用セッターを載置し、
当該カバー用セッターとして、最上段の燃料電池ハーフセル前駆体または燃料電池セル前駆体の上側層である電解質、燃料極、空気極、中間層または電極基板の成分と同様の成分を含むものを使用する請求項1〜3のいずれかに記載の平板型燃料電池セルの製造方法。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の方法で製造されたことを特徴とする平板型燃料電池セル。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate